JP2019085619A - 焼成用セッターおよびその製造方法 - Google Patents

焼成用セッターおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被焼成物と反応を生じたり当該被焼成物にキズを与えたりすることによる不良品の発生を防止することができる焼成用セッターおよびその製造方法を提供する。【解決手段】モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる基材1の被焼成物が載置される表面に、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなるマトリックス材中に気孔生成粒子が分散された溶射皮膜2が形成されてなり、かつ上記気孔生成粒子は、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)、炭化バナジウム(VC)またはポリエステルであるとともに、当該溶射皮膜における気孔生成物面積率が7.5〜35%の範囲になるように配合されている。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミックス等の各種素材を焼成する際に用いられる焼成用セッターおよびその製造方法に関するものである。
一般に、セラミックパッケージ等のセラミックス製品は、予め製品形状に成形されたアルミナや窒化アルミなどのセラミックスを、焼成用セッター上に載置して、1500〜1700℃の高温であって中性あるいは弱還元性または真空雰囲気下において焼成することによって製造されている。
この際に、上記焼成用セッターとしては、製品セラミックスと反応し難い酸化物セラミックス、窒化物セラミックスあるいはモリブデン(Mo)やタングステン(W)等の耐火金属を平板状に形成したものが用いられている。
ところが、上述したような過酷な焼成条件下においては、上記焼成用セッターと製品セラミックスとの反応による不具合の発生を確実に回避することが困難であった。また、焼成過程で上記セラミックスから排出されるガラス成分等の液相やガス成分が焼成用セッターの表面に付着して凹凸が形成され、冷却時における上記セラミックス製品の収縮時に、その表面にキズを付けてしまうという問題点もあった。
そこで、例えば下記特許文献1〜3に見られるように、実際には焼成用セッターの上に敷き粉と呼ばれる数十〜数百μmの炭化物(TiC、SiC等)、窒化物(BN、AlN等)、耐火金属(Mo、W等)の粉末を敷き詰めて、当該敷き粉上に上記セラミックスを載置して焼成する方法が多く採用されていた。
このような焼成用セッター上に敷き粉を敷き詰める方法は、当該敷き粉の材質や粒度を適切に選定すれば、比較的に容易に適用でき、所望の反応防止効果を得ることができる。
特開平7−97270号公報 特開平5−725号公報 特開2005−239462号公報
しかしながら、上記敷き粉は、基本的に1回ごとの焼成で新しいものに敷き替える必要が有り、その手間や敷き粉のコストが嵩んで経済性に劣るという問題点があった。加えて、敷き粉の一部が製品セラミックス側や焼成用セッター側に固着することがあり、これらの除去にも手間を要するとともに、場合によってはセラミックス製品や焼成用セッターに不良を引き起こすこともあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、被焼成物と反応を生じたり当該被焼成物にキズを与えたりすることによる不良品の発生を防止することができる焼成用セッターおよびその製造方法を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る焼成用セッターは、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる基材の表面に、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなるマトリックス材中に気孔生成粒子が分散された溶射皮膜が形成されてなり、かつ上記気孔生成粒子は、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)、炭化バナジウム(VC)またはポリエステルであるとともに、当該溶射皮膜における気孔生成物面積率が7.5〜35%の範囲になるように配合されていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記溶射皮膜の厚さ寸法は、30〜500μmであることを特徴とするものである。
