JP2019077826A - 注形用エポキシ樹脂組成物、コイル、及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】コイルや電子部品への高含浸性を有し、絶縁破壊電圧が高く、かつ信頼性にも優れた注形用エポキシ樹脂組成物、該注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなるコイル、及び該コイルを含む電子部品を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂、(B)下記一般式(1)で表されるフェニルグリシジルエーテル、(C)酸無水物硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含有し、前記(A)成分と(B)成分との質量比率が90:10〜45:55であることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物。(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R1、R2、及びR3のうち少なくとも1つがアルキル基である。)【選択図】なし

Description

本発明は、注形用エポキシ樹脂組成物、該注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなるコイル、及び該コイルを含む電子部品に関する。
従来より、鉄道車両用モータ、発電機の回転機、各種電気機器製品用コイル製品において、高い含浸性、高い電気的絶縁性が要求され、このような観点からコイルの絶縁処理に熱硬化性樹脂組成物、特にエポキシ樹脂組成物が多用されている。例えば、酸無水物硬化型のエポキシ樹脂組成物は、高温時の機械特性、電気絶縁性、高電圧特性に優れており、稼動中に大きな振動が加わる回転機におけるコイルの絶縁処理に用いることで、その性能や信頼性を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、自動車などの各種機器に使用されるコイル、例えば、イグニッションコイルに対しては、高電圧が印加されるため、単に通常のエポキシ樹脂組成物を用いたのみでは、絶縁性が不十分であって絶縁破壊等が生じる場合がある。また、封止樹脂硬化物の冷熱サイクルに起因した熱応力や機械的応力によって、封止樹脂硬化物にクラックが生じたりする場合があった。封止樹脂硬化物にクラックが生じると、イグニッションコイルに電流を流した際に、前記クラック部分で異常放電等が発生することになり、上記イグニッションコイルを正常に作動させることができない。そのため、樹脂組成物からなる硬化物には耐クラック性も求められる。
樹脂組成物からなる硬化物の耐クラック性を向上させる一般的手法として、当該樹脂組成物中にシリカを大量に添加して線膨張係数を低減させる手法がある。しかし、この手法は液状樹脂成分が含浸するために必要な銅線の隙間をシリカ微粉で塞いでしまい、結果として、二次巻線間に樹脂組成物が含浸せず絶縁不良に至る。このような問題に鑑み、たとえば、特許文献2には、平均粒径2μm以下の球状シリカ、2種類の酸無水物、硬化促進剤、およびエポキシ樹脂を含む2液型のエポキシ樹脂組成物が開示されている。当該エポキシ樹脂組成物を用いて線膨張率を低減させることによって耐冷熱サイクル性を向上させ、上述した熱応力によるクラックの発生を防止する試みがなされている。
また、絶縁破壊電圧を向上させるために、特許文献3では、平均粒径10〜30μmと平均粒径0.01〜1.5μmのシリカ粒子を含むモールドコイル含浸用樹脂が提案されている。
特開平10−60084号公報 特開平11-71503号公報 特開2008-195782号公報
最近のコイル・電子部品においては、耐電圧性能の向上要求が厳しくなっている。耐電圧性能では30kV/mm以下の仕様が35kV/mm以上へと要求が高まってきており、これまでの樹脂系ではその性能を達成することが困難であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、コイルや電子部品への高含浸性を有し、絶縁破壊電圧が高く、かつ信頼性にも優れた注形用エポキシ樹脂組成物、該注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなるコイル、及び該コイルを含む電子部品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、注形用エポキシ樹脂として、特定の置換基を持つフェニルグリシジルエーテルを使用することにより、コイルなどへの高含浸性を確保しつつ、絶縁破壊電圧が高く、かつ成形性に優れ信頼性も良好な注形用エポキシ樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)下記一般式(I)で表されるフェニルグリシジルエーテル、(C)酸無水物硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含有し、
前記(A)成分と(B)成分との質量比率が90:10〜45:55であることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物。

(式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R、R、及びRのうち少なくとも1つがアルキル基である。)
[2]前記(B)フェニルグリシジルエーテルが有する前記アルキル基が、分岐アルキル基であることを特徴とする上記[1]に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
[3]さらに(E)無機フィラーを含むことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
[4]前記(E)無機フィラーがクリストバライトであることを特徴とする上記[3]に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなることを特徴とするコイル。
[6]上記[5]に記載のコイルを含む電子部品。
本発明によれば、コイルや電子部品への高含浸性を有し、絶縁破壊電圧が高く、かつ信頼性にも優れた注形用エポキシ樹脂組成物、該注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなるコイル、及び該コイルを含む電子部品を提供することができる。
本発明のコイル製品例を示す断面模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
[注形用エポキシ樹脂組成物]
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)下記一般式(I)で表されるフェニルグリシジルエーテル、(C)酸無水物硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含有し、
前記(A)成分と(B)成分との質量比率が90:10〜45:55であることを特徴とする。

