JP3781101B2 - 車輌の制動力制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌の制動力制御装置に係り、更に詳細には回生制動装置及び摩擦制動装置を有しアンチスキッド制御が行われる車輌の制動力制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】
回生制動装置及び摩擦制動装置を有する自動車等の車輌の制動力制御装置の一つとして、例えば本願出願人の出願にかかる特開平2000−62590号公報に記載されている如く、アンチスキッド制御が開始されると、回生制動力を0にすると共に摩擦制動装置により制動力を補充するよう構成された制動力制御装置が従来より知られている。
【0003】
かかる制動力制御装置によれば、車輪の制動スリップが過大になると、当該車輪についてアンチスキッド制御が開始されると共に回生制動力が0にされるので、回生制動力の悪影響を受けることなくアンチスキッド制御を適正に実行することができ、また回生制動力が0にされても摩擦制動装置による制動力の補充が行われない場合に比して、アンチスキッド制御開始時に於ける車輌の減速度の急激な低下を抑制することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上述の如き従来の制動力制御装置に於いては、アンチスキッド制御が開始された時点に於いて回生制動力が急激に0に低減されるが、これに対応して摩擦制動装置により正確に且つ応答性よく制動力を補充することは困難であるので、アンチスキッド制御開始時に於ける車輌の減速度の急激な変動を効果的に抑制することができず、従って車輌のドライバビリティを向上させるためには、この点に於いて改善の余地がある。
【0005】
本発明は、回生制動装置及び摩擦制動装置を有しアンチスキッド制御が行われる車輌の従来の制動力制御装置に於ける上述の如き問題に鑑みてなされたものであり、本発明の主要な課題は、アンチスキッド制御が開始された段階で回生制動力を急激に0に低減するのではなく、アンチスキッド制御が開始される虞れがある段階に於いて回生制動力を漸減することにより、アンチスキッド制御開始時に於ける車輌の減速度の急激な変動を確実に且つ効果的に防止することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の主要な課題は、本発明によれば、前輪及び後輪のそれぞれに回生制動装置及び摩擦制動装置を有し、アンチスキッド制御が開始されると回生制動を停止する車輌の制動力制御装置に於いて、左右前輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると左右後輪の回生制動力を漸減することを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項1の構成)、又は前輪及び後輪のそれぞれに回生制動装置及び摩擦制動装置を有し、アンチスキッド制御が開始されると回生制動を停止する車輌の制動力制御装置に於いて、左右後輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると左右前輪の回生制動力を漸減することなく左右後輪の回生制動力を漸減することを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項2の構成)、又は前輪及び後輪のそれぞれに回生制動装置及び摩擦制動装置を有し、アンチスキッド制御が開始されると回生制動を停止する車輌の制動力制御装置に於いて、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されると左右後輪の回生制動力を漸減することを特徴とする車輌の制動力制御装置(請求項の構成)によって達成される。
【0007】
上記請求項1の構成によれば、左右前輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると、換言すれば左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いときには左右後輪の回生制動力が漸減されるので、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始された後左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始された段階に於いて回生制動力が急激に0に低減される場合に比して、左右前輪の少なくとも一方のアンチスキッド制御開始時に於ける車輌の減速度の急激な変動が確実に且つ効果的に抑制される。
上記請求項2の構成によれば、左右後輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると左右前輪の回生制動力が漸減されることなく左右後輪の回生制動力が漸減されるので、左右後輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると左右前輪及び左右後輪の回生制動力が漸減される場合に比して、車輌全体の回生効率を高くすることができる。
【0008】
また一般に、各車輪のタイヤと路面との間の摩擦係数が相互に大きく異なることはまれであるので、何れかの車輪についてアンチスキッド制御が開始されると、他の車輪についてもアンチスキッド制御が開始されることが多い。
【0009】
上記請求項の構成によれば、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されると、即ち左右後輪についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いときには左右後輪の回生制動力が漸減されるので、左右前輪の少なくとも一方についてもアンチスキッド制御が開始された段階に於いて当該車輪の回生制動力が急激に0に低減される場合に比して、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始される際に於ける車輌の減速度の急激な低下が確実に且つ効果的に抑制される。
【0010】
