以下、図面を参照しつつ、各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
以下の実施の形態では、画像形成装置としては、たとえばMFP、プリンター、複写機、またはファクシミリなどが挙げられる。
<第1の実施の形態>
[1.画像形成装置100の構成]
図1は、画像形成装置100の全体構造の一例を示す図である。
図1を参照して、実施の形態に従う画像形成装置100について説明する。
図1には、カラープリンターとしての画像形成装置100が示されている。以下では、カラープリンターとしての画像形成装置100について説明するが、画像形成装置100は、カラープリンターに限定されない。たとえば、画像形成装置100は、モノクロプリンターであってもよいし、モノクロプリンターまたはカラープリンターとファクシミリとの複合機(所謂MFP(Multi Functional Peripheral))であってもよい。
画像形成装置100は、画像読取部としてのスキャナー20と、画像形成部90(詳細には、90Y,90M,90C,90K)を備えるプリンター25とを備える。スキャナー20は、カバー21と、用紙台22と、トレー23と、ADF(Auto Document Feeder)24とで構成されている。カバー21の一端は、用紙台22に固定されており、カバー21は、当該一端を支点として開閉可能に構成されている。
画像形成装置100のユーザーは、カバー21を開くことで、原稿を用紙台22にセットすることができる。画像形成装置100は、原稿が用紙台22にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙台22にセットされた原稿のスキャンを開始する。また、画像形成装置100は、原稿がトレー23にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、ADF24によって1枚ずつ自動的に原稿を読み取る。
プリンター25は、画像形成部90Y,90M,90C,90Kと、IDC(Image Density Control)センサー19と、転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、転写駆動機32と、二次転写ローラー33と、カセット37A〜37Cと、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、タイミングローラー40と、クリーニングユニット43と、離間装置50と、環境センサ64と、定着器70と、制御装置101とを備える。
画像形成部90Y,90M,90C,90Kは、転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成部90Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成部90Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成部90Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成部90Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
画像形成部90Y,90M,90C,90Kは、それぞれ、転写ベルト30に沿って転写ベルト30の回転方向の順に配置されている。画像形成部90Y,90M,90C,90Kはそれぞれ、回転可能に構成されている感光体10と、帯電装置11と、露光装置13と、現像器14と、クリーニングユニット17と、トナーセンサ18とを備える。
画像形成部90Y,90M,90C,90Kがそれぞれ、上述したように作動した後に、転写駆動機32の転写によって、イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が転写ベルト30上に形成される。
IDCセンサー19は、転写ベルト30上に形成されるトナー像35の濃度を検知する。典型的には、IDCセンサー19は、反射型フォトセンサーからなる光強度センサーであり、転写ベルト30の表面からの反射光強度を検知する。
転写ベルト30は、従動ローラー38と駆動ローラー39とに張架されている。駆動ローラー39はモーター(図示しない)に接続されている。制御装置101が当該モーターを制御することにより、駆動ローラー39は回転する。転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、転写ベルト30上のトナー像35が二次転写ローラー33に送られる。
カセット37A〜37Cのそれぞれには、異なる大きさの用紙がセットされる。用紙は、記録媒体の一例である。用紙は、カセット37A〜37Cのいずれかから1枚ずつタイミングローラー40によって搬送経路41に沿って二次転写ローラー33に送られる。制御装置101は、用紙が送り出されるタイミングに合わせて、二次転写ローラー33に印加する転写電圧を制御する。
二次転写ローラー33は、トナー像35の帯電極性と逆極性の転写電圧を搬送中の用紙に印加する。その結果、トナー像35は、転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、転写ベルト30上のトナー像35が転写される。二次転写ローラー33への用紙の搬送タイミングは、転写ベルト30上のトナー像35の位置に合わせてタイミングローラー40によって制御される。その結果、転写ベルト30上のトナー像35は、用紙の適切な位置に転写される。
定着器70は、定着器70を通過する用紙を加圧および加熱する。これにより、トナー像は用紙に定着する。その後、用紙は、トレー49に排紙される。
クリーニングユニット43は、転写ベルト30から用紙へのトナー像の転写後に転写ベルト30の表面に残留するトナーを回収する。回収されたトナーは、搬送スクリュー(図示しない)で搬送され、廃トナー容器(図示しない)に貯められる。クリーニングユニット43の詳細は後述する。
離間装置50は、制御装置101からの指示に従い転写ベルト30と画像形成部90との間、転写ベルト30と二次転写ローラー33との間の少なくとも一方を離間させる。
環境センサ64は、相対湿度、温度および飽和水蒸気圧を検知し、制御装置101に出力する。
[2.ハードウェア構成]
図2は、画像形成装置100の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
図2を参照して、画像形成装置100のハードウェア構成の一例について説明する。
図2に示すように、画像形成装置100は、スキャナー20およびプリンター25に加え、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、ネットワークインターフェイス104と、操作パネル105と、記憶装置120とを含む。
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
制御装置101は、画像形成装置100の制御パラメーターを調整するためのプログラム122などの各種プログラムを実行することで画像形成装置100の動作を制御する。
制御装置101は、プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からRAM103にプログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
ネットワークインターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置100は、アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置100は、プログラム122をアンテナを介してサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
操作パネル105は、ディスプレイとタッチパネルとで構成されている。ディスプレイおよびタッチパネルは互いに重ねられており、画像形成装置100に対する操作をタッチ操作で受け付ける。一例として、操作パネル105は、制御パラメーターの調整処理の実行のための操作などを受け付ける。
記憶装置120は、たとえば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)その他の記憶装置である。記憶装置120は、内蔵式、外付け式のいずれであってもよい。記憶装置120は、本実施の形態に従うプログラム122などを格納する。ただし、プログラム122の格納場所は記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従うプログラム122の趣旨を逸脱するものではない。
さらに、プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーがプログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置100が構成されてもよい。
[3.クリーニングユニット43]
図3は、クリーニングユニット43の構成を示す図である。
図3を参照して、画像形成装置100の備えるクリーニングユニット43について説明する。
図3に示すように、クリーニングユニット43は、クリーナーブラシ44と、クリーナーブラシ45と、第1回収ローラー46と、第2回収ローラー47と、バイアス印加電源60と、電圧/電流測定部62とを備える。
クリーナーブラシ44は、転写ベルト30の従動ローラー38における上流側と接触するように構成されており、後述するバイアス電圧による静電引力により、転写ベルト30からトナーTを除去する。クリーナーブラシ44で転写ベルト30から除去されたトナーは、第1回収ローラー46により回収される。
クリーナーブラシ45は、転写ベルト30の従動ローラー38における下流側と接触するように構成されており、後述するバイアス電圧による静電引力により、転写ベルト30からトナーTを除去する。クリーナーブラシ45で転写ベルト30から除去されたトナーは、第2回収ローラー47により回収される。
バイアス印加電源60は、制御装置101により制御されており、クリーナーブラシ44およびクリーナーブラシ45にバイアス電圧を印加する。バイアス印加電源60は、トナーTの帯電極性と同極性の電圧および逆極性の電圧を、印加可能に構成されている。
電圧/電流測定部62は、後述するがクリーナーブラシ44およびクリーナーブラシ45の少なくとも一方に定電圧を印加し、流れる電流を測定する。あるいは、クリーナーブラシ44およびクリーナーブラシ45の少なくとも一方に定電流を印加し、印加される電圧を測定する。
ある局面において、転写ベルト30上のトナーTには、帯電極性が正のものとマイナスのものとが混在している。制御装置101は、バイアス印加電源60を制御して、クリーナーブラシ44とクリーナーブラシ45とに互いに逆の極性のバイアス電圧を印加する。クリーナーブラシ44とクリーナーブラシ45とによって、転写ベルト30に残留した正に帯電しているトナーと負に帯電しているトナーとの双方が確実に除去される。