(式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R、R、及びRのうち少なくとも1つがアルキル基である。)
まず、本発明の注形用エポキシ樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ともいう)の各成分について述べる。
〔(A)エポキシ樹脂〕
本発明で用いる(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のグリシジル基(エポキシ基)を有するものであれば、分子量、分子構造等に制限されることなく一般的に用いられているものを用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリシジルエーテル、3官能フェノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、(A)成分のエポキシ樹脂は20℃において液状であることが好ましく、2種以上を混合して使用する場合は、混合したときに液状であることが好ましい。
〔(B)特定の構造を有するフェニルグリシジルエーテル〕
本発明で用いる(B)成分のフェニルグリシジルエーテルは、下記一般式(I)で表される化合物である。

(式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R、R、及びRのうち少なくとも1つがアルキル基である。)
上記、R、R、及びRのアルキル基としては、直鎖アルキル基、分岐アルキル基又はシクロアルキル基が挙げられ、中でも、分岐アルキル基が好ましい。これらのアルキル基は、置換基を有していてもよい。
直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。
分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec−プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。中でもsec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記(B)成分の市販品としては、例えば、YED−122(三菱ケミカル(株)製、商品名)、ED−509E((株)ADEKA製、商品名)等が挙げられる。
前記(A)成分と(B)成分との質量比率は90:10〜45:55であり、好ましくは90:10〜60:40である。(A)成分の割合が上記範囲を超えると十分な高絶縁性を確保することができない。また、(A)成分の割合が上記範囲未満ではガラス転移温度などの硬化物物性が低下し、高絶縁性を確保することができない。
〔(C)酸無水物硬化剤〕
本発明で用いる(C)成分の酸無水物硬化剤は、分子中に酸無水物基を有し、前記(A)成分及び(B)成分と反応して硬化するものであれば特に制限なく用いることができる。(C)成分の酸無水物硬化剤としては、例えば、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ペンタデセニル無水コハク酸などが挙げられる。これらの酸無水物硬化剤は、1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(C)成分の酸無水物硬化剤の含有量は、前記(A)成分及び(B)成分中のエポキシ基数(x)と(C)成分の酸無水物硬化剤中の酸無水物基数(y)との比(x)/(y)を好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.8〜1.1、更に好ましくは0.9〜1.0となるように調製する。比(x)/(y)を上記範囲内とすることで、(A)成分、(B)成分及び(C)成分がそれぞれ十分に反応し、絶縁性を高めることができる。また、比(x)/(y)が0.7未満では(C)成分が十分に反応できず、1.3超では(A)成分及び(B)成分が十分に反応できず、絶縁性が低下する。
〔(D)硬化促進剤〕
本発明で用いる(D)成分の硬化促進剤は、前記(A)成分と(B)成分との反応、又は(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の反応を促進するものであれば特に制限なく使用することできる。
(D)成分の硬化促進剤としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)およびそのオクチル塩等の3級アミン類;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンなどが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(D)成分の硬化促進剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.3〜3質量部、更に好ましくは0.5〜1質量部である。(D)成分の硬化促進剤の含有量が0.1質量部以上であると、硬化反応が顕著に促進され、5質量部以下であると含浸性などの特性が良好となる。
〔(E)無機フィラー〕
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、さらに(E)無機フィラーを含むことが機械強度や熱伝導性の向上の観点から好ましい。
(E)成分の無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等が使用可能である。なかでもシリカが好ましく用いられる。シリカとしては、破砕した溶融シリカ、及び球状の溶融シリカなどを用いることができる。
破砕した溶融シリカとしては、例えば、ヒューズレックスRD−8、ヒューズレックスRD−120、ヒューズレックスE−1、ヒューズレックスE−2 MSR−15、MSR−3500、TZ−20〔以上、(株)龍森製、商品名〕等が挙げられる。球状の溶融シリカとしては、例えば、FB−5D、FB959〔デンカ(株)製、商品名〕等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(E)成分の無機フィラーの平均粒径は、通常、1〜30μm程度、好ましくは5〜20μmである。なお、この平均粒径は、レーザ回折散乱方式(たとえば、(株)島津製作所製、装置名:SALD-3100)により測定することができる。
