JP2020069302A - 粒子線治療装置の運転条件の決定方法、および粒子線治療装置 - Google Patents

粒子線治療装置の運転条件の決定方法、および粒子線治療装置 Download PDF

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Abstract

【課題】二台目以降の粒子線治療装置についてビーム調整にかかる負荷を軽減し、治療開始までに要する時間を短縮することができる粒子線治療装置の運転条件の決定方法、および粒子線治療装置を提供する。【解決手段】第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第二粒子線治療装置2の運転条件である第二運転条件の決定方法では、第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第一粒子線治療装置1の特性パラメータである第一特性パラメータと、第一粒子線治療装置1に適用された運転条件である第一運転条件と、第二粒子線治療装置2の特性パラメータである第二特性パラメータと、に基づいて、決定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、粒子線治療装置の運転条件の決定方法、および粒子線治療装置に関する。
本技術分野の背景技術の一つとして、特許文献1に記載の技術がある。
この特許文献1には、「本実施形態に係る粒子線ビーム輸送システムは、加速器で生成した粒子線ビームを外部に輸送する主ラインと、前記主ラインから分岐している分岐ラインと、前記分岐ラインの末端に設けた前記粒子線ビームを患者に照射する照射装置を備え、前記主ラインおよび前記分岐ラインの一部または全部が複数のセグメントから構成され、前記セグメントの両端における前記粒子線ビーム特性が略同一であることを特徴とする。」と記載されている。
特開2017−29235号公報
上述した特許文献1には、加速器を用いて加速した荷電粒子ビーム(以下、ビームと呼ぶ)を照射対象へ照射してがん等の治療を行う粒子線治療装置について記載されている。
特許文献1では、加速器から取り出された荷電粒子ビームを照射対象まで輸送するビーム輸送系(以下、高エネルギービーム輸送系と呼ぶ)をビームの進行方向について複数のセグメントに分割し、各セグメントの両端ではビームの特性を略同一とすることが記載されている。
上述の特許文献1に記載の粒子線治療装置では、高エネルギービーム輸送系中の各セグメントの両端におけるビームの特性が略同一であることを利用して、一台の加速器に対して治療室が複数設けられている場合に、高エネルギービーム輸送系中の各治療室への分岐点から照射対象までのビーム輸送系の構成および運転条件を異なる治療室間で同一としている。
これにより、高エネルギービーム輸送系の設計や高エネルギービーム輸送系を構成する電磁石の運転条件を決定する為のビーム調整の負荷を軽減して、治療開始までに要する期間を短縮することを図っている。
一方で、特許文献1に記載の技術では、粒子線治療装置を構成する加速器システムの構成の全体、あるいは一部分が同一である複数の粒子線治療装置を異なる場所に設置する場合、加速器システムの構成が同一であるにもかかわらず、個々の加速器システム毎にビーム調整を行う必要がある。
このため、二台目以降の粒子線治療装置については治療開始までに要する期間を短縮する余地があることが明らかとなった。これは以下のような理由による。
粒子線治療装置用の加速器システムでは、加速器システムを主に構成する機器である電磁石の特性が、電磁石の材料となる鋼板の製造時期等により微妙に異なる。このため、ある粒子線治療装置(以下、第一粒子線治療装置と呼ぶ)において、ビーム調整の結果得られた加速器システムの運転条件を別の粒子線治療装置(以下、第二粒子線治療装置と呼ぶ)にそのまま適用したとしても、第二粒子線治療装置において所望の性能が得られるとは限らない、との問題があった。
加速器システムを構成する電磁石の特性としては、例えば、偏向電磁石の有効的なエッジ角(以下、有効エッジ角と呼ぶ)や偏向電磁石を構成するコイルを流れる電流(以下、励磁電流と呼ぶ)と偏向電磁石の発生する偏向磁場をビーム進行方向に積分した値(以下、磁場積分値と呼ぶ)等が挙げられる。
以上の理由より、特許文献1に記載の粒子線治療装置では、第一粒子線治療装置における加速器システムの調整結果を第二粒子線治療装置の加速器システムに適用できないことから、二台目以降の粒子線治療装置についても一台目と同様のビーム調整を行う必要があり、治療開始までに要する期間を短縮する余地があることが明らかとなった。
そこで本発明では、二台目以降の粒子線治療装置についてビーム調整にかかる負荷を軽減し、治療開始までに要する時間を短縮することができる粒子線治療装置の運転条件の決定方法、および粒子線治療装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、第二加速器により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第二粒子線治療装置の運転条件の決定方法であって、第一加速器により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第一粒子線治療装置の特性パラメータである第一特性パラメータと、前記第一粒子線治療装置に適用された運転条件である第一運転条件と、前記第二粒子線治療装置の特性パラメータである第二特性パラメータと、に基づいて、前記第二粒子線治療装置の運転条件である第二運転条件を決定することを特徴とする。
本発明によれば、二台目以降の粒子線治療装置についてビーム調整にかかる負荷を軽減し、治療開始までに要する時間を短縮することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本発明の実施形態1の複数の粒子線治療装置を備えた粒子線治療システムの全体構成の一例を示す図である。 実施形態1の第一粒子線治療装置の構成を表す図である。 実施形態1の粒子線治療装置の運転条件の決定方法の手順を説明するフロー図である。 実施形態1の粒子線治療システムの構成の他の一例を示す図である。 本発明の実施形態2の複数の粒子線治療装置を備えた粒子線治療システムの全体構成の一例を示す図である。 実施形態2の粒子線治療装置の運転条件の決定方法の手順を説明するフロー図である。
以下に本発明の粒子線治療装置の運転条件の決定方法、および粒子線治療装置の実施形態を、図面を用いて説明する。
<実施形態1>
本発明の粒子線治療装置の運転条件の決定方法、および粒子線治療装置の実施形態1について図1乃至図4を用いて説明する。
最初に、本実施形態の粒子線治療システムの全体構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態の粒子線治療システムの全体構成の一例を示す模式図である。
図1に示すような本実施形態の粒子線治療システム100は、荷電粒子ビーム(以下、ビームと呼ぶ)を加速して照射対象である患者60の患部61(ともに図2参照)へ照射する第一粒子線治療装置1と、この第一粒子線治療装置1と同様の構成を有しており、同様に照射対象である患者60の患部61へ照射する第二粒子線治療装置2と、計算機3と、により構成されている。
本実施形態の粒子線治療システム100を構成する第一粒子線治療装置1の構成について図2を用いて詳しく説明する。図2は第一粒子線治療装置1の構成の詳細を示す模式図である。
