JP2019082389A - ビーム輸送系および粒子線治療装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設置面積を従来に比べて低減することが可能な荷電粒子ビーム供給用のビーム輸送系とそれを備えた粒子線治療装置を提供する。【解決手段】加速器から出射された荷電粒子ビームを、加速器出口101からアイソセンタ104まで輸送する固定ビーム輸送系105および回転ガントリビーム輸送系106から成るものであって、加速器出口101からアイソセンタ104に至る輸送経路上に四重極電磁石が6台以上7台以下設置されており、そのうち固定ビーム輸送系105に2台以上4台以下、回転ガントリビーム輸送系106に3台以上5台以下設置されている。【選択図】 図1

Description

本発明は、特に、荷電粒子ビームを供給するビーム輸送系とそれを備えた粒子線治療装置に関する。
水平および垂直面内に異なるエミッタンスを有するイオンビームを輸送するためのガントリのイオン光学設計の一例として、非特許文献1には、ガントリ回転角度から独立してガントリ出口でビームスポットを作るイオン光学的制約が解析的に導出されることが記載されている。
M. Pavlovic, "A design of a rotating gantry for non-symmetric ion-therapy beams", Nucl. Instr. Meth. In Phys. Res. A 438 (1999), p548-559
がん治療法の一つである粒子線治療は、陽子や炭素イオンなどの荷電粒子ビームを患部に照射する。
粒子線治療に用いる粒子線治療装置では、荷電粒子ビームのエネルギーや空間的な広がりを調整し、患部形状に合わせた線量分布を形成する。粒子線治療装置には加速器とビーム輸送系、照射装置が含まれる。
加速器は、治療に用いるエネルギーまで荷電粒子ビームを加速する装置であり、粒子線治療に用いられるものとして、シンクロトロンやサイクロトロン、シンクロサイクロトロンなどが挙げられる。
ビーム輸送系は、輸送系中に設置した四重極電磁石を用いて粒子ビームのベータトロン振動振幅と呼ばれる粒子ビームの空間的な広がりを表すパラメータを調整しながら粒子ビームを治療室中のアイソセンタと呼ばれる標的位置まで輸送する。
このビーム輸送系では、ベータトロン振動振幅を調整することで粒子ビームがその内部を通過する真空ダクト内壁に衝突するのを防いでいる。
照射装置は輸送されたビームが患部形状に合わせた線量分布となるように形成する装置である。線量分布の形成方法には、ビームを散乱体に当ててビーム形状を患部形状に合わせる散乱体照射法と、細く絞ったビームを電磁石を用いて患部形状に合わせて走査するスキャニング照射法とがある。
ビーム輸送系にビームをある角度だけ偏向する偏向電磁石が含まれる場合、粒子ビームの運動量に依存してビーム軌道が中心軌道からずれる色収差が生じる。
一般に加速器から出射される粒子ビームは運動量に分散を持つため、ビーム輸送系中に色収差が存在する場合、運動量分散に依存した軌道位置変動が生じる。従って、アイソセンタにおけるビーム照射位置精度を担保するためには、色収差の係数である分散関数をアイソセンタにおいて0にする必要がある。分散関数の調整は、ベータトロン振動振幅の調整と同様に、輸送系中に設置した四重極電磁石によって調整される。
また、粒子線治療装置には、粒子ビームを任意の角度から照射するための回転ガントリと呼ばれるビーム輸送系を備えるものがある。回転ガントリを備える場合、任意の回転角度で、ベータトロン振動振幅が不変かつ分散関数を0にする必要がある。非特許文献1では、任意の回転角度でアイソセンタにおけるベータトロン振動振幅が不変かつ分散関数が0となるビーム輸送系の例が示されている。
粒子線治療装置はその設置面積を低減することにより、狭隘な施設への設置が可能になる。
ここで、粒子線治療装置の設置面積は、その大半が加速器およびビーム輸送系によって占有される。このため、加速器およびビーム輸送系の占有面積を低減することで、粒子線治療装置の設置面積を低減することができる。
特にビーム輸送系が回転ガントリを含む場合、設置する四重極電磁石の員数によって、回転ガントリの軸長および回転半径の長さが決まる。このように四重極電磁石の員数は、粒子線治療装置の設置面積に影響を与える。
回転ガントリを備える粒子線治療装置において、任意のガントリ回転角でベータトロン振動振幅が不変かつ分散関数を0という条件を満たすためには、加速器の回転角が0度および90度の場合について、偏向電磁石の動径方向で定義される水平方向のベータトロン振動振幅βおよび偏向電磁石のギャップ方向で定義される垂直方向のベータトロン振動振幅βが回転に対して不変であり、かつ水平方向の分散関数η、および垂直方向の分散関数ηを0とする必要がある。
