JP2019064888A - 磁性材料、および積層チップ部品 - Google Patents

磁性材料、および積層チップ部品 Download PDF

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Masayuki Inagaki
正幸 稲垣
清人 小野
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Abstract

【課題】低温焼成が可能であるとともに、高い周波数領域でも使用可能で、かつ高い磁気特性を備えた磁性材料を提供する。
【解決手段】フェライトからなる主成分に副成分が添加されてなる磁性材料であって、主成分は、amol%のFeと、bmol%のZnOと、cmol%のCuOと、dmol%のNiOとを含み、副成分は、主成分に対して、ewt%のCoOと、fwt%のZrOと、gwt%のBiとが添加されているとともに、BaあるいはSrがBaCOあるいはSrCO換算でxwt%添加され、a+b+c+d=100、40≦a≦45、0<b≦10、0<c≦15、0<e≦1.0、0<f≦0.5、0<g≦0.5、0<x≦0.3である。
【選択図】なし

Description

本発明は磁性材料、および積層チップ部品に関する。
積層インダクタなどの積層チップ部品には、電気絶縁性の磁性層と、電極パターンが形成された電極層とが層状に積層された構造を有するものがある。この種の積層チップ部品は、厚膜技術を用いて磁性層となるペースト状の磁性材料からなるシート上に電極層となる電極パターンが形成されたものを順次積層して得た積層体を焼成し、その焼成によって得られた焼結体の表面に外部電極用ペーストを形成することで製造される。また、電極パターンを形成する導電体には、融点が962℃のAg(銀)を用いるのが一般的であるため、磁性層には、低温での焼成が可能なNi系フェライト(Ni−Zn系、Ni−Zn−Cu系など)を主成分とした磁性材料が用いられる。なお、以下の特許文献1などには、本発明に関連する技術として、高周波領域でもコアロス(損失)が少ない磁性材料について記載されている。
特開平10―256024号公報
電子機器を構成する電子部品には、より高い周波数で動作することが求められている。したがって、積層インダクタなどの積層チップ部品の磁性層には、高周波領域でも磁気損失(コアロス)が低い磁性材料を用いる必要がある。例えば、周知のスネーク(Snoek)の限界を考慮しながら磁性材料の高周波領域でのコアロスを低減させるために、磁性材料中のFe(鉄)の量を少なくして、透磁率μを小さくすることが考えられる。もちろん、磁性材料には、高周波領域でも使用できるようにしつつ、磁気特性や磁気損失(コアロス)などが劣化しないようにすることも求められている。そして、上記特許文献1に記載の磁性材料では、高周波領域においてコアロスを低くするためにCoが添加されている。
しかし、磁性材料は、Coを添加すると焼結性が悪化し、積層チップ部品の導体パターンに使用されているAgの融点以下で焼成することが困難となる。そして、特許文献1に記載の磁性材料では1000℃〜1130℃の温度で焼成することで焼結体にしている。
そこで本発明は、低温焼成が可能であるとともに、高い周波数領域でも使用可能で、かつ高い磁気特性を備えた磁性材料、およびその磁性材料を用いた積層チップ部品を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、フェライトからなる主成分に副成分が添加されてなる磁性材料であって、
前記主成分は、amol%のFeと、bmol%のZnOと、cmol%のCuOと、dmol%のNiOとを含み、
前記副成分は、前記主成分に対して、ewt%のCoOと、fwt%のZrOと、gwt%のBiとが添加されているとともに、BaあるいはSrがBaCOあるいはSrCO換算でxwt%添加され、
a+b+c+d=100、