また、シリカとしては熱時の絶縁破壊強さを向上させる観点から、クリストバライトが好ましい。クリストバライトの形状としては、作業性、含浸性の観点から、球状が好ましく、例えば、球状溶融シリカをクリストバライト化することで得ることができる。具体的には、球状溶融シリカを1200〜1600℃の高温で5〜24時間加熱し、結晶を確実に成長させた後、20〜50時間かけてゆっくりと室温まで冷却することでクリストバライト化させることができる。
クリストバライトは、中心粒径が5〜30μm、クリストバライト化率が95〜98%であることが好ましい。
樹脂組成物の全量に対する(E)成分の無機フィラーの配合量は、好ましくは30〜87質量%、より好ましくは35〜70質量%、更に好ましくは40〜60質量%である。30質量%以上とすることで硬化物の機械的強度が向上し、クラックの発生を抑制することができる。また、87質量%以下とすることで粘度上昇を抑制することができ、作業性やコイルへの含浸性を高めることができる。
また、(E)成分の無機フィラーは、樹脂組成物中へのカップリング剤の添加処理により、その表面改質を施すことで、さらに優れた硬化物の絶縁信頼性、機械的強度を得ることができる。ここで用いることができるカップリング剤としては、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられ、耐湿性などの特性向上に優れていることから、特にシランカップリング剤が好ましい。
これらカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは単独でも2種類以上併用してもよい。
カップリング剤を使用する場合の配合量は、樹脂組成物中に0.1〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。上記範囲内であれば、(E)成分の無機フィラーの表面改質を十分に行うことができる。
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、以上の各成分の他、本発明の効果を阻害しない範囲で、顔料、染料、消泡剤、レベリング剤、その他の添加剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物中に含まれる前記(A)成分〜(D)成分の合計含有量は、該樹脂組成物中に(E)成分を含有する場合、好ましくは40〜60質量%、より好ましくは45〜50質量%であり、該樹脂組成物中に(E)成分を含有しない場合、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物の25℃条件下での絶縁破壊電圧は、好ましくは30kV/mm以上、より好ましくは31kV/mm以上である。また、当該硬化物の150℃条件下での絶縁破壊電圧は、好ましくは30kV/mm以上、より好ましくは31kV/mm以上、更に好ましくは33kV/mm以上である。
なお、上記絶縁破壊電圧は実施例に記載の方法により測定することができる。
[コイル・電子部品]
本発明のコイルは上述の注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなる。また、本発明の電子部品は、上記コイルを含むのである。
図1は、本発明のコイル製品例を示す断面模式図である。図1に示すように、コイルAは、中心コア1、一次ボビン3、一次コイル4、二次ボビン5、二次コイル6、端子7、イグナイター8がケース9内に固定されている。ケース9と中心コア1等との空隙には、上述した注形用エポキシ樹脂組成物10が注形され、加熱硬化されている。
<電子部品の製造方法>
次に本発明の注形用エポキシ樹脂組成物を用いた電子部品の製造方法について説明する。
本発明の電子部品は、コイルや内部部品を、前記樹脂組成物を真空加圧含浸処理することで製造することができる。真空加圧含浸処理は、例えばケースに収納されたコイルや内部部品に樹脂組成物を注入し、真空含浸処理(減圧含浸処理)と加圧処理とを行うことによって行われる。この際、真空含浸処理は、例えば温度40℃以上80℃以下、圧力100Pa以上450Pa以下、時間30分以上120分以下で行うことが好ましい。また、加圧処理は、例えば圧力2×10Pa以上10×10Pa以下、時間15分以上120分以下で行うことが好ましい。
そして、真空加圧含浸処理されたコイルや内部部品は、常圧に戻された後、含浸処理された樹脂組成物の加熱、硬化が行われる。加熱、硬化は、例えば60℃以上200℃以下の温度で行うことが好ましい。
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなるコイルを含む電子部品としては、発電機、電圧トランス、イグニッションコイル等が挙げられる。
次に実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
(A)エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂R−140P(三井化学(株)製、商品名)70質量部、(B)フェニルグリシジルエーテルとして4−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルED−509E((株)ADEKA製、商品名)30質量部、(C)酸無水物硬化剤としてHN−7000(日立化成(株)製、商品名)84質量部、(D)硬化促進剤としてカオーライザーNo.20(花王(株)製、商品名)0.5質量部を混合して注形用エポキシ樹脂組成物を製造した。
(実施例2〜6、比較例1〜4)
実施例1において、表1に記載の種類及び配合量の各成分に変更した以外は、実施例1と同様にして注形用エポキシ樹脂組成物を得た。なお、表1中、空欄は配合なしを表す。
