JP2019081760A - 選択的結合表面を有するフィブロネクチンiii型反復ベースのタンパク質スカフォールド - Google Patents

選択的結合表面を有するフィブロネクチンiii型反復ベースのタンパク質スカフォールド Download PDF

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Abstract

【課題】治療及び診断目的のための、改善されたフィブロネクチンドメインスカフォールドタンパク質及びその作製方法の提供。【解決手段】選択的結合表面設計を有するフィブロネクチンIII型(FN3)反復ベースのタンパク質スカフォールド及びスカフォールドライブラリを特定の配列を持つ標的分子と接触させるか、又はパニングする工程及び、所定の親和性を有する標的分子に特異的に結合するタンパク質スカフォールドを単離する工程とを含む。【選択図】なし

Description

本発明は、選択的結合表面設計を有するフィブロネクチンIII型(FN3)反復に基
づく、タンパク質スカフォールド及びスカフォールドライブラリに関する。より具体的に
は、本発明は、選択的βストランド及びループによって形成される凹状結合部位を有する
FN3スカフォールド及びライブラリに関する。
モノクロール抗体は、標的分子に対する高親和性及び特異性が望ましい時に最も広く使
用されるクラスの治療用タンパク質である。しかしながら、一般的にタンパク質スカフォ
ールドと称される、所望の標的分子に結合するように改変され得る、比較的画定された三
次元構造を有する非抗体タンパク質は、それらの小さいサイズ、ジスルフィド結合の欠如
、高安定性、及び原核宿主において発現される能力により、従来の抗体に優る利点を有す
る。これらのスカフォールドは典型的に、特異的又はランダム配列変化に適している1つ
以上の領域を含有し、かかる配列ランダム化はしばしば、そのものから所望の生成物が選
択され得るタンパク質のライブラリを生成するために実施される。新規精製法が容易に適
用され、スカフォールドは、容易に薬剤/毒素と抱合され、組織内に効率よく侵入し、か
つ多特異的なバインダーに整形される(Binz and Pluckthun,Cur
r Opin Biotechnol,16,459〜469,2005,Skerra
,J Mol Recognit,13,167〜187,2000)。
1つのそのようなタンパク質スカフォールドは、7つのβストランドによって接続され
る6つのループを有する特有の三次構造を有する多数のタンパク質中で同定される、フィ
ブロネクチンIII型(FN3)ドメインである。3つのループ、具体的にFG、BC、
及びDEループは、抗体の相補性決定領域(CDR)と構造的に類似する。これらのルー
プは、多くの異なる標的に対する特異的なバインダーをうまく選択する一方で、重要な生
物物理学的特性を保持するように、FN3ドメインスカフォールドのライブラリを生成す
るためにランダム化されている(Getmanovaら、Chem Biol,13,5
49〜556,2006,Hackelら、J Mol Biol,381,1238〜
1252,2008,Karatanら、Chem Biol,11,835〜844,
2004;Koideら、J Mol Biol,284,1141〜1151,199
8;Koideら、Proc Natl Acad Sci U S A,104,66
32〜6637,2007;Parkerら、Protein Eng Des Sel
,18,435〜444,2005;Xuら、Chemistry & Biology
,9,933〜942,2002)。FN3ドメインのライブラリは、AB、EF、及び
CDループもランダム化することによって生成されている(米国公開特許第2011/0
038866号;国際特許公開第WO2011/05133号;米国公開特許第2011
/0124527号)。FN3ライブラリに関する他の参考文献としては、国際特許公開
第WO2002/32925号、同第WO2003/104418号、同第WO2009
/023184号、及び同第WO2010/060095号が挙げられる。国際特許公開
第WO2012/016245号は、CD及びFGループと共に、βシートの表面露出残
基を使用した、FN3ドメインライブラリを記載する。
治療及び診断目的の両方で、改善されたフィブロネクチンドメインスカフォールドタン
パク質を得ることは有利であり得る。本開示は、かかる改善されたタンパク質を提供する
本発明の一実施形態は、C βストランド、CDループ、F βストランド、及びFG
ループによって形成される多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有するフィブロネ
クチンIII型モジュール(FN3)ドメインのライブラリを作製する方法であり、配列
番号27の中のものと少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有する基準FN3ドメイン
ポリペプチドを提供する工程と、多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有するFN
3ドメインライブラリを形成するために、少なくとも1つのC βストランド残基及び少
なくとも1つのF βストランド残基を変異させることによって、基準FN3ドメインポ
リペプチドに多様性を導入する工程とを含む。
本発明の別の態様は、本発明に記載される本発明の方法によって生成されるライブラリ
である。
本発明の更に別の態様は、標的分子に特異的に結合させる多様化したC−CD−F−F
G選択を有するフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインを含む、タンパ
ク質スカフォールドを得る方法であって、請求項11に記載のライブラリを標的分子と接
触させるか、又はパニングする工程と、所定の親和性を有する標的分子に特異的に結合す
るタンパク質スカフォールドを単離する工程とを含む。
FN3ドメイン及び抗体VHドメイン構造のリボンダイアグラムを示す。CDRと構造的に類似したFN3ドメインのループが表示される。 A)ランダム化ループを有する従来のFN3ライブラリ(図2A);B)ランダム化C−CD−F−FG選択的表面を有するFN3ライブラリ(TCL14ライブラリ)(図2B);C)ランダム化A−AB−B−BC−E表面を有するFN3ライブラリ(TCL15ライブラリ)(図2C)の間の比較を可能にする構造図を示す。これらのライブラリ設計中でランダム化された位置は、リボンダイアグラムに黒一色で示される。 ランダム化C−CD−F−FG選択的表面を有するTencon27スカフォールド(配列番号27)及びTCL14ライブラリ(配列番号28)の配列アラインメントを示す。ループ残基は、四角内に表示される。特定のループ及びβストランド領域は配列の上に示される。 ランダム化A−AB−B−BC−E選択的表面を有するTencon27スカフォールド(配列番号27)及びTCL15ライブラリ(配列番号61)の配列アラインメントを示す。ループ残基は、四角内に表示される。特定のループ及びβストランド領域は配列の上に示される。 ランダム化C−CD−F−FG選択的表面(TCN14ライブラリ)を有する、Tencon27(配列番号27)に対するライブラリ設計のトポロジーダイアグラムを示す。βストランドは、プロット中で隣接して配置されるTencon27構造中で、互いに水素結合したストランドの残基を有する矢印で示される。ランダム化された残基の位置は、灰色の網掛けの楕円で示される。 ランダム化A−AB−B−BC−E選択的表面(TCL15ライブラリ)を有するTencon27(配列番号27)に対するライブラリ設計のトポロジーダイアグラムを示す。βストランドは、プロット中で隣接して配置されるTencon構造中で、互いに水素結合したストランドの残基を有する矢印で示される。ランダム化された残基の位置は、灰色の網掛けの楕円で示される。 TCL14ライブラリ中のランダム化位置における予測及び観察されたアミノ酸分布を示す。 ランダム化C−CD−F−FG選択的表面を有する、Tencon27、TCL14、並びにFN10,TN3及びFibconに対して設計されたライブラリの配列アラインメントを示す。残基番号は、Tencon27配列に基づく。ライブラリのアミノ酸配列は、配列番号28、98、99、及び62の中でそれぞれに示される。ループ残基は、四角内に表示される。特定のループ及びβストランド領域は配列の上に示される。
本明細書で用いられる用語「フィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメイン
」又は「FN3ドメイン」は、フィブロネクチン、テネイシン、細胞内細胞骨格タンパク
質、サイトカイン受容体、及び原核酵素を含む、タンパク質中で頻繁に発生するドメイン
を指す(Bork and Doolittle,Proc Nat Acad Sci
USA 89,8990〜8994,1992;Meinkeら、J Bacteri
ol 175,1910〜1918,1993;Watanabeら、J Biol C
hem 265,15659〜15665,1990)。例示的なFN3ドメイン(又は
モジュール)は、ヒトテネイシンC中に存在する15個の異なるFN3ドメイン、及びヒ
トフィブロネクチン(FN)中に存在する15個の異なるFN3ドメインである。個々の
FN3ドメインは、ドメイン番号及びタンパク質名によって、例えば、テネイシンの第3
FN3ドメイン(TN3)、又はフィブロネクチンの第10 FN3ドメイン(FN1
0)と称される。
本明細書で用いられる用語「基準FN3ドメイン」は、標的分子に特異的に結合するタ
ンパク質スカフォールドを生成するために置換が行われるテンプレートとして使用される
、野生型又は非自然発生FN3ドメインを指す。
本明細書で用いられる用語「選択的表面」は、2つ以上のβストランド、及び少なくと
も1つのループを含むFN3ドメインの片側の表面を指す。例示的な選択的表面は、C及
びF βストランド並びにCD及びFGループ中のアミノ酸によって形成されるC−CD
−F−FG表面、並びにA、B、及びE βストランド並びにBCループ中のアミノ酸に
よって形成されるA−AB−B−BC−E表面である。
本明細書で用いられる用語「置換する」若しくは「置換される」、又は「変異する」若
しくは「変異させられる」は、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの配列における1つ以
上のアミノ酸又はヌクレオチドを変更、削除、挿入し、その配列の変異体を生成すること
を指す。
本明細書で用いられる用語「ランダム化する」若しくは「ランダム化される」、又は「
多様化される」若しくは「多様化する」は、ポリヌクレオチド又はポリペプチド配列にお
いて少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を行うことを指す。
本明細書で用いられる「変異体」は、例えば、置換、挿入、又は欠失等の1つ以上の修
飾によって、基準ポリペプチド又は基準ポリヌクレオチドとは異なっている、ポリペプチ
ド又はポリヌクレオチドを指す。
本明細書で用いられる用語「特異的に結合する」又は「特異的結合」は、少なくとも1
×10−6Mの親和性(Kd)で標的分子に結合する、及び/又は表面プラズモン共鳴に
よって測定されるような非特異性抗原(例えばBSA若しくはカゼイン)に対するその親
和性よりも少なくとも10倍大きい親和性で、標的分子に結合する、本発明のFN3ドメ
インの能力を指す。
本明細書で用いられる用語「標的分子」は、本発明のFN3ドメインによって認識され
る抗原又はエピトープを有する、タンパク質、ペプチド、炭水化物、脂質等を指す。標的
分子は、自然又は非自然発生的であってもよい。
用語「ライブラリ」は、変異体の集合を指す。ライブラリは、ポリペプチド又はポリヌ
クレオチド変異体からなってもよい。
本明細書で用いられる用語「テネイシンC」は、GenBank受託番号NP_002
151及び配列番号57の中に示される配列を有する、ヒトテネイシンCを指す。テネイ
シンCは、配列番号1〜15の中にそれぞれ示されるアミノ酸配列を有する、15個のタ
ンデムFN3ドメインを有する。テネイシンCの第3 FN3ドメイン(TN3)のアミ
ノ酸配列は、配列番号3の中に示される。
本明細書で用いられる用語「安定性」は、その正常な機能活性(例えば、標的分子への
結合)のうちの少なくとも1つを維持するように、生理学的条件下で折りたたみ状態を維
持する分子の能力を指す。
