JP2006136174A - 車両のモータトラクション制御装置 - Google Patents

車両のモータトラクション制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 モータトラクション制御時、確実にスタンブルの発生を防止し、車両の加速性を確保することができる車両のモータトラクション制御装置を提供すること。
【解決手段】 車輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、車輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、を備えた車両のモータトラクション制御装置において、路面摩擦係数相当値を推定する路面摩擦係数相当値推定手段を設け、前記モータトラクション制御手段は、モータトラクション制御時、前記路面摩擦係数相当値が高摩擦係数を示すほど大きな値となるモータトルク下限値を設定し、実モータトルクがモータトルク下限値以下にならないように制御する手段とした。
【選択図】 図6

Description

本発明は、ハイブリッド車や電気自動車等に適用され、車輪を駆動する動力源に少なくとも1つのモータが装備された車両のモータトラクション制御装置に関する。
車輪を駆動する動力源にモータが装備されたハイブリッド車や電気自動車等では、車輪が駆動スリップすると、車輪の駆動スリップに合わせてモータが過回転し、モータ駆動回路に過電流が発生するため、部品保護のためには駆動スリップを応答良く収束させる必要がある。この部品保護を目的として駆動スリップを収束させるモータトラクション制御装置は、駆動車輪の回転角速度の変化率(角加速度)が所定値以上のときに駆動スリップが発生すると予測し、モータトルクを低下する構成とし、モータトルクの増加に伴って生じる駆動スリップを防止している(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−304514号公報
しかしながら、上記従来のモータトラクション制御装置にあっては、駆動スリップが生じやすい低μ路における部品保護を優先し、駆動スリップの発生が予測されると大きなモータトルクダウン量を与える構成としていたため、駆動スリップが発生するとモータトルクを低減させ過ぎとなり、例えば、スリップ開始初期や予期せぬ路面μの変化が発生した場合等において、スタンブル(駆動トルクの出力低下が大きいことによる加速もたつき)が発生してしまう、という問題がある。特に、車輪を駆動する動力源にモータが装備された車両は、モータによるトルクの増減応答性が速いので、このような現象がエンジン車に比べ生じやすい。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、モータトラクション制御時、確実にスタンブルの発生を防止し、車両の加速性を確保することができる車両のモータトラクション制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明における車両のモータトラクション制御装置では、車輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、車輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、を備えた車両のモータトラクション制御装置において、
路面摩擦係数相当値を推定する路面摩擦係数相当値推定手段を設け、
前記モータトラクション制御手段は、モータモータトラクション制御時、前記路面摩擦係数相当値が高摩擦係数を示すほど大きな値となるモータトルク下限値を設定し、実モータトルクがモータトルク下限値以下にならないように制御することを特徴とする。
よって、本発明の車両のモータトラクション制御装置にあっては、モータトラクション制御手段において、モータトラクション制御時、推定された路面摩擦係数相当値が高摩擦係数を示すほど大きな値となるモータトルク下限値が設定され、実モータトルクがモータトルク下限値以下にならないように制御される。すなわち、モータトルク下限値は、低μ路であるほど車輪が滑りやすい点を加味し、車両の加速性能を確保するように車体速より僅かに駆動輪速が高めとなるように設定した値である。したがって、例えば、部品保護性能を重視し、駆動スリップの発生に対し角加速度によりモータトルクをダウンさせる制御を実施しても、実モータトルクが路面μに応じて設定されたモータトルク下限値以下にならないことで、駆動輪速が車体速付近を推移するスタンブルの発生が防止される。この結果、モータトラクション制御時、確実にスタンブルの発生を防止し、車両の加速性を確保することができる。
以下、本発明の車両のモータトラクション制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
まず、ハイブリッド車の駆動系構成を説明する。
図1は実施例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2(モータ)と、出力スプロケットOS、動力分割機構TMと、を有する。
前記エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。
前記第1モータジェネレータMG1と第2モータジェネレータMG2は、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、パワーコントロールユニット3により作り出された三相交流を印加することによりそれぞれ独立に制御される。
前記両モータジェネレータMG1,MG2は、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この状態を「回生」と呼ぶ)。
前記動力分割機構TMは、サンギヤSと、ピニオンPと、リングギヤRと、ピニオンキャリアPCと、を有する単純遊星歯車により構成されている。そして、単純遊星歯車の3つの回転要素(サンギヤS、リングギヤR、ピニオンキャリアPC)に対する入出力部材の連結関係について説明する。前記サンギヤSには、第1モータジェネレータMG1が連結されている。前記リングギヤRには、第2モータジェネレータMG2と出力スプロケットOSとが連結されている。前記ピニオンキャリアPCには、エンジンダンパEDを介してエンジンEが連結されている。なお、前記出力スプロケットOSは、チェーンベルトCBや図外のディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右前輪に連結されている。
