<半導体集積回路装置(第1実施形態)>
図1は、半導体集積回路装置の第1実施形態を示すブロック図である。本実施形態の半導体集積回路装置1は、ECU[electronic control unit]2からの指示に応じて電源電圧VBBの印加端と負荷3との間を導通/遮断する車載用ハイサイドスイッチIC(=車載IPDの一種)である。
なお、半導体集積回路装置1は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1〜T4を備えている。外部端子T1は、不図示のバッテリから電源電圧VBB(例えば12V)の供給を受け付けるための電源端子(VBBピン)である。外部端子T2は、負荷3(バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータなど)を外部接続するための負荷接続端子ないしは出力端子(OUTピン)である。外部端子T3は、ECU2から外部制御信号Siの外部入力を受け付けるための信号入力端子(INピン)である。外部端子T4は、ECU2に状態報知信号Soを外部出力するための信号出力端子(SENSEピン)である。なお、外部端子T4と接地端との間には、外部センス抵抗4が外付けされている。
また、半導体集積回路装置1は、NMOSFET10と、出力電流監視部20と、ゲート制御部30と、制御ロジック部40と、信号入力部50と、内部電源部60と、異常保護部70と、出力電流検出部80と、信号出力部90と、を集積化して成る。
NMOSFET10は、ドレインが外部端子T1に接続されてソースが外部端子T2に接続された高耐圧(例えば42V耐圧)のパワートランジスタである。このように接続されたNMOSFET10は、電源電圧VBBの印加端から負荷3を介して接地端に至る電流経路を導通/遮断するためのスイッチ素子(ハイサイドスイッチ)として機能する。なお、NMOSFET10は、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート駆動信号G1がローレベルであるときにオフする。
なお、NMOSFET10は、オン抵抗値が数十mΩとなるように設計すればよい。ただし、NMOSFET10のオン抵抗値が低いほど、外部端子T2の地絡時(=接地端ないしはこれに準ずる低電位端への出力ショート時)に過電流が流れやすくなり、異常発熱を生じやすくなる。従って、NMOSFET10のオン抵抗値を下げるほど、後述する過電流保護回路71や温度保護回路73の重要性が高くなる。
出力電流監視部20は、NMOSFET21及び21’とセンス抵抗22を含み、NMOSFET10に流れる出力電流Ioに応じたセンス電圧Vs(=センス信号に相当)を生成する。
NMOSFET21及び21’は、いずれもNMOSFET10に対して並列接続されたミラートランジスタであり、出力電流Ioに応じたセンス電流Is及びIs’を生成する。NMOSFET10とNMOSFET21及び21’とのサイズ比は、m:1(ただしm>1)である。従って、センス電流Is及びIs’は、出力電流Ioを1/mに減じた大きさとなる。なお、NMOSFET21及び21’は、NMOSFET10と同様、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧G2がローレベルであるときにオフする。
センス抵抗22(抵抗値:Rs)は、NMOSFET21のソースと外部端子T2との間に接続されており、センス電流Isに応じたセンス電圧Vs(=Is×Rs+Vo、ただし、Voは外部端子T2に現れる出力電圧)を生成する電流/電圧変換素子である。
ゲート制御部30は、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成してNMOSFET10及び21それぞれのゲートに出力することにより、NMOSFET10及び21のオン/オフ制御を行う。なお、ゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにNMOSFET10及び21を制御する機能を備えている。
制御ロジック部40は、内部電源電圧Vregの供給を受けてゲート制御信号S1を生成する。例えば、外部制御信号Siがハイレベル(=NMOSFET10をオンさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されるので、制御ロジック部40が動作状態となり、ゲート制御信号S1がハイレベル(=Vreg)となる。一方、外部制御信号Siがローレベル(=NMOSFET10をオフさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されないので、制御ロジック部40が非動作状態となり、ゲート制御信号S1がローレベル(=GND)となる。また、制御ロジック部40は、各種の異常保護信号(過電流保護信号S71、オープン保護信号S72、温度保護信号S73、及び、減電圧保護信号S74)を監視している。なお、制御ロジック部40は、上記した異常保護信号のうち、過電流保護信号S71、オープン保護信号S72、及び、温度保護信号S73の監視結果に応じて出力切替信号S2を生成する機能も備えている。
信号入力部50は、外部端子T3から外部制御信号Siの入力を受け付けて制御ロジック部40や内部電源部60に伝達するシュミットトリガである。なお、外部制御信号Siは、例えば、NMOSFET10をオンさせるときにハイレベルとなり、NMOSFET10をオフさせるときにローレベルとなる。
内部電源部60は、電源電圧VBBから所定の内部電源電圧Vregを生成して半導体集積回路装置1の各部に供給する。なお、内部電源部60の動作可否は、外部制御信号Siに応じて制御される。より具体的に述べると、内部電源部60は、外部制御信号Siがハイレベルであるときに動作状態となり、外部制御信号Siがローレベルであるときに非動作状態となる。
異常保護部70は、半導体集積回路装置1の各種異常を検出する回路ブロックであり、過電流保護回路71と、オープン保護回路72と、温度保護回路73と、減電圧保護回路74と、を含む。
過電流保護回路71は、センス電圧Vsの監視結果(=出力電流Ioの過電流異常が生じているか否か)に応じた過電流保護信号S71を生成する。なお、過電流保護信号S71は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
オープン保護回路72は、出力電圧Voの監視結果(=負荷3のオープン異常が生じているか否か)に応じたオープン保護信号S72を生成する。なお、オープン保護信号S72は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
温度保護回路73は、半導体集積回路装置1(特にNMOSFET10周辺)の異常発熱を検出する温度検出素子(不図示)を含み、その検出結果(=異常発熱が生じているか否か)に応じた温度保護信号S73を生成する。なお、温度保護信号S73は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
減電圧保護回路74は、電源電圧VBBないしは内部電源電圧Vregの監視結果(=減電圧異常が生じているか否か)に応じた減電圧保護信号S74を生成する。なお、減電圧保護信号S74は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
出力電流検出部80は、不図示のバイアス手段を用いてNMOSFET21’のソース電圧と出力電圧Voとを一致させることにより、出力電流Ioに応じたセンス電流Is’(=Io/m)を生成して信号出力部90に出力する。
信号出力部90は、出力選択信号S2に基づいてセンス電流Is’(=出力電流Ioの検出結果に相当)と固定電圧V90(=異常フラグに相当、本図では明示せず)の一方を外部端子T4に選択出力する。なお、センス電流Is’が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、センス電流Is’を外部センス抵抗4(抵抗値:R4)で電流/電圧変換した出力検出電圧V80(=Is’×R4)がECU2に伝達される。なお、出力検出電圧V80は、出力電流Ioが大きいほど高くなり、出力電流Ioが小さいほど低くなる。一方、固定電圧V90が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、固定電圧V90がECU2に伝達される。
<信号出力部>
図2は、信号出力部90の一構成例を示すブロック図である。本構成例の信号出力部90はセレクタ91を含む。セレクタ91は、出力選択信号S2が異常未検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに、センス電流Is’を外部端子T4に選択出力し、出力選択信号S2が異常検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに、固定電圧V90を外部端子T4に選択出力する。なお、固定電圧V90は、先述した出力検出電圧V80の上限値よりも高い電圧値に設定されている。
このような信号出力部90によれば、単一の状態報知信号Soを用いて出力電流Ioの検出結果と異常フラグの双方をECU2に伝達することができるので、外部端子数の削減に貢献することが可能となる。なお、状態報知信号Soから出力電流Ioの電流値を読み取る場合には、状態報知信号SoをA/D[analog-to-digital]変換してやればよい。一方、状態報知信号Soから異常フラグを読み取る場合には、固定電圧V90よりもやや低い閾値を用いて状態報知信号Soの論理レベルを判定してやればよい。
<ゲート制御部>
図3は、ゲート制御部30の一構成例を示すブロック図である。本構成例のゲート制御部30は、ゲートドライバ31と、オシレータ32と、チャージポンプ33と、クランパ34と、NMOSFET35と、抵抗36(抵抗値:R36)と、キャパシタ37(容量値:C37)と、を含む。
ゲートドライバ31は、チャージポンプ33の出力端(=昇圧電圧VGの印加端)と外部端子T2(=出力電圧Voの印加端)との間に接続されており、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成する。なお、ゲート駆動信号G1は、ゲート制御信号S1がハイレベルであるときにハイレベル(=VG)となり、ゲート制御信号S1がローレベルであるときにローレベル(=Vo)となる。
オシレータ32は、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ33に出力する。なお、オシレータ32の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号Saに応じて制御される。
チャージポンプ33は、クロック信号CLKを用いてフライングキャパシタを駆動することにより、電源電圧VBBよりも高い昇圧電圧VGを生成する。なお、チャージポンプ33の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号Sbに応じて制御される。
クランパ34は、外部端子T1(=電源電圧VBBの印加端)とNMOSFET10のゲートとの間に接続されている。外部端子T2に誘導性の負荷3が接続されるアプリケーションでは、NMOSFET10をオンからオフへ切り替える際、負荷3の逆起電力により、出力電圧Voが負電圧(<GND)となる。そのため、エネルギー吸収用にクランパ34(いわゆるアクティブクランプ回路)が設けられている。
NMOSFET35のドレインは、NMOSFET10のゲートに接続されている。NMOSFET35のソースは、外部端子T2に接続されている。NMOSFET35のゲートは、過電流保護信号S71の印加端に接続されている。また、NMOSFET35のドレイン・ゲート間には、抵抗36とキャパシタ37が直列に接続されている。
本構成例のゲート制御部30において、過電流保護信号S71がハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R36×C37)で引き下げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S71がローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
このように、本構成例のゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する機能を備えている。
<過電流保護回路>
図4は、過電流保護回路71の一構成例を示すブロック図である。本構成例の過電流保護回路71は、第1電流生成部110と、第2電流生成部120と、閾値電圧生成部130と、過電流検出部140と、参照電圧生成部150と、比較部160と、閾値制御部170と、を含む。
第1電流生成部110は、第1電流Irefを生成して閾値電圧生成部130に出力する。第1電流Irefの電流値は、半導体集積回路装置1の内部で固定されている。
第2電流生成部120は、第2電流Isetを生成して閾値電圧生成部130に出力する。第2電流Isetの電流値は、半導体集積回路装置1の外部から任意に調整することが可能である。
閾値電圧生成部130は、閾値制御信号S170に応じて閾値電圧Vth(=過電流検出閾値に相当)を内部設定値VthHとするか外部設定値VthL(ただしVthH>VthL)とするかを切り替える。なお、内部設定値VthHは、第1電流Irefに応じて設定される固定値(=第1設定値に相当)である。一方、外部設定値VthLは、第2電流Isetに応じて設定される可変値(=第2設定値に相当)である。
過電流検出部140は、センス電圧Vsと閾値電圧Vthとを比較して過電流保護信号S71を生成する。
参照電圧生成部150は、第2電流Isetに応じた参照電圧VIset(=参照値に相当)を生成する。
比較部160は、センス電圧Vsと参照電圧VIsetとを比較して比較信号VCMPを生成する。
閾値制御部170は、比較信号VCMPを監視して閾値制御信号S170を生成する。なお、閾値制御信号S170は、例えば、閾値電圧Vthとして内部設定値VthHを選択すべきときにローレベルとなり、閾値電圧Vthとして外部設定値VthLを選択すべきときにハイレベルとなる。
<第1電流生成部>
図5は、第1電流生成部110の一構成例を示す回路図である。本構成例の第1電流生成部110は、オペアンプ111と、NMOSFET112と、抵抗113(抵抗値:R113)と、を含む。
オペアンプ111の電源端は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。オペアンプ111の基準電位端は、接地端GNDに接続されている。オペアンプ111の非反転入力端(+)は、基準電圧Vref(例えば、電源変動や温度変動などの影響を受けにくいバンドギャップ基準電圧)の印加端に接続されている。オペアンプ111の反転入力端(−)とNMOSFET112のソースは、抵抗113の第1端に接続されている。抵抗113の第2端は、接地端GNDに接続されている。オペアンプ111の出力端は、NMOSFET112のゲートに接続されている。NMOSFET112のドレインは、第1電流Irefの出力端に接続されている。
上記のように接続されたオペアンプ111は、非反転入力端(+)と反転入力端(−)がイマジナリショートするように、トランジスタ112のゲート制御を行う。その結果、抵抗113には、固定値の第1電流Iref(=Vref×R113)が流れる。
<第2電流生成部>
図6は、第2電流生成部120の一構成例を示す回路図である。本構成例の第2電流生成部120は、オペアンプ121と、NMOSFET122と、抵抗123(抵抗値:R123)と、外部端子SETと、を含む。
オペアンプ121の電源端は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。オペアンプ121の基準電位端は、接地端GNDに接続されている。オペアンプ121の非反転入力端(+)は、基準電圧Vrefの印加端に接続されている。オペアンプ121の反転入力端(−)とNMOSFET122のソースは、外部端子SETに接続されている。オペアンプ121の出力端は、NMOSFET122のゲートに接続されている。NMOSFET122のドレインは、第2電流Isetの出力端に接続されている。抵抗123は、半導体集積回路装置1の外部において、外部端子SETと接地端GNDとの間に接続されている。
上記のように接続されたオペアンプ121は、非反転入力端(+)と反転入力端(−)がイマジナリショートするように、トランジスタ122のゲート制御を行う。その結果、抵抗123には、自身の抵抗値R123に応じた第2電流Iset(=Vref×R123)が流れる。すなわち、第2電流Isetは、抵抗値R123が高いほど大きくなり、逆に、抵抗値R123が低いほど小さくなる。従って、外付けの抵抗123を用いて第2電流Isetを任意に調整することが可能となる。なお、オペアンプ121内部の差動段をカスコード回路とすれば、第2電流Isetの設定精度を高めることが可能となる。
<閾値電圧生成部・過電流検出部>
図7は、閾値電圧生成部130と過電流検出部140の一構成例を示す回路図である。閾値電圧生成部130は、電流源131と、抵抗132と、カレントミラー133と、を含む。一方、過電流検出部140は、コンパレータ141を含む。
電流源131は、カレントミラー部133の電流入力端と定電圧VBBM5の印加端との間に接続されており、閾値制御信号S170に応じて第1電流Irefと第2電流Isetの一方を選択出力する。より具体的に述べると、電流源131は、閾値制御信号S170がローレベルであるときに第1電流Irefを選択出力し、閾値制御信号S170がハイレベルであるときに第2電流Isetを選択出力する。
抵抗132は、カレントミラー部133の電流出力端と出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)との間に接続されており、閾値制御信号S170に応じて、その抵抗値が第1抵抗値Rref1と第2抵抗値Rref2の一方に切り替えられる。より具体的に述べると、抵抗132の抵抗値は、閾値制御信号S170がローレベルであるときに第1抵抗値Rref1となり、閾値制御信号S170がハイレベルであるときに第2抵抗値Rref2となる。
カレントミラー部133は、定電圧VBB_REFと昇圧電圧VGの供給を受けて動作し、電流源131から入力される第1電流Irefまたは第2電流Isetをミラーして抵抗132に出力する。従って、カレントミラー部133の電流出力端(=抵抗132の高電位端)には、閾値制御信号S170に応じてその電圧値が切り替わる閾値電圧Vthが生成される。より具体的に述べると、閾値電圧Vthは、閾値制御信号S170がローレベルであるときに内部設定値VthH(=Iref×Rref1)となり、閾値制御信号S170がハイレベルであるときに外部設定値VthL(=Iset×Rref2)となる。なお、カレントミラー部133は、第1電源系(VBB_REF−VBBM5系)から第2電源系(VG−Vo系)に第1電流Irefまたは第2電流Isetを受け渡すレベルシフタとしても機能する。
