JP2019084642A - 刃付き回転ロール - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、密封袋やフィルムの端部に多数の傷痕を形成する方法として、フィルム加工具を用いる方法が知られている。フィルム加工具として、周面に微小な突起刃が多数形成された刃付ローラーと、この刃付ローラーとの間にフィルムを挟み込んで刃付ローラーと共に回転する受ローラーとを有するものが知られている(特許文献1)。上記加工具は、刃付ローラーと受ローラーの間をフィルムが通過するときに、フィルムに刃付ローラー周面の突起刃を押し付けて微小な傷痕を多数形成するものである。
[1]
回転ロールの外周表面に複数の突起刃が形成された刃付き回転ロールであって、前記外周表面において、前記突起刃の周方向両端を結ぶ線と、前記回転ロールの周方向とがなす角度が−30〜30°であることを特徴とする、刃付き回転ロール。
フィルム加工用の刃付き回転ロールである、[1]に記載の刃付き回転ロール。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の刃付き回転ロールは、回転ロールの外周表面に複数の突起刃が形成された刃付き回転ロールであって、外周表面において、上記突起刃の周方向両端を結ぶ直線と、前記回転ロールの周方向とがなす角度が−30〜30°である。
図1に本実施形態の刃付き回転ロールの一例を示す。図1の刃付き回転ロール1は、円盤状の形状であって、周方向の外周表面2上に、複数の突起刃3が設けられている。ここで、刃付き回転ロールが円柱状である場合、外周表面とは外周面(円柱面)である。また、外周表面2を挟む側面4は、平坦であってもよいし、平坦でなくてもよい。また、刃付き回転ロール1は、フィルム等を加工する装置等に取り付ける部位(取り付け部位5)を備えている。
なお、本明細書において、「周方向」とは、刃付き回転ロールの外周表面2に沿う周方向をいい、「周直交方向」とは、外周表面2における周方向に直交する方向をいう。
また、突起刃の周方向の端とは、突起刃3を外周表面2に対して視線が垂直になるように上側から平面視した時の刃先31が形成する線上の、周方向の最も端にある点をいう。
本発明者らは、上記の問題を解決するにあたり、全く異なる問題の解決に用いられていた刃付き回転ロールの使用について検討を重ね、本発明を見出した。
上記回転ロールの材質としては、例えば、金属、樹脂等が挙げられ、耐久性、耐熱性の観点から、金属が好ましい。また、回転ロールは、外周表面が、フィルム等の加工が可能な程度に硬い材質であればよく、外周表面の内側と、外周表面とが異なる材質であってもよい。
本実施形態の刃付き回転ロールは、フィルム加工装置等の装置に取り付けられるよう、装置への取り付け部位が設けられていてもよい。例えば、円盤状の金属ロールの一方の側面から他方の側面まで貫通する中空洞の取り付け部位が設けられた円筒状であってもよい(図1)。
なお、「直径R」とは、回転ロールの突起刃がない部分の外周表面により形成される円の直径をいう(図1)。また、楕円の場合は、長径をいう。
刃付き回転ロールの直径Rに対する幅Dの長さ割合(D/R)としては、0.05〜1が好ましく、より好ましくは0.1〜0.6である。
なお、「幅D」とは、回転ロールの外周表面の周直交方向の長さをいう(図2)。
ここで、「目立て幅W」とは、外周表面上の突起刃が設けられている領域の周直交方向の長さをいう(図2)。なお、上記目立て幅Wは、外周表面上の周直交方向の両端にある両突起刃間の長さであって、両端突起刃の端間の周直交方向長さとして良い。
上記突起刃としては、例えば、回転ロールに切り込みを設けて回転ロールの一部を起立させて形成した刃、切削加工により削り出した刃、放電加工により形成した刃、別に作製した刃を回転ロール外周表面に接着等させて設けた刃等が挙げられる。中でも、経済性、耐久性の観点から、回転ロールの一部を起立させて形成した刃または切削加工により削り出した刃が好ましく、回転ロールと突起刃とは同じ材質であることが好ましい。
上記突起刃は、図3に示すように、回転ロールの外周表面2に切り込み35を設け(図3A)、切り込み35を設ける操作により切り込まれた面を起立させた起立面33と、該起立させる作用により生じた起立面背後の隆起面34とからなり、上記起立面33と上記隆起面34との交線により形成される稜線が刃先31である突起刃3である(図3B)。突起刃3において、起立面33を挟んで一方の側に隆起面34、他方の側に切り込みを設けた際に生じた窪み32がある。
なお、図3A、3Bは、刃付き回転ロール1の周直交方向に切断した断面図である。また、刃先31とは、先端が鋭利であることが望ましいが、耐久性の点からある程度の厚みがあってもよい。
なお、「距離i」とは、1個の突起刃の外周表面上の周方向両端のうち、一方の端から、他方の端までの外周表面に沿う長さをいう(図4A、B)。
