JP2019065213A - 発泡体基材粘着テープ、物品及び電子機器 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、大型の画像表示装置等には、大型の有機ELや液晶表示パネルが搭載されている。有機EL表示パネルは、発光する有機層と電極および基板から構成されており、従来の液晶表示パネルに比べても構造の薄型化が可能となる。これら表示パネルは、背面に配置される電子基盤や筐体とはフレーム状の部材を介して固定される場合が多いが、表示パネルの薄型化技術が進歩することで表示パネルの歪みによる表示ムラが生じ易くなる。このため、表示パネルの支持体となるフラットな構造部材を設置することが必要となる場合がある。
また、前記粘着テープ等としては、例えば特定の製造方法で得られたポリウレタン発泡体の片面に樹脂フィルム層を有し、前記樹脂フィルム層の表面に粘着剤層を有することを特徴とする粘着テープが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、いずれの粘着テープにおいても表示パネルの歪みの抑制と接着性を両立するものではなかった。
特許文献3及び特許文献4では、いずれの粘着テープにおいてもせん断方向への優れた保持力が発揮できることが確認されている。一方、20°傾いた状態での長期使用を想定する場合にはせん断方向の保持力とは異なる応力が粘着テープには負荷される。即ち、20°に傾いた表示パネルが粘着テープに与える荷重は、粘着テープの上部先端での剥がれ応力として集中することを考慮しなければならない。従って、特許文献3及び特許文献4はいずれも前記20°傾け使用時にも表示パネルの位置ずれや落下を防止するための接着性を有しているとは言えず、解決が望まれていた。
即ち、本発明は、発泡体基材の少なくとも一面にアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープであり、前記粘着剤の80℃貯蔵弾性率が4.0×104〜1.5×105であり、前記発泡体基材の25%圧縮強度が1.0〜100.0kPaである粘着テープを提供するものである。
本発明の粘着テープにおける発泡体基材は、粘着テープの基材(中芯)の一部を構成するものである。前記発泡体基材としては、表示パネルの歪みを抑制するためのスペーサーとしての役割を果たすことで表示パネルの歪みを抑制する上で、25%圧縮強度が1.0kPa〜100.0kPaであるものを使用するが、3.0kPa〜80.0kPaであるものを使用することがより好ましく、6.0kPa〜60.0kPaであるものを使用することが更に好ましく、10.0kPa〜40.0kPaであるものを使用することがよりいっそう好ましい。25%圧縮強度が上記範囲となることで、粘着テープに表示パネルの歪みを抑制するための良好な柔軟性と反発性が得られる。なお、前記25%圧縮強さはJISK6254に準じて測定した値を指す。具体的には、温度23℃及び湿度50%RHの雰囲気下で、直径50mmの円形状に裁断した発泡体基材を試験装置に設置し、先端に直径50mmの円形の底面を有する治具を装着したロードセルで速度1mm/分で発泡体基材を圧縮し、元の発泡体基材の厚さの25%の厚さ分に圧縮させた際の強度を測定する。測定した強度を発泡体基材の断面積で除して得られる値である。
[{(前記圧縮前の発泡体基材の厚さ)−(前記圧縮後の発泡体基材の厚さ)}/(前記圧縮前の発泡体基材の厚さ)]×100
によって算出する。
また、前記発泡体基材の製造方法としては、前記原料を、本発明の粘着テープを構成する樹脂フィルムの片面に塗布し加熱硬化等させる方法を採用することが、本発明の粘着テープの生産効率を格段に向上させるうえで好ましい。
また、前記ポリオールとしては、3官能ポリエーテルポリオールエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の短鎖ジオール等を、適宜選択し使用することもできる。
前記ウレタン原料としては、必要に応じて触媒を含有するものを使用することができる。
前記触媒は、前記ポリオール100質量部に対して、0.05質量部〜2.0質量部の範囲で使用することが好ましく、0.05質量部〜1.0質量部の範囲で使用することがより好ましい。
前記整泡剤としては、例えばシリコーン系整泡剤を使用することができ、具体的には、ジメチルシロキサン、ポリエーテルジメチルシロキサン、フェニルメチルシロキサン等を使用することができる。なかでも、シリコーン系整泡剤としては、ポリエーテルジメチルシロキサンを使用することが好ましく、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとのブロック共重合体を使用することがより好ましい。
