JP2019093932A - 四輪駆動車両の制御装置 - Google Patents

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Hiroaki Sasaki
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Abstract

【課題】前輪側の駆動力が最大となるタイミングと後輪側の駆動力が最大となるタイミングとが大きくずれてしまう特定状況において、車両を発進させるための十分な駆動力を路面に伝えることが可能な四輪駆動車両の制御装置を提供する。【解決手段】四輪駆動車両の制御装置は、前輪と後輪との間の差動が制限されている状態において前輪側LSD制御及び後輪側LSD制御の両方が実行される状況が生じた場合、前側空転車輪に対して付与される制動力の目標値である第1目標制動力(Fbfl又はFbfr)及び後側空転車輪に対して付与される制動力の目標値である第2目標制動力(Fbrl又はFbrr)のうちの一方に基いて、前側空転車輪に対して制動力を付与するとともに後側空転車輪に対して制動力を付与するように構成されている。【選択図】図3

Description

本発明は、四輪駆動車両の制御装置に関する。
従来から、左右の駆動輪のうちの一方に空転が生じた場合に、当該空転している車輪に対して制動力を付与することにより車輪の空転を抑制するように構成された車両の制御装置(以下、「従来装置」と称呼される。)が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。このような制御は、「ブレーキLSD(Limited Slip Differential)制御」とも称呼される。
特開2004−316639号公報
ところで、四輪駆動車両(以下、単に「車両」と称呼される場合がある。)のセンターディファレンシャル装置には、一般に、前輪と後輪の差動の制限度合いを制御する差動制限制御装置が設けられている。ここで、センターディファレンシャル装置が、前輪と後輪の差動を制限する状態(センターデフロック状態)であるときに、左右前輪の一方が空転し、且つ、左右後輪の一方が空転する状況(以下、「特定状況」と称呼する。)を想定する。このような特定状況において、従来装置は、前輪側のブレーキLSD制御と後輪側のブレーキLSD制御とを独立して実行する。
従来装置は、ブレーキLSD制御を実行するとき、左右車輪の車輪速度の差分が所定の値以下になるまで制動力(制動トルク)を増加させる。その後、左右車輪の車輪速度の差分が所定の値以下になると、従来装置は制動力を減少させる。従来装置は、このような制動力の増加と減少を繰り返し実行する。上記のように制動力の増加と減少が繰り返し実行されると、時系列で見たときの制動力の波形は概ね山形の波形となる。ブレーキLSD制御の実行中に得られる駆動力は、制動力の波形が山形のピーク付近になったときに最大となる。
上記の特定状況において、従来装置は前輪側のブレーキLSD制御と後輪側のブレーキLSD制御とを独立して実行するので、多くの場合において、前輪に付与された制動力の波形がピークになるタイミングと後輪に付与された制動力の波形がピークになるタイミングとが大きくずれてしまう。即ち、前輪側の駆動力が最大となるタイミングと後輪側の駆動力が最大となるタイミングとが大きくずれてしまう。従って、従来装置は、上記の特定状況において、車両を発進させるための十分な駆動力を路面に伝えることができない場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、上記の特定状況において、車両を発進させるための十分な駆動力を路面に伝えることが可能な四輪駆動車両の制御装置を提供することである。
本発明の四輪駆動車両の制御装置(以下、「本発明装置」と称呼される場合がある。)は、
駆動力を発生する駆動装置(20)と、
前記駆動力を前輪及び後輪に伝達する駆動力伝達装置(31)であって、前記駆動力を左前輪車軸(36L)及び右前輪車軸(36R)へ伝達するとともに前記左前輪車軸と前記右前輪車軸との差動を許容する前輪用ディファレンシャルギア装置(35)と、前記駆動力を左後輪車軸(38L)及び右後輪車軸(38R)へ伝達するとともに前記左後輪車軸と前記右後輪車軸との差動を許容する後輪用ディファレンシャルギア装置(37)と、を含む駆動力伝達装置と、
左前輪(Wfl)、右前輪(Wfr)、左後輪(Wrl)及び右後輪(Wrr)のそれぞれに対して独立して制動力を付与することが可能な制動装置(40)と、
前記左前輪の車輪速度と前記右前輪の車輪速度との差の大きさである前輪側車輪速度差(ΔVwf)が所定の第1制御開始閾値を超えた場合、前記前輪側車輪速度差が小さくなるように前記左前輪及び前記右前輪のうちの車輪速度が大きい方の前側空転車輪に付与する制動力の目標値である第1目標制動力(Fbfl又はFbfr)を前記前輪側車輪速度差に基いて決定し、当該決定した第1目標制動力に応じた制動力を当該前側空転車輪に付与するように前記制動装置を制御する前輪側LSD制御を実行し、且つ、
前記左後輪の車輪速度と前記右後輪の車輪速度との差の大きさである後輪側車輪速度差(ΔVwr)が所定の第2制御開始閾値を超えた場合、前記後輪側車輪速度差が小さくなるように前記左後輪及び前記右後輪のうちの車輪速度が大きい方の後側空転車輪に付与する制動力の目標値である第2目標制動力(Fbrl又はFbrr)を前記後輪側車輪速度差に基いて決定し、当該決定した第2目標制動力に応じた制動力を当該後側空転車輪に付与するように前記制動装置を制御する後輪側LSD制御を実行する、
制御部(70)と、
を備える。
更に、前記制御部は、
