JP2019087577A - 半導体装置 - Google Patents

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Shunpei Yamazaki
舜平 山崎
俊光 生内
Toshimitsu Ubunai
俊光 生内
正寛 渡邊
Masahiro Watanabe
正寛 渡邊
佳代 熊倉
Kayo Kumakura
佳代 熊倉
岡崎 健一
Kenichi Okazaki
健一 岡崎
泰靖 保坂
Hiroyasu Hosaka
泰靖 保坂
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行徳 島
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Abstract

【課題】ノーマリオフで、電気特性の良好な半導体装置を提供する。消費電力が低減された半導体装置を提供する。【解決手段】トランジスタ100は、基板102上に設けられ、絶縁層103、絶縁層104、金属酸化物層108、絶縁層110、絶縁層114、導電層112、絶縁層115等を有する。金属酸化物層108の一部は、半導体として機能する。導電層112の一部は、ゲート電極として機能する。第1の金属酸化物層108aにおいて酸素が脱離し、酸素欠損(Vo)が発生する場合がある。該酸素欠損(Vo)に窒素が入ることでVoNが形成され、第1の金属酸化物層108aは負の固定電荷を保持する場合がある。負の固定電荷を保持する第1の金属酸化物層108a上に、チャネル形成領域を有する第2の金属酸化物層108bを設けることで、ノーマリオフの電気特性を有し、かつオン電流が高いトランジスタを得ることができる。【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、半導体装置に関する。
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
トランジスタに適用可能な半導体材料として、金属酸化物を用いた酸化物半導体が注目されている。例えば、特許文献1では、複数の酸化物半導体層を積層し、当該複数の酸化物半導体層の中で、チャネルとなる酸化物半導体層がインジウム及びガリウムを含み、且つインジウムの割合をガリウムの割合よりも大きくすることで、電界効果移動度(単に移動度、またはμFEという場合がある)を高めた半導体装置が開示されている。
半導体層に用いることのできる金属酸化物は、スパッタリング法などを用いて形成できるため、大型の表示装置を構成するトランジスタの半導体層に用いることができる。また、多結晶シリコンや非晶質シリコンを用いたトランジスタの生産設備の一部を改良して利用することが可能であるため、設備投資を抑えられる。また、金属酸化物を用いたトランジスタは、非晶質シリコンを用いた場合に比べて高い電界効果移動度を有するため、例えば表示装置と駆動回路を一体形成した高機能の表示装置を実現できる。
また、特許文献2には、ソース領域およびドレイン領域に、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、チタン、シリコン、ゲルマニウム、スズ、および鉛からなる群のうちの少なくとも一種をドーパントとして含む低抵抗領域を有する酸化物半導体膜が適用された薄膜トランジスタが開示されている。
特開2014−7399号公報 特開2011−228622号公報
本発明の一態様は、ノーマリオフ、かつ電気特性の良好なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、消費電力が低減されたトランジスタを提供することを課題の一とする。または、消費電力が低減された半導体装置を提供することを課題の一とする。または、消費電力が低減された電子機器を提供することを課題の一とする。または、新規なトランジスタを提供することを課題の一とする。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、新規な電子機器を提供することを課題の一とする。
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
本発明の一態様は、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、第3の絶縁層と、第1の導電層と、第1の金属酸化物層と、第2の金属酸化物層と、を有し、第1の金属酸化物層は、第1の絶縁層上に位置し、第2の金属酸化物層は、第1の金属酸化物層上に位置し、第1の導電層は、第2の金属酸化物層上に位置し、第2の絶縁層は、第2の金属酸化物層と第1の導電層の間に位置し、第3の絶縁層は、第1の絶縁層の上面、第1の金属酸化物層の側面、第2の金属酸化物層の上面の一部及び側面、第2の絶縁層の側面、並びに第1の導電層の側面及び上面を覆い、第1の金属酸化物層は、第2の金属酸化物層より窒素濃度が高い領域を有する、半導体装置である。
前述の半導体装置において、第1の金属酸化物層は、窒素濃度が1×1018atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下の領域を有すると好ましい。または、第1の金属酸化物層は、窒素の原子数比率が0.001atomic%以上10atomic%以下の領域を有すると好ましい。
前述の半導体装置において、第1の金属酸化物層と第2の金属酸化物層は、上面形状が概略一致すると好ましい。
前述の半導体装置において、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層はそれぞれ、Inと、元素Mと、Znと、を含み、元素Mは、Ga、Al、Si、B、Y、Sn、Cu、V、Be、Ti、Fe、Ni、Ge、Zr、Mo、La、Ce、Nd、Hf、Ta、W、またはMgから選ばれた一以上であると好ましい。
前述の半導体装置において、さらに第3の金属酸化物層を有し、第3の金属酸化物層は、第1の絶縁層と第1の金属酸化物層との間に位置し、第3の金属酸化物層は、第2の金属酸化物層より結晶性が高い領域を有すると好ましい。
前述の半導体装置において、第1の金属酸化物層と第3の金属酸化物層は、上面形状が概略一致すると好ましい。
前述の半導体装置において、第3の金属酸化物層はそれぞれ、Inと、元素Mと、Znと、を含み、元素Mは、Ga、Al、Si、B、Y、Sn、Cu、V、Be、Ti、Fe、Ni、Ge、Zr、Mo、La、Ce、Nd、Hf、Ta、W、またはMgから選ばれた一以上であると好ましい。
前述の半導体装置において、第3の絶縁層は、金属窒化物を含むと好ましい。または、第3の絶縁層は、アルミニウムを含むと好ましい。
前述の半導体装置において、第3の絶縁層は、第1の金属酸化物層より窒素濃度が高い領域を有すると好ましい。
前述の半導体装置において、第3の絶縁層と第2の金属酸化物層との界面近傍において、金属インジウムを有すると好ましい。
前述の半導体装置において、さらに第4の絶縁層を有し、第4の絶縁層は、第1の絶縁層の下に位置し、第4の絶縁層は、アルミニウム及びハフニウムの少なくとも一方と、酸素と、を含むと好ましい。
本発明の一態様によれば、ノーマリオフ、かつ電気特性の良好なトランジスタを提供できる。または、消費電力が低減されたトランジスタを提供できる。または、消費電力が低減された半導体装置を提供できる。または、消費電力が低減された電子機器を提供できる。または、新規なトランジスタを提供できる。または、新規な半導体装置を提供できる。または、新規な電子機器を提供できる。
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の構成例。 半導体装置の作製方法例を説明する図。 半導体装置の作製方法例を説明する図。 半導体装置の作製方法例を説明する図。 表示装置の上面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置の断面図。 表示装置のブロック図及び回路図。 表示装置のブロック図。 電気機器を説明する図。 表示モジュールの構成例。 電子機器の構成例。 電子機器の構成例。 電子機器の構成例。 テレビジョン装置の構成例。 試料の測定位置を説明する図。 金属酸化物膜のSIMSデプスプロファイル。 金属酸化物膜のSIMSデプスプロファイル。 金属酸化物膜の窒素濃度を示す図。 金属酸化物膜の密度を示す図。 金属酸化物膜のバンドギャップを示す図。 金属酸化物膜のXRDスペクトル。 金属酸化物膜のXRDスペクトル。 金属酸化物膜のキャリア密度を示す図。 トランジスタのId−Vgカーブ。 トランジスタのしきい値電圧を示す図。
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
また、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
また、本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではない。
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
また、本明細書等において、トランジスタが有するソースとドレインの機能は、トランジスタの極性や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」や「絶縁層」という用語は、「導電膜」や「絶縁膜」という用語に相互に交換することが可能な場合がある。
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い(pチャネル型トランジスタでは、Vthよりも高い)状態をいう。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置について説明する。以下では、半導体装置の一態様であるトランジスタについて説明する。
本発明の一態様は、絶縁層と、絶縁層上の第1の金属酸化物層と、第1の金属酸化物層上の第2の金属酸化物層と、第2の金属酸化物層上のゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上の第1のゲート電極と、を有するトランジスタである。
第1の金属酸化物層は、窒素を有することが好ましい。また、第1の金属酸化物層は、第2の金属酸化物層より窒素濃度が高い領域を有することが好ましい。
窒素を有する第1の金属酸化物層は、固定電荷を保持する層として機能する。第1の金属酸化物層は、その形成時、あるいは形成後に、第1の金属酸化物層に含まれる酸素の一部が窒素に置換される、あるいは第1の金属酸化物層中の酸素欠損(Voと表記する場合がある)に窒素が入ることで形成される。この構造は、ミッドギャップ、およびその近傍に状態を形成すると考えられる。このミッドギャップ、およびその近傍に状態が形成されると、同時に第1の金属酸化物層中に負の電荷が存在することになり、その電荷は第1の金属酸化物層内で固定される。すなわち、第1の金属酸化物層は、負の固定電荷を保持する。
負の固定電荷を保持する第1の金属酸化物層が、チャネル形成領域を有する第2の金属酸化物層と接するように設けられたトランジスタは、第1の金属酸化物層が設けられていないトランジスタと比較して、しきい値がプラス側にシフトする。これは、チャネル形成領域が、固定電荷による電界の影響を受けているためと考えられる。また、第1の金属酸化物層が、電荷を保持したフローティングゲートと同等の役割を有していると考えることができる。
なお、金属酸化物層中の酸素欠損(Vo)に窒素(N)が入ることをVoNが形成されると表記する場合がある。
第1の金属酸化物層内において、VoNが増加すれば、その分負の固定電荷は増加する。つまり、第1の金属酸化物中のVoN密度の増加により、固定電荷密度は増加する。第1の金属酸化物層中の固定電荷密度は、2.0×10+17以上1.0×10+19以下、好ましくは1.0×10+18以上1.0×10+19以下とするのが好ましい。第1の金属酸化物層中の負の固定電荷密度の増加に伴い、該トランジスタのしきい値は、プラス側にシフトする。第2の金属酸化物層と接するように第1の金属酸化物層を設けることで、ノーマリオフの電気特性を有するトランジスタを得ることができる。また、これにより消費電力が低減されたトランジスタ、半導体装置、および電子機器を得ることができる。
また、トランジスタのしきい値は、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を挟んで第1のゲート電極と対向する側に第2のゲート電極を設け、第2のゲート電極に電位を印加することでも制御可能である。第2のゲート電極はバックゲートとして機能するということができる。一方、該トランジスタを所望のしきい値に制御するため第2のゲート電極に印加する電位は、該トランジスタを有する半導体装置、あるいは電子機器の消費電力を増加させる場合がある。本実施の形態のように、第2の金属酸化物層と接するように第1の金属酸化物層を設けることで、第2のゲート電極に印加する電位の絶対値を小さくできるため好ましい。あるいは、第2の金属酸化物層と接するように第1の金属酸化物層を設けることで、所望のしきい値を有するトランジスタを得ることができる場合は、第2のゲート電極への電位の印加、あるいは第2のゲート電極自体が不要になるため好ましい。これにより、消費電力が低減されたトランジスタ、半導体装置、および電子機器を得ることができる。
第2のゲート電極に電位を印加することによるトランジスタの劣化が懸念される場合、第2の金属酸化物層と接するように第1の金属酸化物層を設け、第2のゲート電極に印加する電位を低減することで、トランジスタの劣化が抑制、あるいは劣化の程度が低減されるため好ましい。これにより、信頼性の向上したトランジスタ、半導体装置、および電子機器を得ることができる。
また、第2の金属酸化物層は、ソース領域及びドレイン領域として機能する一対の低抵抗領域を有する。低抵抗領域上には、金属窒化物を含む絶縁層が接して設けられる。第2の金属酸化物層に接して金属窒化物を含む絶縁層を設けることで、低抵抗領域の導電性を高める効果を奏する。さらに、第2の金属酸化物層に接して金属窒化物を設けた状態で加熱処理を行うと、より低抵抗化が促進されるため好ましい。
金属窒化物としては、アルミニウムを含むことが特に好ましい。例えば、アルミニウムをスパッタリングターゲットに用い、成膜ガスとして窒素を含むガスを用いた反応スパッタリング法により形成した窒化アルミニウム膜は、成膜ガスの全流量に対する窒素ガスの流量を適切に制御することで、極めて高い絶縁性と、水素や酸素に対する極めて高いブロッキング性を示す膜とすることができる。そのため、このような金属窒化物を含む絶縁膜(第1のバリア層ともいう)を、第2の金属酸化物層に接して設けることで、第2の金属酸化物層を低抵抗化させるだけでなく、第2の金属酸化物層から酸素が脱離すること、及び第2の金属酸化物層へ水素等の不純物が拡散することを好適に防ぐことができる。
金属窒化物として、窒化アルミニウムを用いた場合、当該窒化アルミニウムを含む絶縁層の厚さを5nm以上とすることが好ましい。このように薄い膜であっても、水素及び酸素に対する高いブロッキング性と、第2の金属酸化物層の低抵抗化の機能とを両立できる。なお、当該絶縁層の厚さはどれだけ厚くてもよいが、生産性を考慮し、500nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは50nm以下とすることが好ましい。
また、金属窒化物を含む絶縁層は、第1の金属酸化物層、第2の金属酸化物層、ゲート電極及びゲート絶縁層を覆うように設けることが好ましい。金属窒化物を含む絶縁層が、第1の金属酸化物層、第2の金属酸化物層、ゲート電極及びゲート絶縁層を覆う構成とすることで、水素等の不純物が、ゲート絶縁層を介して第1の金属酸化物層、第2の金属酸化物層に拡散することを防ぐことができる。さらに、第1の金属酸化物層、第2の金属酸化物層やゲート絶縁層に含まれる酸素が、外方に拡散することを防止することができる。
一方、第1の金属酸化物層の被形成面を成す酸化物を含む絶縁層よりも下側に、酸素及び水素を拡散しにくい絶縁層(第2のバリア層ともいう)を設けることが好ましい。これにより、基板等から第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層への水素の拡散、及び第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層からの酸素の脱離を好適に防ぐことが可能となり、極めて信頼性の高いトランジスタを実現できる。
本発明の一態様のトランジスタは、様々な回路や装置に適用することができる。例えば電子機器等に実装されるICチップ内の演算回路、メモリ回路、駆動回路、及びインターフェース回路などの各種回路、または、液晶素子や有機EL素子などが適用されたディスプレイデバイスや、各種センサデバイスにおける駆動回路などに好適に用いることができる。
以下では、本発明の一態様のトランジスタの、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
<構成例1>
図1(A)は、トランジスタ100の上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す一点鎖線A1−A2における切断面の断面図に相当し、図1(C)は、図1(A)に示す一点鎖線B1−B2における切断面の断面図に相当する。なお、図1(A)において、トランジスタ100の構成要素の一部(ゲート絶縁層等)を省略して図示している。また、一点鎖線A1−A2方向をチャネル長方向、一点鎖線B1−B2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。また、トランジスタの上面図においては、以降の図面においても図1(A)と同様に、構成要素の一部を省略して図示する場合がある。
