JP2019069536A - 塗装金属板 - Google Patents

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楠 張
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Abstract

【課題】 所定の環境下で経時保管した後においても、有機樹脂被覆層と塗膜が優れた密着力を示す塗装金属板を提供することである。【解決手段】金属板の少なくとも片面に、主剤樹脂、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂、酸触媒としてスルホン酸系化合物及び/又はリン酸系化合物を含有する塗膜が形成された塗装金属板であって、該塗装金属板を125℃30minでレトルト処理後、該塗膜表面のXPS survey測定において、S及び/又はP元素の塗膜表面における原子濃度が1.0atomic%以下であることを特徴とする。【選択図】 なし

Description

本発明は、製缶用途等に用いられる塗装金属板に関する。
アルミニウム等の金属板を有機樹脂で被覆した有機樹脂被覆金属板は、製缶材料として古くから知られており、この積層体を絞り加工或いは絞り・しごき加工に付して、飲料等を充填するためのシームレス缶とし、或いはこれをプレス成形してイージイオープンエンド等の缶蓋とすることもよく知られている。例えば、エチレンテレフタレート単位を主体としたポリエステル樹脂から成るポリエステル樹脂フィルムを有機樹脂被覆層として有する有機樹脂被覆金属板は、シームレス缶用の製缶材料として広く使用されている。(特許文献1)
有機樹脂被覆金属板から成るシームレス缶において、缶体に内容物が充填・密封された後、缶体が落下等による外部衝撃(デント)を受けた場合、その部位では金属材料が変形するばかりでなく、同時にその衝撃と金属材料の変形により被覆されている有機樹脂被覆層にクラックが入る場合がある。こうした、有機樹脂被覆層にクラックが入った部位は腐食起点となり、充填する内容物が腐食性の強い酸性飲料等の場合では、腐食により缶体に穴が開くおそれがあった。従って、缶体が落下等により打撃や衝撃を受けても、腐食が起こらないことが重要で、こうした特性は耐デント性と呼ばれており、腐食性の強い内容物にも対応可能な優れた耐デント性が求められている。
この耐デント性を向上させるために、有機樹脂被覆層の下地として、金属板上に特定のガラス転移温度を有するポリエステル樹脂、及びフェノール樹脂、酸触媒を含有する硬化塗膜を形成させることが提案されおり、このような塗装金属板の塗膜上に、有機樹脂被覆層(ポリエステル樹脂フィルム)を形成した有機樹脂被覆塗装金属板は、塗膜と有機樹脂被覆層が良好に密着するため良好な製缶加工性を有すると共に、それを用いて成形されたシームレス缶は、優れた耐デント性を示しうるものである。
特開2001−246695号公報 WO2016/056509
しかしながら、特許文献2で提案されているような、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂やアミノ樹脂等を用いた硬化塗膜を有する塗装金属板は、塗装金属板を作製した直後においては、塗膜上に有機樹脂被覆層としてポリエステル樹脂フィルム等を形成(ラミネート)した際に、有機樹脂被覆層と塗膜が良好に密着するが、塗装金属板を高温・高湿度環境下で経時保管した場合において、有機樹脂被覆層と塗膜間の充分な密着性を得るのには満足するものではなかった。
本発明によれば、金属板の少なくとも片面に、主剤樹脂、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂、酸触媒としてスルホン酸系化合物及び/又はリン酸系化合物を含有する塗膜が形成された塗装金属板であって、該塗装金属板を125℃30minでレトルト処理後、該塗膜表面のXPS survey測定において、S及び/又はP元素の塗膜表面における原子濃度が1.0atomic%以下であることを特徴とする塗装金属板が提供される。
本発明は、高温・高湿度環境下に曝された場合にも、表面の変化が少なく、有機樹脂被覆層と塗膜間の良好な密着性を確保した、塗装金属板を提供することにある。
以下、本発明の塗装金属板について、さらに詳細を説明する。
(塗装金属板)
本発明における塗装金属板は、ポリエステル樹脂等の主剤樹脂、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂、酸触媒としてスルホン酸系化合物及び/又はリン酸系化合物を含有する塗膜が形成された塗装金属板であり、125℃30minでレトルト処理後、該塗膜表面のXPS survey測定において、酸触媒に由来するS及び/又はP元素の塗膜表面における原子濃度が1.0atomic%以下であることが重要な特徴である。(なお、ここでの「S及び/又はP元素の塗膜表面における原子濃度が1.0atomic%以下であること」とは、酸触媒としてスルホン酸系化合物を用いた場合においては、S(イオウ)元素の塗膜表面原子濃度が1.0atomic%以下であること、酸触媒としてリン酸系化合物を用いた場合においては、P元素の塗膜表面原子濃度が1.0atomic%以下であること、酸触媒としてスルホン酸系化合物とリン酸系化合物を併用した場合においては、S元素とP元素のそれぞれの塗膜表面原子濃度の合計が1.0atomic%以下であることを意味する。)
