JP2019066630A - 転写型感光性フィルム、保護膜の形成方法及びフォースセンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 酸耐性に優れ、銅ニッケル合金を含む電極の酸による腐食を抑制可能な保護膜を形成できる転写型感光性フィルム、並びそれを用いた保護膜の形成方法及びフォースセンサの提供。【解決手段】 転写型感光性フィルムは、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性樹脂層とを備える転写型感光性フィルムであって、感光性樹脂層が、チアジアゾール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物を含有し、感光性樹脂層における塩基性化合物の含有量が、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、1.5〜5質量部である。【選択図】 なし

Description

本発明は、転写型感光性フィルム、保護膜の形成方法及びフォースセンサに関する。
パソコン、テレビ等の大型電子機器、カーナビゲーション、携帯電話、電子辞書等の小型電子機器、OA・FA機器等の表示機器などには、液晶表示素子又は有機EL表示素子、及び、タッチパネル(タッチセンサ)が用いられている。
タッチパネルは、抵抗膜方式及び静電容量方式等の各種の方式がすでに実用化されているが、近年、これらのタッチパネルと薄型のフォースセンサとを組み合わせた表示機器が開発されている。フォースセンサは、押した圧力の強弱を検知し、荷重に応じた圧電信号を発生できる。そのため、フォースセンサをタッチパネルと組み合わせた表示機器は、タッチする強さの加減に応じて様々な入力操作が可能となる。また、フォースセンサにタッチ位置を検出する機能を持たせることで、タッチパネルを別途設けることなく、フォースセンサのみで荷重検出と位置検出を行う方法も提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
フォースセンサに用いられる電極の材料としては、銅及び銀等が挙げられるが、抵抗値及び線膨張係数の観点から、銅ニッケル合金が検討されている(例えば、下記特許文献2参照)。また、フォースセンサの電極上には、腐食防止の観点から、絶縁性の保護膜が設けられる。
特開2016−14668号公報 特開2017−101983号公報
フォースセンサの電極として銅ニッケル合金を含む電極を用い、当該電極上に保護膜を形成することで、電極の腐食を抑制することが可能となる。しかしながら、上記構成のフォースセンサを、OCA(Optical Clear Adhesive)等の粘着剤を用いて他の部材と接着した場合、電極表面から保護膜が剥離するという問題が生じやすいことを本発明者らは見出した。更に本発明者らは、この保護膜の剥離の原因について鋭意検討を重ねた結果、OCA等の粘着剤に含まれる酸成分が保護膜を透過して電極表面に達し、電極が腐食することで保護膜の剥離が生じることを見出した。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、酸耐性に優れ、銅ニッケル合金を含む電極の酸による腐食を抑制可能な保護膜を形成できる転写型感光性フィルム、並びそれを用いた保護膜の形成方法及びフォースセンサの提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性樹脂層とを備える転写型感光性フィルムであって、感光性樹脂層が、チアジアゾール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物を含有し、感光性樹脂層における塩基性化合物の含有量が、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、1.5〜5質量部であり、銅ニッケル合金を含む電極を備える基材の保護膜の形成に用いられる転写型感光性フィルムを提供する。
本発明の転写型感光性フィルムによれば、銅ニッケル合金を含む電極を備える基材上に上記感光性樹脂層をラミネートし、感光性樹脂層の露光及び必要に応じて現像を行うことにより、酸耐性に優れ、銅ニッケル合金を含む電極の酸による腐食を抑制可能な保護膜を形成することができる。
保護膜の酸耐性の観点から、上記塩基性化合物がアミノ基を有することが好ましい。
感光性樹脂層の現像性の観点から、上記バインダーポリマーが100mgKOH/g以上の酸価を有することが好ましい。
上記基材は、電極が設けられている主面の全面積に占める電極の面積割合が10%以上であってもよい。
上記基材は、フォースセンサを構成するものであってもよい。
本発明はまた、銅ニッケル合金を含む電極を備える基材上に、電極の一部又は全部を被覆するように上記本発明に係る転写型感光性フィルムの感光性樹脂層をラミネートする第1工程と、基材上の感光性樹脂層を露光する第2工程とを備える保護膜の形成方法を提供する。
本発明の保護膜の形成方法によれば、酸耐性に優れ、銅ニッケル合金を含む電極の酸による腐食を抑制可能な保護膜を形成することができる。
上記第2工程において、基材上の感光性樹脂層の所定部分を露光し、露光した感光性樹脂層の所定部分以外を除去することができる。この場合、所定のパターンを有する保護膜を形成することができる。
本発明の保護膜の形成方法において、上記基材は、電極が設けられている主面の全面積に占める電極の面積割合が10%以上であってもよい。
上記基材は、フォースセンサを構成するものであってもよい。
本発明はまた、銅ニッケル合金を含む電極を備える基材と、基材上に設けられ、電極の一部又は全部を被覆する保護膜とを備え、保護膜が感光性樹脂層の硬化物を含み、感光性樹脂層が、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び光重合開始剤と、チアジアゾール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物とを含有し、感光性樹脂層における塩基性化合物の含有量が、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、1.5〜5質量部であるフォースセンサを提供する。
本発明のフォースセンサによれば、上記保護膜が酸耐性に優れることから、OCA等の粘着剤を用いて他の部材と接着した場合であっても、銅ニッケル合金を含む電極の酸による腐食を抑制することができる。
保護膜の酸耐性の観点から、上記塩基性化合物がアミノ基を有することが好ましい。
感光性樹脂層の観点から、上記バインダーポリマーが100mgKOH/g以上の酸価を有することが好ましい。
本発明のフォースセンサにおいて、上記基材は、電極が設けられている主面の全面積に占める電極の面積割合が10%以上であってもよい。
本発明によれば、酸耐性に優れ、銅ニッケル合金を含む電極の酸による腐食を抑制可能な保護膜を形成できる転写型感光性フィルム、並びそれを用いた保護膜の形成方法及びフォースセンサを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るフォースセンサを示す模式上面図である。 本発明の一実施形態に係るフォースセンサを示す模式断面図である。 本発明の他の一実施形態に係るフォースセンサを示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
また、本明細書において「層」及び「膜」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。また、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
さらに、本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、例示材料は特に断らない限り単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
<転写型感光性フィルム>
本実施形態の転写型感光性フィルムは、支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた感光性樹脂層とを備える。転写型感光性フィルムは、感光性樹脂層上に設けられた保護フィルムをさらに備えていてもよい。上記転写型感光性フィルムを用いることで、例えばフォースセンサのセンシング領域に設けられた銅ニッケル合金を含む電極の保護機能を有する保護膜を容易に形成することができる。
(支持フィルム)
支持フィルムとしては、重合体フィルムを用いることができる。重合体フィルムの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。
