JP2019077826A - 注形用エポキシ樹脂組成物、コイル、及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
Description
また、絶縁破壊電圧を向上させるために、特許文献3では、平均粒径10〜30μmと平均粒径0.01〜1.5μmのシリカ粒子を含むモールドコイル含浸用樹脂が提案されている。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
[1](A)エポキシ樹脂、(B)下記一般式(I)で表されるフェニルグリシジルエーテル、(C)酸無水物硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含有し、
前記(A)成分と(B)成分との質量比率が90:10〜45:55であることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物。
(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R1、R2、及びR3のうち少なくとも1つがアルキル基である。)
[2]前記(B)フェニルグリシジルエーテルが有する前記アルキル基が、分岐アルキル基であることを特徴とする上記[1]に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
[3]さらに(E)無機フィラーを含むことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
[4]前記(E)無機フィラーがクリストバライトであることを特徴とする上記[3]に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなることを特徴とするコイル。
[6]上記[5]に記載のコイルを含む電子部品。
[注形用エポキシ樹脂組成物]
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、(A)エポキシ樹脂、(B)下記一般式(I)で表されるフェニルグリシジルエーテル、(C)酸無水物硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含有し、
前記(A)成分と(B)成分との質量比率が90:10〜45:55であることを特徴とする。
(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R1、R2、及びR3のうち少なくとも1つがアルキル基である。)
〔(A)エポキシ樹脂〕
本発明で用いる(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のグリシジル基(エポキシ基)を有するものであれば、分子量、分子構造等に制限されることなく一般的に用いられているものを用いることができる。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリシジルエーテル、3官能フェノール型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、(A)成分のエポキシ樹脂は20℃において液状であることが好ましく、2種以上を混合して使用する場合は、混合したときに液状であることが好ましい。
本発明で用いる(B)成分のフェニルグリシジルエーテルは、下記一般式(I)で表される化合物である。
(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R1、R2、及びR3のうち少なくとも1つがアルキル基である。)
直鎖アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基等が挙げられる。
分岐アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec−プロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基等が挙げられる。中でもsec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等が挙げられる。
本発明で用いる(C)成分の酸無水物硬化剤は、分子中に酸無水物基を有し、前記(A)成分及び(B)成分と反応して硬化するものであれば特に制限なく用いることができる。(C)成分の酸無水物硬化剤としては、例えば、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ペンタデセニル無水コハク酸などが挙げられる。これらの酸無水物硬化剤は、1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明で用いる(D)成分の硬化促進剤は、前記(A)成分と(B)成分との反応、又は(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の反応を促進するものであれば特に制限なく使用することできる。
(D)成分の硬化促進剤としては、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)およびそのオクチル塩等の3級アミン類;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィンなどが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の注形用エポキシ樹脂組成物は、さらに(E)無機フィラーを含むことが機械強度や熱伝導性の向上の観点から好ましい。
(E)成分の無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等が使用可能である。なかでもシリカが好ましく用いられる。シリカとしては、破砕した溶融シリカ、及び球状の溶融シリカなどを用いることができる。
破砕した溶融シリカとしては、例えば、ヒューズレックスRD−8、ヒューズレックスRD−120、ヒューズレックスE−1、ヒューズレックスE−2 MSR−15、MSR−3500、TZ−20〔以上、(株)龍森製、商品名〕等が挙げられる。球状の溶融シリカとしては、例えば、FB−5D、FB959〔デンカ(株)製、商品名〕等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上記絶縁破壊電圧は実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のコイルは上述の注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなる。また、本発明の電子部品は、上記コイルを含むのである。
