JP2019070216A - 高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維及びそれを用いた混繊糸並びにそれらを用いた布帛 - Google Patents

高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維及びそれを用いた混繊糸並びにそれらを用いた布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】 発色性が良く、堅牢度が高く、良好なフクラミがある布帛を得ることができる高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を提供する。また、前記布帛を得ることができる混繊糸を提供する。また、前記布帛を提供する。【解決手段】 ポリエステルAの酸成分に対して2.0〜3.0モル%の金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を含有し、平均分子量が150〜400のポリアルキレングリコールをポリエステルAに対して2.0〜3.5質量%の割合で含有するポリエステルAと、ポリエステルBのグリコール成分に対して15〜35モル%のスピログリコールを含有するポリエステルBとの混合比(質量比)が80:20〜95:5の樹脂からなり、熱水収縮率が40%以上であることを特徴とする高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維。前記繊維を用いた混繊糸。前記混繊糸を用いた布帛。【選択図】 なし

Description

本発明は、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と、それを用いた混繊糸及びそれらを用いた布帛に関する。
ポリエステル繊維は、その優れた力学的特性及び化学的特性から、衣料用途に数多く利用されている。
しかし、ポリエステル繊維は、分散染料やカチオン染料を使用して130℃の高温高圧下で染色しなければ、鮮明かつ深みのある色が得られにくい。
したがって、ポリエステル繊維をポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維等の他のポリエステル以外の繊維と組合せて交編、交織した場合、ポリエステルの染色環境である高温高圧下により、組合せた繊維が劣化してしまう。
上記の問題を克服するために、100℃の常圧下における染色が可能なポリエステル繊維が開発されている。具体的には、ポリエステルに5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのスルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸及びポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールを共重合させることで、カチオン染料による染色を可能とした常圧カチオン可染性ポリエステル繊維である。
また、常圧カチオン可染性ポリエステル繊維は、導入したスルホン酸基とカチオン染料がイオン結合するため、分散染料と比べ発色性及び堅牢度に優れる。
また、常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と、発色性が異なる他の繊維とを組合せて布帛とした場合、杢調を呈するため意匠性に優れた布帛を得ることが出来る。
上記のことから、常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を用いた布帛は、衣料用途に有効に利用することができる。
また、衣料用途では、優れた外観の他にフクラミが求められている。
フクラミがある布帛は、熱水収縮率が異なる2種以上の繊維を交編、交織した布帛を熱水収縮させて得ることができる。上記の布帛は、熱水収縮すると、熱水収縮率が高い繊維は大きく収縮するため繊維長が短くなり、熱水収縮率が小さい繊維が布帛の表面に浮き出ることで、フクラミが発現する。
フクラミがある布帛の例として、熱水収縮率が20%以上の常圧カチオン可染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維の混繊糸を用いた布帛が知られている(特許文献1)。常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を使用しているため、ポリアミド繊維を劣化させることなく、染色することができ、また、常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の熱水収縮率が20%以上であるため、染色時の熱水収縮によりポリアミド繊維が表面に浮き出てフクラミが発現することが開示されている。
特開平6−299428号公報
しかしながら、特許文献1において、具体的に記載されている常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の熱水収縮率は、30%前後であるが、これを用いて得られる布帛のフクラミは十分とはいえないことがわかった。