以上の0度における4個のパラメータと90度における4個のパラメータ、合計8個のパラメータを各々の目標値に設定するためには、ビーム輸送系中に少なくとも8台の四重極電磁石が必要であり、これが最低限の員数であると考えられていたこと、また制御に余裕を持たせるためにこれ以上の員数低減を図ることを発想する余地がないと考えられていた。このような四重極電磁石の員数の制限により、ビーム輸送系側の設置面積の低減が制限されていた。
本発明は、設置面積を従来に比べて低減することが可能な荷電粒子ビーム供給用のビーム輸送系とそれを備えた粒子線治療装置を提供する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、加速器から出射された荷電粒子ビームを、加速器ビーム出射点からアイソセンタまで輸送する固定ビーム輸送系および回転ガントリから成るビーム輸送系であって、前記加速器ビーム出射点からアイソセンタに至る輸送経路上に四重極電磁石が6台以上7台以下設置されており、そのうち前記固定ビーム輸送系に2台以上4台以下、前記回転ガントリに3台以上5台以下設置されることを特徴とする。
本発明によれば、設置面積を従来に比べて低減することができ、それに伴い低コスト化を図ることができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態のビーム輸送系の全体構成図である。 本発明の第1の実施形態のビーム輸送系における回転ガントリの回転角度が0度の場合のパラメータβおよびβの光学計算結果である。 本発明の第1の実施形態のビーム輸送系における回転ガントリの回転角度が0度の場合のパラメータηおよびηの光学計算結果である。 本発明の第1の実施形態のビーム輸送系における回転ガントリの回転角度が90度の場合のパラメータβおよびβの光学計算結果である。 本発明の第1の実施形態のビーム輸送系における回転ガントリの回転角度が90度の場合のパラメータηおよびηの光学計算結果である。 本発明の第2の実施形態のビーム輸送系の全体構成図である。 本発明の第3の実施形態の粒子線治療装置の全体構成図である。
以下に本発明のビーム輸送系および粒子線治療装置の実施形態を、図面を用いて説明する。
<第1の実施形態>
本発明のビーム輸送系および粒子線治療装置の第1の実施形態について図1乃至図5を用いて説明する。
最初に、ビーム輸送系の概略について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態によるビーム輸送系の概略の例を示す図である。
図1に示す本実施形態のビーム輸送系は、加速器から出射された荷電粒子ビームを加速器出口101からアイソセンタ104まで輸送する装置であり、加速器出口101を起点にガントリ入口102に至る固定ビーム輸送系105と、ガントリ入口102を起点にアイソセンタ104に至る回転ガントリビーム輸送系106とから成る。本実施形態のビーム輸送系は、単一平面上で構成される。
固定ビーム輸送系105には、2台の固定ビーム輸送系四重極電磁石107A,107Bが含まれる。
回転ガントリビーム輸送系106には、3台の偏向電磁石109A,109B,109Cと4台の回転ガントリ四重極電磁石108A,108B,108C,108Dとが含まれる。
4台の回転ガントリ四重極電磁石のうち3台(回転ガントリ四重極電磁石108A,108B,108C)は、1台目の偏向電磁石109Aと2台目の偏向電磁石109Bとの間に配置され、残りの1台(回転ガントリ四重極電磁石108D)は3台目の偏向電磁石109Cの後段側(アイソセンタ104に近い側)に配置されている。
回転ガントリビーム輸送系106に設置されている偏向電磁石109A,109B,109Cの偏向角は全て90度であり、その偏向角の絶対値の総和が270度となっている。偏向電磁石109A,109B,109Cの磁極面端部の角度は、全て16度である。
加速器出口101から出射された荷電粒子ビームは、固定ビーム輸送系105および回転ガントリビーム輸送系106内の真空ダクト110の内部を通過し、固定ビーム輸送系四重極電磁石107A,107Bおよび回転ガントリ四重極電磁石108A,108B,108C,108Dから発生する四重極磁場よる集束・発散作用、偏向電磁石109A,109B,109Cから発生する二極磁場による偏向作用を受けながら、アイソセンタ104に供給される。
固定ビーム輸送系四重極電磁石107Aは、四重極電磁石電源111Aから供給される電流により励磁される。固定ビーム輸送系四重極電磁石107Bは、四重極電磁石電源111Bから供給される電流により固定ビーム輸送系四重極電磁石107Aに対して独立して励磁される。
