JP2019059866A - 射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性のバランスに優れた射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を提供する。【解決手段】特定のエチレン含量及びMFRを有するプロピレン−エチレン共重合体(a)と、特定のエチレン含量及びMFRを有するプロピレン−エチレン共重合体(b)とを含有するプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)であって、プロピレン−エチレン共重合体(a)とプロピレン−エチレン共重合体(b)の重量比が90:10〜60:40であるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)80〜95重量%、及び、特定のMFR、曲げ弾性率、0℃におけるシャルピー衝撃強度、n−ヘキサン抽出量、及び1mmtのシートによるHAZEを有するポリプロピレン樹脂(X)5〜20重量%を含む射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に関し、詳しくは、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性のバランスに優れた射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
ポリプロピレンは、軽量であり、かつ機械的強度等に優れているので、射出成形された成形品等として、各種の分野に広く利用されている。
しかし、耐衝撃性と剛性のバランスに劣るため、種々のポリプロピレン系樹脂組成物が多数提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、上記の提案されたポリプロピレン系樹脂組成物では、難白化性には優れるが、冷蔵環境下における耐衝撃性が不足し、更に高い透明性によって遮光性が損なわれ、未だ性能が十分でなく、更なる性能向上が要望され、特に、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性のバランスに優れたポリプロピレン系樹脂組成物やそれを用いた射出成形体が求められている。
特開2015−206034号公報
本発明の目的(課題)は、上記従来技術の問題点に鑑み、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性のバランスに優れた射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物および射出成形体を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のプロピレン−エチレン系樹脂組成物に、特定のポリプロピレン樹脂を配合すると、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性が向上し、優れた射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物やそれを用いた射出成形体が得られることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、エチレン含量が0.1〜3.0重量%、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(MFR)が10〜150g/10分であるプロピレン−エチレン共重合体(a)と、エチレン含量が5〜20重量%、MFRが1〜30g/10分であるプロピレン−エチレン共重合体(b)とを含有するプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)であって、プロピレン−エチレン共重合体(a)とプロピレン−エチレン共重合体(b)の重量比が90:10〜60:40であるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)80〜95重量%、及び、下記の(i)〜(v)の特性を有するポリプロピレン樹脂(X)5〜20重量%(ただし、プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂(X)の配合割合の合計が100重量%となる)を含む射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
特性(i):MFRが8〜100g/10分である。
特性(ii):曲げ弾性率が1100〜1500MPaである。
特性(iii):0℃におけるシャルピー衝撃強度が4.5kJ/m以上である。
特性(iv):n−ヘキサン抽出量が1.0〜5.5wt%である。
特性(v):1mmtのシートによるHAZEが90%以上である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)のn−ヘキサン抽出量が1.0〜5.5wt%である射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1〜2の発明のいずれかにおいて、射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が、下記の(ア)〜(エ)の特性を有する射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が提供される。
特性(ア):0℃におけるシャルピー衝撃強度が3.5kJ/m以上である。
特性(イ):曲げ弾性率が1000MPa以下である。
特性(ウ):1mmtのシートによるHAZEが55〜95%である。
特性(エ):MFRが10〜100g/10分である。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明のいずれかに記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形部材が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜3の発明のいずれかに記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形キャップ部材が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜3の発明のいずれかに記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形ヒンジキャップ部材が提供される。
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性のバランスに優れている。
以下に、本発明の実施の形態について、詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に、本発明は、限定されるものではない。
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、エチレン含量が0.1〜3.0重量%、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(MFR)が10〜150g/10分であるプロピレン−エチレン共重合体(a)と、エチレン含量が5〜20重量%、MFRが1〜30g/10分であるプロピレン−エチレン共重合体(b)とを含有するプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)であって、プロピレン−エチレン共重合体(a)とプロピレン−エチレン共重合体(b)の重量比が90:10〜60:40であるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)80〜95重量%、及び、下記の(i)〜(v)の特性を有するポリプロピレン樹脂(X)5〜20重量%(ただし、プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂(X)の配合割合の合計が100重量%となる)を含む射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる。
