以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
(第1実施形態)
まず、本実施形態にかかるインク収容ボトルが適用され得る印刷システムの構成について説明する。
図1Aは、印刷システム1の構成を示す斜視図である。印刷システム1は、プリンター2と、カートリッジ50とを備える。印刷システム1では、プリンター2に設けられたホルダー3にカートリッジ50が装着された状態で、カートリッジ50は、プリンター2にインク(印刷材)を供給し、プリンター2は、カートリッジ50から供給されるインクを用いて印刷を実行する。
プリンター2のホルダー3は、カートリッジ50を保持する保持装置である。ホルダー3には、カートリッジ50の挿入を受け入れる領域であるスロットSLが形成されている。本実施形態では、1つのスロットSLは、1つのカートリッジ50の挿入を受け入れ可能に構成されている。本実施形態では、ホルダー3には、1つのスロットSLに対して、1つの係合部31が設けられている。ホルダー3の係合部31は、スロットSLに挿入されたカートリッジ50に対して係合可能に構成されており、カートリッジ50がスロットSLから不用意に外れてしまうことを防止する。
本実施形態では、ホルダー3には、4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のインクに対応する4種類のカートリッジ50が1つずつ、すなわち4つのカートリッジ50が装着される。ホルダー3に装着可能なカートリッジ50の個数は、4つに限るものではなく、任意の個数に変更可能であり、4つより少なくてもよいし、4つより多くてもよい。カートリッジ50のインクは、4色に限るものではなく、4色未満であっても、5色以上であってもよく、他の色(例えば、ライトマゼンタ、ライトシアン等)のインクや、特殊光沢色(金属光沢、パールホワイト等)のインクであってもよい。また、各色ごとに1つずつ分離したカートリッジに限らず、複数色のインクを1つのカートリッジに内包するカートリッジでもよい。例えば、1色(ブラック)のインクを含むカートリッジと、3色(イエロー、マゼンタ、シアン)を内包するカートリッジと、を組み合わせてホルダー3に装着してもよい。他の実施形態では、ホルダー3は、同種類のインクに対応する2つ以上のカートリッジ50を装着可能であってもよい。また、同種類のインクのカートリッジ50を2つ以上装着する場合、カートリッジ50をX軸方向に配列するだけでなく、Z軸方向、Y軸方向等に複数の列を構成するようにしてもよい。ホルダー3の詳細構成については後述する。
印刷システム1のプリンター2は、インクを用いて印刷する印刷装置であり、本実施形態では、インクジェットプリンターである。プリンター2は、ホルダー3の他、制御部22と、キャリッジ25と、ヘッド26とを備える。プリンター2は、紙やラベルなどの印刷媒体Mに対してヘッド26からインクを吐出させることによって、文字、図形および画像などの情報を印刷媒体Mに印刷する。
プリンター2において、ホルダー3は、キャリッジ25とは異なる部位に設けられており、カートリッジ50が装着されたホルダー3から、フレキシブルチューブ39を介して、キャリッジ25に設けられたヘッド26に対して、インクが供給される。このように、ホルダー3がキャリッジ25とは異なる部位に設けられたプリンター2の機構は、オフキャリッジタイプとも呼ばれる。
プリンター2の制御部22は、プリンター2の各部を制御する。本実施形態では、制御部22は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を用いて形成された制御回路を有する。プリンター2のキャリッジ25は、ヘッド26を印刷媒体Mに対して相対的に移動可能に構成されている。プリンター2のヘッド26は、ホルダー3に装着されたカートリッジ50からインクの供給を受け、そのインクを印刷媒体Mに対して吐出する。本実施形態では、制御部22とキャリッジ25との間はフレキシブルケーブル(図示しない)を介して電気的に接続されており、ヘッド26は、制御部22からの制御信号に基づいてインクの吐出を実行する。
本実施形態では、キャリッジ25と印刷媒体Mとを相対的に移動させて印刷媒体Mに対する印刷を実現するために、プリンター2は、キャリッジ25を主走査方向Dmsに沿って往復移動可能に構成されると共に、印刷媒体Mを副走査方向Dssに沿って搬送可能に構成されている。本実施形態では、主走査方向Dmsおよび副走査方向Dssは、相互に直交すると共に、重力方向に対してそれぞれ直交する。プリンター2は、キャリッジ25の移動および印刷媒体Mの搬送を、制御部22による制御に基づいて実現する。
図1Aには、XYZ軸を図示した。図1AのXYZ軸は、他の図のXYZ軸に対応する。本実施形態では、印刷システム1の使用状態において、キャリッジ25を往復移動させる主走査方向Dmsに沿った軸をX軸とし、印刷媒体Mを搬送する副走査方向Dssに沿った軸をY軸とし、重力方向に沿った軸をZ軸とする。これらX軸、Y軸およびZ軸は、相互に直交する。印刷システム1の使用状態とは、水平な面に設置された印刷システム1の状態であり、本実施形態では、X軸およびY軸に平行なXY面は、水平面になる。
本実施形態では、ホルダー3に装着された複数のカートリッジ50の配列方向は、X軸に沿った方向である。他の実施形態では、複数のカートリッジ50の配列方向は、Y軸に沿った方向であってもよいし、Z軸に沿った方向であってもよいし、X軸、Y軸およびZ軸の少なくとも一つの軸に対して傾斜した方向であってもよい。
本実施形態では、印刷システム1の右側面から左側面に向かって+X軸方向とし、+X軸方向の反対方向を−X軸方向とする。本実施形態では、副走査方向に向かって+Y軸方向とし、+Y軸方向の反対方向を−Y軸方向とする。本実施形態では、重力とは反対側に向かう方向を+Z軸方向とし、重力が向かう重力方向を− Z軸方向とする。本実施形態では、+Y軸方向側が印刷システム1の正面となる。
印刷システム1のカートリッジ50は、プリンター2にインクを供給するインク供給装置であり、本実施形態では、インクを補充可能(リフィラブル(refillable))なインク供給装置である。図1Aに示すように、本実施形態では、カートリッジ50は、略L字状の外形をなし、略L字状の外形における長辺が−Y軸方向に向かい、略L字状の外形における短辺が− Z軸方向に向かう状態で、ホルダー3に装着される。
カートリッジ50は、ホルダー3に対して着脱可能に構成されている。図1Aには、4つのカートリッジ50のうち−X軸方向側のカートリッジ50がホルダー3から外れた状態を図示した。図1Bは、ホルダー3にカートリッジ50が装着された状態を示す斜視図である。図1Bには、4つのカートリッジ50の全てがホルダー3に装着された状態を図示した。
本実施形態では、印刷システム1のユーザーは、ホルダー3のスロットSLに対してカートリッジ50を−Y軸方向に移動させることによって、ホルダー3に対してカートリッジ50を装着することが可能である。本実施形態では、印刷システム1のユーザーは、係合部31によるカートリッジ50との係合を解除した状態(例えば、図1Bの−X軸方向側の係合部31の状態)で、カートリッジ50を+Y軸方向に移動させることによって、ホルダー3からカートリッジ50を取り外すことが可能である。
カートリッジ50は、筐体51と、スライダー(摺動部材)60と、回路部材58とを備える。カートリッジ50の筐体51は、図1Aに示すように、インクを収容するインク収容部61が内部に設けられた箱体である。
図1Cは、ホルダー3に装着されたカートリッジ50にインクを補充する様子を示す斜視図である。
カートリッジ50のインク収容部61にインクを補充する際には、ユーザーは、図1Cに示すように、スライダー60の蓋部62を開け、次ぎに、筐体51のインク注入口68から蓋体69を取り外す。その後、ユーザーは、補充用のインクを収容したインク収容容器としてのインク収容ボトル100を用意し、インク収容部61にインクが十分に満たされるまで、インク収容ボトル100の吐出口Sからカートリッジ50のインク注入口68にインクを注入する。その後、ユーザーは、インク注入口68を蓋体69で密閉し、蓋部62を閉じる。これによって、インクの補充が完了する。
なお、インク収容ボトル100の吐出口Sとインク注入口68とをフレキシブルチューブで接続し、インク収容ボトル100からフレキシブルチューブを介してインクをカートリッジ50に補給する形態もあり得る。
次に、インク収容ボトル100の構成について説明する。
図1Dから図1Jは、インク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図1D及び図1Eに示すように、インク収容ボトル100は、内部に液体(インク)を収容・貯留可能な容器本体102と、この容器本体102から突出した、液体の注出手段となるノズル110を備えている。容器本体102とノズル110とは連通しており、容器本体102に収容された液体がノズル110の先端部111の開口111aから、容器外部に注出・滴下されるようになっている。
ノズル110は、図1D及び図1Eに示すように、容器本体102とは別体に形成されており、容器本体102に形成されたノズル取付用の突出部分に挿入・嵌合されて容器本体102と一体となって、インク収容ボトル100を構成する。
具体的には、ノズル110は、例えば円筒形状に形成され、容器本体102の液体の貯留空間と連通するようになっている。そして、その筒状のノズル110の先端部111の開口111aを介して、容器本体102の内部から液体が注出・滴下される。
また、ノズル110を含む容器本体102には、後述するキャップ120が着脱可能に装着されるようになっており(図1Fから図1J参照)、キャップ120によって、ノズル110が覆われ、容器本体102の内部が密閉されるとともに、ノズル110の先端部111が保護されるようになっている。
具体的には、ノズル110が装着される容器本体102の突出部表面には、キャップ120の内面との間で互いに螺合する螺子構造が備えられ、容器本体102に対してキャップ120が螺合により着脱可能に装着され、キャップ120が装着された状態で容器本体102が密封されるようになっている。
また、本実施形態では、図1D及び図1Eに示すように、ノズル110の先端部111に連続する側面部112が、先端部111に向かって傾斜するテーパ形状に形成されており、この側面部112が、キャップ120の内面のライナー121に当接・押圧されて、容器本体102が密閉されるようになっている。
キャップ120の詳細については後述する。
ここで、容器本体102及びノズル110は、後述するキャップ120を含めて、所定のプラスチック材料により形成される。
容器本体102・ノズル110を形成するプラスチック材料としては、特に制限されず、公知の点眼用容器やプラスチックボトル等と同様、各種の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル樹脂で形成することができる。
特に、ノズル110については、先端部111の表面に凹凸面からなる粗面190を形成することから、粗面190の形態安定性、強度等の観点から、非フッ素系樹脂であるポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を採用することが好ましい。
このようなプラスチック樹脂材料を用いて、射出成形等の公知の技術を用いて、容器本体102及びノズル110を形成することができる。
なお、容器本体102とノズル110とは別体(別部品)として形成されることから、容器本体102を非プラスチック材料、例えばガラスや金属によって形成することもできる。また、容器本体102とノズル110とを、一体成形により一体的に構成することも可能である。
そして、本実施形態では、このようなノズル110の先端部111の表面を、所定の方法によりフッ素化・粗面化するようにしてある。
まず、非フッ素系樹脂よりなるプラスチック成形体で形成されるノズル110について、プラスチック成形体を構成する非フッ素系樹脂の分子鎖中に、フッ素原子が組み込まれるようにしてある。
さらに、そのようにフッ素化されるノズル110の先端部111は、必要に応じて表面を粗面化することができる。
このようにして、ノズル110の先端部111をフッ素化・粗面化することにより、ノズル110の撥液性を高めて、容器本体102から注出される液体がノズル110の先端部111に対して広範囲に濡れることを防ぎ、開口111aの内径を調整・設定することで、ノズル110から注出される液体の滴下量を任意に設定することができる。
以上のように撥液加工されるノズル110を含む容器本体102には、着脱可能にキャップ120が装着されるようになっており、キャップ120によって、ノズル110が覆われ、容器本体102の内部が密閉されるとともに、ノズル110の先端部111が保護されるようになっている。
図1F及び図1G、または、図1H、図1I及び図1Jに示すように、キャップ120は、ノズル110を含む容器本体102の突出部分を覆うように装着可能な有底筒状体によって構成されており、筒状体の内部底面には、ノズル110の側面部112に当接する密封用のライナー121が設けられている。このライナー121がノズル110の側面部112に当接・圧接されることで、ノズル110及び容器本体102が外部から遮蔽・密閉され、容器本体102内に貯留された液体が漏れ出すことが防止される。
また、キャップ120の内部側面には、ノズル110が装着される容器本体102の突出部表面と互いに螺合する螺子構造が備えられる。これによって、キャップ120は、容器本体102に螺合により着脱可能に装着され、キャップ120が装着された状態ではノズル110の側面部112にライナー121が密着して、容器内が密封されることになる。
ここで、キャップ120は、容器本体102・ノズル110と同様にプラスチック材料により形成される。キャップ120を形成するプラスチック材料としては、特に限定されず、上述した容器本体102・ノズル110と同様に、各種の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)に代表されるポリエステル樹脂で形成することができる。
また、キャップ120の内面に設けられるライナー121は、公知の弾性材料、例えばエチレン−プロピレン共重合体エラストマーやスチレン系エラストマーなどの熱可塑性エラストマーによって形成することができる。
さらに、キャップ120は、プラスチック材料以外にも、例えばガラスや金属製のキャップとすることもできる。また、キャップ120はヒンジ等を介して容器本体102と一体成形されていてもよい。
そして、本実施形態に係るキャップ120は、ノズル110の先端部111に接することなく、ノズル110を含む容器本体102の突出部分を覆うように構成されている。
これによって、上述の通りフッ素化・粗面化が施されるノズル110の先端部111にキャップ120が接触することなく、ノズル110をキャップ120で保護することができ、ノズル110の先端部111の撥液性能・撥液構造が損なわれることがない。
具体的には、本実施形態にノズル110は、図1D及び図1Eに示したように、先端部111に連続する側面部112が、先端部111に向かって先細りになるように傾斜するテーパ形状に形成されている。
そして、キャップ120の内面に備えられるライナー121は、図1Fから図1Jに示すように、ノズル110の側面部112のテーパ形状に対応したすり鉢形状に形成されている。このような構成により、キャップ120は、ライナー121がノズル110の側面部112に当接し、かつ、先端部111にはキャップ120のいずれの部分も接触しないようになる。
これによって、キャップ120は、ライナー121がノズル110の側面部112に当接・押圧されて容器本体102を密閉でき、かつ、ノズル110の先端部111の撥液構造自体は、いずれの部分にも接触せずに保護されるようになる。
ここで、図1F及び図1Gに示すキャップ120では、容器本体102に装着されてノズル110の側面部112にライナー121が当接した状態において、ノズル110の先端部111の開口111aは開いたままの状態である。この状態でも、ライナー121によって開口111aは外部から遮断・密閉されており、開口111aから液体がキャップ120の外部に漏れ出すことはない。
但し、この場合には、開口111aの内径を小さくすると圧力損失が増大するため、内容液の自重による吐出圧力程度では、開口111aからキャップ120のライナー121の内側面に液体が滲み出すことは起こり得ないが、何らかの外力により容器本体102が潰され、内圧が高まった際に、内容液が滲み出すことは起こり得る。
その場合、ノズル110の先端部111に滲出した液体が付着するため、本来の滴下動作を行う場合に、付着した液体が影響を及ぼすことが考えられる。
そこで、そのような開口111aからの液体の滲出を防止するように、キャップ120を構成することができる。
例えば、図1Hから図1Jに示すように、キャップ120内面に配設されるライナー121が、ノズル110の先端部111に連続する側面部112を押圧することにより、先端部111の開口111aを閉鎖するように構成することができる。
具体的には、図1Hから図1Jに示すキャップ120では、ノズル110の側面部112に当接するライナー121が、側面部112の先細りテーパ形状よりもきつい傾斜のすり鉢形状に形成されており、ライナー121に当接したノズル110の側面部112が、ノズル中心に向かって押圧されるようになっている。これによって、ノズル110は、プラスチック成形体が有する弾性により、ノズル中に向かって撓んで、開口111aが閉鎖・閉塞されるようになる。
