JP2021144980A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低レベルの封止がなされた状態でも、大気中での保存安定性が良好で、発光面の劣化を抑制した有機EL素子を提供する。【解決手段】基板2と、陰極3と、発光層7と、正孔注入層9と、陽極10と、をこの順に具え、水蒸気透過率(WVTR)が3×10-3g/m2/day以上の封止がなされており、前記正孔注入層9が、有機物からなる正孔注入層ホスト材料と、正孔注入能を有する電子吸引性ドーパントと、を含み、前記電子吸引性ドーパントの比率が、前記正孔注入層ホスト材料と前記電子吸引性ドーパントとの合計量に対して、12質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子1である。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンス(電界発光)を「EL」と記す場合がある。)素子、表示装置、及び照明装置に関する。
有機EL素子は、低電圧で駆動できる、薄型化、軽量化、フレキシブル化が可能である等の特徴を有している。このため、有機EL素子は、表示装置、照明装置等に好適に用いられている。
有機EL素子は、陰極と陽極との間に、電子輸送層、発光層、正孔輸送層等の複数の層が積層された構造を有している(例えば、特許文献1、特許文献2及び非特許文献3参照)。有機EL素子としては、基板と発光層との間に陽極が配置された順構造のものと、基板と発光層との間に陰極が配置された逆構造のものとがある。逆構造の有機EL素子では、これを表示装置等に用いる場合に、陰極とトランジスタ等を容易に接続できる。
逆構造有機EL素子の陰極材料としては、従来、ITO等の金属酸化物電極が用いられている。
近年、大気中で安定且つ仕事関数が小さい金属酸化物を、陰極表面に成膜した逆構造の有機EL素子が提案されている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。この有機EL素子では、効率よく電子を有機層へ注入できる。また、この有機EL素子は、大気中での動作安定性が高い。
特開2011−184430号公報 特開2012−151148号公報
APPLIED PHYSICS LETTERS,Volume89,page183510(2006) Advanced Materials,Volume23,page1829(2011) H.Choら,Science,vol.350,p.1222(2015)
従来の有機EL素子では、大気中の水分及び酸素の影響を受けて電極材料が劣化することにより、非発光部が形成されることが問題となっていた。このため、従来の有機EL素子では、有機EL素子を厳密に封止して、電極材料の劣化を防止していた。
また、逆構造有機EL素子は、順構造有機EL素子と比べて大幅に高い大気安定性を持つため、厳密な封止の必要性が低いものの、Al等の酸化し易い実用金属を陽極に用いた場合、バリア膜を一切用いない無封止環境下では、陽極/正孔注入層界面の劣化に伴い、正孔の注入性が低下することによる発光面の劣化が確認される。
そのため、曲げによるバリア膜の劣化、破壊が容易に起こり得るフレキシブルディスプレイの普及のためには、陽極/正孔注入層界面の劣化を抑えた、より大気安定性の高い逆構造有機EL素子の実現が必要である。
従って、有機EL素子の大気中での安定性を向上させるためにも、正孔の注入性を保つことが可能な陽極/正孔注入層界面を形成することが要求されている。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、低レベルの封止がなされた状態でも、大気中での保存安定性が良好で、発光面の劣化を抑制した有機EL素子を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記の大気中での保存安定性が良好な有機EL素子を用いた、表示装置及び照明装置を提供することを更なる課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、発光層と陽極との間に位置する正孔注入層のホスト材料に電子吸引性のドーパントを高濃度でドーピングすることで、正孔注入能力の劣化を抑制し、低レベルの封止がなされた状態でも長期間発光を持続させられることを見出し、本発明を想到した。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板と、陰極と、発光層と、正孔注入層と、陽極と、をこの順に具え、
水蒸気透過率(WVTR)が3×10-3g/m2/day以上の封止がなされており、
前記正孔注入層が、有機物からなる正孔注入層ホスト材料と、正孔注入能を有する電子吸引性ドーパントと、を含み、
前記電子吸引性ドーパントの比率が、前記正孔注入層ホスト材料と前記電子吸引性ドーパントとの合計量に対して、12質量%以上50質量%以下であることを特徴とする。
かかる本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、大気中での保存安定性が良好で、発光面の劣化が抑制されている。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の好適例においては、前記正孔注入層と、前記陽極と、が隣接しており、
前記陽極が、金属元素単体、透明導電性酸化物単体、又は、金属元素と透明導電性酸化物の積層体からなる。この場合でも、大気中での保存安定性が良く、発光面の劣化を抑制できる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の他の好適例においては、前記電子吸引性ドーパントの比率が、前記正孔注入層ホスト材料と前記電子吸引性ドーパントとの合計量に対して、18質量%以上50質量%以下である。この場合、大気中での保存安定性が更に向上し、発光面の劣化を更に抑制できる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の他の好適例においては、前記電子吸引性ドーパントが、テトラシアノキノジメタンを官能基に持つ材料である。この場合、大気中での保存安定性が更に向上し、発光面の劣化を更に抑制できる。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、酸解離定数pKaが1以上の有機材料である第1材料と、電子を輸送する第2材料とを少なくとも含み、前記第1材料が、三級アミン、フォスファゼン化合物、グアニジン化合物、アミジン構造を含む複素環式化合物、環構造を有する炭化水素化合物、及び、ケトン化合物から選ばれるいずれか1種または2種以上である有機薄膜を、前記陰極と前記発光層との間に更に具えることが好ましい。この場合、大気中での保存安定性が更に向上し、発光面の劣化を更に抑制できる。
また、本発明の表示装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする。かかる本発明の表示装置は、保存寿命が長く、長期間安定して使用できる。
また、本発明の照明装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする。かかる本発明の照明装置は、保存寿命が長く、長期間安定して使用できる。
本発明によれば、低レベルの封止がなされた状態でも、大気中での保存安定性が良好で、発光面の劣化を抑制した有機EL素子を提供することができる。
また、本発明によれば、かかる大気中での保存安定性が良好な有機EL素子を用いた、表示装置及び照明装置を提供することができる。
本実施形態の有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。 作製直後と、保存寿命試験開始(0時間経過)してから2500時間経過後に撮影した実施例1−4の有機EL素子の発光面画像である。該保存寿命試験では、有機EL素子を常温常湿下で保存し、発光面画像取得時のみ点灯させて評価を行った。 上記と同条件で撮影した実施例5−8の有機EL素子の発光面画像である。 上記と同条件で撮影した実施例9−10の有機EL素子の発光面画像である。 上記と同条件で撮影した比較例1−3の有機EL素子の発光面画像である。 上記と同条件で撮影した比較例4−7の有機EL素子の発光面画像である。 上記と同条件で撮影した比較例8−10の有機EL素子の発光面画像である。
以下に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置、及び照明装置を、その実施形態に基づき、詳細に例示説明する。
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板と、陰極と、発光層と、正孔注入層と、陽極と、をこの順に具え、
水蒸気透過率(WVTR)が3×10-3g/m2/day以上の封止がなされており、
前記正孔注入層が、有機物からなる正孔注入層ホスト材料と、正孔注入能を有する電子吸引性ドーパントと、を含み、
前記電子吸引性ドーパントの比率が、前記正孔注入層ホスト材料と前記電子吸引性ドーパントとの合計量に対して、12質量%以上50質量%以下であることを特徴とする。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、正孔注入層において、正孔注入能を有する電子吸引性ドーパントを高濃度で含むため、正孔注入層と陽極との界面の劣化が抑制されており、高い正孔注入性を維持できる。そのため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、大気中での保存安定性が良好であり、低レベルの封止(即ち、水蒸気透過率(WVTR)が3×10-3g/m2/day以上の封止)がなされただけの状態でも、大気中での保存安定性が良好で、発光面の劣化を抑制することができる。
次に、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の一態様を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態の有機EL素子の一例を説明するための断面模式図である。
図1に示す本実施形態の有機EL素子1は、基板2上に、陰極3と、発光層7と、正孔注入層9と、陽極10と、がこの順に設けられており、陰極3(電極)と陽極10(電極)との間に、発光層7を含む積層構造が形成されているものである。
本実施形態の有機EL素子1における積層構造は、無機電子注入層4と、有機電子注入層5と、電子輸送層6と、発光層7と、正孔輸送層8と、正孔注入層9と、がこの順に形成されたものである。そして、正孔注入層9は、正孔輸送層8と陽極10との間に配置されている。ここで、正孔注入層9と正孔輸送層8とは、同じ材料及び組成でもよい。
本実施形態の有機EL素子1は、基板2と発光層7との間に陰極3が配置された逆構造のものである。図1に示す有機EL素子1は、基板2と反対側に光を取り出すトップエミッション型のものであってもよいし、基板2側に光を取り出すボトムエミッション型のものであってもよい。
(基板)
基板2の材料としては、樹脂材料、ガラス材料等が挙げられる。基板2の材料は、1種のみを用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
基板2に用いられる樹脂材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等が挙げられる。基板2の材料として、樹脂材料を用いた場合、柔軟性に優れた有機EL素子1が得られるため好ましい。
一方、基板2に用いられるガラス材料としては、石英ガラス、ソーダガラス等が挙げられる。
有機EL素子1がボトムエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板を用いる。
一方、有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、基板2の材料として、透明基板だけでなく、不透明基板を用いてもよい。不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料からなる基板、ステンレス鋼のような金属板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成した基板、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜10mmである。なお、基板2の平均厚さは、デジタルマルチメーター、ノギスにより測定することができる。
(陰極)
陰極3の材料としては、ITO(インジウム酸化錫)、IZO(インジウム酸化亜鉛)、FTO(フッ素酸化錫)、InSnZnO(インジウム酸化亜鉛錫、ITZO)、In33、SnO2、Sb含有SnO2、Al含有ZnO等の酸化物の導電材料を用いることが好ましい。これらの中でも、陰極3の材料としては、ITO、IZO、FTOを用いることが特に好ましい。これら導電材料は、ボトムエミッション型有機EL素子の陰極材料として好ましい。
一方、トップエミッション型有機EL素子の場合、陰極には、Ag合金等の反射率の高い電極を用いることが好ましい。
陰極3の平均厚さは、特に制限されないが、10〜500nmであることが好ましく、より好ましくは100〜200nmである。
(無機電子注入層)
無機電子注入層4としては、例えば、仕事関数の低い金属酸化物である、亜鉛、スズ、ジルコニウム、シリコン、ゲルマニウム、チタン、ハフニウムから選ばれる1種以上の元素の酸化物が好ましい。
無機電子注入層4の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは2〜100nmである。無機電子注入層4の平均厚さが1nm以上であると、無機電子注入層4を有することによる効果が十分に得られる。また、無機電子注入層4の平均厚さが1000nm以下であると、無機電子注入層4を効率よく形成できる。なお、無機電子注入層4の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。
(有機電子注入層)
有機電子注入層5の材料としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキル,フェニルアセチレン)(PAPA)等のポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)等のポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)等のポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジオクチルフルオレンのようなポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジイル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)等のポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)等のポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)等のポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)等のポリシラン系化合物等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
有機電子注入層5の平均厚さは、特に限定されないが、5〜100nmであることが好ましく、より好ましくは10〜60nmである。なお、有機電子注入層5の平均厚さは、触針式段差計、分光エリプソメトリーにより測定することができる。または、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
有機電子注入層5としては、酸解離定数pKaが1以上の有機材料である第1材料と、電子を輸送する第2材料とを少なくとも含み、前記第1材料が、三級アミン、フォスファゼン化合物、グアニジン化合物、アミジン構造を含む複素環式化合物、環構造を有する炭化水素化合物、及び、ケトン化合物から選ばれるいずれか1種または2種以上である有機薄膜が好ましい。なお、本実施形態においては、該有機薄膜は、有機電子注入層5を構成するが、他の実施形態においては、該有機薄膜は、陰極と発光層との間のいずれに位置していてもよい。
前記第1材料は、pKaが1以上の上記有機材料であるため、第2材料からプロトン(H+)を引き抜く能力を有する。第1材料は、pKaが5以上であることが好ましく、11以上であることがさらに好ましい。第1材料はpKaが高い材料である程、第2材料からプロトンを引き抜く能力がより高いものとなる。その結果、有機薄膜を、有機電子注入層5として用いた場合に、優れた電子注入性が得られる。また、前記第1材料は、無機化合物の欠損箇所に好適に配位することから、外部から侵入する酸素や水との界面での反応を妨げ、素子の大気安定性を高める効果がある。
なお、前記「pKa」は、通常は「水中における酸解離定数」を意味するが、水中で測定できないものは「ジメチルスルホキシド(DMSO)中における酸解離定数」を意味し、DMSO中でも測定できないものは、「アセトニトリル中の酸解離定数」を意味する。好ましくは「水中における酸解離定数」を意味する。
前記第1材料に用いられる三級アミン(三級アミン誘導体)としては、鎖状や環状等のアミン化合物であっても良く、環状である場合には複素環式のアミン化合物であってもよく、脂肪族アミンや芳香族アミン等の複素環式のアミン化合物であってもよい。三級アミンは、アミノ基を1〜4個有していることが好ましく、1または2個有していることがより好ましい。また、アミン化合物としては、アルキル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基を有する化合物であってもよい。具体的には、(モノ、ジ、トリ)アルキルアミン;アルキルアミノ基を1〜3つ有する芳香族アミン;アルコキシ基を1〜3つ有する芳香族アミン等が挙げられる。
前記三級アミンとしては、1級アミンおよび2級アミンを含まないものが好ましい。具体的には、該三級アミンとして、下記構造式(1−1)又は(1−2)で示されるジメチルアミノピリジン(DMAP)等のジアルキルアミノピリジン、下記構造式(1−3)で示されるトリエチルアミン等のNR123で表される構造を有するアミン(但し、R1、R2、R3は、同一又は異なって、置換基を有してもよい炭化水素基を表す。)、下記構造式(1−4)で示されるアクリジンオレンジ(AOB)等が挙げられる。
