JP2019080078A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法、表示装置、照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法、表示装置、照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子注入性および耐久性に優れた電子注入層の得られる材料を提供する。【解決手段】一般式(1)で表される有機金属錯体。(Mは金属原子。Cは炭素原子、Nは窒素原子、Oは酸素原子。Q1は点線の円弧と窒素原子、X1、Y1と共に含窒素複素環構造が形成されていることを表す。X1、X2はそれぞれ炭素原子または窒素原子のいずれかを表し、Y1、Y2はそれぞれ炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子。Q2は点線の円弧と炭素原子、X2、Y2と共に芳香族炭化水素環または芳香族複素環が形成されていることを表す。R1、R2はアミノ基上の1価のアルキル基を表し、LはQ2とアミノ基とが直接結合されていること、またはQ2とアミノ基とを結合する連結基。nは、1、2又は3。)[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、有機金属錯体、有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)素子およびその製造方法、表示装置、照明装置、薄膜太陽電池に関する。より詳しくは、有機EL素子に設けられる電子注入層の材料として、好適に用いることができる有機金属錯体に関する。
有機EL素子は、薄く、柔軟でフレキシブルである。また、有機EL素子を用いた表示装置は、現在主流となっている液晶表示装置およびプラズマ表示装置と比べて、高輝度、高精細な表示が可能である。また、有機EL素子を用いた表示装置は、液晶表示装置に比べて視野角が広い。このため、有機EL素子を用いた表示装置は、今後、テレビや携帯電話のディスプレイ等としての利用の拡大が期待されている。
また、有機EL素子は、照明装置としての利用も期待されている。
有機EL素子は、陰極と発光層と陽極とが積層されたものである。有機EL素子では、陽極の仕事関数と発光層の最高占有軌道(HOMO)エネルギー差は、陰極の仕事関数と発光層の最低非占有軌道(LUMO)エネルギー差と比較して小さい。したがって、発光層に、陽極から正孔を注入することと比較して、陰極から電子を注入することは困難である。このため、従来の有機EL素子では、陰極と発光層との間に、電子注入層を配置して、陰極から発光層への電子の注入を促進している。
しかし、一般に、電子注入層には、アルカリ金属等の酸素や水に活性な材料が用いられている。このため、従来の有機EL素子は、封止層によって厳密に封止して、酸素や水による電子注入層の劣化を防止する必要があった。
一方、柔軟性に優れた有機EL素子を得るためには、プラスチック基板を用いることが好ましい。しかし、プラスチック基板は、厳密に封止し難い材料である。このため、有機EL素子の基板として、プラスチック基板を用いることができない場合があった。
また、有機EL素子の性能を確保しつつ、耐久性を向上させるために、アルカリ金属を含まない電子注入層を用いることが検討されている。
例えば、非特許文献1には、ポリエチレンイミンからなる電子注入層を有する有機EL素子が記載されている。また、非特許文献2には、アミンが電子の注入速度改善に有効であることが記載され、非特許文献3には、それらのアミノ基が電極と有機層界面において電子注入に及ぼす効果について記載されている。
ジャンシャン チェン(Jiangshan Chen)外6名「ジャーナル オブ マテリアルズ ケミストリー(Journal Of Materials Chemistry)」、第22巻、2012年、p5164−5170 ヒョサン チョイ(Hyosung Choi)外8名「アドバンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、第23巻、2011年、p2759 ウィンファ チョウ(Yinhua Zho)外21名「サイエンス(Science)」、第336巻、2012年、p327 ヨンフーン キム(Young−Hoon Kim)外5名「アドバンスト ファンクショナル マテリアルズ(Advanced Functional Materials)」、2014年、DOI:10.1002/adfm.201304163 ステファン フォーフル、外4名「アドバンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、2014年、DOI:10.1002/adma.201304666 ステファン フォーフル、外5名「アドバンスト マテリアルズ(Advanced Materials)」、第26巻、2014年、DOI:10.1002/adma.201400332
しかしながら、従来の有機EL素子の電子注入層は、電子注入性および/または耐久性が不十分であった。
例えば、有機EL素子の電子注入層の材料として、ポリエチレンイミンを用いることで、優れた電子注入性が得られる。しかし、ポリエチレンイミンの分子中には、電気的刺激に対して不安定なNH結合が存在している。このため、ポリエチレンイミンからなる電子注入層を有する有機EL素子は、輝度の劣化が早く、耐久性が不十分であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電子注入性および耐久性に優れた電子注入層の得られる材料を提供することを課題とする。
また、本発明は、電子注入性および耐久性に優れた電子注入層を有する有機薄膜太陽電池、有機EL素子、および有機EL素子の製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、電子注入性および耐久性に優れた電子注入層を有する有機EL素子を備えた表示装置、照明装置を提供することを課題とする。
本発明者等は、電子注入層に用いる材料として、有機金属錯体に着目した。有機金属錯体は、金属原子を囲むように非共有電子対を有する配位子が配位結合したものであり、大きな分子内双極子モーメントを持つ。本発明者等は、有機金属錯体を含む電子注入層を形成し、有機金属錯体の双極子の向きを電子注入層における電子注入の促進に利用すべく、以下に示すように、検討を重ねた。
例えば、有機EL素子の陰極と発光層との間に、有機金属錯体を含む電子注入層を形成した場合には、電子注入層中の有機金属錯体の分子内双極子の向きが、陰極側から発光層側に向かう方向となればよい。すなわち、陰極側がマイナスの電荷となり、発光層側がプラスの電荷となるように、有機金属錯体を配向させればよい。このことにより、電子注入層の仕事関数を、陰極から発光層への電子注入に有利な値に変えることができ、陰極から発光層への電子の注入が促進される。
しかし、電子注入層中の有機金属錯体の分子内双極子の向きを、所定の方向に揃えて並べることは困難であった。
そこで本発明者等は、従来、電子注入層の材料として用いられているポリエチレンイミンに注目した。ポリエチレンイミンからなる電子注入層では、ポリエチレンイミンのアミノ基を形成している窒素原子の電荷が、有機EL素子の陰極を形成している材料と配位結合を作る。このことから、本発明者等は、有機金属錯体に、陰極を形成している材料と配位結合を形成し得るアミノ基を付与することを検討した。そして、有機金属錯体における金属原子と配位子との配位結合から遠い特定部位にアミノ基を付与することで、有機金属錯体を所定の方向に配向できることを見出した。
より詳細には、特定部位にアミノ基を付与した有機金属錯体を含む電子注入層を陰極に接して形成すると、有機金属錯体中のアミノ基と陰極材料とが配位結合して、双極子(界面双極子)が生じるとともに、有機金属錯体中のアミノ基が陰極に近接して配置される。そして、有機金属錯体内におけるアミノ基と、金属原子と配位子との配位結合との位置関係によって、有機金属錯体が特定の向きに配向する。
その結果、金属原子と配位子との配位結合によって生じる双極子(分子内双極子)のベクトルは、陰極側から発光層側に向かう方向になる。しかも、分子内双極子は、アミノ基と陰極材料との配位結合によって生じる界面双極子の向きと同じである。したがって、有機金属錯体を含む電子注入層全体の双極子モーメント(ベクトル)は、分子内双極子と界面双極子とが足し合わされて、陰極側から発光層側に向かう方向となる。よって、電子注入層により、陰極から発光層への電子注入が促進される。
さらに本発明者等は、有機金属錯体にアミノ基として、アンモニアの水素原子を1価のアルキル基で置換したアミノ基を付与した。このアミノ基は、電気的刺激に対して不安定なNH結合を含まず、NH結合を含むアミノ基と比較して電気的に安定である。したがって、アンモニアの水素原子を1価のアルキル基で置換したアミノ基を付与した有機金属錯体を含む電子注入層は、ポリエチレンイミンからなる電子注入層と比較して、劣化しにくく、耐久性に優れる。
さらに本発明者等は、アンモニアの水素原子を1価のアルキル基で置換したアミノ基を有機金属錯体に付与することで、有機金属錯体の溶媒への溶解性が向上することを見出した。したがって、このような有機金属錯体は、溶媒に溶解して溶液とし、これを塗布する方法により、有機金属錯体を含む電子注入層を形成できる。
以上の知見によりなされた本発明の要旨は以下の通りである。
すなわち、本発明は、以下の発明に関わるものである。
[1]下記一般式(1)で表される有機金属錯体。
Figure 2019080078
(一般式(1)中、Mは金属原子であり、周期表の第1族〜第3族、第12族、または第13族に属する金属原子を表す。Cは炭素原子、Nは窒素原子、Oは酸素原子を表す。窒素原子から金属原子Mへの点線は、窒素原子が金属原子Mへ配位していることを表す。Qは点線の円弧と窒素原子、X、Yと共に含窒素複素環構造が形成されていることを表す。X、Xはそれぞれ炭素原子または窒素原子のいずれかを表し、Y、Yはそれぞれ炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を表す。Qは点線の円弧と炭素原子、X、Yと共に芳香族炭化水素環または芳香族複素環が形成されていることを表す。R、Rはアミノ基上の1価のアルキル基を表し、LはQとアミノ基とが直接結合されていること、またはQとアミノ基とを結合する連結基を表す。nは、1、2又は3である。)
[2]下記一般式(2)で表される有機金属錯体。
Figure 2019080078
(一般式(2)中、Mは金属原子であり、周期表の第1族〜第3族、第12族、または第13族に属する金属原子を表す。Nは窒素原子、Oは酸素原子を表す。窒素原子から金属原子Mへの点線は、窒素原子が金属原子Mへ配位していることを表す。Qは点線の円弧と窒素原子、X、Yと共に含窒素複素環構造が形成されていることを表す。Xは炭素原子または窒素原子のいずれかを表し、Yは炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を表す。R、Rはアミノ基上の1価のアルキル基を表し、Lはベンゼン環とアミノ基とが直接結合されていること、またはベンゼン環とアミノ基とを結合する連結基を表す。nは、1、2又は3である。)