図4は、実施形態に基づくクリーニングユニット43におけるトナーの除去について説明する図である。
図4(A)に示されるように、上流のクリーナーブラシ44に負バイアス電圧を印加し、下流のクリーナーブラシ45に正バイアス電圧を印加する。
転写ベルト30の上にあるのは2次転写残トナーであり、多くはマイナス帯電しているが一部プラス帯電に極性が変わっている。
図4(B)に示されるように、下流のクリーナーブラシ45で多くトナーをクリーニングするため、下流のクリーナーブラシ45の寿命が大きく進行する。
上流のクリーナーブラシ44と下流のクリーナーブラシ45に印加するバイアスの極性を常に固定していると、正出力しているクリーナーブラシの寿命が圧倒的に進んでしまう。
図4(C)に示されるように、所定条件が満たされた場合に、クリーナバイアスの極性を適宜入れ替える。
図4(D)に示されるように、上流のクリーナーブラシ44で多くトナーをクリーニングする。
これにより、上流のクリーナーブラシ44と下流のクリーナーブラシ45の寿命の進行の平準化し、トータルでの寿命を高寿命化させることが可能となる。
[4.クリーナバイアス極性入れ替えシーケンス]
図5は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンス(その1)を説明する図である。
図5(A)には、クリーナバイアス極性入れ替え前の状態が示されている。
通常は印字の終了動作時に転写ベルト30上のトナーをクリーニングしてから停止する。
しかしながら、ジャムやトラブルからの復帰後である場合には、未クリーニングトナーが転写ベルト上に残っている場合がある。
したがって、ジャムやトラブルからの復帰後には、転写ベルト30を空回転させてクリーニングさせる必要がある。制御装置101は、モーターを制御して駆動ローラー39を回転させる。これにより、転写ベルト30が回転する。
図5(B)には、制御装置101からの指示に従いバイアス印加電源60からクリーナーブラシ44に印加されるクリーナバイアス電圧の極性が入れ替わった場合が示されている。
具体的には、上流のクリーナーブラシ44に正のクリーナバイアス電圧が印加され、下流のクリーナーブラシ45に負のクリーナバイアス電圧が印加される場合が示されている。
クリーナバイアス電圧の極性を入れ替えると、バイアス電圧の極性の入れ替え直後に、クリーナーブラシに付着していたトナーが反発して転写ベルト30に吐き出される現象が発生する。上流のクリーナーブラシ44から吐き出されたプラス帯電トナーはすぐに下流のクリーナーブラシ45で回収されるが、下流のクリーナーブラシ45から吐き出された負帯電トナーは上流のクリーナーブラシ44でクリーニングされるまで転写ベルト30に残ることになる。このとき、吐き出しトナーは一次転写部や二次転写部を通過する。
したがって、実施形態においては、クリーナバイアス電圧の極性の入れ替えの前に、一次転写部と2次転写部の少なくとも一方を転写ベルト30から離間させる。具体的には、離間装置50により転写ベルト30と画像形成部90とを離間させる。また、離間装置50は、転写ベルト30と二次転写ローラー33とを離間させる。
一次転写部と二次転写部は転写ベルト30から離間しているので機内が汚れることはない。未クリーニングトナーは順次、上流のクリーナーブラシ44でクリーニングされる。
これにより、クリーナーブラシから吐き出されたトナーが機内を汚さないようにすることが可能である。
なお、このクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行中の間は、用紙や機内汚れを防ぐため印字動作を保留し、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの完了後に印字を再開する。
よって、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの実行中は、ユーザーにとっては印字動作ができない期間(ダウンタイム)となる。
したがって、クリーナバイアス入れ替えシーケンスは、ユーザーにとって不利益にならないタイミングで実行することが望ましい。
図5(C)に示されるように、吐き出されたトナーが二次転写ローラー33と転写ベルト30とのニップ位置(二次転写位置)を通過した後は機内が汚れない。
したがって、少なくともクリーナーブラシ45の位置にあるトナーが二次転写部の位置を通過するまでの所定期間は転写ベルト30を回転させる。当該所定期間は、二次転写位置とクリーナーブラシ45の位置の間の距離と、転写ベルトの回転速度に基づいて算出することが可能である。なお、当該所定期間にマージンを持たせるようにしても良い。
機内が汚れない位置に吐き出しトナーが移動した後は、印字動作を再開することが可能である。したがって、二次転写位置を通過すれば、吐き出しトナーが機内を汚すことはなくなるので、離間装置50による離間動作を終了する。また、その後に印字動作を再開しても良い。
図6は、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスのフローについて説明する図である。
図6を参照して、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスは、入れ替えフラグがオンであるか否かに基づいて実行される。
具体的には、制御装置101は、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS2)。入れ替えフラグの情報は、記憶装置120に格納されている。
制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS2においてYES)には、クリーナバイアス電圧の極性を入れ替える(ステップS4)。制御装置101は、バイアス印加電源60に指示してクリーナバイアス電圧の極性を入れ替える。
具体的には、上流のクリーナーブラシ44に正バイアス電圧を印加していた場合には、負バイアス電圧を印加し、下流のクリーナーブラシ45に負バイアス電圧を印加していた場合には、正バイアス電圧を印加する。一方、上流のクリーナーブラシ44に負バイアス電圧を印加していた場合には、正バイアス電圧を印加し、下流のクリーナーブラシ45に正バイアス電圧を印加していた場合には、負バイアス電圧を印加する。なお、それぞれのクリーナーブラシ44,45が正極性あるいは負極性のいずれのバイアス電圧が印加されているかの情報は、記憶装置120に格納されている。そして、電源投入後、当該記憶装置120に格納された情報に基づいてクリーナーブラシ44,45のバイアス電圧の極性を設定することが可能である。
これに伴い、図5(B)で説明したように、下流のクリーナーブラシ45からバイアス電圧と逆極性のトナーが吐き出される可能性がある。
したがって、制御装置101は、離間装置50に指示し離間動作を実行する(ステップS6)。離間装置50は、制御装置101からの指示に従って、転写ベルト30と画像形成部90との間、転写ベルト30と二次転写ローラー33との間の少なくとも一方を離間させる。一例として転写ベルト30と画像形成部90との間、転写ベルト30と二次転写ローラー33との間の両方を離間させる。
次に、制御装置101は、モーターを制御して駆動ローラー39を回転させる(ステップS8)。これにより、転写ベルト30が回転する。
次に、制御装置101は、所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS10)。
所定期間は、二次転写位置とクリーナーブラシ45の位置の間の距離と、転写ベルトの回転速度とに基づいて算出することが可能である。当該所定期間が経過した場合に、クリーナーブラシ45から吐き出されたトナーは、二次転写ローラー33と転写ベルト30とのニップ位置(二次転写位置)を通過する。
制御装置101は、所定期間が経過するまで待機し(ステップS10においてNO)、所定期間が経過した場合(ステップS10においてYES)には、ステップS12に進む。
制御装置101は、離間装置50に指示し、離間動作を終了する(ステップS12)。これにより、図5(C)で説明したように一例として転写ベルト30と画像形成部90との間、転写ベルト30と二次転写ローラー33との間の離間が終了する。したがって、印字動作が可能となる。
次に、制御装置101は、記憶装置120に格納されている入れ替えフラグをオフに設定する(ステップS14)。
そして、処理を終了する(エンド)。
図7は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンス(その2)を説明する図である。
図7に示されるように、図5に示される構成と比較して、二次転写バイアス電圧電源34をさらに設けた点が異なる。その他の構成については同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
二次転写バイアス電圧電源34は、制御装置101からの指示に従って、二次転写ローラー33に印加する二次転写バイアス電圧の極性を変更することが可能である。
本例においては、離間装置50は、制御装置101からの指示に従って、転写ベルト30と画像形成部90との間を離間させる。一方、離間装置50は、転写ベルト30と二次転写ローラー33との間を離間させない場合が示されている。
二次転写ローラー33に対して離間機構が設けられない場合には、クリーナーブラシ45から吐き出したトナーは二次転写部を通過することになる。
したがって、二次転写ローラー33を汚さないように、圧接したまま吐き出したトナーと同極性の二次転写バイアス電圧を印加する。具体的には、クリーナーブラシへのバイアス電圧の入れ替えにより、下流のクリーナーブラシ45に正バイアス電圧を印加する場合には、二次転写バイアス電圧電源34は、同じ正の二次転写バイアス電圧を二次転写ローラー33に印加する。一方、下流のクリーナーブラシ45に負バイアス電圧を印加する場合には、二次転写バイアス電圧電源34は、同じ負の二次バイアス電圧を二次転写ローラー33に印加する。
これにより、二次転写ローラー33にトナーと同極性の二次転写バイアス電圧を印加することにより二次転写ローラー33へのトナーの転写を防止することが可能である。
したがって、クリーナーブラシ45から吐き出されたトナーは、二次転写部を通過後も転写ベルト30に残り、クリーナーブラシでクリーニングすることが可能である。
機内が汚れない位置に吐き出しトナーが移動した後(二次転写部を通過後)は、印字動作を再開することが可能である。したがって、二次転写位置を通過すれば、吐き出しトナーが機内を汚すことはなくなるので、離間装置50による離間動作を終了する。また、二次転写バイアス電圧電源34から二次転写ローラー33に対する二次転写バイアス電圧の印加を終了する。その後に印字動作を再開しても良い。
図8は、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスのフローについて説明する別の図である。
