JP2008301564A - 車両の回生制動制御装置及びそれを含む車両制御装置 - Google Patents

車両の回生制動制御装置及びそれを含む車両制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回生制動が可能な車両に於いて、左右駆動力配分システムの如き複数の駆動輪の駆動力を各々独立に調節可能なシステムを搭載し、回生制動力の配分制御を実行して、車両のエネルギー効率を向上すること。
【解決手段】本発明の回生制動制御装置は、左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能な車両に於いて、左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定する手段と、左右輪の各々で最大発生可能制動力を決定する手段とを含み、左右輪のうちの最大発生可能制動力が大きい方の車輪の回生制動力の配分量が増大される。また、配分制御に伴う駆動力配分システムの消費電力による損失を考慮して、配分制御実行によりエネルギー効率が向上する場合にのみ、配分制御が実行されるようになっていてよい。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の車両の制動制御装置に係り、より詳細には、車両に搭載される回生制動システム、即ち、車両制動時に車両の走行エネルギーを電気エネルギーに変換して回収するシステムの作動を制御するための回生制動制御装置に係る。
駆動装置として電動機を備えた自動車等の車両、即ち、ハイブリッド自動車や電気自動車の制動系に於いては、車両の運動エネルギーを発電機(又は発電電動機)により電気的エネルギーとして回収することにより車両を制動する回生制動システムが採用される。回生制動により回収された電気的エネルギーは、電動機により再び車両を駆動するためのエネルギーとして利用され、これにより、車両のエネルギー効率は、従前のガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車等に比べて大幅に改善され、車両の化石燃料に対する依存性を低減することができる。そこで、回生制動システムを搭載した車両は、環境問題に対する意識の高まりと電気エネルギーの充電技術の進歩と伴に、既に、急速に市場に於いて普及している。
回生制動システムを自動車等の車両の制動系に於いて採用する場合、車両の制動時にタイヤに発生する制動力の少なくとも一部を、回生制動システムによる制動力が担うこととなる。この点に関し、この分野に於いてよく知られているように、車両の制動時に於けるタイヤ力、つまり、各輪の制動力は、種々の車両の走行制御に於いて車両の走行安定化等の目的で高度に制御されるようになっている。そこで、回生制動システムを搭載する車両に於いて、回生制動システムの作動と既存の車両の走行制御とを協調し、或いは、任意の車両の走行制御が作動している状況下で回生制動システムを作動するための回生制動制御の種々の態様が提案されている。
例えば、特許文献1に於いては、車両の走行状況に応じて、車両の挙動を安定化する制動力配分が達成されるように、回生制動装置と各輪とを選択的に連結して、特定の車輪に回生制動力が作用するよう構成された構造が提案されている。また、特許文献2に於いては、車両の挙動を安定化するよう制動力配分が実行される四輪駆動車に於いて、各輪に発生する制動力のうちの回生制動力と摩擦制動力(ブレーキパッド等の摩擦により車輪の回転を制動する装置による制動力)とのバランスを決定する際に、タイヤに発生可能な制動力の余裕(発生可能な制動力と発生すべき制動力との差)が大きいほど、摩擦制動力に対する回生制動力の割合を大きくして、走行制御のロバスト性を考慮しつつエネルギー効率の向上を図る制御が提案されている。更に、特許文献3は、各輪に電動機が駆動装置として備えられたホイールインモータ式の四輪駆動が可能な車両に於いて、車両に要求される制駆動力の大きさと各輪の電動機のトルク発生効率とを考慮し、各電動機が最もトルク発生効率の良い状況で作動されるように、常に全輪を制駆動するのではなく、車両の走行状態を鑑みて選択的に車輪を制駆動するよう構成された制御態様を提案している。
回生制動システムの構造上の一つの特徴は、車輪に制動力を与える機構が車両の駆動時に車輪に駆動力を与える駆動系機構と共通であるという点である。一般的には、回生制動時に車輪の回転エネルギーを回収する際、車輪の回転は、車両の駆動時にその車輪に駆動トルクを伝達するドライブシャフト、プロペラシャフト等を通って発電機まで伝達され、電力に変換される。また、駆動装置の形式によって、発電機が車両の駆動時には電動機として車輪に駆動力を与える。即ち、回生制動は、通常、回転エネルギーが駆動装置から車輪に駆動力を伝達する駆動系機構を駆動時とは逆方向に流れることによって達成されるということができる。
特開2005-145334 特開2004-242460 特開2004-120821 「四輪駆動力自在制御システムの開発」 森淳、芝端康二 社団法人自動車技術開 学術講演会前刷集 No.76-05,p.19-24
現在、市場に流通している車両の多くでは、単一の駆動装置からの駆動トルクは、ディファレンシャル(差動装置)に於いて左右の駆動輪に分配される。通常の自動車のディファレンシャルは、一般的には、オープンデフであるので、駆動トルクは、左右均等に分配される。従って、左右輪のうち、一方の車輪のタイヤ力が限界(最大摩擦円)に達すると、他方の車輪のタイヤ力が限界に達していなくても、それ以上、駆動装置から車輪に伝達される駆動トルク又は駆動力を増大することはできない。
これと同様のことが、回生制動システムにより発生される回生制動力の場合についても言える。回生制動システムでは、上記の如く、駆動系機構を逆流する回転エネルギーを回収する際、車輪に対して車輪の回転を制動する方向にトルクが作用し、これによりタイヤに於いて制動力が発生する。従って、オープンデフの場合、駆動装置からの制動トルクは、左右に均等に分配されるので、左右輪のうち、一方の車輪のタイヤ力が限界(最大摩擦円)に達すると、それ以上、駆動装置から車輪に伝達される制動トルクを増大することはできない。即ち、回生制動システムで回収できる回転エネルギー量は、駆動系機構の構造的な制約により、左右輪のうちタイヤ力の限界の低い方の大きさに制限されてしまうこととなる。そして、タイヤ力の限界の高い方に更なる制動力が要求される場合には、摩擦制動装置により制動されるので、車輪の回転エネルギーは、熱エネルギーとして散逸される。
だが、近年、所謂、「駆動力可変配分デフ」又は「可変トルク配分デフ」と称される、単一の駆動装置から駆動トルクを(前後だけでなく)左右の駆動輪へ自在に配分する左右駆動力配分システムが廉価に利用可能となってきており、車両の駆動時に於いて、駆動力配分制御、即ち、複数の駆動輪の駆動力を各々独立に調節する制御、が現実的に実行できるようになってきた(例えば、非特許文献1参照)。従って、かかる左右駆動力配分システムを利用すれば、回生制動システムによる回生制動に於いても、回生制動力を左右の駆動輪へ自在に配分し又は調節して、回生制動システムで回収できる回転エネルギー量(回生エネルギー量)を増大し、車両のエネルギー効率を向上できるようになることが期待される。
また、上記の回生制動力の配分制御を実行する制御態様を構成する際には、単に、回生制動システムによる回生エネルギー量の増大を考慮するだけではなく、その回生エネルギー量の増大を実行するために動作される駆動力可変配分デフ等の制駆動力配分を達成する装置に要する消費エネルギーをも考慮する必要がある。もし制駆動力配分を達成する装置の作動による消費エネルギーが、回生エネルギーの増大量を超える場合には、エネルギー効率が改善されたことにはならないであろう。
更に、回生制動力配分制御を実行する際の車両の走行挙動の安定性又はそのロバスト性も考慮されるべきであろう。
かくして、本発明の一つの課題は、回生制動システムによる回生制動により車両の走行運動エネルギーを回収するよう構成された車両に於いて、左右駆動力配分システムの如き、車両の複数の駆動輪の駆動力を各々独立に調節可能な装置を搭載し、回生制動力の配分制御を実行して、回生制動システムによる回生エネルギー量を増大し、車両のエネルギー効率又は燃費を向上する新規な回生制動制御を提案することである。
また、本発明のもう一つの課題は、上記の如き回生制動制御に於いて、回生動力の配分に伴って消費されるエネルギー損失を考慮した制御を提案することである。
更に、本発明のもう一つの課題は、上記の如き回生制動制御に於いて、車両の走行挙動の安定性又はそのロバスト性をも考慮した制御を提案することである。
本発明によれば、自動車等の車両に於いて、左右駆動力配分システムの如き、車両の複数の駆動輪の駆動力を各々独立に調節可能に制御できる機構又は左右の駆動輪の回生制動力の配分を変更可能に制御できる機構を搭載して、回生制動による回生電力を従前に比して増大する回生制動制御装置が提供され、更に、回生制動による回生電力の増大に際して、車両の走行挙動が不安定化されないよう配慮された回生制動制御装置又は車両制御装置が提供される。
本発明の一つの態様に於いては、本発明の回生制動制御装置は、車両の左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能な車両に用いられる回生制動制御装置であって、左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定する回生制動力配分制御手段と、左右の駆動輪の各々に於いて発生可能な最大の制動力を決定する最大制動力決定手段とを含む。そして、回生制動力配分制御手段は、左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大することを特徴とする。なお、上記に於いて、左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能な車両は、典型的には、車両の駆動装置又は駆動系に於いて車輪の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機を有し、回生制動が実行可能であり、その駆動装置又は駆動系から左右の駆動輪への制駆動力の分配が、各輪への制駆動力の配分量を任意に調節可能な制駆動力分配装置の作動により実行される任意の形式の車両であってよい。また、「左右の駆動輪の各々に於いて発生可能な最大の制動力」とは、現在の車両の走行状態に基づいて推定される発生可能な制動力の最大限界値であり、実際に現に発生している制動力ではないことは理解されるべきである。
既に触れたように、車両の走行中に於いて、例えば、車両が旋回中である場合、左右輪の路面の摩擦状態が異なる場合、車両の重心が左右のいずれかにオフセットしている場合など、左右輪に於けるタイヤ力の限界に差が有り、従って、発生可能な最大の制動力に左右差が生ずる場合がある。そのような場合でも、従前の一般的な車両の如く、左右の駆動輪への回生制動力の配分が、従前の車両の如く均等にならざるをえないという構造上の制約がある場合には、回生制動力の発生可能な限界は、左右の駆動輪のうち発生可能な最大の制動力の小さい方の限界に拘束され、それ以上、回生エネルギー量を増やすことができなかった。
