JPH0898313A - 電動車両の制動装置 - Google Patents

電動車両の制動装置

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JPH0898313A
JPH0898313A JP22639294A JP22639294A JPH0898313A JP H0898313 A JPH0898313 A JP H0898313A JP 22639294 A JP22639294 A JP 22639294A JP 22639294 A JP22639294 A JP 22639294A JP H0898313 A JPH0898313 A JP H0898313A
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braking
hydraulic pressure
wheel
hydraulic
regenerative braking
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Application number
JP22639294A
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English (en)
Inventor
Naoyasu Enomoto
直泰 榎本
Masaki Ando
昌基 安藤
Harumi Ohori
治美 大堀
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Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0898313A publication Critical patent/JPH0898313A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T2270/00Further aspects of brake control systems not otherwise provided for
    • B60T2270/60Regenerative braking
    • B60T2270/602ABS features related thereto

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  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回生制動モードからABSモードに入るとき
に、ブレーキペダルの急激な沈込み、油激音の発生、ス
テップ状の急減速によるGショック等が生じるのを抑制
するとともに、それによって車両の制動距離が長くなる
のを防止する。 【構成】 マスタシリンダ4からホイールシリンダ5
(Fr)及びホイールシリンダ5(Rr)への液圧の伝
達を制御するリリーフ弁6,56、バイパス弁7,53
等からなる弁手段と、前輪Fr及び/または後輪Rrの
車輪のスリップ率を検出するステップS56からなるス
キッド検出手段と、前記スキッド検出手段によりステッ
プS4で所定以上のスリップ率が検出されたとき、回生
制動による回生を減少し、回生制動による動作から液圧
制動による動作への切替えを行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気自動車等の電動エ
ネルギーによって車両を駆動する電動車両の制動装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に電気自動車の場合には、走行の
ために利用できるエネルギーはバッテリーに充電されて
いる電力だけであり、バッテリーに充電されている電力
は限られているので、1回の充電で走行できる距離を長
くするには、走行等で消費するエネルギーを有効に利用
する必要がある。したがって、電気自動車においては回
生制動を用いることが非常に有効的である。即ち、制動
時に車両の運度エネルギーにより車輪に連結された電気
モータを駆動し、電気モータが発電した電力をバッテリ
ーに戻すようにすれば、エネルギーの無駄な消費を減ら
すことができる。
【0003】しかしながら、回生制動には限界、例え
ば、所定速度以下になるとその能力が低下する等の限界
があるため、回生制動限界以上では油圧ブレーキで補う
ようにし、油圧ブレーキが回生制動と併用して使用され
る。
【0004】特に、自動車の制動装置においては、従来
より、理想制動力配分と呼称される特性曲線になるべく
近づくように、前輪側制動力と後輪側制動力との配分が
決定されている。しかし、電気自動車の場合、従動輪の
油圧ブレーキの配分が大きいと、回生制動によるエネル
ギー回収の効率が低下する。
【0005】そこで、回生制動によるエネルギー回収効
率を高めるために、特別な回生優先モードを設けて、前
輪側制動力と後輪側制動力との配分を理想制動力配分と
は異なる特性に設定することが提案されている。
【0006】例えば、特開平5−161210号公報の
技術では、必要とする制動力が比較的小さい領域では全
ての油圧ブレーキを遮断して回生制動だけを実施する回
生優先モードを設けている。また、特開平5−1612
12号公報の技術では、通常は回生優先モードとし、路
面の摩擦係数が小さく車輪のロックが検出されたときに
は、理想制動力に従う通常モードに移行する自動制御を
行っている。また、特開平5−161213号公報で
は、ブレーキペダルの踏力またはその増加率に基づい
て、回生優先モードと通常モードとの切替えを自動的に
行っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記公報に
掲載の技術において、回生優先モードで油圧ブレーキ力
を遮断する際には、ブレーキペダルの踏込みストローク
に応じた油圧を発生するマスタシリンダと、各車輪の近
傍に配置されたホイールシリンダとの間の油の流路に接
続されたオン/オフ弁が閉じ、このオン/オフ弁が閉じ
たままで、ブレーキペダルがある程度踏込まれると、マ
スタシリンダの油圧は踏込みストロークに応じて増大す
るが、ホイールシリンダの油圧は踏込みストロークに応