[3]下記一般式(3)で表される有機金属錯体。
Figure 2019080078
(一般式(3)中、Mは金属原子であり、周期表の第1族〜第3族、第12族、または第13族に属する金属原子を表す。Nは窒素原子、Oは酸素原子を表す。窒素原子から金属原子Mへの点線は、窒素原子が金属原子Mへ配位していることを表す。Qは点線の円弧と窒素原子とナフタレン環の一部と共に含窒素複素環構造が形成されていることを表す。R、Rはアミノ基上の1価のアルキル基を表し、Lはナフタレン環とアミノ基とが直接結合されていること、またはナフタレン環とアミノ基とを結合する連結基を表す。nは、1、2又は3である。)
[4]電極と発光層との間に電子注入層を有し、前記電子注入層が、[1]〜[3]のいずれかに記載の有機金属錯体を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
[5]前記電極と前記電子注入層との間に、無機の酸化物層を有することを特徴とする[4]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[6]前記電子注入層の平均厚さが5〜100nmであることを特徴とする[4]または[5]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[7]水蒸気透過度が1×10−3g/m/day未満の材料を用いて封止されていることを特徴とする[4]〜[6]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[8][4]〜[7]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であり、前記電子注入層を形成する工程が、前記有機金属錯体を含む溶液を塗布する工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
[9][4]〜[7]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする表示装置。
[10][4]〜[7]のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする照明装置。
[11][1]〜[3]のいずれかに記載の有機金属錯体を含む電子注入層を備えることを特徴とする有機薄膜太陽電池。
本発明の有機金属錯体は、上記一般式(1)〜(3)のいずれかで示されるものであるため、電子注入層の材料として用いた場合に、優れた電子注入性および耐久性を有する電子注入層が得られる。
また、本発明の有機EL素子は、上記一般式(1)〜(3)のいずれかで示される有機金属錯体を含む電子注入層を有している。このため、有機金属錯体を含む電子注入層全体の双極子モーメント(ベクトル)が、陰極側から発光層側に向かう方向となる。したがって、本発明の有機EL素子では、電子注入層により、陰極から発光層への電子注入が促進され、低い駆動電圧で、高い発光効率が得られる。また、本発明の有機EL素子は、有機金属錯体がNH結合を含まないものであるため、NH結合を含むアミノ基を含む化合物を用いた電子注入層を有する場合と比較して、電気的に安定で耐久性に優れる。したがって、本発明の有機EL素子では、電子注入層の劣化による有機EL素子の劣化が抑制される。
本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の有機EL素子中での有機金属錯体の配向を説明するための説明図であり、無機の酸化物層上の有機金属錯体の分子模型(分子モデル)を示した斜視図である。 本発明の有機EL素子の他の例を説明するための概略断面図である。 図4(a)は素子1〜4の印加電圧と電流密度との関係を示したグラフである。図4(b)は素子1〜4の印加電圧と輝度との関係を示したグラフである。 素子1と素子3の初期輝度1000cd/mから連続駆動した際の経過時間に対する輝度の変化を示したグラフである。 素子1と素子5の印加電圧と輝度との関係を示したグラフである。 素子6の封止方法を説明するための斜視図である。 樹脂材料を用いて封止した素子6と、ガラス材料を用いて封止した素子6の初期輝度1000cd/mから連続駆動した際の経過時間に対する輝度の変化を示したグラフである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
「有機金属錯体」
本発明の有機金属錯体は、上記一般式(1)で示される有機金属錯体である。
上記一般式(1)中、窒素原子から金属原子Mへの点線は、窒素原子が金属原子Mへ配位していることを表す。窒素原子が金属原子Mへ配位しているとは、窒素原子が金属原子Mに対して、配位子と同様に作用して化学的に影響していることを意味する。上記一般式(1)において、Cは炭素原子、Nは窒素原子、Oは酸素原子を表す。
上記一般式(1)中、Mは金属原子であり、周期表の第1族〜第3族、第12族、または第13族に属する金属原子を表す。金属原子Mは、リチウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、スカンジウム、亜鉛、アルミニウム、又は、ガリウムであることが好ましい。金属原子Mは、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛、又は、アルミニウムであることがより好ましい。金属原子Mは、ベリリウム、マグネシウム、又は、亜鉛であることが更に好ましい。
上記一般式(1)において、Qは点線の円弧と窒素原子、X、Yと共に含窒素複素環構造が形成されていることを表す。上記一般式(1)において、Qで示す含窒素複素環構造は、置換基を有していてもよい。
上記一般式(1)において、X、Xはそれぞれ炭素原子または窒素原子のいずれかを表し、Y、Yはそれぞれ炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を表す。YとYはこれらを結合する連結基Aを介してX、Xと環構造を形成してもよい。上記一般式(2)に示すように、Qで示す芳香族炭化水素環または芳香族複素環がベンゼン環である場合、Yはこれに結合する連結基を介してベンゼン環の一部と結合し、前記ベンゼン環の一部およびXと共に5員環構造または6員環構造を形成してもよい。
で表わされる含窒素複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環等の6員環の含窒素複素環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、オキサゾリン環等の5員環の含窒素複素環、キノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環等の縮合含窒素複素環等が挙げられる。これらのQで表わされる含窒素複素環の中でも、ピリジン環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
上記一般式(1)において、Qは点線の円弧と炭素原子、X、Yと共に芳香族炭化水素環または芳香族複素環が形成されていることを表す。Qで示す芳香族炭化水素環または芳香族複素環は、置換基を有していてもよい。
で表わされる芳香族炭化水素環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、オクタヒドロナフタレン環等が挙げられる。
で表わされる芳香族複素環の例としては、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環、ピリミジン環、ピリダジン環等の6員環の含窒素複素環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、チオフェン環、ピロール環の5員環の芳香族複素環、キノリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、カルバゾール環等の縮合芳香族複素環等が挙げられる。
これらのQで示す芳香族炭化水素環または芳香族複素環の中でも、ベンゼン環、ピリジン環が好ましく、上記一般式(2)に示すように、ベンゼン環がより好ましい。
これらY、Y、X、Xと環構造を形成する連結基(以下、「連結基A」と記す場合がある。)の例としては、下記一般式(2−1)〜(2−9)で表される構造が挙げられ、上記一般式(3)に示すように、一般式(2−1)表される構造が好ましい。上記の連結基A中に含まれる水素原子は、1価の置換基と置き換えてもよい。
Figure 2019080078
上記一般式(2−1)〜(2−9)中の*印は、*印の付された位置で連結基AとY、Yとが結合することを表す。すなわち、上記一般式(1)に示すQ、Qは、連結基Aを介して縮合環を形成してもよいことを表す。
本実施形態においては、連結基Aを示す上記一般式(2−1)〜(2−9)で表される構造が一般式(2−1)で表される構造であって、Qで示す芳香族炭化水素環または芳香族複素環がベンゼン環である場合、Y、Y、X、Xと連結基Aとからなる環構造は、上記一般式(3)に示すように、ベンゼン環であることが好ましい。
さらに、本実施形態においては、Qで表わされる含窒素複素環がピリジン環、Qで示す芳香族炭化水素環または芳香族複素環がベンゼン環であり、Y、Y、X、Xと連結基Aとからなる環構造がベンゼン環であることが好ましい。この場合、Q、Qと一般式(2−1)で表される構造とからなる縮合環は、7,8−ベンゾキノリンとなる。
一般式(1)において、LはQとアミノ基とが直接結合されていること、またはQとアミノ基とを結合する連結基を表す。Lで表わされる連結基は、Qで表される芳香族炭化水素環または芳香族複素環を構成する任意の位置の元素とアミノ基とを結ぶ基である。Lで表わされる連結基LとQとの結合位置は、特に制限されないが、Qにおいて酸素原子が結合している炭素原子のオルト位で結合していることが好ましい。Lで表わされる連結基Lが、Qの酸素原子が結合している炭素原子のオルト位に結合している場合、例えば、有機金属錯体を含む電子注入層を陰極上に形成すると、陰極と有機金属錯体のアミノ基との配位結合によって、金属原子と配位子との配位結合によって生じる分子内双極子が、陰極側から発光層側に向かう方向に配向されやすくなる。
Lで表わされる連結基の例としては、アルキレン連結基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等)、アリーレン連結基(例えば、フェニレン基、ナフチレン基等)、複素環連結基(例えば、フリル基、チエニレン基、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、モルホリル基等)、アルケニレン連結基(ビニレン基等)、アルキニレン連結基、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。Lで表わされる連結基は、上記で挙げた連結基の中から2つ以上を組み合わせてもよい。Lで表わされる連結基としては、上記の連結基の中でも特に、アルキレン連結基が好ましい。Lで表わされる連結基がアルキレン連結基であると、有機金属錯体の溶解性を向上させることができ、好ましい。また、上記の連結基L中に含まれる水素原子は、1価の置換基と置き換えてもよい。