支持フィルムの厚さは、被覆性の確保と、支持フィルムを介して活性光線を照射する際の解像度の低下を抑制する観点から、5〜100μmであることが好ましく、10〜70μmであることがより好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましく、15〜35μmであることが特に好ましい。
(感光性樹脂層)
感光性樹脂層は、バインダーポリマー(以下、(A)成分ともいう)と、光重合性化合物(以下、(B)成分ともいう)と、光重合開始剤(以下、(C)成分ともいう)と、塩基性化合物(以下、(D)成分ともいう)を含有する感光性樹脂組成物から形成されることが好ましい。
(バインダーポリマー)
(A)成分としては、アルカリ現像によりパターニングを可能とする観点から、カルボキシル基を有するポリマーを用いることが好ましい。
(A)成分は、(メタ)アクリル酸、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含有する共重合体が好適である。上記共重合体は、上記(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合し得るその他のモノマーを構造単位に含有していてもよい。その他のモノマーとして具体的には、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、スチレン、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル等が挙げられる。また、得られる保護膜の透湿度を低減する観点から、(メタ)アクリル酸トリシクロアルキルエステル等のトリシクロ骨格を有するモノマーを用いることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチルエステル等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ現像性(特に無機アルカリ水溶液に対する現像性)、パターニング性、透明性の観点から、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルマレイミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも一種の化合物に由来する構造単位を有するバインダーポリマーが好ましく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、スチレン、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステルからなる群より選択される少なくとも一種の化合物に由来する構造単位を有するバインダーポリマーがより好ましく、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル及び(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステルに由来する構造単位を有するバインダーポリマーが特に好ましい。また、バインダーポリマーは、上記構造単位として少なくともヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はヒドロキシブチル(メタ)アクリレートを含む共重合体のヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又はヒドロキシブチル(メタ)アクリレートに、イソシアネートエチル(メタ)アクリレート又はグリシジル(メタ)アクリレートを付加反応させたものであってもよい。
本実施形態においては、保護膜の透湿度を低減する観点から、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基、側鎖に酸性基を有する基、並びに、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有するバインダーポリマーを用いることができる。側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基は、側鎖に分岐構造を有する基を含有するモノマー、又は側鎖に脂環構造を有する基を含有するモノマーによって導入することができる。側鎖に酸性基を有する基は、側鎖に酸性基を有する基を含有するモノマーによって導入することができる。
側鎖に分岐構造を有する基を含有するモノマーの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸i−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸sec−iso−アミル、(メタ)アクリル酸2−オクチル、(メタ)アクリル酸3−オクチル、(メタ)アクリル酸t−オクチル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチルが好ましく、さらに好ましくは、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸t−ブチルである。
側鎖に脂環構造を有する基を含有するモノマーの具体例としては、例えば炭素原子数5〜20個の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。より具体的な例としては、例えば(メタ)アクリル酸(ビシクロ〔2.2.1]ヘプチル−2)、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−エチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸−3−メチル−5−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5,8−トリエチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−3,5−ジメチル−8−エチル−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−5−イル、(メタ)アクリル酸オクタヒドロ−4,7−メンタノインデン−1−イルメチル、(メタ)アクリル酸−1−メンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシ−2,6,6−トリメチル−ビシクロ〔3.1.1〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸−3,7,7−トリメチル−4−ヒドロキシ−ビシクロ〔4.1.0〕ヘプチル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステルの中でも、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェンチル、(メタ)アクリル酸1−メンチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルが好ましく、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸(ノル)ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸−2−アダマンチルが特に好ましい。
(A)成分が側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基を含有することにより、基材に対する良好な密着性を得ることができる。また、側鎖に脂環構造を有する基を有すことにより、保護膜の透湿度を低減することができる。
側鎖に酸性基を有する基を含有するモノマーの具体例としては、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸、α−シアノ桂皮酸、アクリル酸ダイマー、水酸基を有するモノマーと環状酸無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、適宜製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
(A)成分が側鎖に酸性基を有する基を含有することにより、アルカリ現像によるパターニングを可能とすることができる。
