JP2019058177A - Aavベクターの凝集を防ぐための組成物およびその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】AAV等のビリオンの高濃度ストック溶液を、凝集なく調製するための組成物および方法の提供。【解決手段】少なくとも約200mMのイオン強度を達成するために、ビリオン調製物に1種類以上の多価イオン等の賦形剤を添加することを含む、ビリオン調製物におけるビリオンの凝集を防ぐ方法。【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、凝集を防ぐ、AAVビリオンの製造および保存用組成物および方法に関するものである。
背景
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)は、ヒト遺伝子導入のための有望なベクターである。Grimm, D., and Kleinschmidt, J. A. (1999) Hum Gene Ther. 10:2445-2450;High, K. A. (2001) Ann. N. Y. Acad. Sci. 953:64-67;Pfeifer, A., and Verma, I. M. (2001) Ann. Rev. Genomics Hum. Genet. 2:177-211を参照されたい。AAVは、パルボウイルスのディペンドウイルス(Dependovirus)属のメンバーである。AAV血清型2(AAV2)は、末端逆方向反復(ITR)配列にフランクした複製(rep)およびキャプシド形成(cap)遺伝子をコードする4680ヌクレオチドの1本鎖DNA分子から構成される。Berns, K. I. (1996) in Fields Virology (B. N. Fields et. al. Eds.), pp. 2173-2197. Lippincott-Raven Publishers, Philadelphiaを参照されたい。ゲノムは、cap遺伝子産物のアミノ末端変異体である3個のキャプシドタンパク質(VP1、VP2、およびVP3)によりパッケージされる。得られた正二十面体のウイルス粒子は直径〜26nmを有する。AAV2の高分解結晶構造が報告された。Xie, Q. et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99:10405-10410を参照されたい。
精製AAV2ウイルス粒子の溶解性には限界があり、そしてAAV2粒子の凝集が問題とされてきた。Croyle, M. A. et al. (2001) Gene Therapy 8:1281-1290;Huang, J. et al. (2000) Mol. Therapy 1: S286;Wright, J. F. et al. (2003) Curr. Opin. Drug Disc. Dev. 6:174-178;Xie, Q. et al. (2004) J. Virol. Methods 122:17-27を参照。通常用いられる緩衝食塩水溶液中では、有意な凝集は密度1013粒子/mLで生じ、密度が高くなればなるほど、凝集は増大する。Huangと共同研究者らは、AAVベクターが濃度依存性で凝集することを報告した。Huang, J. et al. (2000) Mol. Therapy 1:S286を参照。同様に、Xieと共同研究者ら(Xie, Q. et al. (2004) J. Virol. Methods 122: 17-27)は、0.1mg/mLを超える濃度で、AAV2ベクターが、凝集を防ぐための塩の濃度の上昇を必要とすることを報告した。AAV2ベクターの凝集は、リン酸緩衝食塩水およびTris緩衝食塩水のような通常用いられる中性緩衝溶液中1013粒子/mLを超える粒子密度で生じる。これは、タンパク質濃度〜0.06mg/mLに該当し、これらの条件下でAAV2の溶解性が低いこをを強調するものである。過剰のエンプティー(empty)キャプシドは同時に精製され、粒子密度に関与するので、カラムクロマトグラフィー技術を用いて精製されたベクターについての有効なベクター濃度の限界は、なおさらに低いかもしれない。
粒子の凝集は有意なものであり、その上アデノウイルスベクターについては完全に解決された課題ではない。最近確立されたアデノウイルス関連材料(ARN)の安定性が最近報告された。Adadevoh, K. et al. (2002) BioProcessing 1(2):62-69を参照されたい。20mM Tris、25mM NaCl、および2.5% グリセロール(pH8.0)中で形成された関連材料の凝集が、動的光散乱法、光子相関分光法、および外観により評価された。凍結融解サイクルまたは非凍結保存を行った後、ベクターの凝集のレベルが変動し得ることが観察された。このことから、ARMの使用プロトコールは制限される。
凝集は、精製中の損失、および精製されたベクター調製物の試験における矛盾を生じ得る。中枢神経系のようなある種の部位へのAAV2ベクターのインビボ投与は少量の高濃度ベクターを必要とし、最大達成可能用量は低いベクター溶解性により制限され得る。
ベクターの凝集はまた、インビボ投与後の生体内分布に影響し、投与後にベクターに対して逆の免疫応答を引き起こすようである。タンパク質について報告(Braun, A. et al. (1997) Pharm. Res. 14:1472-1478)されたように、ベクターの凝集は、ベクターを抗原提示細胞にターゲティングし、キャプシドタンパク質および導入遺伝子産物に対する免疫応答の増強を誘発することにより、免疫原性を増大し得る。前臨床(Chenuaud, P. et al. (2004) Blood 103: 3303-3304;Flotte, T. R. (2004) Human Gene Ther. 15:716-717;Gao, G. et al. (2004) Blood 103:3300-3302)および臨床(High, K. A. et al. (2004) Blood 104:121a)研究におけるAAVベクターに対する免疫応答の報告は、ベクターの免疫原性に関与し得る全ての因子に対処する必要があることを説明するものである。
