JP2019094371A - 塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】第1の課題は、塩化ビニル系樹脂に対して高濃度のハイドロタルサイトを配合させた塩ビ用マスターバッチにおいて、該ハイドロタルサイトの樹脂中での分散性を改善することである。第二の課題は、本発明の塩ビ用マスターバッチを配合した塩ビ樹脂組成物において、熱安定性および透明性を改善することである。【解決手段】1次粒子径が小さく、かつ水中での分散性が良いハイドロタルサイトを合成し、乾燥させず、懸濁液の状態で、塩化ビニル系樹脂の重合開始前から重合終了後の任意の時期に添加することで、高濃度に配合させても樹脂中での分散性の良い塩ビ用マスターバッチを作製できる。該塩ビ用マスターバッチを使用した塩ビ樹脂組成物は、熱安定性および透明性が顕著に高くなる。【選択図】図3

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂にハイドロタルサイトを高濃度で配合させた塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ(以下、「塩ビ用マスターバッチ」と称する)、該塩ビ用マスターバッチの製造方法、該塩ビ用マスターバッチが配合された塩化ビニル系樹脂組成物(以下、「塩ビ樹脂組成物」と称する)に関する。
マスターバッチとは、ベースとなる樹脂に、様々な機能を有した添加剤を高濃度に配合させた樹脂組成物である。マスターバッチには、樹脂加工の際の作業性の向上、粉体の樹脂中での分散性向上など様々なメリットがあるため、広く利用されている。
一方、ハイドロタルサイトは、2価金属および3価金属の塩基性炭酸塩を主成分とした層状複水酸化物である。ハイドロタルサイトは高い陰イオン交換能力を有し、生体に対して安全性の高い塩化ビニル系樹脂用安定剤として広く利用されている。
ハイドロタルサイトを高濃度で含有するマスターバッチの製造方法としては、ベースとなる樹脂を溶融混錬し、ハイドロタルサイトを粉末状態で投入する方法が一般的である。例えば特許文献1には、農業用フィルム用マスターバッチに関する記載がある。具体的には、「本発明に係る農業フィルム用マスターバッチ中のハイドロタルサイト型粒子粉末の含有量は、樹脂100重量部に対して10〜250重量部が好ましく、より好ましくは20〜220重量部である。10重量部未満の場合は樹脂混練時の溶融粘度が不足し、保温剤の良好な分散混合が難しい。250重量部を超える場合には、樹脂が不足するため、保温剤の良好な分散混合が困難となり、好ましくない。」(段落番号0080)、「本発明に係る農業フィルム用マスターバッチは、樹脂と保温剤とをリボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機で混合した後、周知の単軸混練押出機や二軸混練押出機等で混練・成型した後切断するか、上記混合物をバンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混練して得られた混練物を粉砕または成型、切断することにより製造される。」(段落番号0081)、「ハイドロタルサイト型保温剤粒子粉末を40%濃度になるように2軸混練機を用いて、樹脂を混ぜてマスターバッチ化した。混練条件を予熱時間10分、混練温度120℃、回転速度120rpm、混練時間15分とし、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製)で混練した。」(段落番号0105)等の記載がある。
近年、ハイドロタルサイトの熱安定効果を高めるため、1次粒子径の微細化が検討されてきた。例えば特許文献2では、共沈反応後に湿式粉砕を行うことで、平均2次粒子径5nm〜100nmのハイドロタルサイトが得られたとされている。実施例2では、湿式粉砕直後の懸濁液での平均2次粒子径が62nmであり、懸濁液を1日放置した後の平均2次粒子径が68nmであったと記載されている。
従来、1次粒子径が微細な、例えば200nm以下のハイドロタルサイトを高濃度に配合したマスターバッチを作製する場合、樹脂中での分散が不十分であった。それゆえ、該マスターバッチを配合した塩ビ樹脂組成物の熱安定性および透明性が悪くなるという問題が発生していた。
ハイドロタルサイトの1次粒子が微細になればなるほど、粒子の表面エネルギーが大きく、凝集しやすくなる。特に、マスターバッチでは樹脂に対してハイドロタルサイトを高濃度に配合させるため、従来の方法でハイドロタルサイトの1次粒子を樹脂中に分散させることは困難であった。
特開2011−068877 WO2013/147284
本発明の第1の課題は、塩化ビニル系樹脂に対して高濃度のハイドロタルサイトを配合させた塩ビ用マスターバッチにおいて、該ハイドロタルサイトの樹脂中での分散性を改善することである。また、本発明の第二の課題は、本発明の塩ビ用マスターバッチを配合した塩ビ樹脂組成物において、熱安定性および透明性を改善することである。
本発明者らは、1次粒子径が小さく、かつ水中での分散性が良いハイドロタルサイトを合成し、乾燥させず、懸濁液の状態で、塩化ビニル系樹脂の重合開始前から重合終了後の任意の時期に添加することで、高濃度に配合させても樹脂中での分散性の良い塩ビ用マスターバッチを作製できることを見出した。さらに、該塩ビ用マスターバッチを使用した塩ビ樹脂組成物は、熱安定性および透明性が顕著に高くなることを見出した。
すなわち本発明は、上記課題を解決した、塩ビ用マスターバッチを提供する。具体的には、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、下記(式1)で表されるハイドロタルサイトを5〜250重量部含有する塩化ビニル系樹脂用マスターバッチであって、該塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ中のハイドロタルサイトが以下の(A)および(B)を満たす、該塩化ビニル系樹脂用マスターバッチである。
(M2+1−X(M3+(OH)(An−X/n・mHO (式1)
(ただし、式中M2+は2価金属の少なくとも1種以上、M3+は3価金属の少なくとも1種以上、An−はn価のアニオン、nは1〜6の整数をそれぞれ示し、xおよびmはそれぞれ、0.17≦x≦0.36、0≦m≦10の範囲にある。)
(A)SEM法による1次粒子のマスターバッチ中での平均横幅が5nm以上200nm以下;
(B)下記式で表されるマスターバッチ中での単分散度が50%以上;
マスターバッチ中での単分散度(%)=(SEM法によるマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅/SEM法によるマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅)×100
本発明ではまた、上記問題を解決した、塩ビ用マスターバッチの製造方法を提供する。具体的には、以下の6つの工程を含む塩化ビニル系樹脂用マスターバッチの製造方法である。
