以下、図面を参照しながら、本発明に係る液体供給装置、液体供給方法、液体塗布装置および画像形成システムの実施形態について説明をする。本発明は特に、液体供給装置および液体供給方法において主な特徴を備える。本発明は、処理剤を含む液体(処理液)を用いた所定の処理を実施できるように当該処理液を貯留する液体貯留部に処理液を送液するタイミングと、液体貯留部に送液する処理液を保持するタンクに処理液を補充するタイミングとを同期させるように制御することを要旨の一つとする。液体貯留部に対する処理液の送液のタイミングとタンクの処理液を補充するタイミングを同期させることで、処理液が空気に触れる時間を短縮することができ、当該処理液の劣化を防ぐことができる。
以下、本発明の実施形態の説明において、上記の特徴を有する液体供給装置を備える液体塗布装置を前処理装置とし、前処理装置の後段に画像形成装置を配置する画像形成システムを例に用いる。
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1000の概略構成図である。画像形成システム1000は、ロール状になっているシート状の素材(シート材)を記録媒体とし、当該記録媒体にインクなどを付着させることで、記録媒体上に画像を形成する。本実施形態は、画像が形成される前の記録媒体に、処理液を付着させる処理(前処理)を実行することで、画像の品質を維持・向上させることを目的とするものである。なお、前処理に用いるような素材を適宜供給する構成を備えるものであれば、適用対象を画像形成システムに限るものではない。例えば、平面に画像を形成するものではなく、立体物を形成するものであってインクではなく造形材を支持部材に付着させて像を形成する造形システムにおいて、像の形成における前処理に用いる素材を供給するものであってもよい。
図1に示す画像形成システム1000は、給シート装置100、前処理装置200、画像形成装置300、後処理装置400、及び巻取装置500を備えている。
給シート装置100は、シート材をロール状に巻いた連続シート101を記録媒体として供給する装置であって、連続シート101を保持して前処理装置200に対して排出する機能を備える。
前処理装置200は、画像形成装置300で連続シート101に付着されるインクなどの像形成材における滲みや裏写りを防止する目的で用いられる前処理剤を含む液体(処理液)を連続シート101に塗布して乾燥させる装置である。
画像形成装置300は、塗布された処理液が乾燥した後の連続シート101に対してインクなどを付着させて画像を形成する画像形成出力を実行し、画像が形成された連続シート101を排出する。画像形成装置300は、例えば、インクジェット記録装置からなるインクジェットプリンタである。
後処理装置400は、画像形成装置300から排出された連続シート101に対して後処理を行う。
巻取装置500は、後処理後の連続シート101をロール状に巻き取る。巻取装置500が連続シート101をロール状に巻き取ることで、連続シート101に張力が加わり、連続シート101が給シート装置100から巻取装置500に向かって搬送される。以下、連続シート101の搬送方向において、給シート装置100に近い側を上流、巻取装置500に近い側を下流と称する。
画像形成システム1000において、給シート装置100、前処理装置200、画像形成装置300、後処理装置400、及び巻取装置500は、連続シート101への画像形成処理に応じて接続順序を変更してもよい。また、一部の装置を選択して接続させてもよい。例えば、後処理装置400を製本、折り、又は切断処理を実行する装置とする場合には、画像形成装置300の下流に巻取装置500を接続し、その巻取装置500の下流に後処理装置400を接続してもよい。また、前処理が不要な連続シート101を用いる場合、または、前処理後の連続シート101を巻き取ったロールを給シート装置100にセットした場合には、給シート装置100の下流に前処理装置200ではなく、画像形成装置300を接続してもよい。
画像形成システム1000の全体の統括的な処理は、例えば、画像形成装置300が備えるコントローラが行う。この場合、給シート装置100、前処理装置200、後処理装置400及び巻取装置500は、画像形成装置300の外部接続装置とみなせる。
また、画像形成システム1000に含まれる給シート装置100、前処理装置200、後処理装置400、巻取装置500のそれぞれも、後述するとおり、情報処理を実行可能なハードウェアを備える。また、各装置は、それぞれ特有の機能を実行するエンジン部分を構成するハードウェアも有している。例えば、画像形成装置300の動作状態を前処理装置200が検知して、前処理装置200が備える特有の機能を実行することもできる。すなわち、画像形成システム1000は、画像形成装置300からの指令を受けて、その他の装置がそれぞれの動作を実行する構成でもよいし、各装置特有の動作を各装置が独自に実行する構成でもよい。
次に、画像形成装置300のハードウェア構成について図2を用いて例示し、画像形成システム1000が備える各装置のハードウェア構成の説明をする。なお、図2に例示したハードウェア構成は、画像形成システム1000の統括処理を行う画像形成装置300のものである。以下、画像形成装置300のハードウェア構成について説明するが、他の装置(給シート装置100、後処理装置400、巻取装置500)においても、同様のハードウェア構成を備えるものとする。
図2に示すように、本実施形態に係る画像形成装置300は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理装置と同様の構成を含み、画像形成を実行するエンジンを備える。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置300は、CPU(Central Processing Unit)301、RAM(Random Access Memory)302、ROM(ReA/D Only Memory)303、エンジン304、HDD(Hard Disk Drive)305及びI/F306がバス309を介して接続されている。また、I/F306にはLCD(Liquid Crystal Display)307及び操作部308が接続されている。さらに、I/F306を介して画像形成装置300に接続される他の外部接続装置との信号の送受信を行う。
CPU301は演算手段であり、画像形成装置300全体の動作を制御する。RAM302は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記録媒体であり、CPU301が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM303は、読み出し専用の不揮発性記録媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン304は、画像形成装置300において実際に画像形成処理を実行する機構である。
HDD305は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記録媒体である。HDD305には、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F306は、バス309と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD307は、ユーザが画像形成システム1000の状態を確認するための視覚的ユーザインターフェースである。操作部308は、キーボードやマウス等、ユーザが画像形成システム1000に情報を入力するためのユーザインターフェースである。