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至3の構成に於いて、前記回生制動装置は左右前輪に共通の回生制動装置と左右後輪に共通の回生制動装置とよりなり、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されると左右前輪の回生制動を停止し、左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されると左右後輪の回生制動を停止するよう構成される(請求項4の構成)。
また本発明によれば、上述の主要な課題を効果的に達成すべく、上記請求項1乃至4の構成に於いて、少なくとも運転者の制動要求量に基づき目標制動力を演算し、前記目標制動力に基づき目標回生制動力及び目標摩擦制動力を演算し、前記目標回生制動力及び目標摩擦制動力に基づきそれぞれ前記回生制動装置及び前記摩擦制動装置を制御することにより制動力を前記目標制動力に制御し、前記目標回生制動力を漸減することにより回生制動力を漸減するよう構成される(請求項の構成)。
【0011】
請求項の構成によれば、少なくとも運転者の制動要求量に基づき目標制動力が演算され、目標制動力に基づき目標回生制動力及び目標摩擦制動力が演算され、目標回生制動力及び目標摩擦制動力に基づきそれぞれ回生制動装置及び摩擦制動装置が制御されることにより制動力が目標制動力に制御され、目標回生制動力を漸減することにより回生制動力が漸減されるので、車輌の全体の制動力が運転者の制動要求量に対応して制御されると共に、回生制動力の漸減による減少分が摩擦制動力の漸増によって確実に相殺され、アンチスキッド制御開始時に於ける車輌の減速度の急激な変動が一層確実に且つ効果的に抑制される。
【0012】
【課題解決手段の好ましい態様】
本発明の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1の構成に於いて、制動力制御装置は左右前輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると左右前輪及び左右後輪の回生制動力を漸減するよう構成される(好ましい態様1)。
【0015】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項4又は5の構成に於いて、制動力制御装置は左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されても前輪の回生制動力の漸減を行わないよう構成される(好ましい態様)。
【0016】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項の構成に於いて、制動力制御装置は運転者の制動要求量及び所定の前後輪制動力配分比に基づき前輪及び後輪の目標制動力を演算し、前輪の目標制動力に基づき前輪の目標回生制動力及び目標摩擦制動力を演算し、前輪の目標回生制動力及び目標摩擦制動力に基づきそれぞれ前輪の回生制動装置及び摩擦制動装置を制御することにより前輪の制動力を前輪の目標制動力に制御し、後輪の目標制動力に基づき後輪の目標回生制動力及び目標摩擦制動力を演算し、後輪の目標回生制動力及び目標摩擦制動力に基づきそれぞれ後輪の回生制動装置及び摩擦制動装置を制御することにより後輪の制動力を後輪の目標制動力に制御し、前輪の回生制動力の漸減に際しては前輪の目標回生制動力を漸減し、後輪の回生制動力の漸減に際しては後輪の目標回生制動力を漸減するよう構成される(好ましい態様)。
【0017】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、前輪及び後輪の何れについても摩擦制動装置よりも回生制動装置を優先して制動力を発生させることにより前輪及び後輪の制動力をそれぞれ前輪及び後輪の目標制動力に制御するよう構成される(好ましい態様)。
【0018】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、制動力制御装置は、前輪及び後輪の回生制動装置の最大回生制動力をそれぞれFrgfmax及びFrgrmaxとして、運転者の制動要求量及び所定の前後輪制動力配分比に基づき前輪及び後輪の目標制動力Fbft及びFbrtを演算し、目標制動力Fbft及び最大回生制動力Frgfmaxの小さい方の値を目標回生制動力Frgftとして前輪の回生制動装置を制御すると共に、目標制動力Fbrt及び最大回生制動力Frgrmaxの小さい方の値を目標回生制動力Frgrtとして後輪の回生制動装置を制御し、前輪及び後輪の回生制動装置の実際の回生制動力Frgfa及びFrgraを求め、Fbft−Frgfa及びFbrt−Frgraを前輪及び後輪の目標摩擦制動力として前輪及び後輪の摩擦制動装置を制御するよう構成される(好ましい態様)。
【0019】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様の構成に於いて、摩擦制動装置は相互に情報の通信を行う回生制動装置用制動力制御装置と摩擦制動装置用制動力制御装置とを有し、摩擦制動装置用制動力制御装置は運転者の制動要求量及び所定の前後輪制動力配分比に基づき前輪及び後輪の目標制動力Fbft及びFbrtを演算すると共に、Fbft−Frgfa及びFbrt−Frgraを前輪及び後輪の目標摩擦制動力として前輪及び後輪の摩擦制動装置を制御し、回生制動装置用制動力制御装置は目標制動力Fbft及び最大回生力Frgfmaxの小さい方の値を目標回生制動力Frgftとして前輪の回生制動装置を制御し、目標制動力Fbrt及び最大回生力Frgrmaxの小さい方の値を目標回生制動力Frgrtとして後輪の回生制動装置を制御すると共に、前輪及び後輪の回生制動装置の実際の回生制動力Frgfa及びFrgraを求めるよう構成される(好ましい態様)。
【0020】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記請求項1乃至5又は上記好ましい態様1乃至6の構成に於いて、前輪及び後輪の少なくとも一方の回生制動装置はハイブリッドエンジンに於いて内燃機関と共働する電動発電機を含むよう構成される(好ましい態様)。
