JP2019072967A - 三次元造形装置および三次元造形物の造形方法 - Google Patents

三次元造形装置および三次元造形物の造形方法 Download PDF

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Abstract

【課題】造形後の三次元造形物を容易に取り出すことができる三次元造形装置を提供する。【解決手段】本発明に係る三次元造形装置は、造形槽50と、粉末材料100が通過可能な貫通穴52Cを備えた造形プレート52と、造形プレート52よりも下方において造形槽50に挿入され、粉末材料100を載置可能な造形テーブル51と、造形プレート52および造形テーブル51の上下位置を変更可能な昇降装置53、54とを備える。粉末材料100は、第1状態では、造形プレート52よりも上方まで堆積している。粉末材料100のうちの少なくとも一部は、第1状態よりも造形プレート52と造形テーブル51との間の距離が大きい第2状態では、造形プレート52上から貫通穴52Cを通って造形テーブル51上に落下する。【選択図】図6B

Description

本発明は、三次元造形装置および三次元造形物の造形方法に関する。
従来から、特許文献1に開示されているように、粉末材料にバインダを吐出し、粉末材料を硬化させることによって所望の三次元造形物を造形する粉末積層法が知られている。
特許文献1に開示された三次元造形装置は、粉末が収容される造形部と、造形部に供給される粉末が収納される粉末供給部と、造形部より上方に配置されたインクジェットヘッドとを備えている。インクジェットヘッドは、造形部に収容された粉末に水性インクを吐出する。即ち、インクジェットヘッドは、造形部に収容された粉末のうち三次元造形物の断面形状に対応する部分に水性インクを吐出する。造形部に収容された粉末のうち水性インクが吐出された部分は硬化し、断面形状に対応した硬化層が形成される。そして、硬化層を順次積層することで、所望の三次元造形物が造形される。
特許第5400042号公報
ところで、特許文献1に示されたような三次元造形装置では、造形終了時において、三次元造形物は粉末材料に埋まっている。そこで、造形終了後、三次元造形物を粉末材料から掘り出す作業が必要である。この掘り出し作業は、例えば手作業や、集塵機などによって行われるが、その際、いくつかの問題が起こり得る。手作業で三次元造形物を取り出す場合には、多大な工数が発生する他、掘り出しの際に三次元造形物を破損してしまう危険が伴う。また、集塵機による粉末材料の吸引では、吸引される粉末材料が混合粉である場合に、吸引によって成分が分離してしまうことがある。成分が分離してしまった場合、使用するためには再混錬が必要である。上記のように、三次元造形装置においては、造形後の三次元造形物の取り出しは必ずしも容易ではなく、三次元造形物を破損させるリスクも伴っている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、造形後の三次元造形物を容易かつ確実に取り出すことができる三次元造形装置を提供することである。また、造形後の三次元造形物を容易かつ確実に取り出すことができる三次元造形物の造形方法を提供することである。
本発明に係る三次元造形装置は、上下方向に延びるとともに少なくとも上方に開口を有する筒状の内面を備えた造形槽と、前記造形槽に粉末材料を供給する材料供給装置と、前記材料供給装置によって供給された前記粉末材料を上方から硬化させて三次元造形物を造形する材料硬化装置と、前記造形槽に昇降自在に挿入され、前記粉末材料が通過可能な貫通穴を備えた造形プレートと、前記造形プレートよりも下方において前記造形槽に昇降自在に挿入され、前記粉末材料を載置可能な造形テーブルと、前記造形槽における前記造形プレートおよび前記造形テーブルの上下位置を変更可能な昇降装置と、を備える。前記昇降装置は、前記造形プレートと前記造形テーブルとの距離が所定の第1距離に保たれるとともに前記粉末材料が前記造形プレートよりも上方まで堆積した第1状態と、前記造形プレートと前記造形テーブルとの距離が前記第1距離よりも長い第2距離に保たれた第2状態とを形成可能に構成されている。前記粉末材料のうちの少なくとも一部は、前記昇降装置を前記第1状態から前記第2状態に移行させた場合において、前記造形プレート上から前記貫通穴を通って前記造形テーブル上に落下する。
上記三次元造形装置によれば、第1状態において粉末材料が造形プレートよりも上方まで堆積しているため、三次元造形物は造形プレート上に造形される。そして、三次元造形物の造形後、昇降装置を第2状態に移行させることによって、造形プレートと造形テーブルとの間の距離が広がり、粉末材料の一部または全部が造形プレート上から貫通穴を通って造形テーブル上に落下する。即ち、三次元造形物が形成されている造形プレート上から上記落下分だけ粉末材料が減少する。そのため、手作業による掘り出しと比較すると、掘り出しに係る工数が削減でき、三次元造形物を破損してしまうリスクを低減できる。また、集塵機による吸引と比較すると、集塵に係る工数が削減できるとともに、粉末材料の成分が分離する不具合が発生しないため再混錬作業を省略することができる。
また、本発明に係る三次元造形物の造形方法は、上下方向に延びるとともに少なくとも上方に開口を有する筒状の造形槽と、前記造形槽に挿入され粉末材料を載置可能な造形テーブルと、前記造形テーブル上の前記粉末材料を上方から硬化させる材料硬化装置と、を備えた三次元造形装置によって三次元造形物を造形する方法であって、第1工程と、第2工程と、第3工程とを含む。前記第1工程では、前記粉末材料が通過可能な貫通穴を備えた造形プレートを前記造形テーブル上に載置する。前記第2工程では、前記造形プレート上に前記粉末材料を供給しながら、前記造形プレート上で前記粉末材料を硬化させる。前記第3工程では、前記造形テーブルに対して前記造形プレートを上方に離反させる。前記第3工程において、前記粉末材料のうちの少なくとも一部は、前記造形プレート上から前記貫通穴を通って前記造形テーブル上に落下する。
上記三次元造形物の造形方法によれば、粉末材料が通過可能な貫通穴が設けられた造形プレートが造形テーブル上に載置(第1工程)された状態で三次元造形物の造形が行われ、三次元造形物は造形プレート上に造形される(第2工程)。その後、造形プレートを造形テーブルに対して上方に離反させることによって、造形プレートから粉末材料が落下する(第3工程)。粉末材料が造形プレートから落下することによって奏される作用効果は、上記三次元造形装置の場合と同様である。なお、造形プレートと造形テーブルとの離反は相対的なものであって、必ずしも造形プレートが上方に引き上げられることを意味しない。造形プレートと造形テーブルとを相対的に離反させるためには、例えば、造形プレートを下方に対して固定した上で造形テーブルを降下させてもよい。
第1実施形態に係る三次元造形装置を模式的に示した断面図である。 第1実施形態に係る三次元造形装置を模式的に示した平面図である。 造形槽、造形テーブル、および造形プレートを模式的に示した斜視図である。 三次元造形装置のブロック図である。 造形開始前の造形槽内を模式的に示した断面図である。 準備プロセス終了後の造形槽内を模式的に示した断面図である。 造形中の造形槽内を模式的に示した断面図である。 造形終了後の造形槽内を模式的に示した断面図である。 粉末除去プロセスの途中における造形槽内を模式的に示した断面図である。 粉末除去プロセス終了後の造形槽内を模式的に示した断面図である。 跳ね出しプロセス終了時の造形槽内を模式的に示した断面図であって、粉末除去プロセスが図6Bの状態で終了した場合を示す図である。 跳ね出しプロセス終了時の造形槽内を模式的に示した断面図であって、粉末除去プロセスが図6Aの状態で終了した場合を示す図である。 造形プレートにリフト用アダプタを取り付け、リフト用アダプタをリフト爪で持ち上げた状態を模式的に示した正面図である。 ストッパ機構付近を模式的に示した断面図である。 第2実施形態に係る造形槽付近を模式的に示した断面図であって、造形プロセスが終了した時点の状態を示す図である。 第2実施形態に係る造形槽付近を模式的に示した断面図であって、粉末除去プロセスの途中における状態を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る三次元造形装置について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化される。