JP2019064837A - 遮熱ガラス - Google Patents

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Tsuyoshi Tsunoda
剛志 角田
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
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    • B32B17/06Layered products essentially comprising sheet glass, or glass, slag, or like fibres comprising glass as the main or only constituent of a layer, next to another layer of a specific material

Abstract

【課題】遮熱性を有する上、ヘイズ値が有意に抑制された遮熱ガラス。【解決手段】第1および第2の表面を有するガラス板と、前記ガラス板の前記第1の表面に設けられたコーティング膜と、を有する遮熱ガラスであって、前記コーティング膜は、下地層と、該下地層の上部に配置された第1の層および第2の層とを有し、前記第1の層は、前記下地層と前記第2の層との間に配置され、前記第1の層および前記第2の層のいずれか一方は、アンチモンを含む酸化スズを含み、前記第1の層および前記第2の層の他方は、フッ素を含む酸化スズを含み、前記第1の層と前記第2の層の合計厚さは、340nm以上であり、当該遮熱ガラスの前記コーティング膜側の表面において、8μm×8μmの領域で測定される、周波数1μm−1〜2μm−1の間の平均パワースペクトル密度は、6×106nm4以下である、遮熱ガラス。【選択図】図1

Description

本発明は、コーティング膜を有する遮熱ガラスに関する。
近年の省エネルギー意識の高まりから、建物の窓ガラスおよび車両のガラス部材等に、遮熱性を有する遮熱ガラスを適用する例が増えている。そのような遮熱ガラスは、例えば、ガラス板の一方の表面に遮熱性を有するコーティング膜を設置することにより構成される。
さらに最近では、遮熱ガラスによる遮熱効果に対する要求の高まりを受け、さらなる遮熱性を発揮する遮熱ガラスに対する研究、開発が進められている。
一般に、遮熱ガラスの遮熱性を高めるためには、コーティング膜を多層構造にすることが効果的である。例えば、特許文献1には、下地層の上に、アンチモン含有酸化スズ層およびフッ素含有酸化スズ層の2層で構成された多層コーティング膜を備える遮熱ガラスが記載されている。
特開2001−199744号公報
前述のように、ガラス板の上に多層コーティング膜を形成することにより、遮熱ガラスの遮熱性を高めることができるという報告がある。
しかしながら、遮熱ガラスには、遮熱性の他にも、各種特性が要求される場合がある。例えば、遮熱ガラスの適用場所によっては、遮熱ガラスに対して、意匠性や透明性などが要求される場合がある。
しかしながら、特許文献1に記載の遮熱ガラスでは、遮熱性以外の特性について十分に考慮されているとは言い難い。例えば、多層コーティング膜を厚くすればするほど、遮熱性は向上する傾向にあるが、その場合、遮熱ガラスの透明性が低下して、ヘイズ値が上昇してしまう可能性がある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、良好な遮熱性を有するとともに、ヘイズ値が有意に抑制された遮熱ガラスを提供することを目的とする。
本発明では、
相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス板と、前記ガラス板の前記第1の表面に設けられたコーティング膜と、を有する遮熱ガラスであって、
前記コーティング膜は、下地層と、該下地層の上部に配置された第1の層および第2の層とを有し、前記第1の層は、前記下地層と前記第2の層との間に配置され、
前記第1の層および前記第2の層のいずれか一方は、アンチモンを含む酸化スズを含み、前記第1の層および前記第2の層の他方は、フッ素を含む酸化スズを含み、
前記第1の層と前記第2の層の合計厚さは、340nm以上であり、
当該遮熱ガラスの前記コーティング膜側の表面において、8μm×8μmの領域で測定される、周波数1μm−1〜2μm−1の間の平均パワースペクトル密度は、6×10nm以下である、遮熱ガラスが提供される。
本発明では、良好な遮熱性を有するとともに、ヘイズ値が有意に抑制された遮熱ガラスを提供することができる。
本発明の一実施形態による遮熱ガラスの一構成例を概略的に示した断面図である。 遮熱ガラス2および遮熱ガラス7におけるパワースペクトル密度の周波数依存性の評価結果を比較して示したグラフである。 各遮熱ガラスにおいて得られた平均P値とヘイズ値の関係をまとめて示したグラフである。
(本発明の一実施形態による遮熱ガラス)
以下、図1を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1には、本発明の一実施形態による遮熱ガラス(以下、「第1の遮熱ガラス」と称する)の断面を模式的に示す。