4台の回転ガントリ四重極電磁石108A,108B,108C,108Dは、各々独立した四重極電磁石電源112A,112B,112C,112Dから供給される電流によりそれぞれ独立して励磁される。
これら固定ビーム輸送系四重極電磁石107A,107Bおよび回転ガントリ四重極電磁石108A,108B,108C,108Dの励磁量は、K値と呼ばれる磁場勾配をビームの磁気剛性率で割った値により表すことができる。
偏向電磁石109A,109B,109Cも同様に偏向電磁石電源113A,113B,113Cから供給される電流により各々独立して励磁される。
四重極電磁石電源111A,111B,112A,112B,112C,112Dおよび偏向電磁石電源113A,113B,113Cは、制御装置114により各電磁石へ供給する電流が制御される。
ここで、加速器中の双極電磁石の中心平面に含まれビームの進行方向に直交する方向で定義される水平方向をx方向、ビームの進行方向と水平方向が張る面に対して直交する方向で定義される垂直方向をy方向と定義する。このときx方向、y方向、ビーム進行方向は左手系を成している。
回転ガントリビーム輸送系106は回転軸116を中心に回転する。ガントリ回転角は、加速器出口101からアイソセンタ104を見たときに、時計回りの方向を正方向とする。
偏向電磁石109A,109B,109Cでは、更に、偏向電磁石109A,109B,109Cのうち加速器出口101から数えて1台目の偏向電磁石109Aの磁極間に発生する二極磁場の正負と向きが、加速器中の双極電磁石の磁極間に発生する二極磁場の正負と向きが一致する場合を、ガントリ回転角が0度であると定義する。
以下、本実施形態のビーム輸送系を用いて、任意のガントリ回転角で、荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅βがアイソセンタ104において回転ガントリビーム輸送系106の回転に対して不変となり、かつ水平方向の分散関数ηおよび垂直方向の分散関数ηが共に0となることを示す。
ビーム輸送系中のビーム挙動はTwissパラメータと分散関数を用いて記述される。Twissパラメータとは、xおよびy方向の座標とx方向およびy方向の運動量で表される位相空間上でビームを表現した際に、ビームの位相空間上の分布を特徴づけるパラメータ群のことを指し、ベータトロン振動振幅であるβと、βのビーム進行方向に対する傾きαを含む。x方向およびy方向のTwissパラメータは、式(1)で定義される。
Figure 2019082389
式(1)中、Aはx方向のビーム径、εはx方向のエミッタンス、sはビーム進行方向の座標である。Aはy方向のビーム径、εはy方向のエミッタンスである。
分散関数は、ビームの中心運動量pと運動量広がりΔpの比である運動量分散Δp/pと、運動量分散に比例して生じるビーム軸ずれとの比例係数である。x方向の分散関数ηとその傾きη’およびy方向の分散関数ηとその傾きη’は、式(2)で定義される。
Figure 2019082389
式(2)中、Δxは運動量分散Δp/pに起因するx方向のビーム軸ずれ、Δy運動量分散Δp/pに起因するはy方向のビーム軸ずれである。
ここで、ある進行方向位置から別の進行方向位置における位相空間上のビーム分布の変化は、転送行列と呼ばれる行列によって記述される。転送行列は、式(3)に示すように6×6の正方行列で表される。
Figure 2019082389
特に、ビーム輸送系が単一平面上で構成される場合、転送行列は式(4)のように表される。
Figure 2019082389
また、Twissパラメータ(β,α,γ)の進行方向位置での変化も転送行列の成分を用いて記述される。終点の進行方向位置におけるTwissパラメータ(β,α,γ)は、起点におけるTwissパラメータと起点・終点間の転送行列の各成分を用いて式(5)のように表される。
Figure 2019082389
更に、分散関数についても同様に転送行列の成分を用いて、式(6)のように表される。
Figure 2019082389
ドリフトスペース、偏向電磁石、四重極電磁電磁石、ビーム軸周りの回転を表す転送行列はそれぞれ式(7),式(8),式(9),式(10)のように表される。
Figure 2019082389
Figure 2019082389
Figure 2019082389
Figure 2019082389
ここで、式(7),式(8),式(9),式(10)中、Lはビーム進行方向の長さ、γrは相対論的因子、θは偏向角、φはビーム軸周りの回転角を表す。特に四重極電磁石の転送行列の各成分は、K値の関数となっている。K値の定義を式(11)に示す。
Figure 2019082389
