JP2019095581A - 感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物溶液および電子装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物溶液および電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】感光剤として光酸発生剤を用いたネガ型感光性樹脂組成物からなる樹脂膜の場合、露光した後に、露光後加熱(PEB)を実施する必要がある。そのため、この種のネガ型感光性樹脂組成物を半導体集積回路やディスプレイ等の材料として用いると、PEB工程を行う装置が必要であり、またPEB工程を行うことで製造時間が長くなるといった問題があった。また、ネガ型感光性樹脂組成物からなる硬化膜の透明性もさらに向上することが望まれている。そこで、PEB工程を経ずともパターニング可能で、硬化膜の透明性に優れた感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物溶液および電子装置を提供する。【解決手段】下記式(1)で示されるポリマーと、架橋剤と、反応性二重結合を有する化合物と、感光剤とを含む感光性樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物溶液および電子装置に関する。
半導体集積回路やフラットパネルディスプレイ(FPD)の表示面などの製造過程において、微細素子の形成あるいは微細加工を行うために、フォトリソグラフィ技術が利用されている。
フォトリソグラフィ技術においては、レジストパターンを形成するため、感光性樹脂組成物(以下、フォトレジスト用樹脂組成物とも呼ぶ。)が用いられている。
例えば、特許文献1(特開2014―137424号公報)には、ポリマーと、光酸発生剤と第一架橋剤とを含むネガ型フォトレジスト用樹脂組成物が開示されている。上記ポリマーは、ノルボルネン骨格からなる単位と、無水マレイン酸に由来する単位とを有し、無水マレイン酸に由来する単位の酸無水環を加水分解したものであることが開示されている。
特許文献1:特開2014―137424号公報
しかし、感光剤として光酸発生剤を用いたネガ型感光性樹脂組成物からなる樹脂膜の場合、紫外線、ArF、KrF、F2レーザー光等の光で露光した後に、露光後加熱(Post Exposure Bake、以下、PEBという)を実施する必要がある。
そのため、この種のネガ型感光性樹脂組成物を半導体集積回路やディスプレイ等の材料として用いると、PEB工程を行う装置が必要であり、またPEB工程を行うことで製造時間が長くなるといった問題があった。また、ネガ型感光性樹脂組成物からなる硬化膜の透明性もさらに向上することが望まれている。
本発明者らは、下記式(1)で示されるポリマーを含む、感光性樹脂組成物を用いることにより、PEB工程を経ずともパターニング可能で、透明性に優れた感光性樹脂組成物膜を形成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
下記式(1)で示されるポリマーと、架橋剤と、反応性二重結合を有する化合物と、感光剤とを含む感光性樹脂組成物が提供される。

(式(1)中、lおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、l+m=1であり、nは0、1または2である。R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)

(式(2a)および式(2b)中、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
また、本発明によれば、上述した感光性樹脂組成物と、溶剤とを含む、感光性樹脂組成物溶液も提供できる。
また、本発明によれば、上述した感光性樹脂組成物の硬化膜を備える電子装置も提供できる。
本発明によれば、PEB工程を経ずともパターニング可能で、硬化膜の透明性に優れた感光性樹脂組成物、感光性樹脂組成物溶液および電子装置を提供することができる。
本実施形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る電子装置の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同一符号を付し、その詳細な説明は重複しないように適宜省略される。
はじめに、本実施形態の感光性樹脂組成物の概要について説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、
下記式(1)で示されるポリマーと、架橋剤と、反応性二重結合を有する化合物と、感光剤とを含む。

(式(1)中、lおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、l+m=1であり、nは0、1または2である。R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)

(式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、式(1)で示されるポリマーと、架橋剤と、反応性二重結合を有する化合物と、感光剤を使用している。これらを適宜選択することでPEB工程を経ずともパターニング可能で、硬化膜の透明性に優れた感光性樹脂組成物とすることができる。
(ポリマー)
本実施形態に係るポリマーは、前述したポリマーであり、下記式(1)で示される共重合体で構成される。
式(1)中、lおよびmはポリマー中におけるモル含有率(モル比)を示し、l+m=1、0.4≦l≦0.6、0.4≦m≦0.6である。nは0、1または2である。
、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。R、R、RおよびRは、互いに同一であってもよく、また互いに異なっていてもよい。
Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である。上記式(1)により示される共重合体には、下記式(2a)、(2b)、(2c)および(2d)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれる。本実施形態においては、少なくとも下記式(2a)、(2b)および(2c)から選択される1種または2種以上の構造単位Aが含まれることが好ましい。

式(2a)および式(2b)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である。
本実施形態において、上記式(1)で示される共重合体には、上記式(2a)により示される構造単位A、および上記式(2c)により示される構造単位Aを含むことが好ましく、さらには、(2b)により示される構造単位Aが含まれることが好ましい。この場合、後述するように開環工程に使用する塩基量の調整やモノマー除去工程後における加熱処理(DR工程)によって、ポリマーの酸価を容易に調整することが可能となる。したがって、ポリマーを含む感光性樹脂組成物からなる膜について、フォトリソグラフィ工程におけるアルカリ現像液への溶解性を調整することが容易となる。
、R、RおよびRを構成する有機基は、いずれも酸性官能基を有しないものとすることができる。これにより、ポリマー中における酸価の制御を容易とすることができる。また、R、R、RおよびRを構成する有機基はその構造中にO,N,S,P,Siのいずれか1以上を含んでいてもよい。
本実施形態において、R、R、RおよびRを構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられ、これらのなかから選択できる。
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられ、これらのなかから選択できる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
なお、R、R、RまたはRとしてアルキル基を含むことにより、ポリマーを含む感光性樹脂組成物からなる膜の製膜性を向上させることができる。また、R、R、RまたはRとしてアリール基を含むことにより、ポリマーを含む感光性樹脂組成物からなる膜について、リソグラフィ工程におけるアルカリ現像液を用いた現像の際の膜減りを抑えることができる。
さらに、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。R、R、RおよびRの少なくともいずれか1つをハロアルキル基とすることで、ポリマーを使用して感光性樹脂組成物を構成した際、この感光性樹脂組成物の誘電率を低下させることができる。
なお、ポリマーを含んで構成される膜の光透過性を高める観点から、R、R、RおよびRのいずれかが水素であることが好ましく、特には、R、R、RおよびRすべてが水素であることが好ましい。
、RおよびRを構成する炭素数1〜18の有機基は、その構造中にO,N,S,P,Siのいずれか1以上を含んでいてもよい。また、R、RおよびRを構成する有機基は、酸性官能基を含まないものとすることができる。これにより、ポリマー中における酸価の制御を容易とすることができる。
本実施形態において、R、RおよびRを構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられ、これらのなかから選択できる。ここでアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、ナフチル基、およびアントラセニル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。ヘテロ環基としては、たとえばエポキシ基、およびオキセタニル基が挙げられる。
さらに、前述したアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基は、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。
上記式(1)に示される共重合体は、たとえば下記式(3)で表されるノルボルネン型モノマーに由来した繰り返し単位と、下記式(4)に示す無水マレイン酸に由来した繰り返し単位と、が交互に配列されてなる交互共重合体であることが好ましい。なお、上記式(1)に示される共重合体は、ランダム共重合体やブロック共重合体であってもよい。
下記式(4)に示す無水マレイン酸に由来した繰り返し単位とは、上記式(1)中のAにより表される構造単位である。なお、ポリマーは、低分子量成分として下記式(3)および(4)により示されるモノマーを含んでいてもよい。

