JP2019064773A - シート給送装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートを給送する際のスティックスリップ現象に起因する異音の発生を低減する。【解決手段】シート積載手段(1)には、給送手段(8)に対向する位置に摩擦部材(6)が設けられている。シート給送装置(230)には、装置の振動を検知する検知手段(11)が設けられている。シート給送装置(230)は、給送手段(8)を第1の速度で駆動してシートの給送を開始させた後、検知手段(11)によって検知された装置の振動が閾値を超えた場合、給送手段(8)の駆動速度を第1の速度より速い第2の速度に切替える。【選択図】図2

Description

本発明は、シートを給送するシート給送装置に関する。
複写機、プリンタ、及びファクシミリ等の画像形成装置には、シート積載部に積載されたシートを1枚ずつ給送するシート給送装置が用いられている。多くの場合、シート積載部の載置面とシートとの間に生じる摩擦力は、シート同士の間に生じる摩擦力に比べて小さく、載置面に接触しているシート(最終シート)はその上に重なるシートと共に搬送されやすいことが知られている。
特許文献1には、用紙が積載される底板の上面に、給送ローラと対向する位置に摩擦部材を配置した給送装置が記載されている。摩擦部材は、最終紙がその上に重なる用紙と共に給送されてしまうことを防ぐように、用紙間に生じる摩擦力より大きな摩擦力を最終紙に加えるように構成されている。
特開2010−70281号公報
しかしながら、特許文献1に記載された構成で、シートを給送する際に最終シートと摩擦部材との間に生じる摩擦力、又はシート同士の間に生じる摩擦力によってスティックスリップ現象が発生し、これに起因する異音が発生することがあった。
そこで、本発明は、シートを給送する際の異音の発生を低減可能なシート給送装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るシート給送装置は、シートが積載されるシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートに当接してシートを給送する給送手段と、前記シート積載手段に、前記給送手段に対向して配置された摩擦部材と、前記給送手段を駆動する駆動手段と、装置の振動を検知する検知手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、前記駆動手段に前記給送手段を第1の速度で駆動開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが閾値を超えた場合、前記第1の速度より大きい第2の速度で前記駆動手段に前記給送手段を駆動させる、ことを特徴とする。
本発明の他の態様に係るシート給送装置は、シートが積載されるシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートに当接してシートを給送する給送手段と、前記給送手段によるシートの搬送方向において前記給送手段の下流に配置され、シートを搬送する搬送手段と、前記シート積載手段に、前記給送手段に対向して配置された摩擦部材と、前記給送手段を駆動する駆動手段と、装置の振動を検知する検知手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、前記駆動手段に第1の駆動力で前記給送手段の駆動を開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが閾値を超えた場合、前記駆動手段が前記給送手段に与える駆動力が前記第1の駆動力より小さい状態とする、ことを特徴とする。
本発明のさらに他の態様に係るシート給送装置は、シートが積載されるシート積載手段と、前記シート積載手段に積載されたシートに当接してシートを給送する給送手段と、前記シート積載手段に、前記給送手段に対向して配置された摩擦部材と、前記給送手段を駆動する駆動手段と、装置の振動を検知する検知手段と、前記給送手段と前記シート積載手段に積載されたシートとの当接圧を調節可能な調節手段と、前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、前記給送手段が第1の当接圧でシートに当接している状態で前記駆動手段に前記給送手段の駆動を開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが閾値を超えた場合、前記給送手段が前記第1の当接圧より小さい第2の当接圧でシートに当接している状態となるように、前記調節手段を制御する、ことを特徴とする。
本発明に係る構成によれば、シートを給送する際の異音の発生を低減することができる。
本開示に係る画像形成装置の概略図。 実施例1に係るシート給送装置の概略図。 異なる給送速度(a,b)でシートを給送した場合の装置の振動について検証した結果を表すグラフ。 実施例1に係るシート給送装置の制御構成を示すブロック図。 実施例1に係るシート給送動作によるシートの搬送を表すダイヤグラム。 シート搬送速度とスティックスリップ現象との関係を表すチャート。 実施例1に係るシート給送動作の制御方法を示すフローチャート。 シート給送動作における搬送速度の制御方法の変形例(a、b)を示すダイヤグラム。 シート給送動作の制御方法の変形例を示すフローチャート。 実施例2に係るシート給送装置の概略図。 実施例2に係るシート給送装置の制御構成を示すブロック図。 実施例2に係るシート給送動作の制御方法を示すフローチャート。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本開示に係る画像形成装置201を示す概略図である。画像形成装置本体(以下、装置本体とする)201Aには、シートに画像を形成する画像形成部201Bが搭載され、装置本体201Aの上方には画像読取装置202が略水平に設置されている。画像読取装置202と装置本体201Aとの間に、シート排出用の排出空間Sが形成されている。