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る三次元造形装置10を模式的に示した断面図である。図2は、本実施形態に係る三次元造形装置10の平面図である。図1は、図2のI−I断面である。図面中の符号Fは、前方を示し、符号Rrは、後方を示している。本実施形態では、符号Fの方向から三次元造形装置10を見たときの左、右、上、下が、それぞれ三次元造形装置10の左、右、上、下である。ここでは、図面中の符号L、R、U、Dは、それぞれ左、右、上、下を意味するものとする。本実施形態では、符号X、Y、Zは、それぞれ前後方向、左右方向、上下方向を示している。左右方向Yは、三次元造形装置10の主走査方向である。前後方向Xは、三次元造形装置10の副走査方向である。また、上下方向Zは、三次元造形における積層方向である。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、三次元造形装置10の設置態様を何ら限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態に係る三次元造形装置10は、粉末材料100を硬化液で固めて硬化層101を形成し、これを上下方向Zに順次一体的に積層することによって三次元造形物110を造形する装置である。本実施形態に係る三次元造形装置10は、所望の三次元造形物110の断面形状を示す断面画像に基づいて粉末材料100に硬化液を吐出し、粉末材料100を硬化させて硬化層101を形成する。そして、硬化層101を順次積層することで、所望の三次元造形物110を造形する。
ここで、「断面形状」とは、造形する三次元造形物110を所定の方向(例えば水平方向)に所定の厚み(例えば0.1mm。なお、所定の厚みは必ずしも一定の厚みに限定されない。)ごとにスライスしたときの断面の形状である。
粉末材料100の組成や形態等は特に制限されず、樹脂材料、金属材料および無機材料等の各種の材料から構成された粉体を対象とすることができる。粉末材料100としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等のセラミック材料や、鉄、アルミニウム、チタンおよびこれらの合金(典型的にはステンレス鋼、チタン合金、アルミニウム合金)、半水石膏(α型焼石膏、β型焼石膏)、アパタイト、食塩、プラスチック等が挙げられる。これらはいずれか1種の材料から構成されていてもよいし、2種以上が組み合わされていてもよい。粉末材料100が混合粉である場合、成分である各粉末の粒度が異なっていることもある。例えば、骨材となる粉末よりもバインダとなる粉末の方が細かいことなどがある。
「硬化液」は、上記粉末材料100同士を固着することが可能な材料であれば特に限定されない。例えば、硬化液としては、粉末材料に応じて、当該粉末材料を構成する粒子同士を結着させることが可能な液体(粘性体を含む。)が用いられる。硬化液としては、例えば、水、ワックス、バインダ等を含む液体が挙げられる。また、粉末材料が副材として水溶性樹脂を有している場合には、硬化液として、水溶性樹脂を溶解可能な液体、例えば水を用いることもできる。かかる水溶性樹脂は特に制限されないが、例えば、澱粉、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリアミド等が挙げられる。
図1に示すように、三次元造形装置10は、本体11と、副走査方向移動機構20と、敷詰ローラ30と、造形槽ユニット40と、ヘッドユニット60と、主走査方向移動機構70と、制御装置80と、を備えている。
図2に示すように、本体11は、副走査方向Xに長い形状を有する三次元造形装置10の外装体である。本体11は、上方に向けて開口する箱型形状に形成されている。本体11は、副走査方向移動機構20と、造形槽ユニット40と、制御装置80とを収容する。また、図1に示されるように、本体11は、敷詰ローラ30と主走査方向移動機構70とを支持する支持台でもある。
図1に示すように、造形槽ユニット40は、本体11に収容されている。造形槽ユニット40は、造形槽50と、供給槽42と、余剰粉末収容槽45とを備えている。造形槽ユニット40の上面41は平坦であって、この上面41から凹むように造形槽50と供給槽42と余剰粉末収容槽45とが独立に並んで設けられている。
図1に示すように、造形槽50は、造形槽ユニット40に設けられている。造形槽50は、その内部で三次元造形物110が造形される槽である。造形槽50は、上下方向に延びる筒状の内面50Bを有している。また、上方に向けて開口した開口50Cを備えている。図2に示すように、造形槽50の内面50Bおよび開口50Cは、平面視において矩形の形状を有している。ただし、造形槽50は、平面視において矩形である必要は必ずしもない。
図1に示すように、造形槽50の内部には造形テーブル51および造形プレート52が挿入されている。造形槽50の内部にはさらに、テーブル昇降機構54が設けられており、造形テーブル51はテーブル昇降機構54の駆動に従って昇降するようになっている。また、造形プレート52は、造形テーブル51上に載置されており、基本的に造形テーブル51の上下動に伴って造形槽50内を上下動する。造形槽50の内部には、造形槽50の内面50Bと造形テーブル51とによって造形空間50Aが構成されている。造形空間50Aは、その内部で三次元造形物110が造形される空間である。
図3は、造形槽50、造形テーブル51、および造形プレート52を模式的に示す斜視図である。図3においては、造形テーブル51および造形プレート52は、造形槽50と分離して図示している。図3に示すように、造形テーブル51は、造形槽50の内面50Bの平面形状とほぼ同形状の矩形の板である。造形テーブル51は、造形槽50に挿入されたとき、造形槽50の内面50Bとほぼ隙間なく摺動可能である。つまり、造形テーブル51は、造形槽50において内面50Bと接しながら上下方向Zに移動する。ただし、図3に示されるように、造形テーブル51は、4隅にそれぞれ切り欠き51Aを備えている。切り欠き51Aは、造形テーブル51の4隅に設けられた三角形の欠落部である。造形テーブル51は、切り欠き51Aにおいてだけ造形槽50の内面50Bと接することなく昇降する。
図3に示されるように、造形プレート52は、造形槽50の内面50Bの平面形状と同形の外形を備えている。造形プレート52は、外形に関して、矩形の板状の部材である。造形プレート52は、フレーム52Aと多孔板52Bとを備えている。フレーム52Aは、所定の厚みD1を持った矩形のリング形状を有している。フレーム52Aは、造形プレート52の外形を構成している。フレーム52Aは、例えば、金属板を組み合わせて接合することにより形成されている。フレーム52Aの中心部分には、多孔板52Bがはめ込まれている。図3に示すように、多孔板52Bはハニカム構造を備えている。即ち、鉛直方向に延びる複数の板によって複数の六角形に区切られた構造を備えている。ハニカム構造の各六角形は、造形プレート52の上面と下面とを連通させる貫通穴52Cを構成している。ハニカム構造を構成する複数の板は、フレーム52Aの厚みD1と同じ高さを有している。従って、フレーム52Aと多孔板52Bとを組み合わせたとき、上面、下面はともに面一である。ただし、フレーム52A、多孔板52Bのうちの一方の高さが高い構成が排除されるわけではない。多孔板52Bとフレーム52Aとは、例えば溶接などによって一体に接合されている。
造形プレート52の前後の側面には、それぞれアダプタ取付部52Dが設けられている(図3では前方のアダプタ取付部52Dのみ図示)。アダプタ取付部52Dは、リフト用アダプタ90(図8参照)が取り付けられる部位である。造形プレート52は、リフト用アダプタ90をリフトの爪などで保持することによって持ち上げることができる。造形プレート52は、造形槽50から着脱自在である。アダプタ取付部52Dは、図3に示すように、例えば、フレーム52Aの側面に設けられた横長の長穴である。リフト用アダプタ90の構造や使用方法などについては後述する。
