JP2019089192A - 移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】砂地や泥等を含む軟弱地盤上を移動する際にも、安定した移動を得ることができる移動体を提供することを目的とする。【解決手段】本体部20と、前記本体部20を移動させるため前記本体部20に回動可能に取付けられた移動機能部材30と、前記移動機能部材30が接地面に接地する部分に設けられた接地部40と、前記接地部40を振動させる振動付与手段50と、前記移動機能部材30が移動する第1移動区間では前記振動付与手段50で前記接地部40を振動させ、前記第1移動区間を移動した後の前記移動機能部材30が移動する第2移動区間では前記振動付与手段50で前記接地部40を振動させない振動制御手段60と、を有することを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、移動体に関する。
複数の脚材を有する脚型ロボット等の移動体は、移動させるために地面に接触する接地部を有する脚材等を有している。
具体的には、例えば脚型ロボットは、人の胴体に対応する本体部と、人の脚に対応する脚材とを有している。この脚材は、複数のリンクや小型モータを内蔵することにより、股関節において、大腿部と本体部との相対角度を変更し、また、膝関節において、大腿部と下腿部との相対角度を変更する。下腿部の最下端で地面に接地する接地部を前後方向に揺動させることで本体部を移動させる。
移動させる地面がアスファルト道路のような路面では、通常の歩行の脚材の揺動により安定した移動が可能である(特許文献1)。
特開2003−103480号公報
しかし、砂地や泥等の軟弱地盤上を移動する際には、脚材による歩行では蹴り出せず、滑ってしまい安定した移動を得ることができないという問題点があった。
本発明は、砂地や泥等を含む軟弱地盤上を移動する際にも、安定した移動を得ることができる移動体を提供することを目的とする。
本発明に係る移動体10は、次の点を特徴とする。すなわち、本体部20と、前記本体部20を移動させるため前記本体部20に回動可能に取付けられた移動機能部材30と、前記移動機能部材30が接地面に接地する部分に設けられた接地部40と、前記接地部40を振動させる振動付与手段50と、前記移動機能部材30が移動する第1移動区間では前記振動付与手段50で前記接地部40を振動させ、前記第1移動区間を移動した後の前記移動機能部材30が移動する第2移動区間では前記振動付与手段50で前記接地部40を振動させない振動制御手段60と、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る移動体10には、脚材70を有する脚型ロボットが含まれるが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、車輪を有する自動車、バイクや、耕運機、トラクター等の農業用機械等が含まれる。
本発明に係る移動機能部材30は、移動体10としての脚型ロボットにおける脚材70が含まれ、また、移動体10としての自動車やバイクの車輪、移動体10としての耕運機やトラクター等の農業用移動機械等における車輪等が含まれる。
本体部20に取付けた移動機能部材30を回動させることで、移動機能部材30に設けられた接地部40が接地面に接地して踏み込み、接地面を蹴り出すことで、本体部20が移動する。
ここで、接地面が砂地等の軟弱地面の場合、振動制御手段60が、移動機能部材30の第1移動区間では振動付与手段50で接地部40を振動させて軟弱地面を液状化(流動化)させる。これにより接地面を沈下させる。
次に、移動機能部材30が第1移動区間を移動した後、第2移動区間へ移動しているとき、振動制御手段60が振動付与手段50で接地部40を振動させない。このため、第2移動区間では、締め固められた軟弱地面の上を安定した状態で移動体10が移動することができる。
さらに、前記移動機能部材30は、回動する股関節210と膝関節220を備え先端部に前記接地部40が設けられた複数の脚材70であり、前記第1移動区間は、前記脚材70の前記接地部40が最も前方の踏み込み位置から前記股関節210の真下位置100までの間であり、前記第2移動区間は、前記股関節210の真下位置100から前記脚材70の前記接地部40が接地面を蹴り出し接地面から離れる蹴り出し位置までの間である、ことを特徴とする。
本発明では、脚材70の接地部40が最も前方の踏み込み位置から股関節210の真下位置100までの間である第1移動区間では、砂地等の軟弱地面の場合、振動付与手段50で接地部40を振動させることで、接地部40を振動により液状化した地面に深く沈みこませる。
また、股関節210の真下位置100から脚材70の接地部40が接地面を蹴り出し接地面から離れる蹴り出し位置までの間である第2移動区間では、砂地等の軟弱地面の場合、振動を停止させた締め固めた地面を後方に確実に蹴ることができて、安定した歩行を確保することができる。
さらに、一の前記脚材70が前記第2移動区間を移動してから前記第1移動区間の踏み込み位置に至るまでは前記接地部40が前記接地面から離れ、他の前記脚材70の前記接地部40が接地面に接地するようにしたことを特徴とする。
本発明では、一の脚材70が第2移動区間を移動してから第1移動区間の踏み込み位置に至るまでは接地部40が接地面から離れ、他の脚材70の接地部40が接地面に接地することで、常にいずれかの脚材70が接地部40に接地していることになり、本体部20を連続して移動させることができ、スムーズな移動を確保することができる。
本発明の実施の形態であって、脚型ロボットの歩行試験用に用いる1個の脚材の外観正面図である。 本発明の実施の形態であって、脚型ロボットの脚材の接地部の移動区間を示す説明図である。 本発明の実施の形態であって、脚型ロボットの脚材の移動区間を分解して示す説明図である。 本発明の実施の形態であって、砂を敷き詰めた地面上で接地部に振動を加えている状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態であって、粒状物に振動を加えた場合の考え方を示す概念図である。 本発明の実施の形態であって、振動前、振動中、振動後の粒状物の粒子の状態を示す説明図である。 本発明の実施例であって、振動前、振動中、振動後のベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、砂を敷き詰めた傾斜地面での歩行試験の説明図である。 本発明の実施例であって、図8に示す歩行試験の結果、前進距離を振動有りと振動無しとで比較したものであって、地面の傾斜角度0度での試験結果を棒グラフにした説明図である。 本発明の実施例であって、図8に示す歩行試験の結果、前進距離を振動有りと振動無しとで比較したものであって、地面の傾斜角度9度での試験結果を棒グラフにした説明図である。 本発明の実施例であって、ベーン剪断試験における振動領域からの距離や、位置を説明するための説明図である。 本発明の実施例であって、ベーン剪断試験の条件を説明するための説明図である。 本発明の実施例であって、ベーン剪断試験の振動の振幅及び周波数による振動の種類を説明するための説明図である。 