特性(i):MFRが8〜100g/10分である。
特性(ii):曲げ弾性率が1100〜1500MPaである。
特性(iii):0℃におけるシャルピー衝撃強度が4.5kJ/m以上である。
特性(iv):n−ヘキサン抽出量が1.0〜5.5wt%である。
特性(v):1mmtのシートによるHAZEが90%以上である。
1.プロピレン−エチレン共重合体(a)
本発明で使用するプロピレン−エチレン共重合体(a)は、以下の特性を満足する。
(1)特性1:MFR
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(a)のMFRは、10〜150g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは30〜120g/10分、より好ましくは50〜100g/10分である。
このMFRの範囲の下限値(10g/10分)以上であると、流動性の向上により、成形加工性が良好となり、一方、上限値(150g/10分)以下のものは、樹脂組成物の生産性が良好となり、経済上好ましい。
MFR値の制御の方法は、周知であり、重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する方法における水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され、単位はg/10分である。
(2)特性2:エチレン含量
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(a)のエチレン含量は、0.1〜3.0重量%の範囲であることが必要であり、好ましくは1.0〜2.8重量%、より好ましくは1.5〜2.6重量%である。
この範囲の下限値(0.1重量%)以上であると、成形品の柔軟性が良好となる。また上限値(3.0重量%)以下であると、結晶化温度の上昇により、成形時の固化が速くなり、成形加工性が良好となる。
エチレン含量は、重合時におけるプロピレンとエチレンのモノマー組成の制御によって調整することができる。
2.プロピレン−エチレン共重合体(b)
本発明で使用するプロピレン−エチレン共重合体(b)は、以下の特性を満足する。
(1)特性1:MFR
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(b)のMFRは、1〜30g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは3〜20g/10分、より好ましくは5〜15g/10分である。
この範囲の下限値(1g/10分)以上であると、プロピレン−エチレン共重合体(a)への分散性が向上し、成形品にフィッシュアイが発生することを抑制することが可能となる。また、上限値(30g/10分)以下であると、低結晶成分が表面にブリードしにくくなることにより、加熱後の外観が良好となる。
(2)特性2:エチレン含量
本発明に用いるプロピレン−エチレン共重合体(b)のエチレン含量は、5〜20重量%の範囲であることが必要であり、好ましくは7〜15重量%、より好ましくは8〜13重量%である。
この範囲の下限値(5重量%)以上であると、成形品の耐衝撃性が向上する。また、上限値(20重量%)以下であると、プロピレン−エチレン共重合体(a)との相溶性が向上することにより、成形品の耐白化性が良好となる。
3.プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)
本発明で用いるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)は、以下の特性を満足する。
(1)特性1:プロピレン−エチレン共重合体(a)とプロピレン−エチレン共重合体(b)の重量比
本発明に用いるプロピレン−エチレン系樹脂組成物は、プロピレン−エチレン共重合体(a)とプロピレン−エチレン共重合体(b)とを含有するものであり、ここで、プロピレン−エチレン共重合体(a)とプロピレン−エチレン共重合体(b)の重量比は、90:10〜60:40の範囲であることが必要であり、好ましくは87:13〜65:35、より好ましくは84:16〜70:30である。
プロピレン−エチレン共重合体(a)の重量比の上限値(90)以下であると、成形品の耐衝撃性が向上し、更に透明性が向上し、例えば1mmtのHAZEは60%以下となり高い耐白化性を示す。一方、下限値(60)以上であると、成形時の固化が速くなり、成形加工性が向上する。
プロピレン−エチレン共重合体(a)、(b)の比率及びエチレン含量は、CFC−IR法によって測定される。その方法は、次の通りである。
(i)使用する分析装置
(ア)クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す。)
(イ)フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して、代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。
CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃の温度に保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは、光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃の温度に保持する。
(ウ)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
(ii)CFCの測定条件
(ア)溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
(イ)サンプル濃度:4mg/ml
(ウ)注入量:0.4ml
(エ)結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
(オ)分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40℃、100℃、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。
なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
(カ)溶出時溶媒流速:1ml/分
(iii)FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
(ア)検出器:MCT
(イ)分解能:8cm−1
(ウ)測定間隔:0.2分(12秒)
(エ)一測定当たりの積算回数:15回
(iv)測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mlとなるようにODCB(0.5mg/mlのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4ml注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算は、森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には、以下の数値を用いる。