一般式(1)中、R、Rはアミノ基上の1価のアルキル基を表し、R、Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。R、Rで表される1価のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ベンジル基等の炭化水素基、アルコキシエチル基、ジメチルアミノエチル基等のヘテロ原子含有基等が挙げられる。
一般式(1)において、Q、Q、連結基A、連結基Lは、それぞれ同一または異なる1価の置換基を有していてもよい。Q、Q、連結基A、連結基Lにおいて、1価の置換基が結合する位置や数は特に限定されない。Q、Q、連結基A、連結基Lのいずれか1以上に結合してもよい1価の置換基としては、特に制限されないが、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜12のハロゲン化炭化水素基、炭素数0〜12の複素環基、シアノ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜30のN−二置換アミノ基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子であることが好ましい。
上記炭素数1〜20の炭化水素基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等の炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、スチリル基等の炭素数2〜12のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基等の炭素数2〜12のアルキニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜12の環状アルキル基;アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が挙げられる。
上記炭素数1〜20の炭化水素基は、上述したもののうち、その炭素数が1〜8であることが好ましく、より好ましくは、炭素数1〜6であり、更に好ましくは、炭素数1〜4である。上記炭素数1〜20の炭化水素基は、上述したもののうち、炭素数1であることが特に好ましい。
上記炭素数1〜12のハロゲン化炭化水素基は、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜12のハロアルキル基;ハロゲン原子で置換された炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
上記炭素数1〜12のハロゲン化炭化水素基は、上述したもののうち、その炭素数が1〜8であることが好ましく、より好ましくは、1〜6である。
上記炭素数0〜12の複素環基は、ペンタゾール等の五員環窒素含有環基;トリアゾール、テトラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ピロール、ピロリジン、オキサゾリン、フラン、チオフェン等の五員環複素環基;ピリジン、ピラジン、ピペリジン、モルホリン、チアジン等の六員環複素環基が好適なものとして挙げられる。なお、これらの複素環基は、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基等で置換されていてもよい。
上記炭素数0〜12の複素環基は、上述したもののうち、炭素数が1〜8であることが好ましく、より好ましくは、1〜6である。
上記炭素数1〜12のアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状のものが好適なものとして挙げられる。
上記炭素数1〜12のアルコキシ基は、上述したもののうち、炭素数が1〜8であることが好ましく、より好ましくは、1〜6であり、更に好ましくは、1〜3である。
上記炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基は、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等の直鎖状又は分岐鎖状のものが挙げられる。
上記炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基は、上述したもののうち、炭素数が2であることが好ましい。
上記炭素数6〜12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。上記炭素数6〜12のアリールオキシ基は、例えば、アリールオキシ基のアリール基の部分が、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基等で置換されていてもよい。
上記炭素数6〜12のアリールオキシ基は、上述したもののうち、炭素数が6〜10であることが好ましく、より好ましくは、6〜8であり、更に好ましくは、6である。
上記炭素数2〜30のN−二置換アミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、モルホリニル基等の炭素数1〜12のジアルキルアミノ基;N−メチル−N−フェニルアミノ基、N−エチル−N−ナフチルアミノ基等の炭素数6〜20のN−アルキル−N−アリールアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基等の炭素数11〜30の非環状ジアリールアミノ基又は環状ジアリールアミノ基等が好適なものとして挙げられる。
なお、非環状ジアリールアミノ基とは、芳香環以外の環構造を有しないものをいう。環状ジアリールアミノ基とは、芳香環以外の環構造を有するものをいう。上記炭素数2〜30のN−二置換アミノ基は、例えば、N−二置換アミノ基のアルキル基またはアリール基の部分が、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基等で置換されていてもよい。
上記炭素数1〜12のジアルキルアミノ基は、上述したもののうち、その炭素数が1〜8であることが好ましい。より好ましくは、1〜6である。更に好ましくは、1〜4である。
上記炭素数6〜20のN−アルキル−N−アリールアミノ基は、上述したもののうち、その炭素数が7〜18であることが好ましい。より好ましくは、7〜15である。更に好ましくは、7〜11である。
上記炭素数11〜30の非環状ジアリールアミノ基又は環状ジアリールアミノ基は、上述したもののうち、その炭素数が11〜20であることが好ましく、より好ましくは、12〜18であり、更に好ましくは、12〜16である。
その他、Q、Q、連結基A、連結基Lのいずれか1以上に結合してもよい1価の置換基は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;チオアセチル基、チオベンゾイル基、メトキシチオカルボニル基等のチオカルボニル基;ジオキサボロラニル基、スタニル基、シリル基、エステル基、ホルミル基、チオエーテル基、エポキシ基、イソシアネート基、スルホ基、スルホニル基、ホスホリル基等であってもよい。
なお、上記1価の置換基(Q、Q、連結基A、連結基Lのいずれか1以上に結合してもよい1価の置換基)は、本発明の効果を発揮できる限り、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基、芳香環等の1価の置換基で置換されていてもよい。上記1価の置換基(Q、Q、連結基A、連結基Lのいずれか1以上に結合してもよい1価の置換基)が、更に1価の置換基を有する場合、Q、Q、連結基A、連結基Lのいずれか1以上に結合してもよい1価の置換基に結合する1価の置換基の位置および数は、特に限定されない。
上記一般式(1)におけるnは、1〜3の数である。言い換えると、上記一般式(1)で表される有機金属錯体の配位子は、1〜3つである。nは、金属原子Mの価数に応じて決定することが好ましい。例えば金属原子Mがリチウム、ナトリウム等の周期表第1族の金属原子である場合、nは1であり、ベリリウム、マグネシウム、亜鉛等の周期表第2族または第12族である場合、nは2である。また、金属原子Mがスカンジウム、アルミニウム、ガリウム等の周期表第3族、第13族の金属原子である場合、nは3である。
nが複数である場合、上記一般式(1)で表される有機金属錯体の配位子は、全て同一であってもよいし、一部のみ同じであってもよいし、全てが異なっていてもよいが、有機金属錯体の合成の難易度および純度の観点から、全て同一であることが好ましい。また、好ましい金属原子Mであるベリリウム、マグネシウム、亜鉛の価数が2であるため、nは2であることが好ましい。
上記一般式(1)で示される有機金属錯体のアミノ基は、Qで示す含窒素複素環構造とQで示す芳香族炭化水素環または芳香族複素環のうち、金属原子Mへ配位している窒素原子を含まないQに結合されている。
上記一般式(1)で示される有機金属錯体としては、具体的には、下記一般式(4)で示される有機金属錯体であることが好ましい。
下記一般式(4)で示される有機金属錯体は、上記一般式(1)で示される有機金属錯体において、金属原子Mがベリリウムであり、Q、Qと連結基Aとからなる環構造が7,8−ベンゾキノリンであり、連結基Lがトリメチレンレン基(−CHCHCH−)であり、RおよびRがメチル基であり、nが2であるものである。
Figure 2019080078
また、上記一般式(1)で示される有機金属錯体の好ましい他の例としては、例えば、下記一般式(100)〜(141)で示される有機金属錯体が挙げられる。下記一般式(100)〜(141)で示される有機金属錯体の中でも特に、電気的刺激に対して非常に安定であるため、下記一般式(136)、(137)で示される有機金属錯体が好ましい。
Figure 2019080078
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「有機EL素子」
次に、本発明の有機EL素子について、例を挙げて詳細に説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を説明するための概略断面図である。図1に示す本実施形態の有機EL素子1は、基板2上に、陰極3と、無機の酸化物層4と、電子注入層5と、発光層6と、正孔輸送層7と、正孔注入層8と、陽極9とがこの順に形成された積層構造を有する。図1に示す有機EL素子1における電子注入層5は、上記一般式(1)で示される有機金属錯体を含むものである。
図1に示す有機EL素子1は、基板2と発光層6との間に陰極3が配置された逆構造の有機EL素子(iOLED素子)である。また、図1に示す有機EL素子1は、有機EL素子を構成する層の一部(少なくとも無機の酸化物層4)を、無機化合物を用いて形成した有機無機ハイブリッド型の有機電界発光素子(HOILED素子)である。
図1に示す有機EL素子1は、基板2側と反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよいし、基板2側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