精製ベクターを特徴付けるためのプロトコールの試験は、ベクターの凝集によっても影響されるようである。ベクターの感染価の決定はベクターの凝集に高感受性であることが報告された。Zhen, Z. et al. (2004) Human Gene Ther. 15: 709-715を参照されたい。重大な関心事は、ベクター凝集物は、それらの導入効率、生体内分布、および免疫原性が単量体粒子とは異なり得るので、インビボ投与後の有害な結果を有し得ることである。例えば、AAV2ベクターの肝細胞への血管内デリバリーには、ベクターが肝類洞壁の有窓内皮細胞を通ることが必要である。これらの有窓細胞は、単量体AAVベクター(直径〜26nm)の通過は可能だが、より大きなベクター凝集物の通過を防ぐと予想される、50から150nmの範囲の半径を有する(Meijer, K. D. F., and Molema, G. (1995) Sem. Liver Dis. 15:206)。マウスにおける生体内分布の研究では、蛍光分子Cy3で標識された凝集AAV2ベクターは、血管デリバリーの後、肝マクロファージにおいて補足された。Huang, J. et al. (2000) Mol. Therapy 1:S286を参照。
ウイルスベースの導入ベクターのための製剤の開発は比較的最近の研究分野であり、AAVベクターの製剤および安定性を最適化するための組織的努力を記載した2、3の研究が報告されているのみである。Croyle, M. A. et al. (2001) Gene Therapy 8:1281-1290;Wright, J. F. et al. (2003) Curr. Opin. Drug Disc. Dev. 6:174-178;Xie, Q. et al. (2004) J. Virol. Methods 122:17-27を参照されたい。ベクター調製物における変化を最小化する、前臨床上および臨床上の適用に適合可能な製剤を決定することが、一貫して高いベクターの安定性および機能的特徴を達成するに重要な必要条件である。タンパク質療法について十分に確立されている(Chen, B. et al. (1994) J. Pharm. Sci. 83:1657-1661;Shire, S. J. et al. (2004) J. Pharm. Sci. 93:1390-1402;Wang, W. (1999) Int. J. Pharm. 185:129-188;Won, C. M. et al. (1998) Int. J. Pharm. 167:25-36)のように、ベクターの安定性の重要な見地は製造および保存中の溶解性であり、ベクターの凝集は完全に対処されることを必要とする問題である。ベクターの凝集はベクター精製中の損失を生じる一方、凝集物はろ過により除去され、収量における損失は、より高いコスト、および前臨床および臨床研究用のベクターを生成する場合のキャパシティーの限界となる。凝集物を除去するためのろ過の後でさえ、新たな凝集物が、緩衝食塩水溶液中のAAV2ベクターの高濃度調製物において形成され得る。
ウイルス粒子の凝集を防ぐ、rAAV2のようなAAVベクターの精製および保存のための改良された製剤および方法に対する必要がある。
発明の概要
当該技術分野におけるこれらの要求および他の要求が本発明によって満たされ、そしてそれは、凍結融解サイクル後でさえ高い感染価および導入効率が維持されるAAVベクターの製造および保存において使用するための高いイオン強度溶液を提供する。
1つの態様において、本発明は、賦形剤を添加して、凝集を防ぐのに十分な高イオン強度を達成することにより、ビリオン調製物におけるビリオンの凝集を防ぐ方法に関するものである。別の態様において、本発明は、凝集を防ぐのに十分な高イオン強度を有するビリオン組成物に関するものである。
本発明のある種の実施態様において、イオン強度は、少なくとも約150mM、200mM、250mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mM、600mM、700mMまたはそれ以上である。ある実施態様において、このイオン強度は、1種類以上の多価イオン、例えば、クエン酸塩、硫酸塩、マグネシウム、またはリン酸塩を含む賦形剤を用いて達成される。
さらなる実施態様において、イオン強度がビリオンの凝集を防ぐのに十分に高いものであったとしても、ビリオン調製物の浸透圧は、似通った等浸透圧レベル、例えば、200mOsm、250mOsm、280mOsm、300mOsm、350mOsm、または400mOsmで維持される。
ある実施態様において、ビリオンは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオン、例えば、AAV−2である。
本発明の方法の他の実施態様において、ビリオン調製物は、ヌクレアーゼ、例えば、Benzonase[登録商標]で処理される。さらなる実施態様において、ヌクレアーゼ処理は、凝集を防ぐのに十分に高いイオン強度を達成する賦形剤の添加と組合わされる。
本発明のある実施態様において、界面活性剤Pluronic[登録商標]F68が、例えば、0.001%までビリオン調製物に添加される。1つの実施態様において、組成物は、精製ウイルス粒子、10mM Tris pH8.0、100mM クエン酸ナトリウム、および0.001% Pluronic[登録商標]F68を含む。
1つの実施態様において、AAVベクターは、1×1013vg/mLを超える濃度、例えば、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、および6.4×1013vg/mLまでの濃度で有意な凝集を示すことなく本発明の組成物として保存され得る。ある実施態様において、本発明の方法および組成物を用いて保存されたAAVベクターは、4℃にて5日間保存されたとき、有意な凝集を示さない。他の実施態様において、かかる組成物として保存されたAAVベクターは、−20℃または−80℃で凍結融解サイクルを1回、5回、10回、またはそれ以上行った後、有意な凝集を示さない。
ある実施態様において、本発明の方法および組成物により保存されたビリオン調製物は、動的光散乱により測定された場合に平均的粒子半径(Rh)を示す。これは、ビリオンの有意な凝集が全く起こらなかったことを示す。ある実施態様において、本発明の方法および組成物により保存されたビリオン調製物は、約15nm、20nm、または30nmより大きい平均的粒子半径(Rh)を示す。