(ア)標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
(イ)プロピレン−エチレン系樹脂組成物のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
上記溶出分別された各溶出部分の分子量は、Mw(40)、Mw(100)、Mw(140)と定義される。全体の分子量分布は、3分別で得られたデータを合計し、計算で求めた。これより、後述の重量平均分子量が3,000以下の成分の含量(重量%)は、積算して求められる。
また、各溶出成分のエチレン含量分布(分子量軸に沿ったエチレン含量の分布)は、FT−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含量が既知となっているエチレン・プロピレン・ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して、予め作成しておいた検量線により、エチレン含量(重量%)に換算して求める。
本発明におけるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)中のプロピレン−エチレン共重合体(a)部(EP1)とプロピレン−エチレン共重合体(b)部(EP2)との比率(Wc)は、上記の方法で測定した結果を用い、下記式(I)で理論上は、定義され、以下のような手順で求められる。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100・・・(I)
式(I)中、W40、W100は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100は、W40、W100に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含量(単位:重量%)であり、B40、B100は、各フラクションに含まれるEP1、EP2のエチレン含量(単位:重量%)である。A40、A100、B40、B100の求め方は、後述する。
式(I)の意味は、以下の通りである。すなわち、式(I)右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEP1の量を算出する項である。フラクション1がEP2のみを含み、EP1を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEP2含有量に寄与するが、フラクション1には、EP2由来の成分のほかに少量のEP1由来の成分(極端に分子量の低い成分)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこで、W40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EP2成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含量(A40)が15重量%であり、フラクション1に含まれるEPのエチレン含量(B40)が20重量%である場合、フラクション1の15/20=3/4(即ち75重量%)はEP2由来、1/4はEP1由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からEP2の寄与を算出することを意味する。
ここで、さらに次の条件を考慮して計算を行う。
(ア)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜2に対応する平均エチレン含量をそれぞれA40、A100とする(単位は、いずれも重量%である)。平均エチレン含量の求め方は後述する。
(イ)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含量をB40とする(単位は重量%である)。
フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明では、実質的にB100=100と定義する。
B40、B100は、各フラクションに含まれるプロピレン−エチレン共重合体のエチレン含量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するEP1とEP2を完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40は、フラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができる。すなわち、B40は、フラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含量である。また、B100は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、及び、これらのフラクションに含まれるEP1の量がフラクション1に含まれるEP1の量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこで、B100=100として解析を行う。
(ウ)上記の理由から下記式(II)に従い、上記比率(Wc)を求める。
Wc(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100・・・(II)
つまり、式(II)右辺の第一項であるW40×A40/B40は、結晶性を持たないEP2含有量(重量%)を示し、第二項であるW100×A100/100は、結晶性を持つEP1含有量(重量%)を示す。
ここで、B40及びCFC測定により得られる各フラクション1及び2の平均エチレン含量A40、A100は、次のようにして求める。
微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含量をB40とする。また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含量の積の総和をフラクション1の平均エチレン含量A40とする。フラクション2の平均エチレン含量A100も同様に求める。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。
本発明のCFC分析においては、40℃とは、結晶性を持たないポリマー(例えば、EP2の大部分、又はEP1の中でも極端に分子量の低い成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えば、プロピレン−エチレン共重合体中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、及び結晶性の低いEP1)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えば、EP1の中でも特に結晶性の高い成分、及びEP2中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン−エチレン系樹脂組成物の全量を回収するのに必要十分な温度である。
なお、W140には、EP2成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることから、EP2の比率やEP2のエチレン含量の計算からは排除する。
本発明におけるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)中のプロピレン−エチレン共重合体(a)部(EP1)とプロピレン−エチレン共重合体(b)部(EP2)のエチレン含量は、上記の方法で測定した結果を用い、下記式(III)で求められる。