式(3)中、nは0、1または2であり、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基である。
本実施形態におけるポリマーは、たとえば酸価が15mgKOH/gポリマー以上65mgKOH/gポリマー以下であることが好ましい。
ポリマーの酸価の測定は、たとえばJIS K 2501に準じて次のように行われる。まず、合成したポリマーを溶かした滴定溶剤に対し、N/10KOH水溶液を用いてpH=7.0となるよう滴定を行う。そして、この滴定に要したKOH量を基に、下記の式を用いてポリマーの酸価(樹脂1gに対するKOHのmg数)が算出される。
酸価=滴定量(ml)×KOHのファクターf×0.1×56.1/ポリマー量(固形)
本実施形態において、ポリマーの酸価は、式(2a)により表される構造単位に由来するカルボキシル基の量の指標となる。すなわち、ポリマーの酸価を制御することにより、ポリマー中におけるカルボキシル基の量を調整することができる。したがって、ポリマーの酸価を制御することにより、カルボキシル基の量に起因して変動するポリマーのアルカリ溶液に対する溶解速度を調整することが可能となる。
フォトリソグラフィ工程においては、所望のパターニング性能を実現するために、アルカリ現像液への溶解速度を調整することが重要となる。ポリマーの酸価を上記範囲とすることにより、特に硬化膜のパターニングに適した、感光性樹脂組成物のアルカリ溶解速度を実現することが可能となる。
本実施形態におけるポリマーは、たとえばGPC(Gel Permeation Chromatography)により得られる分子量分布曲線において、分子量1000以下におけるピーク面積が、全体の1%以下であることが好ましい。
本発明者は、ポリマーにおける低分子量成分の量を低減することにより、当該ポリマーにより形成される膜について、硬化時におけるパターンの変形を抑制できることを見出した。このため、GPCにより得られる分子量分布曲線の分子量1000以下におけるピーク面積の比率を上記範囲とすることにより、ポリマーを含む感光性樹脂組成物からなる膜のパターン形状を良好なものとすることができる。当該膜を硬化膜として備える電子装置については、その動作信頼性を向上させることが可能となる。
なお、ポリマーにおける低分子量成分の量の下限は、特に限定されない。しかし、本実施形態におけるポリマーは、GPCにより得られる分子量分布曲線において分子量1000以下におけるピーク面積が全体の0.01%以上である場合を許容するものである。
本実施形態におけるポリマーは、たとえばMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が1.5以上2.5以下であることが好ましい。なお、Mw/Mnは、分子量分布の幅を示す分散度である。
本発明者は、ポリマーにおける分子量分布を一定の範囲に制御することにより、当該ポリマーにより形成される膜について、硬化時におけるパターンの変形を抑制できることを見出した。このため、ポリマーのMw/Mnを上記範囲とすることにより、ポリマーを含む感光性樹脂組成物からなる膜のパターン形状を良好なものとすることができる。なお、このような効果は、同時に上述のようにポリマーの低分子量成分を低減する場合において特に顕著に表れる。
また、ポリマーのMw(重量平均分子量)は、たとえば5,000以上30,000以下である。
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、たとえばGPC測定により得られる標準ポリスチレン(PS)の検量線から求めた、ポリスチレン換算値を用いる。測定条件は、たとえば以下の通りである。
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK−GEL Supermultipore HZ−M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
また、ポリマー中における低分子量成分量は、たとえばGPC測定により得られた分子量に関するデータに基づき、分子量分布全体の面積に占める、分子量1000以下に該当する成分の面積総和の割合から算出される。
本実施形態におけるポリマーは、アルカリ金属を含有していてもよい。当該ポリマー中におけるアルカリ金属の濃度(ポリマー全体の質量に対するアルカリ金属の質量)は、たとえば10ppm(質量ppm)以下であることが好ましい。
ポリマー中におけるアルカリ金属の濃度を当該範囲とすることにより、硬化膜を含む電子装置の動作信頼性を向上させることができる。また、上記範囲内であればアルカリ金属がポリマー中に含有されることを許容できる。すなわち、後述する無水マレイン酸由来の構造単位における無水環を開環する工程を、アルカリ水溶液を用いた処理により行うことが可能となる。この場合、短時間で、かつ温和な条件により当該工程を行うことができる。また、酸触媒を用いて無水環を開環する工程と比較して、ポリマーにおける開環率の制御が容易となる。
なお、ポリマー中におけるアルカリ金属濃度の下限は、特に限定されないが、本実施形態はポリマー中におけるアルカリ金属濃度が0.01ppm以上である場合を許容するものである。
本実施形態において、ポリマー中におけるアルカリ金属の濃度は、フレームレス原子吸光光度計を用いて、必要に応じてN−メチルピロリドンにより希釈したポリマー固形分に対してのアルカリ金属濃度を測定することにより得た。
また、本実施形態におけるポリマー中に含まれるアルカリ金属としては、たとえばNa、KまたはLiが挙げられる。これらのアルカリ金属は、たとえば後述する無水マレイン酸由来の構造単位における無水環を開環する開環工程(処理S2)におけるアルカリ水溶液に起因するものである。
本実施形態におけるポリマーのアルカリ溶解速度は、たとえば500Å/秒以上20,000Å/秒以下である。ポリマーのアルカリ溶解速度は、たとえばポリマーをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させ、固形分20重量%に調整したポリマー溶液を、シリコンウェハ上にスピン方式で塗布し、これを110℃で100秒間ソフトベークして得られるポリマー膜を、23℃で2.38%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液に含浸させ、視覚的に前記ポリマー膜が消去するまでの時間を測定することにより算出される。
ポリマーのアルカリ溶解速度を500Å/秒以上とすることにより、アルカリ現像液による現像工程におけるスループットを良好なものとすることができる。また、ポリマーのアルカリ溶解速度を20,000Å/秒以下とすることにより、アルカリ現像液による現像工程後における残膜率を向上させることができる。このため、リソグラフィ工程による膜減りを抑えることが可能となる。
本実施形態に係るポリマーは、たとえば以下のように作成される。
(重合工程(処理S1))
はじめに式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、モノマーとなる無水マレイン酸とを用意する。式(3)で示されるノルボルネン型モノマーにおいて、n、R〜Rは、上記式(1)のものと同様とすることができる。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーとしては、具体的には、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)があげられ、さらに、アルキル基を有するものとして、5−メチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−ヘキシル−2−ノルボルネン、5−デシル−2−ノルボルネンなど、アルケニル基を有するものとしては、5−アリル−2−ノルボルネン、5−(2−プロペニル)−2−ノルボルネン、5−(1−メチル−4−ペンテニル)−2−ノルボルネンなど、アルキニル基を有するものとしては、5−エチニル−2−ノルボルネンなど、アラルキル基を有するものとしては、5−ベンジル−2−ノルボルネン、5−フェネチル−2−ノルボルネンなどがあげられる。
ノルボルネン型モノマーとしては、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。なかでも、ポリマーの光透過性の観点から、ビシクロ〔2.2.1〕−ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)を使用することが好ましい。
次いで、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とを付加重合する。ここでは、ラジカル重合により、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸との共重合体(共重合体1)を形成する。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とのモル比(式(3)で示される化合物のモル数:無水マレイン酸のモル数)は、0.5:1〜1:0.5であることが好ましい。なかでも、分子構造制御の観点から、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーのモル数:無水マレイン酸のモル数=1:1であることが好ましい。
式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸と、重合開始剤とを溶媒に溶解し、その後、所定時間加熱することで、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とを溶液重合する。加熱温度は、たとえば、50〜80℃であり、加熱時間は10〜20時間である。
溶媒としては、たとえばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、トルエン等のうち、いずれか1種以上を使用することができる。
重合開始剤としては、アゾ化合物および有機過酸化物のうちのいずれか1種以上を使用できる。
アゾ化合物としては、たとえばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)があげられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
また、有機過酸化物としては、たとえば過酸化水素、ジターシャリブチルパーオキサイド(DTBP)、過酸化ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド,BPO)および、メチルエチルケトンパーオキサイド(MEKP)を挙げることができ、これらのうち、いずれか1種以上を使用できる。
重合開始剤の量(モル数)は、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸との合計モル数の1%〜10%とすることが好ましい。重合開始剤の量を前記範囲内で適宜設定し、かつ、反応温度、反応時間を適宜設定することで、得られるポリマーの重量平均分子量(Mw)を5000〜30000に調整することができる。
この重合工程(処理S1)により、以下の式(5)で示される繰り返し単位と、以下の式(6)で示される繰り返し単位とを有する共重合体1を重合することができる。
ただし、共重合体1において、式(6)の構造のRは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜Rにおいても同様である。

(式(6)において、n、R〜Rは、上記式(1)と同じである。すなわち、nは0、1,2のいずれかである。R〜Rは、それぞれ独立した水素または炭素数1〜30の有機基である。式(6)において、R〜Rは、同一のものであっても異なっていてもよい)
共重合体1は、式(5)で示される繰り返し単位と、式(6)で示される繰り返し単位とが、ランダムに配置されたものであってもよく、また、交互に配置されたものであってもよい。また、式(3)で示されるノルボルネン型モノマーと、無水マレイン酸とがブロック共重合したものであってもよい。ただし、本実施形態で製造されるポリマーを用いた感光性樹脂組成物の溶解性の均一性を確保する観点からは、式(5)で示される繰り返し単位と、式(6)で示される繰り返し単位とが交互に配置された構造であることが好ましい。すなわち、共重合体1は、以下の繰り返し単位を有するものであることが好ましい。

(式(7)において、n、R〜Rは、上記式(1)と同じである。すなわち、nは0、1,2のいずれかである。R〜Rは、水素または炭素数1〜30の有機基である。R〜Rは、同一のものであっても異なっていてもよい。また、aは10以上、200以下の整数である)
ここで、式(7)の構造のRは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜Rにおいても同様である。
(開環工程(処理S2))
次に、得られた共重合体1の無水マレイン酸に由来する環状構造の繰り返し単位のうち、一部の繰り返し単位を閉環した状態としながら、残りの繰り返し単位を開環する。これにより、共重合体1中におけるカルボキシル基の量を調整することができる。すなわち、作成されるポリマーにおける酸価の制御が可能となる。
本実施形態においては、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位のうち、たとえば50%以上の繰り返し単位を開環せずに、前記残りの繰り返し単位の環状構造(無水環)を開環することが好ましい。共重合体1の開環率は、たとえば50%未満であることが好ましい。なかでも、共重合体1の無水マレイン酸由来の環状構造の繰り返し単位の全個数のうち、60%以上、90%以下の繰り返し単位を開環しないことが好ましい。
ここで、無水マレイン酸由来の繰り返し単位の開環率は以下のようにして計測することができる。
開環前の共重合体1の酸無水物構造における(C=O)のIR吸収強度(A1)を測定し、開環後の酸無水物構造における(C=O)のIR吸収強度(A2)より以下式にて開環率を算出する。
開環率(%)=((A1−A2)/A1)×100
なお、内部標準物質としてアセトニトリルを用いる。
具体的には、
(A)塩基としての金属アルコキシド
(B)アルコールおよび塩基としてのアルカリ金属の水酸化物
のいずれか一方を、前記重合工程において、前記共重合体1が重合された反応液に添加するとともに、メチルエチルケトン(MEK)等の有機溶媒をさらに添加し、40〜50℃で1〜5時間攪拌して、反応液L1を得る。反応液L1中では、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位の一部の無水環が開環するとともに、開環することで形成された一部の末端がエステル化される。なお、残りの末端はエステル化されずに、金属塩構造となる。
本実施形態において、金属アルコキシドあるいはアルカリ金属の水酸化物のモル数は、重合工程で使用した無水マレイン酸のモル数の50%以下とすることが好ましい。なかでも、金属アルコキシドあるいはアルカリ金属の水酸化物のモル数は、重合工程で使用した無水マレイン酸のモル数の40%以下、10%以上とすることが好ましく、さらには、30%以下とすることが好ましい。このようにすることで、金属アルコキシドあるいはアルカリ金属の水酸化物の量を少なくすることができ、最終的に得られるポリマー中のアルカリ金属濃度を低減することができる。
ポリマー中のアルカリ金属濃度を低減することで、このポリマーを使用したデバイスを形成した際に、金属イオンのマイグレートを抑制することができる。
前述した金属アルコキシドとしては、M(OR)で示されるもの(Mは1価の金属、Rは炭素数1〜18の有機基である。)が好ましい。金属Mとしては、アルカリ金属があげられ、なかでも、取り扱い性の観点からナトリウムが好ましい。Rとしては、たとえば上記式(2a)または式(2a)におけるRと同様のものが挙げられる。
なお、金属アルコキシドとしては、異なるものを2種以上使用してもよい。ただし、製造安定性の観点からは、1種の金属アルコキシドを使用することが好ましい。
一方で、前述したように、共重合体1の無水マレイン酸由来の構造体を(B)アルコールおよび塩基としてのアルカリ金属の水酸化物の存在下で開環してもよい。
アルカリ金属の水酸化物としては、取り扱い性の観点から水酸化ナトリウムが好ましい。
アルコールとしては、1価のアルコール(ROH)が好ましい。有機基であるRは、前述したものを使用できる。なお、Rは炭素数10以下であることが好ましい。
この開環工程(処理S2)で開環した無水マレイン酸由来の繰り返し単位は、以下の式(8)で示す構造となり、カルボキシル基の塩部分を有する構造となる。この式(8)の構造を有するものを、共重合体2とよぶ。