図2において、第一粒子線治療装置1は、入射器11より入射された荷電粒子ビーム(以下、ビームと呼ぶ)をシンクロトロン20により所定の運動エネルギー(以下、運動エネルギーを単にエネルギーと呼ぶ)まで加速して高エネルギービーム輸送系30へ取り出し、回転ガントリー40および回転ガントリー40に搭載された照射野形成装置50を経由して患者60中の患部61へ照射するものである。
制御装置70は、シンクロトロン20等を含めた第一粒子線治療装置1を構成する各機器の動作を制御する装置であり、1つまたは複数のプロセッサ、CPU等で構成される。制御装置70による各機器の動作の制御は各種プログラムで実行される。このプログラムはデータベース(図示省略)や内部記録媒体、外部記録媒体に格納されており、CPUによって読み出され、実行される。
なお、制御装置70で実行される動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに別れていてもよく、それらの組み合わせでもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、モジュール化されていても良い。更には、各種プログラムは、プログラム配布サーバや記憶メディアによって各計算機にインストールされてもよい。
入射器11には、例えば、イオン源(図示省略)で生成したビームをシンクロトロン20への入射に適したエネルギー(以下、入射エネルギーという)まで加速する線形加速器(ライナック)が用いられる。ビームは、陽子や、ヘリウムや炭素等の陽子より重い重粒子イオンから構成されるものとする。
入射器11から取り出されたビームは、低エネルギービーム輸送系12および入射用インフレクタ21を経由してシンクロトロン20へ入射される。低エネルギービーム輸送系12は、ビームをシンクロトロン20へ向けて偏向する偏向電磁石13や、ビームの形状をシンクロトロン20への入射に適した形状に整える四極電磁石14などにより構成される。
シンクロトロン20は、入射用インフレクタ21と、複数の偏向電磁石22と、複数の四極電磁石23と、複数の六極電磁石24と、高周波加速空胴25と、取り出し用の高周波電圧印加装置26と、取り出し用の静電デフレクタ27と、取り出し用のセプタム電磁石28とビーム位置モニタ29等により構成される。
偏向電磁石22はシンクロトロン20中を周回するビーム(以下、周回ビームという)を偏向して所定の周回軌道(以下、周回ビーム軌道という)を形成する。
また、シンクロトロンでは、設計上の周回ビーム軌道を中心軌道と呼ぶ。周回ビーム粒子は中心軌道の周りを水平および垂直方向に振動しており、この振動をベータトロン振動という。また、シンクロトロン一周あたりのベータトロン振動の振動数をチューンという。
四極電磁石23は、周回ビームに収束あるいは発散の力を加えて周回ビームのチューンを周回ビームが安定となる値に保つ。
高周波加速空胴25は周回ビームに進行方向の高周波電圧(以下、加速電圧という)を印加して周回ビームを進行方向の所定の位相に捕獲し(以下、高周波捕獲という)、所定のエネルギーまで加速する。
高周波捕獲された周回ビーム粒子の運動量は設計上の運動量(以下、中心運動量という)を中心として振動しており、この振動をシンクロトロン振動という。周回ビームを加速する間は、偏向電磁石22の励磁量と四極電磁石23の励磁量を周回ビームの運動量に比例して増加させるとともに、加速電圧の周波数(以下、加速周波数という)を適切な値に制御して周回ビーム軌道および周回ビームのチューンを一定に保つ必要がある。
周回ビームの加速が完了した後、シンクロトロン20では、四極電磁石23の励磁量を変更して周回ビームの水平チューンを周回ビーム粒子のベータトロン振動が不安定となる値(以下、取り出し用の共鳴線という)に接近させる。
また、シンクロトロン20では、六極電磁石24を励磁して周回ビームに中心軌道からの距離の二乗に比例する強度の磁場(以下、六極磁場という)を印加し、周回ビーム粒子の水平方向の位置と傾きにより定義される位相空間上に水平ベータトロン振動の安定限界(以下、セパラトリクスという)を形成する。
高周波電圧印加装置26は、周回ビームに水平チューンと同期する周波数の水平方向の高周波電圧を印加し、周回ビーム粒子の水平ベータトロン振動の振幅を増大させる。水平ベータトロン振動の振幅が増大してセパラトリクスを越えた周回ビーム粒子は水平ベータトロン振動の振幅が急激に増大し、静電デフレクタ27に入射する。
静電デフレクタ27は、入射した周回ビーム粒子を水平方向に偏向し、セプタム電磁石28に入射させる。
セプタム電磁石28は、静電デフレクタ27により偏向されたビーム粒子をさらに水平方向へ偏向し、シンクロトロン20の外へ取り出す。なお、セプタム電磁石28の替わりにビームを垂直方向に偏向するランバートソン電磁石を用いることも可能である。また、セプタム電磁石28を複数台の電磁石により構成することも可能である。
シンクロトロン20から取り出されたビーム(以下、取り出しビームという)は、高エネルギービーム輸送系30、回転ガントリー40、回転ガントリー40上の照射野形成装置50を経由した後に患部61へ照射される。
高エネルギービーム輸送系30は偏向電磁石31、四極電磁石32等により構成され、シンクロトロン20からの取り出しビームを回転ガントリー40の入口まで輸送する。
回転ガントリー40は、偏向電磁石41、四極電磁石42等により構成され、その終端部には照射野形成装置50が搭載されている。回転ガントリー40は、その全体が回転軸43を軸として回転可能となっており、高エネルギービーム輸送系30から入射したビームを複数の異なる方向から患部61へ照射することができる。
照射野形成装置50は、高エネルギービーム輸送系30、回転ガントリー40を経由して運ばれてきたビームを整形し、患部61の形状に合わせた照射線量の分布(以下、照射野という)を形成する。本実施形態の第一粒子線治療装置1は、ビームを走査電磁石(図示省略)により患部61の形状に合わせて走査するスキャニング照射法を照射野の形成に用いる。
スキャニング照射法では、患者60の体内においてビームが到達する深さを、患者60へ照射されるビームのエネルギーを変更することにより制御する。このため、スキャニング照射法では患者60へ照射されるビームのエネルギーを高い精度(例えば運動量換算で±0.05%以内)で制御する必要がある。第一粒子線治療装置1では、患者60へ照射されるビームのエネルギーを変更するためにシンクロトロン20から取り出されるビームのエネルギーを変更する。
なお、照射野形成装置50で用いる照射法はスキャニング照射法に限られず、様々な公知の照射法とそれを実現するための構成を用いることができる。また、照射野形成装置50は回転させる場合に限られず、固定されたものとすることができる。更には、高エネルギービーム輸送系30は必ずしも必須ではなく、シンクロトロン20から照射野形成装置50に直接ビームを出射させることができる。
シンクロトロン20は、周回ビームの取り出しが完了した後、偏向電磁石22の励磁量、四極電磁石23の励磁量、加速周波数の設定値をシンクロトロン20へのビーム入射時の値に変更し、次のビーム入射に備える。シンクロトロン20へビームを入射してから次にシンクロトロン20へビームを入射するまでの期間をシンクロトロン20の周期と呼ぶ。
本実施形態の第一粒子線治療装置1は、あらかじめ治療計画装置(図示省略)が定めたビームの照射が完了するまで、ビームの入射、加速、取り出し、照射を繰り返す。
