JP6720480B2 - ポリマー、感光性樹脂組成物、樹脂膜および電子装置 - Google Patents
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Description
ここで、パターン寸法のずれを引き起こす要因の一つとしては、たとえば感光性樹脂組成物における耐熱性の不足が想定される。感光性樹脂組成物により形成したパターン膜を高温処理し永久膜とする際、耐熱性が不十分であると硬化反応が進行する前にパターンがフローしてしまい、ホール径やテーパー角の寸法精度に影響を及ぼすと考えられる。
一方で、たとえば感光性樹脂組成物の硬化度を向上させることにより、プロセス溶剤やレジスト剥離液等の薬液との接触に対する薬液耐性を向上できるものと考えられる。
しかし、本発明者らの検討によれば、耐熱性を向上させるために感光性樹脂組成物を構成するポリマーの構造中にノルボルネン等の脂環式構造を導入すると、得られる感光性樹脂組成物の耐熱性は向上するものの、今度は硬化度が低下し、薬液耐性が劣化してしまうことが明らかになった。
すなわち、本発明者らの検討によれば、従来の感光性樹脂組成物において、耐熱性および硬化度との間にはトレードオフの関係があり、これらの特性をバランス良く向上させることは困難であることが明らかになった。
少なくとも以下の式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、をラジカル重合して得られるポリマーであって、
前記式(1)により示される前記モノマー(A)が、
前記式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 のうちの少なくとも一つがカルボキシル基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A1)と、
前記式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 のうちの少なくとも一つがオキセタン基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A2)と、を含む、ポリマーが提供される。
(式(1)中、nは0、1または2であり、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜10の有機基である)
また、本発明によれば、
少なくとも以下の式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、以下の式(2)により示されるモノマー(C)と、をラジカル重合して得られるポリマーであって、
前記式(1)により示される前記モノマー(A)が、前記式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 のうちの少なくとも一つがカルボキシル基、エポキシ環、またはオキセタン環を有する有機基であり、他が水素であるモノマーを含み、
前記式(2)により示される前記モノマー(C)が、
前記式(2)中のR5が炭素数3〜8のシクロアルキル基であるモノマー(C1)と、
前記式(2)中のR5が水素であるモノマー(C2)をさらに含む、ポリマーが提供される。
(式(1)中、nは0、1または2であり、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜10の有機基である)
(式(2)中、R5は、水素または炭素数1〜12の有機基である)
以下の条件により測定される膨潤率が10%未満である感光性樹脂組成物が提供される。
<条件>
前記感光性樹脂組成物を90℃、200秒の条件でプリベークして得られる樹脂膜に対し、23℃の0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間現像処理を行った後、純水でリンスする。次いで、前記樹脂膜に対し、g+h+i線を300mJ/cm 2 で全面露光を行った後、220℃、45分間で加熱処理を行う。次いで、前記樹脂膜を70℃のモノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(=7:3)の混合液中に2分間浸漬する。このとき、前記樹脂膜の、前記加熱処理後における膜厚を第1膜厚とし、前記混合液への浸漬後における膜厚を第2膜厚として、
[(第2膜厚−第1膜厚)/(第1膜厚)]×100(%)を膨潤率とする。
また、本発明によれば、
少なくとも以下の式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、をラジカル重合して得られるポリマーを含む感光性樹脂組成物であって、
以下の条件により測定されるリカバー率が97%以上103%以下である感光性樹脂組成物が提供される。
<条件>
前記感光性樹脂組成物を90℃、200秒の条件でプリベークして得られる樹脂膜に対し、23℃の0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間現像処理を行った後、純水でリンスする。次いで、前記樹脂膜に対し、g+h+i線を300mJ/cm 2 で全面露光を行った後、220℃、45分間で第1加熱処理を行う。次いで、前記樹脂膜を70℃のモノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(=7:3)の混合液中に2分間浸漬する。次いで、前記樹脂膜に対し220℃、15分間で第2加熱処理を行う。このとき、前記樹脂膜の、前記第1加熱処理後における膜厚を第1膜厚とし、前記第2加熱処理後における膜厚を第3膜厚として、
[(第3膜厚)/(第1膜厚)]×100(%)をリカバー率とする。
上述の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜が提供される。
上述の樹脂膜を備える電子装置が提供される。
ここで、パターン寸法のずれを引き起こす要因の一つとしては、たとえば感光性樹脂組成物における耐熱性の不足が想定される。感光性樹脂組成物により形成したパターン膜を高温処理し永久膜とする際、耐熱性が不十分であると硬化反応が進行する前にパターンがフローしてしまい、ホール径やテーパー角の寸法精度に影響を及ぼすと考えられる。
一方で、たとえば感光性樹脂組成物の硬化度を向上させることにより、プロセス溶剤やレジスト剥離液等の薬液との接触に対する薬液耐性を向上できるものと考えられる。
しかし、本発明者らの検討によれば、耐熱性を向上させるために感光性樹脂組成物を構成するポリマーの構造中にノルボルネン等の脂環式構造を導入すると、得られる感光性樹脂組成物の耐熱性は向上するものの、今度は硬化度が低下し、薬液耐性が劣化してしまうことが明らかになった。
すなわち、本発明者らの検討によれば、従来の感光性樹脂組成物において、耐熱性および硬化度との間にはトレードオフの関係があり、これらの特性をバランス良く向上させることは困難であることが明らかになった。
