JP2015077793A - 機能性フィルム - Google Patents

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竜子 池村
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英子 岡本
直子 山田
Naoko Yamada
直子 山田
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Abstract

【課題】長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる機能性フィルムの提供。【解決手段】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物16からなる凹凸構造を表面に有するフィルム10の該表面に、機能性物質20が設けられている、機能性フィルム1。機能性物質20は、凹凸構造を表面に有するフィルム10の表面全体に設けられていてもよいし、一部でもよい。また、機能性物質20は、凹凸構造の凸部14の先端14aを覆っていてもよいし、凸部14の先端まででもよいし、凹部18の一部に設けられていてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、機能性フィルムに関する。
徐放技術は、揮散性物質から有効成分(揮散成分)を少しずつ放出する技術であり、徐放性を発揮する材料として以下のものが知られている。
(1)特定の害虫忌避剤を塗布したフィルムであって、これを配置した特定空間への害虫の侵入を阻止する害虫忌避フィルム(特許文献1)。
(2)害虫忌避剤を含む熱可塑性樹脂層を積層したフィルムであって、土壌を這ってくる害虫を忌避する農業用マルチフィルム(特許文献2)。
(3)平均直径が0.1〜50nmの細孔に機能性物質が存在するナノポーラスファイバーを含む繊維構造物(特許文献3)。
特許第3235911号公報 特開平09−248069号公報 特開2004−316053号公報
しかしながら、(1)〜(2)のフィルムは、ある程度の期間は害虫忌避剤の効果が得られるものの、長期間にわたってその効果を維持させることが困難であった。特に、フィルム表面が擦れると、フィルム表面に塗布した害虫忌避剤や、フィルム表面に積層した害虫忌避剤を含む熱可塑性樹脂層が削られてしまうため、効果の持続性が短くなる。
(3)の繊維構造物は、単位表面積当たりの繊維の細孔数が少なく、また繊維の細孔の内部まで十分に機能性物質が取り込まれにくいため、機能性物質の取り込み量が少ない。よって、短期間ですべての機能性物質が揮散してしまうため、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる機能性フィルムの提供を課題とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有するフィルムの該表面に、機能性物質が設けられている、機能性フィルム。
[2] 基材と中間部材と外側部材とを有するフィルムであって、該外側部材はフィルムの表面にあり、且つ機能性物質を含むものであり、該中間部材は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を有するものである、機能性フィルム。
[3] 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凸部を表面に有するフィルムであって、凸部間に機能性物質が充填されている、機能性フィルム。
[4] 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有するフィルムであって、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は機能性物質を含有し、該機能性物質は凹凸構造内部を移動可能である、機能性フィルム。
[5] 機能性物質の厚みが1〜20nmである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
[6] 初期揮散量の傾き1と、揮散量曲線の変曲点を経過後の後期揮散量の傾き2との比(傾き1/傾き2)が7以下である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
[7] 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量%に対し、機能性物質を0.01〜80質量%含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
[8] 凹凸構造の隣り合う凸部間の平均間隔が50μm以下である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
[9] 前記機能性物質が徐放性を有する、[1]〜[8]に記載の機能性フィルム。
[10] 前記機能性物質が徐放性を有さない、[1]〜[8]に記載の機能性フィルム。
[11] 前記機能性物質が防虫剤である、[9]に記載の機能性フィルム。
[12] 農業用資材である、[9]に記載の機能性フィルム。
[13] 前記凹凸構造が、陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された複数の凸部からなる、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
本発明の機能性フィルムは、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる。
本発明の機能性フィルムの一例を示す断面図である。 本発明の機能性フィルムの他の例を示す断面図である。 本発明の機能性フィルムの他の例を示す断面図である。 本発明の機能性フィルムの製造装置の一例を示す構成図である。 陽極酸化アルミナを表面に有するモールドの製造工程を示す断面図である。 本発明の機能性フィルムの他の例を示す断面図である。 実施例5、6、及び比較例2における、揮散の時間依存性を示すグラフである。左軸は機能性フィルムの揮散量を、右軸は平坦フィルムの揮散量を表す軸である。 (A)は実施例5、6、及び比較例2における、傾き1を示すグラフである。(B)は実施例5、6、及び比較例2における、傾き2を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及びメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリロニトリル」はアクリロニトリル及びメタクリロニトリルの総称であり、「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミド及びメタクリルアミドの総称であり、「(メタ)アクリロキシ」はアクリロキシ及びメタクリロキシの総称である。
本明細書において、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
本明細書における「虫」とは、昆虫類全般の他、節足動物門の多足類、クモ類、甲殻類等も含まれる。
また、図2〜4、6において、図1と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
「機能性フィルム」
本発明の機能性フィルムは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有するフィルムの該表面に、機能性物質が設けられている。機能性物質は、凹凸構造を表面に有するフィルムの表面全体に設けられていてもよいし、一部でもよい。また、機能性物質は、凹凸構造の凸部の先端を覆っていてもよいし、凸部の先端まででもよいし、凹部の一部に設けられていてもよい。
なお、凹凸構造を有する側のフィルムの面を「フィルムの表面」といい、機能性物質が設けられている側の機能性フィルムの面を「機能性フィルムの表面」という。
本発明の機能性フィルムの他の様態は、基材と中間部材と外側部材とを有するフィルムであって、該外側部材はフィルムの表面にあり、且つ機能性物質を含むものであり、該中間部材は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を有するものである。外側部材はフィルムの表面全体に設けられていてもよいし、一部でもよい。また、外側部材は、中間部材の凸部の先端を覆っていてもよいし、凸部の底部から先端まで設けられていてもよいし、凹部の一部に設けられていてもよい。
