JP2019056199A - 片面に綿しか露出しないパワーネット生地を用いた衣類 - Google Patents
片面に綿しか露出しないパワーネット生地を用いた衣類 Download PDFInfo
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Abstract
Description
しかしながら、このようなカバリング糸を用いて編成した編地では、芯糸である弾性糸と捲糸である綿糸との伸縮性が異なり、弾性糸が伸びると捲糸である綿糸ではなく弾性糸や場合によっては編成時に使用した綿糸以外の編糸が肌に触れてしまう可能性がある。これでは、高品質の接触特性を実現することができない。
すなわち、本発明のある局面に係る衣類は、弾性糸、非伸縮性合成繊維および吸湿性繊維を含む経編地で編成されたパワーネット生地を少なくとも一部に用いた衣類であって、前記吸湿性繊維が経編みにおいて挿入組織で編成されておらず、前記吸湿性繊維が、前記
パワーネット生地の片面側において実質的に全面に露出し、前記片面側を肌側に配置したことを特徴とする。
さらに好ましくは、前記弾性糸はポリウレタン糸であって、前記非伸縮性合成繊維はナイロン糸であって、前記吸湿性繊維は綿糸であるように構成することができる。
さらに好ましくは、前記衣類は、女性用のファンデーションであるように構成することができる。
[パワーネット生地]
この衣類に用いられるパワーネット生地(経編地)は、吸湿性繊維の一例である綿糸(図面上では符号Cで示す)を最前面の筬に配置しループを形成し(綿糸を挿入糸として使用するのでなく)、弾性糸の一例であるポリウレタン糸(図面上では符号Puで示す)および非伸縮性合成繊維の一例であるナイロン糸(図面上では符号Nで示す)とともにラッセル経編地を編成するという製造方法で編成している。この製造方法により編成されたパワーネット生地(ラッセル経編地)は、生地の表側(ラッセル編み機における表側)が綿糸で完全に覆われ、このパワーネット生地を裏使いで使用する(パワーネット生地の表側が肌側になるようにパワーネット生地を裏使いで衣類を製造する)ことにより、衣類の肌側において綿糸が実質的に全面に露出している(綿100%(実質的な100%を含む意味))状態を実現する。
図1〜図4に、本実施の形態に係るパワーネット生地の編み組織を説明するために、タテヨコ両方向に引っ張りながら(非伸張状態ではない)撮影した表面を示す図(図1)、ナイロン易染色性の染料によりナイロン糸を黒く染色した後を示す図(図2)、その拡大図(図3)および模式図(図4)を示す。これらの図1〜図4においては、(A)は肌側(綿側)であって、(B)は外側(ナイロン側)である。
これに対して、図1(B)、図2(B)、図3(B)および図4(B)に示す、外側(ナイロン側)においては、綿糸のループよりもポリウレタン糸およびナイロン糸が最も紙面手前側に配置されており、綿糸のループはポリウレタン糸およびナイロン糸よりも紙面奥側に配置され、最も紙面奥側に綿糸のループが配置されていることがわかる。
このような編み組織で編成された本実施の形態に係るパワーネット生地を非伸張状態においてこの紙面手前側の面(パワーネット生地の片面)を1倍から200倍までの範囲で拡大して観察した場合について説明する。
非伸張状態のパワーネット生地の肌側(綿側)の片面を観察した場合に、
図5(A)に示すように綿糸以外の繊維(ここではポリウレタン糸およびナイロン糸)が目視で確認できないが、外側(ナイロン側)の片面を観察した場合に、図5(B)に示すように綿糸に加えてナイロン糸が目視で確認できる
次に、図6に、本実施の形態に係るパワーネット生地を非伸張状態で電子顕微鏡で観察した結果を示す。この図6は肌側(綿側)のみを示す。また、この図6との比較のための綿100%フライス編地を電子顕微鏡で観察した結果を図7に示す。なお、これらの図6および図7の倍率は200倍程度である。
また、これらの図6を拡大して、本実施の形態に係るパワーネット生地を非伸張状態で電子顕微鏡で観察した結果を、図8に示す。この図8も肌側(綿側)のみを示す。また、この図8との比較のための綿100%フライス編地を電子顕微鏡で観察した結果を図9に示す。なお、これらの図8および図9の倍率は1000倍程度である。
この点において、本実施の形態に係るパワーネット生地の片面において実質的に全面に綿糸が露出しているとは、非伸張状態においてパワーネット生地の片面を1倍から1000倍までの範囲で拡大して観察した場合に、綿糸以外の繊維が目視できないことを意味し、特に好ましくは1倍から200倍までの範囲で拡大して観察した場合に、綿糸以外の繊維が目視できないことを意味すると考えられる。
次に、上述したパワーネット生地を少なくとも一部に用いた衣類の一例である女性用のファンデーション(ロングまたはショートのガードル、ブラジャー等)について説明する。
本実施の形態に係るファンデーションは、少なくともその一部に上述したパワーネット生地を、ファンデーションの着用時に肌側において綿糸以外の繊維が着用者の肌に触れないように、綿糸が実質的に全面に露出する面側を肌側に配置したことを特徴とする。なお、ファンデーションのどの部分または全部に上述したパワーネット生地を用いるのかについては本発明においては限定されない。
本発明においては、上述の緩やかな伸張状態で模擬されている。このため、このファンデーションの着用時に着用者の肌側においては、パワーネット生地において綿糸が実質的に全面に露出しており、綿糸以外の繊維が着用者の肌に触れることがない。このため、このファンデーションは、肌が綿のみに触れるために、肌触りの良い特性および吸湿性が高い特性を実現することができる。
N ナイロン糸
Pu ポリウレタン糸
Claims (5)
- 弾性糸、非伸縮性合成繊維および吸湿性繊維を含む経編地で編成されたパワーネット生地を少なくとも一部に用いた衣類であって、
前記吸湿性繊維が経編みにおいて挿入組織で編成されておらず、
前記吸湿性繊維が、前記パワーネット生地の片面側において実質的に全面に露出し、
前記片面側を肌側に配置したことを特徴とする衣類。 - 前記実質的に全面に露出しているとは、非伸張状態において前記パワーネット生地の片面を1倍から200倍までの範囲で拡大して観察した場合に、前記吸湿性繊維以外の繊維が目視できないことを意味する、請求項1に記載の衣類。
- 前記弾性糸はポリウレタン糸であって、前記非伸縮性合成繊維はナイロン糸であって、前記吸湿性繊維は綿糸であることを特徴する、請求項1または請求項2に記載の衣類。
- 前記肌側において吸湿性繊維以外の繊維が着用者の肌に触れないように、前記片面側を肌側に配置したことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の衣類。
- 前記衣類は、女性用のファンデーションであることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の衣類。
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