本発明者は上記事情に鑑み、新たなポリマーを鋭意検討した。その結果、本発明者は、少なくとも上記式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、をラジカル重合して得られる第1ポリマーを新規に開発するに至った。本発明者はこのような第1ポリマーを用いることにより、感光性樹脂組成物の透明性、耐熱性、薬液耐性とのバランスが向上し、より高度かつ安定的なパターニングを実現できることを知見した。
なお、薬液耐性とは、永久膜の作製プロセスにおいて使用され得る種々の薬液に対する耐性を指す。
したがって、本実施形態によれば、高い透明性を有しながら、高度なパターニング寸法精度と薬液耐性のバランスに優れた樹脂膜を実現させることが可能な、ポリマーおよび感光性樹脂組成物を実現することが可能となる。
まず、第1ポリマーについて説明する。
本実施形態に係る第1ポリマーは、前述したとおり、少なくとも以下の式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、をラジカル重合して得られる。
本実施形態に係る第1ポリマーは、上記式(1)により示されるモノマー(A)由来の構造単位を含んでいる。これにより、プロセスマージンや薬液耐性、リワーク特性、透明性等のバランスをより効果的に向上させることができる。なお、プロセスマージンは、リソグラフィ工程における現像マージン等を含む、永久膜の作製プロセス全体におけるプロセスパラメータの変動に対する許容範囲を指す。
アルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、およびデシル基が挙げられる。アルケニル基としては、たとえばアリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。アルキニル基としては、エチニル基が挙げられる。アルキリデン基としては、たとえばメチリデン基、およびエチリデン基が挙げられる。アリール基としては、たとえばフェニル基、およびナフチル基が挙げられる。アラルキル基としては、たとえばベンジル基、およびフェネチル基が挙げられる。アルカリル基としては、たとえばトリル基、キシリル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、たとえばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。なお、R1、R2、R3およびR4を構成する有機基は、一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。
本実施形態に係る第1ポリマーは、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)由来の構造単位を含んでいる。これにより、プロセスマージンや薬液耐性、リワーク特性、透明性等のバランスをより効果的に向上させることができる。
モノマー(B)としては、たとえば、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、および(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレート等から選択される一種または二種以上を挙げることができる。
第1ポリマーは、たとえば、以下の式(2)により示されるモノマー(C)由来の構造単位をさらに含むことができる。すなわち、第1ポリマーは、少なくとも上記モノマー(A)と、上記モノマー(B)と、以下の式(2)により示されるモノマー(C)と、をラジカル重合して得てもよい。
これにより、耐熱性、透明性、低誘電率、低複屈折、薬液耐性およびはっ水性等の永久膜としての樹脂膜に求められる諸特性のバランスを向上させることができる。一方で、第1ポリマーは、モノマー(C)由来の構造単位を含まなくともよい。
本発明者の検討によれば、モノマー(A)とモノマー(B)とは反応速度が大きく異なるため、モノマー(A)およびモノマー(B)との混合物を重合開始剤の存在下で加熱するだけでは、モノマー(A)およびモノマー(B)をラジカル重合することができないことが明らかになった。
そこで、本発明者は上記事情に鑑み、モノマー(A)およびモノマー(B)とのラジカル重合の手法について鋭意検討した。その結果、本実施形態に係る第1ポリマーを合成するためには、モノマー(A)および重合開始剤を含む混合溶液にモノマー(B)を連続的または断続的に添加しながら加熱することが重要であることを見出した。これによりモノマー(A)およびモノマー(B)をラジカル重合させることが可能となり、本実施形態に係る第1ポリマーを得ることができる。
以下、本実施形態に係る第1ポリマーの製造方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る第1ポリマーの製造方法は、以下の例に限定されない。
まず、モノマー(A)と、モノマー(B)と、を用意する。また、必要に応じて、モノマー(C)を用意する。
次いで、反応容器内に、モノマー(A)、必要に応じてモノマー(C)を計量する。さらに、重合開始剤を溶解させた溶媒を反応容器内に加え、各モノマーを溶媒に撹拌・溶解させる。次いで、反応容器を密閉し、所定時間加熱することによりラジカル重合を行う。このとき、モノマー(B)と溶媒の混合液を反応容器内に連続的または断続的に添加する。すなわち、モノマー(B)を反応容器内に逐添加する。
ここで、加熱温度は、たとえば50℃〜90℃とすることができる。また、加熱時間は、たとえば1時間〜20時間とすることができる。なお、窒素バブリングにより溶媒中の溶存酸素を除去したうえで、ラジカル重合を行うことがより好ましい。
そして、モノマー(B)の添加が終了した後、さらに所定時間加熱させ、ラジカル重合をさらに進めてもよい。このとき、加熱温度は、たとえば50℃〜90℃とすることができる。また、加熱時間は、たとえば1時間〜10時間とすることができる。
また、必要に応じて分子量調整剤や連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、たとえば、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、4,4−ビス(トリフルオロメチル)−4−ヒドロキシ−1−メルカプトブタン等のチオール化合物を挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1ポリマーの数平均分子量Mnは、好ましくは1,500以上30,000以下であり、より好ましくは2,000以上20,000以下である。
第1ポリマーの分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、好ましくは1.2以上10以下であり、より好ましくは1.5以上7.0以下である。
これにより、プロセスマージンや薬液耐性、リワーク特性、透明性等のバランスをより効果的に向上させることができる。
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK−GEL Supermultipore HZ−M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