しかしながら、上記の本発明の回生制動制御装置では、車両の駆動系として、左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能であるという構造を採用し、その構造の左右の駆動輪の回生制動力の配分が、均等にならざるをえないという制約を外し、任意に調節可能であるという利点が利用される。そして、最大制動力決定手段を設けて、左右の駆動輪の各々に於いて発生可能な最大の制動力を決定し、左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大することによって、車両の制動時の回生エネルギーの増大及び車両のエネルギー効率の向上が図られる。
上記の本発明の構成に於いて、左右の駆動輪の各々に於いて発生可能な最大の制動力は、一つの態様としては、左右の駆動輪の各々の接地荷重に基づいて決定されてよい。この分野に於いて知られている如く、或る車輪に於いて発生可能な最大の制動力は、その車輪の接地荷重と路面の最大摩擦係数により定まる最大摩擦円により決定される。接地荷重が大きいほど、最大摩擦円は大きくなるので、回生制動力配分制御手段は、回生制動力の配分量の決定に際し、左右の駆動輪のうち接地荷重の大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大するようになっていてよい。また、車輪の最大摩擦係数から発生可能な最大の制動力を導出する際には、タイヤの横力が考慮されるところ、左右のタイヤの横力の配分量は、左右輪の接地荷重の比により比例すると考えられるので、左右の駆動輪の各々の発生可能な最大の制動力は、左右の駆動輪の各々の接地荷重の比例値として算定されてもよい(後述の実施形態の欄参照。)。更に、左右輪の路面の最大摩擦係数が各々別々に利用可能であるときには、左右の駆動輪の各々の発生可能な最大の制動力は、左右の駆動輪の各々の接地荷重に左右の駆動輪の各々の路面の最大摩擦係数を乗じた値に基づいて決定されてもよい。また、特に、車両の旋回中に於いては、左右輪の接地荷重は、車両の旋回状態を示す指標値、例えば、車両の横加速度、ヨーレート、舵角の関数である。従って、左右の駆動輪の各々の発生可能な最大の制動力は、それらの車両の旋回状態を示す指標値に基づいて決定されてもよい。なお、左右輪の接地荷重又は発生可能な最大の制動力は、各輪に備えられた荷重センサやサスペンションのストローク量から算定することも可能であり、そのような場合も本発明の範囲に属する。
上記の本発明の回生制動制御装置に於いて、左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大する際の左右の駆動輪の回生制動力の具体的な配分量は、任意の態様で決定されてよい。
左右の駆動輪の回生制動力の具体的な配分の態様の一つとして、例えば、最も単純に、従って、配分処理を簡単に実行するには、左右の駆動輪への回生制動力の配分量は、左右の駆動輪の回生制動力の配分比が左右の駆動輪に於いて発生可能な最大の制動力の比と実質的に一致するよう決定されてよい。しかしながら、この場合、左右輪のタイヤ力が同時にそれぞれの限界に到達し易くなり、或いは、同時に限界を越える事態が発生し得る。そこで、左右の駆動輪への回生制動力は、左右の駆動輪の回生制動力の配分比が(発生可能な最大の制動力の大きい方の駆動輪の配分を大きくする条件の下で)左右の駆動輪の発生可能な最大の制動力の比と実質的に一致しないよう分配されるようになっていてもよい(これにより、左右輪のいずれか一方のタイヤ力が先に限界を越えても、他方は、限界以下に維持され、グリップ状態を維持するので、車両の走行挙動の安定性が向上する。)。その場合、特に、車両の旋回中に於いては、左右の駆動輪の回生制動力の配分比は、左右の駆動輪に於いて発生可能な最大の制動力の比よりも旋回外側の駆動輪の方に偏倚するように、左右の駆動輪へ回生制動力の配分が制御されてよい。
また、左右の駆動輪の回生制動力の具体的な配分の態様のもう一つとして、左右の駆動輪への回生制動力は、左右の駆動輪に於ける発生可能な最大の制動力と(発生させるべき)回生制動力との差が実質的に等しくなるよう左右の駆動輪へ回生制動力を分配するようになっていてよい。上記の如く、左右の駆動輪の回生制動力の配分比が左右の駆動輪に於いて発生可能な最大の制動力又は接地荷重の比と実質的に一致するように若しくは発生可能な最大の制動力又は接地荷重の比を基準にして分配する場合には、発生可能な最大の制動力又は接地荷重の小さい方の車輪に於いて、発生している回生制動力からタイヤ力の限界までの余裕が小さくなるので、発生可能な最大の制動力又は接地荷重の小さい方の車輪が限界に達しやすくなり、走行挙動のロバスト性が低下する可能性がある。一方、左右の駆動輪に於ける発生可能な最大の制動力と回生制動力との差が実質的に等しくなるように、即ち、両輪に於ける限界までの余裕が等しくなるように回生制動力を分配すれば、発生可能な最大の制動力又は接地荷重の小さい方の車輪が容易に限界に達することが防止されることとなる。なお、この場合にも、車両の旋回中に於いては、旋回外側の駆動輪の発生可能な最大の制動力と回生制動力との差が旋回内側の駆動輪の発生可能な最大の制動力と回生制動力との差よりも大きくなるよう左右の駆動輪への回生制動力を分配し、旋回外側の駆動輪の制動力を増大するようになっていてもよい。
ところで、車両に於いて、左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量の変更が、駆動力可変配分デフの如き制駆動力分配装置、即ち、回生制動を実行する車両の駆動装置から左右の駆動輪へ付与される制駆動力を分配する装置の作動により達成される場合、既に触れたように、制駆動力分配装置は、回生制動力の配分を左右輪に対して均等に配分する状態(オープンデフと同様)から何れかの車輪に偏倚させ不均等に変更した状態とするときには、そのためにエネルギー又は電力を消費する。従って、左右の駆動輪への回生制動力の配分を変更して左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大すれば、常に、車両全体として損失するエネルギーが低減する訳ではない。従って、回生エネルギー量を増大しようとする場合には、制駆動力分配装置の消費電力も考慮すべきである。そこで、上記の本発明の回生制動制御装置の一つの態様として、更に、制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される電力を推定する消費電力推定手段を含み、回生制動力配分制御手段は、消費電力推定手段により推定された制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される消費電力に基づいて左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定するようになっていてよい。
回生制動制御装置に於いて、上記の如く、制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される消費電力を考慮する場合には、一つの態様としては、回生制動制御装置は、回生制動により回収される回生電力を推定する回生電力推定手段を含み、回生制動力配分制御手段は、(i)制駆動力分配装置の作動により左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの回生電力の増分がそのときの制駆動力分配装置に於いて消費される消費電力の増分を上回るときに制駆動力分配装置の作動による左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量の変更を実行し、(ii)制駆動力分配装置の作動により左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの回生電力の増分がそのときの制駆動力分配装置に於いて消費される消費電力の増分を下回るときには制駆動力分配装置の作動による左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量の変更を禁止するようになっていてよい。これにより、回生制動力の配分の変更を実行することにより、かえって車両全体のエネルギーの損失が大きくなる場合には、そのような回生制動力の配分の変更を禁止し、車両全体のエネルギーの損失が低減されることとなる。
また、上記の如く、回生制動制御装置に於いて、制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される消費電力を考慮する場合のもう一つの態様としては、回生制動制御装置は、(上記の態様と同様に)回生制動により回収される回生電力を推定する回生電力推定手段を含み、回生制動力配分制御手段は、制駆動力分配装置の作動により左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの回生電力の増分からそのときの制駆動力分配装置に於いて消費される消費電力の増分を差し引いた差分を最大にする回生制動力の配分にて左右の駆動輪へ回生制動力を分配するようになっていてもよい。かかる構成によれば、車両を制動する際に回収されるエネルギーが最大となり、これにより、より一層、車両全体のエネルギーの損失が低減されることとなる。
上記の一連の回生制動制御装置の態様に於いて、車両全体に要求される目標回生制動力が左右の駆動輪の回生制動力の配分量が実質的に均等である場合に発生可能であるとき、即ち、目標回生制動力の半分が左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が小さい方の限界よりも小さい場合には、左右の駆動輪の回生制動力の配分を変更しなくても、両輪の回生制動力により目標回生制動力が達成される。従って、車両全体に要求される目標制動力が左右の駆動輪の回生制動力の配分量が実質的に均等である場合に発生可能であるときは、回生制動力配分制御手段は、左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が小さい方の駆動輪の回生制動力が所定値(かかる所定値は、発生可能な最大制動力が小さい方の駆動輪の限界値であってもよい。)に達するまで、発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分の増大を実行しないように成っていてよい。制駆動力分配装置が回生制動力の配分を左右輪に於いて不均等に変更した状態とするときにエネルギー又は電力を消費する形式のものである場合には、駆動輪の回生制動力の配分の増大を実行しないことにより、左右輪の回生制動力の配分の変更に伴う電力は、最小となる。