したがって、本発明の目的は、発色性が良く、堅牢度が高く、良好なフクラミがある布帛を得ることができる高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、発色性が良く、堅牢度が高く、良好なフクラミがある布帛を得ることができる混繊糸を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、発色性が良く、堅牢度が高く、良好なフクラミがある布帛を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討した結果、特定の樹脂組成比からなる常圧カチオン可染性ポリエステル樹脂に、スピログリコール共重合ポリエステルを特定の混合比(質量比)で混合した樹脂からなり、熱水収縮率が40%以上の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維であれば、発色性に優れ、十分なフクラミを持つ布帛を得ることができることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、上記目標を達成するため、本発明は、以下の構成を採用する。
(1)主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、ポリエステルAの酸成分に対して2.0〜3.0モル%の金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を含有し、平均分子量が150〜400のポリアルキレングリコールをポリエステルAに対して2.0〜3.5質量%の割合で含有するポリエステルAと、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、ポリエステルBのグリコール成分に対して15〜35モル%のスピログリコールを含有するポリエステルBとの混合比(質量比)が80:20〜95:5の樹脂からなり、熱水収縮率が40%以上であることを特徴とする高収縮ポリエステル繊維。
(2)破断強度が2.0cN/dtex以上である前記(1)記載の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維。
(3)前記(1)又は(2)記載の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を用いた混繊糸。
(4)前記(1)又は(2)記載の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維とを用いた混繊糸。
(5)前記(1)又は(2)記載の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を用いた布帛。
(6)前記(3)又は(4)記載の混繊糸を用いた布帛。
本発明により、発色性が良く、堅牢度が高く、フクラミがある布帛を得るための高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を得ることができる。
また、発色性が良く、堅牢度が高く、フクラミがある布帛を得るための混繊糸を得ることができる。
また、発色性が良く、堅牢度が高く、フクラミがある布帛を得ることができる。
本発明におけるポリエステルは、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートである。
本発明における金属スルホネート基含有イソフタル酸(以下、SIPと記す)成分は、ポリエステルAの酸成分に対して2.0〜3.0モル%である。SIP成分が2.0モル%以上であれば、十分な常圧カチオン可染性を得ることが出来ると共に、熱水収縮率が高い繊維を得ることができる。また、SIP成分が3.0モル%以下であれば、SIP成分のイオン結合分子間力による粘度上昇やゲルが発生せず、紡糸操業性が良好である。
本発明におけるSIP成分は、例えば、5−金属スルホイソフタル酸ジメチル(以下、SIPMと記す)又はジメチル基をエチレングリコールでエステル交換させた化合物(以下、SIPEと記す)等が挙げられる。SIPMは多量に投入するとスラリー物性を悪化させるおそれがあるため、SIPEが好ましい。また、SIP成分の金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどが挙げられる。最も好ましいのはナトリウムである。
本発明におけるポリアルキレングリコール(以下、PAGと記す)は、平均分子量が150〜400である。平均分子量が150以上であれば、溶融紡糸時に加水分解が起こりにくく、融点やガラス転移点が低下しないことにより、ポリエステルペレット同士の融着や仮撚り工程での白粉の発生を防ぐことができる。また、熱水収縮率が高い繊維を得ることができる。平均分子量が400以下であれば堅牢度が優れる。
本発明におけるPAGは、一般式 HO(C2nO)H( 但し、n、mは正の整数) で表されるもので、n=2のポリエチレングリコール(以下、PEGと記す)が汎用的で好ましい。
本発明におけるPAGは、共重合又は混合などの形態でポリエステルAに含有しても良いが、後加工工程での安定性の点から、共重合したものであることが好ましい。
本発明におけるPAGの含有量は、ポリエステルAに対して2.0〜3.5質量%とする必要があり、なかでも2.5〜3.0質量%が好ましい。含有量が2.0質量%以上であれば、常圧カチオン可染性が十分であり、また、SIP成分の電荷による増粘・ゲル化を抑制することができ、紡糸操業性が良好である。また、所望の高収縮性が得られる。含有量が3.5質量%より小さければ、ポリエステルの耐熱性が低下せず、ポリエステルの色調が良好である。また、ガラス転移点が低下しにくいため、ポリエステルペレット同士の融着が発生しにくい。また、布帛としたときに、良好なフクラミが発現する。