なお、定電圧VBB_REF及び定電圧VBBM5は、いずれも、半導体集積回路装置1の内部で生成される基準電圧であり、例えば、VBB_REF≒VBB、VBBM5≒VBB−5Vとなる。
コンパレータ141の電源端は、昇圧電圧VGの印加端に接続されている。コンパレータ141の基準電位端は、出力電圧Voの印加端(外部端子T2)に接続されている。コンパレータ141の非反転入力端(+)は、センス電圧Vsの印加端に接続されている。コンパレータ141の反転入力端(−)は、閾値電圧Vthの印加端に接続されている。このようにして接続されたコンパレータ141は、センス電圧Vsと閾値電圧Vthとを比較して過電流保護信号S71を生成する。過電流保護信号S71は、センス電圧Vsが閾値電圧Vthよりも低いときにローレベル(=過電流未検出時の論理レベル)となり、センス電圧Vsが閾値電圧Vthよりも高いときにハイレベル(=過電流検出時の論理レベル)となる。
図8は、過電流検出閾値の一例を示す模式図である。先にも述べたように、センス電圧Vsと比較される閾値電圧Vthは、閾値制御信号S170に応じて、内部設定値VthHと外部設定値VthLの一方に切り替えられる。これは、出力電流Ioと比較される過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpHと外部設定値IocpLの一方に切り替えられることと等価である。
なお、内部設定値IocpHは、負荷3のショート異常が生じた場合であっても半導体集積回路装置1が破壊されないように、NMOSFET10のオン抵抗値や素子耐圧に応じた固定値(例えば15A程度)とすることが望ましい。このように、内部設定値IocpHは、あくまで半導体集積回路装置1自体の保護を目的とするものであり、出力電流Ioの定常値から大きく乖離することも多い。
一方、外部設定値IocpLは、負荷3に応じて出力電流Ioの異常値が異なることに鑑み、負荷3に応じた可変値(例えば1A〜10A)とすることが望ましい。例えば、バルブランプ駆動時の出力電流Ioは、ソレノイド駆動時の出力電流Ioよりも一般的に大きい。これを鑑みると、バルブランプ駆動時には、ソレノイド駆動時よりも外部設定値IocpLを高めに設定すればよい。逆に、発光ダイオード駆動時の出力電流Ioは、ソレノイド駆動時の出力電流Ioよりも一般的に小さい。これを鑑みると、発光ダイオード駆動時には、ソレノイド駆動時よりも外部設定値IocpLを低めに設定すればよい。
ところで、半導体集積回路装置1の駆動対象となる負荷3には、その正常動作として瞬時的に大きな出力電流Ioを流す必要のあるものも存在する。例えば、バルブランプの起動時には、定常動作時よりも大きな突入電流が瞬時的に流れる。負荷3によっては、起動時の出力電流Ioと定常動作時の出力電流Ioとの間で数十倍の差が生じることもある。
そのため、瞬時電流の確保と負荷3に応じた過電流保護とを両立するためには、出力電流Ioと比較される過電流検出閾値Iocp(延いては、センス電圧Vsと比較される閾値電圧Vth)を適切なタイミングで切り替えてやる必要がある。
以下では、閾値電圧Vthの適切な切替制御を実現するための手段(参照電圧生成部150、比較部160、及び、閾値制御部170)について、詳細な説明を行う。
<参照電圧生成部・比較部>
図9は、参照電圧生成部150と比較部160の一構成例を示す回路図である。参照電圧生成部150は、電流源151と抵抗152(抵抗値:R152)を含む。また、比較部160は、コンパレータ161を含む。
電流源151は、昇圧電圧VGの印加端と抵抗152との間に接続されており、第2電流生成部120で生成される第2電流Iset(より正確には、第2電流Isetと等価の可変電流)を出力する。
抵抗152は、電流源151と出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)との間に接続されており、第2電流Isetに応じた参照電圧VIset(=Iset×R152)を生成する電流/電圧変換素子である。
コンパレータ161の電源端は、昇圧電圧VGの印加端に接続されている。コンパレータ161の基準電位端は、出力電圧Voの印加端(外部端子T2)に接続されている。コンパレータ161の非反転入力端(+)は、センス電圧Vsの印加端に接続されている。コンパレータ161の反転入力端(−)は、参照電圧VIsetの印加端に接続されている。このように接続されたコンパレータ161は、センス電圧Vsと参照電圧VIsetとを比較して比較信号VCMPを生成する。比較信号VCMPは、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも低いときにローレベルとなり、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも高いときにハイレベルとなる。
なお、抵抗152の抵抗値R152は、比較信号VCMPに応じて第1抵抗値Rdet1と第2抵抗値Rdet2(ただしRdet1>Rdet2)の一方に切り替えられる。より具体的に述べると、抵抗152の抵抗値R152は、比較信号VCMPがローレベルであるときに第1抵抗値Rdet1となり、比較信号VCMPがハイレベルであるときに第2抵抗値Rdet2となる。このような抵抗値R152の切替制御により、比較部160にヒステリシス特性を付与することができる。
<閾値制御部>
図10は、閾値制御部170の一構成例を示す回路図である。閾値制御部170は、コンパレータ171と、電流源172と、レベルシフタ173と、RSフリップフロップ174と、放電制御部175と、NMOSFET176と、キャパシタ177と、外部端子DLYと、を含む。
コンパレータ171の電源端は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。コンパレータ171の基準電位端は、接地端GNDに接続されている。コンパレータ171の非反転入力端(+)は、外部端子DLY(充電電圧Vdの印加端)に接続されている。コンパレータ171の反転入力端(−)は、マスク期間満了電圧Vdrefの印加端に接続されている。このように接続されたコンパレータ171は、充電電圧Vdとマスク期間満了電圧Vdrefとを比較して内部信号Sxを生成する。内部信号Sxは、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも高いときにハイレベルとなり、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも低いときにローレベルとなる。
電流源172は、内部電源電圧Vregの印加端と外部端子DLYとの間に接続されており、所定の充電電流Idを生成する。なお、電流源172の動作可否は、内部信号Sy(=レベルシフト済みの比較信号VCMPに相当)に応じて制御される。より具体的に述べると、電流源172は、内部信号Syがハイレベルであるときに動作状態となり、内部信号Syがローレベルであるときに非動作状態となる。
レベルシフタ173は、昇圧電圧VGと出力電圧Voとの間でパルス駆動される比較信号VCMPをレベルシフトさせることにより、内部電源電圧Vregと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される内部信号Syを生成する。従って、比較信号VCMPがハイレベル(=VG)であるときには、内部信号Syもハイレベル(=Vreg)となり、比較信号VCMPがローレベル(=Vo)であるときには、内部信号Syもローレベル(=GND)となる。
RSフリップフロップ174は、セット端(S)に入力される内部信号Sxとリセット端(R)に入力される内部信号Syに応じて、出力端(Q)から閾値制御信号S170を出力する。より具体的に述べると、RSフリップフロップ174は、内部信号Sxの立上りタイミングで閾値制御信号S170をハイレベルにセットする一方、内部信号Syの立下りタイミングで閾値制御信号S170をローレベルにリセットする。
放電制御部175は、内部信号Sxに応じて、内部信号Szを生成する。より具体的に述べると、放電制御部175は、内部信号Sxの立上りタイミングで内部信号Szを所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとする。
NMOSFET176は、内部信号Szに応じて外部端子DLYと接地端GNDとの間(=キャパシタ177の両端間)を導通/遮断する放電スイッチ素子である。なお、NMOSFET176は、内部信号Szがハイレベルであるときにオンし、内部信号Szがローレベルであるときにオフする。
キャパシタ177は、半導体集積回路装置1の外部において、外部端子DLYと接地端GNDとの間に接続されている。NMOSFET176がオフされているときに、電流源172から充電電流Idが供給されると、キャパシタ177の充電電圧Vdが上昇する。一方、NMOSFET176がオンされているときには、キャパシタ177がNMOSFET176を介して放電されるので、充電電圧Vdが低下する。
<過電流保護動作>
図11は、過電流保護動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、外部制御信号Si、第1電流Iref、第2電流Iset、センス電圧Vs、比較信号VCMP、充電電圧Vd、内部信号Sx〜Sz、閾値制御信号S170、閾値電圧Vth、並びに、状態報知信号Soが描写されている。
時刻t11において、外部制御信号Siがハイレベルに立ち上げられると、第1電流Irefの生成動作が遅滞なく開始される。ただし、時刻t11では、半導体集積回路装置1のシャットダウンが解除されておらず、NMOSFET10がオフされたままなので、NMOSFET10には出力電流Ioが流れない。従って、センス電圧Vsは0Vに維持されたままである。
時刻t12において、時刻t11から所定の起動遅延期間Tdly(例えば5μs)が経過すると、半導体集積回路装置1のシャットダウンが解除される。その結果、NMOSFET10がオンされて出力電流Ioが流れ始めるのでセンス電圧Vsが上昇し始める。また、時刻t12では、第2電流Isetとこれに応じた参照電圧VIset(本図ではVIset=VthL)の生成動作も開始される。なお、時刻t12では、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも低いので比較信号VCMPがローレベルとなる。従って、閾値制御信号S170がローレベルとなるので、閾値電圧Vthとして内部設定値VthHが選択された状態となる。
時刻t13において、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを上回ると、比較信号VCMPがハイレベルとなる。その結果、内部信号Syがハイレベルとなるので、充電電圧Vdが上昇し始める。なお、時刻t13では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも低いので、内部信号Sxがローレベルのままとなる。従って、閾値制御信号S170がローレベルに維持されるので、閾値電圧Vthとして内部設定値VthHが選択されたままとなる。そのため、センス電圧Vsが外部設定値VthL(=VIset)を上回っていても過電流保護は掛からない。
時刻t14において、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回ると、内部信号Sxがハイレベルとなる。従って、閾値制御信号S170がハイレベルにセットされるので、閾値電圧Vthが外部設定値VthLに切り替わる。その結果、時刻t14以降は、センス電圧Vsが外部設定値VthLを上回らないように過電流保護が掛かるようになる。また、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がると、内部信号Szも所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとなるので、充電電圧Vdが0Vまで放電される。なお、放電期間Tdchgは、先述の起動遅延期間Tdlyよりも短時間(例えば3μs)であることが望ましい。
このように、閾値電圧Vthが内部設定値VthHとされているときには、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを上回ったまま、所定のマスク期間Tmask(=時刻t13〜t14)が経過した時点で、閾値電圧Vthが外部設定値VthLに切り替えられる。従って、負荷3に応じた過電流保護を実現することが可能となる。
一方、本図では明示していないが、センス電圧Vsが瞬時的に参照電圧VIsetを上回ったとしても、マスク期間Tmaskの満了前に再び参照電圧VIsetを下回れば、閾値電圧Vthが内部設定値VthHに維持されたままとなる。従って、意図しない過電流保護が掛からないので、起動時の瞬時電流を確保することが可能となる。
また、当然のことながら、閾値電圧Vthが内部設定値VthHとされているときに、センス電圧Vsが内部設定値VthHを上回ると、その時点で遅滞なく過電流保護が掛かる。従って、負荷3のショート異常などが生じたときには、出力電流Ioを速やかに制限することができるので、半導体集積回路装置1の破壊を未然に防ぐことが可能となる。
なお、上記のマスク期間Tmaskは、外付けのキャパシタ177を用いて任意に調整することのできる可変値である。より具体的に述べると、マスク期間Tmaskは、キャパシタ177の容量値が大きいほど長くなり、キャパシタ177の容量値が小さいほど短くなる。ただし、マスク期間Tmaskが長いほど、外部設定値VthLを用いた過電流保護の開始タイミングが遅れる。従って、マスク期間Tmaskは、起動時における瞬時電流の継続時間を考慮して、必要最小限の長さに設定しておくことが望ましい。
また、半導体集積回路装置1の用途(負荷3の種類)に応じて、マスク期間Tmaskを設けるか否かを任意に使い分けることも可能である。例えば、外部端子DLYをオープンとしておけば、マスク期間Tmaskが実質的にゼロとなるので、外部設定値VthLのみが設けられている場合と等価になる。また、例えば、外部端子DLYを接地端GNDとショートしておけば、マスク期間Tmaskが無限大となるので、内部設定値VthHのみが設けられている場合と等価になる。
時刻t15において、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを下回ると、比較信号VCMPがローレベルとなり、延いては、内部信号Syがローレベルとなる。その結果、閾値制御信号S170がローレベルにリセットされるので、閾値電圧Vthが内部設定値VthHに切り替わる。
このように、閾値電圧Vthが外部設定値VthLとされているときには、センス電圧Vsが参照電圧VIsetを下回った時点で、閾値電圧Vthが内部設定値VthHに切り替えられる。すなわち、外部設定値VthLを用いた過電流保護動作が解除されると、過電流保護回路71は、起動時の初期状態に戻される。
時刻t16において、外部制御信号Siがローレベルに立ち上げられると、半導体集積回路装置1のシャットダウンされて上記一連の動作が終了する。
なお、状態報知信号Soに着目すると、過電流未検出期間(時刻t14〜t15以外)には、出力電流Ioの検出結果に相当する出力検出電圧V80(図中の破線も参照)が選択出力されている。一方、過電流検出期間(時刻t14〜t15)には、出力検出電圧V80に代えて、異常フラグに相当する定電圧V90が選択出力されている。
図12は、閾値切替動作の一例を示すフローチャートである。フローが開始されると、まず、ステップS101において、閾値電圧Vthが内部設定値VthH(=Iref×Rref1)に設定される(図11の時刻t12に相当)。
次に、ステップS102では、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも高いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS103に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS102に戻されて本ステップでの判定が繰り返される(図11の時刻t12〜t13に相当)。
ステップS103では、ステップS102でのイエス判定を受けて、キャパシタ177の充電が開始される(図11の時刻t13に相当)。
次に、ステップS104では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも高いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS105に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS104に戻されて本ステップでの判定が繰り返される(図11の時刻t13〜t14に相当)。
ステップS105では、ステップS104でのイエス判定を受けて、キャパシタ177が放電される。また、ステップS106では、閾値電圧Vthが外部設定値VthL(=Iset×Rref2)に切り替えられる。これらのステップS105及びS106は、図11の時刻t14に相当する。
次に、ステップS107では、センス電圧Vsが参照電圧VIsetよりも低いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS101に戻されて、閾値電圧Vthが再び内部設定値VthH(=Iref×Rref1)に切り替えられる(図11の時刻t15に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS107に戻されて本ステップでの判定が繰り返される(図11の時刻t14〜t15に相当)。
<使用例>
図13は、過電流保護回路71の第1使用例を示す模式図である。例えば、負荷3がバルブランプである場合には、本図中の実線で示したように、起動時の出力電流Ioとして定常動作時よりも大きい瞬時電流が流れる。ただし、先述のマスク期間Tmaskを適切に設定しておけば、上記の瞬時電流を検出対象から除外することができるので、意図しない過電流保護が掛かることはない。すなわち、過大な瞬時電流が流れる起動時には、出力電流Ioと内部設定値IocpHとが比較されることになり、定常動作時には出力電流Ioと外部設定値IocpLとが比較されることになる。従って、出力電流Ioの駆動エリアは、本図中のハッチングを付した領域として表すことができる。
図14は、過電流保護回路71の第2使用例を示す模式図である。例えば、負荷3がモータである場合には、本図中の実線で示したように、ロック時の出力電流Ioとして定常動作時よりも大きい瞬時電流が流れる。ただし、先述のマスク期間Tmaskを適切に設定しておけば、上記の瞬時電流を検出対象から除外することができるので、意図しない過電流保護が掛かることはない。すなわち、過大な瞬時電流が流れるロック時には、出力電流Ioと内部設定値IocpHとが比較されることになり、定常動作時には出力電流Ioと外部設定値IocpLとが比較されることになる。従って、出力電流Ioの駆動エリアは、本図中のハッチングを付した領域として表すことができる。