これによって、キャップ120が装着された状態では、ノズル110の開口111aが閉じられた状態となり、開口111aから容器本体102内の液体が滲み出すことがなくなり、上述したような問題が解消されることになる。なお、キャップ120はヒンジ等を介して容器本体102と離脱しないように係合・連結されていてもよい。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル100におけるノズル110からのインクの滴下量の少量化を実現することにより、カートリッジ50へのインクの補給量を容易に調節することができる。また、液だれやノズル天面の液残りを防止でき、ノズル110の先端部111の汚染、ノズル110から容器本体102内への液戻りによる異物や微生物の混入などもなくなり、繰り返しの使用によっても滴下性能の劣化等の問題が生じることも有効に防止できる。
さらに、キャップ120によってノズル110の先端部111を、その機能が損なわれることのないように確実に保護することができ。
すなわち、扱いやすいインク収容ボトル100を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図2Aから図2Jはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
本実施形態のインク収容ボトル200は、図2Aに示すように、液状の内容物(インク)を収容可能な容器本体202と、容器本体202に装着されるキャップ203とを備える。
容器本体202は、液体(インク)を収容可能なボトル型の中空容器である。容器本体202は、図2A、図2B及び図2Cに示すように、略四角形状の底壁204と、底壁204の縁部から立ち上がる側壁205と、側壁205の先端から上方に向かって徐々に縮径するように延びる肩部206と、肩部206の中央の上端から突設された円筒状の突設筒部207と、突設筒部207に螺合装着されるノズル中栓208とから構成されている。
突設筒部207の外周面には、ネジ部207aが形成されている。容器本体202の上部には、突設筒部207にノズル中栓208が螺合装着されることで円筒状の口頸部209が形成される。
ノズル中栓208は、突設筒部207に螺合される円筒状の筒壁部210を有している。
筒壁部210は、内周面における下部にネジ部211aを設けた外筒壁211と、外筒壁211の内周側に接続壁212を介して下方に延設された内筒壁213とを有している。
内筒壁213は、外筒壁211の下端より若干下方まで達するように外筒壁211と平行に延出されている。内筒壁213の下端には傾斜面216aを有する底壁部216が設けられており、底壁部216には注出口216bが偏在して形成されている。すなわち、口頸部209の内側に注出口216bが偏在して形成されている。底壁部216における注出口216bの周縁部には注出筒217が立設されている。
底壁部216において注出口216bが偏在しているため、注出口216bの周りに立設された注出筒217も内筒壁213内で偏在している。注出筒217には、その側壁の中心軸線C1側に縦方向にスリット状の開口部217bが形成されている。さらに注出筒217は、上端部が中心軸線C1に向かって低くなるように傾斜した面217aが形成されるように斜め方向に切除されている。
ノズル中栓208は、内筒壁213が突設筒部207の内側に挿入され、外筒壁211のネジ部211aが容器本体202の突設筒部207のネジ部207aに螺合されることで、容器本体202の突設筒部207に着脱自在に装着されている。
また、ノズル中栓208には、外筒壁211と内筒壁213との間の接続壁212の下面から垂下された筒状のシールリップ部215が形成されている。これにより、ノズル中栓208を容器本体202の突設筒部207に螺合により装着した状態において、シールリップ部215が突設筒部207の開口部に密に挿入されることで、突設筒部207の開口部が液密に閉塞される。
この例では、図2Bから図2Eに示すように、外筒壁211の外周面には、外筒壁211の軸線回りに180゜間隔で、すなわち外筒壁211の軸線回りの対称位置(周方向対称位置)にそれぞれ、正面視形状が円形状の凹部218,219が形成されている。凹部219は、正面視において凹部218の右側で、かつ凹部218よりも上側に形成されている。凹部218,219は、後述する突起部228,229に対応するように設けられている。
凹部218の正面視形状は、この例では円形状であるが、三角形状、矩形状等であってもよい。
凹部218の正面視での大きさ及び深さは、後述する突起部228が凹部218に嵌まり込むことで、装着したキャップ203が予期せず外れることを抑制でき、かつキャップ203を回動させることで突起部228が凹部218から外れてキャップ203を取り外すことができるように適宜設定すればよい。例えば、この例では、凹部218の正面視での直径を1.0〜3.0mm、深さを1.0〜2.0mmとすることができる。
凹部219の正面視形状、正面視での大きさ、及び深さについては、凹部218の正面視形状、正面視での大きさ、及び深さと同じである。凹部219の正面視形状と凹部218の正面視形状とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。凹部218の正面視での大きさと凹部219の正面視での大きさとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。凹部218の深さと凹部219の深さとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
外筒壁211の外周面には、凹部218から口頸部209の上端まで延びる縦溝部220と、凹部219から口頸部209の上端まで延びる縦溝部221が形成されている。
縦溝部220は、凹部218から口頸部209の上端まで直線的に、かつ凹部218から口頸部209の上端まで幅が同じになるように形成されている。縦溝部220の深さは、凹部218の深さよりも浅くなっており、後述する突起部228が凹部218に嵌まり込んだときに、突起部228が予期せず上方に外れないようになっている。
縦溝部220の深さは、凹部218側の端から口頸部209の上端まで一定になっている。
縦溝部221は、縦溝部220と同様に、凹部219から口頸部209の上端まで直線的に、かつ幅が同じになるように形成されている。縦溝部221の深さは、凹部219の深さよりも浅くなっており、後述する突起部229が凹部219に嵌まり込んだときに、突起部229が予期せず上方に外れないようになっている。
縦溝部221の深さは、凹部219側の端から口頸部209の上端まで一定になっている。
キャップ203は、図2Fから図2Hに示すように、円筒状の計量筒部222と、計量筒部222の一側開口端を閉じる蓋部223と、計量筒部222の周面から外方に張り出した平面視円環状の張出板部224と、張出板部224の外縁部から垂下された外壁部225と、を備えている。このように、キャップ203は、有蓋円筒形状で、高さ方向の中央に外方に張り出す張出板部224を有している。張出板部224の外壁部225より外側には、張出板部224の外縁部から外側に突出した突出部が形成されていてもよい。
また、張出板部224の内周縁部には、下方に突出するリング部226が形成されている。
キャップ203は、口頸部209に装着した状態で口頸部209の軸周りに回動できるようになっている。
計量筒部222は、注出筒217を囲むように、その下端側の一部がノズル中栓208の筒壁部210に挿入される。
計量筒部222の周壁における2つの長片部225aの間の部分には、図2Hに示すように、計量用の目盛線と容量表示用の数字を備えた目盛部227が印刷、刻印等の手段により形成されている。これにより、キャップ203を倒立させた状態で、計量筒部222の開口部222aから注入された液体等の内容物の量を把握することができる。このように、キャップ203は、いわゆる計量キャップである。
張出板部224は、キャップ203がノズル中栓208に装着される際に、口頸部209におけるノズル中栓208の筒壁部210上端の開口部に被せられる。
外壁部225は、2つの長片部225aと、2つの短片部225bと、を備えている。
長片部225aは、下端に向かって幅が狭くなっている正面視舌型の薄型片からなり、その下端部は正面視曲線状になっている。
長片部225aは、張出板部224の軸線回りに180゜間隔で、すなわちキャップ203が口頸部209に装着されたときに中心軸線C1に対して対称位置となるように2つ形成されている。2つの長片部225aは、キャップ203の装着時に、筒壁部210の外周面における軸線回りの対称位置にそれぞれ設けられた凹部218及び凹部219が存在する部分に沿わせられる。
短片部225bは、正面視において上下方向の長さに比べて軸線回りの長さが長い矩形状の薄型片である。
短片部225bは、2つの長片部225aの間に、張出板部224の軸線回りに180゜間隔で、すなわちキャップ203が口頸部209に装着されたときに中心軸線C1に対して対称位置となるように2つ形成されている。2つの短片部225bはいずれも、一方の長片部225aから他方の長片部225aまで形成されている。つまり、2つの長片部225aと2つの短片部225bは周方向に一体に形成されている。
キャップ203の装着時には、短片部225bはノズル中栓208の筒壁部210の外周面における上端側部分に沿わせられる。
短片部225bの下端は、長片部225aの下端よりも張出板部224寄りに位置している。すなわち、短片部225bの上下方向の長さは、長片部225aの上下方向の長さよりも短くなっている。これにより、キャップ203を倒立させた状態で内容物の計量を行う際に目盛部227が視認しやすくなっている。
短片部225bの上下方向の長さは、3〜10mmが好ましく、5〜7mmがより好ましい。短片部225bの上下方向の長さが下限値以上であれば、口頸部209にキャップ203を装着したときに内容物が漏れることを抑制しやすい。短片部225bの上下方向の長さが上限値以下であれば、内容物の計量時における目盛部227の視認性がより良好になる。
外壁部225における長片部225aの内面には、2つの突起部228,229が設けられている。突起部229は、外壁部225を外面側から見た正面視において突起部228の右側で、かつ突起部228よりも上側に形成されている。突起部228と突起部229との位置関係は、凹部218と凹部219との位置関係と同じになっている。そして、キャップ203を装着したときには、突起部228が凹部218に嵌まり込み、突起部229が凹部219に嵌まり込むようになっている。
キャップ203を装着したときに突起部228と凹部218が嵌合し、突起部229と凹部219が嵌合することで、キャップ203を口頸部209にしっかりと取り付けることができ、装着されたキャップ203が予期せず外れることが抑制される。
突起部228の正面視形状は、突起部228を凹部218内に嵌め込むことができる形状であればよく、キャップ203を口頸部209によりしっかりと装着できることから、凹部218の正面視形状と同じであることが好ましい。この例の突起部228の正面視形状は円形状である。なお、突起部228の正面視形状は、三角形状、矩形状等であってもよい。
突起部228の正面視での大きさは、凹部218の正面視での大きさよりもわずかに小さく、凹部218内に突起部228が嵌まり込むになっている。凹部218と突起部228の正面視での大きさは、突起部228と凹部218とが嵌合することで、装着したキャップ203が予期せず外れることを抑制でき、かつキャップ203を回動させたときに突起部228が凹部から外れるように適宜設定すればよい。
長片部225aの内面からの突起部228の高さは、凹部218内に突起部228が嵌まり込む高さであればよく、例えば、凹部218の深さと同等とすることができる。
突起部229の正面視形状、正面視での形状大きさ、及び高さについては、突起部228の正面視形状、正面視での形状大きさ、及び高さと同じである。突起部228の正面視形状と突起部229の正面視形状とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。突起部228の大きさと突起部229の大きさとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。突起部228の高さと突起部229の高さとは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
容器本体202の底壁204、側壁205、肩部206及び突設筒部207の製造方法としては、例えばポリエチレン等のオレフィン系合成樹脂を用いたブロー成型等により一体として成型する方法が挙げられる。容器本体202のノズル中栓208の製造方法としては、例えばポリプロピレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成型により一体として成型する方法が挙げられる。
キャップ203の製造方法としては、例えばポリエチレン等のオレフィン系合成樹脂を用いた射出成型により一体として成型する方法が挙げられる。
なお、容器本体202及びキャップ203の製造方法は、前記した方法には限定されない。
以下、インク収容ボトル200におけるキャップ203の取り外し操作、計量操作及び取り付け操作について説明する。
使用前のインク収容ボトル200においては、図2Cに示すように、容器本体202内に内容物が収容された状態で、注出筒217を上向きとしてノズル中栓208の内筒壁213が突設筒部207に装着される。突設筒部207の開口部は、ノズル中栓208のシールリップ部215によって液密に閉塞されるため、突設筒部207のネジ部207aとノズル中栓208のネジ部211aの螺合部分を介する液漏れが防止される。
口頸部209のノズル中栓208にキャップ203が装着された状態においては、図2A及び図2Bに示すように、キャップ203における外壁部225の2つの長片部225aが、筒壁部210の外周面における凹部218,219が形成された部分に沿わせられている。この状態では、口頸部209の外周面に形成された凹部218に突起部228が嵌まり込み、凹部219に突起部229が嵌まり込んでいる。これにより、口頸部209に装着されたキャップ203が予期せず外れることが抑制されている。また、キャップ203が装着された状態では、リング部226と、外壁部225における長片部225a及び短片部225bとで、口頸部209における外筒壁211の上端部分が挟み込まれるようになっている。これにより、キャップ203が装着された状態において、内容物が漏れることが抑制されている。
使用時には、図2Iに示すように、装着されたキャップ203の上部を指で摘み、キャップ203を平面視で軸線回りに反時計回り(左回り)に回動させて、突起部228,229を凹部218,219から外し、そのまま上昇させることでキャップ203を取り外すことができる。この図の例では、正面視において周方向に並んで形成された突起部228及び凹部218と、突起部229及び凹部219とが、上下方向にずれている。これにより、キャップ203を反時計回りに回動させて突起部228が凹部218から外れた際に、突起部228が凹部219や縦溝部221に嵌まり込みにくい。そのため、キャップ203を反時計回りに回動させることでスムーズにキャップ203を取り外すことができる。
その後、図2Hに示すようにキャップ203を倒立させ、ノズル中栓208の注出筒217の先端を下向きとするように容器本体202を傾けて、容器本体202内の内容物を注出口216bから注出筒217を通じて計量筒部222に注入する。キャップ203の計量筒部222への内容物の注入量は、目盛部227により把握することができる。計量操作を行う際のキャップ203では、外壁部225の短片部225bの上下方向の長さが短いため、長片部225a,225aの間から目盛部227が視認しやすく、計量筒部222に収容した内容物の量を正確に把握することができる。
そして、計量筒部222に収容した内容物(インク)をカートリッジ50に補給することができる。すなわち、カートリッジ50に補給すべき所望のインク量を確実に補給することができる。
なお、カートリッジ50に対して、計量筒部222を介してインクを補給する他、注出筒217から直接カートリッジ50にインクを補給することができる。
内容物(インク)の補給処理が終了した後は、図2Jに示すように、筒壁部210の外周面における縦溝部220,221に、長片部225aに設けられた突起部228,229を合わせ、計量筒部222をノズル中栓208の筒壁部210に挿入する。このとき、突起部228,229がそれぞれ縦溝部220,221に沿って凹部218,219まで下降して嵌まり込むことで、キャップ203がしっかりと装着される。これにより、インクがキャップ203内に広がり難くなり、インク汚れ等を防止することができる。
インク収容ボトル200においては、外壁部225の内面に設けた突起部228,229を、口頸部209の外周面に設けた凹部218,219に嵌め込むことで、キャップ203を口頸部209にしっかりと取り付けることができる。また、キャップ203を回動させて突起部228,229と凹部218,219の嵌合を解除することで、キャップ203を何周も回動させなくても簡便に取り外すことができる。このように、容器本体202に対してキャップ203の開閉操作が簡便である。これにより、扱いやすいインク収容ボトル200を提供することができる。