造形槽50は、内面50Bに落下阻止部材53を備えている。落下阻止部材53は、造形プレート52がそれよりも下方に落下しないように設けられている部材である。落下阻止部材53は、4つの支持部53Aを備えている。4つの支持部53Aは、それぞれ造形槽50の内面50Bの4隅に設けられている。支持部53Aは、造形槽50の内面50Bから内側に向かって突出させた部材である。支持部53Aは、ここでは三角柱状の部材であり、柱の伸長方向が上下方向に向くように取り付けられている。図1、図2に示されているように、組み立て状態においては、造形プレート52は落下阻止部材53よりも上方で造形槽50に挿入されており、落下阻止部材53に突き当たるために、それより下方に降下することはできない。そこで、以下では、落下阻止部材53に突き当たったときの造形プレート52の上面の位置を、プレート下降停止位置PP1(図6B参照)と称することとする。一方、造形テーブル51は、4隅に三角形の切り欠き51Aを備えているために、落下阻止部材53とすれ違うことが可能である。造形テーブル51の切り欠き51Aは、造形テーブル51がプレート下降停止位置PP1を通過する際、支持部53Aと干渉しないように構成されている。そこで、造形テーブル51は、プレート下降停止位置PP1の上方、下方のいずれにも位置することが可能である。
テーブル昇降機構54は、造形テーブル51を上下方向Zに移動させる機構である。テーブル昇降機構54の構成は特に限定されないが、本実施形態では図示しないサーボモータとボールねじなどを備えている。テーブル昇降機構54は、造形テーブル51に下方から接続されている。造形テーブル51は、テーブル昇降機構54のサーボモータが駆動することによって上下方向Zに移動する。テーブル昇降機構54は、制御装置80と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。本実施形態では、テーブル昇降機構54および落下阻止部材53が、造形テーブル51および造形プレート52の上下方向Zの位置を変更する昇降装置を構成している。
供給槽42は、粉末材料100が造形槽50の造形空間50Aに供給される前において貯留されている槽である。図2に示されるように、供給槽42の形状は、平面視において矩形状である。ただし、供給槽42の平面形状は矩形に限定されるわけではない。供給槽42の内部には、平面形状において供給槽42と同形の底部材43が収納されている。供給槽42と底部材43とは、粉末材料100が収容される貯留空間42Aを構成している。貯留空間42A内の粉末材料100は、後述する敷詰ローラ30によって造形槽50の造形空間50Aに敷き詰められる。供給槽42は、造形槽50の後方に配置されている。供給槽42は、主走査方向Yに関して造形槽50と揃った位置に配置されている。図2に示すように、平面視において、造形槽50の主走査方向Yの長さは、供給槽42の主走査方向Yの長さと同じである。しかしながら、供給槽42の主走査方向Yの長さは、造形槽50の主走査方向Yの長さより長くてもよい。
底部材43は、供給槽42内部において、上下方向Zに移動可能に構成されている。底部材43の下部には、供給槽昇降機構44が連結されている。供給槽昇降機構44は、底部材43を上下方向Zに移動させる機構である。供給槽昇降機構44の構成は、特に限定されないが、本実施形態では、テーブル昇降機構54と同様に、図示しないサーボモータとボールねじなどを備えている。供給槽昇降機構44のサーボモータが駆動することで、底部材43は上下方向Zに移動する。供給槽昇降機構44は、制御装置80と電気的に接続されており、制御装置80によって制御される。
余剰粉末収容槽45は、粉末材料100が敷詰ローラ30によって造形槽50に敷き詰められた際に、造形槽50に収容しきれなかった粉末材料100を回収する槽である。余剰粉末収容槽45は、粉末材料100が収容される収容空間45Aを有する。余剰粉末収容槽45は、造形槽50の前方に配置されている。余剰粉末収容槽45は、主走査方向Yに関して造形槽50と揃った位置に配置されている。図2に示すように、平面視において、造形槽50の主走査方向Yの長さと、余剰粉末収容槽45の主走査方向Yの長さとは同じである。しかしながら、余剰粉末収容槽45の主走査方向Yの長さは、造形槽50の主走査方向Yの長さより長くてもよい。
図1に示すように、副走査方向移動機構20は、ヘッドユニット60、敷詰ローラ30に対して造形槽ユニット40を副走査方向Xに移動させる機構である。本実施形態では、副走査方向移動機構20は、一対のガイドレール21と、フィードモータ22とを備えている。
図1に示すように、ガイドレール21は、造形槽ユニット40の副走査方向Xへの移動をガイドする。ガイドレール21は、本体11内に設けられている。ガイドレール21は、副走査方向Xに延びている。造形槽ユニット40は、ガイドレール21に摺動可能に係合している。ただし、ガイドレール21の設置位置および数は特に限定されない。フィードモータ22は、例えば、ボールねじ等を介して造形槽ユニット40に接続されている。フィードモータ22は、制御装置80に電気的に接続されている。フィードモータ22が回転駆動することによって、造形槽ユニット40は、ガイドレール21上を副走査方向Xに移動することができる。
敷詰ローラ30は、供給槽42の貯留空間42Aに貯留されている粉末材料100を造形空間50Aに敷き詰める部材である。敷詰ローラ30は、粉末材料100の表面を平らにならして粉末層を形成する。敷詰ローラ30は、本体11の上方に配置されている。敷詰ローラ30は、ヘッドユニット60より前方に配置されている。敷詰ローラ30は、長尺の円筒形状を有している。敷詰ローラ30は、円筒軸が主走査方向Yに沿うように配置されている。敷詰ローラ30は、主走査方向Yの寸法が造形槽50の寸法よりも長い。敷詰ローラ30の下端は、造形槽ユニット40の上面41との間に所定のクリアランス(間隙)が形成されるように、造形槽ユニット40の僅かに上方に設置されている。敷詰ローラ30は、本体11の上面11Aに設けられた一対の支持部材31に回転可能に支持されている。敷詰ローラ30は、例えば接続されたモータなどによって回転するように構成されていてもよい。この敷詰ローラ30と、副走査方向移動機構20と、供給槽42に係る各部材(供給槽42、底部材43、供給槽昇降機構44)とは、造形槽50に粉末材料100を供給する材料供給装置の一例である。
図2に示すように、ヘッドユニット60は、キャリッジ61と、キャリッジ61に搭載された複数の吐出ヘッド62とを備えている。複数の吐出ヘッド62は、キャリッジ61の下面に配置されている。吐出ヘッド62は、粉末材料100を結合させる硬化液を造形プレート52上の粉末材料100に対して吐出する部材である。図2に示すように、複数の吐出ヘッド62は、主走査方向Yに並んでいる。吐出ヘッド62は、硬化液を吐出する複数のノズル63を有している。複数のノズル63は、副走査方向Xに直線状に並んでいる。吐出ヘッド62における硬化液の吐出機構は特に制限されず、例えばインクジェット方式などが好適に利用できる。吐出ヘッド62は、制御装置80に電気的に接続されている。吐出ヘッド62のノズル63からの硬化液の吐出は、制御装置80によって制御される。
主走査方向移動機構70は、キャリッジ61を主走査方向Yに移動させる機構である。図2に示されるように、主走査方向移動機構70は、ガイドレール71を備えている。ガイドレール71は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール71には、キャリッジ61が摺動自在に係合している。キャリッジ61には、例えば、無端状のベルトとプーリなどを介してキャリッジモータ72が接続されている。キャリッジモータ72が駆動することによって、キャリッジ61は、ガイドレール71に沿って主走査方向Yに移動する。キャリッジモータ72は、制御装置80と電気的に接続されている。キャリッジモータ72は、制御装置80によって制御される。キャリッジ61が主走査方向Yに移動することによって、複数の吐出ヘッド62も主走査方向Yに移動する。この主走査方向移動機構70と、ヘッドユニット60とは、粉末材料100を硬化させて三次元造形物110を造形する材料硬化装置の一例である。
図1に示すように、本体11の前面には、操作パネル85が設けられている。操作パネル85には、機器状態を表示する表示部と、ユーザーによって操作される入力キー等が設けられている。操作パネル85は、三次元造形装置10の各種の動作を制御する制御装置80と接続されている。図4は、本実施形態に係る三次元造形装置10のブロック図である。図4に示すように、制御装置80は、フィードモータ22、テーブル昇降機構54、供給槽昇降機構44、吐出ヘッド62、およびキャリッジモータ72とそれぞれ通信可能に接続されており、それらを制御可能に構成されている。制御装置80は、供給制御部81と、造形制御部82と、排出制御部83と、取出し制御部84とを備えている。