上記にて例示したハードウェア構成において、ROM303やHDD305若しくは光学ディスク等の外部記録媒体に格納されたプログラムがRAM302に読み出され、CPU301の制御に従って動作する。この動作により、画像形成装置300におけるソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、画像形成装置300の機能を実現するディスプレイパネル37が構成される。なお、画像形成装置300と同様のハードウェア構成を備える給シート装置100、後処理装置400、巻取装置500においても、同様に構成されるソフトウェア制御部とハードウェアとの組み合わせによってディスプレイパネル37が構成されてもよい。
次に、前処理装置200のハードウェア構成について図13を用いて説明する。図2に示した画像形成装置300のものとほぼ同等であるが、前処理装置は、LCD307,操作部308に相当する構成は備えない。
図13に示すように、本実施形態に係る前処理装置200は、一般的なサーバやPC(Personal Computer)等の情報処理装置と同様の構成を含み、画像形成を実行するエンジンを備える。すなわち、前処理装置200は、CPU201、RAM202、ROM203、エンジン204、HDD205及びI/F206がバス209を介して接続されている。また、I/F206を介して前処理装置200に接続される他の外部接続装置との信号の送受信を行う。
CPU201は演算手段であり、前処理装置200全体の動作を制御する。RAM202は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記録媒体であり、CPU201が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM203は、読み出し専用の不揮発性記録媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。エンジン204は、前処理装置200において実際に画像形成処理を実行する機構である。
HDD205は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記録媒体である。HDD205には、OSや各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納されている。I/F206は、バス209と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。
上記にて例示したハードウェア構成において、ROM203やHDD205若しくは光学ディスク等の外部記録媒体に格納されたプログラムがRAM202に読み出され、CPU201の制御に従って動作する。この動作により、前処理装置200におけるソフトウェア制御部が構成される。
次に、画像形成システム1000において中心的な機能を提供する画像形成装置300の機能構成について詳細に説明する。図3は、画像形成装置300の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置300は、コントローラ30、ディスプレイパネル37、給紙機構38、プリントエンジン39、排紙機構40及び外部接続装置I/F36を有する。なお、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、記録媒体である連続シート101の流れを破線の矢印で示している。
ディスプレイパネル37は、画像形成装置300の状態を視覚的に表示する出力インターフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像形成システム1000を直接操作し若しくは画像形成装置300に対して情報を入力する際の入力インターフェース(操作部)でもある。
外部接続装置I/F36は、ネットワークや機器間接続ケーブルを介して他の機器と通信するためのインターフェースであり、Ethernet(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)インターフェースが用いられる。
コントローラ30は、主制御部31、エンジン制御部32、画像処理部33、操作表示制御部34及び入出力制御部35を有する。コントローラ30は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせによって構成される。 具体的には、ROM303や不揮発性メモリ並びにHDD305や光学ディスク等の不揮発性記録媒体に格納されたファームウェア等の制御プログラムが、RAM302等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、CPU301の制御に従って構成されるソフトウェア制御部と集積回路などのハードウェアとによってコントローラ30が構成される。コントローラ30は、画像形成システム1000全体を制御する制御部として機能する。
主制御部31は、コントローラ30に含まれる各部を制御する役割を担う。主制御部31は、コントローラ30における各部に命令を与える。エンジン制御部32は、プリントエンジン39の制御若しくは駆動する駆動手段としての役割を担う。
入出力制御部35は、外部接続装置I/F36を介して入力される信号や命令を主制御部31に入力する。また、主制御部31は、入出力制御部35を制御し、外部接続装置I/F36を介して他の機器(給シート装置100、前処理装置200、後処理装置400、巻取装置500、印刷ジョブ送信装置など)にアクセスする。
画像処理部33は、主制御部31の制御に従い、入力された印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成する。この描画情報とは、画像形成部であるプリントエンジン39が画像形成動作において形成すべき画像を描画するための情報である。操作表示制御部34は、ディスプレイパネル37に情報表示を行い若しくはディスプレイパネル37を介して入力された情報を主制御部31に通知する。
画像形成システム1000は、まず、入出力制御部35が外部接続装置I/F36を介して、画像形成処理の実行を指示する印刷ジョブを受信する。入出力制御部35は、受信した印刷ジョブを主制御部31に転送する。主制御部31は、印刷ジョブを受信すると、画像処理部33を制御して、印刷ジョブに含まれる印刷情報に基づいて描画情報を生成させる。
画像処理部33によって描画情報が生成されると、エンジン制御部32は、生成された描画情報に基づき、給紙機構38から搬送される連続シート101に対して画像形成を実行する。プリントエンジン39によって画像形成が施された連続シート101は、排紙機構40により画像形成装置300の後段に排出される。