図2Kは、他のインク収容ボトル200aの構成を示している。なお、図2Kにおける図2Jと同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。インク収容ボトル200aは、縦溝部220,221の代わりに、縦溝部220A,221Aを備える以外は、インク収容ボトル200と同じである。
縦溝部220Aは、凹部218から口頸部209の上端まで延びる直線部分230と、正面視で凹部218から右上方向に跳ね上がるように形成された解除誘導部分231とを備える。縦溝部220Aの直線部分230の深さは、縦溝部220と同様に凹部218の深さよりも浅くなっている。
解除誘導部分231の正面視形状は、凹部218側の端から先端に向かって徐々に幅が狭くなっている。また、解除誘導部分231の深さは、凹部218側の端から先端に向かって徐々に浅くなっている。
縦溝部220Aが解除誘導部分231を備えていることで、解除誘導部分231を備えない縦溝部220の場合に比べて、正面視での凹部218の右縁部分の段差が小さくなる。そのため、キャップ203が装着されて凹部218に突起部228が嵌まり込んだ状態で、キャップ203を平面視で反時計回りに回動させたときに、突起部228が凹部218から解除誘導部分231側に外れやすくなる。また、正面視で上方に跳ね上がるように形成された解除誘導部分231に沿って突起部228が動くことで、キャップ203に対してキャップ203を持ち上げる力が働くため、キャップ203の取り外しがより容易になる。
縦溝部221Aは、縦溝部220Aと同様に、凹部219から口頸部209の上端まで延びる直線部分232と、正面視で凹部219から右上方向に跳ね上がるように形成された解除誘導部分233とを備える。
解除誘導部分233の正面視形状は、凹部219側の端から先端に向かって徐々に幅が狭くなっている。また、解除誘導部分233の深さは、凹部219側の端から先端に向かって徐々に浅くなっている。
縦溝部221Aが解除誘導部分233を備えていることで、縦溝部220Aと同様に、突起部229が凹部219から解除誘導部分233側に外れやすくなる。また、正面視で上方に跳ね上がるように形成された解除誘導部分233に沿って突起部229が動くことで、キャップ203に対してキャップ203を持ち上げる力が働くため、キャップ203の取り外しがより容易になる。
以上、インク収容ボトル200aにおいても、外壁部225の内面に設けた突起部228,229を、口頸部209の外周面に設けた凹部218,219に嵌め込むことで、キャップ203を口頸部209にしっかりと取り付けることができ、またキャップ203を取り外す操作も簡便である。
なお、インク収容ボトル200,200aにおける縦溝部は、凹部から口頸部の上端まで幅が同じであるものには限定されない。例えば、図2Lに示すように、縦溝部220,221の代わりに、凹部218,219から口頸部を形成する外筒壁211の上端まで延び、かつ外筒壁211の上端側の部分が上方に向かって拡径した縦溝部234,235が形成された容器であってもよい。図2Lにおける図2Dと同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。該インク収容ボトル200,200aでは、上端側部分の幅が拡径していない縦溝部を備える容器に比べて、口頸部へのキャップの装着時において、外壁部の内面に設けられた突起部の縦溝部への位置合わせが容易なため、突起部を凹部に嵌め込むことがより容易である。
溝部として縦溝部を形成する場合、縦溝部の態様は、凹部側の端から口頸部の上端まで深さが一定になっている態様には限定されない。例えば、図2Mに示すように、縦溝部220において、凹部218側の部分の深さが、凹部218に向かうにつれて浅くなっている縦溝部220Bであってもよい。同様に、縦溝部221において、凹部219側の部分の深さが、凹部219に向かうにつれて浅くなっている縦溝部221Bであってもよい。図2Mにおける図2Cと同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。
縦溝部220B,221Bを備える容器においては、インク収容ボトル200の場合に比べて、正面視で凹部218における上縁部分の段差が高くなるため、凹部218に嵌まり込んだ突起部228が上方に抜けにくくなる。同様に、凹部219における上縁部分の段差が高くなるため、凹部219に嵌まり込んだ突起部229が上方に抜けにくくなる。そのため、装着したキャップ203が予期せず上方に抜けることが抑制されやすくなる。
また、インク収容ボトル200,200aにおける突起部の数は、二対からなる合計4つであったが、これには限定されず、3つ以下であってもよく、5つ以上であってもよい。
口頸部の外周面に設けられる凹部の数は、外壁部に設ける突起部の数に応じて決定すればよい。本発明では、口頸部の外周面に設けられる凹部の数が、キャップの外壁部に設けられる突起部の数よりも多くなっていてもよい。
また、口頸部の外周面に溝部を形成する場合、溝部として、口頸部の周方向に延びる横溝部を形成してもよい。具体的には、図2Nに示すように、口頸部209の外周面に、周方向に全周にわたって横溝部238が形成され、横溝部238内に横溝部238よりも深さが深い凹部239が形成されている容器であってもよい。図2Nにおける図2Jと同じ部分は、同符号を付して説明を省略する。また、キャップを上方から口頸部209に被せる際に、外壁部225の内面に設けられた突起部240がどの位置であっても、突起部240が横溝部238に嵌まる。そして、その状態でキャップ203を回動させることで、横溝部238によって突起部240を凹部239まで誘導して嵌め込むことができる。このように、キャップの装着時に突起部の位置合わせの必要がないため、キャップの装着がより容易である。
また、インク収容ボトル200,200aは、口頸部の外周面に溝部が形成されていない容器であってもよい。
また、インク収容ボトル200,200aは、外壁部における長片部及び短片部の数は2つには限定されず、例えば、長片部及び短片部がそれぞれ3つずつ等間隔に設けられた容器であってもよく、長片部及び短片部がそれぞれ4つずつ等間隔に設けられた容器であってもよい。
また、インク収容ボトル200,200aは、キャップの外壁部が長片部を備える場合、該長片部の正面視形状は舌型には限定されず、例えば、矩形状、半円状等であってもよい。
また、インク収容ボトル200,200aにおけるキャップは、長片部及び短片部を備える外壁部を備えるものには限定されない。
また、図2Pに示すインク収容ボトル200bであってもよい。図2Pにおける図2Bと同じ部分は同符号を付して説明を省略する。インク収容ボトル200bは、キャップ203の代わりにキャップ203Aを備える以外は、インク収容ボトル200と同じである。
キャップ203Aは、長片部225a及び短片部225bを備える外壁部225の代わりに、張出板部224の外縁部の全周から垂下された円筒状の外壁部225Aを備える以外は、キャップ203と同じである。
インク収容ボトル200bにおいても、インク収容ボトル200と同様に、凹部218,219に突起部228,229を嵌め込むことでキャップ203Aをしっかりと口頸部209に装着でき、キャップ203Aを回動させることで口頸部209から容易にキャップ203Aを取り外すことができる。
インク収容ボトル200bのような、筒状の外壁部を備えるキャップを備えるボトルは、計量筒部を有さず、外壁部よりも外側から目盛部を視認する必要がない場合等に有用である。計量筒部を備える計量キャップを備える容器の場合は、目盛部の視認性の点から、インク収容ボトル200等のように長片部と短片部からなる外壁部を有する計量キャップを備える容器が好ましい。
また、インク収容ボトルは、計量機能を有しないキャップを備えるものであってもよい。
また、インク収容ボトルは、ノズル中栓を有しない容器であってもよい。
また、インク収容ボトルにおいては、口頸部は円筒状には限定されない。例えば、軸方向に対して垂直方向に切断した断面形状が、円における一部が切り欠かれた形状や楕円状等の口頸部を備える容器であってもよい。
具体的には、例えば、図2Qに例示したインク収容ボトル200cであってもよい。図2Qにおける図2Aと同じ部分には同符号を付して説明を省略する。インク収容ボトル200cは、口頸部209の代わりに口頸部209Aを備える以外はインク収容ボトル200と同じである。口頸部209Aは、突設筒部とノズル中栓が一体に形成され、かつ軸方向に対して垂直方向に切断した断面形状が、円形における両方の側面側(対向する凹部218,219の間)で切り欠かれた形状である以外は、口頸部209と同じである。
インク収容ボトル200cにおいても、凹部218,219に突起部228,229を嵌め込むことでキャップ203をしっかりと口頸部209Aに装着でき、キャップ203を回動させることで口頸部209Aから容易にキャップ203を取り外すことができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図3Aから図3Dはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図3Aに示すように、インク収容ボトル300は口栓301を有している。当該口栓301は、合成樹脂からなる収容部320に取り付けられている。
口栓301には、円筒状の側壁部311の内面に雌螺子318を設け、収容部320の口頚部321の外面に雄螺子322を設け、雌螺子318と雄螺子322を螺合させて取り付けている。
口栓301の側壁部311の上端には、先端部分が略半球状の外形のゴムからなる注出部材312が突き出している。そして、注出部材312の先端部に注出口313(吐出口S)が線状の一本の切込みで設けられている。
口栓301の上部を、図3Cの上部縦断面に示す。側壁部311の上端には、内側にリング状に延びた上部係止部314が形成されている。注出部材312は、先端部分が略半球状の外形で、膜状のゴムでできている。注出部材312の下端には、外側にリング状に延びた注出部係止部315が設けられている。注出部材312は側壁部311の下端から差し込まれ、注出部係止部315が上部係止部314に接するまで挿入されている。
そして、側壁部311の内面で、注出部係止部315より下に設けられたリング状の係止用溝316に、係止リング317を嵌合させて、注出部材312を係止している。注出部材312は膜状のゴムで出来ているが、その先端部に設けられた注出口313の部分では、内側が半球状に窪んでいて肉厚が薄くなっている。
このようになっているので、収容部320を押して内圧を高めると、注出部材312の先端部が容易に外に膨らみ、切込みで設けた注出口313が開く、また、押すのを止めると、注出口313の周囲の外側の部分の肉厚が厚くなっているので、戻る力が強く容易に元に戻り、切込みで設けた注出口313も元のように閉じる。
口栓301では、先端部に設けられた注出口313の部分の周囲を、内側が半球状に窪むようにして肉厚を薄くしているが、図3Dの口栓301aのように、注出部材312aの外側より、中央の注出口313に向かって、徐々に肉厚が薄くなるようにしても良い。
口栓301の注出部材312はゴムで出来ている。ゴムには天然ゴムと合成ゴムがあるが、品質の安定性の点から合成ゴムを用いることが好ましい。合成ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどがある。
合成ゴムの中ではフッ素ゴムやシリコーンゴムが特に好ましい。コスト的に考えるとシリコーンゴムが更に好ましい。
シリコーンゴムによる注出部材312の成型は、特に限定されないが、射出成型、プレス成形、トランスファー成型が好ましく用いられる。また、成型されたシリコーンゴムの硬度(JIS K6249)は、好ましくは40〜70度で、更に好ましくは50〜60度である。また、伸度(JIS K7127)は、好ましくは300〜800%であり、更に好ましくは400〜700%である。
注出口313の線状の切込みの長さは、注出部材312の注出口313の設けられた部分の肉厚の1〜3倍であることが好ましい。この範囲であれば、容器本体を押圧したときに、注出口313の開きが悪く、内容物が注ぎ出しにくかったり、また、押圧を止めたときに、注出口313が閉じなかったりする恐れがない。
注出口313の線状の切込みの形状は、一本の切込み以外に十字の切込みであってもよい。この場合も、縦横の十字の切込みの長さは、注出部材312の注出口313の設けられた部分の肉厚の1〜3倍であることが好ましい。
注出部材312の注出口313の設けられた部分の肉厚は、1〜3mmが好ましい。注出部材312の外側部分の肉厚は、3〜5mmが好ましい。このようにすることによって、安定して、収容部320を押圧したり、押圧を止めたりして、注出口313を開いたり閉じたりすることができる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル300の口栓301,301aは、簡単な構造で、キャップを外したり、嵌めたりせずに、収容部320に収容された内容物(インク)をカートリッジ50に対して注ぎ出すことができ、また、再封することができる。すなわち、扱いやすいインク収容ボトル300を提供することができる。
また、カートリッジ50に対して、収容部320を圧搾しながらインクを注出することもできる他、カートリッジ50と口栓301,301aの注出口313とをフレキシブルチューブで接続した状態でもインクを補給することができる。
また、カートリッジ50のインク注入口68の形態が凸状の針部であっても、当該針部を注出口313に挿入することで、容易にインクを補給することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図4Aから図4Eはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合には、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
また、本実施形態では、カートリッジ50とフレキシブルチューブを介してインクを補給する形態について説明する。
図4A、図4B及び図4Cに示すように、インク収容ボトル400は、ペットボトルPと、キャップ401とを備えている。当該キャップ401は、可撓性を有すると共に弾性力を有する合成樹脂で成形され、正面視円形状に形成されるキャップ本体410を備えている。このキャップ本体410は、図4Cに示すように、下面410aが開放され、上面410bが閉止された円筒状に形成されている。そして、このように形成されるキャップ本体410の上面410b中央部には、軸線O方向に沿うように、上面410bから下面410aに向ってほぼ円形状の開口部410cが貫通して設けられている。この開口部410cは、下方向に向って漸次径小となる下窄まり状に形成され、その開口部410cの下部には、支持部410dが設けられている。なお、本実施形態において、開口部410cは、下方向に向って漸次径小となる下窄まり状に形成されているが、それに限らず、同一径にしても良い。
支持部410dは、図4Cに示すように、基端部がキャップ本体410の上面410b側の壁面に連設し、先端部が軸線O方向に向って下り傾斜状にキャップ本体410の壁面(すなわち、開口部410cの下部に位置する壁面)より突出するように設けられている。そして、この支持部410dの先端部には、隙間Sが形成され、この隙間Sを介して、開口部410cの空間K1とキャップ本体410の下面410a側に位置する空間K2とが連通するようになっている。これにより、フレキシブルチューブKa(図4D参照)が、開口部410cの空間K1内に挿入されると、フレキシブルチューブKaが隙間Sを介して、キャップ本体410の下面410a側に位置する空間K2内に挿入されることとなる。なお、支持部410dの先端部に形成されている隙間Sは、本実施形態にフレキシブルチューブKaの太さ(径)よりも径小となっており、その隙間S内のフレキシブルチューブKaが挿入されると、支持部410dが可撓性を有すると共に弾性力を有する合成樹脂で成形されていることから、支持部410dが弾性変形し、もって、隙間Sの径が拡径することとなる。一方、支持部410dよりフレキシブルチューブKaが抜出されると、弾発力によって支持部410dが元の位置に戻ろうとし、もって、隙間Sの径が縮径、すなわち、元の径に戻ることとなる。
他方、キャップ本体410の左右内周壁面には、図4Cに示すように、周方向に沿って、図4Aに示すペットボトルPの口部Paに刻設されている雄ねじ部Pa1に螺合する雌ねじ部410eが刻設されている。そして、キャップ本体410の上部内壁面には、図4Aに示すペットボトルPの口部Paの内周壁面に係合可能な係合部410fが、周方向に沿って、突設されている。
かくして、このように形成されるキャップ401は、以下のように使用される。
まず、一般に市販されているペットボトルPにインクWを収容させる。次いで、図4Aに示すように、キャップ401を矢印Y1方向に移動させ、インクWが収容されているペットボトルPの口部Paに刻設されている雄ねじ部Pa1にキャップ本体410の雌ねじ部410eを螺合させる。これにより、図4D及び図4Eに示すように、キャップ本体410によって、ペットボトルPの口部Paが液密的に封止されることとなる。この際、キャップ本体410の上部内壁面に突設されている係合部410fが、ペットボトルPの口部Paの内周壁面に係合されることとなるから、ペットボトルPの口部Paが液密的により封止させることとなり、もって、ペットボトルPの口部Paからの液漏れをより低減させることができる。