制御装置80の構成は特に限定されない。制御装置80は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェア構成は特に限定されないが、例えば、ホストコンピュータ等の外部機器から造形データ等を受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置とを備えている。なお、制御装置80は必ずしも三次元造形装置10の内部に設けられている必要はなく、例えば、三次元造形装置10の外部に設置され、有線または無線を介して三次元造形装置10と通信可能に接続されたコンピュータ等であってもよい。
供給制御部81は、フィードモータ22および供給槽昇降機構44を制御して、造形空間50Aに粉末材料100を供給させる部位である。供給制御部81は、供給槽昇降機構44を駆動させることによって底部材43を上昇させ、貯留空間42Aの外側に粉末材料100を溢れさせる。その状態からフィードモータ22を駆動させて造形槽ユニット40を後方に移動させることにより、敷詰ローラ30を供給槽42および造形槽50に対して相対的に前方に走行させる。それにより、貯留空間42Aの外側に溢れた粉末材料100は、敷詰ローラ30によって造形槽50上に供給される。
造形制御部82は、フィードモータ22、吐出ヘッド62、キャリッジモータ72、およびテーブル昇降機構54を制御して、造形空間50Aに敷き詰められた粉末材料100から三次元造形物110を造形させる。造形制御部82がフィードモータ22、吐出ヘッド62、キャリッジモータ72を制御して吐出させる硬化液の吐出位置は、三次元造形物110の造形データに基づいている。吐出ヘッド62から吐出された硬化液によって、造形空間50A内の粉末材料100は硬化され、硬化層101を形成する。造形制御部82は、1層の硬化層101が形成される度に、テーブル昇降機構54を制御して硬化層101の上下方向Zの位置を下げさせる。それにより、次の層の粉末材料100の供給および造形が可能となる。
排出制御部83は、テーブル昇降機構54を制御して、三次元造形物110の造形後における粉末材料100の除去を行わせる部位である。図4に示すように、排出制御部83は、第1排出位置設定部83Aと、第2排出位置設定部83Bとを備えている。第1排出位置設定部83Aは、粉末除去時における造形テーブル51の上下方向Zの位置を、三次元造形物110の造形データに基づき自動設定する。第2排出位置設定部83Bは、粉末除去時における造形テーブル51の上下方向Zの位置をユーザーが設定可能なように構成されている。造形テーブル51の上下方向Zの位置が自動設定された場合には、粉末材料100は全部除去される。造形テーブル51の上下方向Zの位置がマニュアル設定された場合には、粉末材料100は設定値に応じて一部または全部除去される。この詳細については後述する。第1排出位置設定部83Aおよび第2排出位置設定部83Bは、例えば、コンピュータの表示装置などに操作画面を表示させる。ユーザーは、まず第1排出位置設定部83A(自動設定)、第2排出位置設定部83B(マニュアル設定)のいずれを使用するかを選択し、第2排出位置設定部83B(マニュアル設定)を選択した場合には、設定値を入力する。
取出し制御部84は、テーブル昇降機構54を制御して、粉末除去後の三次元造形物110を所定の位置まで移動させる。好適には、造形プレート52が造形槽ユニット40の上面41よりも上面に突出する位置まで、造形テーブル51を上昇させる(いわゆる「跳ね出し」)。図4に示すように、取出し制御部84は、第1取出し位置設定部84Aと、第2取出し位置設定部84Bとを備えている。第1取出し位置設定部84Aは、跳ね出し時における造形テーブル51の上下方向Zの位置を自動設定する。第2取出し位置設定部84Bは、跳ね出し時における造形テーブル51の上下方向Zの位置をユーザーが任意に設定可能なように構成されている。造形テーブル51の上下方向Zの位置が自動設定された場合には、造形テーブル51は、造形プレート52が造形槽ユニット40の上面41よりも上面に突出すると推定される所定の位置まで上昇する。造形テーブル51の上下方向Zの位置がマニュアル設定された場合には、造形テーブル51は設定された位置まで移動する。この詳細については後述する。第1取出し位置設定部84Aおよび第2取出し位置設定部84Bもまた、例えば、コンピュータの表示装置などに操作画面を表示させる。ユーザーは、まず第1取出し位置設定部84A(自動設定)、第2取出し位置設定部84B(マニュアル設定)のいずれを使用するかを選択し、第2取出し位置設定部84B(マニュアル設定)を選択した場合には、設定値を入力する。
以下では、本実施形態に係る三次元造形装置10による三次元造形物110の造形プロセス、粉末除去プロセス、および跳ね出しプロセスの各プロセスについて説明する。ただし、以下に説明する各プロセスは、それぞれ1つの好適な例に過ぎず、各プロセスはそれに限定されるわけではない。
(造形プロセス)
三次元造形物110の造形プロセスにおいては、造形空間50Aへの粉末材料100の供給、粉末材料100の硬化による硬化層101の形成、造形テーブル51の下降が繰り返される。上記繰り返しの前には、準備プロセスが実施される。図5A〜図5Dは、造形開始前から造形終了までの造形槽50内を模式的に示す断面図である。そのうち図5Aは、造形スタート前の状態を示している。図5Bは、準備プロセス終了時の状態を示している。図5Cは、造形途中の状態を示している。図5Dは、造形終了時の状態を示している。
図5Aは、造形スタート前の状態を示した図である。図5Aでは、造形テーブル51の上に造形プレート52が載置され、さらに造形プレート52の上に粉末材料100が盛り上げられている。粉末材料100は、造形槽ユニット40の上面41よりも上まで積み上げられている。造形テーブル51は、造形プレート52が造形槽ユニット40の上面41よりも下方にくるような高さに配置されている。そこで、造形プレート52は、造形テーブル51上において粉末材料100に埋もれている。粉末材料100は、造形プレート52の多孔板52Bの貫通穴52Cを通して造形テーブル51上に達している。この時点における粉末材料100は、例えば、ユーザーによって手作業で供給されたものである。
続く図5Bは、準備プロセスが終了した時点を示した図である。図5Bにおいて、造形空間50Aの粉末材料100の上面は、敷詰ローラ30の下面の高さに均一にならされている。準備プロセスにおいて、本実施形態に係る三次元造形装置10は、フィードモータ22を駆動させて、敷詰ローラ30に造形槽50上を走行させる。この敷詰ローラ30の走行により、粉末材料100の上面は、敷詰ローラ30の下面の高さにならされる。このようにして形成される予備層102は、三次元造形物110が造形される領域よりも下方にあらかじめ敷き詰めておく粉末材料100の層である。予備層102の厚さは、ここではT1である。この予備層102が形成された時点から、三次元造形物110の造形が開始される。
三次元造形物110の造形プロセスにおいては、造形空間50Aへの粉末材料100の供給、粉末材料100の硬化による硬化層101の形成、造形テーブル51の下降が繰り返される。図5Cは、上記のような造形プロセスの途中を図示した図である。図5Cに示されているように、1つの硬化層101の形成が終了すると、制御装置80はテーブル昇降機構54を制御して次の硬化層101の厚み分だけ造形テーブル51を下降させる。このときに造形テーブル51が下降される距離は、例えば、0.1mm程度である。同時に、制御装置80は、供給槽昇降機構44を制御して、供給槽42に挿入された底部材43を上昇させる。この底部材43の上昇により、供給槽42上には粉末材料100が溢れる。この溢れた粉末材料100は、敷詰ローラ30の走行により造形槽50の方に押しやられ、一部が造形空間50Aに敷き詰められる。敷き詰められなかった残りの粉末材料100は、余剰粉末収容槽45に収容される。こうして硬化層101の上に新たな粉末層が形成される。その後に、制御装置80は、フィードモータ22、吐出ヘッド62、およびキャリッジモータ72を制御して造形槽50上の所定の場所に硬化液を吐出させ、新たな硬化層101を形成する。
上記のプロセスを繰り返し、本実施形態に係る三次元造形装置10は三次元造形物110の造形を完了する。図5Dは、造形終了時における造形槽50内を示す図である。図5Dに示されるように、造形終了時、完成した三次元造形物110は、硬化されなかった粉末材料100に埋没している。ここでは、完成した三次元造形物110の高さ(=硬化層101の累積高さ)はT2であり、造形空間50A内に堆積した全ての粉末材料100の高さTは、予備層102の厚さT1および造形プレート52の厚さD1と合わせて、T=T1+T2+D1である。造形終了時における造形テーブル51の上下方向Zの位置は、図5Dに示すように位置PT0である。
