JP6472016B2 - 炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

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この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
近年、半導体装置の高耐圧化、低損失化、高温環境下での使用などを可能とするため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素(SiC)の採用が進められつつある。炭化珪素は、従来から半導体装置を構成する材料として広く使用されている珪素(Si)に比べてバンドギャップが広いワイドバンドギャップ半導体である。そのため、半導体装置を構成する材料として炭化珪素を採用することにより、半導体装置の高耐圧化や低オン抵抗化を図ることができる。また、炭化珪素を材料として採用した半導体装置(以下、炭化珪素半導体装置とする)は、珪素を材料として採用した半導体装置に比べて、高温環境下で使用された場合の特性劣化が小さいという利点も有している。
このような炭化珪素半導体装置の製造方法では、炭化珪素からなる半導体基板(以下、炭化珪素基板とする)に所望の不純物を導入した後、当該不純物を活性化させるための活性化熱処理(アニール)を行う。炭化珪素基板の活性化熱処理は高温で行う必要があるため、活性化熱処理により炭化珪素基板の表面荒れが発生する場合がある。炭化珪素基板の表面荒れは、この炭化珪素基板を用いて作製(製造)される炭化珪素半導体装置の特性に悪影響を及ぼす虞がある。
具体的には、例えば、MOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)型半導体装置を作製する場合、活性化熱処理の後に、炭化珪素基板の表面にゲート絶縁膜などの熱酸化膜を形成する。また、ショットキーダイオードを作製する場合、活性化熱処理の後に、炭化珪素基板の表面にショットキー電極を形成する。このため、炭化珪素基板の表面荒れが発生している場合、絶縁破壊やリークが生じ、素子特性が低下するという問題がある。このため、炭化珪素基板の表面荒れを低減させることが望ましい。
炭化珪素基板の表面荒れを防止する方法として、シラン(SiH4)ガスを添加したアルゴン(Ar)ガス雰囲気中で活性化熱処理を行うことにより、高温における表面近傍の原子の昇華を防止して表面荒れが低減されることが報告されている(例えば、下記特許文献1参照。)。しかしながら、下記特許文献1では、材料ガスの供給手段や、製造装置本体、残留ガスの排気手段等を、特殊な材料ガスを安全に使用するための特殊仕様とする必要があり、製造装置のコストが高くなることが問題になる。
また、炭化珪素基板の表面荒れを防止する別の方法として、炭化珪素基板に不純物を導入した後と、炭化珪素基板の表面にカーボン(C)膜を形成してから活性化熱処理することにより、炭化珪素基板の表面荒れが低減されることが公知である。炭化珪素基板の表面荒れを低減させるためのカーボン膜の形成方法には、スパッタリング法やCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法によって成膜(形成)する方法や、炭化珪素基板の表面に塗布したレジストを炭化させる方法などが用いられている。
しかしながら、CVD法によってカーボン膜を成膜する場合、キャリアガス等に用いる水素(H2)ガスの供給手段や、製造装置本体、残留ガスの排気手段等にかかるコストが高くなる。また、炭化珪素基板の表面に塗布したレジストを炭化させる方法では、既存の設備を用いて量産することが容易であるが、レジスト自体の利用効率が低いことや、レジストを炭化するための工程数が増えるため、一概に有効な方法とは言い難い。
このため、一般的には、カーボンターゲットを用いたスパッタリング法によって、アルゴンガス雰囲気中において例えば200℃〜600℃の成膜温度でカーボン膜を成膜する方法が採用されている。しかしながら、成膜装置においても基板を600℃に加熱することは一般的でなく特殊仕様になるため、製造装置のコストが高くなる。さらに、基板温度の昇温や降温などに時間がかり、生産性が低下するという問題がある。
このような問題に対して、基板温度を室温として、スパッタリング法によって炭化珪素基板の表面にカーボン膜を成膜する方法が提案されている(例えば、下記特許文献2参照。)。下記特許文献2では、カーボン膜の成膜条件を炭化珪素基板の表面を荒らさない条件としている。
特開2001−68428号公報 特開2012−227473号公報