本発明の機能性フィルムの他の様態は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凸部を表面に有するフィルムであって、凸部間に機能性物質が充填されている、機能性フィルムである。機能性物質は、凹凸構造を表面に有するフィルムの隣り合う凸部と凸部の間に充填されていれば、表面全体に設けられていてもよいし、一部に設けられていてもよい。また、機能性物質は、凹凸構造の凸部の先端を覆っていてもよいし、凸部の底部から先端まで設けられていてもよいし、凹部の一部に設けられていてもよい
本発明の機能性フィルムの他の様態は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有するフィルムであって、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は機能性物質を含有し、該機能性物質は凹凸構造内部を移動可能である。硬化樹脂層に機能性物質が含まれている場合、機能性フィルムの表面に存在する機能性物質が揮散して機能性フィルム表面の揮散性物質が少なくなっても、フィルムの表面や硬化樹脂層内部にある機能性物質が機能性フィルムの表面に移動することにより、機能性フィルムとしての徐放性などの効果を持続させることができる。
機能性物質の厚みは1〜20nmが好ましい。厚みが1nm以上であれば機能を発現しやすく、厚みが20nm以下であれば硬化樹脂層の凹凸構造による集光性、反射防止性能などが衰えない。好ましくは5〜15nmである。
本発明の機能性フィルムは、初期揮散量の傾き1と、揮散量曲線の変曲点を経過後の後期揮散量の傾き2との比(傾き1/傾き2)が7以下であることが好ましい。初期揮散量の傾き1とは、揮散初期から揮散速度が衰え始めるまでの単位時間当たりの揮散量の変化を示す傾きのことであり、後期揮散量の傾き2とは、揮散速度が衰え始めてから以降の揮散量の変化を示す傾きのことである。初期揮散量の傾き1と後期揮散量の傾き2との境界を変曲点という。初期揮散量の傾き1と、揮散量曲線の変曲点を経過後の後期揮散量の傾き2との比(傾き1/傾き2)が7以下であれば、初期の揮散量が変曲点以降の揮散量と比較して極端に大きいということがない。すなわち、機能の発現が急激に変化していないことを示し、初期から揮散終了まで安定的に機能を発現できる。初期揮散量の傾き1と揮散量曲線の変曲点を経過後の後期揮散量の傾き2との比(傾き1/傾き2)は、6.5以下が好ましく、1以下がさらに好ましい。この値が小さいほど、初期から揮散終了まで安定的に徐放性などの機能を発現できる。
本発明の機能性フィルムは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量%に対し、機能性物質を0.01〜80質量%含む、ことが好ましい。好ましくは0.1〜50質量%である。機能性物質を0.01質量%含むことにより機能を発現でき、80質量%以下含むことにより、硬化樹脂層の耐擦傷性や剛軟性などの物性を損なうことなく機能を発現できる。
本発明の機能性フィルムは、凹凸構造の隣り合う凸部間の平均間隔が50μm以下であることが好ましい。好ましくは10μm以下であり、さらに好ましくは400nm以下であり、特に好ましくは200nm以下である。凹凸構造の隣り合う凸部間の平均間隔が50μm以下であれば徐放性などの機能を良好に発現できる。
図1は、本発明の機能性フィルムの一例を示す断面図である。この例の機能性フィルム1は、基材フィルム12と、基材フィルム12の表面に形成された、複数の凸部14からなる凹凸構造を表面に有する硬化樹脂層16とを有するフィルム10を有する。フィルム10の表面には機能性物質20が付着(担持)され、凸部14間に存在する凹部18内に機能性物質20が充填されている。
<機能性物質>
機能性物質20としては、徐放性を有するもの(揮散性物質)であってもよいし、有さないものであってもよい。
ここで、「徐放性を有する」とは、機能性物質が有効成分(揮散成分)を一定期間経過後までに少しずつ放出することを意味し、「徐放性を有さない」とは、機能性物質が揮散成分を放出しないことを意味する。すなわち、徐放性を有する機能性物質はフィルムから一定期間経過後には全て揮散してしまうのに対し、徐放性を有さない機能性物質は半永久的にフィルムの表面に設けられている。
機能性物質20としては、例えば防虫剤(忌避剤や殺虫剤など)、油性物質(グリース、潤滑剤、ワックス、化粧油など)、芳香剤、薬剤、フェロモン、香料、水、紫外線吸収剤、消臭剤、抗菌剤、吸湿剤、制電剤、難燃剤、防汚剤、染料、顔料、インク、動・植物等からの抽出物質などが挙げられる。
例えば、機能性物質20として防虫剤を用いれば、機能性フィルム1を防虫フィルムとして用いることができる。該防虫フィルムは、農業用資材として好適である。なお、徐放性を有する機能性物質20がフィルム10の表面に設けられた機能性フィルム1を揮散成分徐放性フィルムともいう。
一方、機能性物質20として油性物質、特に半永久的に揮散しないグリースを用いれば、機能性フィルム1を各種機械・装置のグリースレスベルトとして用いることができる。また、機能性物質20として顔料、インク等を用いて機能性フィルム1に印刷すれば、印刷された文字や意匠がとれにくく、長期間印刷された状態を維持することができる。
<機能性物質の付着方法>
フィルム10の表面に機能性物質20を付着させる方法としては特に制限されないが、フィルム10の表面に、液状の機能性物質20または機能性物質20の溶液をスプレー等で塗布する方法;液状の機能性物質20または機能性物質20の溶液にフィルム10を浸漬する方法;ゲル状の機能性物質20または機能性物質20のゲル状フィルムをフィルム10の表面に押し当てて付着させる方法;半固体状の機能性物質をハケ、ローラーなどでフィルム10の表面に塗布する方法;半固体状の機能性物質のシートから機能性物質をフィルム10の表面へ転写する方法;フィルム10の表面に紫外線硬化樹脂をベースとした液状の機能性物質20または機能性物質20の溶液を付着させ、紫外線を照射して硬化させる方法などが挙げられる。
なお、図1に示す機能性フィルム1は、凹凸構造の凸部14間に存在する凹部18内に機能性物質20が充填され、凸部14の最頂部14aは機能性物質20から露出しているが、例えば図2、3に示すように凸部14の最頂部14aは機能性物質20に埋まっていてもよい。図2に示す機能性フィルム2は、機能性フィルム2の表面が機能性物質20で平坦になっている。一方、図3に示す機能性フィルム3は、フィルム10の凹凸構造を追従するように、フィルム10の表面が機能性物質20でコーティングされており、機能性フィルム3の表面は凹凸状になっている。
<フィルム>
図1〜3に示すフィルム10は、基材フィルム12と硬化樹脂層16とを有する。
(基材フィルム)
基材フィルム12の材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ガラス等が挙げられる。基材は、フィルムに限定されず、シート、射出成形品等であってもよい。
(硬化樹脂層)
硬化樹脂層16は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、複数の凸部14からなる凹凸構造を表面に有する。
凹凸構造の形成方法は、特に限定されず、例えば直接成形体に形成する方法、凹凸構造を有するモールドから転写する方法等が挙げられる。転写法の場合、凹凸構造は、後述する陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成されたものであることが好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された凹凸構造は、低コストで形成でき、かつ大面積化が可能である。
凸部14間の平均間隔Pは、100μm以下が好ましい。詳しくは後述するが、機能性フィルムに虫滑落効果を発現させるには、凸部14間の平均間隔Pは10μm以下であることが好ましく、1000nm以下がより好ましく、400nm以下がさらに好ましい。
陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して凸部14を形成した場合、細孔間隔を大きくするには電圧を高くする必要があり、工業的には製造しづらくなることから、凸部14間の平均間隔Pは、200nm以下が特に好ましい。
凸部14間の平均間隔Pは、凸部14の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。機能性物質20を凹部18の内部にまで十分に充填させるには、凸部14間の平均間隔Pは50nm超であることが好ましく、60nm以上がより好ましい。