従来の三次元造形装置では、ここで全プロセスが終了し、造形空間50Aからの三次元造形物110の取り出しは、手作業によっていた。具体的には、シャベル等を使用して未硬化の粉末材料100を除去し、三次元造形物110を掘り出していた。または、集塵機等を使用して、未硬化の粉末材料100を吸引除去していた。しかしながら、三次元造形物110を掘り出すのには多大な労力が必要なほか、その過程において三次元造形物110を破損してしまう危険が伴う。一方、集塵機による吸引除去では、粉末材料100が混合粉である場合、しばしば成分の分離が発生する。例えば、骨材とバインダの粒度が異なる粉末材料などの場合には、骨材とバインダが分離する。吸引によって成分が分離した粉末材料100を再使用するためには、再混錬が必要である。
(粉末除去プロセス)
本実施形態に係る三次元造形装置10においては、排出制御部83がテーブル昇降機構54を制御して粉末材料100の除去を行う。以下では、第1排出位置設定部83Aによる自動設定モードが選択された場合について説明する。自動設定モードでは、粉末材料100は、造形空間50A内から全て除去される。図6Aは、粉末除去プロセスの途中における造形槽50内を模式的に示す断面図である。図6Bは、粉末除去プロセス終了後における造形槽50内を模式的に示す断面図である。図6Aに示されるように、本実施形態に係る粉末除去プロセスにおいて、排出制御部83は、テーブル昇降機構54を制御して造形テーブル51を下降させる。
図6Aに図示した位置PT0は、造形終了時における造形テーブル51の位置である。即ち、粉末除去プロセス開始時点における造形テーブル51の位置である。粉末除去プロセスでは、位置PT0よりも下方に造形テーブル51を下降させる。粉末除去プロセスの当初段階において、造形テーブル51上に載置された造形プレート52は、造形テーブル51とともに下降する。この段階において、造形プレート52と造形テーブル51との位置関係に変化はない。即ち、それぞれの上面を基準とした場合、造形プレート52と造形テーブル51とは、造形プロセス中と同じく、造形プレート52の厚みD1だけ上下方向Zに離れており、その関係は維持されている。しかし、造形テーブル51がさらに下降し、造形プレート52が落下阻止部材53に突き当たると、その関係は変化する。即ち、造形テーブル51は落下阻止部材53と干渉することなくさらに下降を続けるのに対し、造形プレート52は落下阻止部材53によって下降が妨げられ、造形プレート52の下面と造形テーブル51の上面との間に隙間が生じる。言い換えれば、造形プレート52と造形テーブル51との間の距離が、それまでに比べて大きくなる。この隙間に向かって、多孔板52Bの貫通穴52Cから造形プレート52上の粉末材料100が落下する。そして、その落下分だけ、造形プレート52上の粉末材料100が減少する。図6Aは、この粉末材料100の落下中を示した図である。
図6Bは、図6Aの状態からさらに造形テーブル51が下降し、粉末除去プロセスが終了した時点を示している。図6Bに示されるように、造形テーブル51は、テーブル下降停止位置PT1まで下降して停止している。この時点において造形空間50A内に堆積されていた粉末材料100は、全て造形プレート52上から除去されている。つまり、造形テーブル51上に落下している。上記のようにして、本実施形態に係る三次元造形装置10は、三次元造形物110の周囲の未硬化の粉末材料100を除去することができる。
図6Bのテーブル下降停止位置PT1は、第1排出位置設定部83Aによって自動設定された位置である。第1排出位置設定部83Aは、三次元造形物110の造形データに基づいてテーブル下降停止位置PT1を自動で決定する。造形プレート52上の全ての粉末材料100が除去されるためのテーブル下降停止位置PT1の必要条件は、テーブル下降停止位置PT1とプレート下降停止位置PP1との距離(最終離間距離)D2が粉末材料100の堆積高さT以上となることである(ただし、これは必要条件に関することであり、実際に造形テーブル51上に落下した粉末材料100が積み上がる高さは、高さTから硬化によって減少した粉末材料100を差し引いた高さTaである。)。粉末材料100の堆積高さTは、図5Dに示したように、予備層102の厚さT1と、三次元造形物の高さT2と、造形プレート52の厚みD1との和である。予備層102の厚さT1と、造形プレート52の厚みD1とはあらかじめ分かっている。三次元造形物の高さT2は、造形データに基づいて求めることができる。また、プレート下降停止位置PP1は、本実施形態では固定である。第1排出位置設定部83Aは、例えば、最終離間距離D2が粉末材料100の堆積高さTに所定のマージンMを加えた値になるようにテーブル下降停止位置PT1を設定する。ただし、上記は1つの好適な設定例であり、テーブル下降停止位置PT1の設定方法はそれに限定されない。例えば、テーブル下降停止位置PT1は、単純に、造形テーブル51が位置し得る最も低い位置であってもよい。
なお、本実施形態に係る三次元造形装置10では、第2排出位置設定部83Bによってテーブル下降停止位置PT1をマニュアル設定することもできる。粉末材料100を造形プレート52上に残したい何らかの理由(例えば、ある程度の粉末材料100を残し、粉末材料100でサポートしないと三次元造形物110が倒れてしまう等)がある場合などには、第2排出位置設定部83Bによってテーブル下降停止位置PT1をマニュアル設定してもよい。その場合、最終排出状態は、例えば図6Aのような状態となる。また、操作画面によって設定する位置はテーブル下降停止位置PT1でなくともよく、例えば、排出終了時における粉末材料100の上面の位置などであってもよい。
(跳ね出しプロセス)
本実施形態に係る三次元造形装置10は、上記した粉末除去プロセスの終了後、三次元造形物110を造形槽50の外側まで運び出す跳ね出しプロセスを実行する。本実施形態に係る三次元造形装置10は制御装置80に取出し制御部84を備え、取出し制御部84は、テーブル昇降機構54を制御して造形テーブル51を設定された位置まで上昇させる。以下では、第1取出し位置設定部84Aによる自動設定モードが選択された場合について説明する。自動設定モードにおいて造形テーブル51が上昇を停止する位置は様々な方法で決定されてよいが、ここでは、造形テーブル51は、造形プロセス終了時点の位置PT0まで上昇後に停止する。
図7Aは、跳ね出しプロセス終了時における造形槽50内を模式的に示す断面図である。図7Aは、図6Bの状態で粉末除去プロセスが終了した場合における跳ね出しプロセスを示している。図7Aにおいて、造形テーブル51は造形プロセス終了時の位置PT0まで上昇している。図7Aに示されるように、跳ね出しプロセスにおいては、造形プレート52は、排出された粉末材料100に支持されている。粉末除去プロセスでは、粉末材料100は造形プレート52の多孔板52Bを通り抜けて移動(落下)したが、跳ね出しプロセスでは、造形プレート52の多孔板52Bを通り抜けず、造形プレート52を下方から支持している。
この造形プレート52を支持している粉末材料100の堆積高さはTaである。多くの場合、造形空間50Aに供給される粉末材料100の体積は、造形される三次元造形物110の体積よりもかなり大きいので、高さTaは、造形によって積み上がった粉末材料の高さTに近い高さである。造形テーブル51の造形終了時の位置PT0は、造形槽ユニット40の上面41から高さTだけ下方の位置である。そこで、造形テーブル51を造形終了時の位置PT0まで上昇させると、粉末材料100の上面は、図7Aに示されるように、造形槽ユニット40の上面41よりも若干低い位置まで到達する。この位置は、三次元造形物110を取り出すのに好適な位置である。
図7Bは、跳ね出しプロセス終了時における造形槽50内を模式的に示す断面図であって、粉末除去プロセスが図6Aの状態で終了した場合を示す図である。図6Aの状態は、マニュアル設定モードで粉末除去を行い、一部の粉末材料100を造形プレート52上に残した場合の状態である。この図6Aの状態から自動設定モードで跳ね出しを実施すると、状況は図7Bに示されるものに移行する。即ち、ここでも、粉末材料100の上面は、造形槽ユニット40の上面41よりも若干低い位置まで到達する。このように、自動モードによれば、多くの場合、粉末除去プロセス後の状態によらず、三次元造形物110を好適な位置まで跳ね出すことができる。ただし、上記した自動設定の方法は一例であり、これに限定されない。また、本実施形態に係る三次元造形装置10においてはマニュアル設定によって跳ね出し位置を設定することも可能であり、ユーザーは任意に好適な跳ね出し位置を設定することができる。
