JP7169163B2 - 粒子線照射システム - Google Patents

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Description

本発明は、粒子線を照射する照射ノズルを回転可能な粒子線照射システムに関する。
従来、X線、ガンマ線、電子線および速中性子線等の放射線が癌治療に使用されてきた。しかし、これらの放射線は、患者の身体内の患部に届く前の身体の表面で放射線量が最大となってしまう。そのため、身体の深奥部にある癌を治療するときに身体表面ないしその近傍の正常な組織を傷つけてしまうといった弊害があった。
これに対して、粒子線を癌治療に利用する技術がある。加速器を使用して高エネルギまで加速して得られる粒子線は、身体の深奥部の一定位置に存在する癌をターゲットに放射線量を最大にすることができ、深奥部に到達するまでに粒子線が透過する正常な組織は傷を受けにくいという性質がある。
このような粒子線による治療を効率良く行うためには、患者の身体の深奥部にある患部に精度良く荷電粒子ビームを照射する必要がある。そのため、適切な位置に好適な角度から荷電粒子ビームを照射できるように、荷電粒子ビームを照射する照射ノズルを駆動可能にした粒子線治療システムが開発されている。
特許文献1には、照射ノズルを駆動可能にした粒子線照射装置が開示されている。特許文献1に開示された粒子線照射装置は、装置の小型化を実現する構成として、イオン源で発生させる荷電粒子を加速する入射用加速器と、入射用加速器から送られる荷電粒子ビームを所定のエネルギに加速する環状の環状加速器と、環状加速器から出射した荷電粒子ビームを照射部により照射対象に照射する照射野を形成する照射野形成部とを備え、環状加速器と入射用加速器と照射野形成部と照射部とは、同じ回転軸周りに回転する。
特開2016-115477号公報
特許文献1の粒子線照射装置では、環状加速器から出射された荷電粒子ビームを照射野形成装置に導くビーム輸送手段が環状加速器と照射野形成部の間にある。このビーム輸送手段も環状加速器等と同じ回転軸周りに回転する。つまり、ビーム輸送手段も、回転軸周りに回転する系に含まれる。このビーム輸送手段は重量の大きい偏向電磁石を含んで構成されるため、回転軸周りに回転する系の重量バランスに影響を及ぼす。
そのため、特許文献1の粒子線照射装置では、環状加速器の中心に回転軸を配置し、カウンタウエイトで重量バランスを取る構成が採用されている。カウンタウエイトは本来治療とは直接的に関係ないものであるが、ビーム輸送手段の偏向電磁石との重量バランスを取るために必須となり、製作や据付のコストを増大させる一因となる。
本発明の目的は、回転する部分の重量バランスを改善した粒子線照射システムを提供することである。
本開示の1つの態様による粒子線照射システムは、照射対象が載置される載置台と、直線経路で荷電粒子ビームを発生させる直線加速器と、前記直線加速器で発生した荷電粒子ビームを加速する加速器と、前記加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送する輸送装置と、前記輸送装置により輸送された荷電粒子ビームを照射する照射装置と、前記輸送装置と前記照射装置とが設置され、前記照射装置を前記照射対象の周りで回転させるガントリと、を有し、前記加速器が、前記ガントリの回転軸に対して、前記輸送装置とは反対側に前記加速器の中心が位置するように、前記ガントリに設置されている。
本開示の1つの態様によれば、回転する部分の重量バランスを改善した粒子線照射システムを提供することができる。
粒子線照射システムのビーム経路構成を説明するための概念図である。 シンクロトロンの構成を説明するための概念図である。 粒子線治療システムの基本的な構成と建屋への設置状態を示す概念図である。 粒子線治療システムの斜視図である。 粒子線治療システムの右断面図である。 回転ガントリの背面図である。 図6の状態から回転させた回転ガントリの背面図である。
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここでは、照射対象に粒子線ビームを照射する粒子線照射システムの一例として、癌患者の癌組織に粒子線ビームを照射する粒子線治療システムについて説明する。