EPのエチレン含量(重量%)=(W40×A40+W100×A100)/Wc・・・(III)
本発明で用いられるプロピレン−エチレン共重合体(a)、及びプロピレン−エチレン共重合体(b)を得るために用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。
例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、又は、メタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報等に記載)が使用できる。
本発明では、柔軟性、耐衝撃性のバランスが良いプロピレン−エチレン系樹脂組成物が特に好ましいため、一般的に立体規則性の高いチーグラー・ナッタ触媒がより好ましい。
プロピレン−エチレン共重合体(a)、及びプロピレン−エチレン共重合体(b)の製造プロセスに関しては、前述の諸特性を満足すれば、いかなる方法で製造してもよいが経済性の観点から気相法プロセスが好ましい、その中でも液化プロピレンの蒸発潜熱を利用して重合熱を除去する形式で水平軸回りに回転する撹拌機を有する横型反応器を持つプロセスで製造することがより好ましい。
また、プロピレン−エチレン共重合体(a)、及びプロピレン−エチレン共重合体(b)の混合についても、前述の諸特性を満足すれば、いかなる方法で製造してもよいが、2段連続重合法を採用することにより、プロピレン−エチレン共重合体(a)に対するプロピレン−エチレン共重合体(b)の分散が良好となり、より耐白化性が向上する。
(2)特性2:n−ヘキサン抽出量
本発明に用いるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)のn−ヘキサン抽出量は、好ましくは1.0〜5.5wt%の範囲であり、より好ましくは1.5〜5.0wt%であり、更に好ましくは2.0〜4.5wt%である。
この範囲の下限値(1.0wt%)以上であると、成形品の耐衝撃性が向上し、一方、上限値(5.5wt%)以下であると、食品衛生性が向上する。
4.ポリプロピレン樹脂(X)
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)は、以下の特性を満足する。
(1)特性1:MFR
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)のMFRは、8〜100g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは10〜75g/10分であり、より好ましくは20〜50g/10分である。
この範囲の下限値(8g/10分)以上であると、流動性向上により、成形加工性が良好となり、一方、上限値(100g/10分)以下であると、耐衝撃性が良好となる。
(2)特性2:曲げ弾性率
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)の曲げ弾性率は、1100〜1500MPaの範囲であることが必要であり、好ましくは1200〜1450MPaであり、より好ましくは1300〜1400MPaである。
この範囲の下限値(1100MPa)以上であると、成形時の固化が速くなり、成形加工性が向上し、一方、上限値(1500MPa)以下であると、成形品の耐衝撃性が向上する。
(3)特性3:0℃におけるシャルピー衝撃強度
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)の0℃におけるシャルピー衝撃強度は、4.5kJ/m以上の範囲であることが必要であり、より好ましくは5.5kJ/m以上である。
この範囲の下限値(4.5kJ/m)以上であると、冷蔵環境下における成形品の耐衝撃性が向上する。
(4)特性4:n−ヘキサン抽出量
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)のn−ヘキサン抽出量は、1.0〜5.5wt%の範囲であることが必要であり、好ましくは1.5〜5.0wt%であり、より好ましくは2.0〜4.5wt%である。
この範囲の下限値(1.0wt%)以上であると、成形品の耐衝撃性が向上し、一方、上限値(5.5wt%)以下であると、食品衛生性が向上する。
(5)特性5:1mmtのHAZE
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)の1mmtにおけるHAZEは、90%以上の範囲であることが必要であり、好ましくは95%以上であり、より好ましくは98%以上である。
この範囲の下限値(90%)以上であると、遮光性が高くなり、内容物の紫外線劣化の抑制効果が向上する。
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(X)は、上述した特性を満足する限り、ホモポリプロピレンでも、エチレン等の他のα−オレフィンをコモノマーとしたプロピレン−α−オレフィン共重合体であってもよい。
5.射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物
(1)特性1:ポリプロピレン樹脂(X)の配合割合
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、前記プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)80〜95重量%、好ましくは85〜95重量%、より好ましくは90〜95重量%と、前記ポリプロピレン樹脂(X)5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%とを含む。ただし、プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂(X)の配合割合の合計は100重量%となる。
プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂(X)の配合割合が上記の範囲であると、本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性および成形性のバランスに優れたものとなる。
(2)特性2:0℃におけるシャルピー衝撃強度
本発明に係る射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の0℃におけるシャルピー衝撃強度は、3.5kJ/m以上の範囲であることが好ましく、より好ましくは4.5kJ/m以上であり、さらに好ましくは5.0kJ/m以上である。
この範囲の下限値(3.5kJ/m)以上であると、冷蔵環境下における成形品の耐衝撃性が向上する。
(3)特性3:曲げ弾性率
本発明に係る射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の曲げ弾性率は、1000MPa以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは950MPa以下であり、さらに好ましくは900MPa以下である。
この範囲の上限値(1000MPa)以下であると、良好な柔軟性が得られる。
(4)特性4:1mmtのHAZE
本発明に係る射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の1mmtにおけるHAZEは、55〜95%以上の範囲であることが好ましく、より好ましくは60〜90%であり、さらに好ましくは65〜85%である。