次いで、この状態で、図4Dに示すように、開口部410cの空間K1内にフレキシブルチューブKaを挿入し、さらに、矢印Y2方向に向って、そのフレキシブルチューブKaを移動させると、隙間Sを通って空間K2内にフレキシブルチューブKaが挿入されることとなる。この際、支持部410dが可撓性を有すると共に弾性力を有する合成樹脂で成形されていることから、破線位置から実線位置に支持部410dが弾性変形し、もって、隙間Sの径が拡径することとなる。これにより、図4Eに示すように、フレキシブルチューブKaをペットボトルP内に挿入することができ、もって、ペットボトルPに収容されているインクWにフレキシブルチューブKaを浸漬させることができる。この点、より詳しく説明すると、支持部410dの先端部が軸線O方向に向って下り傾斜状にキャップ本体410の壁面(すなわち、開口部410cの下部に位置する壁面)より突出して設けられているから、その突出している部分が弾性変形し、もって、隙間Sの径がフレキシブルチューブKaの太さ(径)に適合した径に拡径することとなる。これにより、フレキシブルチューブKaをペットボトルP内に挿入することができ、もってペットボトルPに収容されているインクWにフレキシブルチューブKaを浸漬させることができる。そして、この際、隙間Sの径がフレキシブルチューブKaの太さ(径)に適合した径に拡径しているから、支持部410dの先端部がフレキシブルチューブKaに密接することとなる。これにより、図4Eに示すように、フレキシブルチューブKaが支持部410dの先端部にて支持され、ペットボトルPが倒れたとしても、開口部410cより生じる液漏れを低減させることができる。しかして、このように、支持部410dを軸線O方向に向って下り傾斜状にキャップ本体410の壁面(すなわち、開口部410cの下部に位置する壁面)より突出して設けておけば、その突出部分がフレキシブルチューブKaの太さ(径)に応じて弾性変形し、もって、フレキシブルチューブKaに密接することとなるから、様々なフレキシブルチューブKaの太さ(径)に対応することが可能となる。
かくして、このようにすれば、図4Dに示すように、ペットボトルPに収容されているインクWにフレキシブルチューブKaを浸漬させた状態で、カートリッジ50に対してインクWを補給することができる。なお、開口部410cよりフレキシブルチューブKaを抜出すると、支持部410dが弾発力によって元の位置に戻ろうとし、もって、隙間Sの径が縮径、すなわち、元の径(図4Dに示す実線位置から破線位置)に戻ることとなる。
しかして、以上説明した本実施形態によれば、ペットボトルPの口部Paをキャップ本体410によって液密的に封止し、インク漏れが生じ難いようにしている。そして、キャップ本体410にフレキシブルチューブKaを挿入可能な開口部410cが形成されていることから、その開口部410cにフレキシブルチューブKaを挿入するだけで良いため、作業性が格段に向上することとなる。そしてさらには、支持部410dの先端部が軸線O方向に向って下り傾斜状にキャップ本体410の壁面(すなわち、開口部410cの下部に位置する壁面)より突出して設けられているから、その突出している部分が弾性変形し、もって、隙間Sの径がフレキシブルチューブKaの太さ(径)に適合した径に拡径することとなる。これにより、その突出している部分がフレキシブルチューブKaの太さ(径)に応じて、弾性変形し、フレキシブルチューブKaに密接することとなるから、様々なフレキシブルチューブKaの太さ(径)に対応することができ、もって、ペットボトルPが倒れたとしても、開口部410cより生じる液漏れを低減させることができることとなる。
また、本実施形態によれば、インクWが収容されている一般に市販されているペットボトルPの口部Paにキャップ401を螺合させ、キャップ本体410の開口部410cにフレキシブルチューブKaを挿入させるだけで、液漏れし難い状態でフレキシブルチューブKaを保持することができる。これにより、フレキシブルチューブKaを挿入する際の作業性を向上させることができると共に、一般に市販されているペットボトルPを用いて手軽にインク収容ボトル400を提供することができる。
ところで、本実施形態においては、支持部410dが軸線O方向に向って下り傾斜状にキャップ本体410の壁面(すなわち、開口部410cの下部に位置する壁面)より突出している例を示したが、それに限らず、上り傾斜状でも、傾斜させずに水平状にしても良い。しかしながら、支持部410dは、下り傾斜状に形成した方が好ましい。フレキシブルチューブKaを安定して支持することができるためである。
また、本実施形態において示したキャップ本体410の形状はあくまで例示であり、この形状に限定されるものではない。例えば、ダイヤモンド形状でも三角錐状でも良く、ペットボトルPの口部Paの雄ねじ部Pa1に螺合さえできれば、どのような形状でも良い。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図5Aから図5Bはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図5A及び図5Bに示すように、インク収容ボトル500は、容器本体510(二点鎖線で口部周辺を図視)にノズルキャップ512をネジ込みで取り付け、ノズルキャップ512に計量キャップ514が着脱自在にネジ嵌合している。容器本体510内には、液体(インク)が収容されており、計量キャップ514で液体を計量して所望量の液体をカートリッジ50に補給することができる構造になっている。各部は樹脂成形によって製造され、容器本体510はブロー成形によって、また、ノズルキャップ512と計量キャップ514は射出成型によって製造される。
前記インク収容ボトル500では、先方に開口512aが形成され、その開口内部から先方に向けてノズル512bを突出形成されたノズルキャップ512を容器本体510の口部に嵌合し、そのノズルキャップ512に計量キャップ514をネジ込んで嵌合し、ノズルキャップ512と計量キャップ514の嵌合部516が容器本体510の内側に位置する計量容器である。
ノズル512bは注ぎ易いように、ノズル512b先端を斜めにカットした形状とし、ノズル512bの側壁にスリットを形成し、容器本体510内の空気置換のためにノズル512b基部付近の底部に置換孔を形成したり等、種々の構造をとり得る。なお、ノズルキャップ512には、容器本体510の口部との気密性を確保するインナーリング512dが下方に向けて突出形成される。
計量キャップ514は、図5Aで上側の底部が閉塞し下側が開口するカップ状の内筒部518と、その内筒部518の周囲に間隔を置いて外筒部(外壁としてもよい)520を設けたものである。
内筒部518はその内面に計量用の目盛りが形成されている。また、外筒部520は、図5A及び図5Bに示すように、内筒部518の軸方向(符号Lで示す)の中央部の外周付近から外径方向に棚状部分520aにやや広がって椀状になり、その外端部から内筒部518の開口部に向かって延びた筒状体である。軸方向に見て、外筒部520の開口側の先端は、内筒部518の開口側の先端よりも引っ込んでいる。
この外筒部520において、棚状部分520aには、ノズルキャップ512の先端が入り込む側に、下側方向にインナーリング520bとコンタクトリング520cとが環状に突出形成されている。ノズルキャップ512に計量キャップ514を嵌合した際に、インナーリング520bは、円環状を呈してノズルキャップ512の先端部の内周に接して気密性を維持し、かつ、コンタクトリング520cがノズルキャップ512の先端面に突き当たってそれ以上の食い込むことを規制しかつ気密性を維持している。したがって、ノズルキャップ512及び計量キャップ514同士の嵌合の気密性及び適切な嵌合力が掛かるようにしている。
前記嵌合部516は、計量キャップ514の内筒部518の開口側の外面に雄ネジ山516aを形成したものと、ノズルキャップ512の開口内面に雌ネジ山516bを形成したものとでなっている。計量キャップ514の内筒部518をノズルキャップ512の開口内に装入して、前記外面の雄ネジ山516aを前記雌ネジ山516bに螺合することによってネジ結合によって互いに嵌合する構造のものである。
計量キャップ514の内筒部518をノズルキャップ512の開口内に装入した際に、前記外筒部520の内面がノズルキャップ512の外壁と離隔し、かつ、前記外筒部520の外面を使用者が把持して計量キャップ514をノズルキャップ512に対して回転可能にしたものである。
インク収容ボトル500は、計量キャップ514の外筒部520の内面にノズルキャップ512の外壁と離隔でき、当該内面にネジ部を形成する必要がない。
したがって、外筒部520を円筒形状に形成する必要がないことから、その外筒部520を自由な形状に設計可能な構造である。
よって、外筒部520がキャップ開閉時に手が滑りにくいものに設計でき、使い易いものにできる。また、計量キャップ514の外観に趣向を凝らした特徴のある形状に構成できることから、液体を収容したインク収容ボトル500としての製品を販売のため店頭陳列した際に、購入希望者にアピール可能な外観構造を容易に設定できる。
インク収容ボトル500においては、計量キャップ514の内筒部518の雄ネジ山516aを、ノズルキャップ512の上側筒部内側の雌ネジ山516bに螺合して締め付けて計量キャップ514及びノズルキャップ512の嵌合部516を嵌合する。この際に、ノズルキャップ512の上側筒部には、内側から拡張する力が加わるが、計量キャップ514の外筒部520には力が働かない。したがって、この外筒部520はネジ部の形成が必要ないので指の力を加え易い形状や外観的に人目を引くデザインにすることができる。
また、計量キャップ514は、傾けて液を注ぐ場合に、内筒部518内の液が内筒部外側を回り込んでも外筒部520内に垂れるのが防がれるため手指に付きにくい。
図5C及び図5Dは変形例の説明図である。
この変形例に係る計量キャップ514では、図5Cに示すように、計量キャップ514の内筒の外面における雄ネジ山516aの形成部の位置が、軸方向に沿って見て外筒部520の先端の位置(符号Sで示す)よりも計量キャップ514の開口側(図5Cで下側位置)に配置されている。
この構造のため、図5Dに示すように、計量キャップ514を傾けて液を注ぐ際に、液体(符号Fで示す)が内筒部518の外面に回り込んでも、雄ネジ山516aに堰き止められて確実に遮られ、該雄ネジ山516aを伝わって液が下方に垂れ落ちるため、液切れが良く、外筒部520から後方に液が伝わらない。
したがって、液体が外筒部520から後方に液が付くことが確実になくなるため、計量キャップ514を手指で扱って使用する際に液体が垂れても手に付きにくくしたノズルキャップ512と計量キャップ514との構造のインク収容ボトル500を提供できる。
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されず、以下に説明する、本発明の他の実施形態とすることができる。
以下の各実施形態の説明では、上記の実施形態と異なる部分を主に説明するが、同様部分に同一の符号を付して、その説明を略している。
図5E及び図5Fは、他の実施形態に係るインク収容ボトル500aの構成を示している。
インク収容ボトル500aの計量キャップ514においては、外筒部520が異形に形成されたものである。図5Fに示すように、凹凸が花弁を周状に並べた形状を呈している。外筒部520に凹凸の山谷が深く明確なのでキャップ開閉時に手が滑らないと共に、外観がきわめて特徴的な形状になっており、外観品質が向上し、販売促進効果が高い。
図5G及び図5Hは、他の実施形態に係るインク収容ボトル500bの構成を示している。
インク収容ボトル500bの計量キャップ514においては、外筒部520が異形に形成されたものである。図5Gに示すように、凹凸形状が平坦壁を複数周方向に並べて軸方向視で6角形形状を呈している。外筒部520に平坦壁同士の稜線が角張ったものとなるため、キャップ開閉時に手が滑らないと共に、外観がきわめて特徴的な形状になっており、外観品質が向上し、販売促進効果が高い。
図5I及び図5Jは、他の実施形態に係るインク収容ボトル500cの構成を示している。
インク収容ボトル500cの計量キャップ514においては、外筒部520が一部切り欠いた異形の壁状を呈して形成されたものである。図5Jに示すように、内筒部518は棚状部分520aを取り巻く周壁に切り欠き部分520bを有した概略円筒状で、かつ開口方向端(図5Iで下方向き端)に矩形の凹凸形状の複数の切り欠き520cを形成した概略鋸刃形状になっているものである。
本実施形態の計量キャップ514においても、外筒部520に周壁の切り欠き部分520bと開口方向端の複数の切り欠き520cが手指の掛かる形状のため、上記実施形態よりも更に、キャップ開閉時に手が滑らないと共に、外観がきわめて特徴的な形状になっており、外観品質が向上し、販売促進効果が高い。
図5K及び図5Lは、他の実施形態に係るインク収容ボトル500dの構成を示している。
インク収容ボトル500dの計量キャップ514においては、外筒部520が上方に延びた壁状を呈して形成されたものである。図5Lに示すように、内筒部518は棚状部分520aを取り巻く周壁が、その棚状部分520aから開口側(下側)の長さよりも上方の長さが長く形成されたものである。外筒部520の外面には、滑り止めのエンボス等が形成されている。
本実施形態の計量キャップ514においては、外筒部520に周壁が軸方向に長く形成されているので、手指の掛かる面積の広い形状であり、上記実施形態よりも更に、掌全体を計量キャップ514に掛けて操作でき力の弱い使用者でも扱い易いと共に、計量キャップをその開口を上に向けて置く際に安定感がある。外見的にも一体感のある特徴的な形状であり、外観品質の向上と販売促進効果を望める。
なお、上記各実施形態は本発明の好適例であり、本発明の範囲内で変形実施可能である。外筒部は主に筒状であるが、上記棚状部分520aを柱状にする等して外壁を形成することもできる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
ノズルキャップ512に計量キャップ514を嵌合した際に、インナーリング520bとコンタクトリング520cとにより気密性が維持される。これにより、液体(インク)の漏れを防止することができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図6Aから図6Cはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図6A及び図6Bに示すように、インク収容ボトル600はキャップ601を備えている。キャップ601は、プラスチックキャップであり、天面603と、天面603の周縁から降下したスカート605を備えている。
スカート605の内面には、容器口(図示せず)の外面に形成されている螺条(雌螺子)と係合する螺条(雄螺子)607が形成されており、これら螺条同士の螺子係合によってキャップ601は容器口に装着される。
また、スカート605の下端には、破断可能なブリッジ608を介してタンパーエビデントバンド(TEバンド)609がスカート605と一体に形成されている。このTEバンド609の内面にはフラップ片610が形成されている。即ち、容器口(図示せず)に巻締めて固定されたキャップ601では、TEバンド609が容器口の螺条の下方部に形成されている顎部の下側に位置する。従って、このキャップ601を開栓方向に回転すると、キャップ601は上昇するが、TEバンド609は、フラップ片610が容器口の顎部の下側と係合し、その上昇が制限される。このため、キャップ601の開栓を続けてキャップ601を容器口から取り外した状態では、ブリッジ608が破断し、TEバンド609はキャップ601から取り除かれた状態となっている。この結果、一般の需要者は、TEバンド609が取り除かれた事実から、キャップ601が一旦、容器口から取り外されたものであるとの事実を認識することができるというものである。
尚、図6Aから理解されるように、TEバンド609の下端には、カール部611が形成されており、フラップ片610が容器口の顎部の下側と係合したときにカール部611がフラップ片610の下側を押さえて変形を防止し、これにより、フラップ片610と顎部との係合力を補強し、TEバンド609のすっぽ抜けを防止するようになっている。
一方、天面603の内面には、スカート605との接合部近傍に、周状突起615が形成されており、この周状突起615により保持されるようにして、天面603の内面にライナー617が設けられている。ライナー617は、中央部分に形成されている比較的薄肉のパネル部617aと周縁部に形成されている比較的厚肉の環状密封部617bとから成っている。即ち、図6Aに示されているように、環状密封部617bの表面は凹面となっており、キャップ601を巻締めて容器口に装着したとき、容器口の上端が環状密封部617bにがっちりと密着し、良好なシール性が確保されるようになっている。
上記のようなキャップ601において、互いに一体的に連なっている天面603、スカート605及びTEバンド609は、各種の熱可塑性プラスチック、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂から形成されており、圧縮成形等によって成形され、成形後、ブリッジ608を残すようにしてのカッティング加工やポンチ等の治具を用いての後加工によりTEバンド609の下端にカール部611を形成することにより形成される。また、ライナー617は、容器口との密着性を高めるために、比較的軟質のプラスチック材料、例えばニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体ゴム(SIS)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)などのエラストマー重合体や、エラストマー領域のポリエチレン等からなる。このような重合体からなるライナー617は、所謂インシェルモールドによって形成される。例えば、キャップ601を成形後、天面603の内面に、ライナー形成用重合体の溶融物を滴下し、ポンチ等によって押し広げることにより形成される。
