JP6079951B2 - フェライト系磁性体、その製造方法および該フェライト系磁性体を用いた電子部品 - Google Patents

フェライト系磁性体、その製造方法および該フェライト系磁性体を用いた電子部品 Download PDF

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本発明は、磁性体、その製造方法および該磁性体を用いた電子部品に関し、詳しくは、インダクタのコアなどの用途に用いられるフェライト系磁性体、その製造方法および該フェライト系磁性体を用いた電子部品に関する。
近年、電子機器の高周波化にともない、その構成部品についても高周波化への対応が求められている。
このような構成部品の中で、インダクタなどのコイル部品においても高周波化への対応の必要性が強まっている。そして、高周波化への対応性に優れたインダクタのコア用材料として、高周波数領域で透磁率μ’(実部)が低下しない磁性体材料が望まれている。
そのような磁性体材料として、主成分としてFe23,NiO,CuOおよびZnOを含み、かつ副成分としてBi23を含む、NiCuZn系フェライトを含み、かつ、SiO2−EO−A2O系ガラス(Eは、Ba,Sr,CaおよびMgから選ばれる少なくとも1種。Aは、Li,NaおよびKから選ばれる少なくとも1種)を、フェライト100重量部に対して、1.5〜3.0重量部含むとともに、コバルト酸化物を、フェライト100重量部に対して、Co34に換算して0.1〜0.7重量部含む磁性体が提案されている(特許文献1)。
そして、この特許文献1によれば、巻線型コイルを構成するフェライトコアに用いるのに適した高周波特性の優れた磁性体が得られるとされている。
しかしながら、特許文献1の磁性体の場合、巻線型コイルのコアとして用いると、得られる巻線型コイルのQのピーク周波数が100〜150MHzとなることから、より高い周波帯域、例えば170〜250MHzのVHF−H帯で使用しようとすると、コイルのQが低下して損失が増大するという問題点がある。
また、特許文献1の組成では、ガラスの添加量を、主成分であるNiCuZn系フェライト100重量部に対して4重量部にまで増加すると、比抵抗が低下して、Qが低下するという問題点がある。
特開2007−273725号公報
本発明は、上記課題を解決するものであり、比抵抗が高く、かつ、100MHzを超えるような高周波帯域におけるQが高く、例えば、VHF−H帯などで用いられるインダクタのコアの構成材料などとして好適に使用することが可能なフェライト系磁性体およびその製造方法、該フェライト系磁性体を用いた、巻線型コイル、インダクタ、アンテナなどの電子部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のフェライト系磁性体は、
Ni,Cu,Znを含むNiCuZn系フェライトを主成分とし、
アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含み、
平均結晶粒径が0.01〜1.0μmの範囲にあり、
前記アルカリ金属および前記アルカリ土類金属の少なくとも一方と前記Siとを含む結晶相であって、Li 2 SiO 3 、Li 2 Si 2 5 、Li 2 ZnSiO 4 、BaSi 2 5 、Ba 4 Si 6 16 、BaAl 2 Si 2 8 、BaCuSi 2 6 、BaCuSi 4 10 、BaCu 2 Si 2 7 、BaCuSi 2 6 、Ba 2 FeSi 2 7 からなる群より選ばれる少なくとも1種である結晶相が析出しており、
主成分である前記NiCuZn系フェライトは、44.0〜47.0mol%のFe 2 3 、40.0〜44.0mol%のNiO、1.0〜10.0mol%のZnO、および残りの成分であるCuOを含むこと
を特徴としている。
また、本発明のフェライト系磁性体においては、前記平均結晶粒径が0.05〜0.45μmの範囲にあることが好ましい。
平均結晶粒径の範囲を0.05〜0.45μmの範囲とすることにより、250MHzでの透磁率μ’(実部)を4以上、Qを70以上とすることができる。
なお、Qは、透磁率μ’(実部)と、μ”(虚部)の比(Q=μ’/μ”)である。
また、本発明のフェライト系磁性体の製造方法は、上記本発明のフェライト系磁性体を製造するための方法であって、
(a)Ni,Cu,Znを含むNiCuZn系フェライト系材料と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む材料と、を含有する配合原料を所定の形状に成形して成形体を得る成形工程と、
(b)前記成形体を焼成する焼成工程と
を備えていることを特徴としている。
また、本発明の電子部品は、上述の本発明のフェライト系磁性体が用いられていることを特徴としている。
本発明の電子部品は、巻線型コイル、インダクタ、およびアンテナからなる群より選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