本実施形態では、上記した跳ね出しプロセスの後、三次元造形物110は、造形プレート52ごと回収され、次工程(例えば乾燥工程など)に回される。本実施形態に係る造形プレート52は、造形槽50から脱着可能に構成されている。さらに、本実施形態に係る造形プレート52には、リフトでの運搬を容易にするリフト用アダプタを取り付けることができる。図3に示したが、造形プレート52の前後の側面には、それぞれアダプタ取付部52Dが設けられている。図8は、造形プレート52にリフト用アダプタ90を取り付け、リフト用アダプタ90をリフト爪91で持ち上げた状態を模式的に示す正面図である。図8に示されるように、ここでのリフト用アダプタ90は、正面から見て略S字形の形状を有する板状の部材である。造形プレート52への取り付けにあたり、アダプタ取付部52Dには、リフト用アダプタ90の第1水平部90Aが挿入される。1つの造形プレート52に対してリフト用アダプタ90は、前後から1つずつ取り付けられる。このようにリフト用アダプタ90が取り付けられた造形プレート52は、リフト爪91によって持ち上げられ、運搬される。その際、リフト爪91は、リフト用アダプタ90の第2水平部90Bを下方から支持する。造形プレート52が運搬された後の造形テーブル51上には、別の造形プレート52が載置される。
なお、リフト用アダプタ90は上記したような形状のものに限らず、造形プレート52と接続され造形プレート52の運搬を補助するように構成されている限りで、どのようなものであってもよい。リフト用アダプタの形状、造形プレート52への接続方法、リフト用アダプタの使用方法などは特に限定されない。また、図8に示すように、造形プレート52は、粉落ち防止用の受け部材92を取り付けることが可能なように構成されていてもよい。
上記したように、本実施形態に係る三次元造形装置10は、粉末材料100が落下する貫通穴52Cが設けられた造形プレート52と、粉末材料100を載置可能な造形テーブル51と、造形プレート52および造形テーブル51の上下方向Zの位置を変更可能な昇降装置(ここでは、テーブル昇降機構54と落下阻止部材53)とを備え、造形プレート52上に粉末材料100が堆積した第1の状態と、造形プレート52上から貫通穴52Cを通って造形テーブル51上に粉末材料100が落下する第2の状態とを形成することが可能である。そこで、造形プレート52上から造形テーブル51上に粉末材料100を落下させて、造形プレート52上の粉末材料100を除去することができる。
本実施形態に係る三次元造形装置10は、造形プロセスにおいて上記した第1の状態を維持するとともに、粉末除去プロセスにおいて第2の状態に移行するように構成され、粉末除去プロセスを自動で実施する。
さらに、本実施形態に係る三次元造形装置10は、粉末除去プロセスにおいて、粉末材料100の除去量を設定可能に構成されている。本実施形態では、造形プレート52上の全ての粉末材料100を除去する自動設定モードを選択することができ、それによれば、特別な設定をしなくとも造形プレート52上の全ての粉末材料100を除去することができる。また、造形プレート52上の任意の高さまで粉末材料100を除去するマニュアル設定モードを選択することもでき、それによれば、設定された分量を残して造形プレート52上の粉末材料100を除去することができる。
また、本実施形態に係る三次元造形装置10は、粉末除去プロセスの後に三次元造形物110の跳ね出しを行うことができるように構成されている。跳ね出しプロセスにおいて、三次元造形物110が載置された造形プレート52は、所定の位置まで上昇する。この跳ね出しにより、ユーザーはより容易に完成した三次元造形物110を回収することができる。
さらに、本実施形態に係る造形プレート52は造形槽50から着脱自在であり、造形プレート52ごと三次元造形物110を回収することができるようになっている。そのため、造形プレート52を交換するだけで次の造形を行うことができ、生産性の向上を図ることができる。本実施形態に係る造形プレート52は、さらに、リフト用アダプタ90を取り付けることができるアダプタ取付部52Dを備え、リフト用アダプタ90を取り付けることにより簡単にリフト運搬できるように構成されている。
造形プレート52から粉末材料100を落下させる貫通穴52Cを構成する部材としては、ハニカム構造を有する多孔板52Bが好適である。ハニカム構造は、開口率が大きい(100%に近い)が構造的に強く、また軽量なので、貫通穴52Cを構成する部材として好適である。もっとも、貫通穴52Cを構成する部材はハニカム構造の多孔板52Bに限定されず、例えばパンチングメタルなども好適に利用できる。
本実施形態に係る三次元造形装置10は、造形プレート52と造形テーブル51との間の距離を変更する機構として、テーブル昇降機構54と落下阻止部材53を備えている。このテーブル昇降機構54と落下阻止部材53との組み合わせによれば、構造においても制御においても簡単かつ確実に、造形プレート52と造形テーブル51との間の距離を変更することができる。落下阻止部材53としては、造形槽50の内面50Bから内側に突出した支持部53Aが、構造が単純であり、コストも抑えられるために好適である。もっとも、本実施形態では支持部53Aは三角柱状の部材であったが、このような形状に限定されるわけではない。支持部53Aは柱状である必要はなく、例えば平板状であってもよい。また、その平面視における形状はどのような形状であってもよい。支持部53Aは、造形プレート52の落下を阻止する段差を形成するものであれば特に限定されない。
本実施形態では、造形テーブル51は、落下阻止部材53とすれ違うことができるように構成されており、落下阻止部材53よりも上方に移動させることもできる。造形テーブル51が落下阻止部材53よりも上方に移動できることは必ずしも必須ではないが、その場合には、造形プレート52を支持する部材(例えば、上方に延びる手のような部材)が必要になり、かつ、造形プレート52と造形テーブル51との間の長い距離に粉末材料100が堆積する。そこで、造形槽50の上下方向Zの長さが長くなり、用意すべき粉末材料100の量も増加する。本実施形態では、造形テーブル51が落下阻止部材53とすれ違うことができ、落下阻止部材53よりも上方に移動させることができるように構成されているため、造形槽50の上下方向Zの長さが長くなったり、用意すべき粉末材料100の量が増加したりする問題を回避することができる。
なお、本実施形態では、造形テーブル51の下降停止位置PT1が設定できたが、その他に、例えば、造形テーブル51の下降速度などが設定できてもよい。例えば、造形プレート52上からの粉末材料100の排出速度が速すぎると三次元造形物110が破損してしまう恐れがあるときなどには、造形テーブル51の下降速度の調整は有効である。造形テーブル51の下降速度を調整することにより、粉末材料100の排出速度を調整することができる。
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態に係る三次元造形装置10は、若干の変形例で実施することもできる。以下の変形例は、第1実施形態と落下阻止部材53の構成が異なっている。また、造形プレート52の構造が一部異なっている。本変形例に係る三次元造形装置10は、落下阻止部材53としてストッパ機構53Bを備えている。そして、造形プレート52は、受け穴52Eを備えている。
図9は、1つのストッパ機構53B付近を模式的に示す断面図である。落下阻止部材53は、複数(例えば4個)のストッパ機構53Bを備えていてもよい。図9に示すように、ストッパ機構53Bは、ボディ53Cと、ピン53Dと、ソレノイド53Eと、スプリング53Fとを備えている。ピン53Dは、ボディ53Cから突出/収納自在に構成されており、図9では突出した状態を示している。収納状態では、ピン53Dはボディ53Cの内部に収納される。ボディ53Cは、造形槽50の内面50Bよりも外側に配置されている。ボディ53Cの内部には、ピン53Dの一部、ソレノイド53E、およびスプリング53Fが収納されている。