Figure 2021144980
前記炭化水素基としては、炭素数1〜30のものが好ましく、炭素数1〜8のものがより好ましく、炭素数1〜4のものが更に好ましく、炭素数1または2のものがより一層好ましい。炭化水素基が置換基を有する場合には、置換基も含めた全体として前記炭素数であることが好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が例示されるが、アルキル基が好ましい。置換基を有する炭化水素基における置換基としては、ハロゲン原子、複素環基、シアノ基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基等が例示される。ジメチルアミノピリジンとしては、電子供与基であるジメチルアミノ基のピリジン環に結合している位置が、2位(2−DMAP)または4位(4−DMAP)であることが好ましい。特に、ピリジン環の4位にジメチルアミノ基が結合している4−ジメチルアミノピリジンは、pKaが高く、しかも、これを含む有機薄膜を有機EL素子の有機電子注入層5として用いた場合に長い寿命が得られるため好ましい。
前記三級アミンとしては、メトキシピリジン誘導体等のアルコキシピリジン誘導体も用いることができる。アルコキシ基としては、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜8のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がさらに好ましく、1または2のアルコキシ基がより一層好ましい。アルコキシピリジン誘導体には、アルコキシピリジンの水素原子の1または2以上が、置換基で置換された構造の化合物も含まれる。置換基としては、上記の三級アミンの炭化水素基の置換基と同様のものが例示される。
メトキシピリジン誘導体としては、メトキシ基のピリジン環に結合している位置が4位である下記構造式(2−1)で示される4−メトキシピリジン(4−MeOP)または3位である下記構造式(2−2)で示される3−メトキシピリジン(3−MeOP)であることが好ましい。特に、ピリジン環の4位にメトキシ基が結合している4−メトキシピリジンは、pKaが高いため好ましい。
Figure 2021144980
前記三級アミンとしては、ジアルキルアミノ基および/またはアルコキシ基を有する複素環式芳香族アミン、トリアルキルアミンから選択される1種又は2種以上を用いることが好ましく、ジアルキルアミノピリジン、トリアルキルアミン、アルコキシピリジン誘導体から選択される1種又は2種以上を用いることが、電子注入性、寿命の向上の観点から特に好ましい。
前記アミジン構造を含む複素環式化合物において、アミジン構造とは、R4−C(=NR5)−NR67で表される構造(ただし、R4〜R7は、同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を表す。)である。アミジン構造を含む複素環式化合物としては、ジアザビシクロノネン誘導体やジアザビシクロウンデセン誘導体等が挙げられる。
前記ジアザビシクロノネン誘導体としては、下記構造式(3−1)で示される1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN、「ジアザビシクロノネン」と呼ぶこともある。)等が挙げられる。DBNは、これを含む有機薄膜を有機EL素子の有機電子注入層5として用いた場合に、長い寿命が得られるため好ましい。
前記ジアザビシクロウンデセン誘導体としては、下記構造式(3−2)で示される1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
Figure 2021144980
前記ジアザビシクロノネン誘導体には、ジアザビシクロノネンの水素原子の1または2以上が、置換基で置換された構造の化合物も含まれ、ジアザビシクロウンデセン誘導体には、ジアザビシクロウンデセン水素原子の1または2以上が、置換基で置換された構造の化合物も含まれる。置換基としては、上記の三級アミンの炭化水素基の置換基と同様のものが例示される。
前記フォスファゼン化合物(フォスファゼン塩基誘導体)とは、例えば、下記一般式(4)で表される構造を含む化合物である。
Figure 2021144980
上記式(4)において、R8は、水素原子又は炭化水素基を表し、R9〜R11は、水素原子、炭化水素基、−NR’R”(ただし、R’、R”は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基を表す。)、又は下記式(5)で表される基を表し、nは1〜5の数を表す。
Figure 2021144980
上記式(5)において、R12〜R14は、水素原子、炭化水素基、又は−NR’R”(ただし、R’、R”は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基を表す。)を表し、mは1〜5の数を表す。
上記式(4)、(5)における炭化水素基としては、炭素数1〜8の基が好ましく、炭素数1〜4の基が好ましい。また、炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。上記R11としては、ターシャリーブチル基が特に好ましい。
前記フォスファゼン塩基誘導体としては、下記構造式(6)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2021144980
前記グアニジン化合物とは、下記一般式(7)で表される構造を含む化合物である。
Figure 2021144980
上記式(7)中、R15〜R19は、同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を表し、R15〜R19のうち2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよい。
前記グアニジン化合物としては、グアニジン環状誘導体等を用いることができる。グアニジン環状誘導体としては、下記式(8−1)で示される7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(MTBD)、下記式(8−2)で示される1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン(TBD)等が挙げられる。
Figure 2021144980
前記環構造を有する炭化水素化合物としては、環構造として5員環又は6員環を有する化合物が好ましく、5員環と6員環とが縮環した環構造や、複数の6員環が縮環した環構造を有する化合物も好ましい。5員環としては、シクロペンタン環やシクロペンタジエン環等が挙げられ、6員環としては、ベンゼン環等が挙げられる。
環構造を有する炭化水素化合物としては、環構造のみの化合物、環構造に炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5のアルキル基が結合した構造の化合物や、複数の環構造が直接又は炭素数1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の炭化水素の連結基を介して結合した構造の化合物が好ましい。環構造を有する炭化水素化合物の具体例としては、下記式(9−1)〜(9−14)の化合物が挙げられる。なお、式中のPhはフェニル基を表す。
Figure 2021144980
前記ケトン化合物としては、炭素数が2〜30のケトンが好ましく、環状構造を有していても良い。具体的には、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、ジイソブチルケトン(DIBK)、3,5,5−トリメチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
前記第2材料は、電子を輸送する材料であればよく、有機材料であることが好ましい。より好ましくは、最低非占有軌道(LUMO)準位が2.0eV〜4.0eVまでの有機材料、その中でも、LUMO準位が2.5eV〜3.5eVのn型有機半導体材料である。例えば、有機EL素子の電子輸送層の材料として、下記に示す従来公知のいずれの材料を用いてもよいが、これらの中でも、上記LUMO準位の要件を満たす材料が好ましい。
第2材料としては、具体的には、フェニル−ジピレニルホスフィンオキサイド(POPy2)、下記構造式(10):
Figure 2021144980
で示される化合物のようなホスフィンオキサイド誘導体、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3”−イル)フェニル)ベンゼン(TmPhPyB)のようなピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))のようなキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)のようなピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)のようなフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)のようなトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)のようなトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)のようなオキサジアゾール誘導体、2,2’,2”−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)のようなイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(Zn(BTZ)2)、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)などに代表される各種金属錯体、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体、更には、後述するホウ素含有化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
これらの第2材料の中でも、POPy2、構造式(10)で示される化合物等のホスフィンオキサイド誘導体、ホウ素含有化合物、Alq3等の金属錯体、TmPhPyB等のピリジン誘導体を用いることがより好ましい。
第2の材料に用いられるホウ素含有化合物としては、例えば、下記一般式(11)で表されるホウ素含有化合物が挙げられる。
Figure 2021144980
一般式(11)中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q1及びQ2は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X1、X2、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。n1は2〜10の整数を表す。Y1は直接結合又はn1価の連結基であり、n1個存在するY1以外の構造部分とそれぞれ独立に、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所で結合していることを表す。
上記一般式(11)において、点線の円弧は、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部又はホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分の一部、と共に環構造が形成されていることを表している。これは、上記一般式(11)で表される化合物が構造中に少なくとも4つの環構造を有し、上記一般式(11)において、ホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分及びホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分が、該環構造の一部として含まれていることを表している。なお、X1の結合する環構造は、その環構造骨格が炭素原子以外の原子を含まず、炭素原子からなるものであることが好ましい。
上記一般式(11)において、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分及びホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分、における点線部分は、それぞれの骨格部分において点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記一般式(11)において、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。ここで、配位しているとは、窒素原子がホウ素原子に対して配位子と同様に作用して化学的に影響していることを意味し、配位結合(共有結合)となっていてもよく、配位結合を形成していなくてもよい。好ましくは、配位結合となっていることである。
上記一般式(11)において、Q1及びQ2は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しているものであって、置換基を有していてもよい。これは、Q1及びQ2がそれぞれ、該環構造の一部として組み込まれていることを表している。
上記一般式(11)において、X1、X2、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。すなわち、X1、X2、X3及びX4が水素原子である場合には、上記一般式(11)で表される化合物の構造中、X1、X2、X3及びX4を有する4つの環構造は置換基を有していないことを示し、X1、X2、X3及びX4のいずれか又は全てが1価の置換基である場合には、該4つの環構造のいずれか又はいずれもが置換基を有する。その場合には、1つの環構造の有する置換基の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
ここで、置換基とは、炭素を含む有機基と、ハロゲン原子、ヒドロキシ基等の炭素を含まない基とを含めた基を意味している。
上記一般式(11)において、n1は2〜10の整数を表し、Y1は、直接結合又はn1価の連結基である。すなわち、上記一般式(11)で表される化合物においては、Y1が、直接結合であり、2個存在するY1以外の構造部分どうしがそれぞれ独立に、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所で結合しているか、又は、Y1がn1価の連結基であり、上記一般式(11)におけるY1以外の構造部分が複数存在し、それらが連結基であるY1を介して結合することとなる。
上記一般式(11)において、Y1が、直接結合である場合、上記一般式(11)は、2個存在するY1以外の構造部分の一方の、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所と、もう一方の、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所とが直接結合していることを表す。当該結合位置は特に制限されないが、Y1以外の構造部分の一方のX1が結合している環又はX2が結合している環と、もう一方のX1が結合している環又はX2が結合している環とが直接結合していることが好ましい。より好ましくは、Y1以外の構造部分の一方のX2が結合している環と、もう一方のX2が結合している環とが直接結合していることである。この場合、2個存在するY1以外の構造部分の構造は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記一般式(11)において、Y1が、n1価の連結基であり、上記一般式(11)におけるY1以外の構造部分が複数存在し、それらが連結基であるY1を介して結合している場合、Y1以外の構造部分が直接結合している構造よりも、酸化に強くなり製膜性も向上することから好ましい。
なお、Y1が、n1価の連結基である場合、Y1は、n1個存在するY1以外の構造部分とそれぞれ独立に、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所で結合しているものである。これは、Y1以外の構造部分が、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所でY1と結合していればよく、Y1以外の構造部分のY1との結合部位は、n1個存在するY1以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい。
当該結合位置は特に制限されないが、n1個存在するY1以外の構造部分の全てが、X1が結合している環又はX2が結合している環でY1と結合していることが好ましい。より好ましくは、n1個存在するY1以外の構造部分の全てが、X2が結合している環でY1と結合していることである。
また、n1個存在するY1以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
上記一般式(11)におけるY1がn1価の連結基である場合、該連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ元素を含む基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。これらの中でも、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。すなわち、上記一般式(11)におけるY1は、芳香環を有する基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
更に、Y1は、上述した連結基が複数組み合わさった構造を有する連結基であってもよい。
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基としては、下記式(12−1)〜(12−8)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記式(12−1)、(12−7)がより好ましい。
上記へテロ元素を含む基としては、下記式(12−9)〜(12−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記式(12−12)、(12−13)がより好ましい。