ここで、溶射皮膜における上記気孔生成物面積率とは、「溶射皮膜の観測エリアの全面積」に対する「熱処理後に空孔になると考えられるものの面積」の割合を百分率(%)で表したものであり、上記「熱処理後に空孔になると考えられるものの面積」とは、溶射皮膜中に存在する気孔生成粒子の面積と、溶射皮膜形成時にマトリックス材の積層欠陥やガス分の残留などに起因して形成される気孔の面積との和である。
請求項3に記載の本発明に係る焼成用セッターの製造方法は、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる基材の表面に、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなるマトリックス材粒子と、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)、炭化バナジウム(VC)またはポリエステルからなる気孔生成粒子とを混合した溶射材を溶射することにより、上記マトリックス材中に上記気孔生成粒子が分散した溶射皮膜を形成してなり、かつ上記気孔生成粒子を、上記溶射材中に10〜70Vol%の割合で配合したことを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、上記気孔生成粒子として、上記マトリックス材粒子よりも大きい粒径のものを用いることを特徴とするものである。
請求項1または2に記載の焼成用セッターおよび請求項3または4に記載の発明によって得られた焼成用セッターによれば、セラミックス等の被焼成物が載置される溶射皮膜のマトリックス材として、上記セラミックス等と反応し難いMoまたはWを用いているために、上記被焼成物との反応による不良品の発生を未然に防止することができる。
また、一般的に、セラミックス等を焼成するための焼成用セッターは、使用開始時に高温雰囲気下において空焼きが行われる。この空焼きは、通常セラミックス製品等を載置しない状態で焼成条件と同様の条件で行われ、当該焼成条件には、バインダーを除去するために本焼成の前に行う脱脂も含まれる。そして、本発明に係る焼成用セッターにおいては、上記空焼き時に、溶射皮膜中の気孔生成粒子が酸化されることにより溶融開始温度が低下して揮散し、これにより上記溶射皮膜中に上記気孔生成粒子の種類と配合率に対応した容積の空孔が形成される。
また、上記使用開始時における空焼きによらず、別途使用前に当該焼成用セッターに対して同様の熱処理を施すことにより、溶射皮膜中に同様の空孔を形成することができる。 そして、セラミックス等の被焼成物を載置して焼成を行う際に、これらの空孔によって上記被焼成物から排出されるガラス成分等の液相やガス成分をトラップすることにより、これらガラス成分等が焼成用セッターの表面へ付着することを回避することができ、この結果冷却時のセラミックス製品にキズを付けることも防止することができる。
この際に、上記気孔生成粒子としては、耐火金属であってマトリックス材となるMoまたはWと複合して基材表面に溶射できる材料であること、また溶射によって形成された溶射皮膜中に溶射前のサイズおよび結晶構造を概ね維持したまま残留できるものであることが必要である。加えて、溶射後の空焼き等の熱処理によって、当該気孔生成粒子のほぼ全量が揮散して気孔に変換できるもの、具体的には上記熱処理時における酸化開始温度が低く、その酸化物の融点、揮発温度が低いものであることが重要である。
本発明者等は、様々な検証実験の結果、後述する実施例において示すように、このような条件に合致する気孔生成粒子として、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)および炭化バナジウム(VC)を見出した。
また、同様に、他の気孔生成粒子として、上記材料とは異質であるものの、ポリエステルが、熱伝導率が極端に低く、比熱も大きいことからMoのような高融点材料との複合溶射でも皮膜中にしっかりと残留し、揮発温度も充分低いために上述した気孔生成に有効であるとの知見も得た。
そして、本発明によれば、これらのh−BN、VN、VCまたはポリエステルからなる気孔生成粒子を用いているために、上述した空焼き等の熱処理によって、溶射皮膜中のほとんどの粒子が離脱して、基本的に溶射前の粒子サイズの気孔を形成することにより、焼成用セッターの機能および性能に必要な気孔率および気孔サイズを得ることができる。
