JP2019067828A - 積層セラミック電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温高湿下でのESRの変動が小さく、さらに、Ag系導電性接着剤を用いた場合の接着強度の劣化が小さい積層セラミック電子部品を得る。【解決手段】複数の内部電極層および誘電体層が交互に積層された素子本体と、内部電極層と電気的に導通する外部電極とを有する積層セラミック電子部品である。内部電極層は主成分としてNiを含む。外部電極はAg,PdおよびNiからなる群から選択される1種以上の導電性成分を含む。外部電極の外表面にNiOが存在する。【選択図】図2

Description

本発明は、積層セラミック電子部品に関する。
近年、パワーモジュールの低電力損失化及び小型化を目的として、パワーモジュールに使用される半導体素子がSi半導体素子からSiC半導体素子へと移行しつつある。そして、SiCを用いた車載用電子デバイス(インバータ、コンバータ等)が検討されている。しかし、車載用電子デバイスの使用環境温度が、従来の150℃前後から250℃前後へと上昇すると言われている。これに伴い、車載用電子デバイスとして実装されるコンデンサ等の積層電子部品も、250℃前後の使用温度環境下で正常に作動することが求められている。
従来、電子部品の配線基板への実装にはSn系のハンダが使用されてきた。しかし、SiC半導体素子を用いた電子部品の配線基板への実装では、耐熱性の向上の観点からSn系のハンダの代わりにAg系導電性接着剤を用いることが検討されている。
Ag系導電性接着剤を用いてSiC半導体素子を用いた電子部品を配線基板へ実装する場合において、電子部品の外部電極表面にSnが形成されていると、Ag系導電性接着剤とSnとの間の接触界面において、電子移動が生じる場合がある。特に電極がAgよりも卑な金属であると、高温高湿環境下でSnが酸化しやすくなる。特に電子部品がコンデンサ等の場合、ESRの変動や接着強度の低下が生じる場合がある。そのため、高温高湿環境下において、接着強度およびESRが安定であることが求められている。
特許文献1には、積層セラミック電子部品に関する発明が開示されており、実装時にAg系導電性接着剤と接触する外部電極の外表面にPdめっきを施す発明が開示されている。
特許文献2には、積層セラミック電子部品に関する発明が開示されており、実装時にAg系導電性接着剤と接触する外部電極をCuの下地電極層およびAg−Pdの最外部電極層から構成される2層構造とする発明が開示されている。
しかし、特許文献1では、Pdめっきを行うことが必須である。Pdめっきは素子本体へのダメージが大きく、電気的信頼性、機械的強度等に悪影響を及ぼすことがある。特許文献2では、2層構造とするために、外部電極用ペーストの塗布工程を2回行う必要があり、さらに、下地電極層の膜厚も厳密に制御する必要がある。すなわち、従来の積層セラミック電子部品と比較して製造コストが大幅に上昇してしまう。
特開2015−29050号公報 特開2002−158137号公報
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたものであり、高温高湿下でのESRの変動が小さく、さらに、Ag系導電性接着剤を用いた場合の接着強度の劣化が小さい積層セラミック電子部品を得ることを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の積層セラミック電子部品は、
複数の内部電極層および誘電体層が交互に積層された素子本体と、前記内部電極層と電気的に導通する外部電極とを有する積層セラミック電子部品であって、
前記内部電極層は主成分としてNiを含み、
前記外部電極はAg,PdおよびNiからなる群から選択される1種以上の導電性成分を含み、
前記外部電極の外表面にNiOが存在することを特徴とする。
本発明の積層セラミック電子部品は上記の特徴を有することにより、高温高湿下でのESRの変動を小さくし、さらに、Ag系導電性接着剤を用いた場合の接着強度の劣化を小さくすることができる。
前記外部電極が少なくともAgおよびNiを前記導電性成分として含んでいてもよい。
前記外部電極の外表面全体に対するNiOの面積割合が3%以上70%以下であってもよい。
前記導電性成分全体に対するAg,PdおよびNiの含有量が、Ag:10質量%以上95質量%以下、Pd:0.0質量%超50質量%以下、Ni:5.0質量%以上60質量%以下であってもよい。
Agに対するPdの含有割合が質量基準で3.0%以上であってもよい。
図1は、本発明の実施形態に係る積層セラミックコンデンサの概略断面図である。 図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサの外部電極の拡大概略図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