(式(8)において、Rは、前述したRと同様であり、前述したアルコールあるいは金属アルコキシド由来のものである)
なお、共重合体2において、わずかではあるが、以下の式(9)で示す構造体が形成されることもある。
また、共重合体2において、わずかではあるが、以下の式(10)で示す構造体が形成されることもある。
次いで、反応液L1に、塩酸あるいは蟻酸等の水溶液を加えて、共重合体2を酸処理して、金属イオン(Na+)をプロトン(H+)と置換する。これにより、共重合体2を酸処理することで得られた共重合体3においては、式(8)で示される開環した無水マレイン酸由来の繰り返し単位は、下記式(11)のような構造となり、一方の末端がカルボキシル基となる。

(式(11)において、Rは、前述したRと同様である)
なお、共重合体2において、式(10)で示す構造体を有する場合には、当該構造体は、下記式(12)のような構造となる。
共重合体2を酸処理することで得られた共重合体3は、前述した式(6)で示される繰り返し単位と、式(5)で示される繰り返し単位と、式(11)で示される繰り返し単位と、場合により式(9)の構造体および式(12)の構造体を有するものとなる。そして、無水マレイン酸由来の構造単位の全個数のうち、50%以上が、式(5)で示される繰り返し単位となる。式(5)で示される繰り返し単位と、式(11)で示される繰り返し単位(式(9)の構造体、式(12)の構造体が含まれる場合には、式(11)で示される繰り返し単位と、式(9)の構造体と、式(12)の構造体との合計)との比率(モル比(式(5):式(11)(式(9)の構造、式(12)の構造が含まれる場合には、式(11)+式(9)+式(12))))は、たとえば、1:1〜3:1である。
なかでも、以下の式(13)および(14)を繰り返し単位として有し、ノルボルネン型モノマー由来の構造体と、無水マレイン酸モノマー由来の構造体とが交互に配置された構造であることが好ましい。
式(13)および式(14)において、n、R〜Rは、上記式(1)と同じである。すなわち、nは0,1,2のいずれかである。R〜Rは、水素または炭素数1〜30の有機基である。R〜Rは、同一のものであっても異なっていてもよい。また、式(14)の構造には、Zが−O―Hおよび−O−Rのうちのいずれか一方を示し、Wは、いずれか他方を示す構造と、わずかではあるが、ZおよびWがいずれも、−O−Rである構造とが含まれる。Rは、前述したRと同様である。
また、わずかではあるが、式(14)で示される繰り返し単位には、ZおよびWがいずれも、−O−Hである構造も含まれる場合がある。
また、式(13)が繰り返し単位となる場合には、Rは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜Rにおいても同様である。
同様に、式(14)が繰り返し単位となる場合には、Rは、各繰り返し単位において共通であることが好ましいが、それぞれの繰り返し単位ごとに異なっていてもよい。R〜R、W、Zにおいても同様である。
この開環工程(処理S2)では、共重合体1の無水マレイン酸由来の繰り返し単位のうち、50%以上の繰り返し単位を開環せずに、残りの繰り返し単位の環状構造(無水環)を開環して、共重合体2を得ている。共重合体2では、前述したように、無水マレイン環が開環して形成された一方の末端に金属(たとえば、Na)が結合しているが、50%以上の繰り返し単位を開環しないことで、生成物であるポリマー中に含まれる金属量を少なくすることができる。これにより、本実施形態で最終的に得られるポリマー中のアルカリ金属の量を低減することができ、このポリマーを用いた感光性樹脂組成物において所望の特性を発揮させることができる。
(洗浄工程(処理S3))
次に、以上の工程により得られた共重合体3を含む溶液を、水と有機溶媒(たとえば、MEK)との混合物で洗浄して、残留金属成分を除去する。共重合体3、残留モノマーおよびオリゴマーは、有機層に移動する。その後、水層を除去する(第一の洗浄)。
その後、再度、有機層に、水と有機溶媒(たとえば、MEK)との混合物を加えて、洗浄する(第二の洗浄)。
本実施形態においては、以上のような洗浄工程(処理S3)をたとえば5回以上、より好ましくは10回繰り返す。これにより、共重合体3中におけるアルカリ金属の濃度を、十分に低減することができる。本実施形態においては、共重合体3中のアルカリ金属濃度が10ppm以下、好ましくは5ppm以下となるように洗浄工程(処理S3)を繰り返し行うことが好ましい。
(低分子量成分除去工程(処理S4))
次に、共重合体3と、残留モノマーおよびオリゴマー等の低分子量成分とが含まれた前記有機層を、濃縮した後、THF等の有機溶媒に再度溶解させる。そして、この溶液に、ヘキサンおよびメタノールを加えて、共重合体3を含むポリマーを凝固沈殿させる。ここで、低分子量成分としては、残留モノマー、オリゴマー、さらには、重合開始剤等が含まれる。次いで、ろ過を行い、得られた凝固物を、乾燥させる。これにより、低分子量成分が除去された共重合体3を主成分(主生成物)とするポリマーを得ることができる。
本実施形態においては、当該低分子量成分除去工程(処理S4)において、共重合体3中における分子量1000以下の低核体含有率が1%以下になるまで抽出操作を繰り返すことが好ましい。これにより、ポリマー中における低分子量成分の量を、硬化時における膜のパターン変形を抑制するために十分な程度に低減することができる。
なお、後述する加熱工程を実施する場合には、この低分子量成分除去工程(処理S4)では、たとえば共重合体3、残留モノマーおよびオリゴマーが含まれた前記有機層を、メタノール、水、ヘキサンの混合液で洗浄して、有機層を除去する。
(加熱工程(処理S5))
本実施形態では、前述した開環工程(処理S2)にて、無水マレイン酸由来の繰り返し単位の開環率を調整することで、ポリマーのアルカリ現像液(たとえば、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液))に対する溶解速度が調整されているが、さらに、厳密に溶解速度を調整する必要がある場合には本加熱工程(処理S5)を実施することが好ましい。この加熱工程(処理S5)では、共重合体3を加熱することでポリマーのアルカリ現像液に対する溶解速度をさらに調整する。
加熱工程(処理S5)は、次のように行われる。
低分子量成分除去工程において有機層を除去した液に、アルコールを加え、メタノールを蒸発させた後、120〜140℃で0.5〜10時間加熱する。ここで使用するアルコールは、前述したアルコール(ROH)として例示したもののいずれかを使用できる。
この加熱工程(処理S5)では、共重合体3の一部のカルボキシル基、すなわち、無水マレイン酸由来の構造体の開環構造の末端に形成されたカルボキシル基が、エステル化することとなる。これに加え、この加熱工程(処理S5)では、共重合体3の無水マレイン酸由来の構造体の開環構造が脱水して、再度閉環することとなる。
従って、この工程を経て得られる共重合体4は、前述した式(6)で示す繰り返し単位と、式(5)で示される繰り返し単位と、式(11)で示される繰り返し単位と、以下の式(15)で示される繰り返し単位とを備えるものとなる。
式(15)において、RおよびRは、上記式(2b)におけるRおよびRと同様であり、独立した炭素数1〜18の有機基である構造を含む。
この式(15)で示した構造は、Rが前述のRであり、Rの炭素数1〜18の有機基が本加熱工程(処理S5)で使用するアルコールに由来のものである場合を含む。この場合、Rは、前述したRで例示した有機基のいずれかとすることができる。
また、式(15)で示した構造には、上記式(9)に示す構造が含まれていてもよい。この場合には、式(15)のRおよびRが、式(9)に示したRと同一の基なる。
さらに、式(15)で示した構造には、式(12)において二つのカルボキシル基がエステル化した構造が含まれていてもよい。この場合には、RおよびRは、いずれも本加熱工程(処理S5)で使用するアルコールに由来のものであり、前述したRで例示した有機基のいずれかとすることができる。
これにより、共重合体4を主生成物とする生成物(ポリマー)を得ることができる。
この共重合体4においても、共重合体3と同様、ノルボルネン型モノマー由来の構造体と、無水マレイン酸モノマー由来の構造体とが交互に配置された構造であることが好ましい。そして、共重合体4は、前述した式(13)、(14)に加えて式(16)で示される構造体を有することが好ましい。
式(16)において、n、R〜Rは、上記式(1)と同じである。すなわち、nは0、1、2のいずれかである。R〜Rは、水素または炭素数1〜30の有機基である。R〜Rは、同一のものであっても異なっていてもよい。Xは、−O―Rおよび−O−Rのうちのいずれか一方を示し、Yは、いずれか他方を示す。R、Rは、上記式(15)と同様である。
以上の工程を経ることにより、上記式(1)に示す本実施形態に係るポリマーが得られることとなる。
(架橋剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、架橋剤を含む。
本実施形態に係る架橋剤は、式(1)で示されるポリマー中のカルボキシル基および/または酸無水物基と反応して架橋構造を形成する反応基を有していることが好ましい。また、架橋剤は、環状エーテル基を有することが好ましい。環状エーテル基を有する架橋剤としては、グリシジル基あるいはオキセタニル基を有する化合物が好ましい。樹脂膜を硬化することよってこの架橋剤がポリマー中のカルボキシル基および/または酸無水物基と反応することにより、感光性樹脂組成物で構成される硬化膜のガラス転移温度を高めることができる。
グリシジル基を有する化合物としては、たとえば、エポキシ化合物があげられる。エポキシ化合物により、効率よく均質な架橋系を形成できるため、感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の引張強さと引張伸度が向上する。
エポキシ化合物としては、たとえば、ビスフェノールAエポキシ樹脂(たとえば、LX−1、ダイソーケミカル株式会社)、2,2'−((((1−(4−(2−(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)プロパン−2−イル)フェニル)エタン−1,1−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(たとえば、Techmore、VG3101L、株式会社プリンテック)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(たとえば、TMPTGE、CVCスペシャリティーケミカルズ社)、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−(オキシラン−2−イル・メトキシ)プロピル)トリ・シロキサン(たとえば、DMS−E09、ゲレスト社)およびジシクロペンタジエンジメタノールジグリシジルエーテル(たとえば、アデカレジンEP−4088L、株式会社ADEKA)を挙げることができる。これらの構造を以下に示す。その他、アラルダイトMT0163およびアラルダイトCY179(チバガイギー社)、EHPE−3150、およびEpolite GT300(ダイセル化学工業株式会社)等を挙げることができる。以上のうち、いずれか1種以上を使用できる。なお、ここでの例示に限定されない。