前記前輪と前記後輪との間の差動が制限されている状態において前記前輪側LSD制御及び前記後輪側LSD制御の両方が実行される状況が生じた場合(ステップ410:Yes)、前記第1目標制動力及び前記第2目標制動力のうちの一方に基いて、前記前側空転車輪に付与する制動力の目標値である前輪側目標値及び前記後側空転車輪に付与する制動力の目標値である後輪側目標値を決定し、前記前輪側目標値に応じた制動力を前記前側空転車輪に付与するとともに前記後輪側目標値に応じた制動力を前記後側空転車輪に付与するように前記制動装置を制御する(ステップ420及びステップ430)
ように構成されている。
本発明装置は、前輪と後輪との間の差動が制限されている状態において前輪側LSD制御及び後輪側LSD制御の両方が実行される状況が生じた場合、前側空転車輪に対して付与される制動力の目標値である第1目標制動力、及び、後側空転車輪に対して付与される制動力の目標値である第2目標制動力のうちの一方に基いて、前側空転車輪及び後側空転車輪に対して制動力を付与する。本発明装置は、前側空転車輪及び後側空転車輪に対して同じ目標制動力を用いて制動力を付与するので、前側空転車輪に付与された制動力の波形と後側空転車輪に付与された制動力の波形とが、同じタイミングで或いは非常に小さい時間差でピークになる。従って、前輪側の駆動力が最大になるタイミングと後輪側の駆動力が最大になるタイミングとが略一致する。これにより、車両は、ブレーキLSD制御中に得られる最大の駆動力を路面に伝えることができる。これにより、左右で滑りやすさが異なる路面(例えば、スプリットμ路面)、及び、オフロード路面(例えば、前輪のうちの片輪が浮き、且つ、当該浮いた前輪の対角線上にある後輪が浮くような凹凸を有する路面)での車両の走行性能を向上させることが可能となる。
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称及び/又は符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称及び/又は符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の一実施形態に係る四輪駆動車両の制御装置の概略構成図である。 本発明の一実施形態に係る油圧回路の概略構成図である。 (a)は、本発明の一実施形態に係る制動ECUが制動力ピーク同期制御を実行したときの左前輪の実制動力(実制動トルク)の変化を表し、(b)は、制動ECUが制動力ピーク同期制御を実行したときの右後輪の実制動力(実制動トルク)の変化を表す。 本発明の一実施形態に係る制動ECUが実行する「制動力ピーク同期制御ルーチン」を示したフローチャートである。
<構成>
本発明の実施形態に係る四輪駆動車両の制御装置(以下、「本実施装置」とも称呼される。)は、図1に示したように、四輪駆動車両10に適用される。
車両10は、駆動装置20、駆動力伝達装置30、制動装置40、駆動ECU50、4WDECU60、及び、制動ECU70を備えている。制動ECU70は本発明の制御装置に対応している。なお、これらのECUのうちの2以上のECUが、1つのECUに統合されてもよい。
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electric Control Unit)であり、図示しないCAN(Controller Area Network)を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、RAM、ROM及びインターフェース(I/F)等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより後述する各種機能を実現するようになっている。
駆動装置20は、駆動力を発生させる。駆動装置20は、駆動力伝達装置30を介して車両10の車輪(左前輪Wfl、右前輪Wfr、左後輪Wrl及び右後輪Wrr)を駆動する。駆動装置20は、一般的な車両の内燃機関及び変速装置の組合せにより構成される。なお、駆動装置20は、電動機及び変速装置の組合せ、並びに、内燃機関、電動機及び変速装置の組合せ等、当技術分野において公知な任意の車両用駆動装置であってよい。
駆動力伝達装置30は、センターディファレンシャル装置31、前輪用回転軸32、後輪用回転軸33、差動制限装置34、前輪用ディファレンシャルギア装置35、左前輪車軸36L、右前輪車軸36R、後輪用ディファレンシャルギア装置37、左後輪車軸38L及び右後輪車軸38R等を含んでいる。
センターディファレンシャル装置31は、駆動装置20からの駆動力を前輪用回転軸32及び後輪用回転軸(プロペラシャフト)33へ伝達するとともに、前輪用回転軸32と後輪用回転軸33との間の回転速度差を許容するように構成されている。本実施形態において、センターディファレンシャル装置31は差動制限装置34を内蔵している。
差動制限装置34は、前輪用回転軸32と後輪用回転軸33との間の回転差動を許容する差動状態(センターデフフリー状態)と、前輪用回転軸32と後輪用回転軸33との間の回転差動を制限する非差動状態(センターデフロック状態)とを選択的に切り替えて、駆動装置20からの駆動力を前輪用回転軸32及び後輪用回転軸33にそれぞれ分配する。
前輪用ディファレンシャルギア装置35は、駆動装置20から前輪用回転軸32を介して伝達された駆動力を左前輪車軸36L及び右前輪車軸36Rへ伝達するとともに、左前輪車軸36Lと右前輪車軸36Rとの差動を許容するように構成されている。これにより左前輪Wfl及び右前輪Wfrが回転駆動される。
