JP2019092459A - ロールケーキ - Google Patents
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例えば、シート状のシューとシート状のケーキとを重ねてフィリングクリームを巻き込んだシュースポンジロールケーキ、シート状のケーキにシート状のプリンを積置して巻き込んだプリンロールケーキ(例えば特許文献1参照)、比重の軽い生地の上に該生地よりも比重の重い生地をのせ焼成したケーキを使用したロールケーキ(例えば特許文献2参照)などが提案されている。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたものであり、巻回した層状ケーキからなるロールケーキを提供するものである。
また、本発明のロールケーキの製造方法によれば、層剥がれのない複数種のケーキ層からなる見た目に美しい断面のロールケーキを簡単な製法で安定的に生産することができる。
本発明のロールケーキは、巻回した層状ケーキからなる。
本発明においてロールケーキとは、層状ケーキを巻回したケーキであり、好ましくは層状ケーキの一方の表面にフィリング材を積置した上で、該層状ケーキを、フィリング材を積置した表面が内側となるように巻回したケーキである。
本発明における層状ケーキとは、2種以上のケーキ生地を積層した積層生地を焼成して得られたものを意味する。焼成後に2種以上のシート状ケーキを重ねたものではない。そのため、焼成したケーキを積層した複合ケーキと異なり、層間の結着性が良好であるという特徴を有する。結着とは、層状ケーキの隣り合う層同士が一体化しており剥離が生じ難い状態のことである。層状ケーキを構成する隣り合う層同士は直接に接しており、層間にフィリング材などの結着のための介在物は必要ない。
また、色の差を大きくし、コントラストと彩度を上げることで、より見た目に鮮やかな色の差となって現れることから、ケーキ生地としてスポンジケーキ生地を使用する場合は、卵成分として卵黄成分を使用せず、卵白のみを使用して製造することが好ましい。
また、しとりのある食感とコク味のある風味のロールケーキとなる点、及び他の層とのコントラストが強くなる点から、層状ケーキの少なくとも1層にチョコレートを含有することが好ましい。
本発明の製造方法は、比重の異なる2種のケーキ生地、即ち、相対的に比重の重いケーキ生地と該生地よりも相対的に比重の軽いケーキ生地とを積層して積層生地を得る工程を有する。相対的に比重の重いケーキ生地と相対的に比重の軽いケーキ生地とを積層することによって、2層の間に混濁した層が形成されず、層間がきれいに分離し、見た目にきれいな断面のロールケーキが得られるためである。本発明の製造方法においては、相対的に比重の重いケーキ生地の上に相対的に比重の軽いケーキ生地を積層することができ、逆に、相対的に比重の軽いケーキの上に相対的に比重の重いケーキを積層することもできる。相対的に比重の軽いケーキの上に相対的に比重の重いケーキを積層した場合、積層生地を焼成する際に、相対的に比重の重いケーキ生地の焼成中の沈降を防ぐために、ロールケーキの食感に影響を与えない範囲において、相対的に比重の重いケーキ生地に増粘安定剤等を使用し、該生地の粘度を高めることが有利である。生地沈降を考慮せずに安定的に製造することが可能な点で、相対的に比重の重いケーキ生地の上に該生地よりも相対的に比重の軽いケーキ生地を積層することが好ましい。尚、本発明の製造方法において、「上に積層する」とは、積層生地の焼成時に、上に積層された生地が上側に位置するように積層することを意味する。また、「比重」とは、一定体積におけるケーキ生地の重量を、同体積の水の重量で除した数値である。
上記比重の軽いケーキ生地は、その油分含量が対粉5〜55質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。油分含量が対粉5質量%未満であると、ソフトな食感のロールケーキが得られない恐れがあり、55質量%超であると、食感が重く、また巻回時に割れを生じる恐れがある。
尚、ケーキ生地の比重を軽くするには、気相を含有させる方法によることが好ましく、具体的にはホイップしたり、連続ミキサーでガスを注入することで調整することができる。
まず、一定容積の計量カップを準備し、水をすりきれいっぱいにいれた際の水の重量を測定する。次に、該計量カップを用い、製造後1分以内のケーキ生地をすりきれいっぱいにいれた際のケーキ生地の重量を測定する。そして、測定したケーキ生地の重量を、測定した水の重量で除して得られる数値をケーキ生地の比重とする。尚、ケーキ生地の比重は20℃において測定するものとする。
また、2種のケーキ生地を積層する際に、1層目を焼成又は半焼成してから2層目を積層することができるが、層状ケーキを巻きこむ際に層剥がれや割れを起こしやすいことから、2種のケーキ生地を積層することが好ましい。