図1は、本発明のコイル製品例を示す断面模式図である。図1に示すように、コイルAは、中心コア1、一次ボビン3、一次コイル4、二次ボビン5、二次コイル6、端子7、イグナイター8がケース9内に固定されている。ケース9と中心コア1等との空隙には、上述した注形用エポキシ樹脂組成物10が注形され、加熱硬化されている。
次に本発明の注形用エポキシ樹脂組成物を用いた電子部品の製造方法について説明する。
本発明の電子部品は、コイルや内部部品を、前記樹脂組成物を真空加圧含浸処理することで製造することができる。真空加圧含浸処理は、例えばケースに収納されたコイルや内部部品に樹脂組成物を注入し、真空含浸処理(減圧含浸処理)と加圧処理とを行うことによって行われる。この際、真空含浸処理は、例えば温度40℃以上80℃以下、圧力100Pa以上450Pa以下、時間30分以上120分以下で行うことが好ましい。また、加圧処理は、例えば圧力2×105Pa以上10×105Pa以下、時間15分以上120分以下で行うことが好ましい。
(A)エポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂R−140P(三井化学(株)製、商品名)70質量部、(B)フェニルグリシジルエーテルとして4−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテルED−509E((株)ADEKA製、商品名)30質量部、(C)酸無水物硬化剤としてHN−7000(日立化成(株)製、商品名)84質量部、(D)硬化促進剤としてカオーライザーNo.20(花王(株)製、商品名)0.5質量部を混合して注形用エポキシ樹脂組成物を製造した。
実施例1において、表1に記載の種類及び配合量の各成分に変更した以外は、実施例1と同様にして注形用エポキシ樹脂組成物を得た。なお、表1中、空欄は配合なしを表す。
注形用エポキシ樹脂組成物の調製に使用した表1に記載の各成分の詳細は以下のとおりである。
〔(A)成分〕
・R−140P:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、三井化学(株)製、商品名、エポキシ当量188
〔(B)成分〕
・ED−509E:4−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、(株)ADEKA製、商品名
・YED−122:2−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、三菱ケミカル(株)製、商品名
〔(B)成分以外のフェニルグリシジルエーテル〕
・PGE:フェニルグリシジルエーテル、阪本薬品工業(株)製、商品名
〔(C)成分〕
・HN−7000:メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、日立化成(株)製、商品名
〔(D)成分〕
・カオーライザーNo.20:ベンジルジメチルアミン(BDMA)、花王(株)製、商品名
〔(E)成分〕
・ヒューズレックスRD−8:溶融シリカ、(株)龍森製、商品名、平均粒径15μm
・CRJ−C1:クリストバライト、(株)アドマテック製、商品名、中心粒径25μm
(1)ゲル化時間
JIS C 2105の試験管法に準拠して、注形用エポキシ樹脂組成物を試験管中に10g量り取り、140℃のオイルバス中にて当該樹脂組成物がゲル化するまでの時間を測定した。
サンプル片(横:100mm、縦:100mm、厚さ:1mm)を作製する金型に注形用エポキシ樹脂組成物を大気圧下で注入し、100℃、3時間、その後、150℃、3時間加熱硬化させた。その後金型から取り外したサンプル片に残るボイド数を数え、以下のように評価した。
◎:ボイドなし ボイド数:0個
○:ボイド有り ボイド数:5個未満
×:ボイド有り ボイド数:5個以上
(3)絶縁破壊電圧
サンプル片(横:100mm、縦:100mm、厚さ:1mm)を作製する金型に注形用エポキシ樹脂組成物を大気圧下で注入し、3〜5Torrにて1分間脱気した。その後、100℃、3時間、さらに150℃、3時間加熱硬化させた。こうして出来上がったサンプルを用いて、JIS K 6911に準じ、温度25℃、及び150℃において測定した。なお、30kV/mm以上を合格とした。
注形用エポキシ樹脂組成物を100℃、3時間、さらに150℃、3時間加熱硬化させて作製した試料について、熱分析装置TMA/SS150(セイコーインスツルメンツ社製 型名)により、室温(25℃)から185℃まで昇温して(昇温速度10℃/分)熱膨張曲線を測定し、変位点の中点から求めた。
(5)絶縁破壊発生率
ボビン(内径21mm)にポリエステルイミドコートワイヤ(50μmφ)を約22000回巻き付けた簡易コイルを作成した。次いで、当該簡易コイルに注形用エポキシ樹脂組成物を3〜5Torrにて注入し、その後、100℃、3時間、さらに150℃、3時間加熱硬化させた。これを、各々10個ずつ作製した。
得られたコイルに、巻き線端の両端にパルス波の電圧が35kVとなる条件下にて、1分間400回の電圧印加を行った。300時間後に10個中何個のコイルが短絡しているかを、絶縁破壊発生率の基準とした。
上記(5)と同様にしてコイルを作製した。得られたコイルを半分に切断し、巻き線内にあるボイドの数を数えた。ボイド数により、以下のように評価した。
◎:ボイドなし ボイド数:0個
○:ボイド有り ボイド数:5個未満
×:ボイド有り ボイド数:5個以上
1 中心コア
2 外部コア
3 一次ボビン
4 一次コイル
5 二次ボビン
6 二次コイル
7 端子
8 イグナイター
9 ケース
10 注形用エポキシ樹脂組成物
Claims (6)
- (A)エポキシ樹脂、(B)下記一般式(1)で表されるフェニルグリシジルエーテル、(C)酸無水物硬化剤、及び(D)硬化促進剤を含有し、
前記(A)成分と(B)成分との質量比率が90:10〜45:55であることを特徴とする注形用エポキシ樹脂組成物。
(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。但し、R1、R2、及びR3のうち少なくとも1つがアルキル基である。) - 前記(B)フェニルグリシジルエーテルが有する前記アルキル基が、分岐アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
- さらに(E)無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
- 前記(E)無機フィラーがクリストバライトであることを特徴とする請求項3に記載の注形用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の注形用エポキシ樹脂組成物によって注形されてなることを特徴とするコイル。
- 請求項5に記載のコイルを含む電子部品。
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