トランジスタ100は、基板102上に設けられ、絶縁層103、絶縁層104、金属酸化物層108、絶縁層110、絶縁層114、導電層112、絶縁層115等を有する。
絶縁層103と絶縁層104は、基板102上に積層して設けられている。島状の金属酸化物層108は、絶縁層104の上面に接して設けられている。絶縁層104及び金属酸化物層108上には、絶縁層115と絶縁層118が積層して設けられている。絶縁層115及び絶縁層118は、金属酸化物層108と重なる領域に開口部が設けられている。また、絶縁層115は、絶縁層104の上面、金属酸化物層108の上面の一部及び側面、絶縁層110の側面、絶縁層114の側面、並びに導電層112の上面及び側面を覆うように設けられている。
金属酸化物層108の一部は、半導体として機能する。導電層112の一部は、ゲート電極として機能する。絶縁層110の一部は、ゲート絶縁層として機能する。トランジスタ100は、半導体上にゲート電極が設けられる、いわゆるトップゲート型のトランジスタである。
導電層112、絶縁層114及び絶縁層110は、上面形状が概略一致している。
本明細書等において「上面形状が概略一致」とは、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なり合わず、上層が下層の内側に位置することや、上層が下層の外側に位置することもあり、この場合も「上面形状が概略一致」という。
金属酸化物層108は、第1の金属酸化物層108aと、第1の金属酸化物層108a上の第2の金属酸化物層108bとの積層構造とすることが好ましい。また、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bは、上面形状が概略一致している。
第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bはそれぞれ、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有すると好ましい。特にMはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、またはスズとすることが好ましい。
特に、第1の金属酸化物層108a及び第2の金属酸化物層108bとしてそれぞれ、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。
第1の金属酸化物層108aは、前述の元素に加え、窒素を有することが好ましい。第1の金属酸化物層108aは、第2の金属酸化物層108bより窒素濃度が高い領域を有することが好ましい。
第1の金属酸化物層108aにおいて酸素が脱離し、酸素欠損(Vo)が発生する場合がある。該酸素欠損(Vo)に窒素が入ることでVoNが形成され、第1の金属酸化物層108aは負の固定電荷を保持する場合がある。負の固定電荷を保持する第1の金属酸化物層108a上に、チャネル形成領域を有する第2の金属酸化物層108bを設けることで、ノーマリオフの電気特性を有し、かつオン電流が高いトランジスタを得ることができる。また、これにより消費電力が低減されたトランジスタ、半導体装置、および電子機器を得ることができる。
第1の金属酸化物層108a中の窒素濃度は、1×1018atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下が好ましい。さらには、4×1018atoms/cm以上4×1021atoms/cm以下が好ましい。さらには、1×1019atoms/cm以上2×1021atoms/cm以下が好ましい。さらには、2×1019atoms/cm以上1×1020atoms/cm未満が好ましい。
または、第1の金属酸化物層108a中の窒素の原子数比率は、0.001atomic%以上10atomic%以下が好ましい。さらには、0.005atomic%以上5atomic%以下が好ましい。さらには、0.01atomic%以上3atomic%以下が好ましい。さらには、0.02atomic%以上0.1atomic%未満が好ましい。本明細書等において、窒素の原子数比率(atomic%)は、インジウム、M、亜鉛、酸素、窒素それぞれの原子数の合計に対する、窒素の原子数比率を示す。なお、本明細書等において、窒素の原子数比率を窒素濃度と記す場合がある。
窒素濃度(atoms/cm)、金属酸化物層の組成、及び密度(g/cm)から、窒素の原子数比率(atomic%)を算出できる。金属酸化物層の密度は、X線反射率法(XRR:X−ray Reflectivity)により評価できる。
第1の金属酸化物層108a中の窒素濃度又は窒素の原子数比率を前述の範囲とすることで、第1の金属酸化物層108aは固定電荷を保持する層として機能し、ノーマリオフの電気特性を有し、かつオン電流が高いトランジスタを得ることができる。また、これにより消費電力が低減されたトランジスタ、半導体装置、および電子機器を得ることができる。
本明細書等において、例えば、AはBより窒素濃度が高いと記す場合、Aの窒素濃度(atoms/cm)又は窒素の原子数比率(atomic%)がBのそれより高いことを示す。
第2の金属酸化物層108bは、第1の金属酸化物層108aより窒素濃度が低い領域を有することが好ましい。具体的には、第2の金属酸化物層108b中の窒素濃度は1×1018atoms/cm未満が好ましい。または、第2の金属酸化物層108b中の窒素の原子数比率は0.001atomic%未満が好ましい。
図2(A)、図2(B)及び図2(C)に示すように、金属酸化物層108は、さらに第3の金属酸化物層108cを有する構成としてもよい。第3の金属酸化物層108cは、第1の金属酸化物層108aと絶縁層104との間に設けられる。具体的には、金属酸化物層108は、第3の金属酸化物層108cと、第3の金属酸化物層108c上の第1の金属酸化物層108aと、第1の金属酸化物層108a上の第2の金属酸化物層108bとの積層構造とすることができる。また、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cは、上面形状が概略一致している。
図2(A)は、トランジスタ100Aの上面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す一点鎖線A1−A2における切断面の断面図に相当し、図2(C)は、図2(A)に示す一点鎖線B1−B2における切断面の断面図に相当する。
第3の金属酸化物層108cは、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有すると好ましい。特にMはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、またはスズとすることが好ましい。
特に、第3の金属酸化物層108cとして、インジウム、ガリウム、及び亜鉛を含む酸化物を用いることが好ましい。
第3の金属酸化物層108cは、第1の金属酸化物層108aより窒素濃度が低い領域を有することが好ましい。具体的には、第3の金属酸化物層108c中の窒素濃度は1×1018atoms/cm未満が好ましい。または、第3の金属酸化物層108c中の窒素の原子数比率は0.001atomic%未満が好ましい。
また、第3の金属酸化物層108cは、第2の金属酸化物層108bより結晶性が高い領域を有することが好ましい。第3の金属酸化物層108cは、第2の金属酸化物層108bより結晶性が高い領域を有することで、水素等の不純物が絶縁層104等から第2の金属酸化物層108bに拡散するのを抑制できる。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108c中の窒素濃度は、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary ion mass spectrometry)、X線光電子分光(XPS:Xray Photoelectoron Spectroscopy)、エネルギー分散型X線分析(EDX:Energy Dispersive X−ray Spectoroscopy)、オージェ電子分光(AES:Auger Electron Spectroscopy)、電子エネルギー損失分光法(EELS:Electron Energy−Loss Spectroscopy)等によって確認できる。ただし、分析手法によっては窒素が検出されない場合がある。または、窒素濃度が低い場合においても窒素が検出されない場合がある。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cの結晶性は、X線回折(XRD:X−ray Diffraction)、電子線回折(ED:Electron Diffraction)、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)像、走査透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscopy)像等で確認できる。
金属酸化物層108の絶縁層115と接する面の近傍に、低抵抗な領域108nを示している。
金属酸化物層108の導電層112と重畳する領域は、トランジスタ100のチャネル形成領域として機能する。一方、低抵抗な領域108nは、トランジスタ100のソース領域またはドレイン領域として機能する。
絶縁層115は、金属窒化物を含む絶縁膜を用いることができる。絶縁層115は、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロム、及びルテニウムなどの金属元素の少なくとも一と、窒素とを含むことが好ましい。特に、アルミニウムと窒素とを含む膜を用いると、極めて絶縁性が高いため好ましい。
絶縁層115に窒化アルミニウム膜を用いる場合、窒化アルミニウム膜中の窒素の原子数比率が0atomic%より高く、70atomic%以下が好ましい。さらには30%以上60%以下が好ましい。これにより、絶縁性に優れ、且つ熱伝導性に優れた膜とすることができるため、トランジスタ100を駆動したときに生じる熱の放熱性を高めることができる。
絶縁層115は、第1の金属酸化物層108aより窒素の原子数比率が高い領域を有することが好ましい。これにより、絶縁層115は絶縁性に優れた膜とすることができる。
または、絶縁層115として、窒化アルミニウムチタン膜、窒化チタン膜などを用いることができる。
領域108nは、金属酸化物層108の一部であり、チャネル形成領域よりも低抵抗な領域である。
ここで、金属酸化物層108として、インジウムを含む金属酸化物膜を用いた場合、領域108nの絶縁層115側の界面近傍に、金属インジウムが析出した領域、または、インジウム濃度の高い領域が形成されている場合がある。例えば、X線光電子分光法(XPS)等の分析で観測できる場合がある。
また領域108nは、チャネル形成領域よりもキャリア密度が高い領域、酸素欠陥密度の高い領域、またはn型である領域ともいうことができる。
また、金属酸化物層108に接する絶縁層104と絶縁層110には、酸化物膜を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの酸化物膜を用いることができる。これにより、トランジスタ100の作製工程における熱処理などで、絶縁層104や絶縁層110から脱離した酸素を金属酸化物層108のチャネル形成領域に供給し、金属酸化物層108中の酸素欠損を低減することができる。
本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素より酸素の含有量が多いものを指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として酸素より窒素の含有量が多いものを指す。
絶縁層104よりも下側(基板102側)に設けられる絶縁層103としては、酸素及び水素を拡散しにくい絶縁膜を用いることが好ましい。特に、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、またはハフニウムアルミネート膜などの、金属酸化物膜を用いることが好ましい。
酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、及びハフニウムアルミネート膜等は、膜厚が薄い場合でも極めて高いバリア性を有する。そのため、その厚さを0.5nm以上50nm以下、好ましくは1nm以上40nm以下、より好ましくは2nm以上30nm以下の厚さとすることができる。特に、酸化アルミニウム膜は水素などに対するバリア性が高いため、極めて薄く(例えば0.5nm以上1.5nm以下)としても、十分な効果を得ることができる。
また、絶縁層103は、スパッタリング法または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等の成膜方法により形成することが好ましい。特にALD法は段差被覆性が高く、且つ極めて緻密な膜を形成できるため、高いバリア性を有する膜とすることができる。これにより、トランジスタ100の金属酸化物層108に外部から水素が拡散すること、及び金属酸化物層108中の酸素が外部に拡散することを効果的に抑制することができる。
また、絶縁層118中には水素が含まれる場合があるが、金属酸化物層108に接する酸化物膜を含む絶縁層104や絶縁層110は、絶縁層115により絶縁層118とは接しない構成となっている。そのため、絶縁層118中に水素が含まれている場合であっても、トランジスタ100の作製工程にかかる熱などにより、当該水素が絶縁層104及び絶縁層110を介して金属酸化物層108に拡散することを効果的に防ぐことができる。
ここで、金属酸化物層108中に形成されうる酸素欠損について説明を行う。
金属酸化物層108に形成される酸素欠損は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。例えば、金属酸化物層108中に酸素欠損が形成されると、該酸素欠損に水素が結合し、キャリア供給源となりうる。金属酸化物層108中にキャリア供給源が生成されると、トランジスタ100の電気特性の変動、代表的にはしきい値電圧のシフトが生じる。したがって、金属酸化物層108においては、酸素欠損が少ないほど好ましい。
そこで、本発明の一態様においては、金属酸化物層108近傍の絶縁膜、具体的には、金属酸化物層108の上方に位置する絶縁層110、及び下方に位置する絶縁層104が、酸化物膜を含む構成である。作製工程中の熱などにより絶縁層104及び絶縁層110から金属酸化物層108へ酸素を移動させることで、金属酸化物層108中の酸素欠損を低減することが可能となる。
また、金属酸化物層108は、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有すると好ましい。Inの原子数比が多いほど、トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。
ここで、In、Ga、Znを含む金属酸化物の場合、Inと酸素の結合力は、Gaと酸素の結合力よりも弱いため、Inの原子数比が大きい場合には、金属酸化物膜中に酸素欠損が形成されやすい。また、Gaに代えて、上記Mで示す金属元素を用いた場合でも同様の傾向がある。金属酸化物膜中に酸素欠損が多く存在すると、トランジスタの電気特性の低下や、信頼性の低下が生じる。
しかしながら本発明の一態様では、金属酸化物を含む金属酸化物層108中に極めて多くの酸素を供給できるため、Inの原子数比の大きな金属酸化物材料を用いることが可能となる。これにより、極めて高い電界効果移動度と、安定した電気特性と、高い信頼性とを兼ね備えたトランジスタを実現することができる。
例えば、Inの原子数比が、Mの原子数比に対して1.5倍以上、または2倍以上、または3倍以上、または3.5倍以上、または4倍以上である金属酸化物を、好適に用いることができる。
特に、金属酸化物層108のIn、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍(Inが5の場合、Mが0.5以上1.5以下であり、且つZnが5以上7以下を含む)とすることが好ましい。または、In、M、及びZnの原子数の比を、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍とすると好ましい。また、金属酸化物層108の組成として、In、M、及びZnの原子数の比を概略等しくしてもよい。すなわち、In、M、及びZnの原子数の比が、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍の材料を含んでいてもよい。
例えば、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、ゲート信号を生成するゲートドライバに用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、上記の電界効果移動度が高いトランジスタを、ソースドライバ(特に、ソースドライバが有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
なお、金属酸化物層108が、Inの原子数比がMの原子数比より多い領域を有していても、金属酸化物層108の結晶性が高い場合、電界効果移動度が低くなる場合がある。