本実施形態においては、逆構造の有機EL素子を例に挙げて説明するが、本発明の有機EL素子は、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものであってもよい。順構造の有機EL素子としては、例えば、基板側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層が積層されたものなどが挙げられ、これらの層のうち、いくつかの層はなくてもよいし、複数であってもよく、特に限定されない。本発明の有機EL素子が順構造である場合も、電子注入層は、上記一般式(1)で示される有機金属錯体を含むものである。
「基板」
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。
基板2に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
本実施形態の有機EL素子1では、電子注入層5の材料として、大気中で不安定な材料であるアルカリ金属等を用いない。このため、有機EL素子1の封止に用いる材料の水蒸気透過度が1×10−3g/m/day未満であれば、有機EL素子1の劣化を十分に抑制できる。したがって、有機EL素子1を封止する部材である基板2の材料として、例えば、水蒸気透過度が1×10−3g/m/day未満の樹脂材料などを用いることができる。また、本実施形態の有機EL素子1では、基板2の材料として樹脂材料を用いた場合であっても十分に耐久性が得られるので、例えば、樹脂材料からなる基板2の外側に、外部からの酸素や水の侵入を防止する特別なバリアコート層などを形成する必要はない。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明のものを用いる。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明のものだけでなく、不透明のものも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
基板2の平均厚さは、基板2の材料等に応じて決定でき、0.1〜30mmであることが好ましく、0.1〜10mmであることがより好ましい。基板2の平均厚さは、デジタルマルチメーター、ノギスにより測定できる。
「陰極」
陰極3は、基板2上に直接接触して形成されている。
陰極3の材料としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物等の導電材料が挙げられる。この中でも、陰極3の材料として、ITO、IZO、FTOを用いることが好ましい。
陰極3の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましく、100〜200nmであることがより好ましい。
陰極3の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「酸化物層」
酸化物層4は、電子注入層としての機能および/または陰極としての機能を備えている。
酸化物層4は、半導体もしくは絶縁体積層薄膜の層であり、単体の金属酸化物からなる層、二種類以上の金属酸化物を混合した層と単体の金属酸化物からなる層のいずれか一方または両方を積層した層、二種類以上の金属酸化物を混合した層である。
酸化物層4を形成する金属酸化物を構成する金属元素としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、インジウム、ガリウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ケイ素が挙げられる。
酸化物層4が、二種類以上の金属酸化物を混合した層を含む場合、金属酸化物を構成する金属元素の少なくとも一つが、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、チタン、亜鉛からなる層であることが好ましい。
酸化物層4が、単体の金属酸化物からなる層である場合、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛からなる群から選ばれる金属酸化物からなる層であることが好ましい。
酸化物層4が、二種類以上の金属酸化物を混合した層と単体の金属酸化物からなる層のいずれか一方または両方を積層した層、または二種類以上の金属酸化物を混合した層である場合、酸化チタン/酸化亜鉛、酸化チタン/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化ケイ素、酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化カルシウム/酸化アルミニウム、から選ばれる二種の金属酸化物の組合せを積層及び/又は混合したもの、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化マグネシウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ジルコニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化アルミニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ハフニウム、酸化チタン/酸化亜鉛/酸化ケイ素、酸化インジウム/酸化ガリウム/酸化亜鉛、から選ばれる三種の金属酸化物の組合せを積層及び/又は混合したものなどが挙げられる。
酸化物層4は、特殊な組成として良好な特性を示す酸化物半導体であるIGZOおよび/またはエレクトライドである12CaO・7Alを含むものであってもよい。 酸化物層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、2〜100nmであることがより好ましい。
酸化物層4の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「電子注入層」
電子注入層5は、一般式(1)で表わされる有機金属錯体を含むものである。電子注入層5に含まれる一般式(1)で表わされる有機金属錯体は、一種のみであってもよいし、二種以上であってもよい。一般式(1)で表わされる有機金属錯体としては、上記一般式(4)で示される有機金属錯体を用いることが好ましい。
電子注入層5の平均厚さは、5〜100nmであることが好ましく、10〜50nmであることがより好ましい。電子注入層5の平均厚さが5nm以上である場合、有機金属錯体を含む溶液を塗布する方法を用いて電子注入層5を形成することにより、表面の平滑な電子注入層5が得られ、有機EL素子1の製造時におけるリークを十分に防止できる。また、電子注入層5の平均厚さが100nm以下である場合、電子注入層5を設けることによる有機EL素子1の駆動電圧の上昇を十分に抑制できる。
電子注入層5の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
「発光層」
発光層6を形成する材料としては、発光層6の材料として通常用いることのできるいずれの材料を用いてもよく、これらを混合して用いてもよい。具体的には、例えば、発光層6として、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BTZ))と、トリス[1−フェニルイソキノリン]イリジウム(III)(Ir(piq))とを含むものとすることができる。
また、発光層6を形成する材料は、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。なお、本発明において低分子材料とは、高分子材料(重合体)ではない材料を意味し、分子量が低い有機化合物を必ずしも意味するものではない。
発光層6を形成する高分子材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキルフェニルアセチレン)(PAPA)のようなポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)のようなポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)のようなポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)のようなポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)のようなポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)のようなポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)のようなポリシラン系化合物;更には特願2010−230995号、特願2011−6457号に記載のホウ素化合物系高分子材料等が挙げられる。
発光層6を形成する低分子材料としては、例えば、配位子に2,2’−ビピリジン−4,4’−ジカルボン酸を持つ、3配位のイリジウム錯体、ファクトリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy))、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq)、トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq)、8−ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィンプラチナム(II)のような各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)のようなベンゼン系化合物;ナフタレン、ナイルレッドのようなナフタレン系化合物;フェナントレンのようなフェナントレン系化合物;クリセン、6−ニトロクリセンのようなクリセン系化合物;ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)のようなペリレン系化合物;コロネンのようなコロネン系化合物;アントラセン、ビススチリルアントラセンのようなアントラセン系化合物;ピレンのようなピレン系化合物;4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)のようなピラン系化合物;アクリジンのようなアクリジン系化合物;スチルベンのようなスチルベン系化合物;2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェンのようなチオフェン系化合物;ベンゾオキサゾールのようなベンゾオキサゾール系化合物;ベンゾイミダゾールのようなベンゾイミダゾール系化合物;2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾールのようなベンゾチアゾール系化合物;ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエンのようなブタジエン系化合物;ナフタルイミドのようなナフタルイミド系化合物;クマリンのようなクマリン系化合物;ペリノンのようなペリノン系化合物;オキサジアゾールのようなオキサジアゾール系化合物;アルダジン系化合物;1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)のようなシクロペンタジエン系化合物;キナクリドン、キナクリドンレッドのようなキナクリドン系化合物;ピロロピリジン、チアジアゾロピリジンのようなピリジン系化合物;2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレンのようなスピロ化合物;フタロシアニン(HPc)、銅フタロシアニンのような金属または無金属のフタロシアニン系化合物;更には特開2009−155325号公報、特開2011−184430号および特願2011−6458号に記載のホウ素化合物材料等が挙げられる。