40≦a≦45、
0<b≦10、
0<c≦15、
0<e≦1.0
0<f≦0.5、
0<g≦0.5、
0<x≦0.3
であることを特徴としている。
また、本発明のその他の態様は、電気絶縁性の磁性層と、導電体からなる電極パターンが形成された電極層とが層状に積層されてなる積層チップ部品であって、
前記磁性層は、磁性材料からなる焼結体であり、
前記導電体は銀であり、
前記磁性材料は、フェライトからなる主成分に副成分が添加されてなり、
前記主成分は、amol%のFeと、bmol%のZnOと、cmol%のCuOと、dmol%のNiOとを含み、
前記副成分は、前記主成分に対して、ewt%のCoOと、fwt%のZrOと、gwt%のBiとが添加されているとともに、BaあるいはSrがBaCOあるいはSrCO換算でxwt%添加され、
a+b+c+d=100、
40≦a≦45、
0<b≦10、
0<c≦15、
0<e≦1.0、
0<f≦0.5、
0<g≦0.5、
0<x≦0.3
であることを特徴としている。
本発明によれば、低温焼成が可能であるとともに、高い周波数領域でも使用可能で、かつ高い磁気特性を備えた磁性材料と積層チップ部品が提供される。なお、その他の効果については以下の記載で明らかにする。
本発明の実施例に係る磁性材料の特性を評価するためのサンプルの作製手順を示す図である。
===実施例===
積層チップ部品の磁性層に用いられる磁性材料には、十分な飽和磁束密度Bmと保磁力Hcを有する高い磁気特性と、高周波領域での使用を可能にする高周波特性とが求められている。飽和磁束密度Bmを大きくするためには、磁性材料中のFeの量をFe換算で50mol%に近づける方がよいとされる。また、Coを添加することで高周波特性が向上する。しかし、Coは、磁性材料の焼結性を悪化させることから、Coを多量に添加することができない。そして、Coが過剰に添加されつつFeの量が50mol%程度の磁性材料では、僅かな焼成温度の変動に対して焼結性が大きく変動する可能性がある。
そこで、Ni系フェライトにCoが添加されてなる磁性材料の焼結性を改善するために、その磁性材料にBiを添加することが考えられる。ところが、Biの量を多くすると、磁気特性が劣化してしまうことが判明した。例えば、焼結後の結晶粒が大きくなり、渦電流損失が増大したり、コアロスが大きくなったりする。したがって、低温焼成が可能で、高い磁気特性を備え、高周波領域でも使用可能な磁性材料を得るためには、必要最小限のBiを添加しつつ、組成を適切なものにする必要がある。そして、本発明の実施例に係る磁性材料は、Fe、Zn、Ni、Cuを含むNi系フェライトを主成分としつつ、副成分としてCoとBiの他にBaおよびSrが添加されてなり、主成分を構成する各元素の割合と、副成分を構成する各元素の添加量が適切に設定されている。それによって、低温で焼成しても緻密性が高く十分な密度を有し、かつ高周波領域における損失特性の劣化が抑制されて、高周波領域での使用が可能なものとなっている。
===基本的な組成===
本発明の実施例に係る磁性材料について、まず、基本となる組成を規定し、その上で、主成分に含まれる各元素の割合の適正な数値範囲や、副成分に含まれる添加剤の適正な添加量の範囲を規定することとした。そこで、まず、基本となる組成を規定するために、Ni系フェライトの組成を一定にしつつ、副成分となる添加剤の種類や添加剤の量が異なる種々の磁性材料を作製した。そして、その磁性材料を焼成してなる焼結体をサンプルとした。
図1に、サンプルの作製手順を示した。まず主成分であるNi系フェライトの原料となるFe、ZnO、CuO、NiOを秤量、混合する(s1)。秤量に際してはFeを41mol%、ZnOを2mol%、NiOを48mol%、CuOを9mol%とした。そして、これらの主成分の原料を、ボールミルなどを用いて混合した。なお、以下の記載において、主成分に含まれるFe、Ni、Zn、およびCuの各元素の割合(mol%)が示されている場合、Fe、Ni、Zn、およびCuの割合は、それぞれ、Fe、NiO、ZnO、CuOで換算しているものとする。