しかしながら、上記特許文献2に示すスパッタリング方法では、炭化珪素基板の表面荒れを低減させることは可能であるが、スパッタリングによるカーボン膜の成膜速度が遅いため、量産化が困難であるという問題がある。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、スループットを向上させるとともに、活性化熱処理後の炭化珪素基板の表面荒れを防止することができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、スパッタリング装置のカーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度を増大させることで、炭化珪素基板の表面荒れを抑制可能なカーボン保護膜の効果を維持しつつ、カーボン保護膜の成膜速度を向上させてスループットを改善することができること、また、さらにスパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力を増大させることでも同様の効果が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、炭化珪素からなる半導体基板に不純物をイオン注入する注入工程を行う。次に、炭素からなるターゲットを用いたスパッタリングにより、前記半導体基板の、前記イオン注入された側の表面に炭素からなる保護膜を形成する保護膜形成工程を行う。次に、前記保護膜が形成された状態のまま、前記半導体基板を1400℃以上1900℃以下の温度で熱処理する熱処理工程を行う。次に、前記保護膜を除去する除去工程を行う。前記保護膜形成工程では、前記ターゲットと前記半導体基板との間のガス雰囲気の圧力0.6Pa以上3.0Pa以下とする。前記ターゲットに供給する電力の放電電力密度1.0mW/mm2以上21.0mW/mm2以下とする。前記ターゲットと前記半導体基板との距離5mm以上60mm以下とする
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記保護膜形成工程では、前記ガス雰囲気アルゴンガス雰囲気とすることを特徴とする。
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記保護膜形成工程では、前記半導体基板の温度を30℃以下に保った状態で、前記保護膜を形成することを特徴とする。また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記除去工程の後の前記半導体基板の、前記イオン注入された側の表面の表面粗さRaを0.3nm以下にする。
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、量産化に対応可能な成膜速度で、炭化珪素基板の表面荒れを抑制可能なカーボン保護膜を形成することができる。このため、スループットを向上させることができるとともに、活性化熱処理後の炭化珪素基板の表面荒れを防止して平滑に保つことができる。これによって、安価に良好な特性の炭化珪素半導体装置を作製(製造)することができるという効果を奏する。
本発明の実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 本発明の実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度とカーボン保護膜の成膜速度との関係を示す特性図である。 カーボン保護膜の成膜条件および活性化熱処理後のSiC基板の表面粗さを示す図表である。 カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度とSiC基板の表面粗さとの関係を示す特性図である。 実施例にかかる炭化珪素半導体装置のSiC基板を主面側からみた表面荒れの生じていない状態のAFM画像である。 実施例にかかる炭化珪素半導体装置のSiC基板を主面側からみた表面荒れの生じた状態のAFM画像である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図1A〜1Dは、本発明の実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、図1Aに示すように、所定の結晶面を結晶軸に対して例えば4°程度傾けた面を主面とする炭化珪素の四層周期六方晶(4H−SiC)基板(4°オフ基板)11上にn型SiCエピタキシャル膜12を成長させた炭化珪素(SiC)基板10を用意する。n型SiCエピタキシャル膜12のドナー密度および厚さは、それぞれ、例えば1.0×1016/cm3および5μm程度であってもよい。次に、例えば有機溶剤による薬液洗浄や、洗浄液として過酸化水素(H22)からなる混合溶液を用いた洗浄(いわゆるRCA洗浄)など、一般的な洗浄方法によってSiC基板10を洗浄する。
次に、図1Bに示すように、イオン注入装置(不図示)によるイオン注入13により、SiC基板10の表面層に素子構造を構成する不純物領域を形成する。例えば、SiC基板10のn型SiCエピタキシャル膜12側の面(以下、おもて面とする)にアルミニウム(Al)などの不純物をイオン注入13する。このとき、例えば、SiC基板10のおもて面から0.5μm程度の深さまでのボックスプロファイルの不純物濃度(不図示)が1.0×1018/cm3程度となるように、30keV以上350keV以下程度の加速電圧でイオン注入13を行ってもよい。ここでは、1回のイオン注入13を行う場合を例に説明しているが、作製(製造)する炭化珪素半導体装置の素子構造に合わせて所定条件の複数回のイオン注入13を行えばよい。イオン注入13する不純物としては、アルミニウムの他に、燐(P)や窒素(N)などが挙げられる。