ここで、上記検証実験においては、上記気孔生成粒子を、溶射皮膜における気孔生成物面積率が7.5〜35%の範囲になるように配合することにより、所望の効果が得られることが判明した。また、製造時においては、マトリックス材粒子と気孔生成粒子とを混合した溶射材中の上記気孔生成粒子の配合率を10〜70Vol%とすることにより、このような溶射皮膜を安定的に基材表面に形成し得ることが判明した。
すなわち、上記配合率が10Vol%に満たないと、上記溶射皮膜中に上記反応防止効果を奏し得る容積の気孔を形成させることができず、逆に上記配合率が70Vol%を超えると相対的にマトリックス材の量が少なすぎて皮膜強度が低下し、脱落、摩滅あるいは剥離等の不具合を生じてしまい不適当であった。
さらに、上記溶射皮膜の厚さ寸法は、請求項2に記載の発明のように、30〜500μmとすることが好ましい。上記厚さ寸法が30μmに満たないと、同様に上記反応防止効果を奏し得る容積の気孔が形成できないおそれがあり、500μmを超えても上記効果に変わりが無く、コストアップのみを生じて不経済だからである。
また、請求項3に記載の発明において、マトリックス材粒子と気孔生成粒子を複合させて溶射することにより、マトリックス材粒子を溶融させて上記基材の表面にマトリックス材を形成させる際に、気孔生成粒子が極力その形状を保持し得るように、請求項4に記載の発明のように、上記気孔生成粒子として、上記マトリックス材粒子よりも大きい粒径のものを用いることが好ましい。
(a)は本発明に係る焼成用セッターの一実施形態を示す要部の断面図、(b)は、他の実施形態を示す要部の断面図である。 本発明に係る焼成用セッターの製造方法の一実施形態を示すフロー図である。 図1の溶射皮膜の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。 図3の溶射皮膜を熱処理した後の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。 本発明の比較例を示すもので基材にマトリックス材粒子のみを溶射した溶射皮膜の断面を示す走査電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例の結果を示す図表である。 本発明の比較例の結果を示す図表である。 本発明の実施例および比較例の結果を示すグラフである。
図1(a)は、本発明に係る焼成用セッターの一実施形態を示すもので、この焼成用セッターは、MoまたはWからなる基材1の被焼成物が載置される表面に、溶射皮膜2が形成されたものである。また、図1(b)は、他の実施形態を示すもので、上記基材1の両面に溶射皮膜2が形成されたものである。
ここで、溶射皮膜2は、MoまたはWからなるマトリックス材中に、h−BN、VN、VCまたはポリエステルからなる気孔生成粒子が分散されたもので、気孔生成粒子は、上述した溶射皮膜2おける気孔生成物面積率が7.5〜35%の範囲になるように配合されている。また、この溶射皮膜2は、厚さ寸法が30〜500μmに形成されている。
次に、図2に基づいて、本発明に係る焼成用セッターの製造方法の一実施形態について説明する。
先ず、縦横寸法が数十〜数百mmであって厚さ寸法が数mmのMo製またはW製の平板状の基材1を作成し、当該基材1の表面に溶射皮膜2を形成するための前処理としての粗面化処理を施す。この粗面化処理としては、ブラスト処理、ウオータージェット処理、酸処理などを用いることができる。
他方、上記溶射皮膜2の原料となるマトリックス材粒子としてMo粉末またはW粉末を、また気孔生成粒子として、h−BN粉末、VN粉末、VC粉末またはポリエステル粉末を準備する。この際に、上記気孔生成粒子として、平均粒径が数μm〜数十μmであって、かつMo粉末またはW粉末よりも粒径が大きいものを用いることが好ましい。
また、上記マトリックス材粒子と気孔生成粒子との配合割合は、上記気孔生成粒子が後述する溶射材中に10〜70Vol%の範囲となるように調整する。
次いで、これらマトリックス材粒子および気孔生成粒子を、極力成分の偏析が無く、均一に分散させると共に溶射装置へ安定的に供給可能な形状およびサイズにするため造粒する。そして、この造粒においては、マトリックス材粒子と気孔生成粒子とが複合された2次粒子が、球状に近いものであって粒径が数十μmになるように造粒する。この造粒には、各種の造粒法を用いることができるが、経済性および量産性に優れるスプレー造粒法が好適である。