上記連結関係により、図4に示す共線図上において、第1モータジェネレータMG1(サンギヤS)、エンジンE(プラネットキャリアPC)、第2モータジェネレータMG2及び出力スプロケットOS(リングギヤR)の順に配列され、単純遊星歯車の動的な動作を簡易的に表せる剛体レバーモデル(3つの回転数が必ず直線で結ばれる関係)を導入することができる。
ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤSとリングギヤRの歯数比λに基づく共線図レバー比(1:λ)になるように配置したものである。
次に、ハイブリッド車の制御系を説明する。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、パワーコントロールユニット3(強電ユニット)と、バッテリ4(二次電池)と、ブレーキコントローラ5と、統合コントローラ6と、を有して構成されている。
前記統合コントローラ6には、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、から入力情報がもたらされる。なお、車速センサ8と第2モータジェネレータ回転数センサ11は、同じ動力分割機構TMの出力回転数を検出するもであるため、車速センサ8を省略し、第2モータジェネレータ回転数センサ11からのセンサ信号を車速信号として用いても良い。
前記ブレーキコントローラ5には、前左車輪速センサ12と、前右車輪速センサ13と、後左車輪速センサ14と、後右車輪速センサ15と、操舵角センサ16と、マスタシリンダ圧センサ17と、ブレーキストロークセンサ18と、から入力情報がもたらされる。
前記エンジンコントローラ1は、アクセル開度センサ7からのアクセル開度APとエンジン回転数センサ9からのエンジン回転数Neを入力する統合コントローラ6からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。
前記モータコントローラ2は、レゾルバによる両モータジェネレータ回転数センサ10,11からのモータジェネレータ回転数N1,N2を入力する統合コントローラ6からの目標モータジェネレータトルク指令等に応じ、第1モータジェネレータMG1のモータ動作点(N1,T1)と、第2モータジェネレータMG2のモータ動作点(N2,T2)と、をそれぞれ独立に制御する指令をパワーコントロールユニット3へ出力する。なお、このモータコントローラ2は、バッテリ4の充電状態をあらわすバッテリS.O.Cの情報を用いる。
前記パワーコントロールユニット3は、より少ない電流で両モータジェネレータMG1,MG2への電力供給が可能な電源系高電圧システムを構成するもので、図5に示すように、ジョイントボックス3aと、昇圧コンバータ3bと、駆動モータ用インバータ3cと、発電ジェネレータ用インバータ3dと、コンデンサ3eと、を有する。前記第2モータジェネレータMG2のステータコイルには、駆動モータ用インバータ3cが接続される。前記第1モータジェネレータMG1のステータコイルには、発電ジェネレータ用インバータ3dが接続される。また、前記ジョイントボックス3aには、力行時に放電し回生時に充電するバッテリ4が接続される。
前記ブレーキコントローラ5は、低μ路制動時や急制動時等において、4輪のブレーキ液圧を独立に制御するブレーキ液圧ユニット19への制御指令によりABS制御を行い、また、エンジンブレーキやフットブレーキによる制動時、統合コントローラ6への制御指令とブレーキ液圧ユニット19への制御指令を出すことで回生ブレーキ協調制御を行う。このブレーキコントローラ5には、各車輪速センサ12,13,14,15からの車輪速情報や、操舵角センサ16からの操舵角情報や、マスタシリンダ圧センサ17やブレーキストロークセンサ18からの制動操作量情報が入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令を統合コントローラ6とブレーキ液圧ユニット19へ出力する。なお、前記ブレーキ液圧ユニット19には、前左車輪ホイールシリンダ20と、前右車輪ホイールシリンダ21と、後左車輪ホイールシリンダ22と、後右車輪ホイールシリンダ23と、が接続されている。
前記統合コントローラ6は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、加速走行時等において、エンジンコントローラ1への制御指令によりエンジン動作点制御を行い、また、停止時や走行時や制動時等において、モータコントローラ2への制御指令によりモータジェネレータ動作点制御を行う。この統合コントローラ6には、各センサ7,8,9,10,11からのアクセル開度APと車速VSPとエンジン回転数Neと第1モータジェネレータ回転数N1と第2モータジェネレータ回転数N2とが入力される。そして、これらの入力情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、その処理結果による制御指令をエンジンコントローラ1とモータコントローラ2へ出力する。なお、統合コントローラ6とエンジンコントローラ1、統合コントローラ6とモータコントローラ2、統合コントローラ6とブレーキコントローラ5は、情報交換のためにそれぞれ双方向通信線24,25,26により接続されている。
次に、駆動力性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車の駆動力は、図2(b)に示すように、エンジン直接駆動力(エンジン総駆動力から発電機駆動分を差し引いた駆動力)とモータ駆動力(両モータジェネレータMG1,MG2の総和による駆動力)との合計で示される。その最大駆動力の構成は、図2(a)に示すように、低い車速ほどモータ駆動力が多くを占める。このように、変速機を持たず、エンジンEの直接駆動力と電気変換したモータ駆動力を加えて走行させることから、低速から高速まで、定常運転のパワーの少ない状態からアクセルペダル全開のフルパワーまで、ドライバの要求駆動力に対しシームレスに応答良く駆動力をコントロールすることができる(トルク・オン・デマンド)。