この範囲の下限値(55%)以上であると、遮光性が高くなり、内容物の紫外線劣化の抑制効果が向上し、一方、上限値(95%)以下であると、耐白化性が良好となる。
(5)特性5:MFR
本発明に係る射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、10〜100g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜75g/10分であり、さらに好ましくは30〜50g/10分である。
この範囲の下限値(10g/10分)以上であると、流動性向上により、成形加工性や成形品への分散性が良好となり、一方、上限値(100g/10分)以下であると、耐衝撃性が良好となる。
6.造核剤
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物に、造核剤を含有させることで、より透明性、耐衝撃性が良好な成形品を得ることができる。
造核剤としては、有機燐酸エステル金属塩、有機モノカルボン酸金属塩、有機ジカルボン酸金属塩、ポリマー核剤、ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体、ジテルペン酸類の金属塩等が使用される。
上記有機燐酸エステル金属塩としては、例えば、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−i−プロピル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−ブチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−t−オクチルメチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[(2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4−s−ブチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−エチルフェニル)フォスフェート、カリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フオスフェート]、マグネシウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム−ビス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]、アルミニウム−トリス[2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等が例示される。
上記有機モノカルボン酸金属塩としては、例えば、安息香酸、アリル置換酢酸、等の金属の塩であり、具体的には、安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、o−第3級ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、モノフェニル酢酸、ジフェニル酢酸、フェニルジメチル酢酸、アジピン酸及びこれらのLi、Na、Mg、Ca、Ba、Al塩、等が例示される。上記有機ジカルボン酸金属塩としては、例えば、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、シクロヘキサンカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸及びこれらのLi、Na、Mg、Ca、Ba、Al塩などを挙げることができる。上記ポリマー核剤としては、例えば、ポリビニルシクロヘキサン、ポリ−3−メチル−ブテン−1等が例示される。
上記ジベンジリデンソルビトール又はその誘導体としては、例えば、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−i−プロピルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−n−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−s−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールなどを例示することができる。特に好ましくは、1,3,2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,2,3−トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−O−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトール等が例示される。
上記ジテルペン酸類の金属塩は、ジテルペン酸類とマグネシウム化合物、アルミニウム化合物等の所定の金属化合物との反応生成物である。ジテルペン酸は、一般に、マツ科植物から得られる天然樹脂として知られているロジン、具体的には、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン;不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン;及び前記天然ロジンや変性ロジンの精製物などを原料として得られる。ジテルペン酸類としては、例えば、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などが挙げられる。
これらのうち、好ましい造核剤は、有機燐酸エステル金属塩、有機ジカルボン酸金属塩であり、更に好ましくは、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム−2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム−トリス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェル)フォスフェート]、アルミニウムヒドロオキシ−ビス[2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウムジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートのような架橋した置換芳香族基を有する燐酸エステル金属塩、又は、2−シクロヘキサンジカルボン酸ナトリウム、1,2−ノルボルナンジカルボン酸ナトリウム、1,2−ノルボルナンジカルボン酸マグネシウムのような脂環式炭化水素ジカルボン酸金属塩が挙げられる。金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム塩等が例示され、より好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム等の1族金属である。
造核剤の含有量は、プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂(X)の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜0.7重量部であり、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。造核剤の含有量が0.01重量部以上であると、透明性、耐衝撃性の改良効果が十分に得られ、一方、0.7重量部以下であると、費用対前記効果(コスト・パフォーマンス)の点から有利である。
なお、これら造核剤は、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
7.その他添加剤