例えば、巻線型コイルの巻線コア、インダクタの磁性体、UHFアンテナのアンテナ本体などを本発明のフェライト系磁性体を用いて形成することにより、高周波帯域で好適に使用することが可能な巻線型コイル、インダクタ、アンテナなどを提供することが可能になる。
本発明のフェライト系磁性体は、NiCuZn系フェライトを主成分とし、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含み、平均結晶粒径が0.01〜1.0μmの範囲にあり、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む結晶相であって、Li 2 SiO 3 、Li 2 Si 2 5 、Li 2 ZnSiO 4 、BaSi 2 5 、Ba 4 Si 6 16 、BaAl 2 Si 2 8 、BaCuSi 2 6 、BaCuSi 4 10 、BaCu 2 Si 2 7 、BaCuSi 2 6 、Ba 2 FeSi 2 7 からなる群より選ばれる少なくとも1種である結晶相が析出しており、主成分であるNiCuZn系フェライトは、44.0〜47.0mol%のFe 2 3 、40.0〜44.0mol%のNiO、1.0〜10.0mol%のZnO、および残りの成分であるCuOを含むフェライト系磁性体であり、高周波帯域におけるQが高く、例えば、VHF−H帯などで用いられるインダクタのコアの構成材料などとして好適に使用することができる。
すなわち、本発明では、フェライト系磁性体中に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む結晶相(ガラス結晶相)を析出させるようにしているので、フェライト結晶粒を高抵抗化するとともに、結晶を微細化して、高周波帯域でQを高くすることが可能になる。
具体的には、上記結晶相がフェライト系磁性体中に含まれる(析出する)ことにより、フェライト系磁性体が高抵抗化し、例えば比抵抗をρ≧108(Ω・cm)とすることが可能になる。また、渦電流損失を抑制することが可能になり、高周波の透磁率μ”(虚部)を低下させることができる。その結果、高周波帯域でQ(=μ’/μ”)を高くすることが可能になる。これは、Siを含む余剰な陽イオンが、Siを含む結晶相に入ることで、陽イオンがフェライト結晶粒内に入って半導体化することが抑制、防止されること、および、上記ガラス結晶相(絶縁相)により電気伝導が抑制されて高抵抗化することによるものと考えられる。
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む結晶相(ガラス結晶相)によってフェライト結晶粒に応力が加わることにより、高温側で透磁率μ’の増加が抑制され、低温側で透磁率μ’の低下が妨げられるため、透磁率μ’の温度変化率を低く抑えることができる。
なお、本発明のフェライト系磁性体では、透磁率の温度変化率αμが、|αμ|≦1000[ppm/℃]を満たすことから、温度補償コンデンサ(UJ規格)などによる温度補償が可能になる。
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む結晶相として、Li 2 SiO 3 、Li 2 Si 2 5 、Li 2 ZnSiO 4 、BaSi 2 5 、Ba 4 Si 6 16 、BaAl 2 Si 2 8 、BaCuSi 2 6 、BaCuSi 4 10 、BaCu 2 Si 2 7 、BaCuSi 2 6 、Ba 2 FeSi 2 7 、からなる群より選ばれる少なくとも1種が析出した構成としているので、高周波でQが高く、透磁率μ’の温度変化率の低いフェライト系磁性体を確実に得ることができる。
また、本発明のフェライト系磁性体においては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む結晶相がフェライト系磁性体中に含まれる(析出する)ことにより、結晶が微細化され、高周波でのQを高めることが可能になる。具体的には、平均結晶粒径を0.01〜1.0μmとすることで、250MHzでの透磁率μ’を2以上、Qを20以上とすることが可能になり、また、上述のように、平均結晶粒径を0.05〜0.45μmの範囲とすることにより、250MHzでの透磁率μ’を4以上、Qを70以上にすることができる。
ただし、結晶が微細化しすぎると超常磁性(透磁率=1)となって磁性体として機能しなくなる。また、結晶が粗粒化しすぎると、磁壁共振効果が大きくなり、100MHz以上のQの低下が著しくなるため、好ましくない。
また、本発明のフェライト系磁性体の製造方法は、上記本発明のフェライト系磁性体を製造するための方法であって、上述のNiCuZn系フェライト材料と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む材料とを含有する配合原料を成形する成形工程と、成形工程で得られた成形体を焼成する焼成工程とを備えており、焼成工程において、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む材料を、ガラス結晶相として、フェライト系磁性体中に析出させることができる。
その結果、上述のような特徴を有する本発明のフェライト系磁性体を確実に製造することが可能になる。