積層セラミックコンデンサ
本実施形態に係る積層セラミック電子部品の一実施形態として、図1に示す積層セラミックコンデンサについて説明する。
図1に示すように、積層セラミック電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と、内部電極層3と、が交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対抗する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
積層セラミックコンデンサ1のサイズには特に制限はない。例えば、X軸方向の長さが0.6mm〜5.7mm、Y軸方向の長さが0.3mm〜5.0mm、Z軸方向の長さが0.3mm〜5.0mmである。
誘電体層2の材質は、特に限定されず、たとえば、ABOなどのペロブスカイト構造の誘電体材料やニオブ酸アルカリ系セラミックを主成分として構成される。
ABOにおいて、Aは、たとえばCa、Ba、Srなどの少なくとも一種、Bは、Ti、Zrなどの少なくとも一種である。
このほか、副成分として、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムのようなアルカリ金属化合物、酸化マンガン、希土類元素酸化物、酸化バナジウム等が挙げられるがこれらに限定されない。その含有量も組成等に応じて適宜決定すればよい。
誘電体層の積層数は、用途等に応じて適宜決定すればよい。
内部電極層3は主成分としてNiを含む。なお、主成分としてNiを含むとは、内部電極層3に含まれる導電材全体に対するNiの含有割合が70質量%以上であることを指す。また、Ni以外に含有される導電材の種類には特に制限はない。例えば、Cu、Pdなどの金属、またはそれらとNiとの合金などを用いることができる。なお、内部電極層4には、P等の各種微量成分が0.1質量%程度以下含まれていてもよい。
内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよく、内部電極層3の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
外部電極4はAg,PdおよびNiからなる群から選択される1種以上の導電性成分を含む。さらに、ガラス成分を含んでもよい。ガラス成分の種類および含有量には特に制限はないが、例えば導電性成分:ガラス成分の重量比が97:3〜80:20であってもよい。
また、外部電極4は少なくともAgおよびNiを導電性成分として含有することが好ましく、Ag,NiおよびPdを全て含有することがより好ましい。Agを含有することが好ましいのは、Ag系導電性接着剤と共通の導電性成分(Ag)を含有することで接着強度を向上させるためである。Niを含有することが好ましいのは、後述するように外部電極4の外表面にNiO4aを存在させやすくするためである。
また、Pdを含有することによりAgのマイグレーションを抑制しやすくなる。Pdの代わりにPtまたはAuを用いてもよく、PtまたはAuを用いてもPdと同様のマイグレーション抑制効果を得ることができる。しかし、PtまたはAuを用いるとコストが著しく高くなってしまう。
含まれる導電性成分全体に対するAg,PdおよびNiの含有量が、Ag:10質量%以上95質量%以下、Pd:0.0質量%超50質量%以下、Ni:5.0質量%以上60質量%以下であることが好ましい。なお、導電性成分全体に対するAg,PdおよびNiの含有量は小数点第1位または第2位を四捨五入した値である。
Niの含有量を上記の範囲内とすることで、後述する外部電極4の外表面全体に対するNiO4aの面積割合を良好に制御し易くなる。また、Niの含有量を60質量%以下とすることで、高温高湿下でのAg系導電性接着剤との接着強度の劣化を抑制しやすくなる。さらに、NiO4aの面積割合をより良好に制御し易くする観点からはNiの含有割合を50質量%以下とすることがより好ましい。
Niの含有量を5.0質量%以上とすることで、Pdの使用量を抑制しやすくなり、コストダウンを容易にすることができる。また、Niの含有量は10質量%以上とすることがさらに好ましい。10質量%以上とすることで積層セラミックコンデンサ1の静電容量が良好になる。
また、外部電極4におけるAgに対するPdの含有割合は重量比で3.0%以上とすることが好ましく、3.1%以上とすることがより好ましく、5.3%以上とすることがさらに好ましい。Agに対するPdの含有割合を大きくすることでAgのマイグレーションをより良好に抑制できる。なお、Agに対するPdの含有割合に上限は特になく、Pdの含有割合を増やすほど積層セラミックコンデンサ1の静電容量を良好にしやすくなるが、コストが高くなってしまう。Agのマイグレーション抑制効果を十分に高くしつつコストの上昇を抑えるためには、例えばAgに対するPdの含有割合を100%以下としてもよく、20%以下としてもよい。