側鎖にエチレン性不飽和基を有する基としては、特に制限はなく、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、エチレン性不飽和基とモノマーとの連結はエステル基、アミド基、カルバモイル基などの2価の連結基であれば特に制限はない。側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法は公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、酸性基を持つ基にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、ヒドロキシ基を持つ基にイソシアネート基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法、イソシアネート基を持つ基にヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法などが挙げられる。その中でも、酸性基を持つ繰り返し単位にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレートを付加する方法が最も製造が容易であり、低コストである点で好ましい。
(A)成分が側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を含有することにより、基材に対する良好な密着性を得ることができる。また、保護膜の透湿度を低減することができる。
(A)成分を構成するモノマー全量を基準として、側鎖に分岐構造及び/又は脂環構造を有する基を構成するモノマーの割合は、10〜70モル%であることが好ましく、15〜65モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることがさらに好ましい。また、(A)成分を構成するモノマー全量を基準として、側鎖に酸性基を有する基を構成するモノマーの割合は、5〜70モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。さらに、(A)成分を構成するモノマー全量を基準として、側鎖にエチレン性不飽和基を有する基を構成するモノマーの割合は、5〜70モル%であることが好ましく、10〜60モル%であることがより好ましく、20〜50モル%がさらに好ましい。上記モノマーの割合を満たすことで、アルカリ現像によるパターニング性、基材へのラミネート性、及び、基材に対する良好な密着性をバランス良く向上させることができる。
(A)成分の重量平均分子量は、解像度の観点から、10,000〜200,000であることが好ましく、15,000〜150,000であることがより好ましく、30,000〜150,000であることがさらに好ましく、30,000〜100,000であることが特に好ましく、40,000〜100,000であることが極めて好ましい。なお、重量平均分子量は、本明細書の実施例に記載したゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定することができる。
(A)成分の酸価は、所望の形状を有する硬化膜(保護膜)をアルカリ現像で容易に形成する観点から、100mgKOH/g以上とすることが好ましい。また、保護膜形状の制御容易性と保護膜の防錆性との両立を図る観点から、(A)成分の酸価は、100〜200mgKOH/gであることが好ましく、100〜150mgKOH/gであることがより好ましく、100〜130mgKOH/gであることがさらに好ましい。なお、酸価は、本明細書の実施例に記載した方法で測定することができる。
(A)成分の水酸基価は、保護膜の防錆性をより向上させる観点から、50mgKOH/g以下であることが好ましく、45mgKOH/g以下であることがより好ましい。
なお、感光性樹脂層は、上述した(A)バインダーポリマー以外の他のバインダーポリマーをさらに含有していてもよい。
(B)成分としては、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物を用いることができる。エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物としては、一官能ビニルモノマー、二官能ビニルモノマー、又は少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーが挙げられる。また、得られる保護膜の透湿度を低減する観点から、(B)成分は、(メタ)アクリル酸トリシクロアルキルエステル等のトリシクロ骨格を有する化合物を含んでいてもよい。
上記一官能ビニルモノマーとしては、例えば、上記(A)成分の好適な例である共重合体の合成に用いられるモノマーとして例示したものが挙げられる。
上記分子内に二つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する二官能ビニルモノマーとしては、保護膜の透湿度を低減する観点から、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する化合物を含んでいてもよい。銅ニッケル合金を含む電極の腐食抑制の観点から、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する化合物として、下記一般式(B−1)で表されるジ(メタ)アクリレート化合物を含んでいてもよい。
Figure 2019066630

[一般式(B−1)中、R31及びR32は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Xは、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する2価の基を示し、R33及びR34は、それぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基を示し、n及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を示し、p及びqは、それぞれ独立に0以上の整数を示し、p+q=0〜10となるように選択される。]
上記一般式(B−1)において、R33及びR34は、エチレン基又はプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。また、プロピレン基はn−イソプロピレン基及びイソプロピレン基のいずれであってもよい。
上記一般式(B−1)で表される化合物によれば、Xに含まれるトリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する2価の基が、嵩高い構造を有することで、保護膜の低透湿性を実現し、銅ニッケル合金を含む電極の腐食抑制性を向上させることができる。ここで、本明細書中における「トリシクロデカン骨格」及び「トリシクロデセン骨格」とは、それぞれ以下の構造(それぞれ、結合手は任意の箇所である)をいう。
Figure 2019066630
トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する化合物としては、得られる保護膜の低透湿性の観点から、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどのトリシクロデカン骨格を有する化合物が好ましい。これらは、DCP及びA−DCP(いずれも新中村化学工業株式会社製)として入手可能である。
(B)成分における、トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する化合物の割合は、透湿度を低減する観点から、感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物の合計量100質量部のうち、50質量部以上、70質量部以上、又は、80質量部以上であってもよい。
トリシクロデカン骨格又はトリシクロデセン骨格を有する化合物とは別の、分子内に二つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する二官能ビニルモノマーとしては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシフェニル)プロパン、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有する多官能ビニルモノマーとしては、従来公知のものを特に制限無く用いることができる。電極の腐食防止及び現像性の観点から、上記多官能ビニルモノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のテトラメチロールメタン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のジトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;又はジグリセリン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物;シアヌル酸由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。
