JP7166118B2 - アルカリ水電解用隔膜 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1および特許文献2では、シート状の多孔性支持体と、有機高分子樹脂を含む微多孔膜と、を備え、前記多孔性支持体の片面又は両面に前記微多孔膜が積層されたアルカリ水電解用隔膜が提案されている。これらの隔膜では、樹脂のみからなる表面ならびに内部の孔径を特定している。
アルカリ水電解用隔膜としては、イオン伝導性を確保しつつより高いガスバリア性を発現する隔膜が求められていた。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、有機ポリマーと無機粒子とを含み、バブルポイント法による細孔径分布解析において、最大径が0.1μm未満であり、かつ0.04μm未満の孔の面積が30%以下である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、イオン伝導性を確保しつつより高いガスバリア性を発現する隔膜である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、有機ポリマーを含む。有機ポリマーは無機粒子を保持する。有機ポリマーは無機粒子を保持する隔壁として機能し、後述する無機粒子の親水性表面の減少を最小限なものとしながら、アルカリ溶液中で隔膜から無機粒子が脱落するのを抑制することができる。
ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、及びポリフェニルスルホンからなる群より選択される少なくとも1種を用いることで、得られるアルカリ水電解用隔膜の抵抗値が更に低くなり、また、耐アルカリ性が更に高くなることで、アルカリ溶液中で長時間使用した場合の寸法や質量、抵抗値の安定性や空孔の発生抑制効果により優れたものとなる。
上記樹脂(R)の含有量は、本発明のアルカリ水電解用隔膜が後述する多孔性支持体を含まない場合は、アルカリ水電解用隔膜100質量%中5~40質量%であることが好ましく、より好ましくは10~35質量%、更に好ましくは15~30質量%である。本発明のアルカリ水電解用隔膜が有機ポリマーとして後述する多孔性支持体を含む場合は、上記樹脂(R)の含有量は、好ましくはアルカリ水電解用隔膜100質量%中3~20質量%、より好ましくは5~18質量%、更に好ましくは7~15質量%である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、上述した有機ポリマーと後述する無機粒子を含む膜からなるものであるが、有機ポリマーとして多孔性支持体を含んでいてもよい。上記多孔性支持体は、多孔質の有機ポリマーであり、イオン透過性を有し、アルカリ水電解用隔膜の支持体となり得る部材である。上記多孔性支持体は、シート状の部材であることが好ましい。
また、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、上述した単膜層2は無くても良く、無機粒子と上記樹脂(R)と上記多孔性支持体とが一体化した支持体層3としての複合体であってもよい。上記複合体とすることにより、アルカリ水電解用隔膜の強度と靭性を向上させることができる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、更に無機粒子を含む。本発明のアルカリ水電解用隔膜は、無機粒子と有機ポリマーとの空隙部分に電解液が満たされてイオン透過性を発揮することができる。また、無機粒子を含むことにより、アルカリ水電解用隔膜が親水化し、水の電気分解において発生する酸素ガスや水素ガスが隔膜に付着して電気分解の妨げになることを抑制することができる。
上記無機粒子の含有量は、本発明のアルカリ水電解用隔膜が上記多孔性支持体を含まない場合は、アルカリ水電解用隔膜100質量%中60~95質量%であることが好ましく、より好ましくは65~90質量%、更に好ましくは70~85質量%である。
本発明のアルカリ水電解用隔膜が上記多孔性支持体を含む場合は、上記無機粒子の含有量は、好ましくはアルカリ水電解用隔膜100質量%中30~50質量%、より好ましくは32~48質量%、更に好ましくは35~45質量%である。
下記に、上記無機粒子として好ましく使用できる水酸化マグネシウムの様態を示す。
