JP2019085522A - フェノール樹脂発泡板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】集中荷重に対して変形し易い、フェノール樹脂発泡板に関して、優れた断熱性を維持しながら、厚み方向への集中荷重によるへこみ量が少ないフェノール樹脂発泡板の提供。【解決手段】密度が25〜45kg/m3、独立気泡率が85%以上、平均気泡径が70〜180μmのフェノール樹脂発泡板であって、厚み方向、厚み方向に垂直な第1方向並びに厚み方向及び第1方向に垂直な第2方向に、各々、直径15mmかつ質量5kgの円柱状物2による集中荷重を付与した際のへこみ量を、Dh、Dt及びDmとしたとき、下記(1)〜(3)の関係式を満たすフェノール樹脂発泡板。塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び非塩素化ハイドロオレフィンから選択する、1種以上の発泡剤を含有するフェノール樹脂発泡剤。Dh<3.0mm(1)、0.01≦Dh/Dt≦0.(2)、0.01≦Dh/Dm≦0.15(3)【選択図】図1

Description

本発明は、断熱性能が良好であり、さらには厚み方向上下表層部の耐集中荷重性能が良好であるフェノール樹脂発泡板に関する。
レゾール型フェノール樹脂を原料とした酸硬化型フェノール樹脂発泡板は、燃え難く、煙の発生が少なく、しかも断熱性も良好なことから、従前より、例えば金属サイディング等の外壁材、間仕切りパネル等の内壁材の他、天井材、防火扉、雨戸等の建材や、工業プラント用の保冷・保温材としても広く使用されているが、特に産業資材用途向けには、積層面材を剥がして利用することも多い。
しかし、面材を剥がして利用する場合には、フェノール樹脂発泡板は、特に集中荷重に対して変形しやすい。とりわけ、表面積が大きく、人の手や物との接触機会の多い、フェノール樹脂発泡板の厚み方向の上下表面に関しては、予期せぬ衝撃等によりへこみやすいという問題があった。
これに対して、特許文献1には、面材付の発泡体積層板試料の上に、直径50mmで10kgの鉄製円盤を載せ、さらにその上に100kgの重りを載せ、30秒後に取り外して、残った跡のへこみ深さ(へこみ量)(mm)を測定し、へこみ量を低減可能なフェノール樹脂断熱材が提案されている。しかし、この技術は、フェノール樹脂発泡体の表裏面のうちの少なくとも片面に、ポリオレフィン系樹脂からなる割繊維不織布層が設けられ、さらにポリオレフィン系樹脂からなる割繊維不織布層を有するフェノール樹脂発泡体の表裏面のうちの少なくとも片面の最表層に、金属箔、または金属もしくは金属酸化物の蒸着層よりなる薄膜層が設けられていることを特徴とするものである。すなわち、面材の工夫により成し得る技術である上に、直径50mmと比較的広い面積での加重評価であり、集中荷重をかけたとはいえない。
一方、特許文献2では、比較的低密度のフェノール樹脂発泡体について、厚み方向に対して垂直方向に変位10%圧縮を行った場合において、圧縮開放後1分経過時の回復率が96.0%以上98.5% 以下となる、10%程度変形させても回復後のへこみ量が少ないフェノール樹脂発泡体が提案されている。しかし、この場合、変形要因が集中荷重とはいえない上、厚み方向に垂直な面方向のみに着目し特徴を見出した技術と言える。
特開2010−131848号公報 WO2012−053493号公報
すなわち、集中荷重に対して変形しやすい、フェノール樹脂発泡板に関して、優れた断熱性を維持しながら、その厚み方向への集中荷重によるへこみ量が少ないフェノール樹脂発泡板が求められてきた。
そこで、本発明者は、上記課題を解決すべく更に検討を重ねたところ、厚み方向、および厚み方向に垂直な2方向のへこみ量が特定の関係にあることにより、厚み方向の耐集中荷重性能を発現し得ることがわかった。また、このような発泡板を得るには、フェノール樹脂の重量平均分子量を適正化しつつ、固体発泡核剤を添加しつつ添加量を適正化し、かつ、発泡性フェノール樹脂組成物中の予成形時の温度を高め適正化することで、面材なしの状態においても厚み方向に対する集中荷重に対抗できる強靭な発泡板を得ることを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[4]を提供する。
[1]独立気泡率が85%以上、平均気泡径が70μm以上180μm以下のフェノール樹脂発泡板であって、厚み方向、該厚み方向に垂直な第1方向、ならびに、該厚み方向および該第1方向に垂直な第2方向に、各々、直径15mmかつ質量5kgの円柱状物による集中荷重を付与した際のへこみ量を、Dh、Dt、ならびに、Dmとしたとき、下記(1)〜(3)の関係式を満たすことを特徴とするフェノール樹脂発泡板。
Dh<3.0mm (1)
0.01≦Dh/Dt≦0.15 (2)
0.01≦Dh/Dm≦0.15 (3)
[2]塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする[1]に記載のフェノール樹脂発泡板。
[3]前記塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの発泡剤中の比率が30質量%以上である、[1]又は[2]に記載のフェノール樹脂発泡板。
[4]フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、固体発泡核剤、および有機酸を含有する酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程、前記下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ上面材上から予成形を行う工程、発泡および硬化反応により本成形を行う工程、最終成形した後にフェノール樹脂組成物中の水分を放散させる後硬化を行う工程を含み、フェノール樹脂の重量平均分子量が600以上3000以下であり、発泡性フェノール樹脂組成物は、固体発泡核剤を、フェノール樹脂および界面活性剤との合計100質量部に対して、5.0質量部以上10.0質量部以下の割合で含み、前記予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度が45℃以上65℃以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板の製造方法。
本発明によれば、フェノール樹脂発泡板の厚み方向において、耐集中荷重性能に優れたフェノール樹脂発泡板を得ることができる。
Dh、Dt、およびDmの測定装置の例である。
以下、本発明をその好適な実施形態に則して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡板(以下、「発泡板」という場合がある。)は、硬化反応によって形成された、当該発泡板の骨格となるフェノール樹脂硬化体中に、多数の気泡が分散した状態で存在するフェノール樹脂発泡体であり、板状に得られるものである。樹脂発泡板は、厚み方向に上下面材が積層された発泡体積層板の形で得られるのが一般的である。そして、本実施形態の発泡板は、独立気泡率が高く、優れた長期断熱性能を有している。また、本実施形態の発泡板は、厚み方向において、耐集中荷重性能に優れていることから、上下面材付のフェノール樹脂発泡板、すなわち発泡体積層板としての利用の他に、発泡体積層板から面材を剥離してなるフェノール樹脂発泡板の状態でも梱包、運搬、および施工時の取り扱い性が良好であるため、難燃性および断熱性に優れる建材などとして幅広く使用することができる。