(工程1)水溶性複合金属塩水溶液および、アルカリ金属水酸化物水溶液を調製する原料調製工程。ただし、該水溶性複合金属塩水溶液は、2価金属塩、3価金属塩および、3価金属と錯体を形成する1価の有機酸および/又は有機酸塩を含む。
(工程2)前記(工程1)で調整した水溶性複合金属塩水溶液とアルカリ金属水酸化物水溶液を、反応温度0〜60℃、反応pH8.5〜11.5で連続反応させ、ハイドロタルサイトを含む懸濁液を得る反応工程。
(工程3)前記(工程2)で得られたハイドロタルサイトを含む懸濁液を脱水後、水洗浄を行い、水溶媒に懸濁させる洗浄工程。
(工程4)前記(工程3)で得られた洗浄後のハイドロタルサイトを含む懸濁液を、0〜100℃で1〜60時間攪拌保持する熟成工程。
(工程5)塩化ビニル単量体単独または、塩化ビニル単量体および塩化ビニルと共重合可能な他の単量体との混合物を重合させ、塩化ビニル系樹脂ラテックス(以下、「塩ビラテックス」と称する)を得る重合工程。ただし、前記(工程4)で作製したハイドロタルサイトを含有する懸濁液を、重合開始前、重合中、重合終了後の任意の時期に添加する。
(工程6)前記(工程5)で得られた塩ビを噴霧乾燥させる乾燥工程。
本発明は、上記塩ビ用マスターバッチを含有する、塩ビ樹脂組成物を包含する。
本発明の塩ビ用マスターバッチを用いて作製した塩ビ樹脂組成物は、従来の方法と比べて、樹脂中のハイドロタルサイトの分散性が良く、熱安定性および透明性が高い。本発明の塩ビ用マスターバッチは、硬質配合、半硬質配合、軟質配合等を問わず、様々な塩ビ系樹脂の製造に用いることができる。
本発明で用いたハイドロタルサイトの1次粒子について、横幅を説明する模式図である。 本発明で用いたハイドロタルサイトの2次粒子について、横幅を説明する模式図である。 実施例1の塩化ビニル系樹脂用マスターバッチAを観察した500倍のSEM写真である。
以下、本発明について具体的に説明する。
<塩ビ用マスターバッチ>
本発明の塩ビ用マスターバッチの構成、平均粒子径、含有される塩化ビニル系樹脂、含有されるハイドロタルサイトは以下の通りである。
(構成)
本発明の塩ビ用マスターバッチは、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、ハイドロタルサイトを5〜250重量部含有する。ハイドロタルサイトの含有量の下限は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部、より好ましくは20重量部、さらに好ましくは30重量部である。ハイドロタルサイトの含有量の上限は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは230重量部、より好ましくは200重量部、さらに好ましくは150重量部である。本発明の塩ビ用マスターバッチは、重合開始剤、乳化剤、乳化助剤、緩衝剤、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、塩素化パラフィン等の分散助剤、重合度調整剤等の塩化ビニル系樹脂の重合において、一般的に添加される物質を含有していてもよい。
(平均粒子径)
本発明の塩ビ用マスターバッチは、乾式粒度測定法における平均粒子径(D50)が10〜200μmである。平均粒子径の上限は、好ましくは190μm、より好ましくは180μm、さらに好ましくは170μmである。平均粒子径の下限は、好ましくは15μm、より好ましくは20μm、さらに好ましくは25μmである。平均粒子径が10μmより小さければ、混錬時のハンドリング性が悪くなるため好ましくない。
(塩化ビニル系樹脂)
本発明の塩ビ用マスターバッチに含有される塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニルまたは、塩化ビニル単量体およびこれと共重合可能な単量体との共重合体である。塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル等が挙げられるが、この限りではない。
本発明の塩ビ用マスターバッチに含有される塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、400〜4000の範囲が好ましい。重合度が400より小さい場合、重合体の熱安定性が悪く、黄色に着色しやすい。また、塩ビ樹脂組成物の強度が低下することがある。重合度が4000より大きいものを用いた場合、塩ビ樹脂組成物の成形性に悪影響が出るため、生産性や意匠性が悪化しやすい。
(ハイドロタルサイトの化学式)
本発明のハイドロタルサイトは、以下の式(1)で表される。
(M2+1−X(M3+(OH)(An−X/n・mHO (1)
(ただし、式中M2+は2価金属の少なくとも1種以上、M3+は3価金属の少なくとも1種以上、An−はn価のアニオン、nは1〜6の整数をそれぞれ示し、xおよびmはそれぞれ、0.17≦x≦0.36、0≦m≦10の範囲にある。)
(ハイドロタルサイトの金属の種類)
式(1)で表されるハイドロタルサイトにおいて、M2+は2価金属の少なくとも1種以上、M3+は3価金属の少なくとも1種以上である。好ましい2価金属はMgおよびZnからなる群より選ばれる1種以上であり、好ましい3価金属はAlである。これは、生体への安全性が高く、かつ粒子が白色で用途が広いためである。
(ハイドロタルサイトのxの範囲)
式(1)で表されるハイドロタルサイトにおいて、xの範囲は0.17≦x≦0.36である。xのさらに好ましい上限は、0.34である。xのさらに好ましい下限は、0.19である。xが0.36を超えるとベーマイトが副生し、逆に0.17より小さくなると水酸化マグネシウムが副生し、いずれも塩ビ樹脂組成物とした際に透明性が低下する。
(ハイドロタルサイトのmの範囲)
式(1)で表されるハイドロタルサイトにおいて、mの範囲は0≦m≦10である。mのさらに好ましい上限は6である。
(ハイドロタルサイトの層間アニオンの種類)
式(1)で表されるハイドロタルサイトにおいて、An−はn価のアニオン、nは1〜6の整数をそれぞれ示し、好ましいAn−はCO 2−およびClO から選ばれる1種以上である。
(ハイドロタルサイトの<003>方向の格子歪)
本発明のハイドロタルサイトにおいて、X線回折法における<003>方向の格子歪は3×10−3以下であり、好ましくは2.5×10−3以下、さらに好ましくは2×10−3以下である。<003>方向の格子歪が3×10−3より大きければ、懸濁液およびマスターバッチ中で1次粒子が凝集し、塩ビ樹脂組成物の熱安定性および透明性が悪化する。
(ハイドロタルサイトのBET法比表面積)
本発明のハイドロタルサイトにおいて、BET法比表面積は20〜600m/gである。BET法比表面積のより好ましい上限は500m/gであり、さらに好ましくは400m/gである。BET法比表面積のより好ましい下限は30m/gであり、さらに好ましくは40m/gである。BET法比表面積が20m/g未満では、遊離ハロゲンとの反応性および1次粒子の分散が十分ではない。一方600m/gより大きければ、塩ビ樹脂組成物が着色しやすくなるため好ましくない。