装置本体201Aの下部には、シートPを収納する給送カセット1と、給送カセット1からシートPを給送する給送ユニット13と、をそれぞれ備える複数のシート給送装置230が配置されている。記録媒体として用いられるシートPには、普通紙及び厚紙等の紙の他、コート紙等の特殊紙、オーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルム、布、及び封筒等が含まれる。各給送ユニット13は、給送カセット1からシートPを送り出すピックアップローラ8と、ピックアップローラ8から送り出されたシートPを分離しながら搬送するフィードローラ9及びリタードローラ10と、を備える。
画像形成手段としての画像形成部201Bは、4ドラムフルカラー方式の電子写真ユニットである。即ち、画像形成部201Bは、レーザスキャナ210と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジPY,PM,PC,PKを備える。各プロセスカートリッジPY〜PKは、感光体である感光ドラム212、帯電手段である帯電器213、現像手段である現像器214を備えている。また、画像形成部201Bは、プロセスカートリッジPY〜PKの上方に配された中間転写ユニット201Cと、定着部220とを備えている。中間転写ユニット201Cの上方には、現像器214にトナーを供給するためのトナーカートリッジ215が装着されている。
中間転写ユニット201Cは、駆動ローラ216a及びテンションローラ216bに巻き掛けられた中間転写ベルト216を備えている。中間転写ベルト216の内側には、各感光ドラム212に対向した位置で中間転写ベルト216に当接する一次転写ローラ219が設けられている。中間転写ベルト216は、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ216aによって図中反時計回り方向に回転し、感光ドラム212に担持された負極性のトナー像は一次転写ローラ219により順次中間転写ベルト216に多重転写される。
中間転写ユニット201Cの駆動ローラ216aと対向する位置には、中間転写ベルト216に担持されたカラー画像をシートPに転写する二次転写ローラ217が設けられている。二次転写ローラ217の上方に定着部220が配置され、定着部220の上方には第1排出ローラ対225a、第2排出ローラ対225b及び両面反転部201Dが配置されている。両面反転部201Dは、正逆転可能な反転ローラ対222及び一面に画像が形成されたシートを再度、画像形成部201Bに搬送する再搬送通路R等が設けられている。また、画像形成装置201には、画像形成動作及びシート給送動作等を制御する制御手段として、制御部260が搭載されている。
次に、画像形成装置201の画像形成動作について説明する。原稿の画像情報は画像読取装置202によって読み取られ、制御部260によって画像処理された後、電気信号に変換されて画像形成部201Bのレーザスキャナ210に伝送される。画像形成部201Bでは、帯電器213によって表面が所定の極性・電位に一様に帯電させられた感光ドラム212にレーザスキャナ210からのレーザ光が照射され、ドラムの回転に伴ってドラム表面が露光される。これにより、各プロセスカートリッジPY〜PKの感光ドラム212の表面に、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの単色画像に対応する静電潜像が形成される。これら静電潜像は、現像器214から供給される各色トナーにより現像されて可視化された後、一次転写ローラ219に印加される一次転写バイアスにより、感光ドラム212から中間転写ベルト216へと互いに重ね合わせて一次転写される。
このようなトナー像形成動作に並行して、いずれかのシート給送装置230,250からレジストレーションローラ対240へ向けて1枚ずつシートPが給送される。レジストレーションローラ対240は、シートPの斜行を補正した後、画像形成部201Bによるトナー像形成の進捗に合わせてシートPを二次転写ローラ217へ向けて送り出す。二次転写ローラ217と中間転写ベルト216との間に形成される転写部(二次転写部)において、二次転写ローラ217に印加される二次転写バイアスにより、シートPに対してフルカラーのトナー像が一括して二次転写される。トナー像が転写されたシートPは、定着部220に搬送され、定着部220において付与される熱及び圧力によって各色のトナーが溶融混色することで、トナー像はシートPにカラー画像として定着する。
この後、シートPは、定着部220の下流に設けられた第1排出ローラ対225a又は第2排出ローラ対225bによって排出空間Sに排出され、排出空間Sの底部に配置された積載部223に積載される。シートPの両面に画像を形成する際は、第1面に画像が形成されたシートPが反転ローラ対222により反転した状態で再搬送通路Rに搬送され、再度、画像形成部201Bに搬送される。そして、画像形成部201Bによって第2面に画像を形成されたシートPは、第1排出ローラ対225a又は第2排出ローラ対225bによって積載部223に排出される。
なお、以上の画像形成部201Bは画像形成手段の一例であり、感光体に形成したトナー像をシートに直接転写する直接転写方式の電子写真ユニットを用いてもよく、インクジェット方式やオフセット印刷方式の画像形成手段を用いてもよい。
次に、第1の実施形態(実施例1)に係るシート給送装置について説明する。本実施例に係るシート給送装置230は、図1に示すように、画像形成装置201の装置本体201Aに組み付けられている。即ち、給送ユニット13は装置本体201Aの枠体に支持され、給送カセット1は装置本体201Aに対して引出可能に挿入されている。
図2に示すように、シートPが積載されるシート積載手段としての給送カセット1は、カセット本体1aに対して回動軸3を中心にして上下方向(鉛直方向)に回動可能なシート積載部2を備えている。シート積載部2の下方にはカセット本体1aに回動可能に支持されたアーム板4が配置され、アーム板4がリフタモータM1(図3参照)に駆動されて回動軸5を中心にして回動することで、シート積載部2が昇降する。なお、シート給送装置230にはシート積載部2に積載されたシートPの最上位シートの高さを検知可能な高さ検知センサが設けられている。シートPを給送する場合、高さ検知センサの検知信号に基づいて、最上位シートが所定の高さ(給送ユニット13が最上位シートに当接して給送動作を実行可能となる高さ)となるまでリフタモータM1が駆動される。
シート積載部2の載置面である上面2aには、ピックアップローラ8に対向する位置に、摩擦部材6が設けられている。即ち、ピックアップローラ8が最上位シートに当接した状態で、ピックアップローラ8との間にシートPを挟む位置に摩擦部材6が配置されている。