後輪用ディファレンシャルギア装置37は、駆動装置20から後輪用回転軸33を介して伝達された駆動力を左後輪車軸38L及び右後輪車軸38Rへ伝達するとともに、左後輪車軸38Lと右後輪車軸38Rとの差動を許容するように構成されている。これにより左後輪Wrl及び右後輪Wrrが回転駆動される。
制動装置40は、ブレーキペダル41、マスタシリンダ42、油圧回路43及びホイールシリンダ44(44fl、44fr、44rl及び44rr)等を含んでいる。
左前輪Wfl、右前輪Wfr、左後輪Wrl及び右後輪Wrrの制動力(制動トルク)は、制動装置40の油圧回路43により、対応するホイールシリンダ44fl、44fr、44rl及び44rrの制動圧が制御されることによって制御される。油圧回路43はブレーキアクチュエータとして機能する。後に説明するように、各ホイールシリンダ44の制動圧は、通常時には運転者によるブレーキペダル41の踏込み操作に応じて駆動されるマスタシリンダ42の圧力(以下、「マスタシリンダ圧」とも称呼される。)Pmに基いて制御され、又は、以降で説明するトラクション制御により個別に制御される。
駆動ECU50は、4WDECU60及び制動ECU70とCAN(Controller Area Network)通信により情報を送信可能及び受信可能に接続されている。駆動ECU50は、アクセル開度センサ81を含む各種センサと電気的に接続され、これらのセンサからの出力信号を受信するようになっている。アクセル開度センサ81は、運転者により操作可能に設けられたアクセルペダル81aの踏込量(以下、「アクセル開度」とも称呼される。)APを表す出力信号を発生するようになっている。駆動ECU50は、駆動装置20と電気的に接続される。駆動ECU50は、アクセルペダル81aの踏込量AP及び図示しないシフトレバーの操作に基いて駆動装置20を制御するための各種信号を送信するようになっている。
4WDECU60は、車輪速度センサ82(82fl、82fr、82rl及び82rr)と電気的に接続され、これらのセンサからの出力信号を受信するようになっている。車輪速度センサ82fl、82fr、82rl及び82rrは、左前輪Wfl、右前輪Wfr、左後輪Wrl及び右後輪Wrrのそれぞれの回転角速度を表す出力信号を発生するようになっている。4WDECU60は、下記の(1)式に基いて車輪速度Vwを算出する。(1)式において、rは車輪の動半径、ωは車輪の角速度である。以降、左前輪Wfl、右前輪Wfr、左後輪Wrl及び右後輪Wrrの車輪速度を、それぞれ、車輪速度Vwfl、Vwfr、Vwrl及びVwrrと称呼する。
Vw=r・ω …(1)
なお、左前輪Wfl、右前輪Wfr、左後輪Wrl及び右後輪Wrrのそれぞれにおいてrが一定であるとみなした場合、車輪の回転角速度と車輪速度とは対応関係にある。従って、4WDECU60は、車輪速度センサ82によって検出される回転角速度を車輪速度として扱ってもよい。
制動ECU70は、車輪速度センサ82(82fl、82fr、82rl及び82rr)、操舵角センサ83、ヨーレートセンサ84、マスタシリンダ圧センサ85及びGセンサ86等と電気的に接続され、これらセンサからの出力信号を受信するようになっている。操舵角センサ83は、運転者により操作可能に設けられたステアリングホイール83aの操舵角Stを表す出力信号を発生するようになっている。ヨーレートセンサ84は、車両10のヨーレートYrを表す出力信号を発生するようになっている。マスタシリンダ圧センサ85は、マスタシリンダ圧Pmを表す出力信号を発生するようになっている。Gセンサ86は、車両10の重心位置近くに水平に配置されており、車両重心の前後方向及び左右方向の加速度Grを表す出力信号を発生するようになっている。
制動ECU70は、更に、左前輪Wfl、右前輪Wfr、左後輪Wrl及び右後輪Wrrのそれぞれの目標制動力Fbfl、Fbfr、Fbrl及びFbrrを演算する。制動ECU70は、各車輪の制動力が対応するそれぞれの目標制動力となるように、各車輪に対応するホイールシリンダ44fl、44fr、44rl及び44rrの制動圧をそれぞれ制御する。
<油圧回路の構成>
次に、図2を参照して、油圧回路43の構成について説明する。図2の数字の末尾に付される英字の添字は、どの車輪に対応する構成要素かを表示している。「f」が「前輪(左前輪及び右前輪)」、「r」が「後輪(左後輪及び右後輪)」、「fl」が「左前輪」、「fr」が「右前輪」、「rl」が「左後輪」、「rr」が「右後輪」に対応する。以降の説明において、添字[**]が「fl、fr、rl又はrr」、[f*]が「fl又はfr」、[r*]が「rl又はrr」についての総称を表している。
マスタシリンダ42は、フリーピストン42aにより区画された第1マスタシリンダ室42fと第2マスタシリンダ室42rとを有している。マスタシリンダ42は、リザーバ45からの制動液(ブレーキフロイドとも称呼される。)の供給を受けて、ブレーキペダル41の踏力に応じて前輪系統200f及び後輪系統200rに制動液を圧送する。
まず、前輪系統200fについて説明する。前輪用の第1管路201fが第1マスタシリンダ室42fに接続されている。第1管路201fには、常開(ノーマルオープン)型の第1電磁弁202fが設けられている。以下、第1管路201fにおける「第1電磁弁202に対してマスタシリンダ42側の部分」を「上流部分」と称呼し、第1管路201fにおける「第1電磁弁202対してマスタシリンダ42側とは反対側の部分」を「下流部分」と称呼する。更に、第1バイパス管203fが、第1電磁弁202fを迂回するように第1管路201fに接続されている。第1バイパス管203fは、逆止弁204fを備えており、第1マスタシリンダ室42fから第1管路201fの下流部分への制動液の流れのみを許容するようになっている。