次に、上記主成分の原料の混合物を750℃で仮焼成した(s2)。さらに、仮焼成によって得られた粉体をボールミルにてさらに30時間粉砕し(s3)、その粉砕後の粉体に対し、副成分となる各種添加剤をサンプルに応じた量だけ添加した(s4)。ここでは、ZrO、Bi、CoO、Bの他に、アルカリ土類金属であるBaやSrを含む化合物を副成分として添加した。BaやSrを含む化合物としては、酸化物(BaO、SrO)や炭酸化合物(BaCO、SrCO)を用いることができる。なお、以下の記載において、副成分に含まれるZr、Bi、Co、B、Ba、およびSrの添加量(wt%)が示されている場合、Zr、Bi、Co、B、Ba、およびSrの添加量は、それぞれ、ZrO、Bi、CoO、B、BaCO、SrCOで換算しているものとする。
次に、仮焼成後の主成分の原料に副成分が添加された粉体材料にPVA水溶液などのバインダーを加えて適宜な大きさの粒子径となるように造粒する(s5)。そして、その造粒物を所定の形状に成形する。ここでは、外径25mm、内径15mm、厚さ5mmのリング状に成形した(s6)。そして、そのリング状の成形体をAgの融点以下である900℃で焼成し(s7)、サンプルとなるリングコアを得た。
上記の手順によって作製したサンプルに対し、物理的特性として、焼成前の体積V1と焼成後の体積V2を測定し、焼成前後の体積比V1/V2を収縮率として求めた。また、サンプルの密度ρ(g/cm)を測定した。なお、収縮率は数値が大きいほど焼結体が緻密であることを表している。さらに、各サンプルの各種磁気特性を周知のBHアナライザを用いて測定した。磁気特性としては、周波数1MHzにおける比透磁率μ’、飽和磁束密度Bm(mT)、サンプルを4000A/mの磁界強度で磁化させた際の残留磁界強度(以下、保磁力とも言う)Hc(A/m)、およびコアロスPcv(kW/m)を測定した。なお、コアロスPcvは、各サンプルを所定の巻線数(例えば巻線数3)のトロイダルリングコアにした状態で測定した。そして、測定時の最大磁気飽和密度Bmを20mTとし、1MHzの周波数にてコアロスPcv測定した。また、参考までに各サンプルの共振周波数fr(MHz)も測定した。
以下の表1に各サンプルの副成分の組成と、物理的特性および磁気特性とを示した。
Figure 2019064888
表1において、サンプル1は、従来からある磁性材料を用いて作製されたものであり、その磁性材料は、Fe、Ni、Zn、Cuを含むNi系フェライトを主成分とし、副成分としてCo、ZrおよびBiが含まれている。そして、以下では、このサンプル1の特性を基準にして、他のサンプルの特性の良否を判定することとする。
サンプル2に用いた磁性材料は、Biがサンプル1に対して0.2wt%減量されている。また、Biの減量分が0.2wt%の添加量のBで補填されている。また、サンプル5は、サンプル1に用いた磁性材料に対してBが0.2wt%添加された磁性材料を用いて作製されたものである。そして、Bは、磁性材料の焼成温度を下げるための添加剤としてよく使われている。
サンプル3、4、6、7は、本発明の実施例に係る磁性材料を用いて作製されたものであり、Bを用いずに基準となるサンプル1に対して特性を改善したものである。すなわち、サンプル3、4、6、7は、サンプル2に含まれているBを他の元素で置換しても、サンプル1に対して特性を改善することが可能であることを示すものである。そして、従来の磁性材料に用いられていたBを他の元素に置換できることが分かれば、例えば、磁性材料中のBの起源となる原料の調達が困難になった場合でも、BaやSrを含む化合物を用いて従来の磁性材料と同等かそれ以上の特性を備えた磁性材料を提供することが可能となる。なお、サンプル3および4に用いた磁性材料は、Biがサンプル1に対して0.2wt%減量されているとともに、Biの減量分が0.2wt%の添加量のBaおよびSrで補填されている。また、サンプル6および7に用いた磁性材料は、サンプル1に対し、BaおよびSrが0.2wt%添加されている。