発光層6の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。
発光層6の平均厚さは、触針式段差計により測定してもよいし、水晶振動子膜厚計により発光層6の成膜時に測定してもよい。
「正孔輸送層」
正孔輸送層7に用いる正孔輸送性有機材料としては、各種p型の高分子材料(有機ポリマー)、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができる。
具体的には、正孔輸送層7の材料として、例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、ポリアリールアミン、フルオレン−アリールアミン共重合体、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリアルキルチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂またはその誘導体等が挙げられる。これらの正孔輸送層7の材料は、他の化合物との混合物として用いることもできる。一例として、正孔輸送層7の材料として用いられるポリチオフェンを含有する混合物として、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン/スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
正孔輸送層7の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、20〜100nmであることがより好ましい。
正孔輸送層7の平均厚さは、例えば、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
「正孔注入層」
正孔注入層8は、無機材料からなるものであってもよいし、有機材料からなるものであってもよい。無機材料は、有機材料と比較して安定であるため、有機材料を用いた場合と比較して、酸素や水に対する高い耐性が得られやすい。
無機材料としては、特に制限されないが、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブテン(MoO)、酸化ルテニウム(RuO)等の金属酸化物を1種又は2種以上を用いることができる。
有機材料としては、ジピラジノ[2,3−f:2‘,3’−h]キノキサリン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)や2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)等を用いることができる。
正孔注入層8の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
正孔注入層8の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
「陽極」
陽極9に用いられる材料としては、Au、Pt、Ag、Cu、Alまたはこれらを含む合金等が挙げられる。この中でも、陽極9の材料として、Au、Ag、Alを用いることが好ましい。
陽極9の平均厚さは、特に限定されないが、10〜1000nmであることが好ましく、30〜150nmであることがより好ましい。また、陽極9の材料として不透過な材料を用いる場合でも、例えば、平均厚さを10〜30nm程度にすることで、トップエミッション型の有機EL素子における透明な陽極として使用できる。
陽極9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により陽極9の成膜時に測定できる。
「封止」
図1に示す有機EL素子1は、必要に応じて、封止されていてもよい。
例えば、図1に示す有機EL素子1は、有機EL素子1を収容する凹状の空間を有する封止容器(不図示)と、封止容器の縁部と基板2とを接着する接着剤とによって封止されていてもよい。また、例えば、図1に示す有機EL素子1は、陽極9上に配置された板部材(不図示)と、板部材の陽極9と対向する側の縁部に沿って配置された枠部材(不図示)とからなる封止部材と、板部材と枠部材との間および枠部材と基板2との間とを接着する接着剤とを用いて封止されていてもよい。
封止容器または封止部材を用いて有機EL素子1を封止する場合、封止容器内または封止部材の内側に、水分を吸収する乾燥材を配置してもよい。また、封止容器または封止部材として、水分を吸収する材料を用いてもよい。また、封止された封止容器内または封止部材の内側には、空間が形成されていてもよい。
図1に示す有機EL素子1を封止する場合に用いる封止容器または封止部材の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等を用いることができる。封止容器または封止部材に用いられる樹脂材料およびガラス材料としては、基板2に用いる材料と同様のものが挙げられる。なお、封止部材の板部材と枠部材とは同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
本実施形態の有機EL素子1では、電子注入層5の材料として、大気中で不安定な材料であるアルカリ金属等を用いない。このため、封止容器または封止部材の水蒸気透過度が1×10−3g/m/day未満であれば、有機EL素子1の劣化を十分に抑制できる。したがって、封止容器または封止部材の材料として、水蒸気透過度が1×10−3g/m/day未満の樹脂材料を用いることが可能である。
「有機EL素子の製造方法」
次に、本発明の有機EL素子の製造方法の一例として、図1に示す有機EL素子1の製造方法を説明する。
図1に示す有機EL素子1を製造するには、まず、基板2上に陰極3を形成する。
陰極3は、スパッタ法、真空蒸着法、ゾルゲル法、スプレー熱分解(SPD)法、原子層堆積(ALD)法、気相成膜法、液相成膜法等により形成することができる。陰極3の形成には、金属箔を接合する方法を用いてもよい。
次に、陰極3上に無機の酸化物層4を形成する。
酸化物層4は、例えば、スプレー熱分解法、ゾルゲル法、スパッタ法、真空蒸着法等の方法を用いて形成する。このようにして形成された酸化物層4の表面は、平滑ではなく凹凸を有するものとなる場合がある。酸化物層4はなくてもよい。
次に、酸化物層4上に電子注入層5を形成する。
電子注入層5は、一般式(1)で示される有機金属錯体を含む溶液を塗布することにより形成することが好ましい。
一般式(1)で示される有機金属錯体を含む溶液は、一般式(1)で示される有機金属錯体を溶媒に溶解することにより得られる。
一般式(1)で示される有機金属錯体を溶解するために用いる溶媒としては、例えば、無機溶媒や有機溶媒、またはこれらを含む混合溶媒等を用いることができる。
無機溶媒としては、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等が挙げられる。
有機溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒等が挙げられる。
一般式(1)で示される有機金属錯体を含む溶液を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることができる。
また、本実施形態の電子注入層5では、有機金属錯体の電子輸送性によって、例えば、ポリエチレンイミンからなる電子注入層と比較して、電子注入層5を設けることによる有機EL素子1の駆動電圧の上昇を抑制できる。このため、電子注入層5の被形成面(本実施形態においては酸化物層4の上面)に形成されている凹凸を覆って平滑な表面を得るために、十分な厚みで電子注入層5を形成できる。
次に、電子注入層5上に、発光層6と、正孔輸送層7とをこの順で形成する。
発光層6および正孔輸送層7の形成方法は、特に限定されず、発光層6または正孔輸送層7に用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いることができる。
具体的には、発光層6および正孔輸送層7を形成する方法として、発光層6または正孔輸送層7となる有機化合物を含む有機化合物溶液を塗布する塗布法、真空蒸着法、ESDUS(Evaporative Spray Deposition from Ultra−dilute Solution)法などが挙げられる。これらの発光層6および正孔輸送層7の形成方法の中でも特に、塗布法を用いることが好ましい。なお、発光層6または正孔輸送層7となる有機化合物の溶媒溶解性が低い場合には、真空蒸着法、ESDUS法を用いることが好ましい。
塗布法を用いて発光層6および正孔輸送層7を形成する場合には、発光層6または正孔輸送層7となる有機化合物を溶媒に溶解することにより、発光層6または正孔輸送層7となる有機化合物を含む有機化合物溶液を形成する。
発光層6または正孔輸送層7となる有機化合物を溶解するために用いる溶媒は、電子注入層5を形成する際に、一般式(1)で示される有機金属錯体を溶解するために用いる溶媒と、同様のものを用いることができる。
発光層6または正孔輸送層7となる有機化合物を溶解するために用いる溶媒は、上記の溶媒の中でも、非極性溶媒が好適である。具体的には、例えば、キシレン、トルエン、シクロヘキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等が好ましく、これらを単独または混合して用いることができる。
発光層6または正孔輸送層7となる有機化合物を含む有機化合物溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることができる。これらの塗布法の中でも、膜厚をより制御しやすいという点で、スピンコート法やスリットコート法を用いることが好ましい。
次に、正孔輸送層7上に正孔注入層8と、陽極9とをこの順に形成する。
正孔注入層8が無機材料からなるものである場合、正孔注入層8は、例えば、酸化物層4と同様にして形成できる。
正孔注入層8が有機材料からなるものである場合、正孔注入層8は、例えば、発光層6および正孔輸送層7と同様にして形成できる。
陽極9は、例えば、陰極3と同様にして形成できる。
以上の工程により、図1に示す有機EL素子1が得られる。
「封止方法」
図1に示す有機EL素子1を封止する場合には、有機EL素子の封止に用いられる通常の方法を使用して封止できる。