感光性樹脂組成物は、たとえば、永久膜を形成するために用いられる。
上記永久膜は、感光性樹脂組成物を硬化させることにより得られる樹脂膜により構成される。本実施形態においては、たとえば、感光性樹脂組成物により構成される塗膜を露光および現像により所望の形状にパターニングした後、当該塗膜を熱処理等によって硬化させることにより永久膜が形成される。
また、感光性樹脂組成物の永久膜以外の用途としては、エッチングレジスト等のフォトレジスト、MEMS等の微細加工用途等が挙げられる。
表面保護膜は、電子部品や電子装置の表面に形成され、当該表面を保護するための絶縁膜を指し、その種類はとくに限定されない。このような表面保護膜としては、たとえば半導体素子上に設けられるパッシベーション膜、バンプ保護膜もしくはバッファーコート層、またはフレキシブル基板上に設けられるカバーコートが挙げられる。また、ダム材は、基板上に光学素子等を配置するための中空部分を形成するために用いられるスペーサである。
第1ポリマーとしては、上記において例示したものを使用することができる。本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、上記において例示した第1ポリマーのうちの一種または二種以上を含むことが可能である。本実施形態において、感光性樹脂組成物中における第1ポリマーの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対して20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の硬化性や機械特性をより効果的に向上させることができる。また、プロセスマージンと薬液耐性のバランス向上に寄与することもできる。一方で、感光性樹脂組成物中における第1ポリマーの含有量は、感光性樹脂組成物の固形分全体に対して90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがよりに好ましい。これにより、リソグラフィにおける解像性の向上を図ることができる。なお、本明細書において、感光性樹脂組成物の固形分とは、感光性樹脂組成物中に含まれる、溶媒を除く成分を指す。
感光剤としては、たとえばジアゾキノン化合物を有することができる。感光剤として用いられるジアゾキノン化合物は、たとえば以下に例示するものを含む。
なお、本実施形態における感光性樹脂組成物は、上記において例示したエポキシ化合物を一種または二種以上含むことが可能である。
アミノシランとしては、たとえばビス(2―ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N―β(アミノエチル)γ―アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN―フェニル−γ―アミノ−プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。エポキシシランとしては、たとえばγ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ―(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。アクリルシランとしては、たとえばγ―(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ―(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、またはγ―(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。メルカプトシランとしては、たとえば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。ビニルシランとしては、たとえばビニルトリス(β―メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、またはビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。ウレイドシランとしては、たとえば3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。スルフィドシランとしては、たとえばビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、またはビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
感光性樹脂組成物がポジ型である場合には、感光性樹脂組成物は、たとえば第1ポリマーと、感光剤と、を含む。また、ポジ型である感光性樹脂組成物は、第1ポリマーおよび感光剤とともに、酸発生剤を含んでいてもよい。これにより、感光性樹脂組成物の硬化性をより効果的に向上させることができる。なお、ポジ型の感光性樹脂組成物は、上記において例示した、第1ポリマー、感光剤、および酸発生剤以外の各成分をさらに含むことが可能である。
なお、感光性樹脂組成物を用いて永久膜を形成する場合には、たとえばパターニング後の樹脂膜に対してポストベーク処理を行うことができる。ポストベーク処理は、たとえば150℃以上300℃以下の条件で行われる。本実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いて永久膜を作製することにより、たとえば230℃以上という高温でのポストベーク処理であっても優れた透明性を有する永久膜を実現することが可能である。これは、後述するネガ型感光性樹脂組成物についても同様である。
光ラジカル重合開始剤としては、アルキルフェノン型の開始剤、オキシムエステル型の開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型の重合開始剤等が挙げられる。
たとえば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム) ]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)等が挙げられ、これらのうち、いずれか1種以上を使用することができる。
第一の架橋剤は、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリル化合物であることが好ましい。
なかでも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の三官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の六官能(メタ)アクリレートがあげられ、これらのうちいずれか1以上を使用することが好ましい。
ネガ型の感光性樹脂組成物において、第一の架橋剤は、第1ポリマーを100質量部に対し、50〜70質量部であることが好ましく、さらには、55〜65質量部であることが好ましい。