図1(a)(b)は、粒子線照射システムのビーム経路構成を説明するための概念図である。図1には、粒子線治療システムSにおける粒子線ビームが通る経路を構成する機器の簡略化された二面図が示されている。図1(a)は、シンクロトロン4の正面図、図1(b)は側面図である。図1(a)と図1(b)とで、一点鎖線は同じ高さを表している。この経路で粒子線ビームの出射、加速、輸送、および照射が行われる。
ビーム経路には、直線加速器2、低エネルギビーム輸送装置3、シンクロトロン4、ビーム輸送装置5、および放射線照射ノズル6が含まれている。
直線加速器2は、イオン源と線形加速器とを備えている。イオン源は、中性ガスに高速の電子を衝突させるなどして荷電粒子を発生し、線形加速器にてシンクロトロン4で加速可能な状態まで荷電粒子ビームを加速し、荷電粒子ビームをシンクロトロン4に向けて出射する装置である。ここで、荷電粒子ビームとは、荷電粒子としては、例えば、水素、ヘリウム、炭素、窒素、酸素、ネオン、シリコン、アルゴンなどがある。
低エネルギビーム輸送装置3は、高真空に保たれ、直線加速器2から出射された荷電粒子ビームをシンクロトロン4へと輸送する装置である。
シンクロトロン4は、低エネルギビーム輸送装置3から輸送され、入射した荷電粒子ビームを癌の治療に好適なエネルギ(70MeVから220MeV程度)となるまで効率良く加速する装置である。シンクロトロン4は、荷電粒子ビームを偏向する偏向電磁石15Aと荷電粒子ビームの経路である真空ダクト17Aを有し、それらが互いに接続されて平面内に環状の経路を構成している。荷電粒子ビームは環状経路を周回しながら加速される。シンクロトロン4の詳細は後述する。
ビーム輸送装置5は、シンクロトロン4で加速された荷電粒子ビームを放射線照射ノズル6に輸送する装置である。ビーム輸送装置5は、偏向電磁石15Bと真空ダクト17Bを有し、それらが互いに接続されてU字形の経路を構成している。シンクロトロン4の環状経路から外向きに出射された荷電粒子ビームは、例えば、偏向電磁石15Bによりシンクロトロン4の平面と直交する方向に偏向され、真空ダクト17Bを通って次の偏向電磁石15Bに輸送され、この偏向電磁石15Bによりシンクロトロン4の内向きに偏向され、放射線照射ノズル6に送られる。本実施例では、荷電粒子ビームを90度偏向する偏向電磁石15Bを2個備えるビーム輸送装置5を例に説明するが、偏向電磁石15Bの数は2個に限定されるわけでなく、それ以上でもそれ以下でもいい。また、ビーム輸送装置5は、偏向電磁石15Bと真空ダクト17Bのほかに、四極磁石などの他の機器を備えてもよい。
放射線照射ノズル6は、ビーム輸送装置5から輸送されてきた荷電粒子ビームを患者の癌組織の形状に合わせて好適な線量分布に加工し、患部に照射する装置である。
直線加速器2にて発生し射出された荷電粒子ビームは、接続点20を介して低エネルギビーム輸送装置3に送られる。低エネルギビーム輸送装置3は、入射用偏向器を有する。荷電粒子ビームは入射用偏向器により偏向され、主加速器であるシンクロトロン4に入射される。シンクロトロン4により治療に必要なエネルギ(陽子であれば通常70~220MeV)まで十分に加速された荷電粒子ビームは、ビーム輸送装置5の偏向電磁石15Bにより再び偏向され、放射線照射ノズル6へと輸送される。その後、荷電粒子ビームは、放射線照射ノズル6により、癌の治療に好適な線量分布に加工され、アイソセンタ18に照射される。
なお、荷電粒子ビームの経路には、不図示の四極電磁石16が適当な間隔をあけて配置されており、輸送される荷電粒子ビームの水平方向及び垂直方向の収束および/または発散を制御する。
また、シンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6とは不図示の回転ガントリ1に設置され、1つの回転系として、アイソセンタ18と接続点20を結ぶ直線を回転軸30として、その回転軸30周りに一体的に回転する。これにより、放射線照射ノズル6からアイソセンタ18へ様々な角度から荷電粒子ビームを照射することが可能となっている。
