JP2019071912A - アスペルギルス属微生物が生産するタンパク質のn型糖鎖構造を改変する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アスペルギルス属の微生物由来の糖鎖合成関連遺伝子の機能を欠損させることにより、本来宿主微生物が生産する糖鎖の構造を変化させる。【解決手段】アスペルギルス属微生物に異種タンパク質を発現させる場合において、宿主であるアスペルギルス属微生物のゲノムDNAのうちalg3に相当する部分をコードするDNAに改変を加えることにより、前記alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分がコードする糖鎖合成酵素の機能を低減若しくは完全に停止させた宿主微生物を培養する工程を含む前記異種タンパク質の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、アスペルギルス属微生物が生産する高マンノース型糖鎖の構造を、遺伝子工学的手法により改変する方法に関し、特に、麹菌による生産されるタンパク質のN型糖鎖構造を改変させる方法に関する。
真核生物、例えば糸状菌、中でも例えばアスペルギルス属微生物(麹菌)は、糖質分解酵素であるアミラーゼやグルコアミラーゼ、タンパク質分解酵素などを大量に分泌生産するため、清酒や味噌などの発酵醸造産業に広く利用されているだけでなく、そのタンパク質分泌能力の高さから、異種タンパク質の発現宿主としても期待されている。
タンパク質を、異種タンパク質の発現宿主で発現させると、その生物活性が変化することがある。この理由は、真核生物において生体内で重要な機能を持つタンパク質の多くは糖鎖を持った糖タンパク質であり、当該タンパク質を異種タンパク質の発現宿主で発現すると、タンパク質に糖鎖が全く結合されなかったり、タンパク質に結合する糖鎖の構造が変化したりするので、本来の生物活性を示さなくなるから、と考えられている。
タンパク質を、異種タンパク質の発現宿主で発現させると、その生物活性が変化することがある。この理由は、真核生物において生体内で重要な機能を持つタンパク質の多くは糖鎖を持った糖タンパク質であり、当該タンパク質を異種タンパク質の発現宿主で発現すると、タンパク質に糖鎖が全く結合されなかったり、タンパク質に結合する糖鎖の構造が変化したりするので、本来の生物活性を示さなくなるから、と考えられている。
タンパク質に結合する糖鎖にはタンパク質のアスパラギン残基に結合するN型とセリンまたはスレオニンに結合するO型の2種類がある。このうち、N型糖鎖の生合成経路については多くの知見があり、詳しく解析されている。
糖鎖の生合成は、まず小胞体(ER)で始まり、その後ゴルジ体でさらに糖鎖の修飾が起こる。このうちERで生成する糖鎖は真菌も哺乳類細胞も基本的には同じであることが判明している。その糖鎖は8分子のマンノース(Man)と2分子のNアセチルグルコサミン(GlcNAc)からなるコア構造(Man8GlcNAc2)を構成している。このコア構造糖鎖を持つタンパク質はゴルジ体に輸送されて、種々の修飾を受ける。
酵母において、ERでの糖鎖の生成過程は、algファミリー遺伝子に基づいて合成される酵素によって制御される。まず、alg7,alg13,alg14の働きによってタンパク質にGlcNAcが付加され、次いで、alg1,alg2,alg11,alg3,alg9の働きによってマンノースが付加されてコア構造を生成する。次に、ゴルジ体に運ばれた糖タンパク質はoch1の働きによって前記コア構造にマンノースが付加された後、Mnn1,Mnn4,Mnn6の働きによってさらに多量のマンノースが付加されて、ハイパーマンノース型の糖鎖となる。
糖鎖の生合成は、まず小胞体(ER)で始まり、その後ゴルジ体でさらに糖鎖の修飾が起こる。このうちERで生成する糖鎖は真菌も哺乳類細胞も基本的には同じであることが判明している。その糖鎖は8分子のマンノース(Man)と2分子のNアセチルグルコサミン(GlcNAc)からなるコア構造(Man8GlcNAc2)を構成している。このコア構造糖鎖を持つタンパク質はゴルジ体に輸送されて、種々の修飾を受ける。
酵母において、ERでの糖鎖の生成過程は、algファミリー遺伝子に基づいて合成される酵素によって制御される。まず、alg7,alg13,alg14の働きによってタンパク質にGlcNAcが付加され、次いで、alg1,alg2,alg11,alg3,alg9の働きによってマンノースが付加されてコア構造を生成する。次に、ゴルジ体に運ばれた糖タンパク質はoch1の働きによって前記コア構造にマンノースが付加された後、Mnn1,Mnn4,Mnn6の働きによってさらに多量のマンノースが付加されて、ハイパーマンノース型の糖鎖となる。
酵母や糸状菌において、遺伝子工学的手法を用いることによって、上述する遺伝子の破壊により、分泌されるタンパク質に結合する糖鎖の構造を改変することが試みられている。例えば、非特許文献1には、糸状菌Aspergillus niger及びAspergillus niduransにおいてalg3(algC)遺伝子を破壊することによって、N型糖鎖に含まれるヘキソース量が低減することが示されており、alg3遺伝子がα1,3マンノシルトランスフェラーゼをコードすることが調べられている。さらに、非特許文献2においては、Aspergillus fumigatusにおいて、och1遺伝子を破壊することによって、糖鎖組成が変化することが調べられている。