本発明の実施例であって、振動無しの場合のベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、1mm−30Hz(振動の振幅が1mmで、振動の周波数が30Hz)を用いた場合のベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、2mm−30Hz(振動の振幅が2mmで、振動の周波数が30Hz)を用いた場合のベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、3mm−30Hz(振動の振幅が3mmで、振動の周波数が30Hz)を用いた場合のベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、1mm−10Hz(振動の振幅が1mmで、振動の周波数が10Hz)を用いた場合のベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、1mm−50Hz(振動の振幅が1mmで、振動の周波数が50Hz)を用いた場合のベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、振動無しの場合のベーン剪断試験結果を示す説明図であって、(A)は図中のライン1の方向における測定結果、(B)は図中のライン2の方向における測定結果、(C)は図中のライン3の方向における測定結果、(D)は図中のライン4の方向における測定結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、1mm−30Hzの場合のベーン剪断試験結果を示す説明図であって、(A)は図中のライン1の方向における測定結果、(B)は図中のライン2の方向における測定結果、(C)は図中のライン3の方向における測定結果、(D)は図中のライン4の方向における測定結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、2mm−30Hzの場合のベーン剪断試験結果を示す説明図であって、(A)は図中のライン1の方向における測定結果、(B)は図中のライン2の方向における測定結果、(C)は図中のライン3の方向における測定結果、(D)は図中のライン4の方向における測定結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、3mm−30Hzの場合のベーン剪断試験結果を示す説明図であって、(A)は図中のライン1の方向における測定結果、(B)は図中のライン2の方向における測定結果、(C)は図中のライン3の方向における測定結果、(D)は図中のライン4の方向における測定結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、1mm−10Hzの場合のベーン剪断試験結果を示す説明図であって、(A)は図中のライン1の方向における測定結果、(B)は図中のライン2の方向における測定結果、(C)は図中のライン3の方向における測定結果、(D)は図中のライン4の方向における測定結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、1mm−50Hzの場合のベーン剪断試験結果を示す説明図であって、(A)は図中のライン1の方向における測定結果、(B)は図中のライン2の方向における測定結果、(C)は図中のライン3の方向における測定結果、(D)は図中のライン4の方向における測定結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、振動無しと、振動の周波数が30Hzで振動の振幅が1、2又は3mmとにおけるベーン剪断試験結果を示す説明図である。 本発明の実施例であって、振動無しと、振動の振幅が1mmで振動の周波数が10、30又は50Hzにおけるベーン剪断試験結果を示す説明図である 本発明の実施例であって、牽引試験機の詳細を示す説明図である。 本発明の実施例であって、(A)(B)は牽引試験機の移動の様子を示す説明図である。 本発明の実施例における試験用車輪の外観形状であって、(A)は側面図、(B)は外観斜視図、(C)は正面図である。 本発明の実施例であって、牽引試験機の実験条件を示す説明図である。 本発明の実施例であって、車輪を地面に接地させ、車輪を駆動したとき(normal)と、車輪を砂面に接地させた後に振動を30秒間与えてから車輪を駆動させたときの牽引力の比較を示す説明図である。 本発明の実施例であって、振動を与えた場合と同様の沈下量(30mm)を与えた後、車輪を駆動したとき(normal)と車輪を地面に接地させた後に振動を30秒間与えてから車輪を駆動させたときの牽引力の比較を示す説明図である。 本発明の実施例であって、車輪を地面に接地させ、車輪を駆動させたとき(normal)と車輪を地面に接地させた後に、沈下しないよう車輪の上下方向を固定した状態で振動を30秒間与えてから固定を解き、車輪を駆動させたときの牽引力の比較を示す説明図である。 本発明の実施例であって、(A)はベーン剪断試験の測定箇所を示す上面図、(B)は牽引試験機での実験条件を示す説明図である。 本発明の実施例であって、(a)は振動前の剪断強度の測定値の比較、(b)は、振動後の剪断強度の測定値の比較を示す説明図である。 本発明の実施例であって、試験用車輪を用いた振動シーケンス処理の内容を記載したフローチャートである。 本発明の実施例であって、振動シーケンス処理の内容を説明するための説明図である。
図1は本実施の形態に係る移動体10の移動機能部材30の外観正面図である。
本実施の形態に係る移動体10は、具体的には、脚型ロボットであり、人の胴体に相当する本体部20を有し、この本体部20の下部に回動可能に取り付けられて本体部20を移動させるために地面に接触する接地部40を有する移動機能部材30を有している。
本実施の形態では、移動機能部材30として、人の脚に相当する脚材70を有している。
この脚材70には、人と同様に本体部20に連結される大腿部230と、大腿部230に連結される下腿部240とを有している。
なお、図1に示すものは脚型ロボットの脚材70の歩行試験用に1本だけ用いているものであって通常は、人と同様に2本の脚材70が本体部20の下部に取り付けられるものである。本実施の形態では、1本の脚材70であってそのままでは倒れてしまうため、特に図示していないが、本体部20の上部において倒れないように前後方向に伸びるレールに前後方向に移動可能な状態で支持されている。
もちろん、脚材70の数は、上述したものに限定されるものではなく、3本や、4本や、5本以上あってもよいものである。
また、本実施の形態に係る脚材70には、試験中に不測な状況が発生して倒れても大丈夫なように左右の横に補助脚材250が設けられている。
脚材70は、本体部20の下部に大腿部230を揺動可能に連結する股関節210を有している。
また、大腿部230と下腿部240との間には、両者の相対角度を所定範囲の中で任意に設定することができて、下腿部240を揺動可能な膝関節220が設けられている。
この股関節210及び膝関節220では、特に図示していないが、内部に複数のリンク機構及びモータを有しており、大腿部230及び下腿部240を本体部20の側方向に伸びる回転軸の回りに回動させ、具体的には揺動させて歩行可能に形成されている。
本実施の形態では、下腿部240の下部に後述する振動付与手段50が設けられている。
図2は脚型ロボットの脚材70の先端の接地部40の移動区間を示す説明図である。
歩行動作において、移動機能部材30としての脚材70は、複数の移動区間を有している。
具体的に説明すると、接地部40の位置として、歩行時に接地部40が本体部20に対して最も前方に揺動したときの最前方位置80と、歩行時に接地部40が本体部20に対して最も後方に揺動したときの最後方位置90と、最前方位置80及び最後方位置90の間の略中間にあって股関節210の真下になる真下位置100とが設けられている。
更に、接地部40を真下位置100から前方に移動する場合、真下位置100の接地部40は移動する範囲の中で最も上方に位置する最上方真下位置110から移動を開始するように形成されている。
また、接地部40を真下位置100から後方に移動する場合、真下位置100の接地部40は移動する範囲の中で最も下方に位置する最下方真下位置120から移動を開始するように形成されている。
本実施の形態では、停止位置75は、最上方真下位置110と最下方真下位置120との中間に位置している。
歩行を開始する際には、この停止位置75から最上方真下位置110へ移動するものであり、また、歩行を中止する際には、最上方真下位置110又は最下方真下位置120から停止位置75へ戻ることになる。
なお、停止位置75は、必ずしも最上方真下位置110と最下方真下位置120との距離の中間に限定されるものではなく、どちらかに偏った位置であってもよい。
さらに、本実施の形態では、最前方位置80と、最後方位置90とは、真下位置100から前後方向に同一距離となるように設定されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、異なる距離に設定してもよい。すなわち、別の言い方をすると、最前方位置80と最後方位置90とのいずれかの方に偏った位置に真下位置100を設定してもよい。