なお、「距離k」とは、1個の突起刃の周方向両端を結んだ外周表面に沿う線から、切り込みの最奥部(刃先の頂点へ向かう隆起面の稜線が実質的に外周表面からかい離した点のうち、突起刃の周方向両端を結んだ外周表面に沿う線から最も離れた点)までの長さをいう(図4A、C)。
なお、「高さh」とは、外周表面から、刃先までの長さであって、最も長い長さをいう(図4A、B)。
また、上記距離iに対する上記高さhの長さ割合(h/i)としては、突起刃の耐久性の観点から、0.3〜2が好ましく、より好ましくは0.6〜1.7である。
ここで、上記角度αは、突起刃の周方向の一端と周方向の他端とを結んだ回転ロール外周表面に沿う線と、外周表面の周方向とがなす角度であって、周方向に対して時計回りを正とする角度をいう(図5C)。なお、図1、図2、図5A、図5Bは、角度αが0°の例である。
また、上記突起刃の外周表面に接する面と、突起刃の刃先31の頂点を通る隆起面34との角度γは、突起刃の耐久性が一層向上する観点から、50〜80°が好ましく、より好ましくは60〜75°である(図4D)。
なお、「角度β」「角度γ」は、図4Dに示すように、窪み32側の角度であって、外周表面2に対して刃先31側を正の方向とする角度をいう。
配列数は、加工後のフィルム等の強度に優れ、かつ裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、周直交方向に8列以上であることが好ましく、刃の加工性からより好ましくは8〜20列である。
なお、図5Aは、碁盤目状に角度αが0°の突起刃が3列に設けられている例、図5Bは千鳥状に角度αが0°の突起刃が4列に設けられている例、図5Cは碁盤目状に角度αが20°の突起刃が3列に設けられている例である。
また、周方向に設ける各列中の突起刃の数としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、かつ裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、周方向10cm当り、50〜300個が好ましく、より好ましくは60〜250個である。
同じ配列上の周方向に隣り合う上記突起刃の周方向端間の周方向の最短距離P1(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度及び刃の加工性の観点から、0〜3mmが好ましく、より好ましくは0〜1mmである。なお、碁盤目状に角度αが0°の突起刃が配列している場合、P1は0mmとならないことが好ましい。
隣り合う上記突起刃の周方向端間の周直交方向の最短距離P2(図5A、5B、5C)としては、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなり、かつ刃の加工性にも優れる観点から、0.3〜2.5mmが好ましく、より好ましくは0.8〜1.5mmである。なお、P2は隣り合う配列の突起刃の周方向端間の周直交方向の最短距離としてよい。
隣り合う上記突起刃の周方向端間の最短距離P3(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、かつ裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなる観点から、0.3〜3.5mmが好ましく、より好ましくは0.4〜2mmである。なお、P3は、突起刃の一方の周方向端と、他の突起刃の周方向端との距離であって、最も短い距離としてよい。
隣り合う上記突起刃の中心間の周直交方向の最短距離P5(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなり、刃の加工性に優れる観点から、0.3〜3mmが好ましく、より好ましくは0.6〜1.5mmである。
隣り合う上記突起刃の中心間の最短距離P6(図5A、5B、5C)としては、加工後のフィルム等の強度に優れ、裂け方向を一層狭い範囲に誘導しやすくなり、刃の加工性に優れる観点から、0.5〜3mmが好ましく、より好ましくは1〜2mmである。
なお、突起刃の中心とは、1個の突起刃の周方向両端を結ぶ線分の中点をいう。
なお、単位面積当たりの突起刃の数は、隣接する4つの各突起刃の中心を結んだ四角形(図5A−5Cの6)中に含まれる突起刃の数から算出することができる。
以上、突起刃の形状や配列等について、図2から図6、図10に示した回転ロールに切り込みを設けて回転ロールの一部を起立させて形成した刃について示したが、図7から図9に示す切削加工により削り出した刃、放電加工により形成した刃又は別に作製した刃を回転ロール外周表面に接着等させて設けた刃等についても同様である。
刃付き回転ロールを回転させ、突起刃でフィルムを押圧すると、稜線が刃先として作用し、フィルムに微小な細長の傷痕群を設けることができる。刃先が山型等で突起しているため、フィルムへの押しつけ圧を調節することにより大きさの異なる傷痕を設けることができる。