そして、実施例1のハイブリッド車では、動力分割機構TMを介し、エンジンEと両モータジェネレータMG1,MG2と左右前輪の車輪とがクラッチ無しで繋がっている。また、上記のように、エンジンパワーの大部分を発電機で電気エネルギに変換し、高出力かつ高応答のモータで車両を走らせている。このため、例えば、アイスバーン等の滑りやすい路面での走行時において、車輪のスリップやブレーキ時の車輪のロック等で車両の駆動力が急変する場合、過剰電流からのパワーコントロールユニット3の部品保護、あるいは、動力分割機構TMのピニオン過回転からの部品保護を行う必要がある。これに対し、高出力・高応答のモータ特性を活かし、部品保護の機能から発展させて、車輪の駆動スリップを瞬時に検出し、そのグリップを回復させ、車両を安全に走らせるためのモータトラクション制御を採用している。
次に、制動力性能について説明する。
実施例1のハイブリッド車では、エンジンブレーキやフットブレーキによる制動時には、モータとして作動している第2モータジェネレータMG2を、ジェネレータ(発電機)として作動させることにより、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ4に回収し、再利用する回生ブレーキシステムを採用している。
この回生ブレーキシステムでの一般的な回生ブレーキ協調制御は、図3(a)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、要求制動力に大きさにかかわらず、算出された要求制動力を回生分と油圧分とで分担することで行われる。
これに対し、実施例1のハイブリッド車で採用している回生ブレーキ協調制御は、図3(b)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、算出された要求制動力に対し回生ブレーキを優先し、回生分で賄える限りは油圧分を用いることなく、最大限まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。
次に、車両モードについて説明する。
実施例1のハイブリッド車での車両モードとしては、図4の共線図に示すように、「停車モード」、「発進モード」、「エンジン始動モード」、「定常走行モード」、「加速モード」を有する。
「停車モード」では、図4(1)に示すように、エンジンEと発電機MG1とモータMG2は止まっている。「発進モード」では、図4(2)に示すように、モータMG2のみの駆動で発進する。「エンジン始動モード」では、図4(3)に示すように、エンジンスタータとしての機能を持つ発電機MG1によって、サンギヤSが回ってエンジンEを始動する。「定常走行モード」では、図4(4)に示すように、主にエンジンEにて走行し、効率を高めるために発電を最小にする。「加速モード」では、図4(5)に示すように、エンジンEの回転数を上げると共に、発電機MG1による発電を開始し、その電力とバッテリ4の電力を使ってモータMG2の駆動力を加え、加速する。
なお、後退走行は、図4(4)に示す「定常走行モード」において、エンジンEの回転数上昇を抑えたままで、発電機MG1の回転数を上げると、モータMG2の回転数が負側に移行し、後退走行を達成することができる。
始動時は、イグニッションキーを回すとエンジンEが始動し、エンジンEを暖機した後、直ぐにエンジンEは停止する。発進時や軽負荷時は、発進時やごく低速で走行する緩やかな坂を下るときなどは、エンジン効率の悪い領域は燃料をカットし、エンジンは停止してモータMG2により走行する。通常走行時は、エンジンEの駆動力は、動力分割機構TMにより一方は車輪を直接駆動し、他方は発電機MG1を駆動し、モータMG2をアシストする。全開加速時は、バッテリ4からパワーが供給され、さらに、駆動力を追加する。減速時や制動時には、車輪がモータMG2を駆動し、発電機として作用することで回生発電を行う。回収した電気エネルギはバッテリ4に蓄えられる。バッテリ4の充電量が少なくなると、発電機MG1をエンジンEにより駆動し、充電を開始する。車両停止時には、エアコン使用時やバッテリ充電時等を除き、エンジンEを自動的に停止する。
次に、作用を説明する。
[モータトラクション制御処理]
図6は実施例1の統合コントローラ6にて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(モータトラクション制御手段)。
ステップS1では、アクセル開度や車速等により決められる要求駆動トルクからエンジン分担トルクを差し引いた要求モータトルクを算出し、ステップS2へ移行する。
なお、第2モータジェネレータMG2のみを駆動源とする走行時には、エンジン分担トルクはゼロとなり、また、第2モータジェネレータMG2とエンジンEとを駆動源とする走行時には、エンジン分担トルクはエンジン直接駆動力(図2参照)となる。
ステップS2では、ステップS1での要求モータトルクの算出に続き、第2モータジェネレータ回転数センサ11からのセンサ信号に基づき、前輪(=第2モータジェネレータMG2)の角加速度ω’を算出し、ステップS3へ移行する。
ここで、「角加速度ω’」の算出は、角速度(=第2モータジェネレータ回転数)を時間微分することで算出することができる。微分演算の手法としては、例えば、サンプリングタイムが10msecの場合、現在の第2モータジェネレータ回転数計測値と10msec前の第2モータジェネレータ回転数計測値の偏差をとることで、微分値を算出することができる。
ステップS3では、ステップS2での角加速度ω’の算出に続き、角加速度ω’の大きさに応じてトルクダウン量を演算し、ステップS4へ移行する。
ここで、トルクダウン量の演算は、例えば、図7に示すように、角加速度ω’がゼロから第1設定値ω1'まではトルクダウン量=0とし、角加速度ω’が第1設定値ω1'から第2設定値ω2'までは角加速度ω’の増大に比例して増大するトルクダウン量を与え、角加速度ω’が第2設定値ω2'を超えると一定のトルクダウン量最大値を与える。
ステップS4では、ステップS3でのトルクダウン量の演算に続き、ステップS1にて求めた要求モータトルクから、ステップS3で求めたトルクダウン量を差し引くことで目標モータトルクTM*を演算し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ステップS4での目標モータトルクの演算に続き、図9および後述する路面摩擦係数μの推定手法(各車輪の車輪速VW1〜VW4および単位荷重当たりの制駆動力F1〜F4を求め、これらの車輪速VW1〜VW4および単位荷重当たりの制駆動力F1〜F4の組み合わせを表す車輪毎の点を、2次元座標上に表記し、これらの点を代表する直線を求め、その勾配に基づき路面摩擦係数μを推定する。)により、路面摩擦係数μを推定し、ステップS6へ移行する(路面摩擦係数相当値推定手段)。