なお、図2中に記載されている座標は、停止位置75を原点とした場合の前後方向のx軸、上下方向のy軸の数値(単位はmm)を示しているものである。もちろん、当該数値はこれに限定されるものではなく、他の任意の数値に設定してもよいものである。
なお、本実施の形態では、接地部40の真下位置100は、本体部20の重心の鉛直線上の位置になるように設定されている。
すなわち、停止している状態から歩行を開始する際には、接地部40は、停止位置75、最上方真下位置110、最前方位置80、最下方真下位置120、最後方位置90、最上方真下位置110の順に進み、さらに、歩行を行う場合には、接地部40は、最上方真下位置110、最前方位置80、最下方真下位置120、最後方位置90、最上方真下位置110の順に繰り返し移動することになる。
ここで、脚材70は、図2に示すように複数の移動区間として少なくとも下記のような移動区間を有している。
複数の移動区間として、図2に示すように、最上方真下位置110と最前方位置80との間のA区間、最前方位置80と最下方真下位置120との間のB区間、最下方真下位置120と最後方位置90との間のC区間、最後方位置90と最上方真下位置110との間のD区間、最上方真下位置と停止位置75との間のE区間とを有している。
具体的には、本実施の形態では、歩行における移動区間は、接地部40が最上方真下位置110から最前方位置80へ移動して当該最前方位置80から最下方真下位置120へ移動する第1移動区間と、接地部40が最下方真下位置120から最後方位置90へ移動して当該最後方位置90から最上方真下位置110へ移動する第2移動区間との2つを有している。すなわち、第1移動区間は、A区間及びB区間であり、第2移動区間は、C区間及びD区間である。
この第1移動区間と第2移動区間の区分は上述したものに限定されるものではなく、第1移動区間は、A区間を含めずにB区間だけに設定してもよく、第2移動区間は、D区間を含めずにC区間だけに設定してもよい。
第1移動区間をB区間だけに設定すると、第1移動区間は、脚材70の接地部40が最も前方の踏み込み位置から股関節210の真下位置100である最下方真下位置120までの間となる。
第2移動区間をC区間だけに設定すると、第2移動区間は、股関節210の真下位置100である最下方真下位置120から脚材70の接地部40が接地面を蹴り出し接地面から離れる蹴り出し位置である最後方位置90までの間となる。
本実施の形態に係る移動体10には、接地部40を振動させる振動付与手段50と、この振動付与手段50の振動の発生を制御する振動制御手段60とを備えている。
振動付与手段50は、砂の粒子を振動により自由に移動させることができる程度の振動を発生させるものであればよいものであって、具体的には例えば通常の健康器具のバイブレータで発生する程度の振動であればよいものである。
振動制御手段60は、この振動付与手段50の発生の有無を、接地部40の位置に対応して、制御することができるようにプログラムされている。本実施の形態では、予め組み込まれたプログラムにより、発生のタイミングの有無を接地部40の位置に応じて制御することができるように形成されているが、特にこれに限定されるものではなく、目視により、作業者が振動制御手段60に設けられた手動スイッチを操作することで手動により行ってもよい。
さらに振動制御手段60は、振動付与手段50で振動させる振動の周波数を変更できる機能である周波数変更手段を備えていても良い。例えば接地部40に接触センサを備え、接地面の状態を取得し踏み固めるために最適な周波数に設定を変更するという具合である。
また、この振動制御手段60は、脚材70の歩行を行うために股関節210や膝関節220に有するモータの回転駆動の制御も行っている。
振動制御手段60は、移動機能部材30が移動する第1移動区間では振動付与手段50で接地部40を振動させ、第1移動区間を移動した後の移動機能部材30が移動する第2移動区間では振動付与手段50で接地部40を振動させない。
すなわち、振動制御手段60は、複数の移動区間の中の上述した第1移動区間では、振動付与手段50による振動を発生させ、第2移動区間では、振動付与手段50による振動を発生させないように制御する。
振動制御手段60は、歩行時に接地部40が最上方真下位置110から最前方位置80を経由して真下位置100に戻るまでは振動付与手段50による振動を発生させ、接地部40が最下方真下位置120から最後方位置90を経由して真下位置100に戻るまでは振動付与手段50による振動を発生させないように制御する。
なお、本実施の形態では、接地部40が停止位置75と最上方真下位置110との間で移動する移動区間(E区間)では、振動を発生させないように制御しているが特にこれに限定されるものではなく振動を発生するように制御してもよい。
本実施の形態では、上述したようにA区間及びB区間である第1移動区間では振動付与手段50の振動を発生させ、C区間及びD区間である第2移動区間では振動付与手段50の振動を発生させていないが振動を発生するか否かの範囲の態様は特にこれに限定されるものではない。
具体的には例えば、脚型ロボットの歩行において、接地部40が最上方真下位置110から最前方位置80へ移動するA区間と、最前方位置80から最下方真下位置120へ移動するB区間と、最下方真下位置120から最後方位置90へ移動するC区間と、最後方位置90から最上方真下位置110へ移動するD区間とを繰り返すような場合、このB区間のとき振動付与手段50の振動を発生させるように設定し、A区間、C区間、D区間のときは振動付与手段50の振動を発生させないようにしてもよい。これにより、振動を発生させる範囲を少なくして電力コストの低減を図ることができる。
また例えば上述したA区間、B区間、D区間のとき振動付与手段50の振動を発生させるようにして、C区間のときは振動付与手段50の振動を発生させないようにしてもよい。砂を締め固めることが必要なC区間のとき振動の発生を止めて、その他の態様では振動を発生させて砂の液状化を促進させ、接地部40の沈下量を大きくすることができるものである。
また、さらに態様を細かい範囲で設定し、より詳細に振動の発生の有無を設定してもよいものである。
また、接地部40の下端に地面に接触しているか否かを検知可能な接触センサ等を設けて、地面に接触している領域範囲を検知することで、接地部40が真下位置100より前方にあって、接地部40が地面に接触している範囲で振動を発生させる等に設定してもよい。
すなわち第1移動区間は、脚材70の接地部40が最も前方の踏み込み位置で地面に接触してから股関節210の真下位置100である最下方真下位置120までの間であり、第2移動区間は、股関節210の真下位置100である最下方真下位置120から脚材70の接地部40が接地面を蹴り出し接地面から離れる蹴り出し位置までの間となる。
これにより、接地部40が地面に接触していないときの振動の発生を防止して、更なる電力コストの低減を図ることが可能となる。
図4は本実施の形態に係る脚材70の接地部40を砂を敷き詰めた地面上で振動付与手段50により振動を発生させた外観状態を示している。
振動付与手段50により振動を発生させている状態で接地部40を砂を敷き詰めた地面に接地すると、接地部40の周囲の砂が液状化に近い状態となり、接地部40を砂の中に沈下させて埋まらせることができる。
図5は粒状物に振動を加えた場合の考え方を示す概念図である。
固体では、分子がほとんど動かず、液体では分子がある程度、自由に動く。
振動を与えると粒子が対流により移動するブラジルナッツ効果や、流動床のように構成粒子がある程度、自由に動くことで発生する現象がある。
砂のような粒状物を敷き詰めた状態において振動を発生させると、構成する粒子が自由に動くことで液体の分子の動きに近くなり、流体に近いふるまいをすると推測される。
すなわち、振動により砂の粒子が強制的に動かされて流体に近いふるまいをすることで、振動を発生させている状態において、接地部40を砂に沈み込ませることができる。
さらに、本実施の形態では、上述したように振動を発生させて液状化させ、粒子をある程度、自由に移動させた後、接地部40を砂に沈み込ませた状態で振動を停止させることで、振動後の粒子の状態は、図6の右側の図のように、振動前の粒子の状態よりも密な状態にすることができる。これにより、歩行において、接地部40による最下方位置から後方への蹴り出しを確実なものにすることができるものである。