<作用・効果>
これまでに説明してきたように、過電流保護回路71では、出力電流Ioと比較される過電流検出閾値Iocpとして、2段階の内部設定値IocpHと外部設定値IocpLが用意されており、かつ、内部設定値IocpHから外部設定値IocpLに切り替えるまでの猶予期間として、所定のマスク期間Tmaskが設けられている。
このような構成を採用することにより、瞬時電流の確保と負荷3に応じた過電流保護とを両立することが可能となる。特に、負荷3の定常動作時には、内部設定値IocpHよりも十分に低い外部設定値IocpLと出力電流Ioとが比較されるので、負荷3の駆動電流からかけ離れた大電流が出力電流Ioとして流れ続けることはない。従って、負荷3に接続されるハーネスを従来よりも細径化することが可能となる。
また、過電流保護回路71であれば、負荷3に応じた過電流保護をECU2で行う必要がなくなるので、ECU2の負担(=出力電流Ioの常時監視など)を軽減することが可能となり、延いては、ECU2のマイコンレス化を実現することが可能となる。
<半導体集積回路装置(第2実施形態)>
図15は、半導体集積回路装置1の第2実施形態を示すブロック図である。本実施形態の半導体集積回路装置1は、第1実施形態(図1)をベースとしつつ、2チャンネルの負荷3X及び3Yをそれぞれ個別に駆動することができるように、これまでに説明してきた構成要素(機能ブロック10〜90、外部端子T1〜T4、及び、各種の電圧、電流、信号など)をチャンネル毎に有している。
なお、負荷3Xの駆動に関わる構成要素には、符号の末尾に「X」を付してあり、負荷3Yの駆動に関わる構成要素には、符号の末尾に「Y」を付してあるが、それぞれの動作や機能については、末尾に「X」及び「Y」が付されていない先出の構成要素と基本的に共通である。例えば、NMOSFET10X及び10Yそれぞれの動作や機能は、先出のNMOSFET10と基本的に同一である。その他の構成要素についても同様である。そこで、特筆すべき事項がない限り、各構成要素の動作や機能については、重複した説明を割愛する。また、本図では、出力電流検出部80と信号出力部90を明示していないが、これらの機能ブロックについては別途後述する。
本実施形態の半導体集積回路装置1では、2チャンネルの負荷3X及び3Yをそれぞれ個別に駆動することができるので、チャンネル毎の起動タイミングも異なる場合がある。そのため、各チャンネルで瞬時電流の確保と負荷に応じた過電流保護とを両立するためには、起動タイミングの違いに依ることなく、チャンネル毎に先述のマスク期間Tmaskを正しく設定しなければならない。
これを実現するための最も簡易な構成は、先出の過電流保護回路71(図4を参照)を2チャンネル分用意して、それぞれを各チャンネル用の過電流保護回路71X及び71Yとして並列に設けることである。しかしながら、このような構成では、マスク期間Tmaskを設定するための外部端子DLYが2つ必要となるので、半導体集積回路装置1のパッケージ変更やコストアップなどを招くおそれがある。
そこで、以下では、外部端子DLYの追加を要することなく、チャンネル毎にマスク期間Tmaskを正しく設定することのできる過電流保護回路71を提案する。
図16は、2チャンネル化された過電流保護回路71の一構成例を示すブロック図である。本構成例の過電流保護回路71は、第1電流生成部110と、第2電流生成部120と、閾値電圧生成部130X及び130Yと、過電流検出部140X及び140Yと、参照電圧生成部150X及び150Yと、比較部160X及び160Yと、閾値制御部170と、を含む。
上記構成要素のうち、第1電流生成部110、第2電流生成部120、閾値電圧生成部130X、過電流検出部140X、参照電圧生成部150X、比較部160X、及び、閾値制御部170は、第1チャンネル用の過電流検出回路71Xとして機能する。
一方、上記構成要素のうち、第1電流生成部110、第2電流生成部120、閾値電圧生成部130Y、過電流検出部140Y、参照電圧生成部150Y、比較部160Y、及び、閾値制御部170は、第2チャンネル用の過電流検出回路71Yとして機能する。
このように、本構成例の過電流保護回路71において、第1電流生成部110、第2電流生成部120、及び、閾値制御部170は、第1チャンネルと第2チャンネルで兼用されている。
第1電流生成部110は、第1電流Irefを生成して閾値電圧生成部130X及び130Yに出力する。第1電流Irefの電流値は、半導体集積回路装置1の内部で固定されている。第1電流生成部110の構成は、基本的に先出の図5で示した通りである。第1電流Irefを閾値電圧生成部130X及び130Yの双方に出力する手段としては、例えば、2系統の電流出力端を持つカレントミラーを用いればよい。
第2電流生成部120は、第2電流Isetを生成して閾値電圧生成部130X及び130Yに出力する。第2電流Isetの電流値は、半導体集積回路装置1の外部から任意に調整することが可能である。第2電流生成部120の構成は、基本的に先出の図6で示した通りである。第2電流Isetを閾値電圧生成部130X及び130Yの双方に出力する手段としては、例えば、2系統の電流出力端を持つカレントミラーを用いればよい。
閾値電圧生成部130Xは、閾値制御信号S170Xに応じて閾値電圧VthXを内部設定値VthXHとするか外部設定値VthXL(ただしVthXH>VthXL)とするかを切り替える。なお、内部設定値VthXHは、第1電流Irefに応じて設定される固定値(=第1設定値に相当)である。一方、外部設定値VthXLは、第2電流Isetに応じて設定される可変値(=第2設定値に相当)である。
閾値電圧生成部130Yは、閾値制御信号S170Yに応じて閾値電圧VthYを内部設定値VthYHとするか外部設定値VthYL(ただしVthYH>VthYL)とするかを切り替える。なお、内部設定値VthYHは、第1電流Irefに応じて設定される固定値(=第3設定値に相当)である。一方、外部設定値VthYLは、第2電流Isetに応じて設定される可変値(=第4設定値に相当)である。
過電流検出部140Xは、出力電流IoXに応じたセンス電圧VsXと閾値電圧VthXとを比較して過電流保護信号S71Xを生成する。
過電流検出部140Yは、出力電流IoYに応じたセンス電圧VsYと閾値電圧VthYとを比較して過電流保護信号S71Yを生成する。
参照電圧生成部150Xは、第2電流Isetに応じた参照電圧VIsetX(=第1参照値に相当)を生成する。
参照電圧生成部150Yは、第2電流Isetに応じた参照電圧VIsetY(=第2参照値に相当)を生成する。
比較部160Xは、センス電圧VsXと参照電圧VIsetXとを比較して比較信号VCMPXを生成する。
比較部160Yは、センス電圧VsYと参照電圧VIsetYとを比較して比較信号VCMPYを生成する。
閾値制御部170は、比較信号VCMPX及びVCMPYの双方を監視して閾値制御信号S170X及びS170Yを生成する。
なお、閾値制御信号S170Xは、例えば、閾値電圧VthXとして内部設定値VthXHを選択すべきときにローレベルとなり、閾値電圧VthXとして外部設定値VthXLを選択すべきときにハイレベルとなる。
一方、閾値制御信号S170Yは、例えば、閾値電圧VthYとして内部設定値VthYHを選択すべきときにローレベルとなり、閾値電圧VthYとして外部設定値VthYLを選択すべきときにハイレベルとなる。
<閾値制御部(第1実施例)>
図17は、閾値制御部170の第1実施例を示すブロック図である。本実施例の閾値制御部170は、先の図10をベースとしつつ、2チャンネル化を実現する手段として、コンパレータ171と、電流源172と、レベルシフタ173X及び173Yと、RSフリップフロップ174X及び174Yと、放電制御部175と、NMOSFET176と、キャパシタ177と、充電制御部178と、外部端子DLYと、を含む。
コンパレータ171は、非反転入力端(+)に入力される充電電圧Vd(=外部端子DLYに現れるキャパシタ177の充電電圧)と、反転入力端(−)に入力されるマスク期間満了電圧Vdrefとを比較して内部信号Sxを生成する。内部信号Sxは、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも高いときにハイレベルとなり、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも低いときにローレベルとなる。この点については先の図10と同様である。
電流源172は、充電制御信号S178に応じて充電電流Idを生成する。具体的に述べると、電流源172は、電流制御信号S178がハイレベルであるときに充電電流Idを出力し、充電制御信号S178がローレベルであるときに充電電流Idを停止する。
レベルシフタ173Xは、比較信号VCMPXをレベルシフトさせて内部信号SyXを生成する。
レベルシフタ173Yは、比較信号VCMPYをレベルシフトさせて内部信号SyYを生成する。
RSフリップフロップ174Xは、セット端(S)に入力される内部信号Sxとリセット端(R)に入力される内部信号SyXに応じて、出力端(Q)から閾値制御信号S170Xを出力する。より具体的に述べると、RSフリップフロップ174Xは、内部信号Sxの立上りタイミングで閾値制御信号S170Xをハイレベルにセットする一方、内部信号SyXの立下りタイミングで閾値制御信号S170Xをローレベルにリセットする。
RSフリップフロップ174Yは、セット端(S)に入力される内部信号Sxとリセット端(R)に入力される内部信号SyYに応じて、出力端(Q)から閾値制御信号S170Yを出力する。より具体的に述べると、RSフリップフロップ174Yは、内部信号Sxの立上りタイミングで閾値制御信号S170Yをハイレベルにセットする一方、内部信号SyYの立下りタイミングで閾値制御信号S170Yをローレベルにリセットする。
放電制御部175は、内部信号Sxに応じて、内部信号Szを生成する。より具体的に述べると、放電制御部175は、内部信号Sxの立上りタイミングで内部信号Szを所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとする。この点については、先の図10と同様である。
NMOSFET176は、内部信号Szに応じて外部端子DLYと接地端GNDとの間(=キャパシタ177の両端間)を導通/遮断する放電スイッチ素子である。なお、NMOSFET176は、内部信号Szがハイレベルであるときにオンし、内部信号Szがローレベルであるときにオフする。この点についても、先の図10と同様である。
キャパシタ177は、半導体集積回路装置1の外部において、外部端子DLYと接地端GNDとの間に接続されている。NMOSFET176がオフされているときに、電流源172から充電電流Idが供給されると、キャパシタ177の充電電圧Vdが上昇する。一方、NMOSFET176がオンされているときには、キャパシタ177がNMOSFET176を介して放電されるので、充電電圧Vdが低下する。この点についても、先の図10と同様である。
充電制御部178は、内部信号SyX及びSyY(延いては比較信号VCMPX及びVCMPY)の双方に応じて充電制御信号S178を生成する。なお、充電制御信号S178は、基本的に、内部信号SyXまたはSyYの立上りタイミングでハイレベル(=充電時の論理レベル)となる。
図18は、第1実施例の閾値切替動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、センス電圧VsX及びVsY、比較信号VCMPX及びVCMPY(内部信号SyX及びSyYと等価)、充電電圧Vd、内部信号Sx及びSz、閾値制御信号S170X及びS170Y、並びに、閾値電圧VthX及びVthYがそれぞれ描写されている。
時刻t21において、NMOSFET10Xがオンされると、センス電圧VsXが上昇し始める。ただし、時刻t21では、センス電圧VsXが参照電圧VIsetXよりも低いので、比較信号VCMPX(=内部信号SyX)がローレベルとなる。従って、閾値制御信号S170Xがローレベルとなるので、閾値電圧VthXとして内部設定値VthXHが選択された状態となる。なお、時刻t21では、NMOSFET10Yがオフされたままであり、センス電圧VsYが0Vに維持されている。
時刻t22において、センス電圧VsXが参照電圧VIsetXを上回ると、比較信号VCMPX(=内部信号SyX)がハイレベルとなり、充電電圧Vdが上昇し始める。ただし、時刻t22では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも低いので、内部信号Sxがローレベルのままとなる。従って、閾値制御信号S170Xがローレベルに維持され、閾値電圧VthXとして内部設定値VthXHが選択されたままとなる。そのため、センス電圧VsXが外部設定値VthXL(=VIsetX)を上回っていても過電流保護は掛からない。なお、時刻t22では、NMOSFET10Yがオフされたままであり、センス電圧VsYが0Vに維持されている。
時刻t23では、NMOSFET10Yがオンされて、センス電圧VsYが上昇し始める。なお、時刻t23では、センス電圧VsYが参照電圧VIsetYよりも低いので、比較信号VCMPY(=内部信号SyY)がローレベルとなる。従って、閾値制御信号S170Yがローレベルとなるので、閾値電圧VthYとして内部設定値VthYHが選択された状態となる。
時刻t24において、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回ると、内部信号Sxがハイレベルとなる。また、時刻t24では、比較信号VCMPX(=内部信号SyX)が既にハイレベル(=リセット解除時の論理レベル)となっている。従って、閾値制御信号S170Xがハイレベルにセットされ、閾値電圧VthXが外部設定値VthXLに切り替わる。その結果、時刻t24以降、センス電圧VsXが外部設定値VthXLを上回らないように、過電流保護が掛かるようになる。また、内部信号Sxがハイレベルになると、内部信号Szも所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとなるので、充電電圧Vdが0Vまで放電される。
すなわち、閾値電圧VthXに着目すると、閾値電圧VthXが内部設定値VthXHとされているときには、センス電圧VsXが参照電圧VIsetXを上回ったまま、所定のマスク期間Tmask(=時刻t22〜t24)が経過した時点で、閾値電圧VthXが外部設定値VthXLに切り替えられる。従って、負荷3Xに応じた過電流保護を実現することが可能となる。
一方、時刻t24では、比較信号VCMPY(=内部信号SyY)がローレベル(=リセット時の論理レベル)に維持されている。従って、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がっても、閾値制御信号S170Yがローレベルに維持されるので、閾値電圧VthYとして内部設定値VthYHが選択されたままとなる。
時刻t25において、センス電圧VsYが参照電圧VIsetYを上回ると、比較信号VCMPY(=内部信号SyY)がハイレベルとなるので、充電電圧Vdが再び上昇し始める。ただし、時刻t25では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも低いので、内部信号Sxがローレベルのままとなる。従って、閾値制御信号S170Yがローレベルに維持され、閾値電圧VthYとして内部設定値VthYHが選択されたままとなる。そのため、センス電圧VsYが外部設定値VthYL(=VIsetY)を上回っていても過電流保護は掛からない。
なお、以下の説明では、比較信号VCMPXの立上りタイミングと比較信号VCMPYの立上りタイミングとの差(=第1チャンネルの起動タイミングと第2チャンネルの起動タイミングとの差)をシフト期間Tshiftと呼ぶ。
時刻t26において、センス電圧VsXが参照電圧VIsetXを下回ると、比較信号VCMPX(=内部信号SyX)がローレベルとなる。その結果、閾値制御信号S170Xがローレベルにリセットされるので、閾値電圧VthXが内部設定値VthXHに切り替わる。
すなわち、閾値電圧VthXに着目すると、閾値電圧VthXが外部設定値VthXLとされているときには、センス電圧VsXが参照電圧VIsetXを下回った時点で、閾値電圧VthXが内部設定値VthXHに切り替えられる。
時刻t27において、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回ると、内部信号Sxがハイレベルとなる。また、時刻t27では、比較信号VCMPY(=内部信号SyY)が既にハイレベル(=リセット解除時の論理レベル)となっている。従って、閾値制御信号S170Yがハイレベルにセットされ、閾値電圧VthYが外部設定値VthXLに切り替わる。その結果、時刻t27以降、センス電圧VsYが外部設定値VthYLを上回らないように、過電流保護が掛かるようになる。また、内部信号Sxがハイレベルになると、内部信号Szも所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとなるので、充電電圧Vdが0Vまで放電される。
すなわち、閾値電圧VthYに着目すると、閾値電圧VthYが内部設定値VthYHとされているときには、センス電圧VsYが参照電圧VIsetYを上回ったまま、所定のマスク期間Tmask(=時刻t25〜t27)が経過した時点で、閾値電圧VthYが外部設定値VthYLに切り替えられる。従って、負荷3Yに応じた過電流保護を実現することが可能となる。
なお、時刻t27では、比較信号VCMPX(=内部信号SyX)がすでにローレベル(=リセット時の論理レベル)に立ち下がっている。従って、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がっても、閾値制御信号S170Xがローレベルに維持されるので、閾値電圧VthXとして内部設定値VthXHが選択されたままとなる。
時刻t28において、センス電圧VsYが参照電圧VIsetYを下回ると、比較信号VCMPY(=内部信号SyY)がローレベルとなる。その結果、閾値制御信号S170Yがローレベルにリセットされるので、閾値電圧VthYが内部設定値VthYHに切り替わる。
すなわち、閾値電圧VthYに着目すると、閾値電圧VthYが外部設定値VthYLとされているときには、センス電圧VsYが参照電圧VIsetYを下回った時点で、閾値電圧VthYが内部設定値VthYHに切り替えられる。
上記一連の閾値切替動作から分かるように、本実施例の閾値制御部170であれば、外部端子DLYの追加を要することなく、チャンネル毎にマスク期間Tmask(時刻t22〜t23、及び、時刻t25〜t27)を正しく設定することが可能となる。
なお、本図では、Tshift>Tmaskである場合を例に挙げて説明を行ったが、Tshift≦Tmaskである場合には、上記一連の閾値切替動作に不具合を生じるおそれがある。以下では、その問題点について詳述する。
