JP2019056099A - 硬化性組成物、及びシーリング材組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、変性シリコーン系の重合体をベースポリマーとする硬化性組成物は、得られる硬化物の耐候性が不十分であるという課題を有することが知られている。このため、アクリル系重合体を含む硬化性組成物が提案されている。
前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、分子中に二重結合を0.01meq/g以上、1.0meq/g以下有し、
前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、分子中に反応性シリル基を有する、硬化性組成物。
〔2〕前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、25℃における粘度が1,000mPa・s以上、100,000mPa・s以下である前記〔1〕に記載の硬化性組成物。
〔3〕前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、25℃における粘度が5,000mPa・s以上、300,000mPa・s以下である〔1〕又は〔2〕に記載の硬化性組成物。
〔4〕前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、分子中に反応性シリル基を有する前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔5〕前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、分子中に反応性シリル基を0.1個以上、2.2個以下有する前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔6〕前記(メタ)アクリル酸系重合体(B)は、反応性シリル基としてジアルコキシシリル基を有する前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔7〕前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、当該(メタ)アクリル系重合体を構成する全単量体単位中、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを5質量%以上含む前記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔8〕前記(メタ)アクリル系重合体(A)及び前記(メタ)アクリル系重合体(B)全体に含まれる二重結合濃度は、0.01meq/g以上、0.50meq/g以下である前記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔9〕前記(メタ)アクリル系重合体(A)及び前記(メタ)アクリル系重合体(B)の使用量は、質量比で10〜90/90〜10である前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔10〕さらに、オキシアルキレン系重合体を含む前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔11〕硬化促進剤として、錫系触媒、チタン系触媒及び3級アミン類からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む前記〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の硬化性組成物。
〔12〕前記〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の硬化性組成物を含有することを特徴とするシーリング材組成物。
低分子量(メタ)アクリル系重合体は、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を有する重合体であり、例えば、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体混合物を重合することにより得ることができる。(メタ)アクリル系単量体は、分子中に(メタ)アクリロイル基を有する単量体であり、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル系単量体の使用量は、(メタ)アクリル系重合体の全構成単量体に対し、好ましくは10〜100質量%の範囲であり、より好ましくは30〜100質量%の範囲であり、さらに好ましくは50〜100質量%の範囲である。
上記(メタ)アクリル系重合体に含まれる反応性シリル基の位置は、特に限定されるものではなく、重合体の側鎖及び/又は末端とすることができる。
反応性シリル基を有するビニル系単量体としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシランン等のビニルシラン類;(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルメトキシシリルプロピル及び(メタ)アクリル酸メチルジメトキシシリルプロピル等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル等のシリル基含有ビニルエーテル類;トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等のシリル基含有ビニルエステル類等が例示され、これらの内の1種又は2種以上を用いることができる。
上記の他の単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物等の官能基含有単量体;
(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル類;
(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等のフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル類;
パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有オレフィン類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等の芳香族単量体;
無水マレイン酸;マレイン酸及びフマル酸等の不飽和ジカルボン酸、並びに、これらのモノアルキルエステル及びジアルキルエステル;
マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物;
アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;
アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー;
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;
エチレン、プロピレン等のアルケン類;
ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられるが、これらに限らない。また、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、重合開始剤及び単量体の種類、所望する分子量、重合条件等により適宜調整することができるが、一般的には、使用する単量体100質量部に対して0.001〜10質量部である。同じ分子量の重合体を得る場合、重合開始剤の使用量が少ないほど、得られる重合体中の二重結合濃度は高くなる傾向がある。
溶媒の使用量は、全ビニル単量体100質量部に対して、80質量部以下とすることが好ましい。80質量部以下とすることにより、短時間で高い転化率が得られる。より好ましくは、1〜50質量部である。また、オルト酢酸トリメチル、オルト蟻酸トリメチル等の脱水剤を添加することもできる。
このように未反応単量体および溶剤をリサイクルする方法は経済性の面から好ましい方法である。リサイクルする場合には、反応器内で望ましい単量体比と望ましい溶剤量を維持するように新たに供給する単量体混合物の混合比を決定する必要がある。
加熱処理の際の加熱温度は50〜130℃程度であるが、温度が低いほど二重結合濃度の低減効果は大きい。加熱温度は、好ましくは50〜110℃の範囲であり、より好ましくは50〜100℃の範囲である。
加熱処理時間は特に制限されるものではないが、残存するラジカル発生剤量が、重合体に対して1質量%未満となるよう設定することが好ましい。当業者であれば、当該残存するラジカルを、使用するラジカル発生剤の活性化エネルギー、頻度因子及び反応温度から計算することができる。
即ち、重合体反応液に均一系触媒または不均一系触媒を添加した後、系内を水素雰囲気にし、圧力を常圧〜10MPa、温度を20〜180℃程度に加熱し、2〜20時間ほど反応させる。均一系触媒の具体例としては、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等のロジウム錯体、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等のルテニウム錯体、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金等の白金錯体、カルボニルビス(トリフェニルホスフィン)イリジウム等のイリジウム錯体等が挙げられる。一方、不均一系触媒としては、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、白金等の遷移金属をカーボン、シリカ、アルミナ、繊維、有機ゲル状物等に担持させた固体触媒が挙げられる。不均一系触媒の方が、ろ過等により容易に触媒が除去できるため、品質が安定する、高価な触媒が再利用できるといった点で好ましい。添加する触媒量としては、均一系触媒の場合、ビニル重合体に対して、10〜1,000ppm程度である。不均一系触媒の場合、1,000〜10,000ppm程度である。
高分子量(メタ)アクリル系重合体は、上記低分子量(メタ)アクリル系重合体と同様、(メタ)アクリル系単量体に由来する構造単位を有する重合体である。(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル系単量体の使用量は、(メタ)アクリル系重合体の全構成単量体に対し、好ましくは10〜100質量%の範囲であり、より好ましくは30〜100質量%の範囲であり、さらに好ましくは50〜100質量%の範囲である。
反応性シリル基の位置は、特に限定されるものではなく、重合体の側鎖及び/又は末端とすることができる。
反応性シリル基を有するビニル系単量体としては、上記低分子量(メタ)アクリル系重合体の説明において記載したものと同様の化合物を用いることができる。
上記の他の単量体としては、上記低分子量(メタ)アクリル系重合体の説明において記載したものと同様の化合物、並びに、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル酸メトキシヘキシル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル、(メタ)アクリル酸エトキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ブトキシメチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシブチル及び(メタ)アクリル酸ブトキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられるが、これらに限らない。また、これらのうちの1種又は2種以上を用いることができる。
高分子量(メタ)アクリル系重合体に含まれる二重結合の量は、上記耐候性への効果を発現する観点から好ましくは0.01meq/g以上であり、より好ましくは0.03meq/g以上であり、さらに好ましくは0.05meq/g以上である。一方、耐候性の観点から、二重結合の量は、好ましくは1.0meq/g以下であり、より好ましくは0.50meq/g以下であり、より好ましくは0.30meq/g以下である。二重結合の量の範囲は、上記の上限値及び下限値を組み合せて設定することができるが、例えば、0.01meq/g以上1.0meq/g以下であり、0.05meq/g以上1.0meq/g以下であってもよく、0.10meq/g以上0.50meq/g以下であってもよい。
RAFT剤は活性点を1箇所のみ有する一官能のものを用いてもよいし、二官能以上のものを用いてもよい。また、RAFT剤の使用量は、用いる単量体及びRAFT剤の種類等により適宜調整される。
上記アゾ化合物の具体例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤は1種類のみ使用しても又は2種以上を併用してもよい。
ニトロキシド化合物の使用量は、用いる単量体及びニトロキシド化合物の種類等により適宜調整される。
反応性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体は下記一般式(4)で表される繰り返し単位を含むものであれば、特に限定されない。
−O−R2− (4)
(式中、R2は、2価の炭化水素基である。)
上記一般式(1)におけるR2としては、以下のものが例示される。