第1配管211[f*]の一端が第1管路201fの下流部分に接続され、第1配管211「f*」の他端がホイールシリンダ44[f*]に接続されている。第1配管211[f*]には、増圧弁212[f*]が設けられている。増圧弁212[f*]は、常開型の電磁弁である。更に、第2バイパス管213[f*]が、増圧弁212[f*]を迂回するように第1配管211[f*]に接続されている。第2バイパス管213[f*]は、逆止弁214[f*]を備えており、ホイールシリンダ44[f*]から第1管路201fへの制動液の流れのみを許容するようになっている。
第2配管215[f*]の一端が、第1配管211[f*]における「増圧弁212[f*]とホイールシリンダ44[f*]との間の部分」に接続され、第2配管215[f*]の他端が、バッファリザーバ250fに接続されている。第2配管215[f*]には、減圧弁216[f*]が設けられている。減圧弁216[f*]は、常閉(ノーマルクローズ)型の電磁弁である。
更に、第2管路221fの一端が第1管路201fの下流部分に接続され、第2管路221fの他端がバッファリザーバ250fに接続されている。第2管路221fには、ポンプ222fが設けられている。第2管路221fにおけるポンプ222fの吐出側の部分には、逆止弁223fが設けられている。逆止弁223fは、ポンプ222fから第1管路201f側への制動液の流れのみを許容するようになっている。第2管路221fにおけるポンプ222fの吸引側の部分には、逆止弁224f及び225fが設けられている。逆止弁224f及び225fは、第2配管215[f*]からポンプ222fへ向かう制動液の流れのみを許容するようになっている。
更に、第3管路226fの一端が、第1管路201fの上流部分に接続され、第3管路226fの他端が、第2管路221fにおける「逆止弁224fと逆止弁225fとの間の部分」に接続されている。第3管路226fには、常閉型の第2電磁弁227fが設けられている。
後輪系統200rも前輪系統200fと同様の構成を備える。後輪用の第1管路201rが第2マスタシリンダ室42rに接続されている。第1管路201rには、常開型の第1電磁弁202rが設けられている。更に、第1バイパス管203rが、第1電磁弁202rを迂回するように第1管路201rに接続されている。第1バイパス管203rは、逆止弁204rを備えており、第2マスタシリンダ室42rから第1管路201rの下流部分への制動液の流れのみを許容するようになっている。
第1配管211[r*]の一端が第1管路201rの下流部分に接続され、第1配管211[r*]の他端がホイールシリンダ44[r*]に接続されている。第1配管211[r*]には、増圧弁212[r*]が設けられている。更に、第2バイパス管213[r*]が、増圧弁212[r*]を迂回するように第1配管211[r*]に接続されている。第2バイパス管213[r*]は、逆止弁214[r*]を備えており、ホイールシリンダ44[r*]から第1管路201rへの制動液の流れのみを許容するようになっている。
第2配管215[r*]の一端が、第1配管211[r*]における「増圧弁212[r*]とホイールシリンダ44[r*]との間の部分」に接続され、第2配管215[r*]の他端が、バッファリザーバ250rに接続されている。第2配管215[r*]には、減圧弁216[r*]が設けられている。
更に、第2管路221rの一端が第1管路201rの下流部分に接続され、第2管路221rの他端がバッファリザーバ250rに接続されている。第2管路221rには、ポンプ222rが設けられている。第2管路221rにおけるポンプ222rの吐出側の部分には、逆止弁223rが設けられている。逆止弁223rは、ポンプ222rから第1管路201r側への制動液の流れのみを許容するようになっている。第2管路221rにおけるポンプ222rの吸引側の部分には、逆止弁224r及び225rが設けられている。逆止弁224r及び225rは、第2配管215[r*]からポンプ222rへ向かう制動液の流れのみを許容するようになっている。
更に、第3管路226rの一端が、第1管路201rの上流部分に接続され、第3管路226rの他端が、第2管路221rにおける「逆止弁224rと逆止弁225rとの間の部分」に接続されている。第3管路226rには、常閉型の第2電磁弁227rが設けられている。
なお、増圧弁212[**]及び減圧弁216[**]の少なくとも一方は、電磁比例弁であってもよい。電磁比例弁を採用することによって、ホイールシリンダ44[**]の制動圧が、開位置又は閉位置に対応する値に調整されるだけでなく、それらの間で連続的に調整され得る。
<ホイールシリンダの制動圧の制御>
次に、ホイールシリンダ44[**]の制動圧の制御について説明する。通常時においては、各弁の開閉位置は、図2に示された位置に設定されている。ホイールシリンダ44[f*]には、第1マスタシリンダ室42f内の圧力が供給され、ホイールシリンダ44[r*]には、第2マスタシリンダ室42r内の圧力が供給される。このように、通常時において、ホイールシリンダ44[**]の制動圧は、ブレーキペダル41の踏力に応じて増加又は減少される。
これに対して、トラクション制御(以降で説明するブレーキLSD制御)時において、制動ECU70は、第1電磁弁202f及び202rを閉位置に設定するとともに、第2電磁弁227f及び227rを開位置に設定する。この状態において、制動ECU70は、ポンプ222f及び222rを駆動する。