【0021】
本発明の他の一つの好ましい態様によれば、上記好ましい態様8の構成に於いて、前輪及び後輪の少なくとも一方の回生制動装置はハイブリッドエンジンに於いて内燃機関と共働する電動発電機を含み、該少なくとも一方の回生制動装置を制御する回生制動装置用制動力制御装置はハイブリッドエンジン制御装置であるよう構成される(好ましい態様10)。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0023】
図1は前輪及び後輪に回生制動装置及び摩擦制動装置を有しハイブリッドエンジンが搭載された前輪駆動式の車輌に適用された本発明による制動力制御装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【0024】
図1に於いて、10は前輪を駆動するハイブリッドエンジンを示しており、ハイブリッドエンジン10はガソリンエンジン12と電動発電機14とを含んでいる。ガソリンエンジン12の出力軸16はクラッチを内蔵する無段変速機18の入力軸に連結されており、無段変速機18の入力軸は電動発電機14の出力軸20にも連結されている。無段変速機18の出力軸19の回転はフロントディファレンシャル22を介して左右前輪用車軸24FL及び24FRへ伝達され、これにより左右の前輪24FL及び24FRが回転駆動される。
【0025】
ハイブリッドエンジン10のガソリンエンジン12及び電動発電機14はエンジン制御装置28により運転者による図には示されていないアクセルペダルの踏み込み量及び車輌の走行状況に応じて制御される。また電動発電機14は前輪用回生制動装置30の発電機としても機能し、回生発電機としての機能(回生制動)もエンジン制御装置28により制御される。
【0026】
特に図示の実施形態に於いては、ハイブリッドエンジン10は図には示されていないシフトレバーがDレンジにある通常走行時にはガソリンエンジン12又はガソリンエンジン12と電動発電機14とにより駆動力又はエンジンブレーキ力を発生し(通常運転モード)、シフトレバーがDレンジにあるが負荷が低いときには電動発電機14のみにより駆動力を発生し(電気自動車モード)、シフトレバーがBレンジにあるときにもガソリンエンジン12と電動発電機14とにより駆動力又はエンジンブレーキ力を発生するが、その場合のエンジンブレーキ力はDレンジの場合よりも高く(エンジンブレーキモード)、シフトレバーがDレンジにあり運転者によりブレーキペダル32が踏み込まれたときにも電動発電機14は回生発電機として機能する。
【0027】
また図1に於いて、従動輪である左右の後輪34RL及び34RRの回転は左右後輪用車軸36RL、36RR及び後輪用ディファレンシャル38を介して後輪用回生制動装置40の電動発電機42へ伝達されるようになっている。電動発電機42による回生制動もエンジン制御装置28により制御され、従ってエンジン制御装置28は回生制動装置用制御装置として機能する。
【0028】
左右の前輪26FL、26FR及び左右の後輪34RL、34RRの摩擦制動力は摩擦制動装置44の油圧回路46により対応するホイールシリンダ48FL、48FR、48RL、48RRの制動圧が制御されることによって制御される。図には示されていないが、油圧回路46はリザーバ、オイルポンプ、種々の弁装置等を含み、各ホイールシリンダの制動圧力は通常時には運転者によるブレーキペダル32の踏み込み量及びブレーキペダル32の踏み込みに応じて駆動されるマスタシリンダ50の圧力に応じて摩擦制動装置用制御装置としての制動制御装置52により制御される。
【0029】
エンジン制御装置28にはアクセルペダルセンサ54よりアクセルペダルの踏み込み量を示す信号、シフトポジションセンサ56より無段変速機18のシフト位置を示す信号、制動制御装置52より前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力Frgrtを示す信号がそれぞれ入力される。
【0030】
制動制御装置52にはストロークセンサ58よりブレーキペダル32の踏み込みストロークSpを示す信号、圧力センサ60よりマスタシリンダ50の圧力Pmを示す信号、圧力センサ62fl、62fr、62rl、62rrより左右前輪及び左右後輪のホイールシリンダ48FL、48FR、48RL、48RRの制動圧力Pfl、Pfr、Prl、Prrを示す信号、車輪速度センサ64fl、64fr、64rl、64rrより左右前輪及び左右後輪の車輪速度Vwfl、Vwfr、Vwrl、Vwrrを示す信号がそれぞれ入力される。
【0031】
尚エンジン制御装置28及び制動制御装置52は実際にはそれぞれ例えばCPU、ROM、RAM、入出力装置を含むマイクロコンピュータと駆動回路とを含む一般的な構成のものであってよい。
【0032】
後に詳細に説明する如く、制動制御装置52は後述の如く図2に示されたルーチンに従ってブレーキペダル32の踏み込みストロークSp及びマスタシリンダ圧力Pmに基づき運転者の制動要求量である車輌の最終目標減速度Gtを演算し、最終目標減速度Gt及び所定の前後輪制動力配分比に基づき前輪及び後輪の目標制動力Fbft及びFbrtを演算し、回生制動装置30及び40の最大回生制動力をそれぞれFrgfmax、Frgrmaxとして、目標制動力Fbft及び最大回生制動力Frgfmaxの小さい方の値を前輪の目標回生制動力Frgftとして演算すると共に、目標制動力Fbrt及び最大回生制動力Frgrmaxの小さい方の値を後輪の目標回生制動力Frgrtとして演算し、これらの目標回生制動力を示す信号をエンジン制御装置28へ出力する。
【0033】
エンジン制御装置28は前輪の目標回生制動力Frgftを上限として前輪の回生制動装置30の電動発電機14を制御し、その発電電圧及び発電電流に基づき前輪の回生制動装置30による実際の回生制動力Frgfaを演算する。同様にエンジン制御装置28は後輪の目標回生制動力Frgrtを上限として後輪の回生制動装置40の電動発電機42を制御し、その発電電圧及び発電電流に基づき後輪の回生制動装置40による実際の回生制動力Frgraを演算する。更にエンジン制御装置28は実際の回生制動力Frgfa及びFrgraを示す信号を制動制御装置52へ出力する。