ステップS6では、ステップS5での路面摩擦係数μの推定に続き、推定した路面摩擦係数μに依存する第1モータトルク下限値MT1minを演算し、ステップS7へ移行する。
ここで、「第1モータトルク下限値MT1min」は、図8に示すように、推定された路面摩擦係数μが氷結路相当の第1設定値μ1以下である場合には、第1モータトルク下限値MT1minを一定の最低値MINにより与え、推定された路面摩擦係数μが第1設定値μ1を超えると、第1モータトルク下限値MT1minをμの値が高くなるほど比例的に大きくなる値により与える。
ステップS7では、ステップS6での第1モータトルク下限値MT1minの演算に続き、ステップS4にて求めた目標モータトルクTM*と、ステップS6にて求めた第1モータトルク下限値MT1minとのセレクトハイにより、モータトルク指令値を選択し、ステップS8へ移行する。
すなわち、目標モータトルクTM*が第1モータトルク下限値MT1minより大きな値である場合には、目標モータトルクTM*が選択されるが、目標モータトルクTM*が第1モータトルク下限値MT1minより小さな値である場合には、第1モータトルク下限値MT1minが選択されることになり、モータトルク指令値は、第1モータトルク下限値MT1minより低い値になることはない。
ステップS8では、ステップS7でのモータトルク指令値の選択に続き、選択したモータトルク指令値をモータコントローラ2へ出力し、リターンへ移行する。
[路面μの推定について]
上記図6のステップS5における(路面μ推定ブロック61)路面μの推定は、以下の方法で行う。
車輪スリップ率Sに対する路面摩擦係数μ(換言すれば、車輪の制駆動力)の変化特性は、高μ路では、例えば、図9(a)に実線で示すようになり、低μ路では、図9(a)に1点鎖線で示すようになることが知られている。何れの場合も、路面摩擦係数の最高値μmaxは異なるが、ほぼ同じような傾向を持った特性を呈する。上記の関係は、車輪スリップ率Sが図9(a)に示すように加速時におけるS≦Soの領域だけでなく、制動時におけるS≧−Soの領域においても、同様に成立することは周知の事実である。
そして、車輪スリップ率Sに対する路面摩擦係数μの変化特性がほぼ線形とみなせる車輪スリップ率So以下の領域の領域においては、車輪速と単位荷重当たりの制駆動力とで表記される図9(b)の2次元座標上に各車輪1〜4の車輪速VW1〜VW4と、単位荷重当たりの制駆動力F1〜F4との組み合わせを車輪毎にプロットすると、該プロットにより発生した4点は、図9(b)に実線で示すように、ほぼ同じ直線上の位置に配置される。そして、当該直線と上記2次元座標の車輪速(VW)軸とが交差する点における車輪速値が車体速Vxそのものであり、また、車輪速(VW)軸に対する上記直線の勾配が、図9(a)の横軸(車輪スリップ率S)に対する路面摩擦係数μの立ち上がり勾配に対応した車両のドライビングスティフネスkである。
ここで、図9(a)に示す実線特性および1点鎖線特性の比較から明らかなように、ドライビングスティフネスkと、路面摩擦係数の最高値μmaxとの間には、例えば、図9(c)に例示するような関係が成立し、そして、最高摩擦係数μmaxが路面の絶対的な滑り難さ(本明細書では、この絶対的な滑り難さも一般的な呼称であることから、路面摩擦係数μと称する。)を表すことから、図9(b)の車輪速(VW)軸に対する上記直線の勾配(ドライビングスティフネスk)から、路面の絶対的な滑り難さである路面摩擦係数μを推定することができる。
よって、実施例1においては、大きくスリップしておらず、前記線形領域にある車輪に関して、各車輪の車輪速VW1〜VW4および単位荷重当たりの制駆動力F1〜F4を求めると共に、これらの車輪速VW1〜VW4および単位荷重当たりの制駆動力F1〜F4の組み合わせを表す車輪毎の点を、図9(b)のごとき2次元座標上に表記し、これらの点を代表する直線を求め、上記の要領で車体速Vxおよび路面摩擦係数μを推定する。
[トラクション制御の背景技術について]
特開平6−229264号公報や特開平5−312061号公報等を含め、駆動輪に駆動スリップが発生したとき、当該駆動輪へ付与する駆動トルクを駆動スリップ状態に応じて調整するトルク低減制御を実施する車両用トラクション制御装置は、多数発表されている。
その車両用トラクション制御装置が、エンジンの駆動トルクを制御する方式を採用したものである場合、車両の低速走行時、特に発進時において以下の点が問題になることがある。
発進時には運転者が過度なアクセル操作を行った場合に生じる駆動スリップを低く抑えるためには、できるだけ早期にトラクション制御を開始することが望ましく、そのためにはスリップ基準値(スリップ目標値またはスリップ閾値、以下同様)を低い値に設定して、できるだけ早期に当該駆動スリップを検出する必要があり、特に、低車速時においては、エンジンやトランスミッション等の作動遅れ時間が大きいため、早期の駆動スリップの検出が駆動スリップを抑制する上で有効である。
しかし、低車速時にスリップ基準値を低く設定すると、駆動トルクを低下させすぎて、場合によってはエンジン回転数が極めて低くなってエンジン振動が大きくなる結果、運転フィーリングが良好にならず、さらに、エンジン回転数が低下し過ぎた場合、エンジンがストールしてしまう(エンストする)おそれがある。その結果、スリップ初期のスリップ基準値は高い値に設定する必要がある。
しかし、スリップ初期のスリップ基準値は高い値に設定すると、氷結路での転舵発進においては、FF車ではアンダーステアリングが発生し、FR車ではオーバーステアリングが発生するし、さらに、二次電池と駆動モータを用いた電気自動車等で、本制御を用いた場合には、発電機での発電が追いつかず、結果的に二次電池からの電力量の持ち出し量が多くなってしまい、大電流が発生するおそれがある。
上記問題を解決するため、特開昭60−104428号公報、特開昭62−265430号公報等が提案されており、これらには、車両の速度(車体速)が低いときに、スリップ基準値を高めに変更し、より多くの駆動スリップを許容するようにスリップ判定レベルを変更(よりスリップする判定方向)する技術が開示されている。