また、フェノール樹脂発泡板、もしくは、発泡体積層板は、これを単体で使用できる他、外部部材と接合させて様々な用途に用いられる。外部部材の例としては、ボード状材料およびシート状・フィルム状材料の1およびその組み合わせがある。ボード状材料としては、普通合板、構造用合板、パーティクルボード、OSB、などの木質系ボード、および、木毛セメント板、木片セメント板、石膏ボード、フレキシブルボード、ミディアムデンシティファイバーボード、ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、火山性ガラス質複層板などが好適である。また、シート状・フィルム状材料としては、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、無機質充填ガラス繊維不織布、ガラス繊維不織布、紙、炭酸カルシウム紙、ポリエチレン加工紙、ポリエチレンフィルム、プラスチック系防湿フィルム、アスファルト防水紙、アルミニウム箔(孔あり・孔なし)などが好適である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡板のフェノール樹脂発泡体としての密度は用途に応じて定められるが、好ましくは25kg/m3以上45kg/m3以下であり、より好ましくは25kg/m3以上35kg/m3以下である。密度が25kg/m3以上であると圧縮強度、曲げ強さ等の機械的強度が確保でき、発泡板の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、密度が45kg/m3以下であると、樹脂部の伝熱が増大しにくいため、断熱性能を保つことができる。なお、フェノール樹脂発泡板の密度は、主に、発泡剤の割合、発泡性フェノール樹脂組成物の温度、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程における予成形のタイミング、更には、発泡剤の添加量と酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比、温度や滞留時間等の硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡板の独立気泡率は、85%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。独立気泡率が85%未満であると、フェノール樹脂発泡板中の発泡剤が空気と置換して長期の断熱性能が低下する傾向が生じるという懸念がある。なお、フェノール樹脂発泡板の独立気泡率は、例えば、フェノール樹脂の反応性や温度の調整、酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比、更には硬化温度条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡板のフェノール樹脂発泡体としての平均気泡径は、70μm以上180μm以下であり、好ましくは70μm以上170μm以下、より好ましくは、70μm以上160μm以下である。平均気泡径が70μm以上であると、発泡体の密度が高くなることを抑制でき、反り難くなる。この結果、発泡体における樹脂部の伝熱割合を低減できるため、フェノール樹脂発泡板の断熱性能を確保することができる。また、逆に平均気泡径が180μmを超えると、輻射による熱伝導率が増加するようになり、発泡体の断熱性能が低下するおそれがある上、厚み方向、ならびに、例えば、幅方向および長手方向のように、厚み方向に対して垂直な方向に集中荷重を付与した際の各々のへこみ量が増大する。なお、フェノール樹脂発泡板の平均気泡径は、例えば、フェノール樹脂の反応性や温度の調整、発泡核剤の添加量、発泡剤の添加量と酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比、更には硬化温度条件などの変更により所望の値に調整できる。
そして、フェノール樹脂発泡板は、発泡剤を含有し、例えば、フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、固体発泡核剤、および、有機酸を含有する酸性硬化剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物から製造される。なお、発泡性フェノール樹脂組成物は、任意に、上記以外の成分、例えばフタル酸系化合物等を含有していてもよい。
フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって合成するレゾール型フェノール樹脂を用いる。レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを原料としてアルカリ触媒により40〜100℃の温度範囲で加熱して合成する。また、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後に尿素等の添加剤を添加してもよい。尿素を添加する場合は予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に際し、発泡に適した水分量に調整する。また、フェノール樹脂には、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じて種々の添加剤を添加することもできる。
フェノール樹脂の合成時のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は1:1から1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。
ここで、本実施形態においてフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類は、フェノール自体、および他のフェノール類であり、他のフェノール類の例としては、レゾルシノール、カテコール、o−、m−およびp−クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p−tertブチルフェノール等が挙げられる。また、2核フェノール類も使用できる。
また、アルデヒド類は、アルデヒド源となり得る化合物であればよく、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、および他のアルデヒド類やその誘導体を用いることが好ましい。他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
なお、フェノール樹脂には、添加剤として尿素、ジシアンジアミドやメラミン等を加えてもよい。本明細書において、これらの添加剤を加える場合、「フェノール樹脂」とは添加剤を加えた後のものを指す。そして、本明細書では、「フェノール樹脂」に対して界面活性剤を添加したものを「フェノール樹脂組成物」と称し、「フェノール樹脂組成物」に対して発泡剤、発泡核剤および酸性硬化剤を添加して発泡性および硬化性を付与したものを「発泡性フェノール樹脂組成物」と称する。また、前述のように、フェノール樹脂発泡板形成後の樹脂部分を「フェノール樹脂硬化体」と称する。