この第二の架橋剤は、反応性基として、環状エーテル基を有する化合物が好ましく、なかでも、グリシジル基あるいはオキセタニル基を有する化合物が好ましい。このような第二の架橋剤を使用することで、ネガ型の感光性樹脂組成物で構成される膜の薬液耐性を向上させることができる。
グリシジル基を有する化合物としては、たとえば、前述した架橋剤として用いられるグリシジル基を有する化合物と同様のものを挙げることができる。
また、オキセタニル基を有する化合物としては、たとえば、前述した架橋剤として用いられるオキセタニル基を有する化合物と同様のものを挙げることができる。
感光性樹脂組成物を用いて形成される樹脂膜の、光の波長400nmにおける透過率は、たとえば80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。なお、透過率の上限値は、とくに限定されないが、たとえば99%以下とすることができる。
まず、感光性樹脂組成物をガラス基板上に回転塗布し、100℃、120秒間ホットプレートにてベークして樹脂膜を得る。次いで、上記樹脂膜に対し、23℃の0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で90秒間現像処理を行った後、純水でリンスする。次いで、上記樹脂膜に対して、300mJ/cm2でg+h+i線によって全面露光した後、オーブン中で230℃、60分間加熱することによりポストベーク処理を行う。そして、この樹脂膜について光の波長400nmにおける透過率を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定し、膜厚3μmに換算した数値を透過率とする。
感光性樹脂組成物の膨潤率は、たとえば10%未満であることが好ましく、5%以下がより好ましい。なお、膨潤率の下限値は、とくに限定されないが、たとえば0.1%以上とすることができる。これにより、感光性樹脂組成物の、プロセスマージンと薬液耐性とのバランスの向上に寄与することができる。
また、感光性樹脂組成物のリカバー率は、たとえば97%以上103%以下であることが好ましく、98%以上102%以下であることがより好ましい。
リカバー率が97%未満の場合は感光性樹脂組成物の硬化膜が薬液により溶解されていることを示しており、十分な硬化度が得られていないことを意味する。また、リカバー率が103%超えの場合は硬化膜中の反応性基に薬液が反応し、透明性等の特性悪化が懸念される。この範囲を満足することにより、感光性樹脂組成物の薬液耐性をより効果的に向上させることが可能となる。また、感光性樹脂組成物を用いて得られるパターンの寸法精度をより高いものとすることができる。
感光性樹脂組成物において、膨潤率およびリカバー率の測定は、たとえば次のように行うことができる。
感光性樹脂組成物を90℃、200秒の条件でプリベークして得られる樹脂膜に対し、23℃の0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間現像処理を行った後、純水でリンスする。次いで、上記樹脂膜に対し、g+h+i線を300mJ/cm2で全面露光を行った後、220℃、45分間で加熱処理を行う。次いで、上記樹脂膜を70℃のモノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(=7:3)の混合液中に2分間浸漬する。このとき、上記樹脂膜の、上記加熱処理後における膜厚を第1膜厚とし、上記混合液への浸漬後における膜厚を第2膜厚として、
[(第2膜厚−第1膜厚)/(第1膜厚)]×100(%)を膨潤率とする。
感光性樹脂組成物を90℃、200秒の条件でプリベークして得られる樹脂膜に対し、23℃の0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間現像処理を行った後、純水でリンスする。次いで、上記樹脂膜に対し、g+h+i線を300mJ/cm2で全面露光を行った後、220℃、45分間で第1加熱処理を行う。次いで、上記樹脂膜を70℃のモノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(=7:3)の混合液中に2分間浸漬する。次いで、上記樹脂膜に対し220℃、15分間で第2加熱処理を行う。このとき、上記樹脂膜の、第1加熱処理後における膜厚を第1膜厚とし、第2加熱処理後における膜厚を第3膜厚として、
[(第3膜厚)/(第1膜厚)]×100(%)をリカバー率とする。
次に、本実施形態に係る電子装置100について説明する。
電子装置100は、たとえば第1ポリマーを含む上述の感光性樹脂組成物により形成される永久膜である絶縁膜20を備える。本実施形態に係る電子装置100は、感光性樹脂組成物の樹脂膜により構成される絶縁膜を備えるものであればとくに限定されないが、たとえば絶縁膜20を平坦化膜やマイクロレンズとして有する表示装置や、絶縁膜20を層間絶縁膜として用いた多層配線構造を備える半導体装置等が挙げられる。
図1においては、電子装置100が液晶表示装置であり、絶縁膜20が平坦化膜として用いられる場合が例示されている。図1に示す電子装置100は、たとえば基板10と、基板10上に設けられたトランジスタ30と、トランジスタ30を覆うように基板10上に設けられた絶縁膜20と、絶縁膜20上に設けられた配線40と、を備えている。
絶縁膜20上および開口22内には、ドレイン電極33と接続する配線40が形成されている。配線40は、液晶とともに画素を構成する画素電極として機能する。
また、絶縁膜20上には、配線40を覆うように配向膜90が設けられている。
基板10と当該対向基板12との間には、液晶層14を構成する液晶が充填される。
まず、基板10上にトランジスタ30を形成する。次いで、基板10のうちトランジスタ30が設けられた一面上に、印刷法あるいはスピンコート法により上記感光性樹脂組成物を塗布し、トランジスタ30を覆う絶縁膜20を形成する。次いで、絶縁膜20に対して紫外線等を露光し、現像して、絶縁膜20をパターニングする。これにより、絶縁膜20の一部に開口22を形成する。次いで、絶縁膜20を加熱硬化させる。これにより、基板10上に、平坦化膜である絶縁膜20が形成されることとなる。
次いで、絶縁膜20の開口22内に、ドレイン電極33に接続された配線40を形成する。その後、絶縁膜20上に対向基板12を配置し、対向基板12と絶縁膜20との間に液晶を充填し、液晶層14を形成する。
これにより、図1に示す電子装置100が形成されることとなる。
以下、本発明の参考形態の一例を示す。
<1>
少なくとも以下の式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、をラジカル重合して得られるポリマー。
<2>
<1>に記載のポリマーにおいて、
前記式(1)により示される前記モノマー(A)が、前記式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 のうちの少なくとも一つがカルボキシル基、エポキシ環、またはオキセタン環を有する有機基であり、他が水素であるモノマーを含むポリマー。