ここで、n1の平均値は、0以上3以下の正数である。
これらの中でも、より効率的な架橋構造を形成し感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の機械的特性を向上させる観点から、2,2'−((((1−(4−(2−(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)プロパン−2−イル)フェニル)エタン−1,1−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(たとえば、Techmore、VG3101L、株式会社プリンテック)が好ましい。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、たとえば、以下のいずれかを使用することができる。
例えば1,4−ビス{[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
(反応性二重結合を有する化合物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、反応性二重結合を有する化合物を含む。
本実施形態に係る反応性二重結合を有する化合物は、光照射時に感光剤から発生するラジカルにより重合する。そのため、感光性樹脂組成物かならなる樹脂膜の光照射した部分が現像液に溶解しにくくなり、PEB工程を経ることなく、パターニングが可能となる。
より効率的に樹脂膜の架橋を形成し、現像液への耐性を向上できる点で、反応性二重結合は少なくとも2以上であることが好ましい。
反応性二重結合を有する化合物の反応性二重結合は、(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜中に(メタ)アクリル骨格を導入することができ、樹脂膜を熱硬化した硬化膜の光透過性を確保することができる。また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を使用することで、感光性樹脂組成物で構成される硬化膜に柔軟性を付与し、引張伸度を向上させる効果がある。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、2官能、もしくは多官能であることが好ましい。
反応性二重結合を有する化合物として、(メタ)アクリロイル基を有する環状構造を備える多官能(メタ)アクリレート、5個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜を露光した際に、高密度な架橋が形成され、現像時のパターニング性と感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の機械特性を向上させる効果がある。
(メタ)アクリロイル基を有する環状構造を備える多官能(メタ)アクリレートは、窒素上の置換基が(メタ)アクリロイル基であるイソシアヌレート環構造を備えることができる。これにより感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の絶縁信頼性を向上させる効果がある。
このような多官能(メタ)アクリレートは、例えば、下記一般式(17)で表される化合物を含むことができる。
(17)
上記式(17)中、R8、R9、R10はそれぞれ独立に水素原子または芳香環を有さない有機基であり、R8、R9、R10のうち少なくとも2つは(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基である。R8、R9、R10の有機基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ラクトン変性(メタ)アクリロイル基、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、ラクトン変性(メタ)アクリロイル基がより好ましく、(メタ)アクリル基が特に好ましい。R8、R9、R10のうち少なくとも2つは(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基であり、R8、R9、R10のいずれも(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基であることが好ましい。
また、上記多官能(メタ)アクリレートとして、例えば、R8、R9、Rのいずれも(メタ)アクリル基を有し芳香環を有さない有機基である3官能(メタ)アクリレートを用いることができる。
このようなイソシアヌレート環の窒素上の置換基に(メタ)アクリル基を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、ジ(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトン変性トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが例示されるが、これに限定されず、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートやイソシアヌル酸と(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ハライドの縮合反応で(メタ)アクリル基を導入した化合物、2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートの水酸基とポリアルキレングリコール、ポリエステルグリコールを反応させた化合物の末端に(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリル酸ハライドの縮合反応で(メタ)アクリル基を導入した化合物等が挙げられる。
具体的には、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ε−カプロラクトン変性トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジ(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを用いることができる。好ましくは、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)、ε−カプロラクトン変性トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートを用いることができる。
これらの中でも、感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の絶縁信頼性の向上と透明性の観点から、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート)が好ましい
5個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、テトラペンタエリスリトールデカアクリレート、テトラペンタエリスリトールノナアクリレート、NKエステル A−9550(新中村化学工業株式会社製)等が挙げられる。
これらの中でも、現像液溶解性をと向上させる観点から、NKエステル A−9550(新中村化学工業株式会社製)が好ましい。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物として、上記に加え、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエトキシ化テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートを使用することができる。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
(感光剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、感光剤を含む。
本実施形態に係る感光剤は、反応性二重結合を有する化合物を重合させる感光剤を用いることができる。
感光剤は、紫外線等の活性光線の照射によりラジカルを発生することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜中の反応性二重結合を有する化合物がラジカル重合し、光照射した部分が現像液に溶解しにくくなり、PEB工程を経ることなくパターンが形成される。
感光剤としては、アルキルフェノン型の開始剤、オキシムエステル型の開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型の開始剤等が挙げられる。
例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム))、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(4−モルホリノ)フェニル)−2−(フェニルメチル)−1−ブタノン、Irgacure Oxe04(BASFジャパン株式会社)、N−1919(株式会社ADEKA)、NCI−831(株式会社ADEKA)、 NCI−930(株式会社ADEKA)等を挙げることができる。これらのうちいずれか1種以上を使用できる。
これらの中でも、より露光感度の優れた感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜を作製する観点から、NCI−930が好ましい。
以上の本実施形態の感光性樹脂組成物において、各成分の割合はたとえば、以下の通りある。
感光性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、前述した式(1)で示されるポリマーを、30質量%以上70質量%以下含有することが好ましく、なかでも、40質量%以上55質量%以下含有することが好ましい。
これにより、感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜の露光・現像時の未露光部の現像液溶解性を向上できる。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき架橋剤を、5質量%以上30質量%以下含有することが好ましく、なかでも、10質量%以上20質量%以下含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の透明性と引張伸度を両立させる効果がある。
また、本実施形態の感光性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき反応性二重結合を有する化合物を、20質量%以上60質量%以下含有することが好ましく、なかでも、25質量%以上45質量%以下含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物と溶媒からなるワニスのスピンコートおよびスリットコートでの塗布性が向上する。
さらには、本実施形態の感光性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、感光剤は、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.2質量%以上3質量%以下である。これにより、感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜の露光・現像時の微細パターンの形成が可能になる。
(界面活性剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含むことが好ましい。界面活性剤を含むことにより、均一な樹脂膜そして硬化膜を得ることができる。また、現像時の残渣やパターン浮き上がりを抑制できる。界面活性剤は、たとえば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキル系界面活性剤、およびアクリル系界面活性剤等が挙げられる。
界面活性剤は、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含む界面活性剤を含むことが好ましい。これにより、均一な樹脂膜を得られること(塗布性の向上)や、現像性の向上に加え、接着強度の向上にも寄与する。このような界面活性剤としては、例えば、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤として使用可能な市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F−251、F−253、F−281、F−430、F−477、F−551、F−552、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−560、F−561、F−562、F−563、F−565、F−568、F−569、F−570、F−572、F−574、F−575、F−576、R−40、R−40−LM、R−41、R−94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、0.05質量%以上5質量%以下、好ましくは0.1質量%以上1質量%以下である。