例えば、不活性ガス中で、有機EL素子1を収容する凹状の空間を有する封止容器内に有機EL素子1を配置し、封止容器の縁部と基板2とを接着剤で接着する方法を用いることができる。また、例えば、有機EL素子1の陽極9上に、板部材と、板部材の陽極9と対向する側の縁部に沿って配置された枠部材とからなる封止部材を配置し、板部材と枠部材との間および枠部材と基板2との間を接着剤で接着する方法を用いてもよい。
図1に示す有機EL素子1は、上記一般式(1)で示される有機金属錯体を含む電子注入層5を有している。このため、図1に示す有機EL素子1では、陰極3から発光層6への電子注入が促進される。以下、この理由を、一般式(1)で示される有機金属錯体の具体例である上記一般式(4)で示される有機金属錯体を例に挙げて、図2を用いて説明する。
図2は、本発明の有機EL素子中での有機金属錯体の配向を説明するための説明図であり、無機の酸化物層上の有機金属錯体の分子模型(分子モデル)を示した斜視図である。図2において、原子を球で示し、原子間の結合を棒で示している。また、図2における小さい球は水素原子を示し、表記のない大きい球は炭素原子を示している。
図2および上記一般式(4)で示される有機金属錯体は、一般式(1)におけるnが2のものである。図2に示すように、この有機金属錯体は、金属原子Mに、配位子として2つの7,8−ベンゾキノリンの窒素原子が配位している(一般式(1)における窒素原子から金属原子Mへの点線)ことによって、大きな分子内双極子を有する。また、この有機金属錯体中のアミノ基は、7,8−ベンゾキノリンのピリジン環(一般式(1)におけるQ)と結合していないベンゼン環(一般式(1)におけるQ)に結合されている、連結基Lとしてのトリメチレンレン基(−CHCHCH−)の末端に結合されている。
一般式(4)で示される有機金属錯体を含む電子注入層5を、酸化物層4に接して形成すると、図2に示すように、有機金属錯体中のアミノ基と酸化物層4の材料とが配位結合して双極子(界面双極子)が生じるとともに、有機金属錯体中のアミノ基が酸化物層4に近接して配置される。そして、有機金属錯体内におけるアミノ基と、金属原子Mと配位子との配位結合との位置関係によって、図2に示すように、有機金属錯体が特定の向きに配向する。すなわち、有機金属錯体は、7,8−ベンゾキノリンのピリジン環側が酸化物層4から遠く、ピリジン環と結合していないベンゼン環側が酸化物層4に近い向きに配向される。
その結果、図2に示すように、有機金属錯体の金属原子Mと2つの配位子との配位結合によって生じる2つの双極子(分子内双極子)を足し合わせたベクトルは、陰極3側から発光層6側に向かう方向になる。しかも、図2に示すように、分子内双極子の向きは、アミノ基と酸化物層4の材料との配位結合によって生じる界面双極子の向きと同じである。したがって、有機金属錯体を含む電子注入層5全体の双極子モーメント(ベクトル)は、分子内双極子と界面双極子とが足し合わされて、陰極3側から発光層6側に向かう方向となる。よって、電子注入層5を有する有機EL素子1では、陰極3から発光層6への電子注入が促進される。
本発明者は、上記一般式(4)で示される有機金属錯体の分子内双極子を、Gaussian03プログラムを用いた分子軌道計算により見積った。その結果、この有機金属錯体の分子内双極子の値は、5.5Debyeであり、極めて大きいものであった。このことは、有機EL素子の電子注入層の材料として、上記一般式(4)で示される有機金属錯体を用いることで、従来は難しかった大きな障壁を超えることが可能であることを示している。
なお、有機EL素子1の酸化物層4が形成されていない場合には、陰極3と電子注入層5に含まれる有機金属錯体のアミノ基との配位結合によって界面双極子が生じる。この場合も、酸化物層4が形成されている場合と同様に、有機金属錯体の金属原子Mと2つの配位子との配位結合によって生じる2つの双極子(分子内双極子)を足し合わせたベクトルは、陰極3側から発光層6側に向かう方向になる。また、陰極3と電子注入層5とが接している場合も、酸化物層4が形成されている場合と同様に、界面双極子の向きが、陰極3側から発光層6側に向かう方向となる。
上述したように、電子注入層5を有する有機EL素子1では、陰極3から発光層6への電子注入が促進されるため、低い駆動電圧で、高い発光効率が得られる。
また、図1に示す有機EL素子1において、陰極3と電子注入層5との間に無機の酸化物層4が形成されている場合には、陰極3からの電子注入をより一層促進できる。
従来、一般的な逆構造の有機EL素子においては、電子注入層の基板側に、電子注入を促進するための酸化物層を形成していた(例えば、非特許文献6参照)。これに対し、本実施形態の有機EL素子1では、陰極3と電子注入層5との間に無機の酸化物層4を形成しなくても、充分に陰極3から発光層6への電子注入を促進できる。酸化物層4を形成しない場合には、生産性が向上するため好ましい。また、無機の酸化物層4として、電子注入を促進する機能を有していないものを形成してもよい。
また、電子注入層5に含まれる有機金属錯体は、NH結合を含むアミノ基を含む材料と比較して、電気的に安定である。このため、図1に示す有機EL素子1は、電子注入層5の劣化に起因する劣化が生じにくく、連続駆動した際の耐久性に優れ、寿命の長いものとなる。
さらに、図1に示す有機EL素子1は、アルカリ金属を含む電子注入層を有する有機EL素子と比較して、酸素や水に対する耐性が高いものであるため、厳密な封止の必要がない。このため、有機EL素子1において、基板2の材料と、封止容器または封止部材の材料の一方または両方に樹脂材料を用いることにより、柔軟性に優れた有機EL素子1を得ることができる。
また、図1に示す有機EL素子1は、逆構造の有機EL素子(iOLED素子)である。iOLED素子は、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造の有機EL素子と比較して、陽極から発光層に注入する正孔の速度が早く、陰極から発光層に注入する電子の速度が遅くなりやすい。このため、従来、逆構造の有機EL素子では、陽極から注入される正孔を発光に充分に活用できない場合があった。
これに対し、本実施形態の有機EL素子1は、上記一般式(1)で示される有機金属錯体を含む電子注入層5を有しているため、陰極3から発光層6への電子の注入速度が速く、陽極9から注入される正孔を発光に充分に活用できる。
また、本実施形態において、一般式(1)で示される有機金属錯体を含む溶液を塗布する方法により電子注入層5を形成した場合、塗布法以外の他の方法を用いて電子注入層5を形成した場合と比較して、有機金属錯体のアミノ基の窒素原子の電荷が酸化物層4と配位結合を形成しやすい。このため、電子注入層5全体の双極子モーメントが陰極3側から発光層6側に向かう方向となるように、有機金属錯体が配向されやすい。したがって、より一層陰極3から発光層6への電子注入効果の高い電子注入層5が得られる。
また、本実施形態において、一般式(1)で示される有機金属錯体を含む溶液を塗布する方法により電子注入層5を形成した場合、塗布法以外の他の方法を用いて電子注入層5を形成した場合と比較して、表面の平滑な電子注入層5が得られる。その結果、電子注入層5を形成した後に形成される発光層6の結晶化が抑制され、均一な面発光が得られるとともに、リーク電流の抑制された有機EL素子1が得られる。
また、本実施形態において、無機の酸化物層4上に、有機金属錯体を含む溶液を塗布する方法により電子注入層5を形成した場合、酸化物層4の表面が凹凸を有するものであっても、形成された電子注入層5の表面は平滑なものとなる。したがって、本実施形態において形成した酸化物層4の表面が凹凸を有するものであって、電子注入層5を形成した後に形成される発光層6として結晶化しやすい材料を用いたとしても、発光層6の結晶化を効果的に抑制できる。
「他の例」
図3は、本発明の有機EL素子の他の例を説明するための概略断面図である。図3に示す有機EL素子11と、図1に示す有機EL素子1とが異なるところは、図1に示す有機EL素子1における電子注入層5と発光層6との間に、電子輸送層10を備える点のみである。このため、図3に示す有機EL素子11において、図1に示す有機EL素子1と同じ部材については同じ符号を付し、説明を省略する。
電子輸送層10の材料としては、電子輸送層の材料として通常用いることができるいずれの材料を用いてもよい。
具体的には、電子輸送層10の材料として、フェニル−ディピレニルホスフィンオキサイド(POPy)のようなホスフィンオキサイド誘導体、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3’’−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2’’−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ))、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの電子輸送層10の材料の中でも、特に、POPyのようなホスフィンオキサイド誘導体、Alqのような金属錯体、TmPyPhBのようなピリジン誘導体を用いることが好ましい。
電子輸送層10の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、20〜100nmであることが、より好ましい。
電子輸送層10の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定できる。
電子輸送層10の形成方法は、特に限定されず、電子輸送層10に用いられる材料の特性に合わせて、従来公知の種々の形成方法を適宜用いることができる。
図3に示す有機EL素子11は、図1に示す有機EL素子1と同様に、上記一般式(1)で示される有機金属錯体を含む電子注入層5を有している。したがって、図3に示す有機EL素子11においても、電子注入層5の優れた電子注入性によって、低い駆動電圧で、高い発光効率が得られる。しかも、電子注入層5の劣化に起因する劣化が生じにくく、連続駆動した際の耐久性に優れ、寿命の長いものとなる。
本発明の有機EL素子は、図1または図3に示す有機EL素子に限定されるものではない。
具体的には、本発明の有機金属錯体を用いた有機EL素子においては、基板2上に、陰極3と、電子注入層5と、発光層6と、陽極9とが形成されていればよく、無機の酸化物層4、電子輸送層、正孔輸送層、正孔注入層は、必要に応じて形成すればよい。
また、本発明の有機EL素子は、図1または図3に示す各層の間に他の層を有していてもよい。また、図1または図3に示す、陰極3、酸化物層4、電子注入層5、電子輸送層、発光層6、正孔輸送層7、正孔注入層8、陽極9の各層は、1層からなるものであってもよく、2層以上からなるものであってもよい。
なお、上記構成の有機EL素子1、11が、正孔輸送層7、正孔注入層8のいずれか一方のみを有する場合には、当該一方の層が発光層6と陽極9とに隣接して積層されることになり、正孔輸送層7と正孔注入層8の両方が設けられていない場合には、発光層6と陽極9とが隣接して積層されることになる。
本発明の有機EL素子においては、有機EL素子の特性をさらに向上させる等の理由から、必要に応じて例えば、正孔阻止層、電子素子層などを有していてもよい。