ここで、シンクロトロン4の環状経路すなわち荷電粒子ビームの周回軌道の中心31と回転系の回転軸30とは一致しない。環状経路の中心31は、回転軸30よりもビーム輸送装置5と反対の方向(図1の下方向)にある。言い換えると、シンクロトロン4の正面からみると、中心31は、回転軸30を挟んでビーム輸送装置5と対向する位置にある。これによりシンクロトロン4およびビーム輸送装置5を含む回転系の重量バランスが改善され、従来必要とされたカウンタウエイトが不要となっている。例えば回転系の回転を容易にすることを重視すれば、ガントリ1とシンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6を含み一体で回転する回転系の重心(不図示)に回転軸30を一致させるのが有利である。回転系が静止している状態でも回転している状態でも安定する。また、システムを停止している状態での地震などに対する安定性を考慮すれば、回転軸30が、環状経路の中心31と、回転系の重心位置との間にあり、粒子線照射システムSが使用されていない状態ではビーム輸送装置5がシンクロトロン4の上方に配置されるようにするのが良い。
図2は、シンクロトロンの構成を説明するための概念図である。
シンクロトロン4は、図2に示すように、偏向電磁石15Aと、四極電磁石16と、真空ダクト17Aと、を含み、環状経路を構成している。また、図示していないが、高周波印加空胴も環状経路上に有し、周回する荷電粒子ビームを加速している。図2の例では、荷電粒子ビームを90度偏向する4個の偏向電磁石15Aを4隅に配置し、偏向電磁石15Aの中を荷電粒子ビームが通るための真空ダクト17Aが貫通し、環状経路を構成している。四極電磁石16は、荷電粒子ビームの水平方向及び垂直方向の収束および/または発散を抑制する。図2では、偏向電磁石15Aを4個、四極電磁石16を4個、環状経路に配置されている構成を示しているが、シンクロトロン4の構成はこれに限定されるものではない。偏向電磁石15Aを4個未満備えてもよいし、5個以上備えてもよい。また、四極電磁石16を4個未満備えてもよいし、5個以上備えてもよい。また、偏向電磁石15A、四極電磁石16、高速加速空胴のほかの機器を環状経路上、または、低エネルギ輸送系3との接続部、ビーム輸送装置5の接続部に備えてもよい。
シンクロトロン4は、荷電粒子ビームを環状経路で加速し、癌の治療に必要とされるエネルギまで高める。シンクロトロン4で加速された荷電粒子ビームはビーム輸送装置5へ送られる。
図3は、粒子線治療システムの基本的な構成と建屋への設置状態を示す概念図である。
図4は、粒子線治療システムの斜視図である。図5は、粒子線治療システムの右断面図である。ここでいう右は粒子線治療システムSを治療ケージ8側から見た場合の右側のことである。図5には、回転ガントリ1の内部の構造が分かるように、回転軸30に平行な垂直面で切断された粒子線治療システムSが示されている。
建屋100には、互いに仕切壁103で隔てられた治療室101とガントリ室102とが設けられる。粒子線治療システムSは概ねガントリ室102に設置されており、患者が載置される治療台7は仕切壁103の開口から治療ケージ8に出入り可能となっている。
ガントリ室102は、回転ガントリ1が略360度自由に回転できるように回転軸30から回転半径のスペースが確保されている。治療室101のフロアレベルは、回転半径のスペースを確保した回転軸30の近傍に設定されるため、ガントリ室102のフロアレベルに対して通常6~8m程度高い位置となる。
回転ガントリ1は、フロントリング9、リアリング10、およびガントリ胴体11からなり、それらが同軸に結合された円筒部を有する構造体である。回転ガントリ1に、偏向電磁石15Aおよび真空ダクト17Aを有するシンクロトロン4と、偏向電磁石15Bおよび真空ダクト17B(不図示)を有するビーム輸送装置5と、放射線照射ノズル6とが固定設置され、1つの回転系をなしている。回転系をなす複数または全ての装置をモジュール化することにしてもよい。工場でそのモジュールを完成させておくことにより、現場での据付工事を短縮かつ容易にすることができる。