(ハイドロタルサイトの1次粒子の定義)
1次粒子とは、幾何学的にこれ以上分割できない明確な境界を持った粒子である。図1は、本発明で用いた1次粒子の横幅(W)を説明する模式図である。図1に示すように、1次粒子の横幅Wを規定する。すなわち、1次粒子が六角板状の板面としたときの粒子の長径が「1次粒子の横幅W」である。
(ハイドロタルサイトの2次粒子の定義)
2次粒子とは、1次粒子が複数個集まり、凝集体となった粒子である。図2は、本発明で用いた2次粒子と2次粒子の横幅(W)を説明する模式図である。図2に示すように、2次粒子の横幅Wを規定する。すなわち、2次粒子が球体に包まれると考えたときの球体の直径が「2次粒子の横幅W」である。
(ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅)
本発明のハイドロタルサイトにおいて、SEM法によるマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅は5〜200nmである。マスターバッチ中での1次粒子の平均横幅の上限は、好ましくは180nm、より好ましくは150nm、さらに好ましくは120nm、さらに好ましくは100nm、さらに好ましくは80nm、最も好ましくは60nmである。マスターバッチ中での1次粒子の平均横幅が200nmより大きければ、塩ビ樹脂組成物の透明性が悪化する。マスターバッチ中での1次粒子の平均横幅は、SEM法によりSEM写真中の任意の100個の1次粒子の横幅の測定値の算術平均から求める。
(ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での単分散度)
本発明のハイドロタルサイトにおいて、下記式で表されるマスターバッチ中での単分散度は50%以上であり、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上である。ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での単分散度が50%未満であれば、塩ビ樹脂組成物の熱安定性および透明性が悪化する。マスターバッチ中での1次粒子の横幅および2次粒子の横幅は、SEM法によりSEM写真中の任意の100個の1次粒子および2次粒子の横幅の測定値の算術平均からそれぞれ求める。
マスターバッチ中での単分散度(%)=(SEM法よるマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅/SEM法によるによるマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅)×100
<塩ビ樹脂組成物>
本発明の塩ビ樹脂組成物は、塩化ビニル系樹脂および、本発明の塩ビ用マスターバッチを含有する。塩ビ用マスターバッチの添加量は、該塩ビ用マスターバッチ中のハイドロタルサイトの含有量により、適宜調整する。
塩化ビニル系樹脂と塩ビ用マスターバッチとの混合、混練方法には特別の制約はないが、両者を均一に混合できる方法が好ましい。例えば、1軸又は2軸押出機、ロール、バンバリーミキサー等により混合、混練される。成形方法にも特別の制約はなく、樹脂及びゴムの種類、所望成形品の種類等に応じて、公知の成形手段を任意に採用できる。例えば射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、回転成形カレンダー成形、シートフォーミング成形、トランスファー成形、積層成形、真空成形等である。
本発明で用いる塩化ビニル系樹脂とは、ポリ塩化ビニルまたは、塩化ビニル単量体およびこれと共重合可能な単量体との共重合体である。共重合体としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体が挙げられるが、この限りではない。
本発明の塩ビ樹脂組成物は、塩ビ用マスターバッチ以外に、他の添加剤、例えばDOP(ジオクチルフタレート)やDINP(ジイソノニルフタレート)等の可塑剤、酸化防止剤、タルク等の補強剤、紫外線吸収剤、滑剤、微粒シリカ等の艶消し剤、カーボンブラック等の顔料、臭素系難燃剤やリン酸エステル系難燃剤等の難燃剤を適宜選択して配合することができる。また、スズ酸亜鉛、スズ酸アルカリ金属塩、炭素粉末等の難燃助剤、炭酸カルシウム等の充填剤を適宜選択して配合することができる。
<塩ビ用マスターバッチの製造方法>
本発明の塩ビ用マスターバッチは、以下の(工程1)〜(工程6)を含む製造方法により製造可能である。
(工程1)水溶性複合金属塩水溶液及び、アルカリ金属水酸化物水溶液を調製する原料調製工程。ただし、該水溶性複合金属塩水溶液は、2価金属塩、3価金属塩及び、3価金属と錯体を形成する1価の有機酸及び/又は有機酸塩を含む。
(工程2)(工程1)で調整した水溶性複合金属塩水溶液とアルカリ金属水酸化物水溶液を、反応温度0〜60℃、反応pH8.5〜11.5で連続反応させ、ハイドロタルサイトを含む懸濁液を得る反応工程。
(工程3)(工程2)で得られたハイドロタルサイトを含む懸濁液を脱水後、水洗浄を行い、水溶媒に懸濁させる洗浄工程。
(工程4)(工程3)で得られた洗浄後のハイドロタルサイトを含む懸濁液を、0〜100℃で1〜60時間攪拌保持する熟成工程。
(工程5)塩化ビニル単量体単独または、塩化ビニル単量体および塩化ビニルと共重合可能な他の単量体との混合物を重合させ、塩化ビニル系樹脂ラテックスを得る重合工程。ただし、(工程4)で作製したハイドロタルサイトを含有する懸濁液を、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、ハイドロタルサイトの固形分で5〜250重量部、重合開始前、重合中、重合終了後の任意の時期に添加する。
(工程6)(工程5)で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックスを噴霧乾燥させる乾燥工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
(工程1:原料調製工程)
ハイドロタルサイトの原料は、2価金属塩、3価金属塩、3価金属と錯体を形成する1価の有機酸および/又は有機酸塩および、アルカリ金属水酸化物塩である。2価金属塩としては、水溶性の2価金属塩、例えば塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられるが、この限りではない。1次粒子の凝集を防ぐため、好ましくは、1価のアニオンを含む2価金属塩が用いられる。2種以上の2価の金属塩を組み合わせることもできる。好ましくは、塩化マグネシウムおよび/又は塩化亜鉛が用いられる。3価金属塩としては、水溶性の3価金属塩、例えば塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硝酸アルミニウム、酢酸アルミニウムが挙げられるが、この限りではない。1次粒子の凝集を防ぐため、好ましくは1価のアニオンを含む3価の金属塩が用いられる。2種以上の3価の金属塩を組み合わせることもできる。好ましくは塩化アルミニウムが用いられる。