図19は、第1実施例の問題点を示すタイミングチャートであり、上から順に、比較信号VCMPX及びVCMPY、内部信号Sx、並びに、閾値制御信号S170X及びS170Yについて、Tshift<Tmaskである場合の挙動が描写されている。
本図の例では、Tshift<Tmaskであることから、時刻t31で比較信号VCMPXがハイレベルに立ち上がった後、マスク期間Tmaskが経過するよりも先に、時刻t32で比較信号VCMPYがハイレベルに立ち上がっている。
従って、時刻t31からマスク期間Tmaskが経過し、時刻t33で内部信号Sxがハイレベルに立ち上がったときには、比較信号VCMPXだけでなく、比較信号VCMPYも既にハイレベルとなっている。そのため、時刻t33では、閾値制御信号S170X及びS170Yが同時にハイレベルとなる。
この場合、先に起動した先発チャンネルには特に問題を生じないが、後から起動した後発チャンネルについては、シフト期間Tshiftの分だけマスク期間Tmaskが短くなるので、瞬時電流の確保に支障を来たすおそれがある。以下では、この問題点を解消することのできる閾値制御部170の第2実施例を提案する。
<閾値制御部(第2実施例)>
図20は、閾値制御部170の第2実施例を示すブロック図である。本実施例の閾値制御部170は、先出の第1実施例(図17)をベースとしつつ、放電制御部175において、内部信号Sxだけでなく、内部信号SyX及びSyY(比較信号VCMPX及びVCMPYと等価)と閾値制御信号S170X及びS170Yの入力も受け付ける点に特徴を有する。そこで、以下では、放電制御部175の構成と動作について重点的に説明する。
図21は、放電制御部175の一構成例を示すブロック図である。本図の放電制御部175は、否定論理和演算器NOR1と、論理積演算器AND1〜AND3と、論理和演算器OR1と、インバータINV1〜INV3と、パルス生成部PG1と、抵抗R1と、キャパシタC1と、を含む。
否定論理和演算器NOR1は、閾値制御信号S170X及びS170Yの否定論理和演算により、論理信号SAを生成する。従って、論理信号SAは、閾値制御信号S170X及びS170Yがいずれもローレベルであるときにハイレベルとなり、閾値制御信号S170X及びS170Yの少なくとも一方がハイレベルであるときにローレベルとなる。
論理積演算器AND1は、内部信号SyX及びSyYの論理積演算により、論理信号SBを生成する。従って、論理信号SBは、内部信号SyX及びSyYがいずれもハイレベルであるときにハイレベルとなり、内部信号SyX及びSyYの少なくとも一方がローレベルであるときにローレベルとなる。
論理積演算器AND2は、論理信号SA及びSBの論理積演算により、論理信号SCを生成する。従って、論理信号SCは、論理信号SA及びSBがいずれもハイレベルであるときにハイレベルとなり、論理信号SA及びSBの少なくとも一方がローレベルであるときにローレベルとなる。
インバータINV1は、論理信号SCを論理反転して反転論理信号SCBを生成する。
抵抗R1とキャパシタC1は、反転論理信号SCBを所定の時定数τ(=R×C)で鈍らせた積分波形の論理信号SDを生成する。
インバータINV2及びINV3は、論理信号SDと所定の閾値(=インバータINV2及びINV3の論理反転閾値)とを比較して矩形波形の論理信号SEを生成する。
論理積演算器AND3は、論理信号SC及びSEの論理積演算により、論理信号SFを生成する。従って、論理信号SFは、論理信号SC及びSEがいずれもハイレベルであるときにハイレベルとなり、論理信号SC及びSEの少なくとも一方がローレベルであるときにローレベルとなる。
パルス生成部PG1は、内部信号Sxの立上りタイミングで論理信号SGに所定のパルス幅(=放電期間Tdchgに相当)を持つワンショットパルスを生成する。
論理和演算器OR1は、論理信号SF及びSGの論理和演算により、内部信号Szを生成する。従って、内部信号Szは、論理信号SF及びSGがいずれもローレベルであるときにローレベルとなり、論理信号SF及びSGの少なくとも一方がハイレベルであるときにハイレベルとなる。
図22は、第2実施例の閾値切替動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、比較信号VCMPX及びVCMPY(内部信号SyX及びSyYと等価)、論理信号SA〜SG、内部信号Sz、充電電圧Vd、内部信号Sx、及び、閾値制御信号S170X及びS170Yについて、Tshift<Tmaskである場合の挙動が描写されている。
本図の例では、時刻t41で比較信号VCMPXがハイレベルに立ち上がった後、マスク期間Tmaskが経過するよりも先に、時刻t42で比較信号VCMPYがハイレベルに立ち上がっている。すなわち、時刻t42の時点では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefに到達しておらず、内部信号Sxはハイレベルに立ち上がっていない。
ここで、放電制御部175の内部動作に着目すると、時刻t42では、閾値制御信号S170X及びS170Yがいずれもローレベルであることから、論理信号SAがハイレベルとなっている。また、時刻t42では、比較信号CMPX及びCMPY(延いては内部信号SyX及びSyY)がいずれもハイレベルとなるので、論理信号SBがハイレベルに立ち上がる。従って、論理信号SCがハイレベルに立ち上がり、論理信号SDが時定数τで低下し始める。ただし、時刻t42の時点では、論理信号SDがインバータINV2の論理反転閾値よりも高いので、論理信号SEがハイレベルに維持されている。
従って、時刻t42では、論理信号SC及びSEがいずれもハイレベルとなるので、論理信号SFがハイレベルに立ち上がり、延いては、内部信号Szがハイレベルに立ち上がる。その結果、充電電圧Vdが放電される。
このように、比較信号CMPX及びCMPYの一方がハイレベルに立ち上がってキャパシタ177の充電動作が開始された後、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回るよりも先に、比較信号CMPX及びCMPYの他方がハイレベルに立ち上がったときには、キャパシタ177が一旦放電されるので、マスク期間Tmaskの計時動作がリセットされる。
その後、時刻t43において、論理信号SDがインバータINV2の論理反転閾値を下回ると、論理信号SEがローレベルに立ち下がる。その結果、論理信号SFがローレベルに立ち下がり、延いては、内部信号Szがローレベルに立ち下がるので、上記の放電動作が停止されて充電電圧Vdが再び上昇に転じる。
なお、論理信号SFのハイレベル期間(=時刻t42〜t43)は、充電電圧Vdの放電期間Tdchg2に相当する。この放電期間Tdchg2は、抵抗R1とキャパシタC1の時定数τに応じて任意に設定することが可能であり、例えば、先述の放電期間Tdchgと同値(例えば3μs)に設定すればよい。
その後、時刻t44において、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回ると、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がる。この時点では、比較信号VCMPXだけでなく、比較信号VCMPYも既にハイレベルとなっている。そのため、時刻t44では、閾値制御信号S170X及びS170Yが同時にハイレベルとなる。
上記の閾値切替動作により、後発チャンネルの閾値制御信号S170Yについては、そのマスク期間が本来の設定値(=Tmask)となる。一方、先発チャンネルの閾値制御信号S170Xについては、そのマスク期間が本来の設定値よりも長い値(=Tmask+α)となる。
なお、時刻t44において、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がると、論理信号SGに所定のパルス幅(=Tdchg)を持つワンショットパルスが生成されるので、内部信号Szがハイレベルとなり、充電電圧Vdが放電される。
また、時刻t44において、閾値制御信号S170X及びS170Yがハイレベルに立ち上がると、論理信号SAがローレベルに立ち下がり、論理信号SCがローレベルに立ち下がる。その結果、論理信号SDが時定数τを持って上昇を開始し、論理信号SDがインバータINV2の論理反転閾値を上回った時点で、論理信号SEがハイレベルに立ち上がる。ただし、このときには、論理信号SCが既にローレベルとなっているので、論理信号SFはローレベルに維持されたままとなる。
上記したように、本実施例の閾値制御部170であれば、Tshift<Tmaskであっても、後発チャンネルのマスク期間が短くならないので、瞬時電流の確保に支障を来たすおそれがなくなる。
なお、本図では、Tshift<Tmaskである場合を例に挙げて説明を行ったが、Tshift=Tmask(またはTshift≒Tmask)というクリティカルな条件下では、第2実施例を採用してもなお、意図しない不具合を生じるおそれがある。以下では、その問題点について詳述する。
図23は、第2実施例の問題点を示すタイミングチャートであり、上から順に、比較信号VCMPX及びVCMPY(内部信号SyX及びSyYと等価)、充電電圧Vd、内部信号Sx、並びに、閾値制御信号S170X及びS170Yについて、Tshift=Tmaskである場合の挙動が描写されている。
本図の例では、Tshift=Tmaskであることから、時刻t51において、比較信号VCMPXがハイレベルに立ち上がった後、時刻t52において、マスク期間Tmaskが経過すると同時、比較信号VCMPYがハイレベルに立ち上がっている。
ここで、先述の放電動作(図22の時刻t42を参照)が間に合わずに、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回り、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がると、閾値制御信号S170X及びS170Yが同時にハイレベルとなる。その結果、後発チャンネルのマスク期間がゼロとなるので、瞬時電流を確保することができなくなる。以下では、この問題点を解消することのできる閾値制御部170の第3実施例を提案する。
<閾値制御部(第3実施例)>
図24は、閾値制御部170の第3実施例を示すブロック図である。本実施例の閾値制御部170は、先出の第2実施例(図20)をベースとしつつ、遅延部179X及び179Yが設けられている点に特徴を有する。そこで、第2実施例と同様の構成要素については、図20と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、遅延部179X及び179Yについて重点的な説明を行う。
遅延部179Xは、内部信号SyX(比較信号VCMPXと等価)に遅延を与えて遅延信号SyXdを生成する。なお、遅延部179Xは、遅延信号SyXdの立上りタイミングにのみ遅延を与え、遅延信号SyXdの立下りタイミングには遅延を与えない。より具体的に述べると、遅延信号SyXdは、内部信号SyXがハイレベルに立ち上がってから遅延時間td(例えば3μs)だけ遅れてハイレベルに立ち上がり、内部信号SyXがローレベルに立ち下がると同時にローレベルに立ち下がる。
遅延部179Yは、内部信号SyY(比較信号VCMPYと等価)に遅延を与えて遅延信号SyYdを生成する。なお、遅延部179Yは、遅延信号SyYdの立上りタイミングにのみ遅延を与え、遅延信号SyYdの立下りタイミングには遅延を与えない。より具体的に述べると、遅延信号SyYdは、内部信号SyYがハイレベルに立ち上がってから遅延時間tdだけ遅れてハイレベルに立ち上がり、内部信号SyYがローレベルに立ち下がると同時にローレベルに立ち下がる。
上記した遅延部179X及び179Yの追加に伴い、RSフリップフロップ174X及び174Yには、それぞれ、内部信号SyX及びSyYに代えて、遅延信号SyXd及びSyYdが入力されている。
図25は、第3実施例の閾値切替動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、比較信号VCMPX(内部信号SyXと等価)、遅延信号SyXd、比較信号VCMPY(内部信号SyYと等価)、遅延信号SyYd、内部信号Sz、充電電圧Vd、内部信号Sx、並びに、閾値制御信号S170X及びS170Yについて、Tshift=Tmaskである場合の挙動が描写されている。
本図の例では、Tshift=Tmaskであることから、時刻t61で比較信号VCMPX(=SyX)がハイレベルに立ち上がった後、時刻t62において、マスク期間Tmaskが経過すると同時、比較信号VCMPY(=SyY)がハイレベルに立ち上がっている。一方、遅延信号SyXd及びSyYdは、それぞれ、時刻t61及びt62から所定の遅延時間tdが経過した時点でハイレベルに立ち上がっている。
なお、時刻t62で充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回ると、内部信号Sxがハイレベルとなる。このとき、遅延信号SyXdは、既にハイレベル(=リセット解除時の論理レベル)に立ち上がっている。従って、閾値制御信号S170Xは、時刻t62でハイレベルにセットされる。
一方、時刻t62では、遅延信号SyYdが未だローレベル(=リセット時の論理レベル)に維持されている。従って、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がっても、閾値制御信号S170Yは、ローレベルにリセットされたままとなる。
また、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がると、内部信号Szが所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとなるので、充電電圧Vdが0Vまで放電される。その後、時刻t63において、内部信号Szがローレベルに立ち下がると、上記の放電動作が停止されて充電電圧Vdが再び上昇に転じる。
時刻t64において、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefを上回ると、内部信号Sxが再びハイレベルに立ち上がる。このとき、遅延信号SyYdは、既にハイレベル(=リセット解除時の論理レベル)に立ち上がっている。従って、閾値制御信号S170Yは、時刻t64でハイレベルにセットされる。
また、内部信号Sxがハイレベルに立ち上がると、内部信号Szが所定の放電期間Tdchgに亘ってハイレベルとなるので、充電電圧Vdが0Vまで放電される。その後、時刻t65において、内部信号Szがローレベルに立ち下がると、上記の放電動作が停止される。なお、この時点で2チャンネル分の充電動作は完了してことから、充電電圧Vdが再び上昇に転じることはない。
その後、時刻t66において、比較信号VCMPX(=内部信号SyX)がローレベルに立ち下がると、遅延信号SyXdも遅滞なくローレベルに立ち下がる。その結果、閾値制御信号S170Xがローレベルにリセットされる。
同様に、時刻t67において、比較信号VCMPY(=内部信号SyY)がローレベルに立ち下がると、遅延信号SyYdも遅滞なくローレベルに立ち下がる。その結果、閾値制御信号S170Yがローレベルにリセットされる。
このように、本実施例の閾値制御部170では、内部信号Sxと遅延信号SyXd及びSyYdとを用いて閾値制御信号S170X及びS170Yが生成される。そのため、Tshift≦Tmaskであるときには、遅延信号SyXd及びSyYdがハイレベルに立ち上がるよりも先に、比較信号VCMPX及びVCMPYの立上りタイミングで、必ず充電電圧Vdが放電されることになる。
従って、Tshift=Tmaskというクリティカルな条件下でも、閾値制御信号S170X及びS170Yが同時にハイレベルとなることはないので、チャンネル毎にマスク期間Tmaskを正しく設定することが可能となる。
<フローチャート>
図26は、2チャンネル化された閾値切替動作の一例を示すフローチャートである。フローが開始されると、まず、ステップS201では、起動しているチャンネルの閾値電圧Vth*が内部設定値Vth*H(ただし「*」は「X」及び「Y」の少なくとも一方、以下も同様)に設定される(図18の時刻t21及びt23に相当)。
次に、ステップS202では、比較信号VCMPX及びVCMPYの一方がハイレベルであるか否か(すなわち、片方のチャンネルだけが起動している状態か否か)の判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS203に進められる(図18の時刻t22に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS208に進められる。
ステップS203では、ステップS202でのイエス判定を受けて、キャパシタ177の充電が開始される(図18の時刻t22に相当)。
次に、ステップS204では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも高いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS205に進められる(図18の時刻t24に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS204に戻されて、本ステップでの判定が繰り返される(図18の時刻t22〜t24に相当)。
ステップS205では、ステップS204でのイエス判定を受けてキャパシタ177が放電される。また、ステップS206では、起動しているチャンネルの閾値電圧Vth*が外部設定値Vth*Lに切り替えられる。これらのステップS205及びS206は、図18の時刻t24に相当する。
次に、ステップS207では、起動しているチャンネルのセンス電圧Vs*が参照電圧VIset*よりも低いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS201に戻されて、閾値電圧Vth*が再び内部設定値Vth*Hに切り替えられる(図18の時刻t26に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS207に戻されて本ステップでの判定が繰り返される(図18の時刻t24〜t26に相当)。
一方、ステップS208では、ステップS202でのノー判定を受けて、比較信号VCMPX及びVCMPYの両方がハイレベルであるか否か(すなわち、両方のチャンネルがいずれも起動している状態か否か)の判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS209に進められる(図18の時刻t23、図22の時刻t42、または、図25の時刻t62に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、いずれのチャンネルも起動していないので、フローがステップS201に戻される。