本実施形態に係る外部電極4は、図2に示すように、外表面にNiO4aが存在する。NiO4aが存在することで、高温高湿下でのAg系導電性接着剤との接着強度の劣化およびESRの変動を著しく抑制した積層セラミックコンデンサ1を得ることができる。
前記外部電極4の外表面全体に対するNiO4aの面積割合は特に制限がないが、3%以上70%以下とすることが好ましい。3%以上とすることで高温高湿下での接着強度の劣化およびESRの変動を抑制する効果が大きくなる。70%以下とすることでESR自体を小さくすることができる。さらに、高温高湿下での接着強度の劣化およびESRの変動を抑制する効果が大きくなる。
NiO4aの厚さには特に制限はないが、平均で概ね1μm程度としてもよい。
NiO4aの面積割合を測定する方法には特に制限はなく、例えばEPMAを用いて測定することができる。また、前記外部電極4の外表面全体に対するNiO4aの面積割合は5%以上とすることがさらに好ましい。5%以上とすることで高温高湿下での接着強度の劣化を抑制する効果がより大きくなる。また、前記外部電極4の外表面全体に対するNiO4aの面積割合は55%以下とすることがさらに好ましい。55%以下とすることで高温高湿下でのESRの変動を抑制する効果がさらに大きくなる。
なお、本実施形態では、素子本体10のY軸方向およびZ軸方向の側面については、外部電極4が覆っている部分以外は露出している。しかし、素子本体10の側面には必要に応じて各種絶縁層が存在していてもよい。
積層セラミックコンデンサの製造方法
次に、本発明の一実施形態としての積層セラミックコンデンサ1の製造方法について具体的に説明する。
まず、焼成後に図1に示す誘電体層2を構成することになるグリーンシートを製造するために、グリーンシート用ペーストを準備する。
グリーンシート用ペーストは、通常、セラミック粉末と有機ビヒクルとを混練して得られた有機溶剤系ペースト、または水系ペーストで構成される。
セラミック粉末の原料としては、複合酸化物や酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などから適宜選択され、混合して用いることができる。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、アルコール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、グリーンシート用ペースト中には、必要に応じて、各種分散剤、可塑剤、誘電体、副成分化合物、ガラスフリット、絶縁体などから選択される添加物が含有されていてもよい。
可塑剤としては、フタル酸ジオクチルやフタル酸ベンジルブチルなどのフタル酸エステル、アジピン酸、燐酸エステル、グリコール類などが例示される。
次に、焼成後に図1に示す内部電極層3を構成することになる内部電極パターン層を製造するために、内部電極層用ペーストを準備する。内部電極層用ペーストは、少なくともNiを含む各種導電性金属や合金からなる導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
焼成後に図1に示す外部電極4を構成することになる外部電極用ペーストは、Ag、Pd、Niのうち少なくとも1種以上の導電材およびガラスフリットをビヒクル中に分散させて製造する。
上記にて調整したグリーンシート用ペーストおよび内部電極層用ペーストを使用して、グリーンシートと、内部電極パターン層と、を交互に積層し、積層方向に加圧してグリーン積層体を得る。
また、内部電極パターン層の形成方法としては、特に限定されず、印刷法、転写法の他、蒸着、スパッタリングなどの薄膜形成方法により形成されていてもよい。
グリーン積層体を必要に応じて適切な大きさに切断してグリーンチップを得る。グリーンチップは、固化乾燥により可塑剤が除去され固化される。固化乾燥後のグリーンチップは、メディアおよび研磨液とともに、バレル容器内に投入され、水平遠心バレル機などにより、バレル研磨される。バレル研磨後のグリーンチップは、水で洗浄され、乾燥される。乾燥後のグリーンチップに対して、脱バインダ工程、焼成工程、必要に応じて行われるアニール工程を行うことにより、素子本体10が得られる。
脱バインダ工程は、公知の条件とすればよく、たとえば、保持温度を200℃〜400℃とすればよい。焼成工程は、還元雰囲気で行い、アニール工程は、中性、または弱酸化性雰囲気で行う。その他の焼成条件またはアニール条件は、公知の条件とすればよく、たとえば、焼成の保持温度は1000℃〜1300℃であり、アニールの保持温度は500℃〜1100℃である。
脱バインダ工程、焼成工程およびアニール工程は、連続して行なっても、独立して行なってもよい。
上記のようにして得られた素子本体3に対して、必要に応じて研磨等の加工を行っても良い。
