JP2019084642A - 刃付き回転ロール - Google Patents

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Abstract

【課題】密封袋等に使用されるフィルムの裂け方向を特定の方向に誘導することができる加工を、容易且つ効率よく施すことができる加工具を提供することにある。【解決手段】刃付き回転ロールは、回転ロールの外周表面に複数の突起刃が形成された刃付き回転ロールであって、外周表面において、突起刃の刃付き回転ロールの外周表面に沿う周方向両端を結ぶ線と、周方向とがなす角度αが−30〜30°であることを特徴とした刃付き回転ロール。【選択図】図5C

Description

本発明は、刃付き回転ロールに関する。
密封袋等に使用されるフィルムは、一般に強靭でそのままでは引き裂きにくいが、端部に一旦傷が入ると、その傷が伝播して開封しやすくなる。密封袋等の端部に傷を入れやすくする方法として、端部にノッチを形成する方法、端部に多数の傷痕を形成する方法、等が知られている。
ここで、密封袋やフィルムの端部に多数の傷痕を形成する方法として、フィルム加工具を用いる方法が知られている。フィルム加工具として、周面に微小な突起刃が多数形成された刃付ローラーと、この刃付ローラーとの間にフィルムを挟み込んで刃付ローラーと共に回転する受ローラーとを有するものが知られている(特許文献1)。上記加工具は、刃付ローラーと受ローラーの間をフィルムが通過するときに、フィルムに刃付ローラー周面の突起刃を押し付けて微小な傷痕を多数形成するものである。
特開昭61−142133号公報
特許文献1の加工具は、包装袋の融着部の端縁に、端縁線に対して略垂直方向の傷痕を設け、包装袋の融着部の端縁線の任意の部位を手指の力で容易に切断できるようにするものである。このような、包装袋を開封する際に、端縁部に裂け開始点となる切り口を容易に設ける加工を施す刃付き回転ロールとしては、回転ロールの周方向に対して直交する方向に刃が設けられている。
しかしながら、本発明者らは、包装袋の開封における問題点を鋭意検討した結果、包装袋の端縁を容易に切断しても、切断の方向は、包装袋の大きさ、包装袋の材質、包装体中に占める内容物の体積割合、切断する者の利き腕、等によって端縁の切断開始点から始まる裂け方向が一定方向とならず、内容物を取り出せる大きさの切り口ができない場合がある等の問題があることを見出し、裂け方向を特定の方向に制御する方法について鋭意検討を重ねた。
従って、本発明の目的は、裂け方向を特定の方向に誘導することができる加工を、容易且つ効率よく施すことができる加工具を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
回転ロールの外周表面に複数の突起刃が形成された刃付き回転ロールであって、前記外周表面において、前記突起刃の周方向両端を結ぶ線と、前記回転ロールの周方向とがなす角度が−30〜30°であることを特徴とする、刃付き回転ロール。
[2]
フィルム加工用の刃付き回転ロールである、[1]に記載の刃付き回転ロール。
本発明によれば、上記構成を有するため、裂け方向を特定の方向に誘導することができる加工を、容易且つ効率よく施すことができる刃付き回転ロールを提供することができる。
図1は、本実施形態の刃付き回転ロールの一例を示す概略図(斜視図)である。 図2は、本実施形態の刃付き回転ロールの外周表面を拡大した概略図(斜視図)である。 図3は、本実施形態の刃付き回転ロールの外周表面に突起刃を設ける方法の一例を示す概略図(断面図)である。図3Aは、回転ロールの外周表面に切り込みを入れた図である。 図3は、本実施形態の刃付き回転ロールの外周表面に突起刃を設ける方法の一例を示す概略図(断面図)である。図3Bは、切り込みを起立させた図である。 図4は、突起刃の一例を示す概略図ある。図4Aは突起刃の斜視図である。 図4は、突起刃の一例を示す概略図ある。図4Bは突起刃の正面図である。 図4は、突起刃の一例を示す概略図ある。図4Cは突起刃の平面図である。 図4は、突起刃の一例を示す概略図ある。図4Dは図4AのX−X断面図である。 