ある実施態様において、本発明の方法および組成物により保存されたビリオン調製物からのビリオンの回収率は、0.22μmのフィルターを通してろ過した後、約85%、90%、または95%より高い。
なお別の実施態様において、本発明は、本発明の高いイオン強度製剤を含むキットに関するものである。1つの実施態様において、キットは、予め混合された賦形剤溶液を含む。別の実施態様において、キットは、本発明の高いイオン強度組成物の2種類以上の成分を別々に含み、これは使用者により混合され得る。ある実施態様において、キットは、クエン酸ナトリウム、Tris[登録商標]、およびPluronic[登録商標]F68を含む。他の実施態様において、キットは、本発明の組成物の製造、あるいは本発明の方法の実施のための指示書をさらに含む。
発明の詳細な説明
AAV2ベクターの凝集は、ベクターの高濃度調製物において頻繁に観察され、そして精製、回収、およびインビボでの能力および安全性に影響を及ぼし得る。ゆえに、AAV2ベクターの開発にとって重要な目的は、高濃度ストックが調製されるときにベクターの凝集を防ぐ方法および製剤を同定することである。
特に示さない限り、本明細書において用いられる用語「ベクター」は、組換えAAVビリオン、またはウイルス粒子に言及し、「ベクター」が頻繁に用いられるにも関わらず、他の文脈においてはプラスミドのような非ウイルスDNA分子にも言及する。
本発明は、凝集過程におけるウイルス粒子間のイオン相互作用の関与を示唆する、溶液のイオン強度がAAVベクター凝集の重要なパラメーターであるという知見に一部基づくものである。イオン強度の上昇が、荷電賦形剤の同一性に関わらず、AAV2ベクターの溶解性を増大させるという知見は、特定のイオン種に関与する相互作用よりむしろ溶液自体のイオン強度が、関連する物理化学的パラメーターであるという仮説を支持するものである。少なくとも200mMの閾値イオン強度が、本明細書で調べられるベクター粒子密度での凝集を防ぐのに必要とされる。
実際的な関心事のうち、通常用いられる緩衝食塩水溶液は、1013粒子/mLを超える密度でのAAV2ベクターの凝集を防ぐのに十分なイオン強度を有する。高い塩濃度は、AAV2ベクターの溶解性を増大させることが知られている(例えば、勾配から回収された高濃度AAV2ベクターは、一般に、高濃度CsClに溶解性のままである)。しかしながら、前臨床および臨床研究に最適な製剤は、特に、高張液の希釈が遅い可能性のある部位へのベクターのインビボ投与のため、等張(280〜400mOsm)近くであるべきである。本発明の実施態様において、イオン強度の荷電価数との指数関数的関係を用いて、高いイオン強度を有する等張製剤が開発される。ヒト非経腸製剤における賦形剤として通常用いられる複数の電荷価数を有する塩種(例えば、硫酸塩、クエン酸塩、およびリン酸塩)は、等張濃度で用いられるとき、AAV2ベクターの凝集を防ぐために必要とされるイオン強度レベルをもたらし得る。等張(150mM)塩化ナトリウムは、イオン強度150mM(高いベクター濃度でのAAV2の溶解性を維持するのに十分な値である)を有する一方、イオン強度〜500mMを有する等張クエン酸ナトリウムは、少なくとも6.4×1013vg/mLのAAV2ベクター濃度を凝集することなく支持することができる。
理論により制限されることを意図するのではないが、AAV2粒子の低い溶解性は、凝集物における隣接粒子間の相補的に荷電した領域の安定効果と併せてそれらの高度に対称的な性質により引き起こされ得る。AAV2の結晶構造に基づく表面電荷密度(Xie, Q. et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99:10405-10410)は、ウイルス表面上の正および負の電荷パターンを示す。従前の報告により、AAV2ベクターの凝集がpH依存性であることが示され、荷電した側鎖基を有するアミノ酸が粒子間結合に関与するとの仮説が立てられた。Qu, G. et al. (2003) Mol. Therapy 7:S238を参照。これらの報告により、荷電したアミノ酸側鎖がベクターの凝集に関与するなら、高濃度の遊離アミノ酸がベクター粒子の相互作用をブロックし得るとの仮説が立てられた。しかしながら、本発明者らは、荷電した側鎖を有するアミノ酸は、それらのイオン強度への関与を超えてAAV2ベクターの凝集を防ぐ際に有効でないことを見出した。
低いイオン強度でのベクターの凝集は、精製ベクター粒子の有効なヌクレアーゼ処理により低減されるが、阻止されないことも見出した。精製過程の初期工程における消化(清澄化HEK細胞溶解物)は、ベクター精製後の凝集を低減しなかった。核酸基質に対する酵素の割合がより高いので、既に精製されたビリオンの消化はより有効なようである。これらの結果を説明する1つのメカニズムは、ベクター表面に結合した残りの核酸不純物(例えば、宿主細胞およびプラスミドDNA)が、隣接するウイルス粒子上の結合部位をもたらし、これにより凝集を生じ得るということである。精製AAV2ベクター(エンプティーキャプシドなし)は、約1%の非ベクターDNAを含有することが報告された。Smith, P. et al. (2003) Mol. Therapy 7:S348を参照。この非ベクターDNAの>50%が、ヌクレアーゼ耐性であり、キャプシド粒子内にパッケージされることが報告された。一方、不純物DNAのうち、ヌクレアーゼ耐性であり、精製ベクター粒子の表面と結合するように思われるものもあった。有効なヌクレアーゼ処理がベクターの凝集を低減し得るという知見により、1個のベクター粒子当たり25ヌクレオチド以下の平均的レベルでベクター表面と結合する核酸がAAVベクターの凝集に関与し得ることが示唆される。
要約すると、AAV2ベクターの精製中の高いイオン強度溶液の使用および最終製剤、ならびに残りのベクター表面DNAの有効な除去は、前臨床および臨床研究において使用するためのAAV2ベクターの高濃度溶液を達成するための2つの有効なストラテジーである。高いイオン強度溶液およびヌクレアーゼ処理は、組み合わせて、または別々に用いられ得る。データはAAV2ベクターを用いて得られたものだが、本発明の組成物および方法は、他のAAV血清型/変異体、またはアデノウイルス、レンチウイルス、およびレトロウイルスのような他のウイルスベクターにも有用であり得る。
賦形剤の濃度の関数としてのAAVの凝集
