以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物に形成された開口部に納められた建具(サッシ)の枠体に収められるガラスや障子の面内方向を意味し、「見込方向」とは、室内外方向(即ち、奥行き方向)を意味する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る建具1を示す正面図である。第1実施形態の建具1は、防火仕様の縦辷り窓である。まず、建具1の全体構成について説明する。本実施形態の建具1は、建物開口部に固定される枠体10と、枠体10の内側に開閉可能に取り付けられる障子20と、を備える。
枠体10は、上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14が矩形に枠組みされて構成される。上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。これらの樹脂製の枠(上枠11、下枠12、吊元側縦枠13及び戸先側縦枠14)は、内部に中空部を有する押出し形材であり、後述する中空部が枠の押し出し方向に沿って連続している。
図2は、第1実施形態の建具1の縦断面図である。上枠11の内部は、見込方向で複数の空間に区画されており、室外側から室内側の順に中空部11a,11b,11cが形成される。中空部11cには金属製の上枠芯材11dが配置される。また、上枠11の室内側下部には、下方に延びる延出部11eが形成され、延出部11eの室外側の見付面にはクッション材11fが配置される。同様に、下枠12の内部にも、見込方向に複数の中空部12a,12b,12cが形成され、中空部12bには金属製の下枠芯材12dが配置される。また、下枠12の室内側上部には、上方に延びる延出部12eが形成され、該延出部12eにもクッション材12fが配置される。
図3は、第1実施形態の建具1の横断面図である。吊元側縦枠13の内部も、見込方向で区画された複数の中空部13a,13b,13cが形成され、中空部13bには金属製の縦枠芯材13dが配置される。また、吊元側縦枠13の室外側には見付方向戸先側に延びる延出部13eが形成され、該延出部13eにもクッション材13fが配置される。
戸先側縦枠14の内部にも、見込方向で区画された複数の中空部14a,14b,14cが形成され、中空部14bには金属製の縦枠芯材14dが配置される。戸先側縦枠14の室外側にも見付方向吊元側に延びる延出部14eが形成され、該延出部14eにもクッション材14fが配置される。
図3に示すように、枠体10の内側の隅(内隅)には枠側コーナー金具46がそれぞれ配置される(図2において図示省略)。枠側コーナー金具46は、4隅のそれぞれに配置される。枠側コーナー金具46自体は、枠体10の見込面に配置されるが、ネジ等の締結部材を介して枠体10の内側の芯材(上枠芯材11d、下枠芯材12d、縦枠芯材13d及び縦枠芯材14d)に締結固定される。より具体的には、枠体10の戸先側上部では、上枠芯材11dと縦枠芯材14dが枠側コーナー金具46によって連結され、吊元側上部では、上枠芯材11dと縦枠芯材13dが連結される。同様に、戸先側下部では、下枠芯材12dと縦枠芯材14dが枠側コーナー金具46によって連結され、吊元側下部では、下枠芯材12dと縦枠芯材13dが連結される。
障子20は、ガラス25と、ガラス25を囲うように構成される框体30と、を含むように構成される。
ガラス25は、室外側に配置される室外側ガラス25aと、室外側ガラス25aに対して隙間をあけて室内側に配置される室内側ガラス25bと、を備える複層ガラスである。室外側ガラス25aと室内側ガラス25bの間にはスペーサ26等が配置される。
框体30は、上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34が矩形に枠組みされて構成される。上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。これらの樹脂製の框(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)は、内部に中空部を有する押出し形材であり、後述する中空部が框の押し出し方向に沿って連続している。
上框31の内部には、室外側から室内側に向かって複数の中空部31a,31b,31cが形成される。最も室内側に位置する中空部31cには、金属で形成される室内側上框芯材31dが配置される。中空部31bにも、金属製の室外側上框芯材31eが配置される。室内側上框芯材31d及び室外側上框芯材31eは、何れも上框31の長手方向に沿って延びている。上框31の室外側上部には、上枠11の一部と見込方向で対向する延出部31fが形成される。延出部31fの室内側にはクッション材31gが設けられる。また、延出部31fの下方には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部31hが形成される。
下框32の内部にも、室外側から室内側に向かって複数の中空部32a,32b,32cが形成される。最も室内側に位置する中空部32cには、金属で形成される室内側下框芯材32dが配置される。中空部32bにも、金属製の室外側下框芯材32eが配置される。室内側下框芯材32d及び室外側下框芯材32eは、何れも下框32の長手方向に沿って延びている。下框32の室外側下部には、下枠12の一部と見込方向で対向する延出部32fが形成される。延出部32fの室内側にはクッション材32gが設けられる。また、延出部32fの下方には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部32hが形成される。
吊元側縦框33の内部には、室外側から室内側に向かって複数の中空部33a,33b,33cが形成される。最も室内側に位置する中空部33cには、金属で形成される室内側縦框芯材33dが配置される。中空部33bにも、金属製の室外側縦框芯材33eが配置される。室内側縦框芯材33d及び室外側縦框芯材33eは、何れも吊元側縦框33の長手方向に沿って延びている。吊元側縦框33の室外側には、吊元側縦枠13の一部と見込方向で対向する延出部33fが形成される。延出部33fの室内側にはクッション材33gが設けられる。また、延出部33fの戸先側には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部33hが形成される。
戸先側縦框34の内部には、室外側から室内側に向かって複数の中空部34a,34b,34cが形成される。最も室内側に位置する中空部34cには、金属で形成される室内側縦框芯材34dが配置される。中空部34bにも、金属製の室外側縦框芯材34eが配置される。室内側縦框芯材34d及び室外側縦框芯材34eは、何れも戸先側縦框34の長手方向に沿って延びている。戸先側縦框34の室外側には、吊元側縦枠13の一部と見込方向で対向する延出部34fが形成される。延出部34fの室内側にはクッション材34gが設けられる。また、延出部34fの吊元側には樹脂製の押し縁部材27を嵌合固定する嵌合固定部34hが形成される。