(CH2)n (nは1〜10の整数)
CH(CH3)CH2
CH(C2H5)CH2
C(CH3)2CH2
上記オキシアルキレン系重合体は、上記繰り返し単位を1種又は2種以上を組み合わせて含んでもよい。これらの中でも、作業性に優れる点で、CH(CH3)CH2が好ましい。
また、上記オキシアルキレン系重合体は、直鎖状重合体又は分岐状重合体のいずれでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
上記オキシアルキレン系重合体に含まれる反応性シリル基の位置は、特に限定されるものではなく、重合体の側鎖及び/又は末端とすることができる。
また、上記オキシアルキレン系重合体は、直鎖状重合体及び分岐状重合体のいずれでもよい。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
上記の通り、本発明の硬化性組成物は、(A)成分及び(B)成分を必須成分とするものである。ここで、得られる硬化物の耐候性及び機械物性が良好となる点で、上記(A)成分及び(B)成分の割合((A)/(B))は、質量比で好ましくは10〜90/90〜10であり、より好ましくは30〜70/70〜30である。
これらの中でも、物性改善の効果が高い、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム及び酸化チタンが好ましく、軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムとの混合物がより好ましい。充填剤の添加量は、(A)及び(B)成分の総量を100質量部とした場合、20〜300質量部が好ましく、より好ましくは、50〜200質量部である。上記のように軽質炭酸カルシウムと重質炭酸カルシウムの混合物とする場合には、軽質炭酸カルシウム/重質炭酸カルシウムの質量割合が90/10〜50/50の範囲であることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、BASF社製の商品名「チヌビン571」、「チヌビン1130」、「チヌビン327」が例示される。光安定剤としては同社製の商品名「チヌビン292」、「チヌビン144」、「チヌビン123」、三共社製の商品名「サノール770」が例示される。熱安定剤としては、BASF社製の商品名「イルガノックス1135」、「イルガノックス1520」、「イルガノックス1330」が例示される。紫外線吸収剤/光安定剤/熱安定剤の混合物であるBASF社製の商品名「チヌビンB75」を使用してもよい。
錫系触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトナート、ジオクチル錫ジラウレート等が挙げられる。具体的には、日東化成社製の商品名「ネオスタンU−28」、「ネオスタンU−100」、「ネオスタンU−200」、「ネオスタンU−220H」、「ネオスタンU−303」、「SCAT−24」等が例示される。
チタン系触媒としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンエチルアセチルアセトナート、ジブトキシチタンジアセチルアセトナート、ジイソプロポキシチタンジアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテート等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。
その他にも、オルト蟻酸メチル、オルト酢酸メチル、及びビニルシラン等の脱水剤、有機溶剤等を配合してもよい。
製造例、実施例及び比較例で得られた重合体の分析方法、並びに硬化性組成物から得られた硬化物の評価方法について以下に記載する。
1H−NMRの測定により、5.5ppm付近にある二重結合に結合した水素に由来するシグナルの積分値、及び3.0〜4.5ppmにあるエステル基に隣接した炭素に結合した水素に由来するシグナルの積分値の比、並びに重合体の組成から、重合体の質量当たりの二重結合濃度を算出した。
ゲル浸透クロマトグラフ装置(型式名「HLC−8320」、東ソー社製)を用いて、下記の条件よりポリスチレン換算による数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を得た。また、得られた値から分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
○測定条件
カラム:東ソー製TSKgel SuperMultiporeHZ−M×4本
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
反応性シリル基であるアルコキシシリル基の数(平均数)f(Si)は全構成単量体を100質量部とした場合の反応性シリル基を有する単量体の質量部から、下記式を用いて算出した。
f(Si)={シリル基単量体の質量部/(シリル基単量体の分子量×100/Mn)}
TVE−20H型粘度計(塩水/平板方式、東機産業社製)を用いて、下記の条件下でE型粘度を測定した。
○測定条件
コーン形状:角度1°34′、半径24mm(10000mPa・s未満)
角度3°、半径7.7mm(10000mPa・s以上)
温度:25℃±0.5℃
各硬化性組成物を厚さ2mmでテフロン(登録商標)のシートに塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作成した。得られた硬化物をメタリングウェザーメーター(ダイプラ・ウィンテス社製「DAIPLA METAL WEATHER KU−R5NCI−A」)に入れ、促進耐候試験を行った。条件は照射63℃、70%RH、照度80mW/cm2とし、2時間に1回2分間のシャワーで試験を実施した。外観にクラック、ブリード等の異常が生じ始めた時間を記録した。
各硬化性組成物を厚さ2mmでテフロン(登録商標)のシートに塗布し、23℃、50%RHの条件下で1週間養生して硬化シートを作成した。得られた硬化物より引張試験用ダンベル(JIS K 6251 3号型)を作成し、引張試験機(オートグラフAGS−J、島津製作所社製)を用いて、引張速度200mm/分の条件下での破断伸び及び破断強度を測定した。
合成例1((メタ)アクリル系重合体A−1の製造)
○重合工程