また、本発明の電子部品においては、磁性体として、Qが高く、透磁率μ’の温度変化率の低い本発明のフェライト系磁性体が用いられているため、特性の良好な電子部品を提供することができる。例えば、巻線型コイルの巻線コアを、本発明のフェライト系磁性体を用いて形成した場合、コイルのQピーク周波数が高く、より高周波で使用することが可能な巻線型コイルを提供することが可能になる。
本発明の実施例にかかる巻線型コイルの構成を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 フェライト系磁性体のμ’(実部)とμ”(虚部)の周波数特性を示すグラフである。 本発明の実施例において作製した、本発明の要件を満たさない比較用のフェライト系磁性体(試料番号1の試料)についてのX線回折結果を示す図である。 本発明の実施例において作製した、本発明の要件を満たすフェライト系磁性体(試料番号3の試料)についてのX線回折結果を示す図である。 本発明の実施例において作製した、本発明の要件を満たすフェライト系磁性体(試料番号6の試料)についてのX線回折結果を示す図である。 本発明の実施例において作製した、本発明の要件を満たすフェライト系磁性体(試料番号9の試料)についてのX線回折結果を示す図である。 本発明の実施例において作製した、本発明の要件を満たすフェライト系磁性体(試料番号12の試料)についてのX線回折結果を示す図である。 本発明の実施例において作製した、本発明の要件を満たすフェライト系磁性体(試料番号16の試料)についてのX線回折結果を示す図である。 本発明の実施例において作製した、本発明の要件を満たすフェライト系磁性体(試料番号19の試料)についてのX線回折結果を示す図である。 巻線型コイルのQの周波数特性を示すグラフである。
以下に本発明の実施の形態を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
[試料の作製]
まず、フェライト原料として、Fe23,NiO,CuO,およびZnOの酸化物原料粉末を準備した。
そして、これらの酸化物原料粉末を、
Fe23=46mol%、
NiO =44mol%、
CuO =8mol%、
ZnO =2mol%
となるように秤量し、ビーズミルにて、湿式で混合・粉砕を行った後、スプレー乾燥機で乾燥・造粒した。それから、造粒体を大気中にて、600〜900℃で仮焼することにより仮焼粉を得た。
また、SiO2を主成分とし、Ba,Sr,Caなどのアルカリ土類金属、Li,Na,Kなどのアルカリ金属、Al,Bi,Bなどの金属元素を含む、表1に示す組成のガラス(粉末)A〜Fを準備した。
なお、表1のガラスA〜Fについては、それぞれX線回折評価を行い、いずれもが非晶質であることを確認している。
Figure 0006079951
それから、上記仮焼粉100重量部に対して、Co34を0.35重量部を添加するとともに、表2A、表2Bに示した割合でガラス粉末A〜Fを添加し、さらにバインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)を仮焼粉とガラス粉末の合計量100重量部に対して1.0〜2.5重量部の割合で添加した。
そして、アトライターで湿式混合粉砕を行った後、スプレー乾燥機で乾燥・造粒し、造粒粉末を作製した。
次に、得られた造粒粉末に潤滑剤として所定量のステアリン酸マグネシウムを添加した後、プレス成型機で所定の形状に成型し、800〜1000℃の温度で、大気中2〜5時間焼成して磁器(フェライト系磁性体)を得た。
なお、この実施形態では、磁器(試料)として、
(a)焼成後のサイズが、外径:8mm、内径:4mm、厚み:2mmのリング形状の磁器
(b)焼成後のサイズが、外径:10mm、厚み:1mmの円板形状の磁器
(c)図1に示すような長さL:1.0mm、幅W:0.5mm、高さT:0.5mmの巻線型コイル用のフェライトコア
の3種類の磁器(試料)を作製した。
[リング状の磁器(試料)を用いた特性測定]
上記(a)のリング状の磁器を、アジレント・テクノロジー社製の磁性体測定冶具(型番16454A−s)にセットし、アジレント・テクノロジー社製のインピーダンスアナライザ(型番E4991A)を用いて透磁率μ’(実部)、μ”(虚部)の測定を行った。
また、各試料の透磁率μ’(実部)、μ”(虚部)の値からQ値(=μ’/μ”)を求めた。
なお、本発明の要件を満たさない試料番号1の試料と、本発明の要件を満たす試料番号16の試料の透磁率の周波数特性を図2に示す。図2からわかるように、試料番号16の試料の場合、試料番号1の試料の場合に比べて、高周波まで透磁率μ’が一定であることが確認された。
また、試料を恒温槽に設置し、恒温槽内の温度を変化させて、−40℃〜85℃での透磁率μ’を測定し、JIS規格C2560−2に従い、20℃を基準として透磁率μ’の温度変化率αμを求めた。
[円板形状の試料を用いた比抵抗logρv(Ω・cm)の測定]
また、上記(b)の円板形状の試料について、表裏の両主面に対向電極を形成し、これら電極間に直流電圧50Vを印加して絶縁抵抗(IR)を測定し、この測定値と試料寸法から比抵抗logρv(Ω・cm)を求めた。