図2に示す本実施形態の第二粒子線治療装置2は、前述したように第一粒子線治療装置1と同様の構成を有しており、第一粒子線治療装置1と同様にビームの入射、加速、取り出し、照射を繰り返す。
第二粒子線治療装置2は、基本的には第一粒子線治療装置1とは異なる建屋、病院に設置されるものであるが、同じ建屋や同じ病院内であってもよい。
本実施形態では、第一粒子線治療装置1と第二粒子線治療装置2とで同様の構成となっているのは、第一粒子線治療装置1や第二粒子線治療装置2を構成する各機器の全てであり、加速する粒子も同一とする。
なお、本発明では、加速器がシンクロトロン20である場合、第一粒子線治療装置1と第二粒子線治療装置2とで同様の構成となっているのが、少なくとも第一粒子線治療装置1,第二粒子線治療装置2の加速器であるシンクロトロン20に設けられている偏向電磁石22の半径とエッジ角、四極電磁石23の磁極形状が同一であればよく、他の機器の構成については特段の制限はない。
このような第二粒子線治療装置2の運転条件は、第一粒子線治療装置1の運転条件、第一粒子線治療装置1において測定された特性パラメータ、第二粒子線治療装置2において測定された特性パラメータに基づいて計算機3により決定されたものとなっている。第二粒子線治療装置2の運転条件の決定方法については、詳しくは後述する。
図1に戻り、計算機3は、第一粒子線治療装置1や第二粒子線治療装置2を調整運転した際に求められる特性パラメータに基づいて、それら第一粒子線治療装置1や第二粒子線治療装置2の運転条件を求める演算装置である。計算機3には、第一粒子線治療装置1と第二粒子線治療装置2とがそれぞれ接続されている。
計算機3は、CPUやメモリ、インターフェース等を備えたコンピュータやFPGA(Field−Programmable Gate Array)にプログラムを読み込ませて計算を実行させることで実現できる。これらのプログラムは各構成内の内部記録媒体や外部記録媒体(図示省略)に格納されており、CPUによって読み出され、実行される。
なお、計算機3で実行される動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに別れていてもよく、それらの組み合わせでもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、モジュール化されていても良い。更には、各種プログラムは、プログラム配布サーバや内部記憶媒体や外部記録媒体から各装置にインストールされてもよい。
また、上述の制御装置70と計算機3とが独立している場合について説明したが、独立である必要はなく、2つ以上を一体化,共通化して、処理のみを分担してもよい。また、少なくとも一部の構成が有線もしくは無線のネットワークを介して接続されているものとすることができる。
本実施形態の粒子線治療システム100において、治療開始までの期間を短縮する手法について以下説明する。
粒子線治療装置では、装置を実際に運用するサイトに各構成機器を設置してから実際に治療を開始するまでの間に試験的に装置を運転し、所望のビーム性能を得るために必要な各構成機器の運転条件(例えば治療装置を構成する各電磁石や高周波加速空胴の励磁量とその時間変化パターン)を決定する為の調整(以下、ビーム調整と呼ぶ)が行われる。本発明はこの調整の期間を短縮することによりその負荷の軽減を図るものである。
最初に、第二粒子線治療装置2の運転条件を決定する本発明の粒子線治療装置の運転条件の決定方法の大まかな流れについて図3を用いて説明する。図3は本実施形態の粒子線治療装置の運転条件の決定方法の手順を説明するフロー図である。
まず、第一粒子線治療装置1のビーム調整として、第一粒子線治療装置1を暫定の運転条件で運転し、シンクロトロン20内などに設置されているビーム位置モニタ29等によりビーム電流やビーム通過位置等、第一粒子線治療装置1を特徴付ける特性パラメータを求めるために必要な各種パラメータの測定を行い、演算処理により特性パラメータを求める(ステップS10)。
なお、本実施形態の粒子線治療システムでは、ビームの特性の測定結果から決定できるあらゆるパラメータを特性パラメータとして利用することが可能である。
その後、ステップS10で求めた特性パラメータを計算機3へ出力し、計算機3において入力された特性パラメータを解析し、正式な第一粒子線治療装置1の運転条件を決定する(ステップS11)。
その後、計算機3は、第一粒子線治療装置1へ第一粒子線治療装置運転条件を出力するとともに、第二粒子線治療装置2に対しても第一粒子線治療装置運転条件を出力する(ステップS12)。
次いで、ステップS12で入力された第一粒子線治療装置運転条件に基づいて第二粒子線治療装置2を運転し、シンクロトロン20内などに設置されているビーム位置モニタ29等によりビーム電流やビーム通過位置等、特性パラメータを求めるために必要な各種パラメータの測定を行い、演算処理により特性パラメータを求める(ステップS13)。
その後、ステップS13で求めた第二粒子線治療装置2の特性パラメータを計算機3へ出力する。計算機3では、入力された第二粒子線治療装置2の特性パラメータを、第一粒子線治療装置1において測定された特性パラメータと比較し、比較結果に基づいて第一粒子線治療装置1の運転条件を修正することで第二粒子線治療装置2の正式な運転条件を決定する(ステップS14)。
その後、決定した第二粒子線治療装置2の正式な運転条件を第二粒子線治療装置2へ出力し(ステップS15)、第二粒子線治療装置2の調整が終了する。
特性パラメータは、粒子線治療システム100を特徴付けるパラメータであり、ビーム調整の負荷の軽減に有用な値である。具体的には、以下の値が挙げられる。
1.シンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比
2.シンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の有効エッジ角
以下、上述した2種のパラメータと、その測定手法について詳細に説明する。以下の測定手法の流れは、上述した図3のステップS10およびステップS11内における処理の一例である。
まず、シンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比の測定について説明する。ここで、測定される磁場積分値とは、偏向電磁石22の磁場積分値をシンクロトロン20の1周分について合計した値のことである。励磁電流とは、偏向電磁石22を構成するコイル(図示省略)を流れる電流を指し、磁場積分値とは偏向電磁石22が発生する偏向磁場(垂直方向に平行な磁場)をビーム進行方向について積分した値を指す。
シンクロトロン20からのビーム取り出しの調整では、周回ビームのエネルギーが所望の値となる様に高周波加速空胴25の加速周波数が設定され、この状態でビーム位置モニタ29により測定される水平ビーム位置の平均値が0となる様に偏向電磁石22の励磁電流が設定される。
周回ビーム水平位置の測定結果の平均が0となるときの周回ビーム粒子から見たシンクロトロンの周長は設計値Lと一致しており、加速周波数fと周回ビーム粒子の速度vとの間には以下に示す式(1)に示す関係が成立している。
Figure 2020069302
また、シンクロトロン20では、一様磁場中を円運動するビーム粒子の回転半径と磁場強度の積である磁気剛性率Bρは、粒子速度vを用いると以下に示す式(2)により与えられる。
Figure 2020069302