給送ユニット13は、上述した通り、ピックアップローラ8、フィードローラ9、及びリタードローラ10を備える。ピックアップローラ8及びフィードローラ9は、給送モータM2(図3参照)のような駆動手段から駆動力を伝達されることで、シート搬送方向D1に沿って回転する。リタードローラ10は、フィードローラ9に圧接された状態で、回転しない軸に対してトルクリミッタを介して取り付けられている。フィードローラ9及びリタードローラ10が圧接する部分は、シートPを1枚ずつ分離しながら搬送する分離ニップ部を構成している。
ピックアップローラ8は、保持部材であるローラホルダ18によって回転可能に保持される。ローラホルダ18は、フィードローラ9の軸を中心にして揺動可能な状態で、装置本体の枠体に固定された給送フレーム19によって支持されている。ピックアップローラ8は、ローラホルダ18及びピックアップローラ8等の自重、又は、これらの自重とローラホルダ18を下方に付勢する図示しないバネ等の付勢力により、所定の高さまで上昇した最上位シートの上面に圧接する。
シートPの給送を行う際は、シート積載部2の上昇によりシートPがピックアップローラ8に当接した状態で、給送モータM2から供給される駆動力によりピックアップローラ8及びフィードローラ9が回転駆動される。これにより、最上位シートがピックアップローラ8によって分離ニップ部へ向けて送り出され、フィードローラ9及びリタードローラ10によって他のシートから分離された状態で画像形成部201Bへ向けて搬送される。
分離ニップ部においてシートが分離される仕組みを説明する。フィードローラ9には給送モータM2の駆動がギヤ列等の駆動伝達機構により伝達されて、シート搬送方向D1に沿った回転方向に回転する。ここで、分離ニップ部にシートPが入り込んでいない状態で、フィードローラ9とリタードローラ10との間の摩擦力によりリタードローラ10に入力されるトルクをTaとする。また、分離ニップ部に1枚だけのシートPが進入している状態で、シートPと各ローラとの摩擦により、シートPを介してフィードローラ9からリタードローラ10に入力されるトルクをTbとする。このとき、リタードローラ10のトルクリミッタの許容トルクTtlは、次の条件(1)、(2)を満たすように設定されている。
Ta>Ttl ・・・(1)
Tb>Ttl ・・・(2)
これらの条件を満たすとき、トルクリミッタは過負荷によって空転し、リタードローラ10はフィードローラ9に連れ回ってシート搬送方向D1に沿った回転方向に回転する。従って、1枚のみのシートPが分離ニップ部に進入したときは、シートPはシート搬送方向D1に搬送される。
これに対し、2枚以上のシートPが分離ニップ部に進入した状態で、フィードローラ9から複数のシートPを介してトルクリミッタに入力されるトルクをTcとすると、通常、Tcの大きさはシート間の摩擦力によって制限される。シート間の摩擦力は、シートの材質(例えば表面処理の有無)や雰囲気(例えば湿度)に影響を受けるが、トルクリミッタの許容トルクは、通常の条件下で次の条件(3)を満たすように設定される。
Tc<Ttl ・・・(3)
この条件を満たすとき、トルクリミッタは空転せず、リタードローラ10はフィードローラ9に連れ回らずに停止したままとなる。そして、最上位シートがフィードローラ9によってシート搬送方向D1に搬送される一方で、最上位シートの下に重なるシートはリタードローラ10によって制止されて最上位シートに対して滑るため、シートPの重送が防がれる。
次に、シート積載部2に取り付けられている摩擦部材6について説明する。摩擦部材6は、給送カセット1から最後に給送されるシート、つまりシート積載部2の上面2aに接触しているシート(以下、最終シートとする)に対して、シート搬送方向D1とは逆方向の摩擦力を与える。摩擦部材6は、シート積載部2に複数枚のシートPが積載され、かつピックアップローラ8が最上位シートに当接した状態で、次の条件(4)が満たされるように構成される。
Fa>Fb ・・・(4)
ただし、Faは最終シートが摩擦部材6から受ける摩擦力(最大静止摩擦力)であり、Fbは最終シートがその上に重なるシートから受ける摩擦力(最大静止摩擦力)である。
この条件を満たすとき、最終シートが摩擦部材6に対して静止している状態で、その上に重なるシートがピックアップローラ8からFbより大きな接線力を受けることで最終シートに対して滑ることになる。即ち、摩擦部材6は、最終シートがその上に積載されたシートと共にピックアップローラ8によって給送されることを防ぎ、シート給送装置の耐重送性能、つまりシートの重送を防ぐ能力を向上させることができる。
なお、ピックアップローラ8及び摩擦部材6は、いずれもシートPの表面に面接触可能な弾性材料(ソフトマテリアル)によって構成される。ピックアップローラ8は、例えばEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)やポリウレタン等の材料で形成され、摩擦部材6は、例えばポリウレタン樹脂やコルク等の材料で形成されている。
(スティックスリップ)
ここで、シートの給送を行う場合に、摩擦部材6と最終シートとの接触面、又はシート同士の接触面で生じることのあるスティックスリップ現象について説明する。スティックスリップ現象が生じた場合、シート及びピックアップローラ8が振動し、その振動がシート給送装置230のフレーム等で増幅されることで異音となることがある。
スティックスリップ現象は、一般的に、摺動する物体間の静止摩擦係数が大きいほど起こりやすい。また、物体間の相対移動速度(本実施例の場合はシート搬送速度)が低速であるほど、スティック状態が長くなり静止摩擦力が大きくなるため、スティックスリップ現象が起こりやすいことが知られている。例えば、村木正芳(2007)『図解 トライボロジー 摩擦の科学と潤滑技術』日刊工業新聞社参照。
従って、シートを給送する際のシート搬送速度(給送速度)を高速に設定することは、スティックスリップ現象の発生防止に有効である。しかし、給送速度を増加させる場合、耐重送性能の低下に留意する必要がある。この理由は以下の通りである。複数枚が重なった状態(重送状態)で分離ニップ部に到達したシートは、フィードローラ9及びリタードローラ10の作用によって分離される。ここで、給送速度が大きい程、フィードローラ9の回転速度、及びシートが分離ニップ部に存在しない状態でフィードローラ9に連れ回るリタードローラ10の回転速度が大きくなる。そのため、重送状態のシートが分離ニップ部に到達した際に、リタードローラ10に働く慣性力によってリタードローラ10が即座に回転を停止することができず、シートを重送状態のままで通過させてしまう場合がある。そして、分離ニップ部の下流側の搬送部材(例えば、図1の搬送ローラ対14)に重送状態のシートが到達したり、次のシート給送動作の開始時のシート位置がずれたりすると、ジャム(紙詰まり)等の搬送異常の原因となる。