レトルト処理のような極めて過酷な高温・高湿度環境下に塗装金属板が曝された場合においても、塗膜表面の酸触媒に由来するS及び/又はP元素の塗膜表面における原子濃度が1.0atomic%以下であるということは、高温・高湿度環境下において、酸触媒が塗膜表面にブリードアウトしない、或いはブリードアウトしにくい塗装金属板であることを示している。従って、高温・高湿度環境下に塗装金属板が経時保管された場合にも、その後塗膜上にポリエステル樹脂フィルム等の有機樹脂被覆層を形成した際に、良好な密着性を安定して発現可能と考える。
本発明の上述する作用効果は後述する実施例の結果からも明らかである。
すなわち、主剤樹脂としてポリエステル樹脂、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂、酸触媒としてスルホン酸系化合物を含有する塗膜が形成された塗装金属板において、高温・高湿度環境下での経時保管の加速試験として塗装金属板に125℃30minのレトルト処理を施し、その後に塗膜表面のXPS survey測定を行ったとき、酸触媒であるスルホン酸化合物に由来するS元素の塗膜表面原子濃度が1.0atomic%より大きい場合においては、レトルト処理後密着性評価において、有機樹脂被覆層と塗膜間の密着強度が低く、満足する結果が得られていない(比較例1〜5)。これに対し、S元素の塗膜表面原子濃度が1.0atomic%以下の塗装金属板を用いた場合においては、有機樹脂被覆層と塗膜間の密着強度が高く、良好な密着性を有していることが明らかである(実施例1〜8)。 本発明における塗装金属板においては、前述のS及び/又はP元素の塗膜表面における原子濃度が1.0atomic%以下、特に0.50atomic%以下であることが好適である。
(主剤樹脂)
本発明に用いる主剤樹脂としては、硬化剤であるレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂との反応性を有し、共に架橋構造を形成可能な、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル化されたメチロール基等の官能基を有する従来公知の塗料用樹脂であればよく、これらの樹脂の中でもポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、特に耐デント性の観点からポリエステル樹脂が好ましい。
(ポリエステル樹脂)
本発明の塗装金属板において、主剤樹脂として使用するポリエステル樹脂としては、従来塗料組成物に使用されるポリエステル樹脂を使用することができ、これに限定されないが、以下のポリエステル樹脂を使用することができる。
ポリエステル樹脂を形成するモノマー成分としては、ポリエステル樹脂の重合に通常用いられるモノマーであれば特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、テルペン−マレイン酸付加体などの不飽和ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、(無水)トリメリト酸、(無水)ピロメリト酸、メチルシクロへキセントリカルボン酸等の3価以上の多価カルボン酸等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上を選択し使用できる。ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分としては、特に限定はなく、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、4−プロピル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、などの脂肪族グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のエーテルグリコール類、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカングリコール類、水添加ビスフェノール類、などの脂環族ポリアルコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、などの3価以上のポリアルコール等から1種、または2種以上の組合せで使用することができる。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30℃〜120℃、特に15℃〜100℃の範囲にあることが好ましい。上記範囲よりもTgが高い場合には、形成される塗膜が硬くなるため、耐デント性が劣るおそれがある。一方上記範囲よりもTgが低い場合には、塗膜のバリアー性が低下することで耐食性が劣るおそれがある。