図8を参照して、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスは、入れ替えフラグがオンであるか否かに基づいて実行される。制御装置101は、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS2)。入れ替えフラグの情報は、記憶装置120に格納されている。
制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS2においてYES)には、クリーナバイアス電圧の極性を入れ替える(ステップS4)。制御装置101は、バイアス印加電源60に指示してクリーナバイアス電圧の極性を入れ替える。
次に、制御装置101は、離間装置50に指示し離間動作を実行する(ステップS6)。離間装置50は、制御装置101からの指示に従って、転写ベルト30と画像形成部90との間を離間させる。なお、転写ベルト30と二次転写ローラー33との間は離間させない。
次に、制御装置101は、二次転写ローラー33に二次転写バイアス電圧を印加する(ステップS7)。制御装置101は、二次転写バイアス電圧電源34に指示して二次転写バイアス電圧を印加する。
具体的には、図7で説明したように、クリーナーブラシへのバイアス電圧の入れ替えにより、下流のクリーナーブラシ45に正バイアス電圧を印加する場合には、同じ正の二次バイアス電圧を印加する。一方、下流のクリーナーブラシ45に負バイアス電圧を印加する場合には、同じ負の二次バイアス電圧を印加する。
次に、制御装置101は、モーターを制御して駆動ローラー39を回転させる(ステップS8)。これにより、転写ベルト30が回転する。
次に、制御装置101は、所定期間が経過したか否かを判断する(ステップS10)。
制御装置101は、所定期間が経過するまで待機し(ステップS10においてNO)、所定期間が経過した場合(ステップS10においてYES)には、ステップS12に進む。
制御装置101は、離間装置50に指示し、離間動作を終了する(ステップS12)。これにより、転写ベルト30と画像形成部90との間の離間が終了する。
次に、制御装置101は、二次転写ローラー33への二次転写バイアス電圧の印加を終了する(ステップS13)。制御装置101は、二次転写バイアス電圧電源34に指示して二次転写バイアス電圧の印加を終了する。これにより、印字動作が可能となる。
次に、制御装置101は、記憶装置120に格納されている入れ替えフラグをオフに設定する(ステップS14)。
そして、処理を終了する(エンド)。
図9は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンス(その3)を説明する図である。
図9には、図5に示される構成と比較して、離間装置50による離間動作が実行されていない状態が示されている。
一般的に、二次転写部を通過した後の残トナーは負極性が多く、正極性が少ない。
従って、クリーナーブラシの極性を負から正に切り替える場合に吐き出される正帯電トナーの量は、機内や用紙の汚れが無視できるほど小さい場合もある。
したがって、上流のクリーナーブラシ44のクリーナバイアス電圧の極性を正から負に切り替える場合には、上流からは負極性のトナーが吐き出されるが、直下の下流のクリーナーブラシ45でクリーニングされるので機内を汚すことはない。
従って、下流のクリーナーブラシ45のクリーナバイアス電圧の極性を負から正に変える場合においては、一次転写部と二次転写部の離間動作を実行する必要はなく、転写ベルト30の回転も必要ないとも考えられる。
すなわち、クリーナバイアス電圧の極性を入れ替えるだけでクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスは完了するので、入れ替えのダウンタイムは発生しない。よって印字中であっても印字動作を中断することなく極性の入れ替えが可能である。
それゆえ、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスとして、上流のクリーナーブラシ44のクリーナバイアス電圧の極性を負から正、下流のクリーナーブラシ45のクリーナバイアス電圧の極性を正から負に入れ替える場合には、図5で説明した方式に従って離間動作を実行するとともに、転写ベルト30を回転させる。
一方で、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスとして、上流のクリーナーブラシ44のクリーナバイアス電圧の極性を正から負、下流のクリーナーブラシ45のクリーナバイアス電圧の極性を負から正に入れ替える場合には、離間動作を実行せず、また、転写ベルト30の回転させないようにすることが可能である。
[5.クリーナバイアス電圧の極性の設定方式]
実施形態においては、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を管理する場合について説明する。
一例として、クリーナーブラシの消耗率に基づいてクリーナバイアス極性を設定することも可能である。
図10は、実施形態に基づくクリーナバイアス電圧の極性の設定方式について説明するフロー図である。
図10を参照して、制御装置101は、クリーナーブラシの消耗率(クリーナ消耗率とも称する)を算出する(ステップS20)。具体的には、上流のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率および下流のクリーナーブラシ45の消耗率を算出する。クリーナーブラシの消耗率の算出方式については後述する。
次に、制御装置101は、上流側のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率と、下流側のクリーナーブラシ45の消耗率とを比較し、上流側のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率が下流側のクリーナーブラシ45のクリーナ消耗率よりも大きいか否かを判断する(ステップS22)。
制御装置101は、上流側のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率の方が、下流側のクリーナーブラシ45の消耗率よりも大きいと判断した場合(ステップS22においてYES)には、上流側のクリーナーブラシ44のクリーナバイアス電圧をトナー帯電と同極性に設定する。また、下流側のクリーナーブラシ45のクリーナバイアス電圧をトナー帯電と逆極性に設定する(ステップS24)。そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、上流側のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率の方が、下流側のクリーナーブラシ45の消耗率よりも大きくないと判断した場合(ステップS22においてNO)には、上流側のクリーナーブラシ44のクリーナバイアス電圧をトナー帯電と逆極性に設定する。また、下流側のクリーナーブラシ45のクリーナバイアス電圧をトナー帯電と同極性に設定する(ステップS24)。そして、処理を終了する。
制御装置101は、当該処理により設定したクリーナバイアス電圧の極性について、記憶装置120に格納する。そして、電源投入後、当該記憶装置120に格納された情報に基づいてクリーナーブラシ44,45のバイアス電圧の極性を設定することが可能である。
当該方式により、寿命が進んでいるクリーナーブラシの極性をトナーと同極性にし、進んでいないクリーナーブラシの極性をトナーと逆極性にする。寿命が進んでいるクリーナーブラシの寿命の進行を抑え、寿命が進んでいないクリーナーブラシの寿命を進行させることが可能である。これにより、2つのクリーナーブラシの寿命の均等を図ることにより、2つのクリーナーブラシ全体として高寿命化を図ることが可能である。
なお、クリーナバイアス電圧の極性の設定については、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの際に必ずしも必要である訳ではなく、必要に応じて実行することが可能である。
[6.クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの実行条件]
クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)の算出結果に基づいて、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行する。
上記したように、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスは、転写ベルトの空回転や一次転写および二次転写部の離間および圧接を実行するため、印字不可時間(ダウンタイム)が少なからず発生する。
したがって、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを少なくすることが望ましい。
最終的に上流と下流のクリーナーブラシが共に寿命になるように実行することが望ましい。本例においては、クリーナ寿命が進行するにつれて入れ替えシーケンスの頻度を上げていく方式について説明する。
本例においては、入れ替えフラグをオンするタイミングについて説明する。
当該フラグがオンである場合に、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行する。なお、当該フラグがオンである場合に、すぐにクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行する必要はなく、ダウンタイムも考慮して最適なタイミングでシーケンスを実行することが望ましい。
図11は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するための入れ替えフラグの設定について説明するフロー図である。
図11を参照して、制御装置101は、クリーナーブラシの消耗率(クリーナ消耗率とも称する)を算出する(ステップS30)。具体的には、上流のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率および下流のクリーナーブラシ45の消耗率を算出する。
次に、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが50%を超えるか否かを判断する(ステップS32)。
制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが50%を超えないと判断した場合(ステップS32においてNO)には、ステップS30に戻り上記処理を繰り返す。
一方、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが50%を超えると判断した場合(ステップS32においてYES)には、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS34)。