じて増大する。このとき、ホイールシリンダの油圧は低
い状態に維持されるので、両者の間に大きな差圧が生じ
る。このような状態で、回生優先モードから通常モード
に切替えるときには、前記オン/オフ弁を介してホイー
ルシリンダの油圧がマスタシリンダの油圧に近づくま
で、オン/オフ弁を介してホイールシリンダに油が一気
に流れる。このため、ブレーキペダルの急激な踏込み、
油激音の発生、ステップ状の急減速によるGショック等
が生じる。結果として、制動フィーリングが悪いし、車
両に不安定な挙動が生じ易い。
【0008】特に、回生制動モードからABS(アンチ
スキッドブレーキシステム)モードに切替えるには、電
気モータの回生制御からホイールシリンダの油圧制御に
切替える必要がある。この種の技術は特開昭48−25
15号公報で公知である。但し、前輪または後輪のホイ
ールシリンダの油圧上昇速度が遅すぎると、後輪または
前輪がロックし、ブレーキペダルを強く踏込んでも車両
全体に加わる制動力が早く増大しないので、制動が遅れ
制動距離が長くなる可能性がある。また、回生制動モー
ドからABSモードに自動切替えが行われると、ブレー
キペダルの急激な踏込み、油激音の発生、ステップ状の
急減速によるGショック等が生じる可能性がある。
【0009】そこで、本発明は、回生制動モードからA
BSモードに入るときに、ブレーキペダルの急激な沈込
み、油激音の発生、ステップ状の急減速によるGショッ
ク等が生じるのを抑制するとともに、それによって車両
の制動距離が長くなるのを防止する電動車両の制動装置
の提供を課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記した技術的課題を解
決するため、本発明にかかる電動車両の制動装置は、車
上バッテリーからの電力により車輪を駆動する電気駆動
手段と、前記車輪の回転に伴なって前記電気駆動手段が
発生する電力を前記車上バッテリーに回生する回生制動
手段と、ブレーキペダルの操作量に応じた液圧を発生す
る液圧発生手段と、前記液圧発生手段が発生する液圧に
応じて車輪に制動力を与える液圧制動手段と、前記液圧
発生手段から液圧制動手段への液圧の伝達を制御する弁
手段と、前記車輪のスリップ率を検出するスキッド検出
手段と、前記弁手段と前記液圧制動手段との間に挿入さ
れ、前記スキッド検出手段により検出されたスリップ率
に応じて前記液圧制動手段に与える液圧を調整する液圧
調整手段と、前記スキッド検出手段により所定以上のス
リップ率が検出されたとき、前記回生制動手段による回
生を車輪ロック傾向の度合に応じて減少させ、その後、
前記液圧調整手段を動作させる切替制御手段とを具備す
るものである。
【0011】
【作用】本発明においては、電気駆動手段が車上バッテ
リーからの電力により車輪を駆動し、また、ブレーキペ
ダルの操作量に応じ、液圧発生手段が発生する液圧に応
じて回生制動手段により、電気駆動手段が発生する電力
を前記車上バッテリーに回生する。そして、ブレーキペ
ダルの操作量に応じ、液圧発生手段が発生する液圧に応
じて車輪に制動力を与える液圧制動手段は、その液圧発
生手段から液圧制動手段への液圧の伝達を制御し、液圧
による制動を行う。
【0012】更に、スキッド検出手段により所定以上の
スリップ率が検出されたとき、車輪の回転に伴なって車
上バッテリーからの電力により車輪を駆動する電気駆動
手段が発生する電力を、車上バッテリーに回生する回生
制動手段による回生を減少し、回生制動手段による制動
動作から液圧制動手段による制動動作への切替えを行
う。
【0013】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】図1は本発明の実施例の電動車両の制御装
置の駆動系及び制動系の主要部の構成図である。また、
図2は図1のモータECUの主要部の構成を示すブロッ
ク図である。なお、この実施例においては、前輪Frが
駆動輪、後輪Rrが従動輪になっている。
【0015】図1において、駆動源である電気モータ2
の駆動軸は、変速機(T/M)25を介して、前輪Fr
の車軸に連結されている。なお、図1においては、前輪
Frの1輪と後輪Rrの1輪は省略されているが、実施
例の自動車は4輪車である。各車輪近傍には、それぞ
れ、油圧制動のためのホイールシリンダ(W/C)5が
配設されている。前輪Frは駆動輪であるため、電気モ
ータ2による回生制動も可能になっている。
【0016】まず、図1の実施例の主に油圧系統につい
て説明する。
【0017】ブレーキペダル21の踏込みストロークに
応じた油圧が、ブレーキマスタシリンダ(M/C)4の
出力として発生し、前輪側の配管61と後輪側の配管6
2に供給される。前輪側の配管61と前輪側のホイール
シリンダ5(Fr)の配管63とを接続する流路には、
リリーフ弁6、チェック弁29、バイパス弁7及び初期
圧カット弁51が並列に介挿されている。また、配管6
1には圧力センサ11が設置してあり、配管63には圧
力センサ12が設置してある。
【0018】配管62と後輪側のホイールシリンダ5
(Rr)側の配管64とを結ぶ流路には、リリーフ弁5
6,チェック弁54,バイパス弁53,初期圧カット弁
55,及びバイパス弁52が並列に介挿されている。バ
イパス弁52には前輪Frの故障時に後輪Rrの減圧を
解除する役割がある。また、配管64とホイールシリン
ダ5(Rr)との間には、プロポーショニングバルブ2
3が接続されている。
【0019】リリーフ弁6は、配管61の油圧が配管6
3の油圧よりも所定以上高い時に開き、機械的に配管6
1と配管63の差圧を一定に制御する。チェック弁29
は、通常は閉じているが、何らかの原因により配管61
の油圧よりも配管63の油圧が高くなったとき開き、配
管63の油圧を配管61に逃すように制御する。バイパ
ス弁7は電磁弁であり、通常は閉状態であるが、主とし
て電気系統に故障が生じたときに開制御されて、配管6
1の油圧と配管63の油圧を同一にする。初期圧カット
弁51は、配管61の油圧が非常に小さいときに開き、
油圧が所定以上になると(ホイールシリンダ5(Fr)
への初期圧印加が完了すると)閉じる。
【0020】同様にリリーフ弁56は、配管62の油圧