表1に示したように、基準となるサンプル1に対し、Biの一部と置換するように、あるいはBiに追加するようにB、Ba、Srを添加した磁性材料を用いて作製されたサンプル2〜7は、焼結性に関わる収縮率や密度ρが同等であった。そして、サンプル2〜7は、サンプル1と同様に密度ρが5以上であり、十分に緻密であると言える。また、サンプル2〜7の比透磁率μ’は、サンプル1に対して若干大きくなったものの、飽和磁気強度Bmと保持力Hcは、同等以上となった。すなわち、比透磁率μ’を低くせずに高い磁気特性を維持することができた。そして、コアロスPcvは、サンプル1よりも低減した。特に、Biの一部をB、Ba、Srに置換したサンプル2〜4では、コアロスが大きく低減し、高周波特性に優れたものとなった。以上より、Ni、Zn、Cuを含むNi系フェライトを主成分とするとともに、副成分としてBiに加え、アルカリ土類金属であるBa、Srが添加された磁性材料は、低温焼成が可能で、実用的な高い磁気特性を備え、1MHzの高周波領域でもコアロスが低いものとなることが分かった。そして、BをBaやSrで代替できることも分かった。
===副成分の組成===
表1に示したサンプル1〜7のうち、実施例に係る磁性材料に対応するサンプル3、4、6、7の特性を比較すると、磁気特性(Bm、Hc)は同等であったものの、コアロスPcv特性については、Srを含むサンプル4やサンプル7の方が、Baを含むサンプル3や6よりも優れていた。そこで、サンプル3、4、6、7のうち、コアロスPcvが最も高かったサンプル6の組成を敢えて基準の組成として採用した。そして、基準の組成に対し、主成分の組成を変えずに副成分の組成を変えたサンプルを作製し、各サンプルの磁気特性を測定した。
以下の表2に各サンプルにおける副成分の組成と磁気特性とを示した。
Figure 2019064888
表2では、サンプル6に加え、表1に示したサンプル1、7の磁気特性も示した。また、表2では、1MHzでの比透磁率μ’の他に、BHアナライザにて測定した周波数と比透磁率μ’との関係において、最も高い比透磁率μ’を示したときの周波数(MHz)をμ’ピークとして示した。そして、磁性材料は、このμ’ピークが高いほど、より高い周波数での使用が可能なものとなる。
表2において、サンプル8は、特性評価の基準となるサンプル1に対し、BaやSrと同じアルカリ土類金属に属するCaがCaCO換算で0.2wt%添加されている。しかしながら、そのサンプル8の磁気特性は、同じ添加量のBaやSrが含まれるサンプル6や7、さらには特性の良否判断の基準となるサンプル1の飽和磁束密度Bmよりも低かった。したがって、磁気特性を向上させるために副成分として含ませるアルカリ土類金属は、BaあるいはSrである必要がある。
サンプル9〜15は、サンプル6に対して所定の副成分が添加されていなかったり、所定の副成分の添加量が異なっていたりする。サンプル9は、サンプル6に対してBaの添加量を0.4wt%に増量したサンプルであり、サンプル1よりも飽和磁束密度Bmが1割程度劣化した。また、μ’ピークの周波数がサンプル1よりも僅かに低下した。
サンプル10は、サンプル6に対してCoが含まれていないサンプルであり、サンプル11は、Coの添加量がサンプル6の0.7wt%に対して1.1wt%に増量されている。そして、サンプル10では、保磁力Hcとμ’ピークの周波数がサンプル1に対して大きく劣化した。サンプル11では、μ’ピークの周波数がサンプル1に対して100MHz以上高かったものの、飽和磁束密度Bmがサンプル1に対して劣化した。
サンプル12は、サンプル6の組成に対してZrが添加されていないサンプルであり、サンプル13は、Zrの添加量がサンプル6の0.5wt%に対して0.6wt%に増量されている。そして、サンプル12では、μ’ピークの周波数がサンプル1よりも僅かに低かった。一方、Zrの添加量を増量したサンプル13では、飽和磁束密度Bmと保磁力Hcがサンプル1に対して低下した。