式(11)中、Bρはビームの磁気剛性率、∂By/∂xは四重極電磁石の磁場勾配である。ビーム輸送系中に四重極電磁石が含まれる場合、回転ガントリを備えるビーム輸送系全体の転送行列は、式(5),式(6),式(7),式(8)の積で表される。この行列計算の結果、ビーム輸送系全体の転送行列の各成分は以下説明する要にK値の関数となる。
四重極電磁石がn個存在し、それぞれのK値がkと表されるとすると、転送行列の各成分はkからkの関数となる。本実施形態のビーム輸送系は6台の四重極電磁石を含むため、ビーム輸送系全体の転送行列の各成分は、k,k,k,k,k,kの関数となる。
回転ガントリ角度がφ度の場合の本実施形態のビーム輸送系全体の転送行列M(φ)は、固定ビーム輸送系105の転送行列であるMFと回転ガントリビーム輸送系106の転送行列であるMGと式(10)に示したビーム軸周りの回転を表す行列MRT(φ)を用いて、式(12)で表される。
Figure 2019082389
固定ビーム輸送系105と回転ガントリビーム輸送系106はそれぞれ単一平面上にあるため、その転送行列は式(13)のように表される。
Figure 2019082389
任意のガントリ回転角でアイソセンタ104におけるベータトロン振動振幅が不変かつ分散関数を0となるためには、ガントリの回転角が0度および90度の場合に、アイソセンタ104におけるβおよびβの値が、回転角が0度と90度の場合でそれぞれ等しく、かつ回転角が0度と90度の場合でアイソセンタ104におけるηおよびηの値がどちらも0である必要がある。
ここで、回転角が0度および90度の場合のビーム輸送系全体の転送行列は、式(12)中のφをそれぞれ0度および90度とすることで得られ、式(14)のようになる。
Figure 2019082389
従って、この条件は式(5),式(6)中で式(14)を用いて式(15)として表される。
Figure 2019082389
ただし、加速器出口101におけるx方向およびy方向のTwissパラメータをそれぞれβx0,αx0,γx0,βy0,αy0,γy0、x方向およびy方向の分散関数をη,η’,η,η’とし、アイソセンタ104におけるβ,βをそれぞれβx2,βy2と表した。
ビームの中心軌道が単一平面上に含まれ、その平面上から逸脱する方向にビームが偏向されない場合、平面に直交する方向の分散関数ηとその傾きη’は0となる。
従って、本実施形態においてガントリ回転角が0度の場合、η,η’は0となり、式(15)の第四項目は自動的に満たされる。
さらに式(15)に示された条件を、固定ビーム輸送系105と回転ガントリビーム輸送系106の転送行列の各成分を用いて整理すると、式(16)が得られる。
Figure 2019082389
ただし、式(16)中、βx1,αx1,βy1,αy1,ηx1,ηx1’はそれぞれガントリ入口102におけるx方向およびy方向のTwissパラメータ、x方向の分散関数およびその傾きである。
ここで、式(16)の各項目左辺をそれぞれ関数f,f,f,f,f,fと表し、k,kを固定ビーム輸送系四重極電磁石107A,107BのそれぞれのK値、k,k,k,kを回転ガントリ四重極電磁石108A,108B,108C,108DのそれぞれのK値とする。
このように定義すると、βx1,αx1,βy1,αy1,ηx1,ηx1’はガントリ入口102における値であるから、固定ビーム輸送系四重極電磁石107A,107Bの各k値によって値が決まるため、k,kの関数となる。mG11,mG12,mG13,mG14は回転ガントリビーム輸送系106の転送行列の成分であるため、k,k,k,kの関数となる。
これより、f,f,fはk,k,k,k,k,kの関数、f,f,fはk,k,k,kの関数となる。これらをまとめると、式(17)のように表せる。
Figure 2019082389
これより式(16)を解くには、式(18)に示すように、関数fからfに至る6つの関数が0となるような方程式をkからkについて解析的および数値的に解けばよいことになる。
Figure 2019082389
式(18)では、方程式の数と変数の数がともに6であるため、kからkの値を求めることができる。
これより、6台の四重極電磁石を備えるビーム輸送系において、式(18)をkからkについて解析的または数値的に解くことで、アイソセンタ104におけるβおよびβの値が回転角0度と90度の場合でそれぞれ等しく、かつ回転角0度と90度の場合でアイソセンタ104におけるηおよびηの値がどちらも0となるようなK値の組を求めることができる。
ただし、式(16)や式(17)の第四項目,第五項目,第六項目に示すように、f,f,fは回転ガントリ四重極電磁石108のK値のみの関数であるため、これらに関する3つの方程式を解くためには3つのK値の組が必要であり、回転ガントリビーム輸送系106に四重極電磁石が少なくとも3台設置する必要がある。