さらに、本実施の形態では、1足歩行によるものであったが、人と同様の2足歩行である場合には、一の脚材70(例えば右側の脚)が第2移動区間を移動してから第1移動区間の踏み込み位置に至るまでは接地部40が接地面から離れ、他の脚材70(例えば左側の脚)の接地部40が接地面に接地するように制御される。すなわち、一方の脚材70が接地面から離れている場合には、常に他方の脚材70が接地面に接地している状態となるように制御されるものである。
本実施の形態では、上述したような構成を有することにより、以下に示すような作用及び効果を奏する。
本体部20に取付けた移動機能部材30を回動(揺動)させることで、移動機能部材30に設けられた接地部40が接地面に接地して踏み込み、接地面を蹴り出すことで、本体部20が移動する。
ここで、接地面が砂地等の軟弱地面の場合、振動制御手段60が、移動機能部材30の第1移動区間では振動付与手段50で接地部40を振動させて軟弱地面を液状化(流動化)させる。これにより接地面を沈下させる。
次に、移動機能部材30が第1移動区間を移動した後、第2移動区間へ移動しているとき、振動制御手段60が振動付与手段50で接地部40を振動させない。このため、第2移動区間では、締め固められた軟弱地面の上を安定した状態で移動体10が移動することができる。
さらに具体的に説明すると、本実施の形態では、第1移動区間では、振動を発生させることで接地部40が接触する地面付近の砂等の粒状物を流動化させ、接地部40を自重により地面に沈下させる。
すなわち第1移動区間では、砂地等の軟弱地面の場合、振動付与手段50で接地部40を振動させることで、接地部40を振動により液状化した地面に深く沈みこませる。
一方、第2移動区間では、接地部40が沈下した状態で振動を停止させることで、地面の砂等の粒状物が締め固められ、地面全体の強度を上昇させ、反力としての支持力を得ることができ、本体部20を安定した状態で確実に移動させることができる。すなわち第2移動区間では、砂地等の軟弱地面の場合、振動を停止させた締め固めた地面を後方に確実に蹴ることができて、安定した歩行を確保することができる。
本実施の形態に係る脚型ロボットでは、第1移動区間と第2移動区間とを交互に繰り返し実行することで軟弱地盤上であっても本体部20を確実に移動させることができるものである。
また、脚材70が2個ある2足歩行の場合には、一の脚材70が第2移動区間を移動してから第1移動区間の踏み込み位置に至るまでは接地部40が接地面から離れ、他の脚材70の接地部40が接地面に接地することで、常にいずれかの脚材70が接地部40に接地していることになり、本体部20を連続して移動させることができ、スムーズな移動を確保することができる。
本実施の形態では、接地部40が移動する範囲の中で最も上方に位置する最上方真下位置110から脚材70を前方に出すことができるため、地面等の凹凸や地面上の障害物等に歩行が邪魔されることなく、接地部40を前方に繰り出すことができる。
また、接地部40が移動する範囲の中で最も下方に位置する最下方真下位置120から接地部40を後方に移動することで最も深く沈み込んだ位置から、振動を停止させた後の締め固まった地面を後方に蹴り出すことができ、脚型ロボットの歩行において前方に進む推進力を確実に得ることができる。
本実施の形態では、真下位置100が本体部20の重心の鉛直線上の位置に設定されていることで、真下位置100から後方に脚材70を蹴り出す際に最も大きな力を接地部40から地面に対して加えることができ、確実な歩行を確保することができる。
また、当該移動体10を停止させた状態でも脚材70を真下位置100に配置することで、安定した停止状態を得ることができる。
なお、本実施の形態では、移動体10として、脚型ロボットを取り上げ、移動機能部材30としては、この脚型ロボットにおける脚材70を説明したが、特にこれに限定されるものではない。
具体的には、例えば、移動体10が上述したような脚型ロボットではなく、自動車、バイクや、耕運機、トラクター等の農業用移動機械等である場合には、移動機能部材30として、当該移動体10が有する車輪等にしてもよいものである。そのような場合にも本実施の形態と同様に、繰り返される移動区間において、所定時間又は所定回転数の間、車輪に設けられた振動付与手段50により、車輪に振動を発生させて、地面の砂を液状化させて、車輪を地面中に深く沈み込ませ、振動を停止させることにより地面の砂を締め固めて、その状態で車輪が地面を確実にとらえることができるようにするものである。そのような振動を発生させる第1移動区間と、発生させない第2移動区間とを繰り返すことにより、砂状の地面をスリップ等することなく、確実に走行することが可能となる。
(実施例1)
図7は、実施例であって、振動前、振動中、振動後のベーン剪断試験結果を示す説明図である。
砂を敷き詰めた水平面状に図4に示すように振動付与手段50を有する接地部40を当てて、振動を発生させる前(振動前)と、振動を発生させている状態(振動中)と、振動を停止させた後(振動後)との近傍の砂の剪断強さをトルクドライバを用いたベーン剪断試験器により3回(トライアル1〜3)測定した。
その結果、振動前では、0.57、0.58、0.75となり、振動中では、0.29、0.34、0.31となり、振動後では、いずれも2.00以上の数値となった。すなわち、振動中の剪断強さが最も弱く、振動後の剪断強さが最も強く、その間に振動前の剪断強さが位置することになった。
外観上の変化としては、振動を開始すると、接地部40が砂の中に埋まりだす現象が認められた。
上記結果は、振動を発生させることにより、砂が液状化に近づき、砂の粒子が自由に移動し易くなることで接地部40が沈下したものと推測される。振動後は、液状化の後の砂の粒子の締め固めが行われて、剪断強さが大きくなったものと推測される。
(実施例2)
図8に示すように、砂を敷き詰めた傾斜地面での歩行試験を行った。
その歩行試験の結果、前進距離を振動有りと振動無しとで同一時間での前進距離により比較し、その試験結果を棒グラフにして、地面の傾斜角度0度の場合(図9)と、地面の傾斜角度9度の場合(図10)とで示した。
図9及び図10中の「振動有り」は、本実施の形態で説明したように、歩行において接地部40が真下位置100より前方のとき振動を発生させ、接地部40が真下位置100より後方のとき振動を発生させないものである。すなわち、A区間及びB区間を第1移動区間に設定し、C区間及びD区間を第2移動区間に設定しているものである。
また、図9及び図10中の「振動無し」は、歩行の全て(A、B、C、D区間の全て)において、振動付与手段50による振動を発生させないものである。
試験の結果、傾斜角度0度、9度のいずれの場合であっても、「振動有り」の方が、歩行による前進距離が大きくなった。特に傾斜角度の大きい9度の方が、「振動有り」と「振動無し」との前進距離の差の値が大きくなった。
具体的には、試験の結果、傾斜角度0度の場合、振動の有無で37mm〜93mmの差が認められた。傾斜角度9度の場合、振動の有無で310mm程度の差が認められた。
外観的には、傾斜角度0度の場合は、振動無しでも歩行における接地部40と砂との滑りはあまり認められなかったのに対して、傾斜角度9度の場合は、大きな滑りが認められた。
これにより、傾斜角度の大きい方が、砂が崩れやすく、振動後の締め固めによる効果が顕著に出やすいものと推測される。
(実施例3)
本実施例は、上述した実施の形態のように移動機能部材30が地面としての砂面に振動付与手段50により振動を与えた場合を想定して、砂面の状態(特に剪断強度)の変化を調査することにより、上述した実施の形態の理解を深めるための基礎的なデータを測定しているものである。
具体的には、本実施例では、振動の種類及び測定箇所を変えて、振動の種類による剪断強度の変化を確認する剪断強度測定試験を行った。