回転ガントリ1の下方には、サポートロール12およびサポートロール12に連結したガントリ回転モータ13からなる駆動部が配置されている。回転ガントリ1のフロントリング9およびリアリング10がサポートロール12上に搭載されている。ガントリ回転モータ13の動力でサポートロール12が回転し、フロントリング9およびリアリング10に動力を伝達することにより、回転ガントリ1を回転させる。その結果、回転ガントリ1は、シンクロトロン4、ビーム輸送装置5、および放射線照射ノズル6を伴って回転軸30周りに回転する。
シンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6とが、放射線照射ノズル6からの荷電粒子ビームの照射方向を治療台7上の患者の方向に維持しつつ、回転軸30周りに一体で回転することとなる。
直線加速器2は、回転ガントリ1のリアリング10内に配置されるが、回転ガントリ1には固定されず、建屋100に対して固定される。したがって、直線加速器2は回転ガントリ1が回転しても回転しない。
シンクロトロン4は、シンクロトロン据付座14によりガントリ胴体11に据え付けられ、円柱状の回転ガントリ1高さ方向と直交する平面内に環状経路を構成する。ビーム輸送装置5が、回転ガントリ1の円筒部の外周面に据え付けられており、シンクロトロン4からの荷電粒子ビームを受け、90度偏向して円筒部の軸と同じ方向に輸送し、更に90度偏向して放射線照射ノズル6に送る。図3の例ではビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6の間にも四極電磁石16が設けられている。放射線照射ノズル6は、荷電粒子ビームの進行方向に対してビーム輸送装置5の下流、治療ゲージ8内に治療台7に向いて固定されており、アイソセンタ18に向けて荷電粒子ビームを照射する。図1に示したように、放射線照射ノズル6は、先端が回転軸30まで達しない長さであり、ビーム輸送装置5により輸送された荷電粒子ビームをノズルの先端から照射する。
治療台7は、治療室101に取り付けられ、放射線照射ノズル6で調整された荷電粒子ビームを患者の略360度周囲から患部に照射するために、平面方向及び高さ方向を適宜調整可能とする可動機構を備えている。
図5に示すように、直線加速器2は、建屋100からせり出した床面に対して固定されており、回転軸30上に配置された接続点20でシンクロトロンに対して回転可能に接続されている。そのため、直線加速器2は、回転ガントリ1が回転しても回転しない。直線加速器2には、シンクロトロン4の加速管まで高周波の荷電粒子を伝達するために屈曲した中空構造の導波管や大型電源が接続される。そのため、直線加速器2は回転系に含めず建屋100の床面に対して固定する構成を採用している。これにより多くの稼働実績を有する従来のシステムと同様の据付方法による直線加速器2の据え付けが可能であり安定した荷電粒子の供給が期待できる。また、接続点20が回転軸30上に位置するように、直線加速器2を設置することで、回転軸30と中心31とが一致しなくても、接続点20が伸縮しないシンプルな構造とできる。
一方、図4および図5に示すように、シンクロトロン4、ビーム輸送装置5、および放射線照射ノズル6は、フロントリング9、ガントリ胴体11、リアリング10を連結した回転ガントリ1に対して固定されており、回転ガントリ1と共に回転する。回転ガントリ1は、複数のサポートロール12上に搭載されたフロントリング9およびリアリング10と、サポートロールと連結したガントリ回転モータ13によって全体が略360度回転する構造となっている。
直線加速器2から出射された荷電粒子ビームは、低エネルギビーム輸送装置3を経由する際に不図示の入射用偏向器によって偏向、捻転され、主加速器であるシンクロトロン4に入射される。
シンクロトロン4は、平板状のシンクロトロン据付座14に固定的に据え付けられている。シンクロトロン4の環状経路はシンクロトロン据付座14と平行な平面内に構成される。シンクロトロン据付座14は、回転ガントリ1の回転軸30に対して垂直に設置される。