他方、糸状菌においては、alg1,alg2を人為的に破壊したという報告は無い。非特許文献3によると、酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいて、alg2のG377R変異体は温度感受性になり、且つ糖鎖鎖長も大幅に低減することが調べられているが、完全なalg2破壊株は取得することが出来ないことが言及されている。糸状菌においては、非特許文献4においてRhizomucor pusillusにおいて、alg2の変異体を取得したことが報告されており、5bpの挿入変異によってalg2の機能が低下した変異体においてN型糖鎖の殆どが、Man1GlcNAc2若しくは、Man2GlcNAc2の構造を有することが調べられているが、人為的に遺伝子を破壊して取得した変異体ではない。
また、alg1については、非特許文献5において酵母では破壊することによって致死となることが記されており、糸状菌においてもその遺伝子破壊に関する報告は無く、糸状菌において糖鎖組成を改変することは限度があった。
他方、糸状菌においては、alg1,alg2を人為的に破壊したという報告は無い。非特許文献3によると、酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいて、alg2のG377R変異体は温度感受性になり、且つ糖鎖鎖長も大幅に低減することが調べられているが、完全なalg2破壊株は取得することが出来ないことが言及されている。糸状菌においては、非特許文献4においてRhizomucor pusillusにおいて、alg2の変異体を取得したことが報告されており、5bpの挿入変異によってalg2の機能が低下した変異体においてN型糖鎖の殆どが、Man1GlcNAc2若しくは、Man2GlcNAc2の構造を有することが調べられているが、人為的に遺伝子を破壊して取得した変異体ではない。
また、alg1については、非特許文献5において酵母では破壊することによって致死となることが記されており、糸状菌においてもその遺伝子破壊に関する報告は無く、糸状菌において糖鎖組成を改変することは限度があった。
Appl Environ Microbiol. 2008 Feb;74(4):1076−86.
PLoS One. 2010 Dec 29;5(12)
J Biol Chem. 2009 May 1;284(18):11900−12
Glycobiology. 1999 Dec;9(12):1287−93.
J Biol Chem. 1990 Apr 25;265(12):7042−9.
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、麹菌においてタンパク質のN型糖鎖構造を改変する新たな方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、糸状菌の一種である麹菌アスペルギルス・オリゼに分類される微生物を宿主として使用し、この微生物の糖鎖合成関連遺伝子を破壊することにより、分泌タンパク質のN型糖鎖が減少し、さらにその糖鎖構造、糖鎖組成が大きく変化することを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜(2)から構成されるものである。
項1.
アスペルギルス属微生物に異種タンパク質を発現させる場合において、宿主であるアスペルギルス属微生物のゲノムDNAのうちalg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに改変を加えることにより、前記alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分がコードする糖鎖合成酵素の機能を低減若しくは完全に停止させた宿主微生物を培養する工程を含む前記異種タンパク質の製造方法。
項2.
改変前のalg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAが、次の(1)〜(4)のいずれかである、項1に記載の方法。
(1)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列をコードするDNA
(2)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列と68%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードするDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
(3)配列番号5から8のいずれかのDNA
(4)配列番号5から8のいずれかのDNA配列と68%以上の同一性を有するDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
項3.
