JP2019094254A - ダイヤモンド半導体基板の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド半導体基板の製造方法 Download PDF

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【課題】高圧装置が不要で、欠陥が十分に回復された低抵抗のダイヤモンド半導体基板を安価に得ることができるダイヤモンド半導体基板製造方法を提供する。【解決手段】ダイヤモンド基板にイオン注入すること、前記イオン注入したダイヤモンド基板の表面に、カーボン層を形成すること、並びに前記カーボン層を形成したダイヤモンド基板を、式(1):−4/5×X+1420≦Y≦−4/5×X+1512 (1)(式中、前記Xは熱処理温度であり、前記Yは熱処理時間であり、前記X及びYの範囲は、1600℃≦X≦1880℃、及び8分間≦Y≦140分間である)を満たす条件で熱処理することを含む、ダイヤモンド半導体基板の製造方法。【選択図】図3

Description

本開示は、ダイヤモンド半導体基板の製造方法に関する。
ダイヤモンド材料は、硬度が極めて高く、耐熱性にも優れている。また、絶縁破壊電圧及び飽和ドリフト速度が大きい、誘電率が小さい等、電気的特性にも優れている。更に、室温付近においては高い熱伝導性を示し、熱放散性も高い。
よって、ダイヤモンド材料は、次世代の耐高温・耐放射線等極限環境用素子や高周波及び高出力素子用の半導体として使用されることが期待され、現在、かかる材料を用いた半導体の開発が進んでいる。
ダイヤモンド材料は、バンドギャップが5.47eVと大きく、通常は絶縁体であるが、ドープ剤(不純物)をドープすることにより半導体化することができる。具体的には、ダイヤモンドの適切な部位に外部からダイヤモンドに対してイオンをイオン注入法により導入し、その必要部位に導電性を付与する。
イオン注入法により半導体を製造する場合、イオン注入後、通常、熱処理を行う必要がある。注入したイオンのほとんどは結晶内で格子位置に置換できず、電気的にアクセプタまたはドナーとして働かずに、いわゆる欠陥としての格子間原子として存在する傾向にある。イオン注入後に熱処理を行うことにより、イオンを結晶格子の置換位置に好適に置き換えると同時に、イオン注入による結晶性の乱れを有効に回復させことができ、結果、イオン注入層を電気的に活性化することができる。
従来、シリコン基板を用いて半導体を製造する際、イオン注入後、800℃程度の比較的低い温度で熱処理を行っている。しかしながら、ダイヤモンドを用いて半導体を製造する際に、シリコン基板の製造に用いられている熱処理方法を適用しても、結晶性の乱れを有効に回復させることができず、イオン注入層を電気的に活性化させることが困難である。
これに対して、特許文献1及び非特許文献1には、ダイヤモンド基板にホウ素イオンを注入した後に1600℃以上で熱処理することが記載され、具体的には特許文献1の実施例に、1600℃で2時間、熱処理を行い、イオン注入層を電気的に活性化する方法が開示されている。
特開2008−108925号公報
Nobuteru Tsubouchi,et al., Diamond & Related Materials,18(2009)128−131
しかしながら、1600℃で2時間の熱処理では、はじき出された炭素原子の移動が十分ではなく、欠陥の回復が不十分になり低抵抗化も不十分になる。
実際、不純物をイオン注入したダイヤモンド半導体基板の欠陥回復、活性化を促進するために、より高温の熱処理を行おうとすると、温度上昇とともに雰囲気圧力も高めないとダイヤモンドが黒鉛化しやすくなる。そのため、特許文献1及び非特許文献1では1600℃までの温度しか確認されておらず、より高温での熱処理についての具体的記載がない。また、ダイヤモンドが安定する高圧下で高温加熱を行う場合、高圧装置が必要となり、加熱装置が巨大且つ高価格になり、特に半導体の生産応用を考慮すると、直径が5.08cm以上といった口径の大きな半導体基板を処理することも難しい。
そのため、高圧装置が不要で、欠陥が十分に回復された低抵抗のダイヤモンド半導体基板を安価に得ることができるダイヤモンド半導体基板の製造方法が求められている。
本開示は、
ダイヤモンド基板にイオン注入を行うこと、
前記イオン注入が行われたダイヤモンド基板の表面に、カーボン層を形成すること、並びに
前記カーボン層を形成したダイヤモンド基板を、式(1):
−4/5×X+1420≦Y≦−4/5×X+1512 (1)
(式中、前記Xは熱処理温度であり、前記Yは熱処理時間であり、前記X及びYの範囲は、1600℃≦X≦1880℃、及び8分間≦Y≦140分間である)
を満たす条件で熱処理することを含む、ダイヤモンド半導体基板の製造方法
を対象とする。
本開示はまた、
ダイヤモンド基板、前記ダイヤモンド基板上の5×1015〜5×1017/cmのAl濃度を有するAlイオン注入層、及び前記Alイオン注入層中の5×1015〜1×1021/cmのB濃度を有するBイオン注入層を含む、ダイヤモンド半導体基板
を対象とする。
本開示の方法によれば、高圧装置が不要で、欠陥が十分に回復された低抵抗のダイヤモンド半導体基板を安価に得ることができる。