ここで、摩擦部材6とシートとの接触面、又はシート同士の接触面でスティックスリップ現象が発生した場合の装置の振動を測定すると、特定周波数の成分が増加した状態であることがわかっている。なお、測定対象の部位がピックアップローラ8、給送ユニット13、及び装置本体201Aのいずれであっても同様の結果となることが分かっている。図3(a)はスティックスリップが発生しなかった場合、図3(b)はスティックスリップが発生した場合の装置の振動を周波数毎に分析した実験結果の一例である。図3(b)では周波数Fnの振動が増加しており、この周波数Fnの振動がスティックスリップを原因とするものと判断できる。
そこで、給送速度が比較的低速に設定された状態と、給送速度が比較的高速に設定された状態を、装置の特定周波数の振動の大きさに応じて切替えることが考えられる。そして、特定周波数の振動が大きい場合にのみ、給送速度を高速に設定することで、耐重送性能の低下を最小限に抑えつつ、スティックスリップ現象を防いで異音の発生を低減することができる。以下、本実施例におけるシート給送動作の制御方法について説明する。
図2に示すように、シート給送装置230には、装置の物理的な振動を検知可能な検知手段として、加速度センサ11が設けられている。加速度センサ11は、装置本体201Aの枠体に固定される給送フレーム19に取付けられている。図4に示すように、加速度センサ11は、画像形成装置201に搭載された制御部260に接続され、制御部260は、加速度センサ11の検知結果に基づいてリフタモータM1及び給送モータM2の駆動状態を制御する。制御部260は、シート給送装置を制御する制御手段の一例であり、制御プログラム及びシートの属性等の情報を格納する記憶部としてのメモリ262と、メモリ262からプログラムを読出して実行するCPU(中央演算装置)261とを含む。
制御部260は、加速度センサ11から、スティックスリップ現象を原因として生じる振動の周波数Fn近傍、つまり予め設定された周波数帯域における加速度情報を取得し、この範囲内の加速度が閾値を超えた場合にスティックスリップが発生したと判断する。なお、スティックスリップ現象により異音が生じている場合、異音が生じていない場合と比較して、加速度のピーク値が少なくとも10倍以上の差が生じることが実験等によってわかっている。そこで本実施例では、まず異音が生じていない場合の周波数Fn近傍における加速度のピーク値を取得しておく。この値と比較し、周波数Fn近傍におけるピーク値が10倍以上になった場合をスティックスリップにより異音が発生している状態と判断する。
制御部260は、低速(第1の速度)でシートの給送を開始した後、加速度センサ11からの検知信号を受信し、その検知信号に基づいてスティックスリップ現象が発生しているかどうかを判断する。そして、スティックスリップ現象が発生していると判断した場合に、シートの給送速度を高速(第2の速度)に切替える。なお、高速な給送速度とは、シートと摩擦部材6との間でスティックスリップ現象を発生させないように設定される速度であり、これについては後で詳細に説明する。
ここで、あるシート(後続シート)の給送速度を低速から高速に切替えた場合に、先行シートと後続シートとのシート間距離を適切に保つ方法について説明する。図5は、縦軸にシートの先端及び後端、つまりシートの搬送方向における下流端及び上流端の位置を、横軸に時間を示している。先行シート及び後続シートの給送開始時の給送速度はV1であり、後続シートの給送速度を高速に切替えた場合の給送速度はV2であるものとする。また、先行シート及び後続シートの給送間隔はΔt0であるものとする。ただし、給送間隔とは、先行シートがピックアップローラ8によって給送を開始され、その先端が給送カセット1の先端セット位置から移動を始めてから、後続シートの先端が先端セット位置から移動を始めるまでの時間間隔である。V1、V2は
V1<V2 ・・・(5)
の関係を満たし、給送速度V2でシートを搬送した場合には最終シートと摩擦部材6の接触面、又は先行シートと後続シートの接触面におけるスティックスリップ現象は発生しないものとする。
ここで、後続シート(第2のシート)について給送速度が切替えられるか否かに関わらず、先行シート(第1のシート)が転写部に進入してから後続シートが転写部に進入するまでの時間間隔が一定(Δt0)となることが好ましい。また、転写部におけるシートの搬送速度は、給送速度の切替えの有無に関わらず、一定(V1)となることが好ましい。これは、可能な限り均質な条件で画像形成を行うことで、シート間で画像の濃度ムラ等の影響が現われることを避けるためである。
先行シートの給送が時刻t0に速度V1で開始された後、時刻t0からΔt0の時間(第1の時間)が経過した時刻t1に速度V1で後続シートの給送が開始される。加速度センサ11の検知信号から制御部260がスティックスリップの発生を検知しなかった場合、後続シートについて給送速度の切替えは行われず、一定の速度V1で給送が継続される(破線参照)。この場合は、速度V1でシートの搬送を継続することにより、転写部におけるシート同士の時間間隔(Δt0)及びシート搬送速度(V1)が一定に保たれる。
一方、制御部260がスティックスリップの発生を検知した場合、検知と同時(時刻t3)に後続シートの搬送は一時停止される。その後、一時停止からΔt2の時間が経過した時刻t4に、給送速度をV2に切り替えて後続シートの給送を再開する。さらに、後続シートの先端が転写部に進入する時刻t5に、再度、速度をV1に切り替える制御が行われる。シートの搬送を再開するまでの待ち時間(Δt2)の長さは、時刻t1から速度V1で転写部までシートを給送した場合と同時(時刻t5)にシートが転写部に到達するように設定される。即ち、最初から速度V2で転写部までシートを給送した場合に時刻t5にシートが転写部に到着するような給送開始時刻をt2とした場合、シートの搬送を再開する時刻t4は、次の式(6)によって求めることができる。