このとき、ホイールシリンダ44[**]の制動圧を増加させる場合には、制動ECU70は、増圧弁212[**]を開位置に設定するとともに、減圧弁216[**]を閉位置に設定する。
ホイールシリンダ44[**]の制動圧を保持する場合には、制動ECU70は、増圧弁212[**]を閉位置に設定するとともに、減圧弁216[**]を閉位置に設定する。
ホイールシリンダ44[**]の制動圧を減少させる場合には、制動ECU70は、増圧弁212[**]を閉位置に設定するとともに、減圧弁216[**]を開位置に設定する。
上記の制御によって、ホイールシリンダ44[**]の制動圧が増圧、保持又は減圧されるようになっている。
<トラクション制御>
本実施装置は、車両10の加速時(車両10の発進時を含む)に車輪の空転が生じたと判定した場合に、周知のトラクション制御を実施するようになっている。これにより、車輪の空転を抑制して、路面状況に応じた駆動力を確保することができる。なお、「車輪の空転」とは、車輪が路面から浮いた場合、及び、低い路面摩擦係数μを有する路面上で車輪がスリップ状態になる場合、を含む。
トラクション制御としては、(i)駆動装置20の駆動力を抑える方式、(ii)空転している車輪に対して制動力を加える方式、及び、(iii)これらを組み合わせる方式がある。本実施装置は、上記のトラクション制御の1つとして、空転している車輪に対して制動力を加えることにより、機械的な差動制限装置付終減速機(Limited Slip Differential(LSD))相当の機能を実現するようになっている。このようなLSD効果を出すための制御は「ブレーキLSD制御」と称呼される。
ブレーキLSD制御の概要を説明する。制動ECU70は、車輪速度センサ82からの信号に基いて車輪速度Vw[**]を算出する。制動ECU70は、以下の(2)式及び(3)式に従って、前輪側の車輪速度差ΔVwf及び後輪側の車輪速度差ΔVwrをそれぞれ演算する。
ΔVwf = |Vwfl−Vwfr| ・・・(2)
ΔVwr = |Vwrl−Vwrr| ・・・(3)
制動ECU70は、前輪側の車輪速度差ΔVwfが所定の閾値(第1制御開始閾値)以上である場合、左前輪Wfl及び右前輪Wfrのうちの車輪速度が大きい方の車輪(以下、「前側対象輪」又は「前側空転車輪」と称呼する場合もある。)に対して制動力を付与する。例えば、制動ECU70は、車輪速度差と付与すべき制動力との関係を予め規定したテーブル(マップ)に基いて目標制動力Fbfl又はFbfrを求める。
更に、制動ECU70は、制動力と指示制動圧との関係を予め規定したテーブル(マップ)に基いて、目標制動力Fbfl又はFbfrに対応する指示制動圧を求める。指示制動圧は、ホイールシリンダ44[f*]の制動圧の目標値である。制動ECU70は、求めた指示制動圧に基いて前輪系統200fの各構成要素(各種弁及びポンプ)を制御する。
まず、制動ECU70は、ホイールシリンダ44[f*]の制動圧が指示制動圧になるようにホイールシリンダ44[**]の制動圧を増加させる。このとき、ホイールシリンダ44[f*]の制動圧は、指示制動圧になるように徐々に増加する。制動ECU70は、前輪側の車輪速度差ΔVwfを所定時間が経過するごとに演算する。前輪側の車輪速度差ΔVwfが所定の第1閾値Th1(第1制御開始閾値未満の値)以下になった場合、制動ECU70は、指示制動圧の値を所定の量だけ下げる。このとき、ホイールシリンダ44[f*]の制動圧は、指示制動圧になるように徐々に減少する。その後、前輪側の車輪速度差ΔVwfが所定の第2閾値Th2(第1制御開始閾値>Th2>Th1)以上となった場合、制動ECU70は、指示制動圧の値を所定の量だけ上げる。制動ECU70は、このような制動圧の増加及び減少を繰り返し実行することにより、車輪の空転を抑制するようになっている。制動ECU70は、前輪側の車輪速度差ΔVwfが所定の時間にわたって第1閾値Th1以下に維持された場合に、前輪側のブレーキLSD制御を終了する。即ち、前輪側に付与されていた制動力は「0」へと減少させられる。
制動ECU70は、後輪側の車輪速度差ΔVwrが所定の閾値(第2制御開始閾値)以上である場合、左後輪Wrl及び右後輪Wrrのうちの車輪速度が大きい方の車輪(以下、「後側対象輪」又は「後側空転車輪」と称呼する場合もある。)に対して制動力を付与する。なお、第1制御開始閾値及び第2制御開始閾値は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。後輪側でのブレーキLSD制御は前輪側のブレーキLSD制御と同様であるため、説明を省略する。制動ECU70は、後輪側の車輪速度差ΔVwrが所定の時間にわたって第1閾値Th1以下に維持された場合に、後輪側のブレーキLSD制御を終了する。即ち、後輪側に付与されていた制動力は「0」へと減少させられる。
<制動力ピーク同期制御>
次に、本実施装置の作動について説明する。センターディファレンシャル装置31がセンターデフロック状態であるときに、前輪(Wfl及びWfr)の一方が空転し、且つ、後輪(Wrl及びWrr)の一方が空転する特定状況を想定する。このような特定状況において、従来装置は、上記のブレーキLSD制御を前輪(Wfl又はWfr)側と後輪(Wrl又はWrr)側とで独立して実行する。しかし、ブレーキLSD制御が前輪側と後輪側とで独立して実行される場合、前輪に付与された制動力の波形がピークになるタイミングと後輪に付与された制動力の波形がピークになるタイミングとが大きくずれてしまう。即ち、前輪側の駆動力が最大となるタイミングと後輪側の駆動力が最大となるタイミングとが大きくずれてしまう。従って、従来装置は、車両を発進させるための十分な駆動力を路面に伝えることができない場合がある。