一般に、3価金属イオンの水酸化物としての沈殿pHは、2価金属の沈殿pHに比べて低い。そのため、pH調整剤によって反応時のpHを一定に保っても、3価イオンが先に水酸化物として沈殿してしまう。2価金属と3価金属の沈殿pHの差から、結晶歪が生まれ、ハイドロタルサイト1次粒子の凝集が生じる。
そこで、1価の有機酸および/又は有機酸塩を錯形成剤として用い、3価金属と錯体を組ませることで、3価金属イオンの水酸化物としての沈殿pHを高め、2価金属の沈殿pHに近づけることで、結晶歪の少ないハイドロタルサイトを得ることができる。錯形成剤は、その分子の立体障害効果により、ハイドロタルサイトの1次粒子の結晶成長を抑制するという効果も有する。3価金属と錯体を形成する1価の有機酸および/又は有機酸塩としては、例えば、乳酸、乳酸ナトリウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウム、プロピオン酸およびプロピオン酸ナトリウムが挙げられるが、この限りではない。2種以上の有機酸および有機酸塩を組み合わせることもできる。好ましくは、乳酸、乳酸ナトリウム、酢酸および酢酸ナトリウムが用いられる。アルカリ金属水酸化物塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられるが、この限りではない。
2価金属塩、3価金属塩および、3価金属と錯体を形成する1価の有機酸および/又は有機酸塩を水溶媒に溶解させ、水溶性複合金属塩水溶液を作製する。水溶性複合金属塩水溶液中の、2価金属の濃度は0.01〜2mol/Lであり、好ましくは0.1〜1.5mol/Lである。3価金属の濃度は0.01〜2mol/Lであり、好ましくは0.1〜1.5mol/Lである。アルカリ金属水酸化物の濃度は0.01〜4mol/Lであり、好ましくは0.1〜2mol/Lである。2価金属、3価金属の比率は、1.78≦M2+/M3+≦4.88であり、好ましくは1.94≦M2+/M3+≦4.26である。3価金属と錯体を形成する1価の有機酸および/又は有機酸塩の添加量は、3価金属に対し、0.1〜2.2当量であり、好ましくは0.3〜2当量である。0.1当量未満では、ハイドロタルサイトの1次粒子が200nmより大きくなってしまうため好ましくない。2.2当量より多いと、ハイドロタルサイトの層間に錯形成剤由来の陰イオンが入り、膨潤作用により懸濁液がゲル化してしまうため好ましくない。
(工程2:反応工程)
本発明のハイドロタルサイトは、連続反応で作製する。バッチ反応に比べ溶液中でのイオン濃度とpHを均一に保つことできるため、格子歪の少ないハイドロタルサイトが作製でき、かつバッチ反応に比べて製造効率が良い。
反応時の濃度は、ハイドロタルサイト換算で0.1〜300g/Lであり、好ましくは0.5〜250g/L、さらに好ましくは1〜200g/Lである。反応時の濃度が0.1g/Lより低い場合は生産性が低く、300g/Lより高い場合は1次粒子が凝集するため好ましくない。反応時の温度は、0〜60℃であり、好ましくは10〜50℃、さらに好ましくは20〜40℃である。反応時の温度が0℃より低い場合は懸濁液が凍ってしまうため好ましくなく、60℃より高い場合は1次粒子が200nmより大きくなってしまうため好ましくない。反応時のpHは、8.5〜11.5であり、好ましくは8.8〜11.0、さらに好ましくは9.1〜10.5である。反応時のpHが8.5より低い場合は、ハイドロタルサイトの格子歪が大きくなり、懸濁液およびマスターバッチ中での単分散度が下がるので好ましくなく、11.5より高い場合は熟成後のハイドロタルサイトの1次粒子が200nmより大きくなってしまうため好ましくない。
(工程3:洗浄工程)
前記(工程2)で作製したハイドロタルサイトを含む懸濁液を、脱水した後、ハイドロタルサイトの20〜30倍の重量の脱イオン水で水洗浄し、脱イオン水に再懸濁させる。この工程を経ることによって、ナトリウム等の塩類を取り除き、熟成工程の際の1次粒子の凝集を防ぐことができる。
洗浄工程内で、脱水後、水洗浄の前に任意のアニオンでイオン交換を行うことができる。イオン交換の方法は2つある。1つ目は、反応後のハイドロタルサイトを含む懸濁液を脱水し、ケーキにした後、脱イオン水に分散させ、アニオン含有水溶液を添加し、撹拌保持する方法である。このとき、アニオンの当量は、ハイドロタルサイトに対して1〜5当量、より好ましくは1.5〜3当量である。撹拌保持の温度は、好ましくは30〜90℃、より好ましくは50〜80℃である。ハイドロタルサイトの濃度は、ハイドロタルサイト換算で、好ましくは0.1〜300g/L、より好ましくは0.5〜250g/L、さらに好ましくは1〜200g/Lである。
2つ目のイオン交換の方法は、反応後のハイドロタルサイトを含む懸濁液を脱水し、ケーキにした後、アニオン含有水溶液を直接添加する方法である。このとき、アニオンの添加量は、ハイドロタルサイトに対して1〜5当量、好ましくは1.5〜3当量である。
(工程4:熟成工程)
前記(工程3)で作製したハイドロタルサイトを含んだ懸濁液を、1〜60時間、0〜100℃で、攪拌保持する。この工程を経ることにより、1次粒子の凝集を緩和し、1次粒子が十分に分散した懸濁液を得ることができる。熟成時間が1時間未満では、1次粒子の凝集を緩和するための時間として十分ではない。60時間より長く熟成しても、凝集状態に変化がないため意味をなさない。好ましい熟成時間は2〜30時間であり、さらに好ましくは4〜24時間である。熟成温度が100℃より高ければ、1次粒子が200nmより大きくなってしまうため好ましくない。熟成温度が0℃未満では、懸濁液が凍ってしまうため好ましくない。好ましい熟成温度は20〜90℃であり、さらに好ましくは40〜80℃である。熟成時の濃度はハイドロタルサイト換算で0.1〜300g/Lであり、好ましくは0.5〜250g/L、さらに好ましくは1〜200g/Lである。熟成時の濃度が0.1g/Lより低い場合は生産性が低く、300g/Lより高い場合は1次粒子が凝集するため好ましくない。
(工程5:重合工程)
塩化ビニル単独または塩化ビニルとこれと共重合可能な単量体との混合物を乳化重合法または微細懸濁重合法によって重合させる。塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル等が挙げられるが、この限りではない。塩化ビニル系単量体を水性媒体中で、乳化剤および水溶性重合開始剤の存在下に、また微細懸濁重合は塩化ビニル系単量体を水性媒体中で乳化剤および油溶性重合開始剤の存在下に均質化処理の上、重合させることによって実施される。