フェノール樹脂の重量平均分子量は、600以上であり、800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。また前述の重量平均分子量は、3,000以下であり、2,500以下であることが好ましく、2,000以下であることがより好ましい。フェノール樹脂の重量平均分子量が600未満であると、得られるフェノール樹脂発泡板の硬化状態が不十分となり、発泡板の厚み方向に集中荷重を付与した際のへこみ量Dhが増大する。一方、フェノール樹脂の重量平均分子量が3000を超えると、予成形時に硬化が進行しすぎて、予成形により平滑板状にすることが困難となる。なお、フェノール樹脂の重量平均分子量は、本明細書の実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
フェノール樹脂およびフェノール樹脂組成物の40℃における粘度は、好ましくは15,000mPa・s以上35,000mPa・s以下であり、より好ましくは20,000mPa・s以上30,000mPa・s以下である。フェノール樹脂およびフェノール樹脂組成物の40℃における粘度が15,000mPa・sよりも低いと、発泡板の厚み方向に集中荷重を付与した際の各々のへこみ量が増大する。また、フェノール樹脂およびフェノール樹脂組成物の40℃における粘度が30,000mPa・sよりも高いと、送液等の取扱いが困難となるばかりか、発泡し難くなり、その結果フェノール樹脂発泡板の厚みが不足する。
フェノール樹脂およびフェノール樹脂組成物の水分量は1.5質量%以上3.5質量%以下であることが好ましい。1.5質量%以下であると、フェノール樹脂およびフェノール樹脂組成物の40℃における粘度が高くなり送液時の取り扱いが困難となる。また、3.5質量%以上であると、発泡板の厚み方向に集中荷重を付与した際のへこみ量Dhが増大する。
発泡性フェノール樹脂組成物に含まれる界面活性剤、発泡剤、および固体発泡核剤は、フェノール樹脂に予め添加しておいてもよいし、酸性硬化剤と同時に添加してもよい。
界面活性剤としては、フェノール樹脂発泡体の製造に一般に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との縮合物、アルキレンオキサイドと、ノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、アルキルエーテル部分の炭素数が14〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下の範囲で好ましく使用される。
発泡剤は、特に限定されないが、炭化水素(HC類)、ハイドロフルオロカーボン(HFC類)、塩素化ハイドロフルオロオレフィン、非塩素化ハイドロフルオロオレフィン、および、塩素化炭化水素等を用いることが好ましい。オゾン層の破壊を防ぐ観点から、炭化水素およびハイドロフルオロカーボン等を用いることが好ましい。とりわけ、地球温暖化係数が小さいことから、炭化水素を使用することがより好ましい。また、フェノール樹脂発泡板の断熱性能をより向上させる観点からは、塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの内の少なくとも一種を含有することが好ましい。
炭化水素としては、炭素数が3〜7の環状または鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン、等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類およびノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類が好適に用いられる。また、ハイドロフルオロカーボンとしては、ハイドロフルオロプロペン、ハイドロクロロフルオロプロペン、ハイドロブロモフルオロプロペン、ハイドロフルオロブテン、ハイドロクロロフルオロブテン、ハイドロブロモフルオロブテン、ハイドロフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロエタン、ハイドロブロモフルオロエタン等を挙げることができる。
塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(例えば、ハネウェルジャパン株式会社製、製品名:Solstice(商標)LBA)などが挙げられる。また、非塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン(例えば、ハネウェルジャパン株式会社製、製品名:Solstice(商標)1234ze)、2,3,3,3−テトラフルオロ−1−プロペン、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンなどが挙げられる。
ここで、塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの発泡剤中の含有割合は、環境負荷を増加させることなく所望の断熱性能を発現させるために、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、60質量%以上であるとなお好ましい。
なお、断熱性能の向上という観点からは、塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンからなる群より選択される少なくとも一種を発泡剤の構成成分とすることが、好ましい。一方で、塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンからなる群より選択される少なくとも一種を含む発泡剤を使用して得られる発泡板では、発泡剤とレゾール型フェノール樹脂との親和性が高すぎるために、硬化反応によって発生する水がフォーム内に残留しやすくなる。そのため、硬化状態が十分であっても、得られるフェノール樹脂発泡板は柔軟性を有しやすくなり、より一層、集中荷重に対して変形しやすいこともわかった。
塩素化炭化水素としては、炭素数が2〜5の直鎖状または分岐状の塩素化脂肪族炭化水素を使用し得る。結合している塩素原子の数は、限定されるものではないが、1〜4が好ましく、塩素化脂肪族炭化水素としては、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドがより好ましく用いられる。
なお、これら発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよく、任意に選択できる。
発泡性フェノール樹脂組成物中の発泡剤の量は、発泡剤の種類、フェノール樹脂との相性や、温度、滞留時間等の発泡・硬化条件によりばらつきがあるが、フェノール樹脂および界面活性剤との合計100質量部に対して、10.0質量部以下であり、4.5質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、5.0質量部以上9.0質量部以下であることがより好ましい。フェノール樹脂および界面活性剤の合計100質量部当たりの発泡剤の量が4.5質量部未満の場合、フェノール樹脂発泡体の密度が高くなりすぎる。また、フェノール樹脂および界面活性剤の合計100質量部当たり10質量部を超える量の発泡剤を添加すると低密度となり、フェノール樹脂発泡体を適度な強度を有する密度とすることができない上に、気泡壁面が割れやすくなり独立気泡率が低下しやすくなる。