なお、上記の如く、回生制動制御装置に於いて、制駆動力分配装置の回生制動力の分配に消費される消費電力を考慮する制御態様について、かかる制御態様は、左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大するよう左右の駆動輪への回生制動力の配分を変更する場合以外(例えば、運動制御により制動力の配分が要求される場合など)にも適用されてよいことは理解されるべきである。従って、本発明の別の態様に於いて、回生制動力の配分が左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大するよう実行されるか否かによらず、車両の左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能な車両の回生制動制御装置は、更に、左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定する回生制動力配分制御手段と、制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される電力を推定する消費電力推定手段とを含み、回生制動力配分制御手段は、消費電力推定手段により推定された制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される消費電力に基づいて左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定するようになっていてよい。この場合、回生制動制御装置は、更に、回生制動により回収される回生電力を推定する回生電力推定手段を含み、回生制動力配分制御手段は、制駆動力分配装置の作動により左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの回生電力の増分がそのときの制駆動力分配装置に於いて消費される消費電力の増分を上回るときに制駆動力分配装置の作動による左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量の変更を実行するか、制駆動力分配装置の作動により左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの回生電力の増分からそのときの制駆動力分配装置に於いて消費される消費電力の増分を差し引いた差分を最大にする配分にて左右の駆動輪の回生制動力を分配するようになっていてよい(例えば、運動制御に於いて、回生制動の配分の実行が、エネルギー効率上、有利でないときは、制動力の配分は、摩擦制動力の配分により達成される。)。
更に、上記の一連の本発明の回生制動制御装置による回生制動力の左右輪の配分が均等から不均等に変更されると、かかる不均等に配分された制動力によって車両に於いてヨーモーメントが発生し、車両の旋回特性又は操舵特性が変化することとなり得る。実際の車両の走行に於いて、車両の絶対的な旋回方向は、運転者の操舵により決定されるので、回生制動力の左右輪の配分の変更により車両の軌道がずれる場合には、運転者は、操舵により車両の軌道を修正するので、実用上、支障はない。しかしながら、運転者は、操舵に於いて、車両の旋回特性又は操舵特性の変化に違和感を覚える可能性があり、また、車両の軌道修正をする負担を負うこととなる。そこで、そのような運転者の操舵負担や違和感を軽減するために、回生制動制御装置の作動に対応して、操舵特性が修正されるようになっていてよい。
かくして、本発明の更なる態様によれば、上記の一連の態様のいずれかの回生制動制御装置を含む車両制御装置であって、回生制動制御装置により左右の駆動輪の回生制動力の配分量の変更が実行されたとき、該回生制動力の配分量の変更に起因する車両の旋回状態の変化を低減するよう車両の操舵特性を変更することを特徴とする装置が提供される。車両の旋回状態の変化は、既に触れたように、左右の駆動輪の回生制動力の配分量の差によるヨーモーメントに起因するので、上記の車両制御装置に於いて、左右の駆動輪の回生制動力の配分量の差に基づいて車両の操舵特性を変更する操舵特性変更手段が設けられていてよい。操舵特性変更手段による操舵特性の変更は、任意の態様にて実行されてよいが、典型的には、左右の駆動輪の回生制動力の配分量の差に基づいて車両の運転者による操舵角の変化量に対応する車両の操舵輪の舵角の変化量を変更することにより為されてよい。
上記の如く、本発明に於いては、回生制動が行われる車両の制動系に於いて、左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能な機構を採用し、左右の駆動輪のうち、いずれの車輪の発生可能な最大の制動力が大きいかを参照して、従前の回生制動に比して回生エネルギーがより増大するよう発生可能な最大の制動力の大きな側の駆動輪の回生制動力が増大される。車両の旋回中或いは左右輪の路面の摩擦状態が異なる場合などの走行制御などにより、左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が大きい方に、左右の駆動輪のうちの発生可能な最大制動力が小さい方の限界以上の制動力が要求される場合に、従前の車両では、回生制動力の配分が均等であったことから、回生制動力の不足分は摩擦制動を利用することとなっていたところ、本発明の回生制動制御装置の構成によれば、摩擦制動の作動を要する頻度が低減され、従って、摩擦制動に於けるエネルギーの損失及び摩擦制動装置の消耗が低減されることも期待される。なお、本発明の回生制動制御装置は、二輪駆動車だけでなく、四輪駆動車、或いは、ホイールインモータ式の車両に適用されてもよく、また、ハイブリッド車及び電気自動車のいずれにも適用されてよいことは理解されるべきである。
従来の回生制動を実行する車両に於いても、車両上の回生制動力の配分を変更する例は見られるが、その殆どは、専ら、既存の走行制御による制動力配分に適合するよう回生制動力の配分を変更させるものであり(例えば、特許文献1)、回生エネルギーの増大を図るべく、左右輪の回生制動力の配分を各輪の発生可能な最大制動力又は接地荷重に基づいて決定するものではない。また、特許文献2のものは、四輪駆動車に於いて、既存の走行制御により要求される制動力の配分を適合するよう前後輪に於ける回生制動力と摩擦制動力とのバランスを変更するものであり、左右輪の回生制動力の配分を変更することは言及していない。或いは、特許文献3のホイールインモータ式の車両に於ける各輪のモーターが最適の作動効率にて作動するよう各輪の接地荷重を参照して回生制動を実行する車輪を選択するようになっているが、従来の技術に於いては、(一つの回生制動装置から回生制動力を分配する形式の場合も含めて)車両全体の回生エネルギーの増大を図るべく、左右輪の回生制動力の配分を各輪の発生可能な制動力又は接地荷重に基づいて決定する、というものはない。
また、本発明の回生制動制御装置のうち、制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される消費電力を考慮する制御態様では、回生エネルギーの回収のための機構が作動することにより結果的に車両全体のエネルギー損失が大きくなってしまうことが回避できるようになっている。即ち、本発明のこの態様による回生制動制御装置は、車両全体のエネルギー収支に基づいて適切に回生制動力の配分の変更を実行するものであるということができる。更に、左右駆動輪の不均等な回生制動力配分を実行しなくても目標制動力が発生可能なときには、かかる不均等な回生制動力配分をしないという態様の場合では、制駆動力分配装置の作動する頻度又は期間が低減され、従って、制駆動力分配装置の作動に要する電力損失を低減することが可能となる。従来の技術に於いては、回生制動力の前後又は左右の駆動輪への配分に際し、制駆動力分配装置により消費される消費電力をも考慮した例はないようである。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明より明らかになるであろう。
装置の構成
図1(A)は、本発明の回生制動制御装置の好ましい実施形態が搭載されるハイブリッド式の駆動装置を有する二輪駆動車を模式的に示している。同図に於いて、左右前輪12FL、12FRと、左右後輪12RL、12RRを有する車両10には、通常の態様にて、運転者によるアクセルペダル14の踏込みに応じて後輪に駆動力を発生する駆動装置16と、左右前輪を操舵するステアリング装置30が搭載される。駆動装置16は、一つのエンジンEnと二つの発電電動機MG1、MG2とが差動歯車装置Dにて連結されてなるハイブリッド式の駆動ユニット18からの回転トルクがトランスミッション20、プロペラシャフト22を介して駆動力可変配分デフ24に伝達される(図1(B)は、駆動ユニット18内部の制駆動力伝達の機械的構成の模式図を示している。なお、本発明の装置が適用されるハイブリッド機構は、図示の形式のものに限定されないことは理解されるべきである。)。そして、駆動力可変配分デフ24では、回転トルクが、下記に説明される電子制御装置50により決定された配分量にてドライブシャフト26L及び26Rへ分配され、これにより、後輪12RL、12RRのそれぞれへ回転力が伝達される。また、ステアリング装置30は、パワーステアリング装置であり、運転者によって回転されるステアリングホイール32の回転を、ステアリングギア機構34を介して、タイロッド36L、Rへ伝達し、前輪12FL、FRを転舵する。好ましくは、ステアリングホイール32の回転角、即ち、運転者による操舵角の変化に対する前輪の転舵角の変化量も、下記に説明される電子制御装置50の制御下、変更可能となっていてよい。なお、簡単のため図示していないが、車両10には、通常の車両と同様に各輪に摩擦制動力を発生する摩擦制動装置が設けられる。
上記の構成に於いて、左右の後輪、即ち、駆動輪12RL及び12RRの制動は、各輪に備えられた摩擦制動装置(図示せず)に於いて選択的に発生される摩擦制動力と、エンジンEn、発電電動機MG1及びMG2の作動状態に応じてプロペラシャフト22と駆動力可変配分デフ24を経て選択的に発生される回生制動力とにより為される。摩擦制動力は、通常の態様にて、電子制御装置50の制御下、運転者によるブレーキペダル28の踏込みに応答して作動されるマスタシリンダのマスタシリンダ圧に応じて又は種々の車両の運動制御に於いて要求される減速度又は制動力に対応して、オイルリザーバ、オイルポンプ、種々の弁等を含む油圧回路から全車輪に設けられたホイールシリンダ(図示せず)にブレーキ圧が与えられることにより、ホイールシリンダを伸長し、これにより、車輪の内側にて、図示していないブレーキパッド(摩擦要素)がブレーキディスクに押し付けられることにより発生される。
一方、回生制動力は、電子制御装置50の制御下、ブレーキペダル28の踏込み又は車両の運動制御の指令に応答して、発電電動機MG1及び/又はMG2が各々の回転軸の回転エネルギーを吸収する発電機として作動するようインバータIを設定することにより発生される。従って、車両の制動時に於いては、発電電動機MG1及び/又はMG2が回生制動装置となる。発電電動機MG1及びMG2が回生制動装置として作動する際には、発電電動機MG1及びMG2が車輪の回転を制動する方向に回転負荷が発生し、その負荷に抗して発電電動機の回転軸を回転しようとする車輪の回転力の反作用力がタイヤ上に於いて制動力となる。
