JP4861219B2 - 車両用トラクションコントロール装置 - Google Patents
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Description
まず、本発明の車両用トラクションコントロール装置が適用された4輪駆動車両1の構成について説明する。図1は4輪駆動車両1の構成を示すシステム図である。
4輪駆動車両1の駆動系は、原動機であるエンジン2と、エンジン2で発生した動力を車輪3FR,3FL,3RR,3RLに伝達するプロペラシャフト8およびドライブシャフト4FR,4FL,4RR,4RLと、ドライブシャフト4FR,4FL,4RR,4RLへの駆動力を配分を行う駆動力配分装置5F,5Rから構成されている。
4輪駆動車両1の制御系は、エンジン2を制御するエンジンコントロールユニット11、駆動力配分装置5F,5Rを制御する駆動力配分コントロールユニット12、ブレーキアクチュエータユニット10を制御するブレーキコントロールユニット15から構成されている。
エンジンコントロールユニット11は、アクセルペダルの踏み込み量に応じてエンジン2のスロットル開度やエンジン2の単位時間当りの燃料噴射量等を監視する。
実施例1の4輪駆動車両1では、発進時に車輪3がスピンすると、ブレーキアクチュエータユニット10によってスピンした車輪3のホイルシリンダ9に液圧を供給して車輪3のスピンの発生を抑制する。なお、ブレーキアクチュエータユニット10は本発明の車輪速度抑制手段に相当する。
車輪3にスピンが発生したことは、車体速度に対して車輪速度が大きくなったと判断することで検出することができる。2輪駆動時には従動輪の車輪速度は車体速度とほぼ一致するため、従動輪の車輪速度から車体速度を求める。4輪駆動時には全車輪が駆動輪であるため、加速度センサ14が検出した加速度から車体速度を求める。
加速度センサ14は4輪駆動車両1の前後方向の加速度を検出する。4輪駆動車両1には、4輪駆動車両1自体が加減速するときに発生する加速度のほか、地球からの重力加速度も作用する。加速度センサ14は4輪駆動車両1の前後方向の加速度を検出するようにしているため、平坦路では4輪駆動車両1自体が加減速するときに発生する加速度のみを検出することができる。しかしながら勾配のある道路では、4輪駆動車両1の前後方向の加速度に重力加速度が含まれるため、4輪駆動車両1自体が加減速するときに発生する加速度のみを検出することができないことがある。特に降坂路において4輪駆動車両1が発進する場合には、加速度センサ14が検出する加速度は4輪駆動車両1自体が発生する加速度よりも小さい値が検出されてしまう。
図2はブレーキコントロールユニット15において行われる車体速度算出処理の流れを示すフローチャートである。以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、エンジンコントロールユニット11からエンジン2の出力するエンジントルクを読み込み、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、車輪速度センサ13から各車輪3の車輪速度を読み込み、ステップS3へ移行する。
ステップS4では、駆動モードを読み込み、ステップS5へ移行する。駆動モードとは、前述のドライバによって選択される4輪駆動固定選択モードと2輪駆動固定選択モードと4輪-2輪駆動自動選択モードのことを示す。
ステップS5では、車輪速度のセレクトローセカンド値を作成して、ステップS6へ移行する。車輪速度のセレクトローセカンド値とは、各車輪3の車輪速度のうち下から2番目の車輪速度の値を示す。
ステップS8では、加速度センサ14が検出した前後加速度とエンジントルクから算出した前後加速度とを比較して大きい方を4輪駆動車両1の前後加速度として選択して設定し、ステップS10へ移行する。ここでは通常、平坦路では加速度センサ14が検出した前後加速度が選択され、降坂路ではエンジントルクから算出した前後加速度が選択される。なお、ステップS8は本発明の加速度選択手段に相当する。
ステップS10では、4輪駆動車両1の前後加速度を積分して車体速度とし、ステップS11へ移行する。
ステップS11では、車輪速度のセレクトローセカンド値とステップS10において4輪駆動車両1の前後加速度から算出された車体速度とを比較して小さい方を4輪駆動車両1の車体速度として選択し、処理を終了する。
実施例1の車両用トラクションコントロール装置が適用された4輪駆動車両1では、4輪駆動時であって車両発進時には、車体速度を加速度センサ14が検出した前後方向加速度とは別途に、エンジントルクから前後加速度を算出し、加速度センサ14が検出した前後方向加速度とエンジントルクから算出した前後加速度とを比較して大きい方を用いて車体速度を求めるようにした。そして、この車体速度と車輪速度とから車輪3のスリップを検出し、車輪3がスリップしたときはブレーキアクチュエータユニット10によってスピンした車輪3のホイルシリンダ9に液圧を供給して車輪3のスピンの発生を抑制するようにした。