AAVベクターの凝集の機序を明らかにし、凝集を低減/阻止し得る賦形剤の種類を同定するために、最初のスクリーニング実験を行う。低い濃度の緩衝液(20mM リン酸ナトリウム,pH7.2)を含む中性緩衝食塩水においてベクターを希釈(5倍)して、ベクターの凝集を引き起こすことができる。希釈液に含まれるとき、ベクターの凝集を防ぐことができる賦形剤を同定するための「希釈圧力(dilution-stress)」法を用いて、賦形剤をスクリーニングする。スクリーニングのため、動的光散乱(DLS)により凝集を測定する。調べた賦形剤の種類は、選択した無機塩類、アミノ酸、非荷電炭水化物、および界面活性剤を含むものであった。結果を表1に表す。
表1
希釈圧力法を用いた、AAV2ベクターの凝集を防ぐ賦形剤についてのスクリーニング
Figure 2019058177
NIA:凝集の阻害なし
表1に示す通り、荷電した賦形剤(無機塩およびアミノ酸)は、十分な濃度で存在するとき、凝集を防ぐ。しかしながら、ベクターの凝集を防ぐのに必要な塩濃度は変動し、それは、硫酸マグネシウムについて180mOsmから塩化ナトリウムについて320mOsmの範囲に及ぶ。アミノ酸のアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、およびリジンは、200mOsmで凝集を阻止しないが、リジン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸は、300〜320mOsmで凝集を防ぐ。アルギニン、グリシン、およびヒスチジンは、200mOsm以外の濃度で試験しなかった。選択した炭水化物は、5%w/vまでの濃度で存在するとき、ベクター粒子の凝集に対する効果を全く有さない。例えば、5%w/v グリセロール(543mOsm)は凝集を阻止しない。界面活性剤のポリソルベート80(1%w/v)およびPluronic[登録商標]F68(10%w/v)は、同様に、「希釈圧力」法を用いた凝集に対する効果を全く有さない。
浸透圧およびイオン強度の関数としてのAAVの凝集
図1Aおよび1Bは、ベクターの凝集のより詳細な分析の結果を種々の塩の濃度の関数として示す。図1Aは、ベクターの凝集を選択した賦形剤の浸透圧の関数として示す。荷電した種について、AAV2ベクターの凝集の濃度依存性阻害を観察する。多価イオンを有する塩は、1価の塩化ナトリウムより低い濃度で同程度の凝集阻害を達成する。例えば、硫酸マグネシウムは200mOsmで凝集を防ぐが、塩化ナトリウムは同様の効果を達成するのに350mOsmを必要とする。クエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、およびリン酸ナトリウムは、ベクター凝集を防ぐそれらの有効性の中間である。
図1Aおよび表1の結果は、グリセロールおよび5%までの濃度でのある種の糖の、低いイオン強度により誘発されるAAV2ベクターの凝集に対する効果を全く示していないが、データにより、5%より高いグリセロール濃度でのAAV2の溶解性の改善を除外することはできない。例えば、Xieと共同研究者らは、25%(w/v) グリセロールが、低いイオン強度溶液においてAAV2を非常に高濃度(4.4から18×1014粒子/ml)まで濃縮できることを報告した。Xie, Q. et al. (2004) J. Virol. Methods 122:17-27を参照されたい。
図1Bは、図1Aのデータを、それぞれの賦形剤について浸透圧ではなく計算したイオン強度の関数としてプロットしたものを示す。図1Bは、用いる塩に関わらず、イオン強度が200mM以上のとき、ベクターの凝集は阻止されることを示している。これらのデータは、溶質濃度および電荷価数の両方に依存するパラメーターである溶液のイオン強度(μ)が、凝集に影響する1次因子であることを示唆するものであった。
本発明の実施態様において凝集を防ぐのに有用なイオン強度は、例えば、250mM、300mM、350mM、400mM、450mM、500mM、600mM、700mM、またはそれより高いイオン強度を含む。本発明の方法および製剤においてこれらのイオン強度を達成するには多価イオンが好ましく、例えば、2価、3価、4価、5価のイオン、およびそれより高い価数のイオンである。本発明の溶液および製剤におけるpHバッファーは、リン酸塩、Tris、またはHEPES(または他の良好なバッファー)であってもよく、任意の他の適当なpHバッファーが用いられてもよい。好ましい実施態様において、製造されるベクターの標的組織と相性のよい多価イオンおよびバッファーが選択される。
本発明の方法および組成物における多価イオンの使用により、比較的低い浸透圧だが、高いイオン強度の組成物を生成することが可能になる。本発明の高いイオン強度の組成物は、ほぼ等張であってもよく、例えば、約200mOsm、250mOsm、280mOsm、300mOsm、350mOsm、または400mOsmであってもよいが、他の浸透圧は、組成物のある種の使用に許容され得る。
AAVの精製方法の関数としてのAAVの凝集
異なる方法(例えば、密度勾配精製対イオン交換クロマトグラフィー)により精製された組換えAAV2は、異なる不純物プロファイルを有すると予測される。図2は、精製方法の異なるいくつかのAAV調製物について、イオン強度の関数としてベクターの凝集を示す。精製方法は実施例1に記載されている。塩化ナトリウムを用いて、イオン強度を変動させる。2回塩化セシウム勾配超遠心(方法1)、陽イオン交換カラムクロマトグラフィー(方法2)、または合わせたカラムおよび塩化セシウム勾配超遠心(方法3)により精製されたAAV2−FIXベクターはそれぞれ、イオン強度が低減するにつれ、類似の凝集応答を示す。対照的に、カラム方法による精製、次に、ヌクレアーゼ消化工程(方法2+ヌクレアーゼ)の対象とされたAAV2−FIXは、低いイオン濃度での凝集の低減を示す。
製造的スケールでのAAVの凝集