図1に示すように、第1の遮熱ガラス100は、第1の側102および第2の側104を有する。また、第1の遮熱ガラス100は、ガラス板110と、コーティング膜120とを有する。第1の遮熱ガラス100の第1の側102は、ガラス板110の側に対応し、第1の遮熱ガラス100の第2の側104は、コーティング膜120の側に対応する。
ガラス板110は、第1の表面112および第2の表面114を有する。コーティング膜120は、ガラス板110の第1の表面112の側に設けられる。
コーティング膜120は、下地層130と、第1の層140と、第2の層150とをこの順番に積層することにより構成される。ただし、後述するように、コーティング膜120は、そのような3層構造には限られず、4層以上で構成されてもよい。
コーティング膜120の下地層130は、例えば、酸化ケイ素または酸化スズを含む層を有する。
コーティング膜120の第1の層140および第2の層150は、いずれも酸化スズを含む層で構成される。
第1の層140および第2の層150のいずれか一方は、アンチモンを含む酸化スズを含み、第1の層140および第2の層150の他方は、フッ素を含む酸化スズを含む。また、第1の層140および第2の層150は、酸化スズを50質量%以上、例えば60質量%以上含むことが好ましい。
ここで、第1の遮熱ガラス100は、
第1の層140と第2の層150の合計厚さが340nm以上であり、
第2の側104において、8μm×8μmの領域で測定される、周波数1μm−1〜2μm−1の間の平均パワースペクトル密度(以下、「平均P値」という)が6×10nm以下である
という特徴を有する。
第1の遮熱ガラス100では、遮熱性を発揮する第1の層140と第2の層150の合計厚さが340nm以上と、十分に厚くなっている。従って、第1の遮熱ガラス100では、十分な遮熱性を発揮することができる。
また、第1の遮熱ガラス100では、8μm×8μmの領域で測定される平均P値が6×10nm以下である。この場合、以降に詳しく示すように、第1の遮熱ガラス100に曇りや濁りが生じることが有意に抑制される。
このような特徴により、第1の遮熱ガラス100では、良好な遮熱性を示すとともに、ヘイズ値が有意に抑制された遮熱ガラスを提供することができる。
(パワースペクトル密度について)
ここで、本願におけるパワースペクトル密度(PSD)の測定方法について説明する。
一般に、遮熱ガラスにおけるコーティング膜の表面は、二次元の平面上に微細な凹凸が分布された形態を有する。これらの凹凸のそれぞれの形態は、座標(x,y)の二次元関数h(x,y)で表すことができる。
この二次元関数h(x,y)をフーリエ変換すると、以下の(1)式で表される二次元関数H(f,f)が得られる:
Figure 2019064837
ここで、fおよびfは、それぞれx方向およびy方向の周波数であり、長さの逆数の次元を有する。また、πは円周率、iは虚数単位である(詳細は、WO2014/097807号参照)。
(1)式で表される二次元関数H(f,f)を二乗して得られる関数H(f,f)は、二次元パワースペクトルとも呼ばれ、この関数は、前述の凹凸の空間周波数分布を表す。二次元パワースペクトルの単位は、(長さ)であり、例えばnm等で表される。
コーティング膜表面の凹凸は等方的であると考えられるため、二次元パワースペクトルH(f,f)は、原点(0,0)からの距離fのみに依存する一次元パワースペクトルI(f)で表すことができる。まず、二次元パワースペクトルH(f,f)を(2)式に基づいて極座標で表示する。
Figure 2019064837
ここでθはフーリエ空間中の偏角である。この極座標表示した二次元パワースペクトルの回転平均を(3)式に基づき計算することで、一次元パワースペクトルI(f)を求めることができる。
Figure 2019064837
本願におけるパワースペクトル密度(PSD)は、この一次元パワースペクトルI(f)を評価対象面積(8μm×8μm)で除したものであり、従って単位は(長さ)、例えばnmとなる。
前記二次元関数h(x,y)は、例えば、共焦点顕微鏡、干渉顕微鏡、および原子間力顕微鏡のような、表面形状の三次元情報が得られる装置を用いて測定することができる。また、二次元パワースペクトルH(f,f)および一次元パワースペクトルI(f)は、測定された二次元関数h(x,y)から、各種解析ソフトウェア等を用いて計算することができる。さらに、計算された一次元パワースペクトルI(f)から、パワースペクトル密度(PSD)を算出することができる。
あるいは、共焦点顕微鏡、原子間力顕微鏡、干渉顕微鏡、走査型電子顕微鏡、および走査型透過電子顕微鏡など、各種三次元画像解析装置に導入されている三次元画像解析ソフトウェアを使用して、パワースペクトル密度(PSD)を算出してもよい。
そのような画像処理ソフトウェアの一例として、例えば、市販のSPIP(登録商標)イメージ解析ソフトウェア(Image Metrology社)が挙げられる。
本願では、遮熱ガラスのパワースペクトル密度(PSD)は、SPIP(登録商標)イメージ解析ソフトウェア(バージョン6.4.2)を使用して評価した。また、得られたPSD−周波数関係から、平均P値を算定した。
(遮熱ガラスの遮熱性能について)
次に、遮熱ガラスの遮熱性能について、簡単に説明する。
一般に、遮熱ガラスの遮熱性能は、以下の(4)式で表すことができる:

SC=g値/0.88 (4)式

ここで、g値は日射熱取得率であり、遮熱ガラスの一方の側(第1の側)から入射される全太陽熱に対する、他方の側(第2の側)まで直接透過される熱(透過熱)と、遮熱ガラスの内部で吸収され、その後第2の側に放出される熱との総和の割合で表される。また、SCは遮蔽係数である。g値は、ISO9050:2003に準拠して測定することができる。
本願では、この遮蔽係数SCを用いて、遮熱ガラスの遮熱性を評価した。
(遮熱ガラスを構成する各部材)
次に、前述のような特徴を有する第1の遮熱ガラス100を構成する各部材について、より詳しく説明する。
なお、以下の説明では、明確化のため、各部材を表す際に、図1に示した参照符号を使用する。また、説明の簡略化のため、ここでは、一例として、第1の遮熱ガラス100において、第1の層140がアンチモン含有酸化スズを含み、第2の層150がフッ素含有酸化スズを含みものと仮定する。
(ガラス板110)
ガラス板110は、例えば、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、またはアルミノシリケートガラス等で構成されても良い。
また、ガラス板110は、透明なものであっても、着色されたものであっても良い。着色されたガラス板110の色は、特に限られないが、ガラス板110の色は、例えば、緑色または青色等であっても良い。
ガラス板110の厚さは、特に限られないが、厚さは、例えば、2mm〜12mmの範囲である。ガラス板110は、強化されたガラス、特に化学強化されたガラスであれば板厚が薄くできるため好ましい。
(コーティング膜120)
(下地層130)
下地層130は、ガラス板110と第1の層140の間で、所定の元素が相互に拡散することを抑制する役割、および遮熱ガラス100の外観上の色を調整する役割を有する。
下地層130は、例えば、酸化ケイ素を主体とする層、または酸化スズを主体とする層で構成されてもよい。ここで、本願において「材料Aを主体とする(層)」とは、対象とする層内に、材料Aが50質量%以上含まれることを意味する。
例えば、下地層130は、酸化ケイ素(SiO)または酸化スズ(SnO)であっても良い。あるいは、下地層130は、酸炭化ケイ素(SiOC)で構成されてもよい。
なお、下地層130は、必ずしも単一の層で構成される必要はなく、下地層130は、2層以上で構成されてもよい。例えば、下地層130は、酸化スズと酸化ケイ素の2層で構成されてもよい。
下地層130の厚さは、例えば、10nm〜100nmの範囲である。
下地層130の設置方法は、特に限られない。下地層130は、例えば、物理的蒸着法(例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、およびスパッタリング法等)、化学的蒸着法(例えば熱CVD法、プラズマCVD法、および光CVD法等)、ならびにイオンビームスパッタリング法等から選定された方法により、構成されてもよい。
(第1の層140)
第1の層140は、アンチモンを含む酸化スズを有する。例えば、第1の層140は、アンチモンを含む酸化スズで構成されてもよい。
第1の層140がアンチモン含有酸化スズで構成される場合、第1の層140に対するアンチモンの含有量は、例えば、1質量%〜15質量%の範囲であり、6質量%〜10質量%の範囲であることが好ましい。ドープ量は、例えばXRF(蛍光X線分析)等により測定することができる。
第1の層140の厚さは、例えば、50nm〜500nmの範囲であり、150nm〜350nmの範囲が好ましく、170nm〜250nmの範囲がより好ましい。
第1の層140の設置方法は、特に限られない。第1の層140は、例えば、物理的蒸着法(例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、およびスパッタリング法等)、化学的蒸着法(例えば熱CVD法、プラズマCVD法、および光CVD法等)、ならびにイオンビームスパッタリング法等から選定された方法により、構成されてもよい。
(第2の層150)
第2の層150は、フッ素を含む酸化スズを有する。例えば、第2の層150は、フッ素を含む酸化スズで構成されてもよい。
第2の層150の厚さは、例えば、50nm〜500nmの範囲であり、150nm〜350nmの範囲が好ましく、170〜250nmの範囲がより好ましい。
なお、前述のように、第1の層140と第2の層150の合計厚さは、340nm以上であり、360nm〜420nmであることが好ましい。
第2の層150の設置方法は、特に限られない。第2の層150は、例えば、物理的蒸着法(例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、およびスパッタリング法等)、化学的蒸着法(例えば熱CVD法、プラズマCVD法、および光CVD法等)、ならびにイオンビームスパッタリング法等から選定された方法により、構成されてもよい。
(第1の遮熱ガラス100)
前述のように、第1の遮熱ガラス100は、第2の側104の8μm×8μmの領域で測定される、周波数1μm−1〜2μm−1の間の平均パワースペクトル密度(平均P値)が6×10nm以下であるという特徴を有する。
この平均P値が小さくなるほど、第1の遮熱ガラス100において測定されるヘイズ値が低下する。平均P値は、5×10nm以下であることが好ましい。
なお、平均P値が6×10nm以下の遮熱ガラスは、例えば、
(i)第2の層150をCVD法で成膜する際に、成膜温度を580℃以下にすること、および
(ii)下地層130の凹凸をできる限り抑制すること(例えば算術平均粗さRa<10nm)、
等により得ることができる。ただし、これら(i)、(ii)は単なる一例であって、その他の方法でも、平均P値が6×10nm以下の遮熱ガラスを得ることができる。