が配管64の油圧よりも所定以上高いときに開き、機械
的に配管62と配管64の差圧を一定に制御する。チェ
ック弁54は通常は閉じているが、何らかの原因により
配管62の油圧よりも配管64の油圧が高くなったとき
開き、配管64の油圧を配管62に逃すように制御す
る。バイパス弁53は電磁弁であり、通常は閉状態であ
るが、主として電気系統に故障が生じたときに、開制御
されて、配管62の油圧と配管64の油圧を同一にす
る。初期圧カット弁55は、配管61の油圧が非常に小
さいときに開き、油圧が所定以上になると(ホイールシ
リンダ5(Rr)への初期圧印加が完了すると)閉じ
る。バイパス弁52は通常閉であるが、配管61に比べ
て配管62の油圧が所定以上高くなったときに開く。な
お、通常は、配管61の油圧と配管62の油圧とは同一
になる。
【0021】また、プロポーショニングバルブ23はマ
スタシリンダ4側の入側油圧が所定圧以下のときには、
ホイールシリンダ5(Rr)側の出側油圧を入側油圧と
同一にし、入側油圧が前記所定圧を越えているときに
は、入側と出側を分離して、入側油圧の変化に対する出
側油圧の変化の比率をそれまでより抑えるように動作す
る。プロポーショニングバルブ23を設けることによ
り、油圧制動による前後輪の制動力配分を折線特性とし
て、それを理想配分線に近づけることができる。
【0022】ブレーキベダル21の近傍には、ブレーキ
ペダル21の踏込みの有無を検出するブレーキスイッチ
22が配設されている。ポテンショメータ28は、図示
しないアクセルペダルと連結されており、アクセルペダ
ルの踏込みストロークを検出する。また、各車輪の近傍
には、各々車輪速度を検出する車輪速センサ57,58
が設置されている。
【0023】次に、電気系統について説明する。
【0024】この実施例で使用している電気モータ2は
誘導モータであり、回転子には永久磁石により磁極が形
成されており、固定子には3相の巻線が配設されてい
る。固定子の3相の巻線に交流を印加することにより、
回転磁界が発生し、回転子を回転駆動することができ
る。また、車輪の回転によって電気モータ2の回転子が
回転しているときには、その回転を止める方向の磁界を
固定子の巻線で発生することにより、始動をかけること
ができ、このとき固定子の巻線で発生する起電力を電源
に回収する(回生制動する)ことができる。電気モータ
2の内部には、回転子の磁極の位置を検出する磁極位置
検出器2aが配設されている。
【0025】電気モータ2を制御するための電気回路と
して、モータECU(電子制御ユニット)27とブレー
キECU26が備わっている。モータECU27とブレ
ーキECU26は、各々内部にマイクロコンピュータを
有しており、前者は主として電気モータ2の駆動に関す
る制御を実施し、後者は油圧制動及び回生制動に関する
制御を実施する。また、両者のマイクロコンピュータは
互いに接続されており、互いの情報が交換自在になって
いる。
【0026】モータECU27の主要部の構成を図2を
用いて説明する。
【0027】図2において、モータECU27にはイン
バータINVを有しており、インバータINVの3本の
出力ラインL1 ,L2 及びL3 が電気モータ2の各巻線
と接続されている。インバータINVの電源ラインLP
及びLMは、車上バッテリー1のプラス及びマイナスの
端子にそれぞれ接続されている。例えば、車上バッテリ
ー1は鉛蓄電池を使用すればよいが、この鉛蓄電池と並
列に大容量コンデンサやサブバッテリー等を接続しても
よい。
【0028】このインバータINVは、6個のスイッチ
ング用出力トランジスタQ1 ,Q2,Q3 ,Q4 ,Q5
及びQ6 を有しており、上側のトランジスタQ1 ,Q3
及びQ5 の少なくとも1つと、下側のトランジスタQ2
,Q4 及びQ6 の少なくとも1つをオンとすることに
より、車上バッテリー1から電気モータ2の各巻線に電
流を流すことができる。但し、トランジスタQ1 とQ2
、Q3 とQ4 、Q5 とQ6 は同時にオンしない。
【0029】トランジスタQ1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 ,Q
5 及びQ6 の制御端子には、それぞれドライバDV1 ,
DV2 ,DV3 ,DV4 ,DV5 及びDV6 の出力が接
続されており、これらのドライバDV1 〜DV6 の入力
端子は、マイクロコンピュータCPUの出力ポートと各
々接続されている。即ち、マイクロコンピュータCPU
がトランジスタQ1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 ,Q5 及びQ6
のオン/オフを制御することにより、電気モータ2の各
巻線の通電を制御する。
【0030】電気モータ2を連続的に回転させるために
は、その回転子の磁極の位置に合わせて、その回転子を
駆動する方向に、固定子巻線が形成する各磁極の位置を
順次に移動させる必要があるので、マイクロコンピュー
タCPUは、電気モータ2に内蔵された磁極位置検出器
2aからの信号に基づいて、ドライバDV1 〜DV6に
印加する制御信号のタイミングを決定している。
【0031】また、ドライバDV1 〜DV6 に印加する
制御信号のタイミングを調整することにより、電気モー
タ2の回転に対して制動をかけることもできる。この制
動の際、電気モータ2は発電機として機能するので、そ
の固定子巻線に電力が誘起するが、この電力は車上バッ
テリー1に回収される。
【0032】即ち、固定子巻線が発生する逆起電力によ
って、出力ラインL1 の電圧が電源ラインLPよりも高
くなると、出力ラインL1 からダイオードD1 を介して
電源ラインLPに電流が流れ、また出力ラインL1 の電
圧が電源ラインLMよりも低くなると、出力ラインL1
からダイオードD2 を介して電源ラインLMから電流が
流れ、車上バッテリー1が充電される。同様に、出力ラ
インL2 の電圧が電源ラインLPよりも高くなると、出
力ラインL2 からダイオードD3 を介して電源ラインL
Pに電流が流れ、また出力ラインL2 の電圧が電源ライ
ンLMよりも低くなると、出力ラインL2 からダイオー
ドD4 を介して電源ラインLMから電流が流れ、車上バ