本発明は、標的分子に特異的に結合するFN3ドメインを提供し、したがって、治療及
び診断用途に幅広く使用され得る。本発明は、2つ以上のβストランド及び少なくとも1
つのループを含むFN3ドメインの片側の選択的表面が、高親和性で標的分子に特異的に
結合するタンパク質スカフォールドに対して生成及び選択するために、ランダム化され得
るという発見に基づく。公開されたFN3ベースのドメインライブラリは、抗体可変鎖中
のCDRと構造的に類似する領域である、頂部又は底部ループのいずれかを多様化し、湾
曲した結合表面を提供することによって生成されてきた。本発明において、高親和性結合
分子は、選択的表面をランダム化することによって生成される凹状相互作用表面を示す、
したがって、高親和性結合タンパク質スカフォールドが選択され得るエピトープ及び標的
の数を増加させる可能性が高い、FN3ドメインライブラリから選択される。本発明は、
タンパク質ドメインをコードするポリヌクレオチド又はその相補的核酸、ベクター、宿主
細胞、並びにそれらを作製及び使用する方法を提供する。本発明は、FN3ドメインのラ
イブラリを作製する方法、及び本発明の方法によって作成されるライブラリを提供する。
フィブロネクチンIII型ドメイン
フィブロネクチンIII型(FN3)ドメイン(又はモジュール)は、最初にフィブロ
ネクチン中で同定され、現在は細胞表面受容体、細胞外マトリックスタンパク質、酵素、
及び筋タンパク質を含む、様々な動物タンパク質ファミリー中に存在することが既知であ
る、原型反復ドメインである。構造的に、FN3ドメインは、ジスルフィド結合の欠如を
除いて、免疫グロブリン様ドメインのものと非常に似ているトポロジーを有する。当該技
術分野において既知である通り、自然発生するFN3ドメインは、AB、BC、CD、D
E、EF、及びFGループと称される6つのループによって結合される、A、B、C、D
、E、F、及びGと称される7つのβストランドを有するβサンドイッチ構造を有する(
Bork and Doolittle,Proc Natl Acad Sci US
A 89,8990〜8992,1992;米国特許第6,673,901号)。3つの
ループ、BC、DE、及びFGループは、FN3ドメインの頂部にあり、3つのAB、C
D、及びEFループは、ドメインの底部にある(図1)。表1は、タンパク質を含有する
いくつかのFN3ドメインを示し、異なるFN3ドメインの数は、各タンパク質と関連す
る。FN3ドメイン立体配座が高度に保存されている一方で、アミノ酸レベルにおける異
なるドメイン間の類似性はかなり低い。
FN3ドメインは、自然又は非自然発生的であってもよい。例示的な非自然発生FN3
ドメインは、ある特定のタンパク質中に存在する選択的FN3ドメインのアラインメント
に基づいて設計され、非自然発生FN3ドメインを生成するために、各位置で最も保存さ
れた(頻繁な)アミノ酸を組み込む、共通FN3ドメインである。例えば、非自然発生F
N3ドメインは、ヒトテネイシンCからの15個のFN3ドメインの共通配列に基づいて
、又はヒトフィブロネクチンからの15個のFN3ドメインの共通配列に基づいて設計さ
れる。これらの非自然発生FN3ドメインは、FN3ドメインの典型的なトポロジーを保
持し、野生型FN3ドメインと比較して改善された安定性などの改善された特性を示し得
る。例示的な非自然発生的FN3ドメインは、配列番号16及び58の中にそれぞれ示さ
れるTencon及びFibconドメインであり、米国公開特許第2010/0216
708号及び米国公開特許第2010/0255056号に記載されている。
Figure 2019081760
各ループ及び各βストランドを画定するアミノ酸残基は、表2においてFN3スカフォ
ールドTencon27(配列番号27)に関して示される。テネイシンC第3 FN3
ドメイン(TN3)(配列番号3)及びFibcon(配列番号58)の中の各ループ及
びβストランドの位置は、Tencon27のそれと同一である。βストランド残基は、
よく知られている方法を使用して、例えば、X線回折、核磁気共鳴、又は分子モデリング
によって生成される三次元構造の分析によって同定され得る。モデルが利用可能ではない
場合、ストランド及びループ領域の境界を予測するために、他の既知のFN3分子を有す
る配列アラインメントの分析が使用され得る。最後に、タンパク質一次配列からのβスト
ランドの存在を予測するために、コンピュータアルゴリズムが使用され得る。
Figure 2019081760
FN3ドメイン上の選択的表面
頂部(BC、DE、及びFG)及び底部(AB、CD、及びEF)ループ、例えば、F
N3ドメイン中の報告された結合表面は、FN3構造の中心を形成するβストランドによ
って分離される(図1、2A)。ループのみによって形成される表面とは異なる形状を有
する、FN3ドメインの2つの「側」に存在する選択的表面は、FN3ドメイン構造を9
0度回転させることによって視覚化され得る(図2B、2C)。わずかに凹状の表面が、
2つの逆平行βストランド、C及びF βストランド、並びにCD及びFGループによっ
てFN3ドメインの片側に形成され、本明細書においてC−CD−F−FG表面と呼ばれ
る。選択的表面はまた、A、B、及びE βストランド並びにAB及びBCループによっ
てC−CD−F−FG表面の反対側に形成され、本明細書においてA−AB−B−BC−
E表面と呼ばれる。
FN3ドメイン中の選択的表面は、各FN3ドメイン中のアミノ酸の不連続な広がり部
によってコードされる。例えば、表2に示されるように、Tencon27 C−CD−
F−FG表面は、配列番号27のアミノ酸残基29〜43及び65〜81によって形成さ
れ、Tencon27 A−AB−B−BC−E表面は、配列番号27のアミノ酸残基1
〜28及び55〜59によって形成される。
選択的表面のランダム化に基づくタンパク質スカフォールド
本発明の一実施形態は、選択的表面を含むFN3ドメインを含む、単離されたタンパク
質スカフォールドであり、その選択的表面は、基準FN3ドメインと比較して、選択的表
面を形成する各βストランド及び各ループにおいて、少なくとも1つのアミノ酸置換を有
する。
別の実施形態において、本発明のタンパク質スカフォールドは、基準FN3ドメインに
よって特異的に結合されない標的分子に特異的に結合する。
別の実施形態において、基準FN3ドメインは、配列番号27のアミノ酸配列を含む。
別の実施形態において、本発明のタンパク質スカフォールドは、C βストランド、C
Dループ、F βストランド、及びFGループによって形成されるC−CD−F−FG選
択的表面を含む。
別の実施形態において、C−CD−F−FG選択的表面を形成するC βストランド、
CDループ、F βストランド、又はFGループは、表4及び5、並びに配列番号45〜
48の中に示されるように、特定のアミノ酸配列を含む。
別の実施形態において、C βストランドは、1、2、3、若しくは4つの残基におけ
る置換を有するアミノ酸配列DSFLIQYQE(配列番号33)を含み、F βストラ
ンドは、1、2、3、4、若しくは5つの残基における置換を有するアミノ酸配列TEY
TVSIYGV(配列番号39)を含み、C βストランド及びCDループは、1、2、
3、4、5、6、7、8、9、若しくは10個の残基における置換を有するアミノ酸配列
DSFLIQYQESEKVGE(配列番号42)を含み、又はF βストランド及びF
Gループは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、若しくは11個の残基におけ
る置換を有するアミノ酸配列TEYTVSIYGVKGGHRSN(配列番号43)を含
む。
別の実施形態において、C βストランド及びF βストランドは、配列番号33と少
なくとも67%同一、及び配列番号39と少なくとも70%同一のアミノ酸配列をそれぞ
れ含み、C βストランド及びCDループは、配列番号42と少なくとも53%同一のア
ミノ酸配列を含み、又はF βストランド及びFGループは、配列番号43と少なくとも
65%同一のアミノ酸配列を含む。
別の実施形態において、本発明のタンパク質スカフォールドは、配列番号28の中に示
されるアミノ酸配列を含む、FN3ドメインを含む。
別の実施形態において、本発明のタンパク質スカフォールドは、
残基1〜12、13〜16、17〜21、22〜28、44〜50、51〜54、55
〜59、60〜64、及び82〜89のそれぞれにおいて、配列番号27と同一のアミノ
酸配列を有する、A βストランド、ABループ、B βストランド、BCループ、D
βストランド、DEループ、E βストランド、EFループ、及びG βストランドと、
配列番号42と少なくとも53%同一のアミノ酸配列を有する、C βストランド及び
CDループと、
配列番号27の中のアミノ酸残基11、14、17、37、46、73、又は86の中
の対応するアミノ酸位置において、少なくとも1つの置換を任意に有し、配列番号43と
少なくとも65%同一のアミノ酸配列を有する、F βストランド及びFGループと、を
含む、III型(FN3)ドメインのフィブロネクチンモジュールを含み、そのタンパク
質スカフォールドは、基準FN3ドメインによって特異的に結合されない標的分子に特異
的に結合する。
別の実施形態において、本発明のタンパク質スカフォールドは、配列番号27に示され
るアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%
、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含む、
FN3ドメインを含む。
別の実施形態において、本発明のタンパク質スカフォールドは、A βストランド、A
Bループ、B βストランド、BCループ、及びE βストランドによって形成されるA
−AB−B−BC−E選択的表面を含む。
別の実施形態において、A−AB−B−BC−E選択的表面を形成するA βストラン
ド、ABループ、B βストランド、及びBCループは、表4及び5並びに配列番号49
及び50の中に示されるように、ある特定のアミノ酸配列を含む。
別の実施形態において、A βストランド、ABループ、B βストランド、及びBC
ループは、配列番号44と少なくとも59%同一であるアミノ酸配列を含み、E βスト
ランドは、配列番号37と少なくとも60%同一であるアミノ酸配列を含む。
別の実施形態において、本発明のタンパク質スカフォールドは、配列番号61の中に示
されるアミノ酸配列を含む、FN3ドメインを含む。
別の実施形態において、本発明の単離タンパク質スカフォールドは、
残基29〜37、38〜43、44〜50、51〜54、60〜64、65〜74、7
5〜81、及び82〜89のそれぞれにおいて、配列番号27と同一のアミノ酸配列を有
する、C βストランド、CDループ、D βストランド、DEループ、EFループ、F
βストランド、FGループ、及びG βストランドと、
配列番号44と少なくとも59%同一であるアミノ酸配列を有する、A βストランド
、ABループ、B βストランド、及びBCループと、
配列番号27のアミノ酸残基11、14、17、37、46、73、又は86の中の対
応するアミノ酸位置において、少なくとも1つの置換を任意に有する、配列番号37と少
なくとも60%同一であるアミノ酸配列を有する、E βストランドと、
を含む、FN3ドメインを含み、そのタンパク質スカフォールドは、基準FN3ドメイ
ンによって特異的に結合されない標的分子に特異的に結合する。
標的分子に特異的に結合するFN3ドメインは、選択的表面を形成する残基のサブセッ
トをランダム化することによって生成され得る。例えば、少なくとも1、2、3、4、5
、6、7、8、9、又は10個の残基が、選択的表面に寄与する各βストランド及び各ル
ープ中でランダム化され得る。ライブラリの多様性を増加させるために、追加の残基がラ
ンダム化され得る。例えば、選択的表面を形成する各βストランド及び各ループ中の残基
の20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%
、又は95%が、ランダム化できる。あるいは、標的分子に特異的に結合するFN3ドメ
インは、ループのいずれもランダム化することなく、選択的表面に寄与するβストランド
中で残基のサブセットをランダム化することによって生成され得る。例えば、選択的表面
に寄与する各ストランド中の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10
個の残基が、ランダム化され得る。ライブラリ多様性は、βストランド中に存在する追加