本実施形態では、框体30内部の室外側に位置する芯材(室外側上框芯材31e、室外側下框芯材32e、室外側縦框芯材33e及び室外側縦框芯材34e)と、室内側に位置する芯材(室内側上框芯材31d、室内側下框芯材32d、室内側縦框芯材33d及び室内側縦框芯材34d)と、が框芯材連結金具67によって連結されている。框芯材連結金具67は、框体30の外側面の形状に応じて段差状に形成されるプレート部材である。框芯材連結金具67は、框体30(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)の外部に配置され、框体30の内部で異なる中空部に配置される室外側の芯材と室内側の芯材にネジ等の締結部材によってそれぞれ締結される。これによって見込方向に複数の中空部が形成される樹脂製の框体30が火災発生時の高温環境下で室外側と室内側に分離する事態が確実に防止されている。
障子20は、上枠11に連結されるとともに上框31(框体30)に連結される上アーム部材61及び下枠12に連結されるとともに下框32(框体30)に連結される下アーム部材62によって開閉可能に枠体10の内側に支持される。本実施形態では、上アーム部材61及び下アーム部材62は、何れも框体30に対して金属により板状に成形される補強材65を介して連結される。
障子20の戸先側には、ハンドル55に連動するスライドロック機構50が配置される。スライドロック機構50は、ハンドル55操作に連動して上下方向に移動するスライドプレート51と、スライドプレート51の戸先側の見込面に形成されるロックピン52と、を備える。戸先側縦枠14の内側の見込面には、ロックピン52が嵌合するロックピン受け金具15が固定される。本実施形態では、ロックピン52は、上下方向で複数個所に形成されており、ロックピン受け金具15もロックピン52の数に応じて上下方向に間隔をあけて複数固定される。また、スライドプレート51は、戸先側縦框34の戸先側にスライド嵌合された状態でハンドル55に連結されている。
次に、框体30の内側の見込面に配置されるガラス外れ止め部材40及び框体30のコーナー部100a〜100dの内側の見込面に配置されるコーナー部ガラス外れ止め部材500について説明する。図1に示すように、框体30(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)の内側の見込面にはガラス外れ止め部材40が1又は複数配置される。また、框体30のコーナーを構成する各コーナー部100a〜100dの内隅には、L字状に接続されたコーナー部ガラス外れ止め部材500(ガラス外れ止め部材)が配置される。コーナー部ガラス止め部材500は、各コーナー部100a〜100dにおいて、框体30(上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34)の内側の見込面に跨って配置される。
なお、框体30の内側の見込面とは、框体30におけるガラス25に対向する面である。
図4は、第1実施形態の建具1が備える戸先側縦框34に固定されるガラス外れ止め部材40を見付方向の吊元側から見た図である。なお、図4では、加熱発泡材やセッティングブロックの図示が省略されるとともに、ガラス25が鎖線で示されている。
図4に示すように、戸先側縦框34の内側の見込面には、4個のガラス外れ止め部材40が間隔をあけて配置される(図4参照)。同様に吊元側縦框33の見込面にも4個のガラス外れ止め部材40が配置される。以下の説明において吊元側縦框33又は戸先側縦框34に配置されるガラス外れ止め部材40の符号をガラス外れ止め部材40aとして説明する。また、戸先側縦框34の上端部及び下端部の見込面には、コーナー部ガラス止め部材500の縦框側の部分が配置される。同様に吊元側縦框33の上端部の見込面及び下端部の見込面にも、コーナー部ガラス止め部材500の縦框側の部分が配置される。
図5は、第1実施形態の建具1が備える上框31に固定されるガラス外れ止め部材40を下側から見た図である。なお、図5でも、加熱発泡材やセッティングブロックの図示が省略されるとともに、ガラス25が鎖線で示されている。
図5に示すように、上框31の内側の見込面には、中央にガラス外れ止め部材40が1個配置される(図5参照)。同様に、下框32の内側の見込面にもガラス外れ止め部材40が1個配置される。以下の説明において上框31又は下框32に配置されるガラス外れ止め部材40の符号をガラス外れ止め部材40bとして説明する。また、上框31の両端部の見込面には、コーナー部ガラス止め部材500の横框側の部分が配置される。同様に下框32の両端部の見込面にも、コーナー部ガラス止め部材500の横框側の部分が配置される。
本実施形態では、ガラス外れ止め部材40aとガラス外れ止め部材40bは、同じ形状のガラス外れ止め部材40である。次に、このガラス外れ止め部材40の構成について説明する。図6は、第1実施形態のガラス外れ止め部材40の分解斜視図である。
図6に示すように、本実施形態のガラス外れ止め部材40は、框体30に固定される保持金具41と、保持金具41によって保持される押さえ片42と、を備える。本実施形態では、保持金具41及び押さえ片42は、何れも金属製(例えば、ステンレス鋼)である。
保持金具41は、框体30との間に隙間を形成する台部41aと、台部41aの両側(見込方向に直交する)に配置される取付部41bと、を備える。両側の取付部41bのそれぞれには、見込方向に細長い締結孔41cが形成される。この締結孔41cに締結部材としてのネジ45が締結されることにより、保持金具41が框体30に固定される。台部41aは、固定された状態で框体30の見込面との間に隙間を形成する。台部41aの室内側の端部には、室内側から室外側に切り欠かれた係合孔41dが形成される。また、台部41aの室内側の端部には、ガラス25側に向かって延出する延出片41eが形成される。延出片41eは、係合孔41dを跨る壁状に形成されており、保持金具41に係合された状態の押さえ片42に対向する。
押さえ片42は、ガラス25の端部に対向する押さえ片42aと、押さえ片42aの下部(見付方向における框体30側の端部)から室内側に延びる係合部42bと、押さえ片42aの下端部(見付方向における框体30側の端部)における係合部42bの両側において室内側に延びる足部42dと、を備える。押さえ片42の係合部42bの爪部42cが保持金具41の係合孔41dに係合することで押さえ片42が保持金具41に係合固定される。本実施形態の係合部42bは、その先端がガラス25側に突出する爪状の爪部42cを有しており、台部41aの裏側を通って爪状の爪部42cが係合孔41dの端面に係合する。
本実施形態では、押さえ片42は、保持金具41に係合した状態でも見込方向で若干の移動が可能となっている。保持金具41と押さえ片42の係合を解除する場合は、係合部42bの爪部42cを框体30側に押し込んで係合を解除し、押さえ片42を室内外側に移動させる。