凸部14間の平均間隔Pは、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部14間の間隔(凸部14の中心から隣接する凸部14の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部14の高さHは、10〜5000nmが好ましい。詳しくは後述するが、機能性フィルムに虫滑落効果を発現させるには、凸部14の高さHは10〜1000nmであることが好ましく、50〜500nmがより好ましく、110〜300nmが特に好ましい。凸部14の高さHが10nm以上であれば、虫滑落効果が高くなる。凸部14の高さHが500nm以下であれば、凸部14の耐擦傷性が良好となる。
凸部14の高さHは、電子顕微鏡観察によって、凸部14の最頂部14aと、凸部14間に存在する凹部18の最底部との間の距離を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部14のアスペクト比(H/P)は、虫滑落性が高くなる点から、0.05〜100が好ましく、0.25〜5がより好ましく、0.5〜3が特に好ましい、凸部14のアスペクト比が0.05以上であれば、虫滑落効果が高くなる。凸部14のアスペクト比が5以下であれば、凸部14の耐擦傷性が良好となる。
凸部14の形状としては、略円錐形状、角錐形状、釣鐘形状、円柱形状等が挙げられる。特に、円錐形状、角錐形状等のように、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最頂部14aから深さ方向に連続的に増加する形状が好ましい。
<フィルムの製造方法>
フィルム10は、例えば、図4に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
複数の細孔(図示略)を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状のモールド30の表面と、モールド30の回転に同期してモールド30の表面に沿って移動する帯状の基材フィルム12の表面との間に、タンク32から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34を供給する。
モールド30と、空気圧シリンダ36によってニップ圧が調整されたニップロール38との間で、基材フィルム12及び活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34を、基材フィルム12とモールド30との間に均一に行き渡らせると同時に、モールド30の細孔内に充填する。
モールド30と基材フィルム12との間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34が挟まれた状態で、モールド30の下方に設置された活性エネルギー線照射装置40を用い、基材フィルム12側から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物34を硬化させることによって、モールド30の表面の複数の細孔が転写された、複数の凸部(図示略)からなる凹凸構造を表面に有する硬化樹脂層16を形成する。
剥離ロール42により、硬化樹脂層16が表面に形成された基材フィルム12を剥離することによって、フィルム10を得る。
活性エネルギー線照射装置40としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、フュージョンUV等が好ましい。積算光量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
(モールド)
モールド30は、特に限定されず、リソグラフィ法やレーザー加工によって凹凸構造を設けたモールド、陽極酸化アルミナを表面に有するモールド等が挙げられるが、安価に大面積化することを考えると、陽極酸化アルミナを表面に有するモールドが好ましい。陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、大面積化が可能であり、作製が簡便である。
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、複数の細孔を表面に有する。
陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、例えば、下記工程(a)〜(f)を経て製造できる。細孔の配列の規則性はやや低下するが、工程(a)、(b)を行わず、工程(c)から行ったり、工程(a)のみを行ったり、工程(a)、(b)、(f)を行わず、工程(c)、(d)を行ったりしてもよい。
(a)アルミニウム基材を電解液中、陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)前記工程(d)と工程(e)を繰り返し行う工程。
工程(a):
図5に示すように、アルミニウム基材44を陽極酸化すると、細孔46を有する酸化皮膜48が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等が挙げられる。
工程(b):
図5に示すように、酸化皮膜48を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点50にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(c):
図5に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム基材44を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔46を有する酸化皮膜48が形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
工程(d):
図5に示すように、細孔46の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸
水溶液等が挙げられる。
工程(e):
図5に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔46の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔46がさらに形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
工程(f):
図5に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔46を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))が形成されたモールド30が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
陽極酸化アルミナの表面は、硬化樹脂層16との分離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シラン化合物をコーティングする方法等が挙げられる。
細孔46の形状としては、略円錐形状、角錐形状、釣鐘形状、円柱形状等が挙げられる。
細孔46間の平均間隔は、100μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、1000nm以下がさらに好ましく、400nm以下が特に好ましく、200nm以下が最も好ましい。細孔46間の平均間隔は、20nm以上が好ましく、50nm超がより好ましく、60nm以上がさらに好ましい。
細孔46の深さは、10〜5000nmが好ましく、10〜1000nmがより好ましく、50〜500nmがさらに好ましく、110〜300nmが特に好ましい。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物及び重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合及び/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を含んでいてもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミ
ノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、下記式(1)の化合物が挙げられる。
11 Si(OR12 ・・・(1)