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器の温度を265℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、アクリル酸テトラデシル(以下、「TDA」という。)を10部、アクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「HA」という)を70部、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)を20部、メチルエチルケトン(以下、「MEK」という)を20部、重合開始剤としてジ−t−ブチルパーオキサイド(日油製、商品名「パーブチルD」、以下、「DTBP」という)を0.2部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケットの温度を制御することにより、反応温度を264〜266℃に保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して濃縮液を得た。
次いで、窒素置換したフラスコに、上記重合工程で得られた濃縮液を100重量部入れ、液温が90℃になるまで、窒素を流しながら加熱撹拌した。90℃になった時点でラジカル発生剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名「パーヘキシルO」)を0.5部添加し、90℃に保ちながら16時間撹拌することにより(メタ)アクリル系重合体A−1を得た。重合体の性状について、表1に示した。
合成例1の重合工程後に得られた濃縮液を使用し、後処理工程におけるラジカル発生剤(パーヘキシルO)の添加量及び処理条件を表1の通り変更した以外は合成例1と同様の操作により、(メタ)アクリル系重合体A−2〜A−4を得た。各重合体の性状について、表1に示した。
重合工程で使用する原料及び反応器内温、並びに、後処理工程におけるラジカル発生剤(パーヘキシルO)の添加量及び処理条件を表1の通り変更した以外は合成例1と同様の操作により、(メタ)アクリル系重合体A−5〜A−10を得た。尚、合成例10((メタ)アクリル系重合体A−10)では、重合工程後に得られた濃縮液の後処理は実施しなかった。各重合体の性状について、表1に示した。
還流冷却器のついたフラスコに、酢酸ブチル(150部)を入れ、オイルバスで内温を94℃に保ち、攪拌を行った。滴下ロートにて、HA(80部)、TDA(10部)、MMA(10部)、ABN−E(8部)、の混合液を、4時間かけて滴下した。さらに94℃に保ちながら、2時間攪拌した。その後、エバポレーターにより、90℃、10mmHgの条件下、反応液の脱溶剤を行い、揮発成分を分離することにより(メタ)アクリル系重合体A−11を得た。重合体の性状について、表1に示した。
合成例12((メタ)アクリル系重合体B−1の製造)
○重合工程
オイルジャケットを備えた容量1000mLの加圧式攪拌槽型反応器の温度を184℃に保った。次いで、反応器の圧力を一定に保ちながら、3−メタクリロキシプロピルジメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、商品名「Z6033」、以下「DMS」という。)を2.8部、TDAを10部、HAを20部、アクリル酸n−ブチル(以下、「BA」という)を60.2部、MMAを7部、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」という)を10部、オルソ酢酸トリメチル(以下、「MOA」という)を5部、MEKを5部、重合開始剤としてジ−t−ヘキシルパーオキサイド(日油製、商品名「パーヘキシルH」、以下、「DTHP」という)を0.1部からなる単量体混合物を、一定の供給速度(48g/分、滞留時間:12分)で原料タンクから反応器に連続供給を開始し、単量体混合物の供給量に相当する反応液を出口から連続的に抜き出した。反応開始直後に、一旦反応温度が低下した後、重合熱による温度上昇が認められたが、オイルジャケットの温度を制御することにより、反応温度を264〜266℃に保持した。
単量体混合物の供給開始から温度が安定した時点を、反応液の採取開始点とし、これから25分間反応を継続した結果、1.2kgの単量体混合液を供給し、1.2kgの反応液を回収した。その後反応液を薄膜蒸発器に導入して、未反応モノマー等の揮発成分を分離して濃縮液を得た。
上記重合工程後に得られた濃縮液を使用し、後処理工程におけるラジカル発生剤の種類及び添加量、並びに、処理条件を表2の通り変更した以外は合成例1と同様の操作により、(メタ)アクリル系重合体B−1を得た。重合体の性状について、表2に示した。
重合工程で使用する原料及び反応器内温、並びに、後処理工程におけるラジカル発生剤の種類及び添加量、並びに、処処理条件を表2及び表3の通りとした以外は合成例12と同様の操作により、(メタ)アクリル系重合体B−2〜B−11及びB−13を得た。尚、合成例18((メタ)アクリル系重合体B−7)では、重合工程後に得られた濃縮液の後処理は実施しなかった。各重合体の性状について、表2及び表3に示した。
○RAFT剤(1,4−ビス(n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼン)の合成
ナス型フラスコに1−ドデカンチオール(42.2g)、20%KOH水溶液(63.8g)、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド(1.5g)を加えて氷浴で冷却し、二硫化炭素(15.9g)、テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう)(38ml)を加え20分攪拌した。α、α’−ジクロロ−p−キシレン(16.6g)のTHF溶液(170ml)を30分かけて滴下した。室温で1時間反応させた後、クロロホルムから抽出し、純水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥、ロータリーエバポレータで濃縮した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製した後、酢酸エチルから再結晶することにより、以下の式(5)で表される1,4−ビス(n−ドデシルスルファニルチオカルボニルスルファニルメチル)ベンゼン(以下「DLBTTC」ともいう)を収率80%で得た。1H−NMR測定より7.2ppm、4.6ppm、3.4ppmに目的物のピークを確認した。
攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに上記1で得られたRAFT剤(DLBTTC)(9.13g)、2,2’−アゾビス2−メチルブチロニトリル(以下「ABN−E」という)(0.53g)、BA(560g)およびアニソール(230g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、60℃の恒温槽で攪拌しながら重合を開始した。3時間30分後、室温まで冷却し、反応を停止した。上記重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで重合体を得た。