シンクロトロン据付座14およびシンクロトロン4は、ビーム輸送装置5が搭載された回転ガントリ1の重量バランスを改善する方向に偏心した位置で回転ガントリ1に固定されている。本実施形態では、ビーム輸送装置5が回転ガントリ1に搭載されており、シンクロトロン4の周回軌道の中心31は回転軸30よりもビーム輸送装置5とは反対側に偏心している。これにより、回転ガントリ1が標準位置に静止しているとき、任意の角度に回転した位置で静止しているとき、回転している途中、を問わず、カウンタウエイトを用いなくても回転系の重量バランスが良好な状態となる。
シンクロトロン4にて加速された荷電粒子ビームは、回転ガントリ1上のビーム輸送装置5を経由する際に2つの偏向電磁石15Bによって180度偏向され、放射線照射ノズル6に輸送される。放射線照射ノズル6には、荷電粒子ビームの線量や通過位置を監視する不図示のモニタ類が搭載されている。放射線照射ノズル6は、モニタ類で線量や通過位置を監視しながら荷電粒子ビームを治療に好適な線量分布に加工し、治療台7上の患者(不図示)に照射する。
図4に示すように、回転ガントリ1の円筒部の一方の端部の開口から円筒部の内部の所定位置まで進入可能になるように、建屋100に据え付けられた治療台7は、平面方向及び高さ方向を適宜調整できるロボットアームによる可動機構を備え、放射線照射ノズル6で調整された荷電粒子ビームを患者の略360度周囲から患部に向かって的確に照射できるようになっている。また、治療台7は、シンクロトロン4の環状経路が構成された平面と患者とが交差しない位置に配置されている。言い換えれば、シンクロトロン4は、回転ガントリ1の円筒部の治療台7が進入可能な所定位置よりも他方の端部側に配置される。これにより、シンクロトロン4の環状経路で加速される荷電粒子の指向方向が治療台7上の患者に直接向くことがなく、患者の不要な被ばくのリスクが抑制される。
図6は、回転ガントリの背面図である。図7は、図6の状態から回転させた回転ガントリの背面図である。ここでいう背面は直線加速器2が設置された側のことである。図6および図7では、回転の様子がよく分かるように回転ガントリ1の一部であるリアリング10は描かれていない。同様の理由で建屋100に設置された直線加速器2も描かれていない。
上述したように回転ガントリ1は、回転軸30周りに略360度回転可能となっている。回転ガントリ1が任意の角度(一例としてガントリ回転角度315度)に回転した際、回転ガントリ1上のシンクロトロン据付座14に据え付けられたシンクロトロン4は、回転ガントリ1と同期して回転する。そのため、回転ガントリ1上のビーム輸送装置5に対する位置関係は不変である。そのため、回転軸30よりビーム輸送装置5の偏向電磁石15Bと逆側に軌道の中心を偏心したシンクロトロン4は回転ガントリ1が如何なる角度のときもカウンタウエイトの役割を担うことができる。
以上説明した本実施形態には以下に示す事項が含まれている。ただし、本実施形態の開示が以下に示す事項に限定されることはない。
環状加速器であるシンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6とが、放射線照射ノズル6からの荷電粒子ビームの照射方向を照射対象である患者の方向に維持しつつ、回転軸30周りに一体で回転する。そのため、互いに固定接続された環状加速器と輸送装置と照射装置とを含む回転系が、環状加速器の中心から輸送装置がある方向に偏心した回転軸周りに回転するので、回転系の重量バランスが改善される。
また、ビーム輸送装置5はシンクロトロン4から出射された荷電粒子ビームをシンクロトロン4の半径外側方向に輸送した後にシンクロトロン4の半径方向内向きに偏向して放射線照射ノズル6に輸送する。放射線照射ノズル6は、その先端が回転軸30まで達しない長さであり、ビーム輸送装置5により輸送された荷電粒子ビームをそのノズルの先端から照射する。回転軸30が環状経路の中心よりもビーム輸送装置5側にある。放射線照射ノズル6はその回転軸30まで達しない長さなので、放射線照射ノズル6を短い長さで構成することができる。放射線照射ノズル6を短くすることで照射方向の調整精度の向上が期待できる。