ここで、式(2)中、mは周回ビーム粒子の静止質量、qは周回ビーム粒子の電荷量、γはローレンツファクタである。この式(2)中のローレンツファクタγは、粒子速度vと光速cとを用いると、以下に示す式(3)により求めることができる。
Figure 2020069302
更に、磁気剛性率Bρと偏向電磁石22の磁場積分値BLとの間には、以下に示す式(4)の関係がある。
Figure 2020069302
式(4)の右辺は、偏向電磁石22の磁場積分値をシンクロトロン20の1周分について合計した値となる。
これら式(1)乃至式(4)を用いると、ビーム調整完了後の加速周波数から偏向電磁石22の磁場積分値が求められる。
また、偏向電磁石22の励磁電流と磁場積分値の比は、求めた磁場積分値を励磁電流で除することにより求められる。
この偏向電磁石22の励磁電流は、偏向電磁石22が同一の電磁石電源(図示省略)に接続されている場合、励磁電流の設定値あるいは測定値から一意に定まる。
なお、個々の偏向電磁石22が別個の電磁石電源に接続されている場合は、偏向電磁石22の励磁電流は個々の偏向電磁石22の励磁電流の平均値とすれば良い。
第一粒子線治療装置1のビーム調整では、ビーム取り出しを行う各エネルギーについて加速周波数の設定と偏向電磁石22の励磁電流の調整を行う。従って、第一粒子線治療装置1では、ビーム調整が完了した全てのエネルギーについて偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比が測定されることになる。
次に、シンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の有効エッジ角とその測定手法について説明する。
一般に、偏向電磁石の端面と中心軌道に垂直な平面がなす角はその偏向電磁石のエッジ角と呼ばれている。この偏向電磁石のエッジ角がεである場合、偏向電磁石を通過するビームは偏向電磁石の端部において下記の輸送行列(式(5))で表される収束、あるいは発散の力を受けることが知られている。
Figure 2020069302
ここで、式(5)中、ρは偏向電磁石の曲率半径である。εは、偏向電磁石入口側については偏向電磁石端面が偏向電磁石による偏向方向と同じ方向に回転する場合を正とし、偏向電磁石出口側については偏向電磁石端面が偏向電磁石による変更方向と逆方向に回転する場合を正とする。このεが正である場合ビームは水平方向に発散、垂直方向に収束の力を受け、εが負である場合ビームは水平方向に収束、垂直方向に発散の力を受ける。
シンクロトロン20中の周回ビームが偏向電磁石22から受ける収束力、発散力は偏向電磁石22のエッジ角から式(5)により求められる値と厳密には一致しない。
そこで、偏向電磁石22は、磁極形状自体のエッジ角とは別に、実効的なエッジ角εEx(水平有効エッジ角)、εEy(垂直有効エッジ角)を持っており、ビームが偏向電磁石端部において受ける収束力、発散力が以下の輸送行列(式(6))により表されるものとする。
Figure 2020069302
ここで、粒子線治療用のシンクロトロンでは、ビーム取り出しの為に、周回ビームの水平チューンを取り出し用共鳴線の付近で高い精度(例えば±0.001以内)で制御する必要がある。
偏向電磁石22の有効エッジ角はシンクロトロン20のチューンに大きく影響を与える為、ビーム取り出し時のシンクロトロン20の運転条件は有効エッジ角の磁極形状自体が持つエッジ角からのずれを考慮して決定する必要がある。ここでは、特に影響を受けるのは四極電磁石23の励磁量である。
本実施形態の第一粒子線治療装置1では、シンクロトロン20のチューンの測定結果から偏向電磁石22の有効エッジ角を決定する。シンクロトロン20のチューンの測定手法について詳しくは述べないが、例えば周回ビーム位置モニタ29で得られた周回ビームの信号を周波数解析することによりシンクロトロン20の水平、垂直チューンを測定することが可能である。
偏向電磁石22の磁極自体のエッジ角ε、偏向電磁石22の有効エッジ角εEx,εEyとの間には、以下に示す式(7)に示す関係がある。
Figure 2020069302
ここで式(7)中、Δνは水平チューンの測定結果νMxとエッジ角εを用いて計算した水平チューンの計算結果νCxの差を表し、Δνは垂直チューンの測定結果νMyとエッジ角εを用いて計算した垂直チューンの計算結果νCyの差を表す。β(s)およびβ(s)はそれぞれ偏向電磁石22の端部におけるシンクロトロン20の水平ベータトロン関数、垂直ベータトロン関数を表し、sは進行方向の位置を表している。ρは偏向電磁石22の曲率半径を表す。
本実施形態では第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20を構成する偏向電磁石22は全て同一の設計をしており、偏向電磁石22の入口側のエッジ角と出口側のエッジ角とが等しいものとする。
シンクロトロン20のチューンの測定結果の計算結果からのずれは、偏向電磁石22の端部における有効エッジ角とエッジ角との差による影響をシンクロトロン20一周分について合計することで求められる。式(7)においてチューンの測定結果と有効エッジ角以外の値は既知であるから、チューンを測定することで偏向電磁石22の有効エッジ角が求められることになる。
偏向電磁石22が発生する磁場分布は磁極の制作誤差などにより個々の偏向電磁石22ごとに異なるが、式(7)ではチューンの測定結果を説明できる平均的な、あるいは代表的なエッジ角が偏向電磁石22の有効エッジ角として算出される。
なお、チューンの測定結果には偏向電磁石22の磁場分布以外の誤差要因、例えば四極電磁石23の励磁量の設計値からの微小なずれ等による影響も含まれているが、本実施形態ではこれら全てを偏向電磁石22の有効エッジ角として表現する。
第一粒子線治療装置1のビーム調整では、ビーム取り出し時のシンクロトロン20の運転条件を決定する際にシンクロトロン20のチューンを測定し、チューンの測定結果を用いて四極電磁石23の励磁量を決定する。従って、第一粒子線治療装置1では、ビーム取り出しの調整が完了したエネルギーについて偏向電磁石22の有効エッジ角が測定されることになる。
第一粒子線治療装置1のビーム調整が完了した後、第一粒子線治療装置1は第一粒子線治療装置1の運転情報と第一粒子線治療装置1において測定された特性パラメータを計算機3へ出力する。
第一粒子線治療装置1の運転情報および特性パラメータの出力はネットワークを介して行っても良いし、第一粒子線治療装置1において運転条件および特性パラメータを光学メディア等の情報記録媒体に保存し、計算機3にて情報記録媒体から運転条件および特性パラメータを読み込んでも構わない。
本発明では、運転条件は、第一粒子線治療装置1を構成する各機器の励磁量とその時間変化パターンのことを意味し、計算機3により決定される(図3のステップS11)。
励磁量の具体例としては、例えば、シンクロトロン20へのビームの入射、シンクロトロン20でのビームの加速、シンクロトロン20からのビームの取り出しの各段階における、低エネルギービーム輸送系12の偏向電磁石13の励磁電流、四極電磁石14の励磁電流、シンクロトロン20の偏向電磁石22の励磁電流、四極電磁石23の励磁電流、六極電磁石24の励磁電流、高周波加速空胴25の加速周波数、高周波加速空胴25の印加電圧、取り出し用の高周波電圧印加装置26へ印加する高周波電圧の周波数と強度、取り出し用の静電デフレクタ27の印加電圧、取り出し用のセプタム電磁石28の励磁電流、高エネルギービーム輸送系30の偏向電磁石31の励磁電流、四極電磁石32の励磁電流、回転ガントリー40の偏向電磁石41の励磁電流、四極電磁石42の励磁電流等が挙げられる。