また、被包装体保護の観点からは上記手段によって傷痕を設けたフィルムと傷痕を設けていないフィルムとを貼り合わせたのもが好ましい。具体的には、傷痕加工ナイロンフィルム/ポリエチレンフィルム、傷痕加工ポリエステルフィルム/ポリエチレンフィルム、傷痕加工配向ポリプロピレンフィルム/ポリエチレンフィルム、傷痕加工ポリエステルフィルム/アルミ箔/ポリエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム/傷痕加工ナイロンフィルム/ポリエチレンフィルム等が挙げられる。
更に、傷痕のラインと同方向に配向した引き裂き性の良いフィルムが更に好ましい。
熱融着温度は、押しつけ圧、押しつけ時間、フィルムの厚さ、種類等によって異なるが、80〜180℃、通常は120〜150℃で行われ、このような温度で溶融状態、少なくとも半溶融状態になるものが好ましい。
傷痕の長辺としては、0.1〜0.4mmが好ましく、より好ましくは0.2〜0.35mmである。傷痕の短辺としては、0.03〜0.2mmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.1mmである。また、傷痕の短辺に対する長辺の長さ割合(長辺/短辺)としては、0.1〜10が好ましく、より好ましくは0.3〜5である。
また、大同特殊鋼株式会社製熱間ダイス鋼DH2F製の円盤ロールの外周表面に、切削加工工法によって複数の切り込みを設け、切り込まれた面を起立させて突起刃を設け、表1に記載の寸法の刃付き回転ロールを製造した(実施例2〜4)。
なお、図6〜9は、それぞれ実施例1〜4の刃付き回転ロールの概略図である。実施例2〜3では、各配列の周方向に隣り合う突起刃のP1の中間点の周直交方向に、隣の配列の突起刃の中心がくるように、突起刃が千鳥状に配列している(図7D、図8D)。また、図10は、比較例1の従来の刃付き回転ロールの概略図である。
実施例及び比較例で得られた刃付き回転ロールを用いて、層構成が厚み15μmのポリアミド(PA−6)層/厚みが60μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層である幅150mm、ロール状に巻き取られたフィルムを繰出して、片側端部から20mmの位置に連続的に傷痕を設けて巻き取った。傷痕を設けたフィルムをピロー包装機に掛けて、長さ94mm、幅37mmで錠剤が充填されているPTPシートを10枚重ねたものを毎分30個の速さで包装した。尚、背シール幅、及びピロー袋の前後シール幅は全て10mmとし、前後シール部で傷痕が設けられている部分にノッチを設けた。
上記方法で作製したピロー包装体の裂け方向性を、引張り試験機を使って評価した。傷痕群の幅(=目立て幅W)をチャック間距離とし、前シール部分のみを傷痕群を挟まない様にチャッキングし、引張り速度1000mm/minでチャックを移動させて、その時に発生する裂け方向を観察して、以下の基準で裂け方向性を評価した。
優れる(◎):全長さ方向にわたり、傷痕に沿って裂けた
良好(○):全長さ方向の90%以上にわたり、傷痕に沿って裂けた
不良(×):長さ方向の10%超にわたり、裂け方向が傷痕からそれた。
一方、実施例1〜4の刃付き回転ロールを用いて加工したフィルムは、裂け方向性に優れていた。
2 外周表面
3 突起刃
31 刃先
32 窪み
33 起立面
34 隆起面
35 切り込み
4 側面
5 取り付け部位
6 隣接する4つの各突起刃の中心を結んだ四角形
i 突起刃の周方向両端間の距離
k 突起刃の周方向両端間を結ぶ線と、該線に直交する方向の突起部の端部との距離
h 突起刃の高さ
α 突起刃の周方向の両端を結ぶ線と、回転ロールの周方向とがなす角度
β 突起刃の、外周表面に接する面と、突起刃の刃先の頂点を通る外周表面に接する面に直交する面との角度
γ 突起刃の外周表面に接する面と、突起刃の刃先の頂点を通る隆起面34との角度
P1 隣り合う突起刃の周方向一端間の周方向の最短距離
P2 隣り合う突起刃の周方向一端間の周直交方向の最短距離
P3 隣り合う突起刃の周方向一端間の最短距離
P4 隣り合う突起刃の中心間の周方向の最短距離
P5 隣り合う突起刃の中心間の周直交方向の最短距離
P6 隣り合う突起刃の中心間の最短距離
R 刃付き回転ロールの直径
D 刃付き回転ロールの幅
W 刃付き回転ロールの目立て幅
Claims (2)
- 回転ロールの外周表面に複数の突起刃が形成された刃付き回転ロールであって、
前記外周表面において、前記突起刃の周方向両端を結ぶ線と、前記回転ロールの周方向とがなす角度が−30〜30°であることを特徴とする、刃付き回転ロール。 - フィルム加工用の刃付き回転ロールである、請求項1に記載の刃付き回転ロール。
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