上記水酸化マグネシウムの形状は、特に限定されず、不定形;粒状;顆粒状;薄片状、六角板状等の板状;繊維状等のいずれの形状であっても良いが、中でも、溶液に分散させ塗布液を調整しやすい点で、粒状、板状、繊維状であることが好ましく、樹脂との密着性とイオン透過性の観点から、粒状、板状であることがより好ましく、板状であることが更に好ましく、薄片状であることが特に好ましい。
本明細書中、アスペクト比とは.最長径aと最短径bとの比(a/b)を意味し、水酸化マグネシウムをSEMで観察し、得られた画像の任意の10粒子において、解析ソフト等を使用して、各粒子の最長径aと最短径bとの比(a/b)を測定し、それらの比の単純平均値をその粒子のアスペクト比として求めることができる。
上記最長径aとしては、例えば、粒子の形状が薄片状や六角板状等の板状の場合、粒子の板面の長径を採用し、繊維状である場合は、繊維の長さを採用する。また、最長径aの中点を通って最長径と直行する径のうちの最も短い径を最短径bとする。上記最短径bとしては、例えば、粒子の形状が薄片状や六角板状等の板状の場合は、粒子の厚みを採用し、繊維状である場合は、繊維の太さを採用する。粒子の厚み及び繊維の太さとしては、最長径aの中点における厚み、太さをそれぞれ採用する。
上記アスペクト比は、より具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
上記水酸化マグネシウムの平均粒子径は、より好ましくは0.1μm以上2.0μm以下、更に好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折法による粒度分布測定から求められる体積平均粒子径(D50)である。
上記(110)面に垂直な方向の結晶子径は、40nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましく、60nm以上であることが更に好ましく、65nm以上であることが特に好ましい。
上記(110)面に垂直な方向の結晶子径は、その上限値は特に限定されないが、通常は例えば400nm以下であり、好ましくは350nm以下、より好ましくは300nm以下である。
上記(001)面に垂直な方向の結晶子径は、18nm以上であることがより好ましく、21nm以上であることが更に好ましく、24nm以上であることが特に好ましい。
上記(001)面に垂直な方向の結晶子径は、その上限値は特に限定されないが、通常は例えば300nm以下であり、好ましくは250nm以下、より好ましくは200nm以下である。
マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム等)の水溶液、又は、従来公知の方法で得られた酸化マグネシウムの水分散液を原料とし、アルカリ性物性(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水等)の添加により、水和反応を行うことで水酸化マグネシウムを調製する。この際に、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、硝酸、硫酸等の多塩基酸、又は、これらの混合物の添加により、生成した水酸化マグネシウムの溶解度を調整したり、水熱反応の温度(例えば150℃から270℃)や時間(例えば30分~10時間)を適宜調整したりすることにより、結晶子径の異なる粒子を調製できる。酸の添加量が多い方が結晶成長は進み、結晶子径が大きくなる。また、水熱反応の温度は高い方が、時間は長い方が、結晶成長が進み、結晶子径は大きくなる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、バブルポイント法による細孔径分布解析において、最大径(最大孔径)が0.1μm未満であり、かつ0.04μm未満の孔の面積(面積比率)が30%以下である。上記最大径が上述の範囲であると、隔膜のガス透過性をより一層抑制することができる。また、上記最大径が上述の範囲であると、隔膜の表面にガスが付着するのをより一層抑制することができる。上記最大径は、0.09μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.07μm以下であることがさらに好ましい。また、0.04μm未満の孔の面積は、26%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜のバブルポイントは、リキッドポロシメーター(Porous Materials社製)を用いて測定できる。具体的には、実施例に記載の方法で算出できる。本発明のアルカリ水電解用隔膜のバブルポイントは、300kPa以上であることが好ましく、500kPa以上であることがより好ましく、600kPa以上であることがさらに好ましく、700kPa以上であることが特に好ましい。