【0034】
制動制御装置52は、目標制動力Fbftより実際の回生制動力Frgfaを減算した値を前輪の目標摩擦制動力Fbpftとして演算し、また目標制動力Fbrtより実際の回生制動力Frgraを減算した値を後輪の目標摩擦制動力Fbprtとして演算し、前輪の目標摩擦制動力Fbpftに基づき左右前輪の目標制動圧力Pbtfl及びPbtfrを演算し、また後輪の目標摩擦制動力Fbprtに基づき左右後輪の目標制動圧力Pbtrl及びPbtrrを演算し、左右前輪及び左右後輪の制動圧力Pi(i=fl、fr、rl、rr)がそれぞれ対応する目標制動圧力Pbti(i=fl、fr、rl、rr)になるよう各車輪の制動圧力を制御する。
【0035】
更に制動制御装置52は、各車輪の車輪速度Vwi(i=fl、fr、rl、rr)に基づき当技術分野に於いて公知の要領にて車体速度Vb及び各車輪の制動スリップ量SLi(i=fl、fr、rl、rr)を演算し、何れかの車輪の制動スリップ量SLiがアンチスキッド制御(ABS制御)開始の閾値であるSLa(正の定数)よりも大きくなり、アンチスキッド制御の開始条件が成立すると、アンチスキッド制御の終了条件が成立するまで、当該車輪について制動スリップ量が所定の範囲内になるようホイールシリンダ内の圧力を増減するアンチスキッド制御を行い、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が行われているときには前輪の目標回生制動力Frgftを0に設定し、左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が行われているときには後輪の目標回生制動力Frgrtを0に設定する。
【0036】
また制動制御装置52は、SLbをアンチスキッド制御開始の閾値SLaよりも小さい正の定数として、左前輪の制動スリップ量SLfl若しくは右前輪の制動スリップ量SLfrが基準値SLbよりも大きいときには、アンチスキッド制御の開始に先立って前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力F rgrtを漸減し、何れかの車輪の制動スリップ量SLiが基準値SLbよりも大きいとき、又は左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が実行されているときには、後輪の目標回生制動力Frgrtを漸減する。
【0037】
尚エンジン制御装置28によるハイブリッドエンジン10の運転モードの制御及びガソリンエンジン12の制御は本発明の要旨をなすものではなく、これらの制御は当技術分野に於いて公知の任意の要領にて実施されてよい。
【0038】
次に図2及び図3に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於ける制動制御装置52による制動力制御ルーチンについて説明する。尚図2及び図3に示されたフローチャートによる制御は図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0039】
まずステップ10に於いてはストロークセンサ58により検出されたブレーキペダル32の踏み込みストロークSpを示す信号及び圧力センサ60により検出されたマスタシリンダ50の圧力Pmを示す信号の読み込みが行われ、ステップ20に於いては図5に示されたグラフに対応するマップより踏み込みストロークSpに基づく目標減速度Gstが演算され、ステップ30に於いては図6に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力Pmに基づく目標減速度Gptが演算される。
【0040】
ステップ40に於いては前サイクルに於いて演算された最終目標減速度Gtに基づき図7に示されたグラフに対応するマップよりマスタシリンダ圧力Pmに基づく目標減速度Gptに対する重みα(0≦α≦1)が演算されると共に、下記の式1に従って目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算される。
Gt =α・Gpt+(1−α)Gst ……(1)
【0041】
ステップ50に於いてはKf及びKrをそれぞれ前輪及び後輪に対する制動力の配分比(正の定数)として、前輪の目標制動力Fbft及び後輪の目標制動力Fbrtがそれぞれ下記の式2及び3に従って演算される。
Fbft=Kf・Gt ……(2)
Fbrt=Kr・Gt ……(3)
【0042】
ステップ60に於いては前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力Frgrtがそれぞれ下記の式4及び5に従って演算される。尚下記の式4及び5に於けるMINは( )内の数値の小さい方を選択することを意味する。また最大回生制動力Frgfmax及びFrgrmaxはそれぞれ正の定数であってよいが、ハイブリッドエンジン10の運転モードや車速に応じて可変設定されてもよい。
Frgft=MIN(Fbft,Frgfmax) ……(4)
Frgrt=MIN(Fbrt,Frgrmax) ……(5)
【0043】
ステップ70に於いては図3に示されたフローチャートに従って車輪の制動スリップの状況に応じて前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力Frgrtが補正されると共に、目標回生制動力Frgft及びFrgrtを示す信号がエンジン制御装置28へ出力される。
【0044】
ステップ100に於いては後述の如くエンジン制御装置28による回生制動制御により達成された実際の前輪の回生制動力Frgfa及び実際の後輪の回生制動力Frgraを示す信号がエンジン制御装置28より読み込まれ、ステップ110に於いては前輪の目標摩擦制動力Fbpft及び後輪の目標摩擦制動力Fbprtがそれぞれ下記の式6及び7に従って演算される。
Fbpft=Fbft−Frgfa ……(6)
Fbprt=Fbrt−Frgra ……(7)
【0045】