(密着助剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、密着助剤を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の密着性を一層向上させることができる。
密着助剤は、とくに限定されないが、たとえばアミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、またはスルフィドシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミノシランとしては、たとえばビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN−フェニル−γ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシシランとしては、たとえばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。アクリルシランとしては、たとえばγ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、またはγ−(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。メルカプトシランとしては、たとえば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ビニルシランとしては、たとえばビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、またはビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。ウレイドシランとしては、たとえば3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。スルフィドシランとしては、たとえばビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、またはビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
これらの中でも、基板との密着を向上させる観点から、エポキシシラン化合物(すなわち、1分子中に、エポキシ部位と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)を用いることがより好ましい
密着助剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
また、前述した本実施形態の感光性樹脂組成物中には、必要に応じて酸化防止剤等の添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤の群から選択される1種以上を使用できる。酸化防止剤は、硬化の際の酸化、およびその後のプロセスにおける膜の酸化を抑えることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−4―メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4―エチルフェノール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル−6−ブチルフェノール)、2,−2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−エチリデンビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−t−ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−t−ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4−8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−ビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2'−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2'―メチレンビス(4−エチルー6−t−ブチルフェノール)、2,2'―メチレンビス(6−(1−メチルシクロヘキシル)―4−メチルフェノール)、4,4'―ブチリデンビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス(2−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシー5−メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1―ジメチルエチル)―2,4,8,10―テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4'−チオビス(3−メチルー6−t−ブチルフェノール)、4,4'―ビス(3,5―ジーt−ブチルー4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4'―チオビス(6−t−ブチルー2−メチルフェノール)、2,5−ジーt−ブチルヒドロキノン、2,5−ジーt−アミルヒドロキノン、2−t−ブチルー6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシー5−メチルベンジル)―4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジメチルー6−(1−メチルシクロヘキシル)スチレネイティッドフェノール、2,4−ビス((オクチルチオ)メチル)−5−メチルフェノール、などが挙げられる。これらの中では、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、ビス−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4−ジーt−ブチルー5−メチルフェニル)―4,4'―ビフェニレンジホスホナイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ビス−(2,6−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ−ノニルフェニルホスファイト)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−オクタデシルオキシカルボニルエチル−フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。これらの中では、ホスファイトおよびホスフェートが好ましい。
チオエーテル系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3'−チオジプロピオネート、ビス(2−メチルー4−(3−n−ドデシル)チオプロピオニルオキシ)―5−t−ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、0.1質量%以上5質量%以下とすることができる。
以上の本実施形態の感光性樹脂組成物は溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、N−メチルピロリドン(NMP)、メチルn−アミルケトン(MAK)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、又は、これらの混合物を採用することができる。なお、ここで例示したものに限定されない。
本実施形態の感光性樹脂組成物を溶媒に溶解して感光性樹脂組成物溶液として使用する場合は、感光性樹脂組成物溶液をスピンコートやスリットコートにより、ガラス基板上(またはシリコンウエハ)に塗布し、ホットプレート(または乾燥機)で乾燥し、厚み1μm以上10μm以下の樹脂膜を形成する。ここで乾燥条件は70℃以上120℃以下、30秒以上5分以下の条件で行うことができる。
続いてUV露光機で樹脂膜を露光後、PEB工程を経ずに、現像液により現像する。ここで、露光照射量は、50mJ/cm2以上300mJ/cm2以下の条件で行うことができる。また、現像液として、アルカリ水溶液であればよいが、具体的には炭酸ナトリウム水溶液またはTMAH水溶液を使用することができる。
さらに、乾燥機により樹脂膜を硬化し硬化膜を得る。ここで硬化条件は200℃以上300℃以下、15分以上90分以下の条件で行うことができる。これにより、硬化膜の透明性を向上することができる。なお、乾燥機の雰囲気は大気あるいは窒素であることが好ましい。
以上により、本実施形態の感光性樹脂組成物をパターニングした硬化膜を得ることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜はPEB工程が不要なため、生産性を向上することができる。
次に、本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の特性について説明する。
本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される硬化膜のガラス転移温度は、例えば、150℃以上300℃以下であり、好ましくは175℃以上250℃以下であり、より好ましくは200℃以上240℃以下である。ガラス転移温度を上記下限値以上とすることにより、耐熱性を向上させることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の、室温25℃から70℃の範囲における平均線膨張係数は、例えば、120ppm/℃以下であり、好ましくは110ppm/℃以下であり、より好ましくは95ppm/℃以下である。これにより、室温近傍の環境下における寸法安定性を向上させることができる。なお、室温25℃から70℃の範囲における平均線膨張係数の下限値は、特に限定されないが50ppm/℃以上としてもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の、30℃における引張弾性率は、例えば、0.5GPa以上10GPa以下であり、好ましくは1GPa以上5GPaであり、より好ましくは1.5GPa以上4.0GPa以下である。引張弾性率を上記範囲内とすることにより、硬化膜の機械的強度を向上させることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の、30℃における引張強さは、例えば、30MPa以上150MPa以下であり、好ましくは50MPa以上125MPaであり、より好ましくは70MPa以上120MPa以下である。引張強さを上記範囲内とすることにより、硬化膜の強靭性を向上させることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の、30℃における引張伸度は、例えば、1%以上30%以下であり、好ましくは3%以上25%であり、より好ましくは5%以上22%以下である。引張伸度を上記範囲内とすることにより、硬化膜の耐クラック性を向上させることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物で構成される硬化膜の、波長400nmにおける光透過率は、例えば、80%以上%であり、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。光透過率を上記下限値以上とすることにより、液晶装置等の明るさを向上させることができる。
本実施形態では、たとえば感光性樹脂組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、感光性樹脂組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記特性を制御することが可能である。これらの中でも、たとえば、一般式(1)で示されるポリマーと、このポリマーと架橋する架橋剤と、反応性二重結合を有する化合物との配合量を適切に選択すること等が、上記特性を所望の数値範囲とするための要素として挙げられる。
(電子装置)