これらの中でも、上記多官能ビニルモノマーは、ペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトール由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、ジトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物、又は、シアヌル酸由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことがさらに好ましい。
ここで、「〜由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物」について、ジトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を例にとり説明する。ジトリメチロールプロパン由来の骨格を有する(メタ)アクリレートとは、ジトリメチロールプロパンと、(メタ)アクリル酸とのエステル化物を意味し、当該エステル化物には、アルキレンオキシ基で変性された化合物も包含される。上記エステル化物は、一分子中におけるエステル結合数が最大数の4であることが好ましいが、エステル結合の数が1〜3の化合物が混合していてもよい。
分子内に少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーと、一官能ビニルモノマー又は二官能ビニルモノマーを組み合わせて用いる場合、使用する割合に特に制限は無いが、光硬化性及び電極腐食を防止する観点から、分子内に少なくとも3つの重合可能なエチレン性不飽和基を有するモノマーの割合が、感光性樹脂組成物に含まれる光重合性化合物の合計量100質量部のうち、30質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましく、75質量部以上であることがさらに好ましい。
(A)成分及び(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、(A)成分が35〜85質量部であることが好ましく、40〜80質量部であることがより好ましく、50〜70質量部であることがさらに好ましく、55〜65質量部であることが特に好ましい。特に、パターン形成性及び硬化膜の透明性を維持する点では、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、(A)成分が、35質量部以上であることが好ましく、40質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、55質量部以上であることが特に好ましい。
(C)成分としては、従来公知の光重合開始剤を特に制限無く用いることができるが、透明性の高い光重合開始剤を用いることが好ましい。基材上に、厚さが10μm以下の薄膜であっても充分な解像度で保護膜を形成する点では、(C)成分はオキシムエステル化合物及び/又はホスフィンオキサイド化合物を含むことが好ましい。ホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド等が挙げられる。
オキシムエステル化合物は、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、又は下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2019066630
式(1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数4〜10のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数4〜6のシクロアルキル基、フェニル基又はトリル基であることがより好ましく、メチル基、シクロペンチル基、フェニル基又はトリル基であることがさらに好ましい。R13は、−H、−OH、−COOH、−O(CH)OH、−O(CHOH、−COO(CH)OH又は−COO(CHOHを示し、−H、−O(CH)OH、−O(CHOH、−COO(CH)OH、又は−COO(CHOHであることが好ましく、−H、−O(CHOH、又は−COO(CHOHであることがより好ましい。
Figure 2019066630
式(2)中、2つのR14は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基を示し、プロピル基であることが好ましい。R15は、NO又はArCO(ここで、Arはアリール基を示す。)を示し、Arとしては、トリル基が好ましい。R16及びR17は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基、又はトリル基を示し、メチル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましい。
Figure 2019066630
式(3)中、R18は、炭素数1〜6のアルキル基を示し、エチル基であることが好ましい。R19はアセタール結合を有する有機基であり、後述する式(3−1)に示す化合物が有するR19に対応する置換基であることが好ましい。R20及びR21は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はトリル基を示し、メチル基、フェニル基又はトリル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R22は、水素原子又はアルキル基を示す。
上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、下記式(1−1)で表される化合物及び下記式(1−2)で表される化合物が挙げられる。下記式(1−1)で表される化合物は、IRGACURE OXE 01(BASFジャパン株式会社製、製品名)として入手可能である。
Figure 2019066630
上記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、下記式(2−1)で表される化合物が挙げられる。下記式(2−1)で表される化合物は、DFI−091(ダイトーケミックス株式会社製、製品名)として入手可能である。
Figure 2019066630
上記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、下記式(3−1)で表される化合物が挙げられる。下記式(3−1)で表される化合物は、アデカオプトマーN−1919(株式会社ADEKA製、製品名)として入手可能である。
Figure 2019066630
その他のオキシムエステル化合物としては、下記式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2019066630
Figure 2019066630
上記の中でも、上記式(1−1)で表される化合物が極めて好ましい。なお、上記式(1−1)で表される化合物が保護膜に含まれているかどうかは、保護膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析を行ったときに、ヘプタノニトリル及び安息香酸が検出されるかどうかを指標にして判断することができる。保護膜が高温の加熱工程を受けていない場合は、ヘプタノニトリル及び安息香酸が検出されることで保護膜に上記式(1−1)で表される化合物が含まれていたことがわかる。保護膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析における安息香酸の検出ピーク面積は、ヘプタノニトリルの検出ピーク面積に対して、1〜10%の範囲で検出される。
保護膜の熱分解ガスクロマトグラフ質量分析は、測定サンプルを140℃で加熱して発生したガスについてガスクロマトグラフ質量分析を行うことが好ましい。上記の測定サンプルの加熱時間は、1〜60分の範囲であればよいが、30分であることが好ましい。熱分解ガスクロマトグラフ質量分析の測定条件の一例を以下に示す。
(熱分解ガスクロマトグラフ質量分析の測定条件)
測定装置:GC/MS QP−2010(株式会社島津製作所製、製品名)
カラム:HP−5MS(アジレント・テクノロジー株式会社製、製品名)
Oven Temp:40℃で5分間加熱後、15℃/minの割合で300℃まで昇温