ッテリー1が充電される。更に、出力ラインL3 の電圧
が電源ラインLPよりも高くなると、出力ラインL3 か
らダイオードD5 を介して電源ラインLPに電流が流
れ、また出力ラインL3 の電圧が電源ラインLMよりも
低くなると、出力ラインL3 からダイオードD6 を介し
て電源ラインLMから電流が流れ、車上バッテリー1が
充電される。
【0033】更に、図1を参照して詳述する。
【0034】モータECU27は、ポテンショメータ2
8が出力する信号により、アクセルペダルの踏込量を検
出し、この踏込量に応じて、電気モータ2の駆動量(回
転速度)を制御する。また、回生制動をブレーキECU
26が指示するときには、その指示に従って、電気モー
タ2の制動量を制御する。前述のインバータINVのト
ランジスタQ1 ,Q2 ,Q3 ,Q4 ,Q5 及びQ6 の制
御端子に印加する信号のパルス幅を調整することによっ
て、電気モータ2の駆動トルク及び制動量が調整され
る。
【0035】ブレーキECU26には、圧力センサ11
からの信号、圧力センサ12からの信号、ブレーキスイ
ッチ22からの信号、変速機25からの信号、及び電気
モータ2からの信号が印加される。ブレーキECU26
は、入力されるこれらの信号に基づいて、制動制御を行
い、回生制動のための情報をモータECUに出力すると
ともに、油圧制動のために必要に応じてバイパス弁7及
びバイパス弁53をオン/オフ制御する。
【0036】ブレーキECU26に備わったマイクロコ
ンピュータの主要動作の部分を図3乃至図6に示すもの
である。図3は図1の主に回生制動条件に関する制御プ
ログラム動作を示すフローチャート、図4は図1の主に
回生制動中止に関する制御動作を示すフローチャート、
図5は図1の主にスリップ率に関する制御プログラム動
作を示すフローチャート、図6は図1の主にABS制動
に関する制御プログラム動作を示すフローチャートであ
る。そして、図7は図1のABS制動に関する初期切替
制御動作を示すサブルーチンプログラムのフローチャー
トである。
【0037】そして、図8は本発明の一実施例の車輪の
回転角減速度のモード別の回生制動トルクの時間微分値
の特性、図9は図7に示すABS制動に関する初期切替
制御動作を示すサブルーチンプログラムの実行による特
性と従来のABS制動特性との比較例である。
【0038】まず、電源がオンすると、ステップS1で
初期化を実施し、ステップS2に進み、ステップS2で
はイグニッションスイッチ(IG SW)の状態を判定
し、オフの間は待機し、オンになると次のステップS3
に進みフラグFAを判定し、ステップS4ではフラグF
Bを判定する。そして、フラグFA,FBが共に“0”
のとき(リセットのときorフラグが立っていないと
き)にはステップS5に進み、フラグFAが“0”でフ
ラグFBが“0”でないときにはステップS6に進み、
フラグFAが“0”でないときにはステップS7に進
む。
【0039】なお、ここで、フラグFAを“1”とする
(セットとするorフラグを立てる)ことはバイパス弁
7、バイパス弁53を操作することなく、回生制動条件
を判断するための記憶であり、フラグFBを立てること
はバイパス弁7を閉じ、フラグFBを下ろすことはバイ
パス弁53を閉じるという動作のための記憶であり、フ
ラグFBは後輪Rrのみのバイパス弁53を開としたと
き立ち、フラグFAは前輪Fr及び後輪Rrのバイパス
弁7、バイパス弁53を開としたとき立つ。
【0040】スッテプS5ではバイパス弁53を閉じ
(通電オン)、次のステップS6でバイパス弁7を閉じ
る(通電オン)。バイパス弁7を閉じることにより、マ
スタシリンダ4の出力の油圧が所定以上(ΔPr:リリ
ーフ弁6により定まる)になるまでは、ホイールシリン
ダ5(Fr)には初期圧以外の油圧が印加されない。ま
た、バイパス弁53を閉じることにより、マスタシリン
ダ4の出力の油圧が所定以上(ΔPr:リリーフ弁56
により定まる)になるまでは、ホイールシリンダ5(R
r)には初期圧以外の油圧が印加されない。
【0041】ステップS7では、電気モータ2の状態を
検出する。具体的には、電気モータ2の故障の有無、電
気モータ2の現在の回転数(rpm)、電気モータ2の
温度、モータの電圧及び電流、インバータのスイッチン
グ情報を入力する。次のステップS8で車上バッテリー
1の状態を検出する。具体的には、車上バッテリー1の
故障の有無、車上バッテリー1の放電深度及び車上バッ
テリー1の温度情報等を入力する。ステップS9では、
変速機25の状態(変速位置)を検出する。
【0042】ステップS10では、上記ステップS7乃
至ステップS9等で入力した情報に基づいて、回生制動
を実施するための条件が満たされているか否かを識別す
る。
【0043】この実施例においては、次の全ての条件を
満たす場合に『回生制動可』とする。 a.モータ及びインバータ共に故障していない。 b.モータ及びインバータの電圧が正常に作動する所定
範囲内。 c.モータ及びインバータの電流が正常に作動する所定
範囲内。 d.モータ及びインバータの温度が共に正常に作動する
所定範囲内。 e.モータの回転数がシャフト、ベアリング、ギアが耐
える範囲内。 f.バッテリーの電圧が所定範囲内(モータ、インバー
タを正常に動作させるだけの電圧,かつ電気分解しない
電圧)。 g.バッテリーの電流がその許容電流範囲内。 h.バッテリーの放電深度が充電可能な範囲内。 i.バッテリー温度が正常に動作する範囲内。 j.変速機の変速位置がバックまたはニュートラル以
外。
【0044】次に、ステップS11では圧力センサ11
が検出したマスタシリンダ圧Pmの情報を入力し、ステ
ップS12で圧力センサ12が検出したホイールシリン
ダ圧Pwの情報を入力し、ステップS13でマスタシリ
ンダ圧Pmとホイールシリンダ圧Pwとを比較し、Pm
=PwならステップS14で回生禁止状態であるかを判
定し、回生禁止状態であるときステップS15に進み、
そうでなければステップS2に戻る。即ち、Pm=Pw
のときとしては、ブレーキベダル21を踏込んでいない
とき、またはバイパス弁7及びバイパス弁53が開とな
った状態にあることを意味し、Pm=Pwのときは必ず
しも回生禁止状態とは限定できない。
