JP2019056159A - 通気性防水金属箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】気体は透過させ液体は透過させない金属箔、すなわち、通気性防水金属箔を提供する。【解決手段】直径30μm以下である微細孔が、孔の密度100個/mm2以下で形成されている金属箔と、前記金属箔の少なくとも一方の面に、水接触角が70°以上の撥水性皮膜が積層されていることを特徴とする、通気性防水金属箔。【選択図】図1

Description

本発明は、通気性と防水性とを兼ね備えた金属箔に関する。
金属箔は導電材や電磁波遮蔽材などとして用途が拡大しており、新たな機能として光透過性や気体透過性などを有する、薄くて軽い多孔金属箔が求められている。特に、銅箔に微細な孔を設けて透過性を付与した多孔銅箔は、導電性を有するフィルター材などとして多方面での利用が期待される。より薄く軽い多孔金属箔が求められる一方、微細孔の大きさを制御したり、微細孔の均一性を高めたりすることも求められている。更に、気体は透過させるが液体は透過させないという、所謂通気性と防水性とを兼ね備えた金属箔が求められる分野も増えてきている。
微細孔を有する金属箔を製造する方法としては、特許文献1〜5に開示されるように従来様々な方法が提供されてきている。これらのうち、主に金型やレーザーを用いて金属箔に孔を開けたり、パンチングやエッチング等の手法で孔を開けたりしたものがあるが、薄い金属箔に、微細で均一な孔を形成するのは困難であった。例えば、金属箔の厚みが20〜100μm程度のものでなければ加工できなかったり、孔径についても、100μm以上といった比較的大きなサイズの孔を開けるのが限界であったりした。
そのため、従来の方法で得られる多孔金属箔では小型化、軽量化した際に均一な透過性を発揮することが出来なかった。より厚みの薄い金属箔であって、より小さなサイズの孔が均一に分布していることで、気体成分や液体成分の透過性に偏りの生じないものが望まれるような分野、例えば、リチウムイオン電池等の負極用電極板、シート状電極板、各種フィルター、フレキシブル回路基板の電磁波遮蔽材などの分野において、十分に満足のいく性能を有する多孔金属箔とそれを製造する方法が強く求められている。
加えて従来の方法で形成される多孔金属箔では、孔径が100μm以上と大きすぎるため、液体の透過を防ぐことができなかった。通気性と防水性とが求められるような分野、例えば、空気マグネシウム電池の正極集電材、ACアダプターの放熱フィルターといった分野において利用可能な金属箔が求められている。
特開2007−169766号公報 特開2007−277641号公報 特開2009−249643号公報 特開2012−026019号公報 特開2013−227637号公報
本発明は、気体は透過させ液体は透過させない金属箔、すなわち通気性防水金属箔を提供することを課題とする。すなわち、通気性と防水性とを兼ね備えた金属箔を提供する。
本発明者らは、鋭意研究の結果、所定の孔径と孔密度を有する金属箔の表面に、撥液性を有する皮膜を積層することによって、通気性と防水性とを兼ね備えた金属箔を得ることができることを見出し本発明の完成に到った。
本発明の通気性防水金属箔は、孔径30μm以下である微細孔が、100個/mm以下の孔密度で形成されている金属箔と、前記金属箔の少なくとも一方の面に水接触角が70°以上の撥水性皮膜が積層されていることを特徴とする、通気性防水金属箔である。
前記通気性防水金属箔の通気度が1200sec/100mL以下であることが好ましい。
前記通気性防水金属箔の耐水圧が50gf/cm以上であることが好ましい。
本発明によれば、通気性と防水性とを兼ね備えた通気性防水金属箔が得られる。得られた通気性防水金属箔は、所定の微細孔構造を有しているため所望の通気性を満たしながら、防水性をも備える。金属箔であるため導電性、電磁波遮蔽性も有していることは言うまでもない。
本発明による通気性防水金属箔は、必要な場面で支持体から容易に剥離することができるため使用性に優れる。一例では、支持体から通気性防水金属箔を剥離して単独で利用することもできる。他の例では、支持体が付いた状態のまま所望の対象物に貼り付け、その後に支持体のみを剥離する、という使用方法も採用される。この場合、対象物に通気性防水金属箔を貼り合わせる際に皺の発生を防止することが容易となる。対象物としては樹脂、ガラス、セラミックス等からなる物品が挙げられる。