図1は、イオン注入したダイヤモンド基板にカーボン層を形成したカーボンキャップ構造の断面模式図である。 図2は、熱処理温度と熱処理時間とによる黒鉛化有無を表すグラフである。 図3は、黒鉛化抑制及び活性化を両立できる熱処理条件を表すグラフである。 図4は、本開示の方法を含むダイヤモンド半導体基板の製造工程の一例を説明する模式図である。 図5は、本開示の方法を含むダイヤモンド半導体基板の製造工程の一例を説明する模式図である。 図6は、本開示の方法を含む素子の製造工程の一例を説明する模式図である。 図7は、実施例5で得られたダイヤモンド基板の顕微鏡写真である。 図8は、比較例2で得られたダイヤモンド基板の顕微鏡写真である。 図9は、実施例1(1700℃、60分間)で得られたダイヤモンド基板について行ったRBS測定結果である。 図10は、実施例2(1700℃、120分間)で得られたダイヤモンド基板について行ったRBS測定結果である。 図11は、ダイヤモンド基板のイオン注入層におけるχminとドーピング効率との関係を表すグラフである。 図12は、実施例7〜9及び比較例9で得られたダイヤモンド単結晶基板における、熱処理温度とイオン注入層のχminとの関係を表すグラフである。 図13は、実施例7及び10〜17で得られたダイヤモンド単結晶基板のイオン注入層におけるイオン濃度とχminとの関係を表すグラフである。 図14は、Alイオン注入層22にBイオン注入層24を形成したダイヤモンド基板の断面模式図である。 図15は、Alイオン注入層22を形成したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図である。 図16は、Alイオン注入層22上にSiO膜28及びフォトレジストパターン26を形成したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図である。 図17は、Bイオン注入を行っているときの断面模式図である。 図18は、SiOマスクを除去した後のBイオン注入層24が形成されたダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図である。 図19は、Al膜33及びフォトレジストパターン26を形成したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図である。 図20は、フォトレジストパターンを除去した後の、Al膜にソース電極及びドレイン電極を形成する部分を開口したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図である。 図21は、フォトレジストパターン26及びTi/Au30が形成されたダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図である。 図22は、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極34が形成されたダイヤモンド半導体素子の断面模式図である。 図23は、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極34が形成された別のダイヤモンド半導体素子の断面模式図である。 図24は、Alイオン注入層22にBイオン注入層24を形成したダイヤモンド基板10の断面模式図である。 図25は、Pt/Ti電極形成前のHall測定用素子の主面からみた外観写真である。 図26は、実施例21及び比較例10で作製したHall測定用素子の端子間電圧と端子間電流との関係を表すグラフである。
本開示は、ダイヤモンド基板にイオン注入を行うこと、前記イオン注入が行われたダイヤモンド基板の表面に、カーボン層を形成すること、並びに前記カーボン層を形成したダイヤモンド基板を、式(1):
−4/5×X+1420≦Y≦−4/5×X+1512 (1)
(式中、前記Xは熱処理温度であり、前記Yは熱処理時間であり、前記X及びYの範囲は、1600℃≦X≦1880℃、及び8分間≦Y≦140分間である)
を満たす条件で熱処理することを含む、ダイヤモンド半導体基板の製造方法を対象とする。
本開示の方法においては、ダイヤモンド基板にイオン注入を行う。これにより、ダイヤモンド基板の表面にイオン注入層が形成される。
ダイヤモンド基板は、単結晶または多結晶であることができ、好ましくは単結晶である。ダイヤモンド基板は、高温高圧法またはCVD法で作製したものであることができる。ダイヤモンド基板は、好ましくは、面方位が、(001)、(110)、(001)2°オフ、または(111)であることができる。ダイヤモンド基板はまた、ホウ素ドーピングされたものでもよい。
好ましくは、ダイヤモンド基板上に厚さ0.5〜2μmのドーピングしていない高純度の単結晶ダイヤモンド層(エピ層)を形成し、得られた高純度の単結晶ダイヤモンド層にイオン注入を行い、イオン注入層を形成する。ドーピングしていない高純度の単結晶ダイヤモンド層を形成して、この高純度の単結晶ダイヤモンド層にイオン注入することにより、トランジスタやダイオードなどの素子のドリフト層などに適用可能なドーピングされた高純度層をダイヤモンド基板に形成できる。
ドーピングしていない高純度の単結晶ダイヤモンド層は、好ましくは、プラズマCVD法により作製される。ドーピングしていない高純度の単結晶ダイヤモンド層を形成するためのプラズマCVD法は、従来と同様の方法で行うことができるが、例えば、CHガス30sccm、Hガス500sccm、成膜温度900〜1000℃、雰囲気圧力100Torrの条件で行うことができる。