上記アリール基としては、下記式(12−14)〜(12−20)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記式(12−14)、(12−20)がより好ましい。
上記複素環基としては、下記式(12−21)〜(12−33)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記式(12−23)、(12−24)がより好ましい。
Figure 2021144980
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が有する置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子;フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜10のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基等のジアリールアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、スチリル基等の炭素数2〜30のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基等の炭素数2〜30のアルキニル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基等で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基で置換されていてもよい複素環基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;ジオキサボロラニル基、スタニル基、シリル基、エステル基、ホルミル基、チオエーテル基、エポキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子やヘテロ元素、アルキル基、芳香環等で置換されていてもよい。
これらの中でも、Y1における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、ジアリールアミノ基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ジアリールアミノ基である。
上記Y1における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が置換基を有する場合、置換基が結合する位置や数は特に制限されない。
上記一般式(11)におけるn1は、2〜10の整数を表すが、好ましくは、2〜6の整数である。より好ましくは、2〜5の整数であり、更に好ましくは、2〜4の整数であり、特に好ましくは、溶媒への溶解性の観点から、2又は3である。最も好ましくは2である。すなわち、上記一般式(11)で表されるホウ素含有化合物は、二量体であることが最も好ましい。
上記一般式(11)におけるQ1及びQ2としては、下記式(13−1)〜(13−8);で表される構造が挙げられる。
Figure 2021144980
なお、上記式(13−2)は、炭素原子に水素原子が2つ結合し、更に3つの原子が結合する構造であるが、当該水素原子以外の、炭素原子に結合する3つの原子は、いずれも水素原子以外の原子である。上記式(13−1)〜(13−8)の中でも、(13−1)、(13−7)、(13−8)のいずれかが好ましい。より好ましくは、(13−1)である。すなわち、Q1及びQ2が、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(11)において、点線の円弧と、実線で表される骨格部分の一部とによって形成される環構造は、X1の結合する環構造の骨格が炭素原子からなる限り、環状構造であれば特に制限されない。
上記一般式(11)において、Y1が直接結合であって、n1が2である場合、X1が結合している環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、フェナントリジン環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられ、これらはそれぞれ、下記式(14−1)〜(14−36)で表される。
Figure 2021144980
これらの中でも、環構造骨格が炭素原子のみからなるものが好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環であり、更に好ましくは、ベンゼン環である。
上記一般式(11)において、Y1が直接結合であって、n1が2である場合、X2が結合している環としては、例えば、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。これらはそれぞれ、下記式(15−1)〜(15−17)で表される。
Figure 2021144980
なお、上記式(15−1)〜(15−17)中の*印は、X1が結合している環を構成し、かつ、上記一般式(11)におけるホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分を構成する炭素原子が、*印の付された炭素原子のいずれか1つと結合することを表している。また、*印の付された炭素原子を除く位置で他の環構造と縮環していてもよい。これらの中でも、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、フェナントリジン環が好ましい。より好ましくは、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環である。更に好ましくは、ピリジン環である。
また、上記一般式(11)において、Y1が直接結合であって、n1が2である場合、X3が結合している環及びX4が結合している環としては、上記式(14−1)〜(14−33)で表される環が挙げられる。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環である。
上記一般式(11)において、X1、X2、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。該1価の置換基としては特に制限されないが、X1、X2、X3及びX4としては、例えば、水素原子、置換基を有していてもよいアリール基、複素環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリールアルコキシ基、シリル基、ヒドロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ハロゲン原子、カルボキシル基、チオール基、エポキシ基、アシル基、置換基を有していてもよいオリゴアリール基、1価のオリゴ複素環基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アゾ基、スタニル基、ホスフィノ基、置換基を有していてもよいアリールホスフィノ基、置換基を有していてもよいアルキルホスフィノ基、アリールホスフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルホスフィニル基、シリルオキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよいアリールカルボニル基、置換基を有していてもよいアルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいアリールスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアリールスルフィニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基;メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等のアルキルスルホネート基;ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等のアリールスルホネート基;ベンジルスルホネート基等のアリールアルキルスルホネート基、ボリル基、スルホニウムメチル基、ホスホニウムメチル基、ホスホネートメチル基、アリールスルホネート基、アルデヒド基、アセトニトリル基等が挙げられる。
上記X1、X2、X3及びX4における置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のハロゲン原子;塩化メチル基、臭化メチル基、ヨウ化メチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7の環状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等の炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基;ヒドロキシ基;チオール基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;アゾ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数1〜40のアルキル基を有するモノ又はジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、カルバゾリル基などのアミノ基;アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、ブテニル基、スチリル基等の炭素数2〜20のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、プロパルギル基、フェニルアセチニル等の炭素数2〜20のアルキニル基;ビニルオキシ基、アリルオキシ基等のアルケニルオキシ基;エチニルオキシ基、フェニルアセチルオキシ基等のアルキニルオキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ビフェニルオキシ基、ピレニルオキシ基等のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロフェニル基等のパーフルオロ基及び更に長鎖のパーフルオロ基;ジフェニルボリル基、ジメシチルボリル基、ビス(パーフルオロフェニル)ボリル基、4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル基等のボリル基;アセチル基、ベンゾイル基等のカルボニル基;アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のカルボニルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基等のスルフィニル基;メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基等のスルホニル基;アルキルスルホニルオキシ基;アリールスルホニルオキシ基;ホスフィノ基;ジエチルホスフィニル基、ジフェニルホスフィニル基等のホスフィニル基; トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリフェニルシリル基等のシリル基;シリルオキシ基;スタニル基;ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよいフェニル基、2,6−キシリル基、メシチル基、デュリル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、トルイル基、アニシル基、フルオロフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、フェナンスレニル基等のアリール基(置換されていてもよい芳香族炭化水素環基);ハロゲン原子やアルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよい、チエニル基、フリル基、シラシクロペンタジエニル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、アクリジニル基、キノリル基、キノキサロイル基、フェナンスロリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、ピロリル基、ベンゾオキサゾリル基、ピリミジル基、イミダゾリル基等のヘテロ環基(置換されていてもよい芳香族複素環基);カルボキシル基;カルボン酸エステル;エポキシ基;イソシアノ基;シアネート基;イソシアネート基;チオシアネート基;イソチオシアネート基;カルバモイル基;N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基等のN,N−ジアルキルカルバモイル基;ホルミル基;ニトロソ基;ホルミルオキシ基;等が挙げられる。なお、これらの基は、ハロゲン原子やアルキル基、アリール基等で置換されていてもよい。更に、これらの基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。
これらの中でも、X1、X2、X3及びX4としては、水素原子;ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、チオール基、エポキシ基、アミノ基、アゾ基、アシル基、アリル基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基、ホルミル基、シアノ基、シリル基、スタニル基、ボリル基、ホスフィノ基、シリルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基等の反応性基;炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基;アリール基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリール基;オリゴアリール基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、オリゴアリール基;1価の複素環基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、1価のオリゴ複素環基;アルキルチオ基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アリールアルキル基;アリールアルコキシ基;アリールアルキルチオ基;アルケニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アルケニル基;アルキニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アルキニル基;アルキルアミノ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アルキルアミノ基;アリールアミノ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールアミノ基;アリールホスフィノ基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールホスフィノ基;アリールホスフィニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールホスフィニル基;アリールスルホニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数2〜8のアルキニル基又は該反応性基で置換された、アリールスルホニル基のいずれかが好ましい。
より好ましくは、水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、ボリル基、アルキニル基、アルケニル基、ホルミル基、シリル基、スタニル基、ホスフィノ基、該反応性基で置換されたアリール基、該反応性基で置換されたオリゴアリール基、1価の複素環基又は該反応性基で置換された1価の複素環基、該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基、アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基、アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基である。
中でも、X1及びX2として更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、含窒素複素芳香族基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基等の還元に強い官能基である。特に好ましくは、水素原子、アリール基、含窒素複素芳香族基である。
また、X3及びX4として更に好ましくは、水素原子、カルバゾリル基、トリフェニルアミノ基、チエニル基、フラニル基、アルキル基、アリール基、インドリル基等の酸化に強い官能基である。特に好ましくは、水素原子、カルバゾリル基、トリフェニルアミノ基、チエニル基である。
このように、X1及びX2として還元に強い官能基を有し、X3及びX4として酸化に強い官能基を有するものとすると、ホウ素含有化合物全体として更に還元にも酸化にも強い化合物となるものと考えられる。
なお、上記X1〜X4、及び、X1〜X4における置換基において、複素環基を形成する複素環としては、上記式(14−10)〜(14−36)で表されるものが挙げられる。オリゴ複素環基を形成するオリゴ複素環、含窒素複素芳香族基を形成する含窒素複素芳香環としては、上記式(14−10)〜(14−36)の中で、それぞれオリゴ複素環、含窒素複素芳香環に該当するものが挙げられる。
なお、上記一般式(11)において、X1、X2、X3及びX4が1価の置換基である場合、環構造に対するX1、X2、X3及びX4の結合位置や結合する数は、特に制限されない。
上記一般式(11)において、Y1がn1価の連結基であり、n1が2〜10である場合、X1が結合している環としては、上記一般式(11)において、Y1が直接結合であり、n1が2である場合にX1が結合している環と同様である。それらの環の中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環である。