次に、図4を参照して前処理装置200の概要について説明する。図4は、図1に示した前処理装置200の内部構成を説明する図である。図4に示すように、前処理装置200は、連続シート101の表面に画像を形成する材料となるインクの凝集を速めるための処理液を塗布する液体塗布装置である。処理液は、連続シート101の表面と裏面のそれぞれに塗布される。したがって、前処理装置200は、表面における処理液の塗布を担当する表面塗布装置220と、裏面における処理液の塗布を担当する裏面塗布装置230と、を備える。また、前処理装置200は、表面塗布装置220および裏面塗布装置230のそれぞれに対して処理液を供給するとともに、塗布動作をしないときには処理液を退避させる液体供給装置600を備える。液体供給装置600の詳細については後述する。
図4に示すように、前処理装置200は、複数の搬送ローラを含む搬送装置により形成される搬送経路を備える。この搬送経路によって、連続シート101は前処理装置200の内部において所定の方向に搬送される。前処理装置200が備える搬送装置は、2個の駆動ローラ211と、連続シート101に当接して連続シート101の搬送方向に回転する11個の従動ローラ212と、駆動ローラ211を回転駆動する駆動装置と、を含む。これら駆動ローラ211と従動ローラ212が、前処理装置200内に搬送経路を形成する。連続シート101は、この搬送経路上を給シート装置100から画像形成装置300に向かって搬送される。前処理装置200内において、表面塗布装置220は、搬送経路に沿って上流側に配置され、裏面塗布装置230は下流側に配置される。
表面塗布装置220は、表面塗布ローラ221と、表面スクイーズローラ222と、表面加圧ローラ223と、表面液体供給パン224と、によって構成され、処理液を塗布可能な状態で貯留する。表面塗布ローラ221は円筒状の部材であって、この表面塗布ローラ221に表面スクイーズローラ222が処理液を薄膜化して転写する。表面加圧ローラ223は、表面塗布ローラ221と表面スクイーズローラ222の間に連続シート101を挟み加圧状態を維持する。表面液体供給パン224は、表面スクイーズローラ222の下部に処理液を貯留する液体貯留部を構成する。表面スクイーズローラ222は表面液体供給パン224内に貯留されている処理液に接していて、回転することで処理液を引き上げ、表面塗布ローラ221に処理液を付着させる。
表面塗布装置220によって表面に処理液が塗布された連続シート101は、その後、搬送経路上に配置された裏面塗布装置230において裏面にも処理液が塗布される。
裏面塗布装置230は、表面塗布装置220と同様の構成を備えていて、裏面塗布ローラ231と、裏面スクイーズローラ232と、裏面加圧ローラ233と、液体貯留部を構成する裏面液体供給パン234と、によって構成される。表面塗布装置220と同様に、処理液を塗布可能な状態で貯留する。表面塗布装置220および裏面塗布装置230は、前処理装置200から取外し可能になっている。
表面塗布装置220および裏面塗布装置230は、それぞれ、液体供給装置600と連結されていて、表面液体供給パン224と裏面液体供給パン234には、液体供給装置600から処理液が供給される。
次に、図5を参照しながら液体供給装置600について説明する。図5は、液体供給装置600の概略構成図である。液体供給装置600は、前処理装置200の内部を搬送される連続シート101の表面と裏面の全体に処理液が塗布されるように、表面塗布装置220および裏面塗布装置230に処理液を送液して、表面液体供給パン224と裏面液体供給パン234に処理液を適宜供給する機能を備える。
液体供給装置600は、表面液体供給パン224と裏面液体供給パン234に処理液を供給する構成として、第一タンクであるサブタンク640と、第二タンクであるメインタンク680と、メインタンク680からサブタンク640に処理液を送液する第二ポンプであるサブポンプ660と、サブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に処理液を送液する第一ポンプであるメインポンプ610と、を備える。
液体供給装置600は、後述する各電磁弁の開閉動作や、メインポンプ610およびサブポンプ660の動作を制御する制御部60を備える。制御部60は、各電磁弁やメインポンプ610等など制御部60による制御対象となる構成と電気的に接続される。なお、図5では説明の便宜上、制御部60の電気的な接続関係を示す記載を省略してある。
サブタンク640は、内部の機密性を非常に高く維持する構造を備えるものであり、サブタンク640に保持される処理液の状態を新品時のまま維持できる。したがって、サブタンク640から処理液を出すとき(送液するとき)や、サブタンク640に処理液を入れるとき(補充するとき)、いずれにおいても、サブタンク640の内部が大気と連通する状態にしなければならない。そこでサブタンク640には、内部と外部との間に空気の流路を形成する空気流路fと、空気流路fを開放または閉塞する弁である空気開放電磁弁650とが設けられている。
メインタンク680には、サブタンク640に補充するための処理液を保持する。メインタンク680に保持される処理液は、表面塗布装置220と裏面塗布装置230に供給される処理液と同じものである。サブタンク640には、メインタンク680からあらかじめ一定量の処理液を送液しておく。
液体供給装置600は、処理液を移動させるための経路である複数の供給経路を備えている。液体供給装置600の供給経路と、供給経路を開閉する弁と、処理液を移動させる動力となるポンプと、を組み合わせて処理液の供給部が構成される。
メインポンプ610と、サブタンク640からメインポンプ610までの供給経路cと、供給経路cを開閉するための電磁弁630と、メインポンプ610から表面液体供給パン224へ送られる処理液の流路となる供給経路aと、供給経路aを開閉するための電磁弁611と、メインポンプ610から裏面液体供給パン234へ送られる処理液の流路となる供給経路bと、供給経路bを開閉するための電磁弁612と、を組み合わせて第一供給部が構成される。
また、サブポンプ660と、メインタンク680からサブポンプ660までの供給経路eと、供給経路eを開閉するための電磁弁670と、サブポンプ660からサブタンク640までの供給経路dと、によって第二供給部が構成される。
表面液体供給パン224や裏面液体供給パン234には、内部に保持する処理液の液面の位置を検知するための液面センサ240が、それぞれにおいて、複数箇所に設置されている。この液面センサ240は、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の重力方向において、所定の間隔を空けた少なくとも三箇所の異なる位置に設置されている。例えば、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の最上位置にまで処理液が貯留されていることを検知するための上段液面センサ241と、連続シート101への塗布により処理液が減少してきたことを検知するための中段液面センサ242と、最下位置においても処理液が貯留されていないことを検知するための下段液面センサ243と、が設置されている。