スプリング53Fは、ピン53Dをボディ53Cの内部に収納させるように、ピン53Dを押圧する部材である。そこで、通常時、ピン53Dは、ボディ53Cの内部に収納されている。ソレノイド53Eは、ONするとピン53Dをボディ53Cから突出させる部材である。ソレノイド53Eは、制御装置80の排出制御部83に電気的に接続され、排出制御部83に制御されている。そこで、排出制御部83がON指令を発したとき、ピン53Dはボディ53Cから突出する。図9に示されているように、ピン53Dは、突出時、造形槽50の内面50Bよりも内側に突出する。
本変形例に係る造形プレート52の側面には、受け穴52Eが設けられている。受け穴52Eは、ストッパ機構53Bのピン53Dが突出されたときに挿入される穴である。受け穴52Eは、ピン53Dの位置と対応する位置に、ピン53Dと同数設けられている。
本変形例では、粉末除去プロセスに入ると、排出制御部83は、まずテーブル昇降機構54を制御して造形テーブル51を下降させる。次に、排出制御部83は、受け穴52Eの高さがピン53Dの高さと同じになる高さで、いったん造形テーブル51の下降を停止する。この位置は、第1実施形態のプレート下降停止位置PP1に対応する。そして、排出制御部83は、ソレノイド53EをONさせ、ピン53Dを突出させる。ピン53Dが突出し受け穴52Eに挿入されることによって、造形プレート52の上下方向Zの位置は固定される。即ち、これ以上下降しない状態となる。その後、排出制御部83は、さらに造形テーブル51を下降させ、テーブル下降停止位置PT1で停止させる。また、詳細は省略するが、本変形例に係る三次元造形装置10は、跳ね出しプロセスにおいては、ピン53Dを収納状態にすることによって、造形プレート52を上昇可能な状態にする。
本変形例に係る三次元造形装置10によれば、造形テーブル51に特段の構造を設けることなく落下阻止部材53とすれ違わせることができるため、造形テーブル51と造形槽50の内面50Bとの密着が確保しやすい。従って、造形テーブル51の下方に粉末材料100が入り込みにくく、例えば、造形テーブル51の下部にテーブル昇降機構54が設けられていたとしても問題が起こりにくい。
(第2実施形態)
第2実施形態は、造形テーブル51だけでなく造形プレート52も独自に昇降する機構を備えた実施形態である。本実施形態は、上記と一部の制御とを除き第1実施形態と共通である。そこで、本実施形態の説明においても第1実施形態と共通する部材には同じ符号を使用するものとし、重複する説明は省略または簡略化する。
図10Aは、本実施形態に係る造形槽50付近を模式的に示した断面図である。図10Aに示すように、本実施形態に係る三次元造形装置10は、プレート昇降機構55を備えている。プレート昇降機構55は、駆動部55A、テーブル昇降機構設置部材55B、スペーサ55Cを備えている。テーブル昇降機構54は、テーブル昇降機構設置部材55B上に設置されている。
駆動部55Aは、テーブル昇降機構設置部材55Bに下方から接続され、テーブル昇降機構設置部材55Bを上下方向Zに移動させる。テーブル昇降機構設置部材55Bから上方には、スペーサ55Cが延びている。スペーサ55Cは、下方から造形プレート52を支持している。そこで、駆動部55Aは、テーブル昇降機構設置部材55Bおよびスペーサ55Cを介して造形プレート52を上下動させることができる。
一方、テーブル昇降機構54はテーブル昇降機構設置部材55B上に設置され、テーブル昇降機構設置部材55Bと造形プレート52との間において造形テーブル51を昇降させることができる。
図10Aは、造形プロセスが終了した時点の状態を示している。図10Aでは、造形テーブル51は、造形プレート52に下方から接し、多孔板52Bの貫通穴52Cを通過してきた粉末材料100を受けている。このときの造形テーブル51の位置が位置PT0であり、造形プレート52の位置が位置PP0である。
図10Bは、粉末除去プロセス中における造形槽50付近を模式的に示した断面図である。図10Bでは、造形テーブル51の位置は位置PT0で変わっておらず、造形プレート52の位置だけが位置PP0から上昇している。そこで、造形プレート52の上昇分だけ粉末材料100は造形テーブル51上に落下している。造形空間50Aにおける粉末材料100の上面の位置は、粉末材料100を載置している造形テーブル51の位置が変化しないため、造形プレート52の上昇によってもほぼ変化しない(厳密には、硬化による粉末材料100の量の減少に対応する高さだけ下降する。)。このように、本実施形態に係る三次元造形装置10によれば、粉末除去プロセスと跳ね出しプロセスとを兼ねることができ、生産性を向上させることができる。制御としては、造形テーブル51の位置を位置PT0に保つために、テーブル昇降機構54をプレート昇降機構55の上昇速度と同じ速度で下降させればよい。あるいは、テーブル昇降機構54をプレート昇降機構55の上昇速度よりも若干速い速度で下降させて造形テーブル51の位置をゆるやかに下げてもよい。ただし、造形テーブル51および造形プレート52の位置の制御は上記のようなものに限られず、様々に実施できる。本実施形態では、造形テーブル51および造形プレート52をそれぞれ独立に移動させることができるため、制御の自由度が高い。
なお、プレート昇降機構およびテーブル昇降機構は、上記したような方式のものに限定されず、他の方式によって実現されてもよい。例えば、テーブル昇降機構は、造形槽50の下部ではなく外部(例えば後方)に収納され、アーム状の機構などで造形テーブル51を支持してもよい。
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態もいくつかの変形例で実施することが可能である。例えば、1つの変形例では、三次元造形装置10は、テーブル昇降機構を備えず、プレート昇降機構だけを備えていてもよい。そして、造形プレート52またはその近傍に、造形プレート52と造形テーブル51とを連結または分離する連結装置を備えていてもよい。この連結装置により、造形プレート52と造形テーブル51との距離を変更することができる。上記連結装置は、例えばソレノイドなどを備え、ソレノイドのON/OFFによって造形プレート52と造形テーブル51とを連結/分離する。造形テーブル51は、造形プレート52と分離されているときには、例えば自由落下(摩擦を与え、ゆるやかに落下させてもよい)によって造形プレート52から離反する。
以上、本発明のいくつかの好適な実施形態について説明した。しかし、上記した実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
例えば、上記した実施形態では、造形中において造形プレート52の下面と造形テーブル51の上面とは接していた。つまり、造形テーブル51上には造形プレート52が直接載置されていた。しかし、造形中においても造形プレート52の下面と造形テーブル51の上面とは必ずしも接している必要はなく、一定の距離が保たれていればよい。即ち、両者の間には粉末材料100が挟まれていてもよい。また、上記した第1実施形態では、造形テーブル51は落下阻止部材53とすれ違えるように構成され、落下阻止部材53よりも上方まで移動されたが、造形テーブル51は常に落下阻止部材53の下方に位置していてもよい。
上記した実施形態では、造形プレート52は、平板状の外形を備えていたが、それには限定されない。造形プレート52は、例えば上方に延びる側板などを備え、箱状に形成されていてもよい。その他、可能などんな形状であってもよい。造形プレート52の形状は特に限定されない。造形テーブル51についても同様である。
上記した実施形態では、材料供給装置は、敷詰ローラ30と、副走査方向移動機構20と、供給槽42に係る各部材(供給槽42、底部材43、供給槽昇降機構44)とによって構成されていたが、材料供給装置の構成はそのようなものに限られない。例えば、材料供給装置は、上方から粉末材料100を落下させて供給するような部材を備えていてもよい。粉末材料100をならして粉末層を形成する部材は、敷詰ローラ30でなくともよく、例えば、スキージなどでもよい。また、上記した実施形態では、造形槽50と敷詰ローラ30との相対移動は、造形槽ユニット40の移動によってなされたが、それに限定されない。例えば、造形槽ユニット40は本体11に固定され、造形槽ユニット40に対して敷詰ローラ30が副走査方向Xに移動される構成であってもよい。その他、本発明に係る移動は全て相対的なものであって、どの部材が実際に移動されるかは任意に選択されてよい。
上記した実施形態では、硬化液の吐出位置は、副走査方向移動機構20および主走査方向移動機構70によって調整されたが、いわゆるラインヘッド方式により、いずれか一方だけによってなされてもよい。また、粉末材料100の硬化は硬化液の吐出による方法に限定されず、いかなる方法で実施されてもよい。例えば、レーザーの照射による焼結など公知の様々な技術が適用されてよい。