乳化重合法に用いられる乳化剤としては、例えば、高級アルコール硫酸エステル塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)、高級脂肪酸塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩)その他のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、および/またはカチオン界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種類を用いてもよいし、2種類以上の併用も可能である。乳化剤の使用量は、塩化ビニル系単量体に対し、0.1〜3重量%、より好ましくは0.3〜1重量%の範囲であるが、特に限定されるものではない。
これらの乳化剤は、加工時の発泡性の調整用に追加して用いてもよく、この時は重合用乳化剤とは別に重合反応終了後に添加してもよい。重合開始剤は、塩化ビニル系単量体の各重合法で一般的に使用されるものでよく、特に限定されない。例えば、乳化重合法で使用される重合開始剤としては、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)、過酸化水素等の水溶性過酸化物、または、これらの水溶性過酸化物と水溶性還元剤(例えば、亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等)との組合せからなる水溶性レドックス系開始剤が挙げられる。
また、微細懸濁重合法で用いられる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート等の単量体可溶性(油溶性)開始剤、または、これらの油溶性開始剤と前記の水溶性還元剤との組合せからなるレドックス系開始剤が例示される。
これらの重合開始剤は、単独で又は2種類以上の組合せで使用することができる。重合開始剤の使用量は、開始剤の種類や重合温度、所望の反応時間等によっても異なるが、一般に塩化ビニル系単量体の総量に対し0.01〜1重量%である。更に、塩化ビニル系単量体の重合に当たっては、必要に応じて重合度調整剤(連鎖移動剤、架橋剤)、酸化防止剤、pH調整剤、レドックス系開始剤の活性化剤等の各種重合助剤を適宜添加することができ、これらの各成分の種類・仕込み量等は、従来塩化ビニル系単量体の重合で実施されている一般的なもので差し支えない。
なお、塩化ビニル系単量体の重合に用いられる重合度調整剤としては、トリクロルエチレン、四塩化炭素、2−メルカプトエタノール、オクチルメルカプタン等の連鎖移動剤、フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸トリアリル、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の架橋剤が例示される。
重合開始前、重合中または重合反応終了後の任意の時期に、前記(工程4)で作製した熟成処理後のハイドロタルサイト懸濁液を加える。重合中の分散安定性や粒子生成に影響が出ないよう、重合終了後に添加することが好ましい。熟成後のハイドロタルサイト懸濁液を添加することで、マスターバッチに1次粒子が十分に分散し、塩ビ樹脂組成物の熱安定性と透明性が顕著に高くなる。
ハイドロタルサイトの添加量は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、ハイドロタルサイトの固形分として5〜250重量部である。ハイドロタルサイトの添加量の下限は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは10重量部、より好ましくは20重量部、さらに好ましくは30重量部である。ハイドロタルサイトの添加量の上限は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、好ましくは230重量部、より好ましくは200重量部、さらに好ましくは150重量部である。
(工程6:乾燥工程)
前記(工程5)で作製した塩ビラテックスを、噴霧乾燥により乾燥させる。噴霧乾燥に用いる乾燥機は特に限定されるものではない。乾燥用空気入口温度、乾燥用空気出口温度に特に制限はないが、乾燥用空気入口温度は80〜400℃、乾燥用空気出口温度は50〜200℃が一般的に用いられる。乾燥用空気入口温度は200〜350℃、乾燥用空気出口温度は80〜130℃が更に好ましい。噴霧乾燥により、乾式粒度測定法における平均粒子径が10〜200μmの顆粒状の塩ビ用マスターバッチを得ることができる。噴霧乾燥後のマスターバッチに水分が含まれる場合は、追加で熱風乾燥させても良い。
塩ビ用マスターバッチ中の粗大粒子を低減するために、得られた塩ビ用マスターバッチに対して篩による粗粒除去を行っても良い。篩としては一般的に使用されているものでよく、例えば、振動篩、超音波振動篩、三次元振動篩、網面固定式風力分級機等が挙げられ、これらを単独で、又は目開きの異なる複数を組み合せて使用することができる。
また、塩ビラテックスを噴霧乾燥する前にラテックス中の粗粒を除去しても良い。粗粒を除去する装置としては、例えば、湿式振動篩、湿式遠心分離機、液体サイクロン等の一般的に使用されるものを使用することができるが、粗粒除去効率、処理量の点から湿式振動篩が好ましい。
さらに、乾燥効率を上げるために塩ビラテックスを濃縮してから噴霧乾燥しても良い。濃縮装置としては、限外ろ過膜、真空蒸発器、薄膜式蒸発器蒸発などの公知のものを単独であるいは複数を組み合わせて使用することができる。
塩ビラテックスを噴霧乾燥する前に、液状粘結剤を添加することもできる。ここで、液状粘結剤とは得られる顆粒の可塑剤への分散性を向上させるもので、多価アルコールおよび/又は多価アルコールのエーテル化合物が挙げられる。例えば、エチレングリコール、エチレングリコールジベンジルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエチレングリコールジエーテル系化合物、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のモノエーテル系化合物等が挙げられる。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例において、各物性は以下の方法で測定した。
(A)ハイドロタルサイトの1次粒子および2次粒子のマスターバッチ中での平均横幅
クロスセクションポリッシャ(IB−09010CP、日本電子製)を用い、塩ビ用マスターバッチの断面を研磨した。走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM−7600F、日本電子製)を用い、研磨後の樹脂断面を観察し、任意の100個の結晶の1次粒子および2次粒子の横幅を測定し、その算術平均をもって1次粒子および2次粒子のマスターバッチ中での平均横幅とした。
(B)ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での単分散度
以下の式に基づいて、前記(A)の値から算出した。