そして、次に、制御装置101は、クリーナーブラシの消耗率(クリーナ消耗率とも称する)を算出する(ステップS36)。具体的には、上流のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率および下流のクリーナーブラシ45の消耗率を算出する。
次に、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが80%を超えるか否かを判断する(ステップS38)。
制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが80%を超えないと判断した場合(ステップS38においてNO)には、ステップS36に戻り上記処理を繰り返す。
一方、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが80%を超えると判断した場合(ステップS38においてYES)には、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS40)。
次に、制御装置101は、クリーナーブラシの消耗率(クリーナ消耗率とも称する)を算出する(ステップS42)。具体的には、上流のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率および下流のクリーナーブラシ45の消耗率を算出する。
次に、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが90%を超えるか否かを判断する(ステップS44)。
制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが90%を超えないと判断した場合(ステップS44においてNO)には、ステップS42に戻り上記処理を繰り返す。
一方、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが90%を超えると判断した場合(ステップS44においてYES)には、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS46)。
そして、次に、制御装置101は、クリーナーブラシの消耗率(クリーナ消耗率とも称する)を算出する(ステップS48)。具体的には、上流のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率および下流のクリーナーブラシ45の消耗率を算出する。
次に、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが95%を超えるか否かを判断する(ステップS50)。
制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが95%を超えないと判断した場合(ステップS50においてNO)には、ステップS48に戻り上記処理を繰り返す。
一方、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが95%を超えると判断した場合(ステップS50においてYES)には、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS52)。
次に、制御装置101は、クリーナーブラシの消耗率(クリーナ消耗率とも称する)を算出する(ステップS54)。具体的には、上流のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率および下流のクリーナーブラシ45の消耗率を算出する。
次に、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが100%を超えるか否かを判断する(ステップS56)。
制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが100%を超えないと判断した場合(ステップS56においてNO)には、ステップS54に戻り上記処理を繰り返す。
一方、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが100%を超えると判断した場合(ステップS56においてYES)には、ライフエンド(印字禁止)に設定する(ステップS58)。
そして、処理を終了する(エンド)。
当該方式に従ってクリーナ寿命が進行するにつれてクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの頻度を上げていくようにすることにより、入れ替えの回数を最小限にしつつ、上流と下流の2つのクリーナーブラシが寿命となるまで十分に利用することが可能である。これにより、2つのクリーナーブラシ全体として高寿命化を図ることが可能である。
図12は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するための入れ替えフラグの設定について説明する別のフロー図である。
図12を参照して、制御装置101は、クリーナーブラシの消耗率(クリーナ消耗率とも称する)を算出する(ステップS60)。具体的には、上流のクリーナーブラシ44のクリーナ消耗率および下流のクリーナーブラシ45の消耗率を算出する。
次に、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが100%を超えるか否かを判断する(ステップS62)。
制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが100%を超えないと判断した場合(ステップS62においてNO)には、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率の差分が10%を超えるか否かを判断する(ステップS64)。
制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率の差分が10%を超えないと判断した場合(ステップS64においてNO)には、ステップS60に戻り上記処理を繰り返す。
一方、制御装置101は、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率の差分が10%を超えると判断した場合(ステップS64においてYES)には、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS40)。
次に、制御装置101は、ステップS60に戻り上記処理を繰り返す。
一方で、ステップS62において、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率のいずれかが100%を超えると判断した場合(ステップS62においてYES)には、ライフエンド(印字禁止)に設定する(ステップS68)。そして、処理を終了する(エンド)。
当該方式に従って、上流側のクリーナ消耗率および下流側のクリーナ消耗率の差分が10%を超えた場合に、入れ替えフラグをオンに設定して、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することにより、上流と下流の2つのクリーナーブラシのクリーナ消耗率の均等化を図り、2つのクリーナーブラシ全体として高寿命化を図ることが可能である。
なお、本例においては、10%を閾値として入れ替えフラグをオンに設定する方式について説明したが、特にこれに限られず、当該数値は任意に設定することが可能である。
[7.クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)の算出]
次に、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)の算出方式について説明する。
クリーナーブラシは、消耗度合(消耗率)が大きくなるほど抵抗が高くなる傾向がある。したがって、当該特性を用いて消耗度合(消耗率)を算出することが可能である。
本例においては、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)について、電圧/電流測定部62を用いて測定する方式について説明する。なお、本例においては、上流側のクリーナーブラシ44および下流側のクリーナーブラシ45のそれぞれを計測できる構成について説明するが、いずれか一方のみ測定する構成とすることも可能である。
電圧/電流測定部62は、定電流バイアス(+20μA(負極性出力中は−20μA))をクリーナーブラシ44,45のそれぞれに対して出力する。
電圧/電流測定部62は、定電流バイアスを出力したときに印加されるクリーナーブラシ44,45の電圧を測定し、制御装置101に出力する。
制御装置101は、測定した電圧がライフストップ電圧閾値を越えていた場合には、消耗度合(消耗率)100%を超えたと判断する。なお、ライフストップ電圧閾値は、温湿度環境によって異なる。
測定した電圧がライフストップ電圧閾値を超えた場合には、残トナー回収中にクリーナーブラシ内で放電が起こり、トナーの極性が逆転し、転写ベルト30内のトナーを吐き出す現象が発生する。したがって、当該状態の場合には、クリーナーブラシの交換が必要になる。
図13は、温湿度環境に従う消耗度合(消耗率)を計算するテーブルを説明する図である。
図13に示されるように、絶対湿度に応じた消耗度合が0%の場合の電圧、90%の場合の電圧、100%の電圧が設定されている。当該電圧は、予め計測あるいはシミュレーションにより取得することが可能である。
ここで、絶対湿度x(g/m3)とは、0.01058×相対湿度(%)×飽和水蒸気圧(mmHg)/(1+0.00366×温度(℃))に基づいて算出される。
当該絶対湿度を求めるパラメータは、環境センサ64により検知され、取得される。制御装置101は、環境センサ64により取得されたパラメータに基づいて絶対湿度を算出する。
図14は、実施形態に基づく消耗度合(消耗率)の算出を説明するフロー図である。
図14を参照して、電圧/電流測定部62は、定電流バイアスを出力する(ステップS70)。具体的には、制御装置101は、電圧/電流測定部62に定電流バイアスを出力するように指示する。そして、電圧/電流測定部62は、クリーナーブラシ44,45に対して定電流を供給する。
次に、電圧/電流測定部62は、定電流の出力が安定しているか否かを判断する(ステップS72)。
ステップS72において、電圧/電流測定部62は、定電流の出力が安定していないと判断した場合(ステップS72においてNO)には、当該状態を維持する。不安定な状態である場合には適正に判断できないため安定状態となるまで待機する。
電圧/電流測定部62は、定電流の出力が安定したと判断した場合(ステップS72においてYES)には、測定した電圧を取得する(ステップS74)。
次に、電圧/電流測定部62は、複数回、当該電圧を取得したか否かを判断する(ステップS76)。