改変が次の(a)から(c)のいずれかである、項1または2に記載の方法。
(a)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAの全部または一部を除去する。
(b)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに、1または数個の置換、欠失もしくは付加する。
(c)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAを、改変前のDNA配列との同一性が80%未満であるDNA配列と置き換える。
項1.
アスペルギルス属微生物に異種タンパク質を発現させる場合において、宿主であるアスペルギルス属微生物のゲノムDNAのうちalg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに改変を加えることにより、前記alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分がコードする糖鎖合成酵素の機能を低減若しくは完全に停止させた宿主微生物を培養する工程を含む前記異種タンパク質の製造方法。
項2.
改変前のalg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAが、次の(1)〜(4)のいずれかである、項1に記載の方法。
(1)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列をコードするDNA
(2)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列と68%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードするDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
(3)配列番号5から8のいずれかのDNA
(4)配列番号5から8のいずれかのDNA配列と68%以上の同一性を有するDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
項3.
改変が次の(a)から(c)のいずれかである、項1または2に記載の方法。
(a)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAの全部または一部を除去する。
(b)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに、1または数個の置換、欠失もしくは付加する。
(c)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAを、改変前のDNA配列との同一性が80%未満であるDNA配列と置き換える。
本発明の方法によれば、アスペルギルス属が生産するタンパク質の糖鎖構造を改変することが可能となる。さらに、その糖鎖構造は野生型に比べて鎖長が短く且つ均一性が高いので、精製や品質管理が容易であるという点で優れている。
本発明は、アスペルギルス属の微生物由来の糖鎖合成関連遺伝子の機能を欠損させることにより、本来宿主微生物が生産する糖鎖の構造を変化させることを特徴とするものである。
具体的には、本発明の方法では、麹菌アスペルギルス・オリゼのalg1遺伝子、alg2遺伝子、alg3遺伝子、och1遺伝子を破壊してその機能を欠失させることにより、分泌生産されるタンパク質の糖鎖構造をより短く、均一な構造に変化させることが可能となる。
さらに本発明によって得られた遺伝子破壊宿主を遺伝子発現の宿主として用いて且つ、所望のタンパク質を高発現させることにより、糖鎖構造が改変された遺伝子組み換えタンパク質を大量に発現させることが可能となる。
本発明の実施形態の一つは、アスペルギルス属微生物に異種タンパク質を発現させる場合において、宿主であるアスペルギルス属微生物のゲノムDNAのうちalg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに改変を加えることにより、前記alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分がコードする糖鎖合成酵素の機能を低減若しくは完全に停止させた宿主微生物を培養する工程を含む前記異種タンパク質の製造方法である。
本発明の方法で用いる、異種タンパク質を発現させる宿主であるアスペルギルス属微生物としては、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus),アスペルギルス・ニドランス(Aspergillus nidulans)などが挙げられるが、特に限定されない。好ましくはアスペルギルス・オリゼである。
アスペルギルス属微生物のゲノムDNAのうちalg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分は、いずれも、糖鎖合成を司るalgファミリーに属する酵素タンパク質をコードするDNAである。alg1はβ1,4マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードし、alg2はα1,6、もしくはα1,3マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードし、alg3はα1,3マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードし、och1はα1,6マンノシルトランスフェラーゼ活性を有するタンパク質をコードすると予測される。