次に、素子本体10のX軸方向の両端面に、外部電極用ペーストを塗布、乾燥の後に700〜900℃で1〜20分間、焼き付けする。
外部電極用ペーストの製造方法は内部電極層用ペーストの製造方法と同様である。また、外部電極用ペーストの原料は各導電性成分の単体の金属粉末でもよく、例えばAg−Pd粉末などの合金粉末でもよい。また、外部電極用ペーストにはガラス成分を含んでもよく、ガラス成分の原料としては例えばBやSiOなどのガラス形成酸化物に、BaO、CaO、SrOなどの各種アルカリ土類酸化物、および/またはZnO、Al、MnOなどの各種金属酸化物を添加したものを用いることができる。
ここで、焼き付け時の雰囲気は窒素雰囲気等の不活性雰囲気とする。酸素を含む活性雰囲気で焼き付けを行うと、内部電極層が酸化してしまいコンデンサとしての性能が得られなくなってしまう。
次に、大気中等、酸素を含む活性雰囲気で酸化処理を行う。酸化処理は250〜400℃で0.01〜3時間、行う。酸化処理を行うことで焼き付けられた外部電極の外表面に存在するNiのみが酸化され、NiOが形成される。そして、本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1が得られる。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について、Ag系導電性接着剤を用いて基板に取り付ける方法には特に制限はない。ポリイミド基板を用いる場合には、例えば200〜250℃で15〜60分、加熱することで接着させることができる。
本実施形態では、外部電極の酸化処理を行ってから積層セラミックコンデンサを基板に接着させるという順番とすることが好ましい。基板に積層セラミックコンデンサを接着させてから酸化処理を行うと、外部電極の外表面におけるNiがNiOに酸化される際に外部電極が膨張してしまい、接着強度が著しく低下してしまう場合があるためである。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
例えば、上記の実施形態では外部電極は単層構造を有しているが、多層構造としてもよい。しかし、多層構造とする場合には、外部電極用ペーストの塗布工程を2回以上行う必要がある。さらに、最外層以外の層、すなわち下地層の膜厚を厳密に制御する必要がある。したがって、多層構造とする場合には製造コストが上昇してしまう。本実施形態の積層セラミックコンデンサは、外部電極を単層構造としても高温高湿下でのESRの変動を小さくし、接着強度の劣化を小さくすることができる。すなわち、外部電極を多層構造とする場合と比較してコストを低下させることができる。
また、本発明の積層電子部品は、積層セラミックコンデンサに限らず、その他の積層電子部品に適用することが可能である。その他の積層電子部品としては、誘電体層が内部電極を介して積層される全ての電子部品であり、たとえばバンドパスフィルタ、積層三端子フィルタ、圧電素子、チップサーミスタ、チップバリスタ、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品などが例示される。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実験例1)
下記の通り、実施例1〜18の積層セラミックコンデンサ試料(以下、単にコンデンサ試料ともいう)を作製した。
まず、BaTiO系セラミック粉末:100重量部と、ポリビニルブチラール樹脂:10重量部と、可塑剤としてのジオクチルフタレート(DOP):5重量部と、溶媒としてのアルコール:100重量部とをボールミルで混合してペースト化し、グリーンシート用ペーストを得た。
また、上記とは別に、Ni粒子44.6重量部と、テルピネオール:52重量部と、エチルセルロース:3重量部と、ベンゾトリアゾール:0.4重量部とを、らいかい機にて1時間混合し、その後三本ロールで混練し、スラリー化することで内部電極層用導体ペーストを作製した。
上記にて作製したグリーンシート用ペーストを用いて、PETフィルム上にグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用導体ペーストを用いて、内部電極パターン層を所定パターンで印刷し、内部電極パターン層を有するグリーンシートを得た。
内部電極パターン層を有するグリーンシートを積層して、内部積層体を製造した後に、内部積層体の上下にグリーンシート用ペーストを使用して、適宜の枚数のグリーンシートを形成し、積層方向に加圧接着してグリーン積層体を得た。
次に、グリーン積層体を適宜切断して、最終的に3216形状(X軸方向:3.2mm、Y軸方向:1.6mm、Z軸方向:1.6mm)のコンデンサ試料が得られるグリーンチップを得た。