本発明におけるポリエステルAの固有粘度は特に限定されるものではなく、通常のポリエステル繊維に利用されている固有粘度と同じで良く、紡糸操業性及び力学的強度の
点から、0.4〜1.5dl/gであることが好ましい。
本発明におけるスピログリコール(以下、SPGと記す)は、ポリエステルBのグリコール成分に対して15〜35モル%である。なかでも20〜30モル%が好ましい。含有量が15モル%以上であれば十分な熱水収縮率を発現させることができ、35モル%以下であれば堅牢度や破断強度が低下しにくく、紡糸操業性も良好である。
本発明におけるSPGは、共重合、混合などの形態でポリエステルBに含有しても良いが、後加工工程での安定性の点から、共重合したものであることが好ましい。
本発明におけるポリエステルBの固有粘度は特に限定されるものではなく、通常のポリエステル繊維に利用されている固有粘度と同じで良く、ポリエステルAと混合したときの紡糸操業性及び力学的強度の点から、0.4〜1.5dl/gであることが好ましい。
ポリエステルA及びポリエステルBは、製造しても市販の各種原料を使用しても良い。市販のポリエステルBとしては、例えば、商品名:「ALTESTER」(三菱ガス化学株式会社製)などが挙げられる。
本発明におけるポリエステルAとポリエステルBとの混合比(質量比)は80:20〜95:5である。より好ましくは、85:15〜90:10である。混合比(質量比)が80:20〜95:5であれば、発色性が良く、堅牢度が高く、熱水収縮率が高い繊維を得ることができ、破断強度が低下しにくく、紡糸操業性も良好である。
本発明におけるポリエステルAとポリエステルBとを混合することで得られるポリエステルには、各種物性を改善する目的で耐光剤、耐熱剤、艶消し剤などの改質剤が添加されていても良い。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維は、ポリエステルAとポリエステルBとを混合することで得られるポリエステルからなる。通常、常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の熱水収縮率を高くするためには、PAGの分子量や含有量を大きくすることが手段として挙げられるが、PAGの分子量や含有量を大きくすると、堅牢度や破断強度が低下する傾向にある。一方、本発明は、SPGを含有するポリエステルBを混合することにより、PAGの分子量や含有量を大きくすることなしに、高い熱水収縮率を発現させることができるものであり、PAGの分子量や含有量を大きくすることによる堅牢度や破断強度の低下をさせることがない。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の熱水収縮率は40%以上であることが必要である。熱水収縮率が40%以上であれば、他の繊維と組合せて布帛としたときに、組合せる繊維との熱水収縮率の差により、良好なフクラミを発現する。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の総繊度は、1〜100dtexであることが好ましい。総繊度が1〜100dtexであれば、主に衣料用途に使用した場合に良好な風合いを保つ。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の単糸繊度は、0.5〜20dtexであることが好ましい。単糸繊度が0.5〜20dtexであれば、主に衣料用途に使用した場合に良好な風合いを保つ。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の破断強度は、2.0cN/dtex以上であることが好ましい。破断強度が2.0cN/dtex以上であれば、紡糸操業性や製編織工程の工程通過性が良好であり、布帛としたときに十分な強度を保つ。また、破断強度が2.0cN/dtex以上であれば、十分な熱収縮応力を持ち、ほかの繊維と組合せて布帛としたときに、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維が十分に収縮することができるため、良好なフクラミを発現する。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の破断伸度は、30%以上であることが好ましい。破断伸度が30%以上であれば、紡糸操業性や製編織工程の工程通過性が良好である。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の繊維横断面形状は、円形状でも、楕円形状でも、また、異型断面としても良い。例えば、異型断面としては、多葉形状、三角形状、扁平形状等が挙げられる。
本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の製造方法としては、例えばコンベ方式、POY方式、SPD方式が挙げられるが、省力化、生産性の観点から、SPD方式を採用することが好ましい。
本発明においてSPD方式で紡糸する際に、紡糸温度は270〜300℃であることが好ましい。