更に、上記の車両の構成に於いて、駆動力可変配分デフ24は、プロペラシャフトからの回転トルク又は回転力を左右の駆動輪に対して異なる大きさで分配することのできる公知の任意の形式の制駆動力分配装置であってよい(例えば、非特許文献1参照)。かかる駆動力可変配分デフに於ける左右の車輪への配分量又は配分比は、電子制御装置50からの制御指令によって変更される。また、駆動力可変配分デフは、典型的には、左右輪への力又はトルクの配分量が均等のとき、消費電力が実質的に0であるか、又は、最も消費電力が少なく、左右輪の力又はトルクの配分量をいずれかの車輪に偏倚させると、消費電力が増大する(後述の図5(B)参照)。なお、デフの駆動力配分比の可変範囲は、実際の車両に搭載されるデフに於いて、その具体的な構造・形式等により制限されるが、本明細書に於いては、本発明の駆動力制御装置に要求され得る配分比の全範囲を実現可能であるものとする。
図1の車両の各部の制御は、電子制御装置50により為され、電子制御装置50の内部の構成及び作動により、本発明の回生制動制御装置が実現される。電子制御装置50は、通常の形式の、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を含んでいてよい。電子制御装置50には、車両の前後方向のGセンサ42からの前後加速度gx、車両の横方向のGセンサ43からの横加速度gy、アクセルペダル踏込量θa、ブレーキペダル踏込量θb、ステアリングシャフトに設けられた操舵角センサ32aからの操舵角δ、バッテリBの充電度及び温度等の情報(図示せず)、各輪に搭載された車輪速センサ40i(iは、特に断らない限り、FL、FR、RL、RR、即ち、左前輪、右前輪、左後輪、右後輪の値であることを示す。)からの車輪速を表す信号等が入力される。なお、上記以外に、本実施形態の車両に於いて実行されるべき各種制御に必要な種々のパラメータを得るための各種検出信号、例えば、ヨーレートセンサにより検出されるヨーレート、各輪に設けられた荷重センサからの各輪の垂直荷重を表す信号が入力されてよいことは理解されるべきである。そして、電子制御装置50から、インバータを含む駆動ユニット18の作動制御のための制御指令、後に説明される態様にて決定された駆動力可変配分デフ24に於けるの左右後輪の各々へ伝達される回転力の配分比指令kr、操舵特性の変更指令が、対応する駆動ユニット18の制御器(図示せず)、駆動力可変配分デフ24の制御器(例えば、クラッチを作動する液圧式制御機械など(図示せず))、ステアリング機構34へ送信される。
図2(A)は、電子制御装置50の本発明の回生制動制御に係る構成をブロック図の形式で示したものである。電子制御装置は、その機能的構成の一部として、ハイブリッドシステム演算部、ブレーキシステム演算部、回生制動力制御部、路面摩擦係数推定装置を含んでいる。ハイブリッドシステム演算部は、バッテリ充電度、バッテリ温度、車速(車輪速より任意の手法により決定される。)に関する情報に基づいて現在実行可能な回生実行パワー(単位時間当たりの吸収エネルギー量)を算出し、更に、これを力の単位に換算した最大回生制動力を予測する。また、摩擦係数推定装置は、公知の任意の手法により前後加速度、車輪速等の信号から各輪の路面の最大摩擦係数を推定し(電子制御装置50とは別のユニットで構成されてよい)、推定結果は、電子制御装置50の各部に於いて適宜利用可能であってよい。
ブレーキシステム演算部は、ブレーキペダル踏込量θb又は任意の車両の運動制御からの制御指令(要求制動力情報)に基づいて、まず、車両の制動系全体で発生されるべき要求制動力と、かかる要求制動力の駆動輪と従動輪に於いて発生されるべき割り当て分を算出する(なお、車両全体、駆動輪及び従動輪のそれぞれの要求制動力は、別の制動力制御装置等で算出されたものを取得するようになっていてもよい。)。そして、従動輪の制動力については、従動輪の要求制動力がそのまま従動輪の目標摩擦制動力として用いられ、駆動輪の制動力については、駆動輪の要求制動力とハイブリッドシステム演算部により予測された最大回生制動力との値から、所定のスキーム(図2(B))に従った目標回生制動力と、駆動輪の摩擦制動装置に於いて実現されるべき目標摩擦制動力を決定する。
駆動輪に於ける回生制動力と摩擦制動力との割合について、本実施形態に於いては、摩擦制動力は、基本的には、回生制動力の補完として、駆動輪に於いて回生制動力だけでは要求制動力の大きさ又は変化が適切に達成できない場合や回生制動力のみでは運転者の制動フィーリングの悪化が問題となる場合に使用される。実際の回生制動装置に於いては、吸収可能な回生エネルギー量及びパワーは、インバータIに接続されたバッテリBの容量、充電量等に依存して決定され、また、回生制動を実行する時期は、そのときの車速等のパラメータに依存して決定されるので、発生可能な回生制動力が常に(駆動輪の)要求制動力の大きさ又は変化に対応できるわけではない。従って、回生制動が、要求された制動の態様を適切に実現できない期間は、摩擦制動により車両の制動が実行される(回生/摩擦協調制御)。なお、吸収可能な回生エネルギー及びパワーの決定処理、インバータIの作動制御、回生/摩擦協調制御は、公知の任意の態様で実行されてよい。例えば、図2(B)に例示されているスキームの場合、制動開始から所定期間(〜t1)までは、摩擦制動のみにより制動が実行され、その後、摩擦制動から回生制動へ切り換えられる(摩擦から回生へのすり替え)。しかる後、例えば、車速が所定車速を下回ると(t3)、回生制動から摩擦制動へのすり替えが実行され、回生制動は終了される。以下に説明する本発明の回生制動制御装置の特徴である回生制動力の左右駆動輪への配分制御は、回生制動が完全に実行されている期間(t2〜t3間)にのみ実行され、回生/摩擦協調制御に於ける摩擦制動と回生制動との間のすり替え時期に於いて実行されなくてもよい(総制動力の制御が複雑になるため)。
回生制動力制御部は、回生制動が実行される期間(目標制動力が算出される間)、下記により詳細に説明する態様にて、(i)左右後輪に於いてそれぞれ発生可能な最大の制動力の算定(最大制動力決定部)、(ii)目標回生制動力の左右の駆動輪への配分量の決定(回生制動力配分決定部)、(iii)回生される電力の推定(回生電力推定部)、(iv)駆動力可変配分デフの消費電力の推定(可変配分デフ消費電力推定部)などを行う。そして、回生制動力配分決定部により決定された左右の駆動輪への回生制動力の配分量に基づき、インバータIへの制御指令と駆動力可変配分デフへの制御指令を送信する(後の説明から理解される如く、ブレーキシステム演算部で算定された目標回生制動力によらず、左右駆動輪で発生される回生制動力の総和は、発生可能な最大の制動力の総和を越えないように制限されることとなる。)。
左右の駆動輪への回生制動力の配分量の情報は、また、摩擦制動装置の制御部にも送信され、その情報に従って、(駆動輪の)目標摩擦制動力が適宜修正され、しかる後、油圧回路へ対応する制御指令が送出されるようになっていてよい。回生制動力は、車輪がスリップ状態とならないように設定されるところ、車輪がスリップする場合には、別途、ABS制御等によりスリップが低減されるようになっていてよい。本発明の回生制動制御に伴う摩擦制動力の制御は、公知の任意の手法により実行されてよい。
更に、左右の駆動輪への回生制動力の配分量の情報は、任意に、ステアリング装置の操舵特性を決定する操舵特性変更指令決定部へ送信されるようになっていてよい。操舵特性変更指令決定部は、後に示す態様にて、回生制動力の配分量に基づいて、運転者による操舵角の変化に対する前輪の転舵角の変化量を変更する指令を決定し、その操舵特性の変更指令をステアリング機構34へ送信するようになっていてよい。
なお、上記の制御装置の一連の構成及び処理作動は、マイクロコンピュータが、組み込まれたプログラムに従って動作することによって実現されることは理解されるべきである。
左右の駆動輪の回生制動力配分による回生エネルギーの増大について
図3は、旋回中の車両に於いて発生させる回生制動力の大きさを模式的に表したものである。(A)の車両は、従前より使用されているオープンデフ、即ち、駆動装置からの回転トルクを左右の駆動輪へ均等に伝達する形式のディファレンシャルが搭載されたものであり、(B)の車両は、駆動力可変配分デフ、即ち、駆動装置からの回転トルクを左右の駆動輪へ任意の配分比にて伝達する制駆動力分配装置が搭載されたものである。同図から理解されるように、車両の旋回中に於いては、遠心力によって旋回外側方向に荷重移動が生ずるので、各輪のタイヤ力の最大摩擦円(μFzrl、μFzrr)は、直進走行時(図中点線の円)に比して、旋回外側に於いて増大し、旋回内側に於いて縮小する。かかる状況に於いて、(A)の車両、即ち、オープンデフで左右の駆動輪に回生制動トルクが均等に分配される場合には、左右のタイヤ力は、回生制動力と横力とのベクトル和が、旋回内側の縮小された最大摩擦円に達するまでの大きさに制限されることとなり、従って、両輪の回生制動力も旋回内側の最大摩擦円より内側に制限されることとなるので、回収可能なエネルギー(回生制動力×車輪速)は、直進走行時(車両全体に同じだけ制動力を付与した場合)に比して低減されることとなる。他方、(B)の車両の如く、駆動力可変配分デフが設けられている車両に於いては、左右の駆動輪に回生制動トルクを、不均等に、任意の配分比にて分配することが可能なので、旋回内輪の回生制動力を最大摩擦円内に抑えつつ、旋回外輪の回生制動力を増大させることにより、両輪の回収可能なエネルギーを、直進走行時と略同等のレベルまで増大することが可能となる(タイヤに横力が発生する分、回生制動力は低く抑えられる。)。
ただし、(B)の如く旋回内外の回生制動トルクの配分を不均等にする場合には、一般に駆動力可変配分デフの消費電力が増大し、旋回内外の回生制動力を不均等にしたからといって必ずしも車両全体のエネルギー収支が最適になるとは限らない。従って、(B)に例示されている如き回生制動力の分配を実行する際には、駆動力可変配分デフの消費電力も考慮されることが好ましい。
また、上記の説明では、左右輪の接地路面の最大摩擦係数が均等であるとして説明されているが、実際には、左右輪の路面の最大摩擦係数は、不均等で有り得る(荷重移動が在ってもなお、旋回内輪の最大摩擦円が旋回外輪の最大摩擦円より大きい状態も理論上在り得る。)。従って、左右輪の路面摩擦係数が各々別々に利用可能である場合には、回生制動力の分配を実行する際には、荷重移動量に加えて、左右輪の路面摩擦係数も考慮されることが好ましい。更に、(B)の如く旋回内外の回生制動トルクの配分を実行する場合には、左右輪の駆動輪のタイヤ力が同時に各々の最大摩擦円に越える可能性が高くなること、及び、左右の回生制動力に生ずる差によって車両の旋回特性が左右の回生制動力が均等である場合とは異なることも考慮されることが好ましいであろう。
回生制動制御装置の作動