ところで、上記で説明したように、ライナー617の密封部617bは、キャップ601を容器口に巻締めて固定したときに、容器口の上端とがっちりと密着する部分である。従って、ライナー617と容器口との滑り性が低いと、キャップ601の閉栓(巻締め)や開栓に大きな力を要してしまう。具体的には、閉栓トルクや開栓トルクが大きな値となり、閉栓や開栓が困難となる。このために、従来では、滑剤がライナー617中に配合されていたのであるが、本発明においては、このライナー617の密封部617bの表面に、滑剤のコーティング領域620が形成されていることが顕著な特徴である。
この滑剤のコーティング領域620は、滑剤を有機溶媒に溶解乃至分散させた塗布液を調製し、この塗布液をライナー617の密封部617bの表面に塗布し、乾燥することにより形成されたものである。即ち、ライナー617中に滑剤を配合する場合には、経時とともに、ライナー617の表面に滑剤が析出することにより滑り性が付与されるというものであるが、キャップ601にライナー617を形成した成形直後の段階では、表面に十分な量の滑剤が析出していないため、滑り性が不満足となり、開栓性及び閉栓性が低い。また、キャップ601の成形から長期間経過した後では、多量の滑剤が表面に析出してしまうため、滑り性は満足し得るとしても、過剰に析出した滑剤が容器内の液(例えば、インク)中に移行してしまい、容器内の液の品質を低下させてしまうなどの問題を生じる。しかるに、上記のような滑剤のコーティング領域620を設けた場合には、常に一定量の滑剤が密封部617bの表面に存在し、その量にほとんど変動が生じないため、常に一定の滑り性を確保することができ、キャップ601の成形直後であっても、優れた開栓性や閉栓性を得ることができる。また、過剰の滑剤が表面に存在するという不都合も有効に回避することができ、しかも、密封部617bの表面に限定して滑剤を存在させることができるため、容器内容物に滑剤が移行するという不都合も確実に防止することができる。
さらに、上記の滑剤コーティング領域620には、食添色素などの染料等の着色剤が配合されて着色されていてもよい。このような着色により、例えば赤外分光検査器や紫外分光検査器などを用いて滑剤コーティング領域620の形成を検査し、その存在を確認することができる。
本発明において、上記のコーティング領域620の形成に用いる滑剤としては、従来、キャップ601と容器口部との間に滑り性を確保するために使用されていたもの、例えば、
(イ)流動、天然または合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、
(ロ)ステアリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸系のもの、
(ハ)ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸アミド系のもの、
(ニ)ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等の脂肪酸エステル系のもの、
(ホ)セチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール系のもの、
(ヘ)ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケン、
(ト)ポリオルガノシロキサン、
などを使用することができ、これらは、1種単独或いは2種以上を混合して使用することもできる。本発明では、特にライナー617と接合強度の高いコーティング領域620を形成できるという観点から、上記の中でも、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、オルガノポリシロキサンが最適である。
また、塗布液調製のために用いる有機溶媒としては、乾燥により容易に除去することができ、且つライナー617やキャップ601の形成する樹脂に対する溶解性の乏しいものが好適に使用され、例えばエチルアルコールやメチルエチルケトン等の極性有機溶媒が好ましい。塗布液中の滑剤濃度は、塗布の際の作業性や乾燥性などを考慮して、適宜な濃度とすればよい。また、このような塗布液には、必要に応じて各種の着色剤を添加することができ、滑剤コーティング領域620を着色することができる。
さらに、滑剤コーティング領域620において、用いる滑剤の種類によっても多少異なるが、滑剤の目付け量が56乃至5600mg/m2、特に560乃至2800mg/m2の範囲であることが好適である。この目付け量が少ないと、滑り性が低くなり、開栓トルクや閉栓トルクがかなり高くなり、開栓や閉栓が困難となるおそれがある。また、目付け量が多すぎると、過剰の滑剤が開栓や閉栓に際しての容器口との摩擦により脱落してしまい、容器内容液中に移行するなどの不都合を生じ易くなってしまう。
滑剤コーティング領域620をライナー617の密封部617bの表面に限定して形成するための手段としては、種々の方法を採用することができ、例えば、滑剤が溶解乃至分散している塗布液を、適当なマスクを介してスプレー噴霧したり、或いは適当なマスクが施されたキャップ601を塗布液中に浸漬するなどの方法を採用することができるが、最も容易に且つ効果的に行うには、インクジェットプリンターを用いるのがよい。具体的には、図6Cに示されているように、ライナー617が施されたキャップ601を、天面603の内面が上側となるように回転支持テーブル623上に載置し、バキューム等によりキャップ601を支持しながら、該テーブル623を回転させながら、インクジェットプリンターに接続されているインクジェットノズル650より、塗布液の荷電粒子を、矢線Aで示すように、ライナー617の密封部617bの表面(滑剤塗布面)に噴射し、次いで乾燥することにより、容易に滑剤コーティング領域620を形成することができる。
また、上述した例は、ライナー617の密封部617bに限定して滑剤コーティング領域620を設けた例であるが、容器内容物が微量の滑剤の移行を殆ど問題としないような場合には、ライナー617の全面にわたって滑剤コーティング領域620を形成することができるし、また、スカート605の内面にも滑剤コーティング領域620を形成することができる。
さらに、本発明は、上記と同様にして、金属キャップにも適用することができる。
即ち、このような金属キャップの例を示す図6Dにおいて、この金属キャップは、例えばアルミニウム板の絞り成形で形成されているキャップ殻体(シェル)630から形成されており、このキャップシェル630は、天面631と、スカート633とから成っている。また、このキャップシェル630の内面側には、図示されていないが、内面保護塗膜をも兼ねる熱接着用塗料層が形成されている。
スカート633の中央部分は、容器口(図示せず)の螺子と係合する螺子を形成するための螺子形成領域633aとなっており、その下部には、容器口の顎部に係合させるためのタンパーエビデント(TE)バンド635となっており、スカート633とTEバンド635とは、カッティングにより形成されたブリッジ637により連結されている。
天面631の内面には、前述したプラスチックキャップ601と同様、ライナー639が形成されている。即ち、このライナー639は、先のライナー617と同様のエラストマー重合体等から形成されているものであり、ライナー形成材の溶融物を天面631の内面に滴下し、これをポンチ等で押し広げることにより形成され、天面631の内面に強固に熱接着されている。
かかるライナー639も、比較的薄肉のパネル部639aと、比較的厚肉であり、表面が凹面となっている環状の密封部639bとからなっている。即ち、この密封部639bが容器口の上端に密着することにより、良好なシール性が確保されるものであるが、本発明では、この密封部639bの表面に、前述したプラスチックキャップ601と全く同様にして、滑剤のコーティング領域640が設けられるわけである。
このような金属キャップは、キャップシェル630を容器口に被せた後、所定の治具で外面を押圧成形して容器口の外面形状に合わせた形状とされ、これにより、前記の螺子形成領域633aに容器口の螺子と係合する螺子が形成され、また、下部のTEバンド635は、容器口の顎部に係合した状態に成形される。この状態で、滑剤コーティング領域640が容器口の上端に密着しており、良好なシール性が確保され、このキャップを開栓方向に回転させることにより螺子係合が解除され、容器口から取り除かれるが、TEバンド635は、容器顎部との係合により、その上昇が抑止され、従って、ブリッジ637で破断を生じ、ブリッジ637の破断により、開封の事実を知ることができる。
かかる金属キャップにおいても、ライナー639の密封部639bの表面に滑剤コーティング領域640が形成されているため、常に一定の滑り性が確保され、キャップ成形直後においても良好な開栓性及び閉栓性を示すこととなる。また、キャップ成形後に長期間経過した場合においても、滑剤量が増大することはないため、過剰の滑剤が脱落して容器内容液中に移行するという不都合は有効に防止されている。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
ライナー617の密封部617bの表面に、滑剤のコーティング領域620が形成されているため、滑り性が向上され、インク収容ボトル600の容器口に関し、優れた開栓性や閉栓性を得ることができる。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図7Aから図7Dはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図7A及び図7Bに示すように、インク収容ボトル700はプラスチックキャップ720を備えている。そして、当該プラスチックキャップ720はICタグ710を備えている。なお、以下において、プラスチックキャップ720を、単にキャップ720と称することもある。
ICタグ710は、誘電体基板701を備えており、この誘電体基板701の表面に金属製アンテナ703とICチップ705が固定されている。
誘電体基板701は、非導電性材料から形成されるが、一般的には熱溶着可能な熱可塑性樹脂から形成される。このような熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、一般的には、このICタグ710が取り付けられるプラスチックキャップ720を構成する樹脂基材と同様の樹脂からなるものであり、例えばポリプロピレン製のキャップにICタグ710を設ける場合には、ポリプロピレンにより誘電体基板701が形成されていることが好ましい。
また、誘電体基板701の表面には、必要により、接着剤層(図示せず)を形成しておくこともでき、これにより、金属製アンテナ703をしっかりと誘電体基板701に接着固定することができる。このような接着剤としては、一般に、ポリオレフィン樹脂を不飽和カルボン酸またはその誘導体でグラフト変性した酸変性オレフィン樹脂が好適である。
アンテナ703は、通常、アルミニウム、銅、銀、金などの低抵抗金属の薄膜(厚みが5乃至50μm程度)からなるものであり、所定のパターン形状を有しており、信号の送受信に使用される。このアンテナ703の外径Lは、通常、18mm程度である。
尚、図7Bから理解されるように、後述するプラスチックキャップ720の天板にこのICタグ710を熱溶着等により接着固定するために、基板701の周縁部分はアンテナ703により被覆されておらず、その上面が露出している。
ICチップ705は、フリップチップ実装などにより、上記のアンテナ703に導通するように設けられるものであり、このICタグ710が取り付けられるプラスチックキャップ720に関する情報(例えば、インク収容ボトル700に収容されたインクの種類やインク量等)が記憶されるものであり、上記のアンテナ703を介しての信号の送信により、所定の情報が記憶され、またアンテナ703を介してICタグ710に記憶された情報が読み取られるものである。
また、図7Bに示されているように、上記のICチップ705は、一般に、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂などの封止剤707により、封止されて保護されている。
尚、誘電体基板701の厚みは、その表面にアンテナ703を形成し且つICチップ705を実装する作業を行い得る程度の強度を示すようなものであればよく、一般的には10乃至1000μm程度である。
図7Aに示すように、示すプラスチックキャップ720は、天板721と、天板721の周縁部から降下しているスカート壁723とから成っている。
スカート壁723の内面には、このキャップ720が装着される容器の口部770の外面に設けられている螺条771と螺子係合する螺条725が形成されており、スカート壁723の下端には、破断可能なブリッジ727を介してタンパーエビデント(TE)バンド729が設けられており、TEバンド729の内面には、上向きのフラップ片730が間欠的に周状に形成されている。
即ち、このキャップ720は螺条725による螺子係合によって容器口部770に装着され、容器口部770に装着されたキャップ720を、開栓方向に回転させることにより容器口部770から取り除かれるが、開栓に際して、TEバンド729の内面に形成されているフラップ片730が容器口部770の外面に形成されている顎部773と係合し、TEバンド729の上昇が制限され、ブリッジ727が破断してTEバンド729がスカート壁723から切り離される。この結果、TEバンド729が切り離されているという事実から、一般の需要者は、キャップ720が容器口部770から一旦取り除かれたという事実を認識することができるのである。
一方、天板721の上面には、前述したICタグ710が取り付けられている。このICタグ710は、通常、ICチップ705が設けられている部分側が下方となるような位置関係で基板701の露出面と天板721の上面とを熱溶着することにより取り付けられる。従って、天板721の上面の中央部分には、このようなICチップ705が設けられて突出している部分を受け入れるような凹部721aが形成されている。また、ICタグ710中のアンテナ703が設けられている領域がLで示されている。
また、上述したICタグ710が熱溶着される天板721の上面の外周縁部分にICタグ710の基板701の厚みに相当する大きさの段差737を形成しておくことが好ましく、これにより、キャップ720の上端面を滑らかなフラットな面とし、キャップ720の外観を良好に保持することができる。
尚、上述したICタグ710は、嵌め込み等により天板721の上面に機械的に固定することも可能であり、また、天板721の外周部分に環状の突起を設けておき、ICタグ710を載置した状態で、この突起を屈曲してICタグ710の周縁部分を固定することも可能である。このようにしてICタグ710を設けた場合には、ICタグ710の基板701は、特に熱可塑性樹脂製のような熱溶着性の材料で形成されている必要はなく、ガラス等の誘電材料で形成されていてもよい。
一方、天板721の下面には、前述したスカート壁723と間隔をおいて下方に延びており、外面側が膨出した形状のインナーリング731が設けられており、このインナーリング731よりも外方部分にアウターリング733が形成されており、またインナーリング731の付け根部分の外面側には環状の小突起735が形成されている。
即ち、前述した螺子係合によりキャップ720を容器口部770に装着したとき、容器口部770の上方部分の内面がインナーリング731の外面に密着し、容器口部770の上端部分の外面側がアウターリング733の内面に密着し、かつ容器口部770の上端面が小突起735に密接し、これにより、良好な密封性シールが確保されるものである。
本発明においては、天板721の内面には、インナーリング731で取り囲まれている部分に、遮蔽部材750が取り付けられている。即ち、このような遮蔽部材750を設けることにより、容器口部770に装着された状態において、天板721に取り付けられているICタグ710のアンテナ703と容器内容液の液面との間に一定の間隔が保持されることとなる。従って、既に述べたように、キャップ720は、インクによる誘電損失やインピーダンスの不整合に起因する信号(電磁波)の伝送阻害が発生する事なく、ICタグ710への製品情報の送信(入力)及び入力された製品情報の受信(出力)を確実に行うことが可能となるわけである。
本発明において、遮蔽部材750は、底壁部751と底壁部751の周縁部から立ち上がった環状側壁部753とからなっており、この底壁部751により、ICタグ710のアンテナ703と容器内容液の液面との間に、信号の送受信が妨害されない程度に十分な間隔が保持されることとなる。
また、上記のような遮蔽部材750において、環状側壁部753の上端からは薄肉のフランジ部755が外方に延びており、この薄肉のフランジ部755が天板721の内面に熱溶着されており、これにより、遮蔽部材750はしっかりと天板内面に固定され、遮蔽部材750の内部へのインクの漏洩を防止し、インクによる信号伝送の妨害を確実に防止することができる。この場合、熱溶着を行なわず、インナーリング731の付け根部分の内面側に遮蔽部材を嵌め込むことも可能であるが、この場合には、遮蔽部材750が不安定となり、インクの遮断効果が不十分となり、ICタグ710への送受信が不安定となるおそれがあるため、熱溶着により遮蔽部材750を設けることが好適である。