本発明においてSPD方式で紡糸する際に、第1ゴデットローラー(GR1)と第2ゴデットローラー(GR2)の間で延伸を行い、延伸倍率が1.5〜4.0倍となるようにGR2の周速を速くすることが好ましい。延伸倍率が1.5倍以上であれば、繊維の破断強度が高い。また、延伸倍率が4.0倍以下であれば熱水収縮率が高い繊維を得ることができる。
本発明においてSPD方式で紡糸する際に、GR1の温度は、70〜90℃であることが好ましい。GR1の温度が70℃以上であれば、紡糸操業性が良好であり、繊維の破断強度及び破断伸度が高い。また、90℃以下であれば、熱水収縮率が高い繊維を得ることができる。また、GR2の温度以下であることが好ましい。
本発明におけるGR2の温度は、70〜120℃であることが好ましい。GR2の温度が70℃以上であれば、紡糸操業性が良好であり、繊維の破断強度及び破断伸度が高い。また、120℃以下であれば熱水収縮率が高い繊維を得ることができる。また、GR1の温度以上であることが好ましい。
本発明の混繊糸は、上記のような高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と、発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維とを組合せることが好適である。発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維と組合せることで、布帛としたときに杢調を呈し、良好なフクラミが発現する。
このような繊維としては、例えば、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維等が挙げられる。また、組合せる繊維の熱水収縮率は、15%以下であることが好ましい。組合せる繊維の熱水収縮率が15%以下であれば、布帛としたときにフクラミが発現しやすい。より好ましくは、10%以下である。
中でも、ポリアミド繊維と組合せると、発色性が異なり、布帛としたときに杢調を呈し意匠性に優れる。また、柔らかい風合いで弾力性もありシワになり難く、衣料用途に使用した場合好適である。
また、仮撚加工した発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維と組合せることが好ましい。組合せる繊維が仮撚加工糸であれば、得られる布帛のフクラミが増す。
本発明の混繊糸において、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と、発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維との混繊率は、10:90〜90:10であることが好ましく、20:80〜40:60であることが更に好ましい。高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維との混繊率が10:90〜90:10の領域では、特にフクラミ感に優れた布帛を得ることができる。
混繊糸の熱水収縮率は、40%以上であることが好ましい。混繊糸の熱水収縮率が 40%以上であれば、布帛としたとき、良好なフクラミが発現する。
本発明の混繊糸は、エアー混繊、合撚、複合仮撚り等の公知の混繊方法により得ることができる。混繊の制御が容易であり、生産性が良い点からエアー混繊が好ましい。エアー混繊は、例えば、インターレース加工、タスラン加工、旋回気流による加工等により行う。
本発明の布帛は、上記のような混繊糸を用いることが好適である。
この場合、混繊糸のみで布帛とすることが良好なフクラミを発現させる点から好ましいが、本発明の目的を満たす範囲で、他の繊維を用いてもよい。
本発明の布帛は、織物でも、編物でも、目的に応じて適宜設定すればよい。織編物の組織は、例えば、織物では平組織、綾組織、朱子組織等が挙げられる。編物では丸編地の天竺組織、インターロック組織、経編地のハーフ組織、サテン組織、ジャカード組織等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜設定すればよい。
本発明の布帛は、公知の製織方法、製編方法で得ることができる。
また、本発明の布帛は、上記のような高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を単独で用い、発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維と組合せたものでもよい。
組合せる繊維としては、混繊糸とする際組合せる繊維と同様に、例えば、ポリアミド繊維、ポリウレタン繊維、アクリル繊維等が挙げられ、ポリアミド繊維が好適である。
また、組合せる繊維の熱水収縮率は、15%以下であることが好ましい。熱水収縮率が15%以下であれば、フクラミが発現しやすい。より好ましくは、10%以下である。
高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維との組合せ方としては、織物の場合には、経糸又は緯糸の一方に、高収縮ポリエステル繊維を用い、他方に、発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維を用いるようにしてもよいし、両方の糸を引き揃えて経糸及び/又は緯糸に用いるようにしてもよい。また、編物の場合には、両方の糸を引き揃えて用いる。