改変を加える前の、alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAの塩基配列は特に限定されないが、次の(1)〜(4)のいずれかであることが好ましい。
(1)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列をコードするDNA
(2)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列と68%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードするDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
(3)配列番号5から8のいずれかのDNA
(4)配列番号5から8のいずれかのDNA配列と68%以上の同一性を有するDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
上記(1)〜(4)において、配列番号1は、アスペルギルス・オリゼにおけるalg1タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号2はalg2タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号3はalg3タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号4はoch1タンパク質のアミノ酸配列である。
上記(1)〜(4)において、配列番号5は、アスペルギルス・オリゼにおけるalg1タンパク質をコードするDNA配列である。配列番号6はalg2タンパク質をコードするDNA配列である。配列番号7はalg3タンパク質をコードするDNA配列である。配列番号8はoch1タンパク質をコードするDNA配列である。
上記(2)において、アミノ酸配列の同一性は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
上記(4)において、塩基配列の同一性は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
(1)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列をコードするDNA
(2)配列番号1から4のいずれかのアミノ酸配列と68%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードするDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
(3)配列番号5から8のいずれかのDNA
(4)配列番号5から8のいずれかのDNA配列と68%以上の同一性を有するDNAであり、かつ、alg1、alg2、alg3またはoch1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
上記(1)〜(4)において、配列番号1は、アスペルギルス・オリゼにおけるalg1タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号2はalg2タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号3はalg3タンパク質のアミノ酸配列である。配列番号4はoch1タンパク質のアミノ酸配列である。
上記(1)〜(4)において、配列番号5は、アスペルギルス・オリゼにおけるalg1タンパク質をコードするDNA配列である。配列番号6はalg2タンパク質をコードするDNA配列である。配列番号7はalg3タンパク質をコードするDNA配列である。配列番号8はoch1タンパク質をコードするDNA配列である。
上記(2)において、アミノ酸配列の同一性は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
上記(4)において、塩基配列の同一性は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
本明細書において、アミノ酸配列や塩基配列の同一性を算出する方法としては、種々の方法が知られている。例えば、市販の又は電気通信回線(インターネット)を通じて利用可能な解析ツールを用いて算出することができる。
本明細書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、アミノ酸配列や塩基配列の同一性を算出する。
本明細書では、全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)の相同性アルゴリズムBLAST(Basic local alignment search tool)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/においてデフォルト(初期設定)のパラメータを用いることにより、アミノ酸配列や塩基配列の同一性を算出する。
本発明の方法において、alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに加える改変の形態は、前記alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分がコードする糖鎖合成酵素の機能を低減若しくは完全に停止させるような形態であれば特に限定されない。