また、特開平5−312061号公報のように、駆動トルク調整手段による駆動トルク調整の開始以降に、スリップ基準値を当初設定した値より高い値に変更することで、運転フィーリング向上やエンジンストールを防止する技術が開示されている。しかし、これらの従来技術では、電力や電流について考慮されているわけではない。
一方、特開平10−304514号公報には、スリップ率ではなく、スリップ初期に応答性を向上させる技術(角加速度制御)が開示されている。この手法は、主にハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車等のように、駆動力を発生させるユニットとしてモータを用いた車両に適用されるケースが多い。
この技術の基本は、駆動輪の回転角速度の変化率(角加速度)が所定値以上のときに駆動スリップが発生すると予測し、モータトルクを低下させる構成となっている。この構成とすることにより、モータトルクの増加に伴って生じる駆動スリップを防止することができる。
ここで、駆動力を発生させるユニットとしてモータを用いたハイブリッド車において、駆動スリップの発生初期に高応答性にてスリップを抑制する「角加速度制御」が必要な理由について説明する。
仮にモータトラクション制御装置が無くて駆動スリップした場合には、エンジンの発電が追いつかず、モータはバッテリからどんどん電流を持ち出す。よって、モータ駆動回路に過電流が発生し、回路上の素子等にダメージを与えることになる。例えば、実施例1のパワーコントロールユニット3において、図5の矢印に示すように、コンデンサ3eを介して過電流が流れると、ジョイントボックス3aのヒューズや昇圧コンバータ3bのスイッチング回路がダメージを受けてしまう場合がある。しかも、ハイブリッド車や燃料電池車では、二次電池に対してモータ出力(モータ出力比)が大きければ大きいほど過電流が流れやすい。また、二次電池に対してエンジン、燃料電池の出力(エンジン出力比)が大きければ大きいほど過電圧、過電流が流れやすい。という関係がある。
したがって、確実に部品保護を図るためには、滑ったらトルク制限をかけるという「角加速度制御」により駆動スリップを応答良く収束させるモータトラクション制御が必要となる。
しかしながら、従来の「角加速度制御」にあっては、駆動スリップが生じやすい低μ路における部品保護を優先し、駆動スリップの発生が予測されると大きなモータトルクダウン量を与える構成としていた。このため、例えば、図10(a)に示すように、駆動スリップの発生により駆動輪車輪速が増大するとモータトルクが低減し、モータトルクの低減に伴って駆動輪車輪速も低下する。この駆動輪車輪速の低下は、最適スリップ量範囲(最適スリップ率範囲)を超えるものとなり、車体速レベルまで低下する。そして、駆動輪車輪速が車体速レベルまで低下するとモータトルクの増加が許容され、駆動輪車輪速は再び増大する再スリップ状況となり、駆動輪車輪速変動幅の大きなスリップ発生とスリップ収束の動作が繰り返される。
つまり、「角加速度制御」の場合、スリップ開始を早期に検知しトルクダウン制御に入ることで過電流の発生は防止できるものの、図10(b)に示すように、コーナリングパワーの高い最適スリップ量範囲に対し実制御範囲がスリップ量(スリップ率)が低い領域まで拡大しているため、車輪のポテンシャルを最大限まで使い切れていない。
よって、「角加速度制御」の場合、図11に示すように、部品保護は達成できるものの、駆動トルクの出力低下が大き過ぎて駆動輪車輪速が車両速度(車体速)に張り付くような場合、もたつきによる加速不良(スタンブル)が発生してしまうという問題がある。
また、「角加速度制御」の場合、図10および図11に示すように、駆動車輪においてスリップ発生(スリップ量大)とスリップ収束(スリップ量小)とが繰り返され車輪速回転が変動すると、その反力により車両前後Gが変動する前後Gハンチングが発生してしまうという問題がある。
[モータトラクション制御作用]
実施例1では、部品保護を達成する「角加速度制御」をベースとしながらも、「角加速度制御」にトルクダウン量が過剰になることを原因とするスタンブル発生の問題を解決する手法を組み込むことができないかという点に着目した。
その解決策として、実施例1のハイブリッド車のモータトラクション制御装置では、モータトラクション制御時、推定される路面摩擦係数μに応じて第1モータトルク下限値TM1minを設定し、実モータトルクが設定した第1モータトルク下限値TM1min以下にならないようにモータトルクを制御することで、モータトラクション制御時、確実にスタンブルの発生を防止し、車両の加速性を確保するようにした。
すなわち、駆動スリップが発生すると、図6のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れとなり、ステップS3において、駆動輪である前輪の角加速度ω’の大きさに応じてトルクダウン量が演算され、ステップS4において、要求モータトルクからトルクダウン量を差し引くことで目標モータトルクTM*が演算される。
そして、ステップS4から、ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS8へと進む流れとなり、ステップS6において、路面μ依存の第1モータトルク下限値TM1minが演算され、ステップS7において、目標モータトルクTM*と第1モータトルク下限値TM1minとのセレクトハイによりモータトルク指令値が選択され、ステップS8において、選択されたモータトルク指令値を得るトルク指令が出力される。
例えば、推定された路面μが氷結路での摩擦係数(第1設定値μ1)以下である場合には、図8に示すように、第1モータトルク下限値MT1minが一定の最低値MINにより与えられる。また、推定された路面摩擦係数μが氷結路での摩擦係数(第1設定値μ1)を超える場合には、図8に示すように、第1モータトルク下限値MT1minがμの値が高くなるほど比例的に大きくなる値により与えられる。
したがって、発進時や中間加速時等において、駆動スリップが発生し、大きなモータトルクダウン量により目標モータトルクTM*が第1モータトルク下限値TM1min未満になると、実モータトルクとして第1モータトルク下限値TM1minが選択されることになる。このため、図12(a)に示すように、駆動スリップの発生により駆動輪車輪速が増大するとモータトルクが低減するが、実モータトルクの低減は第1モータトルク下限値TM1minに制限されることで、駆動輪車輪速の低下幅が小さく抑えられる。このように駆動輪車輪速の低下が抑えられることで、駆動輪車輪速の最低車輪速が最適スリップ量範囲(最適スリップ率範囲)内に収まる。