また、本実施形態においては、固体発泡核剤を使用する必要がある。固体発泡核剤としては、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、および、フェノール樹脂発泡体の粉砕粉のような有機粉を添加することもできる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。固体発泡核剤の添加タイミングは、発泡性フェノール樹脂組成物を混合する混合機内に供給されていればよく、任意に決めることができる。
本実施形態における発泡性フェノール樹脂組成物中の固体発泡核剤の添加量は、フェノール樹脂および界面活性剤との合計100質量部に対して、5.0質量部以上10.0質量部以下であり、好ましくは5.0質量部以上8.0質量部以下である。フェノール樹脂および界面活性剤の合計100質量部当たりの固体発泡核剤の量が5.0質量部未満の場合、発泡板の厚み方向に集中荷重を付与した際のへこみ量Dhが増大する。また、フェノール樹脂および界面活性剤の合計100質量部当たり10質量部を超える量の固体発泡核剤を添加すると、発泡性フェノール樹脂組成物の粘度が高くなるために混合機内で攪拌シェアによって発熱しやすくなり、発泡性フェノール樹脂組成物の温度、更には、予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度が上がりやすくなり、好ましくない。さらには配管内を送液させにくくなり、設備的な負荷も大きくなる。また、この場合に得られるフェノール樹脂発泡板は、表面の硬化が速い為に平滑性良好なものが得られ難くなる。
本実施形態においては、フェノール樹脂発泡板の製造に気体発泡核剤をさらに使用してもよい。気体発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い低沸点物質を添加することができる。なお、気体発泡核剤の添加タイミングは特に限定されず、混合機を用いて混合する工程においてフェノール樹脂組成物中に含まれていればよい。
気体発泡核剤の発泡剤に対する添加量は、発泡剤の量を100質量%として、0.2質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。発泡核剤の添加量が0.2質量%未満であると、不均一な発泡が起こりやすく、得られるフェノール樹脂発泡体の平均気泡径が場所によって不均一になりやすい。また、発泡核剤の添加量を1.0質量%超とすると、平均気泡径が大きくなりやすく、さらにはボイドも発生しやすい。
酸性硬化剤は、フェノール樹脂組成物を硬化できる酸性の硬化剤であればよく、酸成分として有機酸を含有する。有機酸としては、アリールスルホン酸、或いは、これらの無水物が好ましい。アリールスルホン酸およびその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等、および、それらの無水物が挙げられ、これらを一種類で用いても、二種類以上組み合わせてもよい。なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。また、これらの硬化剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
酸性硬化剤の使用量は、その種類により異なり、パラトルエンスルホン酸一水和物60質量%とジエチレングリコール40質量%との混合物を使用する場合には、フェノール樹脂と、界面活性剤との合計100質量部に対して、好ましくは8質量部以上20質量部以下、より好ましくは10質量部以上15質量部以下で使用される。
そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡板の厚み方向に、直径15mmかつ質量5kgの円柱状物による集中荷重を付与した際のへこみ量を、Dhとしたとき、下記(1)の関係式を満たすことを特徴としている。
Dh<3.0mm (1)
Dhは3.0mm未満であり、好ましくは、2.0mm未満であり、より好ましくは、1.0mm未満である。Dhが3.0mm以上であると、厚み方向の上下表層部の耐集中荷重性能が十分とは言えない。Dhはフェノール樹脂発泡板の密度にも依存し、密度が低いほどDhは大きくなる傾向がある。
さらに、本実施形態のフェノール樹脂発泡板の第1方向に、直径15mmかつ質量5kgの円柱状物による集中荷重を付与した際のへこみ量をDtとしたとき、下記(2)の関係式を満たすことを特徴としている。なお、第1方向は、フェノール樹脂発泡板の板面に平行な任意の方向、すなわち厚み方向に垂直な任意の方向であって、例えば、フェノール樹脂発泡板の幅方向である。また、フェノール樹脂発泡板の幅方向とは、例えば、後述する予成形工程において発泡性フェノール樹脂組成物が吐出される下面材の走行方向と下面材の平面の垂線方向とに垂直な方向に対応する方向である。
0.01≦Dh/Dt≦0.15 (2)
Dh/Dtは、0.01以上0.15以下であり、好ましくは、0.01以上0.12以下であり、より好ましくは、0.01以上0.10以下である。Dh/Dtが0.01未満であると、厚み方向に対して第1方向の耐集中荷重性能が十分とはいえず、0.15を超えると、第1方向に対する厚み方向の耐集中荷重性能が十分とはいえない。
また、本実施形態のフェノール樹脂発泡板の第2方向に、直径15mmかつ質量5kgの円柱状物による集中荷重を付与した際のへこみ量をDmとしたとき、下記(3)の関係式を満たすことを特徴としている。なお、第2方向は、フェノール樹脂発泡板の板面に平行且つ第1方向に垂直な方向、すなわち、厚み方向および第1方向に垂直な方向であって、例えば、フェノール樹脂発泡板の長手方向である。また、フェノール樹脂発泡板の長手方向とは、例えば、後述する予成形工程において発泡性フェノール樹脂組成物が吐出される下面材の走行方向に対応する方向である。
0.01<Dh/Dm<0.15 (3)
Dh/Dmは、0.01以上0.15以下であり、好ましくは、0.01以上0.12以下であり、より好ましくは、0.01以上0.10以下である。Dh/Dtが0.01未満であると、厚み方向に対して第2方向の耐集中荷重性能が十分とはいえず、0.15を超えると、第2方向に対する厚み方向の耐集中荷重性能が十分とはいえない。
フェノール樹脂発泡板の厚み方向の集中荷重に対するへこみを低減させるには、フェノール樹脂発泡板全体を高密度化することが考えられる。しかし、フェノール樹脂発泡板全体の高密度化は、フェノール樹脂発泡板の樹脂部における伝導による伝熱性を高め、全体の断熱性を低下させる。一方、本実施形態のフェノール樹脂発泡板では、上記(2)、(3)式を満たしているので、発泡板の板面に平行な任意の方向(第1方向および第2方向)に沿った集中荷重と比べて、厚み方向に沿った集中荷重に対する強度を向上させている。それゆえ、フェノール樹脂発泡板全体の高密度化は不要である。したがって、本実施形態のフェノール樹脂発泡板は、断熱性の低下を抑制しながら、厚み方向の集中荷重に対するへこみ量を低減し得る。
<フェノール樹脂発泡板の製造方法>
次に、上述したフェノール樹脂発泡板の製造方法について説明する。
