JP2019092078A - ダイレクトコンバージョン受信機 - Google Patents

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Abstract

【課題】CW信号受信時に生じるトーン信号の発生を低減し、音質低下を抑制する。【解決手段】受信機1は、RF受信信号を、ローカル信号を利用してダウンコンバートする直交復調部15、16と、直交復調部15、16の出力信号をデジタル信号処理部21で信号処理した信号を復調する復調回路22と、復調回路22の出力信号を入力し音声帯域を除く帯域の信号を減衰する音声フィルタ23と、ダウンコンバートされた信号の信号強度を検出するパワー検出部21aと、検出された信号強度が閾値以下であるかを判定するパワー判定部21bと、信号強度が閾値以下であるとき第一のローカル信号を前記ローカル信号として直交復調部15、16に出力し、信号強度が閾値を上回るとき第一のローカル信号の周波数にオフセット周波数を加算した周波数に設定された第二のローカル信号を出力する局部発振回路13と、を備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、ダイレクトコンバージョン受信機に関する。
業務用の無線業界では、従来、受信方式としてスーパーヘテロダイン方式が採用されている。また、近年は、小型化等の要求から、実装面積が小さなダイレクトコンバージョン方式が期待されている。
このダイレクトコンバージョン方式を用いた受信機では、ベースバンド信号にDCオフセットが発生し、このDCオフセットにより受信感度が劣化することが知られている。そのため、従来、例えば、DCオフセットをハイパスフィルタで減衰する方法や、特にFM/FSK変調方式で通信を行う場合に適したDCオフセットを減衰する方法等も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2017−34545号公報
ところで、アナログ業務用無線機では、一般にFM変調方式が用いられている。ダイレクトコンバージョン方式でFM変調信号を受信した場合、ダイレクトコンバージョン受信機に含まれる各種デバイスでの処理過程で受信信号に生じた歪み成分が、ベースバンド信号をFM復調した後に得られるFM復調信号の音質に大きな影響を与えるという問題がある。
つまり、アナログ無線では、通話中に相手が黙るとCW信号(無変調連続波 Continuous Wave)が出力される。このようなCW信号を受信したとき、ダイレクトコンバージョン受信機では、RF受信信号とローカル信号とが同じ周波数となるように設定されている場合、RF受信信号つまりCW信号が、直交復調部でベースバンド信号にダウンコンバートされた後、DC(直流)成分が出力されるはずである。
しかしながら、実際の受信機では、使用する基準周波数発生部のばらつきにより、±1kHz程度、受信したCW信号とローカル信号との間に周波数誤差が発生する。そのため、この周波数誤差相当の信号成分が、直交復調部でダウンコンバートされてベースバンド信号に現れる。
このような、周波数誤差が生じるようなRF信号が受信機に入力され、周波数誤差によって、入力されたRF受信信号のベースバンド信号に偶数次歪みが発生すると、ベースバンド信号は、IQ直交座標系では、例えば図4(a)に示すように、楕円のようなベクトル軌跡を取る。また、奇数次歪みが発生すると、IQ直交座標では、例えば図4(b)に示すように、正方形のようなベクトル軌跡を取る。
ここで一般に、ダウンコンバートされたCW信号をFM復調した場合、CW信号は周波数の変化がないため、FM復調の結果得られる信号はDC成分となる。また、ダイレクトコンバージョン受信機では、一般に、FM復調後の信号を音声フィルタに通し、人間の可聴帯域を除く帯域の信号を減衰することが行われている。そのため、FM復調の結果得られるCW信号のDC成分は、FM復調後に音声フィルタで減衰され、受信機の利用者には、例えばホワイトノイズの「ザー」といった音として聞こえることになる。
しかしながら、上記のように、CW信号とローカル信号との周波数誤差により生じた歪み成分を含むベースバンド信号をFM復調した場合、CW信号とローカル信号との周波数誤差をΔfとすると、ベースバンド信号が図4(a)に示すベクトル軌跡を有する場合には、FM復調信号に、2×ΔfkHzの信号成分が現れ、図4(b)に示すベクトル軌跡を有する場合には、4×ΔfkHzの信号成分が現れる。