図5Aは、本実施形態の刃付き回転ロールの外周表面を拡大した平面図の一例である。 図5Bは、本実施形態の刃付き回転ロールの外周表面を拡大した平面図の一例である。 図5Cは、本実施形態の刃付き回転ロールの外周表面を拡大した平面図の一例である。 図6は、実施例1の刃付き回転ロールの概略図である。図6Aは、突起刃の正面図である。 図6は、実施例1の刃付き回転ロールの概略図である。図6Aは、突起刃の平面図である。 図6は、実施例1の刃付き回転ロールの概略図である。図6Bは、突起刃の側面図である。 図6は、実施例1の刃付き回転ロールの概略図である。図6Dは、外周表面を拡大した平面図である。 図7は、実施例2の刃付き回転ロールの概略図である。図7Aは、突起刃の正面図である。 図7は、実施例2の刃付き回転ロールの概略図である。図7Bは、突起刃の平面図である。 図7は、実施例2の刃付き回転ロールの概略図である。図7Cは、突起刃の側面図である。 図7は、実施例2の刃付き回転ロールの概略図である。図7Dは、外周表面を拡大した平面図である。 図8は、実施例3の刃付き回転ロールの概略図である。図8Aは、突起刃の正面図である。 図8は、実施例3の刃付き回転ロールの概略図である。図8Bは、突起刃の平面図である。 図8は、実施例3の刃付き回転ロールの概略図である。図8Cは、突起刃の側面図である。 図8は、実施例3の刃付き回転ロールの概略図である。図8Dは、外周表面を拡大した平面図である。 図9は、実施例4の刃付き回転ロールの概略図である。図9Aは、突起刃の正面図である。 図9は、実施例4の刃付き回転ロールの概略図である。図9Bは、突起刃の平面図である。 図9は、実施例4の刃付き回転ロールの概略図である。図9Cは、外周表面を拡大した平面図である。 図10は、比較例1の刃付き回転ロールの概略図である。図10Aは、突起刃の正面図である。 図10は、比較例1の刃付き回転ロールの概略図である。図10Bは、突起刃の平面図である。 図10は、比較例1の刃付き回転ロールの概略図である。図10Cは、突起刃の側面図である。 図10は、比較例1の刃付き回転ロールの概略図である。図10Dは、外周表面を拡大した平面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[刃付き回転ロール]
本発明の刃付き回転ロールは、回転ロールの外周表面に複数の突起刃が形成された刃付き回転ロールであって、外周表面において、上記突起刃の周方向両端を結ぶ直線と、前記回転ロールの周方向とがなす角度が−30〜30°である。
図1に本実施形態の刃付き回転ロールの一例を示す。図1の刃付き回転ロール1は、円盤状の形状であって、周方向の外周表面2上に、複数の突起刃3が設けられている。ここで、刃付き回転ロールが円柱状である場合、外周表面とは外周面(円柱面)である。また、外周表面2を挟む側面4は、平坦であってもよいし、平坦でなくてもよい。また、刃付き回転ロール1は、フィルム等を加工する装置等に取り付ける部位(取り付け部位5)を備えている。
なお、本明細書において、「周方向」とは、刃付き回転ロールの外周表面2に沿う周方向をいい、「周直交方向」とは、外周表面2における周方向に直交する方向をいう。
また、突起刃の周方向の端とは、突起刃3を外周表面2に対して視線が垂直になるように上側から平面視した時の刃先31が形成する線上の、周方向の最も端にある点をいう。
フィルム等に傷痕を設ける方法としては、例えば、レーザー、超音波などのエネルギー線を照射する方法が知られている。しかしながら、これらの方法で傷痕を設ける場合、傷痕周辺にもエネルギー線照射に起因する熱が加わることによる傷痕周辺部の変形等の外観不良、エネルギー線を一定時間照射するために加工効率が悪い、傷痕の配置や形状を制御しにくい、傷痕の端部が鋭利とならず裂け効率が悪い、等の問題があった。特に、傷痕の端部の裂け効率が悪いと、裂け方向を特定の方向に誘導することが困難となり易いため、更なる改良が求められていた。
本発明者らは、上記の問題を解決するにあたり、全く異なる問題の解決に用いられていた刃付き回転ロールの使用について検討を重ね、本発明を見出した。
(回転ロール)