また、本発明においては、Tgの異なる2種以上のポリエステル樹脂をブレンドして用いることが耐デント性の観点からは好ましい。Tgの異なるポリエステル樹脂をブレンドすることで、ポリエステル樹脂1種のみを使用した場合に比べ、より耐デント性に優れた塗膜を形成できる場合がある。その場合においても、下記式により算出されるポリエステル樹脂ブレンドのTgmixが上記のTg範囲にあれば良い。
1/Tgmix=(W/Tg)+(W/Tg)+…+(W/Tg
+W+…+W=1
式中、Tgmixはポリエステル樹脂ブレンドのガラス転移温度(K)を表わし、Tg,Tg,…,Tgは使用する各ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂1,ポリエステル樹脂2,…ポリエステル樹脂m)単体のガラス転移温度(K)を表わす。また、W,W,…,Wは各ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂1,ポリエステル樹脂2,…ポリエステル樹脂m)の重量分率を表わす。
また本発明においては、ポリエステル樹脂として、Tgが35℃〜100℃の高Tgポリエステル樹脂と、Tgが−30℃〜25℃の低Tgポリエステル樹脂を混合して用いることが、塗膜の耐デント性の観点から特に好ましい。その場合の配合比率は質量比で、 高Tgポリエステル樹脂:低Tgポリエステル樹脂 =98:2〜10:90、特に 95:5〜30:70であることが好ましい。また、前述の式で算出されるポリエステル樹脂ブレンドのTgmixが30℃以上であることが好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)はこれに限定されるものではないが、1,000〜100,000、特に3,000〜50,000の範囲にあることが好ましい。上記範囲よりも小さいと塗膜が脆くなり、加工性に劣る場合があり、上記範囲よりも大きいと塗料安定性が低下するおそれがある。
ポリエステル樹脂の酸価は、これに限定されないが、2〜50mgKOH/gの範囲にあることが望ましい。上記範囲よりも酸価が小さい場合には、金属板と塗膜の密着性が低下するおそれがある。一方、上記範囲よりも酸価が大きい場合には、上記範囲にある場合に比して塗膜が吸水しやすくなり、耐食性が低化するおそれがある。
(硬化剤)
本発明においては、ポリエステル樹脂等の主剤樹脂の硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂を用いる。
レゾール型フェノール樹脂としては、例えばフェノールモノマーとしてはo−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、2,5−キシレノール、フェノール、m−クレゾール、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール等が挙げられこれらは1種または2種以上を混合して使用でき、これらフェノールモノマーとホルムアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させたものである。また含有するメチロール基の一部ないしは全部を炭素数1〜12(の)アルコール類でエーテル化したものも使用出来る。本発明においては、ポリエステル樹脂等の主剤樹脂との反応性の点から、含有するメチロール基の一部ないしは全部を炭素数1〜12のアルコール類でアルコキシメチル化したものを好適に使用することができ、特に、m−クレゾールから誘導されたレゾール型フェノール樹脂のメチロール基をn−ブタノールでアルコキシメチル化したものが好ましい。
アミノ樹脂としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等を用いることができ、より具体的には、メチル化尿素樹脂、メチルエーテル化尿素樹脂、ブチルエーテル化尿素樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化尿素樹脂;メチロール化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化メラミン樹脂等のメラミン樹脂;メチロール化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチルエーテル化ベンゾグアナミン樹脂、メチルエーテルとブチルエーテルの混合エーテル化ベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。