【0045】ステップS14ではステップS10の識別
結果を判定し、停止または力行のときで回生禁止状態な
らステップS15に進む。ステップS15ではフラグF
Bをクリアし、ステップS16でバイパス弁53を開き
(通電オフ)、ステップS17でバイパス弁7を開き
(通電オフ)、ステップS18でフラグFAを“1”に
して(セットor立て)ステップS2に戻る。ステップ
S16及びステップS17でバイパス弁7及びバイパス
弁53を開くことにより、マスタシリンダ4の出力の油
圧がそのままホイールシリンダ5(Rr)及び配管6
4、及びホイールシリンダ5(Fr)及び配管63に印
加される。
【0046】ステップS13でマスタシリンダ圧Pmと
ホイールシリンダ圧Pwとを比較し、Pm=Pwでない
とき、スッテプS20でステップS10における識別結
果をみて、ステップS10の結果が『回生制動可』でな
い場合、即ち、回生制動動作中に故障等によって回生動
作を禁止すべき条件に適合したときには、『回生中止』
とみなし、ステップS21に進む。即ち、ステップS2
0以降のルーチンでは回生制動中に回生制動を停止する
ルーチンである。ステップS10の結果が『回生制動
可』のときには、図4のステップS31に進む。
【0047】ステップS21では回生制動の中止指令を
モータECU27に出力し、まず、ステップS22でフ
ラグFBをリセットし、この回生制動の中止により、リ
リーフ弁6によって配管61と配管63との間に差圧
(ΔPr)が生じるから、また、リリーフ弁56によっ
て配管62と配管64との間に差圧(ΔPr)が生じる
から、ステップS23で先にバイパス弁7を開とし、ス
テップS24で前輪Fr側の圧力センサ12によってホ
イールシリンダ圧Pwの変化を監視し、バイパス弁7の
開によりホイールシリンダ圧Pwの増圧を検出し、前輪
Frのホイールシリンダ5(Fr)の動作まで待って、
ステップS25で圧力センサ11が検出したマスタシリ
ンダ圧Pmの情報を入力し、また、圧力センサ12が検
出したホイールシリンダ圧Pwの情報を入力し、ステッ
プS26でマスタシリンダ圧Pmとホイールシリンダ圧
Pwとを比較し、Pm=PwならステップS27に進
む。即ち、差圧がなくなるまで待ってステップS27に
進む。ステップS27で後にバイパス弁53を開とし、
ステップS28でフラグFAを立ててステップS2に戻
る。
【0048】即ち、このステップS20乃至ステップS
28のルーチンでは、回生制動制御中に回生制動を中止
するとき、回生制動力がなくなるので、早く油圧制動力
を上昇させる必要性があり、まず、先に前輪Fr側のバ
イパス弁7を開とし、それによってホイールシリンダ圧
Pwの増圧をみて、前輪Frのホイールシリンダ5(F
r)の動作状態を判定し、序で、後輪Rr側のバイパス
弁53を開とし、後輪Rrのホイールシリンダ5(R
r)を動作状態とするものである。このように、前輪F
r側のバイパス弁7を開とした後に後輪Rr側のバイパ
ス弁53を開とする。これによって、回生側の前輪Fr
が回生制動に関与しないことを明確にするとともに、後
輪Rrの制動を遅くすることにより操縦安定性を高め、
後輪Rr側のバイパス弁53を後に開として、後輪Rr
がロックされてスピン等が発生しないようにする。ま
た、前輪Fr側のリリーフ弁6の差圧(ΔPr)を大き
く設定し、後輪Rr側のリリーフ弁53の差圧(ΔP
r)を小さく設定しておけば、前輪Frの制動から後輪
Rrの制動に切替てもそのショックが小さくなる。
【0049】図4のステップS31では、現在の電気モ
ータ2の回転速度が400rpm以下であるか判定し、
回転速度が400rpm以下のとき、ステップS32で
マスタシリンダ圧Pmが50Kg/cm2 以上であるか
判定し、Pmが50Kg/cm2 以上のとき、車速が遅
く回生制動の領域を逸脱しているから、更に、マスタシ
リンダ圧Pmの大きさを判定し、マスタシリンダ圧Pm
が大きいとき、急速制動を駆けるべき、ステップS33
で回生制動の中止指令をモータECU27に出力する。
そして、ステップS34でフラグFBをリセットし、こ
の回生制動の中止により、ステップS35で先にバイパ
ス弁7を開とし、ステップS36で前輪Fr側の圧力セ
ンサ12によってホイールシリンダ圧Pwの変化を監視
し、バイパス弁7の開によりホイールシリンダ圧Pwの
増圧を検出し、前輪Frのホイールシリンダ5(Fr)
の動作まで待って、ステップS37で圧力センサ11が
検出したマスタシリンダ圧Pmの情報を入力し、また、
圧力センサ12が検出したホイールシリンダ圧Pwの情
報を入力し、ステップS38でマスタシリンダ圧Pmと
ホイールシリンダ圧Pwとを比較し、Pm=Pwならス
テップS39に進む。即ち、差圧がなくなるまで待って
ステップS39に進み、ステップS39で後にバイパス
弁53を開とし、ステップS40でフラグFAを立てて
ステップS2に戻る。
【0050】即ち、このステップS33乃至ステップS
40のルーチンは、前述のステップS21乃至ステップ
S28のルーチンと同一処理を行っている。
【0051】ステップS32でマスタシリンダ圧Pmが
50Kg/ cm2 以上でないと判定したとき、ステップ
S41で回生制動の中止指令をモータECU27に出力
する。そして、ブレーキ力が小さくてよいから、ブレー
キショックを小さくするために、前輪Fr側の差圧より
も小さく設定した後輪Rr側のみを開とするように、ス
テップS42でフラグFAをリセットし、ステップS4
3でバイパス弁53を開とし、ステップS44で圧力セ
ンサ11が検出したマスタシリンダ圧Pmの情報を入力
し、ステップS45で圧力センサ11が検出したマスタ
シリンダ圧Pmを基に、後輪Rr側のホイールシリンダ
圧Pwrを推定し、ステップS46でマスタシリンダ圧
Pmと推定したホイールシリンダ圧Pwrとを比較し、
Pm=PwrならステップS47に進む。即ち、差圧が
なくなるまで待って、ステップS47でフラグFBを1
にセットして、ステップS2に戻る。
【0052】なお、この際のステップS46によるマス
タシリンダ圧Pmのホイールシリンダ圧Pwrの推定
は、ホイールシリンダ圧Pwは流量、即ち、マスタシリ
ンダ圧Pmとホイールシリンダ圧Pwの差圧ΔPと時間