表1、および図1A、1B、および2のデータは、分析的スケール(凝集を測定するためのDLSを利用する)でのベクターの凝集に関連する。対照的に、表2は、製造的スケールのベクター精製に相当する、ベクターの凝集を誘発し、定量するための方法を用いて、ラージスケールでのAAV2ベクターの凝集に対する上昇したイオン強度およびヌクレアーゼ処理の効果を示す。実験の詳細を実施例2に記載する。精製AAVベクターを、種々のイオン強度の溶液中にダイアフィルトレーションし、容量を低減して、高いベクター濃度を達成し、次に、0.22μmのフィルターを通してろ過した後のベクターの回収率を測定することにより、凝集を評価する。方法1ないし第2のCsCl勾配遠心工程(91mL中1.8×1015vg、〜3M CsCl中1.8×1013vg/mL)により精製したAAV2−AADCベクターの単一プールからのアリコートを、ダイアフィルトレーション実験の出発材料として用いる。中空糸を用いたタンジェンシャルフローフィルトレーションをダイアフィルトレーションのために用いる。なぜなら、それはスケールの拡大縮小が可能であり、様々な容量(最小1.4mL)の調製も可能であるため、中性緩衝食塩水中で凝集が生じると予測される濃度にAAVを濃縮できるからである。
実験1において、3個の中空糸単位を用いて、製剤CF、TF1、またはTF2においてAAV2−AADCベクターをダイアフィルトレーションし、容量を目標の2.5×1013vg/mLまで低減する。実施例2を参照されたい。次に、試料を0.22μmのフィルターを通してろ過する。結果を表2に示す。上昇したイオン強度製剤TF1(95±7.4%)およびTF2(93±7.4%)両方についてのベクター回収率(「収率%」)は、対照製剤CFを用いた回収率(77±6.6%)より有意に高い。
表2
処理スケールでのAAVベクターの回収率
Figure 2019058177
実験2において、AAV2−AADCをCFまたはTF2においてより高い目標値(6.7×1013vg/mL)まで濃縮する。TF2を用いたベクターの回収率(96±4.4%)は、再度、CFを用いた回収率(59±6.0%)より有意に高い。用いたアッセイの変化内、TF2を用い目標濃度の両方でベクターを完全に回収した。これは、凝集が阻止されたことを示す。対照において、CFを用いた目標濃度の両方で有意な凝集を観察し、凝集の程度(すなわち、0.22μmろ過後の損失)は、目標ベクター濃度が高くなるほど、高くなった。さらなる実験(示していない)において、実験2の濃縮後、0.22μmろ過工程前にAAV2ベクター試料50μLを採取し、次に、光学顕微鏡により調べる。CFにおいて濃縮したベクターは、明らかな量の目に見える物質を含有し(示していない)、一方、かかる物質は、TF2において濃縮したベクターにおいて全く観察されない。
実験3は、精製ベクターのヌクレアーゼ消化前の凝集に対する効果を調べるものである。ヌクレアーゼ消化がない場合、CFにおけるAAV2−AADCの回収率は、68±11%であり、これは実験1および2における回収率に類似する。対照において、ヌクレアーゼ処理し、次に、CFにおいて濃縮した精製ベクターはより高い回収率(91±12%)となる。これらの製造用スケールの結果は、「希釈圧力」(分析的スケール)法を用いた図2に示すヌクレアーゼ消化の効果と同じ効果を反映する。
表2に表す結果は、本発明の方法および組成物が、AAVベクターの回収率を増大させることを示す。例えば、本発明の種々の実施態様において、回収率は、約80%未満から少なくとも約85%、90%、95%、またはそれ以上まで改善される。
保存または凍結融解サイクル後のAAVの安定性および活性
Croyleと共同研究者らは、リン酸ナトリウム緩衝液において凍結融解サイクルを複数回行った後のAAVおよびアデノウイルスのタイターの有意な損失を報告し、リン酸カリウムによりもたらされるより良好なpHの緩衝化により、凍結融解サイクル中のタイターの損失が阻止されることを示した。Croyle, M. A. et al. (2001) Gene Therapy 8: 1281-1290を参照されたい。本発明者らのリン酸ナトリウムを用いた凍結融解の安定性の研究の結果は、これらの知見を支持するものである。本発明者らは、150mM リン酸ナトリウムが、高濃度のAAV2−AADCベクターの調製および非凍結保存中の凝集を防ぐのに十分なイオン強度をもたらすが、−20または−80℃での1回の凍結融解サイクルでさえ凝集を生じることを見出した。
保存または凍結融解(F/T)サイクル後のAAVの安定性を、本発明の緩衝液において次の通り評価する。CF、TF1、およびTF2において調製した高濃度のベクター(表2、実験1)を短期間の安定性の研究の対象とし、凝集が冷蔵保存中または複数回の凍結融解(F/T)サイクル後に生じ得るかどうかを評価する。未希釈の試料を用いたDLSにより凝集を評価し、Rh値>20nmがあるレベルの凝集の発生を示すとみなす。
表3
AAV2ベクターの概要
Figure 2019058177
Pre:0.2μmろ過直後に測定したDLS半径
ベクター濃度(vg/mL):CF:1.93E13、TF1:2.38E13、TF2:2.33E13
TH:過剰の凝集のため、シグナル強度があまりに高く測定できない
表3に示すとおり、CFにおいて調製したAAV2−AADCベクターは、4℃で5日間の保存後、ならびに−20または−80℃での1回以上のF/Tサイクル後にいくらかの凝集を示す。TF1において調製したベクターについては、4℃で5日間保存後に凝集は全く生じなかったが、−20または−80℃での1回のF/Tサイクル後に凝集が生じる(測定するにはシグナル強度があまりに高く、DLSにより示す)。これらの試料の外観検査は若干の懸濁を示し、そしてそれは凝集と一致する。TF2において調製したベクターについては、4℃での保存後または−20℃でのF/Tサイクル10回まで、凝集は全く観察されない。−80℃での5および10回のF/Tサイクル後、凝集がいくらか観察される。
TF2における保存またはF/Tサイクル後のAAV活性を、次の通り評価する。上述の通り、高いイオン強度、等張な製剤TF2は、濃縮および保存中のベクターの凝集を効果的に防ぎ、それゆえ、さらなる研究の前途有望な候補を表している。重要な疑問は、高いイオン強度のTF2におけるベクターの調製および保存が、その機能活性に反対に影響するかどうかということである。これを評価するために、TF2において長時間調製し、保存したベクターの感染価および導入効率を測定するためのアッセイを行う。
感染性については、1回の感染現象を検出可能な高感度の感染性アッセイを用いる。Zhen, Z. et al. (2004) Human Gene Ther. 15:709-715を参照されたい。AAV2−AADCを濃度6.4×1013vg/mLにてTF2中に調製する。4℃にて45日間保存後、調製物は、感染単位に対するベクターゲノムの比(vg/IU)13を有し、これに対して参照ベクターの値は16vg/IUである。この差は、報告されたこのアッセイの変動性(RSD〜50%)を与えるほど有意ではない。