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物には、性能を損なわない範疇で、また、各種添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、銅害防止剤、帯電防止剤、難燃剤、親水化剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、着色剤、充填剤、ポリエチレン、エラストマー、石油樹脂、抗菌剤などを含有させることができる。
また、MFR調整が必要な場合は、有機過酸化物を配合することもできる。
8.射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物は、前述のプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)、ポリプロピレン樹脂(X)、必要に応じて造核剤及びその他添加剤等の各種配合成分の所定量を、例えば、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー、タンブラーミキサー、バンバリーミキサー、等の通常の混合装置を用いて、混合することによって得ることができる。得られた混合物を、単軸もしくは2軸の押出機、又はロールなどを用いて、溶融混練温度150〜300℃、好ましくは180〜250℃でペレタイズすることによって、ペレット状の組成物とすることもできる。
9.射出成形品
本発明の射出成形品(射出成形体)は、上記の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を通常の射出成形法、射出圧縮成形法、射出発泡成形法等に付すことにより得られる。
この射出成形品としては、具体的には、食品容器(プリン容器、ゼリー容器、ヨーグルト容器、その他のデザート容器、惣菜容器、茶碗蒸し容器、インスタントラーメン等のインスタント麺類に代表されるインスタント食品用の容器、米飯容器、レトルト容器、弁当容器等)、飲料容器(飲料ボトル、チルドコーヒー容器、ワンハンドカップ容器、その他の飲料容器等)、キャップ(ヒンジキャップ、ペットボトルキャップ、1ピースキャップ、2ピースキャップ、インスタントコーヒーのキャップ、調味料キャップ、化粧品容器キャップ等)、その他各種容器(インク容器、化粧品容器、シャンプー容器、洗剤容器等)、日用品(衣装ケース、バケツ、洗面器、筆記用具、コンテナ、玩具、調理器具、その他各種ケース等)などが挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、物性測定法及び使用材料は、以下の通りである。
1.物性の評価方法
(1)MFR
本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS K−7210−1999(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定される。
(2)曲げ弾性率
射出成形法により試験片を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、JIS K7171(ISO178)に準拠して求めた。
(3)シャルピー衝撃強度
射出成形法により試験片を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、0℃の恒温槽で1時間以上の状態調整を行いJIS K7111に準拠して求めた。
(4)透明性(Haze、ヘーズ)
射出成形法により厚さ1mmtの平板を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に24時間放置した後、JIS K7136(ISO14782)に準拠して求めた。
(5)n−ヘキサン抽出量
200℃でのプレス成形によって、120mm×120mm×0.1mmtのシートを作成し、これを2.5g分切り出し試験片とした。50℃に調整した1Lのn−ヘキサン中に試験片を入れ、撹拌しながら2時間抽出を行った。抽出後、n−ヘキサン溶液から試験片を取出し、次に、n−ヘキサン溶液からn−ヘキサンを蒸発させることによって、n−ヘキサン溶液に抽出された成分の重量の割合を求めた。
(6)白化
射出成形法により厚さ1mmtの平板を成形し、成形後に室温23℃、相対湿度50%に調節された恒温室に1週間以上放置した後、成形品を折り曲げた時の白化の程度を目視により評価した。尚、白化が確認できない場合は○、僅かに白化が確認された場合は△、著しく白化が生じた場合は×と表記した。
(7)製品外観
射出成形法により厚さ1mmtの平板を成形し、成形品の外観(色むら)の程度を目視により評価した。尚、色むらがない場合は○、色むらが生じた場合は×と表記した。
2.使用材料
(1)プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)
下記の製造例1で得られたプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)、すなわちプロピレン系重合体(PP−1と称す)を用いた。
<製造例1(PP−1)>
(i)固体触媒成分(A)の製造
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したトルエン2Lを導入した。ここに、室温で、Mg(OEt)を200g、TiClを1L添加した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。次いで、精製したトルエンを導入して全体の液量を2Lに調整した。室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2hr反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体成分のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングし分析したところ、固体成分のTi含量は2.7重量%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分のスラリーを固体成分として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が25g/Lとなる様に調整した。SiClを50ml加え、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
その後、精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、ジメチルジビニルシランを30ml、(i−Pr)Si(OMe)を30ml、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして80g添加し、40℃で2hr反応を行った。
反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥、分析したところ、固体成分にはTiが1.2重量%、(i−Pr)Si(OMe)が8.8重量%含まれていた。
更に、上記で得られた固体成分を用いて、以下の手順により予備重合(予備活性化処理)を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が20g/Lとなる様に調整した。