の残基をランダム化することによって増加され得る。例えば、選択的表面を形成する各β
ストランド中の残基の20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80
%、85%、90%、又は95%が、ランダム化できる。
βストランドは、全ての他の残基の側鎖がタンパク質の表面に露出される反復構造を有
する。表面露出側鎖は、三次元構造の検査によって、又は多配列アラインメントによる既
知の構造を有するFN3ドメインの配列との比較によって決定される。選択的表面に寄与
するβストランド中の表面露出残基の全て又はサブセットは、ランダム化されるように選
択できる。例えば、Tencon27(配列番号27)C−CD−F−FG選択的表面は
、C βストランド中の4つの表面露出残基(S30、L32、Q34、及びQ36)、
並びにF βストランド中の5つの表面露出残基(E66、T68、S70、Y72、及
びV74)を有し、残基の番号は、配列番号27に基づく。これらの残基のうちの1つ以
上は、ライブラリを生成するようにランダム化できる。S30、E66、及びV74など
の、選択的表面の接合部における残基は、ランダム化されても、又はされなくてもよい。
βストランドの埋もれた残基のランダム化は、構造のコア中の疎水性接点の損失によって
、スカフォールドの不安定化をもたらし得る。埋もれた残基は、アミノ酸のサブセットの
み、例えば、疎水性アミノ酸のみが使用されるように、ランダム化できる。
選択的表面に寄与するループ領域中のサブセット又は全部の残基がランダム化できる。
例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個の位
置が、選択的表面に寄与するCD及び/又はFGループ中で置換できる。Tencon2
7中のG42、G76、及び/又はG77など、ループ中のグリシン残基は、柔軟性を提
供することができ、ランダム化されても、又はされなくてもよい。Tencon27中の
E43など、βストランド/ループ境界における残基は、ランダム化されても、又はされ
なくてもよい。βストランド又はループ領域中の追加の残基は、ランダム化に含まれても
よく、又は除外されてもよい。例えば、FN3ドメインの結晶構造の分析に基づいて同定
される安定化に必要とされると思われる残基は、例えば、ランダム化されても、又はされ
なくてもよい。例えば、Tencon27中のS80は、FGループを潜在的に安定化す
るためにFN3ドメインコアに接触し、K75は部分的に選択的表面から外方を向く。し
たがって、これらの残基の両方は、初期のライブラリ設計から除外されてもよい。ランダ
ム化C−CD−F−FG表面を有する例示的なFN3ドメインライブラリにおいて、ラン
ダム化され得る残基は、配列番号27の位置30、32、34、36、38、39、40
、41、42、43、66、68、70、72、74、75、76、77、78、79、
80、又は81において残基を含む。ランダム化A−AB−B−BC−E表面を有する例
示的なFN3ドメインライブラリにおいて、ランダム化され得る残基は、位置6、8、1
0、11、12、13、14、15、16、18、20、22、23、24、25、26
、27、55、及び57において残基を含む。
選択的表面に寄与するループにおける多様性は、ループにおける残基の挿入及び/又は
欠失によって達成され得る。例えば、FG及び/又はCDループは、1〜22個のアミノ
酸によって延長でき、又は1〜3個のアミノ酸によって減少できる。Tencon27中
のFGループは、7個アミノ酸の長さであるが、一方で、抗体重鎖中の対応するループは
、4〜28個の残基に及ぶ。最大多様性を提供するために、選択的表面に寄与するループ
、例えば、FGループは、4〜28個の残基の抗体CDR3長さ範囲に対応するように、
配列並びに長さが多様化できる。
標的分子に特異的に結合する得られたFN3ドメインは更に、例えば、安定性の改善、
免疫原性の低減、結合親和性、オン速度、オフ速度、半減期、溶解度、又は任意の他の好
適な特徴の強化の目的で、選択的表面の外又は内に存在する残基において修飾され得る。
この目的を達成する一方法において、スカフォールドタンパク質は、任意に親配列及び改
変配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的改変産物の分析プロセスによ
って調製され得る。三次元モデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている
。選択された候補配列の考えられる三次元立体配座構造を図示し表示するコンピュータプ
ログラムが使用可能であり、潜在的な免疫原性を計測することができる(例えば、Xen
cor,Inc.(Monrovia,CA)のImmunofilterプログラム)
。これらの表示の検査は、候補配列の機能における残基の考えられる役割、例えば、スカ
フォールドタンパク質の安定性に影響を及ぼす残基、又はその標的分子に結合する候補ス
カフォールドタンパク質の能力の分析を可能にする。このように、残基は、改善されたス
カフォールド安定性などの所望の特徴が達成されるように、親配列及び基準配列から選択
及び組み合わされ得る。あるいは、又は上記の手順に加えて、他の好適な改変方法が当該
技術分野において既知であるように使用され得る。
本発明のFN3ドメインの望ましい物理特性は、高熱安定性並びに熱フォールディング
及びアンフォールディングの可逆性を含む。タンパク質及び酵素の見かけの熱安定性を高
めるため、極めて類似性の高い熱安定性配列との比較に基づく合理的設計、ジスルフィド
架橋の安定化設計、α−ヘリックス傾向を増加させる変異、塩橋の改変、タンパク質の表
面電荷の変化、定方向進化、及び共通配列の組成物を含む、いくつかの方法が適用されて
いる(Lehmann and Wyss,Curr Opin Biotechnol
,12,371〜375,2001)。高熱安定性は、発現したタンパク質の収率を増加
させ、溶解度又は活性を改善し、免疫原性を減少させ、製造におけるコールドチェーンの
必要性を最小化することができる。
本発明のFN3ドメインの任意の特徴を改善するように置換され得る残基は、置換を行
い、スカフォールドの所望の特徴をアッセイすることによって決定され得る。改善された
特徴を有する例示的なFN3ドメインベースのスカフォールドは、1つ以上のアミノ酸残
基位置11、14、17、37、46、73、又は86で修飾される、Tenconスカ
フォールド(配列番号16)又はTencon27スカフォールド(配列番号27)であ
る。
安定性の消失に関しては、即ち、タンパク質が「変性する」又はタンパク質の「変性」
とは、タンパク質の機能特性を付与する三次元立体配座のうちのいくつか又は全てが、活
性及び/又は溶解度の付随損失と共に消失するプロセスを意味する。変性中に破壊される
力としては、分子内結合、例えば、静電力、疎水性力、ファン・デル・ワールス力、水素
結合、及びジスルフィドが挙げられる。タンパク質の変性は、タンパク質又はタンパク質
を含む溶液に加えられる力、例えば、機械力(例えば、圧縮力又は剪断力)、熱応力、浸
透ストレス、pH、電界、又は磁界の変化、電離放射線照射、紫外線放射及び脱水など、
並びに化学的変性剤によって引き起こされ得る。
タンパク質安定性及びタンパク質不安定性の測定は、タンパク質完全性と同じ又は異な
る態様として見ることができる。タンパク質は、熱、紫外線又は電離放射線、溶液中の場
合には周囲の浸透圧モル濃度及びpHの変化、小さな孔寸法での濾過によって与えられる
機械的せん断力、紫外線放射、γ線照射によるなどの電離放射線照射、化学的又は熱脱水
、あるいはタンパク質構造の破壊を引き起こす可能性のあるその他の任意の作用又は力に
よって引き起こされる変性に対して感受性がある、つまり「不安定」である。分子の安定
性は、標準方法を用いて決定することができる。例えば、分子の安定性は、標準方法を用
いて、分子の半分がアンフォールディングされるセ氏(℃)での温度である、熱融解(「
TM」)温度を測定することによって決定され得る。典型的には、TMが高いほど、分子
はより安定している。熱に加えて、化学環境もまた、タンパク質が特有の三次元構造を維
持する能力を変化させる。
一実施形態において、本発明のFN3ドメインは、TMの増加によって測定される改変
前の同一ドメインと比較して、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30
%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80
%、85%、90%、若しくは95%、又はそれ以上の増加した安定性を示す。
化学変性も同様に、様々な方法によって測定することができる。化学的変性剤としては
、グアニジン塩酸塩、チオシアン酸グアニジニウム、尿素、アセトン、有機溶媒(DMF
、ベンゼン、アセトニトリル)、塩類(硫酸アンモニウム、臭化リチウム、塩化リチウム
、臭化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム)、還元剤(例えば、ジチオスレイ
トール、βメルカプトエタノール、ジニトロチオベンゼン(dinitrothiobenzene)、及び
水素化物、例えば水素化ホウ素ナトリウム)、非イオン性及びイオン性洗剤、酸類(例え
ば、塩酸(HCl)、酢酸(CHCOOH)、ハロゲン化酢酸)、疎水性分子(例えば
、リン脂質)、及び標的変性剤が挙げられる。変性の範囲の定量化は、標的分子に結合す
る能力などの機能特性の消失、あるいは凝集する、これまで溶媒が到達しにくかった残基
が露出する、又はジスルフィド結合が破壊若しくは形成する傾向などの物理化学的性質に
よる消失に依存し得る。
一実施形態において、本発明のスカフォールドは、化学的変性剤としてグアニジン塩酸
塩を使用することによって、測定される改変前の同一スカフォールドと比較して、少なく
とも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%
、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%
、又はそれ以上の増加した安定性を示す。増加した安定性は、よく知られている方法を使
用して塩酸グアニジンの濃度を増加させる処理による、減少したトリプトファン蛍光の関
数として測定され得る。
本発明の標的分子に特異的に結合するFN3ドメインは、その中に提供される方法に従
って、置換のためのテンプレートとして任意のFN3ドメインを使用して生成され得る。
ランダム化された選択的表面を有する例示的なFN3ドメインは、テネイシンCの第3
FN3ドメイン(TN3)(配列番号3)、Tencon(配列番号16)、Tenco
n27(配列番号27)、Fibcon(配列番号58)、及びフィブロネクチンの第1
0 FN3ドメイン(FN10)(配列番号97)である。Tencon27中で選択的
表面を描くアミノ酸位置は、表2及び図8に示され、Tencon、TN3、及びFib
conの直鎖状配列において同一である。FN10中で選択的表面を描くアミノ酸位置は
、図8に示される。他のFN3ドメイン中で選択的表面を形成する残基は、利用可能な場
合、三次元構造の検査によって、又はよく知られている方法によるFN3ドメインの配列
アラインメントの分析によって同定され得る。
本発明のFN3ドメインは、単量体、二量体、若しくは多量体として、例えば、標的分
子結合の原子価及びしたがって結合活性を増加させるための、又は2つ以上の異なる標的
分子に同時に結合する二重若しくは多特異性スカフォールドを生成するための手段として
、生成できる。二量体及び多量体は、例えば、アミノ酸リンカー、例えば、ポリグリシン
、グリシン及びセリン、又はアラニン及びプロリンを含有するリンカーの含有によって、
単一特異性、二重又は多特異性タンパク質スカフォールドを結合することによって生成で
きる。ポリペプチドを新規の結合融合ポリペプチドと結合するための自然発生的並びに人
工ペプチドリンカーの使用は、文献においてよく知られている(Hallewellら、
J Biol Chem 264,5260〜5268,1989;Alfthanら、
Protein Eng.8,725〜731,1995;Robinson & Sa
uer,Biochemistry 35,109〜116,1996;米国特許第5,
856,456号)。
本発明のFN3ドメインは、二重特異性分子として使用されてもよく、ドメイン中の第