次に、以上のような感光性樹脂組成物を使用した電子装置100の構成について説明する。
図1および図2は、それぞれ本実施形態に係る電子装置100の一例を示す断面図である。いずれにおいても、電子装置100のうちの絶縁膜20を含む一部が示されている。
本実施形態に係る電子装置100は、たとえば上記感光性樹脂組成物により形成される硬化膜である絶縁膜20を備えている。
本実施形態に係る電子装置100の一例として、図1では液晶表示装置が示されている。しかしながら、本実施形態に係る電子装置100は、液晶表示装置に限定されず、感光性樹脂組成物からなる硬化膜を備える他の電子装置を含むものである。
図1に示すように、液晶表示装置である電子装置100は、たとえば基板10と、基板10上に設けられたトランジスタ30と、トランジスタ30を覆うように基板10上に設けられた絶縁膜20と、絶縁膜20上に設けられた配線40と、を備えている。
基板10は、たとえばガラス基板である。
トランジスタ30は、たとえば液晶表示装置のスイッチング素子を構成する薄膜トランジスタである。基板10上には、たとえば複数のトランジスタ30がアレイ状に配列されている。本実施形態に係るトランジスタ30は、たとえばゲート電極31と、ソース電極32と、ドレイン電極33と、ゲート絶縁膜34と、半導体層35と、により構成される。ゲート電極31は、たとえば基板10上に設けられている。ゲート絶縁膜34は、ゲート電極31を覆うように基板10上に設けられる。半導体層35は、ゲート絶縁膜34上に設けられている。また、半導体層35は、たとえばシリコン層である。ソース電極32は、一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。ドレイン電極33は、ソース電極32と離間し、かつ一部が半導体層35と接触するよう基板10上に設けられる。
絶縁膜20は、トランジスタ30等に起因する段差をなくし、基板10上に平坦な表面を形成するための平坦化膜として機能する。また、絶縁膜20は、上記感光性樹脂組成物の硬化物により構成される。この絶縁膜20は透明性と耐熱性が要求されており、本実施形態の感光性樹脂組成物が好適に用いられる。
絶縁膜20には、ドレイン電極33に接続するよう絶縁膜20を貫通する開口22が設けられている。絶縁膜20上および開口22内には、ドレイン電極33と接続する配線40が形成されている。配線40は、液晶とともに画素を構成する画素電極として機能する。
また、絶縁膜20上には、配線40を覆うように配向膜90が設けられている。
基板10のうちトランジスタ30が設けられている一面の上方には、基板10と対向するよう対向基板12が配置される。対向基板12のうち基板10と対向する一面には、配線42が設けられている。配線42は、配線40と対向する位置に設けられる。また、対向基板12の上記一面上には、配線42を覆うように配向膜92が設けられている。
基板10と当該対向基板12との間には、液晶層14を構成する液晶が充填される。
図1に示す電子装置100は、たとえば次のように形成される。
まず、基板10上にトランジスタ30を形成する。次いで、基板10のうちトランジスタ30が設けられた一面上に、印刷法あるいはスピンコート法により上記感光性樹脂組成物を塗布し、トランジスタ30を覆う絶縁膜20を形成する。これにより、基板10上に設けられたトランジスタ30を覆う平坦化膜が形成される。
次いで、絶縁膜20を紫外線等を露光し、現像して、絶縁膜20の一部に開口22を形成する。感光性樹脂組成物はネガ型であるため、未露光部分が現像液に溶解し、露光部分が残ることとなる。この点は、後述する電子装置100の各例においても同様である。
次いで、絶縁膜20を加熱硬化させる。そして、絶縁膜20の開口22内に、ドレイン電極33に接続された配線40を形成する。その後、絶縁膜20上に対向基板12を配置し、対向基板12と絶縁膜20との間に液晶を充填し、液晶層14を形成する。
これにより、図1に示す電子装置100が形成されることとなる。
また、本実施形態に係る電子装置100の一例として、図2では上記感光性樹脂組成物からなる硬化膜により絶縁膜52,54が構成される半導体装置が示されている。
図2に示す電子装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層と、を備えている(図示せず)。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜である絶縁膜50と、絶縁膜50上に設けられた最上層配線72が設けられている。最上層配線72は、たとえばAlにより構成される。
また、絶縁膜50上には、層80が設けられている。層80は、最上層配線72を覆うように絶縁膜50上に設けられた絶縁膜52と、絶縁膜52上に設けられた再配線層70と、絶縁膜52上および再配線層70上に設けられた絶縁膜54と、を有する。
絶縁膜52には、最上層配線72に接続する開口24が形成されている。再配線層70は、絶縁膜52上および開口24内に形成され、最上層配線72に接続されている。絶縁膜54には、再配線層70に接続する開口26が設けられている。
これらの絶縁膜52および絶縁膜54は、上記感光性樹脂組成物からなる硬化膜により構成される。絶縁膜52は、たとえば絶縁膜50上に塗布された上記感光性樹脂組成物に対し紫外線を露光し、現像を行うことにより開口24を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。また、絶縁膜54は、たとえば絶縁膜52上に塗布された上記感光性樹脂組成物に対し紫外線を露光し、現像を行うことにより開口26を形成した後、これを加熱硬化することにより得られる。
開口26内には、たとえばバンプ74が形成される。電子装置100は、たとえばバンプ74を介して配線基板等に接続されることとなる。
さらに、本実施形態に係る電子装置100は、上記感光性樹脂組成物からなる硬化膜によりマイクロレンズを構成する光デバイスであってもよい。光デバイスとしては、たとえば液晶表示装置、プラズマディスプレイ、電界放出型ディスプレイまたはエレクトロルミネセンスディスプレイが挙げられる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。
(合成例1)
撹拌機、冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(MA,122.4g、1.25mol)、2-ノルボルネン(NB,117.6g、1.25mol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(11.5g、50.0mmol)を計量し、メチルエチルケトン(MEK,150.8g)およびトルエン(77.7g)に溶解させた。この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃、16時間、加熱した。その後、この溶解液に対して、MEK(320g)を加えた後、これを、水酸化ナトリウム(12.5g、0.31mol),ブタノール(463.1g、6.25mol),トルエン(480g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88質量%水溶液,49.0g、0.94mol)で処理してプロトン付加し、その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、メタノール,ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにPGMEAを添加し、系内のメタノール及びブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、20重量%のポリマー溶液1107.7gを得た(GPC Mw=13,700、Mn=7,400)。得られたポリマーは、式(1)の共重合体であり、式(2a)により示される構造単位、および式(2c)により示される構造単位を含んでいる。
(実施例1)
合成例1で得られたポリマーの39.9%PGMEA溶液を136質量%(ポリマー固形分54.3質量%)、エポキシ樹脂VG3101L(プリンテック社製)13.6質量%、アクリル樹脂A9550(新中村化学工業(株)社製)27.2質量%、光ラジカル発生剤NCI−930((株)ADEKA社製)1.6質量%、感光性樹脂組成物と基板との密着性を改善するためにKBM−403E(信越化学工業(株)社製)を2.7質量%、感光性樹脂組成物を回転塗布する際の塗布性均一性を向上させるためにF−556(DIC(株)製)0.5質量%を適量のPGMEAに溶解させて攪拌した後、0.1μmのフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物を調製した。
(実施例2〜7および比較例1)
原料を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を得た。実施例1〜7および比較例1で得られた感光性樹脂組成物に関して、以下の評価を行なった。評価結果を表1に示す。
なお、実施例2〜7および比較例1の原料の詳細は以下の通りである。
エポキシ樹脂EP−4088L:(株)ADEKA社製
エポキシ樹脂LX01:ダイソー(株)社製
アクリル樹脂A9330:新中村化学工業(株)社製
<加工性(パターニング性)の評価>
感光性樹脂組成物をシリコンウェハ上にスピンコートにより乾燥後膜厚が3μmになるように塗布し、80℃で120秒間乾燥し、感光性樹脂膜を得た。続いて、感光性樹脂膜に対して、i線ステッパーで300mJ/cmでパターン露光をした。その後、PEB工程を経ずに炭酸ナトリウム5分間ディップ現像することによって未露光部の溶解除去を行った。
Line/Space=100μm/100μmのパターンが形成されたものを○、パターンが形成されず露光部が全溶解したものを×とした。
<透過率の評価>
感光性樹脂組成物を縦100mm、横100mmサイズのEagle XGガラス(コーニング社製)基板上に回転塗布し、80℃、120秒間ホットプレートにてベークし、約3μm厚の薄膜を得た。
この薄膜に露光機HMW201GX (株式会社オーク製作所製)にて300mJ/cm全面露光した後、オーブン中で230℃、30分間空気下で加熱することによりポストベーク処理を行い、硬化膜を得た。この硬化膜について光の波長400nmにおける透過率(%)を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定した。
<硬化膜の作製>
(1)感光性樹脂組成物を、シリコンウェハ上に、スピンコートによって乾燥後膜厚が10μmになるように塗布し、80℃で120秒間乾燥して感光性樹脂膜を形成した。
(2)上記(1)で得られた感光性樹脂膜に対して、露光機HMW201GXを用いて、300mJ/cmで全面露光した。
(3)上記(2)の後、230℃で30分、空気下で硬化させ、評価用の硬化膜を得た。
<引張伸度の測定>
上記で得られた評価用の硬化膜からサンプルを切り出し、膜厚10μm、幅6.5mm、サンプルを固定するチャック間距離20mmの測定サンプルについてテンシロン万能材料測定機RTA−100((株)エー・アンド・デイ)により、100Nのロードセルを用いて、引張速さ5mm/分の条件で測定した。
各実施例、7サンプルを測定し、その平均値を表1に示す。
<熱膨張率(CTE)とガラス転移温度の評価>
上記で得た硬化膜から、幅4mm、測定長10mmのサンプルを得た。
これを、熱機械分析装置SS6000((株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて、引張30Nの条件で測定した。昇温・降温条件は以下のようにした。
1回目:10℃/分の条件で30℃から130℃に昇温後、10℃/分の条件で10℃に降温し、10℃で15分間保持した。
2回目:5℃/分の条件で10℃から250に昇温した
上記2回目の、50℃から100℃の領域で得られたデータを解析し、熱膨張率(ppm/K)を求め、表1に示す。
また、上記の熱膨張率の測定データを解析し、熱膨張率の変曲点からガラス転移温度を求め、表1に示す。
実施例1〜7では、いずれも、PEB工程を経ずともパターニング性が良好で、膜物性と透過性に優れる硬化膜を得ることができた。
これに対し、アクリル樹脂を使用していない比較例1では、現像時に露光部が全溶解してしまい、パターンの形成ができなかった。
なお、実施例2および5は、明確なガラス転移温度を測定することができなかった。
10 基板
12 対向基板
14 液晶層
20、50、52、54 絶縁膜
22、24、26 開口
30 トランジスタ
31 ゲート電極
32 ソース電極
33 ドレイン電極
34 ゲート絶縁膜
35 半導体層
40、42 配線
70 再配線層
72 最上層配線
74 バンプ
80 層
90、92 配向膜
100 電子装置