第1の遮熱ガラス100において、ヘイズ値は、例えば、0.8%以下である。ヘイズ値は、0.7%以下であることが好ましい。
また、第1の遮熱ガラス100において、遮蔽係数は、SC<0.6であることが好ましく、特に、SC<0.55であることが好ましい。
ただし、この遮蔽係数SCは、ガラス板110の着色有無の状態によって大きく変化し得ることに留意する必要がある。前述の好ましい範囲は、ガラス板110が無着色の場合の値である。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、以下の記載において、例1〜例4は実施例であり、例5〜例7は比較例である。
(例1)
以下の方法で、遮熱ガラスを製造した。
まず、透明な無着色ガラス板を準備した。次に、このガラス板の表面(第1の表面)にコーティング膜を形成した。コーティング膜の構成は、前述の図1に示すような3層構造とした。
下地層は、SiOC層(目標厚さ58nm)とし、常圧のCVD法により成膜した。成膜後の下地層の算術平均粗さ(Ra)は、約9.3nmであった。
次に、下地層の上に、第1の層を成膜した。第1の層は、アンチモンドープされた酸化スズ層とした。第1の層は、常圧のCVD法により成膜した。原料ガスとして、モノブチル塩化スズ(MBTC)、水、および三塩化アンチモン(SbCl)を気化させた混合ガスを、空気で希釈したものを使用した。第1の層の目標厚さは、185nmとした。
次に、第1の層の上に、第2の層を成膜した。第2の層は、フッ素ドープされた酸化スズ層とした。第2の層は、常圧のCVD法により成膜した。原料ガスとして、モノブチル塩化スズ(MBTC)、水、およびフッ化水素を気化させた混合ガスを、空気で希釈したものを使用した。第2の層の成膜の際のガラス板の温度は約550℃とした。
第2の層の目標厚さは、182nmとした。従って、第1の層と第2の層の合計厚さは、約367nmである。
これにより、遮熱ガラス(以下、遮熱ガラス1と称する)が製造された。
(例2〜例7)
例1と同様の方法により、遮熱ガラス2〜遮熱ガラス7を製造した。ただし、これらの例では、ガラス板の色味、コーティング膜の構成、下地層の表面粗さ、第1の層および第2の層の膜厚、ならびに/または第2の層の成膜温度として、実施例1の場合とは異なる条件を採用した。
以下の表1には、各遮熱ガラス1〜7の製造条件をまとめて示した。
Figure 2019064837
(評価)
前述のように製造された各遮熱ガラスを用いて、以下の評価を行った。
(遮熱性の評価)
各遮熱ガラスについて、Perkin Elmer製分光光度計Lambda950を用いて分光測定し、ISO9050:2003に準拠した方法で、遮蔽係数SCを算出した。
なお、この測定は、各遮熱ガラスのガラス板の側(すなわちコーティング膜の反対側)から光を照射して実施した。
以下の表2の「SC」の欄には、各遮熱ガラスにおいて得られた遮蔽係数SCをまとめて示す。
Figure 2019064837
(平均P値の評価)
各遮熱ガラスについて、コーティング膜側の表面の8μm×8μmの領域において、パワースペクトル密度(PSD)の周波数依存性を評価した。また、得られた結果から、周波数1μm−1〜2μm−1の間の平均パワースペクトル密度(平均P値)を算定した。
PSDの周波数依存性の評価は、原子間力顕微鏡を用いて各遮熱ガラスの表面形態を測定した後、これをSPIP(登録商標)イメージ解析ソフトウェア(バージョン6.4.2)を使用して解析することにより実施した。また、得られた周波数−PSDの関係から、平均P値を算定した。
図2には、一例として、遮熱ガラス2および6におけるPSDの周波数依存性の評価結果を示す。図2において、横軸は周波数であり、縦軸はPSDである。
このような周波数−PSDの関係から、周波数1μm−1〜2μm−1の領域における平均パワースペクトル密度、すなわち平均P値が算定される。
前述の表2の「平均P値」の欄には、各遮熱ガラスにおいて得られた平均P値の結果をまとめて示した。
(ヘイズ値の評価)
各遮熱ガラスについて、ヘイズメータを用いてヘイズ値を測定した。
前述の表2の「ヘイズ値」の欄には、各遮熱ガラスにおいて得られたヘイズ値をまとめて示した。
(結果)
表2に示すように、遮熱性の評価の結果、遮熱ガラス5では、遮蔽係数SCが0.64となり、あまり良好な遮熱性が得られないことがわかった。これは、遮熱ガラス5は、他の遮熱ガラスに比べて、第1の層と第2の層の合計厚さが薄いためであると思われる。すなわち、遮熱ガラス5は、第1の層と第2の層の合計厚さが290nmしかなく、その結果、十分な遮熱性を発揮することができなかったものと考えられる。従って、遮蔽係数SCが0.6を下回るような十分な遮熱性を得るには、第1の層と第2の層は、少なくとも合計で340nm以上の厚さが必要であると考えられる。
図3には、各遮熱ガラスにおいて得られた、平均P値とヘイズ値の関係をまとめて示す。図3において、プロットの数字は、遮熱ガラスの番号を表している。
この図3から、平均P値は、ヘイズ値と正の相関があることがわかる。また、平均P値が6.0×10nmを超える遮熱ガラス7では、ヘイズ値が0.8%を超え、あまり良好な透明性を有しないことがわかる。これに対して、遮熱ガラス1〜遮熱ガラス4に係る遮熱ガラスでは、平均P値が6.0×10nm以下、さらには5.0×10nm以下に抑制されており、その結果、ヘイズ値が0.8%以下、さらには0.7以下まで抑制されていることがわかる。
これらの結果から、遮熱ガラス1〜遮熱ガラス4では、良好な遮熱性を発揮するとともに、ヘイズ値が有意に抑制されることが確認された。
100 第1の遮熱ガラス
102 第1の側
104 第2の側
110 ガラス板
112 第1の表面
114 第2の表面
120 コーティング膜
130 下地層
140 第1の層
150 第2の層