の関数となることから、それによって推定ホイールシリ
ンダ圧Pwrを得ることができる。
【0053】ところで、本実施例では、部品点数を少な
くするために、後輪Rr側の圧力センサを省略している
が、本発明を実施する場合には、圧力センサで直接計測
してもよいし、或いは、必ずしも正確な圧力を判定する
必要性がないから、本実施例のように推定によって決定
してもよい。
【0054】図4のステップS31で現在の電気モータ
2の回転速度が400rpm以下でないと判定したと
き、回生制動に入る。まず、図5のステップS50でフ
ラグFA及びフラグFBをクリアし、ステップS51で
圧力センサ11が検出したマスタシリンダ圧Pmの情報
を入力し、ステップS52で圧力センサ12が検出した
ホイールシリンダ圧Pwの情報を入力する。更に、ステ
ップS53でマスタシリンダ圧Pmとホイールシリンダ
圧Pwの差圧ΔPを計算し、ステップS54で予め定め
た関数f(ΔP)に差圧ΔPをパラメータとして代入し
て計算し、その計算結果を回生制動量Mとする。ステッ
プS55でこの回生制動量Mと回生制動指令をモータE
CU27に与え、回生制動を実施する。そして、ステッ
プS56で車輪速センサ57の出力を判定して前輪の車
輪速度Vwを検出し、更に、車体の走行速度Voと車輪
速度Vwに基づいて前輪Frのスリップ率Sを計算す
る。即ち、S=(Vo−Vw)/Voとしてスリップ率
Sを求める。
【0055】次の、ステップS57では、ステップS5
6で求めたスリップ率Sをしきい値Sref =3%と比較
する。S>3%でないとき、ステップS63の処理に入
り、スリップ率Sがしきい値Sref =3%より大のと
き、操舵の安定性を確保するために、ステップS58で
後輪Rr側のバイパス弁53を開とし、ステップS59
で圧力センサ11が検出したマスタシリンダ圧Pmの情
報を入力し、ステップS60で圧力センサ11が検出し
たマスタシリンダ圧Pmを基に、後輪Rr側のホイール
シリンダ圧Pwrを推定し、ステップS61でマスタシ
リンダ圧Pmと推定したホイールシリンダ圧Pwrとを
比較し、Pm=PwrならステップS62に進む。即
ち、差圧がなくなるまで待ち、ステップS62でフラグ
FBをセットしてステップS63に進む。
【0056】ステップS63では、ステップS56で求
めたスリップ率Sをしきい値Sref=4%と比較する。
S>4%でないとき、スリップ率Sがしきい値Sref =
3%以下であり、制動が高効率で行われているとして、
ステップS2からのルーチンに戻る。
【0057】ステップS63でスリップ率SがS>4%
のとき、図6に示すように、ステップS70でスリップ
率S>4%の車輪が前輪Fr側か後輪Rr側かの判定を
行い、前輪Fr側のスリップ率Sが該当するとき、ま
ず、ステップS71でフラグFBをクリアし、ステップ
S72でABS制御に入るためのABS初期動作制御の
サブルーチンプログラムをコールし、ステップS73で
ABS制御を開始し、その後、ステップS74でバイパ
ス弁7及びステップS75でバイパス弁53を開とし、
ステップS76及びステップS77でABS制御が必要
な時間だけ継続実行され、ステップS2に戻る。
【0058】また、ステップS70で前輪Fr側か後輪
Rr側かの判定を行い、後輪Rr側のスリップ率Sが該
当するとき、ステップS78でフラグFBをクリアし、
ステップS79でABS制御を開始しておき、ステップ
S80でバイパス弁53を開とし、ステップS81でA
BS制御に入るためのABS初期動作制御のサブルーチ
ンプログラムをコールし、ステップS82でバイパス弁
7を開とし、ステップS83及びステップS84でAB
S制御が必要な時間だけ継続実行され、ステップS2に
戻る。
【0059】ステップS72及びステップS81でAB
S制御に入るためのABS初期動作制御のサブルーチン
プログラムがコールされると、ステップS90で各車輪
速度を検出する車輪速センサ57,58(図示しない車
輪を含めて全車輪)を用いて車輪の回転角減速度Gを検
出する。本実施例においては、図8に示すように、車輪
の回転角減速度Gを−3<G、−6≦G≦−3、G<−
6とし、しかも、このときの回生制動トルクの時間微分
値 dT/dtを−2と、−5、−8にそれぞれ対応付けて
ステップS91でそのモードを選択する。即ち、回転角
減速度Gを−3<Gモードのとき、回生制動トルクの時
間微分値 dT/dtとして−2を選択し、回転角減速度G
が−6≦G≦−3モードのときに、回生制動トルクの時
間微分値dT/dtとして−5、また、回転角減速度Gを
G<−6モードのときに、回生制動トルクの時間微分値
dT/dtとして−8を選択する。
【0060】そして、選択したモードに従ってステップ
S92で回生減の制御を行い、ステップS93回生制動
による制動力がなくなるまで、ステップS90乃至ステ
ップS93のルーチンを繰返し実行する。
【0061】これによって、回生制動からABS制御に
入るときに、回生制動を中止し、油圧制動に入るまでの
応答速度が速くなり、油圧制動のように深い制動力の変
化が発生することがない。
【0062】即ち、図9(a)に示すように、時間と車
両速度との関係では、回生制動を中止し、直に油圧制動
に入った場合には時間−車両速度特性に示す従来例Bの
ようになる。しかし、本実施例のように、回生制動から
ABS制御に入るときに徐々に回生制動を弱くし、回生
制動力がゼロまたはゼロに近似する値になったとき、油
圧制動に切替えを行うものであるから、その切替えに伴
なう車速変化が急変しない本実施例Aの特性となる。図
9(b)に示すように、車輪の回転角速度ωからみて
も、回転角速度ωが急激に低下したとき、本実施例Aは
制動特性に合致させるべく制動制御を行うことにより、
車輪がロックされることなく制動特性に合致させた制御
が可能となる。このときの本実施例Aによる回生制動力
は、図9(c)に示すように、制動特性に合致した制動
力となり、また、従来例Bの油圧制動による制動力はそ
のABS制御に入った初期に急変することになる。した
がって、本実施例においては、制動特性に合致させた制
動制御を行うことにより、制動距離を延ばすことなく、
滑かな制動が可能となる。
【0063】このように、本実施例においては、所定以