ステップS209では、ステップS208でのイエス判定を受けて、閾値制御信号S170X及びS170Yの一方がハイレベルであるか否か(すなわち、先発チャンネルの閾値電圧Vth*が既に外部設定値Vth*Lに切り替わっている状態か否か)の判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS203に進められて、ステップS203〜S207で後発チャンネルの閾値切替動作が行われる(図18の時刻t25〜t28に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS210に進められる。
ステップS210では、ステップS209でのノー判定を受けて、閾値制御信号S170X及びS170Yの両方にローレベルであるか否か(すなわち、先発チャンネルのマスク期間Tmaskが経過する前に後発チャンネルの起動タイミングが到来したか否か)の判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS211に進められる(図22の時刻t42に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS214に進められる。
ステップS211では、ステップS210でのイエス判定を受けて、キャパシタ177が一旦放電されたのち、再充電が開始される(図22の時刻t42〜t43に相当)。
次に、ステップS212では、充電電圧Vdがマスク期間満了電圧Vdrefよりも高いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS213に進められる(図22の時刻t44に相当)。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS212に戻されて、本ステップでの判定が繰り返される(図22の時刻t43〜t44に相当)。
ステップS213では、ステップS212でのイエス判定を受けてキャパシタ177が放電される。また、ステップS214では、両チャンネルの閾値電圧VthX及びVthYLが外部設定値VthXL及びVthYLに同時に切り替えられる。これらのステップS205及びS206は、図22の時刻t44に相当する。
次に、ステップS215では、両チャンネルのセンス電圧VsX及びVsYが参照電圧VIsetX及びVIsetYよりも低いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS201に戻されて、次回の起動を待機する状態となる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS215に戻されて、本ステップでの判定が繰り返される。
<マルチプレクサ>
図27は、これまでに説明してきた半導体集積回路装置1の2チャンネル化に伴い、状態報知信号Soの出力段として、マルチプレクサを導入した例を示すブロック図である。本構成例の半導体集積回路装置1には、出力電流検出部80X及び80Yと、信号出力部90X及び90Yと、マルチプレクサ100と、外部端子T5と、が集積化されている。
出力電流検出部80Xは、出力電流IoXに応じたセンス電流IsX’を生成して信号出力部90Xに出力する。
出力電流検出部80Yは、出力電流IoYに応じたセンス電流IsY’を生成して信号出力部90Yに出力する。
信号出力部90Xは、制御ロジック部40Xから入力される出力選択信号S2Xに基づいて、センス電流IsX’(=出力電流IoXの検出結果に相当)と固定電圧V90(=異常フラグに相当)の一方を第1状態報知信号SoXとして選択出力するセレクタ91Xを含む。なお、セレクタ91Xは、出力選択信号S2Xが異常未検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに、第1状態報知信号SoXとしてセンス電流IsX’を選択出力し、出力選択信号S2Xが異常検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに、第1状態報知信号SoXとして固定電圧V90を出力する。
信号出力部90Yは、制御ロジック部40Yから入力される出力選択信号S2Yに基づいて、センス電流IsY’(=出力電流IoYの検出結果に相当)と固定電圧V90(=異常フラグに相当)の一方を第2状態報知信号SoYとして選択出力するセレクタ91Yを含む。なお、セレクタ91Yは、出力選択信号S2Yが異常未検出時の論理レベル(例えばローレベル)であるときに、第2状態報知信号SoYとしてセンス電流IsY’を選択出力し、出力選択信号S2Yが異常検出時の論理レベル(例えばハイレベル)であるときに、第2状態報知信号SoYとして固定電圧V90を出力する。
マルチプレクサ100は、外部端子T5に入力される出力選択信号SELに応じて、第1状態報知信号SoX(=センス電流IsX’または固定電圧V90)と第2状態報知信号SoY(=センス電流IsY’または固定電圧V90)のいずれか一方を外部端子T4に選択出力する。
外部端子T4にセンス電流IsX’が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、センス電流IsX’を外部センス抵抗4で電流/電圧変換した出力検出電圧V80X(=IsX’×R4)がECU2に伝達される。なお、出力検出電圧V80Xは、出力電流IoXが大きいほど高くなり、出力電流IoXが小さいほど低くなる。
また、外部端子T4にセンス電流IsY’が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、センス電流IsY’を外部センス抵抗4で電流/電圧変換した出力検出電圧V80Y(=IsY’×R4)がECU2に伝達される。なお、出力検出電圧V80Yは、出力電流IoYが大きいほど高くなり、出力電流IoYが小さいほど低くなる。
一方、外部端子T4に固定電圧V90が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、固定電圧V90がECU2に伝達される。なお、固定電圧V90は、出力検出電圧V80X及びV80Yの上限値よりも高い電圧値に設定しておけばよい。
このようなマルチプレクサ100の導入により、任意のチャンネルについて、出力電流IoX及びIoYの検出結果と異常フラグの双方を外部監視することが可能となる。
<ソフト切替機能(アンダーシュート抑制機能)>
図28は、過電流検出閾値Iocpのアンダーシュートが生じる様子を示す図である。これまでにも説明してきたように、過電流保護回路71では、過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpHとされているときに、出力電流Ioが外部設定値IocpL(<IocpH)を上回ったままマスク期間Tmask(=時刻t71〜t72を参照)が経過した時点で、過電流検出閾値Iocpが外部設定値IocpLに切り替えられる。
このとき、内部設定値IocpHと外部設定値IocpLとの差が大きいと、過電流検出閾値Iocpがアンダーシュートしやすくなる。このようなアンダーシュートが生じると、出力電流Ioが不必要に制限されるので、負荷3の安定動作を阻害する要因となる。
そこで、以下に提案する過電流保護回路71(特に閾値電圧生成部130)は、図29で示したように、マスク期間Tmask(=時刻t81〜t82を参照)の経過後、過電流検出閾値Iocpを内部設定値IocpHから外部設定値IocpLに切り替える際、所定の遷移時間Ttrans(=時刻t82〜t83を参照)をかけて過電流検出閾値Iocpを徐々に引き下げていく機能(以下ではソフト切替機能と呼ぶ)を備えている。
このようなソフト切替機能を具備することにより、内部設定値IocpHと外部設定値IocpLとの差が大きい場合であっても、過電流検出閾値Iocpのアンダーシュートを抑制することができる。従って、出力電流Ioが不必要に制限されなくなるので、負荷3の安定動作に寄与することが可能となる。
図30は、ソフト切替機能を備えた閾値電圧生成部130の一構成例を示す図である。本構成例の閾値電圧生成部130は、可変電流源134と抵抗135を含む。
可変電流源134は、昇圧電圧VGの印加端と閾値電圧Vthの出力端との間に接続されており、可変電流IREFを生成する。特に、可変電流源134は、閾値制御信号S170に応じて、可変電流IREFの電流値をリニア制御する機能を備えている。具体的に述べると、可変電流源134は、閾値制御信号S170がローレベルであるときには、可変電流IREFを第1電流Irefに固定する一方、閾値制御信号S170がハイレベルに立ち上がると、所定の遷移時間Ttransをかけて可変電流IREFを第1電流Irefから第2電流Isetまで徐々に減らしていく。
抵抗135は、閾値電圧Vthの出力端と出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)との間に接続されており、可変電流IREFに応じた閾値電圧Vth(=IREF×R135)を生成する。
従って、可変電流IREFのリニア制御に伴い、閾値電圧Vthは、内部設定値VthH(=Iref×R135)から、外部設定値VthL(=Iset×R135)まで徐々に低下していく。これは、出力電流Ioと比較される過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpHから外部設定値IocpLまで徐々に引き下げられることと等価である。
図31は、可変電流源134の一構成例を示す図である。本構成例の可変電流源134は、上側電流生成部134Hと下側電流生成部134Lを含み、上側電流IHから下側電流ILを差し引いた差分電流(IH−IL)を可変電流IREFとして出力する。
上側電流生成部134Hは、上側電流IHを生成する回路ブロックであり、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1〜P3を含む。トランジスタP1〜P3それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP1〜P3それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP1のドレインに接続されている。このように、トランジスタP1〜P3は、トランジスタP1のドレイン電流をトランジスタP2及びP3それぞれのドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。
ここで、トランジスタP1のドレインには、第1電流生成部110から第1電流Irefが流されている。従って、トランジスタP2及びP3それぞれのドレインには、第1電流Irefと等価のミラー電流が流れる。なお、トランジスタP2のミラー電流は、第1電流Irefそのものとして、下側電流生成部134Lに供給されている。一方、トランジスタP3のミラー電流は、第1電流Irefと同値に固定された上側電流IHとして、上側電流生成部134Hから出力されている。
下側電流生成部134Lは、下側電流ILを生成する回路ブロックであり、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP4〜P7と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1〜N7と、オペアンプAMPと、スイッチSWと、抵抗R2及びR3と、キャパシタC2と、を含む。
トランジスタP4及びP5それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP4及びP5それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP4のドレインに接続されている。このように、トランジスタP4及びP5は、トランジスタP4のドレイン電流をトランジスタP5のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタP4のドレインには、第2電流生成部120から第2電流Isetが流されている。従って、トランジスタP5のドレインには、第2電流Isetと等価のミラー電流が流れる。
トランジスタN1及びN2それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN1及びN2それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN1のドレインに接続されている。このように、トランジスタN1及びN2は、トランジスタN1のドレイン電流をトランジスタN2のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN1のドレインは、トランジスタP5のドレインに接続されており、第2電流Isetと等価のミラー電流が流されている。従って、トランジスタN2のドレインにも、第2電流Isetと等価のミラー電流が流れる。
トランジスタN3及びN4それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN3及びN4それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN3のドレインに接続されている。このように、トランジスタN3及びN4は、トランジスタN3のドレイン電流をトランジスタN4のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN3のドレインは、トランジスタP2及びN2それぞれのドレインに接続されており、第1電流Irefから第2電流Isetを差し引いた差分電流(Iref−Iset)が流されている。従って、トランジスタN4のドレインにも、上記の差分電流(Iref−Iset)と等価のミラー電流が流れる。
トランジスタP6及びP7それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP6及びP7それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP6のドレインに接続されている。このように、トランジスタP6及びP7は、トランジスタP6のドレイン電流をトランジスタP7のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタP6のドレインは、トランジスタN4のドレインに接続されており、先出の差分電流(Iref−Iset)が流されている。従って、トランジスタP7のドレインにも、差分電流(Iref−Iset)と等価のミラー電流が流れる。なお、このミラー電流は、キャパシタC2の充電電流として用いられる。
上記のように、下側電流生成部134Lにおいて、トランジスタP4〜P7及びN1〜N4は、第1電流Irefから第2電流Isetを差し引くことにより、キャパシタC2の充電電流(=Iref−Iset)を生成する充電電流生成部として機能する。
抵抗R2は、トランジスタP7のドレインと接地端との間に接続されている。スイッチSWの第1端は、トランジスタP7のドレインに接続されている。スイッチSWの第2端は、キャパシタC2の第1端に接続されている。キャパシタC2の第2端は、接地端に接続されている。
スイッチSWは、閾値制御信号S170がローレベルであるときにオフし、閾値制御信号S170がハイレベルであるときにオンする。スイッチSWがオンしているときには、トランジスタP7のドレインに流れる充電電流(Iref−Iset)を用いてキャパシタC2が充電される。このように、スイッチSWは、閾値制御信号S170の立上りに応じてキャパシタC2の充電を開始する充電制御部として機能する。なお、キャパシタC2の充電に伴い、キャパシタC2の充電電圧VCは、ゼロ値から所定の上限値(=(Iref−Iset)×R2)まで上昇する。
オペアンプAMPの非反転入力端(+)は、キャパシタC2の第1端(=充電電圧VCの出力端)に接続されている。オペアンプAMPの反転入力端(−)は、トランジスタN5のソース及びバックゲートに接続されている。オペアンプAMPの出力端は、トランジスタN5のゲートに接続されている。トランジスタN5のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗R3の第1端に接続されている。抵抗R3の第2端は、接地端に接続されている。トランジスタN5のドレインは、下側電流生成部134Lの出力端に相当する。
なお、オペアンプAMPは、非反転入力端(+)と反転入力端(−)がイマジナリショートするようにトランジスタN5のゲート制御を行う。従って、抵抗R3の第1端には、充電電圧VCと等価の電圧が印加されるので、トランジスタN5のドレインに流れる下側電流ILは、充電電圧VCに応じた可変電圧(=VC/R3)となる。より具体的に述べると、下側電流ILは、キャパシタC2の充電に伴い、ゼロ値から所定の上限値(=(Iref−Iset)×R2/R3)まで徐々に増大していく。なお、抵抗R2及びR3それぞれの抵抗値を互いに同値としておくことにより、下側電流ILの上限値を(Iref−Iset)に設定することができる。
上記のように、下側電流生成部134Lにおいて、オペアンプAMP、トランジスタN5、及び、抵抗R3は、キャパシタC2の充電電圧VCを下側電流ILに変換する電圧/電流変換部として機能する。
上側電流生成部134Hの出力端(=トランジスタP3のドレイン)と下側電流生成部134Lの出力端(=トランジスタN5のドレイン)は、いずれも、可変電流IREFの出力端に接続されている。従って、可変電流IREFとしては、上側電流IHから下側電流ILを差し引いた差分電流(IH−IL)が出力される。
図32は、上側電流IH、下側電流IL、及び、可変電流IREF(=IH−IL)それぞれの挙動を示す図である。先にも述べたように、上側電流IH(実線)は、第1電流Irefと同値に設定された固定値である。一方、下側電流IL(破線)は、キャパシタC2の充電に伴い、ゼロ値から所定の上限値(Iref−Iset)まで徐々に増大していく可変値である。従って、可変電流IREF(一点鎖線)は、所定の遷移時間Ttrans(=時刻t91〜t92を参照)をかけて、第1電流Iref(=Iref−0)から第2電流Iset(=Iref−(Iref−Iset))まで徐々に減少していく。
<動作レンジ改善>
車載用ハイサイドスイッチICとして用いられる半導体集積回路装置1では、NMOSFET10のオン抵抗値が小さくなるにつれて、数十Aレベルの大電流を許容する必要があるので、過電流検出閾値Iocp(=内部設定値IocpH)が大きくなる。例えば、NMOSFET10のオン抵抗値が45mΩである場合には、内部設定値IocpHがtyp30A(max40A)に設定される。一方、負荷3に応じた外部設定値IocpLは、10A未満(min1〜2A)に設定される。つまり、内部設定値IocpHと外部設定値IocpLとの間には、40倍もの開きがある。
このように、内部設定値IocpHが高くなり、外部設定値IocpLとの電流差が大きくなると、センス電圧Vsの動作レンジが大きくなり、適切な過電流保護の実現が困難となる。この問題点について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図33は、コンパレータ141の動作点について説明するための図である。本図のコンパレータ141は、一対のNチャネル型MOS電界効果トランジスタN6及びN7を含んでおり、いわゆるカレントミラー型コンパレータとして構成されている。