液面センサ240は、例えば、その位置に処理液の液面が達しているときは検知信号を出力し続け、処理液を検知しないときは検知信号の出力を停止する構造を備える。図5に例示するように、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の中段に設置されている中段液面センサ242よりも上方に処理液の液面があるときは、中段液面センサ242と下段液面センサ243から検出信号が出力される。中段液面センサ242よりも下方に処理液の液面があるときは、中段液面センサ242からは検出信号が出力されないが下段液面センサ243から検出信号が出力される。この状態になったときに、サブタンク640からの処理液の送液を開始すればよい。したがって、中段液面センサ242からの検出信号の有無によって、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234にサブタンク640からの処理液の供給タイミングを判定することができる。
表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234にサブタンク640から送液すると、サブタンク640に保持している処理液が減少する。そこで、サブタンク640が保持している処理液が空になる前に補充することができるように、メインタンク680からサブタンク640への処理液の補充タイミングを制御する必要がある。サブタンク640には、表面液体供給パン224や裏面液体供給パン234とは異なり、最上段位置と最下段位置の二箇所のみにタンク上段液面センサ641とタンク下段液面センサ643が設置されている。すなわち、中段位置にはセンサは設置されない。タンク上段液面センサ641とタンク下段液面センサ643も上段液面センサ241や下段液面センサ243と同様に、その位置に処理液が達しているときは検知信号を出力し続け、処理液を検知しないときは検知信号の出力を停止する構造を備える。
以上の構成を備える液体供給装置600において、電磁弁630を開放し、メインポンプ610を動作させて、かつ、空気開放電磁弁650を開放して、サブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に処理液を送液する動作を第一供給動作とする。すなわち、第一供給部における処理液の供給動作(送液)を液体供給装置600における第一供給動作とする。
また、電磁弁670を開放しサブポンプ660を動作させて、かつ、空気開放電磁弁650を開放して、メインタンク680からサブタンク640に処理液を送液する動作を第二供給動作とする。すなわち、第二供給部における処理液の供給動作(送液)を液体供給装置600における第二供給動作とする。
なお、液体供給装置600は、上記にて説明した構成、および動作の他に、処理液を一時的に貯蔵しておくリザーブタンク690と、連続シート101に処理液を塗布しているときに、表面液体供給パン224と裏面液体供給パン234の処理液に含まれる異物を除去するためのフィルタ692と、を備える。
リザーブタンク690とフィルタ692につながる経路として、表面液体供給パン224からリザーブタンク690及びフィルタ692へつながる退避/循環経路gと、裏面液体供給パン234からリザーブタンク690とフィルタ692につながる退避/循環経路hと、フィルタ692からメインポンプ610につながる循環経路iと、を備える。
また、退避/循環経路gにおいて、リザーブタンク690側の退避経路を開閉するための電磁弁693およびフィルタ692側の循環経路を開閉するための電磁弁694と、退避/循環経路hにおいて、リザーブタンク690側の退避経路を開閉するための電磁弁695およびフィルタ692側の循環経路を開閉するための電磁弁696と、を備える。
供給経路cと循環経路iの接合部には電磁弁613が設置されており、電磁弁613を開放することによりメインポンプ610とサブタンク640をつなぐ供給経路cが開通する。また、電磁弁613を閉塞することによりメインポンプ610とフィルタ692をつなぐ循環経路iが開通する。
さらに、処理液を廃棄するための廃液タンク691と、リザーブタンク690から廃液タンク691につながる廃液経路jと、廃液経路jを開閉する電磁弁697と、を備える。
表面液体供給パン224は、表面塗布ローラ221と表面スクイーズローラ222を覆うように形成されていて、貯留している処理液の蒸発を防ぎ、当該処理液が空気に触れることによる劣化を抑える形状になっている。また、裏面液体供給パン234は、裏面塗布ローラ231と裏面スクイーズローラ232を覆うように形成されていて、貯留している処理液の蒸発を防ぎ、当該処理液が空気に触れることによる劣化を抑える形状になっている。
なお、表面塗布ローラ221と表面加圧ローラ223、裏面塗布ローラ231と裏面加圧ローラ233、をそれぞれの圧接部は開口しておく必要がある。したがって、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234は、それぞれ、完全な密閉系にはなっていない。そこで、液体供給装置600は、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234よりも気密性の高いリザーブタンク690を設けている。
リザーブタンク690は、処理液が消費される画像形成動作が一定時間停止した場合、また、画像形成装置300や前処理装置200の動作電源がOFFになった場合などにおいて、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に貯留されている処理液を、一旦退避させるタンクである。
リザーブタンク690への処理液の退避は、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234のそれぞれと、リザーブタンク690との水頭差を利用する。このため、液体供給装置600において、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234は、リザーブタンク690の液面の位置よりも高くなるように、リザーブタンク690、表面塗布装置220及び裏面塗布装置230が配置されている。退避/循環経路g及び退避/循環経路hの電磁弁693と電磁弁695を開放することで水頭差により処理液をリザーブタンク690に退避させるように構成されている。
リザーブタンク690によって、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に貯留されている処理液の劣化を抑えることができる。
次に、液体供給装置600の動作の例について説明する。まず、前処理装置200や画像形成装置300の動作電源がONになったとき、および、これらの動作を一定時間停止していたときに、画像形成システム1000が動作を再開する例について説明する。画像形成システム1000が一定時間停止すると、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の内部の処理液は、リザーブタンク690に退避した状態になる。したがって、動作を再開するときには、まず、メインポンプ610を駆動して、サブタンク640に保持されている処理液を表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に送液する必要がある。
すでに説明したとおり、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234には液面の位置(すなわち貯留している液量レベル)を把握できるように、数段階のレベルに分けて処理液を認識する液面センサ240が設けられている。表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の最上段のレベルに設けられている上段液面センサ241が処理液を検知しているときはメインポンプ610の動作を停止し、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の送液を停止する。