[フェライトコアを用いた特性測定]
また、上記(c)の巻線型コイル用のフェライトコアの焼結体については、乳鉢で粉砕し、X線回折(CuKα線)を行って結晶構造解析を行った。
図3に試料番号1の試料のX線回折結果を示す。
図4に試料番号3の試料のX線回折結果を示す。
図5に試料番号6の試料のX線回折結果を示す。
図6に試料番号9の試料のX線回折結果を示す。
図7に試料番号12の試料のX線回折結果を示す。
図8に試料番号16の試料のX線回折結果を示す。
図9に試料番号19の試料のX線回折結果を示す。
なお、図3〜図9において、●印を付けたピークはスピネル結晶相による回折ピークを示している。
さらに、フェライトコアの焼結体の表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、JIS規格R1670に従い円相当径を算出した。
また、上記のフェライトコア1(図1)の鍔部2a、2bの低部にAgペーストを塗付し、焼付け処理を行って下地層を形成した後、電解めっき処理を行い、下地層の上にNi,Snめっき膜を順次成膜することにより、外部電極6a,6bを形成した。
次に、フェライトコア1の巻芯部1aに、φ20μmの巻線4を15ターン巻回した。それから、巻線4の両端を外部電極6a、6bにそれぞれ熱圧着によって接続し、巻線型コイル(試料)を作製した。
得られた巻線型コイルについて、前述のインピーダンスアナライザ(型番E4991A)を用いて、インピーダンスZを測定し、コイルのQを下記の式より算出した。
Q=インピーダンスの虚数成分/インピーダンスの実数成分
このQの測定を、10MHz〜1GHzの周波数領域で実施し、Qが最も高くなったときの周波数をQピーク周波数とした。試料番号1の試料と、試料番号16の試料の、Qの周波数特性を図10に示す。
図10に示すように、本発明の要件を満たす試料番号16の試料(本発明の実施例)の場合、本発明の要件を満たさない試料番号1の試料(比較例)に比べて、Qピーク周波数が高周波側にシフトすることが確認された。
表2A、表2Bに、250MHzでのμ’、Q値(=μ’/μ”)、およびμ’の温度変化率αμ、比抵抗logρv、結晶粒径、コイルのQピーク周波数、Siとアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む結晶相の構造式を示す。
Figure 0006079951
Figure 0006079951
表2A、表2Bに示すように、6種類のガラスA〜F(図1参照)のいずれを用いた場合にも、ガラス添加量が6〜20重量%の範囲で、Siとアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む結晶相が析出して比抵抗が増加し、結晶粒径が小さくなることが確認された。
そして、その結果、材料の透磁率μ’が低下する一方、Qは増加し、透磁率μ’の温度変化率αμは小さくなることが確認された。
また、このフェライトコアを巻芯とした図1に示すような構造を有する巻線型コイルにおいて、Qピーク周波数を、高周波側にシフトさせることが可能になることが確認された。
一方、ガラスを添加していない試料番号1の試料の場合、Siとアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む結晶相の析出はなく、平均結晶粒径は20μmと大きく、望ましい磁気特性を得られないことが確認された。
また、ガラスAを4重量%の割合で添加した試料番号2の試料の場合も、Siとアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む結晶相の析出はなく、平均結晶粒径は3.0μmと大きく、望ましい磁気特性を得られないことが確認された。これは、試料番号2の条件では、ガラスAの添加量が少なかったことによるものと考えられる。
また、ガラスDを25重量%の割合で添加した試料番号15の試料の場合、結晶粒径が0.004μmと非常に小さくなり、超常磁性体(μ’=1)となってしまい、本発明のフェライト系磁性体の範囲外となることが確認された。
したがって、表2A、表2Bの条件では、ガラスの添加量が4重量%を超え、25重量%未満であることが望ましいということになるが、上記結晶相の析出の状態や、それによるフェライト結晶の粒成長の抑制効果などは、ガラスの種類(すなわち、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む材料の組成)、主成分であるフェライトの組成、成形体を焼成する際の条件なども関係するので、ガラス(アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む材料)の添加量の好ましい範囲は、必ずしも上記の範囲に限定されるものではない。
上記の結果より、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む結晶相を、フェライト系磁性体中に析出させ、平均結晶粒径を0.01〜1.0μmの範囲とすることにより、
(a)比抵抗logρvを8以上とし、
(b)周波数250MHzでの透磁率μ’を2以上、Qを20以上とし、