また、上記のような構造の遮蔽部材750において、環状側壁部753の長さは、底壁部751とICタグ710のアンテナ703形成領域Lとの間隔dが、底壁部751の下面が容器内容液の液面と接触している状態でのICタグ710への信号の伝送がインクにより妨害されない程度のものとすればよい。例えば信号の周波数やアンテナ703のパターンなどによっても異なるが、一般に、上記間隔dが7mm以上となるように、環状側壁部753の長さを設定する。
さらに、底壁部751の面積は、ICタグ710のアンテナ703形成領域Lの大部分において、上記の間隔が確保されるようにすればよく、アンテナ703形成領域Lの全体にわたって上記のような間隔dが維持されることを要しない。即ち、一般に、アンテナ703形成領域Lの径の大部分において、上記の間隔dが確保されていれば、インナーリング731と環状側壁部753の上方部分との間に容器内容液が浸入しても信号の送受信に与える影響を無視することができる。
従って、ICタグ710に比して天板の径が大きい大径のキャップ720については、遮蔽部材750の径(底壁部の径)をかなり小径とし、インナーリング731の付け根部分と環状側壁部753の上端部分との間に比較的大きな間隔が形成されていてもよい。
また、図7Aの例では、薄肉のフランジ部755の上面が天板721の内面に熱溶着されているが、図7Cに示すように、薄肉のフランジ部755の上面をインナーリング731の内面付け根部分に熱溶着させることもできる。特に、図7Aのキャップ720は、大型のキャップの場合に、遮蔽部材750のサイズを必要以上に大きくせず、小型化できるという点で有利であり、図7Cに示すキャップは、どのような大きさのキャップ或いはICタグ710に対しても、確実に信号の送受信の阻害を防止することができ、特に小型のキャップに適用されるという利点がある。
さらに、上述した図7A及び図7Cの例では、遮蔽部材750は、天板721の内面に直接設けられているが、このような遮蔽部材750をインナーリング731に設けることもできる。図7Dには、このような態様を示した。
図7Dの態様のキャップは、遮蔽部材750がインナーリング731に設けられている点を除けば、実質的に図7A或いは図7Cのキャップと同じ構造を有している。即ち、図7Dにおいて、インナーリング731の下方部分には、インナーリング731の下端部が形成する開口を閉じるように遮蔽部材750が取り付けられている。このような位置に遮蔽部材750を設けることによって、容器口部770に装着された状態において、ICタグ710が設けられている天板721の下面と容器内容液との接触が確実に防止されるとともに、ICタグ710と容器内容液の液面との間に一定の間隔dが保持されることとなる。従って、既に述べたように、このキャップ720をインクが充填された容器に適用した場合においても、インクによる誘電損失やインピーダンスの不整合に起因する信号(電磁波)の伝送阻害が発生する事なく、ICタグ710への製品情報の送信(入力)及び入力された製品情報の受信(出力)を確実に行うことが可能となるわけである。
また、容器口部770のシール性を確保するために使用されるインナーリング731の下端開口が遮蔽部材750によって閉じられているため、ICタグ710中のアンテナ703の実質上全面と容器内容液の液面との間に十分な間隔が確保されるため、ICタグ710が多少偏心して設けられたような場合においても、容器内容液による誘電損失やインピーダンス不整合による送受信の阻害を確実に防止することができる。
このような位置に設けられる遮蔽部材750は、底壁部761と底壁部761の周縁部から立ち上がった環状側壁部763とからなっている。この環状側壁部763は、上方に向かって外方に傾斜した傾斜部763aと傾斜部763aの上端から外方に延びているフランジ部763bとを有しており、このフランジ部763bの内方側上面からは、上方補助部763cが上方にほぼ直立して延びている。即ち、このような遮蔽部材750は、インナーリング731の下方部分から環状側壁部763の上方補助部763cを嵌めこみ、フランジ部763bの上面をインナーリング731の下端に押し付けるようにして熱溶着することにより、フランジ部763bの上面とインナーリング731の下端或いは上方補助部763cの外面とインナーリング731の内面部分とが熱溶着でしっかりと固定されることとなり、容器内容液の天板721の下面側への漏洩を確実に防止することができるばかりか、インクの天板721の下面側への浸入も確実に防止することができ、インクによる信号伝送の阻害を確実に防止することができる。この場合においても、熱溶着を行なわず、インナーリング731の内面に嵌合等の機械的手段によって遮蔽部材750を取り付けることも可能であるが、先にも述べたように、この場合には、遮蔽部材750が不安定となり、インクの遮断効果が不十分となるおそれがあるため、熱溶着により、遮蔽部材750を取り付けることが好適である。
本発明において、上記のような構造の遮蔽部材750の大きさ(環状側壁部763の長さ等)は、底壁部761とICタグ710との間隔dが、前記と同様、底壁部761の下面がインクと接触している状態でのICタグ710への信号の伝送がインクにより妨害されない程度のものとすればよい。
特に、上記のような遮蔽部材750では、傾斜部763aの軸方向長さを大きく設定することにより、インナーリング731の長さを短くした場合にも上記間隔dを大きく設定することができ、生産性の高い圧縮成形により本発明のキャップ720を生産できる。
上記の図7Dに示されているように遮蔽部材750は、ICタグ710の大きさ(アンテナ703の外径の長さ)にかかわらず、アンテナ703の全面と内容液の液面との間に確実に所定の間隔dが確保され、特にICタグ710への信号の送受信の妨害を確実に防止できるという点で、最も好適であり、特に小径のキャップに好適に適用される。
上述した図7A乃至図7Dに示した本発明のプラスチックキャップ720は、ポリプロピレンやポリエチレンに代表される各種の熱可塑性樹脂を用いて、それぞれ圧縮成形によりキャップ形状の成形体、遮蔽部材750を成形し、次いで該成形体の所定の位置に遮蔽部材750を熱溶着等により取り付け、さらに、天板721の上面に熱溶着等によりICタグ710を取り付けることにより製造される。この場合、上記の圧縮成形の代わりに射出成形を用いることも可能であるが、生産性などの見地から、圧縮成形を採用することが好適である。即ち、インナーリング731の長さが長いと、射出成形により成形を行わざるを得ないが、本発明では、インナーリング731の長さを短くして、前記間隔dをインクによる信号の送受信の妨害が生じない程度に十分な長さに設定できるため、圧縮成形により成形を行うことが可能となるわけである。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル700のキャップ720によれば、ICタグ710中のアンテナ703とインクの液面との間に十分な間隔が確保されるため、インクによる誘電損失やインピーダンス不整合による送受信の阻害を確実に防止することができる。
また、ICタグ710にインクの種類(例えば、色)を記憶させ、また、カートリッジ50には各色に対応するセンサーを備え、ICタグ710とセンサーとを照合することにより、インクの入れ間違いを防止することができる。
さらに、上記センサーにより、インク収容ボトル700からカートリッジ50にインク補充した後に、ICタグ710にかかるインク残量のデータをリセットさせることで、インク収容ボトル700を複数回にわたって使用することができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図8Aから図8Jはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図8Aに示すように、インク収容ボトル800は、インクWが詰められているボトル811と、付属する蓋821とを有し、使用時に蓋821をボトル811に装着する。ボトル811は、インクWを収納するための貯留部812と、この貯留部812の上方を絞り込むように成形された頸部813と、から構成され、貯留部812は角のない長方形断面を基調とした筒状で、その底部は平面で卓上などに安定して据え置くことができる。また頸部813は断面が円筒状で、付け根付近の外周面には雄ねじ816が形成されているほか、その先端付近では、断面形状が一気に変わる段部817を境として、細く絞り込まれた筒状の凸部814が上に向けて突出しており、この先端面は隔壁815によって閉じられている。なお頸部813において、雄ねじ816の上方で断面が局地的に狭くなっている絞り部818は、設計上の都合によるもので本発明とは関連がない。そしてボトル811は、貯留部812から凸部814を塞ぐ隔壁815までの全体が、BFSS(Blow Fill Seal System)と呼ばれる方法で、軟質樹脂を用いて一体成形されている。この方法はボトル811の成形とインクWの注入を同時に実施するもので、以降、インクWは外気と触れることがなく衛生的な状態を維持できる。
一方の蓋821は、ボトル811の頸部813を取り巻く円筒状の胴部822や、天板823や、開閉自在なキャップ824などから構成されている。胴部822の内周面には、雄ねじ816と螺合する雌ねじ831が形成されており、胴部822の上端は円盤状の天板823で塞がれている。この天板823の上面中央には、ロウト状の注ぎ口828(吐出口S)が形成されており、ここからインクWを滴下でき、また注ぎ口828にインクW を送るための流路835が天板823を貫通している。そのほかキャップ824は、注ぎ口828などを塞ぐためのもので、普段は天板823の上に被さっているが、使用時は本図のように跳ね上げる。ただしキャップ824の離脱を防止するため、ヒンジ825を介して胴部822と連結している。このヒンジ825は局所的に薄肉になっているため十分な柔軟性を備えており、キャップ824を回動自在に保持する。
さらにヒンジ825に隣接して弾性帯826が形成されている。この弾性帯826は、一端が胴部822の外周面に一体化しており、他端がキャップ824の中央付近に一体化しており、その中間部は「く」の字状に屈曲している。そのためキャップ824を開いていく途中段階では、弾性帯826が徐々に引き延ばされていくため、元の状態に戻ろうとする反力が発生する。この反力によってキャップ824は中間位置で止まることがなく、閉じた状態もしくは開いた状態が維持される。なおキャップ824には、開閉時に指を掛けるための持ち手834、注ぎ口828内の流路835を塞ぐための中栓832、不動状態に固定する爪833も形成されている。
天板823の中央上面には注ぎ口828が形成されているが、これに対向する底面には針状に突出しているスパイク827が形成されている。このスパイク827は、先端が鋭利に尖っており、インクWを注ぎ口828に送るための流路835を内部に備えており、この流路835にインクWを取り込むため、スパイク827の先端付近に取入窓829がある。スパイク827をボトル811上部の隔壁815に突き刺すことで、内部のインクWを抽出することが可能になるが、キャップ824を閉じている間は、注ぎ口828に中栓832が差し込まれるため流路835が塞がり、完全ではないがボトル811は再び密閉状態になる。
保持部材830は、天板823の底面からスパイク827を同心円状に取り囲むように形成され、その断面は環状であり、凸部814の外周面よりわずかに小さい内径になっている。また保持部材830は、スパイク827と同様に下方に延びているが、その先端は保持部材830が下方に位置しており、スパイク827は保持部材830によって隠された状態になっている。そしてスパイク827によって突き破られる隔壁815は、下に凹んだ半球面状に形成されているため、スパイク827を中央部に誘導することができる。
胴部822を始めとして、キャップ824やスパイク827などから構成される蓋821は、全てがポリプロピレン樹脂を用いて一度の成形工程で製造されている。そのため柔軟性が必要なヒンジ825も、強度が必要なスパイク827も同一の素材で一体的に形成され、複数の部品の組み立てや切削加工といった後処理は一切不要である。
図8Bは、蓋821をボトル811に装着していく途中の段階を示す断面図で、ボトル811と蓋821はいずれも図8Aと同一であり、スパイク827の先端が隔壁815の中心に接触し始めた状態である。蓋821をボトル811に装着する際は、まず始めに雄ねじ816と雌ねじ831とが接触して、以降は蓋821を旋回させながら作業を進めていく。雄ねじ816と雌ねじ831とが螺合した状態になると、必然的に凸部814と保持部材830とは同心円状に並び、保持部材830は螺合が進むに連れて下降していき、やがて保持部材830の端面が凸部814の外周面に接触し始める。保持部材830の内径は凸部814の外径よりわずかに狭いため、双方が押し合う状態になる。
蓋821の旋回をさらに続けていくと、図のようにスパイク827の先端は、半球面状に凹んでいる隔壁815の中心に接触して、さらに蓋821が下降していくと隔壁815 は中心が押し込まれるように変形していき、この変形が限度に到達すると隔壁815に孔が明く。スパイク827が隔壁815に接触してから貫通するまでの間、凸部814には圧縮方向の荷重が作用するものの、保持部材830により水平方向の変形は不可能であり、また隔壁815の半球面によってスパイク827が中心から離れることもない。その結果、比較的軟質なポリプロピレン樹脂でスパイク827を形成した場合でも、折れ曲がることなくボトル811の開封が可能である。
図8Cは、図8Bから進んで蓋821の取り付けが完了した段階を示す断面図で、スパイク827は隔壁815を突き破ってボトル811の中に差し込まれており、スパイク827の先端付近に設けた取入窓829からインクWが流路835に流れ込み、注ぎ口828から滴下できるようになる。
また、図8Dはキャップ824が開いた状態の平面図で、図8Eはキャップ824が開いた状態の底面図で、図8Fはキャップ824が閉じた状態の中央断面図である。蓋821は真円断面を基調とした形状であり、天板823を覆うキャップ824は底面が円形のドーム状になっている。また保持部材830は、スパイク827を取り囲むように環状に形成され、そのほかヒンジ825は二個が並んで配置され、中央部の厚みを減らして自在に変形できるようになっている。さらに二個のヒンジ825の間には、板状の弾性帯826が形成されており、一端は胴部822に、他端はキャップ824の中央付近に一体化している。弾性帯826は、キャップ824が半開きの時、最も引き延ばされた状態になり、この時の反力によってキャップ824を閉じた状態あるいは全開の状態に維持できる。
これら以外にも、天板823の上面とキャップ824の内面に、二対の爪833が形成されており、これらを噛み合わせてキャップ824が不用意に開くことを防止できる。またキャップ824を開く際の利便性を考慮して、キャップ824の側面の一部を引き延ばした持ち手834も備えている。そのほか中栓832は、蓋821を閉じた際に流路835を塞ぐ。
図8Gはクサビ形のスパイク827で、図8Hは流線形のスパイク827で、図8I はボトル811の頸部813である。スパイク827は、隔壁815を突き破るため先鋭に形成する必要があるが、その形状については自在である。そこで図8Gのように直線の組み合わせによるクサビ状のほか、図8Hのように曲線を組み合わせた丸みを帯びた形状など、多様に選択可能である。しかしいずれの場合でも、スパイク827の先端から1.5mm離れた地点での断面直径が1mm以上で3mm以下として、しかも図8Iのように凸部814の直径を5mm以上で10mm以下とすると、スパイク827が座屈することなく理想的な状態で開封可能で、信頼性が著しく向上する。なお隔壁815の厚さは、図8Iのように中央付近を0.8mm以上で1.2mm以下とすると、無理なく成形可能で内圧によって破壊されることもなく、しかも開封も容易な理想的な構成になる。
図8Jは凸部814や保持部材830の形状例を示す斜視図である。凸部814はボトル811の先端部に形成されていれば、その形状に制約はなく、この図のように断面形状が正方形でも何ら問題はない。またこれに嵌まり込む保持部材830は、必ずしも凸部814の外周面全域を囲む必要はなく、凸部814の屈曲変形を防止できるならば、この図のように平面状の板を複数組み合わせた構造でもよい。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル800からカートリッジ50にインクを補充する際、ボトル811の隔壁815に対して蓋821のスパイク827で突き刺すことにより、隔壁815が破れて注ぎ口828からインクを注出させることが可能となる。すなわち、隔壁815にスパイク827で突き刺すまでは、ボトル811が密閉された状態を保持する。従って、インク漏れを発生させることなくインク収容ボトル800の輸送が可能となる。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図9Aから図9Dはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図9Aに示すように、インク収容ボトル900は、キャップAと容器体Bとを備えている。キャップAは、容器体Bに嵌着固定するもので、中栓902と、封緘リング903と、キャップ本体904と、蓋体905とを備えている。