トランジスタN6及びN7それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN6のドレインに接続されている。トランジスタN6のドレインは、カレントミラー133の第1出力端に接続されており、第1電流Irefまたは第2電流Isetが流される。トランジスタN6のソースは、いずれも抵抗132の第1端(=閾値電圧Vthの印加端に相当)に接続されている。抵抗132の第2端は、出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)に接続されている。トランジスタN7のドレインは、カレントミラー133の第2出力端に接続されており、第1電流Irefまたは第2電流Isetが流される。また、トランジスタN7のドレインは、過電流保護信号S71の出力端にも接続されている。トランジスタN7のソースは、NMOSFET21のソースとセンス抵抗22の第1端(=センス電圧Vsの印加端)に接続されている。センス抵抗22の第2端は、出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)に接続されている。NMOSFET21のドレインは、電源電圧VBBの印加端(=外部端子T1)に接続されている。
本構成例のコンパレータ141は、出力電圧Voを基準電位として動作し、トランジスタN6のソースに印加される閾値電圧Vth(=Iref(またはIset)×R132+Vo)と、トランジスタN7のソースに印加されるセンス電圧Vs(=Is×Rs+Vo)とを比較して過電流保護信号S71を生成する。
ここで、電源電圧VBB、出力電圧Vo、センス電圧Vs、及び、NMOSFET21のソース・ドレイン間に付随するボディダイオードの順方向降下電圧Vfについては、次の(1)式が成立する。
Vo<Vs<VBB+Vf (VBB≒Vo) … (1)
上記の(1)式から、センス電圧Vsの動作点は、Vo+Vfレベルであることが分かる。従って、Vf=0.2V@150℃であることに鑑み、例えば、内部設定値IocpH(例えば40A)に対応するセンス電圧Vsが0.2V程度となるように、センス抵抗22及び抵抗132それぞれの抵抗値を調整した場合、外部設定値IocpL(例えば1A)に対応するセンス電圧Vsが5mVと非常に低い値になってしまう。
このように、単一のコンパレータ141を用いて内部設定値IocpHと外部設定値IocpLの双方に対応しようとすると、センス電圧Vsの動作点が非常に厳しくなってしまうので、ノイズの影響を受けやすく検出精度の悪化を招くおそれがある。
図34は、上記の問題点を解消するために考案された閾値電圧生成部130及び過電流検出部140(及びそれらの周辺回路)の一変形例を示す図である。本変形例の半導体集積回路装置1において、過電流保護回路71は、閾値電圧生成部130と過電流検出部140を2つずつ含んでいる。以下では、閾値電圧生成部130a及び130b、並びに、過電流検出部140a及び140bというように、個別の符号を付して説明する。
また、上記の回路変更に伴い、過電流保護回路71には、過電流検出部140a及び140bの切替制御を行う切替制御部180が設けられているほか、出力電流監視部20やゲート制御部30にも、種々の変更が加えられている。以下、本図を参照しながら、半導体集積回路装置1の各部構成について、個別具体的に詳述する。
出力電流監視部20は、NMOSFET21a〜21cと、センス抵抗22a〜22cを含む。NMOSFET21a〜21cは、いずれもNMOSFET10に対して並列接続されたミラートランジスタであり、出力電流Ioに応じたセンス電流Isを生成する。NMOSFET10とNMOSFET21a〜21cとのサイズ比は、m:1(ただし、m>1)である。従って、センス電流Isは、出力電流Ioを1/mに減じた大きさとなる。NMOSFET21a〜21cは、NMOSFET10と同様、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧G2がローレベルであるときにオフする。
センス抵抗22a〜22c(抵抗値:Rsa〜Rsc)は、NMOSFET21a〜21cそれぞれのソースと外部端子T2との間に接続されており、センス電流Isに応じたセンス電圧Vsa〜Vscを生成する電流/電圧変換素子である。なお、センス電圧Vsa及びVsbは、それぞれ、過電流検出部140a及び140bでの比較処理に用いられる。一方、センス電圧Vscは、比較部160での比較処理に用いられる。
なお、本図の例では、比較部160の構成要素として、コンパレータ161の後段に、ローパスフィルタ162と遅延部163が設けられている。
閾値電圧生成部130a及び130bは、それぞれ、可変電流源134a及び134bと、抵抗135a及び135b(抵抗値:Rrefa及びRrefb)と、を含む。
可変電流源134aは、昇圧電圧VGの印加端と閾値電圧Vthaの出力端との間に接続されており、可変電流Iaを生成する。特に、可変電流源134aは、閾値制御信号S170に応じて、可変電流Iaの電流値をリニア制御する機能を備えている。具体的に述べると、可変電流源134aは、閾値制御信号S170がローレベルであるときには、可変電流Iaを第1電流Irefに固定する一方、閾値制御信号S170がハイレベルに立ち上がると、所定の遷移時間Ttrans1をかけて可変電流Iaを第1電流Irefから中間電流Im(ただしIset<Im<Iref)まで徐々に減らしていく。
抵抗135aは、閾値電圧Vthaの出力端と外部端子T2との間に接続されており、可変電流Iaに応じた閾値電圧Vtha(=Ia×Rrefa)を生成する。
可変電流源134bは、昇圧電圧VGの印加端と閾値電圧Vthbの出力端との間に接続されており、可変電流Ibを生成する。特に、可変電流源134bは、切替制御信号S180に応じて、可変電流Ibの電流値をリニア制御する機能を備えている。具体的に述べると、可変電流源134bは、切替制御信号S180がハイレベルであるときには、可変電流Ibを中間電流Imに固定する一方、切替制御信号S180がローレベルに立ち下がると、所定の遷移時間Ttrans2をかけて可変電流Ibを中間電流Imから第2電流Isetまで徐々に減らしていく。
抵抗135bは、閾値電圧Vthbの出力端と外部端子T2との間に接続されており、可変電流Ibに応じた閾値電圧Vthb(=Ib×Rrefb)を生成する。
このように、閾値電圧生成部130a及び130bは、可変電流Ia及びIbの双方を用いて閾値電圧Vtha及びVthb(延いては過電流検出閾値Iocp)を設定する。
過電流検出部140a及び140bは、それぞれ、コンパレータ141a及び141bを含み、センス電圧Vsa及びVsbと閾値電圧Vtha及びVthbとをそれぞれ比較して過電流保護信号S71a及びS71bを生成する。
コンパレータ141aの非反転入力端(+)は、センス電圧Vsaの印加端に接続されている。コンパレータ141aの反転入力端(−)は、閾値電圧Vthaの印加端に接続されている。このようにして接続されたコンパレータ141aは、センス電圧Vsaと閾値電圧Vthaとを比較して過電流保護信号S71aを生成する。過電流保護信号S71aは、センス電圧Vsaが閾値電圧Vthaよりも低いときにローレベル(=過電流未検出時の論理レベル)となり、センス電圧Vsaが閾値電圧Vthaよりも高いときにハイレベル(=過電流検出時の論理レベル)となる。
コンパレータ141bの非反転入力端(+)は、センス電圧Vsbの印加端に接続されている。コンパレータ141bの反転入力端(−)は、閾値電圧Vthbの印加端に接続されている。このようにして接続されたコンパレータ141bは、センス電圧Vsbと閾値電圧Vthbとを比較して過電流保護信号S71bを生成する。過電流保護信号S71bは、センス電圧Vsbが閾値電圧Vthbよりも低いときにローレベル(=過電流未検出時の論理レベル)となり、センス電圧Vsbが閾値電圧Vthbよりも高いときにハイレベル(=過電流検出時の論理レベル)となる。
ゲート制御部30としては、過電流検出部140a及び140bにそれぞれ対応して、2つのゲート制御部30a及び30bが設けられている。ゲート制御部30a及び30bは、それぞれ、NMOSFET35a及び35bと、抵抗36a及び36bと、キャパシタ37a及び37bと、を含む。また、ゲート制御部30bは、NMOSFET38をさらに含む。
NMOSFET35aのドレインは、NMOSFET10のゲートに接続されている。NMOSFET35aのソースは、外部端子T2に接続されている。なお、NMOSFET35aのゲートには、コンパレータ71aから過電流保護信号S71aが印加されている。また、NMOSFET35aのドレイン・ゲート間には、抵抗36aとキャパシタ37aが直列に接続されている。
NMOSFET35aは、過電流保護信号S71aがローレベルであるときにオフし、過電流保護信号S71aがハイレベルであるときにオンする。従って、過電流保護信号S71aがハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R36a×C37a)で引き下げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S71aがローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
NMOSFET35bのドレインは、NMOSFET10のゲートに接続されている。NMOSFET35bのソースは、外部端子T2に接続されている。なお、NMOSFET35bのゲートには、コンパレータ71bから過電流保護信号S71bが印加されている。また、NMOSFET35bのドレイン・ゲート間には、抵抗36bとキャパシタ37bが直列に接続されている。
NMOSFET35bは、過電流保護信号S71bがローレベルであるときにオフし、過電流保護信号S71bがハイレベルであるときにオンする。従って、過電流保護信号S71bがハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R36b×C37b)で引き下げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S71bがローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
なお、NMOSFET35bのゲートと外部端子T2との間には、切替制御信号S180に応じてオン/オフするNMOSFET38が接続されている。従って、切替制御信号S180がハイレベルであるときには、NMOSFET38がオンし、過電流保護信号S71bが強制的にローレベルに引き下げられるので、NMOSFET35bがオフする。このような動作状態は、過電流検出部140bが無効とされた状態(=過電流検出部140bを用いて過電流検出が行われる状態)に相当する。
一方、切替制御信号S180がローレベルであるときには、NMOSFET38がオフするので、先述のように、過電流保護信号S71bによるNMOSFET35bのゲート駆動が行われる。このような動作状態は、過電流検出部140bが有効とされた状態(=過電流検出部140bを用いて過電流検出が行われる状態)に相当する。
このように、過電流検出部140a及び140bは、切替制御信号S180(延いては過電流検出閾値Iocp)に応じて使い分けられる。
切替制御部180は、電流源181と、抵抗182と、コンパレータ183と、否定論理積演算器184と、を含む。
電流源181は、昇圧電圧VGの印加端と閾値電圧VthMの出力端との間に接続されており、所定の中間電流Imを生成する。
抵抗182は、閾値電圧VthMの出力端と外部端子T2との間に接続されており、中間電流Imに応じた閾値電圧VthM(=Im×R182)を生成する。なお、過電流検出閾値Iocpに置き換えて考えた場合、閾値電圧VthMは、内部設定値IocpHよりも低く、外部設定値IocpLよりも高い中間設定値IocpMに相当する。
コンパレータ183の反転入力端(−)は、閾値電圧Vthaの印加端に接続されている。コンパレータ183の非反転入力端(+)は、閾値電圧VthMの印加端に接続されている。このようにして接続されたコンパレータ183は、閾値電圧Vthaと閾値電圧VthMとを比較して比較信号Scmpを生成する。比較信号Scmpは、閾値電圧Vthaが閾値電圧VthMよりも高いときにハイレベルとなり、閾値電圧Vthaが閾値電圧VthMよりも低いときにローレベルとなる。このような比較動作は、過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpHから中間設定値IocpMまで低下したか否かを検出する動作に他ならない。
否定論理積演算器184は、比較信号Scmpと閾値制御信号S170との否定論理積演算により、切替制御信号S180を生成する。従って、切替制御信号S180は、比較信号Scmpと閾値制御信号S170がいずれもハイレベルであるときにローレベルとなり、比較信号Scmpと閾値制御信号S170の少なくとも一方がローレベルであるときにハイレベルとなる。
図35は、電流源181、並びに、可変電流源134a及び134bを構成する電流生成回路190の一構成例を示す図である。本構成例の電流生成回路190は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP11〜P23と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN11〜N28と、抵抗R11〜R14と、キャパシタC11及びC12と、オペアンプAMP1及びAMP2と、スイッチSW1及びSW2と、インバータINVを含む。
まず、電流源181の構成要素として機能する部分(トランジスタP11及びP15、並びに、トランジスタN15及びN16)を中心にその接続関係や動作を説明する。
トランジスタP11〜P15それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP11〜P15それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP11のドレインに接続されている。このように、トランジスタP11〜P15は、トランジスタP11のドレイン電流をトランジスタP12〜P15それぞれのドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。
ここで、トランジスタP11のドレインには、第1電流生成部110から中間電流Imが流されている。このように、第1電流生成部110は、第1電流Irefではなく中間電流Imを生成するように構成されている。従って、トランジスタP12〜P15それぞれのドレインには、中間電流Imと等価のミラー電流が流れる。
トランジスタN15及びN16それぞれのソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN15及びN16それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN15のドレインに接続されている。このように、トランジスタN15及びN16は、トランジスタN15のドレイン電流をトランジスタN16のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN15のドレインは、トランジスタP15のドレインに接続されており、中間電流Imと等価のミラー電流が流されている。従って、トランジスタN16のドレインにも、中間電流Imと等価のミラー電流が流れる。
なお、電流源181は、トランジスタN16のドレインに流れるミラー電流を入力としてこれと等価の中間電流Imを出力する。このように、トランジスタP11及びP15、並びに、トランジスタN15及びN16は、電流源181の構成要素として機能する。
次に、可変電流源134aの構成要素として機能する部分(トランジスタP11及びP13〜P15、トランジスタN11〜N15及びN17、スイッチSW1、抵抗R11及びR12、キャパシタC11、インバータINV、並びに、オペアンプAMP1)に着目して説明する。
トランジスタN15及びN17それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN15及びN17それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN15のドレインに接続されている。このように、トランジスタN15及びN17は、トランジスタN15のドレイン電流をトランジスタN17のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN15のドレインには、先にも述べたように、中間電流Imと等価のミラー電流が流されている。従って、トランジスタN17のドレインにも、中間電流Imと等価のミラー電流が流れる。
なお、トランジスタN17のドレイン電流は、中間電流Imと同値に固定された要素電流i1として用いられる。このように、トランジスタP11及びP15、並びに、トランジスタN15及びN17は、第1要素電流生成部として機能する。
抵抗R11及びスイッチSW1それぞれの第1端は、いずれもトランジスタP13のドレインに接続されている。スイッチSW1の第2端は、キャパシタC11の第1端に接続されている。抵抗R11及びキャパシタC11それぞれの第2端は、いずれも接地端に接続されている。なお、スイッチSW1がオンしているときには、キャパシタC11がトランジスタP13のドレイン電流(=中間電流Im)を用いて充電される。このように、トランジスタP11及びP13は、中間電流Imと同値の充電電流を生成する充電電流生成部として機能する。
トランジスタN12及びN13それぞれのソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN12及びN13それぞれのゲートは、トランジスタN12のドレインに接続されている。このように、トランジスタN12及びN13は、トランジスタN12のドレイン電流をトランジスタN13のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN12のドレインは、トランジスタP14のドレインに接続されており、中間電流Imと等価のミラー電流が流されている。従って、トランジスタN13のドレインにも、中間電流Imと等価のミラー電流が流れる。トランジスタN13のドレインは、キャパシタC11の第1端に接続されている。従って、上記のカレントミラーが有効とされているとき(=トランジスタN11がオフされているとき)には、キャパシタC11がトランジスタN13のドレイン電流(=中間電流Im)を用いて放電される。このように、トランジスタP11及びP14、並びに、トランジスタN12及びN13は、中間電流Imと同値の放電電流を生成する放電電流生成部として機能する。
インバータINVの入力端は、閾値制御信号S170の印加端に接続されている。インバータINVの出力端は、スイッチSW1の制御端とトランジスタN11のゲートにそれぞれ接続されている。トランジスタN11のドレインは、トランジスタN12のドレインに接続されている。トランジスタN11のソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。