このようにして、マトリックス材粒子および気孔生成粒子が均一に複合配合された2次粒子からなる溶射材を溶射装置に供給して、被焼成物の載置面となる基材1の片面または両面に溶射皮膜2を形成させることにより、図1(a)または図1(b)に示した焼成用セッターが完成する。
なお、上記溶射装置としては、溶射皮膜2においてマトリックス材となるMo、Wおよび気孔生成粒子であるh−BN、VN、VCが、いずれも2000℃を超す高融点材料であり、また気孔生成粒子であるポリエステルも高比熱、低熱伝導率の難溶融性であるために、高温熱源で熱流制御性に優れたプラズマ方式の溶射装置を用いることが好ましい。
図3は、上記プラズマ方式の溶射装置によって基材1の表面に溶射皮膜2が形成された焼成用セッターにおける上記溶射皮膜2の断面を拡大して示すもので、符号3がマトリックス材、符号4が気孔生成粒子であり、符号5は溶射皮膜2の形成時に、一般的に生じるマトリックス材の積層欠陥やガス分の残留などに起因して形成される気孔である。
このようにして得られた焼成用セッターによれば、セラミックス等の被焼成物が載置される溶射皮膜のマトリックス材3として、上記セラミックス等と反応し難いMoまたはWを用いているために、上記被焼成物との反応による不良品の発生を未然に防止することができる。
この際に、特に上記マトリックス材粒子として、基材1と同じ素材のものを用いれば、基材1に対する溶射皮膜2のマトリックス材3の密着性を高めることができるとともに、両者の熱膨張率が同じであるために、熱応力の緩和効果も得ることができる。
しかも、上記構成からなる焼成用セッターによれば、使用開始時に高温雰囲気下において空焼きが行われた際等に、溶射皮膜2中の気孔生成粒子4が酸化されることにより溶融開始温度が低下して揮散し、これにより図4に示すように、溶射皮膜2中に上記気孔生成粒子4が変換された気孔と上記気孔5とを合わせた容積の空孔4´を形成することができる。
そして、上記空孔4´において、上記被焼成物から排出されるガラス成分等の液相やガス成分をトラップすることにより、上記ガラス成分等が焼成用セッターの表面へ付着して、冷却時に製品セラミックスにキズを付けることも防止することができる。
また、特に図1(b)に示した焼成用セッターにおいては、基材1の両面に溶射皮膜2を形成しているために、上記溶射皮膜2の表面を被焼成物の載置面として交互に使用することにより、常に載置されていない面の溶射皮膜2を空焼きと同様の状態にすることができる。この結果、液相やガス成分をトラップした空孔4´を順次再生して、劣化を防止することにより使用寿命を延ばすことが可能になる。
なお、上記実施形態や実施例においては、本発明に係る焼成用セッターの溶射皮膜に空孔4´を形成する方法として、主として使用開始時における空焼きを挙げたが、これによらず、別途使用前に当該焼成用セッターに対して同様の熱処理を施すことにより、溶射皮膜2中に同様の空孔4´を形成することができる。
また、本発明に係る焼成用セッターの対象となる被焼成物としても、上述したセラミックパッケージ等のセラミックス製品に限らず、超硬合金や金属焼結部品等にも同様に用いることができる。
図6に示す本発明に係る実施例1〜8の焼成用セッターと、図7に示す比較例1〜6の焼成用セッターを作成した。
これらの焼成用セッターにおける基材としては、図6および図7に示す材質であって、かつ寸法が各々縦120mm、横80mm、厚さ2mmの平板状のものを用いた。
次いで、実施例1〜8の焼成用セッターにおいては、基材の両面に図6の溶射処理の欄に示す配合比率のマトリックス材粒子と気孔生成粒子とを造粒して得られた溶射材を溶射して溶射皮膜を形成した。ここで、マトリックス材粒子としては、いずれも平均粒径が2μmのMo粉末を用い、気孔生成粒子としては平均粒径が5μmのBN粉末、VN粉末、VC粉末、または平均粒径が20μmのポリエステル粉末を用いた。
そして、これらマトリックス材粒子および気孔生成粒子をスプレー造粒法によって造粒し、これによって得られた2次粒子径が10μm〜63μmの造粒粉を、溶射装置(METCO F4プラズマ溶射装置)に供給して、上記基材の両面にいずれも厚さ寸法が100μmの溶射皮膜を形成した。
これに対して、図7に示すように、比較例1、2は、溶射皮膜を形成しないものであり、比較例3は、基材の両面に純Mo粉末(平均粒径10μm)のみを上記実施例と同じ溶射装置によって溶射して溶射皮膜を形成したものである。また、比較例4、5、6は、それぞれ基材の表面に同図の溶射処理の欄に示す配合比率のマトリックス材粒子と気孔生成粒子とを溶射したものである。