1の選択的表面は第1の標的分子に対する特異性を有し、かつ同一ドメイン中の第2の選
択的表面は第2の標的分子に対する特異性を有する。例示的な二重特異性タンパク質ドメ
インは、C−CD−F−FG表面において第1の標的分子に結合し、かつA−AB−B−
BC−E表面において第2の標的分子に結合する、Tencon27の変異体である。
本発明のFN3ドメインは、例えば、共有結合相互作用を介して、他のサブユニットを
組み込んでもよい。抗体定常領域の全部又は一部分は、抗体様特性、特に、Fc領域と関
連した特性、例えば、補体活性、半減期などを付与するために、FN3ドメインに付着で
きる。例えば、C1q結合、補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存
性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、食作用、細胞表面受容体の下方制御(例えば、B細
胞受容体;BCR)などのFcエフェクター機能は、これらの活性に関与するFc中の残
基を修飾することによって提供及び/又は制御され得る(概観のために、Strohl,
Curr Opin Biotechnol.20,685〜691,2009を参照さ
れたい)。
毒素複合体、アルブミン又はアルブミンバインダー、PEG5000又はPEG20,
000などのポリエチレングリコール(PEG)分子、異なる鎖長の脂肪酸及び脂肪酸エ
ステル、例えば、ラウレート、ミリステート、ステアレート、アラキダート、ベヘネート
、オレエート、アラキドナート、オクタン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、
ドコサン二酸等、ポリリシン、オクタン、炭水化物(デキストラン、セルロース、オリゴ
又はポリサッカライド)など、追加の部分が、所望の特性のために本発明のFN3ドメイ
ンに組み込みできる。これらの部分は、タンパク質スカフォールドコード配列との直接融
合であってもよく、標準的なクローニング及び発現技術によって生成できる。あるいは、
組み換え技術によって産生された本発明のFN3ドメインにその部分を付着させるために
、よく知られている化学的結合方法が使用できる。
追加の部分を組み込むFN3ドメインは、いくつかのよく知られている分析評価によっ
て官能性に関して比較できる。例えば、Fcドメイン及び/又はFcドメイン変異体の組
み込みによる変化したFN3ドメイン特性は、FcγRI、FcγRII、FcγRII
I、若しくはFcRn受容体などの受容体の可溶型を使用して、あるいは例えば、ADC
C若しくはCDCを測定するか、又はインビボモデル中のタンパク質スカフォールドの薬
物動態学的特性を評価する、よく知られている細胞ベースの分析評価を使用して、Fc受
容体結合アッセイで分析できる。
FN3ドメインタンパク質の生成及び産生
本発明の一実施形態は、選択的表面を含むFN3ドメインのライブラリを作製する方法
であって、その選択的表面は基準FN3ドメインと比較して少なくとも1つのアミノ酸置
換を有し、その方法は、基準FN3ドメインをコードするポリヌクレオチドを提供する工
程と、選択的表面をランダム化することによって基準FN3ドメインのポリヌクレオチド
配列のライブラリを生成する工程と、インビトロでライブラリを翻訳する工程、又は宿主
中でライブラリを発現させる工程とを含む。
本発明の別の実施形態は、C βストランド、CDループ、F βストランド、及びF
Gループによって形成される多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有するFN3ド
メインのライブラリを作製する方法であり、配列番号27と少なくとも80%同一のアミ
ノ酸配列を有する基準FN3ドメインポリペプチドを提供する工程と、多様化したC−C
D−F−FG選択的表面を有するFN3ドメインライブラリを形成するために、少なくと
も1つのC βストランド残基及び少なくとも1つのF βストランド残基を変異させる
ことによって、基準FN3ドメインポリペプチドに多様性を導入する工程とを含む。
本発明のライブラリを作製する方法において、C βストランド中の1、2、3、又は
4つの残基は、S30が変異されないという条件で変異され得る(残基番号は、配列番号
27による)。
本発明のライブラリを作製する方法において、C βストランド残基L32、Q34、
及びQ36は、変異され得る(残基番号は、配列番号27による)。
本発明のライブラリを作製する方法において、F βストランド中の1、2、3、又は
4つの残基は、E66が変異されないという条件で変異され得る(残基番号は、配列番号
27による)。
本発明のライブラリを作製する方法において、F−βストランド残基T68、S70、
及びY72は、変異され得る(残基番号は、配列番号27による)。
本発明のライブラリを作製する方法において、CDループ残基中の1、2、3、又は4
つの残基は、G42及びE43が変異されないという条件で変異され得る(残基番号は、
配列番号27による)。
本発明のライブラリを作製する方法において、CDループ中の残基S38、E39、K
40、及びV41は、変異され得る。
本発明のライブラリを作製する方法において、FGループ中の1、2、3、又は4つの
残基は、残基K75、G76、G77、及びS80が変異されないという条件で変異され
得る(残基番号は、配列番号27による)。
本発明のライブラリを作製する方法において、FGループ中の残基H78、R79、及
びN81は、変異され得る(残基番号は、配列番号27による)。
本発明のライブラリを作製する方法において、基準FN3ドメインは、アミノ酸位置1
1、14、17、37、46、73、又は86において少なくとも1つの置換を任意に含
む、配列番号27のアミノ酸配列を含む。
配列番号17〜26の中に及び表3に示されるように、Tencon(配列番号16)
又はその変異体など、他の基準FN3ドメインが本発明の方法で使用できる。
本発明の他の実施形態は、本発明の方法によって生成されたライブラリである。
本発明のスカフォールドタンパク質、FN3ドメイン(又はモジュール)の生成は典型
的に、核酸レベルで達成される。1つ以上の特異残基において置換コドンを有する本発明
のライブラリのFN3ドメインは、例えば、米国特許第6,521,427号及び米国特
許第6,670,127号に記載される方法に従って、標準PCRクローニング方法又は
化学的遺伝子合成を使用して、合成できる。コドンは、よく知られている方法、例えば、
設計された多様性に一致する縮重オリゴヌクレオチドを使用して、又はKunkel突然
変異誘発法(Kunkelら、Methods Enzymol.154,367〜38
2,1987)を使用して、ランダム化できる。
ライブラリは、アミノ酸のランダム又は定義されたセットを使用して、選択されたコド
ンにおいてランダム化できる。例えば、ランダム置換を有するライブラリ中の変異体は、
20の自然発生するアミノ酸全てをコードするNNKコドンを用いて生成できる。他の多
様化スキームにおいて、アミノ酸Ala、Trp、Tyr、Lys、Thr、Asn、L
ys、Ser、Arg、Asp、Glu、Gly、及びCysをコードするために、DV
Kコドンが使用できる。あるいは、20全てのアミノ酸残基を生じさせ、同時に停止コド
ンの頻度を低減するために、NNSコドンが使用できる。コドン指定は、よく知られてい
るIUBコードによる。
任意のその他のタンパク質としての本発明のFN3ドメインは、様々な物理的及び/又
は化学的不安定性になりやすく、下流処理に悪影響をもたらす結果となる。例えば、物理
的及び化学的不安定性は、凝集、分解、生成物の収率の減少、効力の喪失、免疫原性の可
能性の増加、分子不均一性、及び活性の喪失を引き起こす可能性がある。したがって、残
基及び認識配列を誘発する可能性がある不安定性の存在は、ライブラリの設計中に最小化
できる。例えば、表面露出メチオニン及びトリプトファンは、保存条件で酸化され得、タ
ンパク質スカフォールド効力の損失をもたらす可能性がある。よく知られているN−グリ
コシル化認識部位(NXS/T)への寄与に加えて、アスパラギンの存在は、グリシンが
続くとき、脱アミド化され得、異型遺伝子性を引き起こす可能性がある(Robinso
n,Proc Natl Acad Sci U S A,99,5283〜5288,
2002)。したがって、これらのアミノ酸のうちの一部又は全部は、選択された位置を
ランダム化するために使用される混合物から除外されても、又はされなくてもよい。更に
、システイン及びプロリンは、βシートのジスルフィド架橋形成及び破壊を最小化するた
めに除外できる。
多様化される位置に偏ったアミノ酸分布を有するFN3ドメインのライブラリは、例え
ば、Slonomics(登録商標)テクノロジー(http:_//www_slon
ing_com)を用いて合成できる。このテクノロジーは、何千もの遺伝子合成プロセ
スに十分な普遍的な構築ブロックとして機能する、あらかじめ作られた二本鎖トリプレッ
トのライブラリを使用する。トリプレットのライブラリは、あらゆる所望のDNA分子を
構築するのに必要な、全ての考えられる配列組合せを示す。
特定の位置において選択されたヌクレオチド「縮重」を有するオリゴヌクレオチドの合
成は当該分野でよく知られており、例えば、TRIM手法が知られている(Knappe
kら、J Mol Biol 296,57〜86,1999;Garrard & H
enner,Gene 128,103〜109,1993)。特定のコドンセットを有
しているヌクレオチドのそのようなセットは、市販されているヌクレオチド又はヌクレオ
シド試薬、及び装置を使用して合成することができる。
例示的な多様化スキームにおいて、Tencon27 FN3ドメイン(配列番号27
)残基、C βストランド中のL32、Q34、及びQ36、CDループ中のS38、E
39、K40、及びV41、F βストランド中のT68、S70、及びY72、並びに
FGループ中のH78、R79、及びN81は、NNSコドンでランダム化される。
インビトロでライブラリを発現又は翻訳するために、ライブラリをベクターにクローニ
ングするか、又はライブラリの二本鎖cDNAカセットを合成するために、標準的なクロ
ーニング及び発現技術が使用される。例えば、インビトロ翻訳の後に形成されるタンパク
質−DNA複合体のプールを生成するために、スカフォールドタンパク質をコードするD
NAフラグメントを、RepAをコードするDNAフラグメントに結紮するために、ci
sディスプレイが使用され得、各タンパク質は、それをコードするDNAと安定的に結合
する(米国特許第7,842,476号;Odegripら、Proc Natl Ac
ad Sci U S A 101,2806〜2810,2004)。例えば、リボソ
ームディスプレイ(Hanes and Pluckthun,Proc Natl A
cad Sci USA,94,4937〜4942,1997)、mRNAディスプレ
イ(Roberts and Szostak,Proc Natl Acad Sci
USA,94,12297〜12302,1997)、又は他の無細胞系(米国特許第
5,643,768号)など、他の方法が使用され得る。タンパク質スカフォールドのラ
イブラリは、例えば、任意の好適なバクテリオファージの表面上に提示される融合タンパ
ク質として発現できる。バクテリオファージの表面上の融合ポリペプチドを提示するため
の方法は、よく知られている(米国公開特許第2011/0118144号;国際公開特
許第WO2009/085462号;特許第6,969,108号;米国特許第6,17
2,197号;米国特許第5,223,409号;米国特許第6,582,915号;米
国特許第6,472,147号)。
スクリーニング
標的分子への特異的結合に対する改変タンパク質FN3ドメイン又はFN3ドメイン変
異体のライブラリのスクリーニングは、例えば、実施例及びOdegripら、Proc
Natl Acad Sci U S A 101,2806〜2810,2004に
記載されるように、cisディスプレイを使用して、ライブラリを産生し、当該技術分野
において既知の任意の方法によって、標的分子への特異的結合に対してライブラリを分析
することによって、達成され得る。使用され得る例示的なよく知られている方法は、EL
ISA、サンドイッチ免疫測定法、並びに競合及び非競合アッセイである(例えば、Au
subelら編、1994,Current Protocols in Molecu
lar Biology,Vol.1,John Wiley & Sons,Inc.