容器体Bは合成樹脂により形成されたもので、筒状の胴部910上端に肩部911を介して口頸部912を起立し、口頸部912の上部外周は縮径した小外径部912aとして構成しており、口頸部912下部外周は大外径部912bとして構成している。また、大外径部912bの下部の口頸部912下端部には環状窪み913を設けている。小外径部912aの上部には第1係止突条914を周設し、また、大外径部912bに第1螺条915を周設している。
中栓902は、前記小外径部912aに抜け出しを防止して嵌合させた外筒920の上端縁より口頸部912上にフランジ921を延設するとともに、フランジ921内周縁より下方へ垂設した内筒922を口頸部912内周に液密に嵌合させ、また、内筒922の下端部に於いて薄肉の第1破断部923を介して連結した閉塞板924により内筒922の下端開口部を閉塞している。
外筒920は、内周上部に前記第1係止突条914下面に乗り越え係合した第1係合突条925を周設して上方への抜け出しを防止しており、また、外筒920の外周上端部には係合凹溝926を周設しており、該係合凹溝926下方に該係合凹溝926を形成する環状突条部927を介して外筒920の下端部所定位置に至る案内凹部928を凹設している。案内凹部928は後述する第2係合突条が係合凹溝926から外れた際に安定した下降が可能な奥行きを持ち、その下端縁が第2係合突条を所定位置まで下降させるストッパーの役割を果たす。
封緘リング903は中栓902と一体に形成されたもので、図9Bに示す如く、一部に縦切溝状の開環部分sのある開環状で、前記外筒920下端縁に薄肉の第2破断部930を介して切断可能に上端縁を連結して前記大外径部912b外周に垂設している。また、開環部分sの近傍には摘み片931を突設している。
キャップ本体904は、封緘リング903上方に下降可能に装着したもので、周壁940の下部内周を大内径部940aとし、その上部内周を小内径部940bとして構成しており、外筒920外周上端部の係合凹溝926に離脱可能に係合する第2係合突条941を小内径部940b下端部内周に突設しており、また、大内径部940a内周に前記第1螺条915と螺合する第2螺条942を周設している。従って、第2螺条942は外筒920外方位置に於いて外筒920と接触せず、口頸部912の大外径部912bに至って第1螺条915と螺合する如く構成している。また、周壁940上端縁より延設した頂板943の裏面からは前記内筒922内周に液密に摺動する吐出筒944を垂設しており、吐出筒944内の頂板943に吐出口aを開口している。また、吐出筒944は円筒状で、外周に突出設した摺動突条946を内筒922内周面に液密摺動可能に嵌合しており、下端部を切断刃945として構成している。切断刃945は下縁が斜めに傾斜し且つ鋭利に尖った形状をなしている。更に、第2螺条942と第1螺条915との螺合開始位置までキャップ本体904が下降した際に、切断刃945の先端部が閉塞板924の近傍或いは当接する位置まで下降する長さに垂設されている。
蓋体905 は、キャップ本体904に開閉可能に設けたもので、その後部をキャップ本体904の後部に弾性反転ヒンジ950を介して回動可能に連結しており、裏面からは前記吐出口aに液密に嵌合して閉塞する栓951を垂設し、また、前部からは指掛け突起952を突設している。
前記の如く構成したキャップAを使用する場合について説明する。図9Aの状態では口頸部912内は閉塞されているため、収納液(インク)は吐出できない。また、封緘リング903の存在で、容器体B内が未使用であることが容易に理解できる。この状態から摘み片931を掴んで引っ張ることにより第2破断部930を切断して封緘リング903を切断除去した後キャップ本体904を押し下げると、第2係合突条941が係合凹溝926から外れてその内周面が案内凹部928の奥面に案内されて下降し、周壁940の第2螺条942が大外径部912bの第1螺条915と当接する位置まで下降する。各第1螺条,第2螺条の当接は手の感触等で判断できる。この際、吐出筒944も下降してその切断刃945が図9Cに示す如く、閉塞板924周囲の第1破断部923の直上当接状態となる。次いで、キャップ本体904を回動させることにより、第2螺条942を第1螺条915に螺合してキャップ本体904を螺動下降させる。同時に内部では切断刃945により第1破断部923が切断され、閉塞板924は容器体B内に落下し、図9Dに示す如く、第2係合突条941が案内凹部928の下端に係止されて螺動下降が終点となる。この状態から蓋体905を開いて収納液を吐出することができる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル900からカートリッジ50にインクを補充する際、閉塞板924を切断刃945によって切断して開口することによりインクを注出させることが可能となる。すなわち、閉塞板924に切断刃945を当接させるまでは、容器体Bが密閉された状態を保持する。従って、インク漏れを発生させることなくインク収容ボトル900の輸送が可能となる。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図10Aから図10Kはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図10A及び図10Kに示すように、インク収容ボトル1000は、インクを収容可能な収容容器1020と、当該収容容器に取り付け可能な不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAとを備えている。
不正開封防止機能付きプラスチック口栓Aは、図10Kに示すように、収容容器1020の上面板1022に孔設した口栓取り付け孔1022aに整合して取り付けられるものである。
不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAは、図10A及び図10Iに示すように、天板部1001により一方が閉鎖された円筒部1002の筒内周に螺子部1002aが設けられ、該円筒部1002の下端部には、ハーフカット部1003を介してリング状に連設された薄板状のリング状バンド部1004を備えている。
前記リング状バンド部1004の母線方向には、図10Aに示すように、該バンド部1004を容易に破断するための切欠部1006(又はハーフカット部1006)が設けられている。
図10I及び図10Jに示すように、前記リング状バンド部1004のリング内周下端には、ヒンジ1005aを介して、該リング状バンド部1004のリング内方中心に向かって略水平方向に延設した複数枚の係止板1005を備えている。
前記円筒部1002の外周には、図10A及び図10Bに示すように、母線方向に突出する3個のライン状突起部1002cが設けられている。
また、図10A及び図10Bに示すように、前記円筒部1002の外周には、母線方向に微細凹凸ライン状にローレット1002bが刻設されている。
また、本発明の不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAにおいては、前記ライン状突起部1002cの高さ、即ち、円筒部1002の外周面、又は円筒部1002のローレット1002bの刻設頂部から突起部1002cの頂部までの高さは、本発明においては特に限定されないが、例えば、0.5mm〜3mm程度が適当である。
また、円筒部1002の外周とリング状バンド部1004の外周には、母線方向に突出するそれぞれ3個のライン状突起部1002c,1004cが、各々外周の位相位置を整合させて設けられている。
図10C及び図10Dは、不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAの他の実施の形態を示している。円筒部1002の外周に、4個のライン状突起部1002cを設けたものであり、又は、円筒部1002の外周とリング状バンド部1004の外周とに、それぞれ4個のライン状突起部1002c,1004cを各々外周の位相位置を整合させて設けたものである。
また、図10E及び図10Fは、不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAのその他の実施の形態を示している。円筒部1002の外周に、5個のライン状突起部1002cを設けたものであり、又は、円筒部1002の外周とリング状バンド部1004の外周とに、それぞれ5個のライン状突起部1002c,1004cを各々外周の位相位置を整合させて設けたものである。
図10Gは、本発明の実施例における不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAと注出口部B(吐出口S)とによる不正開封防止機能付きプラスチック口栓の側断面図であり、キャップAの円筒部1002の外周とリング状バンド部1004の外周とに、それぞれライン状突起部1002c,1004cを設けたものであり、図10Hは、図10Gに示す不正開封防止機能付きプラスチック口栓を、角筒状の収容容器1020の上面板1022に孔設した口栓取り付け孔1022aに整合して、その容器1020の内面側から口栓取り付け孔1022a内に挿入して、図10Kに示すように取り付けた状態を説明する側断面図である。
なお、注出口部Bには、円筒部1013下端の基部1011(キャップAの外周と略同径の外周を備える基部1011)下端外周にフランジ板1019を備え、口栓は、外付けの場合、該フランジ板1019を介して収容容器1020の上面板1022に孔設した口栓取り付け孔1022aに整合して上面板1022の外面に取り付けられるか、あるいは、図10Kに示すように、口栓は、内付けの場合、該フランジ板1019を介して収容容器1020の上面板1022に孔設した口栓取り付け孔1022a内に上面板1022の内面側から挿入して取付けられる。
図10Hに示すように、本発明の不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAは、その円筒部1002の外周だけでなく、リング状バンド部1004の外周にライン状突起部1004cが設けられており、キャップAを収容容器1020の上面板1022に孔設した口栓取り付け孔1022a内に、口栓をキャップA側から挿入した際には、その上面板1022の取り付け孔1022a内周端縁部がリング状バンド部1004外周のライン状突起部1004cと注出口部Bのフランジ板1019との間に係合して、口栓は容器1020の上面板1022の取り付け孔1022a内に仮り止めされる。
そのために、リング状バンド部1004外周のライン状突起部1004cは、収容容器1020の上面板1022の内面(熱可塑性樹脂層面)にプラスチック製の注出口部Bのフランジ板1019上面を超音波加熱手段にて加熱融着して口栓を収容容器1020に取り付ける際の仮り止め作用があり、口栓の融着取り付け工程を円滑に行うことができ、また、従来のように、注出口部Bの円筒部1013下端の基部1011外周におけるフランジ板1019と対向する位置に設けていた口栓を容器1020の取り付け孔1022aに仮り止めするための仮り止め用リブ(突起部、仮りセットリブ)を設けることなく省略することができ、そのために、注出口部Bのプラスチック成形におけるCAD設計等において、円筒部1013下端の基部1011の外径を余裕を以て大きく設定することができるようになる。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
インク収容ボトル1000の不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAでは、円筒部1002の外周の3個所以上の複数個所の母線方向に、高く突出するライン状突起部1002cを設けたので、不正開封防止機能付きプラスチック口栓を開栓する際には、キャップの外周面と手指との間には十分な摩擦力を発生させることができ、キャップの外周面で手指が滑ることなく、開栓に必要なトルクを以て容易に開栓することができる。
また、収容容器1020から離間させた不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAは、ライン状突起部1002cにより回転止めにも機能する。すなわち、例えば、机上等での不正開封防止機能付きプラスチック口栓キャップAの転がりを抑制し、インクの付着等を防止することができる。
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。なお、印刷システムの構成については第1実施形態と同様なので説明を省略し、インク収容ボトルの構成について詳細に説明する。
図11Aから図11Lはインク収容ボトルの構成を示す概略図である。
図11A及び図11Bに示すように、インク収容ボトル1100,1100aは、インクを収容可能な積層フィルム1101と、積層フィルム1101に取り付けられたキャップ1130と、を備えている。当該キャップ1130は、注出口1120(1120a,1120b(吐出口S))を有している。
図11C及び図11Dに示すように、注出口1120aは、筒部1121を中心として、その最下部に袋に熱接着して取り付けるための横断面外形が瞼形状の接着基部1122が設けられ、その上に主となるフランジ1123aが設けられ、更にその上に搬送などに利用する副となるフランジ1123b,1123cが適宜の間隔をあけて設けられ、最上部に図11C〜図11Eに示したようなキャップを螺着するためのネジ部1124が設けられて構成されている。
接着基部1122は、その横断面外形を円形ではなく瞼形状のように、上下のラインが滑らかな曲線状に近づいて両端で一致するように形成することにより、袋との熱接着を容易にすると共に、シール抜けによるピンホールの発生を防止することができる。また、袋に取り付けた後、螺着されたキャップを取り外す際には、袋の外側から接着基部1122を保持しながらキャップを回動させるため、図示したように、接着基部1122の幅は、筒部1121の径よりも大きく形成することが好ましい。
筒部1121に関しても、最上部のネジ部1124を設けた部分は円筒形でよいが、その下のフランジ1123c,1123b,1123aの間の部分では外形を矩形状とすることにより、袋への熱接着などの際の位置決めを容易にすることができる。
図11Eに示した注出口1120bは、前記図11C及び図11Dに示した注出口1120aの構成において、接着基部1122の下に、横断面が十字形の袋の閉塞防止用リブ1126を連結部を介して垂設すると共に、最上部のフランジ1123cの上に、キャップとの間に固定リング形式のピルファープルーフ構造を設けるための固定リング係合部1128を追加して設けて構成したものである。
この場合、注出口1120bの上部のネジ部1124に螺着するキャップとしては、後で説明する図11Lに示した構成の固定リング1135付きのキャップ1130dを用いることができる。
以上、図11Cから図11Eに示したような注出口1120a,1120bは、プラスチックの射出成形により容易に製造することができる。そして、袋への取り付けは、生産性、接着の信頼性、安全性などの点から、袋の内面、即ち、積層フィルムのシーラント層に注出口1120a,1120bの接着基部1122を熱接着させて取り付けられる。
従って、注出口1120a,1120bの材質は、その全体または少なくとも接着基部1122の外周面は前記シーラント層と熱接着可能なポリエチレン、ポリプロピレン、またはこれらの共重合体などのポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
次に、図11F〜図11Lは、それぞれ前記図11Cまたは図11Dに示した注出口1120aに螺着して用いるキャップの構成を示す図であり、図11F及び図11Gに示したキャップ1130aは、円形の天板1131と、その外周に連続して垂下する周壁1132を有し、周壁1132の外周面に滑り防止用の縦方向の凹凸条1133を設けると共に、周壁1132の外面に横方向に突出する一対の板状の指掛け用の突出部1134を設け、周壁1132の内周面には、注出口1120aの最上部のネジ部1124に対応する形状のネジ部(図示せず)を設け、また、天板1131の内側の面には、例えば、キャップ1130aを注出口1120aに螺着した時、注出口1120aの先端部に当接して開口部を液密に閉鎖するパッキング(図示せず)が装着されて構成されている。
このような構成を採ることにより、注出口1120aを密封性よく閉鎖できると共に、再封性にも優れ、また、注出口に螺着されたキャップ1130aを取り外す際には、周壁1132の外面に、特に横方向に突出する一対の板状の指掛け用の突出部1134が設けられているので、この部分に指を掛けてキャップ1130aを回動させることができる。従って、周壁1132の外周面に滑り防止用の縦方向の凹凸条のみを設けた従来のキャップと比較して、前記一対の板状の指掛け用の突出部1134により梃子の作用を利用できるので、一層小さい力で且つ容易にキャップ1130aを回動させて開閉することができる。
図11H及び図11Iに示したキャップ1130bは、前記図11Fに示したキャップ1130aの構成において、周壁1132の外面に設けた横方向に突出する一対の板状の指掛け用の突出部1134のみを、円形の天板1131の外面に、その円形を直線状に二等分し、且つ垂直上方に矩形状に伸びる板状の指掛け用の突出部1134に変更して設けて構成したものである。