上記一般式(11)において、Y1がn1価の連結基であり、n1が2〜10である場合、X2が結合している環、X3が結合している環、及び、X4が結合している環としては、それぞれ、上記一般式(11)においてY1が直接結合であり、n1が2である場合にX2が結合している環、X3が結合している環、及びX4が結合している環として挙げられた環と同様であり、好ましい構造も同様である。
すなわち、上記一般式(11)におけるY1が直接結合であって、n1が2である場合、及び、Y1がn1価の連結基であり、n1が2〜10である場合のいずれの場合においても、上記一般式(11)で表されるホウ素含有化合物が、下記一般式(16)で表されるホウ素含有化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
Figure 2021144980
一般式(16)中、窒素原子からホウ素原子への矢印、X1、X2、X3、X4、n1及びY1は一般式(11)と同様である。
上記一般式(11)で表されるホウ素含有化合物は、特に、一般式(11−1)または(11−2)で表されるホウ素含有化合物であることが好ましく、一般式(11−2)で表されるホウ素含有化合物であることが最も好ましい。
Figure 2021144980
第2材料に用いられるホウ素含有化合物としてはまた、下記一般式(17)で表されるホウ素含有化合物も好ましい。
Figure 2021144980
一般式(17)中、点線の円弧は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。R18〜R21は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。R18、R19及びR21は、それぞれ、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R20は、ピリジン環構造に複数個結合していてもよい。R21が結合している環は、芳香族複素環である。n6は、1〜4の整数である。n7は、0又は1である。n7が1の場合、Y2は、n6価の連結基、又は、直接結合を表し、n6個存在するY2以外の構造部分とそれぞれ独立に、R18、R19、R20、又は、R21のいずれか1箇所で結合していることを表す。n7が0の場合、n6は、1であり、R18〜R21の少なくとも1つは、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。
上記一般式(17)で表されるホウ素含有化合物は、ホウ素原子に対して窒素原子が配位した構造であることに加え、上記一般式(17)で表される剛直な環構造を有することにより、高い安定性を有する化合物である。また、上記一般式(17)で表されるホウ素含有化合物は、各種溶剤への溶解性が良好であり、塗布等により良好な塗膜を容易に形成することができるものである。更に、前記ホウ素含有化合物は、ホウ素上の置換基が特定の環構造であるため、LUMOのエネルギー準位が低くなり、有機EL素子としての性能に優れると考えられる。
先ず、上記一般式(17)におけるY2以外の構造部分について説明する。
上記一般式(17)において、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表している。該実線で表される骨格部分は、該実線に沿って点線が併記されている部分である。該環構造は3つあり、該環構造のそれぞれを、本明細書中、R18が結合している環、R19が結合している環、R21が結合している環と呼ぶ。
上記一般式(17)において、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印の意味は、上記一般式(11)おけるそれらと同じである。
上記一般式(17)において、R21が結合している環は、芳香族複素環である。該芳香族複素環は、環内に1つ以上のヘテロ元素を有する。該ヘテロ元素は、窒素原子、硫黄原子、酸素原子であることが好ましく、窒素原子、硫黄原子であることがより好ましい。
該芳香族複素環は、単環であってもよく、縮環であってもよい。
該芳香族複素環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、フェナントリジン環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。これらはそれぞれ、上記式(14−10)〜(14−36)で表される。
上記芳香族複素環が単環(単環式芳香族複素環)であることが、上記一般式(17)で表されるホウ素含有化合物における好ましい形態の1つである。該単環式芳香族複素環は、5〜7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましい。該単環式芳香族複素環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。これらはそれぞれ、上記式(14−10)〜(14−12)、(14−19)、(14−21)、(14−23)、(14−26)〜(14−29)、(14−35)、(14−36)で表される。これらの中でも、チオフェン環、ピリジン環、ピリミジン環が好ましく、チオフェン環、ピリジン環がより好ましい。
上記一般式(17)において、R18、R19が結合している環は、芳香族性を有しない環であってもよいが、前記ホウ素含有化合物を安定化する観点から、芳香族炭化水素環、芳香族複素環等の芳香環であることが好ましい。該芳香環としては、上記一般式(11)において、Y1が直接結合であって、n1が2である場合のX1が結合している環と同様のものが挙げられる。
上記一般式(17)において、R18〜R21は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。該1価の置換基としては特に制限されないが、上記一般式(11)において、X1、X2、X3及びX4が1価の置換基である場合の具体例と同様の基が挙げられる。
上記のものの中でも、R18〜R21としては、上記一般式(11)におけるX1、X2、X3及びX4の好ましい基と同様の基が好ましい。
18〜R21としては、より好ましくは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シリル基;アルキルアミノ基;アリールアミノ基;ボリル基;スタニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;アリール基;オリゴアリール基;1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基;アリールホスフィニル基;アリールスルホニル基のいずれかである。
上記2価の基としては、例えば、上述した環構造の置換基となる1価の置換基から水素原子が1つ脱離したものを使用できる。
18、R19、R21は、同一又は異なって、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R20は同一又は異なって、ピリジン環構造に複数個結合していてもよい。また、該1価の置換基の環構造に対する結合位置は、特に制限されない。
上記一般式(17)において、R20、R21は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。中でも、R20及びR21の少なくとも1つが、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基であることが好ましい。R20、R21として電子輸送性の置換基を有することで、上記一般式(17)で表されるホウ素含有化合物は、電子輸送性に優れた材料となる。
上記電子輸送性の1価の置換基は、芳香環を有することが好ましい。芳香環を有する電子輸送性の1価の置換基としては、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来の1価の基;一つ以上の電子求引性置換基を有するベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の1価の基;ジベンゾチオフェンジオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、シロール環等が挙げられる。
なお、上記電子求引性置換基としては、−CN、−COR、−COOR、−CHO、−CF3、−SO2Ph、−PO(Ph)2等が挙げられる。ここで、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
上記電子輸送性の1価の置換基は、中でも、環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有複素環由来の1価の基、環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族複素環由来の1価の基のように、芳香族複素環を有することが好ましい。
これらの中でも、電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有芳香族複素環を有することがより好ましい。該環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有芳香族複素環は、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環であることが好ましく、ピリジン環であることがより好ましい。
また、上記R20及びR21の少なくとも1つが、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基、トリメトキシシリル基、トリフェニルシリル基等のシリル基であることもまた本発明の好ましい形態の1つである。
上記R18〜R21における置換基としては、上記一般式(11)におけるX1、X2、X3及びX4における置換基と同様の基が挙げられる。
中でも、上記R18〜R21における置換基が、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。
例えば、上記一般式(17)におけるR18〜R21の少なくとも1つが、上記芳香族複素環を構成する炭素原子の1つに更に芳香環が結合したものであることが好ましい。該芳香族複素環を構成する炭素原子の1つに更に結合した芳香環としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。該芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオレニル基が好ましい。該芳香族複素環基としては、ピリジル基、キノリル基、ピリミジル基、チアゾール基、イミダゾール基が好ましい。
なお、上述した置換基は、ハロゲン原子やアルキル基、アリール基等で更に置換されていてもよく、例えば炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基で置換されていることが好ましい。更に、これらの置換基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。
以下では、上記一般式(17)におけるY2、n6、n7について説明する。
上記n6は、1〜4の整数である。n7は、0又は1である。n7が1の場合、Y2は、n6価の連結基、又は、直接結合を表し、n6個存在するY2以外の構造部分とそれぞれ独立に、R18、R19、R20、又は、R21のいずれか1箇所で結合していることを表す。
上記一般式(17)において、n6が1である場合、n7は0であり、上記一般式(17)におけるY2以外の構造部分のみからなる化合物となる。この場合、R18〜R21の少なくとも1つは、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。中でも、R20及びR21の少なくとも1つが、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表すことが好ましい。
上記一般式(17)において、n6が2である場合、上記一般式(17)におけるY2以外の構造部分が2つ存在することになる。ここで、Y2が2価の連結基である場合、2つ存在するY2以外の構造部分が2価の連結基であるY2を介して結合することになる。Y2が直接結合である場合、2つ存在するY2以外の構造部分が直接結合することになる。
上記一般式(17)で表される化合物において、n6が3以上である場合、Y2はn6価の連結基であり、上記一般式(17)におけるY2以外の構造部分がn6個存在し、それらが連結基であるY2を介して結合することとなる。
上記一般式(17)におけるn6は、好ましくは、1〜3であり、より好ましくは、1〜2である。すなわち、前記ホウ素含有化合物は、単量体又は二量体であることがより好ましい。
なお、Y2がn6価の連結基である場合、Y2はn6個存在するY2以外の構造部分とそれぞれ独立に、R18、R19、R20、又は、R21のいずれか1箇所で結合しているが、これは、Y2以外の構造部分のY2との結合部位は、n6個存在するY2以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n6個存在するY2以外の構造部分の全てが、R20又はR21で結合していることが好ましい。
また、n6個存在するY2以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
上記一般式(17)におけるY2が、n6価の連結基である場合、該連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ元素を含む基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基が挙げられる。これらの中でも、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。すなわち、上記一般式(17)におけるY2は、芳香環を有する基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
更に、Y2は、上述した連結基が複数組み合わさった構造を有する連結基であってもよい。
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基としては、上記式(12−1)〜(12−8)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、上記式(12−1)、(12−7)がより好ましい。
上記へテロ元素を含む基としては、上記式(12−9)〜(12−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、上記式(12−12)、(12−13)がより好ましい。
上記芳香族炭化水素環基としては、上記式(12−14)〜(12−20)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、上記式(12−14)、(12−19)、(12−20)がより好ましい。
上記芳香族複素環基としては、上記式(12−21)〜(12−33)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、上記式(12−24)、(12−32)がより好ましい。
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が有する置換基としては、上述した一般式(17)において、上記R18、R19、R20及びR21が有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Y2における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基である。
上記Y2における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が置換基を有する場合、置換基が結合する位置や数は特に制限されない。
また、上記一般式(17)で表されるホウ素含有化合物が、下記式(18−1)又は下記式(18−2):
Figure 2021144980
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印、R18、R19、R20及びR21は一般式(17)と同様である。)で表されるホウ素含有化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
第2材料に用いられるホウ素含有化合物としては、また、下記の一般式(19)で表されるホウ素含有化合物も好ましい。
Figure 2021144980
一般式(19)中、点線の円弧は、ホウ素原子又は実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表し、該環構造は、同一又は異なって、1つの環から構成される単環構造であってもよく、複数の環から構成される縮環構造であってもよい。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q7は、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。R22及びR23は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。R24及びR25は、同一又は異なって、水素原子、1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。R24とR25とは、互いに結合して二重線で表される骨格部分と共に環構造を形成していない。n8は、1〜4の整数である。n9は、0又は1である。n9が1の場合、Y3は、n8価の連結基、又は、直接結合を表し、n8個存在するY3以外の構造部分とそれぞれ独立に、R22、R23、R24、又は、R25のいずれか1箇所で結合していることを表す。
上記一般式(19)で表されるホウ素含有化合物は、ホウ素原子に対して窒素原子が配位した構造であることに加え、上記一般式(19)で表される剛直な環構造を有することにより、高い安定性を有する化合物である。また、上記一般式(19)で表されるホウ素含有化合物は、各種溶剤への溶解性が良好であり、塗布等により良好な塗膜を容易に形成することができるものである。更に、前記ホウ素含有化合物は、ホウ素上の置換基が特定の環構造であるため、LUMOのエネルギー準位が低くなり、有機EL素子としての性能に優れると考えられる。