次に、スラリーを10℃に冷却した後、EtAlのn−ヘプタン希釈液をEtAlとして10g添加し、280gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30min反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って予備活性化処理した固体触媒成分(A)を得た。この固体触媒成分は、固体成分1gあたり2.5gのポリプロピレンを含んでいた。また、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.0重量%、(i−Pr)Si(OMe)が8.2重量%含まれていた。
(ii)プロピレン系重合体の製造
2つの気相流動床よりなる重合反応器を用い2段重合法によりプロピレン系重合体を製造した。
第1反応器(内容積2.19m)に上記予備活性化処理した固体触媒成分(A)を0.26g/hr、有機アルミニウム化合物としてEtAlを5.2g/hrで連続的に供給した。反応温度75℃、反応圧力3.0MPa、空塔速度0.35m/s、ポリプロピレンパウダーのベッド重量40kgの条件を維持しながら、重合器内に水素及びエチレンをそれぞれ水素/プロピレン=0.056モル比、エチレン/プロピレン=0.013モル比で連続供給し、プロピレン−エチレン共重合体(a)部を得た。
次いで、得られた重合体は、第2反応器(内容積2.19m)に移送され、反応温度80℃、反応圧力2.5MPa、空塔速度0.50m/s、ポリプロピレンパウダーのベッド重量60kgの条件を維持しながら、重合器内に水素及びエチレンをそれぞれ水素/プロピレン=0.032モル比、エチレン/プロピレン=0.071モル比で連続供給し、プロピレン系重合体(PP−1)を得た。
尚、プロピレン−エチレン共重合体の反応量を調節するため、重合活性抑制剤としてエタノールをエタノール/Al=0.72モル比で供給した。
プロピレン−エチレン共重合体(a)部のMFRは88.0g/10分、エチレン含量は2.2重量%であった。プロピレン系重合体(PP−1)のMFRは44.0g/10分、エチレン含量は4.0重量%であった。ここで、2段目で製造したプロピレン−エチレン共重合体(b)部についてのインデックスを計算したところ、生産量は全体の重量に対し33%であり、MFRは10.7g/10分、エチレン含量は7.5重量%であった。
また、プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)、すなわちプロピレン系重合体(PP−2と称す)を用いた。
(PP−2)プロピレンエチレン共重合体:ウィンテックPP WSX02(日本ポリプロ(株)製商品名)、触媒:メタロセン触媒、MFR:25g/10分、エチレン含量:3.4重量%
(2)ポリプロピレン樹脂(X)
ポリプロピレン樹脂(X)としては、下記のポリプロピレン樹脂(X−1〜5)を使用した。
(X−1)プロピレンエチレンブロック共重合体:ノバテックPP BC03GN(日本ポリプロ(株)製商品名)、触媒:チーグラー触媒、MFR:30g/10分、曲げ弾性率:1350MPa
(X−2)プロピレンエチレンブロック共重合体:ノバテックPP NBC03HRA(日本ポリプロ(株)製商品名)、触媒:チーグラー触媒、MFR:30g/10分、曲げ弾性率:980MPa
(X−3)プロピレンエチレンブロック共重合体:ノバテックPP BC6D(日本ポリプロ(株)製商品名)、触媒:チーグラー触媒、MFR:2.5g/10分、曲げ弾性率:1150MPa
(X−4)プロピレンエチレンブロック共重合体:ノバテックPP BC3HF(日本ポリプロ(株)製商品名)、触媒:チーグラー触媒、MFR:8.5g/10分、曲げ弾性率:1200MPa
(X−5)プロピレンエチレンブロック共重合体:ノバテックPP BC02NC(日本ポリプロ(株)製商品名)、触媒:チーグラー触媒、MFR:20g/10分、曲げ弾性率:1400MPa
(X−6)プロピレン単独重合体:ノバテックPP MA04A (日本ポリプロ(株)製商品名)、触媒:チーグラー触媒、MFR:40g/10分、曲げ弾性率:2000MPa
(3)造核剤
(i)造核剤(B−1):(株)ADEKA製商品名、アデカスタブNA21、有機燐酸エステル金属塩系核剤
[実施例1]
(1)ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)として、製造例1で得られた(PP−1)パウダー95重量%と、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X−1)5重量%と、(PP−1)及び(X−1)の合計100重量部に対して造核剤(B−1)0.2重量部、中和剤のステアリン酸カルシウム0.05重量部、フェノール系酸化防止剤のペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製商品名、イルガノックス1010;以下RA1010と略す。)0.05重量部、リン系酸化防止剤のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト(BASF社製商品名、イルガフォス168;以下RA168と略す。)0.05重量部、スリップ剤としてオレイン酸アミド0.08重量部を添加し、スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。
その後、得られたパウダー混合物を、東芝機械(株)製2軸押出機TEM35を用いホッパーを窒素シールしながら、シリンダー温度200℃、スクリュー回転数150rpm、押出量15kg/hで造粒し、ポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを得た。得られたポリプロピレン系樹脂組成物のMFRは、43g/10分であった。
上記製造例1で得られたプロピレン系重合体(PP−1)パウダーであるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)、並びに樹脂組成物(A)中のプロピレン−エチレン共重合体(a)及びプロピレン−エチレン共重合体(b)の各組成を表1に示す。
(2)射出成形品(射出成形体)の製造
上記で得られたポリプロピレン系樹脂組成物のペレットを用いて、東芝機械(株)製射出成形機EC100に供給し、射出1次圧力50MPa、成形温度200℃、金型冷却水温度40℃、成形サイクル15秒で試験片、試験用平板を成形した。
得られた試験片、試験用平板について、前記の項目(曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度、Haze、白化)の物性評価を行った。その結果を表1に示す。
[実施例2]
プロピレン系重合体(PP−1)を90重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X−1)を10重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
[実施例3]
プロピレン系重合体(PP−1)を80重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X−1)を20重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
[実施例4]
プロピレン系重合体(PP−1)を90重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−4)を10重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
[実施例5]
プロピレン系重合体(PP−1)を90重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−5)を10重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
[実施例6]