<3>
<2>に記載のポリマーにおいて、
前記式(1)により示される前記モノマー(A)が、
前記式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 のうちの少なくとも一つがカルボキシル基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A1)と、
前記式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 のうちの少なくとも一つがオキセタン基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A2)と、を含むポリマー。
<4>
<1>乃至<3>いずれか一つに記載のポリマーにおいて、
少なくとも前記モノマー(A)と、前記モノマー(B)と、以下の式(2)により示されるモノマー(C)と、をラジカル重合して得られるポリマー。
<5>
<4>に記載のポリマーにおいて、
前記式(2)により示される前記モノマー(C)が、前記式(2)中のR 5 が炭素数3〜8のシクロアルキル基であるモノマー(C1)を含むポリマー。
<6>
<5>に記載のポリマーにおいて、
前記式(2)により示される前記モノマー(C)が、前記式(2)中のR 5 が水素であるモノマー(C2)をさらに含むポリマー。
<7>
<1>乃至<6>いずれか一つに記載のポリマーにおいて、
前記モノマー(B)がメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、および(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレートから選択される一種または二種以上のモノマーを含むポリマー。
<8>
<1>乃至<7>いずれか一つに記載のポリマーを含む感光性樹脂組成物。
<9>
<8>に記載の感光性樹脂組成物において、
以下の条件により測定される膨潤率が10%未満である感光性樹脂組成物。
<条件>
前記感光性樹脂組成物を90℃、200秒の条件でプリベークして得られる樹脂膜に対し、23℃の0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間現像処理を行った後、純水でリンスする。次いで、前記樹脂膜に対し、g+h+i線を300mJ/cm 2 で全面露光を行った後、220℃、45分間で加熱処理を行う。次いで、前記樹脂膜を70℃のモノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(=7:3)の混合液中に2分間浸漬する。このとき、前記樹脂膜の、前記加熱処理後における膜厚を第1膜厚とし、前記混合液への浸漬後における膜厚を第2膜厚として、
[(第2膜厚−第1膜厚)/(第1膜厚)]×100(%)を膨潤率とする。
<10>
<8>または<9>に記載の感光性樹脂組成物において、
以下の条件により測定されるリカバー率が97%以上103%以下である感光性樹脂組成物。
<条件>
前記感光性樹脂組成物を90℃、200秒の条件でプリベークして得られる樹脂膜に対し、23℃の0.5質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間現像処理を行った後、純水でリンスする。次いで、前記樹脂膜に対し、g+h+i線を300mJ/cm 2 で全面露光を行った後、220℃、45分間で第1加熱処理を行う。次いで、前記樹脂膜を70℃のモノエタノールアミンとジメチルスルホキシド(=7:3)の混合液中に2分間浸漬する。次いで、前記樹脂膜に対し220℃、15分間で第2加熱処理を行う。このとき、前記樹脂膜の、前記第1加熱処理後における膜厚を第1膜厚とし、前記第2加熱処理後における膜厚を第3膜厚として、
[(第3膜厚)/(第1膜厚)]×100(%)をリカバー率とする。
<11>
<8>乃至<10>いずれか一つに記載の感光性樹脂組成物において、
前記感光性樹脂組成物を100℃、120秒の条件でプリベークし、g+h+i線を300mJ/cm 2 で照射して露光を行った後、230℃、60分間で加熱処理することにより得られる膜厚3μmの樹脂膜の、波長400nmの光に対する透過率が80%以上である感光性樹脂組成物。
<12>
<8>乃至<11>いずれか一つに記載の感光性樹脂組成物であって、
ポジ型である感光性樹脂組成物。
<13>
<8>乃至<11>いずれか一つに記載の感光性樹脂組成物であって、
ネガ型である感光性樹脂組成物。
<14>
<8>乃至<13>いずれか一つに記載の感光性樹脂組成物において、
層間膜、表面保護膜、またはダム材として用いられる永久膜を形成するために用いられる感光性樹脂組成物。
<15>
<8>乃至<14>いずれか一つに記載の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜。
<16>
<15>に記載の樹脂膜を備える電子装置。
攪拌機および冷却器を備えた反応容器内にジシクロペンタジエン700.0gと流動パラフィン100.0gを加え、これを160℃〜170℃で加熱することにより得られる分解生成物を、冷却器(冷却水温度5℃)で冷却して、シクロペンタジエンを得た。次いで、他の反応容器内にオキセタンアクリル(OXE−10、大阪有機化学工業(株)製)283.2gを入れ、これに20℃の条件下で3時間かけて上記で得られたシクロペンタジエン100gを逐添した後、30℃〜35℃の条件下で16時間撹拌した。次いで、これにより得られる反応生成物を、ビグリューカラムを用いた減圧蒸留装置にて分留精製し、下記式(13)に示されるモノマーを得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):0.91(t,endo−3H),0.92(t,exo−3H),1.29(d,endo−1H),1.37−1.47(m,2H),1.52(d,exo−1H),1.73−1.80(m,2H),1.90−1.97(m,1H),2.26−2.30(m,exo−1H),2.92(br s,1H),2.98−3.03(m,endo−1H),3.05(br s,exo−1H),3.23(s,endo−1H),4.16(dd,endo−2H),4.23(dd,exo−2H),4.40(d,endo−2H),4.41(d,exo−2H),4.46(d,endo−2H),4.49(dd,exo−2H),5.92(dd,endo−1H),6.11−6.16(m,exo−2H),6.21(dd,endo−1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):8.0,26.9,29.1,30.3,41.6,42.4,42.6,42.6,43.1,43.3,45.7,46.3,46.6,49.6,65.9,66.2,77.8,77.9,132.1,135.6,137.9,138.0,174.7,176.2ppm.