フェノール樹脂発泡板の製造方法としては、フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、固体発泡核剤、および、有機酸を含有する酸性硬化剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程、前記下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ上面材上から予成形を行う工程、発泡および硬化反応を行わせる主工程である本成形を行う工程、最終成形した後にフェノール樹脂組成物中の水分を放散させる後硬化を行う工程とを備える連続製造方式を採用することが可能である。
連続製造方式においては、下面材上に吐出したフェノール樹脂組成物を上面材で被覆した後、発泡および硬化させながら上下方向から均すように予成形し、その後、発泡および硬化を進めつつ板状に成形していく。
連続製造方式における、予成形工程および本成形工程において夫々予成形および本成形を行う方法としては、スラット型ダブルコンベアを利用する方法や、金属ロールもしくは鋼板を利用する方法、さらには、これらを複数組み合わせて利用する方法等、製造目的に応じた種々の方法が挙げられる。このうち、例えば、スラット型ダブルコンベアを利用して成形する場合には、上下の面材で被覆された発泡性フェノール樹脂組成物をスラット型ダブルコンベア中へ連続的に案内した後、加熱しながら上下方向から圧力を加えて、所定の厚みに調整しつつ、発泡および硬化させ、板状に成形することができる。
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に配される面材としては、可撓性を有する面材(可撓性面材)が用いられる。使用される可撓性面材としては、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる不織布および織布や、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の紙類や、ガラス繊維不織布のような無機繊維の不織布等が好ましく、これらは混合(または積層)して用いてもよい。中でも、得られるフェノール樹脂発泡体積層板から面材を剥離し発泡板のみを利用する場合には、剥離後に廃棄可能な安価な紙類が好ましい。これら面材は、通常ロール状の形態で提供されている。更に、可撓性面材としては、難燃剤等の添加剤を混練したものを用いても構わない。なお、面材とフェノール樹脂発泡体との接着方法は特に限定されるものではなく、フェノール樹脂発泡体が面材表面で熱硬化する際の固着力によるものや、エポキシ樹脂等の接着剤を使用したものでも構わない。
本発明において、固体発泡核剤の添加量、および、予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度は極めて重要となる。予成形する際には、流れ方向に連続的に、複数の発泡性フェノール樹脂組成物が下面材上に吐出されるが、本実施形態による製造方法では、この発泡性フェノール樹脂組成物の外気に接する表層に近い部位の発泡剤が放散し、当該部位の発泡剤含量が少なくなることを特徴とする。これは、予成形する際に、発泡性フェノール樹脂組成物の温度を高くしつつ、発泡性フェノール樹脂組成物中の固体発泡核剤により、発泡を促進することにより、上記特徴が発現すると推定される。なお、当該部位における発泡剤含量を減少させることにより、得られるフェノール樹脂発泡板表面の密度が高まり、その結果、表面の強度が向上するため厚み方向への集中荷重に対する耐久性が向上するものと推定される。
予成形を行う工程において、最初に予成形されるときの発泡性フェノール樹脂組成物の温度は、45℃以上65℃以下である。
予成形されるときの発泡性フェノール樹脂組成物の温度が45℃未満であると発泡性フェノール樹脂組成物の表面温度が低く、発泡性樹脂組成物からの発泡剤の放散が不十分で、得られるフェノール樹脂発泡板表面の密度を高めることができないため、発泡板の厚み方向に集中荷重を付与した際のへこみ量Dhが増大し、好ましくない。
一方予成形されるときの発泡性フェノール樹脂組成物の温度が65℃を超えると、得られるフェノール樹脂発泡板の独立気泡率が低下し、平均気泡径も大きくなるため好ましくない上、ボイドも多くなるので注意が必要である。
なお、予成形されるときの発泡性フェノール樹脂組成物の温度は、ミキシングヘッドの温調水温度や流量、ミキシングヘッドの回転数等の調整、更には、予成形位置の調整によって行うことができる。なお、予成形されるときの発泡性フェノール樹脂組成物の温度は、予成形位置に設置された温度計もしくは予成形位置で都度測定する温度計によって測定され得る。
予成形工程に続き、本成形工程および後硬化工程を設け、段階的に昇温させることが重要である。予成形工程に続く本成形工程の加熱温調条件は、65℃以上100℃以下であることが望ましい。該区間において、無端スチールベルト型ダブルコンベアまたはスラット型ダブルコンベア、もしくはロール等を用いて本成形を行うことができる。また、本成形工程の滞留時間は、発泡および硬化反応を行わせる主工程であることから、5分以上2時間以内とすることが好ましい。滞留時間が5分以上であると発泡と硬化を十分に促進させることができる。また、フェノール樹脂組成物の発泡および硬化がある程度終了すると、得られるフェノール樹脂発泡板の特性はほとんど変化しない。このため、滞留時間が2時間以内であるとフェノール樹脂発泡板の生産効率を高めることができる。
後硬化工程は、予成形工程および本成形工程後に行われる。後硬化工程の温度は、90℃以上120℃以下であることが好ましい。90℃未満であると、発泡板中の水分が放散しにくくなり、120℃超であると、製品の独立気泡率が低下し製品の断熱性能が低下する。後硬化工程の温調区間を設けることで、最終成形した後に、フェノール樹脂組成物中の水分を放散させることができる。
すなわち、鋭意検討を行った結果、フェノール樹脂、界面活性剤発泡剤、固体発泡核剤、および有機酸を含有する酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程、前記下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ上面材上から予成形を行う工程、発泡および硬化反応を行わせる主工程である本成形を行う工程、最終成形した後にフェノール樹脂組成物中の水分を放散させる後硬化を行う工程を含み、フェノール樹脂の分子量が600以上3000以下であり、発泡性フェノール樹脂組成物は、固体発泡核剤を前記フェノール樹脂に対して5質量%以上10質量%以下の割合で含み、前記予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度が40℃以上60℃以下とすることで、厚み方向に対する集中荷重に対抗できる強靭な発泡板を得ることを見出した。