次に、図1Cに示すように、スパッタリング装置を用いて、SiC基板10の、イオン注入13された側の面(すなわち、おもて面)にカーボン保護膜14を成膜(形成)する。具体的には、スパッタリング装置(不図示)のチャンバー内に挿入したSiC基板10のおもて面に対向してカーボン(炭素(C))ターゲットを配置し、チャンバー内に導入した所定のガス圧力の純アルゴン(Ar)ガスを、カーボンターゲットとSiC基板10との間に加えた高電界によりプラズマ状態にする。これにより、カーボンターゲットとSiC基板10との間の高電界によって加速したアルゴンイオンがカーボンターゲットに衝突(スパッタ)し、カーボンターゲットから飛び出したターゲット材料である炭素原子がSiC基板10のおもて面に被着されることで、カーボン保護膜14が形成される。
カーボン保護膜14は、活性化熱処理時にSiC基板10の表面に例えば局所的なクラック(筋状のくぼみ)などを発生させず、後述する活性化熱処理後のSiC基板10の表面荒れを防止する機能を有する。スパッタリング装置として、例えば、DC(Direct Current:直流)マグネトロンスパッタリング装置を用いてもよい。また、スパッタリング時におけるSiC基板10の温度は、例えば30℃以下に保つことが好ましい。その理由は、SiC基板10を600℃まで加熱する特殊な機能を備えたスパッタリング装置を必要とせず、既存のスパッタリング装置を用いてカーボン保護膜14を形成することができるからである。スパッタリングによるカーボン保護膜14の成膜条件については後述する。
次に、SiC基板10のおもて面をカーボン保護膜14で保護した状態のまま、例えば1400℃以上1900℃以下程度の高温度で活性化熱処理を行い、SiC基板10に導入されている不純物を活性化させる。具体的には、カーボン保護膜14を形成したSiC基板10を活性化熱処理装置(不図示)の熱処理炉内に挿入する。そして、例えば、熱処理炉内のガス圧力が1×10-2Pa以下程度になるまで真空引きした後、熱処理炉内にアルゴンガスを導入して1×105Pa程度のガス圧力とし、1700℃程度の高温度で5分間程の熱処理を行う。
次に、図1Dに示すように、アッシング(灰化)装置(不図示)を用いてSiC基板10からカーボン保護膜14を除去する。具体的には、例えば、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)装置(不図示)のチャンバー(反応炉)内に反応ガスとして酸素(O2)ガスを導入して、12Paの圧力とし、RF(Radio Frequency:高周波)パワー500Wの印加により反応ガスのプラズマ(酸素プラズマ)を発生させる。そして、酸素プラズマ中で反応ガスと反応させることによりカーボン保護膜14をアッシングする。アッシング時間は例えば5分間程度である。その後、SiC基板10のおもて面および裏面(4H−SiC基板11側の面)に表面電極を形成するなど残りの工程を行うことにより、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置が完成する。
次に、スパッタリング装置のカーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度と、SiC基板10の表面に成膜(形成)するカーボン保護膜14の成膜速度との関係について説明する。図2は、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度とカーボン保護膜の成膜速度との関係を示す特性図である。図2に示すように、例えば、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度が3.5mW/mm2である場合、カーボン保護膜14の成膜速度は0.02nm/secであった。それに対して、例えば、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度を14.1mW/mm2に増大させた場合には、カーボン保護膜14の成膜速度は0.21nm/secとなり、放電電力密度が3.5mW/mm2である場合の約10倍程度にまで改善された。すなわち、図2に示す結果より、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度を増大させることによって、カーボン保護膜14の成膜速度を早くすることができることが確認された。また、このときのカーボンターゲットとSiC基板10との距離(以下、電極間距離とする)は60mmである。したがって、電極間距離を縮めることでさらにカーボン保護膜14の成膜速度を向上させることが可能である。
(実施例)