また、式(16)や式(17)の第一項目における加速器出口101におけるx方向およびy方向の分散関数ηx1,ηx1’は、固定ビーム輸送系105側だけで決定されるパラメータであることから、この2つのパラメータを個々に制御する必要がある。このため、固定ビーム輸送系105側に四重極電磁石を少なくとも2台設置する必要がある。
さらに、式(16)や式(17)の第二項目,第三項目は、固定ビーム輸送系105側と回転ガントリビーム輸送系106側とのいずれでも良いが、好適には、残り1台の四重極電磁石は回転ガントリビーム輸送系106側に設置することで、アイソセンタ104により近い側でのビーム径の増大を抑えるとともに、真空ダクト110内壁へのビーム衝突をより確実に避けることができる。
なお、図1に示すように、回転ガントリビーム輸送系106側に設置する四重極電磁石については、少なくとも1台以上を最後の偏向電磁石109Cの後に設置することが望ましい。
以上の方法で求めたk1からk6の組み合わせを用いた、転送行列による光学計算の結果を図2,図3,図4,図5に示す。
図2は、ガントリ回転角0度の場合のβとβの計算結果であり、横軸が加速器出口101を原点としたビーム進行方向の位置、縦軸がβを示す。図3は、ガントリ回転角0度の場合のηとηの計算結果であり、横軸が加速器出口101を原点としたビーム進行方向の位置、縦軸がηを示す。図4は、ガントリ回転角90度の場合のβとβの計算結果であり、横軸が加速器出口101を原点としたビーム進行方向の位置、縦軸がβを示す。図5は、ガントリ回転角90度の場合のηとηの計算結果であり、横軸が加速器出口101を原点としたビーム進行方向の位置、縦軸がηを示す。図2乃至図5中、実線がx方向の値、破線がy方向の値を示す。
更に、加速器出口101におけるTwissパラメータは、βx0が3.0m、αx0が0.4、βy0が2m、αy0が−0.1、x方向およびy方向の分散関数とその傾きをηが2m、η’が0.15、ηが0m、η’が0であるとした。
図2乃至図5に示した計算結果より、回転角が0度および90度の場合、βとβyはともに2.5mとなり、またηとηともに0.0mとなった。ビームのx方向エミッタンスとy方向エミッタンスが例えば3πmm・mradである場合、アイソセンタ104におけるビーム径はx方向、y方向ともに2.7mmとなり、スキャニング照射法に好適なビーム径を得ることができる。
以上、6台の四重極電磁石を備えたビーム輸送系において、任意のガントリ回転角でベータトロン振動振幅が不変かつ分散関数を0という条件を満たすことが示され、従来は少なくとも8台必要と考えられていた四重極電磁石が6台でも問題ないことが本発明者らによって初めて明らかとなった。
なお、偏向電磁石109A,109B,109Cの各々の偏向角が90度、偏向角の絶対値の総和が270度の場合、また磁極端部の角度が全て同じ場合について説明したが、偏向電磁石109A,109B,109Cの偏向角および磁極端部の角度は、必ずしもそれらの値に限るものではなく、別の偏向角および磁極端部角度を適用した場合でも、任意のガントリ回転角でベータトロン振動振幅が不変かつ分散関数を0という条件を満たすようなK値の組み合わせが存在するため、適宜変更することができる。
また、6台中残り1台の四重極電磁石は回転ガントリビーム輸送系106側に設置する場合に限られず、固定ビーム輸送系105側に設置することができる。この場合も、回転ガントリビーム輸送系106系に設ける四重極電磁石のうち、少なくとも1台を最下流側の偏向電磁石109Cの下流側に設置することが望ましい。
更に、ビーム輸送系に設置する四重極電磁石は6台である場合に限られず、7台設置することができる。この場合、例えばηが加速器出口101において0でないなど調整に必要なパラメータが1つ多い場合であっても、式(15)を満たすk値の組み合わせを求めることができる。
より具体的には、固定ビーム輸送系105に2台、かつ回転ガントリビーム輸送系106に5台、固定ビーム輸送系105に3台、かつ回転ガントリビーム輸送系106に4台、固定ビーム輸送系105に4台、かつ回転ガントリビーム輸送系106に3台、設置することができる。これらの場合も、回転ガントリビーム輸送系106系に設ける四重極電磁石のうち、少なくとも1台を最下流側の偏向電磁石109Cの下流側に設置することが望ましい。
次に、本実施形態の効果について説明する。
上述した本発明の第1の実施形態のビーム輸送系は、加速器から出射された荷電粒子ビームを、加速器出口101からアイソセンタ104まで輸送する固定ビーム輸送系105および回転ガントリビーム輸送系106から成るものであって、加速器出口101からアイソセンタ104に至る輸送経路上に四重極電磁石が6台以上7台以下設置されており、そのうち固定ビーム輸送系105に2台以上4台以下、回転ガントリビーム輸送系106に3台以上5台以下設置されている。