以下に、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フェノール樹脂Aの合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3500kgと99質量%フェノール2510kg(不純物として水を含む)を仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで48質量%水酸化ナトリウム水溶液をpHが8.7になるまで加えた後85℃まで昇温して、反応を行わせた。反応液のオストワルド粘度が160平方メートル毎秒(=160×10-62/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、フェノール樹脂中の尿素含有量が4.6質量%となるように尿素を添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液を、pHが6.3になるまで添加した。得られた反応液を薄膜蒸発機によって濃縮処理し、粘度および水分量を以下の方法で測定した。その結果、重量平均分子量が1800、40℃における粘度が19,800mPa・sである、フェノール樹脂Aを得た。これをフェノール樹脂Aとする。
<重量平均分子量>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により以下のような条件で測定を行い、後に示す標準物質(標準ポリスチレン、2−ヒドロキシベンジルアルコールおよびフェノール)によって得られた検量線よりフェノール樹脂の重量平均分子量Mwを求めた。
前処理:
フェノール樹脂約10mgをN,Nジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、高速液体クロマトグラフ用)1mlに溶解し、0.2μmメンブレンフィルターでろ過したものを測定溶液として用いた。
測定条件:
測定装置:Shodex System21(昭和電工株式会社製)
カラム:Shodex asahipak GF−310HQ(7.5mmI.D.×30cm)
溶離液:臭化リチウム0.1質量%をN,Nジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、高速液体クロマトグラフ用)に溶解し使用した。
流量:0.6ml/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
標準物質:標準ポリスチレン(昭和電工株式会社製「Shodex standard
SL−105」)、2−ヒドロキシベンジルアルコール(シグマアルドリッチ社製、99%品)、フェノール(関東化学株式会社製、特級)
<粘度>
回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値をフェノール樹脂Aの粘度とした。
<フェノール樹脂Bの合成>
反応液のオストワルド粘度が65平方メートル毎秒(=65×10-62/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、フェノール樹脂中の尿素含有量が6.0質量%となるように尿素を添加した以外は、フェノール樹脂Aと同様の手順で合成し、反応液の濃縮条件を調整することで、重量平均分子量が610、40℃における粘度が19,800mPa・sである、フェノール樹脂Bを得た。
<フェノール樹脂Cの合成>
反応液のオストワルド粘度が450平方メートル毎秒(=450×10-62/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、フェノール樹脂中の尿素含有量が3.3質量%となるように尿素を添加した以外は、フェノール樹脂Aと同様の手順で合成し、反応液の濃縮条件を調整することで、重量平均分子量が2900、40℃における粘度が19,800mPa・sである、フェノール樹脂Cを得た。
<フェノール樹脂Dの合成>
フェノール樹脂中の尿素含有量が3.8質量%となるように尿素を添加した以外は、フェノール樹脂Aと同様の手順で合成し、反応液の濃縮条件を調整することで、重量平均分子量が1800、40℃における粘度が19,800mPa・sである、フェノール樹脂Dを得た。
<フェノール樹脂Eの合成>
反応器に52質量% ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3500kgと99質量%フェノール2510kg(不純物として水を含む)を仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60平方メートル毎秒(=60×10-62/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当) 添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液をpHが6.4になるまで中和した。この反応液を、60℃で脱水処理して粘度を測定したところ、40℃における粘度は5,800mPa・sであるフェノール樹脂Eを得た。また、重量平均分子量は500であった。
(実施例1)
フェノール樹脂A100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体とポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルを質量比率でそれぞれ50%ずつ含有する組成物を3.0質量部の割合で混合し、更に、特開2008−024868号公報に示された方法により得られたフェノール樹脂発泡体微粉を8質量部添加し、二軸押出機((株)テクノベル製) によって混練することでフェノール樹脂発泡体微粉含有フェノール樹脂を得た。フェノール樹脂発泡体微粉は固体発泡核剤であり、その嵩密度は182kg/m3、レーザー回析光散乱方式粒径分布測定装置で測定した平均粒径は、26.6μmであった。そして、フェノール樹脂発泡体微粉含有フェノール樹脂100質量部に対して、発泡剤としてイソプロピルクロリド40質量%と1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン60質量%の混合物6.3質量部、気体発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.40質量%、更に、酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物からなる組成物を10質量部添加し、30℃に温調した回転数可変式のミキシングヘッドに供給した。混合し、得られた発泡性フェノール樹脂組成物をマルチポート分配管にて分配し、移動する下面材上に供給した。なお、混合機(ミキサー)は、特開平10−225993号に開示されたものを使用した。即ち、混合機の上部側面に、フェノール樹脂Aおよび発泡核剤を含む発泡剤の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に酸性硬化剤の導入口を備えている混合機を使用した。攪拌部以降は発泡性フェノール樹脂組成物を吐出するためのノズルに繋がっている。また、混合機は、酸性硬化剤導入口までを混合部(前段)、酸性硬化剤導入口〜攪拌終了部を混合部(後段)、攪拌終了部〜ノズルを分配部とし、これらにより構成されている。分配部は先端に複数のノズルを有し、混合された発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。ここで、混合機およびノズルは、各々温調水により温度を調節できるようになっており、温調水温度はともに25℃とした。また、マルチポート分配管の吐出口には、発泡性フェノール樹脂組成物の温度を検出できるように熱電対が設置してあり、ミキシングヘッドの回転数は700rpmに設定した。このときの下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は52℃であった。下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、予成形工程に導入されるが、予成形時のフェノール樹脂発泡板の温度が55℃であった。このときの予成形工程の設備温度は68℃とした。なお、予成形は、上面材上方より、フリーローラーにて行った。その後、二枚の面材で挟み込まれるようにして、83℃に加熱されたスラット型ダブルコンベアに導入され(本成形工程)、15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアさせ(後硬化工程)、厚み50mmのフェノール樹脂発泡体積層板を得た。なお、面材としては、可撓性面材である上下面材を共にガラス繊維混抄紙(目付量140g/m2)を使用した。フェノール樹脂発泡体積層板から上面材および下面材を丁寧に剥がして、フェノール樹脂発泡板を得た。