t4=(V1/V2)×Δt1 + t2 … (6)
このような制御により、後続シートについて給送速度の切替えが行われる場合であっても、先行シートに対してΔt0の時間間隔で、かつ先行するシートと同じシート搬送速度(V1)で後続シートを転写部に送り込むことができる。
次に、前述したスティックスリップが発生しない速度V2の決定方法を説明する。実験等の検討から、シート給送装置に関して、スティックスリップ現象の発生有無を左右する要素は、主に給送フレーム19の剛性と、ピックアップローラ8を保持するローラホルダ18の減衰係数であることが分かった。給送フレーム19の剛性は、例えば、構造解析ソフトを用い、給送時を想定した力を加えた際のフレームの変形量から計算する等の方法で算出する。ここで減衰係数は、物体を自由振動させた際に、振動の隣り合う山の振幅の比を対数で表したものと定義する。言い換えると、減衰係数は物体の振動がどの程度減衰しやすいかを表す係数である。ローラホルダ18の減衰係数は、例えば、ハンマリング試験等を行うことで算出できる。
図6は縦軸にローラホルダ18の減衰係数、横軸に給送フレーム19の剛性を示しており、あるシート給送装置の給送フレーム19の剛性K、ローラホルダ18の減衰係数Cをグラフ上にプロットしたものが星印である。前述のように、シートの給送速度はスティックスリップ現象の発生しやすさに影響を与える。そこで、任意の給送速度Va,Vb,Vcに対し、スティックスリップが発生する領域としない領域を分ける境界線を、シート給送装置の質量、剛性、減衰係数、及び摩擦部材の摩擦係数の情報から算出すると、図6に示す曲線を描く。ただし、Va<Vb<Vcである。
図6において、あるシート給送装置についての剛性K及び減衰係数Cのプロット(星印)は、Vb境界線より右上、かつVa境界線より左下の領域に位置している。すなわち、このシート給送装置でシートを給送する場合、給送速度がVaであればスティックスリップが発生する可能性があり、給送速度がVb以上であればスティックスリップは発生しないことが分かる。従って、シートの給送速度V1,V2を一律でVaに設定するとスティックスリップが発生する場合であっても、シートの給送速度V2を速度Vbに設定することで、スティックスリップの発生を抑制することができる。速度V1、V2に関して、生産性が毎分45枚に設定された機種で、例えばV1=200[mm/s]、V2=300[mm/s]と設定されている。当然のことながら、シート給送装置の構成(グラフ上のプロット位置)及び要求される生産性に応じて、V1及びV2の値は適宜変更される。
(給送タスクの制御)
次に、本実施例における給送タスクの制御方法について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。画像形成装置に画像の出力を要求する信号(画像形成ジョブ)が入力されると、制御部260は、画像形成ジョブの実行に必要なシートを給送するためにシートの給送タスクを開始する。まず、制御部260は、速度V1でシートの給送を開始させた後(S10)、加速度センサ11からの検知信号に基づいて、スティックスリップが発生しているか否かを判定する(S11)。なお、制御部260は、シートの後端がピックアップローラ8を通過するまでの間、継続的にこのような判定処理を実行している。
スティックスリップが発生していていない場合(S11のNO)、制御部260は速度V1でシートの給送を継続させる(S12)。その後、給送タスクが終了かどうかを判定し(S13)、終了であれば動作を停止し(S13のYES)、未完了であれば次のシートについての処理を開始する(S13のNO)。
一方、スティックスリップが発生したと判断した場合(S11のYES)、制御部260はその時点で給送モータM2を一時停止させ(S14)、前述した搬送再開の時刻t4を算出する。そして、時刻t4になるまで待機(S15のNO)した後、時刻t4になると(S15のYES)、給送速度をV2に変更してシートの給送を再開する(S16)。その後、給送タスクが終了かどうかを判定し(S13)、終了であれば動作を停止し(S13のYES)、未完了であれば次のシートについての処理を開始する(S13のNO)。
このように、本実施例では、第1の速度(V1)でシートの給送を開始させた後、加速度センサ11の検知結果に基づいて、スティックスリップが発生したと判断した場合に給送速度を第1の速度より大きい第2の速度(V2)に切替える。これにより、シートを給送する際のスティックスリップ現象による異音の発生を低減することができる。また、スティックスリップが発生しない場合は第1の速度でシートの給送が行われるため、耐重送性能の低下を最小限に抑えることができる。
また、本実施例では、給送速度の切替えが行われる場合、給送モータM2を一時停止させた後に、切替え後の速度V2で給送モータM2の駆動を再開させるように制御される。(図5参照)。これにより、給送速度V1,V2の差が一時停止動作によって相殺され、転写部におけるシート間隔を、画像形成部201Bが安定して高品位の画像を形成するのに適した略一定の間隔(Δt0)に保つことができる。
[変形例]
上記実施例1ではシートの給送速度を図5に示すチャートに沿って制御しているが、異なる方法で給送速度を制御することも可能である。その例を図8(a)、(b)に示す。図8(a)に示す例では、時刻t1に後続シートの給送を開始した後、加速度センサ11によって時刻t3にスティックスリップの発生を検知した場合、速度をV2に切替えて給送を継続する。その後、給送開始からΔt6の時間が経過した時刻t6、つまり後続シートが速度切り替えポイント(スティックスリップの発生しやすい区間を抜けた位置)に到達する時刻にシートの搬送を一時停止させ、その後、速度V1でシートの搬送を再開する。このとき、速度V2でシートの給送を継続する時間Δt6は、先端セット位置から速度切り替えポイントまでの距離をL1としたとき、次式(7)によって算出される。
Δt6=(L1−V1×Δt1)/V2 ・・・(7)
また、図8(b)の例では、時刻t1に後続シートの給送を開始した後、加速度センサ11によって時刻t3にスティックスリップの発生を検知した場合、速度をV2に切替えて給送を継続する。その後、給送開始からΔt6の時間が経過した時刻t6にシートの搬送速度をV3に減速した後、シートの先端が転写部に到達する時刻t3に搬送速度をV1に切替える。ただし、速度V1,V2,V3は、次の式(6)を満たすものとする。