これらの層を形成するための材料としては、これらの層を形成するために通常用いられる材料を用いることができる。また、これらの層を形成する方法としては、これらの層を形成するために通常用いられる方法を用いることができる。
また、上述した実施形態では、基板2と発光層6との間に陰極3が配置された逆構造の有機EL素子(iOLED素子)を例に挙げて説明したが、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものであってもよい。
なお、順構造の有機EL素子では、通常、発光層の上に電子注入層を形成する。この場合であっても、電子注入層上に形成される酸化物層(または陰極)と電子注入層に含まれる有機金属錯体のアミノ基との配位結合によって界面双極子が生じる。そして、この場合も、図1に示す有機EL素子1において酸化物層4上に電子注入層5を形成した場合と同様に、有機金属錯体の金属原子Mと配位子との配位結合によって生じる双極子(分子内双極子)の向き、および界面双極子の向きが、陰極3側から発光層6側に向かう方向となる。
本発明の有機EL素子は、発光層などの材料を適宜選択することによって発光色を変化させることができるし、カラーフィルター等を併用して所望の発光色を得ることもできる。そのため、表示装置の発光部位や照明装置として好適に用いることができる。
本発明の表示装置は、本発明の有機金属錯体を含む電子注入性および耐久性に優れた電子注入層を有する有機EL素子を備える。このため、表示装置として好ましいものである。
また、本発明の照明装置は、本発明の有機金属錯体を含む電子注入性および耐久性に優れた電子注入層を有する有機EL素子を備える。このため、照明装置として好ましいものである。
本発明の有機金属錯体は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、非特許文献3・5においてポリエチレンイミンがその他のデバイス(太陽電池・照明・トランジスタ)に使われているのと同様に、有機薄膜太陽電池などのデバイスに用いることができる。
本発明の有機薄膜太陽電池は、本発明の有機金属錯体を含む電子注入性および耐久性に優れた電子注入層を備える。したがって、有機薄膜太陽電池として好ましいものである。
以下、実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「モル%」を意味するものとする。
「有機金属錯体の合成方法」
以下に示す方法により、上記一般式(1)で示される有機金属錯体の具体例である上記一般式(4)で示される有機金属錯体を合成した。
200mL反応器に、下記一般式(200)で示される化合物(10g,51.2mmol,1.0eq.(当量))と、無水DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)(100mL)とを加えた。得られた溶液に室温で水素化ナトリウム(2.46g,61.5mmol,1.2eq.)を加えて、1時間撹拌した。その後、アリールブロミド(6.5mL,76.8mmol,1.5eq.)を滴下し、室温で1時間撹拌し、反応溶液を水(500mL)に投入し、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。その後、有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水MgSOを用いて乾燥した後、この溶液を濃縮して褐色の粘帖な液体(14.9g)を得た。
これをIPE(イソプロピルエーテル)とヘキサンを用いて再結晶を行い、ベージュ色の粉末である下記一般式(201)で示される化合物(12.2g,51.9mmol,quant)を得た。
次に、100mL反応器に、下記一般式(201)で示される化合物(1g,4.25mmol,1.0eq.)と、ジエチレングリコール(30mL)とを加え、200℃で18時間加熱撹拌した。得られた反応溶液に水(200mL)を加えてクエンチし、酢酸エチル(50mL)加えて水層と有機層の2層に分けた。そして、水層を酢酸エチル(50mL)で2回抽出し、有機層を集めて水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水MgSOを用いて乾燥した。その後、この溶液を濃縮して薄黄色の液体(0.87g)を得た。
これをカラムクロマトグラフィーで精製(SiO:40g,ヘプタン/酢酸エチル=7/1→5/1)し、薄黄色の液体である、下記一般式(202)で示される化合物(0.57g,2.42mmol,収率56%)を得た。
Figure 2019080078
200mL反応器に、上記一般式(202)で示される化合物(5g,21.3mmol,1.0eq.)と、テトラヒドロフラン(THF)(30mL)とを加えた。この溶液を5℃に冷却し、3mol/Lの濃度でMeMgBr(メチルマグネシウムブロミド)を含むEtO(ジエチルエーテル)溶液(7.8mL,23.4mmol,1.1eq.)を加え30分間撹拌した。この黄色溶液に、0.5mol/Lの濃度で9−BBN(9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン)を含むTHF溶液(55mL,27.6mmol,1.3eq.)をゆっくり加え、5℃で1時間撹拌した。この溶液に6N−NaOHaq.(20mL)と30%H(10mL)とを順次加え、そのまま激しく30分間撹拌した。得られた反応溶液を10%の塩化アンモニア水で中和し、酢酸エチル(60mL)で2回抽出した。その後、有機層を集めてチオ硫酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水MgSOを用いて乾燥した後、この溶液を濃縮し、褐色の粘帖な液体(6.3g)を得た。
これをカラムクロマトグラフィーで精製(SiO=200g,ヘキサン/酢酸エチル=3/1→1/1)し、黄褐色の粘帖な液体である、下記一般式(205)で示される化合物(4.47g,17.6mmol,収率82%)を得た。
次に、100mL反応器に、下記一般式(205)で示される化合物(4.47g,17.6mmol,1.0eq.)と、EtN(トリエチルアミン)(7.34mL,52.9mmol,3.0eq.)と、THF(45mL)とを加え、5℃に冷却した。この溶液にメタンスルホニルクロリド(3.02mL,38.8mmol,2.2eq.)を滴下し、このまま1時間攪拌した。得られた反応溶液を水(100mL)に投入し、酢酸エチルで抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮して褐色の液体(6.25g)を得た。
これをカラムクロマトグラフィーで精製(SiO=210g,ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2)し、赤黄色の粘帖な液体である、下記一般式(206)で示される化合物(5.3g)を得た。
Figure 2019080078
次に、100mLオートクレーブに、上記一般式(206)で示される化合物(1.27g,3.83mmol,1.0eq.)と、10wt/V%のジメチルアミン−メタノール溶液(30mL)とを加え、80℃で3時間加熱撹拌し、薄層クロマトグラフィー(TLC)にて分析して原料消失を確認した。得られた黄色溶液を濃縮し、残渣を水(50mL)に投入し、酢酸エチルで抽出した。そして、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、乾燥、濃縮して褐色の液体(1.01g)を得た。
これをカラムクロマトグラフィーで精製(NH−SiO=50g,ヘキサン/酢酸エチル=1/1)し、薄黄色の粘帖な液体である、下記一般式(207)で示される化合物(0.91g,3.25mmol,収率84%)を得た。
次に、100mL反応器に下記一般式(207)で示される化合物(0.53g,1.89mmol,2.0eq.)と、メタノール(15mL)と、ナトリウムメトキシド(0.95mL,4.73mmol,5eq.)と、蒸留水(2mL)とを加え、50℃に昇温した。この溶液に、蒸留水(2mL)に溶解させたBeSO・2HO(0.167g,0.945mmol,1.0eq.)をゆっくり滴下した。その後、50℃で0.5時間撹拌し、蒸留水(15mL)加えた。放冷後、得られた黄色懸濁液を濾過した。濾液を7日間、5℃で保管し、析出した結晶を濾過し、水、少量の冷却したメタノールにて洗浄し、高真空下で乾燥し、黄色の固体である、上記一般式(4)で示される有機金属錯体(0.25g,0.44mmol,収率46%)を得た。
上記一般式(4)で示される有機金属錯体の同定は、1H−NMRを用いて行った。 1H−NMR(400MHz,CDCl)δ:1.87(quin.,J=7.2,7.6,8.0Hz、2H),2.10(s,6H),2.31(t,J=7.2,8.0Hz),2.83−3.11(m、2H),7.26−7.29(m,2H),7.54(d,J=8.8Hz,1H),7.69(d,J=8.0Hz,1H),7.87(d,J=9.2Hz,1H),8.23−8.25(m,2H).
Figure 2019080078
(実施例1「素子1」)
(有機EL素子の作製)
以下に示す方法により、図1に示す有機EL素子1を製造し、評価した。
[工程1]
基板2として、ITOからなる厚み150nm、幅3mmのパターニングされた電極(陰極3)が形成されている平均厚さ0.7mmの市販されている透明ガラス基板を用意した。
そして、陰極3を有する基板2を、アセトン中、イソプロパノール中でそれぞれ10分間ずつ超音波洗浄し、イソプロパノール中で5分間煮沸した。その後、陰極3を有する基板2を、イソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分間行った。
[工程2]
[工程1]において洗浄した陰極3の形成されている基板2を、亜鉛金属ターゲットを持つミラトロンスパッタ装置の基板ホルダーに固定した。スパッタ装置のチャンバー内を、約1×10−4Paの圧力となるまで減圧した後、アルゴンと酸素を導入した状態でスパッタし、基板2の陰極3上に膜厚約2nmの酸化亜鉛層を作製した。なお、酸化亜鉛層を作製する際には、電極取り出しのために、メタルマスクを用いて、ITO電極(陰極3)上の一部に酸化亜鉛が成膜されないようにした。その後、陰極3上に酸化亜鉛層の形成された基板2を、大気中で400℃にセットしたホットプレートで1時間焼成することにより、酸化亜鉛層(酸化物層4)を形成した。
[工程3]
次に、以下に示す方法により、酸化物層4上に、上記一般式(4)で示される有機金属錯体を含む電子注入層5を形成した。
まず、上述した有機金属錯体の合成方法により合成した一般式(4)で示される有機金属錯体をトルエンに溶解し、0.5重量%のトルエン溶液を作製した。次に、[工程2]で作製した陰極3および酸化物層4の形成されている基板2をスピンコーターに設置した。そして、有機金属錯体の0.5重量%トルエン溶液を酸化物層4上に滴下しながら、基板2を毎分2000回転で30秒間回転させて電子注入層5を形成した。得られた電子注入層5の平均厚さは30nmであった。
[工程4]