上のスリップ率が検出されたときの回生制動による回生
制動の減少は、制動特性に従い車輪のロック傾向の度合
に応じて減じるものであるから、滑かな制動が可能であ
り、ABS制御に入る時間を遅くし、それだけ回生量を
大きくすることができる。また、理想的制動特性に近似
した制動特性の制御が可能となる。
【0064】ところで、本実施例においては、所定以上
のスリップ率が検出されたときの回生制動による回生制
動の減少は、制動特性に従い車輪のロック傾向の度合に
応じて減じるものであるが、本発明を実施する場合に
は、回生のオン−オフ制御によって減じることもでき
る。即ち、回生する電圧を均一とし、その出力を矩形波
とし、そのデューティ比によって回生量を制御するもの
である。この技術は、車上バッテリー1に回生する電圧
が一定になることから、正確な制御が可能である。
【0065】また、所定以上のスリップ率が検出された
とき、回生を減少させた後、前記回生制動手段による制
動動作から液圧制動手段による制動動作への切替えを行
うことにより、液圧制動の特徴を生かして制動距離及び
回生量の両者を良好とした高効率の制動を行うことがで
きる。特に、液圧制動に入る前の前処理としてスリップ
率が大きくなってきた時点で、本来のABS制御による
液圧制動を付与する前に、回生制動から液圧制動よるA
BS制御に格別Gショック等を大きくすることなく、滑
かに入ることができる。
【0066】上記実施例の電動車両の制動装置は、車上
バッテリー1からの電力により前輪Fr及び/または後
輪Rrを駆動する電気モータ2からなる電気駆動手段
と、前記前輪Fr及び/または後輪Rrの回転に伴なっ
て電気モータ2からなる電気駆動手段が発生する電力を
車上バッテリー1に回生するインバータINV及びマイ
クロコンピュータCPU等からなる回生制動手段と、ブ
レーキペダル21の操作量に応じた液圧を発生するマス
タシリンダ4からなる液圧発生手段と、前記マスタシリ
ンダ4からなる液圧発生手段が発生する液圧に応じて前
輪Fr及び/または後輪Rrの車輪に制動力を与えるホ
イールシリンダ5(Fr)及びホイールシリンダ5(R
r)からなる液圧制動手段と、前記マスタシリンダ4か
らなる液圧発生手段からホイールシリンダ5(Fr)及
びホイールシリンダ5(Rr)からなる液圧制動手段へ
の液圧の伝達を制御するリリーフ弁6,56、バイパス
弁7,53等からなる弁手段と、前記前輪Fr及び/ま
たは後輪Rrの車輪のスリップ率を検出するステップS
56からなるスキッド検出手段と、前記スキッド検出手
段によりステップS4で所定以上のスリップ率が検出さ
れたとき、前記回生制動手段による回生を減少し、前記
回生制動手段による制動動作から液圧制動手段による制
動動作への切替えを行うステップS73乃至ステップS
77またはステップS79乃至ステップS84からなる
切替制御手段とを具備するものであり、これを請求項1
の実施例とすることができる。
【0067】従来の場合には、回生制動からABS制御
に入るときに、回生制動を急激に中止して油圧制動に入
ると、油圧制動のように深い制動力の変化が発生する。
しかし、本発明の実施例によれば、回生制動からABS
制御に入るときに徐々に回生制動を弱くし、回生制動力
がゼロまたはゼロに近似する値になったとき、油圧制動
に切替えを行うものであるから、その切替えに伴なう車
速変化が急変しない特性となる。車輪の回転角速度ωか
らみても、回転角速度ωを制動特性に合致させるべく制
動制御を行うことにより、車輪がロックされることなく
制動特性に合致させた制御が可能となる。このとき、回
生制動力は制動特性に合致した制動力となる。故に、本
実施例においては、制動特性に合致させた制動制御を行
うことにより、制動距離を延ばすことなく、滑かな制動
が可能となる。
【0068】特に、本実施例においては、所定以上のス
リップ率が検出されたときの回生制動による回生制動の
減少開始は、制動特性に従い車輪のロック傾向の度合に
応じて減じるものであるから、滑かな制動が可能であ
り、ABS制御に入る時間を遅くし、それだけ回生量を
大きくすることができる。また、理想的制動特性に近似
した制動特性の制御が可能となる。
【0069】また、本実施例の所定以上のスリップ率が
検出されたときの回生制動による回生制動の減少は、回
生のオン−オフ制御によって減じることもできる。即
ち、回生する電圧を均一とし、その出力を矩形波とし、
そのデューティ比によって回生量を制御するものであ
る。この技術は、車上バッテリー1に回生する電圧が一
定になることから、正確な制御が可能である。
【0070】そして、所定以上のスリップ率が検出され
たとき、回生を減少させた後、前記回生制動手段による
制動動作から液圧制動手段による制動動作への切替えを
行うことにより、液圧制動の特徴を生かして制動距離及
び回生量の両者を良好とした高効率の制動を行うことが
できる。特に、液圧制動に入る前の前処理としてスリッ
プ率が大きくなってきた時点で実行すると、本来のAB
S制御による液圧制動を付与する前に実行することによ
り、回生制動から液圧制動よるABS制御に格別Gショ
ック等を大きくすることなく、滑かに入ることができ
る。
【0071】ところで、本発明を実施する場合の電気エ
ネルギーを蓄える車上バッテリー1は、充放電ができる
二次電池であればよい。
【0072】また、本発明を実施する場合の車上バッテ
リー1からの電力により前輪Fr及び/または後輪Rr
の車輪を駆動する電気モータ2からなる電気駆動手段
は、各車輪に電気モータを配設したものでもよいし、前
輪Fr及び/または後輪Rrに電気モータを配設したも
のでもよい。
【0073】そして、本発明を実施する場合の回生制御
手段は、前輪Fr及び/または後輪Rrの車輪の回転に
伴なって電気モータ2からなる電気駆動手段が発生する
電力を車上バッテリー1に回生するインバータINV及
びマイクロコンピュータCPU等からなるものである
が、本発明を実施する場合には、インバータINV及び
マイクロコンピュータCPU等の構成に限定されるもの
ではなく、電気モータに対して外部から回転力を与えた
とき発電制動を行うものであればよい。
【0074】更に、本実施例の回生制動条件検出手段
は、前輪Fr及び/または後輪Rrの車輪の回生制動条