V2>V1>V3 ・・・(6)
図8(a)、(b)のいずれの例においても、シートの先端が所定位置(ここでは転写部)に到達するまでの間にシートの搬送速度が切り替えられて、速度V1より小さな状態(速度がゼロの場合を含む)となる期間が設けられている。このように、実施例1のようにシートの給送を一時停止させた後に給送速度をV2に切替える方法に代えて、シートの搬送速度を途中で減速する方法を用いても、所定位置におけるシートの間隔や搬送速度を一定に保つことが可能となる。なお、本実施例は転写部(二次転写部)におけるシートの間隔が一定になるように制御されるが、画像形成装置の他の部位にシートを給送するシート給送装置の場合には、シート間隔を一定に保つ目的位置(所定位置)が置き換わる。例えば、画像読取装置202(図1参照)において原稿となるシートを給送するシート給送装置の場合、読取ユニットによってシートが走査される読取位置におけるシートの間隔及び搬送速度が一定であることが好ましい。
また、上記実施例1ではシートの搬送速度を大きくすることでスティックスリップ現象の発生を抑制しているが、物体同士の接触面に生じる荷重を低減することもスティックスリップ現象の抑制に有効であることが知られている。そこで、図9に示すように、給送モータM2の駆動負荷が所定値以上となった場合に、ピックアップローラ8とシートの当接圧を低下させる方法を用いてもよい(S12b,S14b)。図9において、給送モータM2の駆動負荷が所定値以上となった場合の当接圧P2(第2の当接圧)は、駆動負荷が所定値を超えない場合の当接圧P1(第1の当接圧)に比べて小さく設定されている。この場合、例えばリフタモータM1によってアーム板4(図2参照)の角度を制御することにより、ピックアップローラ8とシートの当接圧を調節可能である。アーム板4は当接圧を調節可能な調節手段の一例であり、ローラホルダ18を揺動させるカム機構やソレノイドを配置してもよい。
シートに対するピックアップローラ8の当接圧P2を小さく設定することで、シートと摩擦部材6との間、又はシートとその下に重なるシートとの間に発生する摩擦力が低減され、スティックスリップ現象の発生が抑制される。一方、給送モータM2の駆動負荷が所定値を超えない場合の当接圧P1は、ピックアップローラ8がシートを確実に給送できるように、P2より大きな値に設定される。なお、図9に示す例では給送モータM2の駆動負荷が所定値を超えた場合の当接圧P2が一定に保たれるが、当接圧を小さくする形態として、当接圧をゼロにしてもよいものとする。その場合、例えばシートが分離ニップ部に到達した後にピックアップローラ8をシートから離間させる等の方法が考えられる。
上記実施例1におけるピックアップローラ8はシート積載手段からシートを給送する給送手段の一例であり、例えば、ピックアップローラ8を省略して、フィードローラ9がシート積載部2に積載されたシートに直接当接して給送する構成としてもよい。このような場合であっても、フィードローラ9を駆動する駆動手段の駆動負荷に応じて給送速度を切替え、かつシート給送装置の構成に応じて給送速度を適切に設定することで、実施例1と同様の効果を得ることができる。また、実施例1では、リタードローラ10に駆動力を伝達しない構成としているが、シートPを戻す方向(シート搬送方向D1に逆らう方向)の駆動力が入力されるようにリタードローラ10を駆動源に接続してもよい(図2参照)。また、ローラ部材に代えてパッド部材を分離部材として用いて、フィードローラ9によって搬送されるシートを他のシートから分離する構成としてもよい。
次に、第2の実施形態(実施例2)について説明する。上記実施例1では、スティックスリップ現象による異音の発生を低減するために給送速度の切替えを行っているが、本実施例ではピックアップローラ8に入力される駆動力を弱めることで異音の発生を低減する。以下、実施例1と共通する要素には実施例1と同じ符号を付して説明を省略する。
図10は、本実施例に係るシート給送装置230の構成を説明するための概略図である。シート給送装置230は、シート積載手段としての給送カセット1と、給送手段としてのピックアップローラ8を含む給送ユニット13と、を備える。給送カセット1のシート積載部2には、ピックアップローラ8に対向する位置に摩擦部材6が配置されている。
ここで、本実施例では、フィードローラ9及びリタードローラ10の下流に配置された搬送ローラ対14にシートが到達したことを検知するシート検知手段として、シート検知センサ15が配置されている。図11に示すように、シート検知センサ15は、給送フレーム19に取付けられた加速度センサ11と共に、制御部260に接続されている。制御部260は、これらのセンサからの検知信号に基づいてリフタモータM1、給送モータM2、及び搬送ローラ対14を駆動する搬送モータM3の駆動状態を制御する。
前述した通り、シートを搬送する際、最終シートと摩擦部材6との接触面又はシート同士の接触面においてスティックスリップ現象が発生する場合があり、その振動がシート給送装置230のフレーム等で増幅されることで異音が生じる。ここで、あるローラ又はその近傍でスティックスリップ現象を起因とする振動が発生した場合、ローラに入力される駆動力を弱めることで振動を抑制できることが知られている。これは、駆動を弱めることで、駆動源からローラに到る駆動力の伝達経路における部材間のガタ(遊び)の影響が大きくなり、ローラを保持する構成の見かけ上の剛性が変化するためである。言い換えると、ローラに対して周期的な外力が加わったとしても、ローラの変位がガタによって吸収されるため、異音として感知されない程度に振動の伝播を抑制することが可能となる。
本実施例の場合、図10に示すように、給送モータM2の駆動力はギヤ列又はベルト伝動機構等の駆動伝達部17を介してフィードローラ9の駆動軸9Aに入力される。さらに、駆動軸9Aの回転は、ローラホルダ18に保持されたアイドラギヤ等の伝達部材を介してピックアップローラ8に伝達される。従って、給送モータM2が出力するトルクを低減することにより、ピックアップローラ8に加わる振動を、給送モータM2から駆動伝達部17及び駆動軸9Aを介してピックアップローラ8に到る駆動伝達経路において吸収させやすくなる。
ところで、ピックアップローラ8等、シートを搬送するためのローラの駆動力を弱めると、シート搬送能力が低下してシートの不送りが発生する懸念がある。そのため、制御部260は、加速度センサ11からの検知信号に基づいて、スティックスリップの発生を検知した場合にピックアップローラ8の駆動力を弱める制御を行う。