ステップ120に於いては前輪の目標摩擦制動力Fbpftに基づき左右前輪の目標制動圧力Pbtfl及びPbtfrが演算され、また後輪の目標摩擦制動力Fbprtに基づき左右後輪の目標制動圧力Pbtrl及びPbtrrが演算され、ステップ130に於いては左右前輪及び左右後輪の制動圧力Piがそれぞれ対応する目標制動圧力Pbtiになるよう各車輪の制動圧力が圧力フィードバックにより制御され、しかる後ステップ10へ戻る。
【0046】
次に図3に示されたフローチャートを参照してステップ70に於ける前輪及び後輪の目標回生制動力補正ルーチンについて説明する。
【0047】
まずステップ72に於いては前輪の目標回生制動力Frgftが正の値であるか否かの判別、即ち前輪について所謂回生協調制御が行われているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ82へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ74へ進む。
【0048】
ステップ74に於いては左前輪若しくは右前輪についてアンチスキッド制御が実行されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ82へ進み、否定判別が行われたときにはステップ76へ進む。
【0049】
ステップ76に於いては左前輪の制動スリップ量SLfl若しくは右前輪の制動スリップ量SLfrが基準値SLbよりも大きいか否かの判別、即ち左前輪若しくは右前輪についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ84へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ78へ進む。
【0050】
ステップ78に於いてはFrgftfを前輪の目標回生制動力の前回値とし、ΔFrgを正の定数として、前輪の目標回生制動力FrgftがΔFrg低減補正され、ステップ80に於いては補正後の前輪の目標回生制動力Frgftが基準値Frgo(正の微小な定数)未満であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ84へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ82に於いて前輪の目標回生制動力Frgftが0に設定された後ステップ84へ進む。
【0051】
ステップ84に於いては後輪の目標回生制動力Frgrtが正の値であるか否かの判別、即ち後輪について所謂回生協調制御が行われているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ96へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ86へ進む。
【0052】
ステップ86に於いては左後輪若しくは右後輪についてアンチスキッド制御が実行されているか否かの判別が行われ、肯定判別が行われたときにはステップ96へ進み、否定判別が行われたときにはステップ88へ進む。
【0053】
ステップ88に於いては左前輪の制動スリップ量SLfl、右前輪の制動スリップ量SLfr、左後輪の制動スリップ量SLrl、右後輪の制動スリップ量SLrrの何れかが基準値SLbよりも大きいか否かの判別、即ち何れかの車輪についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ90へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ92へ進む。
【0054】
ステップ90に於いては左前輪若しくは右前輪についてアンチスキッド制御が実行されているか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ98へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ92へ進む。
【0055】
ステップ92に於いてはFrgrtfを後輪の目標回生制動力の前回値として、後輪の目標回生制動力FrgrtがΔFrg低減補正され、ステップ94に於いては補正後の後輪の目標回生制動力Frgrtが基準値Frgo未満であるか否かの判別が行われ、否定判別が行われたときにはステップ98へ進み、肯定判別が行われたときにはステップ96に於いて後輪の目標回生制動力Frgrtが0に設定された後ステップ98へ進む。
【0056】
ステップ98に於いては前輪の目標回生制動力Frgftを示す信号及び後輪の目標回生制動力Frgrtを示す信号がエンジン制御装置28へ出力され、しかる後ステップ100へ進む。
【0057】
次に図4に示されたフローチャートを参照して図示の実施形態に於けるエンジン装置28による回生制動制御ルーチンについて説明する。尚図4に示されたフローチャートによる制御も図には示されていないイグニッションスイッチの閉成により開始され、所定の時間毎に繰返し実行される。
【0058】
まずステップ210に於いては制動制御装置52より前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力Frgrtを示す信号の読み込みが行われ、ステップ220に於いては目標回生制動力Frgftを上限として前輪の回生制動装置30による回生制動が実行され、ステップ230に於いては前輪の回生制動装置30による前輪の実際の回生制動力Frgfaが演算される。
【0059】
同様にステップ240に於いては目標回生制動力Frgrtを上限として後輪の回生制動装置40による回生制動が実行され、ステップ250に於いては後輪の回生制動装置40による後輪の実際の回生制動力Frgraが演算され、ステップ260に於いては前輪の実際の回生制動力Frgfa及び後輪の実際の回生制動力Frgraを示す信号が制動制御装置52へ出力され、しかる後ステップ210へ戻る。
【0060】
かくして図示の実施形態によれば、ステップ20に於いてブレーキペダル32の踏み込みストロークSpに基づく目標減速度Gstが演算され、ステップ30に於いてマスタシリンダ圧力Pmに基づく目標減速度Gptが演算され、ステップ40に於いて前サイクルに於いて演算された最終目標減速度Gtに基づき目標減速度Gptに対する重みαが演算されると共に、目標減速度Gpt及び目標減速度Gstの重み付け和として最終目標減速度Gtが演算される。