メインポンプ610の動作により、処理液が表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に送液されると、サブタンク640が保持している処理液は減少する。これによって、サブタンク640の最上段に設置されているタンク上段液面センサ641が検知信号の出力を停止する。これを契機にして、第二供給動作を開始すれば、メインタンク680からサブタンク640に処理液が送液される。
以上が前処理装置200や画像形成装置300の動作電源がONになったとき、および一定時間動作を停止していた後の表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給動作である。本動作は、画像形成装置300が画像形成処理を実施していないとき(非印刷中)に実施される。表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234における処理液の貯留量とサブタンク640における処理液の保持量が最上段レベル以上になった時点で画像形成装置300が画像形成処理を実施できる状態になる。
次に、液体供給装置600の動作の別の例として、画像形成装置300において画像形成処理が実施されているとき、すなわち、前処理装置200において処理液が経時的に消費されているときについて説明する。すでに説明したとおり、画像形成処理が開始される時点では、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に貯留されている処理液の液面の位置、およびサブタンク640の保持されている処理液の液面の位置、それぞれは最上段位置にある。しかし、画像形成処理の実施にともなって、連続シート101に処理液が塗布されて次第に消費されると、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に貯留されている処理液の量は減少して、液面の位置が下がる。
例えば、図5に示すように、中段位置に設置されている中段液面センサ242が検知信号を出力しなくなった場合、これを契機として、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に処理液を供給するための第一供給動作を開始する。すなわち、メインポンプ610を駆動して、処理液を送液し、最上段位置に配置されている上段液面センサ241が処理液を検知する状態になるまで(検知信号を出力するまで),第一供給動作を続けるように制御する。なお、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の最下段に設置されている下段液面センサ243は、通常は非検知にならないセンサであって、供給系の異常などにより、処理液が正常に供給されないことを検知するために用いられる。
また、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234にサブタンク640から処理液が供給されると、サブタンク640が保持する処理液も減少する。したがって、サブタンク640への処理液の供給動作が必要となる。本実施形態に係る液体供給装置600は、最上段に設置されているタンク上段液面センサ641が検出信号を出力しなくなったことを契機とするのではなく、メインポンプ610の駆動時間に基づいて第二供給動作を開始する。サブポンプ660を動作させて、最上段位置に配置されているタンク上段液面センサ641が検知信号を出力するまで第二供給動作を続けるように制御する。
なお、サブタンク640に設置されるタンク下段液面センサ643も、通常は非検知にならないセンサであって、なんらかの異常により、メインタンク680からサブタンク640に処理液が供給されないことを検知するために用いられる。
液体供給装置600では、サブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の送液時と、メインタンク680からサブタンク640への処理液の送液時において、サブタンク640の上部の空気流路fを開放する。空気流路fを開放すると、サブタンク640に保持されている処理液が大気に触れるので、処理液が劣化する。したがって、空気流路fの開放時間はできるだけ短くする必要がある。そこで、液体供給装置600では、前処理装置200が動作して処理液が消費される状態において、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給動作である第一供給動作と、サブタンク640への処理液の供給動作である第二供給動作の開始タイミングを同期させように制御する。すなわち、メインポンプ610と、サブポンプ660と、空気開放電磁弁650と、の動作タイミングを、所定の条件に基づいて同期するように制御する。
液体供給装置600の処理液供給動作について、より詳しく説明する。まず、サブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給動作(第一供給動作)の時間、すなわち、メインポンプ610の動作時間を累積して保持しておく。この動作時間が所定時間T1を経過する度に、メインタンク680からサブタンク640への処理液の供給動作(第二供給動作)を実施可能な状態として管理する。さらに、第二供給動作を開始するタイミングとして、所定時間T1が経過した後、かつ、次に第一供給動作が開始されるタイミングに同期させる。言い換えると、メインポンプ610の動作時間の累積時間が所定時間T1を経過した後において、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の一方または両方の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなったとき、メインポンプ610の動作開始と同時にサブポンプ660を動作させ、さらに、空気開放電磁弁650を動作させて空気流路fを開放する。
これによって、単位時間当たりのメインポンプ610及びサブポンプ660の動作時間が長くなることを極力防止し、空気開放電磁弁650が開放され続ける時間を短くすることができる。すなわち、サブタンク640内の処理液が大気に触れる時間を従来例に比べて短縮することができる。これによって、従来例に比べて、処理液の劣化を防止でき、さらには印刷品質の低下を防止することができる。
次に、上記の供給動作を制御する制御部60の構成について、図6を参照しながら説明する。制御部60は、動作状態判定部61と、累積時間判定部62と、供給処理部63と、開閉弁制御部64と、サブタンク供給処理部65と、動作時間累積処理部66と、メインポンプ制御部67と、サブポンプ制御部68と、を含む。制御部60の上記構成要素は、図13に示したハードウェアと、上記構成要素の機能を実現するためのソフトウェアとが協働して構成される機能ブロックである。なお、供給動作を制御する制御部60における処理動作は、画像形成装置300が備えるコントローラ30において実行されてもよい。