本発明において、硬化剤の配合量としては、ポリエステル樹脂等の主剤樹脂100質量部に対して5〜50質量部、特に10〜40質量部の範囲で塗膜中に含有されていることが好適である。上記範囲よりも硬化剤の含有量が少ない場合には、硬化性が不十分となり、塗装金属板上に有機樹脂被覆層を形成し、シームレス缶を成形した場合において、缶胴成形後の熱処理工程において、塗膜の耐熱性の不足により、塗膜の内部で凝集破壊し、その結果、有機樹脂被覆層の剥離を生じる場合があり、製缶適性が劣化するおそれがある。一方、上記範囲よりも硬化剤の含有量が多い場合には、過度に硬化が進み、塗膜の耐衝撃性の低下により耐デント性が劣化するおそれがある。
(酸触媒)
本発明において、ポリエステル樹脂等の主剤樹脂と、硬化剤であるレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂との硬化(架橋)反応を促進するための酸触媒として、スルホン酸系化合物及び/又はリン酸系化合物を配合する。
酸触媒としては、硬化性の観点から特にスルホン酸系化合物が好適であり、スルホン酸系化合物としては、例えばp−トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、樟脳スルホン酸及びこれらのアミン中和体(アミン化合物で一部あるいは全部を中和すること)等が挙げられ、これらの中から一種又は二種以上を併用することができる。 上記スルホン酸系化合物の中でも、特にp−トルエンスルホン酸が好適に使用できる。
市販されているものでは、NACURE4054J(リン酸系、KING INDUSTRIES製、)、NACURE5076(ドデシルベンゼンスルホン酸、KING INDUSTRIES製)、NACURE2500X(p―トルエンスルホン酸ブロックタイプ、KING INDUSTRIES製)等が挙げられる。
酸触媒の含有量については、ポリエステル樹脂等の主剤樹脂100質量部に対して0.02〜5質量部、特に0.1〜3質量部の範囲で含有されていることが好ましい。上記範囲よりも酸触媒の含有量が少ない場合には、硬化反応を促進する効果が十分得られず、硬化性が不足するおそれがあり、缶胴成形後の熱処理工程において、塗膜の耐熱性の不足により、塗膜の内部で凝集破壊し、その結果、有機樹脂被覆層の剥離を生じる場合があり、製缶適性が劣化するおそれがある。一方上記範囲よりも酸触媒の含有量が多い場合には、塗膜の耐水性が低下し、耐デント性が劣化するおそれがある。
(主剤樹脂のSP値δと酸触媒のSP値δ
本発明の塗装金属板において、塗膜に含まれる主剤樹脂のSP値δと酸触媒のSP値δの差の絶対値 |δ ― δ|が4.0(J/cm1/2以下であることが好適である。|δ ― δ|が4.0(J/cm1/2より大きい場合、塗膜のマトリックスとなる主剤樹脂と酸触媒の親和性(相溶性)が低いため、塗装金属板が高温・高湿度環境下に置かれ、マトリックスである主剤樹脂の運動性が増加すると、経時で酸触媒が塗膜内部から塗膜表面にブリードアウトし、それにより密着不良が発生するおそれがある。一方で|δ ― δ|が4.0(J/cm1/2以下となる場合、酸触媒が主剤樹脂との親和性に優れ、塗装金属板が高温・高湿度環境下に置かれた場合にも、塗膜表面への酸触媒のブリードアウトを防止でき、それにより塗膜上に直接施される有機樹脂被覆層との密着性を確保できる。
なお、主剤樹脂のSP値δと酸触媒のSP値δは、それぞれ下記式(1)、(2)のように表される。
δ={Σ(x・ΣEcoh)/Σ(x・ΣV)}1/2 … (1)
δ = {ΣEcoh/ΣV}1/2 … (2)
式中、xは主剤樹脂の各モノマー単位のモル分率、Ecohは原子団凝集エネルギー密度(J/mol) 、Vは原子団モル体積(cm/mol)を示す。尚、上記式(1)、(2)中の原子団凝集エネルギー密度Ecoh(J/mol)及び原子団モル体積V(cm/mol)は原子団ごとに固有の値であり、「POLYMERHANDBOOK第4版(JOHN WILEY & SONS,INC.) 」、VII685〜686項の記載が参考になる。
(塗料組成物)
本発明の金属板に形成される塗膜は、ポリエステル樹脂等の主剤樹脂、硬化剤であるレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂、酸触媒としてスルホン酸系化合物及び/又はリン酸系化合物を含有する塗料組成物を金属板上に塗布することにより形成させることができる。このような塗料組成物においては、硬化剤であるレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂が主剤樹脂100質量部に対して5〜50重量部、特に10〜40質量部の範囲で含有され、酸触媒がポリエステル樹脂等の主剤樹脂100質量部に対して0.02〜5質量部、特に0.1〜3質量部の範囲で含有されていることが好適である。