,New Yorkを参照されたい)。
本発明のFN3ドメインは、ヒト又はその他哺乳類のタンパク質に、広範な親和性(K
)で結合することができる。典型的に、本発明のFN3ドメインは、当業者によって実
施されるように、表面プラズモン共鳴又はKinexa法によって決定されるように、約
10−7M、10−8M、10−9M、10−10M、10−11M、10−12M、1
−13M、10−14M、又は10−15以下のKで、標的タンパク質に結合するこ
とができる。抗原に対するFN3ドメインの親和性は、任意の好適な方法を用いて実験的
に決定され得る。(例えば、Berzofskyら、「Antibody−Antige
n Interactions,」In Fundamental Immunolog
y,Paul,W.E.編、Raven Press:New York,NY(198
4);Kuby,Janis Immunology,W.H.Freeman and
Company:New York,NY(1992);及び本発明に記載される方法
を参照されたい)。特定のFN3ドメイン抗原相互作用の測定される親和性は、異なる条
件(例えば、浸透圧モル濃度、pH)下で測定される場合に異なる可能性がある。したが
って、親和性及びその他抗原結合パラメータ(例えば、K、Kon、Koff)の測定
は、好ましくは、タンパク質スカフォールド及び抗原の標準化溶液、及び本明細書で記載
される緩衝液などの標準化緩衝液を用いて行われる。
核酸分子及びベクター
本発明は、インビトロ転写/翻訳に使用される線状DNA配列、原核、真核、若しくは
糸状ファージ発現、組成物若しくはその定方向突然変異原の分泌及び/若しくは提示に適
合するベクターを含む、単離ポリヌクレオチドとして、又は発現ベクターの部分として、
又は線状DNA配列の部分として、本発明のFN3ドメインをコードする核酸を提供する
。ある特定の例示的なポリヌクレオチドが本明細書に開示されるが、遺伝暗号の縮重及び
所与の発現系におけるコドンの選択性を考慮すると、本発明のタンパク質スカフォールド
及びタンパク質スカフォールドのライブラリをコードする他のポリヌクレオチドも本発明
の範囲内である。
本発明のポリヌクレオチドは、自動式ポリヌクレオチド合成装置での固相ポリヌクレオ
チド合成などの化学合成により製造され、完全一本鎖又は二本鎖分子に構築され得る。別
の方法としては、本発明のポリヌクレオチドは、PCRに続いて慣用的なクローニングを
行うなどの他の手法により製造され得る。所与の既知の配列のポリヌクレオチドを製造す
る又は得るための手法は、当該技術分野において周知である。
本発明のポリヌクレオチドは、プロモータ又はエンハンサー配列、イントロン、ポリア
デニル化シグナル、RepA結合を促進するcis配列等、少なくとも1つの非コード配
列を含んでもよい。ポリヌクレオチド配列はまた、タンパク質、シグナル配列、RepA
などの融合タンパク質パートナー、Fc、又はpIX若しくはpIIIなどのバクテリオ
ファージコートタンパク質の精製又は検出を促進するために、例えば、マーカー又はヒス
チジンタグ若しくはHAタグなどのタグ配列をコードする追加のアミノ酸をコードする追
加の配列を含んでもよい。
例示的なポリヌクレオチドは、Tacプロモータに対する配列、FN3ドメインライブ
ラリ及びrepAをコードする配列、cis要素、並びに細菌の複製起源(ori)を含
む。別の例示的なポリヌクレオチドは、pelB又はompAシグナル配列、pIII又
はpIXバクテリオファージコートタンパク質、FN3ドメイン、及びpolyA部位を
含む。TCL14ライブラリ及びTencon27をコードする例示的なポリヌクレオチ
ドは、配列番号100及び101の中にそれぞれ示される。
本発明の別の実施形態は、少なくとも1つの本発明のポリヌクレオチドを含むベクター
である。こうしたベクターは、プラスミドベクター、ウイルスベクター、バキュロウイル
ス発現ベクター、トランスポゾンに基づいたベクター、又は任意の手段によって特定の生
物又は遺伝子的バックグラウンドに本発明のポリヌクレオチドを導入するのに適した他の
任意のベクターであってよい。かかるベクターは、かかるベクターによってコードされる
ポリペプチドの発現を制御、調整、誘発、又は許容することができる核酸配列因子を含む
発現ベクターであってもよい。このような因子は、転写エンハンサー結合部位、RNAポ
リメラーゼ開始部位、リボソーム結合部位、及び所与の発現システムにおけるコードされ
たポリペプチドの発現を促進する他の部位を含んでよい。このような発現系は、当該技術
分野において周知の、細胞ベースの、又は無細胞の系であってよい。
宿主細胞選択又は宿主細胞工学
本発明のFN3ドメインは、任意に、当該技術分野においてよく知られている細胞株、
混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によって産生され得る。例えば
、Ausubelら編、Current Protocols in Molecula
r Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,NY(1
987〜2001)、Sambrookら、Molecular Cloning:A
Laboratory Manua第1、2版、Cold Spring Harbor
,NY(1989)、Harlow及びLane、Antibodies,a Labo
ratory Manual,Cold Spring Harbor,NY(1989
)、Colliganら編、Current Protocols in Immuno
logy,John Wiley & Sons,Inc.,NY(1994〜2001
)、Colliganら、Current Protocols in Protein
Science,John Wiley & Sons,NY,NY,(1997〜2
001)を参照のこと。
発現のために選択される宿主細胞は、哺乳類起源であり得るか、又はCOS−1、CO
S−7、HEK293、BHK21、CHO、BSC−1、Hep G2、653、SP
2/0、293、HeLa、骨髄腫、リンパ腫、酵母、昆虫若しくは植物細胞、又はその
任意の誘導体、不死化若しくは形質転換細胞から選択できる。あるいは、宿主細胞は、ポ
リペプチドをグリコシル化することが不可能な種又は生物、例えば、BL21、BL21
(DE3)、BL21−GOLD(DE3)、XL1−Blue、JM109、HMS1
74、HMS174(DE3)、及び天然又は改変大腸菌種、クレブシエラ種、又はシュ
ードモナス種の菌株などの原核細胞又は生物、から選択できる。
本発明のFN3ドメインの使用
本発明に記載され、上述の方法のいずれかによって生成されるFN3ドメイン(モジュ
ール)ベースの分子の組成物は、ヒトの疾病の症状、又は細胞、組織、臓器、体液、若し
くは一般には宿主の特定の病変を、診断、監視、調節、治療、緩和、発生の防止を補助、
又は軽減するために使用され得る。免疫介在疾患又は免疫不全症、代謝性疾患、心臓血管
傷害又は疾患;悪性疾患;神経障害又は疾患;細菌性、ウイルス性又は寄生虫感染症など
の感染症;あるいは、腫脹、疼痛、及び組織壊死又は線維症などのその他既知の又は特定
の関連疾患を治療するために、特定の目的のために改変されたFN3ドメインが使用され
得る。
かかる方法は、かかる症状の調節、治療、軽減、予防、若しくは低減、効果、又は機序
を必要としている細胞、組織、器官、動物、又は患者に、標的分子に特異的に結合する少
なくとも1つのFN3ドメインを含む組成物又は医薬組成物を有効量投与することを含み
得る。有効量は、本明細書に記載のように、又は関連分野で既知のように、既知の方法を
用いて行い決定するとき、単回(例えば、ボーラス投与)、複数回、若しくは持続投与あ
たり約0.001〜500mg/kgの量、又は単回、複数回、若しくは持続投与あたり
0.01〜5000μg/mLの血清濃度を達成する量、又はこの中の任意の有効範囲若
しくは値を含んでよい。
FN3ドメインベースのタンパク質を含む医薬組成物
単一、二重、又は多特異性の修飾又は非修飾単量体、二量体、又は多量体である標的分
子に特異的に結合するFN3ドメインは、捕捉、固定化、分配、又は沈殿のために当該技
術分野でよく知られている分離手順を使用して単離され、商業的な適用可能性に必要な程
度まで精製され得る。
治療的使用のために、標的分子に特異的に結合するFN3ドメインは、薬理学的に許容
可能なキャリア中の活性成分として有効量のFN3ドメインを含有する医薬組成物として
調製できる。用語「キャリア」は、活性化合物と共に投与される希釈剤、助剤、賦形剤、
又は溶媒のことを指す。かかる溶媒は、落花生油、大豆油、鉱物油、ゴマ油等の、石油、
動物、植物、又は合成物由来のものを含む、水及び油等の液体であってよい。例えば、0
.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用することができる。これらの溶液は滅菌性
であり、粒子状物質を含まない。これらの溶液は、従来の公知の滅菌法(例えば濾過)に
よって滅菌することができる。組成物には、生理学的条件に近づけるために必要とされる
pH調整剤及び緩衝剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤などの薬理学的に許容され得
る補助物質を含有させることができる。こうした医薬製剤に含まれる本発明の薬剤濃度は
、重量にして約0.5%未満、通常は約1%又は少なくとも約1%から、最大で15又は
20%までと大きく異なってよく、選択される特定の投与方法に従って、主として必要と
される用量、液体の体積、粘度などに基づいて選択される。好適な媒体及び製剤(他のヒ
トタンパク質、例えば、ヒト血清アルブミンを含む)は、例えば、Remington:
The Science and Practice of Pharmacy、第21
版、Troy,D.B.編、Lipincott Williams and Wilk
ins,Philadelphia,PA 2006,Part 5,Pharmace
utical Manufacturing pp 691〜1092に記載され、特に
pp.958〜989を参照されたい。
標的分子に特異的に結合するFN3ドメインの治療的使用のための投与方法は、非経口
投与、例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、若しくは皮下、肺;経粘膜的(経口、鼻
腔内、膣内、直腸);タブレット、カプセル、溶液、粉末、ゲル、粒子の製剤を使用する
;及びシリンジ、埋め込みデバイス、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプに収
容される;又は当該技術分野でよく知られているような、当業者によって理解される他の
手段など、宿主に薬剤を送達する、任意の好適な投与法であってもよい。部位特異的投与
は、例えば、関節内、気管支内、腹内、関節包内、軟骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内
、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立
腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液嚢内、胸郭内、子宮内、血管内、膀
胱内、病巣内、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内、又は経皮送達によって達成され得る
本発明は一般論として記述されてきているが、本発明の実施形態は、特許請求の範囲を
限定するように解釈されるべきではない以下の実施例で更に開示される。
実施例1.Tenconスカフォールド
Tenconの設計
ヒトテネイシンC(配列番号3)からのIII型(Fn3)ドメインの第3フィブロネ
クチンモジュールは、特異的標的分子に結合するように改変され得るタンパク質スカフォ
ールドとして使用できる。天然型のこのドメインの融解温度はPBS中で54℃である。
類似構造及び改善された物理学的特性、例えば改善された熱安定性を有するタンパク質
スカフォールドを産生するために、ヒトテネイシンCからの15個のFN3ドメイン(配
列番号1〜15の中に示される)のアラインメントに基づいて、共通配列を設計した。1
5個の選択されたFN3ドメインは、13〜80%の範囲の互いとの配列同一性を有し、
対間の平均配列同一性は、29%である。各位置において最も保存された(頻繁な)アミ
ノ酸を組み込むことによって、Tencon(配列番号16)に指定される共通配列を設
計した(米国公開特許第2010/0216708号を参照されたい)。対アラインメン
トにおいて、Tenconは、34〜59%の位置において、テネイシンCからのFN3
ドメインと同一であり、平均配列同一性は、43%である。
Tencon発現及び精製
Tenconのアミノ酸配列を逆翻訳し、配列番号59の中に示されるcDNA配列を
得た。常法を使用して、cDNAを増幅し、修飾pET15ベクターにクローニングした
。タンパク質を、大腸菌中の可溶型のC末端His融合タンパク質として発現させ50
0mMのイミダゾール中の溶出を用いた標準的なNi−NTAアガロースを使用して精製