框体30に固定されたガラス外れ止め部材40の取付状態について説明する。まず、吊元側縦框(縦框)33に固定されるガラス外れ止め部材40aについて説明する。図7は、第1実施形態の建具1に適用されるガラス外れ止め部材40a及びその周囲を示す拡大横断面図である。
図7に示すように、ガラス外れ止め部材40が吊元側縦框33に固定された状態では、押さえ片42aが室外側ガラス25aの吊元側端部に室外側で対面した状態となる。ガラス外れ止め部材40aは、保持金具41を框体30に取り付けた状態で加熱発泡材38を配置し、ガラス25を嵌め込んだ状態で押さえ片42を保持金具41に係合させる。加熱発泡材38は、ガラス25の4周を囲う帯状に形成されており、ガラス外れ止め部材40に差し掛かる部分では、保持金具41の台部41aのガラス25側の面に加熱発泡材38が載った状態となる。加熱発泡材38は、接着剤、接着テープ等を用いた接着固定やネジ等を用いた締結固定等、適宜の方法で框体30に固定される。
保持金具41は、吊元側縦框33の中空部33bに配置される室外側縦框芯材33eに締結孔41cを通じてネジ45が締結固定されることにより、吊元側縦框33の見込面に固定される。上述のように、締結孔41cは、見込方向に長い長孔となっている。従って、吊元側縦框33及び室外側縦框芯材33eに対する加工位置を変えることなく、保持金具41の取付位置を見込方向(室内外方向)で調整することが可能となっている。例えば、室外側ガラス25aの室外側面から保持金具41の延出片41eまでの長さを距離d1とすると、距離d1は保持金具41の取付位置によって変わることになる。押さえ片42は保持金具41によって位置が決まるので、ガラス25と押さえ片42の位置関係は保持金具41の取付位置によって調整することができる。
なお、本実施形態では、押さえ片42は、保持金具41に係合された状態でも見込方向に若干移動可能となっているが、この移動範囲も保持金具41の位置によって決まるので、何れにしても保持金具41の取付位置によってガラス25とガラス外れ止め部材40aの位置関係が調整されることになる。
以上、図7を参照して吊元側縦框33に固定されるガラス外れ止め部材40aについて説明したが、戸先側縦框34でも同様の構成及び方法でガラス外れ止め部材40aが吊元側縦框33と同様に距離d1の設定で戸先側縦框34に固定される。
次に、上框(横框)31に固定されるガラス外れ止め部材40bについて説明する。図8は、第1実施形態の建具1に適用されるガラス外れ止め部材40b及びその周囲を示す拡大縦断面図である。
図8に示すように、ガラス外れ止め部材40bが上框31に固定された状態では、押さえ片42aが室外側ガラス25aの上端部に室外側で対面した状態となる。なお、ガラス外れ止め部材40bを上框31に固定する方法は、吊元側縦框33に固定する場合と基本的に同様であるが、ガラス25とガラス外れ止め部材40bの位置関係は、ガラス25とガラス外れ部材40aの位置関係とは異なるように、保持金具41が固定される。本実施形態では、縦框(吊元側縦框33及び戸先側縦框34)に設定されるガラス25に対するガラス外れ止め部材40の位置関係を示す距離d1よりも、上框31のガラス25に対するガラス外れ止め部材40の位置関係を示す距離d2の方が長くなるように設定される。即ち、上框31のガラス外れ止め部材40は、縦框(吊元側縦框33及び戸先側縦框34)に比べて相対的に隙間が大きくなるようにレイアウトされる。複層ガラス25は高熱で反ったり歪むことがある。ここで、複層ガラス25は、縦と横で反りや歪みの生じる大きさが異なるため、ガラスの変形を吸収できるように距離d2の方が距離d1よりも大きく構成されている。
以上、図8を参照して上框31に固定されるガラス外れ止め部材40bについて説明したが、下框32でも同様の構成及び方法でガラス外れ止め部材40bが上框31と同様に距離d2の設定で下框32に固定される。
次に、コーナー部ガラス外れ止め部材500について説明する。
図9は、第1実施形態のコーナー部ガラス外れ止め部材500がコーナー部100bに配置された状態を示す斜視図である。図10は、第1実施形態のコーナー部ガラス外れ止め部材500の分解斜視図である。
図1に示すように、上框31と吊元側縦框(縦框)33とのコーナー部100a、吊元側縦框(縦框)33と下框32とのコーナー部100b、下框32と戸先側縦框(縦框)34とのコーナー部100c、戸先側縦框(縦框)34と上框31とのコーナー部100dの内側の見込面には、コーナー部ガラス外れ止め部材500が配置される(図4及び図5参照)。コーナー部100a〜100dは、框体30を構成する縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)が連結される框体30のコーナーに形成される。以下の説明において各コーナー部100a〜100dに配置されるコーナー部ガラス外れ止め部材500の符号をコーナー部ガラス外れ止め部材500として説明する。
本実施形態では、各コーナー部100a〜100dに配置されるコーナー部ガラス外れ止め部材500は、配置される向きが異なるが、同じ形状のガラス外れ止め部材である。次に、このコーナー部ガラス外れ止め部材500の構成について説明する。
本実施形態においては、吊元側縦框(縦框)33と下框32とのコーナー部100bに配置される縦框側外れ止め部501について主に説明する。なお、他のコーナー部100a、100c、100dに配置される縦框側外れ止め部501についても、配置される向きや、縦框及び横框の配置順が異なるのみで、コーナー部100bの縦框及び横框に配置される構成と同様である。
図9に示すように、コーナー部ガラス外れ止め部材500は、コーナー部100bの内隅において吊元側縦框33(縦框)と下框32(横框)とに跨ったL字状に構成される。コーナー部ガラス止め部材500は、框体30に固定される保持金具構成部510と、保持金具構成部510に保持される押さえ片構成部520と、を有する。本実施形態では、保持金具構成部510及び押さえ片構成部520は、何れも金属製(例えば、ステンレス鋼)である。
図9及び図10に示すように、本実施形態においては、保持金具構成部510は、縦框側に配置される第1保持金具511(第1保持部)と、横框側に配置される第2保持金具512(第2保持部)と、保持金具接続板513(コーナー接続部)と、が一体で構成される。また、押さえ片構成部520は、縦框側に配置される第1押さえ片521と、横框側に配置される第2押さえ片522と、押さえ片接続板523と、が一体で構成される。
また、コーナー部外れ止め部材500は、ガラス外れ止めの機能に着目すると、縦框側に配置される縦框側外れ止め部501(第1外れ止め部)と、横框側に配置される横框側外れ止め部502(第2外れ止め部)と、を備えて構成される。縦框側外れ止め部501は、ガラス25の縦方向に延びる端部に対面することで、縦框側において、ガラス外れ止めの機能を発揮する。横框側外れ止め部502は、ガラス25の横方向に延びる端部に対面することで、横框側において、ガラス外れ止めの機能を発揮する。