ここで、比較例4、5、6においては、マトリックス材粒子として平均粒径が2μmのMo粉末を用い、気孔生成粒子として平均粒径が5μmのBN粉末、SiC粉末またはTiC粉末を用い、上記実施例と同様に、上記マトリックス材粒子および気孔生成粒子をスプレー造粒法によって造粒して、得られた2次粒子径が10μm〜63μmの造粒粉を、溶射装置(METCO F4プラズマ溶射装置)に供給して、上記基材表面に溶射した。
この際に、比較例4、5においては、評価対象となる溶射皮膜を形成させることが出来なかった。また、比較例6においては、基材の両面に厚さ寸法が100μmの溶射皮膜を形成した。
次いで、実施例1〜8および比較例3、5について、形成された溶射皮膜における気孔生成物面積率を測定した。上記気孔生成物面積率は、走査顕微鏡(JSM IT100、日本電子株式会社製)によって観測した溶射皮膜の断面組織を、画像解析ソフト(A像くん、旭化成エンジニアリング株式会社製)を用いて5視野を測定し、その平均値を測定値とした。
次いで、実施例1〜8および比較例3、5の焼成用セッターを、被焼成物を積載しない状態で700℃の温度雰囲気下で脱脂した後、1600℃の温度雰囲気下で空焼きを行い、当該空焼き後の溶射皮膜における気孔率を、上記気孔生成物面積率の測定に用いたものと同じ走査顕微鏡および画像解析ソフト等によって測定した。
このようにして空焼き処理した実施例1〜8および比較例3、5の焼成用セッター並びに比較例1、2の焼成用セッターを用いて、アルミナ質セラミックパッケージ(ガラス成分(CaO−SiO2−MgO+α系)3%添加)を被焼成物(セラミックス製品)として、非酸化性雰囲気(N2−H2雰囲気)において1600℃で焼成した。そして、この焼成工程を複数回実施して、被焼成物(製品)におけるキズの発生や焼成用セッターとの反応の有無を観察した。
上記観察の結果、図6に見られるように、実施例1〜8の焼成用セッターにおいては、いずれも被焼成物(製品)との反応による不具合の発生は全く無く、特に実施例1〜3、5〜8の焼成用セッターにあっては50回の焼成を行っても被焼成物(製品)にキズを生じることがなかった。また、気孔生成粒子の配合率が本発明の下限の10Vol%である実施例4の焼成用セッターにおいても、35回の焼成までは被焼成物(製品)にキズを生じることがなかった。
これに対して、図7に見られるように、比較例1のように基材としてセラミック等と反応し難いMoを用いた場合においても、そのままセラミックスの焼成に用いると、焼成過程で排出されるガラス成分やガス成分が焼成用セッターの表面に付着し、セッター表面に凹凸が生じることにより、数回の焼成で被焼成物(製品)の表面にキズを付けてしまうこと、および比較例2のように、基材としてアルミナを用いた場合には、1回の焼成で被焼成物(製品)と反応という不具合現象を生じることが判る。
また、比較例3のように、基材の表面にマトリックス材となるMo粒子を溶射した場合には、図5に見られるように、溶射皮膜2の形成時に、一般的に生じるマトリックス材の積層欠陥やガス分の残留などに起因して気孔5が4.80%の面積率で形成されている。しかしながら、上記溶射皮膜2には、気孔生成粒子が含まれていないために、空焼きを行った後においても、溶射皮膜中の気孔率は5.40%と殆ど増加することが無く(図8参照)、この結果上記気孔5が充分な効果を発揮することができず、7回の焼成によって被焼成物(製品)にキズが発生してしまった。
さらに、比較例4のように、マトリックス材粒子Moと気孔生成粒子BNとを造粒して溶射した場合においても、気孔生成粒子BNの配合率が80%と多すぎると、相対的にマトリックス材の量が少なすぎて皮膜強度が低下し、溶射皮膜を形成することができなかった。
また、比較例5のように、気孔生成粒子としてSiC粉末を用いた場合には、配合率が本願発明において特定する範囲内であるものの、溶射中にマトリックス材粒子Moと反応を生じてSiCの残留量が少なくなり、この結果、所望の溶射皮膜を形成することができなかった。
これに対して、比較例6のように、Moをマトリックス材粒子とし、TiCを添加して溶射した場合は、空焼きによって溶射皮膜中のTiCが十分に飛散せずに、図7および図8に見られるように、溶射皮膜中の気孔率が大きくならず、所望とする気孔が形成されない結果、早期に被焼成物(製品)にキズが発生したものと考えられる。