このとき、周波数誤差をΔf=1kHzとすると、FM復調信号には、周波数誤差Δfが、2×Δf=2kHzの信号成分、又は4×Δf=4kHzの信号成分として現れ、結果的に、トーン信号として受信機から出力されることになる。そのため、受信機の利用者には、非常に耳障りな音として聞こえることになる。
受信機では、FM復調後の信号に音声フィルタをかけているが、図4に示す例では、図5に示すように、例えば4kHzに現れる信号成分は音声フィルタの帯域(例えば、300Hz〜3kHz程度)外となるため減衰されるが、2kHzに現れる信号成分は音声フィルタで減衰されることなく残る。そのためトーン信号として受信機から出力され、音質低下の一因となる。
本発明は、従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、CW信号受信時に発生する耳障りなトーン信号の発生を低減し、音質低下を抑制することの可能なダイレクトコンバージョン受信機を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るダイレクトコンバージョン受信機は、RF受信信号とローカル信号とが入力され、前記RF受信信号を、前記ローカル信号を利用してダウンコンバートする直交復調部と、当該直交復調部でダウンコンバートされた信号に対して所定の信号処理を行う信号処理部と、前記信号処理部から出力される前記ダウンコンバートされた信号を復調する復調回路と、当該復調回路で復調された信号を入力し、予め設定した音声帯域を除く帯域の信号を減衰する音声フィルタと、前記ダウンコンバートされた信号の信号強度を検出するパワー検出部と、前記パワー検出部で検出された信号強度が予め設定した閾値以下であるか否かを判定するパワー判定部と、前記パワー判定部で、前記信号強度が前記閾値以下であると判定されるときには第一のローカル信号を前記ローカル信号として前記直交復調部に出力し、前記信号強度が前記閾値を上回ると判定されるときには前記第一のローカル信号の周波数に予め設定したオフセット周波数を加算した周波数に設定された第二のローカル信号を前記ローカル信号として前記直交復調部に出力する局部発振回路と、を備えることを特徴としている。
本発明の一態様によれば、CW信号に起因して生じるトーン信号を低減することができ、CW信号受信時の音質低下を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るダイレクトコンバージョン受信機の一例を示すブロック図である。 パワー判定部の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るダイレクトコンバージョン受信機の効果を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係るダイレクトコンバージョン受信機の効果を説明するための説明図である。 本発明の一実施形態に係るダイレクトコンバージョン受信機の効果を説明するための説明図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の具体的な構成について記載されている。しかしながら、このような特定の具体的な構成に限定されることなく他の実施態様が実施できることは明らかである。また、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一部分には同一符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。
図1は、本発明の一実施形態を示す、ダイレクトコンバージョン受信機(以後、単に受信機という。)1の概略構成の一例を示す回路図である。
本発明の一実施形態に係る受信機1は、デジタル変調された搬送波を、位相の直交する2つのローカル信号それぞれと掛け合わせることによってDC近傍にダウンコンバートし、直交復調するダイレクトコンバージョン方式を採る。
図1に示すように、受信機1は、アンテナ11と、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplefier)12と、局部発振回路13と、移相器14と、Ich直交復調部15及びQch直交復調部16と、を備える。さらに、受信機1は、フィルタ回路17及び18と、AD変換器19及び20と、デジタル信号処理部21と、復調回路22と、音声フィルタ23と、スピーカ4とを備える。なお、Ich直交復調部15及びQch直交復調部16が直交復調部に対応し、デジタル信号処理部21が信号処理部に対応している。