先ず、上記一般式(19)におけるY3以外の構造部分について説明する。
上記一般式(19)において、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、及び、窒素原子からホウ素原子への矢印の意味は、上記一般式(17)におけるものと同様である。上記一般式(19)では点線の円弧とホウ素原子又は実線で表される骨格部分とで形成される環構造は2つあり、該環構造のそれぞれを、本明細書中、R22が結合している環、R23が結合している環と呼ぶ。
上記一般式(19)において、Q7は、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しているものであって、置換基を有していてもよい。これは、Q7が、該環構造の一部として組み込まれていることを表している。
上記一般式(19)におけるQ7としては、上述した式(13−1)〜(13−8)で表される構造が挙げられ、中でも、式(13−1)、式(13−7)、式(13−8)のいずれかが好ましい。より好ましくは、式(13−1)である。すなわち、Q7が、炭素数1の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(19)において、R22が結合している環は、芳香族性を有しない環であってもよいが、芳香環であることが好ましい。また、R22が結合している環は、1つの環から構成される単環構造であってもよいが、複数の環から構成される縮環構造であることが好ましく、例えば、後述する一般式(20)で表されるホウ素含有化合物のように、少なくとも3つの環から構成される縮環構造であることがより好ましい。更に、R22が結合している環は、環内にホウ素原子以外のヘテロ元素を有していてもよく、有していなくてもよい。
上記一般式(19)において、R23が結合している環は、芳香族性を有しない含窒素複素環であってもよいが、前記ホウ素含有化合物を安定化し、有機電界発光素子材料として優れた性能を発現する観点から、含窒素芳香族複素環であることが好ましい。該含窒素芳香族複素環としては、例えば、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、イソキノリン環、フェナントリジン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられる。これらはそれぞれ、上記式(15−1)〜(15−17)で表される。なお、式(15−1)〜(15−17)中の*印は、R24と結合する炭素原子が、*印の付された炭素原子のいずれか1つと結合することを表している。また、式(15−1)〜(15−17)で表される環は、*印の付された炭素原子を除く位置で他の環構造と縮環していてもよい。これらの中でも、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、キノリン環、フェナントリジン環のように6員環を含む含窒素複素芳香族環が好ましい。R23が結合している環は、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、又は、キノリン環であることがより好ましく、ピリジン環であることが更に好ましい。
上記一般式(19)において、R22及びR23は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。R24及びR25は、同一又は異なって、水素原子、1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表す。R22、R23における環構造の置換基となる1価の置換基、R24、R25における1価の置換基としては特に制限されないが、上記一般式(11)における、X1、X2、X3及びX4が環構造の置換基となる1価の置換基である場合の具体例と同様の置換基が挙げられ、その中で好ましい置換基もX1、X2、X3及びX4の好ましい置換基と同様である。
上記一般式(19)において、R24とR25とは、互いに結合して二重線で表される骨格部分と共に環構造を形成していない。該環構造は、その骨格部分に配位結合を有するものを含む。
24としては、上記一般式(19)において二重線で表される骨格部分の炭素原子に直接結合する原子が酸素原子以外の原子であることが更に好ましい。
22、R23、R24、R25としては、特に好ましくは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シリル基;アルキルアミノ基;アリールアミノ基;ボリル基;スタニル基;炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基;アリール基;オリゴアリール基;1価の複素環基;1価のオリゴ複素環基;アリールホスフィニル基;アリールスルホニル基のいずれかである。
上記R22、R23、R24、R25における2価の基としては、例えば、上述した1価の置換基から水素原子が1つ脱離したものを使用できる。
22、R23は、同一又は異なって、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。また、上記1価の置換基の環構造に対する結合位置は、特に制限されない。
上記一般式(19)において、R23、R24、及び、R25の少なくとも1つが、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表すことが好ましい。R23、R24、R25として電子輸送性の置換基を有することで、前記ホウ素含有化合物は、電子輸送性に優れた材料となる。中でも、R25が電子輸送性の置換基を有することがより好ましい。
上記電子輸送性の1価の置換基は、芳香環を有することが好ましい。例えば、R25が、芳香環を有する1価の置換基を表すことが好ましい。芳香環を有する1価の置換基としては、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来の1価の基;一つ以上の電子求引性置換基を有するベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の1価の基;ジベンゾチオフェンジオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、ジアリールホスフィンオキシド基、シロール環等が挙げられる。
なお、上記電子求引性置換基としては、−CN、−COR、−COOR、−CHO、−CF3、−SO2Ph、−PO(Ph)2等が挙げられる。ここで、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
上記電子輸送性の1価の置換基は、中でも、環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有複素環由来の1価の基、環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族複素環由来の1価の基のように、芳香族複素環を有することが好ましい。
これらの中でも、電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有芳香族複素環を有することがより好ましい。該環内に炭素−窒素二重結合を有する窒素原子含有芳香族複素環は、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環であることが好ましく、ピリジン環であることがより好ましい。
前記ホウ素含有化合物の電子移動度を高める観点からは、上記一般式(19)において、R23が結合している環は、含窒素芳香族複素環であり、R25が、芳香環を有する1価の置換基を表すことが特に好ましい。中でも、R23が結合している環は、ピリジン環であり、R25が、ベンゼン環を表すことが最も好ましい。
上記R22、R23、R24及びR25における置換基としては、上述した一般式(11)のX1、X2、X3及びX4における置換基と同様の基が挙げられる。
中でも、上記R23、R24、R25における置換基が、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。
例えば、上記一般式(19)におけるR23、R24及びR25の少なくとも1つが、上記芳香族複素環を構成する炭素原子の1つに更に芳香環が結合したものであることが好ましい。該芳香族複素環を構成する炭素原子の1つに更に結合した芳香環としては、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が挙げられる。該芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオレニル基が好ましい。該芳香族複素環基としては、ピリジル基、ピロリル基、キノリル基、ピリミジル基、チアゾール基、イミダゾール基が好ましい。具体的には、R23、R24及びR25の少なくとも1つが、ビピリジンであることは電子注入性向上の観点から好適な一例である。
なお、上述した置換基は、ハロゲン原子やアルキル基、アリール基等で更に置換されていてもよく、例えば、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基で置換されていることが好ましい。更に、これらの置換基がお互いに任意の場所で結合して環を形成していてもよい。
以下では、上記一般式(19)におけるY3、n8、n9について説明する。
上記n8は、1〜4の整数である。n9は、0又は1である。n9が1の場合、Y3は、n8価の連結基、又は、直接結合を表し、n8個存在するY3以外の構造部分とそれぞれ独立に、R22、R23、R24、又は、R25のいずれか1箇所で結合していることを表す。
上記一般式(19)において、n8が1である場合、n9は0であり、上記一般式(19)におけるY3以外の構造部分のみからなる化合物となる。
前記ホウ素含有化合物の熱安定性を向上する観点からは、上記一般式(19)において、n8は、2〜4の整数であり、n9は、1であることが好ましい。
上記一般式(19)において、n8が2である場合、上記一般式(19)におけるY3以外の構造部分が2つ存在することになる。ここで、Y3が2価の連結基である場合、2つ存在するY3以外の構造部分が2価の連結基であるY3を介して結合することになる。Y3が直接結合である場合、2つ存在するY3以外の構造部分が直接結合することになる。
上記一般式(19)で表される化合物において、n8が3以上である場合、Y3はn8価の連結基であり、上記一般式(19)におけるY3以外の構造部分がn8個存在し、それらが連結基であるY3を介して結合することとなる。
なお、Y3がn8価の連結基である場合、Y3はn8個存在するY3以外の構造部分とそれぞれ独立に、R22、R23、R24、又は、R25のいずれか1箇所で結合しているが、これは、Y3以外の構造部分のY3との結合部位は、n8個存在するY3以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n8個存在するY3以外の構造部分の全てが、R23、R24、又は、R25で結合していることが好ましい。
また、n8個存在するY3以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
上記一般式(19)におけるY3が、n8価の連結基である場合、該連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、置換基を有していてもよいヘテロ元素を含む基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基が挙げられる。これらの中でも、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基といった芳香環を有する基であることが好ましい。すなわち、上記一般式(19)におけるY3は、芳香環を有するn8価の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
更に、Y3は、上述した連結基が複数組み合わさった構造を有する連結基であってもよい。
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基としては、上述した式(12−1)〜(12−8)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、式(12−1)、(12−7)がより好ましい。
上記へテロ元素を含む基としては、上述した式(12−9)〜(12−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、式(12−12)、(12−13)がより好ましい。
上記芳香族炭化水素環基としては、上述した式(12−14)〜(12−20)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、式(12−14)、(12−19)、(12−20)がより好ましい。
上記芳香族複素環基としては、上述した式(12−21)〜(12−33)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、式(12−24)、(12−32)がより好ましい。
上記鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が有する置換基としては、上述した一般式(19)において、上記R23、R24及びR25が有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、Y3における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、ジアリールアミノ基である。
上記Y3における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が置換基を有する場合、置換基が結合する位置や数は特に制限されない。
上述したように、上記一般式(19)において、R22が結合している環は、少なくとも3つの環から構成される縮環構造であることがより好ましい。すなわち、前記ホウ素含有化合物が、下記一般式(20):
Figure 2021144980
(式中、点線の円弧は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。Q8は、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。R221及びR222は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、2価の基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。n9が1の場合、Y3は、n8価の連結基、又は、直接結合を表し、n8個存在するY3以外の構造部分とそれぞれ独立に、R221、R222、R23、R24、又は、R25のいずれか1箇所で結合していることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、Q7、R23、R24、R25、n8、及び、n9は一般式(19)と同様である。)で表されることがより好ましい。
上記一般式(20)において、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表している。該実線で表される骨格部分は、該実線に沿って点線が併記されている部分である。該環構造は3つあり、該環構造のそれぞれを、本明細書中、R221が結合している環、R222が結合している環、R23が結合している環と呼ぶ。
上記一般式(20)において、実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記一般式(20)において、R221、R222が結合している環は、芳香族性を有しない環であってもよいが、前記ホウ素含有化合物を安定化する観点から、芳香族炭化水素環、芳香族複素環等の芳香環であることが好ましい。該芳香環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環、フェナントリジン環、オキサジアゾール環、チアジアゾール環が挙げられ、これらはそれぞれ、上述した式(14−1)〜(14−36)で表される。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環である。
上記一般式(20)において、R23が結合している環は、上述した上記一般式(19)のR23が結合している環と同様である。
上記一般式(20)において、R221及びR222は、それぞれ、上述した上記一般式(19)のR22と同様である。
上記一般式(20)において、Q8は、上述した上記一般式(19)のQ7と同様である。例えば、上記Q7及びQ8の少なくとも一方が、炭素数1の連結基を表すことが好ましい。
なお、上記一般式(20)において、Y3がn8価の連結基である場合、Y3はn8個存在するY3以外の構造部分とそれぞれ独立に、R221、R222、R23、R24、又は、R25のいずれか1箇所で結合しているが、これは、Y3以外の構造部分のY3との結合部位は、n8個存在するY3以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n8個存在するY3以外の構造部分の全てが、R23、R24、又は、R25で結合していることが好ましい。
また、n8個存在するY3以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
前記ホウ素含有化合物が、下記式(21−1)〜(21−3):
Figure 2021144980
(式中、窒素原子からホウ素原子への矢印、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、Q7、R221、R222、R23、R24、R25、及び、Y3は一般式(20)と同様である。)のいずれかで表されるホウ素含有化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。これにより、熱安定性が向上する。中でも、前記ホウ素含有化合物が、上記式(21−2)で表されることがより好ましい。
また、第2材料に用いられるホウ素含有化合物としては、下記一般式(22)で表されるホウ素含有化合物も好ましい。
Figure 2021144980