ステップS76において、電圧/電流測定部62は、複数回、当該電圧を取得していないと判断した場合(ステップS76においてNO)には、ステップS74に戻り、当該取得を複数回実行する。具体的には、複数回の取得に関して、一定周期で当該電圧の取得を繰り返し、クリーナーブラシ一周分の電圧を取得する。
ステップS76において、電圧/電流測定部62は、複数回、当該電圧を取得したと判断した場合(ステップS76においてYES)には、ステップS78に進む。
次に、制御装置101は、電圧/電流測定部62で取得した複数回の電圧を平均化する(ステップS78)。
そして、制御装置101は、取得した電圧に基づいて消耗度合(消耗率)を算出する(ステップS80)。具体的には、制御装置101は、図13のテーブルに基づいて消耗度合(消耗率)を算出する。
そして、処理を終了する(エンド)。
一例として、絶対湿度xが5(g/m3)の場合に、電圧/電流測定部62が2000Vを検出した場合について説明する。
当該場合、消耗度合が0%の場合の電圧が1640Vであり、100%の場合が2140Vである。線形であると仮定した場合に、1640Vの消耗度合(消耗率)は64.8%と算出することが可能である。他の場合について同様である。
なお、本例においては、消耗度合(消耗率)90%の場合の電圧も示している。当該90%の電圧を閾値として例えば、アラームを報知するようにしても良い。あるいは、当該アラームをサービスセンターに通知するようにしても良い。当該方式により、消耗度合(消耗率)が100%になる前に、交換準備のため新品のクリーナユニットをユーザーに送付することが可能である。これにより、クリーナーユニットの交換タイミングの遅れによりユーザの不利益を抑制することが可能である。なお、90%は一例であり、任意の値に設定することが可能である。
なお、本例においては、電圧/電流測定部62で測定したアナログ値を用いるため、消耗度合(消耗率)が外乱等の影響により負に進む場合も考えられるが当該場合には、前回の消耗度合を維持するようにしても良い。あるいは、再測定するようにしても良い。
なお、本例においては、定電流を印加する方式について説明したが、定電圧を印加する方式とすることも可能である。
図15は、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)の別の算出方式について説明する図である。
図15には、用紙に付着したトナーと、転写ベルト30に付着している残トナーとが示されている。
本例においては、上流のクリーナーブラシ44、下流のクリーナーブラシ45でクリーニングしたトナーの予測量を累積し、消耗度合(所望率)として算出する。
一般的に、トナーの補給量計算やトナーボトル残量の予測制御を目的として、スキャナー(画像処理部)から、プリンター25で印字する際の印字面積(ドットカウント)が制御装置101に通知される。各色(YMCK)毎に通知される。このドットカウントに基づいて、クリーナーブラシで回収するトナーの量を予測し、累積することでクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出する。
帯電した感光体に対して露光した潜像は、下流で現像されてトナー像となり、一次転写(転写ベルト30への転写)、二次転写(用紙への転写)される。
予め測定あるいはシミュレーションすることにより、一例としてトナーの一次転写効率は95%、二次転写効率は90%であった。
例えば、1枚の用紙に印字する場合のドットカウントをAとした場合に、残トナー量は、以下の如く算出される。
A×0.95×(1―0.9)=0.095Aとなる。
また、画像安定化の付着量測定パターンなどは、二次転写(用紙への転写)が無いので二次転写効率は0である。
したがって、1枚の用紙に印字する場合のドットカウントをAとした場合に、残トナー量は、以下の如く算出される。
A×0.95×(1−0.9)=0.95Aとなる。
トナーの極性を考慮すると、現像器内で負帯電していたトナーにおいて、二次転写した場合の残トナーのうち、平均すると10%が負極性から正極性に変化する傾向がある。
したがって、残トナーのうち90%は負極性、残トナーのうち10%は正極性とする。
当該残トナーが、上流のクリーナーブラシ44および下流のクリーナーブラシ45で回収されるとしてそれぞれのクリーナーブラシで回収されたトナー量を累積する。
なお、画像安定化パターンなど二次転写しない場合は残トナーは100%負極性とする。
図16は、実施形態に基づく消耗度合(消耗率)の算出を説明する別のフロー図である。
図16を参照して、制御装置101は、印字動作が実行されるかどうかを判断する(ステップS90)。具体的には、制御装置101は、プリンター25による印字動作が実行されるか否かを判断する。
次に、制御装置101は、印字動作が実行されると判断した場合(ステップS90においてYES)には、印字面積を取得する(ステップS92)。印字面積とは、印字するドットカウント(トナー量)の値である。制御装置101は、印字動作に際して各色毎(YMCK)における印字するドットカウント(トナー量)の値を取得する。
次に、制御装置101は、付着量測定パターンの印字動作であるか否かを判断する(ステップS94)。
制御装置101は、付着量測定パターンの印字動作であると判断した場合(ステップS94においてYES)には、付着量測定パターンの残トナー量を算出する(ステップS102)。
具体的には、1枚の用紙に印字する場合のドットカウント(トナー量)をAとした場合に、残トナー量は、A×0.95×(1−0.9)=0.95Aとなる。
そして、ステップS98に進む。
ステップS98において、制御装置101は、ドットカウントを累積加算する。
この場合、トナーの極性を考慮すると、現像器内で負帯電していたトナーにおいて、二次転写は行なわれないため、残トナーは、100%が負極性である。
それゆえ、正極性の電圧が印加されるクリーナーブラシで当該残トナーは全て回収される。
すなわち、クリーナバイアス電圧の極性が正のクリーナーブラシのドットカウントを累積加算する。
そして、制御装置101は、累積加算されたドットカウントの値に基づいてクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出する(ステップS98)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、付着量測定パターンの印字動作で無いと判断した場合(ステップS94においてNO)には、通常の残トナー量を算出する(ステップS96)。
具体的には、1枚の用紙に印字する場合のドットカウント(トナー量)をAとした場合に、残トナー量は、A×0.95×(1―0.9)=0.095Aとなる。
そして、ステップS98に進む。
ステップS98において、制御装置101は、ドットカウントを累積加算する。
この場合、トナーの極性を考慮すると、現像器内で負帯電していたトナーにおいて、二次転写した場合の残トナーのうち、平均すると10%が負極性から正極性に変化する傾向がある。
したがって、残トナーのうち90%は負極性、残トナーのうち10%は正極性とする。
それゆえ、正極性の電圧が印加されるクリーナーブラシで当該残トナーのうち90%が回収される。また、負極性の電圧が印加されるクリーナーブラシで当該残トナーのうち10%が回収される。
すなわち、クリーナバイアス電圧が正極性のクリーナーブラシおよび負極性のクリーナーブラシのドットカウントをそれぞれ累積加算する。
そして、制御装置101は、ドットカウントでそれぞれ累積加算された値に基づいてクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出する(ステップS98)。
そして、処理を終了する(エンド)。
当該方式は、印字動作における印字面積に基づいて、正極性および負極性の電圧がそれぞれ印加されるクリーナーブラシで回収されるドットカウント(トナー量)をそれぞれ累積加算する方式である。予め決められた所定のドットカウント(リミットのトナー量)に対して、累積加算されたドットカウント(トナー量)の割合を求めることによりクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出することが可能である。
これにより、回収されるトナー量に基づいてクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出することが可能である。
なお、上記方式に限られず、さらに別の方式によりクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出することも可能である。
具体的には、印字枚数を累積することで消耗率を推定するようにしても良い。
例えば、1プリントあたりどれだけトナーを消費してクリーニングブラシでクリーニングしたかを推定する。
モノクロ印字なら「1」、カラー印字なら「4」を加算データXの基準値とする。
そして、両面印刷なら2倍、大サイズの用紙の印刷の場合には、2倍にする。
なお、一例として、計算を簡易にするために残トナーは負極性とする。
図17は、実施形態に基づく消耗度合(消耗率)の算出を説明するさらに別のフロー図である。
図17を参照して、制御装置101は、紙の排出があったかどうかを判断する(ステップS110)。具体的には、制御装置101は、プリンター25から紙の排出動作が実行されるか否かを判断する。
次に、制御装置101は、紙の排出があったと判断した場合(ステップS110においてYES)には、印字がカラーモードであるか否かを判断する(ステップS112)。
制御装置101は、印字がカラーモードであると判断した場合(ステップS112においてYES)には、X=4に設定する(ステップS114)。
一方、制御装置101は、印字がカラーモードで無いと判断した場合(ステップS112においてNO)には、X=1に設定する(ステップS116)。
次に、制御装置101は、用紙の面積がA4よりも大きいか否かを判断する(ステップS118)。
制御装置101は、用紙の面積がA4よりも大きいと判断した場合(ステップS118においてYES)には、Xの値を2倍に設定する(ステップS120)。
一方、制御装置101は、用紙の面積がA4よりも大きくないと判断した場合(ステップS118においてNO)には、Xの値をそのまま維持する。
次に制御装置101は、両面印刷か否かを判断する(ステップS122)。
制御装置101は、両面印刷であると判断した場合(ステップS122においてYES)には、Xの値を2倍に設定する(ステップS124)。
一方、制御装置101は、両面印刷でないと判断した場合(ステップS122においてNO)には、Xの値をそのまま維持する。
次に、制御装置101は、クリーナバイアスが正極性か否かを判断する(ステップS126)。
制御装置101は、クリーナバイアスが正極性であると判断した場合(ステップS126においてYES)には、累積印字枚数にXを加算する(ステップS128)。
そして、制御装置101は、累積印字枚数に基づいてクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出する(ステップS129)。
そして、処理を終了する(エンド)。