イオン注入に用いられるイオンは、好ましくはIII族またはV族の元素、より好ましくはB、Al、Ga、N、P、またはAsである。イオン注入に用いられるイオンは、p型伝導半導体では、好ましくはAlまたはBであり、より好ましくはAlである。イオン注入層の厚みは用途に応じて変えることができるが、好ましくは50nm〜10μmである。イオン注入は、従来から用いられているイオン注入装置を用いて行うことができる。イオン注入では、好ましくは、イオン注入エネルギーを段階的に変化させる多段注入を行い、例えば、Alイオン濃度が5×1015〜5×1017/cmで、注入深さが0.05〜0.2μmのボックスプロファイルを形成することができる。
Bは、p型伝導のドーパントとして好ましく用いられるが、活性化エネルギー(イオン化エネルギー)がやや大きい。この点、Alは、活性化エネルギー(イオン化エネルギー)が低く、室温でもキャリアのより高い活性化率が期待できるのでより好ましい。
ダイヤモンドの格子定数が小さいため、Bイオン及びNイオンは比較的ドープしやすいものの、それ以外のイオンはダイヤモンドの結晶内に入りにくく、入っても結晶格子がひずみ、結晶欠陥や結晶性などの結晶品質を劣化させるので、これまで十分なキャリア濃度を得ることが難しかった。例えば、Al、Ga、Asなどの原子半径の大きな元素をダイヤモンドにドーピングしようとすると、C(格子)に置き換わる際、原子半径が大きいため、結晶がひずみやすい。特に、これらの原子半径の大きな元素を1×1019cm−3のような高い濃度でダイヤモンドにドーピングすると、結晶格子の歪みがより大きくなり、欠陥の発生や結晶性の劣化が起こる。
Bドープ量は、好ましくは5×1015/cm−3〜5×1021/cm−3である。Alドープ量は、好ましくは5×1015/cm−3〜5×1017/cm−3である。Bドープ量及びAlドープ量については、上記範囲内であることにより良好な結晶性を得ることができる。
ダイヤモンド基板へのイオン注入後に、イオン注入層の表面にカーボン層を形成してカーボンキャップを行う。イオン注入したダイヤモンド基板にカーボン層を形成したカーボンキャップ構造の断面模式図を図1に示す。ダイヤモンド基板10の表面にイオン注入層12が形成され、さらにイオン注入層12の表面にカーボン層14が形成されている。
次いで、カーボン層を形成したイオン注入ダイヤモンド基板に、熱処理(活性化アニール)を行う。
本発明者は、ダイヤモンド基板にイオン注入することによって、ダイヤモンドの格子位置からはじき出された炭素原子がダイヤモンド基板の表面に拡散すること、それによってダイヤモンド基板の表面に黒鉛が形成されやすくなり、黒鉛化が起こりやすくなること、及び上記のようにイオン注入したダイヤモンド基板の表面にカーボン層を形成してから熱処理を行うことによって、黒鉛化を抑制しつつイオン注入層におけるドーピングの活性化を十分に行うことができることを見出した。本明細書においては、黒鉛化とは、ダイヤモンドが高温にさらされることで分解し、黒鉛状になることを意味する。
本開示の方法では、この炭素原子の表面への拡散を抑制し、黒鉛化を抑制するために、カーボン層を形成してから熱処理を行う。ダイヤモンド基板の表面にカーボン層を形成することで、熱処理時におけるダイヤモンド基板内部の炭素の拡散を抑制することができると考えられる。
図2に、カーボン層を形成することによる黒鉛化抑制効果を示す。図2は、熱処理温度と熱処理時間とによる黒鉛化有無を表すグラフである。(001)面方位を有する合成ダイヤモンドの単結晶基板の表面にイオン注入により、厚みが0.2μmで5×1019/cmのB濃度を有するイオン注入層を形成し、そのまま熱処理をしたものをカーボンキャップ無しとし、イオン注入されたダイヤモンド単結晶基板の表面にカーボンキャップを形成したダイヤモンド単結晶基板を熱処理したものカーボンキャップ有りとして、熱処理温度と熱処理時間とによる黒鉛化有無を評価した。
図2において、破線より低温側では、カーボンキャップ無しでも黒鉛化は起こらず、破線より高温側で実線より低温側では、カーボンキャップ無しでは黒鉛化が起こるが、カーボンキャップ有りで黒鉛化は起こらず、実線より高温側ではカーボンキャップ有りでも黒鉛化が起こる。○印は、カーボンキャップ有りで黒鉛化無し且つ活性化有り、△印はカーボンキャップ無しで黒鉛化無しだが活性化も無し、×印はカーボンキャップ有りでも黒鉛化することを意味する。
このように、イオン注入したダイヤモンド基板の表面にカーボン層を形成することによって、熱処理におけるダイヤモンド基板表面の黒鉛化が抑制され、従来よりも黒鉛化が起こらない温度範囲を高温側に拡げることができ、高温の熱処理が可能になる。
熱処理温度を高くすることによって、熱振動(格子振動)が加速され、イオン注入ではじき出された原子(母体の炭素原子)及び注入不純物元素の移動が促進される。所定の熱処理温度で所定の時間、熱処理を行うことによって、はじき出された原子が格子位置に十分に移動して欠陥の回復が行われる。
黒鉛化有無は、顕微鏡観察によりダイヤモンド基板の表面に荒れがあるかどうか及びすす状になっているかどうかにより判断する。荒れまたはすす状のいずれか一方が確認されれば黒鉛化有と判断する。
図3に、黒鉛化抑制及び欠陥の回復(活性化)を両立できる熱処理条件を表すグラフを示す。図3においては、黒鉛化が起こらず且つχminが7.6%以下である範囲を、破線で囲んだ。