件を識別するステップS7乃至ステップS10からなる
ものであるが、本発明を実施する場合には、前輪Fr及
び/または後輪Rrの車輪の回生制動条件を識別する回
生制動条件が検出できればよい。
【0075】更にまた、本実施例のスキッド検出手段
は、前輪Fr及び/または後輪Rrのスリップ率を検出
するステップS56からなるものであるが、本発明を実
施する場合には、ABS制御に入る前輪Fr及び/また
は後輪Rrのスリップ率を検出するもの、またはABS
制御に入る前輪Fr及び/または後輪Rrのスリップ率
よりも低いスリップ率を検出するものであればよい。特
に、本発明を実施する場合には、回生制動手段による回
生を徐々に減少させるものであり、通常のABS制御に
入るスリップ率よりも若干低いスリップ率で本実施例の
回生を徐々に減少させる制御に入るのが効果的である。
【0076】そして、本実施例の切替制御手段は、スキ
ッド検出手段によりステップS4で所定以上のスリップ
率が検出されたとき、前記回生制動手段による回生を減
少し、前記回生制動手段による制動動作から液圧制動手
段による制動動作への切替えを行うステップS73乃至
ステップS77またはステップS79乃至ステップS8
4からなるものであるが、本発明を実施する場合には、
所定以上のスリップ率が検出されたとき、回生制動手段
による回生を減少した後、回生制動手段による制動動作
から液圧制動手段による制動動作への切替えを行うもの
であればよい。なお、好ましくは、回生制動手段による
回生を減少し、ゼロになったとき、またはゼロに近似し
たとき、切替えを行うようにすれば、滑かな制御が可能
である。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかる電
動車両の制動装置は、車輪の回転に伴なって前記電気駆
動手段が発生する電力を前記車上バッテリーに回生する
回生制動手段と、ブレーキペダルの操作量に応じた液圧
を発生する液圧発生手段と、前記液圧発生手段が発生す
る液圧に応じて車輪に制動力を与える液圧制動手段と、
前記液圧発生手段から液圧制動手段への液圧の伝達を制
御する弁手段と、前記車輪のスリップ率を検出するスキ
ッド検出手段とを具備し、前記スキッド検出手段により
所定以上のスリップ率が検出されたとき、前記回生制動
手段による回生を減少し、前記回生制動手段による制動
動作から液圧制動手段による制動動作への切替えを行う
ものであるから、回生制動からABS制御に入るときに
徐々に回生制動を弱くし、回生制動力がゼロまたはゼロ
に近似する値になったとき、油圧制動に切替えを行うこ
とにより、その切替えに伴なう車速変化が急変しない。
また、車輪がロックされることなく制動特性に合致させ
た制御が可能となる。そして、制動特性に合致させた制
動制御を行うことにより、制動距離を延ばすことなく、
滑かな制動が可能となる。
【0078】故に、回生制動モードからABSモードに
入るときに、ブレーキペダルの急激な沈込み、油激音の
発生、ステップ状の急減速によるGショック等が生じる
のを抑制するとともに、それによって車両の制動距離が
長くなるのを防止することができる。
【0079】特に、液圧制動に入る前の前処理としてス
リップ率が大きくなってきた時点で実行すると、本来の
ABS制御による液圧制動を付与する前に実行すること
により、回生制動から液圧制動よるABS制御に格別G
ショック等を大きくすることなく、滑かに入ることがで
きる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の実施例の電動車両の制御装置
の駆動系及び制動系の主要部の構成図である。
【図2】 図2は図1のモータECUの主要部の構成を
示すブロック図である。
【図3】 図3は図1の主に回生制動条件に関する制御
動作を示すフローチャートである。
【図4】 図4は図1の主に回生制動中止に関する制御
動作を示すフローチャートである。
【図5】 図5は図1の主にスリップ率に関する制御動
作を示すフローチャートである。
【図6】 図6は図1の主にABS制動に関する制御動
作を示すフローチャートである。
【図7】 図7は図1のABS制動に関する初期切替制
御動作を示すサブルーチンプログラムのフローチャート
である。
【図8】 図8は本発明の一実施例の車輪の回転角減速
度のモード別の回生制動トルクの時間微分値の特性であ
る。
【図9】 図9は図7に示すABS制動に関する初期切
替制御動作を示すサブルーチンプログラムの実行による
特性と従来のABS制動特性との比較例である。
【符号の説明】
1 車上バッテリー 2 電気モータ 4 マスタシリンダ 5(Fr) ホイールシリンダ 5(Rr) ホイールシリンダ 6,56 リリーフ弁 7,53 バイパス弁 21 ブレーキペダル 26 ブレーキECU 27 モータECU Fr 前輪 Rr 後輪 INV インバータ CPU マイクロコンピュータ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車上バッテリーからの電力により車輪を
    駆動する電気駆動手段と、 前記車輪の回転に伴なって前記電気駆動手段が発生する
    電力を前記車上バッテリーに回生する回生制動手段と、 ブレーキペダルの操作量に応じた液圧を発生する液圧発
    生手段と、 前記液圧発生手段が発生する液圧に応じて車輪に制動力
    を与える液圧制動手段と、 前記液圧発生手段から液圧制動手段への液圧の伝達を制
    御する弁手段と、 前記車輪のスリップ率を検出するスキッド検出手段と、 前記弁手段と前記液圧制動手段との間に挿入され、前記
    スキッド検出手段により検出されたスリップ率に応じて
    前記液圧制動手段に与える液圧を調整する液圧調整手段
    と、 前記スキッド検出手段により所定以上のスリップ率が検
    出されたとき、前記回生制動手段による回生を車輪ロッ
    ク傾向の度合に応じて減少させ、その後、前記液圧調整
    手段を動作させる切替制御手段とを具備することを特徴
    とする電動車両の制動装置。
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