縦框側外れ止め部501及び横框側外れ止め部502は、各コーナー部100a〜100bの角を挟んで、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)に配置される。縦框側外れ止め部501及び横框側外れ止め部502は、各コーナー部100a〜100dの角に対して対称に、同一の形状により構成される。
保持金具構成部510の詳細について説明する。
保持金具構成部510は、図9及び図10に示すように、縦框側に配置される第1保持金具511と、横框側に配置される第2保持金具512と、保持金具接続板513と、を備える。
第1保持金具511は、図10に示すように、框体30との間に隙間を形成する第1台部511aと、第1台部511aの両側(見込方向に直交する)に配置される第1取付部511bと、を備える。両側の第1取付部511bのそれぞれには、見込方向に細長い締結孔511cが形成される。この締結孔511cに締結部材としてのネジ505(図11参照)が締結されることにより、締結孔511cを通じてネジ505により、第1保持金具511が縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)に固定される。第1台部511aは、固定された状態で框体30の見込面との間に隙間を形成する。第1台部511aの室内側の端部には、室内側から室外側に切り欠かれた第1係合孔511dが形成される。また、第1台部511aの室内側の端部には、ガラス25側に向かって延出する第1延出片511eが形成される。第1延出片511eは、第1係合孔511dを跨る壁状に形成されており、第1保持金具511に係合された状態の第1押さえ片521(後述)に対向する。
第2保持金具512は、前述の第1保持金具511が縦框側に配置されるのに対して、横框側に配置される点と、コーナー部100bの角部に対して前述の第1保持金具511に対称な形状に形成される点が異なるのみで、第1保持金具511と同様の構成を有する。第2保持金具512は、第1台部511aに対応する第2台部512aと、第1取付部511bに対応する第2取付部512bと、締結孔511cに対応する締結孔512cと、第1係合孔511dに対応する第2係合孔512dと、第1延出片511eに対応する第2延出片512eと、を有する。締結孔512cに締結部材としてのネジ505(図12参照)が締結されることにより、締結孔512cを通じてネジ505により、第2保持金具512が横框(上框31、下框32)に固定される。第2保持金具512の説明は、対応する符号を付けて、第1保持金具511の説明を援用して、その説明を省略する。
保持金具接続板513は、第1保持金具511と第2保持金具512とを接続する。保持金具接続板513は、見込面に平行かつ互いの面方向が直角となるL字状に屈曲した板状に形成され、第1保持金具511のコーナー部100b(下框32)側の端部と、第2保持金具512のコーナー部100b(吊元側縦框33)側の端部とを接続する。
以上のように構成される保持金具構成部510は、全体としてL字状に一体的に構成され、コーナー部100bの吊元側縦框33(縦框)側において、第1保持金具511が、吊元側縦框33の中空部33bに配置される室外側縦框芯材33eに締結孔511cを通じてネジ505(図11参照)が締結固定されることにより、吊元側縦框33の見込面に固定され、コーナー部100bの下框32(横框)側において、第2保持金具512が、下框32の中空部32bに配置される室外側下框芯材32eに締結孔512cを通じてネジ505(図12参照)が締結固定されることにより、下框32の見込面に固定されることで、図9に示すように、吊元側縦框33(縦框)及び下框32(横框)を接続する。これにより、保持金具接続板513が第1保持金具511と第2保持金具512とを接続することで、保持金具接続板513は、縦框側外れ止め部501と横框側外れ止め部502とを接続するとともに、吊元側縦框33(縦框)と下框32(横框)とを接続する。
押さえ片構成部520の詳細について説明する。
押さえ片構成部520は、図9及び図10に示すように、縦框側に配置される第1押さえ片521と、横框側に配置される第2押さえ片522と、押さえ片接続板523と、を備える。
第1押さえ片521は、図10に示すように、ガラス25の端部に対向する第1押さえ部521aと、第1押さえ部521aの下端部(見付方向における框体30側の端部)から室内側に延びる第1係合部521bと、第1押さえ部521aの下端部(見付方向における框体30側の端部)における第1係合部521bの両側において室内側に延びる第1足部521dと、を備える。第1押さえ片521の第1係合部521bが第1保持金具511の第1係合孔511dに係合することで、第1押さえ片521は、第1保持金具511に係合固定(保持)される。本実施形態の第1係合部521bは、その先端がガラス25側に突出する爪状の爪部521cを有しており、第1台部511aの裏側を通って爪状の爪部521cが第1係合孔511dの端面に係合する。
第2押さえ片522は、前述の第1押さえ片521が縦框側に配置されるのに対して、横框側に配置される点と、コーナー部100bの角部に対して前述の第1押さえ片521に対称な形状に形成される点が異なるのみで、第1押さえ片521と同様の構成を有する。第2押さえ片522は、第1押さえ部521aに対応する第2押さえ部522aと、第1係合部521bに対応する第2係合部522bと、爪部521cに対応する爪部522cと、第1足部521dに対応する第2足部522dと、を有する。第2押さえ片522の第2係合部522bが第2保持金具512の第2係合孔512dに係合することで、第2押さえ片522は、第2保持金具512に係合固定(保持)される。第2押さえ片522の説明は、対応する符号を付けて、第1押さえ片521の説明を援用して、その説明を省略する。
押さえ片接続板523は、第1保持金具511と第2保持金具512とを接続する。押さえ片接続板523は、見付方向に平行かつ同一平面上においてL字状に屈曲した平面状の板状に形成され、第1押さえ片521の第1押さえ部521aの下框32側の端部と、第2押さえ片522の第2押さえ部522aの吊元側縦框33側の端部とを接続する。
第1押さえ部521a、押さえ片接続板523及び第2押さえ部522aは、全体として見付面に平行な平面状に一体で構成され、同一平面上において所定幅を有してL字状に屈曲して形成される。
以上のように構成される押さえ片構成部520は、第1押さえ片521、押さえ片接続板523及び第2押さえ片522が連続して形成されることで、全体として一体的に構成される。
以上のように構成されるコーナー部ガラス外れ止め部材500においては、コーナー部100bにおいて、框体30の見付面に固定された保持金具構成部510に、押さえ片構成部520が取り付けられる。具体的には、保持金具構成部510(第1保持金具511、第2保持金具512、保持金具接続板513、第1保持金具511及び第2保持金具512が一体で構成された保持金具構成部510)が、コーナー部100bにおいて框体30の見付面に締結部材としてのネジ505によって締結固定される。この状態で、框体30の見付面に固定された保持金具構成部510に、押さえ片構成部520(第1押さえ片521、押さえ片接続板523及び第2押さえ片522が一体で構成された押さえ片構成部520)が係合することで取り付けられる。