χminは、欠陥の回復(結晶性回復、活性化)の指標であり、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)により測定することができる。χminは、ランダムとチャネリングの散乱強度の比であり、小さいほど結晶性が良いといえる。ダイヤモンド基板にイオン注入を行うと、ダイヤモンドの格子にあるC元素とドーピング不純物が入れ替わる為、結晶格子が乱れ、結晶がひずむ。後で説明するように、χminが7.6%の場合に結晶性が回復途上の状態で且つ比抵抗値も低くなるため、χminが7.6%以下の場合に活性化されたとして判断した。
χminは、好ましくは5.0%以下、より好ましくは4.7%以下である。χminが5.0%以下の場合、80%以上のドーピング効率、χminが4.7%以下の場合、90%以上のドーピング効率を得ることができる。ドーピング効率とは、活性化したドーパントの濃度に対するドーピング濃度の比率を意味し、N/p(%)で表される。Nはアクセプタ濃度であり、pは注入したイオン濃度である。
Hall測定(van der Pauw法)によりキャリア濃度の測定温度依存性を測定し、得られた結果を以下の中性方程式:
(式中、kBはボルツマン定数、Nは有効状態密度、gはドーパント(アクセプタ)の準位の縮退度、Tは絶対温度(K)、Nはアクセプタ濃度、Nはドナー濃度、pはキャリア濃度(ホール濃度)、Eはドーパント(アクセプタ)のイオン化エネルギー(活性化エネルギー)である)
でフィッティングを行い、アクセプタ濃度(N)を算出することができる。
ダイヤモンド基板のイオン注入層の比抵抗値は、好ましくは100Ωcm以下、より好ましくは90Ωcm以下、さらに好ましくは80Ωcm以下、さらにより好ましくは72Ωcm以下である。
図3において破線で囲んだ熱処理温度と処理時間との範囲は、式(1):
−4/5×X+1420≦Y≦−4/5×X+1512 (1)
(式中、前記Xは熱処理温度であり、前記Yは熱処理時間であり、前記X及びYの範囲は、1600℃≦X≦1880℃、及び8分間≦Y≦140分間である)
を満たす範囲である。
カーボンキャップを行って式(1)を満たす条件で熱処理を行うことにより、基板劣化なく結晶性を回復することができる。また、熱処理温度が1600℃未満の場合、ドーピング効率が極めて低くなる。
式(1)において、前記Xの範囲の下限は、好ましくは1700℃以上、より好ましくは1730℃以上、さらに好ましくは1800℃以上であり、前記Xの範囲の上限は、好ましくは1850℃以下である。前記Yの範囲は、好ましくは10分間≦Y≦120分間、より好ましくは10分間≦Y≦60分間である。
前記Yが、式(1)の下限未満では欠陥の回復が不十分となり、式(1)の上限超では黒鉛化が起こる。上記条件を満たす熱処理を行うことによって、黒鉛化抑制及び欠陥の回復を両立して低抵抗のダイヤモンド半導体基板を得ることができる。
カーボン層は、CVD法またはプラズマCVD法を用いて形成することができる。カーボン層の厚みは、好ましくは50〜1000nmであり、より好ましくは60〜200nm、さらに好ましくは80〜100nmである。カーボン層が上記範囲内にあることによって、カーボンキャップ効果をより安定して得ることができる。
カーボン層は、好ましくは、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、黒鉛、またはそれらの混合物で構成され、より好ましくは、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、またはそれらの混合物で構成される。
熱処理は、大気圧の熱処理炉で行うことができ、好ましくは不活性雰囲気下、より好ましくはアルゴン雰囲気下、ヘリウム雰囲気下、または窒素雰囲気下、さらに好ましくはアルゴン雰囲気下で行う。
好ましくは、イオン注入のイオンがAlであり、カーボン層を形成したダイヤモンド基板を、不活性ガス中で、1730℃≦X≦1900℃の熱処理温度で、熱処理を行う。これにより、ダイヤモンド基板に、5×1015〜5×1017/cmのAl濃度を有するAlイオン注入層を形成することができる。
好ましくは、形成したAlドープ層内にBをさらにイオン注入する。これにより、ダイヤモンド基板に、5×1015〜1×1021/cmのB濃度を有するイオン注入層(コンタクト層)を形成することができる。
本開示はまた、ダイヤモンド基板、前記ダイヤモンド基板上の5×1015〜5×1017/cmのAl濃度を有するAlイオン注入層、及び前記Alイオン注入層中の5×1015〜1×1021/cmのB濃度を有するBイオン注入層を含む、ダイヤモンド半導体基板を対象とする。
本開示のダイヤモンド半導体基板は、上記ダイヤモンド半導体基板の製造方法により作製することができる。ダイヤモンド基板、Alイオン注入層、及びBイオン注入層に関する構成は、上記ダイヤモンド半導体基板の製造方法において記載した内容を適用することができる。
ダイヤモンド半導体基板の製造工程の一例を、図4及び図5を参照しながら以下に示す。
Ar雰囲気の大気圧下でのCVD法または高温高圧法にて形成した(001)面方位及び(110)面方位を有する合成ダイヤモンドの単結晶基板を、熱混酸処理する。これにより、表面の黒鉛を除去した清浄な表面を持ったダイヤモンド基板を得る。
図4に示すように、熱混酸処理を行ったダイヤモンド単結晶基板10の表面に、イオン注入法を用いてイオン注入を行い、イオン注入層12を形成する。図5に示すように、ダイヤモンド単結晶基板の表面にエピ層16を形成し、エピ層16の表面にイオン注入層12を形成してもよい。