本発明の通気性防水金属箔を撮影した拡大透過光像である。
本発明の通気性防水金属箔においては、孔径30μm以下である微細孔が、100個/mm以下の孔密度で形成されている金属箔をベースとしている。孔径が30μmを超えている場合や、孔密度が100個/mmよりも多い場合には、通気性は十分であっても防水性を発現することができない。尚、孔径30μm以下という場合、数値的には0μmも含まれるが、0μmの孔というものは存在しないため除外される。同様に、孔密度が100個/mm以下という場合、0個/mmも数値範囲としては含まれるが、孔密度が0個/mmということは孔が存在しないことを意味し、当然通気性を示すはずもないため本発明の通気性防水金属箔からは除外される。
本発明の通気性防水金属箔は、孔径30μm以下である微細孔が、100個/mm以下の孔密度で形成されている金属箔の少なくとも一方の面に、水接触角が70°以上の撥水性皮膜が積層されている。撥水性皮膜は、同時に防錆効果を有するものであることが好ましい。撥水性と防錆効果を有する皮膜の主成分としては、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル)ベンゾトリアゾール、あるいは1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
本発明の通気性防水金属箔は、通気度が1200sec/100mL以下であることが好ましい。尚、本発明における通気度とは、以下の試験方法によって得られる測定値である。通気性防水金属箔をガーレー式デンソメーター(JIS−L1096準拠)にセットして通気度を測定する。このときの条件として、内筒重量567g、通気円面積642mm、通気円径28.6mmであり、100mLの空気が通過する時間を計測する。通気度の単位はsec/100mLで表わす。
本発明の通気性防水金属箔は、耐水圧が50gf/cm以上であることが好ましい。尚、本発明における耐水圧とは、以下の試験方法によって得られる測定値を指す。内径20mm、長さ2000mmの透明な塩ビ管を垂直に立て、塩ビ管の下底に蓋をする。下底に近い塩ビ管の側面に直径5mmの円形の穴を開け、その穴を通気性防水金属箔で塞ぐ。塩ビ管の上端側から水を徐々に充填し、通気性防水金属箔の微細孔から水滴が漏れ出した時点で、水の充填を停止する。塩ビ管側面の直径5mmの穴の中心から水面までの距離を計測し、その際、通気性防水金属箔にかかる水圧を耐水圧とした。例えば、穴の中心から水面までの距離が50cmの場合、耐水圧は50gf/cmとなる。
本発明の通気性防水金属箔を製造する方法について、その一例を示す。まず、通気性防水金属箔の支持体として、表面の少なくとも一部にアルミニウムを有する基材が用いられる。具体的には、合成樹脂フィルムの表面にアルミニウムから成る金属層が形成されたものや、アルミニウム箔、アルミニウム板等が挙げられる。後述するめっき処理工程での作業性の観点から、アルミニウム箔の一方の面に補強材としての樹脂フィルムが貼り合わされたものであることが好ましい。補強材としての樹脂フィルムは、めっき処理工程における薬品に耐性を有するものであることが好ましい。例えば、ポリエステル、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
支持体のアルミニウム表面に、アルカリ性水溶液を接触させるアルカリ処理工程が最初に実施される。アルカリ性水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等が挙げられる。アルカリ水溶液の濃度としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液の場合であれば0.4〜8.0質量%であることが好ましい。アルミニウム表面に接触させるアルカリ性水溶液の温度は15〜45℃であることが好ましく、接触させる時間は30〜600秒であることが好ましい。
大気中においては、アルミニウムの表面は酸化されており不動態となっている。アルカリ処理工程ではこの不動態の一部を溶解し、酸化していないアルミニウムを一部露出させる効果を有していると考えられる。不動態となっているアルミニウムの表面では、以降のめっき工程において電気めっきを実施しても金属の析出は見込めない。