次いで、上記重合体(320g)を、攪拌機、温度計を装着した1Lフラスコに入れ、さらに、BA(138.9g)、DMS(5.3g)、ABN−E(0.40g)、およびアニソール(285g)を仕込み、窒素バブリングで十分脱気し、60℃の恒温槽で攪拌しながら重合を再開始した。8時間後、室温まで冷却し、反応を停止した。この重合溶液を、メタノールから再沈殿精製、真空乾燥することで(メタ)アクリル系重合体B−12を得た。重合体の性状について、表3に示した。
BA:アクリル酸ブチル
HA:アクリル酸2−エチルヘキシル
TDA:アクリル酸トリデシル
MMA:メタクリル酸メチル
DMS:3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン
TMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
IPA:イソプロピルアルコール
MOA:オルソ酢酸メチル
MEK:メチルエチルケトン
BAC:酢酸ブチル
DTBP:ジ−t−ブチルパーオキサイド
DTHP:ジ−t−ヘキシルパーオキシド
ABN−E:2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)
PHO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製、商品名「パーヘキシルO」)
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
実施例1〜28、比較例1〜4
上記合成例で得られた低分子量(メタ)アクリル系重合体(A成分)及び高分子量(メタ)アクリル系重合体(B成分)、並びに市販の原料を表4〜6に示す割合で配合し、プラネタリーミキサーを用いて、温度60℃、10Torrの条件で1時間混合することにより硬化性組成物を得た。各組成物から得られた硬化物について耐候性試験及び引張試験を行い、結果を表4〜表6に示した。
ES−S2420:変性シリコン(旭硝子社製、商品名「エクセスターS2420」)
PPG:エクセノール2020(旭硝子株式会社製)
CCR:軽質炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名「白艶華CCR」)
スーパーSS:重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製、商品名「スーパーSS」)
R820:酸化チタン(石原産業社製)
チヌビンB75:老化防止剤(BASFジャパン社製)
U220H:ジブチル錫ジアセチルアセトナート(日東化成社製)
ナーセムチタン:ジブトキシチタンジアセチルアセトナート(日本化学産業社製、商品名「ナーセムチタン」)
DBU:1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7
SH6020:3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製)
SZ6030:ビニルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製)
一方、比較例1は、高分子量(メタ)アクリル系重合体(B成分)が反応性シリル基を有さないものであり、硬化物の耐候性は十分ではなかった。比較例2及び3は、低分子量(メタ)アクリル系重合体(A成分)の二重結合濃度が本願発明で規定する範囲外であり、ともに硬化物の耐候性に劣る結果が示された。(B)成分である高分子量(メタ)アクリル系重合体を含まない比較例4も同様に、硬化物の耐候性は不十分であった。
Claims (12)
- 重量平均分子量が500以上、10,000未満である(メタ)アクリル系重合体(A)、及び重量平均分子量が10,000以上、100,000以下である(メタ)アクリル系重合体(B)を含む硬化性組成物であって、
前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、分子中に二重結合を0.01meq/g以上、1.0meq/g以下有し、
前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、分子中に反応性シリル基を有する、硬化性組成物。 - 前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、25℃における粘度が1,000mPa・s以上、100,000mPa・s以下である請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、25℃における粘度が5,000mPa・s以上、300,000mPa・s以下である請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、分子中に反応性シリル基を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、分子中に反応性シリル基を0.1個以上、2.2個以下有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル酸系重合体(B)は、反応性シリル基としてジアルコキシシリル基を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(B)は、当該(メタ)アクリル系重合体を構成する全単量体単位中、炭素数10以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを5質量%以上含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(A)及び前記(メタ)アクリル系重合体(B)全体に含まれる二重結合濃度は、0.01meq/g以上、0.50meq/g以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル系重合体(A)及び前記(メタ)アクリル系重合体(B)の使用量は、質量比で10〜90/90〜10である請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- さらに、オキシアルキレン系重合体を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
- 硬化促進剤として、錫系触媒、チタン系触媒及び3級アミン類からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含む請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の硬化性組成物を含有することを特徴とするシーリング材組成物。
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