また、第一粒子線治療装置1の動作に伴う第一粒子線治療装置1を構成する各機器の励磁量の時間変化のパターンについても第一粒子線治療装置1の運転条件として計算機3へ出力される。
第一粒子線治療装置1から計算機3へ出力される運転条件は上記に挙げた内容に限る必要は無く、第一粒子線治療装置1の動作に必要となる任意の運転条件を計算機3へ出力することが可能である。
第一粒子線治療装置1の特性パラメータについても、前述の偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比、および偏向電磁石22の有効エッジ角に加え、第一粒子線治療装置1で測定される任意の測定パラメータを計算機3へ出力することが可能である。
第一粒子線治療装置1の運転条件、特性パラメータの測定結果および第二粒子線治療装置2の特性パラメータの測定結果を用いて第二粒子線治療装置2のビーム調整の負荷を軽減する手法について以下説明する。以下の手法は上述した図3のステップS12乃至ステップS15内における処理の一例である。
第二粒子線治療装置2のビーム調整を開始する前に、計算機3から第二粒子線治療装置2に第一粒子線治療装置1の運転条件が出力される(図3のステップS12)。従って、第二粒子線治療装置2はビーム調整を行う前であっても、同様の構成を有する第一粒子線治療装置1と同じ運転条件によってある程度の精度で動作することが可能である。
一方、第二粒子線治療装置2と第一粒子線治療装置1の間には電磁石の制作時期や制作誤差等に依存する個体差があるため、第一粒子線治療装置1と同じ運転条件を用いた場合、第二粒子線治療装置2では所望のビーム性能を満たすためには更なる調整が必要である、との問題がある。
例えば、第一粒子線治療装置1の偏向電磁石22と第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22では磁場積分値と励磁電流との比が異なる。このため、第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22の励磁電流を第一粒子線治療装置1の偏向電磁石22と同じ値に設定したとしても、第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22の磁場積分値は第一粒子線治療装置1の偏向電磁石22の磁場積分値と同じ値になるとは限らない。
しかし、第二粒子線治療装置2のビーム取り出し中の加速周波数は第一粒子線治療装置1と同じ値に設定される。この為、第二粒子線治療装置2の取り出しビームのエネルギーは磁場積分値の違いにより第一粒子線治療装置1とは異なる値となる可能性がある。
そこで、調整者は第二粒子線治療装置2を第一粒子線治療装置1と同じ運転条件で運転し、第二粒子線治療装置2の特性パラメータを第一粒子線治療装置1と同様の手法により測定する(図3のステップS13)。
ここで、第一粒子線治療装置1ではビーム調整を実施する全てのエネルギーについてビーム調整の結果として特性パラメータが取得されている。これに対し、第二粒子線治療装置2では、調整対象とする全てのエネルギーについて特性パラメータを測定する必要は無く、少なくとも1エネルギー以上で取得すればよい。例えば3,4エネルギー程度とすることができる。
第二粒子線治療装置2は第二粒子線治療装置2における特性パラメータの測定結果を計算機3に出力し、計算機3は第一粒子線治療装置1における特性パラメータの測定結果と第二粒子線治療装置2における特性パラメータの測定結果とに基づいて、第一粒子線治療装置1の運転条件から第二粒子線治療装置2の新しい運転条件を作成する(図3のステップS14)。
具体的には、計算機3は、第二粒子線治療装置2の新しい運転条件を、第一粒子線治療装置1の特性パラメータと第二粒子線治療装置2の特性パラメータとの違いによる影響を補償するように、第一粒子線治療装置1の全てのエネルギーでの運転条件を修正することで作成する。
この為、新しい運転条件により運転される第二粒子線治療装置2では、計算機3から入力された運転条件を用いて所望のビーム性能を得ることが可能となる。
すなわち、第二粒子線治療装置2では、第一粒子線治療装置1のように使用する全てのエネルギーについてビーム調整を行う必要は無く、一つあるいは幾つかの限られたエネルギーについて特性パラメータを測定し、特性パラメータに基づいて第一粒子線治療装置1の運転条件を全てのエネルギーで変更することで運転条件を作成することができる。従って、ビーム調整の負荷を軽減し、治療開始までの期間を短縮することが可能となる。
計算機3は、新しい運転条件を第二粒子線治療装置2へ出力し、第二粒子線治療装置2は新しい運転条件に基づいて運転される(図3のステップS15)。
以下、第一粒子線治療装置1における特性パラメータの測定結果と第二粒子線治療装置2における特性パラメータとの測定結果を用いて第二粒子線治療装置2用の新しい運転条件を作成する手法について説明する。ここでは、偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比および偏向電磁石22の有効エッジ角を例に用いる。
まず、偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比を用いて運転条件を補償する手法について説明する。
第一粒子線治療装置1の偏向電磁石22について測定した磁場積分値BLと励磁電流IB1の比をRB1、第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22について測定した磁場積分値BLと励磁電流IB2の比をRB2とおく。RB1およびRB2は以下に示す式(8)により表すことができる。
Figure 2020069302
第二粒子線治療装置2における偏向電磁石22の磁場積分値を第一粒子線治療装置1における偏向電磁石22の磁場積分値と一致させるには、第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22の励磁電流iB2を第一粒子線治療装置1の偏向電磁石22の励磁電流iB1に対して以下に示す式(9)に示す値に設定すれば良い。
Figure 2020069302
磁場積分値と励磁電流の比RB1,RB2はエネルギーにより変化する値であるが、RB1,RB2はエネルギーに依らず略一定の値となる。
このことから、第二粒子線治療装置2のあるエネルギーにおいて測定したRB2を用いて全てのエネルギー、全ての運転段階におけるiB2を導出することが可能となる。
これにより、第二粒子線治療装置2の全てのエネルギーについてビーム取り出し時の偏向電磁石22の励磁電流を周回ビーム水平位置の調整結果から調整する場合に比べ、調整負荷の軽減が可能となる。
なお、RB1とRB2の比のエネルギー依存性を考慮したより高精度なビーム調整を行う為に、第二粒子線治療装置2について複数のエネルギーにおけるRB2を測定し、エネルギーとRB2との関係を補間により導出し、RB1とRB2の比を調整対象となるエネルギーごとに求めることが望ましい。
この場合、例えば、シンクロトロン20へのビーム入射時のエネルギー、治療で使用する最低のエネルギー、治療で使用する最高のエネルギーについてRB2を測定し、RB2の測定結果をエネルギーあるいは運動量を用いてスプライン補間することで各エネルギーにおけるRB2を導出することが望ましい。