ただし、R11、R12は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、下記式(2)の化合物が挙げられる。
21O[Si(OR23)(OR24)O]22 ・・・(2)
ただし、R21〜R24は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾ
ビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、離型剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤;微粒子、少量の溶剤を含んでいてもよい。
また、徐放性の点からは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は疎水性であっても親水性であっても効果は得られる。
(疎水性材料)
凹凸構造の表面に、撥水性(具体的には水の接触角が90°以上であること)が求められる場合には、疎水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物:
フッ素含有化合物としては、下記式(3)で表されるフルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。
−(CF−X ・・・(3)
ただし、Xは、フッ素原子または水素原子を表し、nは、1以上の整数を表し、1〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜8が特に好ましい。
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シラン化合物、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマー等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマー等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレン等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレートが好ましく、下記式(4)の化合物が特に好ましい。
CH=C(R41)C(O)O−(CH−(CF−X ・・・(4)
ただし、R41は、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、mは、1〜6の整数を表し、1〜3が好ましく、1または2がより好ましく、nは、1〜20の整数を表し、3〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。
フッ素含有シラン化合物としては、フルオロアルキル基置換シラン化合物が好ましく、下記式(5)の化合物が特に好ましい。
(R51 SiY ・・・(5)
は、エーテル結合またはエステル結合を1個以上含んでいてもよい炭素数1〜20のフッ素置換アルキル基を表す。Rとしては、3,3,3−トリフルオロプロピル基、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル基、3−トリフルオロメトキシプロピル基、3−トリフルオロアセトキシプロピル基等が挙げられる。
51は、炭素数1〜10のアルキル基を表す。R51としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
Yは、水酸基または加水分解性基を表す。
加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、R52C(O)O(ただし、R52は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。)等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、Cl、Br、I等が挙げられる。
52C(O)Oとしては、CHC(O)O、CC(O)O等が挙げられる。
a、b、cは、a+b+c=4であり、かつa≧1、c≧1を満たす整数を表し、a=1、b=0、c=3が好ましい。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C〜C11)オキシ]−1−アルキル(C〜C)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C〜C)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸またはその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C〜C13)またはその金属塩、パーフルオロアルキル(C〜C12)スルホン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有脂肪族一級、二級または三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体が好ましい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、下記式(6)で表される基が好ましい。
−(OR61)p− ・・・(6)
ただし、R61は、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、pは、2以上の整数を表す。
61としては、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−等が挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)基は、同一のオキシアルキレン単位(OR61)からなるものであってもよく、2種以上のオキシアルキレン単位(OR61)からなるものであってもよい。2種以上のオキシアルキレン単位(OR61)の配列は、ブロックであってもよく、ランダムであってもよい。
シリコーン系化合物:
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、X−22−1602(信越化学工業社製)等のシリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(親水性材料)
凹凸構造の表面に、親水性(具体的には水の接触角が25°以下であること)が求められる場合には、親水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が
良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、基材への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーは、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製、MGポリマー)等が挙げられる。
<作用効果>
以上説明した本発明の機能性フィルムにあっては、上述した凹凸構造を表面に有するフィルムの該表面に機能性物質が付着し、凸部間に存在する凹部内に機能性物質が充填されている。機能性フィルムの表面が擦れても、機能性物質は凹部内に充填されているので削られにくい。よって、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる。
機能性物質が徐放性を有する場合は、一定期間経過後までに揮散成分が徐々に放出される。一方、機能性物質が徐放性を有さない場合は、凹部内に充填された機能性物質が半永久的にフィルムの表面に設けられるので、半永久的に機能性物質の効果を維持できる。
なお、図2に示す機能性フィルム2のように、表面が機能性物質20で平坦になっていても、凹部18の内部にも機能性物質20が充填されている。よって、機能性フィルム2の表面が擦れると、表面に位置する機能性物質20は削られてしまうが、凹部18の内部の機能性物質20は削られにくいので、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる。
ところで、特許文献3に記載のように繊維の細孔に機能性物質を取り込ませる場合、単位表面積当たりの繊維の細孔数が少なく、また繊維の細孔の内部まで十分に機能性物質が取り込まれにくいため、機能性物質の取り込み量が少ない。