測定箇所は、図11に示すように、中央円形の箇所に振動付与手段50により後述するような種々の種類の振動を付与した。具体的には振動付与手段50の下方に後述するような円柱状のロッド520(図28参照)を用いて、振動を付与する。なお、当該ロッド520の円形下面が砂面に振動を付与する接地部40となる。そして、図11の振動中心から周囲に伸びる4本のライン1〜4、具体的には、0度のライン1、このライン1から90度右回転した90度のライン2、この90度のライン2からさらに90度回転した180度のライン3、この180度のラインからさらに90度右回転した270度のライン4と、振動箇所の中心から半径20mm、40mm、60mm、80mm、100mm、120mmの円周とが交差する箇所(図11中の黒丸箇所)の各ライン毎に6箇所、全部合計で24箇所において、上述したようなトルクドライバ(ハンドベーン)を用いたベーン剪断試験器を用いて剪断強度の試験を行った。
図12に示すように、接地部40は、地面に表面から5cmだけ沈下させ、固定させた状態で、振動付与手段50により振動を発生させている。そして、振動発生前と振動発生後に上述した剪断強度の測定を行っている。
具体的には後述するような種類の振動を、振動付与手段50で30秒間発生させた後、ベーン剪断試験器を用いて剪断強度の試験を行っている。
試験方法として、後述するような振動の各種類において、トライアル回数は10回実施し、それらの10回実施したベーン剪断試験器の試験結果の数値(Torqe(N・cm))の最大値、最小値及び平均値を算出している。(なお、後述する図14〜図25では、最小値を白抜きの四角形で示し、最大値を黒塗りの四角形で示し、平均値を黒丸で示し、最小値及び最大値の間を実線で示している。)
振動の種類としては、図13に示すように、振動の振幅(0mm、1mm、2mm、3mm、なお、ここで振幅は、片振幅ではなく、全振幅(いわゆるp−p(Peak to peak))を意味する。以下同様)と、振動の周波数(0Hz、10Hz、30Hz、50Hz)とを変えている。
具体的には、振動の種類としては、図13に示すように、記号1mm−30Hzは、振動の振幅が1mmで、周波数が30Hzであることを示し、記号2mm−30Hzは、振動の振幅が2mmで、周波数が30Hzであることを示し、記号3mm−30Hzは、振動の振幅が3mmで、周波数が30Hzであることを示し、記号1mm−10Hzは、振動の振幅が1mmで、周波数が10Hzであることを示し、記号1mm−50Hzは、振動の振幅が1mmで、周波数が50Hzであることを示している。なお、「振動無し」は、振動を発生させなかったものであって、振動の振幅が0mmで、周波数は0Hzとなる。
先ず最初に振動無しの場合について、上述したような箇所における剪断強度をベーン剪断試験器を用いて測定した結果を図14に示す。
図14に示す振動を発生させていない状態である「振動無し」の場合は、後述するように振動を発生させた試験との比較試験であって、振動を発生させる領域の中心から2cm〜12cm(20mm〜120mm)の間で、剪断強度の相違は、特に見られず、いずれの測定箇所においても、剪断試験器の剪断強度の数値は、0.2〜0.5N・cmの範囲に略含まれるような結果になった。測定試験結果の数値に若干のバラツキは認められるが、誤差の範囲と考えられる。
次に、振動の種類として、振動の振幅が1mmで、振動の周波数が30Hzとなる1mm−30Hzの振動を発生させた場合の各測定箇所の剪断強度の値を図15に示している。
図15では、図14の振動無しの場合と比較して、ベーン剪断試験器による剪断強度の数値が全体的に大きくなっており、図5〜図7で説明したように、振動を発生させ、その後、停止させたことにより、砂の粒子の液状化及びその後の砂の粒子の締め固めが行われて、剪断強さが、振動無しの場合よりも大きくなったものと推測される。
さらに、各測定箇所における試験結果に着目すると、接地部40からの距離が近い近傍において、剪断強さが大きくなるような傾向が明瞭に見られる。
具体的には、接地部40からの距離が20mmである2cm−1〜4の試験結果の数値が最も高くなっている。次に接地部40からの距離が40mmである4cm−1〜4の試験結果の数値が次に高く、次に接地部40からの距離が60mmである6cm−1〜4の試験結果の数値が次に高く、さらに接地部40からの距離がさらに80mm、100mm、120mm離れている8cm−1〜4、10cm−1〜4、12cm−1〜4の試験結果の数値に、大きな差異は見られないような結果となっている。
次に、振動の種類として、振動の振幅が2mmで、振動の周波数が30Hzとなる2mm−30Hzの振動を発生させた場合の各測定箇所の剪断強度の値を図16に示す。
図16で示す試験結果の傾向は、図15で説明した試験結果と同様の傾向を有しており、各測定箇所に着目すると、接地部40からの距離が近い近傍において、剪断強さが大きくなるような傾向が見られる。
さらに、図15の1mm−30Hzの振動を発生させた場合と比較して、ベーン剪断試験器の剪断強度の数値が全体的に大きくなっており、振動の振幅が1mmから2mmに変化して振幅の大きな振動を発生させたことにより、図5〜図7で説明したような振動発生による砂の粒子の液状化効果がより高まって、その後の砂の粒子の締め固めもより強固になり、剪断強さが、1mm−30Hzよりも大きくなったものと推測される。
次に、振動の種類として、振動の振幅が3mmで、振動の周波数が30Hzとなる3mm−30Hzの振動を発生させた場合の各測定箇所の剪断強度の値を図17に示す。
図17で示す試験結果の傾向は、図15や図16で説明した試験結果と同様の傾向を有しており、各測定箇所に着目すると、接地部40からの距離が近い近傍において、剪断強さが大きくなるような傾向が明瞭に見られる。
さらに、図15の1mm−30Hzや、図16の2mm−30Hzの振動を発生させた場合と比較して、ベーン剪断試験器の剪断強度の数値が全体的に大きくなっており、振動の振幅が1mmや2mmから3mmの振幅の大きな振動を発生させたことにより、図5〜図7で説明したような振動発生による砂の粒子の液状化効果がより高まって、その後の砂の粒子の締め固めもより強固になり、剪断強さが、1mm−30Hzや2mm−30Hzよりも大きくなったものと推測される。
次に、振動の種類として、振動の振幅が1mmで、振動の周波数が10Hzとなる1mm−10Hzの振動を発生させた場合の各測定箇所の剪断強度の値を図18に示す。
図18に示す試験結果の傾向は、図15〜図17で説明した試験結果と同様の傾向を有しており、各測定箇所に着目すると、接地部40からの距離が近い近傍において、剪断強さが大きくなるような傾向が明瞭に見られる。
さらに、図15の1mm−30Hzの振動を発生させた場合と比較して、ベーン剪断試験器の剪断強度の数値が全体的に小さくなっており、振動の振幅は、両者とも1mmで同じだが、振動の周波数が30Hzから10Hzに低周波数となったことにより、図5〜図7で説明したような振動発生による砂の粒子の液状化効果が小さくなって、その後の砂の粒子の締め固めも少し弱くなり、剪断強さが、1mm−30Hzよりも小さくなったものと推測される。
次に、振動の種類として、振動の振幅が1mmで、振動の周波数が50Hzとなる1mm−50Hzの振動を発生させた場合の各測定箇所の剪断強度の値を図19に示す。
図19で示す試験結果の傾向は、図15〜図18で説明した試験結果と同様の傾向を有しており、各測定箇所に着目すると、接地部40からの距離が近い近傍において、剪断強さが大きくなるような傾向が明瞭に見られる。
さらに、この図19に示す1mm−50Hzの結果は、図15の1mm−30Hzの振動を発生させた場合と比較して、ベーン剪断試験器の剪断強度の数値は全体的に近い値となっている。振動の振幅は、両者とも1mmで同じだが、振動の周波数が30Hzから50Hzの高周波数となったことによる周波数の顕著な傾向は見らず、砂の粒子の同様の締め固めが発生したものと推測される。
上述した図14〜図19で説明した振動無し、1mm−30Hz、2mm−30Hz、3mm−30Hz、1mm−10Hz、1mm−50Hzの試験結果を、同一ライン上という別の観点でまとめたものを図20(振動無し)、図21(1mm−30Hz)、図22(2mm−30Hz)、図23(3mm−30Hz)、図24(1mm−10Hz)、図25(1mm−50Hz)で説明する。
図20〜図25において、(A)は図中のライン1の方向における測定結果、(B)は図中のライン2の方向における測定結果、(C)は図中のライン3の方向における測定結果、(D)は図中のライン4の方向における測定結果を示している。そして、各ライン方向において、振動を発生させた領域からの距離が2cm、4cm、6cm、8cm、10cm、12cmの各点での測定結果を示している。