図4は、上記の図3に関連して説明された事項を考慮した図1に例示された本発明の回生制動制御装置(回生制動力制御部)の好ましい実施形態の処理過程の概略をフローチャートの形式にて表したものである。図示の処理過程は、図2(A)のブレーキシステム演算部に於いて回生制動力の発生要求がなされたとき(目標回生制動力が算出されたとき)、実行される。
回生制動制御装置の基本的な処理過程の流れに於いて、図4に示されている如く、概して述べれば、下記のステップが順に実行される。
(ステップ10)目標回生制動力の取得、
(ステップ20)左右駆動輪の接地荷重の推定、
(ステップ30)左右駆動輪の発生可能な最大の制動力の算定、
(ステップ40)左右駆動輪の回生制動力の配分量の決定、
(ステップ50)インバータ、駆動力可変配分デフ、ステアリング機構への制御指令の算出と送信
以下、上記の各処理について説明する。なお、以下の式に於いて、モーメント及び舵角δは、左旋回方向を、タイヤの前後力Fxi及び横力Fyiは、制動側及び左方向を、前後・横加速度gx、gyは、前方及び左方向を、それぞれ正とする。
(i)目標回生制動力の取得
ステップ10の目標回生制動力の取得に於いては、ブレーキシステム演算部に於いて、任意の態様にて演算された目標回生制動力の値(Fxt)を取得する(図2(B)参照)。
(ii)左右駆動輪の発生可能な最大の制動力の算定
左右駆動輪の発生可能な最大の制動力の算定に於いては、まず、ステップ20にて、左右駆動輪の接地荷重Fzrl、Fzrrが、例えば、前後方向Gセンサの前後加速度値gxと横方向Gセンサの横加速度値gyを用いて以下の如く算出される。
Figure 2008301564
ここに於いて、Mは、車重、gは、重力加速度、hgは、重心高、Lrは、それぞれ、後輪の車軸から重心までの距離、Lは、前後輪の車軸間距離、Tdrは、リヤトレッド長、frollは、フロントロール剛性配分である。上記式の第1項は、車両の静止状態に於ける接地荷重であり、第2項は、車両の加減速時の前後方向の荷重移動成分、第3項は、車両の旋回時の横方向の荷重移動成分である。従って、左旋回減速時には、両式に於いて、第2項が低減し、第3項については、Fzrlは低減し、Fzrrは増大する。なお、接地荷重は、各輪に荷重センサを設け、その検出値が用いられてもよく、或いは、サスペンションストローク値に基づいて決定されてもよい。また、式(1a、b)中の第2項は、ヨーレート、舵角等の旋回状態を表す任意の旋回状態の指標値に基づいて決定されてもよい。
次いで、ステップ30に於いては、左右駆動輪の最大発生可能制動力Fxrl_max、Fxrr_maxが、ステップ20の左右輪の接地荷重の値を用いて算出される。具体的には、Fxrl_max、Fxrr_maxは、下記の連立二次方程式をFxrl_max、Fxrr_maxについてそれぞれ解いたときの正の解により与えられる。
Figure 2008301564
ここで、Fzr=Fzrl+Fzrrである。また、μrl、μrrは、それぞれ、左右後輪の路面の最大摩擦係数であり、公知の任意の検出方法又は摩擦係数推定装置により、車両の走行中に得られる値であってよい。式(2)は、左右後輪の制動力が最大限まで増大したとき、その際の各輪の制動力と横力とのベクトル和が最大摩擦円に到達していることと、或る定常的な旋回状態のとき、後輪の左右の制動力差に起因するヨーモーメントと前輪及び後輪の横力差に起因するヨーモーメントとが釣り合った状態となっているとの条件から求められる。
具体的には、左右後輪に於いて最大制動力が発生していると仮定したとき、その左右の制動力差により発生するヨーモーメントMrは、
Mr=(Fxrl_max−Fxrr_max)・Tdr …(2a)
により与えられる。これに釣り合うヨーモーメントを生成する前後輪の横力差ΔFy(=Fyf−Fyr)は、
ΔFy=−(Fxrl_max−Fxrr_max)・Tdr/L …(2b)
により与えられる。ところで、左右輪について合計した前輪及び後輪のそれぞれの横力Fyf、Fyrは、前後輪の横力差ΔFyを用いて、
Fyf=M・gy/2+ΔFy/2
Fyr=M・gy/2−ΔFy/2 …(2c)
により与えられるので、式(2c)に式(2b)を代入して、前後輪のそれぞれの横力の左右和が得られる。そして、後輪について左右輪の横力の配分が接地荷重比であると仮定すると、左右後輪の横力は、
Fyrl=(Fzrl/Fzr)・Fyr
Fyrr=(Fzrr/Fzr)・Fyr …(2d)
により与えられる。左右後輪の制動力が最大限まで増大したとき、その際の各輪の制動力と横力とのベクトル和が最大摩擦円(半径は、(路面の最大摩擦係数)×(接地荷重)により与えられる。)に到達しているので、左右後輪の制動力(前後力)と横力との関係は、それぞれ、
Fxrl_max2+Fyrl2=(μrl・Fzrl)2
Fxrr_max2+Fyrr2=(μrr・Fzrr)2 …(3)
により与えられ、かくして、式(3)に式(2b)〜(2d)を代入することにより、式(2)が得られる。
Fxrl_maxとFxrr_maxを与える式(2)は、上記の如く、連立二次方程式である。従って、Fxrl_maxとFxrr_maxの具体的な表式については、例えば、式(2)の第一式をFxrl_maxについて解いた後、第一式のFxrl_maxの2つの解のうち、正の解を第二式に代入して、第二式をFxrr_maxについて解き、そのうちの2つの解のうち、正の解をFxrr_maxとして選択し、更に、そのFxrr_maxを式(2)の第一式の正の解に代入することにより、Fxrl_maxが与えられる。Fxrl_maxとFxrr_maxの表式は、複雑であるが、一義的に演算することにより得られるので、省略する。なお、式(2)に於いて、μrl=μrrのとき、Fxrl_maxとFxrr_maxとの関係は、
Fxrl_max/Fzrl=Fxrr_max/Fzrr(=Ψ)
となるので、Fxrl_maxとFxrr_maxは、それぞれ、対応する車輪の接地荷重Fzrl、Fzrrに比例する。従って、
Fxrl_max=Fzrl・Ψ;Fxrr_max=Fzrr・Ψ …(4)
とおくと、式(2)は、第一式及び第二式は、同一のΨの二次方程式になり、これを解くと、Ψは
Figure 2008301564
により与えられ、これを式(4)に代入することにより、Fxrl_maxとFxrr_maxが与えられてよい。なお、gyの値は、現在の横加速度センサの検出値が用いられてよい。
(iii)左右駆動輪の回生制動力の配分量の決定
左右駆動輪の最大発生可能制動力が算定されると、その結果に基づいて、ステップ40に於いて、下記に説明される何れかの態様により、左右駆動輪の回生制動力の配分が決定される。以下、左右駆動輪の回生制動力の配分量の決定処理過程の例について、それぞれ説明する。
例1
左右駆動輪の回生制動力の配分が均等であっても目標回生制動力が達成可能な場合、左右駆動輪の回生制動力の配分を不均等に配分しなくてよい(この場合、駆動力可変配分デフに消費される電力を最低に抑えることができる。)。そこで、この例1では、目標回生制動力を左右均等に配分したときに、左右駆動輪うちの最大発生可能制動力の小さい方に於いて、配分される回生制動力がその最大発生可能制動力を越える場合に、最大発生可能制動力の大きい方の回生制動力の配分量を増大する。
具体的には、まず、左右の駆動輪のうち、いずれの最大発生可能制動力の大きいかが判定され、左右の駆動輪の最大発生可能制動力Fxrl_max、Fxrr_maxを、最大発生可能制動力の小さい車輪の最大発生可能制動力Fxi_max、最大発生可能制動力の小さい車輪の最大発生可能制動力Fxo_maxに割り当てる。即ち、
Fxi_max=min(Fxrl_max,Fxrr_max)
Fxo_max=max(Fxrl_max,Fxrr_max) …(5)
なお、min( )は、括弧内の最小値を選択する演算子であり、max( )は、括弧内の最大値を選択する演算子である(以下、同様)。
次いで、Fxi_maxとFxo_maxと目標回生制動力Fxtとの関係から、以下の如く、最大発生可能制動力の大きい車輪と小さい車輪の回生制動力Fxo、Fxiをそれぞれ決定する。
(i)Fxt/2≦Fxi_maxのとき(最大発生可能制動力の小さい車輪の限界が目標回生制動力の半分より大きいとき)
Fxo=Fxi=Fxt/2 …(6a)
(左右均等配分である。)
(ii)Fxi_max<Fxt/2、かつ、Fxt≦Fxi_max+Fxo_maxのとき(目標回生制動力の半分が最大発生可能制動力の小さい車輪の限界を越えるとき)
Fxi=Fxi_max
Fxo=Fxt−Fxi …(6b)
(iii)Fxi_max+Fxo_max<Fxtのとき(目標回生制動力が左右輪の最大発生可能制動力の総和をこえるとき)
Fxi=Fxi_max
Fxo=Fxo_max …(6c)
(左右輪とも回生制動力が各々の最大発生可能制動力までに制限される。)
かくして、上記の如く、最大発生可能制動力の大きい車輪と小さい車輪の回生制動力Fxo、Fxiが決定されると、その値が対応する左右輪の回生制動力の指令値Fxrl、Fxrrに割り当てられる。
例えば、もしFxl_max=min(Fxrl_max,Fxrr_max)ならば、
Fxrl=Fxi;Fxrr=Fxo
と設定され、もしFxl_max=max(Fxrl_max,Fxrr_max)ならば、
Fxrr=Fxi;Fxrl=Fxo
と設定される。
例2
この配分例では、目標回生制動力を最大発生可能制動力の大きさの比にて左右駆動輪に配分する。即ち、回生制動力の配分比が最大発生可能制動力の大きさの比となるよう制御されることとなる。この場合、最大発生可能制動力の小さい方が限界に達する目標回生制動力が、例1と比べて低くなるので、外乱や路面の摩擦状態の変化に対する車両挙動のロバスト性が改善される。具体的には、Fxrl_maxとFxrr_maxと目標回生制動力Fxtとの関係を参照して、左右輪の回生制動力Fxrl、Fxrrを、それぞれ、以下の如く決定する。
(i)Fxt≦Fxrl_max+Fxrr_maxのとき
Fxrl=Fxt・Fxrl_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)
Fxrr=Fxt・Fxrr_max/(Fxrl_max+Fxrr_max) …(7a)
(ii)Fxrl_max+Fxrr_max<Fxtのとき(目標回生制動力が左右輪の最大発生可能制動力の総和をこえるとき)
Fxrl=Fxrl_max
Fxrr=Fxrr_max …(7b)
(左右輪とも回生制動力が各々の最大発生可能制動力までに制限される。)
例3
この配分例では、目標回生制動力が左右駆動輪の回生制動力の配分が均等であっても達成可能な所定の値の範囲内に於いては、左右駆動輪の回生制動力の配分の不均等配分を実行せず、目標回生制動力が前記の所定の範囲を越えたときに、例2の如く回生制動力を分配する。具体的には、以下の如く決定されてよい。
(i)Fxt/2≦k×min(Fxrl_max,Fxrr_max)のとき
Fxrl=Fxrr=Fxt/2 …(8a)
(kは、1未満の正の定数、例えば、0.75など、である。)