そこで、本実施装置は、センターデフロック状態において前輪側でのブレーキLSD制御及び後輪側でのブレーキLSD制御の両方を実行している場合、以下の「制動力ピーク同期制御」を実行する。これにより、前輪側でのブレーキLSD制御中に得られる駆動力と後輪側でのブレーキLSD制御中に得られる駆動力とが略同じタイミングでピークになり、車両10を発進させるための十分な駆動力を路面に伝えることができる。
図3を参照しながら、制動ECU70が実施する「制動力ピーク同期制御」を説明する。センターディファレンシャル装置31がセンターデフロック状態であるときに、左前輪Wflが空転し、且つ、右後輪Wrrが空転したと仮定する。
制動ECU70は、時点t1にて、前輪側の車輪速度差ΔVwfが所定の閾値(第1制御開始閾値)以上になったと判定する。従って、制動ECU70は、左前輪Wflに対するブレーキLSD制御を開始する。図3(a)は、時系列で見たときの左前輪Wflに対する実制動力(実制動トルク)Fbfl_reの変化を表す。
更に、制動ECU70は、時点t1の所定時間後の時点t2にて、後輪側の車輪速度差ΔVwrが所定の閾値(第2制御開始閾値)以上になったと判定する。従って、制動ECU70は、右後輪Wrrに対するブレーキLSD制御を開始する。図3(b)は、時系列で見たときの右後輪Wrrに対する実制動力(実制動トルク)Fbrr_reの変化を表す。
前輪側でブレーキLSD制御が実行されており、且つ、後輪側でブレーキLSD制御が実行されている状況が生じているので、制動ECU70は、時点t3にて、制動力ピーク同期制御を開始する。まず、制動ECU70は、左前輪Wflに対して付与される制動力の目標値である目標制動力Fbfl及び右後輪Wrrに対して付与される制動力の目標値である目標制動力Fbrrのうち、予め決められた方を選択する。本例において、制動ECU70は、右後輪Wrrの目標制動力Fbrrを選択する。
そして、制動ECU70は、時点t3以降、左前輪Wflの目標制動力Fbflの代わりとして、右後輪Wrrの目標制動力Fbrrを使用することを決定する。右後輪Wrrに関しては、制動ECU70は、引き続き、右後輪Wrrの目標制動力Fbrrを使用することを決定する。そして、制動ECU70は、右後輪Wrrの目標制動力Fbrrに応じた制動力を左前輪Wflに付与するように制動装置40を制御するとともに、右後輪Wrrの目標制動力Fbrrに応じた制動力を右後輪Wrrに付与するように制動装置40を制御する。
従って、時点t3以降、左前輪Wflの実制動力Fbfl_reの増減の周期は、右後輪Wrrの実制動力Fbrr_reの増減の周期と略同じになる。図3(a)及び図3(b)に示すように、時点t4及び時点t5において、実制動力Fbfl_reの波形と実制動力Fbrr_reの波形とがピークとなる。即ち、時点t4及び時点t5において、前輪側でのブレーキLSD制御中に得られる駆動力が最大となり、且つ、後輪側でのブレーキLSD制御中に得られる駆動力が最大となる。従って、本実施装置は、時点t4及び時点t5にて、前輪側の駆動力と後輪側の駆動力とを合わせた全体の駆動力を最大にすることができる。
なお、左前輪Wfl及び右後輪Wrrに対して同じ目標制動力Fbrrを使用した場合でも、前輪系統200f及び後輪系統200rの間の管路長の差、並びに、ポンプ222f及び222rのそれぞれの作動状況等に応じて、実制動力Fbfl_reの波形がピークになるタイミングと実制動力Fbrr_reの波形がピークになるタイミングとが完全に一致しない場合もある。このような場合でも、実制動力Fbfl_reの波形がピークになるタイミングと実制動力Fbrr_reの波形がピークになるタイミングとの間の時間差が非常に小さいので、ブレーキLSD制御中に得られる駆動力(前輪側の駆動力と後輪側の駆動力とを合わせた全体の駆動力)が最大値に近い値となる。従って、本実施装置は、車両10を発進させる十分な駆動力を路面に伝えることができる。
なお、制動ECU70は、前側対象輪に対して反対側の前輪の接地荷重と後側対象輪に対して反対側の後輪の接地荷重とを考慮して、前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)及び後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)のうちの一方を選択してもよい。制動ECU70は、Gセンサ86からの出力信号に基いてGセンサ86の傾きを求め、車両10が坂路(所定角度以上の坂路)を走行しているか否かを判定してもよい。例えば、車両10が坂路を登っている場合、後輪側の接地荷重が前輪側の接地荷重に比べて大きいと考えらえる。この場合、制動ECU70は、後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)を選択し、選択した目標制動力(Fbrl又はFbrr)を用いて前側対象輪の制動力を制御する。一方、車両10が坂路を下っている場合、前輪側の接地荷重が後輪側の接地荷重に比べて大きいと考えらえる。この場合、制動ECU70は、前輪対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)を選択し、選択した目標制動力(Fbfl又はFbfr)を用いて後側対象輪の制動力を制御する。車両10が坂路を走行していない場合、上記と同様に、制動ECU70は、前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)及び後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)のうち、予め決められた方を選択する。なお、制動ECU70は、図示しない勾配センサからの情報及び図示しないナビゲーションシステムからの情報等に基いて車両10が坂路を走行しているか否かを判定してもよい。
