JP2019059184A - 凹凸シートの製造方法、凹凸シート - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、本発明による凹凸シート10の第1実施形態を示す平面図である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。よって、ここでは、凹凸シートとして説明を行うが、凹凸フィルムであってもよいし、凹凸板であってもよい。
本明細書中において、シート面とは、各シートにおいて、そのシート全体として見たときにおける、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。なお、板面、フィルム面に関しても同様であるとする。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において規定する具体的な数値には、一般的な誤差範囲は含むものとして扱うべきものである。すなわち、目視で観察した際に認識される凹凸の程度に実施上の有意な差異を感知し無い程度の差異、例えば、±10%程度の差異は、実質的には違いがないものであって、本件の数値範囲をわずかに超えた範囲に数値が設定されているものは、実質的には、本件発明の範囲内のものと解釈すべきである。
第1実施形態の凹凸シート10は、基材11と、ベタインキ層12と、絵柄層13と、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤(以下、HALS)とも略称する)を含有するHALS層14と、電離放射線硬化樹脂層15とを備えている。
S層14と、電離放射線硬化樹脂層15とを備えている。
本実施形態では、75μm厚の2軸延伸したポリエチレンテレフタレート(略称PET、ポリエステル樹脂の1種)フィルム(「ダイアホイル」、三菱樹脂株式会社製)を基材11の素材とした。
本実施形態では、ベタインキ層12及び絵柄層13は、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とを5対5の質量比で混合した樹脂組成物と着色顔料からなるグラビアインキ(「EIS」、昭和インキ工業株式会社製)により複数回の印刷を行って形成した。
なお、本実施形態の説明では、ベタインキ層12と絵柄層13とを分けて説明したが、これらをまとめて絵柄層として捉えてもよい。
HALS層14に用いる材料(インキ)は、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤(HALS)のうち安定ラジカルを持つ化合物(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、フリーラジカル)を1〜10%含有させたインキを用いる。
本実施形態では、HALS層14には、インキ100質量部に対して顔料の代わりにHALS(「Lignostab 1198」、BASF製)を3質量部添加したインキを用いて、HALS層を柄に同調させて形成した。
電離放射線硬化樹脂層15は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化するウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂等のプレポリマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の単量体の1種以上を含む組成物である電離放射線硬化性樹脂組成物が硬化して構成されている。電離放射線としては、電子線(EB)、或いは紫外線(UV)が代表的であるが、その他、これらプレポリマー或いは単量体に架橋乃至重合反応を生じせしめるエネルギー量子を持つ可視光線、X線、γ線等の電磁波、α線等の荷電粒子線を使用することもできる。
本実施形態の電離放射線硬化樹脂層15は、電子線硬化樹脂(「EBF」、昭和インキ工業株式会社製)により形成されており、その層厚は40μmとなっている。
図3は、凹凸シート10の製造方法を説明する図である。
先ず、基材11を用意する(図3(a))。
次に、基材11の上にベタインキ層12を印刷する。なお、ベタインキ層12、絵柄層13、及び電離放射線硬化樹脂層15とも、印刷乃至は塗工方法、例えば、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、凸版印刷等の印刷乃至は塗工法の中から適宜方法を選択して適用する。そして、ベタインキ層12の上に、絵柄層13を印刷する(図3(b)、(c):絵柄層積層工程)。なお、この絵柄層積層工程は、複数回の印刷工程を組み合わせて行ってもよい。
HALS層14が積層されたら、その上に、電離放射線硬化樹脂層15aを未硬化の状態でベタ状に塗布して積層する(図3(e):電離放射線硬化樹脂層積層工程)。