このようにした場合に、アルカリ水電解用隔膜のガスバリア性を高くすることができる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の膜抵抗値は、1.0Ωcm2以下であることが好ましく、0.5Ωcm2以下であることがより好ましい。このようにした場合に、アルカリ水電解用隔膜のイオン伝導性を高くすることができる。膜抵抗値は、具体的には、実施例に記載の方法で算出できる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜の厚みは、特に限定されず、使用する設備の大きさや取り扱い性等に応じて適宜選択すればよいが、膜のガスバリア性やイオン透過性、強度の観点から、50~1000μmが好ましく、100~500μmがより好ましく、200~400μmが更に好ましい。
また、上述した多孔性支持体を含む場合、本発明のアルカリ水電解用隔膜の厚みは、好ましくは50~1000μm、より好ましくは100~500μm、更に好ましくは200~400μmである。
上記アルカリ水電解用隔膜を製造する方法について説明する。
上記アルカリ水電解用隔膜を製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法を適用することができるが、イオン透過性、ガスバリア性に優れたアルカリ水電解用隔膜を効率良く製造できる点で、非溶媒誘起相分離法が好ましい。
(1)無機粒子及び溶媒を含む分散液を調製する工程、
(2)上記分散液と上記有機ポリマーとしての上記樹脂(R)を混合して樹脂混合液を調製する工程、及び、
(3)上記樹脂混合液を用いて膜を形成する工程
以下に、各工程について説明する。
上記製造方法では、無機粒子を上記樹脂(R)と混合する場合、無機粒子を固形のまま混合してもよく、溶媒に分散させた分散液(スラリー)を調製してから、混合してもよいが、溶媒に分散させた分散液を調製してから、混合することが好ましい。無機粒子の分散液を調製してから上記樹脂(R)と混合することで、無機粒子と上記樹脂(R)とをより均一に混合することができ、これにより、無機粒子が上記樹脂(R)によって充分に保持され、無機成分の溶出がより充分に抑制されたアルカリ水電解用隔膜を得ることができる。
工程(1)で調製された分散液に上記有機ポリマーとしての上記樹脂(R)を混合する方法としては、上記分散液と上記樹脂(R)を充分に混合することができる方法であれば特に限定されず、上記分散液に上記樹脂(R)をそのまま混合してもよいし、予め上記樹脂(R)を溶媒に溶解させた樹脂溶液を調製して、上記樹脂溶液と上記分散液とを混合してもよい。なかでも、上記無機粒子と上記樹脂(R)をより均一に分散・混合できる点で、上記樹脂溶液を調製して、上記樹脂溶液と上記分散液とを混合する方法が好ましい。
上記混合する方法としては、工程(1)で記載した混合分散の手段と同様の手段が挙げられる。
工程(2)で得られた樹脂混合液を用いて膜を形成する。
上記膜を形成する方法としては、イオン伝導性とガスバリア性に優れたアルカリ水電解用隔膜を容易に製造することができる点で、下記の工程(3-a)~(3-c)を含むことが好ましい。
(3-a)上記樹脂混合液の塗膜を形成する工程、
(3-b)上記塗膜を非溶媒と接触させることにより上記塗膜を凝固させる工程、及び、
(3-c)上記凝固した塗膜を乾燥させることにより多孔膜を得る工程
上記樹脂混合液の塗膜を形成する方法としては、例えば、上記で得られた樹脂混合液を基材上に塗布する方法や、上記樹脂混合液中に基材を浸漬させ、上記樹脂混合液が含浸した基材を得る方法等が挙げられる。なかでも、簡便に塗膜を形成できる点で、上記樹脂混合液を基材上に塗布する方法が好ましい。
また、上述した多孔性支持体を含むアルカリ水電解用隔膜を製造する場合は、上記基材として上記多孔性支持体を使用してもよい。
上記塗膜を非溶媒と接触させることにより、上記塗膜中に非溶媒が拡散し、非溶媒に溶解しない上記樹脂(R)が凝固する。一方、非溶媒に溶解しうる塗膜中の溶媒は、塗膜から溶出する。このように相分離が生じることにより、上記樹脂(R)(及び無機粒子)が凝固し、孔を有する膜が形成される。
上記塗膜と非溶媒とを接触させる方法としては、上記塗膜を上記非溶媒中に浸漬させる方法(凝固浴)等が挙げられる。
前記工程で凝固した塗膜を乾燥させて、非溶媒を除去することにより、多孔膜を得ることができる。
上記塗膜の乾燥温度としては、60~80℃が好ましい。