注形用エポキシ樹脂組成物の調製に使用した表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
<エポキシ樹脂>
〔(A)成分〕
・R−140P:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井化学(株)製、商品名、エポキシ当量188
<特定の構造を有するフェニルグリシジルエーテル>
〔(B)成分〕
・ED−509E:4−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、(株)ADEKA製、商品名
・YED−122:2−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、三菱ケミカル(株)製、商品名
〔(B)成分以外のフェニルグリシジルエーテル〕
・PGE:フェニルグリシジルエーテル、阪本薬品工業(株)製、商品名
<酸無水物硬化剤>
〔(C)成分〕
・HN−7000:メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、日立化成(株)製、商品名
<硬化促進剤>
〔(D)成分〕
・カオーライザーNo.20:ベンジルジメチルアミン(BDMA)、花王(株)製、商品名
<無機フィラー>
〔(E)成分〕
・ヒューズレックスRD−8:溶融シリカ、(株)龍森製、商品名、平均粒径15μm
・CRJ−C1:クリストバライト、(株)アドマテック製、商品名、中心粒径25μm
以下に示す測定条件により、実施例1〜6及び比較例1〜4で調製した注形用エポキシ樹脂組成物の樹脂組成物特性、並びに硬化物特性の測定、及び評価を行った。なお、評価結果を表1に示した。
<樹脂組成物>
(1)ゲル化時間
JIS C 2105の試験管法に準拠して、注形用エポキシ樹脂組成物を試験管中に10g量り取り、140℃のオイルバス中にて当該樹脂組成物がゲル化するまでの時間を測定した。
(2)注形性
サンプル片(横:100mm、縦:100mm、厚さ:1mm)を作製する金型に注形用エポキシ樹脂組成物を大気圧下で注入し、100℃、3時間、その後、150℃、3時間加熱硬化させた。その後金型から取り外したサンプル片に残るボイド数を数え、以下のように評価した。
◎:ボイドなし ボイド数:0個
○:ボイド有り ボイド数:5個未満
×:ボイド有り ボイド数:5個以上
<硬化物>
(3)絶縁破壊電圧
サンプル片(横:100mm、:100mm、厚さ:1mm)を作製する金型に注形用エポキシ樹脂組成物を大気圧下で注入し、3〜5Torrにて1分間脱気した。その後、100℃、3時間、さらに150℃、3時間加熱硬化させた。こうして出来上がったサンプルを用いて、JIS K 6911に準じ、温度25℃、及び150℃において測定した。なお、30kV/mm以上を合格とした。
(4)ガラス転移温度(Tg)
注形用エポキシ樹脂組成物を100℃、3時間、さらに150℃、3時間加熱硬化させて作製した試料について、熱分析装置TMA/SS150(セイコーインスツルメンツ社製 型名)により、室温(25℃)から185℃まで昇温して(昇温速度10℃/分)熱膨張曲線を測定し、変位点の中点から求めた。
<コイル>
(5)絶縁破壊発生率
ボビン(内径21mm)にポリエステルイミドコートワイヤ(50μmφ)を約22000回巻き付けた簡易コイルを作成した。次いで、当該簡易コイルに注形用エポキシ樹脂組成物を3〜5Torrにて注入し、その後、100℃、3時間、さらに150℃、3時間加熱硬化させた。これを、各々10個ずつ作製した。
得られたコイルに、巻き線端の両端にパルス波の電圧が35kVとなる条件下にて、1分間400回の電圧印加を行った。300時間後に10個中何個のコイルが短絡しているかを、絶縁破壊発生率の基準とした。
(6)コイル含浸性
上記(5)と同様にしてコイルを作製した。得られたコイルを半分に切断し、巻き線内にあるボイドの数を数えた。ボイド数により、以下のように評価した。
◎:ボイドなし ボイド数:0個
○:ボイド有り ボイド数:5個未満
×:ボイド有り ボイド数:5個以上
実施例1〜6の注形用エポキシ樹脂組成物は、いずれもコイル含浸性に優れ、硬化物の絶縁破壊電圧が30kV/mm以上と高く、絶縁破壊の発生が抑えられていた。
A コイル
1 中心コア
2 外部コア
3 一次ボビン
4 一次コイル
5 二次ボビン
6 二次コイル
7 端子
8 イグナイター
9 ケース
10 注形用エポキシ樹脂組成物

Claims (6)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)下記一般式(1)で表されるフェニルグリシジルエーテル、(C)酸無水物硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含有し、
    前記(A)成分と(B)成分との質量比率が90:10〜45:55であることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物。

    (式中、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R、R、及びRのうち少なくとも1つがアルキル基である。)
  2. 前記(B)フェニルグリシジルエーテルが有する前記アルキル基が、分岐アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
  3. さらに(E)無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(E)無機フィラーがクリストバライトであることを特徴とする請求項3に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなることを特徴とするコイル。
  6. 請求項5に記載のコイルを含む電子部品。
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Citations (5)

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