以上のように、上記実施例からも明らかなように、本願発明に係る実施例1〜8の焼成用セッターによれば、溶射皮膜のマトリックス材として、セラミックス等と反応し難いMoまたはWを用いているために、被焼成物(製品)との反応による不良品の発生を未然に防止することができる。
加えて、溶射皮膜における気孔生成物面積率が7.5〜35%の範囲となるように、基材表面への溶射材中にh−BN、VN、VCまたはポリエステルからなる気孔生成粒子を10〜70Vol%の割合で分散させて基材表面に溶射しているために、使用開始時における空焼き等の熱処理によって溶射皮膜中に所望とする容積の空孔を形成することができ、当該空孔によって被焼成物(製品)から排出されるガラス成分等の液相やガス成分をトラップすることにより、これらガス成分等の焼成用セッターの表面への付着に起因して冷却時の製品セラミックスにキズを付けることも防止することができる。
1 基材
2 溶射皮膜
3 マトリックス材
4 気孔生成粒子
4´ 空孔
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明に係る焼成用セッターは、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる基材の表面に、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなるマトリックス材中に気孔生成粒子が分散された溶射皮膜が形成されてなり、かつ上記気孔生成粒子は、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)、炭化バナジウム(VC)またはポリエステルであるとともに、上記溶射皮膜において上記気孔生成粒子及び気孔が占める面積の割合である気孔生成物面積率が7.5〜35%の範囲であることを特徴とするものである。
請求項3に記載の本発明に係る焼成用セッターの製造方法は、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる基材の表面に、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなるマトリックス材粒子と、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)、炭化バナジウム(VC)またはポリエステルからなる気孔生成粒子とを混合した溶射材を溶射することにより、上記マトリックス材粒子から形成されたマトリックス材中に上記気孔生成粒子が分散した溶射皮膜を形成してなり、かつ上記気孔生成粒子を、上記溶射材中に10〜70Vol%の割合で配合したことを特徴とするものである。

Claims (4)

  1. モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる基材の表面に、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなるマトリックス材中に気孔生成粒子が分散された溶射皮膜が形成されてなり、
    かつ上記気孔生成粒子は、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)、炭化バナジウム(VC)またはポリエステルであるとともに、当該溶射皮膜における気孔生成物面積率が7.5〜35%の範囲になるように配合されていることを特徴とする焼成用セッター。
  2. 上記溶射皮膜の厚さ寸法は、30〜500μmであることを特徴とする請求項1に記載の焼成用セッター。
  3. モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなる基材の表面に、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)からなるマトリックス材粒子と、六方晶窒化ホウ素(h−BN)、窒化バナジウム(VN)、炭化バナジウム(VC)またはポリエステルからなる気孔生成粒子とを混合した溶射材を溶射することにより、上記マトリックス材中に上記気孔生成粒子が分散した溶射皮膜を形成してなり、かつ上記気孔生成粒子を、上記溶射材中に10〜70Vol%の割合で配合したことを特徴とする焼成用セッターの製造方法。
  4. 上記気孔生成粒子として、上記マトリックス材粒子よりも大きい粒径のものを用いることを特徴とする請求項3に記載の焼成用セッターの製造方法。
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