キャリアーガス:ヘリウム、1.0mL/min
インターフェイス温度:280℃
イオンソース温度:250℃
サンプル注入量:0.1mL
(C)成分の含有量は、光感度及び解像度に優れる点では、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対し、0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましく、1〜3質量部であることがさらに好ましく、1〜2質量部であることが特に好ましい。
(D)成分としては、硬化膜の酸耐性をより向上させる観点から、チアジアゾール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物を用いることが好ましい。
チアジアゾール化合物としては、メルカプト基を有するチアジアゾール化合物が挙げられ、具体的には、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール(和光純薬工業株式会社製、製品名:同一)が挙げられる。
ピラゾール化合物としては、3−アミノピラゾール(東京化成工業株式会社製、製品名:同一)が挙げられる。
イミダゾール化合物としては、2−アミノイミダゾール(シグマアルドリッチ製、製品名:同一)が挙げられる。
トリアゾール化合物としては、メルカプト基を有するトリアゾール化合物、アミノ基を有するトリアゾール化合物が挙げられる。メルカプト基を有するトリアゾール化合物としては、例えば、3−メルカプト−トリアゾール(和光純薬工業株式会社製、製品名:3MT)が挙げられる。アミノ基を有するトリアゾール化合物としては、ベンゾトリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール−1−アセトニトリル、ベンゾトリアゾール−5−カルボン酸、1H−ベンゾトリアゾール−1−メタノール、カルボキシベンゾトリアゾール等にアミノ基が置換した化合物、3−メルカプトトリアゾール、5−メルカプトトリアゾール等のメルカプト基を含むトリアゾール化合物にアミノ基が置換した化合物などが挙げられる。
テトラゾール化合物としては、メルカプト基を有するテトラゾール化合物、アミノ基を有するテトラゾール化合物が挙げられる。メルカプト基を有するテトラゾール化合物としては、例えば、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール(東洋紡績株式会社製、商品名:MMT)が挙げられる。
アミノ基を有するテトラゾール化合物としては、下記一般式(D−1)で表わされる化合物が挙げられる。
Figure 2019066630

上記一般式(D−1)中のR11及びR12は、各々独立に、水素、炭素数1〜20のアルキル基、アミノ基、メルカプト基又はカルボキシメチル基を示し、R11及びR12の少なくともひとつは、アミノ基を有する。
上記一般式(D−1)で表わされる化合物としては、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−5−アミノ−テトラゾール、1−メチル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、1−カルボキシメチル−5−アミノ−テトラゾール等が挙げられる。これらのテトラゾール化合物は、その水溶性塩であってもよい。具体例としては、1−メチル−5−アミノ−テトラゾールのナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩などが挙げられる。
本実施形態においては、硬化膜の酸耐性向上、及び銅ニッケル合金を含む電極に対する密着性の観点から、アミノ基を有する塩基性化合物が好ましく、アミノ基を有するテトラゾール化合物がより好ましく、5−アミノ−1H−テトラゾールがさらに好ましい。
感光性樹脂層における塩基性化合物の含有量は、硬化膜の酸耐性向上、及び銅ニッケル合金を含む電極に対する密着性の観点から、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、1.5〜5質量部であることが好ましく、2.0〜5.0質量部であることがより好ましく、2.5〜5.0質量部であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、銅ニッケル合金を含む電極に対する密着性と、現像残りの発生を防ぐ観点から、エチレン性不飽和結合を含むリン酸エステル(以下、(E)成分ともいう)を含有することが好ましい。なお、本明細書において、エチレン性不飽和結合を含むリン酸エステルは、(B)成分ではなく(E)成分として扱うこととする。
(E)成分であるエチレン性不飽和結合を含むリン酸エステルとしては、形成する保護膜の防錆性を充分確保しつつ、銅ニッケル合金を含む電極に対する密着性と現像性とを高水準で両立する観点から、ユニケミカル株式会社製のPhosmerシリーズ(Phosmer−M、Phosmer−CL、Phosmer−PE、Phosmer−MH、Phosmer−PP等)、又は日本化薬株式会社製のKAYAMERシリーズ(PM−21、PM−2等)が好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて、各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、充填剤、消泡剤、難燃剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤、防錆剤等を含有させることができる。これらの添加剤の添加量は、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して各々0.01〜5.0質量部であることが好ましい。
上記感光性樹脂層の厚みは、保護膜として充分に効果を奏し、且つ銅ニッケル合金を含む電極を有する基材表面の段差を充分に埋め込む上では、乾燥後の厚みで15μm以下であることが好ましく、2〜10μmであることがより好ましく、3〜8μmであることがさらに好ましい。また、硬化後における感光性樹脂層の厚みも上記範囲内であることが好ましい。
(他の層)
本実施形態の転写型感光性フィルムは、適宜選択した他の層を設けてもよい。上記他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、クッション層、酸素遮蔽層、剥離層、接着層等が挙げられる。例えば、電極における骨見え現象を抑制することを目的に、屈折率調整層を設けることができる。屈折率調整層としては、例えば、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子を含む樹脂層が挙げられる。上記転写型感光性フィルムは、これらの層を1種単独で有していてもよく、2種以上を有してもよい。また、同種の層を2以上有していてもよい。
(保護フィルム)
保護フィルムとしては、重合体フィルムを用いることができる。重合体フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。保護フィルムは、異なる材質からなる重合体フィルムを積層した積層フィルムであってもよく、例えば、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムとポリエチレンフィルムとを積層した積層フィルム等であってもよい。
保護フィルムの厚さは、5〜100μmが好ましいが、転写型感光性フィルムをロール状に巻いて保管する観点から、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましく、40μm以下であることが特に好ましい。
転写型感光性フィルムの感光性樹脂層は、例えば、感光性樹脂組成物を含有する塗布液を調製し、これを支持フィルム上に塗布、乾燥することで形成できる。保護フィルムを備える転写型感光性フィルムは、基材上に形成された感光性樹脂層上に、保護フィルムを貼り付けることにより形成することができる。
塗布液は、上述した本実施形態に係る感光性樹脂組成物を構成する各成分を溶剤に均一に溶解又は分散することにより得ることができる。
塗布液として用いる溶剤は、特に制限は無く、公知のものが使用できる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、クロロホルム、塩化メチレン等が挙げられる。
塗布方法としては、ドクターブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ロールコーティング法、スクリーンコーティング法、スピナーコーティング法、インクジェットコーティング法、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、グラビアコーティング法、カーテンコーティング法、ダイコーティング法等が挙げられる。