マスターバッチ中での単分散度(%)=(SEM法よるマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅/SEM法によるマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅)×100
(C)ハイドロタルサイトの<003>方向の結晶歪
前記(工程4)で作製したハイドロタルサイトを含む水懸濁液を脱水し、真空乾燥させた後、粉砕し、測定サンプルとした。
(式2)の関係式により、横軸に(sinθ/λ)、縦軸に(βcosθ/λ)をプロットし、切片の逆数から結晶粒子径(g)と、勾配に(1/2)を乗じて結晶歪(η)を求めた。
(βcosθ/λ)=(1/g)+2η×(sinθ/λ) (式2)
(ただし、λは使用したX線の波長を表し、Cu−Kα線で1.542Åである。θはブラッグ角、βは真の半値幅(単位:ラジアン)を表す。)
上記βは以下の方法により求めた。
X線回折装置(Empyrean、パナリティカル製)を用い、(003)面と(006)面の回折プロファイルを、X線源として45KV、40mAの条件で発生させたCu−Kα線を用いて測定した。測定条件はゴニオスピードで10°/min、スリット幅を、ダイバージェンススリット、レシービングスリット、スキャタリングスリットの順で、(003)面については、1°―0.3mm―1°、(006)面については2°―0.3mm−2°の条件で測定した。得られたプロファイルにつき、バックグラウンドから回折ピークまでの高さの(1/2)における幅(B)を測定した。2θに対するKα1、Kα2のスプリット幅(δ)の関係から、(003)面、(006)面の2θに対するδを読み取った。次いで、上記Bおよびδの値に基づいて、(δ/B)と(B/B)の関係からBを求めた。続いて、高純度シリコン(純度99.999%)について、スリット幅(1/2)°―0.3mm−(1/2)°で各回折プロファイルを測定し、半値幅(b)を求めた。これを2θに対してプロットし、bと2θの関係を示すグラフを作成した。(003)面、(006)面の2θに相当するbから(b/β)を求めた。(b/B)と(β/B)の関係から、βを求めた。
(D)ハイドロタルサイトのBET法比表面積
前記(工程4)で作製したハイドロタルサイトを含む水懸濁液を脱水し、真空乾燥させた後、粉砕し、測定サンプルとした。比表面積の測定装置(NOVA2000、ユアサアイオニクス製)を使用して、ガス吸着法により乾燥後のサンプルの比表面積を測定した。
(E)ハイドロタルサイトの化学組成の定量
前記(工程4)で作製したハイドロタルサイトを含む水懸濁液を脱水し、真空乾燥させた後、粉砕し、測定サンプルとした。サンプルを硝酸に加熱・溶解させた後、Mg、Zn、Alはキレート滴定にて、Clはフォルハルト法滴定にて定量した。COはJIS.R.9101に基づき、AGK式CO簡易精密定量装置にて定量した。層間水は、TG−DTAを用い重量減少から算出した。
(F)マスターバッチの平均粒子径
乾式粒度測定器(LA−920、堀場製作所製)を用いて測定した。積算径のD50を平均粒子径とした。
(工程1:原料調整工程)
塩化マグネシウム6水和物(和光純薬)と塩化アルミニウム6水和物(和光純薬)を脱イオン水に溶解させ、マグネシウム0.2mol/L、アルミニウム0.1mol/Lの水溶液を得た。この水溶液に対し、アルミニウムに対して1.75当量の乳酸ナトリウム(キシダ化学)を添加し、水溶性複合金属塩水溶液とした。一方、水酸化ナトリウム(和光純薬)を0.8mol/Lとなるよう脱イオン水に溶解させ、アルカリ金属水酸化物水溶液とした。
(工程2:反応工程)
水溶性複合金属塩水溶液の流量を120mL/min、アルカリ金属水酸化物水溶液の流量を95mL/minに設定し、オーバーフロー容量215mLの円柱状の反応槽にそれぞれを注加し、連続的に反応を行った。オーバーフローとして反応槽から溢れ出た懸濁液を採取し、pHが9.3〜9.6となるよう、アルカリ金属水酸化物水溶液の流量を調整した。なお反応中は、反応温度が25℃となるよう原料と反応槽を温度調整した。また、反応中は直径2.5cmのスクリュープロペラを用い、回転速度1000rpmで撹拌を行った。
(工程3:洗浄工程)
円形ヌッチェと吸引濾過瓶を用い、懸濁液を吸引濾過にて脱水し、ケーキとした。次に、ケーキに含まれるハイドロタルサイトのアルミニウムに対して1.5当量の炭酸ナトリウム水溶液をケーキに注加し、イオン交換を行った。次に、ハイドロタルサイトの30質量倍の脱イオン水を用い、塩類などの副生成物および残留炭酸ナトリウム等の不純物を除去する目的で、イオン交換後ケーキの水洗浄を行った。
(工程4:熟成工程)
水洗浄後のケーキを脱イオン水に再懸濁させた。再懸濁はホモミキサーを用い、回転数4000rpmで20分間行った。再懸濁した懸濁液に脱イオン水を注加し、50g/Lに濃度調整した。濃度調整後の懸濁液を恒温槽にて60℃に保ち、24時間の熟成処理を行い、ハイドロタルサイトAの懸濁液を得た。ハイドロタルサイトAの製造条件を表1に、ハイドロタルサイトAの化学組成、<003>方向の結晶歪、BET法比表面積を表2に示す。
(工程5:重合工程)
攪拌機を備えた容積200リットルの重合器に脱イオン水90kg、ピロ亜硫酸ナトリウム60gを仕込んで脱気した後、塩化ビニルモノマー60kgを仕込み、0.2%過硫酸カリウム水溶液を約10mL/分の割合で連続添加して50℃で重合を行い、レーザー回折法による平均粒子径0.48μmの種子重合体のラテックスを作成した。
次に、同じく200リットルの攪拌機付き重合器に脱イオン水80kg、ラウリル硫酸ナトリウム15g、亜硫酸アンモニウム90g、及び上記で準備した種ラテックスを固形分として4.5kg仕込み、脱気した後塩化ビニルモノマー75.5kgを仕込み、0.4%過硫酸アンモニウム水溶液10リットル、及びミリスチン酸アンモニウム水溶液6リットルを連続添加し、47℃で重合を行った。反応率が12%に達したところで重合度調節剤(フタル酸ジアリル)100gを系内に圧入した。重合器内圧が47℃の塩化ビニル単量体の飽和蒸気圧から1kg/cmに低下したところで未反応単量体を系外へ放出して反応を停止した。なお、塩化ビニル樹脂の平均重合度は2500であった。
上記により得られた塩ビラテックスに、攪拌下、前記(工程4)で得られた熟成後のハイドロタルサイトの懸濁液を、ラテックス中の塩化ビニル樹脂100重量部に対して、固形分として100重量部添加した。
(工程6:乾燥工程)
前記(工程5)で得られた塩ビラテックスを、スプレードライヤーにてノズル方式で噴霧乾燥させ、本発明の塩ビ用マスターバッチAを得た。乾燥室内の温度は、入口温度250℃、出口温度90℃となるよう設定した。塩ビ用マスターバッチAの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3に示す。図3に、塩ビ用マスターバッチAを観察した500倍のSEM写真を示す。