第二粒子線治療装置2においてRB2を測定する回数は、調整対象となるエネルギー数よりも少ない(スキャニング照射法の場合、例えば1/10以下とできる)。この為、RB2の測定を複数のエネルギーで行う場合であっても、ビーム調整の負荷は従来に比べて軽減される。
また、RB2の測定を複数のエネルギーにおいて行うことにより、RB1とRB2の比がエネルギーに依って変化する場合、例えば磁場積分値とコイル電流の比が磁束の飽和により減少し始めるエネルギーが第一粒子線治療装置1の偏向電磁石22と第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22で異なる場合であっても、第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22の励磁電流iB2を精度良く設定することが可能となる。
次に、偏向電磁石22の有効エッジ角を用いて運転条件を補償する手法について説明する。
第一粒子線治療装置1の四極電磁石23の励磁電流と第二粒子線治療装置2の四極電磁石23の励磁電流とを同じ値に設定した場合、第二粒子線治療装置2の水平チューンνx2の第一粒子線治療装置1の水平チューンνx1からの変化量Δνx12は、第一粒子線治療装置1の偏向電磁石22の水平有効エッジ角εEx1と第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22の水平有効エッジ角εEx2とを用いて以下に示す式により与えられる。
Figure 2020069302
ここで、式(10)中のρ、β(s)の意味は式(7)と同じである。
上述のように、粒子線治療用のシンクロトロンでは、ビーム取り出し時の水平チューンを精度良く設定する必要がある。
第二粒子線治療装置2におけるビーム取り出し時の水平チューンを第一粒子線治療装置1と一致させるために、第二粒子線治療装置2の四極電磁石23の励磁電流は、式(10)に示されるチューンの変化量を補正する様に、即ち、水平チューンの変化量が−Δνx12となる様に設定される。
四極電磁石23の励磁電流を微小に変化させた場合のシンクロトロン20の水平チューンの変化量Δνは、以下に示す式(11)
Figure 2020069302
と表される。ここで、ΔKは四極電磁石23の磁場勾配を磁気剛性率で除した値の変化量であり、ビームを水平方向に収束する四極電磁石の励磁電流を上昇させた場合に負の値を取る。Lは四極電磁石の磁極長であり、β(s)は四極電磁石設置地点におけるシンクロトロン20の水平ベータトロン関数を表す。
なお、本実施形態では四極電磁石23は全て同一設計かつ励磁電流も同一であると仮定している。
第二粒子線治療装置2におけるビーム取り出し時の水平チューンを第一粒子線治療装置1の水平チューンと一致させるためには、Δνが−Δνx12と等しくなる様なΔKを算出する。その後、算出したΔKと第一粒子線治療装置1の四極電磁石23の励磁電流iQ1とを用いて、以下に示す式(12)により第二粒子線治療装置2の四極電磁石23の励磁電流iQ2を求めることが良い。
Figure 2020069302
ここで、Kは四極電磁石23の磁場勾配を磁気剛性率で除した値である。
有効エッジ角εEx1,εEx2はエネルギーにより変化する値であるが、式(10)に示す収束力の差はエネルギーに依らず略一定の値となる。従って、有効エッジ角εEx1,εEx2については前述の磁場積分値と励磁電流の比の場合と同様、あるエネルギーにおける有効エッジ角の測定結果を全てのエネルギーに対して用いることができる。
第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20において水平チューンの正確な値を実測に依らず求めるにはエネルギーごとの有効エッジ角が判明している必要があるが、第一粒子線治療装置1の運転条件から第二粒子線治療装置2の運転条件を作成する上では有効エッジ角の変化量のみが重要となる。
第二粒子線治療装置2の四極電磁石23の運転条件を、第一粒子線治療装置1の四極電磁石23の運転条件と偏向電磁石22の有効エッジ角の測定結果、および第二粒子線治療装置2の偏向電磁石22の有効エッジ角に基づいて作成することで、第二粒子線治療装置2におけるビーム調整の負荷を軽減しながら所望のビーム性能を得ることが可能となる。
磁場積分値と励磁電流の比の場合と同様、偏向電磁石22の有効エッジ角についても代表的ないくつかのエネルギーにおける有効エッジ角を実測し、各エネルギーにおける有効エッジ角を補間により求めることができる。
第二粒子線治療装置2の運転条件のうち、例えば六極電磁石24の励磁電流については精密な調整が必要でないことから、第一粒子線治療装置1における運転条件をそのまま用いることができる。こういった高い精度での調整を必要としない機器の運転条件については、計算機3は第一粒子線治療装置1における運転条件を変更することなく第二粒子線治療装置2へ出力し、第二粒子線治療装置2は第一粒子線治療装置1と一致した運転条件により運転することができる。
なお、上述した六極電磁石24等の高い精度の調整が不要な機器の運転条件についても、偏向電磁石22や四極電磁石23と同等に第一粒子線治療装置1の運転条件を適宜変更して作成することができることは言うまでもない。
次に、本実施例の効果について説明する。
上述した本発明の実施形態1の第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第二粒子線治療装置2の運転条件である第二運転条件の決定方法では、第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第一粒子線治療装置1の特性パラメータである第一特性パラメータと、第一粒子線治療装置1に適用された運転条件である第一運転条件と、第二粒子線治療装置2の特性パラメータである第二特性パラメータと、に基づいて、決定する。
これによって、第二粒子線治療装置2におけるビーム調整の負荷を軽減し、治療開始までの期間を短縮することが可能となる。
また、加速器をシンクロトロン20とし、第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20が有する偏向電磁石22の半径と、第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20が有する偏向電磁石22の半径とは、略同一である。シンクロトロン20では、ビーム出射に必要な精度を出すための調整が必要な偏向電磁石22と四極電磁石23とを有しているが、2台目以降である第二粒子線治療装置2では、特にこれら偏向電磁石22や四極電磁石23の調整量を大幅に減らすことが可能であり、本発明の効果を特に大きく得ることができる。
更に、特性パラメータには、シンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比、シンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の有効エッジ角、のうち少なくともいずれか一方が含まれることで、ビーム出射に必要な精度を出すための調整に大きく影響するこれらのパラメータの調整を大幅に減らすことができる。