つまり、従来例のように、実制御範囲がスリップ量(スリップ率)が低い領域まで拡大するのが抑えられ、図12(b)に示すように、実制御範囲は、最適スリップ量範囲を含む狭い範囲内に収まるため、スリップ収束域においては、車輪のポテンシャルを最大限まで使い切れることになる。よって、従来例のように、モータトルクの出力低下が大き過ぎて駆動輪車輪速が車両速度(車体速)に張り付くことでのスタンブルの発生が確実に防止され、加速性能が向上する。また、推定した路面μが氷結路相当以下になった時でも、氷結路相当以下にならないように、第1モータトルク下限値MT1minとして最低値MINが設定されることにより、路面μの推定や計測に誤差が生じても、ロバスト(堅牢)な制御を行うことができる。
以上説明したように、「角加速度制御」にモータトルク下限値を規定する本制御を組み込むことにより、ファーストスリップ後においては、図13に示すように、スタンブルが改善されて加速性が確保される。また、走行中において路面μが急激に切り替わっても、路面μに対応した第1モータトルク下限値MT1minの設定により、スタンブルが改善されて加速性が確保される。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両のモータトラクション制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 車輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、車輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、を備えた車両のモータトラクション制御装置において、路面摩擦係数相当値を推定する路面摩擦係数相当値推定手段を設け、前記モータトラクション制御手段は、モータトラクション制御時、前記路面摩擦係数相当値が高摩擦係数を示すほど大きな値となるモータトルク下限値を設定し、実モータトルクがモータトルク下限値以下にならないように制御するため、モータトラクション制御時、確実にスタンブルの発生を防止し、車両の加速性を確保することができる。
(2) 前記モータトラクション制御手段は、推定された路面摩擦係数μが第1設定値μ1(氷結路相当の摩擦係数)以下であると推定されたときでも、第1モータトルク下限値MT1minを氷結路相当の最低値MINを確保する値に設定するため、路面μの推定や計測に誤差が生じても、ロバスト(堅牢)な制御を行うことができる。
(3) 前記モータトラクション制御手段は、前記モータが連結された駆動車輪の角加速度ω’により駆動スリップを検出し、角加速度ω’が設定閾値を超えるとモータトルクダウン制御を行うため、「角加速度制御」による部品保護と、モータトルク下限値を規定することによるスタンブル発生防止と、の両立を図ることができる。
(4) 前記路面摩擦係数相当値推定手段は、各車輪の車輪速VW1〜VW4および単位荷重当たりの制駆動力F1〜F4を求め、これらの車輪速VW1〜VW4および単位荷重当たりの制駆動力F1〜F4の組み合わせを表す車輪毎の点を、2次元座標上に表記し、これらの点を代表する直線を求め、その勾配に基づき路面摩擦係数μを推定するため、モータトラクション制御で用いる路面摩擦係数情報として、高精度な路面摩擦係数情報を得ることができる。
実施例2は、スリップ率を適正範囲に保つモータトルクダウン制御を採用すると共に、駆動スリップ開始域においてパワーコントロールユニット3にて使用する電流値あるいは電力値を路面摩擦係数相当値とする例である。なお、実施例2の構成は、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
作用を説明すると、図14は実施例2の統合コントローラ6にて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS21では、図6のステップS1と同様に、アクセル開度や車速等により決められる要求駆動トルクからエンジン分担トルクを差し引いた要求モータトルクを算出し、ステップS22へ移行する。
ステップS22では、ステップS21での要求モータトルクの算出に続き、4輪の各車輪速センサ12,13,14,15からの車輪速情報に基づき、前輪のスリップ率ρを算出し、ステップS23へ移行する。
ここで、「スリップ率ρ」の算出は、左右後輪の平均車輪速を車体速Vbとし、左右前輪の平均車速を駆動輪速Vwとした場合、
ρ=(Vw−Vb)/Vw
の式により算出される。なお、このスリップ率ρに代え、駆動輪速Vwから車体速Vbを差し引いたスリップ量を用いても良い。
ステップS23では、ステップS22でのスリップ率ρの算出に続き、スリップ率ρの大きさに応じてトルクダウン量を演算し、ステップS24へ移行する。
ここで、トルクダウン量の演算は、例えば、図15に示すように、スリップ率ρが20%前後のTCS制御領域に入るようにトルクダウン量を与える。すなわち、スリップ率ρが大きくなると前後力の駆動力係数μdも横力Fyも共に減少する。特に横力Fyの減少は駆動輪の横滑り摩擦力を失わせ、操向安定性に悪影響を及ぼす。実施例2のモータトラクション制御は、このように走行安定性の低下を防止しつつ、駆動力を確保して加速性能を向上させるために、スリップ率ρを適正な範囲に制限する制御システムである。
ステップS24では、ステップS23でのトルクダウン量の演算に続き、ステップS21にて求めた要求モータトルクから、ステップS23で求めたトルクダウン量を差し引くことで目標モータトルクTM*を演算し、ステップS25へ移行する。
ステップS25では、ステップS24での目標モータトルクの演算に続き、強電ユニットであるパワーコントロールユニット3で使用する電流もしくは電力を演算し、ステップS26へ移行する(路面摩擦係数相当値推定手段)。
ここで、「パワーコントロールユニット3で使用する電流」は、例えば、図5のA部の電流値をモニタすることで得る。また、「パワーコントロールユニット3で使用する電力」は、例えば、駆動モータで使用する電力、発電機で使用する電力、エアコンで使用する電力、昇圧コンバータ3bで使用する電力等の総和で算出することができる。さらに、「パワーコントロールユニット3で使用する電力」の精度を向上させるために、各強電ユニットのロス分を考慮することなども考えられる。