ここで、金属酸化物層108に混入する水素または水分などの不純物は、トランジスタ特性に影響を与えるため問題となる。したがって、金属酸化物層108においては、水素または水分などの不純物が少ないほど好ましい。不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低い金属酸化物膜を用いることで、優れた電気特性を有するトランジスタを作製することができ好ましい。不純物濃度が低く、欠陥準位密度を低く(酸素欠損を少なく)することで、膜中のキャリア密度を低くすることができる。このような金属酸化物膜を半導体層に用いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスとなる電気特性(ノーマリーオンともいう。)になることが少ない。また、このような金属酸化物膜を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく小さい特性を得ることができる。
第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b、第3の金属酸化物層108cはそれぞれ、インジウムと、Mと、亜鉛の原子数比が異なる材料を用いてもよい。または結晶性の異なる材料、または不純物濃度の異なる材料を選択することができる。例えば、In−Ga−Zn酸化物を用いた場合に、In、M、及びZnの原子数の比が、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:0.5(2:2:1)、In:M:Zn=1:3:4、In:M:Zn=1:3:2、またはそれらの近傍であるスパッタリングターゲットを用いることができる。
また、第1の金属酸化物層108a、第2の金属酸化物層108b、第3の金属酸化物層108cで、同じ酸化物ターゲットを用い、成膜条件を異ならせることで、大気に触れることなく連続して形成されることが好ましい。
例えば、先に形成する第3の金属酸化物膜(第3の金属酸化物層108c)の成膜時に窒素ガスを流さない条件とし、次に形成する第1の金属酸化物膜(第1の金属酸化物層108a)の成膜時に窒素ガスを流す条件とし、その次に形成する第2の金属酸化物膜(第2の金属酸化物層108b)の成膜時に窒素ガスを流さない条件とすることができる。これにより、第1の金属酸化物層108aは、第2の金属酸化物層108b及び第3の金属酸化物層108cより窒素濃度が高い領域を有することができる。
また、第2の金属酸化物膜(第2の金属酸化物層108b)の成膜時の酸素流量比を、第3の金属酸化物膜(第3の金属酸化物層108a)の成膜時の酸素流量比よりも小さくする。または、第2の金属酸化物膜(第2の金属酸化物層108b)の成膜時に酸素を流さない条件とする。これにより、第2の金属酸化物膜(第2の金属酸化物層108b)は、第3の金属酸化物膜(第3の金属酸化物層108c)よりも結晶性が低く、電気伝導性の高い膜とすることができる。また、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる。
具体的には、第3の金属酸化物膜(第3の金属酸化物層108c)の成膜ガスとして酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガスを用い、成膜ガス全体に占める酸素ガスの割合(以下、酸素流量比ともいう)を50%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下、代表的には100%とする。
第1の金属酸化物膜(第1の金属酸化物層108a)の成膜ガスとして窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガスを用い、成膜ガス全体に占める窒素ガスの割合(以下、窒素流量比ともいう)を1%以上90%以下、好ましくは3%以上70%以下、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは5%以上30%以下とする。前述の窒素流量比に加え、酸素流量比を1%以上90%以下、好ましくは3%以上70%以下、より好ましくは5%以上50%以下、さらに好ましくは5%以上30%以下とする。
前述の窒素流量比、酸素流量比で成膜した第1の金属酸化物膜(第1の金属酸化物層108a)をトランジスタに用いることで、ノーマリオフの電気特性とすることができる。また、これにより消費電力が低減されたトランジスタ、半導体装置、および電子機器を得ることができる。
第2の金属酸化物膜(第2の金属酸化物層108b)の成膜ガスとして酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガスを用い、酸素流量比を0%以上50%未満、好ましくは0%以上30%以下、より好ましくは0%以上20%以下、代表的には10%とする。また、第1の金属酸化物膜、第2の金属酸化物膜及び第3の金属酸化物膜とで、成膜時の圧力、温度、電力等の条件を異ならせてもよいが、成膜ガスの種類及び流量比以外の条件を同じとすることで、成膜工程にかかる時間を短縮することができるため好ましい。
このような構成とすることで、電気特性に優れ、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
以上が構成例1についての説明である。
<構成例2>
以下では、上記構成例1と一部の構成が異なるトランジスタの構成例について説明する。なお、以下では、上記構成例1と重複する部分は説明を省略する場合がある。また、以下で示す図面において、上記構成例と同様の機能を有する部分についてはハッチングパターンを同じくし、符号を付さない場合もある。
図3(A)は、トランジスタ100Bの上面図であり、図3(B)は、トランジスタ100Bのチャネル長方向の断面図であり、図3(C)は、トランジスタ100Bのチャネル幅方向の断面図である。トランジスタ100Bは、基板102と絶縁層103との間に、導電層106を有する点で、図1に示すトランジスタ100と主に相違している。
図4(A)は、トランジスタ100Cの上面図であり、図4(B)は、トランジスタ100Cのチャネル長方向の断面図であり、図4(C)は、トランジスタ100Cのチャネル幅方向の断面図である。トランジスタ100Cは、基板102と絶縁層103との間に、導電層106を有する点で、図2に示すトランジスタ100Aと主に相違している。
導電層106は、絶縁層103及び絶縁層104を介して金属酸化物層108、及び導電層112と重畳する部分を有する。トランジスタ100B及びトランジスタ100Cにおいて、導電層106は第1のゲート電極(ボトムゲート電極ともいう)としての機能を有し、導電層112は、第2のゲート電極(トップゲート電極ともいう)としての機能を有する。また、絶縁層103及び絶縁層104の一部は、第1のゲート絶縁層として機能し、絶縁層110の一部は、第2のゲート絶縁層として機能する。
金属酸化物層108の、導電層112及び導電層106の少なくとも一方と重畳する部分は、チャネル形成領域として機能する。なお以下では説明を容易にするため、金属酸化物層108の導電層112と重畳する部分をチャネル形成領域と呼ぶ場合があるが、実際には導電層112と重畳せずに、導電層106と重畳する部分(領域108nの一部を含む)にもチャネルが形成しうる。
導電層106は、導電層112、導電層120a、または導電層120bと同様の材料を用いることができる。特に導電層106として、銅を含む材料により形成することで抵抗を低くすることができるため好適である。
図3(A)、図3(C)、図4(A)及び図4(C)に示すように、チャネル幅方向において、導電層112及び導電層106が、金属酸化物層108の端部よりも外側に突出していることが好ましい。このとき、図3(C)及び図4(C)に示すように、金属酸化物層108のチャネル幅方向の全体が、絶縁層110、絶縁層114、絶縁層103及び絶縁層104を介して、導電層112と導電層106に覆われた構成となる。
このような構成とすることで、金属酸化物層108を一対のゲート電極によって生じる電界で電気的に取り囲むことができる。このとき特に、導電層106と導電層112に同じ電位を与えることが好ましい。これにより、金属酸化物層108にチャネルを誘起させるための電界を効果的に印加できるため、トランジスタ100B及びトランジスタ100Cのオン電流を増大させることができる。そのため、トランジスタ100B及びトランジスタ100Cを微細化することも可能となる。
一方、導電層112と導電層106の一方に定電位を与え、他方にトランジスタ100B及びトランジスタ100Cを駆動するための信号を与えてもよい。このとき、一方の電極に与える電位により、トランジスタ100B及びトランジスタ100Cを他方の電極で駆動する際のしきい値電圧を制御することもできる。
また、図示しないが、導電層106は、絶縁層114、絶縁層110、絶縁層104及び絶縁層103に設けられた開口部を介して、導電層112と電気的に接続されていてもよい。これにより、導電層106と導電層112に同じ電位を与えることができる。
以上が構成例2についての説明である。
<半導体装置の構成要素>
次に、本実施の形態の半導体装置に含まれる構成要素について、詳細に説明する。
〔基板〕
基板102の材質などに大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有している必要がある。例えば、シリコンや炭化シリコンを材料とした単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウム等の化合物半導体基板、SOI基板、ガラス基板、セラミック基板、石英基板、サファイア基板等を、基板102として用いてもよい。また、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板102として用いてもよい。
また、基板102として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタ100等を形成してもよい。または、基板102とトランジスタ100等の間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板102より分離し、他の基板に転載するのに用いることができる。その際、トランジスタ100等は耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。
〔絶縁層104〕
絶縁層104としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD)法等を適宜用いて形成することができる。また、絶縁層104としては、例えば、酸化物絶縁膜または窒化物絶縁膜を単層または積層して形成することができる。なお、金属酸化物層108との界面特性を向上させるため、絶縁層104において少なくとも金属酸化物層108と接する領域は酸化物絶縁膜で形成することが好ましい。また、絶縁層104には、加熱により酸素を放出する膜を用いることが好ましい。
絶縁層104として、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムまたはGa−Zn酸化物などを用いればよく、単層または積層で設けることができる。
また、絶縁層104の金属酸化物層108に接する側に窒化シリコン膜などの酸化物膜以外の膜を用いた場合、金属酸化物層108と接する表面に対して酸素プラズマ処理などの前処理を行い、当該表面、または表面近傍を酸化することが好ましい。
〔導電膜〕
ゲート電極として機能する導電層112及び導電層106、ソース電極として機能する導電層120a、ドレイン電極として機能する導電層120bとしては、クロム、銅、アルミニウム、金、銀、亜鉛、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、マンガン、ニッケル、鉄、コバルトから選ばれた金属元素、または上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いてそれぞれ形成することができる。
また、導電層112、導電層106、導電層120a、及び導電層120bには、In−Sn酸化物、In−W酸化物、In−W−Zn酸化物、In−Ti酸化物、In−Ti−Sn酸化物、In−Zn酸化物、In−Sn−Si酸化物、In−Ga−Zn酸化物等の酸化物導電体または金属酸化物膜を適用することもできる。
ここで、酸化物導電体(OC:Oxide Conductor)について説明を行う。例えば、半導体特性を有する金属酸化物に酸素欠損を形成し、該酸素欠損に水素を添加すると、伝導帯近傍にドナー準位が形成される。この結果、金属酸化物は、導電性が高くなり導電体化する。導電体化された金属酸化物を、酸化物導電体ということができる。
また、導電層112等として、上記酸化物導電体(金属酸化物)を含む導電膜と、金属または合金を含む導電膜の積層構造としてもよい。金属または合金を含む導電膜を用いることで、配線抵抗を小さくすることができる。このとき、ゲート絶縁膜として機能する絶縁層と接する側には酸化物導電体を含む導電膜を適用することが好ましい。
また、導電層112、導電層106、導電層120a、導電層120bには、上述の金属元素の中でも、特にチタン、タングステン、タンタル、及びモリブデンの中から選ばれるいずれか一つまたは複数を有すると好適である。特に、窒化タンタル膜を用いると好適である。当該窒化タンタル膜は、導電性を有し、且つ、銅、酸素、または水素に対して、高いバリア性を有し、且つ自身からの水素の放出が少ないため、金属酸化物層108と接する導電膜、または金属酸化物層108の近傍の導電膜として、好適に用いることができる。
〔絶縁層110〕
トランジスタ100等のゲート絶縁膜として機能する絶縁層110は、PECVD法、スパッタリング法等により形成できる。絶縁層110としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁層を用いることができる。なお、絶縁層110を、2層の積層構造または3層以上の積層構造としてもよい。
また、金属酸化物層108と接する絶縁層110は、酸化物絶縁膜であることが好ましく、化学量論的組成よりも過剰に酸素を含有する領域を有することがより好ましい。別言すると、絶縁層110は、酸素を放出することが可能な絶縁膜である。例えば、酸素雰囲気下にて絶縁層110を形成すること、成膜後の絶縁層110に対して酸素雰囲気下での熱処理、プラズマ処理等を行うこと、または、絶縁層110上に酸素雰囲気下で酸化物膜を成膜することなどにより、絶縁層110中に酸素を供給することもできる。
また、絶縁層110として、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率の高い酸化ハフニウム等の材料を用いることもできる。これにより絶縁層110の膜厚を厚くしトンネル電流によるリーク電流を抑制できる。特に結晶性を有する酸化ハフニウムは、非晶質の酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備えるため好ましい。
〔金属酸化物層108〕
金属酸化物層108がIn−M−Zn酸化物の場合、In−M−Zn酸化物を成膜するために用いるスパッタリングターゲットは、Inの原子数比がMの原子数比以上であることが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:0.5(2:2:1)、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5等が挙げられる。
また、スパッタリングターゲットとしては、多結晶の酸化物を含むターゲットを用いると、結晶性を有する金属酸化物層108を形成しやすくなるため好ましい。なお、成膜される金属酸化物層108の原子数比は、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。例えば、金属酸化物層108に用いるスパッタリングターゲットの組成がIn:Ga:Zn=4:2:4.1<原子数比>の場合、成膜される金属酸化物層108の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3<原子数比>の近傍となる場合がある。
なお、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍であると記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍であると記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
また、金属酸化物層108は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上である。このように、シリコンよりもエネルギーギャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
また、金属酸化物層108は、非単結晶構造であると好ましい。非単結晶構造は、例えば、後述するCAAC構造、多結晶構造、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC構造は最も欠陥準位密度が低い。
以下では、CAAC(c−axis aligned crystal)について説明する。CAACは結晶構造の一例を表す。
CAAC構造とは、複数のナノ結晶(最大径が10nm未満である結晶領域)を有する薄膜などの結晶構造の一つであり、各ナノ結晶はc軸が特定の方向に配向し、かつa軸及びb軸は配向性を有さずに、ナノ結晶同士が粒界を形成することなく連続的に連結しているといった特徴を有する結晶構造である。特にCAAC構造を有する薄膜は、各ナノ結晶のc軸が、薄膜の厚さ方向、被形成面の法線方向、または薄膜の表面の法線方向に配向しやすいといった特徴を有する。
CAAC−OS(Oxide Semiconductor)は結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC−OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC−OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC−OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。