サンプル14は、サンプル6の組成に対してBiが添加されていないサンプルであり、サンプル15は、Biの添加量がサンプル6の0.5wt%に対して0.6wt%に増量されている。そして、サンプル14では、μ’ピークの周波数がサンプル1よりも若干低下したが、飽和磁束密度Bmと保磁力Hcは、サンプル1よりも大きかった。Biの添加量を増量したサンプル15では、μ’ピークの周波数がサンプル1よりも僅かに低く、飽和磁束密度Bmと保磁力Hcがサンプル1に対して低下した。
以上、表2に示したサンプル8〜15の特性から、特性評価の基準となるサンプル1に対して特性を向上させるためには、副成分としてCo、Zr、Bi、Baを必ず含ませるとともに、Co、Zr、Bi、Baの添加量を適正値に設定することである。そして、Co、Zr、Bi、Baの添加量の適正値は、それぞれ、主成分に対して1.0wt%以下、0.5wt%以下、0.5wt%以下、0.3wt%以下となる。なお、本発明の実施例に係る磁性材料は、Coと、Zrと、Biと、BaあるいはSrとが添加されているものである。そして、表1において、Srを添加した磁性材料を用いたサンプル4および7は、Baを添加した磁性材料を用いたサンプル3および6の特性よりも大きく優れていた。したがって、表2に基づいて特定したBaの添加量の適正値をSrの添加量の適正値として採用した磁性材料を用いたサンプルは、サンプル1よりも特性が優れているものと考えることができる。
===主成分の組成===
本発明の実施例に係る磁性材料は、Ni系フェライトを主成分としている。Ni系フェライトは、Fe、Zn、Cuが所定の割合で含まれ、残部がNiとなる。Ni系フェライトは、80mol%以上がFeとNiとで占められ、Fe、Zn、Cuの割合によって特性が大きく変化する。例えば、Ni系フェライトは、Feの割合が不足していれば飽和磁束密度Bmが低下し、過剰であれば保磁力Hcが低下する。そのため、Ni系フェライトの磁気特性や周波数特性を向上させるためには、Feの割合を適切に設定するとともに、ZnとCuを適切な割合で含ませる必要がある。
そこで、次に、表1や表2に示したサンプル6の組成を基準とし、このサンプル6に対して主成分の組成を変えたサンプルを作製した。そして、各サンプルの磁気特性を測定することで適切な主成分の組成を求めた。
以下の表3に作製したサンプルの組成を示した。
Figure 2019064888
表3には、副成分の組成をサンプル6と同様としつつ、主成分であるNi系フェライト中のFe、Zn、Cuの割合が異なるサンプル16〜19が示されている。表3に示したように、サンプル16は、主成分であるNi系フェライト中のFeの割合が39mol%で、サンプル6のFeの割合よりも少なく、サンプル17はFeの割合が46mol%サンプル6のFeの割合よりも多い。サンプル17は、サンプル6に対してZnの割合を過剰にしており、サンプル18は、サンプル6に対してCuの割合を多くしている。
以下の表4にサンプル16〜18の磁気特性および周波数特性を示した。
Figure 2019064888
表4では、特性を評価するための基準となるサンプル1と、基準となる組成を有するサンプル6の特性も示されている。表4に示したように、主成分中のFeの割合が少ないサンプル16では、飽和磁束密度Bmがサンプル1よりも低く、Feの割合が多いサンプル17では、保磁力Hcが低下した。また、μ’ピークの周波数もサンプル1に対して5%程度低下した。Znの割合を多くしたサンプル19では、飽和磁束密度Bmと保磁力Hcがサンプル1よりも低下し、特に飽和磁束密度Bmが大きく劣化した。
以上より、本発明の実施例に係る磁性材料の主成分は、Fe、Zn、Cuを所定の割合で含むとともに残部をNiとしたNi系フェライトであり、Feの割合が40mol%以上45mol%以下であり、Znの割合が10mol%以下であり、Cuの割合が15mol%以下である。