D7/4細胞を形質導入後、ELISAによりAADCタンパク質の発現を測定することにより、形質導入効率を評価する。図3は、10から10vg/細胞までの範囲のベクター投入量について、TF2において調製したベクターと参照対照との間で有意差がないことを示す。さらに、これらのデータは、高いイオン強度のTF2におけるAAV2ベクターの調製および保存が、ベクターの感染性または導入効率に対して有害な効果を有さないことを示す。
結論
ウイルス粒子の相互作用に対するイオン強度(μ)の効果を決定し、ベクターの凝集の機序を解明する。中性緩衝等張食塩水(μ=150mM)のイオン強度は、〜1013粒子/mLを超える密度での勾配超遠心または陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製したAAV2ベクターの凝集を防ぐのに十分である。5%(w/v)までの濃度の糖(ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、グリセロール)または界面活性剤Tween80[登録商標](1%)またはPluronic[登録商標]F68(10%)の含有は、ベクター粒子の凝集を阻止しない。
対照的に、精製中および最終ベクター製剤のために、上昇したイオン強度の溶液(μ>200mM)を用いるとき、ベクター粒子は依然溶解性である。インビボ投与のための等張賦形剤濃縮物を用いた上昇したイオン強度の溶液を、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、および硫酸マグネシウムを含む多価イオンの塩を用いて調製する。10mM Tris、100mM クエン酸ナトリウム、0.001% Pluronic[登録商標]F68、pH8.0(μ〜500mM)を含有する等張製剤により、AAV2−AADCベクターを6.4×1013vg/mLまで濃縮可能であり、調製中および−20℃で凍結融解サイクルを10回行った後に観察される凝集が全くない。以下の表3および付随の考察を参照されたい。上昇したイオン強度の製剤にて長時間調製し、保存したAAV2−AADCベクターは、高い感染価(13IU/vg)および導入効率を保持する。
精製AAV2ベクターのヌクレアーゼ処理は、ベクターの凝集の程度を低減し、このことは粒子間相互作用におけるベクター表面の核酸不純物の関与を示唆する。ゆえに、上昇したイオン強度の等張製剤の使用と組み合わせた、ベクター表面の残りの核酸を有効に除去するための精製方法が、AAV2ベクターの凝集を防ぐのに有用な方法である。
実施例1
AAV精製方法
ヒト凝固因子IX(FIX)またはヒトアミノ酸デカルボキシラーゼ(AADC)を発現するAAV2ベクターを、既に記載(Matsushita, T. et al. (1998) Gene Therapy 5:938-945)の通り(変更含む)、HEK293細胞のトリプルトランスフェクションにより生成する。ラージスケールの調製のため、細胞を850mmのローラーボトル(Corning)にて培養し、トランスフェクションする。ベクターを3種類の方法のうちの1つで精製する。
精製方法1(Matsushitaから変更されている)において、ローラーボトル中のトランスフェクションしたHEK293細胞を遠心(1000g、15分)により回収し、10mM リン酸ナトリウム、500mM 塩化ナトリウム,pH7.2に再懸濁し、次に、3回の凍結融解サイクル(エタノール/ドライアイスバスおよび37℃のウォーターバスを交互)により溶解する。細胞溶解物を遠心(8000g、15分)により清澄化する。次に、10mM リン酸ナトリウム,pH7.2を添加して、上清を200mM NaClまで希釈し、Benzonase[登録商標](Merck, Purity Grade 1;200U/mL、1時間、37℃)を用いて消化する。溶解物を25mM CaCIまで1M ストック溶液を用いて調節し、4℃で1時間インキュベーションする。
混合物を遠心(8000g、15分)し、ベクターを含有する上清を回収する。清澄化した細胞溶解物からウイルスを沈殿させるために、ポリエチレングリコール(PEG8000)を最終濃度8%まで添加し、混合物を4℃にて3時間インキュベーションし、次に遠心(8000g、15分)する。ベクターを含有するペレットを、混合しながら0.15M NaCl、50mM Hepes、25mM EDTA、pH8.0中に再懸濁し、4℃で16時間インキュベーションする。再懸濁した材料をプールし、固体塩化セシウムを最終密度1.40gm/mlまで添加する。次に、BeckmanモデルLE−80遠心機を用いた超遠心(SW28、27000rpm、24時間、20℃)により、ベクターをバンド化する。遠心チューブを画分化し、ベクターを含有する密度1.38から1.42gm/mL部分をプールする。この材料を超遠心(NVT65ローター、65000rpm、16時間、20℃)によって2回目のバンド化し、精製AAV2ベクターを含有する分画をプールする。ベクターを濃縮し、バッファー交換を行うために、高濃度塩化セシウム溶液中のベクターを、以下(実施例2)に記載のタンジェンシャルフローフィルトレーションによる限外ろ過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)の対象とする。
精製方法2において、AAVを含有する細胞回収物をマイクロ流動化し、続いて、0.65および0.22μmのフィルター(Sartorius)を通してろ過する。既に記載のPoros HS50樹脂を用いた陽イオン交換クロマトグラフィーにより、ウイルスを清澄化細胞溶解物から精製する。米国特許第6,593,123号を参照。図2に記載のヌクレアーゼ消化のために、カラム精製ベクターを、100U/mL Benzonaseおよび10U/mL DNAse I(RNAseフリー、Roche Diagnostics, Indianapolis, Indiana)と共にインキュベーション(4時間、室温)する。
精製方法3のため、陽イオン交換クロマトグラフィーにより精製したAAV2ベクターを、さらに塩化セシウム勾配超遠心工程(SW28、27000rpm、20時間)の対象とし、UF/DF前にエンプティーキャプシドを除去する。