ここで、結晶学において、単位格子を構成するa軸、b軸、及びc軸の3つの軸(結晶軸)について、特異的な軸をc軸とした単位格子を取ることが一般的である。特に層状構造を有する結晶では、層の面方向に平行な2つの軸をa軸及びb軸とし、層に交差する軸をc軸とすることが一般的である。このような層状構造を有する結晶の代表的な例として、六方晶系に分類されるグラファイトがあり、その単位格子のa軸及びb軸は劈開面に平行であり、c軸は劈開面に直交する。例えば層状構造であるYbFe型の結晶構造をとるInGaZnOの結晶は六方晶系に分類することができ、その単位格子のa軸及びb軸は層の面方向に平行となり、c軸は層(すなわちa軸及びb軸)に直交する。
金属酸化物の結晶構造の一例について説明する。なお、以下では、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1<原子数比>)を用いて、スパッタリング法にて成膜された金属酸化物を一例として説明する。上記ターゲットを用いて、基板温度を100℃以上130℃以下として、スパッタリング法により形成した金属酸化物をは、nc(nano crystal)構造及びCAAC構造のいずれか一方の結晶構造、またはこれらが混在した構造をとりやすい。一方、基板温度を室温(R.T.)として、スパッタリング法により形成した金属酸化物は、ncの結晶構造をとりやすい。なお、ここでいう室温(R.T.)とは、基板を意図的に加熱しない場合の温度を含む。
<作製方法例>
以下では、本発明の一態様のトランジスタの作製方法の例について説明する。ここでは、構成例2で例示したトランジスタ100Bを例に挙げて説明する。
なお、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スパッタリング法、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積(PLD:Pulse Laser Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等を用いて形成することができる。CVD法としては、プラズマ化学気相堆積(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法や、熱CVD法などがある。また、熱CVD法のひとつに、有機金属化学気相堆積(MOCVD:Metal Organic CVD)法がある。
また、半導体装置を構成する薄膜(絶縁膜、半導体膜、導電膜等)は、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷等の方法、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等のツールにより形成することができる。
また、半導体装置を構成する薄膜を加工する際には、フォトリソグラフィ法等を用いて加工することができる。それ以外に、ナノインプリント法、サンドブラスト法、リフトオフ法などにより薄膜を加工してもよい。また、メタルマスクなどの遮蔽マスクを用いた成膜方法により、島状の薄膜を直接形成してもよい。
フォトリソグラフィ法としては、代表的には以下の2つの方法がある。一つは、加工したい薄膜上にレジストマスクを形成して、エッチング等により当該薄膜を加工し、レジストマスクを除去する方法である。もう一つは、感光性を有する薄膜を成膜した後に、露光、現像を行って、当該薄膜を所望の形状に加工する方法である。
フォトリソグラフィ法において、露光に用いる光は、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)、またはこれらを混合させた光を用いることができる。そのほか、紫外線やKrFレーザ光、またはArFレーザ光等を用いることもできる。また、液浸露光技術により露光を行ってもよい。また、露光に用いる光として、極端紫外光(EUV:Extreme Ultra−violet)やX線を用いてもよい。また、露光に用いる光に換えて、電子ビームを用いることもできる。極端紫外光、X線または電子ビームを用いると、極めて微細な加工が可能となるため好ましい。なお、電子ビームなどのビームを走査することにより露光を行う場合には、フォトマスクは不要である。
薄膜のエッチングには、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、サンドブラスト法などを用いることができる。
図5乃至図7に示す各図には、トランジスタ100Bの作製工程の各段階におけるチャネル長方向及びチャネル幅方向の断面を並べて示している。
〔導電層106の形成〕
基板102上に導電膜を形成し、これをエッチングにより加工して、ゲート電極として機能する導電層106を形成する(図5(A))。
〔絶縁層103、絶縁層104の形成〕
続いて、基板102、導電層106を覆って絶縁層103と絶縁層104を積層して形成する(図5(B))。絶縁層103及び絶縁層104はそれぞれ、PECVD法、ALD法、スパッタリング法などを用いて形成することができる。
例えば、絶縁層103はALD法またはスパッタリング法を用いて形成し、絶縁層104はPECVD法またはスパッタリング法を用いて形成することができる。
〔金属酸化物層108の形成〕
続いて、絶縁層104上に金属酸化物膜108cfを成膜する(図5(D))。
金属酸化物膜108cfは、金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。金属酸化物膜108cfの厚さとしては、1nm以上25nm以下、好ましくは3nm以上20nm以下とすればよい。
金属酸化物膜108cfを成膜する際に、酸素ガスを用いることが好ましい。酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。
金属酸化物膜108cfの成膜条件としては、基板温度を室温以上200℃未満、好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすればよい。例えば成膜温度を、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。また、基板温度を室温とする、または意図的に加熱しない状態で、金属酸化物膜108cfを成膜することで、結晶性の低くすることができる。
また、金属酸化物膜108cfを成膜する前に、絶縁層104の表面に吸着した水や水素、有機物成分等を脱離させるための処理や、絶縁層104中に酸素を供給する処理を行うことが好ましい。例えば、減圧雰囲気下にて70℃以上200℃以下の温度で加熱処理を行うことができる。または、酸素を含む雰囲気下におけるプラズマ処理を行ってもよい。また、NOガスを含むプラズマ処理を行うと、絶縁層104の表面の有機物を好適に除去することができる。このような処理の後、絶縁層104の表面を大気に暴露することなく、連続して金属酸化物膜108cfを成膜することが好ましい。
なお、図5(C)は、絶縁層104上に金属酸化物膜108cfを形成する際の成膜装置内部の断面模式図である。図5(C)では、成膜装置としてスパッタリング装置を用い、当該スパッタリング装置内部に設置されたターゲット191と、ターゲット191の下方に形成されるプラズマ192とが、模式的に表されている。また、金属酸化物膜108cfの被形成面である絶縁層104に添加される酸素を模式的に破線の矢印で表している。金属酸化物膜108cfを成膜時の酸素流量比を高くすることで、絶縁層104中に好適に酸素を添加することができる。その結果、絶縁層104に極めて多くの酸素を閉じ込めることができる。そして、後の加熱処理によって、金属酸化物層108に多くの酸素を供給することができる。その結果、金属酸化物層108中の酸素欠損を低減でき、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
続いて、金属酸化物膜108cf上に金属酸化物膜108af及び金属酸化物膜108bfを順に成膜する(図6(A))。
金属酸化物膜108afは、金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。金属酸化物膜108afの厚さとしては、1nm以上25nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下とすればよい。
金属酸化物膜108afを成膜する際に、窒素ガスを用いることが好ましい。窒素ガスの他に、酸素ガス、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。
また、金属酸化物膜108afの成膜条件としては、基板温度を室温以上200℃未満、好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすればよい。例えば成膜温度を、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。また、基板温度を室温とする、または意図的に加熱しない状態で、金属酸化物膜108afを成膜することで、結晶性の低くすることができる。
金属酸化物膜108bfは、金属酸化物ターゲットを用いたスパッタリング法により形成することが好ましい。金属酸化物膜108bfの厚さとしては、1nm以上25nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下とすればよい。
金属酸化物膜108bfを成膜する際に、酸素ガスの他に、不活性ガス(例えば、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガスなど)を混合させてもよい。酸素流量比が高いほど、金属酸化物膜108bfの結晶性を高めることができ、信頼性の高いトランジスタを実現できる。一方、酸素流量比が低いほど、金属酸化物膜108bfの結晶性が低くなり、オン電流が高められたトランジスタとすることができる。
また、金属酸化物膜108afの成膜条件としては、基板温度を室温以上200℃未満、好ましくは基板温度を室温以上140℃以下とすればよい。例えば成膜温度を、室温以上140℃未満とすると、生産性が高くなり好ましい。また、基板温度を室温とする、または意図的に加熱しない状態で金属酸化物膜108afを成膜することで、結晶性を低くすることができる。
続いて、金属酸化物膜108af、金属酸化物膜108bf及び金属酸化物膜108cfを加工し、島状の金属酸化物層108a、金属酸化物層108b及び金属酸化物層108cを形成する(図6(B))。
金属酸化物層108a、金属酸化物層108b及び金属酸化物層108cの形成は、同じレジストマスクを用いて加工することができる。同じレジストマスクを用いることにより、工程の簡略化が可能となる。これにより、上面形状が概略一致した金属酸化物層108a、金属酸化物層108b及び金属酸化物層108cを形成できる。
金属酸化物膜の加工には、ウェットエッチング法及びドライエッチング法のいずれか一方または双方を用いればよい。このとき、図6(B)に示すように、金属酸化物層108と重ならない絶縁層104の一部がエッチングされ、膜厚が薄くなる場合がある。
また、金属酸化物膜108fの成膜後、または金属酸化物層108に加工した後、金属酸化物膜108fまたは金属酸化物層108中の水素または水を除去するために加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度は、代表的には、150℃以上基板の歪み点未満、または250℃以上450℃以下、または300℃以上450℃以下である。
加熱処理は、希ガス、または窒素を含む雰囲気で行うことができる。または、当該雰囲気で加熱した後、酸素を含む雰囲気で加熱してもよい。なお、上記加熱処理の雰囲気に水素、水などが含まれないことが好ましい。該加熱処理は、電気炉、急速加熱(RTA:Rapid Thermal Annealing)装置等を用いることができる。RTA装置を用いることで、加熱処理時間を短縮することができる。
〔絶縁膜110f、絶縁膜114f、導電膜112fの形成〕
続いて、金属酸化物層108及び絶縁層104上に、絶縁膜110f、絶縁膜114f及び導電膜112fを順に成膜する(図6(C))。
まず、金属酸化物層108及び絶縁層104上に、絶縁層110となる絶縁膜110fを形成する。絶縁膜110fとしては、例えば酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜などの酸化物膜を、プラズマ化学気相堆積装置(PECVD装置、または単にプラズマCVD装置という)を用いて形成することが好ましい。この場合、原料ガスとしては、シリコンを含む堆積性気体及び酸化性気体を用いることが好ましい。シリコンを含む堆積性気体の代表例としては、シラン、ジシラン、トリシラン、フッ化シラン等がある。酸化性気体としては、酸素、オゾン、一酸化二窒素、二酸化窒素等がある。
また、絶縁膜110fとして、堆積性気体の流量に対する酸化性気体の流量を20倍より大きく100倍未満、または40倍以上80倍以下とし、処理室内の圧力を100Pa未満、または50Pa以下とするPECVD装置を用いることで、欠陥量の少ない酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
また、絶縁膜110fとして、PECVD装置の真空排気された処理室内に載置された基板を280℃以上350℃以下に保持し、処理室に原料ガスを導入して処理室内における圧力を20Pa以上250Pa以下、さらに好ましくは100Pa以上250Pa以下とし、処理室内に設けられる電極に高周波電力を供給する条件により、絶縁膜110fとして、緻密である酸化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜を形成することができる。
また、絶縁膜110fを、マイクロ波を用いたPECVD法を用いて形成してもよい。マイクロ波とは300MHzから300GHzの周波数域を指す。マイクロ波は、電子温度が低く、電子エネルギーが小さい。また、供給された電力において、電子の加速に用いられる割合が少なく、より多くの分子の解離及び電離に用いられることが可能であり、密度の高いプラズマ(高密度プラズマ)を励起することができる。このため、被成膜面及び堆積物へのプラズマダメージが少なく、欠陥の少ない絶縁膜110fを形成することができる。
また、絶縁膜110fを、有機シランガスを用いたCVD法を用いて形成することができる。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)などのシリコン含有化合物を用いることができる。有機シランガスを用いたCVD法を用いることで、被覆性の高い絶縁膜110fを形成することができる。
続いて、絶縁膜110f上に、絶縁層114となる絶縁膜114fを成膜する。
絶縁膜114fは、例えば酸素を含む雰囲気下で成膜することが好ましい。特に、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法により形成することが好ましい。これにより、絶縁膜114fの成膜時に絶縁膜110fに酸素を供給することができる。
例えば絶縁膜114fの成膜条件として、成膜ガスに酸素を用い、金属ターゲットを用いた反応性スパッタリング法により、金属酸化物膜を形成することが好ましい。金属ターゲットとして、例えばアルミニウムを用いた場合には、酸化アルミニウム膜を成膜することができる。
絶縁膜114fの成膜時に、成膜装置の成膜室内に導入する成膜ガスの全流量に対する酸素流量の割合(酸素流量比)、または成膜室内の酸素分圧が高いほど、絶縁膜110f中に供給される酸素を増やすことができる。酸素流量比または酸素分圧は、例えば50%以上100%以下、好ましくは65%以上100%以下、より好ましくは80%以上100%以下、さらに好ましくは90%以上100%以下とする。特に、酸素流量比100%とし、酸素分圧を100%にできるだけ近づけることが好ましい。
このように、酸素を含む雰囲気下でスパッタリング法により絶縁膜114fを形成することにより、絶縁膜114fの成膜時に、絶縁膜110fへ酸素を供給するとともに、絶縁膜110fから酸素が脱離することを防ぐことができる。その結果、絶縁膜110fに極めて多くの酸素を閉じ込めることができる。そして、後の加熱処理によって、金属酸化物層108に多くの酸素を供給することができる。その結果、金属酸化物層108中の酸素欠損を低減でき、信頼性の高いトランジスタを実現できる。
また、絶縁膜114fの成膜後に、絶縁膜114f、絶縁膜110f、及び絶縁層104の一部をエッチングすることで、導電層106に達する開口を形成する。これにより、後に形成する導電層112と導電層106とを、当該開口を介して電気的に接続することができる。
続いて、絶縁膜114f上に、導電層112となる導電膜112fを成膜する。
導電膜112fは、金属または合金のスパッタリングターゲットを用いたスパッタリング法により成膜することが好ましい。
〔絶縁層110、絶縁層114、導電層112の形成〕
続いて、導電膜112f、絶縁膜114f及び絶縁膜110fの一部をエッチングし、金属酸化物層108の一部を露出させる(図7(A))。
ここで、導電膜112f、絶縁膜114f、及び絶縁膜110fは、それぞれ同じレジストマスクを用いて加工することが好ましい。または、エッチング後の導電層112をハードマスクとして用いて、絶縁膜114fと絶縁膜110fとをエッチングしてもよい。
これにより、上面形状が概略一致した島状の導電層112、絶縁層114、及び絶縁層110を形成することができる。