尚、上記矩形状の板状の指掛け用の突出部1134の略中心部には円形の穴を設けたが、この穴はキャップの樹脂の使用量を少しでも低減させてコストメリットを得ると同時に、必要な場合、この穴に棒状体を差し込んでキャップ1130bの回動にも利用できるようにしたものである。
このような構成を採った場合も、前記図11Fに示した構成のキャップ1130aで説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
図11J及び図11Kに示したキャップ1130cは、前記図11Fに示したキャップ1130aの構成において、周壁1132の外面に設けた横方向に突出する一対の板状の指掛け用の突出部1134のみを、周壁1132から天板1131の外面にかけて横方向および垂直上方にハート形状に伸びる板状の指掛け用の突出部1134に変更して設けて構成したものである。
このような構成を採った場合も、注出口に螺着されたキャップ1130cを取り外す際には、ハート形状の板状の指掛け用の突出部1134の両側上部の突出部に指を掛けてキャップ1130cを回動させることができるので、小さな力で容易にキャップ1130cを開閉することができ、前記図11Fに示した構成のキャップ1130aで説明した作用効果と同様な作用効果を得ることができる。
図11Lに示したキャップ1130dは、前記図11Fに示したキャップ1130aの構成において、更にピルファープルーフ機能を付与するため、キャップの周壁1132の下に複数の切り離し可能な繋ぎ部1136を介して固定リング1135を追加して設けて構成したものである。
このような固定リング1135付きキャップ1130dは、前記図11Eに示した注出口1120bのように、ネジ部1124と最上段のフランジ1123cの間の筒部1121の外周面に固定リング係合部1128を設けた構成の注出口と組み合わせて使用されるものであり、キャップ1130dの前記固定リング1135の下部内周面には、図には示していないが、前記注出口1120bの固定リング係合部1128を乗り越えて係合するリング状突起が設けられている。更に、キャップ1130dの固定リング1135の内面と注出口1120bの前記固定リング係合部1128の間にはキャップ1130dの開栓の際、固定リング1135が逆回転不能なようにラチェット構造などが設けられて構成されている。
キャップ1130dと注出口1120bとの間に、上記のようなピルファープルーフ構造を設けることにより、注出口1120bに螺着されたキャップ1130dを回動して取り外した際には、固定リング1135は注出口1120b側に固定されて残留し、キャップ部分のみが前記切り離し可能な繋ぎ部1136が切断されて取り外され、そのキャップで再封した際には、キャップ周壁1132の下端と固定リング1135との間に隙間を生じるため、一見して開封されたことを識別できるようになる。
以上、図11F〜図11Lに示したキャップでは、指掛け用の突出部1134として、形状は異なるもののいずれも板状の突出部で示したが、板状の突出部に限定するものではなく、棒状や球状などの突出部であってもよい。
また、図11F〜図11Lに示したようなキャップ1130a〜1130dも、前記注出口1120a,1120bと同様に、プラスチックの射出成形により容易に製造することができる。
図11A、図11Bは、それぞれ本発明の一実施例の構成を示す正面図であり、図11Aに示したインク収容ボトル1100は、その本体部をガセットパウチ形式に製袋したものであり、このようなガセットパウチ形式の袋は、左右のガセット部1103a,1103bの前後の端縁部が側部シール部(1104a,1104b),(1104c,1104d)でヒートシールされているので二通りの方法で製袋することができる。
一つの方法は、通常のガセットパウチと同様に、広幅の1ピースのロール状の積層フィルム1101を用いて、両側を折り返して左右のガセット部1103a,1103bを形成して製袋する方法であり、もう一つの方法は、例えば、前後の壁面用積層フィルムと、左右の側面用積層フィルムとの4ピースのロール状の積層フィルムを用いて、前後の壁面用積層フィルムの左右の間に、それぞれ側面用積層フィルムを内側に折り込んで挿入し、左右の端縁部を側部シール部(1104a,1104b),(1104c,1104d)でヒートシールして左右のガセット部1103a,1103bを形成して製袋する方法である。
以下、便宜上前者の方法で製袋したものとして、インク収容ボトル1100を説明する。
広幅の積層フィルム1101を用いて、その左右両側をシーラント層が内側になるように折り返して、内側に折り襞状の折り返し部1102a,1102bを有するガセット部1103a,1103bを形成し、折り返された両側の積層フィルム1101の端部同士を一方の側部で重ね合わせて、その重ね合わせ部を含む前後左右四隅の端縁部を側部シール部(1104a,1104b),(1104c,1104d)でヒートシールして筒状の折り畳まれた本体部が形成されている。
そして、インク収容ボトル1100の上部の中央部には、前記図11C及び図11Dに示した構成の注出口1120aが注出口1120として、その接着基部1122を前後の積層フィルム1101の間に挿入し、上部シール部1106の領域内で熱接着して取り付けられると共に、その両側も上部シール部1106でヒートシールされて封止されている。
また、注出口1120の先端側の開口部には、図11F,図11Gに示した構成のキャップ1130aがキャップ1130として、ネジ部1124にネジ締めして取り付けられている。この場合、インク収容ボトル1100はガセットパウチ形式の袋であり、内容物(インク)の充填は、未シールの底部シール部1105aの部分から行えるため、前記注出口1120を積層フィルム1101に取り付ける際には、予めキャップ1130を注出口1120のネジ部1124にネジ締めして装着した状態で注出口1120を積層フィルム1101に熱接着して取り付けることができる。
従って、底部シール部1105aは、内容物の充填前は未シールの開口部とし、この部分から内容物を充填した後でヒートシールして封止される。
尚、図11Aに示したインク収容ボトル1100では、注出口1120として前記図11C,図11Dに示した構成の注出口1120aを取り付け、そのキャップ1130としては、前記図11F及び図11Gに示した構成のキャップ1130aを取り付けた例で示したが、キャップ1130としては、前記図11H〜図11Kに示した構成のキャップ1130b、1130cを取り付けてもよい。また、注出口とキャップとの間に、ピルファープルーフ構造を設ける場合は、前述したように、注出口1120として、例えば、前記図11Eに示した構成の注出口1120b( 下部の閉塞防止用リブ1126はなくてもよい)を取り付け、キャップ1130として、前記図11Lに示した構成のキャップ1130dを取り付けることができる。
前記のような構成を採ることにより、インク収容ボトル1100は、その本体部が積層フィルム製のガセットパウチ形式の袋で形成されているので、空袋は、偏平に折り畳むことが可能で嵩張らず、その保管や輸送を効率よく行うことができ、また、使用後の廃棄の際にも、廃棄物の減容化に寄与することができる。
そして、内容物の充填は、大きく開口した底部の開口部(未シールの底部シール部1105aの部分)から容易に充填することができ、充填後に両側のガセット部1103a,1103bを内側に折り込んで、底部シール部1105aをヒートシールして密封することができる。
内容物が充填されたインク収容ボトル1100は、胴部の両側のガセット部1103a,1103bが前後に広げられ、また、側部四隅の端縁部が側部シール部1104a,1104b,1104c,1104dでヒートシールされているので補強効果があり、胴部がしっかりとした角筒状となり、底部もフラットな矩形状に形成できるので、自立性が向上し、取り扱いが容易になると共に、胴部が角筒状であるため外観もよく、また、容量の割にコンパクトに包装することができる。
そして、充填された内容物(インク)を取り出す際には、インク収容ボトル1100の上部の中央部に図11C及び図11Dに示した構成の注出口および図11F及び図11Gに示した構成のキャップが取り付けられているので、キャップ1130を回動させて取り外すことにより、注出口1120が開口し、内容物を少量ずつでも全部まとめてでも任意に注出することができる。
また、キャップ1130を取り外す際には、その周壁1132の外面に横方向に突出する一対の板状の指掛け用の突出部1134が設けられているので、この部分に指を掛けてキャップ1130を回動させることにより、キャップ1130の径が小さい場合でも、小さな力で容易にキャップ1130を取り外すことができる。
内容物の一部を使用し残りを保存する場合でも、キャップ1130は、スクリュー式キャップであるため再封性にも優れ、また、インク収容ボトル1100は自立性を有しているので、次回の使用まで安全に保存することができる。
図11Bに示したインク収容ボトル1100aは、その本体部をスタンディングパウチ形式で製袋したものであり、底部が常法に従って、前後の壁面の積層フィルム1101の下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して底面フィルム折り返し部1107まで挿入してなるガセット部1103cを有する形式で形成され、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍には、この場合、半円形の底面フィルム切り欠き部1108,1108が設けられ、ガセット部1103cが、内側が両側から中央部にかけて湾曲線状に凹状となる船底形の底部シール部1105bでヒートシールして形成されている。また、インク収容ボトル1100aの胴部は、前後の壁面の積層フィルム1101の両側端縁部を側部シール部1104e,1104fでヒートシールして形成されている。
そして、インク収容ボトル1100aの上部の中央部には、前記図11C及び図11Dに示した構成の注出口1120aが注出口1120として、その接着基部1122を前後の積層フィルム1101の間に挿入し、上部シール部1106の領域内で熱接着して取り付けられると共に、その両側も上部シール部1106でヒートシールされて封止されている。
また、注出口1120の先端側の開口部には、図11F及び図11Gに示した構成のキャップ1130aがキャップ1130として、ネジ部1124にネジ締めして取り付けられている。
但し、インク収容ボトル1100aのように、スタンディングパウチ形式の場合は、通常、注出口1120を内容物の充填口にも使用するため、キャップ1130は、内容物の充填後に注出口1120に取り付けられる。
尚、図11Bに示したインク収容ボトル1100aの場合も、注出口1120として前記図11C及び図11Dに示した構成の注出口1120aを取り付け、そのキャップ1130としては、前記図11F及び図11Gに示した構成のキャップ1130aを取り付けた例で示したが、この場合もキャップ1130としては、前記図11H〜図11Kに示した構成のキャップ1130b,1130cを取り付けてもよい。また、注出口とキャップとの間に、ピルファープルーフ構造を設ける場合は、前述したように、注出口1120として、例えば、前記図11Eに示した構成の注出口1120b(下部の閉塞防止用リブ1126はなくてもよい)を取り付け、キャップ1130として、前記図11Lに示した構成のキャップ1130dを取り付けることができる。
前記のような構成を採ることにより、インク収容ボトル1100aは、その本体部が積層フィルム製のスタンディングパウチ形式の袋で形成されているので、使用前および使用後の空袋は嵩張らず、その保管や輸送を効率よく行うことができ、また、使用後の廃棄の際にも偏平に畳めるので廃棄物の減容化に寄与することができる。
また、内容物が充填されたインク収容ボトル1100aは、底部および胴部が前後に大きく広がると共に、底部の外周には底部シール部1105bによる脚部が形成されるため、優れた自立性を有し、取り扱いやすく、外観にも優れ、また、容量の割にコンパクトに包装することができる。
そして、充填された内容物を使用する際には、インク収容ボトル1100aの上部に前記注出口1120およびキャップ1130が取り付けられているので、キャップ1130 を回動させて取り外すことにより、注出口1120が開口し、内容物を少量ずつでも全部まとめてでも任意に注出することができる。
また、キャップ1130を取り外す際には、その周壁1132の外面に横方向に突出する一対の板状の指掛け用の突出部1134が設けられているので、この部分に指を掛けてキャップ1130を回動させることにより、キャップ1130の径が小さい場合でも、小さな力で容易にキャップ1130を取り外すことができる。
内容物の一部を使用し残りを保存する場合でも、キャップ1130は、スクリュー式キャップであるため再封性にも優れ、また、インク収容ボトル1100aは自立性を有しているので、次回の使用まで安全に保存することができる。
次に、積層フィルム1101としては、主にプラスチックを主体とする積層フィルムで、最内層にシーラント層が積層された積層フィルムが用いられるが、特に限定はされず、充填される内容物や、内容物充填後の加熱処理の有無など、使用条件に応じて種々の構成の積層フィルムを使用することができる。
簡単な構成では、基材フィルム層にシーラント層を積層して構成することができるが、要求される性能に応じて、上記基材フィルム層とシーラント層との間に、中間層として、水蒸気その他のガスバリヤー層や、遮光層、強度向上層などを積層して構成することもできる。
上記基材フィルム層、中間層、シーラント層は、それぞれを単独の層で形成してもよいが、複数の層を積層して形成してもよい。
上記基材フィルム層には、二軸延伸ポリプロピレンフィルムのほか、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムなどの二軸延伸ポリエステルフィルムや、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などの二軸延伸ポリアミドフィルムなどを好適に使用することができる。
これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
中間層をガスバリヤー層とする場合、中間層には、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔、或いは、シリカ、アルミナ、アルミニウムなどの蒸着層やPVDCの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。
これらのうち、アルミニウム箔またはアルミニウム蒸着層を設けたフィルムは、不透明であるため遮光層を兼ねることもできる。
また、中間層を強度向上層とする場合は、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
上記の基材フィルム層と中間層の積層には、公知のドライラミネーション法または押し出しラミネーション法(サンドイッチラミネーション法)を用いることができる。
最内層のシーラント層には、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L・LDPE)のほか、エチレン・α オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、ポリプロピレンまたはその共重合体などを使用することができる。
シーラント層の積層は、上記の樹脂をフィルム状に製膜し、ドライラミネーション法または押し出しラミネーション法で積層する方法、或いは、上記の樹脂を押し出しコートして積層する方法などを採ることができるが、内容物がシーラント層に浸透しやすいものの場合は、接着強度に優れたドライラミネーション法で積層することが好ましい。
以上、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
キャップ1130には突出部1134が設けられているので、当該突出部1134に指を掛けながらキャップ1130を回動させることで容易にキャップ1130を取り外すことができるとともに、突出部1134は回転止めにも機能する。すなわち、例えば、机上等でのキャップ1130の転がりを抑制し、インクの付着等を防止することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
(変形例1)第1実施形態では、インク収容ボトル100を傾けてカートリッジ50にインクを注ぐ形態を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、印刷システム1またはプリンター2にインク収容ボトル100を直接装着して、インク収容ボトル100に収容されたインクを補給する形態であってもよい。このようにしても、インク収容ボトル100はシール性が高いので、プリンター2内でのインク漏れの発生が無く、インク収容ボトル100から安定してインクを補給することができる。
また、インク収容ボトル100からカートリッジ50へフレキシブルチューブ等を介してインクを補給する形態であってもよい。このようにしても、インク収容ボトル100からのインクの漏れが無く、安定してインクを補給することができる。
なお、第1実施形態以外のインク収容ボトルについても上記同様に適用することができる。
また、カートリッジ50については、プリンター2と別体で、プリンター2に対し、脱着可能な形態に限らず、プリンター2に一体的に固定されている形態であってもよい。
また、カートリッジ50は、キャリッジ25と別体に配置された、いわゆるオフキャリタイプのカートリッジに限らず、キャリッジ25上に備えられた、いわゆるオンキャリタイプのカートリッジでもよい。