===作用と効果===
本発明の実施例に係る磁性材料は、主成分であるNi系フェライト中の各組成の割合と、副成分となる各種添加剤の添加量が適正化されて、低温焼成が可能で、当該磁性体を焼成することで得られる焼結体は、従来と同等かより優れた磁気特性を有するとともに、高周波領域での使用が可能なものとなっている。このような実施例に係る磁性材料の効果については、例えば、以下の作用によるものと考えることができる。
まず、実施例に係る磁性材料では、Ni系フェライトにCoが添加されて高周波領域まで使用することが可能となっている。しかし、Coは焼結性を損なうことから、実施例に係る磁性材料ではBiが添加されて焼結性が改善される。また、比透磁率μ’も改善される。ところが、Biは、結晶成長を増加させて渦電流損失や高周波特性の劣化の原因となることから、実施例に係る磁性材料ではZrOが添加されている。それによって、焼結体中の粒界にZrが析出しやすくなり、粒成長が抑制され、磁気特性に悪影響をおよぼす大きな磁歪などが発生し難くなっている。
また、表2に示した各サンプルの特性から、BiやZrOは、過剰に添加すると、磁気特性を劣化させる原因になり得ることから、本実施例の磁性材料では、BiやZrOの添加量を必要最小限としつつ、磁気特性を維持、あるいは向上させるためにBaやSrが適量添加されている。BaやSrは、価数が3のBiとは異なり、価数が2のアルカリ土類金属であり、主成分において磁気特性に大きく関わる3価のFeの酸化物であるFeとの反応が起こりにくいと考えることができる。なお、表2において、同じアルカリ土類金属であるCaを添加したサンプル8では、磁気特性が劣化したことから、このサンプル8では、CaとFeとの反応以外の何らかの原因により磁気特性が劣化したものと考えることができる。
s1 主成分原料秤量・混合工程、s2 仮焼成工程、s3 粉砕工程、
s4 副成分添加工程、s5 造粒工程、s6 成形工程、s7 焼成工程

Claims (2)

  1. フェライトからなる主成分に副成分が添加されてなる磁性材料であって、
    前記主成分は、amol%のFeと、bmol%のZnOと、cmol%のCuOと、dmol%のNiOとを含み、
    前記副成分は、前記主成分に対して、ewt%のCoOと、fwt%のZrOと、gwt%のBiとが添加されているとともに、BaあるいはSrがBaCOあるいはSrCO換算でxwt%添加され、
    a+b+c+d=100、
    40≦a≦45、
    0<b≦10、
    0<c≦15、
    0<e≦1.0
    0<f≦0.5、
    0<g≦0.5、
    0<x≦0.3
    であることを特徴とする磁性材料。
  2. 電気絶縁性の磁性層と、導電体からなる電極パターンが形成された電極層とが層状に積層されてなる積層チップ部品であって、
    前記磁性層は、磁性材料からなる焼結体であり、
    前記導電体は銀であり、
    前記磁性材料は、フェライトからなる主成分に副成分が添加されてなり、
    前記主成分は、amol%のFeと、bmol%のZnOと、cmol%のCuOと、dmol%のNiOとを含み、
    前記副成分は、前記主成分に対して、ewt%のCoOと、fwt%のZrOと、gwt%のBiとが添加されているとともに、BaあるいはSrがBaCOあるいはSrCO換算でxwt%添加され、
    a+b+c+d=100、
    40≦a≦45、
    0<b≦10、
    0<c≦15、
    0<e≦1.0、
    0<f≦0.5、
    0<g≦0.5、
    0<x≦0.3
    であることを特徴とする積層チップ部品。
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