閾値制御信号S170がローレベルであるときには、スイッチSW1とトランジスタN11がいずれもオンする。その結果、キャパシタC11が充電状態となり、その充電電圧VC11が上限値(=Im×R11)まで充電される。一方、閾値制御信号S170がハイレベルであるときには、スイッチSW1とトランジスタN11がいずれもオフする。その結果、キャパシタC11が放電状態となり、その充電電圧VC11がゼロ値まで放電される。このように、インバータINV、スイッチSW1、及び、トランジスタN11は、閾値制御信号S170に応じてキャパシタC11の充電状態と放電状態を切り替える充放電制御部として機能する。
オペアンプAMP1の非反転入力端(+)は、キャパシタC11の第1端(=充電電圧VC11の出力端)に接続されている。オペアンプAMP1の反転入力端(−)は、トランジスタN14のソース及びバックゲートに接続されている。オペアンプAMP1の出力端は、トランジスタN14のゲートに接続されている。トランジスタN14のソースとバックゲートは、いずれも抵抗R12の第1端に接続されている。抵抗R12の第2端は、接地端に接続されている。
なお、オペアンプAMP1は、非反転入力端(+)と反転入力端(−)がイマジナリショートするようにトランジスタN14のゲート制御を行う。従って、抵抗R12の第1端には、充電電圧VC11と等価の電圧が印加されるので、トランジスタN14のドレインに流れる要素電流i2は、充電電圧VC11に応じた可変電圧(=VC11/R12)となる。より具体的に述べると、要素電流i2は、キャパシタC11の放電に伴い、所定の上限値(=Im×R11/R12)からゼロ値まで徐々に減少していく。なお、抵抗R11及びR12それぞれの抵抗値を互いに同値としておくことにより、要素電流i2の上限値を中間電流Imと同値に設定することができる。
このように、オペアンプAMP1、トランジスタN14、及び、抵抗R12は、キャパシタC11の充電電圧VC11を要素電流i2に変換する電圧/電流変換部として機能する。そして、上記のキャパシタC11、充電電流生成部(P11、P13)、放電電流生成部(P11、P14、N12、N13)、充放電制御部(INV、SW1、N11)、及び、電圧/電流変換部(AMP1、N14、R12)は、閾値制御信号S170に応じて要素電流i2を所定の上限値(=Im)からゼロ値まで徐々に減らしていく第2要素電流生成部を形成している。
なお、トランジスタN17のドレイン(=要素電流i1の出力端)とトランジスタN14のドレイン(=要素電流i2の出力端)は、互いに接続されているので、その接続ノードには、要素電流i1と要素電流i2を足し合わせた加算電流(i1+i2)が流れる。
先にも述べた通り、要素電流i1は、中間電流Imと同値の固定値であり、要素電流i2は、所定の上限値(=Im)からゼロ値まで減少していく可変値である。従って、加算電流(i1+i2)は、2Im(=Im+Im)からIm(=Im+0)まで変化する。
可変電流源134aは、この加算電流(i1+i2)を入力としてこれと等価の可変電流Iaを生成する。具体的に述べると、可変電流源134aは、閾値制御信号S170がローレベルであるときには、可変電流Iaを第1電流Iref(=2Im)に固定する一方、閾値制御信号S170がハイレベルに立ち上がると、所定の遷移時間Ttrans1をかけて可変電流Iaを第1電流Irefから中間電流Imまで徐々に減らしていく。
次に、可変電流源134bの構成要素として機能する部分(トランジスタP11及びP12、トランジスタP15〜P23、トランジスタN15及びN18〜N28、スイッチSW2、抵抗R13及びR14、キャパシタC12、並びに、オペアンプAMP2)に着目して説明する。
トランジスタN15及びN18それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN15及びN18それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN15のドレインに接続されている。このように、トランジスタN15及びN18は、トランジスタN15のドレイン電流をトランジスタN18のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN15のドレインには、先にも述べたように、中間電流Imと等価のミラー電流が流されている。従って、トランジスタN18のドレインにも、中間電流Imと等価のミラー電流が流れる。
トランジスタP16及びP17それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP16及びP17それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP16のドレインに接続されている。このように、トランジスタP16及びP17は、トランジスタP16のドレイン電流をトランジスタP17のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタP16のドレインは、トランジスタN18のドレインに接続されており、中間電流Imと等価のミラー電流が流されている。従って、トランジスタP17のドレインにも、中間電流Imと等価のミラー電流が流れる。
なお、トランジスタP17のドレイン電流は、中間電流Imと同値に固定された要素電流i3として用いられる。このように、トランジスタP11及びP15〜P17、並びにトランジスタN15及びN18は、第3要素電流生成部として機能する。
トランジスタP18及びP19それぞれのソースとバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP18及びP19それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP18のドレインに接続されている。このように、トランジスタP18及びP19は、トランジスタP18のドレイン電流をトランジスタP19のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここでトランジスタP18のドレインには、第2電流生成部120から第2電流Isetが流れているので、トランジスタP19のドレインには、第2電流Isetと等価のミラー電流が流れる。
トランジスタN21及びN22それぞれのソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN21及びN22それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN21のドレインに接続されている。このように、トランジスタN21及びN22は、トランジスタN21のドレイン電流をトランジスタN22のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN21のドレインは、トランジスタP19のドレインに接続されており、第2電流Isetと等価のミラー電流が流されている。従って、トランジスタN22のドレインにも、第2電流Isetと等価のミラー電流が流れる。
トランジスタN23及びN24それぞれのソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN23及びN24それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN23のドレインに接続されている。このように、トランジスタN23及びN24は、トランジスタN23のドレイン電流をトランジスタN24のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN23のドレインは、トランジスタP12及びN22それぞれのドレインに接続されており、中間電流Imから第2電流Isetを差し引いた差分電流(Im−Iset)が流されている。従って、トランジスタN24のドレインにも、上記の差分電流(Im−Iset)と等価のミラー電流が流れる。
トランジスタP20及びP21それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP20及びP21それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP20のドレインに接続されている。このように、トランジスタP20及びP21は、トランジスタP20のドレイン電流をトランジスタP21のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタP20のドレインは、トランジスタN24のドレインに接続されており、先出の差分電流(Im−Iset)が流されている。従って、トランジスタP21のドレインにも、差分電流(Im−Iset)と等価のミラー電流が流れる。なお、このミラー電流は、キャパシタC12の充電電流として用いられる。
上記のように、トランジスタP4〜P7及びN1〜N4は、中間電流Imから第2電流Isetを差し引くことにより、キャパシタC12の充電電流(=Im−Iset)を生成する充電電流生成部として機能する。
抵抗R13は、トランジスタP21のドレインと接地端との間に接続されている。スイッチSW2の第1端は、トランジスタP21のドレインに接続されている。スイッチSW2の第2端は、キャパシタC12の第1端に接続されている。キャパシタC12の第2端は、接地端に接続されている。
スイッチSW2は、切替制御信号S180がハイレベルであるときにオフし、切替制御信号S180がローレベルであるときにオンする。スイッチSW2がオンしているときには、トランジスタP21のドレインに流れる充電電流(Im−Iset)を用いてキャパシタC12が充電される。このように、スイッチSW2は、切替制御信号S180の立上りに応じてキャパシタC12の充電を開始する充電制御部として機能する。なお、キャパシタC12の充電に伴い、キャパシタC12の充電電圧VC12は、ゼロ値から所定の上限値(=(Im−Iset)×R13)まで上昇する。
オペアンプAMP2の非反転入力端(+)は、キャパシタC12の第1端(=充電電圧VC12の出力端)に接続されている。オペアンプAMP2の反転入力端(−)は、トランジスタN25のソース及びバックゲートに接続されている。オペアンプAMP2の出力端は、トランジスタN25のゲートに接続されている。トランジスタN25のソースとバックゲートは、いずれも抵抗R14の第1端に接続されている。抵抗R14の第2端は、接地端に接続されている。
なお、オペアンプAMP2は、非反転入力端(+)と反転入力端(−)がイマジナリショートするようにトランジスタN25のゲート制御を行う。従って、抵抗R14の第1端には、充電電圧VC12と等価の電圧が印加されるので、トランジスタN25のドレインに流れる要素電流i4は、充電電圧VC12に応じた可変電圧(=VC12/R14)となる。より具体的に述べると、要素電流i4は、キャパシタC12の充電に伴い、ゼロ値から所定の上限値(=(Im−Iset)×R13/R14)まで徐々に増大していく。なお、抵抗R13及びR14それぞれの抵抗値を互いに同値としておくことにより、要素電流i4の上限値を(Im−Iset)に設定することができる。
トランジスタP22及びP23それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。また、トランジスタP22及びP23それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP22のドレインに接続されている。このように、トランジスタP22及びP23は、トランジスタP22のドレイン電流をトランジスタP23のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタP22のドレインは、トランジスタN25のドレインに接続されており、先出の要素電流i4が流されている。従って、トランジスタP23のドレインにも、要素電流i4と等価のミラー電流が流れる。
トランジスタN27及びN28それぞれのソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN27及びN28それぞれのゲートは、トランジスタN27のドレインに接続されている。このように、トランジスタN27及びN28は、トランジスタN27のドレイン電流をトランジスタN28のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN27のドレインは、トランジスタP23のドレインに接続されており、先出の要素電流i4が流されている。従って、トランジスタN28のドレインにも、要素電流i4と等価のミラー電流が流れる。
トランジスタN26のドレインは、トランジスタN27のドレインに接続されている。トランジスタN26のソース及びバックゲートは、接地端に接続されている。トランジスタN26のゲートは、切替制御信号S180の印加端に接続されている。
切替制御信号S180がハイレベルであるときには、トランジスタN26がオンする。その結果、トランジスタN27及びN28から成るカレントミラーが無効となり、要素電流i4の出力が禁止される。一方、切替制御信号S180がローレベルであるときには、トランジスタN26がオフする。その結果、トランジスタN27及びN28から成るカレントミラーが有効となり、要素電流i4の出力が許可される。
このように、オペアンプAMP2、トランジスタN25、抵抗R14(さらには、後段のトランジスタP22及びP23、並びに、トランジスタN27及びN28)は、キャパシタC12の充電電圧VC12を要素電流i4に変換する電圧/電流変換部として機能する。そして、上記のキャパシタC12、充電電流生成部(P11、P12、P18〜P21、N21〜N24)、充電制御部(SW2)、並びに、電圧/電流変換部(AMP2、N25、R14)は、切替制御信号S180に応じて要素電流i4をゼロ値から所定の上限値(=Im−Iset)まで徐々に増やしていく第4要素電流生成部を形成している。
トランジスタN19及びN20それぞれのソースとバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。また、トランジスタN19及びN20それぞれのゲートは、いずれもトランジスタN19のドレインに接続されている。このように、トランジスタN19及びN20は、トランジスタN19のドレイン電流をトランジスタN20のドレイン電流としてミラーするカレントミラーを形成している。ここで、トランジスタN19のドレインは、トランジスタP17及びN28それぞれのドレインに接続されており、要素電流i3から要素電流i4を差し引いた差分電流(i3−i4)が流されている。従って、トランジスタN20のドレインにも、上記の差分電流(i3−i4)と等価のミラー電流が流れる。
先にも述べた通り、要素電流i3は、中間電流Imと同値の固定値であり、要素電流i4は、ゼロ値から所定の上限値(=Im−Iset)まで増大していく可変値である。従って、差分電流(i3−i4)は、Im(=Im−0)からIset(=Im−(Im−Iset))まで変化する。
可変電流源134bは、この差分電流(i3−i4)を入力としてこれと等価の可変電流Ibを生成する。具体的に述べると、可変電流源134bは、切替制御信号S180がハイレベルであるときには、可変電流Ibを中間電流Imに固定する一方、切替制御信号S180がローレベルに立ち下がると、所定の遷移時間Ttrans2をかけて可変電流Ibを中間電流Imから第2電流Isetまで徐々に減らしていく。
なお、上記では、Im=Iref/2である場合を例に挙げたが、中間電流Imの電流値については、何らこれに限定されるものではなく、センス電圧Vsa及びVsbそれぞれの動作点に支障が生じない範囲で、任意の電流値に設定することが可能である。
図36は、過電流検出閾値Iocpの切替動作を示す図である。本図で示したように、マスク期間Tmask(=時刻t101〜t102を参照)の経過後、閾値制御信号S170がハイレベルに立ち上がると、遷移時間Ttrans1(=時刻t102〜t103を参照)をかけて、過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpHから中間設定値IocpMまで引き下げられていく。なお、時刻t103以前の過電流検出動作(IocpM<Iocp<IocpH)は、過電流検出部140aを主体として実施される。
その後、過電流検出閾値Iocpが中間設定値IocpMまで低下し、切替制御信号S180がローレベルに立ち下がると、遷移時間Ttrans2(=時刻t103〜t104を参照)をかけて、過電流検出閾値Iocpが中間設定値IocpMから外部設定値IocpLまでさらに引き下げられていく。なお、時刻t103以降の過電流検出動作(IocpL<Iocp<IocpM)は、過電流検出部140bを主体として実施される。
このように、2つの過電流検出部140a及び140bを個別に用意しておき、過電流検出閾値Iocpに応じて両者を使い分ける構成であれば、内部設定値IocpHと外部設定値IocpLとの差が大きい場合であっても、センス電圧Vsa及びVsbの動作点を個別に調整することができるので、適切な過電流保護を実現することが可能となる。
なお、先にも述べたように、内部設定値IocpHと外部設定値IocpLとの差が大きくなるほど、過電流検出閾値Iocpの切替時にアンダーシュートを生じやすくなる。そのため、過電流検出閾値Iocpの切替時には、所定の遷移時間Ttrans(=Ttrans1+Ttrans2)をかけて、過電流検出閾値Iocpを徐々に引き下げていくソフト切替機能を併せて導入することが望ましいと言える。
ただし、過電流検出閾値Iocpのアンダーシュート抑制技術と、センス電圧Vsa及びVsbの動作点改善技術は、それぞれ単独でも実装することが可能である。例えば、過電流検出閾値Iocpのアンダーシュートを抑制する必要がなければ、遷移時間Ttrans1及びTtrans2の一方または両方をゼロ値とすることも任意である。
図37は、本変形例における閾値切替動作の一例を示すフローチャートである。フローが開始すると、まず、ステップS300では、過電流保護回路71が起動し、第1電流Iref(及びその基準となる中間電流Im)と第2電流Isetがそれぞれ生成される。
次に、ステップS301では、過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpH(∝Iref)に初期設定される。
次に、ステップS302では、比較信号VCMPがハイレベル(Vsc>VIset)であるか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS303に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS302に戻されて本ステップでの判定が繰り返される。
ステップS303では、ステップS302でのイエス判定を受けて、キャパシタ177の充電が開始される。