動作状態判定部61は、前処理装置200や画像形成装置300の動作状態を判定する処理を実行する。前処理装置200は、画像形成システム1000において画像形成装置300が画像形成処理を実行しているときに、記録媒体である連続シート101に処理液を塗布して搬送する動作を実行する。すなわち、動作状態判定部61は、前処理装置200や画像形成装置300が動作状態にあるか(電源が投入されているか)、画像形成動作が実行中であるか、または、前処理装置200や画像形成装置300の動作停止時間が一定時間を超えているか等を判断する。
累積時間判定部62は、動作時間累積処理部66において算出されたメインポンプ610の累積時間が所定の閾値(所定時間T1)を超えるか否かを判定し、累積時間が所定時間T1を超えるときには、その旨を示すフラグとなる情報(動作開始フラグ情報)を保持する処理を実行する。
供給処理部63は、サブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給動作を制御する。より詳しくは、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に設置されている液面センサ240の検知信号に基づいて、メインポンプ610を動作させるか否かの判定処理を行う。また、供給処理部63は、開閉弁制御部64に対して、空気開放電磁弁650の開閉を行うための指示を通知する。
開閉弁制御部64は、各電磁弁の開放と閉塞を制御する。開閉弁制御部64は、例えば、供給処理部63とサブタンク供給処理部65による各ポンプへの指示に基づいて、サブタンク640の上部に設けられている空気開放電磁弁650を開放させる。
サブタンク供給処理部65は、メインタンク680からサブタンク640への処理液の供給処理を制御する。より詳しくは、累積時間判定部62における動作開始フラグ情報と、供給処理部63における供給処理の開始タイミングに基づいて、サブポンプ660を動作させか否かの判定処理を行う。
動作時間累積処理部66は、メインポンプ610の累積時間を算出し保持する。また、動作時間累積処理部66は、サブポンプ制御部68がサブポンプ660を動作させたときは、累積時間をリセットする。
メインポンプ制御部67は、供給処理部63における判定結果に基づいて、メインポンプ610の動作を制御する。
サブポンプ制御部68は、サブタンク供給処理部65における判定結果に基づいて、サブポンプ660の動作を制御する。
次に、液体供給装置600において実行可能な液体供給方法の例について説明する。液体供給装置600による液体供給方法と対比するために、まず、従来の装置による液体供給方法について、図7のフローチャートを用いて説明する。従来の液体供給装置が備えるタンク(サブタンク640に相当する小容量のタンク)には、液体供給装置600のサブタンク640とは異なり、処理液の液面を検知するセンサが最上段と最下段の間に少なくとも一個設けられている。すなわち、従来の液体供給装置は、小容量のタンクにおける処理液の残量の検出や、処理液の補充を独自のタイミングで行う構成を備えるものとする。
図7は、従来の液体供給方法の例であって、画像形成装置による画像形成処理が実行されている最中に、小容量のタンクへの処理液の供給動作(サブタンク供給動作)を行う流れを説明するフローチャートである。まず、処理液の供給が必要になる状態であるか否かを判定するために、当該装置が連動する画像形成装置などの動作が停止しているか否かの判定を行う(S701)。S701において、動作停止中と判定された場合(S701/YES)、サブタンク供給動作を終了する。
S701において、動作中と判断された場合(S701/NO)、小容量のタンクの中段位置に設置されているセンサが処理液を検知しているか否かの判定をする(S702)。S702において、センサが処理液を検知している場合(S702/YES)、S701に処理を戻す。
S702において、センサが処理液を検知していない場合(S702/NO)、小容量のタンクへの処理液の供給(サブタンク供給)を開始する(S703)。S703において、小容量のタンクへ処理液を送液するためのポンプ(サブポンプ)を駆動する。S703においてサブポンプを駆動すると同時に、小容量のタンクからの処理液の送液を行うためのポンプ(メインポンプ)を駆動する。また、メインポンプの駆動と同時に小容量のタンクの大気開放弁を開くように、当該開放弁の動作の制御をする。
次に、S701と同様に、当該装置が連動する画像形成装置などの動作が停止しているか否かの判断をする(S704)。S704において、動作停止中と判定された場合(S704/YES)、サブタンク供給動作を終了する。
S704において、動作中と判断された場合(S704/NO)、小容量のタンクの最上段位置に設置されているセンサが処理液を検知しているか否かの判定をする(S705)。S705において、センサが処理液を検知していない場合(S705/NO)、S704に処理を戻す。
S705において、最上段位置のセンサが処理液を検知している場合(S705/YES)、サブポンプの動作を停止し(S706)、処理をS701に戻す。このとき、メインポンプの駆動が終了している場合は、小容量のタンクの大気開放弁を閉じるように、当該開放弁の動作の制御をする。
図8は、本実施形態に係る液体供給装置600において実行される液体供給方法の例を示すフローチャートである。当該液体供給方法は、画像形成システム1000が画像形成処理を実行している最中に実行される。まず、画像形成装置300などの動作が停止しているか否かの判定をする(S801)。S801において、動作が停止している判定された場合(S801/YES)、液体供給装置600においてサブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給(サブタンク供給)を停止し(S808)、当該処理を終了する。
S801において、画像形成装置300などの動作が停止していない(動作中)と判定された場合(S801/NO)、サブタンク供給が行われているので、メインポンプ610が動作している。そこで、メインポンプ610の累積時間が、所定時間T1を経過しているか否かの判定をする(S802)。S802において、メインポンプ610の累積時間が所定時間T1を経過していなければ(S802/NO)、処理をS801に戻す。
ここで「所定時間T1」について詳細に説明する。所定時間T1は累積時間を判定するための閾値である。この閾値が小さすぎると(時間として短すぎると)、サブタンク供給がこまめに実行されることになる。サブタンク供給がこまめに実行されると、サブタンク640に保持される処理液が良く混ざらず、サブタンク640に保持される処理液の成分が分離するなど好ましくない状態になる。
逆に、閾値が大きすぎて(時間として長すぎて)サブタンク供給が実行されない期間が長くなると、急激に、サブタンク640の内部で、古い処理液と新しい処理液が混ざることになる。この場合、連続シート101に処理液が塗布されると「ムラ」になる。また、サブタンク640に保持される処理液に占める空気の割合が高くなることで、処理液に増粘が発生することも懸念される。
そこで、閾値としての所定時間T1は、所定の条件を満たすように設定される。例えば、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234にサブタンク640から供給される供給量(液体供給量)の最大量の20パーセント相当の量が消費される時間よりも長いことが好ましい。また、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234にサブタンク640から供給される供給量(液体供給量)の最大量の40パーセント相当の量が消費される時間よりも短いことが好ましい。