なお、導電膜112f、絶縁膜114f、及び絶縁膜110fのエッチング時に、絶縁層110に覆われない金属酸化物層108の一部もエッチングされ、薄膜化する場合がある。
〔絶縁層115の形成〕
続いて、絶縁層104、金属酸化物層108、絶縁層110、絶縁層114及び導電層112を覆って、絶縁層115を形成する(図7(B))。
絶縁層115は、上述の金属元素を含むスパッタリングターゲットを用い、窒素ガスと、希釈ガスである希ガス等の混合ガスを成膜ガスとして用いた反応性スパッタリング法により形成することが好ましい。これにより、成膜ガスの流量比を制御することで、絶縁層115の膜質を制御することが容易となる。
例えば、絶縁層115としてアルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリングにより形成した窒化アルミニウム膜を用いる場合、成膜ガスの全流量に対する窒素ガスの流量を30%以上100%以下、好ましくは40%以上100%以下、より好ましくは50%以上100%以下とすることが好ましい。
絶縁層115を成膜した時点で、金属酸化物層108の絶縁層115と接する界面及びその近傍の領域に、低抵抗な領域108nが形成される。
〔第1の加熱処理〕
続いて、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理により、金属酸化物層108の領域108nの低抵抗化をより促進させることができる。
加熱処理は、窒素または希ガスなどの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。加熱処理の温度は高いほど好ましいが、基板102、導電層106等の耐熱性を考慮した温度とすることができる。例えば、120℃以上500℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、より好ましくは200℃以上400℃以下、さらに好ましくは250℃以上400℃以下の温度とすることができる。例えば加熱処理の温度を350℃程度とすることで、大型のガラス基板を用いた生産設備で歩留り良く半導体装置を生産することができる。
なお、加熱処理は絶縁層115の形成後であればどの段階で行ってもよい。また他の加熱処理と兼ねてもよい。
例えば加熱処理により、金属酸化物層108中の酸素が絶縁層115側に引き抜かれることにより酸素欠損が生成される。当該酸素欠損と、金属酸化物層108中に含まれる水素とが結合することによりキャリア濃度が高まり、絶縁層115と接する部分が低抵抗化されうる。
または、加熱処理により、金属酸化物層108に含まれる金属元素が絶縁層115との界面近傍に向かって拡散し、当該金属元素の濃度の高い領域が形成されることにより、低抵抗化される場合もある。例えば金属酸化物層108にインジウムを含む金属酸化物膜を用いた場合、インジウム濃度の高い領域が、金属酸化物層108の絶縁層115との界面近傍に観測される場合がある。
このような複合的な作用により低抵抗化された領域108nは、極めて安定な低抵抗な領域となる。このように形成された領域108nは、例えば後の工程で酸素が供給される処理が行われたとしても、再度高抵抗化しにくいといった特徴を有する。
〔絶縁層118の形成〕
続いて、絶縁層115を覆って絶縁層118を形成する(図7(C))。絶縁層118は、例えばPECVD法により形成することができる。絶縁層118としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜および酸化ネオジム膜を一種以上含む絶縁層を用いることができる。なお、絶縁層118を、2層の積層構造または3層以上の積層構造としてもよい。
〔開口部141a、開口部141bの形成〕
続いて、絶縁層118の所望の位置に、リソグラフィによりマスクを形成した後、絶縁層118及び絶縁層115の一部を除去することで、領域108nに達する開口部141a及び開口部141bを形成する。
〔導電層120a、120bの形成〕
続いて、開口部141a及び開口部141bを覆うように、絶縁層118上に導電膜を成膜し、当該導電膜を所望の形状に加工することで、導電層120a、導電層120bを形成する。
以上の工程により、トランジスタ100Bを作製することができる(図3)。
本実施の形態で例示した構成例、作製方法例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、作製方法例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、先の実施の形態で例示したトランジスタを有する表示装置の一例について説明を行う。
[構成例]
図8(A)に、表示装置700の上面図を示す。表示装置700は、シール材712により貼りあわされた第1の基板701と第2の基板702を有する。また第1の基板701、第2の基板702、及びシール材712で封止される領域において、第1の基板701上に画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706が設けられる。また画素部702には、複数の表示素子が設けられる。
また、第1の基板701の第2の基板702と重ならない部分に、FPC716(FPC:Flexible printed circuit)が接続されるFPC端子部708が設けられている。FPC716によって、FPC端子部708及び信号線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、及びゲートドライバ回路部706のそれぞれに各種信号等が供給される。
ゲートドライバ回路部706は、複数設けられていてもよい。また、ゲートドライバ回路706及びソースドライバ回路704は、それぞれ半導体基板等に別途形成され、パッケージされたICの形態であってもよい。当該ICは、第1の基板701上、またはFPC716に実装することができる。
画素部702、ソースドライバ回路部704及びゲートドライバ回路部706が有するトランジスタには、本発明の一態様の半導体装置であるトランジスタを適用することができる。
画素部702に設けられる表示素子としては液晶素子、発光素子などが挙げられる。液晶素子としては、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、半透過型の液晶素子などを用いることができる。また、発光素子としては、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、QLED(Quantum−dot LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。また、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子や、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いることもできる。
図8(B)に示す表示装置700Aは、大型の画面を有する電子機器に好適に用いることのできる表示装置である。例えばテレビジョン装置、モニタ装置、デジタルサイネージなどに好適に用いることができる。
表示装置700Aは、複数のソースドライバIC721と、一対のゲートドライバ回路722を有する。
複数のソースドライバIC721は、それぞれFPC723に取り付けられている。また、複数のFPC723は、一方の端子が基板701に、他方の端子がプリント基板724にそれぞれ接続されている。FPC723を折り曲げることで、プリント基板724を画素部702の裏側に配置して、電気機器に実装することができ、電子機器の省スペース化を図ることができる。
一方、ゲートドライバ回路722は、基板701上に形成されている。これにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
このような構成とすることで、大型で且つ高解像度な表示装置を実現できる。例えば画面サイズが対角30インチ以上、40インチ以上、50インチ以上、または60インチ以上の表示装置に適用することができる。また、解像度がフルハイビジョン、4K2K、または8K4Kなどといった極めて高解像度の表示装置を実現することができる。
[断面構成例]
以下では、表示素子として液晶素子及びEL素子を用いる構成について、図9乃至図11を用いて説明する。なお、図9乃至図11は、それぞれ図8(A)に示す一点鎖線Q−Rにおける断面図である。図9及び図10は、表示素子として液晶素子を用いた構成であり、図11は、EL素子を用いた構成である。
〔表示装置の共通部分に関する説明〕
図9乃至図11に示す表示装置700は、引き回し配線部711と、画素部702と、ソースドライバ回路部704と、FPC端子部708と、を有する。引き回し配線部711は、信号線710を有する。画素部702は、トランジスタ750及び容量素子790を有する。ソースドライバ回路部704は、トランジスタ752を有する。
トランジスタ750及びトランジスタ752は、実施の形態1で例示したトランジスタを適用することができる。
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を低くすることができる。よって、画像信号等の電気信号の保持時間を長くすることができ、電源オン状態では書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくすることができるため、消費電力を低減する効果を奏する。
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示装置に用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、別途駆動回路として、シリコンウェハ等により形成された半導体装置を用いる必要がないため、半導体装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
容量素子790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と同一の導電膜を加工して形成される下部電極と、ソース電極またはドレイン電極と同一の導電膜を加工して形成される上部電極と、を有する。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750が有する第1のゲート絶縁膜と同一の絶縁膜、及びトランジスタ750上の保護絶縁膜と同一の絶縁膜が設けられる。すなわち、容量素子790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造である。
また、トランジスタ750、トランジスタ752、及び容量素子790上には平坦化絶縁膜770が設けられている。
画素部702が有するトランジスタ750と、ソースドライバ回路部704が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えばいずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記のソースドライバ回路部704を、ゲートドライバ回路部と読み替えてもよい。
信号線710は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極等と同じ導電膜で形成されている。このとき、銅元素を含む材料等の低抵抗な材料を用いると、配線抵抗に起因する信号遅延等が少なく、大画面での表示が可能となるため好ましい。
FPC端子部708は、接続電極760、異方性導電膜780、及びFPC716を有する。なお、接続電極760は、トランジスタ750、752のソース電極及びドレイン電極等と同じ導電膜で形成されている。また接続電極760は、FPC716が有する端子と異方性導電膜780を介して電気的に接続される。
第1の基板701及び第2の基板705としては、例えばガラス基板、またはプラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。
また、第1の基板701と第2の基板705の間の構造体778は、第1の基板701と第2の基板705の間の距離(セルギャップ)を制御する柱状のスペーサとして機能する。なお、構造体778として、球状のスペーサを用いてもよい。
また、第2の基板705側には、遮光膜738と、着色膜736と、これらに接する絶縁膜734と、が設けられる。
〔液晶素子を用いる表示装置の構成例〕
図9に示す表示装置700は、液晶素子775を有する。液晶素子775は、導電膜772、導電膜774、及びこれらの間に液晶層776を有する。導電膜774は、第2の基板705側に設けられ、対向電極としての機能を有する。また、導電膜772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電膜772は、平坦化絶縁膜770上に形成され、画素電極として機能する。
導電膜772には、可視光に対して透光性の材料、または反射性の材料を用いることができる。透光性の材料としては、例えば、In、Zn、Sn等を含む酸化物材料を用いるとよい。反射性の材料としては、例えば、Al、Ag等を含む材料を用いるとよい。
導電膜772に反射性の材料を用いと、表示装置700は反射型の液晶表示装置となる。一方、導電膜772に透光性の材料を用いると、透過型の液晶表示装置となる。反射型の液晶表示装置の場合、視認側に偏光板を設ける。一方、透過型の液晶表示装置の場合、液晶素子を挟むように一対の偏光板を設ける。
図10に示す表示装置700は、横電界方式(例えば、FFSモード)の液晶素子775を用いる例を示す。導電膜772上に絶縁膜773を介して、共通電極として機能する導電膜774が設けられる。導電膜772と導電膜774との間に生じる電界によって、液晶層776の配向状態を制御することができる。
また、図9及び図10において図示しないが、液晶層776と接する配向膜を設ける構成としてもよい。また、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)、及びバックライト、サイドライトなどの光源を適宜設けることができる。
液晶層766には、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶、高分子ネットワーク型液晶、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。また、横電界方式を採用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。
また、液晶素子のモードとしては、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、ゲストホストモードなどを用いることができる。
〔発光素子を用いる表示装置〕
図11に示す表示装置700は、発光素子782を有する。発光素子782は、導電膜772、EL層786、及び導電膜788を有する。EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。
有機化合物に用いることのできる材料としては、蛍光性材料または燐光性材料などが挙げられる。また、量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
図11に示す表示装置700には、平坦化絶縁膜770上に導電膜772の一部を覆う絶縁膜730が設けられる。ここで、発光素子782は透光性の導電膜788有し、トップエミッション型の発光素子である。なお、発光素子782は、導電膜772側に光を射出するボトムエミッション構造や、導電膜772及び導電膜788の双方に光を射出するデュアルエミッション構造としてもよい。
また、着色膜736は発光素子782と重なる位置に設けられ、遮光膜738は絶縁膜730と重なる位置、引き回し配線部711、及びソースドライバ回路部704に設けられている。また、着色膜736及び遮光膜738は、絶縁膜734で覆われている。また、発光素子782と絶縁膜734の間は封止膜732で充填されている。なお、EL層786を画素毎に島状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色膜736を設けない構成としてもよい。
〔表示装置に入力装置を設ける構成例〕
また、図9乃至図11に示す表示装置700に入力装置を設けてもよい。当該入力装置としては、例えば、タッチセンサ等が挙げられる。
図10に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図12に、図11に示す表示装置700にタッチパネル791を設ける構成を図13に、それぞれ示す。
図12及び図13に示すタッチパネル791は、基板705と着色膜736との間に設けられる、所謂インセル型のタッチパネルである。タッチパネル791は、着色膜736を形成する前に、基板705側に形成すればよい。
タッチパネル791は、遮光膜738を覆う絶縁膜792と、絶縁層797の間に、電極793、電極794、絶縁膜795、及び電極796を有する。例えば、指やスタイラスなどの被検知体が近づくことで生じうる、電極793と電極794との間の容量の変化を検知することができる。
また、遮光膜738と重なる部分に、電極793と、電極794との交差部を示している。電極796は、絶縁膜795に設けられた開口部を介して、電極794を挟む2つの電極793と電気的に接続されている。なお当該交差部は、例えば引き回し配線部711等に形成してもよい。