また、保持金具構成部510及び押さえ片構成部520により構成されるコーナー部外れ止め部材500は、縦框側において、縦框側外れ止め部501を構成し、横框側において、横框側外れ止め部502を構成する。縦框側外れ止め部501及び横框側外れ止め部502は、コーナー部100bに配置され、互いが直交した状態で接続される。
図9及び図10に示すように、縦框側外れ止め部501は、コーナー部100bにおいて、吊元側縦框33(縦框)側に配置される。縦框側外れ止め部501は、前述の保持金具構成部510の一部を構成する第1保持金具511と、前述の押さえ片構成部520の一部を構成する第1押さえ片521と、を有して構成される。
横框側外れ止め部502は、コーナー部100bにおいて、縦框側外れ止め部501に対して直交した位置に配置され、下框32(横框)側に配置される。
横框側外れ止め部502は、前述の縦框側外れ止め部501が縦框側に配置されるのに対して、横框側に配置される点と、コーナー部100bの角部に対して前述の縦框側外れ止め部501に対称な形状に形成される点が異なるのみで、縦框側外れ止め部501と同様の構成を有する。横框側外れ止め部502は、第1保持金具511に対応する第2保持金具512と、第1押さえ片521に対応する第2押さえ片522と、を有して構成される。第2保持金具512は、前述の保持金具構成部510の一部を構成する。第2押さえ片522は、前述の押さえ片構成部520の一部を構成する。
本実施形態では、押さえ片構成部520は、保持金具構成部510に係合した状態でも見込方向で若干の移動が可能となっている。保持金具構成部510と押さえ片構成部520の係合を解除する場合は、第1係合部521bの爪部521cを框体30側に押し込んで係合を解除すると共に第2係合部522bの爪部522cを框体30側に押し込んで係合を解除し、押さえ片構成部520を室内外側に移動させる。
框体30に固定されたコーナー部ガラス外れ止め部材500の固定状態について説明する。図11は、第1実施形態の建具1に適用されるコーナー部ガラス外れ止め部材500の吊元側縦框(縦框)33側の固定状態及びその周囲を示す拡大横断面図である。図12は、第1実施形態の建具1に適用されるコーナー部ガラス外れ止め部材500の下框(横框)32側の固定状態及びその周囲を示す拡大横断面図である。
図11に示すように、吊元側縦框(縦框)33側において、コーナー部ガラス外れ止め部材500がコーナー部100bに固定された状態においては、コーナー部ガラス外れ止め部材500の縦框側ガラス外れ止め部501の第1押さえ片521の第1押さえ部521aが、室外側ガラス25aにおける縦方向に延びる吊元側端部に室外側(見込方向一側)で対面した状態となる。
また、図12に示すように、下框(横框)32側において、コーナー部ガラス外れ止め部材500がコーナー部100bに固定された状態においては、コーナー部ガラス外れ止め部材500の横框ガラス外れ止め部502の第2押さえ片522の第2押さえ部522aが、室外側ガラス25aにおける横方向に延びる下端部に室外側(見込方向一側)で対面した状態となる。
縦框側ガラス外れ止め部501は、図11に示すように、保持金具構成部510の第1保持金具511を框体30に取り付けた状態で加熱発泡材38を配置し、ガラス25を嵌め込んだ状態で第1押さえ片521を第1保持金具511に係合させる。横框ガラス外れ止め部502は、図12に示すように、保持金具構成部510の第2保持金具512を框体30に取り付けた状態で加熱発泡材38を配置し、ガラス25を嵌め込んだ状態で第2押さえ片522を第2保持金具512に係合させる。
加熱発泡材38は、ガラス25の4周を囲う帯状に形成されており、縦框側ガラス外れ止め部501に差し掛かる部分では、第1保持金具511の第1台部511aのガラス25側の面に加熱発泡材38が載った状態となり、横框ガラス外れ止め部502に差し掛かる部分では、第2保持金具512の第2台部512aのガラス25側の面に加熱発泡材38が載った状態となる。加熱発泡材38は、接着剤、接着テープ等を用いた接着固定やネジ等を用いた締結固定等、適宜の方法で框体30に固定される。
保持金具構成部510において、第1保持金具511は、吊元側縦框33の中空部33bに配置される室外側縦框芯材33eに締結孔511cを通じてネジ505が締結固定されることにより、吊元側縦框33の見込面に固定される。
保持金具構成部510において、第2保持金具512は、下框32の中空部32bに配置される室外側下框芯材32eに締結孔512cを通じてネジ505が締結固定されることにより、下框32の見込面に固定される。
これにより、保持金具構成部510は、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)に固定されて、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)を接続する。
また、上述のように、第1保持金具511の締結孔511c及び第2保持金具512の締結孔512cは、見込方向に長い長孔となっている。
従って、吊元側縦框33及び室外側縦框芯材33eに対する加工位置を変えることなく、下框32及び室外側下框芯材32eに対する加工位置を変えることなく、保持金具構成部510の取付位置を見込方向(室内外方向)で調整することが可能である。
以上、図9〜図12を参照して、コーナー部100bに固定されるガラス外れ止め部材500について説明したが、他のコーナー部100a、100c、100dでも同様の構成及び方法でコーナー部ガラス外れ止め部材500が固定される。
以上説明した上記絵第1実施形態の構成によれば、以下のような効果を奏する。
建具1は、樹脂製の框体30及び框体30の内側に納められるガラス25を備える建具1であって、框体30を構成する縦框33,34及び横框31,32が連結されるコーナー部100a〜10dに固定されるコーナー部ガラス外れ止め部材500を備え、ガラス外れ止め部材500は、縦框33,34に配置される縦框側第1外れ止め部501と、縦框側外れ止め部501に対して直交した位置において横框31,32に配置される横框側第2外れ止め部502と、縦框側外れ止め部501と横框側外れ止め部502とを接続するとともに縦框33,34と横框31,32とを接続する保持金具接続板513と、を備え、縦框側外れ止め部501は、第1押さえ片521と、第1押さえ片521を保持し縦框33,34に固定される第1保持金具511と、を有し、横框側外れ止め部502は、第2押さえ片522と、第2押さえ片522を保持し横框31,32に固定される第2保持金具512と、を有する。