乾燥時間としては、2~120分が好ましく、5~60分がより好ましく、10~30分が更に好ましい。
本発明のアルカリ水電解用隔膜では、イオン伝導性を確保しつつより高いガスバリア性を発現する。そのため、本発明のアルカリ水電解用隔膜は、アルカリ性水溶液を電解液とした水の電気分解用の隔膜として好適に使用することができる。また、上述したアルカリ水電解用隔膜の他、アルカリ形燃料電池用セパレータ、1次電池用セパレータ、2次電池用セパレータ等の電池用セパレータ、食塩電解用セパレータ等の用途に用いることができる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜は、アルカリ水電解装置の部材として用いられる。上記アルカリ水電解装置としては、例えば、陽極、陰極、及び、陽極と陰極の間に配置された上記アルカリ水電解用隔膜を含むものが挙げられる。より具体的には、上記アルカリ水電解装置は、上記アルカリ水電解用隔膜によって隔てられた、陽極が存在する陽極室と、陰極が存在する陰極室とを有する。
陽極、及び陰極としては、ニッケル又はニッケル合金等を含む導電性基体を含む、公知の電極が挙げられる。
本発明のアルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置を用いて行う水の電気分解の方法は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、上述した本発明のアルカリ水電解用隔膜を備えたアルカリ水電解装置に、電解液を充填し、電解液中で電流を印加することにより行うことができる。
上記電解液としては、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の電解質を溶解したアルカリ性水溶液が用いられる。上記電解液における電解質の濃度は、特に限定されないが、電解効率がより一層向上し得る点で、20~40質量%であることが好ましい。
また、電気分解を行う場合の温度としては、電解液のイオン伝導性がより向上し、電解効率がより一層向上し得る点で、50~120℃が好ましく、80~90℃がより好ましい。電流の印加条件は、公知の条件・方法で行うことができる。
(1.水酸化マグネシウム分散液の調製)
水酸化マグネシウム(平均粒子径0.54μm)とN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)を質量比1:1となるよう混合し、ジルコニアメディアボールを入れたポットミルにて、室温で6時間分散処理を行うことにより水酸化マグネシウム分散液を調製した。
ポリスルホン樹脂(BASF社製、品番ウルトラゾーンS3010)を30質量%の濃度で80~100℃にてN-メチル-2-ピロリドン(富士フイルム和光純薬工業社製)に熱溶解させることによりポリスルホン樹脂溶解液を調製した。
上記で得られた水酸化マグネシウム分散液とポリスルホン樹脂溶解液とを、水酸化マグネシウム100質量部に対してポリスルホン樹脂(PSU)が33質量部になるように計量し、自転公転ミキサー(シンキー社製、品番あわとり練太郎ARE-500)にて室温で1000rpmで約10分間混合した。得られた混合液を、SUSの200メッシュで濾過することで塗液を得た。
PETフィルム上に、アプリケーターにて塗液を、乾燥後の隔膜の厚みが全体で250μmになるように塗布し、その上にポリプロピレン不織布(日本バイリーン社製、品番OA16728F、厚み160μm)を接触させることで、不織布に塗液を完全に含浸させた。その後、塗液を含浸させた不織布を、室温にて10分間水浴させ、塗液を凝固させて膜を形成し、水中でPETフィルムから不織布ごと膜を剥離した。水浴後、得られた膜を、乾燥機にて80℃で、30分間乾燥し、不織布と水酸化マグネシウム及びポリスルホン樹脂を含む膜との複合体からなるアルカリ水電解用隔膜を得た。
得られたアルカリ水電解用隔膜の、支持体層(不織布)側の表面のFE-SEM測定による画像を図2に示す。不織布側の表面では、ポリスルホンに微細な穴がみられた。
リキッドポロシメーター(Porous Materials社製)を用いて最大孔径、および細孔径分布を測定した。具体的には、2.5cmφの隔膜をイソプロピルアルコール(IPA)(富士フィルム和光純薬社製)溶剤に室温で10分浸漬させて十分に湿潤させた後、フッ素系溶剤であるGalwick(Porous Materials社製)を隔膜上に満たした。隔膜に印加するガス(圧縮空気)圧を6psi/minで昇圧させていき、膜中のIPA液膜が破壊されてから、ガス流量に対して、膜を透過するGalwickのウェット流量を測定した。ウェット流量は電子天秤で測定したGalwickの透過溶剤重量より求めた。ガス圧に対してウェット流量をプロットした際、原点を通る直線挙動を示した後に測定終了とした。