(合成例1)
密閉可能な反応容器内に、上記合成例により得られたモノマー(14.6g、62mmol)、ノルボルネンカルボン酸(17.1g、124mmol)、およびシクロヘキシルマレイミド(33.2g、186mmol)を計量した。さらに、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(3.8g、17mmol)を溶解させたMEK61.0gを反応容器に加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、容器を密閉し、70℃で6時間反応させた。このとき、メタクリル酸グリシジル(35.1g、247mmol)とMEK35.1gの混合液を反応容器内に6時間かけて連続的に添加した。すなわち、メタクリル酸グリシジルを反応容器内に逐添加した。メタクリル酸グリシジルの添加が終了した後、70℃で2時間さらに反応させた。
次いで、反応混合物を室温まで冷却し、MEK133gを添加し希釈した。希釈後の溶液を大量のヘプタンに注ぎ、ポリマーを析出させた。次いで、ポリマーを濾取しヘプタンでさらに洗浄した後、30℃、16時間真空乾燥させた。ポリマーの収得量は82.3g、収率は82%であった。また、ポリマーは、重量平均分子量Mwが16,400であり、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.82であった。
東ソー(株)社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC−8320GPC
カラム:東ソー(株)社製TSK−GEL Supermultipore HZ−M
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
測定温度:40℃
溶媒:THF
試料濃度:2.0mg/ミリリットル
なお、重量平均分子量(Mw)、および数平均分子量(Mn)の測定条件は、後述する合成例2〜6において同様である。
密閉可能な反応容器内に、上記合成例により得られたモノマー(15.8g、67mmol)、ノルボルネンカルボン酸(18.5g、134mmol)、マレイミド(9.7g、100mmol)およびシクロヘキシルマレイミド(18.0g、100mmol)を計量した。さらに、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(4.2g、18mmol)を溶解させたMEK58gを反応容器に加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、容器を密閉し、70℃で6時間反応させた。このとき、メタクリル酸グリシジル(38.0g、267mmol)とMEK38.0gの混合液を反応容器内に6時間かけて連続的に添加した。すなわち、メタクリル酸グリシジルを反応容器内に逐添加した。メタクリル酸グリシジルの添加が終了した後、70℃で2時間さらに反応させた。
次いで、反応混合物を室温まで冷却し、MEK133gを添加し希釈した。希釈後の溶液を大量のヘプタンに注ぎ、ポリマーを析出させた。次いで、ポリマーを濾取しヘプタンでさらに洗浄した後、30℃、16時間真空乾燥させた。ポリマーの収得量は89.8g、収率は90%であった。また、ポリマーは、重量平均分子量Mwが50,600であり、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が6.96であった。
密閉可能な反応容器内に、上記合成例により得られたモノマー(15.8g、66.9mmol)、ノルボルネンカルボン酸(18.5g、134mmol)、マレイミド(9.7g、100mmol)およびシクロヘキシルマレイミド(18.0g、100mmol)を計量した。さらに、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(6.2g、27mmol)を溶解させたMEK93gを反応容器に加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、容器を密閉し、80℃で2時間反応させた。このとき、メタクリル酸グリシジル(38.0g、267mmol)とMEK51gの混合液を反応容器内に2時間かけて連続的に添加した。すなわち、メタクリル酸グリシジルを反応容器内に逐添加した。メタクリル酸グリシジルの添加が終了した後、80℃で2時間さらに反応させた。
次いで、反応混合物を室温まで冷却し、MEK83gを添加し希釈した。希釈後の溶液を大量のヘプタンに注ぎ、ポリマーを析出させた。次いで、ポリマーを濾取しヘプタンでさらに洗浄した後、30℃、16時間真空乾燥させた。ポリマーの収得量は86.6g、収率は87%であった。また、ポリマーは、重量平均分子量Mwが20,700であり、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が5.64であった。
密閉可能な反応容器内に、ノルボルネンカルボン酸(29.7g、215mmol)、マレイミド(10.4g、107mmol)およびシクロヘキシルマレイミド(19.2g、107mmol)を計量した。さらに、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(7.1g、29mmol)を溶解させたMEK110gを反応容器に加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、容器を密閉し、70℃で3時間反応させた。このとき、メタクリル酸グリシジル(40.7g、286mmol)とMEK68gの混合液を反応容器内に2時間かけて連続的に添加した。すなわち、メタクリル酸グリシジルを反応容器内に逐添加した。メタクリル酸グリシジルの添加が終了した後、70℃で2時間さらに反応させた。