実施例1の熟成工程において、熟成温度を90℃としたこと以外は同様にしてハイドロタルサイトを作製し、ハイドロタルサイトBの懸濁液を得た。その後の工程は実施例1と同様に行い、本発明の塩ビ用マスターバッチBを得た。ハイドロタルサイトBの製造条件を表1に、ハイドロタルサイトBの化学組成、<003>方向の結晶歪、BET法比表面積を表2に、塩ビ用マスターバッチBの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3にそれぞれ示す。
実施例1の洗浄工程において、炭酸ナトリウム水溶液に代えて、ケーキに含まれるハイドロタルサイトのアルミニウムに対して1.5当量の過塩素酸ナトリウム水溶液をケーキに注加し、イオン交換を行ったこと以外は同様にしてサンプルを作製し、ハイドロタルサイトCの懸濁液を得た。その後の工程は実施例1と同様に行い、本発明の塩ビ用マスターバッチCを得た。ハイドロタルサイトCの製造条件を表1に、ハイドロタルサイトCの化学組成、<003>方向の結晶歪、BET法比表面積を表2に、塩ビ用マスターバッチCの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3にそれぞれ示す。
実施例1の原料調整工程において、塩化マグネシウム6水和物(和光純薬)と塩化アルミニウム6水和物(和光純薬)に加え、塩化亜鉛(和光純薬)を脱イオン水に溶解させ、マグネシウム0.15mol/L、亜鉛0.05mоl/L、アルミニウム0.1mol/Lの水溶液を得た。この水溶液に対し、アルミニウムに対して1.75当量の乳酸ナトリウム(キシダ化学)を添加し、水溶性複合金属塩水溶液とした。一方、水酸化ナトリウム(和光純薬)を0.8mol/Lとなるよう脱イオン水に溶解させ、アルカリ金属水酸化物水溶液とした。それ以降の工程は同様にしてサンプルを作製し、ハイドロタルサイトDの懸濁液を得た。その後の工程は実施例1と同様に行い、本発明の塩ビ用マスターバッチDを得た。ハイドロタルサイトDの製造条件を表1に、ハイドロタルサイトDの化学組成、<003>方向の結晶歪、BET法比表面積を表2に、塩ビ用マスターバッチDの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3にそれぞれ示す。
(比較例1)
実施例1の原料調整工程において、乳酸ナトリウムを加えないこと以外は同様にしてサンプルを作製し、ハイドロタルサイトEの懸濁液を得た。その後の工程は実施例1と同様に行い、塩ビ用マスターバッチEを得た。ハイドロタルサイトEの製造条件を表1に、ハイドロタルサイトEの化学組成、<003>方向の結晶歪、BET法比表面積を表2に、塩ビ用マスターバッチEの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3にそれぞれ示す。
(比較例2)
実施例1の熟成工程において、オートクレーブを用いて120℃、24時間で熟成させたこと以外は同様にしてサンプルを作製し、ハイドロタルサイトFの懸濁液を得た。その後の工程は実施例1と同様に行い、塩ビ用マスターバッチFを得た。ハイドロタルサイトFの製造条件を表1に、ハイドロタルサイトFの化学組成、<003>方向の結晶歪、BET法比表面積を表2に、塩ビ用マスターバッチFの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3にそれぞれ示す。
(比較例3)
実施例1の熟成工程において、熟成をなくしたこと以外は同様にしてサンプルを作製し、ハイドロタルサイトGの懸濁液を得た。その後の工程は実施例1と同様に行い、塩ビ用マスターバッチGを得た。ハイドロタルサイトGの製造条件を表1に、ハイドロタルサイトGの化学組成、<003>方向の結晶歪、BET法比表面積を表2に、塩ビ用マスターバッチGの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3にそれぞれ示す。
(比較例4)
実施例1の熟成工程において、熟成処理後のハイドロタルサイトの懸濁液を脱水し、真空乾燥させた後、粉砕し、ハイドロタルサイトHの粉末を得た。ハイドロタルサイトHの粉末を、固形分濃度で50g/Lとして、脱イオン水に懸濁させた。懸濁はホモミキサーを用い、回転数4000rpmで20分間行った。その後、重合工程において、塩ビラテックスに、攪拌下、上記で得られたハイドロタルサイトHの懸濁液を、ラテックス中の塩化ビニル樹脂100重量部に対して、固形分として100重量部添加した。その後の工程は同様にして行い、塩ビ用マスターバッチHを得た。塩ビ用マスターバッチHの平均粒子径、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅、ハイドロタルサイトのマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅およびマスターバッチ中での単分散度を表3にそれぞれ示す。
表1および2より、実施例1〜4のハイドロタルサイトは、比較例1〜3に比べて<003>方向の格子歪が小さく、BET法比表面積が大きいことが分かる。
表3より、実施例1〜4のマスターバッチに含有されるハイドロタルサイトは、マスターバッチ中での1次粒子の平均横幅が小さく、かつ単分散度が高いことが分かる。比較例1、3および4のハイドロタルサイトは、マスターバッチ中での1次粒子の平均横幅が小さいが、単分散度が低い。比較例2のハイドロタルサイトは、マスターバッチ中での単分散度が高いが、1次粒子が大きい。
実施例1で得られたマスターバッチAを、ポリ塩化ビニル樹脂に以下の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、本発明の塩ビ樹脂組成物を得た。
ポリ塩化ビニル(重合度1300):100部
DOP(ジオクチルフタレート):50部
マスターバッチ:3.2部
ステアリン酸亜鉛:0.4部
上記配合物を8インチロール機(NS−200、西村マシナリー社製)で170℃、5分間混錬し、厚さ0.7mmの試験用ロールシートを作成した。得られたロールシートを、縦横4cmの試験片とし、ステンレス板上に乗せ、ギヤオーブン(GPHH−100、エスペック社製)にて、開放度60%、180℃で熱安定性試験を実施した。熱安定性は、黒化または黒点発生までの時間(分)で評価した。黒化または黒点発生までの時間が長い方が、熱安定性に優れる。
上記で作製した試験用ロールシートを、縦横4cmに切り取り、3枚重ね、厚さ2mmの型枠に入れ、上下から鏡面ステンレス版で挟み、プレス機(ANSF−50HH/C、神藤金属工業所製)にて、200℃10分、100MPaでプレスし、試験片を作製した。作製した試験片のヘーズ(曇り度)を、JIS.K.7136に基づき、ヘーズメーター(オートマチックヘーズメーターTC−H3DP、東京電色製)で測定し、透明性を評価した。ヘーズが低い方が、透明性に優れる。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