前記整泡剤は、前記ポリオール100質量部に対して、2質量部〜10質量部の範囲で使用することが好ましく、3質量部〜8質量部の範囲で使用することがより好ましい。
本発明の粘着テープは、前記発泡体層に加えて樹脂フィルム層を有しても良い。
本発明の粘着テープに樹脂フィルム層を構成する場合について説明する。本発明の粘着テープは、それを前記表示パネルの固定用として使用する場合、5mm程度の細幅で、50cm程度の長さに裁断され使用される場合がある。本発明の粘着テープは、前記樹脂フィルム層を有することで、その長さ方向及び幅方向への寸法安定性に優れるため、前記したような細幅に裁断された状態で使用する場合であっても、ポリウレタン発泡体の長さ方向または幅方向への伸びに起因した貼付作業性の低下や、その裁断作業性等の低下を防止することができる。また、本発明の粘着テープを適用する電子機器や表示パネルのリサイクルを行う際などには、粘着テープを剥がして部材の回収を行う。この際、前記樹脂フィルム層を備えた粘着テープとしておくことで、粘着テープを剥がす工程において、発泡体の破壊が生じた場合にも強度の高い樹脂フィルム層があることで被着体から粘着テープをはがしやすくなる。
また、前記樹脂フィルムとしては、顔料や染料等の着色成分を含有するものを使用することができる。
本発明の粘着テープを構成する粘着剤層は、前記発泡体基材の少なくとも片面、好ましくは両面に積層して設けられる。また、本発明の粘着テープに前記樹脂フィルム層を設ける場合には、発泡体基材と樹脂フィルム層を積層して設けた後、粘着剤層を発泡体基材の表面または樹脂フィルム層の表面または、発泡体基材と樹脂フィルム層それぞれの表面に設けられる。
本発明におけるせん断貯蔵弾性率G’と損失正接tanδは、5mm厚にまで重ね合わせ粘着剤を試験片とし、レオメトリックス社製粘弾性試験機アレス2kSTDに直径7.9mmのパラレルプレートを装着し、試験片を挟み込み周波数1Hzで測定した値である。
(GPCの測定条件)
・サンプル濃度:0.5質量%(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:100μL
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0mL/min
・カラム温度(測定温度):40℃
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel GMHHR−H」
・検出器:示差屈折
本発明の粘着テープの実施形態としては、例えば発泡体の片面または両面に、直接または他の層を介して粘着剤層を積層したものを基本構成とする。
また、本発明の粘着テープを構成する粘着剤層には、前記粘着剤層の保護のため剥離ライナーが積層されていてもよい。
ポリウレタン製の発泡体1の片面にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が積層された複合基材1(発泡体1層:厚さ850μm、密度320kg/m3、PETフィルム:厚さ50μm)を用意した。
前記粘着剤層Aを、前記複合基材1を構成する発泡体1側とPETフィルム側の両面に転写し、ラミネートロールを通すことで4kgf/cmの圧力で圧着させた。それを、40℃のオーブン内で2日間エージングすることによって、本発明の粘着テープを得た。前記粘着テープを構成する粘着剤層Aのゲル分率は70質量%であった。
なお、粘着剤層のゲル分率は、下記に示す方法で測定した。
次に、上記試料の質量(G1)を測定した後、前記試料をトルエン溶液中に23℃で24時間浸漬した。前記浸漬後の試料のトルエン不溶解分を300メッシュ金網で濾過することにより分離し、110℃で1時間乾燥した後の残渣の質量(G2)を測定し、以下の式に従ってゲル分率を求めた。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート87.0質量部、シクロヘキシルアクリレート10.0質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.0質量部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを、酢酸エチルで溶解し、それらを80℃で8時間重合させることによって、重量平均分子量90万のアクリル共重合体溶液2を得た。
前記粘着剤層Bを、前記複合基材1を構成する発泡体1側とPETフィルム側の両面に転写し、ラミネートロールを通すことで4kgf/cmの圧力で圧着させた。それを、40℃のオーブン内で2日間エージングすることによって、本発明の粘着テープを得た。前記粘着テープを構成する粘着剤層Bのゲル分率は55質量%であった。