一般式(22)中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q3及びQ4は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X5、X6は、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。X7、X8は、同一又は異なって、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表す。X5、X6、X7及びX8は、それぞれ点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。
上記一般式(22)において、点線の円弧は、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQ3とを繋ぐ骨格部分の一部又は、ホウ素原子とQ4と窒素原子とを繋ぐ骨格部分の一部と共に環構造が形成されていることを表している。これは、一般式(22)で表される化合物が構造中に少なくとも4つの環構造を有し、一般式(22)において、ホウ素原子とQ3とを繋ぐ骨格部分及びホウ素原子とQ4と窒素原子とを繋ぐ骨格部分が、該環構造の一部として含まれていることを表している。
上記一般式(22)において、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQ3とを繋ぐ骨格部分、及び、ホウ素原子とQ4と窒素原子とを繋ぐ骨格部分における点線部分は、それぞれの骨格部分において点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記一般式(22)において、窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。ここで、配位しているとは、窒素原子がホウ素原子に対して配位子と同様に作用して化学的に影響していることを意味する。
上記一般式(22)において、Q3及びQ4は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しているものであって、置換基を有していてもよい。これは、Q3及びQ4がそれぞれ、該環構造の一部として組み込まれていることを表している。
上記一般式(22)におけるQ3及びQ4としては、上記式(13−1)〜(13−8)で表される構造が挙げられる。なお、一般式(13−2)は、炭素原子に水素原子が2つ結合し、更に3つの原子が結合する構造であるが、当該水素原子以外の、炭素原子に結合する3つの原子は、いずれも水素原子以外の原子である。上記式(13−1)〜(13−8)の中でも、式(13−1)、(13−7)、(13−8)のいずれかが好ましい。より好ましくは、式(13−1)である。すなわち、Q3及びQ4が、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(22)において、X5〜X7が結合している環としては、上記一般式(11)において、Y1が直接結合であって、n1が2である場合、X1が結合している環の具体例と同様の環が挙げられる。それらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環、チオフェン環である。
上記一般式(22)において、X8が結合している環としては、上記一般式(11)において、Y1が直接結合であって、n1が2である場合、X2が結合している環の具体例と同様の環が挙げられ、その中での好ましい環構造も同様である。なお、上記式(15−1)〜(15−17)中の*印は、X7が結合している環を構成し、かつ、一般式(22)におけるホウ素原子とQ4と窒素原子とを繋ぐ骨格部分を構成する炭素原子が、*印の付された炭素原子のいずれか1つと結合することを表している。また、*印の付された炭素原子を除く位置で他の環構造と縮環していてもよい。
すなわち、上記一般式(22)で表されるホウ素含有化合物が、下記一般式(23)で表されるホウ素含有化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
Figure 2021144980
一般式(23)中、窒素原子からホウ素原子への矢印、X5、X6、X7及びX8は一般式(22)と同様である。
上記一般式(23)で表されるホウ素含有化合物は、ホウ素原子に配位している窒素原子を除いて、X5、X6、X7、X8の結合している環が炭素原子のみで構成されることとなるため、Sなどのヘテロ原子を環内に含む化合物と比べて、軌道の広がりが小さくなり、一般論としてHOMO−LUMOのエネルギーギャップが広く保たれる。よって、例えば、有機EL素子の電子注入層として好適に用いることができる。
上記一般式(22)において、X5、X6は、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表す。該1価の置換基としては特に制限されないが、上記一般式(11)におけるX1、X2、X3及びX4の1価の置換基の具体例と同様のものが挙げられ、より好ましい置換基としてオリゴアリール基、1価の複素環基、1価のオリゴ複素環基も含まれる他は、好ましい置換基も同様である。
なお、上記一般式(22)において、X5、X6、X7及びX8が1価の置換基である場合、環構造に対するX5、X6、X7及びX8の結合位置や結合する数は、特に制限されない。
上記一般式(22)において、X7、X8は、同一又は異なって、環構造の置換基となる電子輸送性の1価の置換基を表す。X7、X8として電子輸送性の置換基を有することで、上記一般式(22)で表されるホウ素含有化合物は、電子輸送性に優れた材料となる。
該電子輸送性の1価の置換基としては、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、トリアジン環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環由来1価の基;一つ以上の電子求引性置換基を有するベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環等の環内に炭素−窒素二重結合を有しない芳香族炭化水素環または芳香族複素環由来の1価の基;ジベンゾチオフェンジオキシド環、ジベンゾホスホールオキシド環、シロール環等が挙げられる。
上記電子求引性置換基としては、−CN、−COR、−COOR、−CHO、−CF3、−SO2Ph、−PO(Ph)2等が挙げられる。ここで、Rは、水素原子又は1価の炭化水素基を表す。
これらの中でも、電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合(C=N)を有する窒素原子含有複素環に由来する基であることが好ましい。
電子輸送性の1価の置換基は、環内に炭素−窒素二重結合を有する複素芳香環化合物に由来する1価の基のいずれかであることがより好ましい。
上記X5、X6、X7及びX8における置換基としては、上記一般式(11)のX1、X2、X3及びX4における置換基と同様である。
上記一般式(22)で表されるホウ素含有化合物は、下記構造式(22−1)で表されるホウ素含有化合物であることが最も好ましい。
Figure 2021144980
また、第2材料に用いられるホウ素含有化合物としては、下記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物も好ましい。
Figure 2021144980
一般式(24)中、点線の円弧は、実線で表される骨格部分と共に環構造が形成されていることを表す。実線で表される骨格部分における点線部分は、点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。窒素原子からホウ素原子への矢印は、窒素原子がホウ素原子へ配位していることを表す。Q5及びQ6は、同一又は異なって、実線で表される骨格部分における連結基であり、少なくとも一部が点線の円弧部分と共に環構造を形成しており、置換基を有していてもよい。X9、X10、X11及びX12は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。A1は、同一又は異なって、2価の基を表す。n2を付した括弧内の構造単位は、X9、X10、X11及びX12のいずれか2つで隣の構造単位と結合している。n2、n3は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表す。
上記一般式(24)におけるQ5、Q6はそれぞれ、上記一般式(22)におけるQ3、Q4と同様であり、好ましい形態も同様である。すなわち、Q5及びQ6は、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すことが好ましい。
上記一般式(24)において、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印は、上記一般式(22)と同様の意味であり、点線の円弧の好ましい構造も上記一般式(22)と同様である。すなわち、一般式(24)で表されるホウ素含有化合物は、下記一般式(25)で表されるホウ素含有化合物であることが好ましい。
Figure 2021144980
一般式(25)中、窒素原子からホウ素原子への矢印、X9、X10、X11、X12、A1、n2及びn3は、一般式(24)と同様である。n2を付した括弧内の構造単位の隣の構造単位との結合も一般式(24)と同様である。
上記一般式(24)において、n2は、n2を付した括弧内の構造単位の数を表し、1以上の数を表す。n3は、n3を付した括弧内の構造単位の数を表し、1以上の数を表す。n2、n3は、それぞれ独立に、同一又は異なって、1以上の数を表すが、これは、以下のような意味である。n2、n3は、それぞれ独立した数である。このため、n2、n3は同じ数であってもよいし、異なる数であってもよい。
上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物は、上記一般式(24)で表される繰り返し単位の構造を1つ有するものであってもよく、複数有するものであってもよい。ホウ素含有化合物が、上記一般式(24)で表される繰り返し構造を複数有する場合、ある構造におけるn2、n3と、隣り合う構造におけるn2、n3とは、同一であってもよいし異なっていてもよい。
したがって、上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物には、交互共重合体(上記一般式(24)で表される繰り返し構造を2つ以上有し、全ての一般式(24)で表される構造において、n2が同じ数であり、n3も同じ数である)、ブロック共重合体(上記一般式(24)で表される繰り返し構造を1つ有し、n2、n3の少なくとも1つが2以上)、ランダム共重合体(上記一般式(24)で表される繰り返し構造を2つ以上有し、該複数の一般式(24)で表される構造の中に少なくとも1つ、n2、n3のいずれか又は両方が他の構造におけるn2、n3と異なるものがある)のいずれの構造のものも含まれる。
上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物は、これらの中でも、交互共重合体であることが好ましい。
上記一般式(24)において、X9、X10、X11及びX12は、同一又は異なって、水素原子、環構造の置換基となる1価の置換基、又は、直接結合を表す。
上記一般式(24)では、X9、X10、X11及びX12のいずれか2つが、重合体の主鎖の一部として結合を形成することになる。X9〜X12のうち、重合体の主鎖の一部として結合を形成するものは、直接結合となる。X9、X10、X11及びX12のうち、重合に関与しないものは、水素原子又は1価の置換基となる。
9、X10、X11及びX12のうち、重合に関与しない1価の基の具体例及び好ましいものは、上述した一般式(22)で表されるホウ素含有化合物のX5、X6の具体例及び好ましいものと同様である。
上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物において、X9、X10、X11及びX12のうち、直接結合は、X9、X10、X11及びX12のいずれのものであってもよいが、X9とX10、又は、X11とX12とが直接結合であることが好ましい。この場合、上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物は、下記一般式(26)または一般式(27)で表される繰り返し単位の構造を有する重合体となる。
Figure 2021144980
一般式(26)および(27)中、点線の円弧、実線で表される骨格部分における点線部分、窒素原子からホウ素原子への矢印、Q5、Q6、A1、n2及びn3は、一般式(24)と同様である。一般式(26)中、X9、X10は、直接結合を表し、X11、X12は、水素原子又は1価の置換基を表す。一般式(27)中、X11、X12は、直接結合を表し、X9、X10は、水素原子又は1価の置換基を表す。
第2材料として用いるホウ素含有化合物が重合体である場合、重量平均分子量は5,000〜1,000,000であることが好ましい。重量平均分子量がこのような範囲であると、第2材料と、第1材料とを含む塗料組成物を塗布する方法により有機薄膜を製造する場合に容易に薄膜化できる。重量平均分子量は、より好ましくは10,000〜500,000であり、更に好ましくは30,000〜200,000である。
上記重量平均分子量は、ポリスチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって、以下の装置、及び、測定条件で測定できる。
高速GPC装置:HLC−8220GPC(東ソー社製)
展開溶媒:クロロホルム
カラム:TSK−gel GMHXL×2本
溶離液流量:1ml/min
カラム温度:40℃
上記一般式(24)におけるA1としては、2価の基であれば、特に制限されないが、アルケニル基、アリーレン基、2価の芳香族複素環基のいずれかが好ましい。
上記アリーレン基とは、芳香族炭化水素から、水素原子2個を除いた原子団であり、環を構成する炭素数は通常6〜60程度であり、好ましくは6〜20である。該芳香族炭化水素としては、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環または縮合環2個以上が直接又はビニレン等の基を介して結合したものも含まれる。
上記アリーレン基としては、例えば、下記一般式(28−1)〜(28−23)で表される基等が挙げられる。これらの中でもフェニレン基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基、スチルベン−ジイル基が好ましい。
Figure 2021144980
Figure 2021144980
なお、一般式(28−1)〜(28−23)において、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルキルオキシ基、アリールアルキルチオ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、イミド基、イミン残基、アミノ基、置換アミノ基、置換シリル基、置換シリルオキシ基、置換シリルチオ基、置換シリルアミノ基、1価の複素環基、ヘテロアリールオキシ基、ヘテロアリールチオ基、アリールアルケニル基、アリールエチニル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基またはシアノ基を表す。
一般式(28−1)〜(28−23)では、一般式(28−1)中においてx−yで示した線のように、環構造に交差して付された線は、環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。すなわち、一般式(28−1)においては、x−yで示される線が付された環を構成する炭素原子のいずれかと直接結合することを意味し、その環構造における結合位置は限定されない。
また、一般式(28−1)〜(28−23)では、一般式(28−10)中においてz−で示した線のように、環構造の頂点に付された線は、その位置において環構造が被結合部分における原子と直接結合していることを意味する。
また、環構造に交差して付されたRの付いた線は、Rが、その環構造に対して1つ結合していてもよく、複数結合していてもよいことを意味し、その結合位置も限定されない。
また、一般式(28−1)〜(28−10)及び(28−15)〜(28−20)において、炭素原子は窒素原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
上記2価の芳香族複素環基とは、芳香族複素環化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団をいい、環を構成する炭素数は通常3〜60程度である。該芳香族複素環化合物としては、環式構造をもつ芳香族有機化合物のうち、環を構成する元素が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素、ヒ素などのヘテロ原子を環内に含むものも含まれる。
上記2価の芳香族複素環基としては、例えば、下記一般式(29−1)〜(29−38)で表される複素環基等が挙げられる。
Figure 2021144980
Figure 2021144980
なお、一般式(29−1)〜(29−38)において、Rは、上記アリーレン基の有するRと同様である。Yは、O、S、SO、SO2、Se、又は、Teを表す。環構造に交差して付された線、環構造の頂点に付された線、環構造に交差して付されたRの付いた線については、一般式(28−1)〜(28−23)と同様である。
また、一般式(29−1)〜(29−38)において、炭素原子は窒素原子と置き換えられていてもよく、水素原子はフッ素原子に置換されていてもよい。
上記一般式(24)におけるA1としては、上述したものの中でも、式(28−1)、(28−9)、(29−1)、(29−9)、(29−16)、(29−17)が好ましく、より好ましくは式(28−1)、(28−9)である。この場合、上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物である第2材料と、第1材料とを含む塗料組成物を塗布する方法により有機薄膜を製造する場合に、優れた製膜性が得られる。
上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物は、一般式(24−1)または(24−2)で表されるホウ素含有化合物であることが最も好ましい。上記一般式(24)で表されるホウ素含有化合物としては、特に、溶媒に溶解しやすく、第1材料と第2材料とを含む塗料組成物を容易に調製できる一般式(24−2)で表されるホウ素含有化合物が好ましい。