この場合、布帛中において、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と、発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維との質量比が10:90〜90:10となるようにすることが好ましく、20:80〜40:60となるようにすることが更に好ましい。高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維と発色性が異なり熱水収縮率が低い繊維との質量比が10:90〜90:10の領域では、フクラミが優れた布帛を得ることができる。
また、本発明の布帛は、本発明の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維の単独糸と、高収縮カチオン可染性ポリエステル繊維を用いた混繊糸とを組合せるようにしてもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定するものではない。また、実施例中の各評価は以下のようにして行った。
(引張試験)
JIS−L−1013に準じ、島津製作所製AGS−1kNGオートグラフ引張試験機を用い、試料糸長20cm、定速引張速度20cm/minの条件で測定した。荷重−伸び曲線での荷重の最高値を繊度で除した値を破断強度(cN/dtex)とし、そのときの伸び率を破断伸度(%)とし、5回測定し、その平均値を求めた。
(熱水収縮率)
高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維又はそれを用いた混繊糸の熱水収縮率は、試料糸に、0.03g×総繊度(dtex)の荷重をかけ、正しく500mmを測り、2点打ち、初荷重を除き、これを100℃の熱水中に30分間浸漬した後、風乾し再び0.03g×総繊度(dtex)の荷重をかけ、印をつけた2点間の長さL(mm)を測り、下式によって熱水収縮率を算出した。5回測定し、その平均値を求めた。
熱水収縮率(%)={(500−L)/500}×100
(紡糸操業性)
実施例1〜10及び比較例1〜10において、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を製造したときの、紡糸濾過圧上昇具合、糸切れ回数から、紡糸操業性を評価した。評価基準は以下の通りである。
優れる:○
やや劣る:△
劣る:×
評価が○又は△であれば、満足のいく紡糸操業性である。
(発色性(カチオン染料染着性))
高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を用いて筒編み試料を作製し、カチオン染料による染着性は、Kayacryl Blue GSL−ED(日本化薬株式会社製)3.0%owf、酢酸0.2g/l、浴比1:50にて常圧沸騰温度(98℃)で60分間染色し、染色前後の染色液吸光度を測定した。そして、吸尽率(%)を下記の式より算出し、吸尽率が90%以上の場合を○、80%以上90%未満の場合を△、80%未満の場合を×として評価した。
吸尽率(%)={(染色前吸光度−染色後吸光度)/染色前吸光度}×100
評価が○又は△であれば、カチオン染料染着性が高く、満足のいく発色性である。
(堅牢度(耐光性))
高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を用いて筒編み試料を作製し、堅牢度の評価として耐光性試験を行った。Kayacryl Blue GSL−ED(日本化薬株式会社製)0.2%owf又は1.0%owfにて常圧下98℃で浴比1:30にて30分間染色し、水洗後に乾燥し、160℃×1分ヒートセットを施した後、それぞれをフェードメータにて63℃の環境下、20時間耐光試験したもの、40時間耐光試験したものをブランクと比較し、退色状況を比較した。なお、判定には20時間耐光試験後ブランクとの差がないものを3級以上、40時間耐光試験後ブランクとの差がないものを4級以上とし、3級未満を×、3級以上4級未満を△、4級以上を○とした。
評価が○又は△であれば満足のいく堅牢度である。
(厚み)
作製した布帛の厚みは、シックネスゲージSM−114(株式会社テクロック製)を用いて、測定面積0.25πcmに0.120kgの荷重をかけて厚みを5か所測定し、平均値を布帛の厚みとした。
(フクラミ評価)
作製した布帛を手で触り、フクラミを評価した。評価基準は以下の通りである。
非常に優れる:◎
優れる:○
やや劣る:△
劣る:×
評価が◎又は○であれば、満足のいくフクラミである。
(実施例1)
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、ポリエステルAの酸成分に対して2.5モル%の5−ナトリウムスルホネート基含有イソフタル酸(SIPE)を含有し、平均分子量が200のPEGをポリエステルAに対して3.0質量%の割合で含有するポリエステルA(KBセーレン株式会社製)と、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、SPGをポリエステルBのグリコール成分に対し20モル%の割合で含有するポリエステルB(商品名:「ALTESTER S2000」(三菱ガス化学株式会社製))を質量比95:5で混合させた樹脂を、289℃で溶融吐出し、周速940m/min、温度78℃のGR1と、周速3100m/min、温度90℃のGR2で3.3倍に延伸し、33dtex/12fの高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を作製した。