した。所望の画分をプールし、PBS(pH 7.4)に透析した。精製の第2工程とし
て、PBSで平衡化したSuperdex−75 HiLoad 16/60カラム(G
E Healthcare)にタンパク質をのせた。Tenconを含む画分をプールし
、Centriprep UltraCel YM−3濃縮機(Amicon)を用いて
濃縮した。SDS−PAGE分析は、Tenconが、単量体タンパク質についての予測
質量である10.7kDaに一致して、6〜14kDaの間で泳動することを示した。培
養液1Lにつき収率>50mgの精製Tenconタンパク質が得られた。
Tencon生物物理学的特徴付け
Tenconの構造及び安定性を、円偏光二色性分光法(CD)及び示差走査熱量測定
法(DSC)によって特徴づけた。PBS中濃度0.2mg/mLで、20℃において、
AVIV分光計でCD測定を実施した。スペクトルは、218nmで最小を示し、FN3
ファミリーに属するタンパク質に対して予測されるβシート構造を示唆する。PBS中テ
ネイシンCからの第3 FN3ドメイン(TN3)又はTenconの溶液0.5mg/
mLを、N−DSCII熱量計(Applied Thermodynamics)にお
いて、35℃〜95℃まで、1℃/分の速度で加熱することによってDSCデータを得た
。このデータから、CpCalc(Applied Thermodynamics)ソ
フトウェアを用いて、TN3及びTenconそれぞれについて、54℃及び78℃の融
解温度を計算した。両ドメインのフォールディング及びアンフォールディングは、これら
の温度で可逆的である。したがって、生成されたTenconスカフォールドは、TN3
の熱安定性と比較して改善された熱安定性を示す。この安定性向上に基づき、Tenco
nスカフォールドは、アミノ酸置換により適しており、製造がより容易である可能性が高
い。タンパク質の安定性を低下させる変異は、より安定なスカフォールドという意味にお
いて、より耐性が高いと考えられ、したがって向上した安定性を有するスカフォールドは
、スカフォールド変異体ライブラリから、より機能的で、よく折り畳まれたバインダーを
もたらすと考えられる。
M13ファージ上のTencon提示
Tenconアミノ酸配列をコードするcDNA(配列番号59)を、標準的なPCR
及び制限消化クローニングによって、ファージミド発現ベクターpPep9(国際国際特
許公開第WO2008/079973号)にサブクローニングし、ベクターpTenco
n−pIXを得た。このベクターは、OmpAシグナル配列を利用して、Lacプロモー
タ(IPTGなしでのより低い発現レベル及びIPTGの添加後の発現の増加を可能にす
る)下で、バクテリオファージM13 pIXタンパク質のN末端へのC末端融合として
、N末端がMycタグ付けされたTenconを発現させる。短いTSGGGGSリンカ
ー(配列番号60)をTenconとpIXとの間に挿入し、これらのタンパク質間の立
体相互作用を防止した。
M13ファージ粒子の表面上の提示の確認のために、XL1−Blue大腸菌中のpT
encon−pIXの単一コロニー形質転換体を、対数期中期に達するまで37℃で成長
させ、610pfuのVCSM13ヘルパーファージを用いてレスキューした。アンピシ
リンが補充され、続いて、2YT培地中の16時間の膨張及び1mMのIPTGの誘導後
、上清をレスキューした培養物から採取し、4000×gで20分間遠心分離し、分析の
ために4℃で保存した。
ファージ粒子の抗Myc抗体(Life Technologies,Carlsba
d,CA)への結合を利用して、M13ファージ表面のMyc−Tencon構築物の提
示を確認した。Maxisorpプレートを、抗Myc又は抗αv抗体(陰性対照)を用
いて、2.5μg/mLの濃度で一晩コーティングし、SuperBlock T20(
Thermo Scientific,Rockford IL)を用いてブロッキング
した。上述のファージミド培養液の上清を、PBSで2倍ずつ連続希釈し、コーティング
したプレートのウェルに加えた。1時間後、プレートをTBSTで洗浄し、抗−M13
HRP抗体をそれぞれのウェルに添加し、1時間のインキュベーション後TBSTで洗浄
した。Roche BD ELISA POD基質を加え、Tecanプレートリーダー
で発光を検出した。
実施例2:Tencon中の変異の安定化
FG並びにFG及びBCループに多様性を同時に導入するように設計されるTenco
nライブラリ、FG7及びBC6/FG7は、記載されている(米国公開特許第2010
/0255056号;米国公開特許第2010/0216708号)。
変異体の設計
Tencon(配列番号16)の折たたみ安定性を改善するために突然変異体を設計し
た。いくつかの点突然変異を生じさせて、配列番号16の個々の残基、例えば、N46V
(Tencon17;配列番号17)、E14P(Tencon18;配列番号18)、
E11N(Tencon19;配列番号19)、E37P(Tencon20;配列番号
20)、及びG73Y(Tencon21;配列番号21)の置換を生じさせ、これらは
、プログラムPoPMuSiC v2.0(Dehouckら、Bioinformat
ics,25,2537〜2543,2009)によってスカフォールド安定性を改善す
ると予想された。突然変異体E86I(Tencon22;配列番号22)は、相同タン
パク質、ヒトテネイシンCからの第3 FN3ドメインを安定させることが以前に見出さ
れている(国際公開第WO2009/086116号)。Tenconの全てのループ残
基が独立してアラニンで置換されるアラニン走査実験中に、L17A変異体(Tenco
n26;配列番号26)がTenconを有意に安定させることが見出された(データは
示されず)。安定性アッセイの初回の後(下記参照)、安定性を更に増加させるために、
組み合わせ突然変異体N46V/E86I(Tencon23;配列番号23)、E14
P/N46V/E86I(Tencon24;配列番号24)、及びL17A/N46V
/E86I(Tencon25;配列番号25)を産生した。
発現及び精製
QuikChange突然変異誘発キット(Stratagene)を使用して、Te
nconコード配列中の変異を行い、HIS融合タンパク質として、標準プロトコルを
使用して、変異タンパク質を発現及び精製した。50mMのリン酸ナトリウム(pH 7
.4)、500mMのNaCl、及び250mMのイミダゾールで、Ni−NTA(No
vagen)カラムからタンパク質を溶出した。溶出後、タンパク質をPBS(pH 7
.4)に透析した。
熱安定性の特性評価
PBS(pH 7.4)(2〜3mg/mL)中のTencon及び各変異タンパク質
の熱安定性を、キャピラリー示差走査熱量測定法(DSC)によって測定した。オートサ
ンプラー(MicroCal,LLC)を備えたVP−DSC機器を使用して、これらサ
ンプルの融解温度を測定した。サンプルを10℃〜95℃又は100℃まで毎分1℃の速
度で加熱した。積分のためのベースラインを計算するために、各サンプルの走査の間に緩
衝液のみの走査を行った。データは、緩衝液のみのシグナルを差し引いた後の二状態変性
モデルに合致していた。各サンプルをセルから取り出すことなく走査を繰り返すことによ
って、熱変性の可逆性を決定した。可逆性は、1回目の走査曲線の下の面積を2回目の走
査曲線の下の面積と比較することによって計算された。DSC実験の結果は、完全な融解
曲線から導かれた値として表3に示されている(Tm(Kcal))。単一の突然変異体
Tencon17、Tencon18、Tencon19、及びTencon22は、親
Tencon配列と比べて熱安定性を改善していた。Tencon21だけが有意に不安
定化した。コンビナトリアル突然変異体Tencon23、Tencon24、及びTe
ncon25は全て、安定性の向上が有意に大きく、設計された変異は熱安定性の改善に
対して相加的に作用することを示す。
塩酸グアニジンによる変性
トリプトファン蛍光で測定した場合の、高濃度の塩酸グアニジン(GdmCl)で処理
された際にTencon及び各突然変異体が折りたたみを維持する能力を用いて、安定性
を評価した。Tenconはトリプトファン残基を1個だけ含有している。トリプトファ
ン残基は疎水性コアの中に埋め込まれ、したがって、360nmの蛍光放射は、このタン
パク質の折りたたみ状態の感度の高い測定となる。17点の滴定を産出するために、50
mMのリン酸ナトリウム(pH 7.0)、150mMのNaCl、及び0.48〜6.
63Mの可変濃度のGdmClを含有する200μLの溶液を、黒色で非結合の96個の
ウェルプレート(Greiner)にピペットで入れた。Tencon突然変異体を含有
する10μLの溶液を、最終タンパク質濃度が23μMになるようにプレートにわたり各
ウェルに加え、ピペットをゆっくりと上下に操作することによって混合した。室温で24
時間インキュベーションした後、SpectraMax M5プレートリーダー(Mol
ecular Devices,Sunnyvale,CA)を用いて、280nmでの
励起及び360nmでの発光により蛍光を読み取った。次の式(Pace,Method
s Enzymol 131:266〜280,1986)を用いて、蛍光シグナルを折
りたたみが壊れた割合に変換した。
Figure 2019081760
式中、yは、折りたたみサンプルの蛍光シグナルであり、yは非折りたたみサンプ
ルの蛍光シグナルである。
非折りたたみへの移行の中間点、及び転移の勾配を、以下の式(Clarkeら、19
97)にフィッティングさせて決定した。
Figure 2019081760
式中、Fは所与の変性剤濃度における蛍光であり、及びα及びαは、元の状態と変
性状態のy切片であり、及びβ及びβは、元の状態と変性状態のベースラインの傾斜
であり、[D]はGdmClの濃度であり、[D]50%は、サンプルの50%が変性し
ている時点のGdmCl濃度であり、mは転移の勾配であり、Rは気体定数であり、Tは
温度である。各サンプルの折りたたみの自由エネルギーを次の式を用いて推定した(Pa
ce 1986(上記を参照);Clarkeら、J Mol Biol 270,77
1〜778,1997)。ΔG=m[D]50%
このような曲線の転移の勾配mを正確に測定するのは困難な場合が多い。加えて、本明
細書に記載の突然変異は、Tenconの折りたたみ機構を変更させるものとは期待され
ない。したがって、各突然変異体のm値を測定し、この値を平均して(上記Pace 1
986参照)、全ての自由エネルギー計算で使用されるm=3544cal/mol/M
を生成した。これらの計算の結果が表3に示されている。GdmCl変性実験の結果は、
熱安定性に関してTenconを安定させる同じ突然変異体が、GdmCl誘発変性に対
してもタンパク質を安定させることを示している。
Figure 2019081760
サイズ排除クロマトグラフィー
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて、Tencon及び各Tencon
変異体の凝集状態を評価した。5μLの各サンプルを、PBS移動相を用いる0.3mL
/分の流量でのSuperdex 75 5/150カラム(GE Healthcar
e)上に注入した。カラムからの溶出を280nmの吸光度でモニターした。凝集状態を
評価するために、球状分子量標準品(globular molecular weight standards)(Sig
ma)でカラムを予め較正した。Tencon21を除く試験した全てのサンプルは、モ
ノマーサンプルの溶出体積と一致する溶出体積で単一ピークに溶出された。Tencon
21は2つのピークに溶出され、凝集の存在を示していた。
実施例3:選択的結合表面を有するTenconライブラリの生成
TCL14ライブラリの設計
特定のライブラリ設計においてランダム化される残基の選択は、作成される相互作用表
面の全体の形状に影響を与える。BC、DE、及びFGループがランダム化されたライブ
ラリからのマルトース結合タンパク質(MBP)に結合するように選択されたスカフォー
ルドタンパク質を含有するFN3ドメインのX線結晶学的分析は、MBPの活性部位に適
合する、大きく湾曲した接合面を有することが示された(Koideら、Proc Na
tl Acad Sci U S A,104,6632〜6637,2007)。対照
的に、MBPに結合するように選択されたアンキリン反復スカフォールドタンパク質は、
はるかに平面的な相互作用表面を有すること、及び活性部位から離れたMBPの外面に結
合することがわかった(Binzら、Nat Biotechnol,22,575〜5
8,2004)。これらの結果は、スカフォールド分子の結合表面の形状(曲面対平面)
は、何の標的タンパク質又はそれらの標的タンパク質上の特異的エピトープが、スカフォ
ールドによって効果的に結合されることが可能であるかを決定し得ることを示唆する。タ
ンパク質結合のためにFN3ドメインを含有する改変されたタンパク質スカフォールドを
取り囲む公開された試みは、標的結合のために隣接ループを改変すること(図1)に依存
し、したがって、湾曲した結合表面をもたらした。このアプローチは、かかるスカフォー
ルドによって到達可能な標的及びエピトープの数を制限し得る。