図1において、アンテナ11は、FM変調された信号を受信する。
低雑音増幅器12は、アンテナ11を介して受信したRF信号(高周波信号)(以下、RF受信信号という。)を低ノイズで増幅し、Ich直交復調部15及びQch直交復調部16に出力する。
局部発振回路13は、RF受信信号を周波数変換するためのローカル信号を生成する。本発明の一実施形態に係る局部発振回路13は、ローカル信号として周波数の異なる二つのローカル信号L1及びL2を出力する。ローカル信号L1の周波数は、RF受信信号の周波数Frfと同一となるように設定される。理想的にはローカル信号L1の周波数とRF受信信号の周波数Frfは同一であるが、実際には1kHz程度の周波数差が生じる場合がある。ローカル信号L2の周波数は、RF受信信号の周波数Frfに、予め設定したオフセット周波数Foffを加算した周波数「Frf+Foff」となるように設定される。また、局部発振回路13は、デジタル信号処理部21から、ローカル信号L1及びL2のいずれを選択するかを指示する選択信号Sfを入力し、選択信号Sfで指定されたローカル信号L1又はL2を生成し出力する。なお、局部発振回路13は、起動時等、デジタル信号処理部21から選択信号Sfが入力されない間は、初期値としてローカル信号L1を出力する。オフセット周波数Foffは、CW信号とローカル信号との周波数誤差に起因する歪みにより、ベースバンド信号に現れる信号成分の周波数帯域を、音声フィルタ23によって減衰可能な帯域にオフセットし得る値に設定される。オフセット周波数Foffは、予め実験等によって検出される。
局部発振回路13で生成されたローカル信号は移相器14を介してIch直交復調部15に入力されると共に、直接Qch直交復調部16に入力される。
移相器14は、局部発振回路13から入力されたローカル信号の位相を90°移相する。
Ich直交復調部(DEMOD Demodulator)15は、低雑音増幅器12から入力されるRF受信信号に、移相器14から入力されるローカル信号を掛け合わせる。また、Qch直交復調部(DEMOD)16は、低雑音増幅器12から入力されるRF受信信号に、局部発振回路13から入力されるローカル信号を掛け合わせる。これにより、Ich直交復調部15及びQch直交復調部16は、低雑音増幅器12からのRF受信信号を、DCレベルまたはDCレベル近傍のベースバンド周波数にダウンコンバートして、位相が互いに90°ずれたI信号及びQ信号を出力する。
Ich直交復調部15から出力されるI信号は、フィルタ回路17で、対象チャネルに対応する周波数を除く帯域の信号や妨害波の減衰、またアンチエリアシング等の処理が行われた後、AD変換器19でデジタル信号に変換されてデジタル信号処理部21に入力される。Qch直交復調部16から出力されるQ信号に対しても、I信号と同様にフィルタ回路18及びAD変換器20で処理されて、デジタル信号処理部21に入力される。
デジタル信号処理部21は、AD変換器19及び20を介して入力されたI信号及びQ信号に対して、例えば、フィルタ回路17、18では除去しきれなかった妨害波のさらなる減衰、DCオフセットの除去等の所定の信号処理を行った後、I信号及びQ信号を復調回路22に出力する。また、デジタル信号処理部21は、パワー検出部(RSSI Received Signal Strength Indicator)21aと、パワー判定部21bとを備える。
パワー検出部21aは、AD変換器19及び20を介して入力されたI信号及びQ信号に基づき、フィルタ回路17、18でのフィルタ処理後のベースバンド信号の信号強度を検出する。
パワー判定部21bは、パワー検出部21aで検出された信号強度に基づき判定を行う。具体的には、パワー判定部21bは、パワー検出部21aで検出された信号強度が予め設定された閾値を上回るか否かを判定し、信号強度が閾値を上回るとき、局部発振回路13にローカル信号L2を指定する選択信号Sfを出力し、信号強度が閾値以下であるとき、局部発振回路13にローカル信号L1を指定する選択信号Sfを出力する。なお、ここでは、パワー検出部21aで検出された信号強度と閾値との大小関係に応じてローカル信号L1とL2とを切り替える場合について説明するがこれに限るものではない。例えば、パワー判定部21bが、二つの閾値を設定し、ヒステリシス特性によりローカル信号L1とL2とを切り替えるようにしてもよい。