制御装置101は、両面印刷で無いと判断した場合(ステップS122においてNO)には、Xの値をそのまま維持する。
そして、ステップS126に進み、以降の処理は上記で説明したのと同様である。
また、制御装置101は、クリーナバイアスが正極性で無いと判断した場合(ステップS126においてNO)には、ステップS128およびステップS129をスキップして、処理を終了する(エンド)。
本例においては、計算を簡易にするために、負極性が印加されるクリーナバイアスの消耗度合は算出しない。
当該方式は、印字モード(カラーかモノクロか)、用紙面積(A4よりも大きいか)および印刷モード(両面か片面か)に基づいて累積印字枚数を算出して、加算する方式である。予め決められた所定の累積印字枚数に対して、累積された印字枚数に対するクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出することが可能である。
これにより、簡易な方式で印字枚数に基づいてクリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出することが可能である。
なお、本例においては、正極性が印加されるクリーナバイアスの消耗度合を算出する方式について説明したが、負極性が印加されるクリーナバイアスの消耗度合を算出することも可能である。
[8.入れ替えフラグの別の設定]
上記においては、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)に基づいて入れ替えフラグを設定する方式について説明した。
一方で、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出せずに入れ替えフラグを設定することも可能である。
具体的には、定期的にクリーナバイアスの極性が入れ替われば、消耗度合の平滑化を図ることが可能である。したがって、電源オン時や、スリープやローパワーなどの省電力モードからの復帰後等に、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行すれば、1日1回はクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することが可能である。また、ジャムが発生した場合には、未転写トナーのクリーニングなど、通常のプリントよりも多くのトナーがクリーナーブラシでクリーニングされることから、ジャム解除の後にもクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するようにしても良い。
図18は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するための入れ替えフラグの設定について説明する別のフロー図(その1)である。
図18を参照して、制御装置101は、電源投入時(電源オン)、待機状態からの復帰時、あるいはジャム解除時のいずれかが発生したか否かを判断する(ステップS130)。
制御装置101は、電源投入時(電源オン)、待機状態からの復帰時、あるいはジャム解除時のいずれかが発生したと判断した場合(ステップS130においてYES)には、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS132)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、電源投入時(電源オン)、待機状態からの復帰時、あるいはジャム解除時のいずれかが発生していないと判断した場合(ステップS130においてNO)には、ステップS132をスキップして処理を終了する。
なお、電源投入時は、主電源および副電源の両方あるいは少なくともの一方の投入時でも良い。また、待機状態からの復帰時は、スリープモードや省電力モードからの復帰を含んでも良い。
当該方式により、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)を算出しなくても入れ替えフラグをオンに設定して、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することが可能である。すなわち、簡易な方式で、上流側のクリーナーブラシと下流側のクリーナーブラシに印加するバイアス電圧の極性を入れ替えることが可能であり、上流側のクリーナーブラシと下流側のクリーナーブラシの寿命の平滑化を図ることが可能である。
また、別の方式として、印字枚数に基づいてクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを所定タイミングで実行することも可能である。
図19は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するための入れ替えフラグの設定について説明する別のフロー図(その2)である。
図19を参照して、制御装置101は、紙排出があるか否かを判断する(ステップS140)。制御装置101は、紙排出が無いと判断した場合(ステップS140においてNO)には、ステップS140の状態を維持する。
制御装置101は、紙排出があると判断した場合(ステップS140においてYES)には、印字枚数をカウントアップする(ステップS142)。
次に、制御装置101は、印字枚数が500枚を超えたか否かを判断する(ステップS144)。
制御装置101は、印字枚数が500枚を超えたと判断した場合(ステップS144においてYES)には、カウントをリセットする(ステップS146)。
次に、制御装置101は、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS148)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、印字枚数が500枚を超えないと判断した場合(ステップS144においてNO)には、ステップS140に戻り、上記処理を繰り返す。
当該方式により、所定の印字枚数毎に入れ替えフラグをオンに設定して、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することが可能である。すなわち、簡易な方式で、上流側のクリーナーブラシと下流側のクリーナーブラシに印加するバイアス電圧の極性を入れ替えることが可能であり、上流側のクリーナーブラシと下流側のクリーナーブラシの寿命の平滑化を図ることが可能である。
なお、当該500枚は一例であり、他の数値に設定することも可能である。
また、上記のように印字枚数のカウントアップに関して、カラー印字の場合には「4」、モノクロ印字の場合には「1」、大サイズなら2倍、両面印刷なら2倍にカウントアップしても良い。また、両面印刷の実行中にジャムやトラブルで印字が中断した場合には、片面が印字済みである場合には、片面印字のみ印字枚数をカウントアップしてもよい。
また、別の方式として、ドットカウントに基づいてクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを所定タイミングで実行することも可能である。
図20は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するための入れ替えフラグの設定について説明する別のフロー図(その3)である。
図20を参照して、制御装置101は、ドットカウントの通知があるか否かを判断する(ステップS150)。一般的に、トナーの補給量計算やトナーボトル残量の予測制御を目的として、スキャナー(画像処理部)から、プリンター25で印字する際の印字面積(ドットカウント)が制御装置101に通知される。
制御装置101は、ドットカウントの通知が無いと判断した場合(ステップS150においてNO)には、ステップS150の状態を維持する。
制御装置101は、ドットカウントの通知があると判断した場合(ステップS150においてYES)には、ドットカウントをカウントアップする(ステップS152)。
次に、制御装置101は、累積したドットカウントが所定の閾値を超えたか否かを判断する(ステップS154)。
制御装置101は、累積したドットカウントが所定の閾値を超えたと判断した場合(ステップS154においてYES)には、カウントをリセットする(ステップS156)。
次に、制御装置101は、入れ替えフラグをオンに設定する(ステップS158)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、ドットカウントが所定の閾値を超えないと判断した場合(ステップS154においてNO)には、ステップS150に戻り、上記処理を繰り返す。
当該方式により、所定のドットカウント数毎に入れ替えフラグをオンに設定して、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することが可能である。すなわち、簡易な方式で、上流側のクリーナーブラシと下流側のクリーナーブラシに印加するバイアス電圧の極性を入れ替えることが可能であり、上流側のクリーナーブラシと下流側のクリーナーブラシの寿命の平滑化を図ることが可能である。
印字枚数の場合には、白紙だったり全面ベタ画像の場合もあるので、トナーの消費に関してドットカウントをカウントアップしたほうが、トナーの消費を精度よく検知することが可能である。
一例として、ドットカウントでのクリーナバイアス極性入れ替えの閾値は、A4サイズの用紙で5%の印字面積(カラー印字)で500枚相当の値に設定される。たとえばモノクロ印字の場合には、A4サイズの用紙で5%の印字面積と仮定すると、2000枚相当の値に設定される。カラー印字の場合に、A4サイズの用紙で全面ベタ画像の場合には、25枚相当の値に設定される。
[9.クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの実行タイミング]
上記したように、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの実行は、印字が不可能となる時間(ダウンタイム)が生じることから、ユーザーに不利益とならないタイミングで実行することが望ましい。
たとえば、初期動作のタイミングで実行することが可能である。
初期動作とは、電源投入時(電源オン)やジャム解除、扉の開閉時に、電源切断時(電源オフ)に不定となっていた圧接離間位置を初期位置に戻したり、ジャム後で汚れている可能性のある転写ベルトをクリーニングしたり、定着を印字温度の近くまでウォームアップさせる制御を含む。
クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスと、定着のウォームアップは互いに制御負荷の競合がないため、同時進行が可能である。
図21は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するタイミングについて説明するフロー図(その1)である。
図21を参照して、制御装置101は、初期動作を実行しているか否かを判断する(ステップS160)。