乾燥条件に特に制限は無いが、乾燥温度は、60〜130℃とすることが好ましく、乾燥時間は、0.5〜30分とすることが好ましい。
感光性樹脂層の粘度は、転写型感光性フィルムをロール状に保管した場合に、転写型感光性フィルムの端面から樹脂組成物がしみ出すことを防止する観点及び転写型感光性フィルムを切断する際に樹脂組成物の破片が基材に付着することを防止する観点から、30℃において、15〜100mPa・sであることが好ましく、20〜90mPa・sであることがより好ましく、25〜80mPa・sであることがさらに好ましい。
<フォースセンサ>
図1の(a)及び(b)は、保護膜を備えるフォースセンサの一実施形態を示す模式上面図であり、図2は、保護膜を備えるフォースセンサの一実施形態を示す模式断面図である。なお、図2は、図1に示したフォースセンサのII−II断面図である。また、図1の(b)は、図1の(a)の領域Aの拡大図である。図1及び図2に示すように、フォースセンサ100は、基材フィルム2、及び、該基材フィルム2の一方の主面F1上に形成された銅ニッケル合金を含む電極4を有する基材10と、基材10上に設けられ、電極4の一部又は全部を被覆する保護膜30とを備える。電極4は、本体部4a、配線部4b、引き出し配線部4c、及び、外部接続端子部4dからなり、これらのうち本体部4a及び配線部4bが、押した圧力の強弱を検知する抵抗式のひずみ受感部5を形成している。ひずみ受感部5は、基材フィルム2の一方の主面F1上に、長さ方向が同一方向となるように複数形成されている。そして、各ひずみ受感部5に対応した引き出し配線部4cが、配線部4bから基材フィルム2の外縁部まで延び、外部接続端子部4dが形成されている。この外部接続端子部4dを介して、ひずみ受感部5で検知した圧力に応じた圧電信号が取り出される。上記構成のフォースセンサ100は、極めて薄い板状の構造物であり、例えば表示機器に搭載される場合には、基材1の電極4側が表示面側となるように搭載される。
基材フィルム2としては、絶縁性を有するフィルムが用いられ、好ましくはさらに可撓性を有するフィルムが用いられる。基材フィルム2の材質としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリイミドアミド(AI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられる。
基材フィルム2の厚さは特に限定されないが、押した圧力に対する感度及び基材フィルム自体の強度の観点から、通常、10〜300μmであり、好ましくは50〜300μmである。
ひずみ受感部5は、本体部4aを構成する金属の延伸又は圧縮により断面積及び長さが増減し、それに伴って抵抗値が増減することを利用して、押した圧力の強弱を検知することができる。本体部4aは、図1の(b)に示すように、平行に一定の間隔で配設された複数の帯状部が端部同士で幅方向に延伸する連結部で連結された1つの抵抗体である。すなわち、本体部4aは、一本の帯状体を一定間隔で複数回折り返したジグザグ形状を有する。本体部4aの両端は、配線部4bを介して引き出し配線部4cに接続されている。本体部4aは、抵抗値の変化を検出しやすいように、帯状部のそれぞれの幅が小さいことが好ましく、配線部4bは、抵抗値が小さくなるように幅が大きいことが好ましい。また、配線部4bを設けずに、本体部4aの両端部が引き出し配線部4cに直接接続されていてもよい。なお、本実施形態のフォースセンサにおいて、ひずみ受感部5は、上述した構造物に限定されず、押した圧力の強弱を検知可能な公知の構造物を特に制限なく用いることができる。
本体部4a、配線部4b、引き出し配線部4c及び外部接続端子部4d(以下、「電極各部4a,4b,4c,4d」ともいう)からなる電極4は、材料として銅ニッケル合金を含む。電極各部4a,4b,4c,4dは、それぞれ同一の材料で形成されていてもよく、異なる材料で形成されていてもよい。すなわち、電極各部4a,4b,4c,4dの全てが銅ニッケル合金で形成されていてもよく、一部のみが銅ニッケル合金で形成されていてもよい。また、電極各部4a,4b,4c,4dは、それぞれ銅ニッケル合金と他の材料とを含んでいてもよい。なお、電極4は、通常、不透明である。
電極4に使用できる銅ニッケル合金以外の他の材料としては、白金、アルミニウム、ニッケル、タングステン、鉄、金、銀、銅、パラジウム、クロム、ニッケルクロム合金、銅マンガン合金、鉄クロム合金等が挙げられる。
電極4が銅ニッケル合金を含むことにより、良好な抵抗値及び良好な線膨張係数を得ることができると共に、良好な耐食性を得ることができる。上記効果を充分に得る観点から、電極4に含まれる銅ニッケル合金の割合は、電極4全量を基準として、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
電極4の厚さは特に限定されないが、押した圧力に対する感度及び電極自体の強度と薄型化の観点から、通常、0.01〜10μmであり、好ましくは0.01〜1.0μmである。なお、電極各部4a,4b,4c,4dは、それぞれ厚さが同一でも異なっていてもよい。また、引き出し配線部4c及び外部接続端子部4dは、2以上の層からなる積層体であってもよい。
基材10において、その一方の主面の全面積に占める電極4の面積割合(基材フィルム2の一方の主面F1の全面積のうちの、電極4に被覆されている面積の割合)は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。電極4の面積割合が大きいほど、押した圧力に対する感度が向上する。また、電極4の面積割合が大きいほど、電極4の表面から保護膜30の剥離を抑制するという本発明の効果が有効に発揮される。
保護膜30は、電極4の全部を被覆していてもよく、一部を被覆していてもよい。例えば、図1の(a)に示すように、保護膜30は、本体部4a、配線部4b及び引き出し配線部4cの全部を被覆し、外部接続端子部4dの一部を被覆していてもよい。この場合、外部接続端子部4dの保護膜30に覆われていない部分は、保護膜30とは別の保護部材により保護されていてもよい。電極4の腐食防止の観点から、保護膜30は、少なくとも本体部4a及び配線部4bの全部を被覆していることが好ましく、本体部4a、配線部4b及び引き出し配線部4cの全部を被覆していることがより好ましい。
また、保護膜30は、基材フィルム2の一方の主面F1の全部を被覆していてもよく、一部を被覆していてもよい。
次に、基材10上に保護膜30を形成してフォースセンサ100を製造する方法の一実施形態について説明する。以下では、転写型感光性フィルムを用いて保護膜30を形成する場合を説明する。
まず、転写型感光性フィルムの保護フィルムを除去した後、感光性樹脂層及び支持フィルムを、基材10の電極4が設けられている側の表面に感光性樹脂層側から圧着することによりラミネート(転写)する。圧着手段としては、圧着ロールが挙げられる。圧着ロールは、加熱圧着できるように加熱手段を備えたものであってもよい。
加熱圧着する場合の加熱温度は、感光性樹脂層と基材10との密着性の観点、及び、感光性樹脂層の構成成分が熱硬化又は熱分解されにくいようにする観点から、10〜160℃とすることが好ましく、20〜150℃とすることがより好ましく、30〜150℃とすることがさらに好ましい。
また、加熱圧着時の圧着圧力は、感光性樹脂層と基材10との密着性を充分確保しながら、基材10の変形を抑制する観点から、線圧で50〜1×10N/mとすることが好ましく、2.5×10〜5×10N/mとすることがより好ましく、5×10〜4×10N/mとすることがさらに好ましい。
転写型感光性フィルムを上記のように加熱圧着すれば、基材10の予熱処理は必ずしも必要ではないが、感光性樹脂層と基材10との密着性をさらに向上させる点から、基材10を予熱処理してもよい。このときの処理温度は、30〜150℃とすることが好ましい。
次に、転写後の感光性樹脂層の所定部分に、フォトマスクを介して、活性光線をパターン状に照射する(露光工程)。なお、フォトマスクを介さずに、感光性樹脂層の全面に活性光線を照射してもよい。活性光線を照射する際、感光性樹脂層上の支持フィルムが透明の場合には、そのまま活性光線を照射することができ、不透明の場合には除去してから活性光線を照射する。活性光線の光源としては、公知の活性光源を用いることができる。
活性光線の照射量は、1×10〜1×10J/mであり、照射の際に、加熱を伴うこともできる。この活性光線の照射量が、1×10J/m以上であれば、感光性樹脂層の光硬化を充分に進行させることが可能となり、1×10J/m以下であれば感光性樹脂層が変色することを抑制できる傾向がある。