作製した繊維の引張試験測定と熱水収縮率測定を実施すると共に、紡糸操業性、染着性、耐光性を評価した。
次に、実施例1で作製した繊維と、破断強度4.60cN/dtex、破断伸度43.0%、熱水収縮率10.5%である56dtex/48fのポリアミド6繊維(KBセーレン株式会社製)とを1本ずつ用い(混繊率37:63)、エアー混繊して交絡数が20〜70個/mの混繊糸を作製した。
得られた混繊糸で、筒編み機(NCR−EW)(英光産業株式会社製)を用いて丸編みを実施し、ウェール58、コース40の編地を得た。得られた編地を98℃にてカチオン染料1.0質量%で染色後、フクラミ評価を実施した。
これらの結果を表1に併せて示す。
(実施例2〜実施例7、比較例1〜比較例8)
表1に示すように、ポリエステルAの樹脂組成比、PEGの分子量、ポリエステルAとポリエステルBとの混合比(質量比)を変更した他は、実施例1と同様にして、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を作製した。
作製した繊維の引張試験測定と熱水収縮率測定を実施すると共に、紡糸操業性、染着性、耐光性を評価した。
次に、実施例1と同様にして、混繊糸を作製し、得られた混繊糸で編地を作製し、染色した後、フクラミ評価を実施した。
これらの結果を表1に併せて示す。
(実施例8〜実施例10、比較例9〜比較例10)
表1に示すように、ポリエステルBの樹脂組成比を変更したか(商品名:「ALTESTER S3002」(三菱ガス化学株式会社製)を使用)、又はポリエステルAとポリエステルBとの混合比(質量比)を変更した他は、実施例1と同様にして、高収縮ポリエステル繊維を作製した。
作製した繊維の引張試験測定と熱水収縮率測定を実施すると共に、紡糸操業性、染着性、耐光性を評価した。
次に、実施例1と同様にして、混繊糸を作製し、得られた混繊糸で編地を作製し、染色した後、フクラミ評価を実施した。
これらの結果を表1に併せて示す。
Figure 2019070216
実施例1〜実施例10の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維は、破断強度、破断伸度は十分高い値を示した。また、染着性、耐光性は○又は△であった。また、熱水収縮率は40%以上であり、混繊糸としても十分高い熱水収縮率であった。また、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維と組合せて混繊糸を用いて布帛としたときの染色前後の厚み変化は大きく、特に、実施例6、実施例7、実施例9及び実施例10の布帛は、フクラミは◎であった。また、高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維の発色性が異なることで杢調を呈し、意匠性のある優れた外観であった。
比較例1、比較例3、比較例5、比較例7及び比較例9は、熱水収縮率は40%未満であり、熱水収縮率が低い程、布帛としたときの染色前後の厚み変化は小さく、フクラミは△又は×であった。
比較例2、比較例4、比較例6、比較例8及び比較例10は、熱水収縮率は40%以上を示し、布帛としたときの染色前後の厚み変化は大きく、フクラミは◎又は○であった。しかし、耐光性が×であり、堅牢度は満足のいくものではなかった。
本発明の高収縮ポリエステル繊維は、優れた外観とフクラミが要求される布帛に好適に使用される。

Claims (6)

  1. 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、ポリエステルAの酸成分に対して2.0〜3.0モル%の金属スルホネート基含有イソフタル酸成分を含有し、平均分子量が150〜400のポリアルキレングリコールをポリエステルAに対して2.0〜3.5質量%の割合で含有するポリエステルAと、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであり、ポリエステルBのグリコール成分に対して15〜35モル%のスピログリコールを含有するポリエステルBとの混合比(質量比)が80:20〜95:5の樹脂からなり、熱水収縮率が40%以上であることを特徴とする高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維。
  2. 破断強度が2.0cN/dtex以上である請求項1記載の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維。
  3. 請求項1又は請求項2記載の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を用いた混繊糸。
  4. 請求項1又は請求項2記載の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維とを用いた混繊糸。
  5. 請求項1の高収縮性常圧カチオン可染性ポリエステル繊維を用いた布帛。
  6. 請求項3又は請求項4記載の混繊糸を用いた布帛。
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