塗料組成物は、主剤樹脂、硬化剤、酸触媒を公知の有機溶剤に溶解した状態で使用することができる。使用する有機溶剤としてはトルエン、キシレン、ソルベッソなどの芳香族系炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、二塩基酸エステル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールなどエーテルアルコール類、ダイアセトンアルコール等のアルコールケトン類、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、アミルアルコール、n−ヘキサノール等のアルコール類が挙げられ、溶解性、塗装作業性等を考慮して選択される。また塗料組成物は、従来公知の方法により水性化して水性塗料組成物として使用することもできる。
(金属板)
本発明に用いる金属板としては、例えば、熱延伸鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、合金メッキ鋼板、アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板、銅板、銅メッキ鋼板、ティンフリースチール、ニッケルメッキ鋼板、極薄スズメッキ鋼板、クロム処理鋼板などが挙げられ、必要に応じてこれらに各種表面処理を行ったものが使用される。
本発明の塗装金属板は、上述の塗料組成物を、ロールコーター塗装、スプレー塗装などの公知の塗装方法によって上述の金属板に塗装し、コイルオーブン等の加熱手段によって焼き付けることにより得ることができる。塗膜の厚みは特に限定されないが、乾燥膜厚で0.1〜10μm、更には0.3〜3μmの範囲であることがで好ましい。乾燥膜厚は塗装金属板の用途により適宜決められる。塗膜の焼き付け条件は、使用した溶剤や塗装する金属材料の種類、厚さ、塗装速度などにより適宜調節される。
(塗膜表面のS元素又はP元素の原子濃度測定)
塗装金属板上に形成された塗膜表面のS元素又はP元素の原子濃度の測定は、XPS(X線光電子分光法) survey測定により行うことができる。ここでS元素又はP元素の原子濃度とは、XPS survey測定により検出された全元素の原子数定量値の合計を基準として、S元素又はP元素の比率を表したものとする。測定方法、装置の種類、条件等は同様な結果が得られるのであれば特に制限されないが、実施例記載の条件が好ましい。
(有機樹脂被覆層)
本発明において、金属板に形成された塗膜上に直接施される有機樹脂被覆層を構成する有機樹脂としては、特に限定されず、例えば、結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、結晶性ポリブテン−1、結晶性ポリ4−メチルペンテン−1、低−、中−、或いは高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラ又はメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらの熱可塑性樹脂から構成された熱可塑性樹脂フィルムを有機樹脂被覆層として用いることができる。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂の中でも、特にポリエステル樹脂を好適に使用でき、ポリエステル樹脂で構成されたポリエステル樹脂フィルムを有機樹脂被覆層として使用することが好ましい。
有機樹脂被覆層として好適に使用し得るポリエステル樹脂としては、ホモポリエチレンテレフタレートであってもよいし、テレフタル酸以外の酸成分を酸成分基準で30モル%以下の量で、またエチレングリコール以外のアルコール成分をアルコール成分基準で30モル%以下の量で含有する共重合ポリエステル単体またはそれらのブレンド物であってもよい。
テレフタル酸以外の酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、P−β−オキシエトキシ安息香酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができる。
またエチレングリコール以外のアルコール成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのグリコール成分を挙げることができる。
特に、エチレンテレフタレート単位からなるポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンイソフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリブチレンテレフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂のブレンド物の何れかであることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、フィルム形成範囲の分子量を有するべきであり、溶媒として、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒を用いて測定した固有粘度〔η〕が0.5以上、特に0.52〜0.70の範囲にあることが腐食成分に対するバリヤー性や機械的性質の点から好ましく、またガラス転移点が50℃以上、特に60℃〜80℃の範囲にあることが好ましい。