上記回転ロールの材質としては、例えば、金属、樹脂等が挙げられ、耐久性、耐熱性の観点から、金属が好ましい。また、回転ロールは、外周表面が、フィルム等の加工が可能な程度に硬い材質であればよく、外周表面の内側と、外周表面とが異なる材質であってもよい。
回転ロールの形状としては、当該回転ロールを周方向に平行に切断した断面が円形または楕円形になるものであれば良く、円柱状、円盤状、円錐状、紡錘状、球の外周の一部が平坦である形状、等が挙げられる。
本実施形態の刃付き回転ロールは、フィルム加工装置等の装置に取り付けられるよう、装置への取り付け部位が設けられていてもよい。例えば、円盤状の金属ロールの一方の側面から他方の側面まで貫通する中空洞の取り付け部位が設けられた円筒状であってもよい(図1)。
刃付き回転ロールの直径Rとしては、30〜200mmが好ましく、より好ましくは50〜100mmである。
なお、「直径R」とは、回転ロールの突起刃がない部分の外周表面により形成される円の直径をいう(図1)。また、楕円の場合は、長径をいう。
刃付き回転ロールの幅D(図2)としては、5〜50mmが好ましく、より好ましくは10〜30mmである。
刃付き回転ロールの直径Rに対する幅Dの長さ割合(D/R)としては、0.05〜1が好ましく、より好ましくは0.1〜0.6である。
なお、「幅D」とは、回転ロールの外周表面の周直交方向の長さをいう(図2)。
刃付き回転ロールの目立て幅Wとしては、3〜40mmが好ましく、より好ましくは8〜28mmである。
ここで、「目立て幅W」とは、外周表面上の突起刃が設けられている領域の周直交方向の長さをいう(図2)。なお、上記目立て幅Wは、外周表面上の周直交方向の両端にある両突起刃間の長さであって、両端突起刃の端間の周直交方向長さとして良い。
刃付き回転ロールの幅Dに対する刃付き回転ロールの目立て幅Wの長さ割合(W/D)としては、0.5以上1.0未満が好ましく、より好ましくは0.6〜0.95である。
(突起刃)
上記突起刃としては、例えば、回転ロールに切り込みを設けて回転ロールの一部を起立させて形成した刃、切削加工により削り出した刃、放電加工により形成した刃、別に作製した刃を回転ロール外周表面に接着等させて設けた刃等が挙げられる。中でも、経済性、耐久性の観点から、回転ロールの一部を起立させて形成した刃または切削加工により削り出した刃が好ましく、回転ロールと突起刃とは同じ材質であることが好ましい。
図2は、外周表面2に回転ロールに切り込みを設けて回転ロールの一部を起立させて形成した複数の突起刃3が設けられている、本実施形態の刃付き回転ロールの一例の外周表面の拡大図である。
上記突起刃は、図3に示すように、回転ロールの外周表面2に切り込み35を設け(図3A)、切り込み35を設ける操作により切り込まれた面を起立させた起立面33と、該起立させる作用により生じた起立面背後の隆起面34とからなり、上記起立面33と上記隆起面34との交線により形成される稜線が刃先31である突起刃3である(図3B)。突起刃3において、起立面33を挟んで一方の側に隆起面34、他方の側に切り込みを設けた際に生じた窪み32がある。
なお、図3A、3Bは、刃付き回転ロール1の周直交方向に切断した断面図である。また、刃先31とは、先端が鋭利であることが望ましいが、耐久性の点からある程度の厚みがあってもよい。
上記突起刃の周方向両端間の距離iとしては、0.2〜2.0mmが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0mmである(図4A、B)。
なお、「距離i」とは、1個の突起刃の外周表面上の周方向両端のうち、一方の端から、他方の端までの外周表面に沿う長さをいう(図4A、B)。
上記突起刃の周方向両端間を結ぶ線と、該線に直交する方向の突起部の端部との距離kとしては、0.1〜1mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5mmである(図4A、C)。ここで、周方向と平行に刃を当て、周直交方向に切り込みを入れて突起刃を形成した場合、上記kは、突起刃の周直交方向の長さとなる。