次いで、反応混合物を室温まで冷却し、MEK48gを添加し希釈した。希釈後の溶液を大量のヘプタンに注ぎ、ポリマーを析出させた。次いで、ポリマーを濾取しヘプタンでさらに洗浄した後、30℃、16時間真空乾燥させた。ポリマーの収得量は70.5g、収率は87%であった。また、ポリマーは、重量平均分子量Mwが10,000であり、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.41であった。
密閉可能な反応容器内に、ノルボルネンカルボン酸(9.5g、68.5mmol)、マレイミド(16.6g、171.1mmol)およびシクロヘキシルマレイミド(30.7g、171.3mmol)を計量した。さらに、2,2−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(6.3g、27.4mmol)を溶解させたMEK85.1gを反応容器に加え、撹拌・溶解させた。次いで、窒素バブリングにより系内の溶存酸素を除去したのち、容器を密閉し、80℃で2時間反応させた。このとき、1,4−ブタンジオールモノビニルモノグリシジルエーテル(43.3g、273.8mmol)を反応容器内に2時間かけて連続的に添加した。すなわち、1,4−ブタンジオールモノビニルモノグリシジルエーテルを反応容器内に逐添加した。1,4−ブタンジオールモノビニルモノグリシジルエーテルの添加が終了した後、80℃で2時間さらに反応させた。
次いで、反応混合物を室温まで冷却し、MEK83.3gを添加し希釈した。希釈後の溶液を大量のヘプタンに注ぎ、ポリマーを析出させた。次いで、ポリマーを濾取しヘプタンでさらに洗浄した後、30℃、16時間真空乾燥させた。ポリマーの収得量は80.2g、収率は80%であった。また、ポリマーは、重量平均分子量Mwが28,800であり、分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が2.73であった。
実施例1〜4および比較例1〜2のそれぞれについて、以下のようにしてワニス状の感光性樹脂組成物を調製した。まず、表1に従い配合された各成分を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とジエチレングリコールメチルエチルエーテル(EDM)の混合溶媒(PGMEA:EDM=60:40)に固形分量(TS)が30%となるように溶解させて撹拌した。次いで、これにより得られた混合溶液を0.2μmのPTFEフィルターで濾過して、感光性樹脂組成物を調製した。表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。
ポリマー2:上記合成例2により得られたポリマー
ポリマー3:上記合成例3により得られたポリマー
ポリマー4:上記合成例4により得られたポリマー
ポリマー5:上記合成例5により得られたポリマー
ポリマー6:メタクリル酸・スチレン・メタクリル酸グリシジル・ジシクロペンタジエニルメタクリレート共重合体(仕込みモル比30:10:50:10)、ダイトーケミックス(株)製
なお、PA−15は、4,4'−(1−{4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル}エチリデン)ビスフェノールと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドとのエステル化物である。
各実施例および各比較例について、次のようにして感光性樹脂組成物の膨潤率およびリカバー率を測定した。まず、感光性樹脂組成物を、縦100mm、横100mmサイズのコーニング社製1737ガラス基板3インチのシリコンウェハー上に回転塗布し(回転数500〜2500rpm)、ホットプレートを用いて90℃、200秒の条件でプリベークすることにより、約3.0μm厚の樹脂膜を得た。次いで、上記樹脂膜を23℃の現像液(0.5wt%TMAH)に60秒浸して現像処理を行った後、純水でリンスした。次いで、上記樹脂膜に対し、g+h+i線マスクアライナー(キヤノン(株)社製、PLA−501F(超高圧水銀ランプ))を用いてg+h+i線を積算光量が300mJ/cm2となるように全面露光した。
各実施例および各比較例について、次のようにして透過率を測定した。まず、感光性樹脂組成物を、縦100mm、横100mmサイズのコーニング社製1737ガラス基板に回転塗布し(回転数500〜2500rpm)、ホットプレートを用いて100℃、120秒の条件でプリベークすることにより、約3.0μm厚の樹脂膜を得た。次いで、上記樹脂膜を現像液(0.5wt%TMAH)に90秒浸した後、純水でリンスした。次に、g+h+i線マスクアライナー(キヤノン(株)社製、PLA−501F(超高圧水銀ランプ))を用いてg+h+i線を積算光量が300mJ/cm2となるように全面露光した。次いで、上記樹脂膜に対し、オーブン中、230℃、60分間の条件下で熱硬化処理を行った。このとき、上記樹脂膜の膜厚は、約2.5μmであった。次いで、上記樹脂膜の波長400nmの光に対する透過率を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定した。なお、表1では、膜厚3μmの透過率に換算した値を示している。
上記の膨潤率及びリカバー率測定において、膨潤率が5%以下であり、かつリカバー率が98%以上102%以下であるものを○、膨潤率が10%未満かつリカバー率が97%以上103%以下のものを△、これらの条件を満たさないものを×とした。
感光性樹脂組成物を、縦100mm、横100mmサイズのコーニング社製1737ガラス基板に塗布し、膨潤率測定時と同様の方法で薬液処理を実施した。この方法で得られた硬化膜について、波長400nmの光に対する透過率を、紫外−可視光分光光度計を用いて測定した。このとき、透過率が80%以上を○、80%未満を×とした。