また、第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の励磁電流が、第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の励磁電流、第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比、第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の磁場積分値と励磁電流の比、に基づいて決定されること、更に、第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20を構成する四極電磁石23の励磁電流が、第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20を構成する四極電磁石23の励磁電流、第一粒子線治療装置1のシンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の有効エッジ角、第二粒子線治療装置2のシンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の有効エッジ角、に基づいて決定されることで、ビーム調整の負荷を軽減しつつ、治療に必要な精度をより確実かつ簡易に確保することができる。
また、運転条件は、シンクロトロン20を構成する偏向電磁石22の励磁量と時間変化パターン、シンクロトロン20を構成する四極電磁石23の励磁量と時間変化パターン、のうち少なくともいずれか一方が含まれることにより、ビーム調整の負荷の軽減する、との上記本発明の効果を効果的に得ることが可能となる。
更に、第二粒子線治療装置2の特性パラメータを、荷電粒子ビームの全てのエネルギーで測定せず、運転の際に測定される特性パラメータと第一粒子線治療装置1において測定された特性パラメータとの比から補間することによって第二粒子線治療装置2の運転条件を決定することで、出射する全てのエネルギーでの調整を省略することができ、第二粒子線治療装置2におけるビーム調整の負荷をより確実に軽減し、治療開始までの期間をより短縮することが可能となる。
なお、本実施形態では、同一設計の2台の粒子線治療装置から構成される粒子線治療システムのうち、2台目の粒子線治療装置のビーム調整を行う場合を例として構成および効果を説明したが、本発明は同一設計の3台以上の粒子線治療装置から構成される粒子線治療システムに対しても適用することが可能である。
以下、図4を用いて粒子線治療システムが3台以上の同一設計の粒子線治療装置により構成される場合について説明する。図4はそのような場合の粒子線治療システムの模式図である。
図4に示すような3台以上の同一設計の粒子線治療装置(第一粒子線治療装置1、第二粒子線治療装置2、第三粒子線治療装置4、第四粒子線治療装置5、…)を備える粒子線治療システム100Aの場合、調整対象となる2台目以降の粒子線治療装置(第二粒子線治療装置2、第三粒子線治療装置4、第四粒子線治療装置5、…)それぞれについて、特性パラメータを全てのエネルギーではなく少なくとも一つのエネルギーで取得し、1台目の第一粒子線治療装置1の運転条件をそれぞれの特性パラメータを用いて変更することにより、2台目以降の粒子線治療装置において所望のビーム性能が得られる。
なお、本実施形態では第一粒子線治療装置1と第二粒子線治療装置2の設計が同一であるとしたが、第一粒子線治療装置1と第二粒子線治療装置2の構成は部分的に異なっていても構わない。例えば、シンクロトロン20のみが同一で、他の機器の設計が異なる場合にも適用することができる。この場合、シンクロトロン20のビーム調整については本実施形態と同様にビーム調整の負荷を軽減することが可能である。
更には、入射器や低エネルギービーム輸送系、シンクロトロンの設計が同一で、高エネルギービーム輸送系や回転ガントリーの設計が異なる複数の粒子線治療システムに対しても、それらの中に配置されている電磁石の半径やエッジ角、磁極形状が同一である場合、本発明の運転条件の決定方法を適用することができる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2の粒子線治療システムについて図5および図6を用いて説明する。実施形態1と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。図5は実施形態2の複数の粒子線治療装置を備えた粒子線治療システムの全体構成の一例を示す図である。図6は実施形態2の粒子線治療装置の運転条件の決定方法の手順を説明するフロー図である。
本発明の粒子線治療システム100Bは、実施形態1の粒子線治療システム100と同様に、第二粒子線治療装置2Bの運転条件を第一粒子線治療装置1Bの運転条件と第一粒子線治療装置1Bにおいて測定した特性パラメータと第二粒子線治療装置2Bにおいて測定した特性パラメータにおいて測定した特性パラメータに基づいて決定する。
一方で、図5に示す本実施形態の粒子線治療システム100Bでは、第二粒子線治療装置2Bの運転条件が第一粒子線治療装置1Bの運転条件と同様に計算機3Bへ出力される点、計算機3Bが第二粒子線治療装置2Bの運転条件に基づいて作成された運転条件を第一粒子線治療装置1Bへも出力する点が実施形態1の粒子線治療システム100と異なっている。
治療で用いるエネルギーを追加する場合を例として、本実施形態の粒子線治療システム100Bにおいて動作条件を追加する際のビーム調整の負荷を軽減する手法について詳しく説明する。
まず、前提条件として、計算機3Bに同一設計の第一粒子線治療装置1と第二粒子線治療装置2Bが接続されており、両方の粒子線治療システムにおいて追加予定となるエネルギー(以下、追加エネルギーと呼ぶ)以外のエネルギーについてビーム調整が完了している状態を想定する。
ビーム調整が一旦完了した粒子線治療システムに治療で用いるエネルギーを追加する場合、追加エネルギーについては別途ビーム調整を行う必要がある。ここで、第一粒子線治療装置1Bが例えば既に患者の治療を開始しており、ビーム調整のための運転時間が取れない、といった事情がある場合、追加エネルギーのビーム調整は第二粒子線治療装置2Bを用いて行うことが望ましい。
そこで、図6に示すように、最初は、第二粒子線治療装置2Bを追加エネルギーでの暫定の運転条件で運転し、シンクロトロン20内などに設置されているビーム位置モニタ29等によりビーム電流やビーム通過位置等、第二粒子線治療装置2Bを特徴付ける特性パラメータを求めるために必要な各種パラメータの測定を行い、演算処理により特性パラメータを求める(ステップS20)。
その後、計算機3BへステップS20で求めた特性パラメータを出力し、計算機3Bにおいて入力された特性パラメータを解析し、正式な第二粒子線治療装置2Bの追加エネルギー運転条件を決定する(ステップS21)。その後、計算機3Bは第二粒子線治療装置2Bへ第二粒子線治療装置追加エネルギー運転条件を出力する(ステップS22)。
ここで、計算機3Bには、第二粒子線治療装置2Bの最初の運転条件の決定の際に、第一粒子線治療装置1Bの特性パラメータと第二粒子線治療装置2Bの特性パラメータとが既に入力,記憶されている。
そこで、計算機3Bは、第二粒子線治療装置2Bの追加エネルギー運転条件と、第一粒子線治療装置1Bの特性パラメータと、第二粒子線治療装置2Bの特性パラメータと、に基づいて、第一粒子線治療装置1Bの追加エネルギー運転条件を実施形態1と同様の手法により作成する(ステップS23)。
計算機3Bはこのようにして作成された運転条件を第一粒子線治療装置1Bへ出力する(ステップS24)。
第一粒子線治療装置1Bは、追加エネルギーについては、ステップS24で計算機3Bから入力された運転条件に基づいて運転される。計算機3Bから入力された運転条件は第一粒子線治療装置1Bの特性パラメータと第二粒子線治療装置2Bの特性パラメータの違いを考慮したうえで作成されている為、第一粒子線治療装置1Bでは追加エネルギーについて運転条件を修正する為のビーム調整を行うことなく、追加エネルギーについても所望のビーム性能を得ることが可能となる。