電極793及び電極794は、発光素子782や液晶素子775と重ならない領域に設けられることが好ましい。また、電極793及び電極794は、遮光膜738と重なる部分に設けられることが好ましい。例えば、電極793及び電極794をメッシュ状の形状とすることができる。このような構成とすることで、発光素子782が射出する光、または液晶素子775を透過する光を遮らない構成とすることができ、タッチパネル791を配置することによる輝度の低下が抑制され、視認性が高く、且つ消費電力が低減された表示装置を実現できる。さらにこのとき、電極793及び電極794には、可視光の透過率が低い金属材料を用いることができる。そのため、可視光の透過率が高い酸化物材料を用いた電極と比較して、電極793及び電極794の抵抗を低くすることが可能となり、タッチパネルのセンサ感度を向上させることができる。
なお、タッチパネルの構成はインセル型に限定されず、入力装置を表示装置700上に形成する、所謂オンセル型のタッチパネルや、表示装置700に貼り合わせて用いる、所謂アウトセル型のタッチパネルとしてもよい。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置について、図14を用いて説明を行う。
図14(A)に示す表示装置は、画素部502と、駆動回路部504と、保護回路506と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
画素部502や駆動回路部504が有するトランジスタに、本発明の一態様のトランジスタを適用することができる。また保護回路506にも、本発明の一態様のトランジスタを適用してもよい。
画素部502は、X行Y列(X、Yはそれぞれ独立に2以上の自然数)に配置された複数の表示素子を駆動する画素回路501を有し、駆動回路部504はゲート線GL_1乃至GL_Xに走査信号を出力するゲートドライバ504a、データ線DL_1乃至DL_Yにデータ信号を供給するソースドライバ504bなどの駆動回路を有する。
ゲートドライバ504aは、少なくともシフトレジスタを有する構成とすればよい。
ソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
端子部507は、外部の回路から表示装置に電源及び制御信号、及び画像信号を入力するための端子が設けられた部分をいう。
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。図14(A)に示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線である走査線GL、またはソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DL等の各種配線に接続される。
また、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bは、それぞれ画素部502と同じ基板上に設けられていてもよいし、別途用意されたゲートドライバ回路またはソースドライバ回路が形成された基板(例えば、単結晶半導体膜、多結晶半導体膜で形成された駆動回路基板)をCOGやTAB(Tape Automated Bonding)によって基板に実装する構成としてもよい。
ここで、図15に、図14(A)とは異なる構成を示す。図15では、ソース線方向に配列する複数の画素を挟むように、一対のソース線(例えばソース線DLa1とソース線DLb1)が配置されている。また、隣接する2本のゲート線(例えばゲート線GL_1とゲート線GL_2)が電気的に接続されている。
また、ゲート線GL_1に接続される画素は、片方のソース線(ソース線DLa1、ソース線DLa2等)に接続され、ゲート線GL_2に接続される画素は、他方のソース線(ソース線DLb1、ソース線DLb2等)に接続される。
このような構成とすることで、2本のゲート線を同時に選択することができる。これにより、一水平期間の長さを、図14(A)に示す構成と比較して2倍にすることができる。そのため、表示装置の高解像度化、及び大画面化が容易となる。
また、図14(A)及び図15に示す複数の画素回路501は、例えば、図14(B)に示す構成とすることができる。
図14(B)に示す画素回路501は、液晶素子570と、トランジスタ550と、容量素子560と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL等が接続されている。トランジスタ550に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
液晶素子570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶素子570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶素子570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶素子570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
また、図14(C)に示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、容量素子562と、発光素子572と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、走査線GL_m、電位供給線VL_a、電源供給線VL_b等が接続されている。トランジスタ552及びトランジスタ554のいずれか一方または双方に先の実施の形態に示すトランジスタを適用することができる。
発光素子572としては、例えば有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)などを用いることができる。ただし、発光素子572としては、これに限定されず、無機材料を含む無機EL素子を用いてもよい。
なお、電位供給線VL_a及び電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
以下では、本発明の一態様の表示装置を適用可能な電子機器について説明する。ここでは、発電装置及び受電装置を備える電子機器を例に挙げて説明する。
図16(A)は、携帯情報端末8040の正面及び側面を示した斜視図である。携帯情報端末8040は、例えば移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能な機器である。携帯情報端末8040は、筐体8041の正面に表示部8042、カメラ8045、マイクロフォン8046、スピーカ8047を有し、筐体8041の左側面には操作用のボタン8043、底面には接続端子8048を有する。
表示部8042には、本発明の一態様の表示モジュール又は表示パネルが用いられる。
なお、表示部8042を携帯情報端末8040の背面に設けてもよいし、折り畳み型の携帯情報端末として、二以上の表示部を設けてもよい。
また、表示部8042には、タッチパネルが入力手段として設けられ、表示部8042に表示されたアイコン8044を操作することができる。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式等、種々の方式を採用することができる。表示部8042が湾曲する場合、特に抵抗膜方式、静電容量方式を用いることが好ましい。タッチパネルはインセル方式のものであってもよい。
また、タッチパネルは、イメージセンサとして機能させることができるものであってもよい。この場合、例えば、表示部8042に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部8042に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
操作用のボタン8043には、用途に応じて様々な機能を持たせることができる。例えば、ホーム画面の表示機能、主電源をオン・オフ機能、スリープモードからの復帰の機能、スピーカ8047の音量の調整の機能などがある。
スピーカ8047からは、起動するアプリケーションに応じて様々な音を出力することができる。なお、音出力をスピーカ8047とともに、あるいはスピーカ8047に替えてヘッドフォン、イヤフォン、ヘッドセット等の装置を接続するコネクターを設けてもよい。
接続端子8048は、外部機器との通信や電力供給のための信号又は電力の入力端子である。
図16(B)は、携帯情報端末8040の背面及び側面を示した斜視図である。携帯情報端末8040は、筐体8041の表面に太陽電池8049とカメラ8050を有し、また、充放電制御回路8051、バッテリー8052、DCDCコンバータ8053等を有する。
携帯情報端末8040の背面に装着された太陽電池8049によって、電力を各部に供給すること、またはバッテリー8052を充電することができる。なお、太陽電池8049は、筐体8041の片面又は両面に設けることができる。
ここで、充放電制御回路8051の構成、及び動作についての一例を、図16(C)に示すブロック図を用いて説明する。
図16(C)には、太陽電池8049、バッテリー8052、DCDCコンバータ8053、コンバータ8057、スイッチ8054、スイッチ8055、スイッチ8056、表示部8042を示している。
DCDCコンバータ8053は太陽電池8049で発電した電力を、バッテリー8052を充電する電圧に昇圧又は降圧する。そして、表示部8042の動作に太陽電池8049からの電力が用いられる際には、スイッチ8054をオンにし、コンバータ8057で表示部8042に必要な電圧に昇圧又は降圧する。一方、表示部8042に供給しない際には、スイッチ8054をオフにし、スイッチ8055をオンにしてバッテリー8052の充電を行う。
なお、太陽電池8049に代えて圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの発電手段を適用してもよい。また、発電手段を設けず、接続端子8048から充電する電力を供給する、または非接触電力伝送モジュールを用いてもよく、以上の充電方法を組み合わせてもよい。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製することができる表示モジュールについて説明する。
図17(A)に示す表示モジュール6000は、上部カバー6001と下部カバー6002との間に、FPC6005が接続された表示装置6006、フレーム6009、プリント基板6010、及びバッテリー6011を有する。
例えば、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を、表示装置6006に用いることができる。表示装置6006により、極めて消費電力の低い表示モジュールを実現することができる。
上部カバー6001及び下部カバー6002は、表示装置6006のサイズに合わせて、形状や寸法を適宜変更することができる。
表示装置6006はタッチパネルとしての機能を有していてもよい。
フレーム6009は、表示装置6006の保護機能、プリント基板6010の動作により発生する電磁波を遮断する機能、放熱板としての機能等を有していてもよい。
プリント基板6010は、電源回路、ビデオ信号及びクロック信号を出力するための信号処理回路、バッテリー制御回路等を有する。バッテリー6011による電源であってもよい。
図17(B)は、光学式のタッチセンサを備える表示モジュール6000の断面概略図である。
表示モジュール6000は、プリント基板6010に設けられた発光部6015及び受光部6016を有する。また、上部カバー6001と下部カバー6002により囲まれた領域に一対の導光部(導光部6017a、導光部6017b)を有する。
表示装置6006は、フレーム6009を間に介してプリント基板6010やバッテリー6011と重ねて設けられている。表示装置6006とフレーム6009は、導光部6017a、導光部6017bに固定されている。
発光部6015から発せられた光6018は、導光部6017aにより表示装置6006の上部を経由し、導光部6017bを通って受光部6016に達する。例えば指やスタイラスなどの被検知体により、光6018が遮られることにより、タッチ操作を検出することができる。
発光部6015は、例えば表示装置6006の隣接する2辺に沿って複数設けられる。受光部6016は、発光部6015と対向する位置に複数設けられる。これにより、タッチ操作がなされた位置の情報を取得することができる。
発光部6015は、例えばLED素子などの光源を用いることができ、特に、赤外線を発する光源を用いることが好ましい。受光部6016は、発光部6015が発する光を受光し、電気信号に変換する光電素子を用いることができる。好適には、赤外線を受光可能なフォトダイオードを用いることができる。
光6018を透過する導光部6017a、導光部6017bにより、発光部6015と受光部6016とを表示装置6006の下側に配置することができ、外光が受光部6016に到達してタッチセンサが誤動作することを抑制できる。特に、可視光を吸収し、赤外線を透過する樹脂を用いると、タッチセンサの誤動作をより効果的に抑制できる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様を用いて作製された表示装置を備える電子機器について説明する。
図18(A)は、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
なおカメラ8000は、レンズ8006と筐体とが一体となっていてもよい。
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押す、またはタッチパネルとして機能する表示部8002をタッチすることにより撮像することができる。
筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントにより、カメラ8000に取り付けられている。ファインダー8100はカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
ボタン8103は、電源ボタン等としての機能を有する。
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。なお、ファインダーが内蔵されたカメラ8000であってもよい。
図18(B)は、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリー8206が内蔵されている。
ケーブル8205は、バッテリー8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203はカメラを備え、使用者の眼球やまぶたの動きの情報を入力手段として用いることができる。
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に、使用者の眼球の動きに伴って流れる電流を検知可能な複数の電極が設けられ、視点を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流により、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能や、使用者の頭部の動きに合わせて表示部8204に表示する映像を変化させる機能を有していてもよい。
表示部8204に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
図18(C)(D)(E)は、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると、使用者が高い臨場感を感じることができるため好ましい。また、表示部8302の異なる領域に表示された別の画像を、レンズ8305を通して視認することで、視差を用いた3次元表示等を行うこともできる。なお、表示部8302を1つ設ける構成に限られず、表示部8302を2つ設け、使用者の片方の目につき1つの表示部を配置してもよい。
なお、表示部8302に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置は、極めて精細度が高いため、図18(E)のようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
図19(A)乃至図19(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
図19(A)乃至図19(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画や動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
図19(A)乃至図19(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
図19(A)は、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、大画面、例えば、50インチ以上、または100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
図19(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。図19(B)では3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールやSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリーの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
図19(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