アルカリ処理を実施した後、速やかに次の工程であるめっき工程が実施される。上記のとおり、アルカリ処理工程によって一部の不動態が取り除かれるが、長時間放置すると空気酸化が進み、再度不動態となってしまう。アルカリ処理工程の後、めっき工程を実施するまでの時間間隔は180秒以内であることが好ましい。
めっき工程では、電気銅めっき処理、あるいは電気ニッケルめっき処理が行なわれる。銅めっき液やニッケルめっき液の組成としては、従来公知の配合で調製することもできるし、市販の電気銅めっき液を用いることもできる。
電気銅めっき処理における条件として、電流密度が2〜3A/dmの範囲であることが好ましい。電気銅めっき処理の電流密度がこの範囲内であることによって、不動態が除去された支持体のアルミニウム表面に、ピーラブルな多孔銅箔の核となる金属銅の析出が達成される。電気銅めっき処理の電流密度が2A/dm未満であると、アルミニウム支持体と多孔銅箔の密着力が強くなり過ぎて、ピーラブル性が失われる虞がある。一方、電気銅めっき処理の電流密度が3A/dmを超えると十分な数の微細孔が形成されないという虞がある。
電気銅めっき処理の処理温度は30〜60℃であることが好ましく、処理時間は60〜2400秒であることが好ましい。めっき処理の後、必要に応じて水洗、乾燥を実施してもよい。
電気ニッケルめっき処理の場合の条件としては、電流密度が1.5〜2A/dmの範囲であることが好ましい。電流密度がこの範囲内であることによって、不動態が除去された支持体のアルミニウム表面に、ピーラブルな多孔ニッケル箔の核となる金属ニッケルの析出が達成される。電流密度が1.5A/dm未満であると、支持体のアルミニウム表面と多孔金属箔の密着力が強くなり過ぎて、ピーラブル性が失われる虞がある。一方、電流密度が2A/dmを超えると、限界電流密度を超え、ヤケやコゲが発生するという虞がある。
電気ニッケルめっき処理の処理温度は30〜60℃であることが好ましく、処理時間は60〜2400秒であることが好ましい。めっき処理の後、必要に応じて水洗、乾燥を実施してもよい。
電気銅めっき処理、電気ニッケルめっき処理は二段階以上の処理に分けて実施することができる。この場合、第一段階の処理は上記の処理条件にて実施し、第二段階のメッキ処理条件として電流密度を0.5〜3.5A/dmの範囲で実施してもよい。このように、電気銅めっき処理や電気ニッケルめっき処理における処理条件、特に電流密度を制御することによって、金属箔の孔の直径や密度をコントロールすることができる。
上記めっき工程によって得られる金属箔において、その孔の直径は30μm以下である。更に孔の密度は100個/mm以下である。孔の直径と密度がこの範囲内であれば、通気性と防水性とを両立することができる。また通気性防水金属箔の厚さは1〜12μmであることが好ましい。厚さがこの範囲であれば、金属箔特有の柔軟性が得られる。めっき工程の後、必要に応じて水洗、乾燥を実施することができる。
次に、上記工程によって得られた金属箔の少なくとも一方の面に撥水性皮膜を積層させる。撥水性皮膜を積層させる方法としては、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾールなどを含有する水溶液への浸漬処理であることが好ましい。処理温度は20〜60℃であることが好ましく、処理時間は30〜300秒であることが好ましい。浸漬処理の場合、金属箔の支持体側表面にも撥水性皮膜が形成される。恐らく、処理液が金属箔の有する微細孔を通過し、金属箔と支持体のアルミニウム表面との境界部分にまで浸透するためと考えられる。撥水性皮膜を積層させる他の方法としては、スプレー法やコーティング法などが挙げられる。
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。
(1)孔の密度の測定
通気性防水金属箔の裏側から光を照射し、その透過光像をマイクロスコープ(KEYENCE DIGITAL MICROSCOPE VHX-5000、株式会社キーエンス製)で撮影した。一片1.26mmの正方形領域内に存在する透過光像のドット数を数え、孔の密度を算出した。
(2)孔の直径の測定