実施例1の効果について説明する。
(1)ブレーキコントロールユニット15において、車両のエンジントルクから前後加速度を推定し(ステップS6)、加速度センサ14が検出した車両の前後加速度と、エンジントルクから推定した前後加速度とを比較し大きい方を車両の前後加速度として選択(ステップS8)した。この選択した前後加速度によって車体速度を算出して、車輪速度と車体速度とを比較し、車体速度に対して車輪速度が大きくなるスリップを検出したときには、ブレーキアクチュエータユニット10によって、スリップが発生した車輪3の速度の抑制するようにホイルシリンダ9にブレーキ液圧を供給するようにした。
そのため、路面の勾配に関わらず、路面に対する車両の前後加速度を算出することが可能となり、車体速度をより正確に算出することができる。
以上、本願発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
ドライバのアクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダル操作量検出手段を備え、
前記加速度推定手段は、前記アクセルペダルの操作量が大きいほど推定する車両の期待前後加速度を大きい値とすることを特徴とする車両用トラクションコントロール装置。
そのため、路面の勾配に関わらず、路面に対する車両の前後加速度を算出することが可能となり、車体速度をより正確に算出することができる。
スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段を備え、
前記加速度推定手段は、前記スロットル開度が大きいほど推定する車両の前後加速度を大きい値とすることを特徴とする車両用トラクションコントロール装置。
そのため、路面の勾配に関わらず、路面に対する車両の前後加速度を算出することが可能となり、車体速度をより正確に算出することができる。
エンジンの単位時間当りの燃料噴射量を検出する燃料噴射量検出手段を備え、
前記加速度推定手段は、前記単位時間当りの燃料噴射量が多いほど推定する車両の前後加速度を大きい値とすることを特徴とする車両用トラクションコントロール装置。
そのため、路面の勾配に関わらず、路面に対する車両の前後加速度を算出することが可能となり、車体速度をより正確に算出することができる。
エアフロメータの吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段を備え、
前記加速度推定手段は、前記吸入空気量が多いほど推定する車両の前後加速度を大きい値とすることを特徴とする車両用トラクションコントロール装置。
そのため、路面の勾配に関わらず、路面に対する車両の前後加速度を算出することが可能となり、車体速度をより正確に算出することができる。
3FR,3FL,3RR,3RL 車輪
5F,5R 駆動力配分装置
6 ブレーキペダル
9FR,9FL,9RR,9RL ホイルシリンダ
10 ブレーキアクチュエータユニット
11 エンジンコントロールユニット
13FR,13FL,13RR,13RL 車輪速度センサ
14 加速度センサ
15 ブレーキコントロールユニット
Claims (2)
- 車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
車両に作用する加速度から前後加速度を検出する加速度検出手段と、
全輪駆動時に前記前後加速度から車体速度を算出する車体速度算出手段と、
前記車輪速度と前記車体速度とを比較し、前記車体速度に対して前記車輪速度が大きくなるスリップを検出したときに前記車輪速度の抑制を行う車輪速度抑制手段と、
を備えた車両用トラクションコントロール装置において、
ドライバによって4輪駆動固定選択モードと、4輪-2輪駆動自動選択モードとを選択できる駆動モード選択手段と、
エンジン出力を検出するエンジン出力検出手段と、
前記エンジン出力検出手段により検出されたエンジン出力から前後加速度を推定する加速度推定手段と、
選択されたモードが前記4輪駆動固定選択モードの時に検出した前記車両の前後加速度と、前記エンジン出力から推定した前後加速度と、を比較し大きい方を車両の前後加速度として選択する加速度選択手段と、
を設けたことを特徴とする車両用トラクションコントロール装置。 - 請求項1に記載の車両用トラクションコントロール装置において、
前記加速度推定手段は、前記エンジン出力が大きいほど推定する車両の前後加速度を大きい値とすることを特徴とする車両用トラクションコントロール装置。
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