実施例2で得られたマスターバッチBを、ポリ塩化ビニル樹脂に実施例5と同様の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、本発明の塩ビ樹脂組成物を得た。さらに実施例5と同様の方法で熱安定性および透明性を評価した。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
実施例3で得られたマスターバッチCを、ポリ塩化ビニル樹脂に実施例5と同様の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、本発明の塩ビ樹脂組成物を得た。さらに実施例5と同様の方法で熱安定性および透明性を評価した。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
実施例4で得られたマスターバッチDを、ポリ塩化ビニル樹脂に実施例5と同様の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、本発明の塩ビ樹脂組成物を得た。さらに実施例5と同様の方法で熱安定性および透明性を評価した。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
(比較例5)
比較例1で得られたマスターバッチEを、ポリ塩化ビニル樹脂に実施例5と同様の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、塩ビ樹脂組成物を得た。さらに実施例5と同様の方法で熱安定性および透明性を評価した。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
(比較例6)
比較例2で得られたマスターバッチFを、ポリ塩化ビニル樹脂に実施例5と同様の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、塩ビ樹脂組成物を得た。さらに実施例5と同様の方法で熱安定性および透明性を評価した。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
(比較例7)
比較例3で得られたマスターバッチGを、ポリ塩化ビニル樹脂に実施例5と同様の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、塩ビ樹脂組成物を得た。さらに実施例5と同様の方法で熱安定性および透明性を評価した。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
(比較例8)
比較例4で得られたマスターバッチHを、ポリ塩化ビニル樹脂に実施例5と同様の配合比で配合し、ロール機にて溶融混錬し、塩ビ樹脂組成物を得た。さらに実施例5と同様の方法で熱安定性および透明性を評価した。配合、熱安定性および透明性試験結果を表4に示す。
表4より、実施例5〜8の塩ビ樹脂組成物は、比較例5〜8に比べ、熱安定性および透明性のいずれも優れていることが分かる。
本発明の塩ビ用マスターバッチを用いて作製した塩ビ樹脂組成物は、従来の方法と比べて、樹脂中のハイドロタルサイトの分散性が良く、熱安定性および透明性が高い。本発明の塩ビ用マスターバッチは、硬質配合、半硬質配合、軟質配合等を問わず、様々な塩ビ系樹脂の製造に用いることができる。

Claims (6)

  1. 塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、下記(式1)で表されるハイドロタルサイトを5〜250重量部含有する塩化ビニル系樹脂用マスターバッチであって、該塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ中のハイドロタルサイトが以下の(A)および(B)を満たす、塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ。
    (M2+1−X(M3+(OH)(An−X/n・mHO (式1)
    (ただし、式中M2+は2価金属の少なくとも1種以上、M3+は3価金属の少なくとも1種以上、An−はn価のアニオン、nは1〜6の整数をそれぞれ示し、xおよびmはそれぞれ、0.17≦x≦0.36、0≦m≦10の範囲にある。)
    (A)SEM法による1次粒子のマスターバッチ中での平均横幅が5nm以上200nm以下;
    (B)下記式で表されるマスターバッチ中での単分散度が50%以上;
    マスターバッチ中での単分散度(%)=(SEM法によるマスターバッチ中での1次粒子の平均横幅/SEM法によるマスターバッチ中での2次粒子の平均横幅)×100
  2. 請求項1に記載のハイドロタルサイトにおいて、X線回折法による<003>方向の格子歪が3×10−3以下である、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ。
  3. 請求項1に記載のハイドロタルサイトにおいて、M2+がMg、Znからなる群より選ばれる1種以上であり、M3+がAlである、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ。
  4. 請求項1に記載のハイドロタルサイトにおいて、BET法比表面積が20〜600m/gである、請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用マスターバッチ。
  5. 請求項1に記載の塩化ビニル系樹脂用マスターバッチを含有する、塩化ビニル系樹脂組成物。
  6. 以下の6つの工程を含む塩化ビニル系樹脂用マスターバッチの製造方法。
    (工程1)水溶性複合金属塩水溶液及び、アルカリ金属水酸化物水溶液を調製する原料調製工程。ただし、該水溶性複合金属塩水溶液は、2価金属塩、3価金属塩及び、3価金属と錯体を形成する1価の有機酸及び/又は有機酸塩を含む。
    (工程2)(工程1)で調整した水溶性複合金属塩水溶液とアルカリ金属水酸化物水溶液を、反応温度0〜60℃、反応pH8.5〜11.5で連続反応させ、ハイドロタルサイトを含む懸濁液を得る反応工程。
    (工程3)(工程2)で得られたハイドロタルサイトを含む懸濁液を脱水後、水洗浄を行い、水溶媒に懸濁させる洗浄工程。
    (工程4)(工程3)で得られた洗浄後のハイドロタルサイトを含む懸濁液を、0〜100℃で1〜60時間攪拌保持する熟成工程。
    (工程5)塩化ビニル単量体単独または、塩化ビニル単量体および塩化ビニルと共重合可能な他の単量体との混合物を重合させ、塩化ビニル系樹脂ラテックスを得る重合工程。ただし、(工程4)で作製したハイドロタルサイトを含有する懸濁液を、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、ハイドロタルサイトの固形分で5〜250重量部、重合開始前、重合中、重合終了後の任意の時期に添加する。
    (工程6)(工程5)で得られた塩化ビニル系樹脂ラテックスを噴霧乾燥させる乾燥工程。
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