なお、「距離k」とは、1個の突起刃の周方向両端を結んだ外周表面に沿う線から、切り込みの最奥部(刃先の頂点へ向かう隆起面の稜線が実質的に外周表面からかい離した点のうち、突起刃の周方向両端を結んだ外周表面に沿う線から最も離れた点)までの長さをいう(図4A、C)。
上記突起刃の高さhとしては、0.1〜1mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5mmである(図4A、B)。
なお、「高さh」とは、外周表面から、刃先までの長さであって、最も長い長さをいう(図4A、B)。
上記距離iに対する上記距離kの長さ割合(k/i)としては、突起刃の耐久性の観点から、0.2〜2が好ましく、より好ましくは0.3〜1.7である。
また、上記距離iに対する上記高さhの長さ割合(h/i)としては、突起刃の耐久性の観点から、0.3〜2が好ましく、より好ましくは0.6〜1.7である。
上記突起刃の周方向の両端を結ぶ線と、上記回転ロールの周方向とがなす角度αは、加工後のフィルム等の裂け方向を特定の方向と誘導することができる観点から、−30〜30°であり、裂け方向を一層狭い範囲に誘導することができ、且つ裂け方向が切断中に曲がりにくくなる観点から、−15〜15°が好ましく、より好ましくは−10〜10°である。
ここで、上記角度αは、突起刃の周方向の一端と周方向の他端とを結んだ回転ロール外周表面に沿う線と、外周表面の周方向とがなす角度であって、周方向に対して時計回りを正とする角度をいう(図5C)。なお、図1、図2、図5A、図5Bは、角度αが0°の例である。
上記突起刃の、外周表面に接する面と、突起刃の刃先31の頂点を通る外周表面に接する面に直交する面との角度βは、フィルム加工時のフィルムへの刃先の突き差し易さ及び刃の耐久性の観点から、80〜95°が好ましく、より好ましくは85〜90°である(図4D)。
また、上記突起刃の外周表面に接する面と、突起刃の刃先31の頂点を通る隆起面34との角度γは、突起刃の耐久性が一層向上する観点から、50〜80°が好ましく、より好ましくは60〜75°である(図4D)。
なお、「角度β」「角度γ」は、図4Dに示すように、窪み32側の角度であって、外周表面2に対して刃先31側を正の方向とする角度をいう。
上記突起刃を外周表面に対して視線が垂直になるように上側から平面視した時の隆起部34の形状(図4C)としては、半円状、半楕円状、半多角形状、かまぼこ状等が挙げられる。
本実施形態の刃付き回転ロールに設けられる複数の各突起刃は、同じ形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
上記突起刃は、周方向に配列して設けられることが好ましい(図5)。周方向に配列して設けられた突起刃は、碁盤目状(図5A、5C)に設けられていてもよいし、千鳥状(図5B)に設けられていてもよい。
配列数は、加工後のフィルム等の強度に優れ、かつ裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、周直交方向に8列以上であることが好ましく、刃の加工性からより好ましくは8〜20列である。
なお、図5Aは、碁盤目状に角度αが0°の突起刃が3列に設けられている例、図5Bは千鳥状に角度αが0°の突起刃が4列に設けられている例、図5Cは碁盤目状に角度αが20°の突起刃が3列に設けられている例である。
また、周方向に設ける各列中の突起刃の数としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、かつ裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、周方向10cm当り、50〜300個が好ましく、より好ましくは60〜250個である。
隣り合う上記突起刃の間隔(ピッチ)としては、以下が好ましい。
同じ配列上の周方向に隣り合う上記突起刃の周方向端間の周方向の最短距離P1(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度及び刃の加工性の観点から、0〜3mmが好ましく、より好ましくは0〜1mmである。なお、碁盤目状に角度αが0°の突起刃が配列している場合、P1は0mmとならないことが好ましい。