その他の構成・動作は前述した実施形態1の粒子線治療システム100と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の実施形態2の粒子線治療システム100Bにおいても、前述した実施形態1の粒子線治療システム100とほぼ同様な効果が得られる。
また、本実施形態の粒子線治療システム100Bでは、実施形態1の効果に加えて、粒子線治療システム100Bの動作条件を追加する際のビーム調整の負荷を軽減することが可能となる。ここで言う粒子線治療システムの動作条件とは、治療で用いるエネルギー、照射ビームサイズ、照射ビーム電流といったビーム性能に関わる動作条件を指す。
なお、本実施形態においても、上述した実施形態1と同様、粒子線治療システムを3台以上の同一設計の粒子線治療装置により構成することが可能である。
3台以上の同一設計の粒子線治療装置により構成された場合、各粒子線治療装置において測定した特性パラメータと各粒子線治療装置の運転条件を計算機3Bへ集約し、ある粒子線治療装置に対して実施したビーム調整の結果を速やかにその他の粒子線治療装置へ展開することが可能となる。これにより個々の粒子線治療装置については、特に動作条件の追加時にビーム調整の負荷を軽減することが可能となる。
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、各粒子線治療装置の加速器がシンクロトロンの場合について説明したが、電磁石の半径、エッジ角、磁極形状の設計が同一であれば、他の種類の加速器であっても構わない。
1,1B…第一粒子線治療装置
2,2B…第二粒子線治療装置
3,3B…計算機
4…第三粒子線治療装置
5…第四粒子線治療装置
11…入射器
12…低エネルギービーム輸送系
13…偏向電磁石
14…四極電磁石
20…シンクロトロン(第一加速器、第二加速器)
21…入射用インフレクタ
22…偏向電磁石
23…四極電磁石
24…六極電磁石
25…高周波加速空胴
26…高周波電圧印加装置
27…静電デフレクタ
28…セプタム電磁石
29…ビーム位置モニタ
30…高エネルギービーム輸送系
31…偏向電磁石
32…四極電磁石
40…回転ガントリー
41…偏向電磁石
42…四極電磁石
43…回転軸
50…照射野形成装置
60…患者
61…患部(照射対象)
70…制御装置
100,100A,100B…粒子線治療システム

Claims (8)

  1. 第二加速器により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第二粒子線治療装置の運転条件の決定方法であって、
    第一加速器により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第一粒子線治療装置の特性パラメータである第一特性パラメータと、前記第一粒子線治療装置に適用された運転条件である第一運転条件と、前記第二粒子線治療装置の特性パラメータである第二特性パラメータと、に基づいて、前記第二粒子線治療装置の運転条件である第二運転条件を決定する
    ことを特徴とする粒子線治療装置の運転条件の決定方法。
  2. 請求項1に記載の粒子線治療装置の運転条件の決定方法において、
    前記第一加速器と前記第二加速器とは、シンクロトロンであり、
    前記第一加速器が有する偏向電磁石の半径と、前記第二加速器が有する偏向電磁石の半径とは、略同一である
    ことを特徴とする粒子線治療装置の運転条件の決定方法。
  3. 請求項2に記載の粒子線治療装置の運転条件の決定方法において、
    前記特性パラメータには、前記シンクロトロンを構成する偏向電磁石の磁場積分値と励磁電流の比、前記シンクロトロンを構成する前記偏向電磁石の有効エッジ角、のうち少なくともいずれか一方が含まれる
    ことを特徴とする粒子線治療装置の運転条件の決定方法。
  4. 請求項3に記載の粒子線治療装置の運転条件の決定方法において、
    前記第二粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する偏向電磁石の励磁電流が、
    前記第一粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する偏向電磁石の励磁電流、
    前記第一粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する前記偏向電磁石の磁場積分値と励磁電流の比、
    前記第二粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する偏向電磁石の磁場積分値と励磁電流の比、に基づいて決定される
    ことを特徴とする粒子線治療装置の運転条件の決定方法。
  5. 請求項3に記載の粒子線治療装置の運転条件の決定方法において、
    前記第二粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する四極電磁石の励磁電流が、
    前記第一粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する四極電磁石の励磁電流、
    前記第一粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する偏向電磁石の有効エッジ角、
    前記第二粒子線治療装置の前記シンクロトロンを構成する偏向電磁石の有効エッジ角、に基づいて決定される
    ことを特徴とする粒子線治療装置の運転条件の決定方法。
  6. 請求項2に記載の粒子線治療装置の運転条件の決定方法において、
    前記運転条件は、前記シンクロトロンを構成する偏向電磁石の励磁量と時間変化パターン、前記シンクロトロンを構成する四極電磁石の励磁量と時間変化パターン、のうち少なくともいずれか一方が含まれる
    ことを特徴とする粒子線治療装置の運転条件の決定方法。
  7. 請求項1に記載の粒子線治療装置の運転条件の決定方法において、
    前記第一特性パラメータと前記第二特性パラメータとの比から補間することによって前記第二運転条件を決定する
    ことを特徴とする粒子線治療装置の運転条件の決定方法。
  8. 第二加速器により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第二粒子線治療装置であって、
    第一加速器により加速した荷電粒子ビームを照射対象に照射する第一粒子線治療装置の特性パラメータである第一特性パラメータと、前記第一粒子線治療装置に適用された運転条件である第一運転条件と、前記第二粒子線治療装置の特性パラメータである第二特性パラメータと、に基づいて、前記第二粒子線治療装置の運転条件である第二運転条件が決定される
    ことを特徴とする第二粒子線治療装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113409981A (zh) * 2021-06-18 2021-09-17 中国科学院近代物理研究所 一种用于电子束辐照加工的多面辐照方法及系统

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