Figure 2021144980
一般式(24−1)中、n5は、1以上の数を表す。
一般式(24−2)中、n4は、1以上の数を表す。
上述のホウ素含有化合物を、電子輸送性を有する第2材料として用いた場合、第1材料と第2材料とを含む塗料組成物を塗布する方法により容易に均一な有機薄膜が得られる。
また、上記ホウ素含有化合物は、最低非占有軌道(LUMO)エネルギーが深いため、有機EL素子の電子注入層としての材料として好適である。したがって、これらのホウ素含有化合物を第2材料として含む有機薄膜は、特に有機EL素子の電子注入層として好適である。
なお、上述のホウ素含有化合物は、例えば、国際公開第2016/181705号に記載の方法に従って合成できる。
本実施形態の有機薄膜に含まれる第1材料と第2材料との混合比は、特に限定されるものではなく、第1材料および第2材料それぞれに使用する化合物の種類に応じて適宜決定できる。第1材料と第2材料との混合比は、質量比(第1材料:第2材料)で0.01:99.9〜10:1であることが好ましい。例えば、第1材料としてジメチルアミノピリジン(DMAP)を用い、第2材料として一般式(22−1)で表されるホウ素含有化合物を用いた場合には、第1材料と第2材料との混合比は、質量比(第1材料:第2材料)で0.5:1〜40:1であることが好ましく、2:1〜20:1であることがより好ましい。上記混合比である場合、有機薄膜に第1材料と第2材料とが含まれていることによる電子輸送性および電子注入性の向上効果が顕著となる。
前記有機薄膜は、第1材料と第2材料のみからなるものであってもよいし、本発明の効果が得られる範囲で、第1材料と第2材料の他の材料を含むものであってもよい。第1材料と第2材料の他の材料を含む場合、例えば、有機薄膜中の他の材料の含有量(質量%)は、第2材料の含有量(質量%)以下であることが好ましい。
第1材料と第2材料の他の材料としては、電子輸送材料を用いることが好ましい。電子輸送材料としては、例えば、有機EL素子の電子輸送層の材料として従来公知のいずれの材料を用いてもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層6の材料としては、電子輸送層6の材料として通常用いることができるいずれの材料も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
電子輸送層6の材料として用いることができる低分子化合物の例としては、ビス[2−(o−ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール]亜鉛(II)(Zn(BTZ)2)、トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)等に代表される各種金属錯体、ホウ素含有化合物、トリス−1,3,5−(3’−(ピリジン−3”−イル)フェニル)ベンゼン(TmPyPhB)等のピリジン誘導体、(2−(3−(9−カルバゾリル)フェニル)キノリン(mCQ))等のキノリン誘導体、2−フェニル−4,6−ビス(3,5−ジピリジルフェニル)ピリミジン(BPyPPM)等のピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、バソフェナントロリン(BPhen)等のフェナントロリン誘導体、2,4−ビス(4−ビフェニル)−6−(4’−(2−ピリジニル)−4−ビフェニル)−[1,3,5]トリアジン(MPT)等のトリアジン誘導体、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)等のオキサジアゾール誘導体、2,2’,2”−(1,3,5−ベントリイル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)(TPBI)等のイミダゾール誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(PyPySPyPy)等のシロール誘導体に代表される有機シラン誘導体等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、Zn(BTZ)2が好ましい。
電子輸送層6の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、より好ましくは、40〜100nmである。なお、電子輸送層6の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
(発光層)
発光層7を形成する材料は、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよいし、これらを混合して用いてもよい。
発光層7を形成する高分子化合物としては、例えば、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(ジ−フェニルアセチレン)(PDPA)、ポリ(アルキルフェニルアセチレン)(PAPA)等のポリアセチレン系化合物;ポリ(パラ−フェンビニレン)(PPV)、ポリ(2,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレンビニレン)(RO−PPV)、シアノ−置換−ポリ(パラ−フェンビニレン)(CN−PPV)、ポリ(2−ジメチルオクチルシリル−パラ−フェニレンビニレン)(DMOS−PPV)、ポリ(2−メトキシ,5−(2’−エチルヘキソキシ)−パラ−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)等のポリパラフェニレンビニレン系化合物;ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)、ポリ(オキシプロピレン)トリオール(POPT)等のポリチオフェン系化合物;ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(ジオクチルフルオレン−アルト−ベンゾチアジアゾール)(F8BT)、α,ω−ビス[N,N’−ジ(メチルフェニル)アミノフェニル]−ポリ[9,9−ビス(2−エチルヘキシル)フルオレン−2,7−ジイル](PF2/6am4)、ポリ(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニル−オルト−コ(アントラセン−9,10−ジイル)等のポリフルオレン系化合物;ポリ(パラ−フェニレン)(PPP)、ポリ(1,5−ジアルコキシ−パラ−フェニレン)(RO−PPP)等のポリパラフェニレン系化合物;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)等のポリカルバゾール系化合物;ポリ(メチルフェニルシラン)(PMPS)、ポリ(ナフチルフェニルシラン)(PNPS)、ポリ(ビフェニリルフェニルシラン)(PBPS)等のポリシラン系化合物やホウ素化合物系高分子化合物等が挙げられる。
発光層7を形成する低分子化合物としては、リン光発光材料の他、8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)、トリス[1−フェニルイソキノリン−C2,N]イリジウム(III)(Ir(piq)3)、ビス[2−(o−ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール]亜鉛(II)(Zn(BTZ)2)トリス(4−メチル−8キノリノレート)アルミニウム(III)(Almq3)、8−ヒドロキシキノリン亜鉛(Znq2)、(1,10−フェナントロリン)−トリス−(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオネート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)3(phen))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィンプラチナム(II)等の各種金属錯体;ジスチリルベンゼン(DSB)、ジアミノジスチリルベンゼン(DADSB)等のベンゼン系化合物、ナフタレン、ナイルレッド等のナフタレン系化合物、フェナントレン等のフェナントレン系化合物、クリセン、6−ニトロクリセン等のクリセン系化合物、ペリレン、N,N’−ビス(2,5−ジ−t−ブチルフェニル)−3,4,9,10−ペリレン−ジ−カルボキシイミド(BPPC)等のペリレン系化合物、コロネン等のコロネン系化合物、アントラセン、ビススチリルアントラセン等のアントラセン系化合物、ピレン等のピレン系化合物、4−(ジ−シアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等のピラン系化合物、アクリジン等のアクリジン系化合物、スチルベン等のスチルベン系化合物、4,4’−ビス[9−ジカルバゾリル]−2,2’−ビフェニル(CBP)、4、4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)等のカルバゾール系化合物、2,5−ジベンゾオキサゾールチオフェン等のチオフェン系化合物、ベンゾオキサゾール等のベンゾオキサゾール系化合物、ベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系化合物、2,2’−(パラ−フェニレンジビニレン)−ビスベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール系化合物、ビスチリル(1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン)、テトラフェニルブタジエン等のブタジエン系化合物、ナフタルイミド等のナフタルイミド系化合物、クマリン等のクマリン系化合物、ペリノン等のペリノン系化合物、オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、アルダジン系化合物、1,2,3,4,5−ペンタフェニル−1,3−シクロペンタジエン(PPCP)等のシクロペンタジエン系化合物、キナクリドン、キナクリドンレッド等のキナクリドン系化合物、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン等のピリジン系化合物、2,2’,7,7’−テトラフェニル−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物、フタロシアニン(H2Pc)、銅フタロシアニン等の金属又は無金属のフタロシアニン系化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
発光層7としては、可視光を発光する材料以外にも、例えば、赤外の発光を示す有機材料を用いることもできる。また、発光層7の材料としては、有機材料以外にも、例えば量子ドットやCH3NH3PbBr3に代表されるペロブスカイト構造の材料(例えば、非特許文献3参照。)を用いてもよい。発光層7の材料としては、蛍光材料やリン光材料に加え、熱活性化遅延蛍光材料を用いてもよい。
発光層7の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましくより好ましくは20〜100nmである。なお、発光層7の平均厚さは、発光層7の材料が低分子化合物である場合、水晶振動子膜厚計により測定でき、また、発光層7の材料が高分子化合物である場合、接触式段差計により測定できる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層8の材料としては、正孔輸送層8の材料として通常用いることができるいずれの材料も用いることができ、これらを混合して用いてもよい。
正孔輸送層8の材料としては、1,1−ビス(4−ジ−パラ−トリアミノフェニル)シクロへキサン、1,1’−ビス(4−ジ−パラ−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等のアリールシクロアルカン系化合物、N4,N4’−ビス(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−N4,N4’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(DBTPB)、4,4’,4”−トリメチルトリフェニルアミン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD1)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD2)、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メトキシフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(TPD3)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、トリフェニルアミンテトラマー(TPTE)、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA)等のアリールアミン系化合物、N,N,N’,N’−テトラフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(パラ−トリル)−パラ−フェニレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(メタ−トリル)−メタ−フェニレンジアミン(PDA)等のフェニレンジアミン系化合物、カルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−フェニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、スチルベン、4−ジ−パラ−トリルアミノスチルベン等のスチルベン系化合物、OxZ等のオキサゾール系化合物、トリフェニルメタン、m−MTDATA等のトリフェニルメタン系化合物、1−フェニル−3−(パラ−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ベンジン(シクロヘキサジエン)系化合物、トリアゾール等のトリアゾール系化合物、イミダゾール等のイミダゾール系化合物、1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ジ(4−ジメチルアミノフェニル)−1,3,4,−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、アントラセン、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のアントラセン系化合物、フルオレノン、2,4,7,−トリニトロ−9−フルオレノン、2,7−ビス(2−ヒドロキシ−3−(2−クロロフェニルカルバモイル)−1−ナフチルアゾ)フルオレノン等のフルオレノン系化合物、ポリアニリン等のアニリン系化合物、シラン系化合物、1,4−ジチオケト−3,6−ジフェニル−ピロロ−(3,4−c)ピロロピロール等のピロール系化合物、フルオレン等のフルオレン系化合物、ポルフィリン、金属テトラフェニルポルフィリン等のポルフィリン系化合物、キナクリドン等のキナクリドン系化合物、フタロシアニン、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン、鉄フタロシアニン等の金属又は無金属のフタロシアニン系化合物、銅ナフタロシアニン、バナジルナフタロシアニン、モノクロロガリウムナフタロシアニン等の金属又は無金属のナフタロシアニン系化合物、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン等のベンジジン系化合物、9−(2−エチルヘキシル)−N,N,N,N−テトラキス(4−メタオキシフェニル)−9H−カルバゾール−2,7−ジアミン)(EH44)等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。これらの中でも、DBTPB、α−NPD、TCTA等のアリールアミン系化合物が好ましい。これらの正孔輸送層8に用いることができる材料は、後述する正孔注入層のホスト材料としても好適に用いることができる。
正孔輸送層8の平均厚さは、特に限定されないが、10〜150nmであることが好ましく、より好ましくは、40〜100nmである。なお、正孔輸送層8の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
(正孔注入層)
正孔注入層9は、有機物からなる正孔注入層ホスト材料と、正孔注入能を有する電子吸引性ドーパントと、を含む。ここで、前記電子吸引性ドーパントの比率は、前記正孔注入層ホスト材料と前記電子吸引性ドーパントとの合計量に対して、12質量%以上50質量%以下であり、18質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
前記電子吸引性ドーパントの濃度については、有機EL素子1のキャリアバランス、前記正孔注入層ホスト材料のHOMO及び正孔移動度等、使用する有機EL素子1の条件によって決定可能であるが、12質量%以上ドーピングした場合、大気中で保管しても、発光面の劣化を抑制する性能が高く、18質量%以上ドーピングした場合、発光面の劣化を抑制する性能が特に高い。
前記有機物からなる正孔注入層ホスト材料としては、特に限定されないが、前述の正孔輸送層8の項に記載の有機物からなる材料をはじめとする正孔輸送能を有する材料が好ましい。該正孔注入層ホスト材料としても、上記の、DBTPB、α−NPD、TCTA等のアリールアミン系化合物が好ましい。
一方、正孔注入層9の前記電子吸引性ドーパントは、正孔注入能を有する電子吸引性の材料である。該電子吸引性ドーパントは、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン等の電子吸引性の官能基を有することが好ましい。該電子吸引性ドーパント材料としては、例えば、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)、1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロテトラシアノナフトキノジメタン(F6−TCNNQ)等を用いることができる。これらの中でも、F4−TCNQ、F6−TCNNQ等のテトラシアノキノジメタンを官能基に持つ材料が特に好ましい。ここで、テトラシアノキノジメタンとは、2つのシアノ基と炭素で形成される基[(N≡C)2C=]の2つが、2重結合で芳香環に結合した構造であり、「テトラシアノキノジメタンを官能基に持つ材料」とは、かかる構造を官能基として有する材料である。