次に、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、素子本体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:60℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度:800℃/時間、保持温度:1000℃〜1200℃とし、温度保持時間を0.1時間とした。冷却速度は800℃/時間とした。なお、雰囲気ガスは、加湿したN+H混合ガスとした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:500℃〜1000℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガスとした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、ウェッターを使用した。
そして、得られた素子本体の表面を適宜、研磨した
次に、外部電極用導体ペーストを構成する導電材、ガラスフリットおよびビヒクルを準備した。
導電材として、Ag粉末、Pd粉末およびNi粉末を準備し、最終的に外部電極内部成分が表1に示す重量比となるように秤量した。なお、導電材の平均粒径は0.3μmとした。
ガラスフリットは以下に示す方法で準備した。まず、ガラス原料となる炭酸ストロンチウム、酸化ホウ素、酸化珪素、水酸化アルミニウム、炭酸マンガンを準備した。次に、ガラス化した際に、ガラス組成が酸化物換算でSrO:45.0wt%、B:20.0wt%、Al:15.0wt%、SiO:10.0wt%、MnO:10.0wt%となるように秤量した。そして、各ガラス原料をらいかい機で1時間混合して混合粉を得た。次に、白金るつぼに混合粉を投入し、超昇降温速度型電気炉にて300℃/hの速度で1500℃まで昇温し、その温度で1h保持した後、混合粉液体を水中に投下してガラスを得た。このガラスをボ−ルミルで48h粉砕することによって微粉化し、ガラスフリットを得た。粒度分布は島津製作所製:SALD1000を用いてレーザー回折法により測定した。このとき、平均粒径は3μmであった。
ビヒクルとしては、テルピネオールとアクリル系樹脂とを重量比で70:30の比率で混合したものを用いた。
次に、導電材、ガラスフリットおよびビヒクルを所定量調合し、らいかい機で1時間混合し、その後三本ロールで混練し、スラリー化することで外部電極用導体ペーストを作製した。この際、外部電極用導体ペースト100重量部に対するビヒクルの含有量が30重量部となるようにした。また、導電材100重量部に対するガラスフリットの含有量が5重量部となるようにした。
得られた外部電極用導体ペーストを素子本体に塗布し、乾燥した。次に、窒素雰囲気中、750℃で焼き付けを行った。さらに、大気雰囲気中、260℃で1時間加熱し、外部電極の外表面の酸化処理を行い、外表面にNiOを形成した。
次に、各種測定を行うため、コンデンサ試料をポリイミド基板上に接着した。具体的には、エポキシ系樹脂を含むAg系導電性接着剤を用いて、200℃で30分間加熱して接着した。
そして、静電容量、ESR、接着強度、マイグレーションおよび外部電極の外表面全体に対するNiOの面積割合(以下、単にNiO率ともいう)を測定した。以下、各特性値の測定方法および評価基準について記載する。
静電容量およびESRは、LCRメータを用いて測定した。静電容量については、設計値に対する実測値が95%以上である場合を良好とし、100%以上である場合をさらに良好とした。表1では、100%以上である場合を◎、95%以上100%未満である場合を○、95%未満である場合を×とした。なお、静電容量の設計値はεSn/d(ε:誘電体層の誘電率、S:内部電極層の重なり部分の面積、n:誘電体層の数、d:誘電体層の厚み)で計算される。なお、静電容量の設計値を求める際には、誘電体層の誘電率εは1000であるとした。
ESRについては、高温高湿試験の前後において測定し、高温高湿試験前に測定したESRを初期ESR、高温高湿試験前に対する高温高湿試験後の変化率をESR変動率とした。本実施例では、ESR変動率が5%以下である場合を良好とし、0%である場合を特に良好とした。なお、高温高湿試験は、コンデンサ試料を温度85℃、湿度85%の環境下で1000時間、放置することにより行った。また、初期ESRについては特に制限はないが、60mΩ未満であることが好ましい。
接着強度については、サイクル試験の前後において測定し、サイクル試験前に測定した接着強度に対するサイクル試験後に測定した接着強度の低下率を接着強度劣化率とした。接着強度は、固着強度試験を行い、測定した。固着強度は、具体的には、ポリイミド基板にAg導電性接着剤で接着されたコンデンサの側面中央を加圧棒で10mm/minの速度で加圧し、破断された強度を接着強度とする方法により測定した。また、サイクル試験は、コンデンサ試料−55℃から200℃まで温度を上昇させ、−55℃へ戻すサイクルを3000サイクル行った。本実施例では、接着強度劣化率が20%以下である場合を良好とし、5%以下である場合と特に良好とした。