Tencon及び他のFN3ドメインは、分子の反対側の面上にあるCDR様ループの
2つのセットを含有し、第1のセットは、BC、DE、及びFGループによって形成され
、第2のセットは、AB、CD、及びEFループによって形成される。ループの2つのセ
ットは、FN3構造の中心を形成するβストランドによって分離される(図1、2A)。
図1に示されるTencon構造の画像が90度回転させられる場合、選択的表面は視覚
化され得る(図2B)。このわずかに凹状の表面は、CD及びFGループ、並びに2つの
逆平行βストランド、C及びβストランドによって形成され、本明細書ではC−CD−F
−FG表面と呼ばれる(図2B)。C−CD−F−FG表面は、表面を形成する残基のサ
ブセットをランダム化することによって、タンパク質スカフォールド相互作用表面のライ
ブラリを設計するためのテンプレートとして使用され得る。βストランドは、全ての他の
残基の側鎖がタンパク質の表面に露出される反復構造を有する。したがって、ライブラリ
は、βストランド中の一部又は全部の表面露出残基をランダム化することによって作製さ
れ得る。βストランド中の適切な残基を選択することによって、Tenconスカフォー
ルドの固有安定性が最小限に損なわれる一方で、他のタンパク質との相互作用のための特
有のスカフォールド表面を提供するはずである。
本明細書ではTCL14(配列番号28)と呼ばれる新しいライブラリを、追加のE1
1R置換(Tencon27、配列番号27)を有するTencon25スカフォールド
(配列番号25)に設計した(図2B、3)。ループ及びストランドの位置並びにそれら
の配列は、Tencon27(配列番号27)及びTCL14(配列番号28)のそれぞ
れに対して、表4及び表5に示される。表5において、「X」は、任意のアミノ酸を示す
Tencon27(配列番号27):
lpapknlvvsRvtedsarlswtapdaafdsfliqyqese
kvgeaivltvpgsersydltglkpgteytvsiygvkgghr
snplsaiftt
TCL14ライブラリ(配列番号28):
[配列表1]
Figure 2019081760
ここで、「X」は、任意のアミノ酸である。
Tencon27中でC−CD−F−FG表面を形成する2つのβストランドは、ラン
ダム化され得る合計で9つの表面露出残基、C−ストランド:S30、L32、Q34、
Q36;F−ストランド:E66、T68、S70、Y72、及びV74を有し、一方で
、CDループは、6つの可能な残基:S38、E39、K40、V41、G42、及びE
43を有し、FGループは、7つの可能な残基:K75、G76、G77、H78、R7
9、S80、及びN81を有する(図5)。22個全ての残基がランダム化された場合の
ライブラリのより大きい理論的サイズのため、TCL14設計に含める選択残基を選択し
た。
ランダム化のために、Tencon27(配列番号27)中の13個の位置を選択した
:C−ストランド中のL32、Q34、及びQ36、CD−ループ中のS38、E39、
K40、及びV41、F−ストランド中のT68、S70、及びY72、FG−ループ中
のH78、R79、及びN81。C及びFストランド中、S30及びE66は、CD及び
FGループのすぐ向こう側にあり、明らかにC−CD−F−FG表面の一部のように見え
ないため、それらをランダム化しなかった。CDループに対して、G42及びE43は、
柔軟性を提供するグリシンがループ領域中で有益であり得、E43が表面の接合部にある
ため、ランダム化しなかった。FGループは、K75、G76、G77、及びS80を除
外した。上記の理由でグリシンを除外し、一方で、結晶構造の注意深い検査により、安定
したFGループの形成を助けるために、コアと主要な接触を行うS80を明らかになった
。K75は、C−CD−F−FG表面の表面から外方を向き、ランダム化の候補としては
あまり魅力的ではなかった。上記の残基は、元のTCL14設計においてランダム化され
なかったが、それらは、新しい選択のために、又は例えば、選択TCL14標的特異的ヒ
ット上の親和性成熟ライブラリに向けて追加の多様性を提供するために、後続のライブラ
リ設計に含まれ得る。
Figure 2019081760
既存のFN3−スカフォールドベースのライブラリ設計(Koideら、J Mol
Biol,284,1141〜1151,1998);Koideら、Proc Nat
l Acad Sci USA 104,6632〜6637,2007;(Dinee
nら、BMC Cancer,8,352〜361,2008;Olson and R
oberts,Protein Sci,16,476〜484,2007;Xuら、C
hemistry & Biology,9,933〜942,2002;Karata
nら、Chem Biol,11,835〜844,2004;Hackelら、J M
ol Biol,401,84〜96,2010;Hackelら、J Mol Bio
l 381,1238〜1252,2008;Koideら、Proc Natl Ac
ad Sci U S A,104,6632〜6637,2007;Lipovsek
ら、J Mol Biol,368,1024〜1041,2007;国際特許公開第W
O2009/133208号;国際特許公開第WO2009/058379号;米国特許
第7,115,396号)とは反対に、設計されたTCL14ライブラリ表面は、抗体可
変ドメイン若しくはCDR、又はすでに記載されたFN3ライブラリとの構造の類似性を
有しなかった。この設計によって生成された大きい相互作用表面のため、高親和性分子は
、場合によっては親和性成熟工程の必要なく、迅速に単離され得る。この設計は、
Figure 2019081760
連続したアミノ酸の長い広がりをランダム化しないため、それは、すでに記載されたラ
イブラリよりも可溶性の、かつ安定したFN3結合分子を産生し得る。記載されたTCL
14ライブラリは、前のライブラリの湾曲表面と比較して、平坦又は凹状相互作用表面を
もたらす。したがって、TCL14から選択されたFN3分子は、前のFN3ライブラリ
設計から見つけられたもののように異なる抗原及びエピトープに結合する可能性が高い。
TCL14ライブラリ設計はまた、二重特異性を達成するために、同一分子上の2つの異
なる結合表面の産生を可能にし得る。
TCL14ライブラリの生成
cisディスプレイ系(Odegripら、Proc Natl Acad Sci
USA 101:2806〜2810,2004)を使用して、上記のTCL14ライブ
ラリを発現させた。この系において、ライブラリは、RepAコード配列をコードするD
NAフラグメント、cis及びori要素、並びにTacプロモータに結紮され、得られ
た結紮生成物は、インビトロで転写/翻訳される。産生されたTCL14−RepA融合
タンパク質は、融合タンパク質がコードされるDNAに、cisで結合される。ライブラ
リは、所望のタンパク質に特異的に結合するスカフォールド分子に対してスクリーニング
され、分子は単離され、結合したDNAは増幅され、結合したスカフォールド分子のコー
ド配列を同定する。
縮重プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、Tencon2
7(配列番号27)中の位置L32、Q34、Q36(C−ストランド)、S38、E3
9、K40、V41(CD−ループ)、T68、S70、Y72(F−ストランド)、H
78、R79、及びN81(FG−ループ)をランダム化することによって、TCL14
ライブラリを生成し、標準プロトコルを使用して、cisディスプレイのために、5’か
らRepA遺伝子にクローニングした。Cストランド及びC:Dループをランダム化する
ためにプライマーC−CD N46V(配列番号51)を使用し、Fストランド及びF:
Gループをランダム化するためにプライマーF−FG−Sf E86I−R(配列番号5
2)を使用した。インビトロ転写/翻訳のためのTCL14ライブラリを生成するために
、プライマーR1RecFor(配列番号53)及びDigLigRev(配列番号54
)を用いて、最終結紮を増幅した。表6は、利用されるプライマーの配列を示す。多様化
のためにコドンNNSを使用した(IUBコード;NはA、C、G、又はTを示す;Sは
C又はGを示す)。
Figure 2019081760
TCL14ライブラリの特徴付け
TCON6(配列番号55)及びTCON5 E86I短(配列番号56)プライマー
を使用して、リガーゼ非依存性クローニング部位(pET154−LIC)を含有する修
飾pET15ベクター(EMD Biosciences)に、生成されたTCL14ラ
イブラリをPCRクローニングし、標準プロトコルを使用した形質転換及びIPTG誘導
(1mM最終、30℃)16時間後に、C末端His6タグ付けされたタンパク質として
タンパク質を発現させた。遠心分離によって細胞を採取し、続いて、0.2mg/mLの
Chicken Egg White Lysozyme(Sigma−Aldrich
,St.Louis,MO)が補充されたBugbuster HT(EMD Chem
icals,Gibbstown,NJ)で溶解した。遠心分離によって細菌溶解物を浄
化し、上清を新しい96ディープウェルプレートに移した。96ウェルNi−NTA M
ultitrap Plate(GE Lifesciences,Piscatawa
y,NJ)を使用して、タンパク質を精製した。
クローンの無作為選択を採取し、評価するための配列がライブラリ中の分布に得られた
。ライブラリ中の観察された多様性は、予測と十分に一致した(図7)。完全長ライブラ
リクローン中の観察された多様性を計算するために、所与のアミノ酸が多様化したライブ
ラリ領域中に現れた合計回数を全てのクローンにおいて合計し、ランダム位置の合計数で
除算し(13個のランダムライブラリ位置 69個の完全長クローン)、100を乗じ
、%頻度を得た。予測された多様性は、以下のアミノ酸分布:Phe=1、Leu=3、
Ile=1、Met=1、Val=2、Ser=3、Pro=2、Thr=2、Ala=
2、Cys=1、Arg=3、Gly=2、Tyr=1、His=1、Gln=1、As
n=1、Lys=1、Asp=1、Glu=1、Trp=1を有するNNS縮重コドンに
基づく、コドンを、コドンの総数(32)で除算し、100が乗じて、%頻度を得る。
精製タンパク質をサイズ排除クロマトグラフィーに供し、個々のライブラリメンバーの
凝集傾向を決定した。吸光度が280nmで読み取られるAgilent 1200 H
PLCを使用して、Superdex 75 5/150カラム上に10μLの精製タン
パク質を注入することによって、選択クローンの溶出プロファイルを決定した。クローン
を含有する約80%の非システインを単一の単量体ピークとして溶出し、したがって、大
部分の個々のライブラリメンバーが、親分子の固有溶解度及び構造を保持したことを示す
。遊離システインを含有するいくつかの分子は、精製後に酸化し、したがって、二量体分
子として溶出することがわかった。
示差走査熱量測定法(DSC)を使用し、SEC分析によって決定されるような単分散
プロファイルを有したクローンを更に特徴付けした。VP−DSCキャピラリーセルマイ
クロ熱量計(Microcal,LLC,Piscataway,NJ)において、1℃
/分の速度で、35℃から95℃に、PBS中の各クローンに対する0.5mg/mLの
溶液を加熱することによって、DSCデータを得た。表7に示されるデータの要約を用い
て、CpCalc(Microcal,LLC,Piscataway,NJ)ソフトウ
ェアを使用して、各クローンに対する融解温度を計算した。試験分子の平均融解温度は、
70±9℃であった。得られたデータは、TCL14ライブラリ設計が、親分子Tenc
on25の有意な量の熱安定性を保持し(93℃)、それら自体が本質的に熱的に安定し
、十分にフォールディングされるスカフォールド分子を産生することを示す。
Figure 2019081760
所望の標的分子に特異的に結合するTCL14ライブラリ分子の選択
細胞表面受容体細胞外ドメイン、サイトカイン、キナーゼ、ホスファターゼ、熱ショッ
クタンパク質、及び免疫グロブリン、並びにそれらのフラグメントからなる異なるタンパ
ク質の種類の様々な標的タンパク質に対して、TCL14ライブラリをスクリーニングし
、これらのタンパク質及び/又はタンパク質ドメインに特異的に結合するスカフォールド
分子を同定した。HEK293又は大腸菌細胞中で発現した、精製された可溶性タンパク
質を、EZ−Link No−Weigh Sulfo−NHS−LC−Biotin
Microtubes(Thermo Fisher,Rockford,IL)を使用
してビオチン化し、続いて、PBS中に大量透析した。選択のために、3μgのTCL1
4ライブラリを大腸菌S30 Linear Extract(Promega,Mad
ison,WI)中でインビトロで転写及び翻訳し(IVTT)、発現したライブラリを
、Cis Block(2% BSA(Sigma−Aldrich,St.Louis
,MO)、100μg/mL Herring Sperm DNA(Promega,
Madison,WI)、1mg/mLへパリン(Sigma−Aldrich,St.