復調回路22は、デジタル信号処理部21から入力されるI信号及びQ信号に基づいて、受信信号を受信しているか否かを判定し、受信していると判定されるとき、I信号及びQ信号に基づいて振幅、周波数、位相情報を抽出し、これらに基づいて受信信号を復調する。具体的には、例えば復調回路22は、信号強度を検出するRSSI測定部を有し、RSSI測定部が測定した信号強度が予め設定された受信判定用の閾値を超えるとき、受信信号を受信していると判定する。受信信号を受信していると判定されるときにのみI信号及びQ信号に基づき復調し、FM復調信号として音声フィルタ23に出力する。
音声フィルタ23は、例えば300Hz以上3kHz以下の、人間の可聴帯域を除く帯域の信号を減衰させる。音声フィルタ23で減衰されたFM復調信号は、スピーカ24に出力される。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
図2は、パワー判定部21bの処理手順の一例を示すフローチャートである。
受信機1では、起動されると、パワー判定部21bから局部発振回路13に、初期状態としてローカル信号L1を指定する選択信号Sfが出力される(ステップS1)。局部発振回路13は、周波数がRF受信信号の周波数と同一に設定されたローカル信号L1を出力する。
そのため、アンテナ11に入力されたRF受信信号は、低雑音増幅器12で低ノイズで増幅された後、Ich直交復調部15及びQch直交復調部16それぞれで、位相が90°異なるローカル信号L1と掛け算されてI信号及びQ信号が生成される。このI信号及びQ信号は、フィルタ回路17、18、AD変換器19、20を経てデジタル信号処理部21に入力され、I信号及びQ信号に対してデジタル信号処理部21で、所定の処理が行われた後、復調回路22でFM復調される。復調回路22で復調されたFM復調信号は音声フィルタ23で、所定の帯域を除く帯域の信号が減衰された後、スピーカ24から出力される。
このとき、パワー検出部21aでは、I信号及びQ信号に基づきフィルタ回路17、18でのフィルタ処理後のベースバンド信号の信号強度を検出しており(ステップS2)、信号強度が閾値以下である間は、ローカル信号L1を指定する。そのため、アンテナ11に入力されたRF受信信号は、RF受信信号と同一の周波数に設定されたローカル信号L1によりダウンコンバートされる。
一方、ベースバンド信号の信号強度が閾値より大きくなると、パワー検出部21aでは、ステップS3に移行して、ローカル信号L2を指定する選択信号Sfを出力する。
局部発振回路13では、ローカル信号L1から、受信信号の周波数にオフセット周波数Foffが加算された周波数に設定されたローカル信号L2に切り替える。そのため、アンテナ11に入力されたRF受信信号は、このRF受信信号の周波数にオフセット周波数Foffが加算された周波数に設定されたローカル信号L2によりダウンコンバートされるようになる。
この状態から、再度、ベースバンド信号の信号強度が閾値より小さくなると、パワー検出部21aでは、ステップ4からステップS5に移行して、ローカル信号L1を指定する選択信号Sfに切り替える。そのため、アンテナ11に入力されたRF受信信号は、このRF受信信号の周波数と同一の周波数に設定されたローカル信号L1によりダウンコンバートされるようになる。以後、同様に、ベースバンド信号の信号強度が閾値以上であるか否かに応じて、ローカル信号L1又はローカル信号L2を用いてダウンコンバートが行われる。
ここで、通話中に相手が黙りCW信号がRF受信信号として入力される状態では、CW信号とローカル信号との周波数誤差等により、ベースバンド信号に例えば図4に示すように歪みが生じる場合がある。この歪みを含むベースバンド信号をFM復調すると、本来無音であるはずであるにも関わらず、歪み成分、つまり周波数誤差により、FM復調信号には、例えば2×ΔfkHz、4×ΔfkHzに信号成分が現れる。