図19(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことや、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
図19(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図19(E)は携帯情報端末9201を展開した状態、図19(G)は折り畳んだ状態、図19(F)は図19(E)と図19(G)の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一態様の表示装置を備えるものである。したがって、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、ノート型のパーソナルコンピュータ、モニタ装置、デジタルサイネージ、パチンコ機、ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
本発明の一態様が適用された電子機器または照明装置は、家屋やビルの内壁または外壁、自動車等の内装または外装等が有する平面または曲面に沿って組み込むことができる。
図20(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7500が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
図20(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7500にタッチパネルを適用し、これに触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、操作ボタンの他に表示部を有していてもよい。
なお、テレビジョン装置7100は、テレビ放送の受信機や、ネットワーク接続のための通信装置を有していてもよい。
図20(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7500が組み込まれている。
図20(C)、(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
図20(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7500、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
また、図20(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7500を有する。
表示部7500が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができ、また人の目につきやすいため、例えば広告の宣伝効果を高める効果を奏する。
表示部7500にタッチパネルを適用し、使用者が操作できる構成とすると好ましい。これにより、広告用途だけでなく、路線情報や交通情報、商用施設の案内情報など、使用者が求める情報を提供するための用途にも用いることができる。
また、図20(C)、(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7500に表示される広告の情報を情報端末機7311の画面に表示させることや、情報端末機7311を操作することで、表示部7500の表示を切り替えることができる。
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
図20(A)乃至(D)における表示部7500に、本発明の一態様の表示装置を適用することができる。
本実施の形態の電子機器は表示部を有する構成としたが、表示部を有さない電子機器にも本発明の一態様を適用することができる。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を有する表示装置を適用することのできるテレビジョン装置の例について、図面を参照して説明する。
図21(A)に、テレビジョン装置600のブロック図を示す。
なお、本明細書に添付した図面では、構成要素を機能ごとに分類し、互いに独立したブロックとしてブロック図を示しているが、実際の構成要素は機能ごとに完全に切り分けることが難しく、一つの構成要素が複数の機能に係わることもあり得る。
テレビジョン装置600は、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、映像信号受信部606、タイミングコントローラ607、ソースドライバ608、ゲートドライバ609、表示パネル620等を有する。
上記実施の形態で例示した表示装置は、図21(A)における表示パネル620に適用することができる。これにより、大型且つ高解像度であって、視認性に優れたテレビジョン装置600を実現できる。
制御部601は、例えば中央演算装置(CPU:Central Processing Unit)として機能することができる。制御部601と各コンポーネントとは、システムバス630を介して信号の伝達が行われる。制御部601は、システムバス630を介して接続された各コンポーネントから入力される信号を処理する機能、各コンポーネントへ出力する信号を生成する機能等を有し、これによりシステムバス630に接続された各コンポーネントを統括的に制御することができる。
記憶部602は、制御部601及び画像処理回路604がアクセス可能なレジスタ、キャッシュメモリ、メインメモリ、二次メモリなどとして機能する。
また、記憶部602の他に、取り外し可能な記憶装置を接続可能な構成としてもよい。例えばストレージデバイスとして機能するハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)やソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)などの記録メディアドライブ、フラッシュメモリ、ブルーレイディスク、DVDなどの記録媒体と接続する端子を有することが好ましい。これにより、映像を記録することができる。
通信制御部603は、コンピュータネットワークを介して行われる通信を制御する機能を有する。また、通信制御部603は、Wi−Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の通信規格を用いてコンピュータネットワークまたは他の電子機器と通信する機能を有していてもよい。
映像信号受信部606は、例えばアンテナ、復調回路、及びA−D変換回路(アナログ−デジタル変換回路)等を有する。復調回路で、アンテナから入力した信号を復調し、A−D変換回路で復調されたアナログ信号をデジタル信号に変換することができる。映像信号受信部606で処理された信号は、デコーダ回路605に送られる。
デコーダ回路605は、映像信号受信部606から入力されるデジタル信号に含まれる映像データを、送信される放送規格の仕様に従ってデコードし、画像処理回路604に送信する信号を生成する機能を有する。例えば8K放送における放送規格としては、H.265 | MPEG−H High Efficiency Video Coding(略称:HEVC)などがある。
映像信号受信部606が有するアンテナにより受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波などが挙げられる。特に、複数の周波数帯域で受信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、例えばフルハイビジョンを超える解像度(4K2K、8K4K、16K8K、またはそれ以上の解像度)を有する映像を、表示パネル620に表示させることができる。
また、テレビジョン装置600は、通信制御部603を用いてコンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信された放送のデータを用いて、画像処理回路604に送信する信号を生成する構成としてもよい。このとき、受信する信号がデジタル信号の場合には、映像信号受信部606を有していなくてもよい。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、タイミングコントローラ607に出力する映像信号を生成する機能を有する。
またタイミングコントローラ607は、画像処理回路604が処理を施した映像信号等に含まれる同期信号を基に、ゲートドライバ609及びソースドライバ608に出力する信号(クロック信号、スタートパルス信号などの信号)、及びソースドライバ608に出力するビデオ信号を生成する機能を有する。
表示パネル620は、複数の画素621を有する。各画素621は、ゲートドライバ609及びソースドライバ608から供給される信号により駆動される。ここでは、8K4K規格に応じた解像度を有する表示パネルの例を示している。
画像処理回路604は、例えばDSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサを用いることができる。
なお、制御部601や画像処理回路604に、FPGA(Field Programmable Gate Array)やFPAA(Field Programmable Analog Array)といったPLD(Programmable Logic Device)を適用してもよい。
また、制御部601、記憶部602、通信制御部603、画像処理回路604、デコーダ回路605、及び映像信号受信部606、及びタイミングコントローラ607のそれぞれが有する機能のうち、2つ以上の機能を1つのICチップに集約させ、システムLSIを構成してもよい。例えば、プロセッサ、デコーダ回路、チューナ回路、A−D変換回路、DRAM、及びSRAM等を有するシステムLSIとしてもよい。
なお、制御部601や、他のコンポーネントが有するIC等に、チャネル形成領域に酸化物半導体を用い、極めて低いオフ電流が実現されたトランジスタを利用することもできる。当該トランジスタは、オフ電流が極めて低いため、当該トランジスタを記憶素子として機能する容量素子に流入した電荷(データ)を保持するためのスイッチとして用いることで、データの保持期間を長期にわたり確保することができる。この特性を制御部601等のレジスタやキャッシュメモリに用いることで、必要なときだけ制御部601を動作させ、他の場合には直前の処理の情報を当該記憶素子に待避させることにより、ノーマリーオフコンピューティングが可能となる。これにより、テレビジョン装置600の低消費電力化を図ることができる。
なお、テレビジョン装置600の構成は一例であり、全ての構成要素を含む必要はない。またテレビジョン装置600は、上記構成要素以外の構成要素を有していてもよい。
例えば、USB(Universal Serial Bus)端子、LAN(Local Area Network)接続用端子、電源受給用端子、音声出力用端子、音声入力用端子、映像出力用端子、映像入力用端子などの外部接続端子、赤外線、可視光、紫外線などを用いた光通信用の送受信機、筐体に設けられた物理ボタンなどの外部インターフェースや、サウンドコントローラ、マイクロフォン、スピーカなどの音声出力部のほか、タッチパネルユニット、センサユニット、カメラユニットなどを有していてもよい。
以下では、画像処理回路604についてより詳細な説明を行う。
画像処理回路604は、デコーダ回路605から入力される映像信号に基づいて、画像処理を実行する機能を有することが好ましい。
画像処理としては、例えばノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などが挙げられる。色調補正処理や輝度調整処理としては、例えばガンマ補正などがある。
また、画像処理回路604は、ニューラルネットワークを利用して、画像処理を実行する機能を有していてもよい。図21(A)では、画像処理回路604がニューラルネットワーク610を有している例を示している。
例えば、ニューラルネットワーク610により、例えば映像に含まれる画像データから特徴抽出を行うことができる。また画像処理回路604は、抽出された特徴に応じて最適な補正方法を選択することや、または補正に用いるパラメータを選択することができる。
または、ニューラルネットワーク610自体に画像処理を行う機能を持たせてもよい。すなわち、画像処理を施す前の画像データをニューラルネットワーク610に入力することで、画像処理が施された画像データを出力させる構成としてもよい。
また、ニューラルネットワーク610に用いる重み係数のデータは、データテーブルとして記憶部602に格納される。当該重み係数を含むデータテーブルは、例えば通信制御部603により、コンピュータネットワークを介して最新のものに更新することができる。または、画像処理回路604が学習機能を有し、重み係数を含むデータテーブルを更新可能な構成としてもよい。
図21(B)に、画像処理回路604が有するニューラルネットワーク610の概略図を示す。
ニューラルネットワーク610は、入力層611、1つ以上の中間層612、及び出力層613を有する。入力層611には入力データが入力される。出力層613からは出力データが出力される。
入力層611、中間層612、及び出力層613には、それぞれニューロン615を有する。ここでニューロン615は、積和演算を実現しうる回路素子(積和演算素子)を指す。図21では、2つの層が有する2つのニューロン615間におけるデータの入出力方向を矢印で示している。
それぞれの層における演算処理は、前層が有するニューロン615の出力と重み係数との積和演算により実行される。層と層との結合は、全てのニューロン同士が結合する全結合としてもよいし、一部のニューロン同士が結合する部分結合としてもよい。図21(B)では全結合である場合を示している。
図21(B)では、3つの中間層612を有する例を示している。なお、中間層612の数はこれに限られず、1つ以上の中間層を有していればよい。
ニューロン615同士の結合強度の指標となる重み係数は、学習によって決定される。学習は、テレビジョン装置600が有するプロセッサにより実行してもよいが、専用サーバーやクラウドなどの演算処理能力の優れた計算機で実行することが好ましい。学習により決定された重み係数は、テーブルとして上記記憶部602に格納され、画像処理回路604により読み出されることにより使用される。また、当該テーブルは、必要に応じてコンピュータネットワークを介して更新することができる。
以上がニューラルネットワークについての説明である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
本実施例では、窒素を有する金属酸化物膜の物性を評価した結果について説明する。本実施例においては、試料A1乃至A12、B1乃至B12、C1乃至C12、D1乃至D12、E1乃至E12、F1乃至F12を作製し、評価した。
<試料の作製>
本実施例で作製した各試料について、説明する。
試料A1乃至A12はそれぞれ、600mm×720mmサイズのガラス基板上に膜厚100nmの金属酸化物膜が形成された構造である。金属酸化物膜が形成にはスパッタリング装置を用い、スパッタリングターゲットとしてIn−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比])を用いた。スパッタリング処理は、成膜時の基板温度(Tsub.)を200℃とし、圧力を0.6Paに制御し、2500WのAC電力を投入して成膜した。各試料はそれぞれ、金属酸化物膜成膜時の窒素流量、酸素流量及びアルゴン流量が異なっている。各試料の金属酸化物膜の成膜条件を表1に示す。
試料B1乃至B12、C1乃至C12、D1乃至D12はそれぞれ、600mm×720mmサイズのガラス基板上に膜厚100nmの金属酸化物膜が形成された構造である。金属酸化物膜が形成にはスパッタリング装置を用い、スパッタリングターゲットとしてIn−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=5:1:7[原子数比])を用いた。スパッタリング処理は、成膜時の基板温度(Tsub.)を室温とし、圧力を0.6Paに制御し、2500WのAC電力を投入して成膜した。また、試料C1乃至C12、D1乃至D12金属酸化物膜成膜後に、オーブンを用いて加熱処理を行った。各試料はそれぞれ、金属酸化物膜成膜時の窒素流量、酸素流量及びアルゴン流量、金属酸化物膜成膜後の加熱処理条件が異なっている。各試料の金属酸化物膜の成膜条件を表2に示す。
試料A1乃至A12、B1乃至B12は、金属酸化物膜の成膜後に加熱処理を行わなかった。試料C1乃至C12は、金属酸化物膜の成膜後に窒素ガスの雰囲気下で400℃1時間の加熱処理を行った。試料D1乃至D12は、金属酸化物膜の成膜後に窒素ガスの雰囲気下で400℃1時間の加熱処理を行い、さらに連続して窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気(窒素ガス流量:酸素ガス流量=1:1)下で400℃1時間の加熱処理を行った。
<窒素濃度の評価>
前述の試料A1、A4、A9、A10、A12、B2、B6、B10の二次イオン質量分析(SIMS)を行い、金属酸化物膜中の窒素濃度を評価した。
SIMS測定を行ったガラス基板内の位置を図22に示す。図22は、600mm×720mmサイズのガラス基板を示しており、SIMS測定は図22中の白抜き丸印で示すHの位置を用いた。
SIMS測定にはCAMECA社製IMS−6fを用い、一次イオン種をCs、一次加速電圧を5.0kV、検出領域を直径30μmとした。試料A1、A4、A9、A10、A12の検出下限は2×1017atoms/cmであった。試料B2、B6、B10の検出下限は1×1017atoms/cmであった。