これにより、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框側ガラス外れ止め部501が縦框側に配置されることで、第1押さえ片521が縦框33,34側においてガラス25の端部を押さえることができ、横框側ガラス外れ止め部502が横框31,32側に配置されることで、第2押さえ片522が横框31,32側でガラス25の端部を押さえことができる。これにより、ガラス25を縦框33,34及び横框31,32において押さえることができため、コーナー部100a〜100bにおいてガラス25に捩れの応力が掛かることを防止できる。これにより、ガラス25への応力の集中によるヒビや破損の発生を防止でき又は効果的に遅らせることができる。
また、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)が保持金具構成部510により接続される。これにより、コーナー部100a〜100dにおける強度を向上させつつ、コーナー部ガラス外れ止め部材500の剛性を向上させることができる。
また、本実施形態では、第1保持金具511及び第2保持金具512は、コーナー部100a〜100dにおいて保持金具接続板513により接続されて一体で構成される。そのため、保持金具構成部510を一体で構成できるため、保持金具構成部510の剛性を向上させることができる。また、第1保持金具511及び第2保持金具512を一体で取り扱うことができるため、取り扱いが容易である。
また、本実施形態では、第1押さえ片521及び第2押さえ片522は、コーナー部100a〜100dにおいて接続されて一体で構成される。そのため、押さえ片構成部520を一体で構成できるため、押さえ片構成部520の剛性を向上させることができる。また、第1押さえ片521及び第2押さえ片522を一体で取り扱うことができるため、取り扱いが容易である。
上記第1実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。
図13は、第1実施形態の変形例のコーナー部ガラス外れ止め部材500Aを示す分解斜視図である。図13に示すコーナー部ガラス外れ止め部材500Aは、上記第1実施形態のガラス外れ止め部材500が押さえ片構成部520の第1押さえ片521と第2押さえ片522とが押さえ片接続板523を介して接続されることで一体で構成されるのに比べて、押さえ片構成部520Aの第1押さえ片521と第2押さえ片522とが別体で構成される点において異なる。
図13に示すように、第1実施形態の変形例の押さえ片構成部520Aは、第1実施形態における押さえ片接続板523を備えておらず、第1押さえ片521と第2押さえ片522とは別体で構成される。
以上説明した本変形例においても、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框側ガラス外れ止め部501が縦框側に配置されることで、第1押さえ片521が縦框33,34側においてガラス25の端部を押さえることができ、横框側ガラス外れ止め部502が横框31,32側に配置されることで、第2押さえ片522が横框31,32側でガラス25の端部を押さえことができる。また、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)が保持金具構成部510により接続される。上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
次に、第2実施形態のコーナー部ガラス外れ止め部材600について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と共通又は同様の構成については対応する符号を付けてその説明を省略する場合がある。図14は、第2実施形態のコーナー部ガラス外れ止め部材600を示す斜視図である。図15は、第2実施形態のコーナー部ガラス外れ止め部材600の分解斜視図である。
框体30に固定された第2実施形態のコーナー部ガラス外れ止め部材600の取付状態について説明する。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、コーナー部ガラス外れ止め部材600が、主に、コーナー部100b(図9参照)に配置される場合について説明する。
図14及び図15に示すように、コーナー部ガラス外れ止め部材600は、コーナー部100b(図9参照)の内隅において吊元側縦框33(縦框)と下框32(横框)とに跨ったL字状に構成される。コーナー部ガラス止め部材600は、框体30に固定される保持金具構成部610と、保持金具構成部610に保持される押さえ片構成部620と、L字状のコーナープレート部材630(コーナー接続部)と、を有する。本実施形態では、保持金具構成部610、押さえ片構成部620及びコーナープレート部材630は、何れも金属製(例えば、ステンレス鋼)である。コーナープレート部材630は、コーナー部100a〜100dに固定される。コーナープレート部材630には、保持金具構成部610及び押さえ片構成部620が取り付けられる。
本実施形態においては、図15に示すように、保持金具構成部610は、縦框側に配置される第1保持金具611(第1保持部)と、横框側に配置される第2保持金具612(第2保持部)と、が別体で構成される。押さえ片構成部620は、縦框側に配置される第1押さえ片621と、横框側に配置される第2押さえ片622と、押さえ片接続板623と、が一体で構成される。第2実施形態の押さえ片構成部620の構成は、第1実施形態の押さえ片構成部520と比べて、幅及び長さに違いがあるが、基本的に同様の構成である。そのため、第2実施形態の押さえ片構成部620の説明は、対応する符号を付けて、第1実施形態の押さえ片構成部520の説明を援用して、その説明を省略する。
また、コーナー部外れ止め部材600は、ガラス外れ止めの機能に着目すると、縦框側に配置される縦框側外れ止め部601(第1外れ止め部)と、横框側に配置される横框側外れ止め部602(第2外れ止め部)と、を備えて構成される。縦框側外れ止め部601は、ガラス25の縦方向に延びる端部に対面することで、縦框側において、ガラス外れ止めの機能を発揮する。横框側外れ止め部602は、ガラス25の横方向に延びる端部に対面することで、横框側において、ガラス外れ止めの機能を発揮する。
縦框側外れ止め部601及び横框側外れ止め部602は、各コーナー部100a〜100bの角を挟んで、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)又は横框(上框31、下框32)に配置される。縦框側外れ止め部601及び横框側外れ止め部602は、各コーナー部100a〜100dの角に対して対称に、同一の形状により構成される。
保持金具構成部610の詳細について説明する。
保持金具構成部610は、図14及び図15に示すように、縦框側に配置される第1保持金具611と、横框側に配置される第2保持金具612と、を備える。
第1実施形態において、第1保持金具511、保持金具接続板513及び第2保持金具512が一体で構成されるのに対して、第2実施形態においては、第1保持金具611及び第2保持金具612は、別体で構成される。第2実施形態体の第1保持金具611及び第2保持金具612は、別体で構成される以外は、第1実施形態の第1保持金具511及び第2保持金具512と同様の構成を有する。そのため、第2実施形態体の第1保持金具611及び第2保持金具612の説明は、対応する符号を付けて、第1実施形態体の第1保持金具511及び第2保持金具512の説明を援用して、その説明を省略する。