ステップS26では、ステップS25でのパワーコントロールユニット3で使用する電流もしくは電力の演算に続き、電流(もしくは電力)に依存する第2モータトルク下限値MT2minを演算し、ステップS27へ移行する。
ここで、「第2モータトルク下限値MT2min」は、図16に示すように、電流(電力)量が大きくなるほど、つまり、低μ路であると推定されるほど、比例的に小さくなる値により第2モータトルク下限値MT2minを与える。
ステップS27では、ステップS26での第2モータトルク下限値MT2minの演算に続き、ステップS24にて求めた目標モータトルクTM*と、ステップS26にて求めた第2モータトルク下限値MT2minとのセレクトハイにより、モータトルク指令値を選択し、ステップS28へ移行する。
すなわち、目標モータトルクTM*が第2モータトルク下限値MT2minより大きな値である場合には、目標モータトルクTM*が選択されるが、目標モータトルクTM*が第2モータトルク下限値MT2minより小さな値である場合には、第2モータトルク下限値MT2minが選択されることになり、モータトルク指令値は、第2モータトルク下限値MT2minより低い値になることはない。
ステップS28では、ステップS27でのモータトルク指令値の選択に続き、選択したモータトルク指令値をモータコントローラ2へ出力し、リターンへ移行する。
[モータフリクション制御作用]
実施例2のハイブリッド車のモータトラクション制御装置では、モータトラクション制御時、パワーコントロールユニット3にて使用される電流もしくは電力に応じて第2モータトルク下限値TM2minを設定し、実モータトルクが設定した第2モータトルク下限値TM2min以下にならないようにモータトルクを制御することで、モータトラクション制御時、確実にスタンブルの発生を防止し、車両の加速性を確保するようにした。
この実施例2において、スリップ開始域でのパワーコントロールユニット3の電流値あるいは電力値を路面摩擦係数相当値とする理由を説明する。車輪の前後力と横力の許容限界を示すフリクションサークルで検討すると、低μ路であるほどフリクションサークルが小さく、フリクションサークルを超えるトルクが駆動輪に加わると許容限界を超えてスリップを生じる。言い換えると、低μ路であるほど駆動スリップ時に許容するトルクは小さいものとなる。したがって、スリップ開始域でのモータ電流値やモータ電力値が大きいほど、駆動スリップの発生勾配が急激であり、路面摩擦係数は低μであると推定することができるし、逆に、スリップ開始域でのモータ電流値やモータ電力値が小さいほど、駆動スリップの発生勾配が緩やかであり、路面摩擦係数が高μであると推定することができることによる。
加えて、パワーコントロールユニット3の部品保護を考えた場合、モータトルク下限値を規定する路面μ情報として、パワーコントロールユニット3の電流値あるいは電力値を用いるということは、結果的に、回路素子等にダメージを与える原因となる過電流を抑える制御を行うことになり、スタンブルの防止を達成するのに加え、パワーコントロールユニット3からの不必要な電力の持ち出しや過電流を防止することができる。なお、他の作用は実施例1と同様であるので説明を省略する。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両のモータトラクション制御装置にあっては、実施例1の(1),(2)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。
(5) 前記モータトラクション制御手段は、第2モータジェネレータMG2が連結された駆動車輪のスリップ率ρにより駆動スリップを検出し、スリップ率ρが車輪の路面グリップを確保する適正範囲に収まるようにモータトルクダウン制御を行うため、旋回安定性確保と加速性向上とを両立させたモータトラクション制御を達成することができる。
(6) 前記路面摩擦係数相当値推定手段は、駆動スリップ開始域においてパワーコントロールユニット3にて使用する電流値あるいは電力値を路面摩擦係数相当値とするため、パワーコントロールユニット3の電流や電圧をモニタするだけの簡単に方法により、モータトラクション制御で用いるのに精度の良い路面摩擦係数情報を得ることができると共に、パワーコントロールユニット3からの不必要な電力の持ち出しや過電流を防止することによる部品保護を達成することができる。
以上、本発明の車両のモータトラクション制御装置を実施例1および実施例2に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1,2では、路面摩擦係数相当値推定手段として、各車輪速および単位車輪荷重当たりの制駆動力の組み合わせを表す車輪毎の点を2次元座標上に表記し、これらの点を代表する直線を求めて路面摩擦係数を推定する手段、駆動スリップ中の制限されたモータトルク出力値を路面摩擦係数相当値とする手段、スリップ開始時のモータトルク出力値を路面摩擦係数相当値とする手段の例を示したが、路面摩擦係数相当値を推定する手段であれば、実施例1,2で示した以外の路面摩擦係数相当値推定手段を用いても良い。
例えば、
・スリップ中の制限されたモータトルク出力値を路面摩擦係数相当値とする手段
・スリップ開始時のモータトルク出力値を路面摩擦係数相当値とする手段
等を用いても良い。
実施例1,2では、モータトラクション制御手段として、「角加速度制御」と「スリップ率制御」の例を示したが、「角加速度制御」と「スリップ率制御」とを組み合わせてモータトラクション制御を行うものであっても良いし、さらに、スリップ量等を用いてモータトラクション制御を行うものであっても良い。要するに、モータトラクション制御手段としては、車輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させる制御であれば如何なる手段であっても含まれる。
実施例1,2では、1つのエンジンと2つのモータジェネレータと動力分割機構を備えたハイブリッド車への適用例を示したが、本発明のモータトラクション制御装置は、他のパワーユニット構造を備えたハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車やモータ4WD車等、要するに、車輪を駆動する動力源に少なくとも1つのモータが装備された車両であれば適用することができる。