試料A1、A4、A9、A10、A12の窒素濃度のプロファイルを図23、試料B2、B6、B10を図24に示す。図23及び図24は、横軸に金属酸化物膜表面からの深さ(Depth)[μm]を示し、縦軸に窒素濃度(N Concentration)[atoms/cm]を示す。また、試料A1、A4、A9、A10、A12の金属酸化物膜中の窒素濃度の平均値を図25(A)、試料B2、B6、B10を図25(B)に示す。図25(A)及び図25(B)に示す窒素濃度は、金属酸化物膜表面からの深さが30nm乃至80nmの範囲の平均値を用いた。
金属酸化物膜の成膜時に窒素流量比が高いほど金属酸化物膜中の窒素濃度が高くなる傾向であり、成膜時に窒素ガスを用いた試料の窒素濃度は1020乗台atoms/cmであることを確認できた。
<組成の評価1>
前述の試料A1、A4、A9、A10、A12、B2、B6、B10のX線光電子分光(XPS)測定を行い、金属酸化物膜の組成を評価した。
XPS測定は図22中の白抜き丸印で示すHの位置を用いた。
XPS測定にはPHI社製のVersaProbeを用いた。X線源には単色化したMg Kα線(1253.6eV)を用いた。取出角は45°とした。検出深さは約4nmから5nm程度と考えられる。各試料の検出下限は約1atomic%であった。
各試料の定量値[atomic%]を表3に示す。各試料とも窒素は検出下限以下であり、窒素の原子数比率は約1atomic%であることが分かった。なお、表3はIn、Ga、Zn、Oの合計が100%になるように規格化した値を示している。
<密度の評価>
前述の試料A1乃至A12、B2、B6、B10のX線反射率法(XRR)測定を行い、金属酸化物膜の密度を評価した。
XRR測定は図22中の白抜き丸印で示すB、E、Hの位置を用いた。
試料A1乃至A12の密度を図26(A)、試料B1乃至B12を図26(B)に示す。図26(A)及び図26(B)は、横軸に成膜条件を示し、縦軸に密度(Density)[g/cm]を示す。
<組成の評価2>
前述の窒素濃度(atoms/cm)、組成、密度のデータを用いて、金属酸化物膜中の窒素の原子数比率(atomic%)を算出した。
窒素の原子数比率の算出方法を、試料A9を例に説明する。試料A9において、<窒素濃度の評価1>で示した窒素濃度は6.92×1020atoms/cm、<組成の評価>で示した組成は、In:Ga:Zn:O=17.3:17.1:6.1:59.5、<密度の評価>で示した密度は5.98g/cmであった。ここで、試料A9の組成をIn:Ga:Zn:O:N=17.3:17.1:6.1:59.5:xとおく。該組成から算出される金属酸化物膜の化学式量と、密度(g/cm)及び窒素濃度(atoms/cm)の関係から、xは0.87と算出された。試料A9の組成はIn:Ga:Zn:O:N=17.3:17.1:6.1:59.5:0.87となり、In、Ga、Zn、O、Nの合計が100%になるように規格化すると、窒素の原子数比率は0.86atomic%となった。なお、アボガドロ定数は6.022×1023mol−1を用いた。
試料A9と同様に他の試料の窒素の原子数比率を算出した。算出した各試料の組成を表4に示す。表4に示すように、金属酸化物膜の成膜時に窒素ガスを用いなかった試料A1、A4及びB2と比較して、窒素ガスを用いた試料A9、A10、A12、B6、B10は金属酸化物膜中の窒素濃度が高くなっていることを確認できた。なお、金属酸化物膜のIn:Ga:Zn:Oの組成が不明の場合は、化学量論を組成として用いてもよい。例えば、スパッタリングターゲットとしてIn−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比])を用いて成膜した金属酸化物膜の組成は、In:Ga:Zn:O=1:1:0.5:3.5と想定して窒素の原子数比率を算出してもよい。スパッタリングターゲットとしてIn−Ga−Zn酸化物(In:Ga:Zn=5:1:7[原子数比])を用いて成膜した金属酸化物膜の組成は、In:Ga:Zn:O=5:1:7:16と想定して窒素の原子数比率を算出してもよい。
<バンドギャップの評価>
前述の試料A1乃至A12、B2、B6、B10を分光エリプソメトリーで測定し、金属酸化物膜のバンドギャップ(Eg)を評価した。
バンドギャップ測定は図22中の白抜き丸印で示すHの位置を用いた。
試料A1乃至A12のバンドギャップ(Eg)を図27(A)、試料B2、B6、B10を図27(B)に示す。図27(A)及び図27(B)は、横軸に成膜条件を示し、縦軸にバンドギャップ(Eg)[eV]を示す。
金属酸化物膜の成膜時に窒素流量比が高くなると、バンドギャップ(Eg)が高くなる傾向であることを確認できた。
<結晶性の評価>
前述の試料A1乃至A12、B1乃至B12のX線回折(XRD)測定を行い、金属酸化物膜の結晶性を評価した。
XRD測定は図22中の白抜き丸印で示すB、E、Hの位置を用いた。
XRD測定は、out−of−plane法の一種であるθ−2θスキャン法を用いた。θ−2θスキャン法は、X線の入射角を変化させるとともに、X線源に対向して設けられる検出器の角度を入射角と同じにしてX線回折強度を測定する方法である。θ−2θスキャン法は、粉末法と呼ばれる場合がある。XRD測定にはBruker AXS社製D8 ADVANCEを用いた。X線源として波長0.15418nmのCuKα線を用い、走査範囲を2θ=15deg.乃至50deg.、ステップ幅を0.01deg.、走査速度を6.0deg./分とした。
試料A1乃至A12のXRDスペクトルを図28、試料B1乃至B12を図29に示す。図28及び図29は、横軸に回折角度2θ[deg.]を示し、縦軸に回折X線強度(任意単位)を示す。なお、回折ピークを見やすくする為、図28と図29でグラフの縦軸及び横軸のスケールは異なっている。
成膜時に窒素ガスを用いた条件においても、酸素流量比が高くなるほど2θ=31°近傍のピークが大きくなるのを確認でき、良好な結晶性を有することが分かった。
<キャリア密度の評価>
前述の試料C1乃至C12、D1乃至D12のホール効果測定を行い、金属酸化物膜のキャリア密度を評価した。
ホール効果測定は図22中の白抜き丸印で示すHの位置を用いた。
ホール効果測定は、25℃で行った。ホール効果測定には東陽テクニカ社製ResiTest8300シリーズを用いた。
試料C1乃至C12のキャリア密度を図30(A)、試料D1乃至D12を図30(B)、に示す。図30(A)及び図30(B)は、横軸に酸素流量比(O)[%]を示し、縦軸にキャリア密度(Carrier density)[cm−3]を示す。
成膜時の窒素流量比が高くなるほど、キャリア密度が少ない傾向を確認できた。窒素を有する金属酸化物膜は、加熱処理によるキャリア密度の増加が抑制されると考えられる。
本実施例ではトランジスタを作製し、当該トランジスタの電気特性を評価した。
<トランジスタの作製>
本実施例で作製したトランジスタについて、説明する。作製したトランジスタは、図3に示すトランジスタ100Bの構成を用いた。
まず、ガラス基板上に厚さ約100nmのタングステン膜をスパッタリング法により成膜し、これを加工して第1のゲート電極を得た。
続いて、第1のゲート絶縁層として厚さ5nmの酸化窒化シリコン膜と、厚さ10nmの酸化アルミニウム膜と、厚さ15nmの酸化窒化シリコン膜をこの順に成膜した。酸化窒化シリコン膜はプラズマCVD法により成膜し、成膜時の基板温度は400℃とした。酸化アルミニウム膜はスパッタリング法により成膜し、成膜時の基板温度は170℃とした。
続いて、第1のゲート絶縁層上に、厚さ5nmの第1の金属酸化物膜と、厚さ40nmの第2の金属酸化物膜とをこの順に成膜した。第1の金属酸化物膜の成膜は、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比])を用いたスパッタリング法により、圧力0.6Pa、電源電力2.5kWの条件で行った。成膜時の基板温度は200℃とした。成膜ガスとして窒素ガス、酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガスを用い、窒素流量比を10%、酸素流量比を10%、アルゴン流量比を80%とした。第2の金属酸化物膜の成膜は、In−Ga−Zn酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いたスパッタリング法により、圧力0.6Pa、電源電力2.5kWの条件で行った。成膜時の基板温度は130℃とした。成膜ガスとして酸素ガス及びアルゴンガスの混合ガスを用い、酸素流量比を10%、アルゴン流量比を90%とした。
続いて、窒素雰囲気下、400℃で1時間の加熱処理を行った後、窒素と酸素との混合ガス(窒素ガス流量:酸素ガス流量=1:1)雰囲気下で、400℃で1時間の加熱処理を行った。加熱処理にはオーブン装置を用いた。
続いて、第1の金属酸化物膜及び第2の金属酸化物膜を島状に加工し、第1の金属酸化物層及び第2の金属酸化物層を形成した。
続いて、第2のゲート絶縁層となる厚さ20nmの酸化窒化シリコン膜を成膜した。酸化窒化シリコン膜はプラズマCVD法により成膜し、成膜時の基板温度は400℃とした。した。
続いて、窒素雰囲気下、400℃で1時間の加熱処理を行った。加熱処理にはオーブン装置を用いた。
続いて、酸化窒化シリコン膜上に厚さ5nmの酸化アルミニウム膜を成膜した。酸化アルミニウム膜は、アルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリング法により成膜した。成膜時の基板温度は170℃とした。成膜ガスとしてアルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを用い、酸素流量比を70%とした。
続いて、酸化アルミニウム膜上に厚さ150nmのタングステン膜を成膜した。タングステン膜は、スパッタリング法により成膜した。
続いて、タングステン膜と、酸化アルミニウム膜と、酸化窒化シリコン膜を連続して加工し、第2のゲート電極、金属酸化物層及び第2のゲート絶縁層を形成した。
続いて、厚さ20nmの窒化アルミニウム膜を成膜した。窒化アルミニウム膜は、アルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリング法により成膜した。成膜時の基板温度は70℃とした。成膜ガスとして窒素ガスとアルゴンガスの混合ガスを用い、窒素流量比を40%とした。
続いて、窒素雰囲気下、350℃で1時間の加熱処理を行った。加熱処理にはオーブン装置を用いた。
続いて、第1の保護絶縁層として、厚さ20nmの酸化アルミニウム膜を成膜した。酸化アルミニウム膜は、アルミニウムターゲットを用いた反応性スパッタリング法により成膜した。成膜の条件は、基板温度を170℃、成膜ガスに酸素ガスとアルゴンガスの混合ガスを用い、酸素流量比を70%とした。
続いて、第2の保護絶縁層として。厚さ300nmの酸化窒化シリコン膜を成膜した。酸化窒化シリコン膜はプラズマCVD法により成膜し、成膜時の基板温度は400℃とした。した。
続いて、窒素雰囲気下、350℃で1時間の加熱処理を行った。加熱処理にはオーブン装置を用いた。
続いて、トランジスタを覆う絶縁層の一部を開口し、厚さ30nmの窒化タンタル膜と、厚さ150nmのタングステン膜をこの順にスパッタリング法により成膜し、これを加工してソース電極及びドレイン電極を得た。
その後、第2の保護絶縁層、ソース電極及びドレイン電極上に、厚さ約1.5μmのアクリル樹脂膜を成膜し、これを加工して平坦化膜を得た。アクリル樹脂膜は、アクリル系の感光性樹脂を用い、窒素雰囲気下、250℃で1時間の焼成を行うことにより形成した。
以上の工程で、ガラス基板上に形成されたトランジスタを得た。
なお、トランジスタのチャネル長Lは、1μmまたは6μmとした。トランジスタのチャネル幅Wは、全ての試料において、3μmとした。
<トランジスタの電気特性>
次に、上記作製した試料について、トランジスタのId−Vg特性を測定した。なお、トランジスタのId−Vg特性の測定条件としては、ゲート電圧(Vg)を、−6Vから+6Vまで0.1Vのステップで印加した。また、ソース電圧(Vs)を0Vとし、ドレイン電圧(Vd)を、0.1V及び5.1Vとした。また、測定数は各トランジスタそれぞれ20とした。
トランジスタの電気特性を図31(A)及び図31(B)に示す。図31(A)は、チャネル長Lが1μm、チャネル幅Wが3μmであるトランジスタの結果を示しており、図31(B)は、チャネル長Lが6μm、チャネル幅Wが3μmであるトランジスタの結果を示している。図31(A)及び図31(B)において、横軸はゲート電圧(Vg)[V]を示し、左の縦軸はドレイン電流(Id)[A]、右の縦軸は移動度(μFE)[cm/Vs]を示す。
図31(A)及び図31(B)に示したトランジスタのしきい値電圧(Vth)を図32に示す。図22において、横軸はトランジスタのサイズ、縦軸はしきい値電圧(Vth)[V]を示している。また、測定データ(各20個)を×印で示し、平均値(ave)を黒丸印で示している。図31(A)、図31(B)及び図32に示すように、いずれのトランジスタにおいても、しきい値電圧(Vth)が正の値であり、良好な電気特性を示すことが確認された。
100 トランジスタ
100A〜C トランジスタ
102 基板
103 絶縁層
104 絶縁層
106 導電層
108 金属酸化物層
108f 金属酸化物膜
108a 金属酸化物層
108af 金属酸化物膜
108b 金属酸化物層
108bf 金属酸化物膜
108c 金属酸化物層
108cf 金属酸化物膜
108n 領域
110 絶縁層
110f 絶縁膜
112 導電層
112f 導電膜
114 絶縁層
114f 絶縁膜
115 絶縁層
118 絶縁層
120a、b 導電層
141a、b 開口部

Claims (13)

  1. 第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、第3の絶縁層と、第1の導電層と、第1の金属酸化物層と、第2の金属酸化物層と、を有し、
    前記第1の金属酸化物層は、前記第1の絶縁層上に位置し、
    前記第2の金属酸化物層は、前記第1の金属酸化物層上に位置し、
    前記第1の導電層は、前記第2の金属酸化物層上に位置し、
    前記第2の絶縁層は、前記第2の金属酸化物層と前記第1の導電層の間に位置し、
    前記第3の絶縁層は、前記第1の絶縁層の上面、前記第1の金属酸化物層の側面、前記第2の金属酸化物層の上面の一部及び側面、前記第2の絶縁層の側面、並びに前記第1の導電層の側面及び上面を覆い、
    前記第1の金属酸化物層は、前記第2の金属酸化物層より窒素濃度が高い領域を有する、半導体装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の金属酸化物層は、窒素濃度が1×1018atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下の領域を有する、半導体装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記第1の金属酸化物層は、窒素の原子数比率が0.001atomic%以上10atomic%以下の領域を有する、半導体装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記第1の金属酸化物層と前記第2の金属酸化物層は、上面形状が概略一致する、半導体装置。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記第1の金属酸化物層及び前記第2の金属酸化物層はそれぞれ、Inと、元素Mと、Znと、を含み、
    前記元素Mは、Ga、Al、Si、B、Y、Sn、Cu、V、Be、Ti、Fe、Ni、Ge、Zr、Mo、La、Ce、Nd、Hf、Ta、W、またはMgから選ばれた一以上である、半導体装置。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    さらに第3の金属酸化物層を有し、
    前記第3の金属酸化物層は、前記第1の絶縁層と前記第1の金属酸化物層との間に位置し、
    前記第3の金属酸化物層は、第2の金属酸化物層より結晶性が高い領域を有する、半導体装置。
  7. 請求項6において、
    前記第1の金属酸化物層と前記第3の金属酸化物層は、上面形状が概略一致する、半導体装置。
  8. 請求項6又は請求項7において、
    前記第3の金属酸化物層はそれぞれ、Inと、元素Mと、Znと、を含み、
    前記元素Mは、Ga、Al、Si、B、Y、Sn、Cu、V、Be、Ti、Fe、Ni、Ge、Zr、Mo、La、Ce、Nd、Hf、Ta、W、またはMgから選ばれた一以上である、半導体装置。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか一において、
    前記第3の絶縁層は、金属窒化物を含む、半導体装置。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか一において、
    前記第3の絶縁層は、アルミニウムを含む、半導体装置。
  11. 請求項1乃至請求項10のいずれか一において、
    前記第3の絶縁層は、前記第1の金属酸化物層より窒素濃度が高い領域を有する、半導体装置。
  12. 請求項1乃至請求項11のいずれか一において、
    前記第3の絶縁層と前記第2の金属酸化物層との界面近傍において、金属インジウムを有する、半導体装置。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか一において、
    さらに第4の絶縁層を有し、
    前記第4の絶縁層は、前記第1の絶縁層の下に位置し、
    前記第4の絶縁層は、アルミニウム及びハフニウムの少なくとも一方と、酸素と、を含む、半導体装置。
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