Louis,MO)でブロッキングした。選択のために、各ビオチン化標的タンパク質を
400nM(1回目)、200nM(2及び3回目)、並びに100nM(4及び5回目
)の濃度で添加した。ニュートラアビジン磁気ビーズ(Thermo Fisher,R
ockford,IL)(1、3、及び5回目)又はストレプトアビジン磁気ビーズ(P
romega,Madison,WI)(2及び4回目)を使用して、結合ライブラリメ
ンバーを回収し、ビーズを500μLのPBSTで5〜14回、続いて、500μLのP
BSで2回洗浄することによって、非結合ライブラリメンバーを除去した。
5回の選択の後、DNA産出をPCRによって増幅し、標準プロトコルを使用してpE
T154−LICにサブクローニングした。
2つの標的タンパク質に対する改善された親和性を有するスカフォールド分子を同定す
るために、追加の選択巡回を実施した。簡潔に、5回目からの産出を上記のように調製し
、以下の変化を伴う追加の反復巡回の選択に供した:ビオチン化標的タンパク質によるイ
ンキュベーションを1時間から15分に減少させ、ビーズ捕捉を20分から15分に減少
させ、ビオチン化標的タンパク質を25nM(6及び7回目)又は2.5nM(8及び9
回目)に減少させ、過剰な非ビオチン化標的タンパク質の存在下で追加の1時間の洗浄を
実施した。これらの変化の目的は、実質的により低いKをもたらす、潜在的により速い
結合速度及びより遅い解離速度を有するバインダーを同時に選択することであった。第9
回の産出を上記のようにPCR増幅、クローニング、及び発現させた。
所望のタンパク質及び/又はタンパク質ドメインに結合するスカフォールド分子のイン
ビトロ特徴付け
結合
5回目のパニングの産出からの188個の個々のクローンに対して、酵素免疫測定法(
ELISA)を実施した。Maxisorpプレート(Nunc,Rochester,
NY)を0.1μgの抗His抗体(Qiagen,Valencia,CA)で一晩コ
ーティングし、0.05% Tween−20を有するトリス緩衝食塩水(pH 7.4
)(TBST)で洗浄し、Starting Block T20(Thermo Fi
sher,Rockford,IL)を使用してブロッキングした。1μg/mLのHi
タグ付けされたTCL14−RepA融合又は対照タンパク質(ヒト血清アルブミン
)を含有する浄化した細菌溶解物を、コーティングされたプレートのウェルに添加した。
プレートを1時間インキュベートし、TBSTで洗浄し、Molecular Devi
ces M5プレートリーダーを使用して、ビオチン化タンパク質をストレプトアビジン
HRP(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA
)及びPOD化学発光基質(Roche,Indianapolis,IN)で検出した
。ライブラリの性能をヒット率によって評価した。ヒット率を、スクリーニングされたク
ローンの合計数(188個)で除算した、対照シグナルよりも10倍の発光シグナルを有
するスカフォールド分子のパーセント(%)として定義した。表8に示されるように、T
LC14ライブラリは、8つの異なるタンパク質に対して8%〜45%の間の範囲のヒッ
ト率を有するスカフォールド分子を得た。サイトカイン2は、マウスIL−17Aである
Figure 2019081760
マウスIL−17Aバインダーの特徴付け
IL−17A受容体阻害
マウスIL−17A(mIL−17A)に対する5及び9回目のパニングの産出が、m
IL−17A受容体へのmIL−17Aの結合を阻害したかを決定するために、阻害アッ
セイを実施した。Maxisorpプレートを0.2μg/mLのmIL−17A受容体
Fc融合(R&D Systems,Minneapolis,MN)で一晩コーティン
グし、0.05% Tween−20を有するリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH
7.4)(TBST)で洗浄し、PBS中2% BSA、5%スクロースでブロッキング
した。10ng/mLのビオチン化mIL17A(b−mIL−17A)を、PBS中1
% BSAで1:50に希釈した浄化細菌溶解物に添加し、混合物を20分間インキュベ
ートした。ブロッキングされたプレートを洗浄し、細菌溶解物/b−mIL−17Aイン
キュベーションをプレート上に移した。プレートを更に1時間インキュベートし、PBS
Tで洗浄し、ビオチン化タンパク質を、ストレプトアビジンHRP(Jackson I
mmunoresearch,West Grove,PA)及びOPD比色分析基質(
Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)で検出した。M5プレートリー
ダー(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)を使用して、
490nmでの吸光度を読み取り、データを%阻害に変換した。mIL−17A:mIL
−17受容体結合に対する%阻害を、100−(試料/陰性対照×100)として定義し
た。
10μM〜56pMの間の濃度の100μLの精製TCL14−His(Ni−NTA
)融合タンパク質をアッセイで使用したことを除いて、上記のプロトコルを使用した用量
応答阻害アッセイで、mIL−17A:mIL−17受容体相互作用を阻害するスカフォ
ールド分子を含有する選択細菌溶解物を更に特徴付けした。S字形用量応答フィッティン
グを使用して、用量応答曲線からIC50値を計算した。表9に要約されるように、mI
L−17A特異的阻害剤は、約9〜約428pMのIC50の範囲を有する。
Figure 2019081760
親和性測定
ProteOn XPR−36器具(Bio−Rad)を使用した表面プラズモン共鳴
を用いて、mIL−17Aに結合する選択分子の親和性を測定した。pH 5.0及び3
0μL/分の流量で5分間、異なる密度(100〜300Rus)のアミン結合を介して
、精製された分子をチップ上に直接固定化した。3倍濃度系列で希釈した100nMでの
mIL−17Aを、チップ表面上での異なる分子へのそれらの結合に対して試験した。全
試料の全濃度に対する解離相を、それらの解離速度に応じて、100μL/分の流量で、
1〜2時間、監視した。緩衝液試料を注入し、ベースライン安定性を監視し、更なる使用
のために表面を再生しなかった。TLC14ライブラリから選択されるスカフォールド分
子の異なる表面のそれぞれに対する全濃度系列に対する応答データを、1:1単純ラング
ミュア結合モデルに全体的にフィッティングさせ、運動(kon、koff)及び親和性
(K)定数の推定値を抽出した。表9に要約されるように、mIL−17Aに特異的に
結合するスカフォールド分子の親和性は、サブナノモル範囲であった。
選択mIL−17Aバインダーの配列は、配列番号85〜96の中に示され、C及びF
βストランド並びにCD及びFGループは、表10に示される。
Figure 2019081760
実施例4:第2の選択的表面でランダム化されるTencon27ライブラリ
Tencon27上の第2の選択的表面は、図2Cで視覚化されるように、C−CD−
F−FG表面の反対側に存在し、本明細書ではA−AB−B−BC−E表面と呼ばれ、A
βストランド、ABループ、B βストランド、BCループ、及びE βストランドに
よって形成される。A−AB−B−BC−E表面はまた、わずかに凹状であり、表面を形
成する残基のサブセットをランダム化することによって、タンパク質スカフォールド相互
作用表面のライブラリを設計するためのテンプレートとして使用され得る。βストランド
は、全ての他の残基の側鎖がタンパク質の表面に露出される反復構造を有する。したがっ
て、ライブラリは、βストランド中の一部又は全部の表面露出残基をランダム化すること
によって作製され得る。βストランド中の適切な残基を選択することによって、Tenc
on27スカフォールドの固有安定性が最小限に損なわれる一方で、他のタンパク質との
相互作用のための特有のスカフォールド表面を提供するはずである。A−AB−B−BC
−E表面のランダム化は、TCL14ライブラリ設計と比較して、Tencon27構造
の反対側に結合表面を生成する。ランダム化A−AB−B−BC−E表面を有するTen
con27のライブラリ設計は、配列番号61(TCL15ライブラリ)の中に及び図6
に示される。
TCL15ライブラリ(配列番号61):
lpapkXlXvXXvXXXXaXlXwXapdaafdsfliqyqese
kvgeaivltvpgserXyXltglkpgteytvsiygvkgghr
snplsaiftt;
ここで、Xは、任意のアミノ酸である。
TCL14ライブラリに関する上記のように、標的分子に特異的に結合するスカフォー
ルドに対して、TCL15ライブラリが生成及び選択される。
実施例5:他のFN3ドメイン:選択的表面のランダム化によるライブラリの生成
Tencon27スカフォールドに関する実施例に記載される選択的表面を利用したラ
イブラリ設計は、FN3ドメイン間の構造的類似性により、様々なタンパク質の他のFN
3ドメインに適用され得る。かかるFN3ドメインは、自然発生的又は合成であってもよ
く、例えば、フィブロネクチンドメインの共通配列に基づくFibcon共通スカフォー
ルド(配列番号58)(米国公開特許第2010/0255056号)、ヒトフィブロネ
クチンの第10 FN3ドメイン(FN10)(配列番号97)、又はヒトテネイシンか
らの第3 FN3ドメイン(TN3)(配列番号3)、又は表1に列挙されるタンパク質
中に存在する任意のFN3ドメインである。
ランダム化C−CD−F−FG選択的表面を有するFibcon、FN10、及びTN
3ライブラリに対するライブラリ設計は、図8、並びに配列番号62、98、及び99の
それぞれの中に示される。設計されたライブラリは、本明細書に記載されるプロトコルを
使用して、特異的バインダーに対して合成、発現、及び選択される。
ランダム化C−CD−F−FG表面を有するFibconベースのタンパク質スカフォ
ールドライブラリ(配列番号62):
ldaptdlqvtnvtdtsitvswtppsatitgyXiXyXpXX
XXgepkeltvppsstsvtitgltpgveyXvXlXalkdnXX
sXPlvgtqtt;
ここで、Xは、任意のアミノ酸である。
ランダム化C−CD−F−FG表面を有するFN10ベースのタンパク質スカフォール
ドライブラリ(配列番号98):
VSDVPRDLEVVAATPTSLLISWDAPAVTVRYYXIXYXEX
XXXSPVQEFTVPGSKSTATISGLKPGVDYXIXVXAVTGRG
DSPXXSXPISINYRT;
ここで、Xは、任意のアミノ酸である。
ランダム化C−CD−F−FG表面を有するTN3ベースのタンパク質スカフォールド
ライブラリ(配列番号99):
dapsqievkdvtdttalitwfkplaeidgiXlXyXiXXX
XgdrttidltedenqysignlkpdteyXvXlXsrrgdXXs
XpakEtftt;
ここで、Xは、任意のアミノ酸である。
Tencon27スカフォールドに関して記載されるものと同様に、他のFN3ドメイ
ンのCD及び/又はFGループを含む残基の一部又は全部は、異なる長さのライブラリを
生成するために、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個
のランダム化位置で置換され得る。
以上の記述及び実施例中で特に記されたものとは別な形で本発明を実施できることは明
白であろう。以上の教示に照らして、本発明の数多くの修正及び変形が可能であり、した
がってこれらは、添付の特許請求の範囲内に入るものである。
以上の記述及び実施例中で特に記されたものとは別な形で本発明を実施できることは明白であろう。以上の教示に照らして、本発明の数多くの修正及び変形が可能であり、したがってこれらは、添付の特許請求の範囲内に入るものである。
本発明は次の実施態様を含む。
(1)C βストランド、CDループ、F βストランド、及びFGループによって形成される多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有する、フィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインのライブラリを作製する方法であって、
a.配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有する、基準FN3ドメインポリペプチドを提供する工程と、
b.前記多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有する前記FN3ドメインライブラリを形成するために、少なくとも1つのC βストランド残基及び少なくとも1つのF βストランド残基を変異させることによって、前記基準FN3ドメインポリペプチドに多様性を導入する工程と、を含む、方法。
(2)前記C βストランドの1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号27の中の対応する残基S30が変異されていない、上記(1)に記載の方法。
(3)配列番号27の中の対応する前記C βストランド残基L32、Q34、及びQ36が変異されている、上記(2)に記載の方法。
(4)前記F βストランド中の1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号27の中の対応する残基E66が変異されていない、上記(2)に記載の方法。
(5)配列番号27の中の対応する前記F−βストランド残基T68、S70、及びY72が変異されている、上記(4)に記載の方法。
(6)前記CDループ中の1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号27の中の対応する残基G42及びE43が変異されていない、上記(4)に記載の方法。
(7)配列番号27の中の対応する残基S38、E39、K40、及びV41が変異されている、上記(6)に記載の方法。
(8)前記FGループ中の1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号27の中の対応する残基K75、G76、G77、及びS80が変異されていない、上記(4)に記載の方法。
(9)配列番号27の中の対応する残基H78、R79、及びN81が変異されている、上記(8)に記載の方法。
(10)前記基準FN3ドメインが、配列番号27のアミノ酸配列を含む、上記(9)に記載の方法。
(11)アミノ酸位置11、14、17、37、46、73、又は86において少なくとも1つの置換を含む、上記(10)に記載の方法。
(12)上記(1)に記載の方法によって生成されたライブラリ。
(13) 前記ライブラリが、配列番号28のアミノ酸配列を含む、上記(12)に記載のライブラリ。
(14)標的分子に特異的に結合することが可能な多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有するフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインを含む、タンパク質スカフォールドを得る方法であって、上記(12)に記載のライブラリを前記標的分子と接触させるか、又はパニングする工程と、所定の親和性を有する標的分子と特異的に結合するタンパク質スカフォールドを単離する工程と、を含む、方法。
(15)本明細書に記載されたいずれかの発明。


Claims (15)

  1. C βストランド、CDループ、F βストランド、及びFGループによって形成される
    多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有する、フィブロネクチンIII型モジュー
    ル(FN3)ドメインのライブラリを作製する方法であって、
    a.配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を有する、基
    準FN3ドメインポリペプチドを提供する工程と、
    b.前記多様化したC−CD−F−FG選択的表面を有する前記FN3ドメインライブ
    ラリを形成するために、少なくとも1つのC βストランド残基及び少なくとも1つのF
    βストランド残基を変異させることによって、前記基準FN3ドメインポリペプチドに多
    様性を導入する工程と、を含む、方法。
  2. 前記C βストランドの1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号2
    7の中の対応する残基S30が変異されていない、請求項1に記載の方法。
  3. 配列番号27の中の対応する前記C βストランド残基L32、Q34、及びQ36が
    変異されている、請求項2に記載の方法。
  4. 前記F βストランド中の1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号
    27の中の対応する残基E66が変異されていない、請求項2に記載の方法。
  5. 配列番号27の中の対応する前記F−βストランド残基T68、S70、及びY72が
    変異されている、請求項4に記載の方法。
  6. 前記CDループ中の1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号27の
    中の対応する残基G42及びE43が変異されていない、請求項4に記載の方法。
  7. 配列番号27の中の対応する残基S38、E39、K40、及びV41が変異されてい
    る、請求項6に記載の方法。
  8. 前記FGループ中の1、2、3、又は4つの残基が変異されているが、配列番号27の
    中の対応する残基K75、G76、G77、及びS80が変異されていない、請求項4に
    記載の方法。
  9. 配列番号27の中の対応する残基H78、R79、及びN81が変異されている、請求
    項8に記載の方法。
  10. 前記基準FN3ドメインが、配列番号27のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の方
    法。
  11. アミノ酸位置11、14、17、37、46、73、又は86において少なくとも1つ
    の置換を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 請求項1に記載の方法によって生成されたライブラリ。
  13. 前記ライブラリが、配列番号28のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載のライブラ
    リ。
  14. 標的分子に特異的に結合することが可能な多様化したC−CD−F−FG選択的表面を
    有するフィブロネクチンIII型モジュール(FN3)ドメインを含む、タンパク質スカ
    フォールドを得る方法であって、請求項12に記載のライブラリを前記標的分子と接触さ
    せるか、又はパニングする工程と、所定の親和性を有する標的分子と特異的に結合するタ
    ンパク質スカフォールドを単離する工程と、を含む、方法。
  15. 本明細書に記載されたいずれかの発明。
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