リアルタイム定量的PCR(Q−PCR)を用いて、上述のAAV調製物を定量する。Sommer, J. M. et al. (2003) Mol. Therapy 7:122-128を参照。3種類の方法それぞれにより精製したベクターを、SDS−PAGE/銀染色分析により分析し、全てのケースで、VP1、VP2、およびVP3が予測した割合で存在し、さらに、キャプシドタンパク質は走査濃度測定により決定した総タンパク質の>95%を表す。しかしながら、方法2(カラムクロマトグラフィー)により精製したベクターは、方法1および3により精製した勾配精製AAV2ベクター同様、エンプティーキャプシドを含有し、これは1ベクターゲノム当たり3〜10個のエンプティーキャプシド範囲に渡る。
実施例2
AAV2の凝集を検出するための限外ろ過およびダイアフィルトレーション
使い捨ての中空糸タンジェンシャルフローフィルトレーション装置(Amersham BioSciences 8" Midgee、100kDaの通常の孔サイズ)を用いて、上述の方法および表2に記載のUF/DF実験について記載の方法により精製したAAV2ベクターを濃縮し、ダイアフィルトレーションする。全UF/DF方法のため、10×生成物容量に該当するダイアフィルトレーションバッファー容量を用い、それを〜1mLずつの増加にて添加し、ほぼ連続してダイアフィルトレーションする。この方法を用いて、ダイアフィルトレーション後に計測した残りのCsClは、<0.5mMである。
UF/DFについては、次の3種類の製剤:対照製剤(CF:140mM 塩化ナトリウム、10mM リン酸ナトリウム、5% ソルビトール、pH7.3);試験製剤1(TF1:150mM リン酸ナトリウム、pH7.5);および試験製剤2(TF2:100mM クエン酸ナトリウム、10mM Tris、pH8.0)を用いた。表2に示す実験について、ベクター濃度1×1013vg/mLに該当する容量でダイアフィルトレーションを行い、ダイアフィルトレーション後、2.5×1013vg/mL(ベクターの損失は全くないと仮定)に該当する値まで容量を低減する。
実験2について、2×1013vg/mLに該当する容量でダイアフィルトレーションを行い、次に、容量を6.7×1013vg/mLに該当する値に低減する。
実験3(CF±Bz)について、AAV2−AADC(約1.2×1014vg)をまず、TF1(ヌクレアーゼ活性と適合し得る製剤)にダイアフィルトレーションし、次に、0.22μmのフィルターに通す。この材料のタイターを決定し、容量を濃度1×1013vg/mLになるよう調節する。この材料10mLに、MgClを濃度2mMまで添加し、次に2つの等しいアリコートに分配する。第1のアリコートをBenzonase(200U/mL、4時間、RT)と共にインキュベーションし、第2のアリコートを偽インキュベーションする。次に、それぞれのアリコートを、ベクター濃度2×1013vg/mLに該当する容量でダイアフィルトレーションし、次に、目標3.6×1013vg/mLまで濃縮する。全UF/DFプロトコールの後、1% ストックのPluronic[登録商標]F−68(BASF Corp., Mount Olive, NJ)を最終濃度0.001%までベクター生成物に添加し、溶液を0.22μmのシリンジフィルター(Sartorius)に通す。全UF/DF方法を、ラミナーフローキャビネット内で行う。
実施例3
動的光散乱によるベクターの凝集の測定
Protein Solutions DynaPro 99(λ=825.4nm)を用いた動的光散乱(DLS)により、精製ベクターを凝集について分析する。1次データ(粒子半径−Rh、30サイクル、10サイクル/分に渡り測定した平均値)を、報告した分析全てについて用いる。「希釈圧力」法を用いて、ベクター凝集に対する種々の賦形剤の効果を評価する。この方法において、試験希釈液80μLをベクター溶液20μLに、DLS測定のために用いる実測用キュベット中で混合しながら添加し、データの収集を混合10秒以内に開始する。試験希釈物の添加前に、AAV2ベクター調製物のRh値を測定し、<15nmであることを確かめ、出発材料が単量体であることを確認する。100%単量体でない試料は、0.22μmのシリンジディスクフィルター(Sartorius、低タンパク質結合)に通して凝集物を除去する。
図1および2において示す浸透圧およびイオン強度値を、混合物(すなわち、重量:試験希釈液(80%)および出発ベクター製剤(20%))に存在する全ての賦形剤を用いて計算する。浸透圧を、方程式:
Figure 2019058177
(cは各溶液種のモル濃度である)により計算する。イオン強度(μ)を、方程式:
Figure 2019058177
(zは、各種上の荷電である)により計算する。ベクターの凝集を生じる条件(例えば、低μ)では、Rhの漸進的増加を一連のデータ回収に渡り観察する。希釈後3分間隔で測定した平均Rhが凝集の信頼可能な測定であることを確認するために、同じ時間間隔でのRhの平均増加速度(ΔRh/Δt)も決定する(示していない)。ΔRh/Δtの分析は、図1および2に報告した平均Rh値を用いて得たものと一致する結果を生じる。
実施例4
AAVビリオンの感染性
AAV2−AADCベクターの感染性を既に記載の高感度アッセイを用いて決定する。Zhen, Z. et al. (2004) Human Gene Ther. 15:709-715を参照されたい。簡単に言うと、試料を連続希釈(10倍希釈、10複製物/希釈)し、10% FBSを含有するDMEM培地中96ウェル組織培養プレート(Falcon,カタログ番号353227)にて成長させたD7/4細胞(AAVrepおよびcapを発現する改変HeLa細胞)に添加する。アデノウイルス(Ad−5、100vp/細胞)を各ウェルに添加し、ヘルパー機能を提供する。48時間後、各ウェルにおけるAAVベクターの複製を、導入遺伝子特異的プライマーおよびプローブを用いたQ−PCRにより定量し、限界希釈における感染頻度を、Karber法により分析し、感染価を計算する。CFにおいて予め調製し、−80℃で保存した参照AAV2−AADCと同時に、試験試料を実施する。