ポリウレタン製の発泡体2の片面にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が積層された複合基材2(発泡体2層:厚さ850μm、密度320kg/m3、PETフィルム:厚さ50μm)を用意した。
前記複合基材1の代わりに、前記複合基材2を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。
ポリウレタン製の発泡体3の片面にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が積層された複合基材3(発泡体3層:厚さ850μm、密度480kg/m3、PETフィルム:厚さ50μm)を用意した。
前記複合基材1の代わりに、前記複合基材3を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。
発泡体1層の厚みを1450μmとした以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。
発泡体1層の厚みを350μmとした以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。
ポリエチレンテレフタレートフィルムを設けなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。
ポリウレタン製の発泡体4の片面にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が積層された複合基材4(発泡体4層:厚さ850μm、密度150kg/m3、PETフィルム:厚さ50μm)を用意した。
前記複合基材1の代わりに、前記複合基材4を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート 75.94質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、シクロヘキシルアクリレート15質量部、アクリル酸4質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.06質量部、及び、酢酸エチル200質量部を仕込み、攪拌下、窒素を吹き込みながら65℃まで昇温させた。次に、前記混合物に、予め酢酸エチルに溶解した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル溶液4質量部(固形分2.5質量%)を添加し、攪拌下、65℃で10時間ホールドした。次に、前記混合物を酢酸エチル98質量部で希釈し、200メッシュ金網でろ過することによって、重量平均分子量160万のアクリル共重合体溶液3を得た。次に、前記アクリル共重合体溶液3の100質量部に対して、重合ロジンエステル系粘着付与樹脂D−125(荒川化学工業株式会社)5質量部と石油系粘着付与樹脂FTR6125(三井化学株式会社製)15質量部とを混合攪拌したのち、酢酸エチルを加えることによって固形分31%の粘着剤溶液を得た。
前記粘着剤層Bを、前記複合基材1を構成する発泡体1側とPETフィルム側の両面に転写し、ラミネートロールを通すことで4kgf/cmの圧力で圧着させた。それを、40℃のオーブン内で2日間エージングすることによって、本発明の粘着テープを得た。前記粘着テープを構成する粘着剤層Cのゲル分率は55質量%であった。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、ブチルアクリレート93.4質量部、酢酸ビニル3.0質量部、アクリル酸2.5質量部、N-ビニルピロリドリン1.0質量部、β-ヒドロキシエチルアクリレート0.1質量部のモノマー100質量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチル100質量部に溶解し、80℃で8時間重合して、重量平均分子量70万のアクリル共重合体溶液4を得た。
前記アクリル共重合体溶液4の固形分100質量部に対し、ロジンエステル系樹脂A−100(荒川化学社製)を15部、重合ロジンエステル系樹脂D−135(荒川化学社製)を15部添加し、トルエンで希釈混合し固形分40%の粘着剤溶液を得た。
前記粘着剤層Bを、前記複合基材1を構成する発泡体1側とPETフィルム側の両面に転写し、ラミネートロールを通すことで4kgf/cmの圧力で圧着させた。それを、40℃のオーブン内で2日間エージングすることによって、本発明の粘着テープを得た。前記粘着テープを構成する粘着剤層Cのゲル分率は40質量%であった。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下漏斗及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、2−エチルヘキシリアクリレート80.0質量部、酢酸ビニル3.0質量部、アクリル酸2.5質量部と重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2質量部とを酢酸エチルに溶解し、80℃で8時間重合して、重量平均分子量90万のアクリル共重合体溶液5を得た。