このような構成により、従来は8台が必要とされていた四重極電磁石の員数を低減できるため、ビーム輸送系の摂津面積の低減を図ることができる。また、員数を低減できるため、制御を簡易化することができるとともに、低コスト化を図ることができる。
また、ビーム輸送系は、加速器において荷電粒子ビームを周回させる双極電磁石の動径方向で定義される水平方向および水平方向に対して直交する面で定義される垂直方向の荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅βがアイソセンタ104において回転ガントリビーム輸送系106の回転に対して不変であり、かつ水平方向の分散関数ηおよび垂直方向の分散関数ηが共に0であるため、アイソセンタ104におけるビームの精度を犠牲にせずにガントリの光学設計を成立させることができ、ビームの照射精度を高精度とすることができる。
更に、固定ビーム輸送系105に四重極電磁石が2台、回転ガントリビーム輸送系106に四重極電磁石が4台設置されることで、最低限必要な員数の四重極電磁石が配置されることになり、設置面積の更なる低減化、制御の容易化、低コスト化が可能となる。
また、回転ガントリビーム輸送系106に設置される全ての偏向電磁石109A,109B,109Cの後段側に回転ガントリ四重極電磁石108Dが1台以上設置されることにより、アイソセンタ104におけるビームの精度を犠牲にせずにガントリの光学設計を成立させることができ、ビームの照射精度を高精度とすることができる。
更に、ビーム輸送系が単一平面上で構成されることで、四重極電磁石の員数低減をより確実に図ることができる。
また、回転ガントリビーム輸送系106に設置される全ての偏向電磁石109A,109B,109Cの偏向角の絶対値の総和が270度であることにより、単一平面上における回転ガントリのサイズの小型化を図ることができ、ビーム輸送系の小型化をより確実に達成することができる。
更に、偏向電磁石109A,109B,109Cの偏向角の絶対値が全て等しいことや磁極端面の角度が全て等しいことで、制御が複雑となることを抑制しつつ、四重極電磁石の員数低減をより確実に図ることができる。
<第2の実施形態>
以下、本発明の好適な第2の実施形態のビーム輸送系について図6を用いて説明する。図6に本実施形態のビーム輸送系の全体図を示す。
第1の実施形態と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。以下の実施形態においても同様とする。
図6に示すように、本実施形態のビーム輸送系においては、回転ガントリビーム輸送系106Aに設けられている偏向電磁石601の全ての偏向角が90度、かつ磁極面端部の角度が等しいものとなっている。偏向電磁石601中の電磁石の設計が共通のため、同じ電流値によって励磁することで、偏向電磁石601は等しい二極磁場を発生することができる。
従って、偏向電磁石601の全ての電磁石に対し直列に電流を供給することで、偏向電磁石601を励磁する偏向電磁石電源として共通の偏向電磁石電源602を用いる。
その他の構成・動作は前述した第1の実施形態のビーム輸送系と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の第2の実施形態のビーム輸送系においても、前述した第1の実施形態のビーム輸送系とほぼ同様な効果が得られる。
また、本実施形態のビーム輸送系では、共通の偏向電磁石電源602を用いることで、個別の電磁石電源を用いた場合よりも低コストのビーム輸送系を実現することができる。
<第3の実施形態>
以下、本発明の好適な第3の実施形態の粒子線治療装置について図7を用いて説明する。図7はビーム輸送系を備える粒子線治療装置の全体図である。
図7に示す粒子線治療装置1000は、アイソセンタ104に配置される患者の患部に荷電粒子ビームを照射する装置であって、荷電粒子ビームを生成する加速器と、荷電粒子ビームを照射点まで輸送するビーム輸送系として、第1の実施形態のビーム輸送系または第2の実施形態のビーム輸送系と、を備えている。
加速器としてのライナック701、およびシンクロトロン702により治療に好適なエネルギーまで加速された荷電粒子ビームは加速器出口101から出射され、固定ビーム輸送系105、回転ガントリビーム輸送系106を経てアイソセンタ104へと供給される。
なお本実施形態中のライナック701とシンクロトロン702は、サイクロトロン、シンクロサイクロトロンなど別の加速器であってもよい。
本発明の第3の実施形態の粒子線治療装置では、ビーム輸送系の設置面積が従来より小型化されたために、粒子線治療装置も小型化され、また制御が容易化され、低コスト化が図られたものとなる。