ポリエステル樹脂フィルムには、それ自体公知のフィルム用配合剤、滑剤、アンチブロッキング剤、顔料、各種帯電防止剤、酸化防止剤等を公知の処方によって配合することができる。
ポリエステル樹脂フィルムから成る有機樹脂被覆層は、ポリエステル樹脂フィルムを形成した後、金属板に熱接着法で被覆するものであってもよいし、加熱溶融した熱可塑性樹脂を押出機を用いてフィルム状に押出し、直接金属板上に被覆する押出ラミネート法によるものであってもよい。
またポリエステル樹脂フィルムを形成した後で被覆する場合、フィルムは延伸されていてもよいが、未延伸フィルムであることが成形加工性及び耐デント性の点からは好ましい。
ポリエステル樹脂フィルムの厚みは、一般に5〜40μmの範囲にあることが好ましい。
(缶体及びその製法)
本発明の塗装金属板の塗膜上に有機樹脂被覆層を形成した有機樹脂被覆塗装金属板から成る缶体は、従来公知の成形法により製缶することができる。
本発明の塗装金属板を用いた有機樹脂被覆塗装金属板においては、優れた加工密着性を有していることから、絞り加工、絞り・深絞り加工、絞り・しごき加工、絞り・曲げ伸ばし加工・しごき加工等の過酷な加工により成形されるシームレス缶を、破胴やフランジ形成部の有機樹脂被覆層の剥離を生じることなく成形することができる。
シームレス缶の側壁部は、有機樹脂被覆塗装金属板の絞り−再絞り加工による曲げ伸ばし或いは更にしごき加工により、有機樹脂被覆塗装金属板の元厚の20乃至95%、特に25乃至85%の厚みとなるように薄肉化されていることが好ましい。
得られたシームレス缶は、少なくとも一段の熱処理に付し、加工により生じる有機樹脂被覆層の残留歪みを除去し、加工の際用いた滑剤を表面から揮散させ、更に表面に印刷した印刷インキを乾燥硬化させる。熱処理後の容器は急冷或いは放冷した後、所望により、一段或いは多段のネッキング加工に付し、フランジ加工を行って、巻締用の缶とする。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において「部」とあるのは「質量部」を意味する。
実施例及び比較例において、主剤樹脂として用いるポリエステル樹脂の各種特性は以下のように求めた。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差熱分析(DSC)により決定した。測定条件は昇温速度を10℃/分、測定温度域は20〜150℃とした。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により決定した。展開溶剤にはクロロホルムを使用し、スチレン標準サンプルによる検量線からスチレン換算のMnを決定した。
ポリエステル樹脂の酸価は、JIS K0070に規定の方法で行った。溶媒としてはクロロホルムを使用した。サンプルが溶解しない場合には溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフラン等の溶媒を使用した。
ポリエステル樹脂のモノマー組成は、真空乾燥した樹脂を重クロロホルムに溶解させ、1H−NMR測定により算出した。
ポリエステル樹脂の各種特性を表1に示す。
実施例及び比較例において、主剤樹脂として用いるポリエステル樹脂のSP値δ及び酸触媒として用いるスルホン酸系化合物のSP値δは以下のように求めた。
ポリエステル樹脂のSP値δは、1H−NMR測定により算出したポリエステル樹脂のモノマー組成を基に、「POLYMER HANDBOOK第4版(JOHN WILEY & SONS,INC.) 」VII685〜686項の記載の数値を用いて、上記式(1 )により求めた。ポリエステル樹脂Aを例として以下に示す。ジカルボン酸成分であるテレフタル酸由来のモノマー単位を、−OOC−phenyl−COO−として、凝集エネルギー密度の総和(ΣEcoh)を67,940J/mol、原子団モル体積の総和(ΣV)を88.4cm/molと計算した。また、グリコール成分であるエチレングリコール及びプロピレングリコール由来のモノマー単位をそれぞれ−CH−CH−、−CH−CH−CH−としてΣEcoh及びΣVを算出した。次に、各モノマー単位のモル分率(xi)を乗じたΣ(Xi・ΣEcoh)及びΣ(xi・ΣV)を求め、前者を後者で除した商の平方根をとって、ポリエステル樹脂AのSP値δ{Σ(xi・ΣEcoh)/Σ(xi・ΣV)}1/2を24.5(J/cm1/2と計算した。ポリエステル樹脂B〜DのSP値δおいても、各モノマー単位に関して同様の方法で計算した。結果を表1に示す。また、2種類以上の樹脂をブレンドする場合は、この方法で算出した各々の樹脂のSP値δと配合比を乗じて得られた値の総和をブレンド体のSP値δとした。