例えば、次の(a)から(c)のいずれかの改変が例示できる。
(a)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAの全部または一部を除去する。
(b)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに、1または数個の置換、欠失もしくは付加する。
(c)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAを、改変前のDNA配列との同一性が80%未満であるDNA配列と置き換える。
例えば、次の(a)から(c)のいずれかの改変が例示できる。
(a)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAの全部または一部を除去する。
(b)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに、1または数個の置換、欠失もしくは付加する。
(c)alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAを、改変前のDNA配列との同一性が80%未満であるDNA配列と置き換える。
本発明の方法では、アスペルギルス属微生物のゲノムDNAのうち、上記で示したように、alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに改変を加え、前記alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分がコードする糖鎖合成酵素の機能を低減若しくは完全に停止させる。そして、前記アスペルギルス属微生物を宿主微生物として用い、培養することにより異種タンパク質を製造することができる。アスペルギルス属微生物を用いた異種タンパク質の製造法は、既にその技術が確立されており、種々の公知の方法を用いることが可能である。その態様は特に制限されない。
本発明の別の実施形態の一つは、アスペルギルス属微生物に異種タンパク質を発現させる場合において、宿主であるアスペルギルス属微生物のゲノムDNAのうちalg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分をコードするDNAに改変を加えることにより、前記alg1、alg2、alg3またはoch1に相当する部分がコードする糖鎖合成酵素の機能を低減若しくは完全に停止させることによって、宿主微生物が生産する前記異種タンパク質の糖鎖構造を変化させる方法である。
異種タンパク質の糖鎖構造の変化は、MS分析によって明らかにすることができる。本発明において、異種タンパク質の糖鎖がどのように変化するかは限定されないが、例えば、好ましい変化としては、ピークの数を減少させることである。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
1.アスペルギルス・オリゼ由来糖鎖合成関連遺伝子の選抜
アスペルギルス・オリゼ由来糖鎖合成関連遺伝子の選抜は、糖鎖合成関連遺伝子がよく研究されている、酵母サッカロマイセス・セレビシエの遺伝子情報から相同性が高い配列を選抜することにより行った。選抜した遺伝子がコードすると推定されるアミノ酸をそれぞれ、配列番号1、2、3、4に示す。選抜した遺伝子がコードすると推定されるアミノ酸配列情報を元に、同アスペルギルス属においてホモロジー検索を行った結果を図1に示す。図1によると、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・ニドランスにおいて、68%から78%の相同性を示すアミノ酸配列をコードする遺伝子が存在しており、これら遺伝子群はアスペルギルス属において高度に保存されていると考えられる。
アスペルギルス・オリゼ由来糖鎖合成関連遺伝子の選抜は、糖鎖合成関連遺伝子がよく研究されている、酵母サッカロマイセス・セレビシエの遺伝子情報から相同性が高い配列を選抜することにより行った。選抜した遺伝子がコードすると推定されるアミノ酸をそれぞれ、配列番号1、2、3、4に示す。選抜した遺伝子がコードすると推定されるアミノ酸配列情報を元に、同アスペルギルス属においてホモロジー検索を行った結果を図1に示す。図1によると、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・フミガタス、アスペルギルス・ニドランスにおいて、68%から78%の相同性を示すアミノ酸配列をコードする遺伝子が存在しており、これら遺伝子群はアスペルギルス属において高度に保存されていると考えられる。
2.アスペルギルス・オリゼ由来糖鎖合成関連遺伝子破壊カセットの作製
1.で示された、アスペルギルス・オリゼ由来糖鎖合成関連遺伝子であるalg1, alg2,alg3,och1遺伝子の破壊カセットを以下のようにして構築した。