Dia=0.415×τ/P
ここで、τとPは以下の通りである。
τ:試料の表面張力。IPAとGalwickの液液表面張力は4.6dynes/cm
P:印加ガス圧(psi)
MD=0.415×τ/BP
ここで、τとBPは以下の通りである。
τ :試料の表面張力。IPAとGalwickの液液表面張力は4.6dynes/cm
BP:バブルポイント圧(psi)。IPAの液膜が破れてGalwickが膜を透過して天秤でその重量を観測した時点のガス圧。
CFFP=(QW/QD)×100
ここで、QWとQDは以下の通りである。
QW:ウェット流量(μL/min)。膜を透過するGalwickとIPAの流量。
QD:ドライ流量(μL/min)。印加するガス流量。
FFP=CFFP-直前のCFFP
ここで、CFFPは、上記累積フィルターフロー率である。
PSD=(FFP-直前のFFP)/(直前のDia-Dia)
ここで、FFPは上記フィルターフロー率であり、Diaは孔径である。
AD=(Dia+直前のDia)/2
ここで、Diaは孔径である。
上記で得られた隔膜について、リキッドポロシメーター(Porous Materials社製)を用いてバブルポイント値を測定した。具体的には、2.5cmφの隔膜をイオン交換水中に室温で1時間浸漬させて十分に湿潤させた後、フッ素系溶剤であるGalwick(Porous Materials社製)を隔膜上に満たした。隔膜に対するガス圧を昇圧させていき、水の液膜が破壊されて、Galwickが膜を透過して天秤でその重量を観測した時点のガス圧をバブルポイント値とした。上記隔膜のバブルポイント値は680kPaであった。
アルカリ水電解用隔膜を3cm角に切り出し、これを試験片とした。この試験片を、フッ素樹脂容器(PFA製)に入れ、30gの30%KOH水溶液に、室温にて20時間浸漬させた。浸漬後、試験片を取り出し、Ni電極を用いてバッテリハイテスタ3555(日置電機社製)により膜抵抗測定を行った。膜抵抗値は0.35Ωcm2であった。
水酸化マグネシウムとして平均粒子径を0.2μmのものを使用した以外は、実施例1と同様の方法でアルカリ水電解用隔膜を得た。最大孔径は0.061μmであり、細孔径分布における0.04μm未満の面積比率は10.9%であった。バブルポイント値は900kPa、膜抵抗値は0.20Ωcm2であった。
多孔性基材としてポリプロピレン不織布の代わりに、ポリフェニレンサルファイド不織布(東レ社製、品番トルコン#100、厚み210μm)を使用した以外は、実施例2と同様の方法でアルカリ水電解用隔膜を得た。最大孔径は0.062μmであり、細孔径分布における0.04μm未満の面積比率は25.1%であった。バブルポイント値は720kPa、膜抵抗値は0.22Ωcm2であった。
水酸化マグネシウムの代わりに、ジルコニア(平均粒子径0.05μm)を使用し、多孔性基材としてポリフェニレンサルファイドメッシュ(くればぁ社製、50メッシュ、繊径150μm)を使用した以外は実施例1と同様の方法でアルカリ水電解用隔膜を得た。最大孔径は0.062μmであり、細孔径分布における0.04μm未満の面積比率は31.5%であった。バブルポイント値は480kPa、膜抵抗値は0.28Ωcm2であった。実施例1と比較例1との細孔径分布を比較したグラフを図3に示す。
2 単膜層
3 支持体層
Claims (1)
- 有機ポリマーと無機粒子とを含み、
前記有機ポリマーは、フッ素系樹脂、オレフィン系樹脂および芳香族炭化水素系樹脂から選択される少なくとも1種であり、
前記無機粒子は、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、アルミニウムおよびタンタルの水酸化物、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、アルミニウムおよびタンタルの酸化物、ならびにカルシウム、バリウム、鉛およびストロンチウムの硫酸塩から選択される少なくとも1種であり、
イソプロピルアルコールを用いたバブルポイント法による細孔径分布解析において、最大径が0.1μm未満であり、かつ孔の全面積を100%としたときの0.04μm未満の孔の面積が30%以下である、アルカリ水電解用隔膜。
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