したがって、所定時間T1は、第一供給動作によって供給される処理液の供給量の最大量の二割に相当する量が消費される時間よりも長く、四割に相当する量が消費される時間よりも短い値とする。
図8に戻る。メインポンプ610の累積時間が所定時間T1を経過していれば(S802/YES)、液面センサ240における検知状況を確認する処理を実行する(S803)。S803において、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に設置されている中段位置の液面センサ240(中段液面センサ242)が処理液を検知していれば(S803/YES)、処理をS801に戻す。
S803において、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に設置されている中段液面センサ242が処理液を検知していなければ(S803/NO)、メインタンク680からサブタンク640への処理液の供給を開始する(S804)。S804において、サブポンプ660の駆動と同時に、メインポンプ610も動作させて、サブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給を行う。また、S804において、サブポンプ660とメインポンプ610の動作と同時に、空気流路fを開くために空気開放電磁弁650を開くように制御をする。
次に、メインポンプ610の累積時間をリセットする(S805)。この場合、メインポンプ610とサブポンプ660は駆動を継続しているので、サブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給は継続している。
次に、画像形成装置300などの動作が停止しているか否かの判定する(S806)。S806において、動作が停止している判定されたとき(S806/YES)、液体供給装置600においてサブタンク640から表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給(サブタンク供給)を停止し(S808)、当該処理を終了する。
S806において、画像形成装置300などの動作が停止していない(動作中)と判定された場合(S806/NO)、サブタンク640の最上段位置に設置されているタンク上段液面センサ641が処理液を検知しているか否かの判定をする(S807)。S807において、タンク上段液面センサ641が処理液を検知していない場合(S807/NO)、S806に処理を戻す。
S807において、タンク上段液面センサ641が処理液を検知している場合(S807/YES)、サブポンプ660の動作を停止し(S809)、処理をS801に戻す。このとき、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234への処理液の供給が終了しているならば、空気開放電磁弁650を閉じるように制御をし、空気流路fを閉塞する。
以上のとおり、本実施形態に係る液体供給装置では、メインポンプ610の累積時間が所定時間T1を経過後において、再度、メインポンプ610が動作を開始するタイミングと同時にサブポンプ660を動作させる。これによって、サブタンク640に保持されている処理液が大気に触れる時間を短くでき、処理液の劣化を防ぐことができる。
次に、上記にて説明をした本実施形態に係る液体供給方法について、従来の液体供給方法との違いを明らかにしつつ、より詳しく説明する。図9は、従来の液体供給方法のように、仮に、サブタンク640が中段位置の液面を検知するセンサを備えている場合において、メインポンプ610とサブポンプ660が独立して動作する場合の動作タイミングを示すタイミングチャートである。図10は、本実施形態に係る液体供給方法におけるメインポンプ610とサブポンプ660の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
まず、図9について説明する。メインポンプ610が動作を開始する契機は、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなったタイミングである(t1)、このとき、空気開放電磁弁650が動作をして空気流路fを開放し、メインポンプ610の動作によってサブタンク640からの送液が開始される(t1)。
メインポンプ610が動作すると、サブタンク640の処理液が減少する。サブタンク640の中段位置に設置されているセンサが処理液を検知しなくなった時に、サブポンプ660の動作を開始する(t2)。このとき、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知すれば、メインポンプ610の動作は停止する(t2a)。しかし、サブポンプ660が動作中であるから空気開放電磁弁650の開放状態は継続する。
表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の処理液が消費される動作が継続していれば、再び、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなる(t3)。このとき、空気開放電磁弁650は開放状態のままであって、メインポンプ610が動作を開始する。その後、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知すれば、メインポンプ610の動作は停止するが、サブポンプ660が動作中であるから空気開放電磁弁650の開放状態は継続する(t4)。
その後、サブタンク640のタンク上段液面センサ641が処理液を検知すれば、サブポンプ660の動作を停止し、空気開放電磁弁650を閉塞する(t5)。すなわち、サブタンク640の空気流路fは、サブタンク640の中段位置の処理液が検知されなくなってからサブタンク640への処理液の補充が完了するまで(t2からt5まで)、開放され続けることになる。
以上のように、従来の液体供給方法では、メインポンプ610とサブポンプ660の駆動が非同期に行われるため、メインポンプ610かサブポンプ660のいずれか一方が動作しているときは空気開放電磁弁650を開放し続けなければならない。結果として、空気開放電磁弁650の開放時間が長くなり、空気流路fを介して処理液が大気に長時間晒される状態になり、処理液が劣化しやすくなる。
これに対して、本実施形態に係る液体供給方法は、図10に示すように、メインポンプ610が動作を開始する契機は、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなったタイミングである(t1)、このとき、空気開放電磁弁650を開放して空気流路fを開放し、サブタンク640から処理液を送液できるようにする(t1)。
その後、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知するタイミングにおいて、メインポンプ610の動作は停止し、空気開放電磁弁650も閉塞する(t2)。この場合、t1からt2の間に、メインポンプ610の累積時間が所定時間T1を超えているとする。