酸触媒であるスルホン酸系化合物のSP値δも同様に、基本となる分子構造より(文字サイズ)「POLYMER HANDBOOK第4版(JOHN WILEY & SONS,INC.) 」 VII685〜686項の記載の数値を用いて、上記式(2 )により求めた。
(塗装金属板の作成)
実施例、比較例、参考例の塗料組成物を、表面処理としてリン酸クロメート系処理を施したアルミニウム板(3104合金、板厚:0.28mm、表面処理皮膜中のクロム重量:20mg/m)にバーコーターで乾燥後の塗膜厚が1.5μmとなるように塗装し、オーブンで250℃−30秒の条件で焼付し、塗装金属板を作製した。
(硬化性評価)
塗装金属板の硬化性は、レトルト処理を施していない塗装金属板を用いてMEK抽出率で評価した。塗装金属板から5cm×5cmサイズの試験片を切り出し、サンプルの質量測定後(W1)、200mlのMEK(メチルエチルケトン)を用い、沸点で1時間の抽出を行った。抽出後の塗装板を130℃×1時間の条件で乾燥し、抽出後のサンプルの質量(W2)を測定した。さらに塗膜を濃硫酸による分解法で剥離し、サンプルの質量(W3)を測定した。塗装板のMEK抽出率は以下の式で求められる。
MEK抽出率%=100×(W1−W2)/(W1−W3)
評価基準は次の通りである。
◎:20%未満
○:20〜30%
△:30〜50%
×:50%以上
(塗装金属板のレトルト処理)
塗装金属板をレトルト釜の中に配置し、密封したレトルト釜の中でスチームにより125℃で30分間のレトルト処理を施した。
(レトルト処理後S原子濃度評価)
レトルト処理後の塗膜表面S原子濃度評価は、125℃30minのレトルト処理を施した後の塗装金属板を用いて、XPS survey測定により行った。検出された全ての元素の代表的な電子軌道のピーク面積とS元素(S2p)のピーク面積を基に、塗膜表面のS原子濃度(atomic%)を求めた。測定条件を以下に示す。結果を表に示す。
装置:Thermo Fisher Scientific社製K−ALPHA
X線源:AlKα マイクロフォーカス型モノクロメーター
検出スポットサイズ:400μm
入射角:45°
測定エネルギー範囲:−10 〜 1350eV
Pass Energy:200eV
Energy Step Size:1.00eV
Dwell Time:10ms
Number Of Scan:10
(レトルト処理後密着性評価)
レトルト処理を施した塗装金属板を、予め板温度250℃に加熱しておき、塗装金属板の両面に、有機樹脂被覆層として、下層が8μm厚のイソフタル酸15モル%含有ポリエチレンテレフタレート、及び上層が8μm厚のイソフタル酸2モル%含有ポリエチレンテレフタレートから成る二層構造のポリエステル樹脂フィルムを、ラミネートロールを介して熱圧着した後、直ちに水冷することにより、有機樹脂被覆塗装金属板を得た。得られた有機樹脂被覆塗装金属板を高さ50mm幅30mmで短冊状に切り出し、評価面(塗膜が形成されている面)の両端7.5mm位置に短冊状の先端から垂直に金属素地に達するような傷(幅15mmに相当)で入れ、評価面の裏側に短冊状の先端から15mmの位置に幅方向に平行となるように傷を入れた。予め入れた傷を起点として折り曲げて繰り返すことにより金属片のみを切断し、ポリエステル樹脂フィルムだけで繋がっている部分を作った後、この部分を内側となるように折り曲げ、ピール試験機を用いて180度剥離試験を23℃下、引張速度5mm/minで行って剥離強度(密着強度)を測定した。
評価結果は
◎ : 剥離強度が5.0N/15mm以上
○ : 剥離強度が5.0N/15mm未満 1.0N/15mm以上、
× : 剥離強度が1.0N/15mm未満
で示した。
[塗料組成物の調製]
(実施例1)
主剤樹脂としてポリエステル樹脂A(Tg:80℃、Mn=8,000、酸価:21mgKOH/g、モノマー組成:テレフタル酸成分/エチレングリコール成分/プロピレングリコール成分=50/10/40 mol%、SP値δ:24.5(J/cm1/2)、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂、酸触媒としてp―トルエンスルホン酸(SP値δ=22.1(J/cm1/2)を用いた。まずポリエステル樹脂Aをメチルエチルケトン/シクロヘキサノン=50/50(質量比)の混合溶剤にて完全に溶解させ固形分20%のポリエステル樹脂A溶液を得た。次いで、ポリエステル樹脂A溶液500部(固形分100部)、レゾール型フェノール樹脂の固形分50質量%n−ブタノール溶液30部(固形分15部)、p―トルエンスルホン酸1部、トリエチルアミン0.5部、メチルエチルケトン120部、シクロヘキサノン120部を用いて塗料組成物(固形分濃度:約15質量%、固形分配合比:主剤樹脂/硬化剤/酸触媒=100/15/1)を調製した。ここでレゾール型フェノール樹脂としては、メチロール基をブチルエーテル化したメタクレゾール系レゾール型フェノール樹脂(エーテル化されたメチロール基の割合:90モル%、Mn=1,600)を用いた。なお、p―トルエンスルホン酸としては、和光純薬社製「p―トルエンスルホン酸1水和物」を用いた。