感光性樹脂組成物を、縦100mm、横100mmサイズのコーニング社製1737ガラス基板に回転塗布し(回転数500〜2500rpm)、ホットプレートを用いて100℃、120秒の条件でプリベークすることにより、約3.0μm厚の樹脂膜を得た。次いで、上記樹脂膜を現像液(0.5wt%TMAH)に90秒浸した後、純水でリンスした。次に、g+h+i線マスクアライナー(キヤノン(株)社製、PLA−501F(超高圧水銀ランプ))を用いてg+h+i線を積算光量が500mJ/cm2となるように全面露光した。この後パターンが形成された基板を2等分し、一方をオーブン中、230℃、60分間の条件下で熱硬化処理を行った。加熱処理前後の基板を走査型電子顕微鏡にて観察し、パターン形状のテーパー角の変化量を測定し、以下の基準で評価した。
〇:パターン形状のテーパー角の変化量が10度未満
△:パターン形状のテーパー角の変化量が10度以上20度未満
×:パターン形状のテーパー角の変化量が20度以上
これに対し、比較例1は高温ベーク時のパターン形状変化は小さいものの、薬液耐性に劣っていることが確認された。また、比較例2は薬液耐性に優れているものの高温ベーク時のパターン形状変化が大きく、パターニング寸法精度に劣っていることが確認された。
12 対向基板
14 液晶層
20 絶縁膜
22 開口
30 トランジスタ
31 ゲート電極
32 ソース電極
33 ドレイン電極
34 ゲート絶縁膜
35 半導体層
40、42 配線
90、92 配向膜
100 電子装置
Claims (12)
- 少なくとも以下の式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、をラジカル重合して得られるポリマーであって、
前記式(1)により示される前記モノマー(A)が、
前記式(1)中のR1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも一つがカルボキシル基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A1)と、
前記式(1)中のR1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも一つがオキセタン基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A2)と、を含む、ポリマー。
(式(1)中、nは0、1または2であり、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜10の有機基である) - 請求項2に記載のポリマーにおいて、
前記式(2)により示される前記モノマー(C)が、前記式(2)中のR5が炭素数3〜8のシクロアルキル基であるモノマー(C1)を含むポリマー。 - 請求項3に記載のポリマーにおいて、
前記式(2)により示される前記モノマー(C)が、前記式(2)中のR5が水素であるモノマー(C2)をさらに含むポリマー。 - 少なくとも以下の式(1)により示されるモノマー(A)と、分子内に(メタ)アクリル基とグリシジル基またはオキセタン基とを含有するモノマー(B)と、以下の式(2)により示されるモノマー(C)と、をラジカル重合して得られるポリマーであって、
前記式(1)により示される前記モノマー(A)が、前記式(1)中のR 1 、R 2 、R 3 およびR 4 のうちの少なくとも一つがカルボキシル基、エポキシ環、またはオキセタン環を有する有機基であり、他が水素であるモノマーを含み、
前記式(2)により示される前記モノマー(C)が、
前記式(2)中のR5が炭素数3〜8のシクロアルキル基であるモノマー(C1)と、
前記式(2)中のR5が水素であるモノマー(C2)をさらに含む、ポリマー。
(式(1)中、nは0、1または2であり、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して水素または炭素数1〜10の有機基である)
(式(2)中、R5は、水素または炭素数1〜12の有機基である) - 請求項5に記載のポリマーにおいて、
前記式(1)により示される前記モノマー(A)が、
前記式(1)中のR1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも一つがカルボキシル基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A1)と、
前記式(1)中のR1、R2、R3およびR4のうちの少なくとも一つがオキセタン基を含有する有機基であり、他が水素であるモノマー(A2)と、を含むポリマー。 - 請求項1乃至6いずれか一項に記載のポリマーにおいて、
前記モノマー(B)がメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、および(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレートから選択される一種または二種以上のモノマーを含むポリマー。 - 請求項1乃至7いずれか一項に記載のポリマーを含む感光性樹脂組成物。
- 請求項8に記載の感光性樹脂組成物であって、
ポジ型である感光性樹脂組成物。 - 請求項8または9に記載の感光性樹脂組成物において、
層間膜、表面保護膜、またはダム材として用いられる永久膜を形成するために用いられる感光性樹脂組成物。 - 請求項8乃至10いずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる樹脂膜。
- 請求項11に記載の樹脂膜を備える電子装置。
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