【0061】
そしてステップ50に於いて所定の前後輪制動力配分比及び最終目標減速度Gtに基づき前輪の目標制動力Fbft及び後輪の目標制動力Fbrtが演算され、ステップ60に於いて前輪の目標回生制動力Frgftが目標制動力Fbft及び最大回生制動力Frgfmaxの小さい方の値として演算されると共に、後輪の目標回生制動力Frgrtが目標制動力Fbrt及び最大回生制動力Frgrmaxの小さい方の値として演算され、ステップ70に於いて車輪の制動スリップの状況に応じて前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力Frgrtが補正されると共に、これらの目標回生制動力を示す信号がエンジン制御装置28へ出力される。
【0062】
特に図示の実施形態に於いては、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が行われているときには前輪の目標回生制動力Frgftが0に設定され(ステップ74、82)、左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が行われているときには後輪の目標回生制動力Frgrtが0に設定される(ステップ86、96)。
【0063】
また左前輪の制動スリップ量SLfl若しくは右前輪の制動スリップ量SLfrが基準値SLbよりも大きいときには、即ち左前輪若しくは右前輪についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いときには、前輪の目標回生制動力Frgftが漸減され(ステップ76〜82)、何れかの車輪の制動スリップ量SLiが基準値SLbよりも大きいとき又は左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が実行されているときには、即ち左後輪若しくは右後輪についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いときには、後輪の目標回生制動力Frgrtが漸減される(ステップ88〜96)。
【0064】
また図4に示された回生制動ルーチンのステップ220に於いてエンジン制御装置28により前輪の目標回生制動力Frgftを上限として前輪の回生制動装置30の電動発電機14が制御され、ステップ230に於いて電動発電機14の発電電圧及び発電電流に基づき前輪の回生制動装置30による実際の回生制動力Frgfaが演算され、またステップ240に於いてエンジン制御装置28により後輪の目標回生制動力Frgrtを上限として後輪の回生制動装置40の電動発電機42が制御され、ステップ250に於いて電動発電機42の発電電圧及び発電電流に基づき後輪の回生制動装置40による実際の回生制動力Frgraが演算される。
【0065】
更にステップ110に於いて前輪の目標摩擦制動力Fbpftが目標制動力Fbftより実際の回生制動力Frgfaを減算した値として演算されると共に、後輪の目標摩擦制動力Fbprtが目標制動力Fbrtより実際の回生制動力Frgraを減算した値として演算され、ステップ120に於いて前輪の目標摩擦制動力Fbpftに基づき左右前輪の目標制動圧力Pbtfl及びPbtfrが演算されると共に、後輪の目標摩擦制動力Fbprtに基づき左右後輪の目標制動圧力Pbtrl及びPbtrrが演算され、ステップ130に於いて左右前輪及び左右後輪の制動圧力Piがそれぞれ対応する目標制動圧力Pbtiになるよう各車輪の制動圧力がフィードバック制御される。
【0066】
従って図示の実施形態によれば、左右の車輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が行われているときには対応する目標回生制動力が0に設定されるので、回生制動の悪影響を受けることなく適正にアンチスキッド制御を実行することができるだけでなく、左前輪若しくは右前輪についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いときには、アンチスキッド制御の開始に先立って前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力F rgrtが漸減され、左後輪若しくは右後輪についてアンチスキッド制御が開始される虞れが高いときには、アンチスキッド制御の開始に先立って後輪の目標回生制動力Frgrtが漸減されるので、アンチスキッド制御の開始時に目標回生制動力が急激に0に低下すること及びこれに起因して車輌の減速度が急激に変化することを確実に防止することができる。
【0067】
特に図示の実施形態によれば、運転者による制動要求量である最終目標減速度GtがペダルストロークSp及びマスタシリンダ圧力Pmに基づき演算され、車輌全体の制動力、即ち前輪及び後輪の摩擦制動装置による制動力と回生制動装置による制動力との合計が最終目標減速度Gtに対応する値になるよう制御されるので、車輌全体の制動力を確実に運転者による制動要求量に応じて制御することができるだけでなく、アンチスキッド制御の開始に先立って目標回生制動力が漸減されることによる回生制動力の減少分が確実に摩擦制動力により補充されるので、かかる摩擦制動力の補充が行われない場合に比してアンチスキッド制御の開始時に車輌の減速度が急激に変化することを一層確実に防止することができる。
【0068】
例えば図9は前輪の制動スリップ量が漸次増大し前輪についてアンチスキッド制御が行われる場合に於ける図示の実施形態の作動を示している。
【0069】
図9に於いて、時点t1に於いて前輪のスリップ量SLf(SLfl若しくはSLfr)が基準値SLbよりも大きくなり、時点t2に於いてアンチスキッド制御の開始条件が成立し前輪についてアンチスキッド制御が開始されたとすると、前輪の目標回生制動力Frgftは破線にて示されている如く時点t2に於いて0に設定されるのではなく、実線にて示されている如く時点t1に於いて漸減が開始され、時点t2に於いて0に設定され、従って時点t2に於ける前輪の目標回生制動力Frgftの低下量を低減することができる。