マイグレーションについては、コンデンサ試料に純水を滴下後、100V/mmの電圧を印加し、ショートするまでの時間を測定することで評価した。ショートするまでの時間が30秒を超える場合を良好とし、60秒を超える場合をさらに良好とし、90秒を超える場合を最も良好とした。表1では、90秒超である場合を◎、60秒超90秒以下である場合を○、30秒超60秒以下である場合を△、30秒以下である場合を×とした。
NiO率については、コンデンサ試料を研磨した後に外部電極の外表面をEPMAで観察した。外部電極の外表面におけるNiO、Ni、AgおよびPdの合計に対するNiOの割合を測定し、NiO率とした。
表1の外部電極構成成分の重量割合は、外部電極全体におけるAg、Pd、NiおよびNiOの重量割合をEPMAで測定し、記載したものである。また、外部電極内部成分の重量比は、外部電極のうち、NiOが存在しない電極内部におけるAg、PdおよびNiの重量割合をEPMAで測定し、記載したものである。なお、外部電極内部成分の重量割合は、導電材としてのAg粉末、Pd粉末およびNi粉末の秤量時の重量割合と実質的に一致することを確認した。
実施例19では、実施例1〜18とは異なり、外部電極用導体ペーストの作製時にAg:Pd=90:10(重量比)のAg−Pd合金粉末を準備した。そして、Ag−Pd合金粉末:Ni粉末=70:30(重量比)となるように秤量した。その他の点は実施例1〜18と同条件とした。
比較例1では、実施例1〜18とは異なり、外部電極の外表面の酸化処理を行わなかった。その代わりに、外部電極上にめっきを施した。具体的には、外部電極上にNiめっき膜を形成し、さらにNiめっき膜の上にSnめっき膜を形成した。その他の点は実施例1〜18と同条件とした。なお、比較例1ではNiめっき膜およびSnめっき膜が外部電極と比較して薄い。したがって、外部電極構成成分と外部電極内部成分との比較において、各めっき膜におけるNiおよびSnの含有量は無視できるほど小さい。
Figure 2019067828
表1より、外部電極の外表面にNiOが存在する実施例1〜19は、全ての特性が良好となった。これに対し、外部電極の外表面にNiOが存在しない比較例1はESR変動率および接着強度劣化率が著しく劣る結果となった。すなわち、高温高湿下で接着強度およびESRが不安定となった。
NiO率が3%以上70%以下である各実施例は、NiO率が70%を超える各実施例と比較して初期ESR、ESR変動率および接着強度劣化率が優れる結果となった。また、NiO率が50%以下である各実施例はESR変動率が特に優れる結果となった。
外部電極におけるPd/Agが5.3%以上である実施例は、その他の実施例と比較してマイグレーションが良好であった。
外部電極全体におけるNiOの重量割合が0.01質量%以上であるか、Pd/Ag=100%である各実施例は0.005質量%かつPd/Ag=3.1質量%または5.3質量%である実施例と比較して静電容量が優れていた。
(実験例2)
外部電極の外表面の酸化処理条件を変化させた点以外は実施例8と同条件でコンデンサ試料を作製した。結果を表2に示す。
Figure 2019067828
表2より、酸化処理条件を制御することでNiO率を変化させることができ、NiOが外部電極の外表面に存在する場合には良好な特性を示した。
1…積層セラミックコンデンサ
2…誘電体層
3…内部電極層
4…外部電極
4a…NiO
10…素子本体

Claims (5)

  1. 複数の内部電極層および誘電体層が交互に積層された素子本体と、前記内部電極層と電気的に導通する外部電極とを有する積層セラミック電子部品であって、
    前記内部電極層は主成分としてNiを含み、
    前記外部電極はAg,PdおよびNiからなる群から選択される1種以上の導電性成分を含み、
    前記外部電極の外表面にNiOが存在することを特徴とする積層セラミック電子部品。
  2. 前記外部電極が少なくともAgおよびNiを前記導電性成分として含む請求項1に記載の積層セラミック電子部品。
  3. 前記外部電極の外表面全体に対するNiOの面積割合が3%以上70%以下である請求項1または2に記載の積層セラミック電子部品。
  4. 前記導電性成分全体に対するAg,PdおよびNiの含有量が、Ag:10質量%以上95質量%以下、Pd:0.0質量%超50質量%以下、Ni:5.0質量%以上60質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の積層セラミック電子部品。
  5. Agに対するPdの含有割合が質量基準で3.0%以上である請求項4に記載の積層セラミック電子部品。
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