そして、得られたフェノール樹脂発泡板の特性(フェノール樹脂発泡体の密度、独立気泡率、平均気泡径、集中荷重評価、および、フェノール樹脂発泡板の表面平滑性評価)を以下の方法によって評価した。
<フェノール樹脂発泡体の密度>
20cm角のフェノール樹脂発泡板を試料とし、JIS K7222に従い質量と見かけ容積を測定して求めた。
<フェノール樹脂発泡体の独立気泡率>
ASTM−D−2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡板を、直径35mm〜36mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、高さ30mm〜40mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂硬化体の密度から計算した壁(気泡やボイド以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値を独立気泡率とした。ここで、フェノール樹脂硬化体の密度は1.3kg/Lとした。
<フェノール樹脂発泡体の平均気泡径>
平均気泡径は、JIS K6402に記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡板の厚み方向のほぼ中央を表裏面に平行に切削して得た試験片の切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上にボイドを避けて9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数に準じて測定したセル数を各直線で求め、それらの平均値で1,800μmを割った値を平均気泡径とした。
<フェノール樹脂発泡体中の塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの解析>
フェノール樹脂発泡板のフェノール樹脂発泡体中に塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンが含まれているか否かを以下の方法により確認した。
まず、解析対象となる化合物の標準ガスを用いて、以下のGC/MS測定条件における保持時間を求めた。続いて、フェノール樹脂発泡板から得たフェノール樹脂硬化体の試料10gと、金属製ヤスリとを10L容器(製品名:テドラーバック)に入れて密封し、窒素5Lを注入した。そして、テドラーバックの上からヤスリを使って試料を削り、試料を細かく粉砕した。続いて、81℃に温調された温調機内にテドラーバックを10分間入れた。テドラーバック中で発生したガスを100μL採取し、以下に示すGC/MS測定条件にて分析した。塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの種類は、事前に求めた保持時間とマススペクトルから同定を行った。
[GC/MS測定条件]
GC/MSの測定は以下のように行った。
ガスクロマトグラフはアジレント・テクノロジー社製のAgilent7890型を用い、カラムはジーエルサイエンス社製InertCap 5(内径0.25mm、膜厚5μm、長さ30m)を用いた。キャリアガスはヘリウムを用い、流量は1.1mL/分とした。注入口の温度は150℃、注入方法はスプリット法(1:50)とし、試料の注入量は100μLとした。カラム温度はまず−60℃で5分間保持し、その後50℃/分で150℃まで昇温し、2.8分保持した。
質量分析計は日本電子社製のQ1000GC型を用いた。イオン化方法:電子イオン化法(70eV)、スキャン範囲:m/Z=10〜500、電圧:−1300V、イオン源温度:230℃、インターフェイス温度:150℃の条件で質量分析を行った。
<Dh、Dt、Dmの測定>
ノギスを用いてフェノール樹脂発泡板の厚みを測定した。測定した厚みを一辺とする立方体状試料を6つ準備した。幅方向および長手方向の長さ精度は、厚みに対して5%以内に収まるように試料を調製した。その後、平滑面上に厚み方向が上下となるように前記立方体状試料を配した。さらに、図1に示すように、試料1上方より滑車4を利用して円柱状物位置調整ハンドル5を回動させることにより、上下に移動できるようなワイヤー3により、上方から吊るされた、直径15mmかつ質量が5kgの円柱状物2を配し、上方から立方体試料1に対して円柱状物2をゆっくり降ろしていった。そして円柱状物2が立方体状試料1上で自立しワイヤー3が弛んだ後、30秒間保持した。その後、ワイヤー3を引き上げ、立方体状試料1のへこみ量をノギスを用いて測定した。6つの試料1における、3試料においては上面側を、残りの3試料において下面側を測定し、合計6箇所について測定し、その平均値をDhとして求めた。幅方向および長手方向に対しても同様にして6つの試料に関してへこみ量をノギスで測定し、その平均値を、各々、Dt、Dmとして求めた。
<フェノール樹脂発泡板の表面平滑性評価>
ノギスを用いてフェノール樹脂発泡板の厚みを測定した。測定した厚みを一辺とする立方体状試料を5つ準備した。幅方向に対して、5mm間隔で厚みを測定し、最大値と最小値の差Δhを求めた。同様にして長さ方向に対しても、5mm間隔で厚みを測定し、最大値と最小値の差Δhを求めた。幅方向および長さ方向各々のΔhのうち、より大きな方の値をΔHとする。ΔHが0mm以上1mm未満であればA、ΔHが1mm以上2mm未満であればB、ΔHが2mm以上であればCとして表面平滑性評価を行った。なお、ΔHは、AおよびBであることが好ましい。
<熱伝導率測定>
JIS A 1412−2:1999に準拠し、以下の方法で23℃の環境下におけるフェノール樹脂発泡板の熱伝導率を測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板を600mm角に切断した。切断により得られた試片を23±1℃、湿度50±2%の雰囲気に入れ、24時間ごとに質量の経時変化を測定し、直近の質量からの変化率が0.2質量%以下になるまでその状態を保持した。直近の質量からの変化率が0.2質量%以下となった、600mm角のフェノール樹脂発泡体積層板を、傷つけないように面材を剥がしてから、同環境下に置かれた熱伝導率の測定装置に導入した。熱伝導率の測定は、試験体1枚、対象構成方式の測定装置(英弘精機社、商品名「HC−074/600」)を用い行った。23℃の環境下における熱伝導率は、低温板が13℃、高温板が33℃の条件で測定した。