しかし、上述した本発明の機能性フィルムは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造の凹部内に機能性物質が充填されている。この凹部の容積比率や表面積比率は繊維の細孔に比べて大きいため、凹部のより内部にまで多くの機能性物質を充填させることができる。特に、凸部間の平均間隔が50nm超であれば、より多くの機能性物質を充填させることができる。従って、機能性物質が徐放性を有する場合は全ての機能性物質が揮散するまでに長時間を有し、機能性物質が徐放性を有さない場合は機能性物質が半永久的にフィルムの表面に設けられる。よって、本発明の機能性フィルムであれば、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる。
さらに、繊維の細孔に徐放性を有する機能性物質を充填させると、揮散成分の指向性が低下する傾向にある。しかし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造の凹部内に徐放性を有する機能性物質を充填させれば指向性が高まるので、揮散成分
が広範囲に揮散しやすい。特に、凸部の形状が円錐形状や角錐形状であれば、該凸部間に存在する凹部は直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状(テーパー状)となるため、指向性がより高まる。
また、凹凸構造の凸部間の平均間隔が10μmであり、かつ図1、3に示すように機能性フィルム1、3の表面が凹凸状であれば、虫滑落性の効果も発揮できる。
ここで、「虫滑落性」とは、機能性フィルムの表面を水平方向に対して傾斜させた際、機能性フィルムの表面を水平方向に対して垂直にした際、または機能性フィルムの表面を裏返した際に、虫が機能性フィルムの表面から落下する、または虫が機能性フィルムの表面に侵入できなくなる特性のことである。
なお、「機能性フィルムの表面を裏返す」とは、機能性フィルムの表面を水平方向下向きにすることである。
虫滑落効果を発揮するメカニズムの詳細はいまのところ不明であるが、平均間隔が10μm以下という狭いピッチで凸部が表面に形成されていると、虫と機能性フィルムとの接触面積が小さくなり、虫滑落効果が発揮されるものと考えられる。
なお、本発明者らは、実際に機能性フィルムを製造し、該機能性フィルムが虫滑落効果を有することを確認している。
<使用方法>
機能性フィルムは、農業用資材、医薬品、医療機器部材、衣類防虫剤、芳香消臭剤、サニタリー品、化粧品、工業用部品、機械部品、自動車用部材、壁材等の建材、スポーツ用品、ヘルスケア用品、抗菌用品、調理器具、装飾品、パソコン用品、文具・事務機器、玩具、家具・調度品、調湿材、保護具等の安全用品、道路標識、家電製品、食品梱包材、融雪用品、防汚部材などの各種用途に使用できる。特に機能性物質が防虫剤である機能性フィルム(以下、「防虫フィルム」ともいう。)は、農業用資材として好適である。
農業用資材としては、農業用マルチフィルムとしての用途が挙げられる。また、微細な凹凸構造を表面に有するフィルムの有用性として、高い光透過性(特に、光合成に必要な光の波長域をほぼ100%透過する)、Self−cleaning効果、そして虫が付着できないということが示されているので、温室の表面素材として用いられる可能性が高い。
さらに、養蜂設備の所望の場所に防虫フィルムを設置すれば、巣箱へのアリなどの徘徊性害虫の侵入や付着を抑制できる。農作物の栽培棚の所望の場所に防虫フィルムを設置すれば、農作物への害虫侵入や付着を抑制できる。
また、防虫フィルムをリボン状にすれば、各苗木の足元に結ぶだけで、害虫付着防止として用いることが可能である。さらに、貯穀倉庫等の建物または貯穀場所自体を防虫フィルムで覆うことで、貯穀害虫や衛生害虫の侵入を防止することができる。
特に、機能性フィルムが上述した虫滑落性の効果も有していれば、虫の侵入や付着をより効果的に抑制できる。また、機能性物質として、侵入や付着を抑制したい虫のフェロモンを用いれば、フェロモンに誘引されて虫が機能性フィルムに近寄るものの、虫滑落性の効果により機能性フィルムに留まることができず、結果として虫の侵入や付着を抑制できる。
なお、凹凸構造の凸部間の平均間隔が10μmより大きい場合や、図2に示すように機能性フィルム2の表面が平坦である場合には、虫滑落性の効果は得られにくいものの、該機能性物質20が防虫剤であれば、虫の侵入や付着を抑制できる。
防虫フィルムは、農業用資材以外にも、例えば文化財保全施設、医療工場、食糧工場、飲食店等の虫の侵入が問題となる施設や、衛生害虫及び不快害虫が問題となる一般家屋
において利用され得る。
防虫フィルムは、外壁材や内壁材としても利用価値があり、徘徊性の虫が入らない工場や家を実現することも可能である。また、飛翔性の昆虫を壁に付着させないものとして利用できる。家屋内においては、衣装収納ケースの壁面に用いて、衣装を虫害から守ることができる。ベッドの脚材として用いて、就寝時の虫の徘徊による被害を軽減できる等、衛生害虫の被害を軽減できる。
また、食品、医療薬品等、害虫が侵入するとすべての商品を回収しなくてはならないものに対しての包装材等に用いれば、虫の混入を大幅に軽減できることになり、メーカーの損失を減少させることができる。
防虫フィルムは、例えば、下記のような具体的用途に使用することができる。
・農業用ハウス、建物等において虫の侵入経路となる場所に、防虫フィルムを設置する。
・養蜂設備においてアリなどの徘徊性害虫の侵入経路となる場所(例えば巣箱の外周面(入口及びその近傍を除く。)、巣箱を地面から離して設置するための支柱の外周面、巣箱を載せるための台座の裏面や側面など)に、防虫フィルムを設置する。
・防虫フィルムを農業用マルチフィルムそのもの、または他の基材と積層した積層体を農業用マルチフィルムとして用いる。
・防虫フィルムを袋状にし、包装袋として用いる。
・防虫フィルムを照明器具カバー材の表面に貼り付ける。
・防虫フィルムを、屋外に設置された画像表示等の各種表示装置(液晶テレビ等)の表示画面、前面板等の表面に貼り付ける。
・防虫フィルムを、屋外に設置された自動販売機の商品ディスプレイの保護板の前面板等の表面に貼り付ける。
・捕虫器における虫の入り口に、防虫フィルムを貼り付け、捕虫器内に誘引された虫が捕虫器の外に逃げ出さないようにする。
・防虫フィルムを昆虫用飼育ケースの内壁として用いる。
・防虫フィルムを、コンビニエンスストア等のガラス面や屋外に設置されたショウウィンドウのガラス面に貼り付ける。
・防虫フィルムを円柱の内側及び外側に作り、アリ等の徘徊性害虫の巣穴を中心として設置する。徘徊性害虫は、出巣できず餌を確保できなくなり、巣内の虫を全滅させることができる。
・防虫フィルムを、研究用プラスチックシャーレの壁材として使用し、徘徊性昆虫の実験時にシャーレの蓋をあけたまま観察等を実施できるようにする。
・防虫フィルムを透明包装材として作製し、食品のパッケージ、薬品のパッケージ素材として用いる。
<他の形態>
本発明の機能性フィルムは、図示例の機能性フィルム1〜3に限定はされない。
図示例の機能性フィルム1〜3は機能性物質20がフィルムの表面に付着し、凹部18内に機能性物質20が充填されているものであるが、例えば図6に示すように、機能性物質20は凹凸構造に含まれていてもよい。
図6に示す機能性フィルム4は、例えば機能性物質20を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用い、上述した方法により表面に凹凸構造を有する硬化樹脂層16を基材フィルム12上に形成することで得られる。なお、上述した方法では、活性エネルギー線の照射により活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることによってモールドの表面の複数の細孔が転写された、複数の凸部14からなる凹凸構造を表面に有する硬化樹脂層16を形成する。従って、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に配合する機能性物質20は、透明性を有するものが好ましい。
機能性物質20の配合量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量%中、0.1〜80質量%が好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。機能性物質20の配合量が0.1質量%以上であれば、機能性物質の効果が十分に得られる。一方、機能性物質20の配合量が80質量%以下であれば、凹凸構造の賦型性及び耐擦傷性が良好となり凹凸構造を長期間にわたって維持できる。