続いて、活性光線照射後の感光性樹脂層の未露光部を現像液で除去して、基材10が有する電極4の一部又は全部を被覆する保護膜30を形成する。なお、活性光線の照射後、感光性樹脂層に支持フィルムが積層されている場合にはそれを除去した後、現像工程が行われる。
現像工程は、アルカリ水溶液、水系現像液、有機溶剤等の公知の現像液を用いて、スプレー、シャワー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッビング等の公知の方法により行うことができる。中でも、環境、安全性の観点からアルカリ水溶液を用いて、スプレー現像することが好ましい。なお、現像温度及び時間は従来公知の範囲で調整することができる。
現像工程後、保護膜30の架橋密度を向上させると共に、基材10(電極4及び基材フィルム2)との密着性を向上させる観点から、活性光線をさらに照射する追加露光工程を行うことが好ましい。追加露光工程での活性光線の照射量は、1×10〜1×10J/mであることが好ましく、1.5×10〜1×10J/mであることがより好ましく、2×10〜1×10J/mであることがさらに好ましい。また、活性光線の照射の際に、加熱を伴うこともできる。
追加露光工程後、保護膜30の架橋密度を向上させると共に、基材10(電極4及び基材フィルム2)との密着性を向上させる観点から、保護膜30を加熱してアニール処理するアニール工程を行ってもよい。アニール工程での加熱温度は、80〜200℃とすることが好ましく、90〜200℃とすることがより好ましく、100〜200℃とすることがさらに好ましい。アニール工程での加熱時間は、0.1〜1時間とすることが好ましく、0.2〜1時間とすることがより好ましく、0.3〜1時間とすることがさらに好ましい。加熱温度及び加熱時間が上記下限値以上であると、保護膜30の架橋密度をより向上させることができると共に、保護膜30と基材10との密着性をより向上させることができる。活性光線の照射量が上記上限値以下であると、硬化膜の酸耐性及び電極に対する密着性をより向上させることができる。
以上により、基材10上に保護膜30が形成されたフォースセンサ100を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、様々な変形態様が可能である。
例えば、フォースセンサは、図1及び図2に示したような基材フィルム2の一方の主面F1上にのみ電極4及び保護膜30を有する場合に限定されず、図3に示すフォースセンサ200のように、基材フィルム2の他方の主面F2上にも電極6及び保護膜40を有していてもよい。この場合、基材20において、基材フィルム2の主面F2上に形成されたひずみ受感部は、長さ方向が主面F1上に形成されたひずみ受感部5の長さ方向と直交するように設けられる。なお、電極6及び保護膜40の構成は、電極4及び保護膜30の構成と同様である。このように、基材フィルム2の両主面にひずみ受感部を設け、主面F1と主面F2とでひずみ受感部の向きを変えることにより、複数の方向のひずみを精度良く検知することができる。
本実施形態に係る保護膜及びフォースセンサは、各種電子部品に適用することができる。電子部品としては、タッチパネル、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッサンス、電子ペーパ等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[バインダーポリマー溶液の作製]
(合成例A1)
撹拌機、還流冷却機、不活性ガス導入口及び温度計を備えたフラスコに、表1に示す材料(1)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で80℃に昇温した。反応温度を80℃±2℃に保ちながら、表1に示す材料(2)を4時間かけて均一に滴下した。材料(2)の滴下後、80℃±2℃で6時間撹拌を続け、重量平均分子量が65000、酸価が78mgKOH/gのバインダーポリマーA1溶液(固形分45質量%)を得た。
(合成例A2)
合成例A1と同様の手順で、重量平均分子量が63500、酸価が114mgKOH/gのバインダーポリマーA2溶液(固形分45質量%)を得た。
Figure 2019066630
バインダーポリマーの重量平均分子量及び酸価は、以下の方法で測定したものである。
[重量平均分子量の測定方法]
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算することにより導出した。GPCの測定条件を以下に示す。
<GPC測定条件>
ポンプ:日立 L−6000型(株式会社日立製作所製、製品名)
カラム:Gelpack GL−R420、Gelpack GL−R430、Gelpack GL−R440(以上、日立化成株式会社製、製品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI(株式会社日立製作所製、製品名)
[酸価の測定方法]
酸価は、次のようにして測定した。まず、バインダーポリマーの溶液を130℃で1時間加熱し、揮発分を除去して、固形分を得た。そして、上記固形分のポリマー1gを精秤した後、このポリマーにアセトンを30g添加し、これを均一に溶解した。次いで、指示薬であるフェノールフタレインをその溶液に適量添加して、0.1NのKOH水溶液を用いて滴定を行った。そして、次式により酸価を算出した。
酸価=0.1×Vf×56.1/(Wp×I/100)
式中、VfはKOH水溶液の滴定量(mL)を示し、Wpは測定したポリマー溶液の質量(g)を示し、Iは測定したポリマー溶液中の不揮発分の割合(質量%)を示す。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
[感光性樹脂層形成用塗布液の作製]
表2に示す成分を、同表に示す配合量(単位:質量部)で配合し、攪拌機を用いて15分間混合して感光性樹脂層形成用塗布液を作製した。表2中、(A)成分の配合量は固形分の配合量を示す。なお、塗布液は、溶媒としてメチルエチルケトンを用い、固形分20〜40質量%に調整した。
Figure 2019066630
表2中の成分の記号は以下の意味を示す。
〔(A)成分〕
上述した方法で作製したバインダーポリマー溶液A1、A2を用いた。
〔(B)成分〕
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学工業株式会社製、製品名)
T−1420:ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(日本化薬株式会社製、製品名)
〔(C)成分〕
OXE−01:1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル−,2−(O−ベンゾイルオキシム)](BASFジャパン株式会社製、製品名「IRGACURE OXE 01」)
〔(D)成分〕
B6030:5−アミノ−1H−テトラゾール(千代田ケミカル株式会社製、製品名)
〔(E)成分〕
PM21:光重合性不飽和結合を含むリン酸エステル(日本化薬株式会社製、製品名)
〔その他の成分〕
AD8032:オクタメチルシクロテトラシロキサン(東レ・ダウコーニング株式会社製、製品名「ADDITIVE8032」
AW500:2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)(川口化学株式会社製、製品名)
[転写型感光性フィルムの作製]
支持フィルムとして厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、製品名:FB40)を使用し、上記で作製した感光性樹脂層形成用塗布液を支持フィルム上にコンマコーターを用いて均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で3分間乾燥して溶剤を除去し、厚さ8μmの感光性樹脂層を形成した。
保護フィルムとして厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(王子エフテックス株式会社製、製品名:E−201F)を使用し、上記で作製した感光性樹脂層上に、ラミネータ(日立化成株式会社製、製品名:HLM−3000型)を用いて、23℃で貼り合わせて、支持フィルム、感光性樹脂層及び保護フィルムがこの順で積層された転写型感光性フィルムを作製した。
[酸耐性の評価]