押さえ片構成部620の詳細について説明する。
押さえ片構成部620は、図14及び図15に示すように、縦框側に配置される第1押さえ片621と、横框側に配置される第2押さえ片622と、押さえ片接続板623と、を備える。
第2実施形態体の第1押さえ片621、押さえ片接続板623及び第2押さえ片622は、第1実施形態の第1押さえ片521、押さえ片接続板523及び第2押さえ片522と同様の構成を有する。そのため、第2実施形態体の第1押さえ片621、押さえ片接続板623及び第2押さえ片622の説明は、対応する符号を付けて、第1実施形態体の第1押さえ片521、押さえ片接続板523及び第2押さえ片522の説明を援用して、その説明を省略する。
以上のように構成される押さえ片構成部620は、第1押さえ片621、押さえ片接続板623及び第2押さえ片622が連続して形成されることで、全体として一体的に構成される。
コーナープレート部材630について説明する。
コーナープレート部材630は、図15に示すように、縦框側プレート部材631と、横框側プレート部材632と、を有する。縦框側プレート部材631及び横框側プレート部材632は、コーナー部100b側において、互いの端部が接続され、L字状に一体に形成される。
縦框側プレート部材631は、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)の見込面及び長手方向に沿って延びる板状に形成される縦框側平面板631aと、ガラス25側に向かって延出する第1延出片631eと、を有する。
横框側プレート部材632は、横框(上框31、下框32)の見込面及び長手方向に沿って延びる板状に形成される横框側平面板632aと、ガラス25側に向かって延出する第2延出片632eと、を有する。
縦框側平面板631aと横框側平面板632aとは、一体に形成され、互いの端部が接続され、見込面に平行かつ互いの面方向が直角となるL字状に屈曲した板状に形成される。
また、第1延出片631eは、縦框側平面板631aの室内側の端部において、ガラス25側に向かって延出する。第1延出片631eは、壁状に形成されており、第1保持金具611に係合された状態の第1押さえ片621に対向する。また、第2延出片632eは、横框側平面板632aの室内側の端部において、ガラス25側に向かって延出する。第2延出片632eは、壁状に形成されており、第2保持金具612に係合された状態の第2押さえ片622に対向する。
L字状のコーナープレート部材630は、框体30(上框31、下框32、吊元側縦框33又は戸先側縦框34)の見込面に配置され、このL字状のコーナープレート部材630を介した状態で第1保持金具611及び第2保持金具612が締結部材としてのネジによって框体30に締結固定される。縦框側平面板631a及び横框側平面板632aのそれぞれには、長手方向の両側に、締結孔631b,632bがそれぞれ形成される。
以上のように構成されるコーナー部外れ止め部材600においては、L字状のコーナープレート部材630がコーナー部100bにおける框体30の見付面に配置され、コーナープレート部材630の見付面に保持金具構成部610(別体で構成された第1保持金具611及び第2保持金具612)が取り付けられた状態で、コーナープレート部材630及び保持金具構成部610(別体で構成された第1保持金具611及び第2保持金具612)が、コーナー部100bにおいて框体30の見付面に締結部材としてのネジによって共締めされて締結固定される。この状態で、框体30の見付面に固定された保持金具構成部610に、押さえ片構成部620(第1押さえ片621、押さえ片接続板623及び第2押さえ片622が一体で構成された押さえ片構成部620)が係合することで取り付けられる。
また、保持金具構成部610、押さえ片構成部620及びコーナープレート部材630で構成されるコーナー部外れ止め部材600は、縦框側において、縦框側外れ止め部601を構成し、横框側において、横框側外れ止め部602を構成する。縦框側外れ止め部601及び横框側外れ止め部602は、コーナー部100bに配置され、互いが直交した状態で接続される。
図14及び図15に示すように、縦框側外れ止め部601は、コーナー部100bにおいて、吊元側縦框33(縦框)側に配置される。縦框側外れ止め部601は、第1保持金具611と、第1押さえ片621と、を有する。
横框側外れ止め部602は、コーナー部100bにおいて、縦框側外れ止め部601に対して直交した位置に配置され、下框32(横框)側に配置される。
横框側外れ止め部602は、前述の縦框側外れ止め部601が縦框側に配置されるのに対して、横框側に配置される点と、コーナー部100bの角部に対して前述の縦框側外れ止め部601に対称な形状に形成される点が異なるのみで、縦框側外れ止め部601と同様の構成を有する。横框側外れ止め部602は、第1保持金具611に対応する第2保持金具612と、第1押さえ片621に対応する第2押さえ片622と、を有して構成される。
本実施形態では、押さえ片構成部620は、保持金具構成部610に係合した状態でも見込方向で若干の移動が可能となっている。保持金具構成部610と押さえ片構成部620の係合を解除する場合は、第1係合部621bの爪部621cを框体30側に押し込んで係合を解除すると共に第2係合部622bの爪部622cを框体30側に押し込んで係合を解除し、押さえ片構成部620を室内外側に移動させる。
框体30に固定されたコーナー部ガラス外れ止め部材600の固定状態について説明する。第2実施形態においても、第1実施形態と基本的には同様に、図10において符号の「5百番代」を「6百番代」に読み替えて、吊元側縦框33側において、コーナー部ガラス外れ止め部材600がコーナー部100bに固定された状態においては、コーナー部ガラス外れ止め部材600の縦框側ガラス外れ止め部601の第1押さえ片621の第1押さえ部621aは、室外側ガラス25aにおける縦方向に延びる吊元側端部に室外側(見込方向一側)で対面した状態となる。
また、図11において符号の「5百番代」を「6百番代」に読み替えて、下框32側において、コーナー部ガラス外れ止め部材600がコーナー部100bに固定された状態においては、コーナー部ガラス外れ止め部材600の横框ガラス外れ止め部602の第2押さえ片622の第2押さえ部622aは、室外側ガラス25aにおける横方向に延びる下端部に室外側(見込方向一側)で対面した状態となる。
框体30に固定されたコーナー部ガラス外れ止め部材600の取付状態において、コーナー部ガラス外れ止め部材600を框体30のコーナー部100a〜100dに取り付ける場合には、コーナー部100a〜100dにL字状のコーナープレート部材630を配置した状態で、第1保持金具611及び第2保持金具612をコーナープレート部材630に配置する。この状態で、第1保持金具611の締結孔611cと縦框側平面板631aの締結孔631bとを重ねた状態で、締結部材としてのネジで共締めして締結すると共に、第2保持金具612の締結孔612cと横框側平面板632aの締結孔632bとを重ねた状態で、締結部材としてのネジで共締めして締結する。