このとき、フィルタ回路17、18でのフィルタ処理後のベースバンド信号の信号強度が閾値より小さい場合には、ローカル信号L1を用いてダウンコンバートが行われる。例えば周波数誤差Δf=1kHzとしたとき、図4に示す歪みは、2×Δf=2kHz、4×Δf=4kHzの信号成分としてとしてFM復調信号に現れる。FM復調信号を音声フィルタ23に通すことにより、4kHzに現れる信号成分を減衰することはできるが、2kHzに現れる信号成分は減衰されない。FM復調信号は2kHzに信号成分を含むため、受信機1からトーン信号が発生されることになるが、このときベースバンド信号の信号強度が閾値よりも小さいため、受信機1からトーン信号として出力されたとしても、受信機1の利用者にはトーン信号は聞こえないか、聞こえたとしても気にならない。
一方、CW信号がRF受信信号として入力される状態で、例えば、通話者どうしが比較的近くに存在する等、フィルタ回路17、18でのフィルタ処理後のベースバンド信号の信号強度が大きくなり信号強度が閾値を上回ると、ローカル信号L2を用いてダウンコンバートが行われる。Ich直交復調部15、Qch直交復調部16では、RF受信信号の周波数とは異なる周波数「Frf+Foff」が設定されたローカル信号L2を用いてダウンコンバートする。このときの周波数誤差Δfによる信号成分は、周波数が「オフセット周波数Foff−Δf」の信号成分としてFM復調信号に現れるため、図4に示す歪みが生じた場合、オフセット周波数Foff=4kHz、周波数誤差Δf=1kHzとすると、2×(Foff−Δf)=6kHz、4×(Foff−Δf)=12kHzの信号成分として現れる。そのため、いずれの信号成分も音声フィルタ23によって減衰される。すなわち、受信機1から出力されるトーン信号が低減されることになる。
つまり、アンテナ11からのRF受信信号をダウンコンバートして得たベースバンド信号の信号強度が大きく、ベースバンド信号に比較的大きな歪みが生じる場合であっても、ローカル信号L2を用いてダウンコンバートすることによって、FM復調信号に現れる、周波数誤差による信号成分の周波数が、音声フィルタ23で通過可能な音声帯域外となるようにしている。そのため、FM復調信号に現れる周波数誤差による信号成分を、音声フィルタ23によって減衰することができ、結果的に、周波数誤差による信号成分がトーン信号となって受信機1の利用者に聞こえることを抑制することができる。
一方、周波数誤差Δfが「−1kHz」である場合には、ベースバンド信号の信号強度が小さいときには、ローカル信号L1を用いてダウンコンバートが行われ、仮にCW信号とローカル信号L1との間に周波数誤差が生じ、FM復調信号に周波数誤差による信号成分が現れたとしても、可聴帯域外の周波数の信号成分については音声フィルタ23で減衰され、また、可聴帯域の信号成分であったとしても、ベースバンド信号の信号強度はそもそも低いため、FM復調信号に周波数誤差による信号成分が含まれたとしても、受信機1の利用者には、トーン信号として聞こえないか、聞こえたとしても気にならない程度となる。
そして、ベースバンド信号の信号強度が大きく閾値よりも大きいときには、ローカル信号L2を用いてダウンコンバートが行われる。例えば周波数誤差がΔf=−1kHz、オフセット周波数がFoffである場合には、図4に示す歪みが生じている場合、FM復調信号には、2×(Foff−Δf)=10kHz、4×(Foff−Δf)=20kHzの信号成分として現れる。そのため、音声フィルタ23を通すことにより、周波数誤差による信号成分は減衰され、受信機1の利用者にトーン信号として聞こえることが抑制される。
ここで、通話相手が話をしている最中であるときにも、ベースバンド信号の信号強度に応じてローカル信号L1及びL2の切り替えが行われることになり、ベースバンド信号の信号強度が閾値以下であるときにはRF受信信号の周波数と同一周波数に設定されたローカル信号L1を用いてダウンコンバートし、RF受信信号の信号強度が閾値を上回るときにはRF受信信号の周波数にオフセット周波数Foffを加算した周波数に設定されたローカル信号L2を用いてダウンコンバートする。つまり、ベースバンド信号の信号強度が閾値以下であるときにはZero IF受信方式で受信処理し、ベースバンド信号の信号強度が閾値を上回るときにはLow IF受信方式で受信処理することと同等となる。Zero IF受信方式をLow IF受信方式に切り替える際に、例えばフィルタ回路17、18をベースバンド信号帯域に応じて切り替えることで、RF受信信号に欠落等を発生させずに受信することが可能であり、Zero IF受信方式と同等の特性を維持したまま、Zero IF受信方式を用いることにより生じるトーン信号の発生を抑制することができる。