<具体的作動>
次に、制動ECU70のCPU(単に「CPU」と称呼する場合がある。)の具体的作動について説明する。CPUは、所定時間が経過する毎に、図4により示した「制動力ピーク同期制御ルーチン」を実行するようになっている。
所定のタイミングになると、CPUは、ステップ400から図4のルーチンを開始してステップ410に進み、所定の実行条件が成立しているか否かを判定する。
所定の実行条件は、以下の条件1及び条件2の両方が成立したときに成立する。
(条件1):CPUが、前輪(Wfl及びWfr)のうちの何れかに対してブレーキLSD制御を実行している。
(条件2):CPUが、後輪(Wrl及びWrr)のうちの何れかに対してブレーキLSD制御を実行している。
実行条件が成立していない場合、CPUはステップ410にて「No」と判定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対して、実行条件が成立している場合、CPUはステップ410にて「Yes」と判定してステップ420に進む。
CPUは、ステップ420にて、上記のように、前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)及び後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)のうちの一方を選択する。本例において、CPUは、後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)を選択する。
次に、CPUは、ステップ430にて、前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)の代わりとして、選択した後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)を使用して前側対象輪の制動力を制御する。更に、CPUは、後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)を使用して後側対象輪の制動力を制御する。
CPUは、ステップ440にて、所定の終了条件が成立しているか否かを判定する。所定の終了条件は、例えば、前輪側の車輪速度差ΔVwf及び後輪側の車輪速度差ΔVwrの何れかが所定の時間にわたって所定の第1閾値Th1以下に維持された場合に成立する。
終了条件が成立していない場合、CPUはステップ440にて「No」と判定し、ステップ430に戻る。
一方、終了条件が成立している場合、CPUはステップ440にて「Yes」と判定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上の本実施装置は、前輪側でブレーキLSD制御を実行しており、且つ、後輪側でブレーキLSD制御を実行しているときに、前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)及び後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)のうちの一方を選択し、その選択した目標制動力を用いて前側対象輪及び後側対象輪の両方の制動力を制御する。これにより、前側対象輪に対する実制動力の波形と後側対象輪に対する実制動力の波形とが、同じタイミングで或いは非常に小さい時間差でピークになる。即ち、前輪側でのブレーキLSD制御中に得られる駆動力のピークと後輪側でのブレーキLSD制御中に得られる駆動力のピークとが略一致する。従って、本実施装置は、上記の特定状況において、ブレーキLSD制御中に得られる駆動力(前輪側の駆動力と後輪側の駆動力とを合わせた全体の駆動力)を最大或いは最大に近い値にして、当該駆動力を路面に伝えることができる。これにより、左右で滑りやすさが異なる路面(例えば、スプリットμ路面)、及び、オフロード路面(例えば、前輪のうちの片輪が浮き、且つ、当該浮いた前輪の対角線上にある後輪が浮くような凹凸を有する路面)での車両10の走行性能を向上させることが可能となる。特に、本実施装置は、ブレーキLSD制御の対象となる空転車輪が頻繁に左右で入れ替わるような状況よりも、左右のうちの一方の車輪が継続して空転し続けるような状況に対して、より効果を奏する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
CPUは、ステップ420にて、車輪速度Vwfl、Vwfr、Vwrl及びVwrrに基いて路面摩擦係数μを演算してもよい(例えば、特開2006−015926号公報参照。)。そして、CPUは、演算された路面摩擦係数μに基いて前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)及び後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)のうちの一方を選択してもよい。例えば、前輪側の路面の路面摩擦係数μ1が後輪側の路面の路面摩擦係数μ2よりも大きい場合、前輪側の車輪の方が後輪側の車輪に比べて大きい駆動力を発生させることができると考えらえる。従って、CPUは、前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)を選択する。一方、後輪側の路面の路面摩擦係数μ2が前輪側の路面の路面摩擦係数μ1よりも大きい場合、CPUは、後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)を選択する。