(ii)2k×min(Fxrl_max,Fxrr_max)<Fxt≦k(Fxrl_max+Fxrr_max)のとき
Fxrl_max<Fxrr_maxならば、
Fxrl=k・Fxrl_max;Fxrr=Fxt−k・Fxrl_max、
Fxrl_max>Fxrr_maxならば、
Fxrl=Fxt−k・Fxrr_max;Fxrr=k・Fxrr_max、
(iii)k(Fxrl_max+Fxrr_max)<Fxt≦Fxrl_max+Fxrr_maxのとき
Fxrl=Fxt・Fxrl_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)
Fxrr=Fxt・Fxrr_max/(Fxrl_max+Fxrr_max) …(8b)
(iv)Fxrl_max+Fxrr_max<Fxtのとき
Fxrl=Fxrl_max
Fxrr=Fxrr_max …(8c)
上記のkの値は、最大発生可能制動力の小さい方が限界に達することをできるだけ回避されるよう任意に設定されてよい。
例4
この配分例では、車両が旋回中である場合に、最大発生可能制動力の大きさの比よりも旋回外輪側に偏倚した比にて目標回生制動力を左右駆動輪に配分する。即ち、回生制動力の配分比が最大発生可能制動力の大きさの比から旋回外側にずれた比になるよう制御されることとなる。かかる配分比によれば、目標回生制動力が増大してきたときに、左右輪が同時に限界に達することが回避されること、及び、車両の挙動がスピン状態(極度なオーバーステアリング状態)となることが回避できるなどの利点が得られる。
具体的には、まず、車両の旋回方向が操舵角又はヨーレートなどにより決定される。左旋回のとき(δ>0)のとき、右輪が旋回外側となるので、左右輪の回生制動力は、
Fxrl=Fxt・Fxrl_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)−ΔF
Fxrr=Fxt・Fxrr_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)+ΔF …(9a)
と決定され、右旋回のとき(δ<0)のとき、左輪が旋回外側となるので、左右輪の回生制動力は、
Fxrl=Fxt・Fxrl_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)+ΔF
Fxrr=Fxt・Fxrr_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)−ΔF …(9b)
と決定される。なお、ΔFは、正の任意に設定される所定値である(舵角δ=0のとき、ΔF=0と設定されてよい。また、ΔFは、ヨーレート等の旋回状態を示す任意の指標値の関数であってもよい。)。式(9a)、(9b)から理解される如く、旋回外輪に於いてΔFが付加され、旋回内輪に於いてΔFが差し引かれるので、回生制動力の配分比は、旋回外輪側に偏倚されることとなる。しかしながら、式(9a)、(9b)で与えられる左右の回生制動力は、各々の最大発生可能制動力を超えないように制御されなければならない。従って、左右輪の回生制動力は、
Fxrl=min(Fxrl_max,Fxrl*)
Fxrr=min(Fxrr_max,Fxrr*) …(10)
により与えられる。Fxrl*、Fxrr*は、それぞれ、式(9a)又は(9b)で与えられる量である。式(9a)及び(9b)の表式から理解されるように、上記の配分の場合、旋回外側が先に限界に到達することとなる。また、Fxrl_max+Fxrr_max<Fxtのときは、
Fxrl=Fxrl_max
Fxrr=Fxrr_max
となる。
例5
例4の表式に於いて、ΔFを負の値とすると、目標回生制動力は、最大発生可能制動力の大きさの比よりも旋回内輪側に偏倚した比にて左右駆動輪に配分される。通常、最大発生可能制動力の大きさは、旋回外輪側が大きくなるので、配分比を旋回内輪側に偏倚させると、その配分比は、例2〜4の場合よりも左右均等に近くなる。従って、この場合、駆動力可変配分デフに於ける消費電力が低減される点で有利である。また、例4の場合と同様に、左右輪のタイヤ力が同時に限界に達することが回避される。
例6
この配分例に於いては、左右の駆動輪に於いて、各々の最大発生可能制動力と発生させる回生制動力との差が等しくなるよう目標回生制動力が分配される。この配分の方式によれば、前記の例の如き回生制動力の配分を最大発生可能制動力の比に基づいて決定する場合に比して、最大発生可能制動力の小さい方の車輪の余裕(最大発生可能制動力と発生回生制動力との差)を大きくすることができるので、路面の外乱等に対する車両挙動のロバスト性が向上する。
具体的には、左右輪の回生制動力Fxrl、Fxrrは、左右の駆動輪に於ける最大発生可能制動力と発生回生制動力との差を等しいという条件、
Fxrl_max−Fxrl=Fxrr_max−Fxrr
と、目標回生制動力Fxtが
Fxt=Fxrl+Fxrr
となる条件から、
Fxrl=1/2(Fxt+Fxrl_max−Fxrr_max)
Fxrr=1/2(Fxt+Fxrr_max−Fxrl_max) …(11a)
と決定することができる。なお、上記の式(11a)のFxrlとFxrrは、Fxtの値が小さいと、負の値となるので、その場合は、0に設定される。即ち、左右輪の回生制動力Fxrl、Fxrrは、
Fxrl=max(1/2(Fxt+Fxrl_max−Fxrr_max),0)
Fxrr=max(1/2(Fxt+Fxrr_max−Fxrl_max),0) …(11b)
により決定される。また、更に、上記の式(11b)で与えられる左右輪の回生制動力Fxrl、Fxrrは、各々の限界を越えないように調節されるべきなので、結局、
Fxrl=min(Fxrl_max,Fxrl*)
Fxrr=min(Fxrr_max,Fxrr*) …(11c)
により与えられる。なお、Fxrl*、Fxrr*は、式(11b)で与えられるFxrl、Fxrrである。
例7
例6の配分例では、目標制動力が増大すると、左右輪が同時に限界に達する。このことを回避するために、例4、5と同様に、式(11a)のFxrl、Fxrrに対して任意の所定値ΔGを加算又は減算する、即ち、式(11a)を下記の如く修正したものが用いられてよい。
Fxrl=1/2(Fxt+Fxrl_max−Fxrr_max)−ΔG
Fxrr=1/2(Fxt+Fxrr_max−Fxrl_max)+ΔG …(12)
ここで、車両が左旋回のとき、ΔG>0であれば、旋回外輪(右輪)の回生制動力の配分が相対的に増大され、ΔG<0であれば、旋回内輪(左輪)の回生制動力の配分が相対的に増大される。同様に、車両が右旋回のとき、ΔG<0であれば、旋回外輪(左輪)の回生制動力の配分が相対的に増大され、ΔG>0であれば、旋回内輪(右輪)の回生制動力の配分が相対的に増大される。ΔGの値と符号は、旋回方向に応じて、或いは、旋回内外のいずれの方向に配分比を偏倚させるかによって適宜設定されてよい。
例8
例4〜7に於いて、例3の如く、目標回生制動力が左右駆動輪の回生制動力の配分が均等であっても達成可能な所定の値の範囲内に於いては、左右駆動輪の回生制動力の配分の不均等配分を実行しないようになっていてよい。その場合、左右輪の回生制動力は、Fxt/2≦k×min(Fxrl_max,Fxrr_max)のとき(kは、1未満の正の定数、例えば、0.75など、である。)、Fxrl=Fxrr=Fxt/2に設定され、2k×min(Fxrl_max,Fxrr_max)<Fxt≦Fxrl_max+Fxrr_maxのとき、例4〜7に例示した表式のうちの任意のものに従って設定される。かかる構成によれば、駆動力可変配分デフの作動頻度又は期間が低減され、その消費電力を低減することができる。
例9−駆動力可変配分デフの消費電力を考慮する場合
上記の例1〜8に於いては、左右輪の最大発生可能制動力の大きい車輪の回生制動力の配分を増大するよう目標回生制動力を左右駆動輪に不均等に分配することにより、回生エネルギー量の総量を増大することが可能となる。しかしながら、かかる回生制動力の不均等な分配を駆動力可変配分デフに於いて実行する場合、駆動力可変配分デフの消費電力が増大するので、車両全体に於いて駆動力の配分制御を実行することにより回生制動で回収できる電力の増分と駆動力可変配分デフの消費電力との収支がかならずしもプラス側になるとは限らない。そこで、駆動力可変配分デフの消費電力を予測し、駆動力可変配分デフによる配分制御が実行された場合の回生電力の(均等配分時からの)増加量ΔPrgと、駆動力可変配分デフの予測消費電力の増加量ΔPcsとを比較して、後者が前者を上回る場合には、駆動力可変配分デフによる回生制動力の不均等配分は実行せず、回生制動力は、左右輪の配分は均等にされる。目標回生制動力Fxtと左右輪の回生制動力の配分量との差分は、最大発生可能性動力の大きい車輪に於いて摩擦制動力を発生させることにより補償する。
具体的には、まず、回生制動により回生電力Prgは、配分制御の実行の有無によらず、左右輪の制動力と車速Vx(Vxは、各輪の車輪速を用いて算定されてもよい。)とにより
Prg=(Fxrl+Fxrr)・Vx
=Fxt・Vx …(13)
により与えられるので、Fxtが、左右輪の制動力の配分制御を実行しなくても達成可能な場合は、制動力の配分制御を実行すると、デフの消費電力を損するだけとなる。従って、この例9の配分制御では、目標回生制動力が最大発生可能制動力の小さい方の車輪のその限界の2倍以上となるときまで、即ち、
Fxt≦2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)
が成立する間は、制動力の配分制御は実行されない。ここで、kは、1以下の任意の正の所定値であってよく、例3と同様に、最大発生可能制動力の小さい方が限界に達し、車両挙動のロバスト性又は安定性が低下しないように任意に設定されてよい。
Fxt>2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)となるときは、目標回生制動力Fxtを達成するためには、左右輪のうち最大発生制動力の大きい車輪の制動力を増大する必要があるので、最大発生可能制動力の大きさの比、最大発生可能制動力と発生させる回生制動力との差等に基づいて、上記の例1〜例8に例示されている如く、左右輪の回生制動力の配分が仮設定される。なお、この点に関し、上記の如く、Fxt=2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)となった時、左右輪の制動力は、
Fxrl=Fxrr=k・min(Fxrl_max,Fxrr_max) …(14)
に設定されるので、制動力の左右差が例1〜例8に例示した配分方法に従った配分量の左右差に合致するまで、左右輪のうち最大発生制動力の大きい車輪の制動力の配分のみが増大されてよい。
例えば、例2、3の如く、最大発生可能制動力の大きさの比に従った配分とする場合には、Fxt≦k(Fxrl_max+Fxrr_max)のときは、
Fxrl_max<Fxrr_maxならば、