Claims (7)

  1. 相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス板と、前記ガラス板の前記第1の表面に設けられたコーティング膜と、を有する遮熱ガラスであって、
    前記コーティング膜は、下地層と、該下地層の上部に配置された第1の層および第2の層とを有し、前記第1の層は、前記下地層と前記第2の層との間に配置され、
    前記第1の層および前記第2の層のいずれか一方は、アンチモンを含む酸化スズを含み、前記第1の層および前記第2の層の他方は、フッ素を含む酸化スズを含み、
    前記第1の層と前記第2の層の合計厚さは、340nm以上であり、
    当該遮熱ガラスの前記コーティング膜側の表面において、8μm×8μmの領域で測定される、周波数1μm−1〜2μm−1の間の平均パワースペクトル密度は、6×10nm以下である、遮熱ガラス。
  2. 前記第1の層は、アンチモンを含む酸化スズを含む、請求項1に記載の遮熱ガラス。
  3. 前記第1の層におけるアンチモンの含有率は、質量比で1%〜15%の範囲である、請求項2に記載の遮熱ガラス。
  4. 前記下地層は、酸化ケイ素を含む、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の遮熱ガラス。
  5. ヘイズ値が0.8%以下である、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の遮熱ガラス。
  6. ヘイズが0.7%以下である、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の遮熱ガラス。
  7. 前記ガラス板は、無色である、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の遮熱ガラス。
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