制御装置101は、初期動作を実行していないと判断した場合(ステップS160においてNO)には、ステップS160の状態を維持する。
一方、制御装置101は、初期動作を実行していると判断した場合(ステップS160においてYES)には、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS162)。
ステップS162において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS162においてYES)には、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行する(ステップS164)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS162において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンでないと判断した場合(ステップS162においてNO)には、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行せずに、処理を終了する(エンド)。
初期動作を実行中に、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することにより、トータルの初期動作時間は変わらない。ユーザーのダウンタイムが増えることはないので、初期動作中にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することが可能である。
図22は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するタイミングについて説明するフロー図(その2)である。
図22を参照して、制御装置101は、待機中(アイドル中)であるか否かを判断する(ステップS170)。
制御装置101は、待機中でないと判断した場合(ステップS170においてNO)には、ステップS170の状態を維持する。
一方、制御装置101は、待機中であると判断した場合(ステップS170においてYES)には、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS172)。
ステップS172において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS172においてYES)には、印字指示が有るかどうかを判断する(ステップS174)。
ステップS174において、制御装置101は、印字指示が無いと判断した場合(ステップS174においてNO)には、ダウンタイム発生中か否かを判断する(ステップS176)。
ステップS176において、制御装置101は、ダウンタイム発生中であると判断した場合(ステップS176においてYES)には、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行する(ステップS178)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS172において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンでないと判断した場合(ステップS172においてNO)、あるいは、ステップS174において印字指示が有る場合(ステップS174においてYES)、あるいは、ステップS176において、ダウンタイム発生中でない場合(ステップS176においてNO)には、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行せずに、処理を終了する(エンド)。
アイドル中とは、定着のウォームアップなどプロセスの準備ができ、印字が可能な状態である。アイドル中であるので、画像形成装置としては常に印字が可能な状態、すなわちダウンタイムが発生していない状態であるべきである。
クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの実行中はダウンタイムとなり、その間にコピー釦の押下やプリンタドライバから印字指示されると、クリーナバイアス極性シーケンスが完了するまでは印字動作ができないのでアイドル中はクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行しない方が望ましい。
一方で、アイドル中であっても用紙エンプティやトナーエンプティなど、別の要因でのダウンタイムが発生している場合には、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行してもよい。
また、アイドル中であっても、管理者モード中などユーザーが意図的に印字動作を禁じているモードの場合には、印字動作は発生しないのでクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行してもよい。
クリーナバイアス極性入れ替えシーケンス実行中に印字指示があった場合には、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスの完了後に印字を行う。
なお、アイドル中のクリーナバイアス極性入れ替えシーケンス実行は、ベルト動作や一次転写と二次転写の圧接と離間の動作音がユーザーにとって不快となる場合には管理者設定でアイドル中には行わないように設定することも可能である。
上記したように、初期動作時やアイドル中のダウンタイムとならないタイミングでクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することが望ましいが、実行できずに印字が開始されてしまった場合は、プロセス立ち上げ時にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するようにしても良い。
初期動作時や待機動作中のダウンタイムとならないタイミングでクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行したほうが望ましいが、印字が開始されてしまった場合は、印字の準備動作時にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行する。
図23は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するタイミングについて説明するフロー図(その3)である。
図23を参照して、制御装置101は、印字の準備動作中であるか否かを判断する(ステップS180)。
制御装置101は、印字の準備動作中でないと判断した場合(ステップS180においてNO)には、ステップS180の状態を維持する。
一方、制御装置101は、印字の準備動作中でないと判断した場合(ステップS180においてYES)には、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS182)。
ステップS182において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS182においてYES)には、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行する。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、入れ替えフラグがオンで無いと判断した場合(ステップS182においてNO)には、ジョブの印字枚数を予測する(ステップS186)。
なお、制御装置101は、過去の印字枚数をカウントアップしているものとする。そして、制御装置101は、過去の印字枚数に対して今回の印字枚数を加算した印字枚数を予測する。
ここで、印字枚数のカウントアップに関して、カラー印字の場合には「4」、モノクロ印字の場合には「1」、大サイズなら2倍、両面印刷なら2倍にカウントアップしても良い。また、両面印刷の実行中にジャムやトラブルで印字が中断した場合には、片面が印字済みである場合には、片面印字のみ印字枚数をカウントアップしてもよい。
次に、制御装置101は、予測した印字枚数が500枚を超えるか否かを判断する(ステップS188)。
制御装置101は、印字枚数が500枚を超えると判断した場合(ステップS188においてYES)には、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行する。
そして、処理を終了する(エンド)。
制御装置101は、ジョブに印字枚数が500枚を超えないと判断した場合(ステップS188においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
印字中にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行すると、ダウンタイム発生中に感光体や現像などの負荷が回りっぱなしになるため寿命が進んでしまう、あるいはいったん感光体や現像を停止させると負荷の再立ち上げのためにダウンタイムが著しく大きくなる。
したがって、印字中よりも印字の準備動作として感光体のプロセス負荷が起動する前にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行したほうがよい。
また、ジョブの印字枚数を予測して、予測結果に基づいて、印字枚数が閾値を超えると判断される場合には、現時点で閾値を超えていなくても印字の準備動作時にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行しても良い。
印字中にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することは、リアルタイム性が増す反面、印字を中断することによるダウンタイムを発生させ、他のプロセスの消耗品の寿命も悪化させることがある可能性がある。
しかしながら、他の要因でダウンタイムが発生している場合には、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行しても良い。
図24は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するタイミングについて説明するフロー図(その4)である。
図24を参照して、制御装置101は、所定の印字の中断動作中であるか否かを判断する(ステップS190)。
制御装置101は、所定の印字の中断動作中でないと判断した場合(ステップS190においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、所定の印字の中断動作中であると判断した場合(ステップS190においてYES)には、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS192)。