次に、電子注入層5までの各層が形成された基板2を、真空蒸着装置の基板ホルダーに固定した。また、下記一般式(5)で示されるビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BTZ))、下記一般式(6)で示されるトリス[1−フェニルイソキノリン]イリジウム(III)(Ir(piq))、下記一般式(7)で示されるN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)を、それぞれアルミナルツボに入れて蒸着源にセットした。
Figure 2019080078
そして、真空蒸着装置内を約1×10−5Paの圧力となるまで減圧して、Zn(BTZ)をホスト、Ir(piq)をドーパントとして35nm共蒸着し、発光層6を成膜した。この時、ドープ濃度は、Ir(piq)が発光層6全体に対して6重量%となるようにした。
次に、発光層6まで形成した基板2上に、α−NPDを40nm蒸着することにより、正孔輸送層7を成膜した。さらに、上記一般式(8)で示されるHAT−CNを真空一貫で蒸着することにより成膜し、膜厚が10nmの正孔注入層8を形成した。
[工程5]
次に、正孔注入層8まで形成した基板2上に、アルミニウム(陽極9)を膜厚が100nmとなるように蒸着して、本発明の実施例である「素子1」を得た。
なお、陽極9を蒸着する時には、ステンレス製の蒸着マスクを用いて、蒸着面が幅3mmの帯状になるようにした。すなわち、作製した素子1の陰極3と陽極9とに挟まれた発光面積が9mmとなるようにした。
(実施例2「素子2」)
電子注入層5を形成する際に用いたトルエン溶液中の有機金属錯体の濃度を、1.0重量%としたこと以外は「素子1」と同様にして本発明の実施例である「素子2」を得た。素子2における電子注入層5の平均厚さは50nmであった。
(比較例1「素子3」)
電子注入層5を形成する際に用いたトルエン溶液に代えて、ポリエチレンイミン(日本触媒社製、商品名;P1000)を0.5質量%含むエタノール溶液を用いたこと以外は「素子1」と同様にして本発明の比較例である「素子3」を得た。素子3における電子注入層5の平均厚さは5nmであった。
(比較例2「素子4」)
電子注入層5を形成する際に用いたトルエン溶液に代えて、下記一般式(9)で示される化合物を0.5質量%含むジクロロエタン溶液を用いたこと以外は「素子1」と同様にして本発明の比較例である「素子4」を得た。素子4における電子注入層5の平均厚さは30nmであった。
Figure 2019080078
(素子1〜4の発光特性測定)
ケースレー社製の「2400型ソースメーター」により、各素子に電圧を印加し、電流密度を測定した。また、コニカミノルタ社製の「LS−100」を用いて、各素子の印加電圧と輝度との関係を調べた。
(素子1〜4の発光特性)
図4(a)は、素子1〜4の印加電圧と電流密度との関係を示したグラフである。図4(b)は素子1〜4の印加電圧と輝度との関係を示したグラフである。
図4(a)および図4(b)に示すように、電子注入層の材料として本発明の有機金属錯体を用いた素子1および素子2では、一般式(9)で示される化合物を用いた素子4に比べて、低い駆動電圧で高い輝度が得られている。これは、素子4では、一般式(9)で示される化合物がアミノ基を含んでいないため、基板から発光層への電子注入が難しく、高い駆動電圧が必要であることによるものと推定される。これに対し、素子1および素子2では、有機金属錯体に含まれるアミノ基と酸化物層の材料との配位結合によって生じる界面双極子を利用できるため、低い駆動電圧で高い電子注入性が得られ、高い輝度が得られるものと考えられる。
また、電子注入層の材料としてポリエチレンイミンを用いた素子3では、本発明の有機金属錯体を用いた素子1および素子2と比較して、電子注入層中のアミノ基の数が多いため、アミノ基と酸化物層の材料との配位結合の数が多くなり、低い駆動電圧で高い輝度が得られていると考えられる。
図4(b)に示すように、本発明の有機金属錯体を用いた素子1および素子2では、素子2(膜厚50nm)のように電子注入層の膜厚を厚くしても、膜厚の薄い素子1(膜厚30nm)と同等の輝度−電圧特性が得られる。これは、本発明の有機金属錯体に起因する高い電子輸送性によるものであると考えられる。これに対し、例えば、電子注入層の材料としてポリエチレンイミンを用いた素子3(膜厚5nm)では、電子注入用有機層の厚みを厚くすると、駆動電圧が顕著に上昇してしまう。
(素子1、3の耐久性)
素子1と素子3について、初期輝度1000cd/mから連続駆動した際の経過時間に対する輝度の変化を調べた。図5にその結果を示す。
図5に示すように、電子注入層の材料としてポリエチレンイミンを用いた素子3では、輝度が半減するまでの寿命が1000時間以下であった。これに対して、本発明の有機金属錯体を用いた素子1では、輝度が半減するまでの寿命が2000時間程度であり、素子3と比較して耐久性に優れ、寿命の長いことが分かった。これは、素子1では、NH結合を含む素子3と比較して、電子注入層の材料が電気的に安定であるため、電子注入層の劣化が生じにくく、長寿命になったものと考えられる。
(実施例3「素子5」)
酸化物層4を形成しなかったこと以外は「素子1」と同様にして本発明の実施例である「素子5」を得た。
得られた「素子5」について、「素子1」と同様にして印加電圧と輝度との関係を調べた。その結果を素子1の結果とともに図6に示す。
図6は、素子1と素子5の印加電圧と輝度との関係を示したグラフである。図6に示すように、素子5と素子1とでは同等の特性が得られている。このことから、本発明の有機金属錯体を用いた素子1では、酸化物層があっても無くても低い駆動電圧で高い輝度が得られることが分かった。
(実施例4「素子6」)
発光層6を形成する前に、電子注入層5の上に、蒸着法によりZn(BTZ)からなる膜厚10nmの電子輸送層10を形成したこと以外は「素子1」と同様にして本発明の実施例である「素子6」を得た。
実施例4では、「素子6」を2つ作成し、それぞれ異なる材料を用いて以下に示す方法により封止した。
図7(a)および図7(b)は、素子6の封止方法を説明するための斜視図である。まず、図7(a)に示すように、素子6の陽極9上に、板部材14と、板部材14の陽極9と対向する側の縁部に沿って配置された枠部材13とからなる封止部材を配置した。その後、図7(b)に示すように、板部材14と枠部材13との間および枠部材13と基板2との間を接着剤で接着して封止した。
2つの素子6のうち、一方の素子は、板部材14として樹脂材料(バリアフィルム)からなるものを用い、枠部材13としてガラス材料からなるものを用いて封止した。本バリアフィルムには、尾池工業社製の封止フィルム(水分透過度3×10−4g/m・day)を用いた。また、他方の素子は、板部材14と枠部材13とが一体化された凹状の形状を有する封止容器を用いて封止した。封止容器としては、ガラス材料からなるもの(ガラスキャップ)を用いた。
一部に樹脂材料(バリアフィルム)を用いて封止した素子6(樹脂封止)と、ガラス材料(ガラスキャップ)を用いて封止した素子6(ガラス封止)とについて、それぞれ初期輝度1000cd/mから連続駆動した際の経過時間に対する輝度の変化を調べた。図8にその結果を示す。
図8に示すように、一部に樹脂材料を用いて封止した素子6と、ガラス材料を用いて封止した素子6とにおいて、輝度が半減するまでの寿命は同等であった。
図4〜図6、図8より、本発明の有機金属錯体は、高い電子注入性、高い耐久性、そして高い大気安定性をすべて兼ね備えた材料であることが確認できた。また、この結果は、本発明の有機金属錯体を用いることにより同様の電荷注入性を実現できるならば、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものであっても適用可能であることを示すものである。
1、11:有機EL素子、2:基板、3:陰極、4:酸化物層、5:電子注入層、6:発光層、7:正孔輸送層、8:正孔注入層、9:陽極、10:電子輸送層。

Claims (8)

  1. 電極と発光層との間に電子注入層を有し、
    前記電子注入層が、下記一般式(1)で表される有機金属錯体を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2019080078
    (一般式(1)中、Mは金属原子であり、周期表の第1族〜第3族、第12族、または第13族に属する金属原子を表す。Cは炭素原子、Nは窒素原子、Oは酸素原子を表す。窒素原子から金属原子Mへの点線は、窒素原子が金属原子Mへ配位していることを表す。Qは点線の円弧と窒素原子、X、Yと共に含窒素複素環構造が形成されていることを表す。X、Xはそれぞれ炭素原子または窒素原子のいずれかを表し、Y、Yはそれぞれ炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を表す。Qは点線の円弧と炭素原子、X、Yと共に芳香族炭化水素環または芳香族複素環が形成されていることを表す。R、Rはアミノ基上の1価のアルキル基を表し、LはQとアミノ基とが直接結合されていること、またはQとアミノ基とを結合する連結基を表す。nは、1、2又は3である。)
  2. 電極と発光層との間に電子注入層を有し、
    前記電子注入層が、下記一般式(2)で表される有機金属錯体を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2019080078
    (一般式(2)中、Mは金属原子であり、周期表の第1族〜第3族、第12族、または第13族に属する金属原子を表す。Nは窒素原子、Oは酸素原子を表す。窒素原子から金属原子Mへの点線は、窒素原子が金属原子Mへ配位していることを表す。Qは点線の円弧と窒素原子、X、Yと共に含窒素複素環構造が形成されていることを表す。Xは炭素原子または窒素原子のいずれかを表し、Yは炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を表す。R、Rはアミノ基上の1価のアルキル基を表し、Lはベンゼン環とアミノ基とが直接結合されていること、またはベンゼン環とアミノ基とを結合する連結基を表す。nは、1、2又は3である。)
  3. 前記電極と前記電子注入層との間に、無機の酸化物層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記電子注入層の平均厚さが5〜100nmであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 水蒸気透過度が1×10−3g/m/day未満の材料を用いて封止されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法であり、
    前記電子注入層を形成する工程が、前記有機金属錯体を含む溶液を塗布する工程を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする表示装置。
  8. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備えることを特徴とする照明装置。
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