ここで、HALS層14と接触して積層されている領域と、接触していない領域とでは、未硬化の状態の電離放射線硬化樹脂層15aの挙動が異なる。
HALS層14と接触して積層されている領域の電離放射線硬化樹脂層15aは、HALS層14と接触していることにより、電離放射線によって発生したラジカルがHALSによって捕捉され、ラジカル重合反応がすぐに停止し、未硬化乃至不完全硬化の状態のままとなる。
これに対して、HALS層14と接触していない領域の電離放射線硬化樹脂層15aは、ラジカル重合反応によって硬化して、硬化後の電離放射線硬化樹脂層15となる(図3(g))。
図4を見てわかるように、今回実際に作製したサンプルでは、HALS層14の多くは、除去工程で未硬化の状態の電離放射線硬化樹脂層15aとともに除去されてしまっており、図2に示した状態とは異なっているが、除去されずに残っているHALS層14が一部に確認できる。
図5は、第1実施形態の凹凸シート10と比較例のシートとを比較した結果を示す図である。
図5に示すように、比較例のシートでは、HALS層ありの部分の厚さは、HALS層なしの部分の厚さと差異がない。したがって、比較例のシートでは、電離放射線硬化樹脂層15が全て硬化しており、除去されていないことがわかる。
化粧シート等の用途において、本物のような手触りと見た目とを与えるためには数十μm程度の十分に大きな高低差を持つ凹凸を作ることが望ましい。しかし、通常、印刷で電離放射線硬化樹脂層15を部分的に塗布して凹凸を作製しようとしても、10μmに達するような厚さに未硬化の電離放射線硬化樹脂層15aを盛り上げることは、容易ではない。よって、本実施形態の製造方法は、十分な高低差がある凹凸シートを、印刷技術を利用して容易に作製可能である点で、非常に利用価値の高いものである。
図6は、第2実施形態の凹凸シート10Bの断面図である。
第2実施形態の凹凸シート10Bは、HALS層14の塗布形態が異なる点と、隔壁層16を新たに設けた点が、第1実施形態と異なっているが、その他の構成は、第1実施形態と同様である。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
図7は、凹凸シート10Bの製造方法を説明する図である。
図7(a)から図7(c)の工程は、第1実施形態の図3(a)から図3(c)と同じである。
図7(c)の絵柄層積層工程の後、絵柄層13上にHALS層14をベタ塗布して積層する(図7(d):HALS層積層工程)。
HALS層積層工程の後、HALS層14上に隔壁層16を絵柄13aに同期させて印刷する(図7(e):隔壁層積層工程)。これにより、HALS層14と後述する電離放射線硬化樹脂層15aとが接触することを阻害する隔壁層16を部分的に積層することができる。
隔壁層16が積層されたら、その上に、電離放射線硬化樹脂層15aを未硬化の状態でベタ状に塗布して積層する(図7(f):電離放射線硬化樹脂層積層工程)。
第1実施形態と同様に、HALS層14と接触して積層されている領域と、接触していない領域とでは、未硬化の状態の電離放射線硬化樹脂層15aの挙動が異なる。
HALS層14と接触して積層されている領域の電離放射線硬化樹脂層15aは、HALS層14と接触していることにより、電離放射線によって発生したラジカルがHALSによって捕捉され、ラジカル重合反応がすぐに停止し、未硬化の状態のままとなる。
これに対して、隔壁層16を介することによって、HALS層14と接触していない領域の電離放射線硬化樹脂層15aは、ラジカル重合反応によって硬化して、硬化後の電離放射線硬化樹脂層15となる(図7(h))。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
10B 凹凸シート
10a 凸形状
10b 凹形状
11 基材
12 ベタインキ層
13 絵柄層
13a 絵柄
13b 絵柄
14 HALS層
15 電離放射線硬化樹脂層(硬化後)
15a 電離放射線硬化樹脂層(未硬化)
16 隔壁層
Claims (16)
- 基材にHALS層を積層するHALS層積層工程と、
前記HALS層に接触する領域と前記HALS層に接触しない領域とが構成される状態にラジカル重合型の電離放射線硬化樹脂層を未硬化の状態で積層する電離放射線硬化樹脂層積層工程と、
前記電離放射線硬化樹脂層に放射線を照射する照射工程と、
前記電離放射線硬化樹脂層のうち、前記HALS層に接触する領域であって未硬化の状態の前記電離放射線硬化樹脂層を除去し、前記HALS層に接触しない領域であって硬化した状態の前記電離放射線硬化樹脂層を残すことにより凹凸形状を形成する除去工程と、
を備える凹凸シートの製造方法。 - 請求項1に記載の凹凸シートの製造方法において、