なお、ここでは、周波数誤差Δf=±1kHz、オフセット周波数Foff=4kHzとした場合について説明したが、ここでは一例としてあげたものでありこれらに限るものではない。
上述のように、オフセット周波数Foffは、CW信号とローカル信号L1との周波数誤差Δfにより、FM復調信号に現れる信号成分の周波数を、音声フィルタ23の可聴帯域外の帯域にオフセットすることの可能な値に設定すればよい。例えば、音声フィルタ23の減衰帯域、受信機1のチャネル幅、周波数誤差Δfの大きさ等を考慮して、設定すればよい。一例として、受信機1のチャネル幅が12.5kHz、周波数誤差Δfが1kHzである場合には、オフセット周波数Foffは、3.5kHz程度に設定される。
ちなみにオフセット周波数Foffが小さすぎると、周波数誤差Δfにより生じる信号成分を音声フィルタ23によって十分に減衰することができず、トーン信号を十分低減することができない。逆に、オフセット周波数Foffが大きすぎるとイメージ信号と干渉する可能性があり、イメージ信号に対する対策等を施す必要があり、装置が複雑化する。そのため、これらを考慮してオフセット周波数Foffを設定することが好ましい。
また、上記実施形態では、パワー検出部21a、パワー判定部21bを、デジタル信号処理部21に設けた場合について説明したがこれに限るものではない。パワー検出部21aは、受信機1の対象チャネルに対応する周波数を除く帯域の信号や妨害波等を減衰させた、受信機1の対象チャネルに対応する周波数の信号成分の信号強度を検出することができればよい。そのため、例えば、フィルタ回路17とAD変換器19との間、フィルタ回路18とAD変換器20との間の信号をもとに、ベースバンド信号の信号強度を検出するようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
1 ダイレクトコンバージョン受信機
2 音声フィルタ
11 アンテナ
12 低雑音増幅器
13 局部発振回路
15 Ich直交復調部
16 Qch直交復調部
21 デジタル信号処理部
21a パワー検出部
21b パワー判定部
22 復調回路
23 音声フィルタ

Claims (4)

  1. RF受信信号とローカル信号とが入力され、前記RF受信信号を、前記ローカル信号を利用してダウンコンバートする直交復調部と、
    当該直交復調部でダウンコンバートされた信号に対して所定の信号処理を行う信号処理部と、
    前記信号処理部から出力される前記ダウンコンバートされた信号を復調する復調回路と、
    当該復調回路で復調された信号を入力し、予め設定した音声帯域を除く帯域の信号を減衰する音声フィルタと、
    前記ダウンコンバートされた信号の信号強度を検出するパワー検出部と、
    前記パワー検出部で検出された信号強度が予め設定した閾値以下であるか否かを判定するパワー判定部と、
    前記パワー判定部で、前記信号強度が前記閾値以下であると判定されるときには第一のローカル信号を前記ローカル信号として前記直交復調部に出力し、前記信号強度が前記閾値を上回ると判定されるときには前記第一のローカル信号の周波数に予め設定したオフセット周波数を加算した周波数に設定された第二のローカル信号を前記ローカル信号として前記直交復調部に出力する局部発振回路と、
    を備えるダイレクトコンバージョン受信機。
  2. 前記パワー検出部は、前記ダウンコンバートされた信号に基づき前記信号強度を検出する請求項1に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  3. 前記パワー判定部は、二つの閾値を設定し、ヒステリシス特性により前記第一のローカル信号と前記第二のローカル信号とを切り替える請求項1又は請求項2に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
  4. 前記第一のローカル信号は、前記RF受信信号と同一周波数に設定されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のダイレクトコンバージョン受信機。
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