(実施例3,4)
表2に示す固形分配合比となるように酸触媒を配合した以外は、実施例1と同様に行い、塗料組成物を得た。
(実施例4、5)
表2に示すように酸触媒種をクメンスルホン酸(SP値δ=20.6(J/cm1/2)、キシレンスルホン酸(SP値δ=21.7(J/cm1/2)に変え、表2に示す固形分配合比となるように酸触媒を配合した以外は、実施例1と同様に行い、塗料組成物を得た。なお、クメンスルホン酸としてはテイカ株式会社製「テイカキュア AC830」、キシレンスルホン酸としてはテイカ株式会社製「テイカキュア AC610」を用いた。
(実施例6、7)
表2に示すように主剤樹脂をポリエステル樹脂B(Tg:65℃、Mn=15,000、酸価:8mgKOH/g、モノマー組成:テレフタル酸成分/イソフタル酸成分/エチレングリコール成分/ネオペンチルグリコール成分=26/24/21/29mol%、SP値δ:23.8(J/cm1/2)、ポリエステル樹脂C(Tg:52℃、Mn=17,000、酸価:5mgKOH/g、モノマー組成:テレフタル酸成分/イソフタル酸成分/アジピン酸/エチレングリコール成分/ネオペンチルグリコール成分=23/23/4/24/26mol%、SP値δ:23.7(J/cm1/2)に変えた以外は、実施例1と同様に行い、塗料組成物を得た。
(実施例8)
主剤樹脂として、ポリエステル樹脂A(Tg:80℃、Mn=8,000、酸価:21mgKOH/g、モノマー組成:テレフタル酸成分/エチレングリコール成分/プロピレングリコール成分=50/10/40 mol%、SP値δ:24.5(J/cm1/2)とポリエステル樹脂D(Tg:−25℃、Mn=17,000、酸価:11mgKOH/g、モノマー組成:テレフタル酸成分/イソフタル酸成分/セバシン酸成分/1,4―ブタンジオール成分=14/17/19/50 mol%、SP値δ:22.3(J/cm1/2)を、質量比でポリエステル樹脂A:ポリエステル樹脂D=70:30となるように混合したもの(Tgmix=40℃、SP値δA =22.3(J/cm1/2)用いた以外は、実施例1と同様に行い、塗料組成物を調製した。
(比較例1〜5)
表2に示すように、酸触媒種をドデシルベンゼンスルホン酸(SP値δ=19.4(J/cm1/2)に変え、主剤樹脂種、固形分配合比に変えた以外は、実施例1と同様に行い、塗料組成物を得た。なお、ドデシルベンゼンスルホン酸としては、東京化成工業社製「ドデシルベンゼンスルホン酸(ソフト型)(混合物)」を用いた。
(比較例6)
酸触媒を配合しない以外は実施例1と同様に行い、塗料組成物を得た。
表2に、各実施例、比較例で用いた塗料組成物の組成とそれらを用いて得られた塗装金属板の評価結果を示す。
Figure 2019069536




Figure 2019069536
本発明の塗装金属板は、高温・高湿度環境下に曝された後に、塗膜上へポリエステル樹脂フィルム等の有機樹脂被覆層を形成した場合にも、有機樹脂被覆層と塗膜間が良好に密着するため、シームレス缶等の材料として好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 金属板の少なくとも片面に、主剤樹脂、硬化剤としてレゾール型フェノール樹脂及び/又はアミノ樹脂、酸触媒としてスルホン酸系化合物及び/又はリン酸系化合物を含有する塗膜が形成された塗装金属板であって、該塗装金属板を125℃30minでレトルト処理後、該塗膜表面のXPS survey測定において、S及び/又はP元素の塗膜表面における原子濃度が1.0atomic%以下であることを特徴とする塗装金属板。
  2. 前記主剤樹脂のSP値δと前記酸触媒のSP値δの差の絶対値 |δ ― δ|が4.0(J/cm1/2以下である請求項1記載の塗装金属板。
  3. 前記主剤樹脂がポリエステル樹脂である請求項1又は2記載の塗装金属板。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の塗装金属板の塗膜上に有機樹脂被覆層が形成されて成る有機樹脂被覆塗装金属板であって、該有機樹脂被覆層がポリエステル樹脂フィルムである有機樹脂被覆塗装金属板。
  5. 請求項4に記載の有機樹脂被覆塗装金属板から成る缶体。
  6. 請求項4に記載の有機樹脂被覆塗装金属板から成る缶蓋。
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