まず、各糖鎖合成関連遺伝子の開始コドンから上流約2kbpの位置と、各糖鎖合成関連遺伝子の終始コドンから下流約2kbpの位置にプライマーを設計し、アスペルギルス・オリゼのゲノムDNAをテンプレートとしてPCRを行った。PCRによって増幅されたPCR産物を東洋紡社製のTarget clone plusによってTAクローニングした。次に、各糖鎖合成関連遺伝子のORF部分を除去するため、東洋紡社製のKOD plus mutagenesis kitを用いてInversePCRを行い、さらに、得られたプラスミドを制限酵素処理して、アスペルギルス・ニドランス由来のsCマーカー(ATPスルフリラーゼ)カセットを挿入することにより遺伝子破壊カセットを構築した。alg1遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマー配列を配列番号9,10、11、12に、alg2遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマーを配列番号13,14、15,16にalg3遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマー配列を配列番号17,18、19,20に、och1遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマー配列を21,22、23,24にそれぞれ示した。
1.で示された、アスペルギルス・オリゼ由来糖鎖合成関連遺伝子であるalg1, alg2,alg3,och1遺伝子の破壊カセットを以下のようにして構築した。
まず、各糖鎖合成関連遺伝子の開始コドンから上流約2kbpの位置と、各糖鎖合成関連遺伝子の終始コドンから下流約2kbpの位置にプライマーを設計し、アスペルギルス・オリゼのゲノムDNAをテンプレートとしてPCRを行った。PCRによって増幅されたPCR産物を東洋紡社製のTarget clone plusによってTAクローニングした。次に、各糖鎖合成関連遺伝子のORF部分を除去するため、東洋紡社製のKOD plus mutagenesis kitを用いてInversePCRを行い、さらに、得られたプラスミドを制限酵素処理して、アスペルギルス・ニドランス由来のsCマーカー(ATPスルフリラーゼ)カセットを挿入することにより遺伝子破壊カセットを構築した。alg1遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマー配列を配列番号9,10、11、12に、alg2遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマーを配列番号13,14、15,16にalg3遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマー配列を配列番号17,18、19,20に、och1遺伝子の破壊コンストラクトの作製に用いたプライマー配列を21,22、23,24にそれぞれ示した。
3.糖鎖合成関連遺伝子破壊株の作製
組換え宿主には麹菌アスペルギルス・オリゼ NS4株を使用した。本菌株は、独立行政法人酒類総合研究所にて取得された変異体であり、同研究所から分譲されている。NS4株はSO4資化性とNO3資化性がそれぞれsC遺伝子とniaD遺伝子の欠損により失われており、同遺伝子を用いて形質転換を行い、SO4資化性とNO3資化性によって形質転換体を選抜することが可能である。上述の通り作製した、遺伝子破壊はカセットを用いて、NS4株を宿主にプロトプラスト−PEG法により、形質転換を行った。遺伝子破壊の原理については図2に示す。得られた形質転換体の中から目的の遺伝子破壊株を、PCRによって確認して選抜した。
組換え宿主には麹菌アスペルギルス・オリゼ NS4株を使用した。本菌株は、独立行政法人酒類総合研究所にて取得された変異体であり、同研究所から分譲されている。NS4株はSO4資化性とNO3資化性がそれぞれsC遺伝子とniaD遺伝子の欠損により失われており、同遺伝子を用いて形質転換を行い、SO4資化性とNO3資化性によって形質転換体を選抜することが可能である。上述の通り作製した、遺伝子破壊はカセットを用いて、NS4株を宿主にプロトプラスト−PEG法により、形質転換を行った。遺伝子破壊の原理については図2に示す。得られた形質転換体の中から目的の遺伝子破壊株を、PCRによって確認して選抜した。
4.糖鎖合成関連遺伝子破壊株の生育比較
3で取得した形質転換体から105個/ml濃度に調整した作製し、DP寒天培地(2%デキストリン、1%ポリペプトン、0.5%リン酸1カリウム、0.1%硫酸マグネシウム7水和物、1.5%寒天、pH6.0)、DP+0.8M NaCl培地、DP+1.4Mソルビトール培地にそれぞれの分生子懸濁液を0.01ml分植菌して、30℃で3日間静置培養した。培養の結果を図3に示す。図3に示すとおり、alg1破壊株及び、alg2破壊株はDP培地上で基底菌糸の生育が見られず、分生子能が大きく低下していた。一方で、DP培地にNaCl又はソルビトールを添加した、DP+0.8M NaCl培地及びDP+1.4M ソルビトール培地ではalg1破壊株及びalg2破壊株で基底菌糸の生育が回復し、分生子形成能も僅かに回復した。
3で取得した形質転換体から105個/ml濃度に調整した作製し、DP寒天培地(2%デキストリン、1%ポリペプトン、0.5%リン酸1カリウム、0.1%硫酸マグネシウム7水和物、1.5%寒天、pH6.0)、DP+0.8M NaCl培地、DP+1.4Mソルビトール培地にそれぞれの分生子懸濁液を0.01ml分植菌して、30℃で3日間静置培養した。培養の結果を図3に示す。図3に示すとおり、alg1破壊株及び、alg2破壊株はDP培地上で基底菌糸の生育が見られず、分生子能が大きく低下していた。一方で、DP培地にNaCl又はソルビトールを添加した、DP+0.8M NaCl培地及びDP+1.4M ソルビトール培地ではalg1破壊株及びalg2破壊株で基底菌糸の生育が回復し、分生子形成能も僅かに回復した。
5.糖鎖合成関連遺伝子破壊株の培養