プロピレン系重合体(PP−1)を80重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−5)を20重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
[比較例1]
プロピレン系重合体(PP−1)を100重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
[比較例2]
プロピレン系重合体(PP−1)を75重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X−1)を25重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表1に示す。
[比較例3]
プロピレン系重合体(PP−1)を70重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X−1)を30重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
[比較例4]
プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)を用いず、ポリプロピレン樹脂(X)のペレット(X−1)を100重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
[比較例5]
プロピレン系重合体(PP−1)を90重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−2)を10重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
[比較例6]
プロピレン系重合体(PP−1)を90重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−3)を10重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
[比較例7]
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として(PP−2)を90重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−1)を10重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
[比較例8]
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として(PP−2)を80重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−1)を20重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
[比較例9]
プロピレン−エチレン系樹脂組成物として(PP−2)を90重量%、ポリプロピレン樹脂(X)のペレットとして(X−6)を20重量%用いた以外は、実施例1と同様にして、ポリプロピレン系樹脂組成物、射出成形品を得た。その結果を表2に示す。
Figure 2019059866
Figure 2019059866
表1〜2から明らかに、本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を使用して得られた射出成形品である実施例1〜5は、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性が良好であることが判る。
一方、本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の構成要件を満たさない比較例1〜4及び7〜9では、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性のいずれかが良好でない。また、比較例5は、ポリプロピレン樹脂(X)のn−ヘキサン抽出量が高いため、食品衛生性の観点から実用的ではなく、比較例6は、ポリプロピレン樹脂(X)のMFRが低いため、色むらを生じている。
本発明の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物を使用して得られた射出成形品は、柔軟性、耐衝撃性、遮光性、耐白化性、及び成形性が良好で、且つポリプロピレン樹脂の特徴である軽量感も保持しているので、食品容器、飲料容器、キャップ(特にはヒンジキャップ)、日用品等の用途に好適に用いることができ、産業上の利用性は極めて高い。

Claims (6)

  1. エチレン含量が0.1〜3.0重量%、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(MFR)が10〜150g/10分であるプロピレン−エチレン共重合体(a)と、エチレン含量が5〜20重量%、MFRが1〜30g/10分であるプロピレン−エチレン共重合体(b)とを含有するプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)であって、プロピレン−エチレン共重合体(a)とプロピレン−エチレン共重合体(b)の重量比が90:10〜60:40であるプロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)80〜95重量%、及び下記の(i)〜(v)の特性を有するポリプロピレン樹脂(X)5〜20重量%(ただし、プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)とポリプロピレン樹脂(X)の配合割合の合計が100重量%となる)を含む射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    特性(i):MFRが8〜100g/10分である。
    特性(ii):曲げ弾性率が1100〜1500MPaである。
    特性(iii):0℃におけるシャルピー衝撃強度が4.5kJ/m以上である。
    特性(iv):n−ヘキサン抽出量が1.0〜5.5wt%である。
    特性(v):1mmtのシートによるHAZEが90%以上である。
  2. 前記プロピレン−エチレン系樹脂組成物(A)のn−ヘキサン抽出量が1.0〜5.5wt%である請求項1に記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 前記射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が、下記の(ア)〜(エ)の特性を有する請求項1〜2のいずれかに記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
    特性(ア):0℃におけるシャルピー衝撃強度が3.5kJ/m以上である。
    特性(イ):曲げ弾性率が1000MPa以下である。
    特性(ウ):1mmtのシートによるHAZEが55〜95%である。
    特性(エ):MFRが10〜100g/10分である。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形部材。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形キャップ部材。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる射出成形ヒンジキャップ部材。
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