コーナープレート部材630は、コーナー部100bの吊元側縦框33(縦框)側において、吊元側縦框33の中空部33bに配置される室外側縦框芯材33e(図11参照)に締結孔631bを通じてネジが締結固定されることにより、縦框側平面板631aが、吊元側縦框33の見込面に固定され、コーナー部100bの下框32(横框)側において、下框32の中空部32bに配置される室外側下框芯材32e(図12参照)に締結孔632bを通じてネジが締結固定されることにより、横框側平面板632aが、下框32の見込面に固定される。これにより、コーナープレート部材630は、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)に固定されることで、縦框側外れ止め部601と横框側外れ止め部602とを接続するとともに、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)を接続する。
また、第1保持金具611は、締結部材としてのネジで共締めされることで、締結孔611cを通じてネジによって、コーナープレート部材630の縦框側平面板631aに固定されると共に、吊元側縦框33の中空部33bに配置される室外側縦框芯材33eに締結固定されることにより、吊元側縦框33(縦框)の見込面に固定される。第2保持金具612は、締結部材としてのネジで共締めされることで、締結孔612cを通じてネジによって、コーナープレート部材630の横框側平面板632aに固定されると共に、下框32の中空部32bに配置される室外側下框芯材32eに締結孔612cを通じてネジが締結固定されることにより、下框32(横框)の見込面に固定される。
また、上述のように、第1保持金具611の締結孔611c及び第2保持金具512の締結孔612cは、見込方向に長い長孔となっている。
従って、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、吊元側縦框33及び室外側縦框芯材33eに対する加工位置を変えることなく、また、下框32及び室外側下框芯材32eに対する加工位置を変えることなく、保持金具構成部610の取付位置を見込方向(室内外方向)で調整することが可能である。
以上、図14及び図15を参照して、コーナー部100bに固定されるガラス外れ止め部材600について説明したが、他のコーナー部100a、100c、100dでも同様の構成及び方法でコーナー部ガラス外れ止め部材600が固定される。
第2実施形態のコーナー部ガラス外れ止め部材600によっても、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。具体的には、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框側ガラス外れ止め部601が縦框側に配置されることで、第1押さえ片621が縦框33,34側においてガラス25の端部を押さえることができ、横框側ガラス外れ止め部602が横框31,32側に配置されることで、第2押さえ片622が横框31,32側でガラス25の端部を押さえことができる。これにより、ガラス25を縦框33,34及び横框31,32において押さえることができため、コーナー部100a〜100bにおいてガラス25に捩れの応力が掛かることを防止できる。これにより、ガラス25への応力の集中によるヒビや破損の発生を防止でき又は効果的に遅らせることができる。
また、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)がコーナープレート部材630により接続される。これにより、コーナー部100a〜100dにおける強度を向上させつつ、コーナー部ガラス外れ止め部材600の剛性を向上させることができる。
また、第1保持金具611と第2保持金具612とは別体で構成されるため、見付方向と見込方向の位置を締結孔611c,612cでそれぞれ調整することで、コーナー部において、縦框(吊元側縦框33及び戸先側縦框34)に固定される第1保持金具611と横框(上框31及び下框32)に固定される第2保持金具612とを、見込方向で位置をずらして配置することができる。
上記第2実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明において上記実施形態と共通又は同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する場合がある。図16は、第2実施形態の変形例のコーナー部ガラス外れ止め部材600Aを示す斜視図である。図17は、第2実施形態の変形例のコーナー部ガラス外れ止め部材600Aの分解斜視図である。
図16及び図17に示すコーナー部ガラス外れ止め部材600Aは、上記第2実施形態のガラス外れ止め部材600が押さえ片構成部620の第1押さえ片621と第2押さえ片622とが押さえ片接続板623を介して接続されることで一体で構成されるのに比べて、押さえ片構成部620の第1押さえ片621と第2押さえ片622とが別体で構成される点において異なる。
図16及び図17に示すように、第2実施形態の変形例の押さえ片構成部620Aは、第2実施形態における押さえ片接続板623を備えておらず、第1押さえ片621と第2押さえ片622とは別体で構成される。
以上説明した本変形例においても、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框側ガラス外れ止め部601が縦框側に配置されることで、第1押さえ片621が縦框33,34側においてガラス25の端部を押さえることができ、横框側ガラス外れ止め部602が横框31,32側に配置されることで、第2押さえ片622が横框31,32側でガラス25の端部を押さえことができる。また、コーナー部100a〜100dにおいて、縦框(吊元側縦框33、戸先側縦框34)及び横框(上框31、下框32)がコーナープレート部材630により接続される。よって、上記第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
このように、上記実施形態や変形例の構成に制限されるわけではなく、框体及びガラスを備える種々の建具に本発明を適用できる。また、ガラス外れ止め部材の構成も適宜変更することができる。例えば、室内外の両方に押さえ片を有する構成や室内側にのみ押さえ片を有する構成とすることも場合によっては可能である。
また、上記実施形態の枠体10及び框体30は、何れも樹脂製であるが、枠体10及び框体30の見込方向室外側及び室内側の少なくとも何れか一方に、アルミ等の金属製のカバー部材を追加的に配置する構成としてもよい。即ち、樹脂製の枠及び樹脂製の框は、その内部、室内側又は室外側に金属部材を取り付けたものであってもよい。