<その他>
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
101…加速器出口(加速器ビーム出射点)
102…ガントリ入口
103…照射装置
104…アイソセンタ
105…固定ビーム輸送系
106…回転ガントリビーム輸送系(回転ガントリ)
107A,107B…固定ビーム輸送系四重極電磁石
108A,108B,108C,108D…回転ガントリ四重極電磁石
109A,109B,109C…偏向電磁石
110…真空ダクト
111A,111B…四重極電磁石電源
112A,112B,112C,112D…四重極電磁石電源
113A,113B,113C…偏向電磁石電源
114…制御装置
116…回転軸
601…偏向電磁石
602…偏向電磁石電源
701…ライナック
702…シンクロトロン

Claims (10)

  1. 加速器から出射された荷電粒子ビームを、加速器ビーム出射点からアイソセンタまで輸送する固定ビーム輸送系および回転ガントリから成るビーム輸送系であって、
    前記加速器ビーム出射点からアイソセンタに至る輸送経路上に四重極電磁石が6台以上7台以下設置されており、そのうち前記固定ビーム輸送系に2台以上4台以下、前記回転ガントリに3台以上5台以下設置される
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  2. 請求項1に記載のビーム輸送系において、
    前記ビーム輸送系は、前記加速器において前記荷電粒子ビームを周回させる双極電磁石の動径方向で定義される水平方向および前記水平方向に対して直交する面で定義される垂直方向の前記荷電粒子ビームのベータトロン振動振幅が前記アイソセンタにおいて前記回転ガントリの回転に対して不変であり、かつ前記水平方向の分散関数および前記垂直方向の分散関数が共に0である
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  3. 請求項1に記載のビーム輸送系において、
    前記四重極電磁石は、前記固定ビーム輸送系に2台、前記回転ガントリに4台設置される
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  4. 請求項1に記載のビーム輸送系において、
    前記回転ガントリに設置される全ての偏向電磁石の後段側に前記四重極電磁石が1台以上設置される
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  5. 請求項1に記載のビーム輸送系において、
    前記回転ガントリが単一平面上で構成される
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  6. 請求項1に記載のビーム輸送系において、
    前記回転ガントリに設置される全ての偏向電磁石の偏向角の絶対値の総和が270度である
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  7. 請求項6に記載のビーム輸送系において、
    前記偏向電磁石の偏向角の絶対値が全て等しい
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  8. 請求項7に記載のビーム輸送系において、
    前記偏向電磁石の磁極端面の角度が全て等しい
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  9. 請求項8に記載のビーム輸送系において、
    全ての前記偏向電磁石を一台の偏向電磁石電源で駆動する
    ことを特徴とするビーム輸送系。
  10. 患者の患部に荷電粒子ビームを照射する粒子線治療装置であって、
    前記荷電粒子ビームを生成する加速器と、
    前記荷電粒子ビームを照射点まで輸送するビーム輸送系として、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載のビーム輸送系と、を備える
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111686377A (zh) * 2020-06-16 2020-09-22 中国科学院近代物理研究所 一种碳离子束超导旋转Gantry
WO2023149170A1 (ja) * 2022-02-04 2023-08-10 株式会社 東芝 粒子線治療システムの製造方法および粒子線治療システム

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