一片1.26mmの正方形内に存在する透過光像の全ドットの直径をマイクロスコープ(KEYENCE DIGITAL MICROSCOPE VHX-5000)で計測し、その平均値を孔の直径とした。
[実施例1]
支持体として、アルミニウム箔(8021、厚み20μm、株式会社UACJ製)にポリエステル樹脂フィルム(厚み75μm、フタムラ化学株式会社製)をドライラミネートで貼りあわせたものを用いた。アルカリ性水溶液として4質量%の水酸化ナトリウム水溶液を使用し、42℃にて25秒間、30℃にて25秒間、アルミニウム支持体を浸漬法にて接触させた。
次いで、硫酸銅五水和物200g/L、硫酸55mL、塩化ナトリウム85mg/L、ポリエチレングリコール♯4000(関東化学株式会社製)5g/Lに調製した電気銅めっき液にて第一段階の電気銅めっき処理を実施した。電流密度は2.5A/dmであり、処理時間は444秒とした。処理温度は40℃であった。
次いで、硫酸銅五水和物200g/L、硫酸55mL、塩化ナトリウム85mg/L、ポリエチレングリコール♯4000(関東化学株式会社製)5g/Lに調製した電気銅めっき液にて第二段階の電気銅めっき処理を実施した。電流密度は0.5A/dmであり、処理時間は1440秒とした。処理温度は40℃であった。
その後、VERZONE SF-310(大和化成株式会社製、変性ベンゾトリアゾール系)100mL/Lの水溶液に40℃で180秒浸漬して防錆処理を実施し、支持体付きの通気性防水金属箔を得た。得られた通気性防水金属箔の厚みは10.2μm、開口率は0.32%、孔の直径は9μm、孔の密度は36個/mm、通気度は38秒/100mL、耐水圧は65gf/cmであった。結果を表1に示す。
[実施例2]
第二段階の電気銅めっき処理における電流密度を1.0A/dm、処理時間を720秒とした以外は、実施例1と同様にして、支持体付きの通気性防水金属箔を得た。得られた通気性防水金属箔の厚み、開口率、孔の直径、孔の密度、通気度、耐水圧を表1に示す。
[実施例3]
第二段階の電気銅めっき処理における電流密度を2.0A/dm、処理時間を360秒とした以外は、実施例1と同様にして、支持体付きの通気性防水金属箔を得た。得られた通気性防水金属箔の厚み、開口率、孔の直径、孔の密度、通気度、耐水圧を表1に示す。
[実施例4]
水酸化ナトリウム水溶液にアルミニウム支持体を浸漬法にて接触させる条件を22℃にて200秒間とし、めっき工程で形成する多孔金属箔の金属種をニッケルとした以外は、実施例1と同様にして、支持体付きの通気性防水金属箔を得た。使用したメッキ処理液の組成は、硫酸ニッケル六水和物340g/L、ほう酸40g/Lであり、これをpH4.5に調製したものである。電気ニッケルめっき処理における電流密度は1.5A/dmとし、処理時間は888秒とした。処理温度は40℃であった。得られた通気性防水金属箔の厚み、開口率、孔の直径、孔の密度、通気度、耐水圧を表1に示す。
[比較例1]
第一段階の電気銅めっき工程における電流密度を2.0A/dmとした以外は、実施例1と同様にして、支持体付きの通気性防水金属箔を得た。得られた通気性防水金属箔の厚み、開口率、孔の直径、孔の密度、通気度、耐水圧を表1に示す。
[比較例2]
VERZONE SF-310(大和化成株式会社製)100mL/Lの水溶液にかえて、パルC(タツタ電線株式会社)20mL/Lの水溶液に22℃で30秒浸漬して防錆処理を実施した以外は、実施例2と同様にして、支持体付きの通気性防水金属箔を得た。得られた通気性防水金属箔の厚み、開口率、孔の直径、孔の密度、通気度、耐水圧を表1に示す。

Claims (3)

  1. 直径30μm以下である微細孔が、孔の密度100個/mm以下で形成されている金属箔と、前記金属箔の少なくとも一方の面に、水接触角が70°以上である撥水性皮膜が積層されていることを特徴とする、通気性防水金属箔。
  2. 通気度が1200sec/100mL以下であることを特徴とする、請求項1に記載の通気性防水金属箔。
  3. 耐水圧が50gf/cm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の通気性防水金属箔。
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