また、本発明は、上記したような三次元造形装置によって実施されるものに必ずしも限定されず、ユーザーによる作業を介して類似のプロセスを辿る三次元造形物の造形方法を含む。即ち、上下方向に延びるとともに少なくとも上方に開口を有する筒状の造形槽と、前記造形槽に挿入され粉末材料を載置可能な造形テーブルと、前記造形テーブル上の前記粉末材料を上方から硬化させる材料硬化装置と、を備えた三次元造形装置によって三次元造形物を造形する方法であって、前記粉末材料が通過可能な貫通穴を備えた造形プレートを前記造形テーブル上に載置する第1工程と、前記造形プレート上に前記粉末材料を供給しながら前記造形プレート上で前記粉末材料を硬化させる第2工程と、前記造形テーブルに対して前記造形プレートを上方に離反させる第3工程とを有する三次元造形物の造形方法を含む。前記第3工程においては、前記粉末材料のうちの少なくとも一部が、前記造形プレート上から前記貫通穴を通って前記造形テーブル上に落下する。このような方法によっても、上記した三次元造形装置と同様の作用効果を奏することができる。なお、「造形テーブルに対して造形プレートを上方に離反させる」とは、必ずしも造形プレートを上方に引き上げることを意味せず、互いに離間する方向に両者が相対的に移動することを意味する。従って、例えば、造形プレートが下方に落下しないように固定した上で、テーブル昇降機構によって造形テーブルを下降させる方法なども上記方法に含まれる。
10 三次元造形装置
50 造形槽
51 造形テーブル
52 造形プレート
52B 多孔板
52C 貫通穴
52D アダプタ取付部
53 落下阻止部材(阻止部材)
53A 支持部
53B ストッパ機構(伸縮突起部)
54 テーブル昇降機構
55 プレート昇降機構
80 制御装置
81 供給制御部
82 造形制御部
83 排出制御部
83A 第1排出位置設定部(第1設定部)
83B 第2排出位置設定部(第2設定部)
84 取出し制御部
90 リフト用アダプタ(運搬用アダプタ)
100 粉末材料
110 三次元造形物
D1 造形プレートの厚み(第1距離)
D2 最終離間距離(第2距離)

Claims (14)

  1. 上下方向に延びるとともに少なくとも上方に開口を有する筒状の内面を備えた造形槽と、
    前記造形槽に粉末材料を供給する材料供給装置と、
    前記材料供給装置によって供給された前記粉末材料を上方から硬化させて三次元造形物を造形する材料硬化装置と、
    前記造形槽に昇降自在に挿入され、前記粉末材料が通過可能な貫通穴を備えた造形プレートと、
    前記造形プレートよりも下方において前記造形槽に昇降自在に挿入され、前記粉末材料を載置可能な造形テーブルと、
    前記造形槽における前記造形プレートおよび前記造形テーブルの上下位置を変更可能な昇降装置と、
    を備え、
    前記昇降装置は、前記造形プレートと前記造形テーブルとの距離が所定の第1距離に保たれるとともに前記粉末材料が前記造形プレートよりも上方まで堆積した第1状態と、前記造形プレートと前記造形テーブルとの距離が前記第1距離よりも長い第2距離に保たれた第2状態とを形成可能に構成され、
    前記粉末材料のうちの少なくとも一部は、前記昇降装置を前記第1状態から前記第2状態に移行させた場合において、前記造形プレート上から前記貫通穴を通って前記造形テーブル上に落下する、
    三次元造形装置。
  2. 前記材料供給装置、前記材料硬化装置、および前記昇降装置に通信可能に接続された制御装置を備え、
    前記制御装置は、
    前記粉末材料を前記造形槽に供給するように前記材料供給装置を制御する供給制御部と、
    前記造形槽の前記粉末材料を硬化させて前記三次元造形物を造形するように前記材料硬化装置を制御する造形制御部と、
    前記三次元造形物の造形中に前記第1状態が形成されるように前記昇降装置を制御する昇降制御部と、
    前記三次元造形物の造形後に前記第2状態が形成されるように前記昇降装置を制御する排出制御部と、
    を備えた、
    請求項1に記載の三次元造形装置。
  3. 前記排出制御部は、前記第2状態において前記造形プレート上の前記粉末材料の全部が前記造形テーブル上に落下するように前記第2距離を設定する第1設定部を備えている、
    請求項2に記載の三次元造形装置。
  4. 前記排出制御部は、前記第2距離を任意の値に設定可能な第2設定部を備えている、
    請求項2または3に記載の三次元造形装置。
  5. 前記制御装置は、前記排出制御部による前記第2状態の形成の後に少なくとも前記造形プレートを上昇させる取出し制御部を備えている、
    請求項2〜4のいずれか一つに記載の三次元造形装置。
  6. 前記昇降装置は、
    前記造形プレートが前記造形槽において所定の第1位置よりも下方に降下することを阻止する阻止部材と、
    前記造形テーブルを支持して前記造形テーブルを昇降させ、前記造形テーブルを前記第1位置よりも下方の第2位置に下降させることが可能に構成されたテーブル昇降機構と、
    を備え、
    前記造形プレートは、前記第1状態においては、前記第1位置よりも上方で、少なくとも前記造形テーブルを介して前記テーブル昇降機構に支持され、前記第2状態においては、前記第1位置で前記阻止部材に支持される、
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の三次元造形装置。
  7. 前記阻止部材は、前記造形槽の内面よりも突出するとともに前記造形プレートを下方から支持する支持部を備えている、
    請求項6に記載の三次元造形装置。
  8. 前記テーブル昇降機構は、前記第1位置よりも上方まで前記造形テーブルを上昇させることが可能に構成され、
    前記造形テーブルと前記阻止部材とは、上下方向の移動においてすれ違い可能に構成されている、
    請求項6または7に記載の三次元造形装置。
  9. 前記テーブル昇降機構は、前記第1位置よりも上方まで前記造形テーブルを上昇させることが可能に構成され、
    前記阻止部材は、前記造形槽の内面よりも突出した突出状態と前記造形槽の内面よりも陥没した収納状態とを取ることが可能な伸縮突起部を備え、
    前記伸縮突起部は、前記造形テーブルが前記第1位置に位置するときには前記収納状態を取り、前記造形プレートが前記第1位置に位置するときには前記突出状態を取る、
    請求項6に記載の三次元造形装置。
  10. 前記昇降装置は、
    前記造形プレートを支持し、前記造形槽において前記造形プレートを昇降させるプレート昇降機構と、
    前記造形テーブルを支持し、前記造形槽において前記造形テーブルを昇降させるテーブル昇降機構と、
    を備えている、
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の三次元造形装置。
  11. 前記造形プレートは、前記造形槽および前記昇降装置から着脱自在に構成されている、
    請求項1〜10のいずれか一つに記載の三次元造形装置。
  12. 前記造形プレートは、運搬時に把持または支持される運搬用アダプタを取り付けるアダプタ取付部を備えている、
    請求項11に記載の三次元造形装置。
  13. 前記造形プレートは、ハニカム構造の多孔板を備えている、
    請求項1〜12のいずれか一つに記載の三次元造形装置。
  14. 上下方向に延びるとともに少なくとも上方に開口を有する筒状の造形槽と、前記造形槽に挿入され粉末材料を載置可能な造形テーブルと、前記造形テーブル上の前記粉末材料を上方から硬化させる材料硬化装置と、を備えた三次元造形装置によって三次元造形物を造形する方法であって、
    前記粉末材料が通過可能な貫通穴を備えた造形プレートを前記造形テーブル上に載置する第1工程と、
    前記造形プレート上に前記粉末材料を供給しながら、前記造形プレート上で前記粉末材料を硬化させる第2工程と、
    前記造形テーブルに対して前記造形プレートを上方に離反させる第3工程と、
    を含み、
    前記粉末材料のうちの少なくとも一部は、前記第3工程において、前記造形プレート上から前記貫通穴を通って前記造形テーブル上に落下する、
    三次元造形物の造形方法。
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