図20〜図25の(A)〜(D)のいずれのラインにおいても、図14〜図19で説明した試験結果と同様の傾向である。図20に示すように、振動を発生させない振動無しの場合には、図14で説明した内容と同様であって、いずれの距離及びいずれのラインにおいても、ベーン剪断試験器の剪断強度の数値は、若干のバラツキはあっても略0.2〜0.5N・cmの範囲に略含まれており、いずれのライン及びいずれの距離において、特定の傾向は見られない。
1mm−30Hzの振動を発生させた場合を示す図21では、若干のバラツキはあっても、これまで説明したものと同様に、接地部40からの距離が近い近傍において、剪断強度試験結果の数値は高くなっており、全てのラインにおいて、接地部40からの距離が離れるほど、略連続的に剪断強度試験結果の数値が低下する傾向が認められ、各ラインにおいて、著しく不連続となるようなものは特に発生しておらず、砂が接地部40に近い程、固まっていることが明瞭に見られる。ライン1〜4における各ライン毎の差異は、特に明確な差異の傾向は見られなかった。
同様に図22において、2mm−30Hz、図23において、3mm−30Hz、図24において、1mm−10Hz、図25において、1mm−50Hzの振動を発生させた場合の各ライン毎の各測定箇所の剪断強度の測定値を示している。
図22〜図25では、上述した図21で説明した傾向と略同様であって、各ラインにおいて、接地部40からの距離が近い近傍において、剪断強度試験結果の数値は高くなっており、全てのラインにおいて、接地部40からの距離が離れるほど、略連続的に剪断強度試験結果の数値が低下する傾向が認められ、各ラインにおいて、剪断強度試験結果の数値が著しく不連続となるようなものは特に発生しておらず、砂が接地部40に近い程、固まっていることが明瞭に見られる。また、図22〜図25において、ライン1〜4における各ライン毎の差異は、特に明確な差異の傾向は見られなかった。
上述した剪断強度試験結果の数値に若干のバラツキはあるが、例えば、接地部40からの距離が同一となる同心円上の測定点の剪断強度試験結果の数値は、本来であれば、また、試験回数をもっと増加すれば、同一の数値に収束するものと考えられるが、砂の厳密な粒度分布の相違(バラツキ)や、砂の各粒の形状や、粒度分布や形状の異なる砂の詰め方の微妙な相違(バラツキ)によって、振動の伝達も微妙に異なってくるものと推測され、振動後の剪断強度に影響を及ぼす砂の固さも微妙に変化することで、剪断強度実験結果の数値にも若干の相違(バラツキ)が発生すると思われる。
図26は、図14、図15、図16、図17で示したデータを用いて、振動無しと、振動有り(振動の種類(1mm−30Hz、2mm−30Hz、3mm−30Hz))とで振動の振幅に着目してまとめた棒グラフである。
振動無しと、振動有りとでは、これまで説明したように、明確な傾向が見られ、振動無しの場合よりも、振動有りの方が、接地部40の近くになるほど、剪断強度試験結果の数値は高くなって砂が固まっており、接地部40からの距離が離れるほど、剪断強度試験結果の数値は低くなり、振動無しの数値に寄っていく傾向が見られた。
さらに、振動の周波数30Hzにおいて、振動の振幅が1mm、2mm、3mmと大きくなるほど、バラツキがあって明確に断定はできないものの、概ね大きくなるような傾向が見られた。振動の振幅が大きい程、砂への振動の影響が大きくなり、振動による液状化や、振動停止後の締め固めも大きくなっているものと推測される。
図27は、図14、図15、図18、図19で示したデータを用いて、振動無しと、振動有り(振動の種類(1mm−10Hz、1mm−30Hz、1mm−50Hz))とで主に振動の周波数に着目してまとめた棒グラフである。
振動無しと、振動有りとでは、これまで説明したように、明確な傾向が見られ、振動無しの場合よりも、振動有りの方が、接地部40の近くになるほど、剪断強度試験結果の数値は高くなっており、砂が固まって、接地部40からの距離が離れるほど、剪断強度試験結果の数値は低くなり、振動無しの数値に寄っていく傾向が見られた。
さらに、振動の振幅1mmにおいて、振動の周波数を10Hz、30Hz、50Hzと変化させた場合の剪断強度試験結果の数値は、10Hzの剪断強度試験の数値が、30Hz及び50Hzの剪断強度試験の数値よりも全体的に低い傾向にあった。30Hzと50Hzとの剪断強度試験の数値は、若干のバラツキはあっても、全体的に数値が近いものになっており、特に顕著な傾向は見られなかった。
(実施例4)
本実施例は、上述した実施の形態のように移動機能部材30が地面としての砂面に振動付与手段50により振動を与えた場合を想定して、振動により砂面の状態が変化した場合の移動機能部材が受ける抵抗力を調査することにより、上述した実施の形態の理解を深めるための基礎的なデータを測定しているものである。
図28に示すような牽引試験機280を用いて、振動の種類により、力センサ510を用いて、砂からなる地面から受ける移動機能部材30を想定した移動体10としての移動ユニット290の牽引力を測定した。なお、特に図示していないが、モーションキャプチャにより、移動体10の動作や振動付与手段50の振動による沈下量等も測定している。
なお、図28では、上述した実施例3で用いたロッド520が取り付けてある。このロッド520は、振動付与手段50により発生させた振動を砂に付与するための円柱状のものである。本実施例では、牽引力を測定する場合には、後述する図30(C)に示すように、当該ロッド520の代わりに、試験用車輪570を取り付けて実施している。
図28を用いて、牽引試験機280について説明する。
牽引試験機280は、大きく3つの領域に分類され、具体的には、下部に位置して、移動体10としての移動ユニット290を移動させるための領域であるアクチュエータ部300と、このアクチュエータ部300の上に位置して、地面として砂を敷き詰めた砂タンク部400と、この砂タンク部400の上に位置して、上述した実施例における振動付与手段50を有すると共に、移動機能部材30としての移動体10としての脚型ロボットにおける脚材70や、移動体10としての耕運機等の車輪に対応する試験用車輪570等が配置される領域である脚部500とを備えている。
アクチュエータ部300は、回転軸330に回転駆動力を付与するモータ310と、このモータ310の回転数を調整するための歯車等を有する回転調整部320と、回転調整部320により調整された回転で回転可能であると共に外周表面にねじ山が設けられている回転軸330と、この回転軸330のねじ山にねじ込まれるナットを有すると共に移動ユニット290に固定されているナット部340とを備えている。すなわち、モータ310の回転により回転軸330を回転させることで、回転軸330のねじ山にねじ込まれているナットを有するナット部340を回転軸330の軸方向に移動させることができ、それにより、ナット部340が固定されている移動ユニット290を回転軸330の軸方向に一定の速度で移動させることができるように形成されている。これにより、図29(A)、(B)に示すように、移動体10に相当する移動ユニット290を回転軸330の軸方向へ移動することができるものである。
砂タンク部400は、上方側に開口する箱状の砂タンク410を有しており、当該砂タンク410の内部には、所定の高さまで略均一な砂が敷き詰められている。この砂タンク410は、移動ユニット290とは一緒に移動しないようにアクチュエータ部300と一体であって所定位置に固定されている。
移動体10としての移動ユニット290は、直方体の辺に相当する位置にある枠状の枠体292と、この枠体292の下部に設けられた移動用車輪567、568により、図28の左右方向(具体的には、回転軸330の軸方向)へ自由に移動可能に形成されている。
そして、枠体292の上部から下方に向かって中央付近にまで設けられた複数本のスライド軸562,566が設けられ、一方のスライド軸562には、当該スライド軸562を上下方向に自由にスライド可能なスライド部560が設けられ、他方のスライド軸566には、当該スライド軸566を上下方向に自由にスライド可能なスライド部564が設けられている。
一方のスライド部560には、種々の種類の振動を発生させて下方側に付与可能な振動付与手段50が設けられている。