図6に示す機能性フィルム4の場合、機能性物質20は硬化樹脂層16に均一に分散している。また、機能性フィルム4の表面が擦れることで凸部14の最頂部14aが削られたとしても、凸部14の最頂部14aと共に削られてしまう機能性物質20の量は、硬化樹脂層16中に均一に分散している全ての機能性物質20に対してごく僅かである。よって、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる。
また、図6に示す機能性フィルム4は、以下のようにしても製造できる。
まず、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として液吸収性を有するものを用いて、基材フィルム12上に硬化樹脂層16が形成したフィルム10を製造する。ついで、フィルム10の表面に、液状の機能性物質20または機能性物質20の溶液をスプレー等で塗布したり、液状の機能性物質20または機能性物質20の溶液にフィルム10を浸漬したりして、機能性物質20を硬化樹脂層16に吸収させる。
液吸収性を有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、上述した親水性材料を含むものが挙げられる。
機能性物質20としては、浸透性を有するものを用いることが好ましい。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有するフィルムは、図示例のフィルム10に限定されない。
例えば、凹凸構造は、図示例においては、硬化樹脂層16の表面に形成されているが、硬化樹脂層16を設けることなく基材フィルム12の表面に直接形成されていてもよい。
ただし、ロール状のモールドを用いて効率よく凹凸構造を形成できる点から、硬化樹脂層16の表面に凹凸構造が形成されていることが好ましい。
また、凸部の形状は、図示例のような凸部14(突起)に限定されず、一定方向に延びる凸条であっても構わない。
また、フィルム10は、上述した製造方法で得られたものに限定はされず、公知の方法(ナノインプリント、切削加工、エッチング、樹脂の相分離、湿式製膜の過程過で結露し整列する水滴の自己組織化を用いる方法等)によって基材フィルムの表面に凹凸構造を形成することによって製造されたものであってもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を示す。
<モールドの製造>
(モールドAの製造)
純度99.99%のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程:
このアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜の一部または全部を除去した。
(c)工程:
このアルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った。
(d)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程及び(d)工程を合計で5回繰り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、表面の水分をエアーブローで除去し、これを、表面防汚コーティング剤(ダイキン社製、「オプツールDSX」)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、「HD−ZV」)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してモールドAを得た。
得られたモールドAの細孔を後述の方法により測定した結果、隣り合う細孔間の平均間隔(周期)が100nm、細孔の平均深さが180nmの略円錐形状のテーパー状凹部(細孔)からなる微細凹凸構造を表面に形成していた。
(モールドBの製造)
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程:
0.3Mシュウ酸水溶液を15℃に調整し、これにアルミニウム基材を浸漬させ、直流安定化装置の電源のON/OFFを繰り返すことでアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化した。30秒おきに80Vの定電圧を5秒間印加する操作を60回繰り返した。これにより、アルミニウム基材に細孔を有する酸化皮膜を形成した
(b)工程:
続いて、酸化皮膜の形成されたアルミニウム基材を、6質量%のリン酸と1.8質量%クロム酸とを混合した70℃の水溶液中に6時間浸漬させた。これにより、酸化皮膜を溶解除去した。
(c)工程:
酸化皮膜が溶解除去されたアルミニウム基材を、16℃に調整した0.05Mのシュウ酸水溶液に浸漬させ、80Vで7秒間陽極酸化を施した。
(d)工程:
続いて、32℃に調整した5質量%リン酸水溶液中に20分間浸漬させ、酸化皮膜の細孔を拡大する細孔径拡大処理を施した。
(e)工程:
前記(c)工程及び(d)工程を合計で5回繰り返し、周期180nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、表面の水分をエアーブローで除去し、これを、表面防汚コーティング剤(ダイキン社製、「オプツールDSX」)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、「HD−ZV」)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してモールドBを得た。
得られたモールドBの細孔を下記の方法により測定した結果、隣り合う細孔間の平均間隔(周期)が180nm、細孔の平均深さが180nmの略円錐形状のテーパー状凹部(細孔)からなる微細凹凸構造を表面に形成していた。
モールドの細孔の測定;
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔間の間隔、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
(モールドCの製造)
外径200mm、軸方向の長さ320mmの鋼製のロールの外周面に、厚さ200μm、ビッカース硬度230Hvの銅めっきを施した。銅めっき層の表面に感光剤を塗布し、レーザ露光、現像及びエッチングを行った。さらに、防錆性及び耐久性を付与するため、クロムめっきを施した。直径50μm、深さ25μmの半球状の窪みが最小間隔3μmで六方配列に並んでいる転写部が形成されたロール型であるモールドCを得た。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製>
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aの調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート20質量部と、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM−260」、ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位は13)70質量部と、ヒドロキシエチルアクリレート10質量部と、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、イルガキュア(登録商標)184)1.5質量部とを混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aを得た。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bの調製)
揮散成分P(リモネン、純正化学(株)製)を、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aに0.1質量%となるよう添加し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bを得た。
<機能性フィルムの製造>
(機能性フィルムX1の製造)
モールドAの微細凹凸構造側の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aを塗布し、この上にポリエチレンテレフタレート基材(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡(株)製、厚さ125μm)を被せ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aをニップロールで均一に伸ばした。その後、紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cmで基材越しに紫外線を照射し、金型と基材に挟まれた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aの硬化を行った後、モールドAから分離し、円錐台形状の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する厚さ10μmの硬化樹脂層が表面に形成されたフィルムを得た。