また、直線加速器2は、建屋100に対して固定され、回転軸30上に配置された接続点20でシンクロトロン4と回転可能に接続する。したがって、直線経路の配管を含み各種周辺機器と接続される直線加速器2を建屋100に対して固定設置(例えば床置きなど)とすることができる。そのため、直線経路に位置決めされた配管に誤差が生じる恐れを低減できる。また、重量バランスの設計に予め重量を考慮することが容易でない周辺機器を伴う直線加速器2を回転系に含めないことで重量バランスの設計が容易となる。また回転系の重量バランス自体の改善も期待される。
また、回転ガントリ1が、回転軸30と同軸の円筒部を有し、シンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6とが搭載され、回転軸30周りに回転する。治療台7は、その円筒部の一方の端部の開口から円筒部の内部の所定位置まで進入可能に設置される。一方、シンクロトロン4は、円筒部の治療台7が進入可能な所定位置よりも他方の端部側に設置される。そのため、患者への粒子線の照射を行うスペースと、シンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6とを相対的に固定する回転系とを有底円筒形の円筒部により効率よく実現することができる。
また、ビーム輸送装置5は、直線加速器2から出射された荷電粒子ビームを回転ガントリ1の円筒部の外周面に搭載された1または複数の偏向電磁石15Bにより略180度偏向して放射線照射ノズル6に入射させるものであり、シンクロトロン4は、荷電粒子ビームの軌道の中心を、回転軸30に対して、偏向電磁石15Bが取り付けられた側と逆側に偏心させて回転ガントリ1に搭載されている。
また、回転軸30は、シンクロトロン4の中心と、シンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6を含み一体で回転する回転系の重心位置との間にある。粒子線照射システムSが使用されていない状態ではビーム輸送装置5がシンクロトロン4の上方に配置される。したがって、停止状態では回転軸30が回転系の重心位置より上方に設定されるので、回転系の位置を安定させることができる。例えば、大きな地震などがあったときに回転系が自重で回転してしまうのを抑制することができる。
ただし、回転軸30は、シンクロトロン4とビーム輸送装置5と放射線照射ノズル6を含み一体で回転する回転系の重心と一致することにしてもよい。その場合には、より重量バランスをとり、小さな駆動力で回転系を回転させることが可能となる。
以上説明した本実施形態では、直線加速器2は、シンクロトロン4、ビーム輸送装置5、および放射線照射ノズル6と共に回転しない例を示したが、これに限定されることはない。他の例として、直線加速器2が、シンクロトロン4、ビーム輸送装置5、および放射線照射ノズル6と共に回転することにしてもよい。
また、本実施形態では、シンクロトロン4、ビーム輸送装置5、および放射線照射ノズル6を回転ガントリに設置している例を示したが、これに限定されるものではない。他の例として、電源やケーブル、制御装置等も回転ガントリ1に設置されていてよい。
また、本実施形態では、シンクロトロン4、ビーム輸送装置5、および放射線照射ノズル6を含む回転系の回転軸30が、シンクロトロン4の環状経路を含む平面と直交する例を示したが、これに限定されることはない。他の例として、回転軸30とシンクロトロン4の環状経路を含む平面が90度でない角度(例えば80度など)となるようにしてもよい。その場合には回転系が回転するとシンクロトロン4の環状経路を含む平面が変化する。その場合であっても、回転系がどのような回転角度にあるときでも、患者がシンクロトロン4の環状経路を含む平面と交差しないように治療台7を設置すれば、患者の不要な被ばくのリスクを抑制できる。
また、本実施形態では、直線加速器2で発生した荷電粒子ビームを所定の平面内で加速する加速器の例としてシンクロトロンを示したが、これに限定されることはない。他の例としてサイクロトロン、シンクロサイクロトロンなど、他の円形加速器も同様に適用可能である。円形加速器の場合、環状経路の中心31は円の中心31と読み替えることができる。