前記HALS層積層工程は、前記基材に前記HALS層を部分的に積層することにより、前記基材上にHALS層を積層する領域と前記基材上にHALS層を積層しない領域とを構成し、
前記電離放射線硬化樹脂層積層工程では、前記基材上及び前記HALS層に電離放射線硬化樹脂層をベタ塗布して積層すること、
を特徴とする凹凸シートの製造方法。 - 請求項2に記載の凹凸シートの製造方法において、
前記基材と前記HALS層との間に形成され絵柄を表現する絵柄層を積層する絵柄層積層工程をさらに備え、
前記HALS層積層工程は、前記絵柄と同調して前記基材上にHALS層を部分的に積層すること、
を特徴とする凹凸シートの製造方法。 - 請求項3に記載の凹凸シートの製造方法において、
前記絵柄層と前記HALS層との間に、前記絵柄層を保護する保護層を積層する保護層積層工程をさらに備えること、
を特徴とする凹凸シートの製造方法。 - 請求項1に記載の凹凸シートの製造方法において、
前記HALS層積層工程は、前記基材にHALS層をベタ塗布して積層し、
前記HALS層と前記電離放射線硬化樹脂層とが接触することを阻害する隔壁層を部分的に積層する隔壁層積層工程を前記HALS層積層工程と前記電離放射線硬化樹脂層積層工程との間にさらに備え、
前記電離放射線硬化樹脂層積層工程では、前記基材上及び前記HALS層に電離放射線硬化樹脂層をベタ塗布して積層すること、
を特徴とする凹凸シートの製造方法。 - 請求項5に記載の凹凸シートの製造方法において、
前記基材と前記HALS層との間に、部分的に形成されることにより絵柄を表現する絵柄層を積層する絵柄層積層工程をさらに備え、
前記隔壁層積層工程は、前記絵柄層と同調して前記隔壁層を部分的に積層すること、
を特徴とする凹凸シートの製造方法。 - 請求項1から請求項6までのいずれかに記載の凹凸シートの製造方法において、
前記電離放射線硬化樹脂層は、ラジカル重合型硬化樹脂を含むものであり、
前記HALS層は、安定ラジカルを持つ化合物(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、フリーラジカル)を含むこと、
を特徴とする凹凸シートの製造方法。 - 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の凹凸シートの製造方法において、
前記電離放射線硬化樹脂層は、その層厚が10μm以上に形成されること、
を特徴とする凹凸シートの製造方法。 - 基材と、
前記基材に部分的に積層されたHALS層と、
前記HALS層が存在しない領域に前記基材に部分的に積層されており、電離放射線硬化樹脂を硬化して構成された電離放射線硬化樹脂層と、
を備え、
前記HALS層よりも前記電離放射線硬化樹脂層が突出して構成されている凹凸シート。 - 請求項9に記載の凹凸シートにおいて、
前記基材と前記HALS層との間に形成され絵柄を表現する絵柄層をさらに備え、
前記HALS層は、前記絵柄と同調して前記基材上に部分的に積層されていること、
を特徴とする凹凸シート。 - 請求項10に記載の凹凸シートにおいて、
前記絵柄層と前記HALS層との間に、前記絵柄層を保護する保護層をさらに備えること、
を特徴とする凹凸シート。 - 基材と、
前記基材にベタ状に積層されたHALS層と、
前記HALS層が存在しない領域に前記基材に部分的に積層されており、電離放射線硬化樹脂を硬化して構成された電離放射線硬化樹脂層と、
前記HALS層と前記電離放射線硬化樹脂層との間に部分的に積層されており、前記HALS層と前記電離放射線硬化樹脂層とが接触することを阻害する隔壁層と、
を備え、
前記HALS層よりも前記電離放射線硬化樹脂層が突出して構成されている凹凸シート。 - 請求項12に記載の凹凸シートにおいて、
前記基材と前記HALS層との間に、部分的に形成されることにより絵柄を表現する絵柄層をさらに備え、
前記隔壁層は、前記絵柄層と同調して前記基材上に部分的に積層されていること、
を特徴とする凹凸シート。 - 請求項13に記載の凹凸シートにおいて、
前記絵柄層と前記HALS層との間に、前記絵柄層を保護する保護層をさらに備えること、
を特徴とする凹凸シート。 - 請求項9から請求項14までのいずれかに記載の凹凸シートにおいて、
前記電離放射線硬化樹脂層は、ラジカル重合型硬化樹脂を含むものであり、
前記HALS層は、安定ラジカルを持つ化合物(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、フリーラジカル)を含むこと、
を特徴とする凹凸シート。 - 請求項9から請求項15までのいずれかに記載の凹凸シートにおいて、
前記電離放射線硬化樹脂層は、その層厚が10μm以上に形成されていること、
を特徴とする凹凸シート。
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