イオン注入されたダイヤモンド単結晶基板の表面に、プラズマCVD装置で、アセチレン(C22)を用いて、カーボン層14を形成してカーボンキャップを得る。
イオン注入した表面をカーボンキャップしたダイヤモンド単結晶基板を、上記熱処理条件に基づいて熱処理して、ダイヤモンド半導体基板を得る。
比抵抗の測定は、van der Pauw法を用いて行われる。
本開示の方法を用いて、素子を作製することができる。素子の製造工程の一例を、図6を参照しながら以下に示す。
(1)RCA洗浄、熱混酸洗浄等で表面を清浄化したダイヤモンド基板10を用意する。マイクロ波プラズマCVD等で、原料ガスとしてH2、CH4、トリメチルホウ素等を用いて、ダイヤモンド基板の表面にエピ層16を形成する。エピ層は、例えば、膜厚2μm、B濃度1×1017cm-3であることができる。
(2)スパッタまたはプラズマCVDでSiO2膜を1μmほど堆積する。次いで、コンタクト部を開口するようにフォトレジストを形成し、ドライエッチング装置で原料ガスとしてCHF3を用いて、フォトレジストをマスクとして、コンタクト開口部を開口するようにSiO2膜をエッチングする。次いで、レジスト剥離液により、フォトレジストを除去し、コンタクト注入用のSiO2マスク18を形成する。
(3)B濃度が0.5×1018〜2×1021cm-3、厚さ20〜300nmになるように、500℃にて、イオン注入を行ない、イオン注入層12を形成する。本工程(3)及び以下の工程(4)及び(5)は、本開示の方法の一例である。
(4)イオン注入後、バッファードHFなどにより、SiO2マスクを除去する。次いで、プラズマCVDにより、原料ガスにC22ガスを用いて、厚さ80nmのカーボン層14を形成する。
(5)大気圧Ar雰囲気にて上記条件の範囲内で熱処理を行う。
(6)次いで熱混酸(硫酸と硝酸の混合液、温度200℃)にてカーボン層を除去する。
(7)スパッタまたはプラズマCVDによりSiO2膜20を1μmほど堆積する。次いで、ソース、ドレイン形成部分を開口するようにフォトレジストを形成し、ドライエッチング装置で原料ガスとしてCHF3を用いて、フォトレジストをマスクとして、ソース、ドレイン部を開口するようにSiO2膜20をエッチングする。次いで、ソース、ドレイン部を形成する部分を開口するように、さらにフォトレジストを形成する。次いで、電子ビーム蒸着器にて、Ti膜及びAu膜を成膜し、レジスト膜上に堆積する。Ti膜は例えば厚さが100nmであり、Au膜は例えば厚さが0.5μmである。
レジスト剥離液を用いてTi膜及びAu膜を除去することで、所定位置にソース、ドレイン電極となるTi/Au膜を形成する。大気圧高温加熱炉を用いてAr雰囲気500℃にて10分ほど加熱することにより、ソース、ドレイン電極のオーミック接触を形成する。
ソース、ドレイン電極の形成方法と同様の方法で、ゲート形成部分を開口するようにフォトレジストを形成し、ドライエッチングにてゲート部を形成するようにSiO2膜20をエッチングする。次いで、ゲート電極を形成するようにフォトレジストを開口し、電子ビーム蒸着器にてPt膜を成膜し、レジスト膜上に堆積する。レジスト剥離液を用いてPt膜を除去することで、所定位置にゲート電極となるPt膜を形成する。Pt膜は例えば厚さが0.2μmである。
(実施例1)
Ar雰囲気の大気圧下でのCVD法にて形成した(001)面方位を有する合成ダイヤモンドの単結晶基板を、熱混酸(硫酸と硝酸の混合液、温度200℃)処理する。これにより、表面の黒鉛を除去した清浄な表面を持ったダイヤモンド基板を得た。
熱混酸処理を行ったダイヤモンド単結晶基板の表面にBイオンを注入して、厚みが0.2μmで5×1019cm−3のB濃度を有するイオン注入層を形成した。イオン注入は、プラズマCVDを用いて以下の条件で行った。処理ガス:エチレン(C22)、ガス流量:54ccm、ガス圧力:0.5Pa、処理時間:630秒、RF出力:1.0kW、繰り返し周波数:4000pps、RF幅:50μs。
イオン注入後、イオン注入されたダイヤモンド単結晶基板の表面に、プラズマCVD装置で、アセチレン(C22)を用いて、アモルファスカーボンで構成されたカーボン層を形成して、表面にカーボンキャップを形成したダイヤモンド単結晶基板を得た。カーボン層の厚みは5箇所の厚みの平均値である。
表面にカーボンキャップを形成したダイヤモンド単結晶基板を、1700℃で60分間Ar雰囲気にて熱処理した。次いで、熱混酸(硫酸と硝酸の混合液、温度200℃)処理をして、カーボンキャップを除去した。
光学顕微鏡にて、熱処理したイオン注入層の表面状態を観察して黒鉛化有無を判断した。
欠陥の低減(結晶性の回復)の有無は、RBS(ラザフォード後方散乱法)測定で得られたχmin及びHall測定で得られた比抵抗値を用いて、評価した。
RBS測定には、3MeV加速器(日新ハイボルテージ製NC−3000)/RBS測定系(島津製作所製IBA−7500)を用い、加速イオンとしてHe、加速エネルギーを2.3MeV、検出器角度を160°として、RBSスペクトルを測定しχminを算出した。
(実施例2)
熱処理条件を1700℃、120分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χmin及び比抵抗値を測定し、黒鉛化有無を判断した。
(実施例3)
熱処理条件を1700℃、10分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χmin及び比抵抗値を測定し、黒鉛化有無を判断した。
(実施例4)