また、中心31は、環状経路の中心31、シンクロトロン4の中心31、加速器1の中心31、加速器の重心31、加速器の周回軌道の中心31、加速器の加速軌道面の中心31と読み替えることもできる。
また、本実施形態では、シンクトロン4がシンクトロン据付座14に据え付けられ、シンクロトロン据付座14を回転ガントリ14に固定することで、シンクロトロン4を回転ガントリ1に設置しているが、シンクトロン4の設置方法はこれに限定されるものではない。例えば、シンクロトロン4を回転ガントリ1に直接固定してもよい。
また、本実施形態では、回転ガントリ1の背面にシンクロトロン4を固定する例を示したが、これに限定されるものではない。他の例として、シンクトロトン4または他の加速器を、患者の後方(患者よりも背面に近い側)、回転ガントリ1の内部に設置してもよい。また、他の例として、シンクロトロン4を円筒状の回転ガントリ1の側面に設置してもよい。
また、本実施形態では、回転ガントリ1が円筒状である例を示したが、直方体形状やトラス構造でもよい。さらに、本実施形態では回転ガントリ1が略360度回転する例を示したが、回転角度が300度以下のハーフガントリ等他のガントリを用いてもよい。
1…回転ガントリ、2…直線加速器、3…低エネルギビーム輸送装置、4…シンクロトロン、5…ビーム輸送装置、6…放射線照射ノズル、7…治療台、8…治療ケージ、9…フロントリング、10…リアリング、11…ガントリ胴体、12…サポートロール、13…ガントリ回転モータ、14…シンクロトロン据付座、15A…偏向電磁石、15B…偏向電磁石、16…四極電磁石、17A…真空ダクト、17B…真空ダクト、18…アイソセンタ、20…接続点、30…回転軸、31…中心、100…建屋、101…治療室、102…ガントリ室、103…仕切壁

Claims (6)

  1. 照射対象が載置される載置台と、
    直線経路で荷電粒子ビームを発生させる直線加速器と、
    前記直線加速器で発生した荷電粒子ビームを加速する加速器と、
    前記加速器から出射された荷電粒子ビームを輸送する輸送装置と、
    前記輸送装置により輸送された荷電粒子ビームを照射する照射装置と、
    前記輸送装置と前記照射装置とが設置され、前記照射装置を前記照射対象の周りで回転させるガントリと、
    を有し、
    前記加速器が、前記ガントリの回転軸に対して、前記輸送装置とは反対側に前記加速器の中心が位置するように、前記ガントリに設置されており、
    前記加速器と、前記輸送装置と、前記ガントリとは、一体となって回転するものであり、
    前記直線加速器は、建屋に対して固定され、
    前記直線加速器と前記加速器とを回転可能に接続する接続点は、前記回転軸上に配置される、
    粒子線照射システム。
  2. 前記ガントリは、前記回転軸と同軸の円筒部を有し、
    前記載置台は、前記円筒部の一方の端部の開口から前記円筒部の内部の所定位置まで進入可能に設置され、
    前記加速器は、前記円筒部の前記載置台が進入可能な前記所定位置よりも他方の端部側に設置される、
    請求項1に記載の粒子線照射システム。
  3. 前記輸送装置は、前記直線加速器から出射された荷電粒子ビームを前記ガントリの円筒部の外周面に搭載された1または複数の偏向電磁石により略180度偏向して前記照射装置に入射させるものであり、
    前記加速器は、荷電粒子ビームの軌道の中心を、前記回転軸に対して、前記偏向電磁石が取り付けられた側と逆側に偏心させて前記ガントリに搭載されている、
    請求項に記載の粒子線照射システム。
  4. 前記回転軸は、前記加速器の中心と、前記加速器と前記輸送装置と前記照射装置を含み一体で回転する回転系の重心位置との間にある、
    請求項1に記載の粒子線照射システム。
  5. 前記回転軸は、前記加速器と前記輸送装置と前記照射装置を含み一体で回転する回転系の重心と一致する、
    請求項1に記載の粒子線照射システム。
  6. 前記加速器はシンクロトロンである、
    請求項1に記載の粒子線照射システム。
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