4.で作製した各遺伝子破壊株の分生子懸濁液(105-個/ml)を200ml容バッフル付三角フラスコを用いて、60mlのDP+0.8M NaCl培地(2%デキストリン、1%ポリペプトン、0.5%リン酸1カリウム、0.1%硫酸マグネシウム7水和物、0.8M NaCl、pH6.0))に0.6ml植菌し、30℃、72時間培養し、培養液を回収した。培養液を3000rpm,10min遠心分離して上清を回収し、Amicon Ultra Centrifugal Filters Ultracel 30K(メルク・ミリポア社製)にアプライし、3000rpm,30min遠心して培養液上清を濃縮した。濃縮液に20mMリン酸カリウムバッファー(pH6.0)を10ml加えて濃縮し、この操作を3回繰り返すことによって、低分子を除去し、バッファー置換を行って加水濃縮液とした。得られた加水濃縮液を Nu−PAGE 4−12% Bis−Tris Gel(Invitrogen社製)を用いたSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動することにより、分泌タンパク質の分子量を求めた。結果を図4に示す。図4からわかるように、遺伝子組み換え宿主であるNS4株では約53kDa付近にαアミラーゼと推測されるバンドが検出されるのに対し、alg1、alg2、alg3、och1破壊株では、50〜52kDa程度の位置にαアミラーゼと推測されるバンドが出現しており、NS4株に比べて糖鎖含量が少ないαアミラーゼが生産されていると考えられた。
4.で作製した各遺伝子破壊株の分生子懸濁液(105-個/ml)を200ml容バッフル付三角フラスコを用いて、60mlのDP+0.8M NaCl培地(2%デキストリン、1%ポリペプトン、0.5%リン酸1カリウム、0.1%硫酸マグネシウム7水和物、0.8M NaCl、pH6.0))に0.6ml植菌し、30℃、72時間培養し、培養液を回収した。培養液を3000rpm,10min遠心分離して上清を回収し、Amicon Ultra Centrifugal Filters Ultracel 30K(メルク・ミリポア社製)にアプライし、3000rpm,30min遠心して培養液上清を濃縮した。濃縮液に20mMリン酸カリウムバッファー(pH6.0)を10ml加えて濃縮し、この操作を3回繰り返すことによって、低分子を除去し、バッファー置換を行って加水濃縮液とした。得られた加水濃縮液を Nu−PAGE 4−12% Bis−Tris Gel(Invitrogen社製)を用いたSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動することにより、分泌タンパク質の分子量を求めた。結果を図4に示す。図4からわかるように、遺伝子組み換え宿主であるNS4株では約53kDa付近にαアミラーゼと推測されるバンドが検出されるのに対し、alg1、alg2、alg3、och1破壊株では、50〜52kDa程度の位置にαアミラーゼと推測されるバンドが出現しており、NS4株に比べて糖鎖含量が少ないαアミラーゼが生産されていると考えられた。
6.糖鎖合成関連遺伝子破壊株が生産する分泌タンパク質の糖鎖構造解析
5.で調製した培養液上清の加水濃縮液を用いて、糖鎖構造解析を行った。具体的には、加水濃縮液をpNGase(Roche社製)により糖鎖を遊離させた後、トリプシン(Promega社製)によってタンパク質を分解し、BlotGlyco(住友ベークライト社製)によって遊離糖鎖を精製した。手法については、BlotGlycoに付属のマニュアルに従って操作し、MALDI−TOF MS解析用サンプルを調製した。精製した遊離糖鎖をMALDI−TOF MS解析した結果を図5に示す。
糖鎖解析の結果、宿主菌株であるNS4株の培養液上清加水濃縮液からは複数のピークが検出された。これらのピークはHexNAc2Hex(5〜11)の構造を有していると推定された。
5.で調製した培養液上清の加水濃縮液を用いて、糖鎖構造解析を行った。具体的には、加水濃縮液をpNGase(Roche社製)により糖鎖を遊離させた後、トリプシン(Promega社製)によってタンパク質を分解し、BlotGlyco(住友ベークライト社製)によって遊離糖鎖を精製した。手法については、BlotGlycoに付属のマニュアルに従って操作し、MALDI−TOF MS解析用サンプルを調製した。精製した遊離糖鎖をMALDI−TOF MS解析した結果を図5に示す。
糖鎖解析の結果、宿主菌株であるNS4株の培養液上清加水濃縮液からは複数のピークが検出された。これらのピークはHexNAc2Hex(5〜11)の構造を有していると推定された。
alg1破壊株からはメインピークは1つのみ検出されたが、MALDI TOF−MS解析の結果からは本ピークの構造を推定することは出来なかった。そこで、alg1破壊株から検出された糖鎖の構造を決定するためMS/MS解析を行ったところ、還元末端からHexoseを2つ有する構造であることが推定された。
alg2破壊株からはメインピークは2つ検出されたが、MALDI TOF−MS解析の結果からはこれらのピークの構造を推定することは出来なかった。上記と同様に糖鎖の構造を決定するためMS/MS解析を行ったところ、m/z=1443のピークに関しては、還元末端からHexNAcを2つ、Hexを少なくとも1つ有する構造であることが推定された。
alg3の破壊株からは複数のピークが検出されたが、これらのピークはHexNAc2Hex(2〜5)の構造を有していると推定され、NS4株から取得された糖鎖構造と比較してHexの数が大幅に低減されていることが推定された。
och1の破壊株からも複数のピークが検出されたが、これらのピークはHexNAc2Hex(5〜10)の構造を有していると推定され、NS4株から取得された糖鎖構造と比較してHexの数がやや低減されていることが推定された。