CPUは、ステップ430にて、前側対象輪の目標制動力(Fbfl又はFbfr)の代わりとして、選択した後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)の値に所定の係数を乗じた値を使用して、前側対象輪の制動力を制御してもよい。このとき、CPUは、接地荷重、路面摩擦係数及び車輪イナーシャ等に基いて、使用される係数を選択してもよい。例えば、車両10が坂路を登っている場合、後輪側の車輪の接地荷重が前輪側の車輪の接地荷重よりも大きいと考えらえる。この場合、前側対象輪に付与される制動力は、後側対象輪に付与される制動力よりも小さい方が好ましい。従って、CPUは、選択した後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)の値に第1係数(<1)を乗じた値を使用して、前側対象輪の制動力を制御してもよい。
一方、前輪側の路面の路面摩擦係数μ1が後輪側の路面の路面摩擦係数μ2よりも大きい場合、前輪側の車輪の方が後輪側の車輪に比べて大きい駆動力を発生させることができると考えらえる。この場合、前側対象輪に付与される制動力は、後側対象輪に付与される制動力よりも大きい方が好ましい。従って、CPUは、選択した後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)の値に第2係数(>1)を乗じた値を使用して、前側対象輪の制動力を制御してもよい。
別の例として、前輪側の車輪イナーシャが後輪側の車輪イナーシャよりも小さい場合、前輪の方が制動力を加えたときに止まりやすいと考えらえる。従って、CPUは、選択した後側対象輪の目標制動力(Fbrl又はFbrr)の値に第1係数(<1)を乗じた値を使用して、前側対象輪の制動力を制御してもよい。
上記実施形態に係る制御装置は、四輪駆動車両だけでなく、六輪以上の駆動輪を有する車両に適用されてもよい。例えば、前輪、中輪及び後輪から構成される六輪駆動車両の場合、ステップ410の実行条件は、以下の条件3に変更される。
(条件3):CPUが、前輪、中輪及び後輪のうち2つ以上の箇所でブレーキLSD制御を実行している。
上記実施形態に係る制御装置は、前輪と後輪との差動が許容されていない以下の(a)及び(b)の車両にも適用できる。
(a)前輪用回転軸32及び後輪用回転軸33が互いに直結されている四輪駆動車両(即ち、センターディファレンシャル装置を備えていない四輪駆動車両)。
(b)デファレンシャル機能を有していないクラッチ装置によって前輪用回転軸32及び後輪用回転軸33が連結されている四輪駆動車両。
10…四輪駆動車両(車両)、20…駆動装置、30…駆動力伝達装置、31…センターディファレンシャル装置、32…前輪用回転軸、33…後輪用回転軸、34…差動制限装置、35…前輪用ディファレンシャルギア装置、36L…左前輪車軸、36R…右前輪車軸、37…後輪用ディファレンシャルギア装置、38L…左後輪車軸、38R…右後輪車軸、44…ホールシリンダ、50…駆動ECU、70…制動ECU、Wfl…左前輪、Wfr…右前輪、Wrl…左後輪、Wrr…右後輪。

Claims (1)

  1. 駆動力を発生する駆動装置と、
    前記駆動力を前輪及び後輪に伝達する駆動力伝達装置であって、前記駆動力を左前輪車軸及び右前輪車軸へ伝達するとともに前記左前輪車軸と前記右前輪車軸との差動を許容する前輪用ディファレンシャルギア装置と、前記駆動力を左後輪車軸及び右後輪車軸へ伝達するとともに前記左後輪車軸と前記右後輪車軸との差動を許容する後輪用ディファレンシャルギア装置と、を含む駆動力伝達装置と、
    左前輪、右前輪、左後輪及び右後輪のそれぞれに対して独立して制動力を付与することが可能な制動装置と、
    前記左前輪の車輪速度と前記右前輪の車輪速度との差の大きさである前輪側車輪速度差が所定の第1制御開始閾値を超えた場合、前記前輪側車輪速度差が小さくなるように前記左前輪及び前記右前輪のうちの車輪速度が大きい方の前側空転車輪に付与する制動力の目標値である第1目標制動力を前記前輪側車輪速度差に基いて決定し、当該決定した第1目標制動力に応じた制動力を当該前側空転車輪に付与するように前記制動装置を制御する前輪側LSD制御を実行し、且つ、
    前記左後輪の車輪速度と前記右後輪の車輪速度との差の大きさである後輪側車輪速度差が所定の第2制御開始閾値を超えた場合、前記後輪側車輪速度差が小さくなるように前記左後輪及び前記右後輪のうちの車輪速度が大きい方の後側空転車輪に付与する制動力の目標値である第2目標制動力を前記後輪側車輪速度差に基いて決定し、当該決定した第2目標制動力に応じた制動力を当該後側空転車輪に付与するように前記制動装置を制御する後輪側LSD制御を実行する、
    制御部と、
    を備える四輪駆動車両の制御装置において、
    前記制御部は、
    前記前輪と前記後輪との間の差動が制限されている状態において前記前輪側LSD制御及び前記後輪側LSD制御の両方が実行される状況が生じた場合、前記第1目標制動力及び前記第2目標制動力のうちの一方に基いて、前記前側空転車輪に付与する制動力の目標値である前輪側目標値及び前記後側空転車輪に付与する制動力の目標値である後輪側目標値を決定し、前記前輪側目標値に応じた制動力を前記前側空転車輪に付与するとともに前記後輪側目標値に応じた制動力を前記後側空転車輪に付与するように前記制動装置を制御するように構成された、
    四輪駆動車両の制御装置。
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