Fxrl=k・Fxrl_max;Fxrr=Fxt−k・Fxrl_max、
Fxrl_max>Fxrr_maxならば、
Fxrl=Fxt−k・Fxrr_max;Fxrr=k・Fxrr_max
と設定され、
k(Fxrl_max+Fxrr_max)<Fxt≦Fxrl_max+Fxrr_maxのとき
Fxrl=Fxt・Fxrl_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)
Fxrr=Fxt・Fxrr_max/(Fxrl_max+Fxrr_max)
と設定される。また、例6の如く、最大発生可能制動力と発生させる回生制動力との差を左右輪で等しくする場合には、Fxrl_max−Fxrl=Fxrr_max−Fxrrが成立するまでは、最大発生可能制動力の大きい方の回生制動力の値が
Fxt−k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)
に設定され、最大発生可能制動力の大きい方の回生制動力のみが増大するよう配分量が設定される。なお、k=1のときは、最大発生可能制動力の小さい方の車輪は、限界に到達し、それ以上増大できないので、例1の場合と同様に配分量が設定される。
上記の如く、Fxt>2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)のときに駆動力可変配分デフの作動により回生制動力の配分が不均等に変更された場合、いずれの場合も、式(13)の如く回生制動により回収されるエネルギー量は配分方法によらないので(ただし、例4、5又は7の配分方法の場合、左右輪のいずれかが先に最大発生可能制動力に到達するときは、ΔF又はΔGの分のずれが生ずる。)、回生電力の増分ΔPrgは、
ΔPrg=Fxt・Vx−2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)・Vx …(15)
により与えられる。ここで、第2項の、2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)・Vx、は、デフによる配分比の変更を実行しないときの最大回生電力、即ち、左右両輪の制動力がFxrl=Fxrr=2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)のときの回生電力である。
一方、駆動力可変配分デフの消費電力又はパワーの増分ΔPcsは、典型的には、回生制動力の配分量の差|Fxrl−Fxrr|又は配分比kr=Fxrl/Fxrr、入力軸の回転速及び/又は車速等により、種々変動する。そこで、例9の配分方法に於いては、予め実験等により、回生制動力の配分量の差|Fxrl−Fxrr|又は配分比kr=Fxrl/Fxrr、入力軸の回転速及び/又は車速等をパラメータとした消費パワーΔPcsのマップが準備される(例として、図5(B)参照。)。そして、制御に於いては、前記の如く設定された制動力の配分Fxrl、Fxrrとその他のパラメータにより、予め実験等により準備されたマップを用いて消費パワー増分ΔPcsの値が決定される。かくして、式(15)によるΔPrgとマップにより得られたΔPcsに於いて、
ΔPrg>ΔPcs …(16)
が成立するときのみ、駆動力可変配分デフによる回生制動力の配分制御を実行する。式(16)が成立しないときには、駆動力可変配分デフは作動されず、最大発生可能制動力の大きい方に割り当てられた配分量と実際の回生制動力との差分、即ち、Fxt−2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)は、最大発生可能制動力の大きい方の駆動輪に於いて前記の差分だけ摩擦制動力を増大させることにより補われる。
図5(A)〜(C)は、典型的な駆動力可変配分デフの消費パワーと駆動力可変配分デフによる配分制御が実行された場合の回生電力の増加量との関係の例を示したものである(k=1とした場合)。図5(A)を参照して、駆動力可変配分デフによる配分制御が実行された場合の回生電力の増加量ΔPrgは、上記の説明から理解される如く、Fxt=2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)となるまでは、左右輪への制動力配分を実行しなくてもFxrが達成できるため、ΔPrg=0である。そして、2・k・min(Fxrl_max,Fxrr_max)<Fxt<Fxrl_max+Fxrr_maxのとき、ΔPrgは、Fxtと共に増大する。一方、典型的な駆動力可変配分デフの消費パワー増分ΔPcsは、図5(B)に例示されているデフの場合、左右の制動力が均等である場合(図中、黒点)は、非作動であり、電力を消費しないが、配分制御を実行するべく作動が開始されると、基礎消費電力が発生し、消費電力が図中の白点の位置に上昇し、左右の制動力差の増大とともに、消費電力が上昇する(即ち、この場合、ΔPcsは、デフの消費パワーに等しい。なお、図5(B)の消費パワーの変化は例示であって、これに限定されるものではない。)。図5(C)は、式(16)が成立する場合のみ、駆動力可変配分デフを作動した場合のΔPrgとΔPcsとの関係を重ねたものである。同図に於いて、領域αに於いては、左右の制動力の配分を変えてもΔPrgが増大しない領域であるので、デフを作動せず、オープンデフと同様に左右の制動力は均等に配分される。領域βに於いては、左右の制動力の配分を変えると、ΔPrgは増大するが、ΔPcsがΔPrgより大きいので、デフを作動せず、目標回生制動力Fxtの不足分は、摩擦制動力により補償される。領域λは、式(16)が成り立つ領域なので、デフを作動して、回生制動力の左右配分が実行される。
なお、駆動力可変デフの消費電力を考慮して回生制動力の配分を実行する場合、回生制動力の配分量の差ΔFxr=|Fxrl−Fxrr|を変数パラメータとして、
ΔPrg−ΔPcs=(Fxt-2k・min(Fxrl_max,Fxrr_max))・Vx−ΔPcs(ΔFxr) …(17)
が、ΔPrg−ΔPcs>0の条件の成立下、最大となるΔFxrをマップ演算等により探索して決定し、左右輪の配分量が
Fxrl_max>Fxrr_maxのとき、
Fxrl=(Fxt+ΔFxr)/2
Fxrr=(Fxt−ΔFxr)/2
Fxrl_max<Fxrr_maxのとき、
Fxrl=(Fxt−ΔFxr)/2
Fxrr=(Fxt+ΔFxr)/2
と決定されてもよい。また、ΔPrgの演算では、回生効率が100%としているが、回生効率κ(定数でなくもよい。)を考慮して算出されてよい。その場合には、
κΔPrg>ΔPcs …(16a)
が成立しているときに、デフによる回生制動力配分が実行されるようになっていてよい。
制御指令の算出と送信
上記の如く、左右輪の最終的な回生制動力の配分量Fxrl、Fxrrが決定されると、左右輪の回生制動力の和Fxrl+Fxrrを目標回生制動力としてインバータの制御器に対する制御指令が、公知の任意の手法により決定され、インバータの制御器へ送信される(ステップ50)。また、左右の回生制動力比Fxrl/Fxrrが、駆動力可変配分デフに於ける回生駆動力の配分比として、制御指令が公知の任意の手法により決定され、駆動力可変配分デフの制御器へ送信される。
ところで、「発明の開示」の欄に於いて述べた如く、上記の如く、左右の回生制動力の配分を均等配分の状態から不均等な状態へ変更すると、回生制動力の左右差により、車両に於いて、最大発生可能制動力の小さい方から大きい方へ車両を回頭するヨーモーメントが発生し、車両の軌道が旋回外側に膨らむ場合が在り得る。勿論、運転者は、車両の軌道を維持すべくかかるヨーモーメントを相殺するようステアリングホイールを操舵すると考えられるので、車両の走行に支障はない。しかしながら、前記の回頭ヨーモーメントの発生により、運転者が違和感を感じたり、操舵量が大きくなるなど、羽運転者の操舵負担が増大する。そこで、本発明の装置に於いては、かかる運転者の操舵負担を軽減するよう回生制動力の左右差Fxrl−Fxrrに基づいてステアリング装置に於ける操舵特性を修正する制御が任意に実行されてよい。
具体的には、上記の如く、左右輪の最終的な回生制動力の配分量Fxrl、Fxrrが決定された後、回生制動力の左右差の絶対値|Fxrl−Fxrr|をパラメータとして、図6に示されている如きマップを参照して、操舵角に対する舵角の比率の増分st-ratioを決定し、st-ratioに相当する分だけ、運転者の操舵角の変化に対する操舵輪の舵角の変化が増大される。なお、別の態様として、回生制動力の左右差の絶対値|Fxrl−Fxrr|に基づいて旋回方向に操舵輪(前輪)の舵角を増大してもよい。また、図1には示されていないが、後輪にもステアリング装置が備わっている場合には、後輪の舵角は、切り戻し側に制御されてよい。かくして、回生制動力の左右差Fxrl−Fxrrにより決定された操舵角に対する舵角の比率の増分st-ratioに基づいて、制御指令が公知の任意の手法により決定され、ステアリング機構の制御器へ送信される。
以上に於いては本発明を一つの実施の形態について詳細に説明したが、かかる実施の形態について本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
例えば、上記の実施形態に於いては、目標回生制動力Fxtが初めに決定された後、最大発生可能制動力に基づいて左右輪の配分量が設定されるようになっているが、車両のヨー挙動制御等の運動制御により制動力の配分が要求される場合、上記の実施形態の如く、駆動力可変配分デフの消費電力を考慮して、配分制御を駆動力可変配分デフにより実行するか摩擦制動力により達成するかが決定されてよい。その場合、駆動力可変配分デフの消費電力を考慮してエネルギーの損失が大きくなるときには、運動制御により要求される制動力の配分は摩擦制動力を用いて達成されるようになっていてよい。或いは、式(17)にて与えられる電力量の差分が最大となる左右制動力差ΔFxrを決定し、運動制御により要求される制動力の左右輪の配分量の不足分を摩擦制動力により補うようになっていてもよい。