以上の結果から、麹菌アスペルギルス・オリゼにおいてalg1、alg2、alg3、och1遺伝子を破壊した菌株では、宿主株であるNS4株に比べて糖鎖構造が変化し、鎖長が短い糖鎖が付加されたタンパク質が分泌生産されていることが明らかとなった。
alg2破壊株からはメインピークは2つ検出されたが、MALDI TOF−MS解析の結果からはこれらのピークの構造を推定することは出来なかった。上記と同様に糖鎖の構造を決定するためMS/MS解析を行ったところ、m/z=1443のピークに関しては、還元末端からHexNAcを2つ、Hexを少なくとも1つ有する構造であることが推定された。
alg3の破壊株からは複数のピークが検出されたが、これらのピークはHexNAc2Hex(2〜5)の構造を有していると推定され、NS4株から取得された糖鎖構造と比較してHexの数が大幅に低減されていることが推定された。
och1の破壊株からも複数のピークが検出されたが、これらのピークはHexNAc2Hex(5〜10)の構造を有していると推定され、NS4株から取得された糖鎖構造と比較してHexの数がやや低減されていることが推定された。
以上の結果から、麹菌アスペルギルス・オリゼにおいてalg1、alg2、alg3、och1遺伝子を破壊した菌株では、宿主株であるNS4株に比べて糖鎖構造が変化し、鎖長が短い糖鎖が付加されたタンパク質が分泌生産されていることが明らかとなった。
なお、本発明の遺伝子破壊株を用いて異種タンパク質を組換え発現させることによっても、改変された糖鎖構造を有する組換えタンパク質を取得することが可能になると考えられる。
本発明によれば、麹菌アスペルギルス・オリゼの糖鎖合成関連遺伝子を分子生物学的手法を用いて破壊することによって、糖鎖構造が改変されたタンパク質を発現することが可能である。従って、本発明は、麹菌アスペルギルス・オリゼを用いて糖鎖結合タンパク質を生産するために極めて有用である。
Claims (4)
- アスペルギルス・オリゼを宿主として異種タンパク質を発現させることによる異種タンパク質の製造方法であって、アスペルギルス・オリゼのゲノムDNAのうちoch1をコードする、次の(1)〜(4)のいずれかのDNAに改変を加えることにより、前記och1がコードする糖鎖合成酵素の機能を完全に停止させた宿主を培養する工程を含むことによりヘキソース量を低減された異種タンパク質の製造方法。
(1)配列番号4のアミノ酸配列をコードするDNA
(2)配列番号4のアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードするDNAであり、かつ、och1の機能を有するタンパク質をコードするDNA
(3)配列番号8のDNA
(4)配列番号8のDNA配列と90%以上の同一性を有するDNAであり、かつ、och1の機能を有するタンパク質をコードするDNA - 改変が次の(a)から(c)のいずれかである、請求項1に記載の方法。
(a)och1をコードするDNAの全部または一部を除去する
(b)och1をコードするDNAに、1または数個の置換、欠失もしくは付加する
(c)och1をコードするDNAを、改変前のDNA配列との同一性が80%未満であるDNA配列と置き換える - 配列番号21,22,23および24に記載の塩基配列からなるプライマーを用いて、och1遺伝子破壊コンストラクトを作製する工程を含む、請求項1または2に記載の方法。
- 宿主として、アスペルギルス・オリゼ NS4株を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001161376A (ja) * | 1999-08-31 | 2001-06-19 | Eisai Co Ltd | 分裂酵母の糖転移酵素遺伝子och1 |
WO2008001903A1 (en) * | 2006-06-29 | 2008-01-03 | Ikeda Food Research Co., Ltd. | Fad-conjugated glucose dehydrogenase gene |
JP2008048680A (ja) * | 2006-08-25 | 2008-03-06 | Osaka Univ | 紅麹菌由来生理活性物質生産誘導因子の同定およびその応用 |
JP2013158289A (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-19 | Kanazawa Inst Of Technology | アクリルアミド分解性セルフクローニング麹菌 |
-
2019
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Patent Citations (4)
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OGAWA ET AL., JOURNAL OF APPLIED GLYCOSCIENCE, vol. 59, no. 1, JPN6018014455, 10 February 2012 (2012-02-10), pages 37 - 42, ISSN: 0004215666 * |
井上、鈴木, 化学と生物, vol. 31, no. 3, JPN6018014456, March 1993 (1993-03-01), pages 201 - 205, ISSN: 0004215667 * |
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