熱処理条件を1700℃、30分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χmin及び比抵抗値を測定し、黒鉛化有無を判断した。
(実施例5)
熱処理条件を1700℃、60分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、黒鉛化有無を判断した。
(実施例6)
熱処理条件を1850℃、10分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、比抵抗値を測定し、黒鉛化有無を判断した。
(比較例1〜2)
熱処理条件として、熱処理温度を1850℃とし、熱処理時間を90分間、120分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、黒鉛化有無を判断した。
(比較例3〜4)
熱処理条件として、熱処理温度を2000℃とし、熱処理時間を10分間、120分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、黒鉛化有無を判断した。
(比較例5)
カーボンキャップを形成せず、熱処理条件を1700℃、30分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χmin及び比抵抗値を測定し、黒鉛化有無を判断した。
(比較例6)
カーボンキャップを形成せず、熱処理条件を1500℃、60分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χmin及び比抵抗値を測定し、黒鉛化有無を判断した。
(比較例7)
比較例7として、非特許文献1から引用した1600℃、120分間熱処理して得られたダイヤモンド単結晶基板を示す。本例のダイヤモンド単結晶基板は、カーボンキャップを形成せず、熱処理条件を1600℃、120分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板に相当する。
(比較例8)
カーボンキャップを形成せず、熱処理条件を1450℃、30分間にしたこと以外は実施例1と同じ方法で熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χminを測定し、黒鉛化有無を判断した。
図3及び表1に、実施例1〜6及び比較例1〜8のカーボンキャップ有無、熱処理温度、及び熱処理時間、並びに熱処理後のダイヤモンド単結晶基板のχmin及び比抵抗値を示す。
図7に、実施例5で得られたダイヤモンド基板の顕微鏡写真を示す。図8に比較例2で得られたダイヤモンド基板の顕微鏡写真を示す。
図9に、実施例1(1700℃、60分間)で得られたダイヤモンド基板について行ったRBS測定結果を示す。図10に、実施例2(1700℃、120分間)で得られたダイヤモンド基板について行ったRBS測定結果を示す。
実施例1で得られたダイヤモンド基板のRBSプロファイルには、結晶回復途上に起因したステップがみられ結晶回復の境界にあり、χminは7.6%であった。この結果から、χminが7.6%以下の場合に活性化されたと判断した。
実施例2で得られたダイヤモンド基板のRBSプロファイルには、ステップはみられず、χminは6.5%であった。
(ドーピング効率の測定)
実施例4並びに比較例7及び8で得られたダイヤモンド基板のイオン注入層におけるχminとドーピング効率N/p(%)との関係を、表2及び図11に示す。Nはアクセプタ濃度であり、pは注入イオン濃度である。Hall測定(van der Pauw法)によりキャリア濃度の測定温度依存性を測定し、得られた結果を以下の中性方程式:

(式中、kBはボルツマン定数、Nは有効状態密度、gはドーパント(アクセプタ)の準位の縮退度、Tは絶対温度(K)、Nはアクセプタ濃度、Nはドナー濃度、pはキャリア濃度(ホール濃度)、Eはドーパント(アクセプタ)のイオン化エネルギー(活性化エネルギー)である)
でフィッティングを行い、アクセプタ濃度(N)を算出した。
(実施例7)
Ar雰囲気の大気圧下でのCVDで合成した(001)2°オフ単結晶ダイヤモンド基板に、CHガス30sccm、Hガス500sccm、成膜温度900〜1000℃、雰囲気圧力100Torrの条件のプラズマCVD法を用いて、2μm厚の、ノンドープ単結晶ダイヤモンド層を形成した。
得られたノンドープ単結晶ダイヤモンド層に、イオン注入法を用いて500℃で多段注入を行い、厚さが0.2μmでAlイオン濃度が5×1015/cmのイオン注入層を形成した。
イオン注入層の表面に、CHガスを用いたプラズマCVD法で、80nm厚のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜のカーボンキャップを形成し、1700℃で30分間、大気圧のAr雰囲気中で熱処理をした。次いで、熱混酸(硫酸と硝酸の混合液、温度200℃)処理をして、カーボンキャップを除去した。
実施例1と同様に、熱処理したイオン注入層のχmin及び比抵抗値を測定し、黒鉛化有無を判断した。
(実施例8〜9)
熱処理温度を1800℃、1850℃にしたこと以外は、実施例7と同じ方法で、熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χmin及び黒鉛化有無を判断した。
(比較例9)