図28では、振動付与手段50が振動を下方のロッド520に付与しており、当該ロッド520は、実施例3で行った試験において、図11に示すように、中央の振動を付与する領域に対して、当該ロッド520の下面の接地部40を介して振動を付与していたものである。
本実施例において、牽引力を測定する場合には、上述したようなロッド520の代わりに、図30(A)(B)(C)に示すような、試験用車輪570を、図30(C)に示すように、後述する力センサ510の下部に支持部材574と、試験用車輪570の回転軸である試験用車輪軸572とを介して、取り付けられている。すなわち、振動付与手段50の振動は、図30(C)に示すように力センサ510及び支持部材574を介して、試験用車輪軸572に伝達され、試験用車輪570全体を振動させることができるように形成されている。
この試験用車輪570は、図30(A)(B)(C)に示すように、全体形状が円筒状であって(具体的には、試験用車輪570は、直径が200mm、幅が100mmのものを使用)、円筒状の外周面には、放射状に延びる突条片571が均等に配置されている。
この牽引試験機280には、振動付与手段50の下部にあって振動を付与する部分と、振動が付与されるロッド520又は試験用車輪570との間には、試験用車輪570等に加わる力を測定可能な力センサ510が設けられている。
この力センサ510は、X軸、Y軸、Z軸等の複数の分力を歪みゲージで検出し、所定信号に変換することで、移動ユニット290の移動と共に試験用車輪570が移動する際、当該試験用車輪570に地面としての砂から加わる抵抗力等の力を測定可能に形成されている。
なお、この抵抗力は、実際に車輪を回転させるような場合の牽引力に強い影響を及ぼす数値となるものであり、抵抗力が大きい程、大きな牽引力を有することが可能となるものである。
上述したような牽引試験機280において、ロッド520(又は試験用車輪570)、力センサ510及び振動付与手段50は、一方のスライド部560に固定されており、このスライド部560がスライド軸562に沿って上下方向に移動すると、これらのロッド520(又は試験用車輪570)、力センサ510及び振動付与手段50もスライド部560と共に移動可能に形成されている。
他方のスライド部564には、重り540が設けられ、他方のスライド部564と、一方のスライド部560との間には、2個の滑車550、滑車552を介してワイヤ530で連結され、スライド部560及びスライド部564は、ワイヤ530を介して連動して上下方向に移動可能に形成されている。
したがって、重り540の重量を調整することにより、所望の重量で、振動付与手段50、力センサ510及びロッド520(又は試験用車輪570)を地面としての砂の表面に載置することが可能に形成されている。
さらに、モータ310を回転させることで、回転軸330及びナット部340を介して、移動ユニット290を移動させ、その際に地面としての砂面から試験用車輪570に加わる力(抵抗力)を力センサ510により測定可能に形成されているものである。
上述したような牽引試験機280を用いて、ロッド520の代わりに、上述したような試験用車輪570を用いて、移動体10としての移動ユニット290をアクチュエータ部300により移動させたときの試験用車輪570に加わる抵抗力の数値を、振動付与手段50による振動の有無、及び、異なる振動の種類(具体的には、異なる振動の周波数)で比較する実験を行った。
「振動なし(normal)」の場合は、試験用車輪570を砂面に接地させ、移動ユニット290を移動させ、そのときの抵抗力を力センサ510により測定した。
また、振動を付与する場合には、図31に示すように、試験用車輪570を砂面に接地し、振動を30秒間、付与した後、振動を停止させ、その後、移動ユニット290を移動させて、そのときの抵抗力を力センサ510により測定した。
なお、その他の条件は、図31に示すように、試験用車輪570の車輪重量は、3.5kgとなるように設定している。試験用車輪570が1回転する間、測定を行うと共に、トライアル回数は、5回として、その平均を算出した。振動付与手段50による振動の種類としては、振動の振幅(p−p)が2mmで、振動の周波数は、10Hz、20Hz、30Hz、40Hzのものを付与した。
先ず、図32に示すように、試験用車輪570を砂面に接地させ、振動を付与せずに、測定を行ったとき(normal)の結果を実線で示し、試験用車輪570を砂面に接地させた後に振動を30秒間付与したときの振動の種類が振幅2mm−周波数10Hzのものをピッチの短い点線で示し、振幅2mm−周波数20Hzのものをピッチの長い点線で示し、振幅2mm−周波数30Hzのものを1点鎖線で示し、振幅2mm−周波数40Hzのものを2点鎖線で示している。
その結果、図32に示すように、抵抗力(牽引力)は、試験用車輪570を振動付与手段50で振動を付与した近傍において、振動無しの場合と比較して、振動を付与した場合の方が、特に顕著に高い数値となっており、振動を付与し、その振動を停止させたことで、締め固まったことで、大きな抵抗力(牽引力)を発生させていることが解る。振動の種類として、周波数の相違(10Hz〜40Hz)では、10Hzの場合の抵抗値(牽引力)の数値が高めの数値が出現しているが、振動を付与した近傍における振動有りと振動無し程の明確な傾向は見られない。
なお、この実験において、振動を付与した場合、砂面が液状化することにより、いずれも30mmほどの試験用車輪570の沈下量(砂面からの試験用車輪570の沈み込み量(mm))が測定されている。
次に、この沈下量の影響を考慮して、振動無し(normal)の場合も、上述した振動を付与した場合と同等の沈下量30mmを設定し、すなわち、最初の状態において、砂面の表面から試験用車輪570を30mmだけ沈下させた(潜り込ませた)状態で、振動無し(normal)の測定実験を行って、振動有りの場合と比較している比較実験結果を図33に示す。
このときの振動無し(normal)の場合の測定結果も、図32で示したものと略同様の結果となり、振動を付与した近傍では、振動有りの場合の方が振動無しの場合よりも抵抗力が高くなる同様の結果が得られている。
すなわち、振動付与手段50により最初、振動を与えたときに試験用車輪570が沈下することで抵抗力の相違が発生したというよりは、振動を付与したことにより、振動を付与した周囲が締め固まったことによる抵抗力(牽引力)の相違が発生したものと思われる。
さらに、沈下量の影響を検証するために、上述した図32の振動無し(normal)の測定結果と、試験用車輪570を砂面に接地させた後に、試験用車輪570が沈下しないように試験用車輪570の上下方向の移動を制限した状態(上下方向に移動しないように固定した状態)で振動付与手段50により振幅2mmで周波数30Hzの振動を30秒間付与してから、上下方向に制限を解除し、上述したものと同様に抵抗力(牽引力)の測定実験を行った結果を図34に示す。
すなわち、本実験では、振動を付与しても試験用車輪570が沈下しないようにしているものである。この結果においても、振動を付与した場合の方が、抵抗力(牽引力)は振動無し(normal)の場合よりも高めの数値となっている。
すなわち、試験用車輪570に振動を付与して、沈下させないようにしていても、振動を付与し、振動を停止させたことにより、砂面の締め固めが行われて、全体的に抵抗力(牽引力)が高めになっている。振動無しの場合より振動有りの場合の方が抵抗力(牽引力)が高めになるのは、試験用車輪570の当初の砂面からの沈下量によるものではなく、振動による砂の締め固めによるものと推察される。
(実施例5)
次に、上述した牽引試験機280に取り付けた試験用車輪570を砂面に接地させて振動付与手段50により振動を付与していないときの砂の剪断強度の値と、振動を付与した後の剪断強度の値とを、ベーン剪断試験器を用いて、測定する比較実験を行った。
図35(A)の上面図に示すように、試験用車輪570の進行方向の前面側近傍の2箇所の測定点575において、ベーン剪断試験器により剪断強度の値を振動付与手段50により振動を付与する前(a振動前)と、振動を付与した後(b振動後)とで、図35(B)に示すような条件で測定を行った。すなわち、試験用車輪570の車両重量を3.5kgとなるように設定し、振動を付与する場合の振動の種類は、振幅が2mmで、周波数が30Hzの振動を30秒間、付与し、(a振動前)及び(b振動後)の剪断強度の測定をトライアル回数5回で行った。その結果を、図36の(a振動前)と、(b振動後)とに示す。