隣り合う上記突起刃の周方向端間の周直交方向の最短距離P2(図5A、5B、5C)としては、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなり、かつ刃の加工性にも優れる観点から、0.3〜2.5mmが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5mmである。なお、P2は隣り合う配列の突起刃の周方向端間の周直交方向の最短距離としてよい。
隣り合う上記突起刃の周方向端間の最短距離P3(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、かつ裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、0.3〜3.5mmが好ましく、より好ましくは0.4〜2mmである。なお、P3は、突起刃の一方の周方向端と、他の突起刃の周方向端との距離であって、最も短い距離としてよい。
突起刃を設けた配列に沿う方向に裂け方向を誘導しやすくなり、裂け方向を更に一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、P3が、同じ配列上の周方向に隣り合う突起刃端間の距離となることが好ましい。
隣り合う上記突起刃の中心間の周方向の最短距離P4(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、かつ裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、0.3〜2mmが好ましく、より好ましくは0.4〜1.6mmである。
隣り合う上記突起刃の中心間の周直交方向の最短距離P5(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなり、刃の加工性に優れる観点から、0.3〜3mmが好ましく、より好ましくは0.6〜1.5mmである。
隣り合う上記突起刃の中心間の最短距離P6(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなり、刃の加工性に優れる観点から、0.5〜3mmが好ましく、より好ましくは1〜2mmである。
なお、突起刃の中心とは、1個の突起刃の周方向両端を結ぶ線分の中点をいう。
隣り合う突起刃において、P1に対するP2の長さ割合(P2/P1)としては、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは1以上である。特に、製袋、包装体形成、更には輸送や陳列時等にフィルムが一層裂けにくくなる観点からP2/P1は5以下が好ましく、裂け方向を更に一層狭い範囲に誘導しやすくする為にはP2/P1は2以上であることが好ましい。
外周表面の単位面積当たりの突起刃の数としては、加工後のフィルム等の強度及び刃の加工性の観点から、0.1〜5個/mm2が好ましく、より好ましくは0.3〜2個/mm2である。
なお、単位面積当たりの突起刃の数は、隣接する4つの各突起刃の中心を結んだ四角形(図5A−5Cの6)中に含まれる突起刃の数から算出することができる。
本実施形態の刃付き回転ロールは、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、周直交方向の中央領域(例えば、突起刃の全配列のうち、中央の配列を含む50%以下の配列が含まれる領域)に設ける突起刃の上記距離iを、上記中央領域より周直交方向外側の縁側領域に設ける突起刃の距離iよりも長くすることが好ましく、中央領域の突起刃の距離iを縁側領域の突起刃の距離iに対して0〜15%長くすることがより好ましい。
本実施形態の刃付き回転ロールは、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、上記中央領域に設ける突起刃の間隔P1を、上記縁側領域に設ける突起刃の間隔P1よりも短くすることが好ましく、中央領域の突起刃の間隔P1を縁側領域の突起刃の間隔P1に対して0〜15%短くすることがより好ましい。