【0070】
また一般に、前輪についてアンチスキッド制御が開始されると、その後後輪についてもアンチスキッド制御が開始されることが多いが、図示の実施形態によれば、時点t1に於いて後輪の目標回生制動力Frgrtの漸減も開始されるので、後輪についてアンチスキッド制御が開始される際には後輪の目標回生制動力Frgrtが既に非常に小さい値又は0になっており、従って後輪についてアンチスキッド制御が開始される際に於ける目標回生制動力の急激な低下も確実に防止することができる。
【0071】
また図10は後輪の制動スリップ量が漸次増大し後輪についてアンチスキッド制御が行われる場合に於ける図示の実施形態の作動を示している。
【0072】
図10に於いて、図9の場合と同様、時点t1に於いて後輪のスリップ量SLr(SLrl若しくはSLrr)が基準値SLbよりも大きくなり、時点t2に於いてアンチスキッド制御の開始条件が成立し後輪についてアンチスキッド制御が開始されたとすると、後輪の目標回生制動力Frgrtは破線にて示されている如く時点t2に於いて0に設定されるのではなく、実線にて示されている如く時点t1に於いて漸減が開始され、時点t2に於いて0に設定され、従って時点t2に於ける後輪の目標回生制動力Frgrtの低下量を低減することができる。
【0073】
また一般に、後輪についてアンチスキッド制御が開始された場合に、その後前輪についてもアンチスキッド制御が開始される虞れは上述の前後輪が逆の場合よりも低く、また後輪についてアンチスキッド制御が開始される状況に於いて車輌の挙動が悪化する虞れは前輪についてアンチスキッド制御が開始される状況に於いて車輌の挙動が悪化する虞れよりも低い。
【0074】
図示の実施形態に於いては、後輪のスリップ量SLrが基準値SLbよりも大きくなっても、前輪の目標回生制動力Frgftは漸減されず、前輪の回生制動はそのまま継続されるので、後輪のスリップ量SLrが基準値SLbよりも大きくなった場合にも前輪の目標回生制動力Frgftが漸減される場合に比して、車輌全体の回生効率を高くすることができる。
【0075】
尚図示の実施形態によれば、前輪及び後輪の摩擦制動装置による制動力と回生制動装置による制動力との合計及び後輪の摩擦制動装置による制動力と回生制動装置による制動力との合計の比が必ず所定の前後輪制動力配分比Kf/Krになるよう制御されるので、摩擦制動装置による制動力と回生制動装置による制動力との割合に拘わらず前後輪の制動力の配分比を確実に所定の前後輪制動力配分比に制御することができ、これにより前後輪の制動力配分比が所定の配分比以外の配分比になることに起因する車輌の安定性の低下やステア特性の変化を確実に防止することができる。
【0076】
また前輪の目標制動力Fbftは前輪の回生制動装置による制動力が最大になるよう前輪の回生制動力及び摩擦制動力が制御されることによって達成され、後輪の目標制動力Fbrtも後輪の回生制動装置による制動力が最大になるよう後輪の回生制動力及び摩擦制動力が制御されることによって達成されるので、所定の前後輪制動力配分比を達成しつつ車輌全体の回生効率が最大になるよう回生制動力及び摩擦制動力を制御することができる。
【0077】
また一般に、回生制動装置、特にハイブリッドエンジンに組み込まれた電動発電機を使用する回生制動装置は種々の制約からある目標回生制動力にて制御されても実際の回生制動力は目標回生制動力にならず、実際の回生制動力は目標回生制動力よりも低い値になる。
【0078】
図示の実施形態によれば、それぞれ前輪の目標回生制動力Frgft及び後輪の目標回生制動力Frgrtを上限としてエンジン制御装置28により前輪の回生制動装置30の電動発電機14及び後輪の回生制動装置40の電動発電機42が制御され、各電動発電機の発電電圧及び発電電流に基づき前輪及び後輪の実際の回生制動力Frgfa、Frgraが演算され、前輪の目標摩擦制動力Fbpft及び後輪の目標摩擦制動力Fbprtはそれぞれ目標制動力Fbft、Fbrtより実際の回生制動力Frgfa、Frgraを減算することにより演算されるので、前輪の目標摩擦制動力Fbpft及び後輪の目標摩擦制動力Fbprtがそれぞれ目標制動力Fbft、Fbrtより目標回生制動力Frgft、Frgrtを減算することにより演算される場合に比して、車輌全体の制動力が正確に運転者の制動要求量に対応するよう前輪及び後輪の摩擦制動力を制御をすることができる。
【0079】
以上に於いては本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0080】
例えば上述の実施形態に於いては、アンチスキッド制御の終了等により目標回生制動力の低減補正が終了又は中止される場合には、ステップ60に於いて演算された値に戻されるようになっており、従って目標回生制動力が漸増される場合に比して車輌全体としての回生効率を高くすることができるが、目標回生制動力が漸増され、これによりアンチスキッド制御の終了時等に於ける目標回生制動力の急変及びこれに起因する車輌の減速度の急変が確実に防止されるよう修正されてもよい。
【0081】
また上述の実施形態に於いては、制動スリップの程度は制動スリップ量SLiにより判定されるようになっているが、制動スリップの程度は制動スリップ率により判定されるよう修正されてもよい。
【0082】
また上述の実施形態に於いては、エンジン制御装置28と制動制御装置52との間に於いて目標回生制動力及び実際の回生制動力が通信されるようになっているが、目標回生制動力に基づき目標回生制動トルクが演算され、その目標回生制動トルクを示す信号が制動制御装置52よりエンジン制御装置28へ通信され、エンジン制御装置28により目標回生制動トルクを上限として回生制動が制御され、逆に実際の回生制動トルクを示す信号がエンジン制御装置28より制動制御装置52へ通信され、実際の回生制動トルクに基づき実際の回生制動力が演算されるよう修正されてもよい。
【0083】