(c)透磁率μ’の温度特性を1000ppm/℃以下とし、
(d)コイルのQピーク周波数を80MHz以上とする
ことが可能になることが確認できた。
また、平均結晶粒径を0.05〜0.45μmとすることにより、250MHzでの透磁率μ’を4以上、Qを70以上、コイルのQピーク周波数を150MHz以上とすることができた。
なお、この実施例のフェライト系磁性体において、主成分の範囲はFe23=44.0〜47.0mol%、NiO=40.0〜44.0mol、ZnO=1.0〜10.0mol%、残部CuOとするのが好ましい。
Fe23が44.0mol%未満になると透磁率μ’が低くなり、47.0mol%を超えると焼結性が低下するため、好ましくない。
また、NiOが40.0mol%未満になると高周波でのQが低下し、44.0mol%を超えるとμ’が低下するため、好ましくない。
また、ZnOが1.0mol%未満になるとμ’が低下し、10.0mol%を超えると高周波でのQが低下するため、好ましくない。
すなわち、主成分であるNiCuZnフェライトの組成を、上記の範囲とすることにより、実用的な透磁率μ’を有し、VHF−H帯で高いQを有するフェライト材料を得ることができる。
また、主成分に対してCoをCo34として0.3〜0.7重量部の範囲で含有させることが好ましい。Coを含有させることで、スネークの限界線が高周波側にシフトし、高周波でのQを高めることができる。
なお、表2A、表2Bに示したフェライト系磁性体では、Siを含む結晶相が、BaCu2Si27,BaCuSi26,BaCuSi410,BaAl2Si28,Li2SiO3,およびLi2ZnSiO4のいずれかである場合を示しているが、本発明において、このSiを含む結晶相は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む結晶相であればよい。
また、本発明のフェライト系磁性体は、巻線型コイルの巻線コア、インダクタの磁性体、UHFアンテナのアンテナ本体などの形成に用いることが可能であり、本発明のフェライト系磁性体を用いることにより、高周波帯域で好適に使用することが可能な巻線型コイル、インダクタ、アンテナなどを得ることができる。
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、フェライト系磁性体の製造に用いられる原料粉末の種類、製造時の成形工程や、その後の焼成工程における具体的な条件、本発明のフェライト系磁性体を巻線型コイルのコアとして用いる場合における巻線型コイルの具体的な構造などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
1 フェライトコア
1a フェライトコアの巻芯部
2a、2b 鍔部
4 コイル用巻線(軟銅線)
6a,6b 外部電極

Claims (5)

  1. Ni,Cu,Znを含むNiCuZn系フェライトを主成分とし、
    アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含み、
    平均結晶粒径が0.01〜1.0μmの範囲にあり、
    前記アルカリ金属および前記アルカリ土類金属の少なくとも一方と前記Siとを含む結晶相であって、Li 2 SiO 3 、Li 2 Si 2 5 、Li 2 ZnSiO 4 、BaSi 2 5 、Ba 4 Si 6 16 、BaAl 2 Si 2 8 、BaCuSi 2 6 、BaCuSi 4 10 、BaCu 2 Si 2 7 、BaCuSi 2 6 、Ba 2 FeSi 2 7 からなる群より選ばれる少なくとも1種である結晶相が析出しており、
    主成分である前記NiCuZn系フェライトは、44.0〜47.0mol%のFe 2 3 、40.0〜44.0mol%のNiO、1.0〜10.0mol%のZnO、および残りの成分であるCuOを含むこと
    を特徴とするフェライト系磁性体。
  2. 前記平均結晶粒径が0.05〜0.45μmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載のフェライト系磁性体。
  3. 請求項1または2に記載のフェライト系磁性体の製造方法であって、
    (a)Ni,Cu,Znを含むNiCuZn系フェライト系材料と、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の少なくとも一方とSiとを含む材料と、を含有する配合原料を所定の形状に成形して成形体を得る成形工程と、
    (b)前記成形体を焼成する焼成工程と
    を備えていることを特徴とするフェライト系磁性体の製造方法。
  4. 請求項1または2記載のフェライト系磁性体が用いられていることを特徴とする電子部品。
  5. 巻線コイル、インダクタ、およびアンテナからなる群より選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項記載の電子部品。
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