前記粘着剤層Bを、前記複合基材1を構成する発泡体1側とPETフィルム側の両面に転写し、ラミネートロールを通すことで4kgf/cmの圧力で圧着させた。それを、40℃のオーブン内で2日間エージングすることによって、本発明の粘着テープを得た。前記粘着テープを構成する粘着剤層Cのゲル分率は91質量%であった。
ポリウレタン製の発泡体4の片面にポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が積層された複合基材5(発泡体5層:厚さ850μm、密度320kg/m3、PETフィルム:厚さ50μm)を用意した。
前記複合基材1の代わりに、前記複合基材5を使用すること以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。
発泡体基材及び前記発泡体基材の片面にPETフィルムが積層された基材の25%圧縮強さは、JISK6254に準じて測定した。具体的には、温度23℃及び湿度50%RHの雰囲気下で、直径50mmの円形状に裁断した発泡体等を試験装置に設置し、先端に直径50mmの円形の底面を有する治具を装着したロードセルで速度1mm/分で発泡体基材等を圧縮し、元の発泡体基材等の厚さの25%の厚さ分を圧縮させた際の強度を測定する。測定した強度を発泡体基材等の断面積で除して求めた。
前記粘着テープの製造に使用した発泡体基材及び前記発泡体基材の片面にPETフィルムが積層された基材の圧縮残留歪みは、JISK6401に準じて測定した。具体的には、発泡体基材等の厚さを測定した後、発泡体基材等を治具に挟み、50%の厚さになるまで圧縮させ、70℃雰囲気下に22時間放置した。
[{(前記圧縮前の発泡体基材等の厚さ)−(前記圧縮後の発泡体基材等の厚さ)}/(前記圧縮前の発泡体基材等の厚さ)]×100
本発明におけるせん断貯蔵弾性率G’は、2mm厚にまで重ね合わせ粘着剤を試験片とし、レオメトリックス社製粘弾性試験機アレス2kSTDに直径7.9mmのパラレルプレートを装着し、試験片を挟み込み周波数1Hzで測定した値である。
160mm×120mm×2mmのガラス板に、長さ160mm×幅10mm×深さ0.05mmの溝を作成した。ガラス板の溝付き面に粘着テープを貼付し、もう一方の粘着面に厚さ1mmの塩化ビニル板を貼付し、2kgローラーで1往復圧着したサンプルを作成した。サンプルの塩化ビニル板面が上になるように水平な台に置き、塩化ビニル面に映りこむ蛍光灯の歪み程度を目視で評価した。
映りこんだ蛍光灯に波打ち状の歪みがあることが確認できる。
○:塩化ビニル面に対して45°以下の角度から目視観察した場合に、
映りこんだ蛍光灯に波打ち状の歪みがあることが確認できる。
△:塩化ビニル面に対して75°以下の角度で目視観察した場合に、
映りこんだ蛍光灯に波打ち状の歪みがあることが確認できる。
×:塩化ビニル面に対して90°〜75°の角度で目視観察した場合にも、
映りこんだ蛍光灯に波打ち状の歪みがあることが確認できる。
厚さ0.4mmのアルミ板で裏打ちした前記粘着テープ(サイズ:25mm×25mm)を作成し、もう一方の粘着面を厚さ1.0mmのガラス板に貼付した。前記ガラス板をアルミ付き粘着テープが下となるように20°傾け、アルミ板の中央に荷重150gをかけ、80°環境下に放置した。落下するまでの時間を測定した。300時間以上経過しても粘着テープが落下しなかった場合に○、150時間以上300時間未満で粘着テープが落下した場合を△、150時間以前に落下した場合に×と表記した。
Claims (6)
- 発泡体基材の少なくとも一面にアクリル系粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する粘着テープであり、前記粘着剤の80℃でのせん断貯蔵弾性率G’が4.0×104〜1.5×105Paであり、前記発泡体基材の25%圧縮強度が1.0〜100.0kPaである粘着テープ。
- 前記粘着剤のゲル分率が25質量%〜85質量%である請求項1記載の粘着テープ。
- 前記発泡体基材の圧縮残留歪が10%以下である請求項1又2に記載の粘着テープ。
- 前記発泡体基材の密度が100〜1000kg/m3である請求項1〜3の何れか1項に記載の粘着テープ。
- 樹脂フィルム層を更に有する請求項1〜4の何れか1項に記載の粘着テープ。
- 請求項1〜5記載の粘着テープを使用した電子機器。
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