厚さ100μmのPETフィルムの両方の表面の全面に、厚さ0.05μmの銅ニッケル合金の層が形成された基材を用意した。上記で作製した転写型感光性フィルムの保護フィルムをはがしながら、上記基材上に、感光性樹脂層が接するようにラミネータ(日立化成株式会社製、製品名:HLM−3000型)を用いて、ロール温度100℃、基板送り速度0.4m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)4×10Paの条件でラミネートした。ラミネート後、基材を冷却し、基材の温度が23℃になった時点で、感光性樹脂層に対し、支持フィルム側から高圧水銀灯を有する露光機(株式会社オーク製作所製、製品名:EXM−1201)を用いて、80mJ/cmの露光量で光照射し(初期露光)、支持フィルムを剥離した。
初期露光後の感光性樹脂層に対し、1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、30℃で40秒間スプレー現像した。現像後の感光性樹脂層に対し、高圧水銀灯を有する露光機(株式会社オーク製作所製、製品名:EXM−1201)を用いて、500mJ/cmの露光量で光照射した(追加露光)。追加露光後のサンプルを箱型乾燥機(三菱電機株式会社製、型番:NV50−CA)を用いて140℃で30分加熱した(アニール処理)。これにより、基材の銅ニッケル合金の層上に、厚さ8μmの保護膜が形成された酸耐性評価用試料を得た。
次いで、得られた酸耐性評価用試料の保護膜上に、0.02M酢酸水溶液を0.02mL滴下し、恒温恒湿槽内にて85℃、85%RHの条件で放置し、銅ニッケル合金が腐食するまでの時間を評価した。なお、腐食するまでの時間は、目視によって電極の表面状態を確認し、滴下部の電極表面が変色した状態となるまでの時間とした。
[密着性の評価]
酸耐性の評価と同様にして、基材の銅ニッケル合金の層上に、厚さ8μmの保護膜が形成された密着性評価用試料を得た。
次いで、得られた密着性評価用試料について、JIS規格(JIS K5400)を参考に、100マスのクロスカット試験をそれぞれ2回実施した。具体的には、得られた密着性評価用試料の保護膜に、カッターナイフを用いて、1mm×1mm四方の碁盤目切れ込みを100マス入れた。その後、碁盤目部分にメンディングテープ#810(スリーエム株式会社製)を強く圧着させ、30秒後にテープの端からほぼ180°の角度の方向に素早く引き剥がした。その後、碁盤目の状態を観察し、以下の評点に従ってクロスカット密着性を評価した。評価は2回の試験の平均値を用いて行った。
5:全面積のほぼ100%が密着している。
4:全面積のうち95%以上100%未満が密着し残っている。
3:全面積のうち85%以上95%未満が密着し残っている。
2:全面積のうち65%以上85%未満が密着し残っている。
1:全面積のうち35%以上65%未満が密着し残っている。
0:全面積のうち0%以上35%未満が密着し残っている。
[透湿度の測定]
実施例及び比較例で得られた感光性フィルムの保護フィルムを剥離し、これをろ紙(アドバンテック東洋社製、No.5C、φ90mmの円形、厚み130μm)上に、ロール温度100℃、基材送り速度0.6m/分、圧着圧力(シリンダ圧力)0.5MPaの条件でラミネートした。その後、支持フィルムを剥離した。ろ紙にラミネートされた感光性樹脂層上に、新たな感光性フィルムを、保護フィルムを剥離してラミネートした。この操作を繰り返すことで、ろ紙上に感光性樹脂層が5層積層され且つ最表面に支持フィルムが積層された積層体を作製した。この積層体における感光性樹脂層の合計の厚みは40μmである。
上記積層体に対し、平行光線露光機(株式会社オーク製作所製、EXM1201)を使用して支持フィルム面垂直上より露光量0.6J/mで紫外線を照射した。
次いで、上記紫外線を照射した積層体から支持フィルムを剥離して除去し、更に積層体の垂直上より露光量1×10J/mで紫外線を照射した。これにより、ろ紙上に硬化膜が形成された透湿度測定用試料を得た。
次いで、JIS規格(Z0208、カップ法)を参考に、透湿度測定を実施した。測定カップ(φ60mm、深さ15mm、株式会社井元製作所)内に、吸湿材(20gの塩化カルシウム(無水))を入れた。上記透湿度測定用試料から直径70mmの大きさにはさみで切り取った円形試料片を用いて、上記測定カップに蓋をした。恒温恒湿槽内にて60℃、90%RHの条件で24時間放置した。放置前後の測定カップ、吸湿剤及び円形試料片の合計質量の変化から、JIS Z0208による透湿度(g/m・24h)を算出した。
[信頼性の評価]
酸耐性の評価と同様にして、基材の銅ニッケル合金の層上に、厚さ8μmの保護膜が形成された信頼性評価用試料を得た。
次いで、信頼性評価用試料を恒温恒湿槽内にて85℃、85%RHの条件で放置し、銅ニッケル合金が腐食するまでの時間を評価した。なお、腐食するまでの時間は、目視によって電極の表面状態を確認し、電極表面が一部でも変色した状態となるまでの時間とした。
2…基材フィルム、4…電極、4a…本体部、4b…配線部、4c…引き出し配線部、4d…外部接続端子部、6…電極、10,20…基材、30,40…保護膜、100,200…フォースセンサ。

Claims (13)

  1. 支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び光重合開始剤を含む感光性樹脂層と、を備える、転写型感光性フィルムであって、
    前記感光性樹脂層が、チアジアゾール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物を含有し、
    前記感光性樹脂層における前記塩基性化合物の含有量が、前記バインダーポリマー及び前記光重合性化合物の合計100質量部に対して、1.5〜5質量部であり、
    銅ニッケル合金を含む電極を備える基材の保護膜の形成に用いられる、転写型感光性フィルム。
  2. 前記塩基性化合物がアミノ基を有する、請求項1に記載の転写型感光性フィルム。
  3. 前記バインダーポリマーが100mgKOH/g以上の酸価を有する、請求項1又は2に記載の転写型感光性フィルム。
  4. 前記基材の前記電極が設けられている主面の全面積に占める前記電極の面積割合が10%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルム。
  5. 前記基材がフォースセンサを構成するものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルム。
  6. 銅ニッケル合金を含む電極を備える基材上に、前記電極の一部又は全部を被覆するように請求項1〜3のいずれか一項に記載の転写型感光性フィルムの前記感光性樹脂層をラミネートする第1工程と、
    前記基材上の前記感光性樹脂層を露光する第2工程と、
    を備える、保護膜の形成方法。
  7. 前記第2工程において、前記基材上の前記感光性樹脂層の所定部分を露光し、露光した前記感光性樹脂層の前記所定部分以外を除去する、請求項4に記載の保護膜の形成方法。
  8. 前記基材の前記電極が設けられている主面の全面積に占める前記電極の面積割合が10%以上である、請求項6又は7に記載の保護膜の形成方法。
  9. 前記基材がフォースセンサを構成するものである、請求項6〜8のいずれか一項に記載の保護膜の形成方法。
  10. 銅ニッケル合金を含む電極を備える基材と、前記基材上に設けられ、前記電極の一部又は全部を被覆する保護膜とを備え、前記保護膜が感光性樹脂層の硬化物を含み、前記感光性樹脂層が、バインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物及び光重合開始剤と、チアジアゾール化合物、ピラゾール化合物、イミダゾール化合物、トリアゾール化合物及びテトラゾール化合物からなる群より選択される少なくとも1種の塩基性化合物とを含有し、前記感光性樹脂層における前記塩基性化合物の含有量が、バインダーポリマー及び光重合性化合物の合計100質量部に対して、1.5〜5質量部である、フォースセンサ。
  11. 前記塩基性化合物がアミノ基を有する、請求項10に記載のフォースセンサ。
  12. 前記バインダーポリマーが100mgKOH/g以上の酸価を有する、請求項10又は11に記載のフォースセンサ。
  13. 前記基材の前記電極が設けられている主面の全面積に占める前記電極の面積割合が10%以上である、請求項10〜12のいずれか一項に記載のフォースセンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023219090A1 (ja) * 2022-05-11 2023-11-16 株式会社クレハ 積層圧電フィルム、デバイス、及び積層圧電フィルムの製造方法

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