次に、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の処理液が消費される動作が継続していれば、再び、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなる(t3)。そこで、再び、メインポンプ610の動作を開始させるので、空気開放電磁弁650が開放されて空気流路fが開放され、サブタンク640から処理液を送液できるようになる(t3)。これと同時に、サブポンプ660の動作を開始させる。これよって、メインタンク680からサブタンク640への送液を開始する。
その後、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知すれば、メインポンプ610の動作は停止するが、サブポンプ660が動作中であれば空気開放電磁弁650の開放状態は継続する(t4)。
その後、サブタンク640のタンク上段液面センサ641が処理液を検知すれば、サブポンプ660の動作を停止し、空気開放電磁弁650を閉塞する(t5)。
すなわち、サブタンク640の空気流路fは、メインポンプ610の累積時間が所定時間T1を超えているとき、再度、メインポンプ610の動作が開始される時に開放され、サブタンク640への処理液の補充が完了すれば閉塞される(t5)。以上のように、本実施形態に係る液体供給方法によれば、メインポンプ610とサブポンプ660の動作開始タイミングが同期する。これによって、空気開放電磁弁650の開放時間を短縮することができる。
すなわち、本実施形態に係る液体供給方法によれば、空気開放電磁弁650の開放時間を短縮することができ、空気流路fを介して処理液が大気に触れる時間を短くすることができる。これによって、処理液の劣化を防止することができる。
次に、本実施形態に係る液体処理方法の効果について、より具体的に説明する。以下の説明において、メインポンプ610の流量を250ml/分、サブポンプ660の流量を500ml/分、とする。すなわち、第一供給部によって表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234に供給可能な処理液の最大量は、第二供給部によってメインタンク680からサブタンク640に供給可能な処理液の最大量よりも少ない。すなわち、単位時間当たりの液体供給量は、サブポンプ660よりもメインポンプ610の方が少ない。
メインポンプ610の累積時間の閾値である所定時間T1を2分とする。図11および図12のように単位時間Xを設定した場合を例にして説明する。
図11に示す従来の液体処理方法によれば、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなったタイミングにおいて、メインポンプ610が動作を開始する(t11)。このタイミングにおいて、空気開放電磁弁650が開いて空気流路fが開放されて、サブタンク640から処理液を送液できるようになる。その後、1分で表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知し、メインポンプ610は動作を停止し、空気開放電磁弁650は閉じて空気流路fを閉塞する(t12)。
その後、2分経過した時に、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなり、メインポンプ610が動作を開始し、空気開放電磁弁650が開いて空気流路fが開放されて、サブタンク640から処理液が送液される(t13)。その後、1分で表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知して、メインポンプ610は動作を停止するが、サブタンク640の処理液の補充を開始するタイミングになるので、空気開放電磁弁650は閉じず、空気流路fは開放されたままになる(t14)。
サブタンク640は、その後、1分で最上位まで処理液が補充されるので、サブポンプ660は動作を停止し、空気開放電磁弁650は閉じて、空気流路fは閉塞される(t15)。その1分後(メインポンプ610の動作が停止したt14から2分後)には、再度、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなり、メインポンプ610が動作を開始し、空気開放電磁弁650が開いて空気流路fが開放され、サブタンク640からの送液が開始する(t16)。その後、1分で表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知して、メインポンプ610は動作を停止し、空気開放電磁弁650は閉じて空気流路fを閉塞する(t17)。
以上説明した条件に基づく従来例では、単位時間X当たりの空気開放電磁弁650の開放時間は4分となる。
これに対して、本実施形態に係る液体供給方法は、図12に示すように、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなったタイミングにおいて、メインポンプ610が動作を開始する(t11)。このタイミングにおいて、空気開放電磁弁650が開いて空気流路fが開放される。その後、1分で表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知し、メインポンプ610は動作を停止し、空気開放電磁弁650は閉じて空気流路fを閉塞する(t12)。
その後、2分経過した時に、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなり、メインポンプ610が動作を開始して、空気開放電磁弁650が開いて空気流路fが開放されて、サブタンク640からの送液が開始される(t13)。その後、1分で表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知するので、メインポンプ610は動作を停止する。この時点で、サブポンプ660は動作を開始しない。また、メインポンプ610の累積時間は「2分」となり、所定時間T1以上となる。
その後(メインポンプ610の動作が停止したt14から2分後)、再度、表面液体供給パン224または裏面液体供給パン234の中段液面センサ242が処理液を検知しなくなるので、メインポンプ610が動作を開始し、空気開放電磁弁650が開いて空気流路fが開放され、サブタンク640からの送液を開始する(t16)。この時、サブポンプ660の動作も開始する。空気開放電磁弁650はすでに開いているので、あらためて空気流路fを開放する必要はない。
その1分後、表面液体供給パン224および裏面液体供給パン234の上段液面センサ241が処理液を検知するので、メインポンプ610は動作を停止する。しかし、サブタンク640のタンク上段液面センサ641は、まだ処理液を検知していないので、サブポンプ660は動作を継続する。したがって、空気開放電磁弁650は開放状態を維持する。
サブポンプ660の動作開始(t16)から1分30秒後にタンク上段液面センサ641が処理液を検知するので、サブポンプ660の動作を停止し、空気開放電磁弁650は閉じて空気流路fを閉塞する(t18)。
以上説明した条件に基づく本実施形態によれば、単位時間X当たりの空気開放電磁弁650の開放時間は3分30秒となる。したがって、従来例よりも、空気開放電磁弁650の開放時間を30秒短縮できる。