また上述の実施形態に於いては、ブレーキペダル32の踏み込みストロークSp及びマスタシリンダ圧力Pmに基づき車輌の目標減速度Gtが演算され、目標減速度に基づき前輪の目標制動力Fbft及び後輪の目標制動力Fbrtが演算されるようになっているが、前輪及び後輪の目標制動力は踏み込みストロークSp又はマスタシリンダ圧力Pmに基づき演算されてもよい。
【0084】
また上述の実施形態に於いては、制動力の前後輪配分比Kf/Krは目標制動力の大小に拘わらず一定であるが、例えば図8に於いて破線にて示されている如く、目標制動力が高くなるにつれて前輪に対する後輪の制動力配分比が小さくなるよう修正されてもよい。
【0085】
また上述の実施形態に於いては、車輌を駆動する駆動手段はガソリンエンジン12と電動発電機14とを含むハイブリッドエンジン10であり、電動発電機14が回生制動用の発電機として作動するようになっているが、ハイブリッドエンジンの内燃機関はディーゼルエンジンの如き他の内燃機関であってもよく、また車輌を駆動する駆動手段は通常の内燃機関であり、回生制動用の発電機は内燃機関とは独立のものであってもよい。
【0086】
また上述の実施形態に於いては、車輌は前輪駆動車であるが、本発明が適用される車輌は後輪駆動車や四輪駆動車であってもよく、また後輪の電動発電機40は回生制動用の発電機としてのみ作動するようになっているが、例えば必要に応じて後輪を駆動する補助的な駆動源として機能するよう修正されてもよい。
【0087】
【発明の効果】
以上の説明より明らかである如く、本発明によれば、アンチスキッド制御が開始される際に於ける回生制動力の急激な低下を防止して車輌の減速度の急激な変動を確実に且つ効果的に防止することができ、特に請求項の構成によれば、アンチスキッド制御開始時に於ける車輌の減速度の急激な変動を一層確実に且つ効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】前輪及び後輪に回生制動装置及び摩擦制動装置を有しハイブリッドエンジンが搭載された前輪駆動式の車輌に適用された本発明による制動力制御装置の一つの実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図示の実施形態に於ける制動制御装置による制動力制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】ステップ70に於ける前輪及び後輪の目標回生制動力補正ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図示の実施形態に於けるエンジン制御装置による回生制動制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】ブレーキペダルの踏み込みストロークSpと目標減速度Gstとの関係を示すグラフである。
【図6】マスタシリンダ圧力Pmと目標減速度Gptとの関係を示すグラフである。
【図7】前回演算された最終目標減速度Gtと目標減速度Gptに対する重みαとの関係を示すグラフである。
【図8】前輪の目標制動力Fbftと後輪の目標制動力Fbrtとの関係を示すグラフである。
【図9】前輪の制動スリップ量が漸次増大し前輪についてアンチスキッド制御が行われる場合に於ける図示の実施形態の作動を示すグラフである。
【図10】後輪の制動スリップ量が漸次増大し後輪についてアンチスキッド制御が行われる場合に於ける図示の実施形態の作動を示すグラフである。
【符号の説明】
10…ハイブリッドエンジン
12…ガソリンエンジン
14…電動発電機
28…エンジン制御装置
30…前輪の回生制動装置
32…ブレーキペダル
40…後輪用回生制動装置
42…電動発電機
44…摩擦制動装置
50…マスタシリンダ
52…制動制御装置
58…ストロークセンサ
60…圧力センサ
62fl〜62rr…圧力センサ
64fl〜64rr…車輪速度センサ

Claims (5)

  1. 前輪及び後輪のそれぞれに回生制動装置及び摩擦制動装置を有し、アンチスキッド制御が開始されると回生制動を停止する車輌の制動力制御装置に於いて、左右前輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると左右後輪の回生制動力を漸減することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  2. 前輪及び後輪のそれぞれに回生制動装置及び摩擦制動装置を有し、アンチスキッド制御が開始されると回生制動を停止する車輌の制動力制御装置に於いて、左右後輪の少なくとも一方の制動スリップの程度がアンチスキッド制御を開始させる閾値よりも低い所定の程度に達すると左右前輪の回生制動力を漸減することなく左右後輪の回生制動力を漸減することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  3. 前輪及び後輪のそれぞれに回生制動装置及び摩擦制動装置を有し、アンチスキッド制御が開始されると回生制動を停止する車輌の制動力制御装置に於いて、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されると左右後輪の回生制動力を漸減することを特徴とする車輌の制動力制御装置。
  4. 前記回生制動装置は左右前輪に共通の回生制動装置と左右後輪に共通の回生制動装置とよりなり、左右前輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されると左右前輪の回生制動を停止し、左右後輪の少なくとも一方についてアンチスキッド制御が開始されると左右後輪の回生制動を停止することを特徴とする請求項1乃至3に記載の車輌の制動力制御装置。
  5. 少なくとも運転者の制動要求量に基づき目標制動力を演算し、前記目標制動力に基づき目標回生制動力及び目標摩擦制動力を演算し、前記目標回生制動力及び目標摩擦制動力に基づきそれぞれ前記回生制動装置及び前記摩擦制動装置を制御することにより制動力を前記目標制動力に制御し、前記目標回生制動力を漸減することにより回生制動力を漸減することを特徴とする請求項1乃至4に記載の車輌の制動力制御装置。
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