ステップS192において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS192においてYES)には、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行する。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、入れ替えフラグがオンで無いと判断した場合(ステップS192においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
例えば、所定の印字の中断動作として、厚紙から薄紙への用紙の入れ替え時には、目標温度を下げる必要があるため、温度下げのための印字中断が発生する。これはクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスとは異なる要因のダウンタイムであるため、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行してもよい。また、定着要因だけでなく、他の要因で印字の中断が発生した場合でも、クリーナバイアス入れ替え極性入れ替えシーケンスを実行してもよい。
待機中のクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスは実行時の音が目立ち、印字の準備動作時のクリーナバイアス極性入れ替えはファーストプリントタイムが悪くなり、印字中のクリーナバイアス極性入れ替えは他の消耗品の寿命悪化が懸念される場合がある。
したがって、印字の終了動作時に、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行することが可能である。印字の終了動作時にクリーナバイアス電圧の極性を入れ替えておけば、転写ベルトがトナーで機内を汚す懸念がなくなるので、次回の印字の準備動作時のクリーニング動作も不要になる。
図25は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するタイミングについて説明するフロー図(その5)である。
図25を参照して、制御装置101は、印字の終了動作中であるか否かを判断する(ステップS200)。
制御装置101は、印字の終了動作中でないと判断した場合(ステップS200においてNO)には、ステップS200の状態を維持する。
一方、制御装置101は、印字の終了動作中であると判断した場合(ステップS200においてYES)には、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS202)。
ステップS202において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS202においてYES)には、次のジョブが予約されているか否かを判断する(ステップS204)。
ステップS204において、制御装置101は、次のジョブが予約されていると判断した場合(ステップS204においてYES)には、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS204において、次のジョブが予約されていないと判断した場合(ステップS204においてNO)には、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行する(ステップS206)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、制御装置101は、入れ替えフラグがオンで無いと判断した場合(ステップS202においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
最終用紙の印字が終わって印字の終了動作中である場合には、入れ替えフラグがオンの場合に、クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行する。クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスはダウンタイムとなるが、印字は終了しているので問題とならない。
また、新規のジョブが待機している場合には、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行しないことにより、ダウンタイムの発生を抑制することができる。新規のジョブが無い場合に、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行する。
(他の実行タイミング)
印字動作中にクリーナバイアス電圧の極性を入れ替える場合には、印字を中断することによるダウンタイムを発生させる可能性があるが、上記したように、上流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を正から負に、下流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を負から正に入れ替える場合には、下流側のクリーナーブラシから吐き出される正極性のトナーは少なく、機内を汚さないと考えられる。
したがって、上記したように、一次転写部と二次転写部の離間と転写ベルトの空回転をしなくても良い。
したがって、ダウンタイムは発生せず、感光体などの寿命にも影響しないので、印字動作中にクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行してもよい。
図26は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するタイミングについて説明するフロー図(その6)である。
制御装置101は、印字中であるか否かを判断する(ステップS210)。
制御装置101は、印字中でないと判断した場合(ステップS210においてNO)には、ステップS210の状態を維持する。
一方、制御装置101は、印字中であると判断した場合(ステップS210においてYES)には、入れ替えフラグがオンであるか否かを判断する(ステップS212)。
ステップS212において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンであると判断した場合(ステップS212においてYES)には、クリーナバイアス極性の入れ替えが上流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を正から負に、下流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を負から正に入れ替えるか否かを判断する(ステップS214)。
制御装置101は、クリーナバイアス極性の入れ替えが上流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を正から負に、下流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を負から正に入れ替えると判断した場合(ステップS214においてYES)には、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行する(ステップS206)。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS212において、制御装置101は、入れ替えフラグがオンで無いと判断した場合(ステップS212においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
また、ステップS214において、制御装置101は、クリーナバイアス極性の入れ替えが上流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を正から負に、下流側のクリーナーブラシに印加するクリーナバイアスの極性を負から正に入れ替えないと判断した場合(ステップS214においてNO)には、処理を終了する(エンド)。
当該クリーナバイアス極性入れ替えシーケンスは、極性を入れ替えるだけで完了となるので印字を中断することなく実行することが可能である。
また、クリーナーブラシの消耗度合(消耗率)が100%を超えると判断する場合にもクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを優先して実行するようにしても良い。
図27は、実施形態に基づくクリーナバイアス極性入れ替えシーケンスを実行するタイミングについて説明するフロー図(その7)である。
制御装置101は、印字中であるか否かを判断する(ステップS220)。
制御装置101は、印字中でないと判断した場合(ステップS220においてNO)には、ステップS220の状態を維持する。
一方、制御装置101は、印字中であると判断した場合(ステップS220においてYES)には、ジョブの印字枚数を予測する(ステップS222)。
なお、制御装置101は、過去の印字枚数をカウントアップしているものとする。そして、制御装置101は、過去の印字枚数に対して今回の印字枚数を加算した印字枚数を予測する。
ここで、印字枚数のカウントアップに関して、カラー印字の場合には「4」、モノクロ印字の場合には「1」、大サイズなら2倍、両面印刷なら2倍にカウントアップしても良い。また、両面印刷の実行中にジャムやトラブルで印字が中断した場合には、片面が印字済みである場合には、片面印字のみ印字枚数をカウントアップしてもよい。
次に、制御装置101は、予測した印字枚数に従う消耗度合(消耗率)が100%を超えるか否かを判断する(ステップS224)。
消耗度合の算出については、図17で説明したのと同様の方式に従って算出することが可能である。
ステップS224において、制御装置101は、消耗度合(消耗率)が100%を超えると判断した場合(ステップS224においてYES)には、クリーナバイアス入れ替えシーケンスを実行する(ステップS206)。この場合は印字動作を中断する。
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS224において、予測した印字枚数に従う消耗度合(消耗率)が100%を超えないと判断した場合(ステップS224においてNO)には、印字動作を中断することなく、当該処理を終了する(エンド)。
当該処理により、ダウンタイムを発生させてでも、交換作業が大変なクリーナーブラシの寿命を延命させることが可能である。
<他の実施の形態>
本開示に係る技術的思想の適用範囲は、上記の各実施の形態に限定されない。たとえば、クリーナーブラシ44とクリーナーブラシ45とのいずれか一方について、制御装置101は、寿命が到来したかどうかを判定し、当該一方に寿命が到来したと判定した場合に、寿命が到来したと判定されていない他方に、トナーと同極性および逆極性のバイアス電圧を互いに切り替えて印加するように構成されてもよい。このようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記のフローを任意に組み合わせることも当然に可能である。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。