図1(A)は、本発明による回生制動制御装置及び車両制御装置の好ましい実施形態が搭載される車両の模式図である。図1(B)は、駆動ユニットの回転力の伝達機構の解図である。差動装置Dは、遊星歯車装置の構成を有し、エンジンEnの出力軸はプラネタリーギヤ、MG1の出力軸はサンギヤ、MG2の出力軸及びプロペラシャフトはリングギヤにそれぞれ連結されている。トランスミッション20は、変速機構、リバース機構等の任意の機能を有しているものであってよく、或いは、差動装置Dが無段変速機構を持つので、省略されてもよい。 図2(A)は、本発明による回生制動制御装置及び車両制御装置の好ましい実施形態を実現する電子制御装置の制御ブロック図である。図2(B)は、回生/摩擦制動協調制御により実行される回生制動の時間変化(所定のスキーム)を表したものである。 図3は、左右駆動輪の回生制動力配分の態様を説明する旋回中の車両の模式図である。(A)は、従前のオープンデフにより、回生制動力が左右輪に均等に分配される車両、(B)は、駆動力配分デフにより、回生制動力が左右輪に可変の配分比にて分配される車両を示している。図中、点線で描かれた円は、直進走行時の最大摩擦円である。 図4は、本発明による回生制動制御装置に於ける左右駆動輪の回生制動力配分制御処理をフローチャートの形式で表したものである。 図5(A)は、目標回生制動力に対する駆動力可変配分デフによる配分制御が実行された場合の回生電力の増加量ΔPrgの変化の例を示したものであり、図5(B)は、典型的な駆動力可変配分デフの消費パワーΔPcsの左右輪の制動力差に対する変化であり、図5(C)は、回生制動力の配分制御の一つの例に於ける回生電力の増加量ΔPrgとΔPcsとの関係を示したものである。図5(B)と(C)に於いて、黒丸と白丸は、駆動力可変配分デフが非作動状態では、ΔPcsが黒丸の位置にあるが、駆動力可変配分デフが作動状態となると、白丸の位置に相当する基礎電力が消費されることを示している。 図5は、本発明による左右駆動輪の回生制動力差により生じる車両の回頭ヨーモーメントの作用を低減するための操舵特性の修正に用いるマップであり、左右駆動輪の回生制動力差を変数として、操舵角に対する舵角の比率の変更量st−ratioを表している。
符号の説明
10…車両
12i…車輪
14…アクセルペダル
16…駆動装置
18…ハイブリッド式駆動ユニット
24…駆動力可変配分デフ
28…ブレーキペダル
30…ステアリング装置
32…ステアリングホイール
34…ステアリング機構
40…車輪速センサ

Claims (21)

  1. 車両の左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能な車両の回生制動制御装置であって、前記左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定する回生制動力配分制御手段と、前記左右の駆動輪の各々に於いて発生可能な最大の制動力を決定する最大制動力決定手段とを含み、前記回生制動力配分制御手段が、前記左右の駆動輪のうちの前記発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大することを特徴とする装置。
  2. 請求項1の回生制動制御装置であって、前記回生制動力配分制御手段が、前記左右の駆動輪の回生制動力の配分比が前記左右の駆動輪に於いて発生可能な最大の制動力の比と実質的に一致するよう前記左右の駆動輪へ回生制動力を分配することを特徴とする装置。
  3. 請求項1の回生制動制御装置であって、前記回生制動力配分制御手段が、前記左右の駆動輪の回生制動力の配分比が前記左右の駆動輪の前記発生可能な最大の制動力の比と実質的に一致しないよう前記左右の駆動輪へ回生制動力を分配することを特徴とする装置。
  4. 請求項3の回生制動制御装置であって、前記回生制動力配分制御手段が、前記車両の旋回中に於いては、前記左右の駆動輪の回生制動力の配分比が前記左右の駆動輪に於いて発生可能な最大の制動力の比よりも旋回外側の駆動輪の方に偏倚するよう前記左右の駆動輪へ回生制動力を分配することを特徴とする装置。
  5. 請求項1の回生制動制御装置であって、前記回生制動力配分制御手段が、前記左右の駆動輪に於ける前記発生可能な最大の制動力と回生制動力との差が実質的に等しくなるよう前記左右の駆動輪へ回生制動力を分配することを特徴とする装置。
  6. 請求項1の回生制動制御装置であって、前記回生制動力配分制御手段が、前記車両の旋回中に於いては、旋回外側の駆動輪の前記発生可能な最大の制動力と回生制動力との差が旋回内側の駆動輪の前記発生可能な最大の制動力と回生制動力との差よりも大きくなるよう前記左右の駆動輪へ回生制動力を分配することを特徴とする装置。
  7. 請求項1の回生制動制御装置であって、前記最大制動力決定手段が前記左右の駆動輪の各々の接地荷重に基づいて前記左右の駆動輪の各々の前記発生可能な最大の制動力を決定し、前記回生制動力配分制御手段が、前記左右の駆動輪のうち接地荷重の大きい方の駆動輪の回生制動力の配分量を増大することを特徴とする装置。
  8. 請求項1乃至7の回生制動制御装置であって、前記左右の駆動輪の各々の前記発生可能な最大の制動力が前記左右の駆動輪の各々の接地荷重の比例値であることを特徴とする装置。
  9. 請求項1乃至6の回生制動制御装置であって、前記最大制動力決定手段が前記左右の駆動輪の各々の接地荷重に前記左右の駆動輪の各々の路面の最大摩擦係数を乗じた値に基づいて前記左右の駆動輪の各々の前記発生可能な最大の制動力を決定することを特徴とする装置。
  10. 請求項1の回生制動制御装置であって、前記最大制動力決定手段が、前記車両の旋回中に於いて、前記車両の旋回状態を示す指標値に基づいて前記左右の駆動輪の各々の前記発生可能な最大の制動力を決定することを特徴とする装置。
  11. 請求項1乃至10の回生制動制御装置であって、前記車両が回生制動を実行する前記車両の駆動装置から前記左右の駆動輪へ付与される制駆動力を分配する制駆動力分配装置を有し、前記制駆動力分配装置の作動により前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量が変更される車両であることを特徴とする装置。
  12. 請求項11の回生制動制御装置であって、更に、前記制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される電力を推定する消費電力推定手段を含み、前記回生制動力配分制御手段が、前記消費電力推定手段により推定された前記制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される消費電力に基づいて前記左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定することを特徴とする装置。
  13. 請求項12の回生制動制御装置であって、更に、回生制動により回収される回生電力を推定する回生電力推定手段を含み、前記回生制動力配分制御手段が、前記制駆動力分配装置の作動により前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの前記回生電力の増分がそのときの前記制駆動力分配装置に於いて消費される前記消費電力の増分を上回るときに前記制駆動力分配装置の作動による前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量の変更を実行し、前記制駆動力分配装置の作動により前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの前記回生電力の増分がそのときの前記制駆動力分配装置に於いて消費される前記消費電力の増分を下回るときには前記制駆動力分配装置の作動による前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量の変更を禁止することを特徴とする装置。
  14. 請求項12の回生制動制御装置であって、更に、回生制動により回収される回生電力を推定する回生電力推定手段を含み、前記回生制動力配分制御手段が、前記制駆動力分配装置の作動により前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの前記回生電力の増分からそのときの前記制駆動力分配装置に於いて消費される前記消費電力の増分を差し引いた差分を最大にする回生制動力の配分にて前記左右の駆動輪へ回生制動力を分配することを特徴とする装置。
  15. 請求項1乃至14の回生制動制御装置であって、前記回生制動力配分制御手段が、前記車両全体に要求される目標回生制動力が前記左右の駆動輪の回生制動力の配分量が実質的に均等である場合に発生可能であるときには、前記左右の駆動輪のうちの前記発生可能な最大制動力が小さい方の駆動輪の回生制動力が所定値に達するまで前記左右の駆動輪のうちの前記発生可能な最大制動力が大きい方の駆動輪の回生制動力の配分の増大を実行しないことを特徴とする装置。
  16. 車両の左右の駆動輪の回生制動力の配分が変更可能な車両の回生制動制御装置であって、前記車両が回生制動を実行する前記車両の駆動装置から前記左右の駆動輪へ付与される制駆動力を分配する制駆動力分配装置を有し、前記制駆動力分配装置の作動により前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量が変更される車両であり、更に、前記左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定する回生制動力配分制御手段と、前記制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される電力を推定する消費電力推定手段とを含み、前記回生制動力配分制御手段が、前記消費電力推定手段により推定された前記制駆動力分配装置に於いて回生制動力の分配に消費される消費電力に基づいて前記左右の駆動輪への回生制動力の配分量を決定することを特徴とする装置。
  17. 請求項16の回生制動制御装置であって、更に、回生制動により回収される回生電力を推定する回生電力推定手段を含み、前記回生制動力配分制御手段が、前記制駆動力分配装置の作動により前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの前記回生電力の増分がそのときの前記制駆動力分配装置に於いて消費される前記消費電力の増分を上回るときに前記制駆動力分配装置の作動による前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量の変更を実行することを特徴とする装置。
  18. 請求項16の回生制動制御装置であって、更に、回生制動により回収される回生電力を推定する回生電力推定手段を含み、前記回生制動力配分制御手段が、前記制駆動力分配装置の作動により前記左右の駆動輪の各々への回生制動力の配分量を変更したときの前記回生電力の増分からそのときの前記制駆動力分配装置に於いて消費される前記消費電力の増分を差し引いた差分が最大となるよう前記左右の駆動輪の回生制動力を分配することを特徴とする装置。
  19. 請求項1乃至18の回生制動制御装置を含む車両制御装置であって、前記回生制御装置により前記左右の駆動輪の回生制動力の配分量の変更が実行されたとき、該回生制動力の配分量の変更に起因する前記車両の旋回状態の変化を低減するよう前記車両の操舵特性を変更することを特徴とする装置。
  20. 請求項19の車両制御装置であって、前記左右の駆動輪の回生制動力の配分量の差に基づいて前記車両の操舵特性を変更する操舵特性変更手段を含むことを特徴とする装置。
  21. 請求項20の車両制御装置であって、前記操舵特性変更手段が前記左右の駆動輪の回生制動力の配分量の差に基づいて前記車両の運転者による操舵角の変化量に対応する前記車両の操舵輪の舵角の変化量を変更することを特徴とする装置。
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