AAV2ベクターの導入効率を、全細胞ELISAにより定量する。10から10vg/細胞投入量(5複製物/希釈)に該当する試験試料および参照ベクターの10倍連続希釈物を用いて、96ウェルプレートで成長させたD7/4細胞を感染させる。48時間後、培地を除去し、細胞をPBS(10mM リン酸ナトリウム、140mM 塩化ナトリウム,pH7.2)200μLで2回洗浄する。次に、細胞を透過処理し、0.5% Triton X−100および4% パラホルムアルデヒドを含有するPBS 100μLを各ウェルに添加(15分)して、固定する。固定液を除去し、0.5% TritonX−100を含有するPBSで2回、細胞を洗浄する。3% ウシ血清アルブミン(BSA)および0.5% TritonX−100を含有するPBSを添加して、非特異的部位をブロックする(60分間)。
洗浄後、細胞をウサギ抗AADC IgG抗体(Chemicon, AB136)と共に1時間インキュベーションし、洗浄する。次に、細胞をアルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ウサギIgGと共に1時間インキュベーションし、洗浄する。抗体を1% BSA、0.5% Triton X−100を含有するPBSに1:1000希釈する。次に、基質(PNPP, Pierce、カタログ番号34047)を添加(1×ジエタノールアミン基質バッファー中1mg/mL、Pierce、カタログ番号34064)し、30分間インキュベーション後、開裂した基質濃度を分光光度法(λ=405nm)により測定する。ベクター投入量の関数としてのヒトAADC発現を、スプライン曲線(SigmaPlot)を用いて近似させる。AAV2−AADC参照ベクターを試験試料と同時に測定する。
本発明の好ましい実例となる実施態様が記載されているが、種々の変更および修飾が、本発明から逸脱することなくその中で成され得ることは当業者に明らかであり、かつ添付の請求の範囲において、本発明の真の精神および範囲内にあるかかる変更および修飾全てをカバーすることが意図される。
図1Aおよび1Bは、AAV2−FIX粒子の凝集を示すデータを種々のバッファー組成物についての浸透圧(図1A)またはイオン強度(図1B)の関数として表す。AAV2−FIXベクターを実施例1の方法2により調製する。pH7.5にて10mM リン酸ナトリウムで緩衝化した各濃度の賦形剤中にベクターを希釈後、平均粒子半径を動的光散乱(DLS)により測定する。賦形剤は、塩化ナトリウム( )、クエン酸ナトリウム ( )、リン酸ナトリウム( )、硫酸ナトリウム( )、硫酸マグネシウム( )、およびグリセロール( )を含む。 図2は、AAV2−FIXの凝集についてのデータを精製方法の関数として表す。DLSにより測定され、次に、pH7.5にて10mM リン酸ナトリウムで緩衝化した各濃度の塩化ナトリウム中にベクターを希釈後、平均粒子半径を測定する。方法1(2回のCsCl勾配)( );方法2(陽イオン交換クロマトグラフィー)( );方法2+ヌクレアーゼ消化( );または方法3(クロマトグラフィー+1回のCsCl勾配)( )により、ベクターを精製する。精製方法1〜3は、実施例1に記載されている。 図3は、高いイオン強度製剤( )または対照製剤( )として調製し、保存したrAAV2−AADCビリオンで形質導入したD7/4細胞からの導入遺伝子の発現についてのデータを表す。形質導入の72時間後にELISA(それぞれのデータポイントについてトリプリケート)により、AADCの濃度を測定した。エラーバーは標準偏差を表す。

Claims (20)

  1. ビリオン調製物におけるビリオンの凝集を防ぐ方法であって、少なくとも約200mMのイオン強度を達成するためにビリオン調製物に1種類以上の賦形剤を添加することを含む、方法。
  2. ビリオンがAAVビリオンである、請求項1記載の方法。
  3. 該ビリオン調製物をヌクレアーゼで処理することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  4. ヌクレアーゼがBenzonase[登録商標]である、請求項3記載の方法。
  5. 1種類以上の賦形剤が多価イオンを含むものである、請求項1記載の方法。
  6. 多価イオンがクエン酸塩である、請求項5記載の方法。
  7. 1種類以上の賦形剤の添加後のビリオン調製物の浸透圧が、約280mOsm未満である、請求項1記載の方法。
  8. 1種類以上の賦形剤の添加後、ビリオン調製物におけるビリオンの平均粒子半径(Rh)が約20nm未満(動的光散乱により測定される)である、請求項1記載の方法。
  9. 1種類以上の賦形剤の添加後、ビリオンの回収率が、0.22μmのフィルターを通してビリオン調製物をろ過した後、少なくとも約90%である、請求項1記載の方法。
  10. 精製ウイルス粒子;
    pHバッファー;および
    1種類以上の多価イオン
    を含む賦形剤を含む精製ウイルス粒子の保存用組成物であって、イオン強度が約200mMより高い、組成物。
  11. 精製ウイルス粒子がAAVウイルス粒子である、請求項10記載の組成物。
  12. 1種類以上の多価イオンの1つがクエン酸イオン(citrate)である、請求項10記載の組成物。
  13. Pluronic[登録商標]F68をさらに含む、請求項10記載の組成物。
  14. Pluronic[登録商標]F68が、0.001%にて存在する、請求項13記載の組成物。
  15. pHバッファーが10mM Tris、pH8.0であり、賦形剤が100mM クエン酸ナトリウムを含むものである、請求項10記載の組成物。
  16. 精製ウイルス粒子の平均粒子半径(Rh)が約20nm未満(動的光散乱により測定される)である、請求項10記載の組成物。
  17. 精製ウイルス粒子の回収率が、0.22μmのフィルターを通してビリオン組成物をろ過した後、少なくとも約90%である、請求項10記載の組成物。
  18. ビリオン調製物におけるビリオンの凝集を防ぐ方法であって、該ビリオン調製物をBenzonase[登録商標]で処理することを含む、方法。
  19. Benzonase[登録商標]処理後、ビリオン調製物中のビリオンの平均粒子半径(Rh)が、動的光散乱により測定された場合に約20nm未満である、請求項18記載の方法。
  20. Benzonase[登録商標]処理後、ビリオンの回収率が、0.22μmのフィルターを通してビリオン調製物をろ過した後、少なくとも約90%である、請求項18記載の方法。
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