図36に示すように、(a振動前)の剪断強度の数値よりも、(b振動後)の剪断強度の数値が、平均して、約0.81cN/m程、高めの数値となった。すなわち、本実施例のような試験用車輪570の前側近傍においても、振動付与手段50の振動による締め固めの効果は顕著な傾向として見られた。
(実施例6)
上述した内容や各実験結果等により、二足歩行ロボットの脚材70だけではなく、特殊車両等の移動体10における移動機能部材30としての車輪においても、振動を付与することにより、車輪自体を振動させ、車輪の周囲の砂面を液状化させ、車輪を沈下させると共に砂面内部に食い込ませ、その後、振動を停止させることで周囲の砂面を締め固め、その締め固められた砂面において、食い込ませた車輪の回転により、車輪のトルクを締め固められた周囲の砂にロスなく伝達させることができることが推察される。
しかし、その車輪をさらに回転させ続けると、車輪周囲の砂は締め固められた状態が変化して全体的に締め固められていない柔らかな状態になってきて、振動による締め固めの効果を連続して享受することができない状態が発生する虞がある。
図33に示すように、種々の種類の振動を付与した場合と、振動を付与していない場合とを比較しても、振動の付与及び停止による砂の締め固めの効果が認められるのは、振動を付与した近傍、すなわちスタートからT時間(図33において、振動有りの場合の牽引力が振動無しの場合よりも明らかに上昇している時間)までは、顕著に相違があるが、その後は、振動の有無による差は少なくなる。
すなわち、振動の付与及び停止後、所定時間T経過後は、車輪を回転し続けても、砂からの反力(牽引力、抵抗力)は、振動を全く付与しない場合と同様のものになる。
したがって、振動の付与及び停止による砂面の締め固め効果が認められ牽引力が振動無しの場合と比較して上昇している時間Tだけ車輪を回転させることが考えられる。すなわち、この時間Tに対応した車輪の回転量に相当する回転角度(θ)だけ車輪を回転させ、その後、車輪の回転を停止させる。
さらに、振動を付与し、その後、振動を停止させて、再度、周囲の砂面の締め固めを行い、振動による締め固めの効果が発生してから、また、車輪を回転させるという手順(サイクル)を何度も繰り返すことにより、継続して、振動付与による砂面の締め固めの効果を継続的に享受することができる。
図37を用いて、上述したような振動シーケンス処理の内容をフローチャートで説明する。
先ず、S100において、車輪に振動を付与可能な振動付与手段50の作動を開始し、振動を付与する。そして、次のS101に進む。
S101において、所定時間経過後、振動付与手段50の作動を停止して、振動の付与を停止する。そして、次のS102に進む。
S102において、車輪の駆動を開始する(車輪の駆動モータがONとなる)。なお、車輪の回転量(回転角度)は、上述した時間Tに基づく予め定めた指定量θに設定されている。そして、次のS103に進む。
S103において、予め定めた指定量θまで車輪が回転した後、車輪の駆動が停止される(車輪の駆動モータがOFFとなる)。そして、最初のS100に戻る。
すなわち、振動シーケンス処理は、上述したS100、S101、S102、S103、S100、S101、S102、S103、S100・・・・と、上述したS100、S101、S102、S103の処理を何度も繰り返すことで、車輪周囲の砂面の締め固めを繰り返して、砂面のような軟弱地盤であっても、効果的に確実な移動を連続的に確保することができるものである。
さらに図38を用いて、振動シーケンス処理について砂の状態と共に説明する。
図38に示すように、振動付与手段50による振動を開始していない振動前Aの状態では、砂は、閉め固まった状態ではなく、砂粒子間の距離は、ある程度、離れた初期状態となる。
そして、振動付与手段50により車輪を介して砂面に振動を付与している状態の振動中Bでは、砂は、振動によりある程度、自由に移動可能な状態となって、流動化し、一種の液状化のような状態となる。この際、車輪は自重により砂内部に沈下することになる。
そして、振動を停止させている振動後Cの状態では、振動により離れていた砂粒子間の距離が、振動停止により小さくなり、振動前の状態よりも、より均一に配置され、砂の密度が上昇し、締め固めの効果が発揮されている状態となる。
そして、車輪を駆動させている状態では、上述した振動の付与及び停止による締め固めの効果により、車輪の外周表面が締め固められた砂に食い込み、車輪の回転による砂からの反力である牽引力(抵抗力)を十分に発揮できる状態となる。
上述したように、車輪の牽引力において、振動による締め固めの効果(牽引力増加)が図33の時間Tに示すように、最初の部分(時間T)で顕著に表れることにより、本実施例では、「振動付与及び停止、車輪の回転開始及び停止」という図38に示す振動前A、振動中B、振動後C、車輪駆動Dというサイクルを、図37に示すような振動シーケンス処理を用いて、何度も繰り返すことで、振動による締め固めの最初の時間Tにおける顕著な効果を継続して得ることができる。
なお、上述した実施例は、月面上を走行可能な月面探査機や、トラクター、耕運機等の軟弱地盤等の特殊車両としての移動体10を対象としているものである。回動可能に取り付けられている移動機能部材30は、これらの特殊車両である移動体10に取り付けられている車輪であり、車輪の接地面に接地する外周部分が接地部40となる。
そして、振動付与手段50により振動させている第1移動区間が図38の振動中Bの区間であり、振動を付与していない第2移動区間が図38の振動後C及び車輪駆動Dの区間に対応するものである。なお、本実施例では、振動中に車輪を回転させていないが、回転させるようにしてもよい。
10 移動体 20 本体部
30 移動機能部材 40 接地部
50 振動付与手段 60 振動制御手段
70 脚材 75 停止位置
80 最前方位置 90 最後方位置
100 真下位置 110 最上方真下位置
120 最下方真下位置 210 股関節
220 膝関節 230 大腿部
240 下腿部 250 補助脚材
280 牽引試験機 290 移動ユニット
292 枠体 300 アクチュエータ部
310 モータ 320 回転調整部
330 回転軸 340 ナット部
400 砂タンク部 410 砂タンク
500 脚部 510 力センサ
520 ロッド 530 ワイヤ
540 重り 550 滑車
552 滑車 560 スライド部
562 スライド軸 564 スライド部
566 スライド軸 567 移動用車輪
568 移動用車輪 570 試験用車輪
571 突条片 572 試験用車輪軸
574 支持部材 575 測定点

Claims (3)

  1. 本体部と、
    前記本体部を移動させるため前記本体部に回動可能に取付けられた移動機能部材と、
    前記移動機能部材が接地面に接地する部分に設けられた接地部と、
    前記接地部を振動させる振動付与手段と、
    前記移動機能部材が移動する第1移動区間では前記振動付与手段で前記接地部を振動させ、前記第1移動区間を移動した後の前記移動機能部材が移動する第2移動区間では前記振動付与手段で前記接地部を振動させない振動制御手段と、
    を有する移動体。
  2. 前記移動機能部材は、回動する股関節と膝関節を備え先端部に前記接地部が設けられた複数の脚材であり、
    前記第1移動区間は、前記脚材の前記接地部が最も前方の踏み込み位置から前記股関節の真下位置までの間であり、
    前記第2移動区間は、前記股関節の真下位置から前記脚材の前記接地部が接地面を蹴り出し接地面から離れる蹴り出し位置までの間である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の移動体。
  3. 一の前記脚材が前記第2移動区間を移動してから前記第1移動区間の踏み込み位置に至るまでは前記接地部が前記接地面から離れ、他の前記脚材の前記接地部が接地面に接地するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の移動体。
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