得られたフィルムの凸部を下記の方法により測定した結果、隣り合う凸部間の平均間隔(周期)は100nmであり、凸部の高さは180nmであった。また、フィルムの微細凹凸構造側の表面は親水性であった。
揮散成分Pを、エタノールに0.1質量%となるよう添加し、よく攪拌し、リモネン含有エタノール溶液を得た。得られたフィルム面積100cmあたりスポイトに採取したリモネン含有エタノール溶液0.4gを均一に塗布することで厚み5nmの外側部材を形成し、機能性フィルムX1を得た。
機能性フィルムの凸部の測定;
硬化樹脂層の破断面にプラチナを10分間蒸着し、モールドの細孔と同様に断面を観察し、凸部間の間隔、凸部の高さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
(機能性フィルムX2の製造)
モールドAをモールドBに変更した以外は機能性フィルムX1と同様にして、機能性フィルムX2を得た。
得られた機能性フィルムX2の凸部を機能性フィルムX1と同様の方法により測定した結果、隣り合う凸部間の平均間隔(周期)は180nmであり、凸部の高さは180nmであり、隣り合う凸部間に凸部底部からの厚みが12nmの機能性物質が設けられていた。
(機能性フィルムX3の製造)
モールドAをモールドCに変更した以外は機能性フィルムX1と同様にして、機能性フィルムX3を得た。
得られた機能性フィルムX3の凸部を機能性フィルム1と同様の方法により測定した結果、直径50μm、高さ25μmの半球状の凸部が最小間隔3μmで六方配列に並んでいた。凸部の表面に厚み10nmの機能性物質が設けられていた。
(機能性フィルムX5の製造)
機能性物質として揮散成分Q(商品名「エッセンシャルオイル・グレープフルーツ」、(株)良品計画製)2滴(約0.1mL)を表面の凹凸構造に滴下し約50mm×50mmの面積に塗り広げるように変更した以外は機能性フィルムX1と同様にして、機能性フィルムX5を得た。
得られた機能性フィルムX5の凸部を機能性フィルムX1と同様の方法により測定した結果、隣り合う凸部間の平均間隔(周期)は100nmであり、凸部の高さは180nmであった。凸部の表面に厚み18nmの機能性物質が設けられていた。
(機能性フィルムX6の製造)
揮散成分Qを揮散成分R(ラベンダーオイル、詳細不明)に変更した以外は機能性フィルムX5と同様にして、機能性フィルムX6を得た。
得られた機能性フィルムX6の凸部を機能性フィルムX1と同様の方法により測定した結果、隣り合う凸部間の平均間隔(周期)は100nmであり、凸部の高さは180nmであった。凸部の表面に厚み15nmの機能性物質が設けられていた。
(機能性フィルムY1の製造)
モールドAの微細凹凸構造側の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bを塗布し、この上にポリエチレンテレフタレート基材(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡(株)製、厚さ125μm)を被せ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bをニップロールで均一に伸ばした。その後、紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cmで基材越しに紫外線を照射し、金型と基材に挟まれた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bの硬化を行った後、モールドAから分離し、円錐台形状の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する厚さ10μmの硬化樹脂層が表面に形成された機能性フィルムY1を得た。
得られた機能性フィルムY1の凸部を機能性フィルムX1と同様の方法により測定した結果、隣り合う凸部間の平均間隔(周期)は100nmであり、凸部の高さは180nmであった。また、機能性フィルムY1の微細凹凸構造側の表面は親水性であった。
(機能性フィルムY2の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aを活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bに変更した以外は機能性フィルムX2と同様にして、機能性フィルムY2を得た。
得られた機能性フィルムY2の凸部を機能性フィルムX1と同様の方法により測定した結果、隣り合う凸部間の平均間隔(周期)は180nmであり、凸部の高さは180nmであった。また、機能性フィルムY2の微細凹凸構造側の表面は親水性であった。
(機能性フィルムY3の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aを活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bに変更した以外は機能性フィルムX3と同様にして、機能性フィルムY3を得た。
得られた機能性フィルムY3の凸部を機能性フィルム1と同様の方法により測定した結果、直径50μm、高さ25μmの半球状の凸部が最小間隔3μmで六方配列に並んでいた。また、機能性フィルムY3の微細凹凸構造側の表面は親水性であった。
<平坦フィルムの製造>
(平坦フィルムX4の製造)
工程用ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡(株)製、厚さ125μm)上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aを塗布し、その上にポリエチレンテレフタレート基材(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡(株)製、厚さ125μm)を置き、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aをニップロールで均一に伸ばした。その後、紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cmで基材越しに紫外線を照射し、基材と工程用ポリエチレンテレフタレートフィルム間に挟まれた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aを硬化させ、工程用ポリエチレンテレフタレートフィルムを得られた硬化物から分離し、微細凹凸構造を表面に有さない厚さ10μmの硬化樹脂層が表面に形成された平坦フィルムを得た。平坦フィルムの硬化樹脂層側の表面は親水性であった。
揮散成分Pを、エタノールに0.1質量%となるよう添加し、よく攪拌し、リモネン含有エタノール溶液を得た。得られたフィルム面積100cmあたりスポイトに採取したリモネン含有エタノール溶液0.4gを均一に塗布し、平坦フィルムX4を得た。
(平坦フィルムY4の製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物aを活性エネルギー線硬化性樹脂組成物bに変更し、揮散成分Pを塗布しなかったこと以外は平坦フィルムX4と同様にして、平坦フィルムY4を得た。
得られた平坦フィルムY4の硬化樹脂層側の表面は親水性であった。
(平坦フィルムX7の製造)
機能性物質として揮散成分Qを2滴(約0.1mL)表面に滴下し約50mm×50mmの面積に塗り広げるように変更した以外は平坦フィルムX4と同様にして、平坦フィルムX7を得た。
(平坦フィルムX8の製造)
揮散成分Qを揮散成分Rに変更した以外は平坦フィルムX7と同様にして、平坦フィルムX8を得た。
(揮散量の測定)