以下、本実施例における給送タスクの制御方法について、図12のフローチャートに沿って説明する。シートの給送タスクを開始すると、制御部260は給送モータM2の駆動を開始し(S20)、スティックスリップによる振動が発生しているか否かを判断する(S21)。振動が発生していない場合(S21のNO)、通常の制御で給送モータM2と搬送モータM3を駆動しシートPを搬送する(S22〜S24)。この場合、シートが搬送ローラ対14に到達したことがシート検知センサ15によって検知(S22)されても、給送モータM2によるピックアップローラ8の駆動は継続される。そして、次のシートを送り出さないように、シートの後端がピックアップローラ8を通過する前の適当なタイミングで給送モータM2が停止される(S23,S24)。給送モータM2の停止タイミングは、例えば給送カセット1に積載されたシートのサイズ情報及びシートの給送速度から算出される。その後、給送タスクが終了か否かを判定し、終了であれば動作を終了し(S25のYES)、未完了であれば次のシートについての処理を開始する(S25のNO)。
一方、加速度センサ11の検知信号からスティックスリップによる振動が発生していることを検知した場合(S21のYES)、制御部260は給送モータM2によるピックアップローラ8の駆動を切る処理を行う。即ち、制御部260は、シート検知センサ15からの検知信号に基づいてシートが搬送ローラ対14に到達するまで待機し(S26のNO)。シートが搬送ローラ対14に到達したと判断すると(S26のYES)、給送モータM2の駆動を停止する(S27)。このとき、搬送モータM3による搬送ローラ対14の駆動は継続されており、シートは搬送ローラ対14によって引き続き画像形成部へ向けて搬送される。その後、給送タスクが終了か否かを判定し、終了であれば動作を終了し(S25のYES)、未完了であれば次のシートについての処理を開始する(S25のNO)。
このように本実施例では、シートの給送を開始させた後、加速度センサ11の検知結果に基づいて、スティックスリップによる振動が発生した場合に給送モータM2からピックアップローラ8に伝わる駆動力が弱まるように制御される。これにより、シートを給送する際のスティックスリップ現象による異音の発生を低減することができる。また、スティックスリップが発生しない場合は一定の駆動力(第1の駆動力)でシートの給送が続行されるため、シートの不送り等が起こる可能性を最小限に抑えることができる。
また、本実施例では、ピックアップローラ8より下流の搬送ローラ対14にシートが到達した時点で、ピックアップローラ8の駆動が停止される。言い換えると、第2給送モードにおいて、給送手段より下流の搬送手段にシートが到達した状態で、給送手段に伝達される駆動力がゼロとなるまで弱められる。これにより、スティックスリップ現象による振動が発生したとしても、シート給送装置230の給送フレーム19等に伝わるまでに十分に減衰させることができ、異音の発生をより効果的に抑制することができる。
[変形例]
上記実施例2では、装置の振動を検知した場合にピックアップローラ8の駆動を切る(駆動力をゼロにする)制御を行っている。しかしながら、装置の振動を検知した場合の給送モータM2の出力トルク(第2の駆動力)を、給送開始時の出力トルク(第1の駆動力)より小さい値に設定して、給送モータM2の駆動を継続してもよい。例えば、給送モータM2としてDCモータを用いると共に、装置の振動を検知した場合にモータの巻線に流れる電流の最大値を、装置の振動を検知しない場合に比べて小さくなるように制限すればよい。また、本実施例ではシートが搬送ローラ対14へ到着したか否かをシート検知センサ15を用いて判断しているが、例えば、給送モータM2による給送ユニット13の駆動開始からの経過時間によって搬送ローラ対14へのシートの到着を判断してもよい。
[その他の実施形態]
以上の各実施例では、画像形成装置201の装置本体201Aに対して着脱可能な給送カセットを有するシート給送装置230(図1参照)について説明したが、他のシート給送装置に本技術を適用してもよい。画像形成装置201の側面に設けられた手差し給送装置250は、このようなシート給送装置の一例である。手差し給送装置250は、装置本体201Aの側面に開閉可能に設けられた手差しトレイ20(シート積載手段)を有し、手差しトレイ20にユーザがセットしたシートを給送ユニット130によって1枚ずつ分離して給送する。また、画像読取装置202において原稿となるシートを給送する原稿給送装置はシート給送装置の他の例である。
ところで、スティックスリップ現象に起因する装置の振動を検知するための検知手段として、実施例1,2では給送フレーム19に取付けた加速度センサ11を用いている。しかしながら、光学式変位センサやロータリーエンコーダ等、装置の物理的変位を検知可能な他のセンサを検知手段として用いてもよい。また、加速度センサ11又は他のセンサを、給送フレーム19以外の部位に、例えばローラホルダ18に取付けてもよい。ただし、ノイズとなる振動の影響を低減するため、スティックスリップが生じた場合の振動発生源に近い位置にセンサを取り付けることが好ましい。従って、上記実施例1,2のように、給送手段(ピックアップローラ8)が設けられ装置本体201Aに対して着脱可能なユニット(給送ユニット13)に検知手段を配置すると好適である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
1,20…シート積載手段(給送カセット、手差しトレイ)/4…調節手段(アーム板)/6…摩擦部材/8…給送手段(ピックアップローラ)/11…検知手段(加速度センサ)/14…搬送手段(搬送ローラ対)/15…シート検知手段(シート検知センサ)/17…伝達部(駆動伝達部)/18…保持部材(ローラホルダ)/201,230,250…シート給送装置(画像形成装置、手差し給送装置)/201B…画像形成手段(画像形成部)/260…制御手段(制御部)/M2…駆動手段(給送モータ)

Claims (13)

  1. シートが積載されるシート積載手段と、
    前記シート積載手段に積載されたシートに当接してシートを給送する給送手段と、
    前記シート積載手段に、前記給送手段に対向して配置された摩擦部材と、
    前記給送手段を駆動する駆動手段と、