正孔注入層9の平均厚さは、特に限定されないが、1〜1000nmであることが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。なお、正孔注入層9の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定することができる。
また、正孔注入層9と後述する陽極10の間に、何らかのバッファ層を挟んでいてもよい。
(陽極)
陽極10の材料としては、Au、Pt、Ag、Cu、Pd、Mo、Ni、Mg、Bi等の金属元素、又はこれらを含む合金、ITO、IZO、AZO等の透明導電性酸化物、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)等の導電性炭素、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)などの導電性ポリマー又はこれらの混合物等が挙げられる。この中でも陽極10の材料として、Ag、Au、Pd、ITO、IZOのいずれかを用いることが好ましく、また、酸化し難いため、Pd、Pt、Ag、Auが更に好ましく、Ag、Auが特に好ましい。
特に、正孔注入層9と陽極10とが隣接している場合、陽極10は、金属元素単体、透明導電性酸化物単体、又は、金属元素と透明導電性酸化物の積層体からなることが好ましい。
陽極10の平均厚さは、特に限定されないが、例えば10〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは30〜150nmである。
有機EL素子1がトップエミッション型のものである場合には、陽極10の材料として、透明な材料を用いることが好ましい。有機EL素子1がトップエミッション型のものであって、陽極10の材料として照射光に不透明な材料を用いる場合、平均厚さを8〜30nm程度にすることで、透明な陽極10として使用できる。
陽極10の平均厚さは、水晶振動子膜厚計により成膜時に測定できる。
(封止)
本発明の有機EL素子は、水蒸気透過率(WVTR)が3×10-3g/m2/day以上の、低レベルの封止がなされている。
このように、本発明の有機EL素子は、低レベルの封止であっても、保存安定性が高いため、フレキシブル化が可能で、安価に製造できる。また、製品毎の品質のばらつきを低減でき、大面積化が容易になるメリットもある。該水蒸気透過率は、例えば、Ca腐食法により測定することができる。
本発明の有機EL素子の封止に関して、水蒸気透過率(WVTR)の上限はなく、例えば、フィルム等で構成部材(基板、陰極、発光層、正孔注入層、陽極等)を覆った封止であってもよく、筐体で囲んだだけの封止であってもよい。また、水蒸気透過率(WVTR)が3×10-3g/m2/day以上の封止には、無封止も包含される。
(形成方法)
図1に示す有機EL素子1において、全ての層を形成する方法は、特に制限されず、気相成膜法であるプラズマCVD、熱CVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射法、そして液相成膜法である電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、ゾル・ゲル法、MOD法、スプレー熱分解法、微粒子分散液を用いたドクターブレード法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーンプリンティング法等の印刷技術等を用いることができ、材料に応じた適切な方法を選択して用いることができる。
これらの方法は各層の材料の特性に応じて選択するのが好ましく、層ごとに作製方法が異なっていてもよい。
<表示装置>
本発明の表示装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする。本発明の表示装置は、上述した大気中での保存安定性(保存寿命)が良好な有機EL素子を具えるため、保存寿命が長く、長期間安定して使用できる。本発明の表示装置は、上述した有機EL素子の他に、表示装置に一般に用いられる他の部品を具えることができる。
<照明装置>
本発明の照明装置は、上記の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする。本発明の照明装置は、上述した大気中での保存安定性(保存寿命)が良好な有機EL素子を具えるため、保存寿命が長く、長期間安定して使用できる。本発明の照明装置は、上述した有機EL素子の他に、照明装置に一般に用いられる他の部品を具えることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[1]ITO膜(膜厚150nm、幅3mmにパターニング済)からなる陰極3を有する、平均厚さ0.7mmの市販されているガラス製透明基板(以下、単に基板とも称する)2を用意した。
[2]次に、陰極3を有する基板2を、アルカリ洗浄剤とPVAスポンジを用いてスクラブ洗浄後、アセトン中及びイソプロパノール中でそれぞれ10分間超音波洗浄し、更にイソプロパノール蒸気中で5分間洗浄を行った。その後、基板2をイソプロパノール中から取り出し、窒素ブローにより乾燥させ、UVオゾン洗浄を20分間行った。
[3]次に、基板をミラートロンスパッタ装置(長州産業製)内の基板ホルダーにセットし、Znターゲットを用いたミラートロンスパッタによる反応性スパッタを用いて酸化亜鉛膜を3nm形成した。次に、陰極3上に酸化亜鉛の製膜された基板2を、大気中でホットプレートにより400℃で1時間熱処理した。これにより、無機電子注入層4を形成した。
[4]次に、下記構造式(30):
Figure 2021144980
で示されるホウ素含有化合物(SPB−BPy2)の1.0質量%シクロペンタノン溶液を作製した。なお、該ホウ素含有化合物は、特開2016−54173号公報の合成例4に記載の方法に従って合成した。無機電子注入層4まで形成した基板2をスピンコーターにセットし、上記ホウ素含有化合物のシクロペンタノン溶液を滴下し、毎分3000回転で30秒間回転させて塗布した。更に、上記ホウ素含有化合物のシクロペンタノン溶液を塗布した基板2を、窒素雰囲気中で150℃にセットしたホットプレートを用いて、1時間アニールした。これにより、平均膜厚が25nmのホウ素含有化合物からなる有機電子注入層5を形成した。
[5]次に、有機電子注入層5まで形成した基板2を、真空蒸着装置のチャンバー内の基板ホルダーに固定した。下記構造式(31)で示されるビス[2−(o−ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール]亜鉛(II)(Zn(BTZ)2)、下記構造式(32)で示されるトリス[1−フェニルイソキノリン−C2,N]イリジウム(III)(Ir(piq)3)、メルク社製正孔輸送材料HTM−081、下記構造式(33)で示される1,3,4,5,7,8−ヘキサフルオロテトラシアノナフトキノジメタン(F6−TCNNQ)、Agをそれぞれルツボに入れて蒸着源にセットした。
Figure 2021144980
[6]真空蒸着装置内を約1×10-5Paまで減圧し、Zn(BTZ)2を10nm成膜して電子輸送層6とした。
更に、Zn(BTZ)2をホスト、Ir(piq)3をドーパントとして20nm共蒸着し、発光層7を製膜した。この時、Ir(piq)3のドープ濃度が発光層7全体に対して6質量%となるようにした。
次に、HTM−081を50nm成膜することにより、正孔輸送層8を製膜した。
更に、HTM−081をホスト、F6−TCNNQをドーパントとして10nm共蒸着し、正孔注入層9を製膜した。この時、F6−TCNNQのドープ濃度が正孔注入層9全体に対して18質量%となるようにした。
最後に、Agを膜厚100nmになるように蒸着して、陽極10を形成した。以上の工程により、実施例1の有機EL素子1を得た。
なお、陽極10を蒸着する時、ステンレス製の蒸着マスクを用いて蒸着面が幅3mmの帯状になるようにした。このことにより、有機EL素子1の発光面積を9mm2とした。
また、有機EL素子1に対しては、封止を全く行わず、その水蒸気透過率(WVTR)は3×10-3g/m2/day以上である。
(実施例2)
正孔注入層9へのF6−TCNNQのドープ濃度が正孔注入層9全体に対して12質量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の有機EL素子1を得た。
(実施例3)
正孔注入層9のゲスト材料に下記構造式(34)で示される1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレン−2,3,6,7,10,11−ヘキサカルボニトリル(HAT−CN)を用い、ドープ濃度を正孔注入層9全体に対して40質量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の有機EL素子1を得た。
Figure 2021144980
(実施例4)
正孔注入層9のゲスト材料に下記構造式(35)で示される2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)を用い、ドープ濃度を正孔注入層9全体に対して40質量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4の有機EL素子1を得た。
Figure 2021144980
(実施例5)
正孔注入層9のホスト材料に下記構造式(36)で示されるN4,N4’−ビス(ジベンゾ[b,d]チオフェン−4−イル)−N4,N4’−ジフェニルビフェニル−4,4’−ジアミン(DBTPB)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の有機EL素子1を得た。
Figure 2021144980
(実施例6)
正孔注入層9のホスト材料に下記構造式(37)で示される9−(2−エチルヘキシル)−N,N,N,N−テトラキス(4−メタオキシフェニル)−9H−カルバゾール−2,7−ジアミン)(EH44)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の有機EL素子1を得た。
Figure 2021144980
(実施例7)
正孔注入層9へのF6−TCNNQのドープ濃度を正孔注入層9全体に対して12質量%となるようにし、陽極10をAgとBiを質量比9:1で共蒸着により100nm成膜して形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例7の有機EL素子1を得た。
(実施例8)
正孔注入層9へのF6−TCNNQのドープ濃度を正孔注入層9全体に対して12質量%となるようにし、その後Pdを2nm蒸着成膜した後、ミラートロンスパッタリング装置へ搬送してIZO膜を60nmスパッタ成膜して陽極10を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例8の有機EL素子1を得た。
(実施例9)
有機電子注入層5の形成のために、1.0質量%のホウ素含有化合物(SPB−BPy2)、2.0質量%のジアザビシクロノネン(DBN)のシクロペンタノン混合溶液を作製した。
無機電子注入層4まで形成した基板2をスピンコーターにセットし、上記ホウ素含有化合物、DBNのシクロペンタノン混合溶液を滴下し、毎分3000回転で30秒間回転させて塗布した。更に、上記ホウ素含有化合物のシクロペンタノン溶液を塗布した基板2を、窒素雰囲気中で150℃にセットしたホットプレートを用いて、1時間アニールした。これにより、平均膜厚が30nmのDBNがドープされたホウ素含有化合物からなる有機電子注入層5を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例9の有機EL素子1を得た。
(実施例10)
陽極上に熱硬化樹脂を塗布し、尾池工業社製封止フィルム(水蒸気透過率WVTR:3×10-3g/m2/day)を貼り付けて封止構造を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例10の有機EL素子1を得た。
(比較例1、2)
正孔注入層9へのF6−TCNNQのドープ濃度を正孔注入層9全体に対して4質量%又は10質量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1及び2の有機EL素子1を得た。
(比較例3)
正孔注入層9のゲスト材料にF4−TCNQを用い、ドープ濃度を正孔注入層9全体に対して5質量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の有機EL素子1を得た。
(比較例4〜7)
正孔注入層9として、HAT−CNを10nm、酸化モリブデン(MoOx)を5nm、F4−TCNQを1nm、F6−TCNNQを1nm、それぞれ成膜して形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4、5、6及び7の有機EL素子1を得た。
(比較例8)
正孔注入層9へのF6−TCNNQのドープ濃度を正孔注入層9全体に対して4質量%となるようにし、陽極10をAgとBiを質量比9:1で共蒸着により100nm成膜して形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例8の有機EL素子1を得た。
(比較例9)
正孔注入層9へのF6−TCNNQのドープ濃度を正孔注入層9全体に対して4質量%となるようにし、その後Pdを2nm蒸着成膜した後、ミラートロンスパッタリング装置へ搬送してIZO膜を60nmスパッタ成膜して陽極10を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例9の有機EL素子1を得た。
(比較例10)
陽極上に熱硬化樹脂を塗布し、尾池工業社製封止フィルム(水蒸気透過率WVTR:3×10-3g/m2/day)を貼り付けて封止構造を形成した以外は、比較例1と同様にして、比較例10の有機EL素子1を得た。
<保存寿命試験>
実施例及び比較例の有機EL素子を常温・常湿で保存し、保存寿命試験を開始(0時間経過)してから2500時間経過後に、有機EL素子の発光面画像を撮影した。なお、本試験では、発光面画像取得時のみ、有機EL素子を点灯させて評価を行った。発光面画像を図2から図7に示す。なお、画面縦方向にAg陽極ラインが存在し、発光面画像の発光部左右では正孔注入層9が露出している。
また、発光面劣化評価の指標として、2500時間経過後に発光面画像について、面内最高輝度値を1として2値化し、0時間経過時の発光面積を100%とした場合の発光部の面積比率を算出した。2500時間経過後の発光面積比率の評価結果を表1に示す。
面積比率は、95%以上を記号◎、90%以上95%未満を記号〇、80%以上90%未満を記号△、80%未満を記号×で示している。

Figure 2021144980
図2から図7、表1の比較例1〜3と実施例1〜4、9の比較により、Agを陽極とし正孔注入層ドーパント材料を高濃度に添加することにより、2500時間という長期の劣化試験後も発光面の劣化(正孔注入層が露出した横方向からのシュリンク)が抑制されていることが分かる。
特に、正孔注入性を有する材料単体で正孔注入層9を形成した比較例4〜7と比較して、大幅に大気安定性が向上していることが分かる。
また、実施例7及び8と比較例8及び9の比較から、酸化物陽極や合金陽極を用いた場合でも、同様に発光面劣化が抑制されており、正孔注入層ドーパント材料を高濃度で添加することが、有機EL素子の大気安定性の向上に有効であることが分かる。
1:有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子
2:基板
3:陰極
4:無機電子注入層
5:有機電子注入層
6:電子輸送層
7:発光層
8:正孔輸送層
9:正孔注入層
10:陽極

Claims (7)

  1. 基板と、陰極と、発光層と、正孔注入層と、陽極と、をこの順に具え、
    水蒸気透過率(WVTR)が3×10-3g/m2/day以上の封止がなされており、
    前記正孔注入層が、有機物からなる正孔注入層ホスト材料と、正孔注入能を有する電子吸引性ドーパントと、を含み、
    前記電子吸引性ドーパントの比率が、前記正孔注入層ホスト材料と前記電子吸引性ドーパントとの合計量に対して、12質量%以上50質量%以下であることを特徴とする、有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記正孔注入層と、前記陽極と、が隣接しており、
    前記陽極が、金属元素単体、透明導電性酸化物単体、又は、金属元素と透明導電性酸化物の積層体からなる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記電子吸引性ドーパントの比率が、前記正孔注入層ホスト材料と前記電子吸引性ドーパントとの合計量に対して、18質量%以上50質量%以下である、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記電子吸引性ドーパントが、テトラシアノキノジメタンを官能基に持つ材料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 酸解離定数pKaが1以上の有機材料である第1材料と、電子を輸送する第2材料とを少なくとも含み、前記第1材料が、三級アミン、フォスファゼン化合物、グアニジン化合物、アミジン構造を含む複素環式化合物、環構造を有する炭化水素化合物、及び、ケトン化合物から選ばれるいずれか1種または2種以上である有機薄膜を、前記陰極と前記発光層との間に更に具える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、表示装置。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を具えることを特徴とする、照明装置。
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