本発明の製造方法においては、層状ケーキを内巻きすることができ、或いは、外巻きすることができる。内巻きとは、層状ケーキの上面を内側となるように巻きこむことを意味する、また、外巻きとは、層状ケーキの上面が外側になるように巻きこむことを意味する。層状ケーキの上面とは、積層生地を焼成した時に、上側に位置していた面を意味する。本発明の製造方法において、比重の軽いケーキ生地を比重の重いケーキ生地の上に積層した場合、ロールケーキの外観に似た形態で、内相が見えないことで意外性を持たせるため、また、巻きやすさの面から、外巻きであることが好ましい。
尚、本発明のロールケーキは、例えば、層状ケーキを渦巻状に巻いた巻回体からなる。或いは、本発明のロールケーキは、矩形上の層状ケーキの一方の側縁と他方の側縁とを突き合わせるように円形にした筒状態からなる。後者の場合、筒状体の内部にフィリング材を充填できる。
さらに、ロールケーキがフィリング材を含む場合には、層状ケーキへのフィリング材の水分移行を抑制されることから、フィリング材の食感のぱさつきをおさえ、良好な食感を長く維持できる。
〔製造例1〕
ホワイトチョコレート(油分含量35質量%)200質量部、及び、製菓用マーガリン「アロマーデクレア:株式会社ADEKA製(油分含量81質量%)」100質量部をボウルにいれ、45℃で湯煎溶解した。
ここに、全卵(正味)140質量部、及び上白糖140質量部を添加し、混合した。
さらにラズベリーピューレ(ボワロン社製)35質量部、及びラズベリー濃縮ペースト(ナリヅカコーポレーション製)20質量部を添加し、混合した。
ここに薄力粉100質量部を添加して軽く混合し、油分含量が対粉150質量%、比重が0.80であるラズベリー風味のバターケーキ生地を得た。
卵白170質量部、卵黄20質量部、上白糖115質量部、転化糖液糖20質量部、及び、ケーキ用起泡性乳化油脂「トルテ:株式会社ADEKA製(油分含量30質量%)」33質量部をミキサーボウルに投入し、ワイヤーホイッパーを使用して中速で5分ホイップした。
ここにあらかじめ混合し篩ってあった薄力粉100質量部とベーキングパウダー2質量部の混合粉体を添加しさらに中速5分ホイップした(比重0.42)。
ここで、ホワイトチョコレート含有加糖ホイップクリーム(「マリアネージュ」:株式会社ADEKA製(ホワイトチョコレート5質量%含有)(油分含量28質量%))30質量部を添加、混合し、油分含量が対粉18質量%、比重が0.43であるホワイトスポンジケーキ生地を得た。
[実施例1]
製造例1で得られたバターケーキ生地を比重の重いケーキ生地としてシリコンペーパーを敷いた天板(310mm×225mm)に200g均一の厚さに流し込み、製造例2で得られたホワイトスポンジケーキ生地を、比重の軽いケーキ生地として、バターケーキ生地の上面に300g均一の厚さになるように積層し、これを上火200℃、下火160℃で15分間焼成し、厚さ13mmの2層の層状ケーキを得た。この層状ケーキを室温放冷後、天板から外し、底面を上にして、ここにフィリング材としてホイップドクリーム(「マリアネージュ:株式会社ADEKA製」のホイップ品)を250g塗布してから巻回(外巻きで巻きこみ)し、本発明のロールケーキを得た。得られたロールケーキの断面を観察すると層剥がれのない2種のケーキ層からなる見た目に美しい断面のロールケーキであった。
製造例1で得られたバターケーキ生地をシリコンペーパーを敷いた天板(310mm×225mm)に200g均一の厚さに流し込み、上火200℃、下火160℃で15分間焼成し、シート状のラズベリーバターケーキを得た。
一方、製造例2で得られたホワイトスポンジケーキ生地をシリコンペーパーを敷いた天板(310mm×225mm)に300g均一の厚さに流し込み、上火200℃、下火160℃で15分間焼成し、シート状のホワイトスポンジケーキを得た。
上記ラズベリーバターケーキに上記ホワイトスポンジケーキを積層し、反転させ、ここにフィリング材としてホイップドクリーム(「マリアネージュ:株式会社ADEKA製」のホイップ品)を250g塗布してから巻回(外巻きで巻きこみ)し、比較例のロールケーキを得た。得られたロールケーキの表面には割れが生じ、また、断面を観察すると層剥がれと割れが生じており、見た目に問題のあるロールケーキであった。
Claims (4)
- 巻回した層状ケーキからなるロールケーキ。
- 前記層状ケーキの少なくとも1層にチョコレートを含有する、請求項1記載のロールケーキ。
- 前記層状ケーキは、少なくとも2層の層構造を有し、層間が結着しているものである、請求項1又は2記載のロールケーキ。
- 相対的に比重の重いケーキ生地の上に、該生地よりも相対的に比重の軽いケーキ生地を積層して積層生地を得る工程と、前記積層生地を焼成して層状ケーキを得る工程と、前記層状ケーキを巻回してロールケーキを得る工程とを具備するロールケーキの製造方法。
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