本実施形態の刃付き回転ロールは、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、上記中央領域に設ける突起刃の間隔P2を、上記縁側領域に設ける突起刃の間隔P2よりも短くすることが好ましく、中央領域の突起刃の間隔P2を縁側領域の突起刃の間隔P2に対して0〜15%短くすることがより好ましい。
以上、突起刃の形状や配列等について、図2から図6、図10に示した回転ロールに切り込みを設けて回転ロールの一部を起立させて形成した刃について示したが、図7から図9に示す切削加工により削り出した刃、放電加工により形成した刃又は別に作製した刃を回転ロール外周表面に接着等させて設けた刃等についても同様である。
本実施形態の刃付き回転ロールの用途としては、例えば、樹脂、アルミ箔、紙等からなるフィルム、該フィルムから製造される包装袋等に、傷痕を設ける加工用途等が挙げられる。
本実施形態の刃付き回転ロールの使用方法としては、本実施形態の刃付き回転ロールと、該刃付き回転ロールと共に回転する受ロールとの間にフィルム等を挟み込み、2つのロール間にフィルム等を連続的に引き込むと同時に送り出すことで、フィルムを加工する方法等が挙げられる。
刃付き回転ロールを回転させ、突起刃でフィルムを押圧すると、稜線が刃先として作用し、フィルムに微小な細長の傷痕群を設けることができる。刃先が山型等で突起しているため、フィルムへの押しつけ圧を調節することにより大きさの異なる傷痕を設けることができる。
上記フィルムとしては、密封袋等として流通、保管に耐えうる強度を有するものであればよく、ナイロン、ポリエステル、配向ポリプロピレン等が使用される。上記フィルムは、単層フィルムであってもよいし積層フィルムであってもよい。また、製袋がしやすい観点から、熱融着可能な樹脂層を積層したフィルムであってもよい。熱融着可能な樹脂としては、低密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
また、被包装体保護の観点からは上記手段によって傷痕を設けたフィルムと傷痕を設けていないフィルムとを貼り合わせたのもが好ましい。具体的には、傷痕加工ナイロンフィルム/ポリエチレンフィルム、傷痕加工ポリエステルフィルム/ポリエチレンフィルム、傷痕加工配向ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム、傷痕加工ポリエステルフィルム/アルミ箔/ポリエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム/傷痕加工ナイロンフィルム/ポリエチレンフィルム等が挙げられる。
更に、傷痕のラインと同方向に配向した引き裂き性の良いフィルムが更に好ましい。
熱融着温度は、押しつけ圧、押しつけ時間、フィルムの厚さ、種類等によって異なるが、80〜180℃、通常は120〜150℃で行われ、このような温度で溶融状態、少なくとも半溶融状態になるものが好ましい。
本実施形態の刃付き回転ロールで設けられる傷痕としては、フィルム等を貫通する傷痕であることが好ましい。
傷痕の長辺としては、0.1〜0.4mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.35mmである。傷痕の短辺としては、0.03〜0.2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.1mmである。また、傷痕の短辺に対する長辺の長さ割合(長辺/短辺)としては、0.1〜10が好ましく、より好ましくは0.3〜5である。
上記傷痕は、フィルム等の加工対象物に、直線状に配列して設けられていることが好ましく、フィルム等の一方の端から他方の端までフィルムの端縁に平行に設けられていてもよいし、フィルムの一方の端から斜め方向に設けられていてもよい。また、フィルム等の一方の端から他方の端まで連続して設けられていてもよいし、断続的に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