実施例・比較例で得られたフィルムからの揮散量の測定は、ヘッドスペース法を用いたGC/MS(機種名「GC:6890A、MS:5973、ヘッドスペースサンプラー:7694」、アジレントテクノロジー(株)製)を用いて測定した。カラムは長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm、固定相が5%フェニル95%ジメチルポリシロキサン(商品名「HP−5MS」、アジレントテクノロジー(株)製)のものを使用し、スプリット比1:20の条件で測定を行った。オーブンで所定温度、所定時間保持した後、揮散したガス成分を捕集して装置に導入した。得られたマスクロマトグラフの面積を揮散量とし、揮散成分が検出されなくなるまで継続した。なお、常温(25℃程度)以上の温度で測定することは加速試験に相当するため、実用上はより一層長期間にわたる機能性物質の効果が期待できる。
得られた結果から、揮散量の他に、揮散量と経過時間との関係を示す指標として、初期揮散量の傾き1と、揮散量曲線の変曲点を経過後の後期揮散量の傾き2と、これらの比(傾き1/傾き2)を、平坦フィルムを基準とした体積倍率を算出し、揮散量を徐して体積補正することにより求めた。体積補正することにより表面積の影響を顕著に反映させることができる。また、揮散量が変化する点を変曲点とした。さらに、揮散成分が検出されなくなった後、揮散成分が減衰し、200万areaまたは20万areaに到達するまでの所要時間を示した。
[実施例1]
室温でエタノールを揮発させた後、機能性フィルムX1を100cm切断し、20mLのヘッドスペース用バイアル瓶へ充填した。
揮散量の測定を50℃のオーブンで30分毎に行った。結果を表1に示す。
[実施例2及び3]
試料を表1のように変更した以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
[実施例4]
機能性フィルムY1を200cm切断し、20mLのヘッドスペース用バイアル瓶へ充填した。
揮散量の測定は、50℃のオーブンで60分毎に行った。得られたデータについて、体積の補正を行った結果を表2に示す。
[実施例5及び6]
試料を表1のように変更した以外は実施例4と同様にした。結果を表2に示す。
[比較例1]
試料を表1のように平坦フィルムX4に変更した以外は実施例1と同様にした。結果を表1に示す。
[比較例2]
試料を表2のように平坦フィルムY4に変更した以外は実施例4と同様にした。結果を表2に示す。
実施例5、6、及び比較例2について、揮散の時間依存性に関し体積補正したデータを図7に、傾き1及び傾き2を対数表示したものを図8に示す。
表1に記載のように、凹凸構造を有する中間部材の表面に機能性物質としてリモネンを含む外側部材を有する実施例1〜3の揮散量が比較例1の揮散量よりも少ないのは、リモネンを塗布してから測定に供するまでの揮散量の影響を受けていると考えられる。すなわち、自然乾燥時間は同じでも、表面の凹凸構造によって揮散の速さが異なるため測定開始時の量に差異がある、または凹凸構造形状に保持されている成分があり、50℃では揮散されていないためであると考えられる。
また、実施例1〜3における傾き1及び傾き2は緩やかであり徐放性を有していた。一方、比較例1の傾き1及び傾き2は急激であり、さらに、傾き1及び傾き2の比(傾き1/傾き2)が7.1であることからも急激に揮散されていたと言える。
同様に、表2及び図8に記載のように、機能性物質を含有した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有する実施例4〜6の傾き1及び傾き2は緩やかであり徐放性を有していた。一方、比較例2の傾き1及び傾き2は急激であり、さらに、傾き1及び傾き2の比(傾き1/傾き2)が実施例4〜6よりも大きいことから、機能性物質が急激に揮散されていたと言える。
また、揮散量が20万areaに到達するまでの時間を比較すると、実施例4及び実施例5は比較例2よりも到達所要時間が長いこと、及び、傾き1との傾き2との差がない、すなわち変曲点がないことから、初期に急速に機能性成分が揮散せずに安定的に徐放されていることが分かる
実施例6は傾き1と傾き2との差が小さいことから、実施例4及び実施例5よりは徐放性が劣るものの、徐放性を有していた。
図7に示すように、実施例5(機能性フィルムY2)は初期の揮散量が少なく、且つ長時間にわたり揮散しており、安定した徐放効果が得られた。また、実施例6(機能性フィルムY3)は初期の揮散量は多いものの、揮散終了までの時間は長く、一定の徐放効果が認められる。一方、比較例2(平坦フィルムY4)は初期の揮散量が多いほか、揮散終了までの時間も短く、徐放性は認められなかった。
[実施例7]
機能性フィルムX5、機能性フィルムX6、平坦フィルムX7、及び平坦フィルムX8を、試料番号のみを記載して明細をわからないようにし、試料作製1日後から8日後まで、15名の被験者に試料の匂いをかいでもらい、匂いの程度を評価した。匂いの程度は次のように判定した。
○:はっきりと匂う
△:かすかに匂う
×:匂わない

○を2点、△を1点、×を0点とし、被験者15名の平均点を求めたものを表3に示す。

※「−」はデータ無し
表3に記載のように、1日後には機能性フィルムと平坦フィルムとの間に差異は見られなかったが、2日後以降は機能性フィルムの方が匂いを強く感じる被験者が多かった。この傾向は8日後まで同様であり、機能性フィルムが平坦フィルムよりも徐放性を有していると言える。
本発明の機能性フィルムは、長期間にわたって機能性物質の効果を維持できる。例えば、芳香フィルムとして利用すると揮散初期から長期間にわたり安定的に芳香させることができる。特に機能性物質として防虫剤を用いた機能性フィルムは、防虫フィルムとして有用である。
1 機能性フィルム
2 機能性フィルム
3 機能性フィルム
4 機能性フィルム
10 フィルム
14 凸部
18 凹部
20 機能性物質
46 細孔
48 酸化皮膜(陽極酸化アルミナ)
P 平均間隔

Claims (13)

  1. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有するフィルムの該表面に、機能性物質が設けられている、機能性フィルム。
  2. 基材と中間部材と外側部材とを有するフィルムであって、該外側部材はフィルムの表面にあり、且つ機能性物質を含むものであり、該中間部材は活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を有するものである、機能性フィルム。
  3. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凸部を表面に有するフィルムであって、凸部間に機能性物質が充填されている、機能性フィルム。
  4. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる凹凸構造を表面に有するフィルムであって、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は機能性物質を含有し、該機能性物質は凹凸構造内部を移動可能である、機能性フィルム。
  5. 機能性物質の厚みが1〜20nmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
  6. 初期揮散量の傾き1と、揮散量曲線の変曲点を経過後の後期揮散量の傾き2との比(傾き1/傾き2)が7以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
  7. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量%に対し、機能性物質を0.01〜80質量%含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
  8. 凹凸構造の隣り合う凸部間の平均間隔が50μm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
  9. 前記機能性物質が徐放性を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
  10. 前記機能性物質が徐放性を有さない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
  11. 前記機能性物質が防虫剤である、請求項9に記載の機能性フィルム。
  12. 農業用資材である、請求項9に記載の機能性フィルム。
  13. 前記凹凸構造が、陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された複数の凸部からなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の機能性フィルム。
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