続いて、ステップS304では、閾値制御信号S170がハイレベル(Vd>Vdref)であるか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS305に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS304に戻されて本ステップでの判定が繰り返される。
ステップS305では、ステップS304でのイエス判定を受けて、キャパシタ177が放電される。
また、ステップS306では、所定の遷移時間Ttrans1をかけて過電流検出閾値Iocpが内部設定値IocpH(∝Iref)から中間設定値IocpM(∝Im)まで引き下げられていく。
次に、ステップS307では、切替制御信号S180がローレベル(S170=HかつVtha<VthM)であるか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS308に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS307に戻されて本ステップでの判定が繰り返される。
なお、ステップS307でのイエス判定以前は、過電流検出部140bが無効とされるので、過電流検出部140aを主体とする過電流検出動作が実施される。一方、ステップS307のイエス判定以降は、過電流検出部140bが有効とされるので、過電流検出部140bを主体とする過電流検出動作が実施される。
ステップS308では、所定の遷移時間Ttrans2をかけて過電流検出閾値Iocpが中間設定値IocpMから第2設定値IocpLまで引き下げられていく。
次に、ステップS309では、比較信号VCMPがローレベル(Vsc<VIset)であるか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、フローがステップS301に戻されて、過電流検出閾値Iocpが再び内部設定値IocpHに切り替えられる。一方、ノー判定が下された場合には、フローがステップS309に戻されて本ステップでの判定が繰り返される。
<比較部・レベルシフタ>
図38は、レベルシフタ173の第1構成例を示す図である。本構成例のレベルシフタ173は、その前段に設けられているコンパレータ161と同じく、昇圧電圧VG(>VBB)と出力電圧Voの供給を受けて動作する回路ブロックであり、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP31及びP32と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN31〜N33と、ツェナダイオードZD1と、バッファBUF1と、を含む。なお、トランジスタP31及びP32、並びに、トランジスタN31は、いずれもエンハンスメント型であり、トランジスタN32及びN33は、いずれもデプレッション型である。
トランジスタP31及びP32それぞれのソース及びバックゲートは、いずれも昇圧電圧VGの印加端に接続されている。トランジスタP31及びP32それぞれのゲートは、いずれもトランジスタP31のドレインに接続されている。トランジスタP31のドレインは、トランジスタN32のドレインに接続されている。トランジスタN32のゲートとソース及びバックゲートは、いずれもトランジスタN31のドレインに接続されている。トランジスタN31のソース及びバックゲートは、いずれも出力電圧Voの印加端に接続されている。トランジスタN31のゲートは、コンパレータ161の出力端(=比較信号VCMPの出力端)に接続されている。トランジスタP32のドレインは、トランジスタN33のドレインに接続されている。トランジスタN33のゲートとソース及びバックゲートは、いずれも接地端(=接地電圧GNDの印加端)に接続されている。
バッファBUF1の入力端は、トランジスタP32及びN33相互間の接続ノードに接続されている。バッファBUF1の出力端は、内部信号Syの出力端に接続されている。バッファBUF1の第1電源端(高電位側)は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。バッファBUF1の第2電源端(低電位側)は、接地端に接続されている。ツェナダイオードZD1のカソードは、バッファBUF1の入力端に接続されている。ツェナダイオードZD1のアノードは、接地端に接続されている。
上記構成から成るレベルシフタ173は、昇圧電圧VGと出力電圧Voとの間でパルス駆動される比較信号VCMPをレベルシフトさせることにより、内部電源電圧Vregと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される内部信号Syを生成する。より具体的に述べると、比較信号VCMPがハイレベル(=VG)であるときには、内部信号Syがハイレベル(=Vreg)となり、比較信号VCMPがローレベル(=Vo)であるときには、内部信号Syがローレベル(=GND)となる。
ただし、第1構成例のレベルシフタ173をNMOSFET10(=パワートランジスタ)と共通のN型半導体基板に集積化しようとすると、寄生素子の誤動作を招来するおそれがある。以下では、その問題点について詳細に説明する。
図39は、第1構成例のレベルシフタ173において、寄生ダイオードD31及びD32が誤動作する様子を示す縦断面図であり、特に、高耐圧化の必要なトランジスタP31及びP32が描写されている。
本図で示すように、N型半導体基板(N−sub)上には、N型エピタキシャル層(N−epi)が積層形成されている。また、N型エピタキシャル層(N−epi)内には、トランジスタP31及びP32それぞれのドレイン(D)及びソース(S)に相当するP型半導体領域(P)、及び、バックゲート(BG)のコンタクトに相当するN型半導体領域(N)がそれぞれ形成されている。
なお、トランジスタP31及びP32それぞれのソース(S)に相当するP型半導体領域(P)と、バックゲート(BG)のコンタクトに相当するN型半導体領域(N)には、いずれも昇圧電圧VG(≒VBB+5V、最高40V程度)が印加される。
一方、N型半導体基板(N−sub)は、縦型構造のNMOSFET10(=NDMOSFET[N-channel type double-diffused MOSFET])のドレインに相当しており、電源電圧VBBが印加されている。
従って、トランジスタP31及びP32それぞれのソース(S)に相当するP型半導体領域(P)をアノードとし、N型半導体基板(N−sub)をカソードとする寄生ダイオードD31及びD32が順バイアス状態となる。その結果、昇圧電圧VGが電源電圧VBBからほとんど上昇しなくなるので、昇圧電圧VGの供給を受けて動作する回路ブロック(コンパレータ161、レベルシフタ173、ゲートドライバ31など)が正しく動作できなくなる。
これを鑑みると、NMOSFET10と共通のN型半導体基板に集積化されるレベルシフタ173をVG−Vo間で駆動することは難しいと言わざるを得ない。
図40は、レベルシフタ173の第2構成例を示す図である。本構成例のレベルシフタ173は、先の第1構成例をベースとしつつ、電源電圧VBBの供給を受けて動作する。従って、先出の寄生ダイオードD31及びD32が順バイアスとならないので、その誤動作を招くおそれはなくなる。
しかしながら、本構成例のレベルシフタ173が正しく動作するためには、出力電圧VoがVBB−(2Vds+Vgs)(ただし、VdsはトランジスタN31及びN32それぞれのドレイン・ソース間電圧とし、VgsはトランジスタP31のゲート・ソース間電圧とする)よりも低くなければならない。
例えば、外部端子T2の地絡時(=接地端ないしはこれに準ずる低電位端への出力ショート時)には、Vo≒0Vとなり、上記の動作条件が満たされるので、レベルシフタ173の動作(延いては閾値制御部170の閾値切替動作)に支障が生じることはない。
しかしながら、外部端子T2のレアショート時(=何らかのインピーダンス成分を介して外部端子T2が接地端ないしはこれに準ずる低電位端に短絡した結果、出力電圧Voが0Vまで下がり切らずに過大な出力電流Ioが流れている状態)には、上記の動作条件が満たされず、レベルシフタ173の動作(延いては閾値制御部170の閾値切替動作)に支障を生じるおそれがある。
これを鑑みると、NMOSFET10と共通のN型半導体基板に集積化されるレベルシフタ173をVBB−Vo間で駆動することも決して最善策であるとは言えない。
図41は、上記の問題点を解消するために考案された比較部160及び閾値制御部170(並びにその周辺回路)の一変形例を示す図である。なお、本図では、先出の図34をベースとしつつ、これに種々の変更を加えている。そこで、先と同様の構成要素については、図34と同一の符号を付すことにより重複した説明を割愛し、以下では、図34からの変更点について重点的な説明を行う。
まず、第1の変更点として、コンパレータ161は、電源電圧VBBとこれを所定値だけ引き下げた定電圧VBBM5(例えばVBBM5=VBB−5V)との間で、比較信号VCMPの生成動作を行う構成に変更されている。同様に、レベルシフタ173は、電源電圧VBBと定電圧VBBM5との間でパルス駆動される比較信号VCMP(本構成例ではこれに応じた論理和信号S320)をレベルシフトさせることにより、所定の内部電源電圧Vregと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される内部信号Syを生成する構成に変更されている。
なお、コンパレータ161は、図34と異なり、センス電圧Vsbと閾値電圧Vthbとを比較して比較信号VCMPを生成する構成に変更されている。このような構成であれば、NMOSFET21c、センス抵抗22c、及び、参照電圧生成部150を省略することができるので、回路規模を縮小することが可能となる。ただし、参照電圧生成部150を省略せずに、図34と同じく、センス電圧Vscと参照電圧VIsetをコンパレータ161に入力しても構わない。
上記第1の変更点によれば、レベルシフタ173をVG−Vo間で駆動する第1構成例(図38)と異なり、寄生素子の誤動作に起因する昇圧電圧VGの起動不良(=第1構成例の問題点)を解消することが可能となる。なお、定電圧VBBM5に代えて接地電圧GNDを用いた場合でも、上記と同様の効果を享受することができる。ただし、VBB−GND間で駆動する構成では、コンパレータ161を高耐圧素子で形成する必要がある。
また、上記第1の変更点によれば、外部端子T2のレアショート時であっても、コンパレータ161及びレベルシフタ173それぞれの動作可能電圧を十分に確保することができるので、それぞれの動作(延いては閾値制御部170の閾値切替動作)に支障が生じることはない。すなわち、レベルシフタ173をVBB−Vo間で駆動する第2構成例(図40)の問題点も解消することができる。
ただし、本構成例では、外部端子T2の地絡時(Vo≒0V)において、コンパレータ161及びレベルシフタ173の動作可能電圧、より具体的には、センス電圧Vsb及び閾値電圧Vthbの動作入力レンジを確保できなくなるおそれがある。例えば、VBB=12Vであるときには、VBBM5=7V(=VBB−5V)となる。従って、センス電圧Vsb及び閾値電圧Vthbの動作入力レンジ(=検知可能電圧幅)が7V〜12Vとなり、外部端子T2の地絡時(Vo≒0V)には、閾値制御部170の閾値切替動作に支障を生じるおそれがある。そのため、第2の変更点として、過電流保護回路71には、出力ショート検出部300が設けられている。出力ショート検出部300は、出力電圧Voを監視して外部端子T2の地絡を検出することにより、出力ショート検出信号S300を生成する。なお、出力ショート検出信号S300は、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
また、出力ショート検出部300の導入に伴い、閾値制御部170の入力段には、論理積演算器310と論理和演算器320が追加されている。
論理積演算器310は、出力ショート検出信号S300と過電流保護信号S71aとの論理積信号S310を出力する。従って、過電流保護信号S71aがハイレベル(=過電流検出時の論理レベル)であるときには、出力ショート検出信号S300が論理積信号S310としてスルー出力される。一方、過電流保護信号S71aがローレベル(=過電流未検出時の論理レベル)であるときには、出力ショート検出信号S300の論理レベルに依ることなく、論理積信号S310がローレベルに維持される。
論理和演算器320は、比較信号VCMPと論理積信号S310との論理和信号S320を生成し、これをレベルシフタ173に出力する。従って、論理積信号S310がローレベルであるときには、比較信号VCMPが論理和信号320としてスルー出力される。一方、論理積信号S310がハイレベルであるときには、比較信号VCMPの論理レベルに依ることなく、論理和信号S320がハイレベルに維持される。
このような入力段の導入により、閾値制御部170では、センス電圧Vsbが閾値電圧Vthbを上回ったとき(VCMP=H)だけでなく、出力電流Ioの過電流異常が検出されており(S71a=H)、かつ、出力電圧Voの地絡が検出されているとき(S300=H)にも、マスク期間Tmaskのカウントが開始されることになる。従って、外部端子T2の地絡時にもレアショート時にも、閾値制御部170における閾値切替動作を行うことが可能となる。
ただし、先の説明からも明らかなように、閾値制御部170は、センス信号Vsaが過閾値電圧Vthaに達していないとき(S71a=L)には、出力電圧Voの出力ショートが検出されたとき(S300=H)でも、マスク期間Tmaskのカウントを開始しない。従って、半導体集積回路装置1の起動時には、出力電圧Voが0Vであっても、これを地絡と誤検出して閾値電圧Vthを不必要に切り替えてしまうことはない。
なお、本図では、図示の便宜上、切替制御部180の描写を割愛したが、実際には、先出の図34で示したように、過電流保護回路71を構成する回路ブロックの一つとして、切替制御部180が含まれている。
図42は、レベルシフタ173の第3構成例(=図41への適用例)を示す図である。本図で示したように、本構成例のレベルシフタ173は、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP51と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN61〜N62と、ツェナダイオードZD2と、インバータINV4と、を含む。なお、トランジスタP51は、エンハンスメント型であり、トランジスタN61及びN62は、いずれもデプレッション型である。
トランジスタN61のドレインは、電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタN61のゲートとソースは、いずれもトランジスタP51のソースに接続されている。トランジスタP51のゲートは、論理和信号S320の印加端に接続されている。トランジスタP51及びN62それぞれのドレインと、ツェナダイオードZD2のカソードは、いずれもインバータINV4の入力端に接続されている。トランジスタN62のゲート及びソースと、ツェナダイオードZD2のアノードは、いずれも接地端に接続されている。インバータINV4の出力端は、内部信号Syの出力端に接続されている。インバータINV4の第1電源端(高電位側)は、内部電源電圧Vregの印加端に接続されている。インバータINV4の第2電源端(低電位側)は、接地端に接続されている。
本構成例のレベルシフタ173によれば、先に述べたように、電源電圧VBBと定電圧VBBM5との間でパルス駆動される論理和信号S320(延いては比較信号VCMP)をレベルシフトさせることにより、内部電源電圧Vregと接地電圧GNDとの間でパルス駆動される内部信号Syを生成することができる。
図43は、出力ショート検出部300の一構成例を示す図である。本構成例の出力ショート検出部300は、抵抗301及び302と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタ303と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ304〜306と、インバータ307と、を含む。なお、トランジスタ303及び305は、エンハンスメント型であり、トランジスタ304及び306は、いずれもデプレッション型である。
抵抗301の第1端は、電源電圧VBBの印加端に接続されている。抵抗302の第1端は、出力電圧Voの印加端に接続されている。抵抗301及び302それぞれの第2端は、いずれもトランジスタ303のゲートに接続されている。トランジスタ303のソースは、電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタ303のドレインは、トランジスタ304のドレインとトランジスタ305のゲートに接続されている。トランジスタ304のソース及びゲートとトランジスタ305のソースは、いずれも定電圧VBBM5の印加端に接続されている。
トランジスタ306のドレインは、電源電圧VBBの印加端に接続されている。トランジスタ306のソース及びゲートとトランジスタ305のドレインは、いずれもインバータ307の入力端に接続されている。インバータ307の出力端は、出力ショート検出信号S300の出力端に接続されている。インバータ307の第1電源端(高電位側)は、電源電圧VBBの印加端に接続されている。インバータ307の第2電源端(低電位側)は、定電圧VBBM5の印加端に接続されている。
本構成例の出力ショート検出部300において、出力電圧Voが所定値(例えばVBB−3V)よりも低くなると、トランジスタ303がオンして、トランジスタ305がオンする。その結果、インバータ307への入力信号がローレベルとなるので、出力ショート検出信号S300がハイレベル(=異常検出時の論理レベル)となる。
このように、本構成例の出力ショート検出部300であれば、極めて簡易な回路構成により、出力電圧Voの地絡を検出することが可能となる。
<車両への適用>
図44は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(本図では不図示)と、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器X11〜X18とを搭載している。なお、本図における電子機器X11〜X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
なお、先に説明した半導体集積回路装置1、ECU2、及び、負荷3は、電子機器X11〜X18のいずれにも組み込むことが可能である。
<その他の変形例>
また、上記の実施形態では、車載用ハイサイドスイッチICを例に挙げて説明を行ったが、本明細書中に開示されている発明の適用対象は、これに限定されるものではなく、例えば、その他の車載用IPD(車載用ローサイドスイッチICや車載用電源ICなど)はもちろん、車載用途以外の半導体集積回路装置にも広く適用することが可能である。
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。