次に、カーボン保護膜14を除去した後のSiC基板10の表面粗さRaについて検証した。上述した実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法にしたがい、異なる成膜条件でSiC基板10の表面にカーボン保護膜14を成膜し、例示した上記諸条件で活性化熱処理を行った試料(SiCウェハ)1〜5をそれぞれ5つずつ作製した。試料1〜5では、電極間距離を60mmとし、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力、および、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度を種々変更することで、カーボン保護膜14の成膜速度を設定している。そして、これらの試料1〜5について、それぞれ活性化熱処理後にカーボン保護膜14を除去し、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いてSiC基板10の表面粗さRaを評価した。表面粗さRaの評価は、各試料1〜5ともに、1つのSiC基板10あたり3箇所(1箇所につき5μm四方の範囲で測定)の測定を、5つのSiC基板10に対して行った。
カーボン保護膜14を除去した後のSiC基板10の表面粗さRaについて評価した結果を図3,4に示す。また、SiC基板10の表面荒れが生じていない試料3のAFM画像を図5に示す。図3は、カーボン保護膜の成膜条件および活性化熱処理後のSiC基板の表面粗さを示す図表である。図4は、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度とSiC基板の表面粗さとの関係を示す特性図である。図4には、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力が0.6Pa以上3.0Pa以下である場合を○印で示し、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力が4.5Paである場合を●印で示す。図5は、実施例にかかる炭化珪素半導体装置のSiC基板を主面側からみた表面荒れの生じていない状態のAFM画像である。図6は、実施例にかかる炭化珪素半導体装置のSiC基板を主面側からみた表面荒れの生じた状態のAFM画像である。図5,6では、濃淡がSiC基板10の表面の凹凸(濃い:凹、淡い:凸)をあらわしている。
図3に示す結果より、試料1,3,5においては、SiC基板10の表面荒れの発生はなく(表面状態:表面荒れなし)、かつ表面粗さRaは0.3nm以下となることが確認された。例えば図5に示す試料3のAFM画像のように、各試料1,3,5ともに非常に平坦な表面状態を維持することができる。一方、図6に示すように、試料2,4では、ウエハ全面に筋状のくぼみが発生しており(表面状態:筋状のくぼみが全面で発生)、表面粗さRaもそれぞれ0.825nmおよび1.320nmと大きくなり、デバイスを作製するには不向きな表面状態になることが確認された。また、表面荒れの発生した試料2,4では、スパッタリング後のカーボン保護膜14の表面にも他の試料1,3,5よりもSiC基板10の表面荒れが発生しており、スパッタリング条件によりカーボン保護膜14の膜質が異なることが確認された。
さらに、図3に示す結果より、カーボン保護膜14の成膜速度は、上述したカーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度を増大させることに加えて、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力を増大させることによっても改善する(早くする)ことができることが確認された。また、図4に示す結果より、試料4のように、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力が4.5Paと高い場合には、表面粗さRaが大きくなることが確認された。すなわち、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力は、SiC基板10の表面荒れが発生しない3.0Pa以下程度であるのが好ましいことがわかる。また、試料2のように、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力が0.6Paと低い場合であっても、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度が28.0mW/mm2と大きい場合には、表面粗さRaが大きくなることが確認された。すなわち、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度は、SiC基板10の表面荒れが発生しない21.0mW/mm2以下程度であるのが好ましいことがわかる。
以上のことから、スパッタリングによるカーボン保護膜14の成膜条件は、次のように設定するのが好ましい。スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力は、例えば0.6Pa以上3.0Pa以下程度であるのがよい。その理由は、次の通りである。ガス圧力が0.6Pa未満であってもカーボン保護膜14を成膜することは可能であるが、カーボン保護膜14の成膜速度が遅くなりスループットが低下するため、好ましくない。また、ガス圧力が3.0Paを超える場合、プラズマ中でスパッタ粒子がクラスター化して、不均一なカーボン保護膜14が形成されてしまい、上述したように活性化熱処理後にSiC基板10の表面に筋状のくぼみが発生してしまうからである。
カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度は、例えば1.0mW/mm2以上21.0mW/mm2以下程度であるのがよい。その理由は、次の通りである。放電電力密度が1.0mW/mm2未満である場合、カーボン保護膜14の成膜速度が極端に遅くなり、現実的ではない。また、放電電力密度が21.0mW/mm2を超える場合、図3に示すように活性化熱処理後のSiC基板10の表面粗さRaが0.3nm以上となり、SiC基板10の表面荒れにより素子特性が低下するため、好ましくないからである。
カーボンターゲットとSiC基板10との距離(電極間距離)は、5mm以上60mm以下程度であるのがよい。その理由は、次の通りである。電極間距離が5mm未満である場合、スパッタリング装置の構成上、カーボンターゲットとSiC基板10との距離を均一にするのが難しく、SiC基板10の面内での、カーボン保護膜14の成膜速度の均一性に悪影響が及ぶ。また、電極間距離が60mmを超える場合においても同様に、SiC基板10の面内で、カーボン保護膜14の成膜速度が均一でなくなるため、好ましくないからである。
以上、説明したように、実施の形態によれば、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度、およびカーボンターゲットとSiC基板との距離(電極間距離)の3つを上記数値範囲に設定することで、量産化に対応可能な成膜速度でカーボン保護膜を成膜することができる。これにより、スループットを向上させることができ、生産性を向上させることができるため、安価な炭化珪素半導体装置を提供することができる。また、実施の形態によれば、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度、および電極間距離の3つを上記数値範囲に設定することで、活性化熱処理後のSiC基板の表面荒れを防止して平滑に保つことができる。このため、絶縁破壊やリークを防止することができ、素子特性を向上させることができる。これにより、良好な特性の炭化珪素半導体装置を作製することができる。
以上において上述した実施の形態は、SiC基板の表面粗さの検証用試料を作製したときのカーボン保護膜の成膜方法および成膜条件の一例であり、本発明では、要求される仕様等に応じて上記数値範囲内で、スパッタリング装置のチャンバー内のガス圧力、カーボンターゲットに供給する電力の放電電力密度、および電極間距離が種々設定される。また、上述した実施の形態では、SiC基板のおもて面にカーボン保護膜を形成する場合を例に説明しているが、SiC基板の裏面からイオン注入を行った場合においても、SiC基板の裏面にカーボン保護膜を形成することで同様の効果が得られる。また、本発明を適用可能な炭化珪素半導体装置としては、例えば、MOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)、SBD(ショットキーバリアダイオード)、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)などが挙げられる。また、本発明は、半導体基板、半導体層または半導体領域の導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、例えばパワーデバイス等の電力用半導体装置や、産業用あるいは自動車用のモーター制御やエンジン制御に使用されるパワー半導体装置に有用である。
10 SiC基板
11 4H−SiC基板
12 n型SiCエピタキシャル膜
13 イオン注入
14 カーボン保護膜

Claims (1)

  1. 炭化珪素からなる半導体基板に不純物をイオン注入する注入工程と、
    炭素からなるターゲットを用いたスパッタリングにより、前記半導体基板の、前記イオン注入された側の表面に炭素からなる保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜が形成された状態のまま、前記半導体基板を1400℃以上1900℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、
    前記熱処理工程の後、前記保護膜を除去する除去工程と、
    を含み、
    前記保護膜形成工程では、
    前記ターゲットと前記半導体基板との間のガス雰囲気の圧力0.6Pa以上3.0Pa以下とし
    前記ターゲットに供給する電力の放電電力密度1.0mW/mm2以上21.0mW/mm2以下とし
    前記ターゲットと前記半導体基板との距離5mm以上60mm以下とし
    前記ガス雰囲気アルゴンガス雰囲気とし
    かつ、前記半導体基板の温度を30℃以下に保った状態で、前記保護膜を形成し
    前記除去工程の後の前記半導体基板の、前記イオン注入された側の表面の表面粗さRaを0.3nm以下にすることを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
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