熱処理温度を500℃にしたこと以外は、実施例7と同じ方法で、熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χmin及び黒鉛化有無を判断した。
表3及び図12に、実施例7〜9及び比較例9で得られたダイヤモンド単結晶基板における、熱処理温度とイオン注入層のχminとの関係を表すグラフを示す。
熱処理温度が1700℃のときにχminは5.0%が得られ、1800℃及び1850℃で、イオン注入無しの場合と同レベルの低いχminが得られた。
(実施例10〜13)
Alイオン濃度が5×1017/cm、1×1019/cm、1×1020/cm、及び5×1020/cmのイオン注入層を形成したこと以外は、実施例7と同じ方法で、熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χminを測定した。
(実施例14)
ノンドープ単結晶ダイヤモンド層に、イオン注入法を用いて500℃で多段注入を行い、厚さが0.2μmでBイオン濃度が5×1015/cmのイオン注入層を形成したこと以外は、実施例7と同じ方法で、熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χminを測定した。
(実施例15〜17)
Bイオン濃度が5×1019/cm、5×1020/cm、及び1×1021/cmのイオン注入層を形成したこと以外は、実施例14と同じ方法で、熱処理したダイヤモンド単結晶基板を得て、χminを測定した。
表4及び図13に、実施例7及び10〜17で得られたダイヤモンド単結晶基板のイオン注入層におけるイオン濃度とχminとの関係を表すグラフを示す。
Alイオン注入濃度が高くなるとχminも大きくなるが、Bイオン注入濃度が高くなってもχminの変化は小さかった。
(実施例18)
実施例7と同様に、ダイヤモンド基板上のノンドープ単結晶ダイヤモンド層11上に、厚さが2μmでAlイオン濃度が5×1017/cmのAlイオン注入層22を形成した。
次いで、Alイオン注入層22に、イオン注入法を用いて500℃で多段注入を行い、厚さが0.2μmでBイオン濃度が1×1021/cmのBイオン注入層24を形成した。図14に、Alイオン注入層22にBイオン注入層24を形成したダイヤモンド基板の断面模式図を示す。
(実施例19)
本開示の方法を用いてダイヤモンド半導体素子を作製する方法の一例を示す。
実施例7と同様に、(001)2°オフダイヤモンド単結晶基板10上に、プラズマCVDにて、Alイオン注入層22を形成した。図15に、Alイオン注入層22を形成したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図を示す。
Alイオン注入層22の表面に、プラズマCVDで、SiHガス、NOガス、及びHガスを用いて、0.2μm厚のSiO膜28を形成し、フォトリソグラフィにより、Bイオン注入用のSiO膜マスクを形成するためのフォトレジストパターン26を形成した。図16に、Alイオン注入層22上にSiO膜28及びフォトレジストパターン26を形成したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図を示す。
プラズマエッチング装置でフォトレジストパターン26及びCHFガスを用いて、SiO膜28にエッチングを行って開口部を形成し、レジスト剥離液を用いてフォトレジストパターンを除去し、Bイオン注入用のSiOマスク29を形成した。
Alイオン注入層22にイオン注入によりBイオン注入層24を形成し、次いで、HF水溶液にてSiOマスクを除去した。図17に、Bイオン注入を行っているときの断面模式図を示す。図18に、SiOマスクを除去した後のBイオン注入層24が形成されたダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図を示す。
イオン注入層の表面に、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)を用いて、ゲート絶縁膜を形成するための厚さ50nmのAl膜を形成した。次いで、Al膜にソース電極及びドレイン電極を形成する部分を開口するための、フォトレジストパターン26を形成した。図19に、Al膜33及びフォトレジストパターン26を形成したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図を示す。
フォトレジストパターン及びHF水溶液を用いて、Al膜にソース電極及びドレイン電極を形成する部分を開口し、次いで、レジスト剥離液を用いてフォトレジストパターンを除去した。図20に、フォトレジストパターンを除去した後の、Al膜にソース電極及びドレイン電極を形成する部分を開口したダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図を示す。
ソース電極及びドレイン電極を形成する部分に開口部を有するフォトレジストパターン26を形成し、Ti/Au30を、電子ビーム(EB)蒸着装置を用いて、50nm/200nmの厚さで成膜した。図21に、フォトレジストパターン26及びTi/Au30が形成されたダイヤモンド単結晶基板10の断面模式図を示す。
フォトレジスト剥離液で、フォトレジストパターンとともにフォトレジストパターン上に堆積したTi/Auを除去して、ソース電極及びドレイン電極をパターニングし、Ar雰囲気中で、600℃10分間の熱処理を行い、オーミック特性を得た。