Claims (9)

  1. 下記式(1)で示されるポリマーと、
    架橋剤と、
    反応性二重結合を有する化合物と、
    感光剤とを含む感光性樹脂組成物。

    (式(1)中、lおよびmはポリマー中におけるモル含有率を示し、l+m=1であり、nは0、1または2である。R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜30の有機基であり、Aは下記式(2a)、(2b)、(2c)または(2d)により示される構造単位である)

    (式(2a)および式(2b)中、R5、R6およびR7は、それぞれ独立して炭素数1〜18の有機基である)
  2. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記ポリマーは、式(2a)で示される構造単位を有し、
    前記架橋剤は、環状エーテル基を有する感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記架橋剤は、エポキシ化合物である感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記反応性二重結合を有する化合物は、少なくとも2以上の反応性二重結合を有する化合物である感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    前記反応性二重結合を有する化合物の反応性二重結合が(メタ)アクリロイル基である感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物において、
    樹脂組成物の全固形分(すなわち、溶媒を除く成分)を100質量%としたとき、前記反応性二重結合を有する化合物の含有量が、20質量%以上60質量%以下である感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の感光性組成物において、
    前記感光剤は、光ラジカル開始剤である感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物と、溶剤とを含む、感光性樹脂組成物溶液。
  9. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物の硬化膜を備える電子装置。
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