    装置の振動を検知する検知手段と、
    前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記駆動手段に前記給送手段を第1の速度で駆動開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが閾値を超えた場合、前記第1の速度より大きい第2の速度で前記駆動手段に前記給送手段を駆動させる、
    ことを特徴とするシート給送装置。
  2. 前記制御手段は、前記駆動手段に前記給送手段を第1の速度で駆動開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが前記閾値を超えた場合、前記駆動手段による前記給送手段の駆動を停止させた後に、前記第2の速度で前記駆動手段に前記給送手段を駆動開始させる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
  3. 前記制御手段は、前記駆動手段に前記給送手段を第1の速度で駆動開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが前記閾値を超えた場合、
    前記駆動手段に前記給送手段を前記第2の速度で駆動開始させてから、シートの搬送方向において前記給送手段より下流の所定位置にシートが到達するまでの間に、シートの搬送速度を前記第1の速度より小さい状態とする期間を設ける、
    ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のシート給送装置。
  4. 前記制御手段は、前記駆動手段に前記給送手段を第1の速度で駆動開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが前記閾値を超えない場合、前記第1の速度で前記駆動手段による前記給送手段の駆動を継続させる、
    ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
  5. シートが積載されるシート積載手段と、
    前記シート積載手段に積載されたシートに当接してシートを給送する給送手段と、
    前記給送手段によるシートの搬送方向において前記給送手段の下流に配置され、シートを搬送する搬送手段と、
    前記シート積載手段に、前記給送手段に対向して配置された摩擦部材と、
    前記給送手段を駆動する駆動手段と、
    装置の振動を検知する検知手段と、
    前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記駆動手段に第1の駆動力で前記給送手段の駆動を開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが閾値を超えた場合、前記駆動手段が前記給送手段に与える駆動力が前記第1の駆動力より小さい状態とする、
    ことを特徴とするシート給送装置。
  6. シートの前記搬送手段への到達を検知可能なシート検知手段を備え、
    前記制御手段は、前記駆動手段に前記第1の駆動力で前記給送手段の駆動を開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが前記閾値を超えた場合、前記シート検知手段によってシートが検知されたことに基づいて前記駆動手段による前記給送手段の駆動を停止させる、
    ことを特徴とする、請求項5に記載のシート給送装置。
  7. 前記駆動手段は、モータと、前記モータの回転を前記給送手段に伝達する伝達部と、を含み、
    前記制御手段は、前記モータに前記第1の駆動力で回転を開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが前記閾値を超えた場合、前記モータを前記第1の駆動力より小さい第2の駆動力で回転させる、
    ことを特徴とする、請求項5に記載のシート給送装置。
  8. シートが積載されるシート積載手段と、
    前記シート積載手段に積載されたシートに当接してシートを給送する給送手段と、
    前記シート積載手段に、前記給送手段に対向して配置された摩擦部材と、
    前記給送手段を駆動する駆動手段と、
    装置の振動を検知する検知手段と、
    前記給送手段と前記シート積載手段に積載されたシートとの当接圧を調節可能な調節手段と、
    前記駆動手段を制御する制御手段と、を備え、
    前記給送手段が第1の当接圧でシートに当接している状態で前記駆動手段に前記給送手段の駆動を開始させた後、前記検知手段によって検知された振動の大きさが閾値を超えた場合、前記給送手段が前記第1の当接圧より小さい第2の当接圧でシートに当接している状態となるように、前記調節手段を制御する、
    ことを特徴とするシート給送装置。
  9. 前記検知手段は、加速度センサである、
    ことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシート給送装置。
  10. 前記制御手段は、前記検知手段によって検知した振動の周波数毎の成分の内、予め設定された周波数帯域におけるピーク値に基づいて、前記閾値を超えたかどうかを判断する、
    ことを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のシート給送装置。
  11. 前記給送手段は装置本体に着脱可能に装着されるユニットに設けられ、
    前記検知手段は前記ユニットに取付けられている、
    ことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のシート給送装置。
  12. 前記摩擦部材は、前記シート積載手段のシートが積載される面に比べて、シートに対する静止摩擦係数が大きい弾性材料で構成される、
    ことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシート給送装置。
  13. 前記シート積載手段から給送されるシートに画像を形成する画像形成手段を備える、
    ことを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシート給送装置。

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