実施例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車を示す全体システム図である。 実施例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車における駆動力性能特性図と駆動力概念図である。 実施例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車における回生協調による制動力性能をあらわす対比特性図である。 実施例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車における各車両モードを示す共線図である。 実施例1のハイブリッド車のモータ駆動制御系(バッテリ・パワーコントロールユニット・第1モータジェネレータ・第2モータジェネレータ)を示すブロック図である。 実施例1の統合コントローラにて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1でのモータトラクション制御で演算される角加速度に応じたトルクダウン量の特性の一例を示す図である。 実施例1でのモータトラクション制御で演算される推定された路面μに対する第1モータトルク下限値の特性図である。 実施例1の路面摩擦係数の推定方法を説明するための路面摩擦係数特性・単位車輪荷重当たりの制駆動力特性・最高摩擦係数特性を示す図である。 従来の角加速度制御での駆動輪車輪速特性と車体速特性とコーナリングパワー特性を示す図である。 従来の角加速度に基づくモータトラクションコントロールを用いた場合のアクセル開度・車両速度・駆動輪車速の各特性を示すタイムチャートである。 実施例1でのモータトラクション制御での駆動輪車輪速特性と車体速特性とコーナリングパワー特性を示す図である。 従来例のモータトラクション制御(改善前)と実施例1でのモータトラクション制御(改善後)でのモータトルクと駆動輪車輪速との比較タイムチャートである。 実施例2の統合コントローラにて実行されるモータトラクション制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例2のモータトラクション制御であるスリップ率制御においてTCS制御領域を示す特性図である。 実施例2でのモータトラクション制御で演算される電流(電力)量に対する第2モータトルク下限値の特性図である。
符号の説明
E エンジン
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ(モータ)
OS 出力スプロケット)
TM 動力分割機構
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 パワーコントロールユニット
4 バッテリ
5 ブレーキコントローラ
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 前左車輪速センサ
13 前右車輪速センサ
14 後左車輪速センサ
15 後右車輪速センサ
16 操舵角センサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 ブレーキストロークセンサ
19 ブレーキ液圧ユニット
20 前左車輪ホイールシリンダ
21 前右車輪ホイールシリンダ
22 後左車輪ホイールシリンダ
23 後右車輪ホイールシリンダ

Claims (6)

  1. 車輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、車輪の駆動スリップを検出し、モータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、を備えた車両のモータトラクション制御装置において、
    路面摩擦係数相当値を推定する路面摩擦係数相当値推定手段を設け、
    前記モータトラクション制御手段は、モータモータトラクション制御時、前記路面摩擦係数相当値が高摩擦係数を示すほど大きな値となるモータトルク下限値を設定し、実モータトルクがモータトルク下限値以下にならないように制御することを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  2. 請求項1に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、前記路面摩擦係数相当値が氷結路路相当での摩擦係数以下であると推定されたときでも、モータトルク下限値を氷結路相当の最低値を確保する値に設定することを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、前記モータが連結された駆動車輪の角加速度により駆動スリップを検出し、角加速度が設定閾値を超えるとモータトルクダウン制御を行うことを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記路面摩擦係数相当値推定手段は、各車輪速および単位車輪荷重当たりの制駆動力の組み合わせを表す車輪毎の点を2次元座標上に表記し、これらの点を代表する直線を求めて路面摩擦係数を推定することを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  5. 請求項1または請求項2に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記モータトラクション制御手段は、前記モータが連結された駆動車輪のスリップ率により駆動スリップを検出し、スリップ率が車輪の路面グリップを確保する適正範囲に収まるようにモータトルクダウン制御を行うことを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
  6. 請求項1乃至3の何れか1項に記載された車両のモータトラクション制御装置において、
    前記路面摩擦係数相当値推定手段は、駆動スリップ開始域においてモータ強電ユニットにて使用する電流値あるいは電力値を路面摩擦係数相当値とすることを特徴とする車両のモータトラクション制御装置。
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