(実施例2)
フェノール樹脂Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は46℃であった。
(実施例3)
フェノール樹脂Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は64℃であった。
(実施例4)
発泡核組成を、シクロペンタン70質量%とイソブタン30質量%の混合物5.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は53℃であった。
(実施例5)
固体発泡核剤としてのフェノール樹脂発泡体微粉を、フェノール樹脂に対して5.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は47℃であった。
(実施例6)
固体発泡核剤としてのフェノール樹脂発泡体微粉を、フェノール樹脂に対して10.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は64℃であった。
(実施例7)
混合機(ミキサー)のミキシングヘッド回転数を300rpmとすることで予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度を45℃と調整した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例8)
混合機(ミキサー)のミキシングヘッド回転数を1200rpmとすることで予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度を65℃と調整した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例9)
面材を上下ともに、旭化成株式会社製のポリエステル(PET)不織布である、エルタスE05030(目付量30g/m2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は51℃であった。
(実施例10)
フェノール樹脂Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は48℃であった。
(実施例11)
固体発泡核剤として、水酸化アルミニウム粉(巴工業(株)製、B−325、平均粒径23.0μ m)を用い、フェノール樹脂に対して8.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は50℃であった。
(比較例1)
固体発泡核剤を無添加とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は43℃であった。
(比較例2)
フェノール樹脂Eを用いた以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は39℃であった。
(比較例3)
フェノール樹脂Eを用い、混合機およびノズルの温調水温度を30℃とし、混合機(ミキサー)のミキシングヘッド回転数を1250rpmとすることで、予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度を52℃と調整した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(比較例4)
固体発泡核剤を無添加とし、発泡剤としてイソプロピルクロリド40質量%と1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン60質量%の混合物2.2質量部、気体発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.20質量%とすることにより、フェノール樹脂発泡体の密度が60kg/m3となるように調整した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、予成形する際の混合機(ミキサー)のミキシングヘッドの回転数は実施例1と同じであり、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物の温度は67℃であった。
実施例1〜11および比較例1〜4で得られたフェノール樹脂発泡板の特性の評価結果を、表1にまとめた。
Figure 2019085522
表1より、実施例1〜11で得られたフェノール樹脂発泡板は、比較例1〜4で得られたフェノール樹脂発泡板と比較して、断熱性能が良好であり、さらには厚み方向上下表層部の耐集中荷重性能が良好であることがわかる。
1 立方体状試料
2 円柱状物(直径15mm、質量5kg)
3 ワイヤー
4 滑車
5 円柱状物位置調整ハンドル

Claims (4)

  1. 独立気泡率が85%以上、平均気泡径が70μm以上180μm以下のフェノール樹脂発泡板であって、厚み方向、該厚み方向に垂直な第1方向、ならびに、該厚み方向および該第1方向に垂直な第2方向に、各々、直径15mmかつ質量5kgの円柱状物による集中荷重を付与した際のへこみ量を、Dh、Dt、ならびに、Dmとしたとき、下記(1)〜(3)の関係式を満たすことを特徴とするフェノール樹脂発泡板。
    Dh<3.0mm (1)
    0.01≦Dh/Dt≦0.15 (2)
    0.01≦Dh/Dm≦0.15 (3)
  2. 塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンからなる群より選択される少なくとも一種を含有することを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡板。
  3. 前記塩素化ハイドロフルオロオレフィンおよび非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの発泡剤中の比率が30質量%以上である、請求項1又は請求項2に記載のフェノール樹脂発泡板。
  4. フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、固体発泡核剤、および有機酸を含有する酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程、前記下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ上面材上から予成形を行う工程、発泡および硬化反応により本成形を行う工程、最終成形した後にフェノール樹脂組成物中の水分を放散させる後硬化を行う工程を含み、フェノール樹脂の重量平均分子量が600以上3000以下であり、発泡性フェノール樹脂組成物は、固体発泡核剤を、フェノール樹脂および界面活性剤との合計100質量部に対して、5.0質量部以上10.0質量部以下の割合で含み、前記予成形する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度が45℃以上65℃以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡板の製造方法。
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