ゲート電極を形成する部分を開口するためのフォトレジストパターンを形成し、Ti/Alを、EB蒸着装置を用いて、50nm/300nmの厚さで成膜し、フォトレジスト剥離液で、フォトレジストパターンとともにフォトレジスト上に堆積したTi/Alを除去することでゲート電極をパターニングし、ダイヤモンド半導体素子を得た。図22に、ソース電極31、ドレイン電極32、ゲート電極34が形成されたダイヤモンド半導体素子の断面模式図を示す。
(実施例20)
本開示の方法を用いて別の素子構造を有するダイヤモンド半導体素子を作製する方法の一例を示す。
下記の構成を除いて、実施例19と同様の方法で図23に示す素子構造を有するダイヤモンド半導体素子を形成した。ダイヤモンド半導体基板として、(001)2°オフ面を有し且つBイオン濃度が2×1020/cmのBドーピングされた低抵抗単結晶ダイヤモンド基板10を用いた。ダイヤモンド基板10上にAlイオン濃度が2×1016/cmで厚みが2μmのAlイオン注入層22を形成した。Alイオン注入層にBイオン濃度が1×1021/cmで厚みが0.1μmのBイオン注入層24を形成した。Bイオン注入層24上にドレイン電極に代えてソース電極31を形成したこと以外は実施例19と同様の方法でソース電極31を形成した。Bイオン濃度が1×1021/cmのBイオン注入層24及びドレイン電極32をダイヤモンド基板10の裏面に成膜した。次いで、600℃で10分間、大気圧のAr雰囲気中で熱処理を行ってオーミック特性を得た。
(実施例21)
Hall測定用素子を作製する為、実施例7と同様に、ダイヤモンド基板10上のノンドープ単結晶ダイヤモンド層11上に、厚さが2μmでAlイオン濃度が5×1017/cmのAlイオン注入層22を形成した。
次いで、Alイオン注入層22の主面の4隅にコンタクト注入部を形成するための開口部を有するSiOマスクを形成し、Bイオン濃度が1×1021/cmで厚さが0.2μmのBイオン注入層24を形成した。次いで、HF水溶液にてSiOマスクを除去した。
イオン注入層の表面に、80nm厚のダイヤモンドライクカーボンのカーボンキャップを形成し、1800℃で30分間、大気圧のAr雰囲気中で熱処理をした。次いで、熱混酸(硫酸と硝酸の混合液、温度200℃)処理をして、カーボンキャップを除去した。図24に、Alイオン注入層22にBイオン注入層24を形成したダイヤモンド基板10の断面模式図を示す。図25に、Hall測定用素子の主面からみた外観写真を示す。比較的薄くみえるAlイオン注入層22の4隅にBイオン注入領域36が黒くみえる。
Bイオンを注入した4隅の黒く見えるコンタクト部に、Pt(100nm)/Ti(50nm)電極をEB蒸着で形成し、600℃で10分間。大気圧のAr雰囲気中で熱処理を行い、オーミック電極を形成し、Hall測定用素子を作製した。
(比較例10)
コンタクト部の形成のために,Alイオン濃度が1×1021/cmで厚さが0.2μmのAlイオン注入層を形成したこと以外は、実施例21と同じ方法でHall測定用素子を作製した。
表5に、実施例21及び比較例10で作製したHall測定用素子の構成を示し、図26に、実施例21及び比較例10で作製したHall測定用素子の端子間電圧と端子間電流との関係を表すグラフを示す。
Alイオン注入層にAlイオンを注入してコンタクト部を形成するよりも、Bイオンを注入してコンタクト部を形成した方が、抵抗の低減が可能となった。
10 ダイヤモンド基板
11 ノンドープ単結晶ダイヤモンド基板
12 イオン注入層
14 カーボン層
16 エピ層
18 SiO2マスク
20 SiO2
22 Alイオン注入層
24 Bイオン注入層
26 フォトレジストパターン
28 SiO
29 SiOマスク
30 Ti/Au
31 ソース電極(Ti/Au)
32 ドレイン電極(Ti/Au)
33 ゲート絶縁膜(Al膜)
34 ゲート電極(Ti/Au)
36 Bイオン注入領域

Claims (4)

  1. ダイヤモンド基板にイオン注入を行うこと、
    前記イオン注入が行われたダイヤモンド基板の表面に、カーボン層を形成すること、並びに
    前記カーボン層を形成したダイヤモンド基板を、式(1):
    −4/5×X+1420≦Y≦−4/5×X+1512 (1)
    (式中、前記Xは熱処理温度であり、前記Yは熱処理時間であり、前記X及びYの範囲は、1600℃≦X≦1880℃、及び8分間≦Y≦140分間である)
    を満たす条件で熱処理することを含む、ダイヤモンド半導体基板の製造方法。
  2. 前記イオン注入のイオンがAlであり、
    カーボン層を形成したダイヤモンド基板を、不活性ガス中で、1730℃≦X≦1880℃の熱処理温度で、前記熱処理を行い、前記ダイヤモンド基板に、5×1015〜5×1017/cmのAl濃度を有するAlイオン注入層を形成すること、
    を含む、請求項1に記載のダイヤモンド半導体基板の製造方法。
  3. 前記Alイオン注入層にBをさらにイオン注入して、5×1015〜1×1021/cmのB濃度を有するBイオン注入層を形成すること、を含む、請求項2に記載のダイヤモンド半導体基板の製造方法。
  4. ダイヤモンド基板、前記ダイヤモンド基板上の5×1015〜5×1017/cmのAl濃度を有するAlイオン注入層、及び前記Alイオン注入層中の5×1015〜1×1021/cmのB濃度を有するBイオン注入層を含む、ダイヤモンド半導体基板。
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