SUS304製の円盤ロールの外周表面に、機械目立て工法によって複数の切り込みを設け、切り込まれた面を起立させて突起刃を設け、表1に記載の寸法の刃付き回転ロールを製造した(実施例1及び比較例1)。
また、大同特殊鋼株式会社製熱間ダイス鋼DH2F製の円盤ロールの外周表面に、切削加工工法によって複数の切り込みを設け、切り込まれた面を起立させて突起刃を設け、表1に記載の寸法の刃付き回転ロールを製造した(実施例2〜4)。
なお、図6〜9は、それぞれ実施例1〜4の刃付き回転ロールの概略図である。実施例2〜3では、各配列の周方向に隣り合う突起刃のP1の中間点の周直交方向に、隣の配列の突起刃の中心がくるように、突起刃が千鳥状に配列している(図7D、図8D)。また、図10は、比較例1の従来の刃付き回転ロールの概略図である。
[評価]
実施例及び比較例で得られた刃付き回転ロールを用いて、層構成が厚み15μmのポリアミド(PA−6)層/厚みが60μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層である幅150mm、ロール状に巻き取られたフィルムを繰出して、片側端部から20mmの位置に連続的に傷痕を設けて巻き取った。傷痕を設けたフィルムをピロー包装機に掛けて、長さ94mm、幅37mmで錠剤が充填されているPTPシートを10枚重ねたものを毎分30個の速さで包装した。尚、背シール幅、及びピロー袋の前後シール幅は全て10mmとし、前後シール部で傷痕が設けられている部分にノッチを設けた。
上記方法で作製したピロー包装体の裂け方向性を、引張り試験機を使って評価した。傷痕群の幅(=目立て幅W)をチャック間距離とし、前シール部分のみを傷痕群を挟まない様にチャッキングし、引張り速度1000mm/minでチャックを移動させて、その時に発生する裂け方向を観察して、以下の基準で裂け方向性を評価した。
優れる(◎):全長さ方向にわたり、傷痕に沿って裂けた
良好(○):全長さ方向の90%以上にわたり、傷痕に沿って裂けた
不良(×):長さ方向の10%超にわたり、裂け方向が傷痕からそれた。
Figure 2019084642
比較例1は、フィルムの端縁部に裂け開始点を容易に設けることができるようにするために、端縁部に多数の傷痕を設ける際に用いられる、従来の刃付き回転ロールである。比較例1の刃付き回転ロールで加工したフィルムは、フィルムに設けられる傷痕の向きが裂け方向と異なるため、裂け方向性が悪かった。
一方、実施例1〜4の刃付き回転ロールを用いて加工したフィルムは、裂け方向性に優れていた。
1 刃付き回転ロール
2 外周表面
3 突起刃
31 刃先
32 窪み
33 起立面
34 隆起面
35 切り込み
4 側面
5 取り付け部位
6 隣接する4つの各突起刃の中心を結んだ四角形
i 突起刃の周方向両端間の距離
k 突起刃の周方向両端間を結ぶ線と、該線に直交する方向の突起部の端部との距離
h 突起刃の高さ
α 突起刃の周方向の両端を結ぶ線と、回転ロールの周方向とがなす角度
β 突起刃の、外周表面に接する面と、突起刃の刃先の頂点を通る外周表面に接する面に直交する面との角度
γ 突起刃の外周表面に接する面と、突起刃の刃先の頂点を通る隆起面34との角度
P1 隣り合う突起刃の周方向一端間の周方向の最短距離
P2 隣り合う突起刃の周方向一端間の周直交方向の最短距離
P3 隣り合う突起刃の周方向一端間の最短距離
P4 隣り合う突起刃の中心間の周方向の最短距離
P5 隣り合う突起刃の中心間の周直交方向の最短距離
P6 隣り合う突起刃の中心間の最短距離
R 刃付き回転ロールの直径
D 刃付き回転ロールの幅
W 刃付き回転ロールの目立て幅

Claims (2)

  1. 回転ロールの外周表面に複数の突起刃が形成された刃付き回転ロールであって、
    前記外周表面において、前記突起刃の周方向両端を結ぶ線と、前記回転ロールの周方向とがなす角度が−30〜30°であることを特徴とする、刃付き回転ロール。
  2. フィルム加工用の刃付き回転ロールである、請求項1に記載の刃付き回転ロール。
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