JP2019056033A - ゴム組成物 - Google Patents

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圭介 知野
雄介 松尾
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雄介 松尾
由浩 森永
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由浩 森永
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Toshiyuki Tsutsumi
俊幸 堤
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Abstract

【課題】 十分に高度な耐候性と十分に優れた耐ブリード性とを有することを可能とするゴム組成物を提供すること。【解決手段】 ゴム基材と、粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるプロセスオイルと、を含有することを特徴とするゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物に関する。
自動車、機械、電気製品等の分野で使用されるゴム組成物には、機械的特性、加工性等を向上させる目的から一般にプロセスオイルが配合されている。このようなプロセスオイルを含有するゴム組成物としては、例えば、特開2013−194164号公報(特許文献1)においては、紫外吸光度(198nm)が3以下であり、紫外吸光度(228nm)が1以下であり、40℃動粘度が25mm/s以上450mm/s以下であるプロセスオイルを配合したゴム組成物が知られている。しかしながら、特許文献1に記載されているような従来のゴム組成物においては、その利用時に、ゴム表面にプロセスオイルがにじみ出てしまう現象(ブリード)を十分に抑制することができず、耐ブリード性の点で問題があった。このような状況の下、ゴム組成物の分野においては、十分に優れた耐候性と耐ブリード性とを両立することが可能なゴム組成物の出現が望まれている。
特開2013−194164号公報
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、十分に高度な耐候性と十分に優れた耐ブリード性とを有することを可能とするゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ゴム基材と、粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるプロセスオイルとを含有するものとすることにより、ゴム組成物の耐候性及び耐ブリード性を共に十分に高度なものとして両立させることが可能となり、得られるゴム組成物を、十分に高度な耐候性と十分に優れた耐ブリード性とを有するものとすることが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のゴム組成物は、
ゴム基材と、
粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるプロセスオイルと、
を含有することを特徴とするものである。
上記本発明のゴム組成物においては、前記プロセスオイルが、40℃における動粘度が1mm/s以上80mm/s以下のものであることが好ましい。また、上記本発明のゴム組成物においては、前記プロセスオイルが、10%留出温度が300℃以上438℃以下のものであることが好ましい。
また、上記本発明のゴム組成物においては、前記ゴム基材が、オレフィン系ゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、更には、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分であることがより好ましい。
また、上記本発明のゴム組成物においては、前記熱可塑性エラストマーが、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分である場合、クレイを更に含有することが好ましく、前記クレイが有機化クレイであることがより好ましい。
本発明によれば、十分に高度な耐候性と十分に優れた耐ブリード性とを有することを可能とするゴム組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のゴム組成物は、
ゴム基材と、
粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるプロセスオイルと、
を含有することを特徴とするものである。以下、先ず、プロセスオイルと、ゴム基材とを分けて説明する。
[プロセスオイル]
本発明にかかるプロセスオイルは、上述のように、粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるという条件を満たすものである。このようなプロセスオイルを利用することにより、ゴム組成物の耐候性及び耐ブリード性を共に十分に高度なものとして両立させることが可能となる。
このようなプロセスオイルの粘度指数は、110以上(好ましくは120以上150以下、より好ましくは125以上145以下、更に好ましくは130以上140以下)である。このような粘度指数が前記下限未満では、耐ブリード性が十分なものではなくなってしまい、他方、前記上限を超えると高温での耐ブリード性が低下してしまう傾向にある。なお、本明細書における粘度指数及び所定温度(40℃、100℃等)における動粘度は、JIS K2283(2000年発行)に準拠して測定された値を意味する。
また、このようなプロセスオイルの波長198nmの光の吸光度は1以上3.3以下(好ましくは1.1以上3.2以下、より好ましくは1.2以上3.1以下、更に好ましくは1.3以上3.0以下)である。このような波長198nmの光の吸光度が前記上限を超えると耐候性を十分に高度なものとすることができなくなる。
さらに、このようなプロセスオイルの波長228nmの光の吸光度は、0.1以上1.7以下(好ましくは0.2以上1.6以下、より好ましくは0.3以上1.5以下、更に好ましくは0.3以上1.4以下)である。このような波長228nmの光の吸光度が前記上限を超えると、耐候性を十分に高度なものとすることができなくなる。なお、本明細書における所定波長の光の吸光度の値はいずれも、JIS K0115(2004年発行)に準拠して測定された吸光度の値を意味する。
また、前記プロセスオイルとしては、40℃における動粘度が1mm/s以上80mm/s以下(好ましくは3mm/s以上70mm/s以下、より好ましくは5mm/s以上60mm/s以下、更に好ましくは10mm/s以上50mm/s以下)のものが好ましい。このような40℃における動粘度が前記下限未満では粘度が低すぎてブリードしやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘度が高すぎてブリードしやすくなる傾向にある。
また、前記プロセスオイルとしては、100℃における動粘度が1mm/s以上10mm/s以下(より好ましくは2mm/s以上9.5mm/s以下、更に好ましくは3mm/s以上9mm/s以下、特に好ましくは4mm/s以上8.5mm/s以下)のものが好ましい。このような100℃における動粘度が前記下限未満では粘度が低すぎてブリードしやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘度が高すぎてブリードしやすくなる傾向にある。
さらに、前記プロセスオイルとしては、初留点(IBP)が300℃以上のもの(より好ましくは310℃以上、更に好ましくは320℃以上、特に好ましくは330℃以上)のものが好ましい。また、このような初留点(IBP)は500℃以下(より好ましくは490℃以下、更に好ましくは480℃以下、特に好ましくは470℃以下)であることが好ましい。
また、前記プロセスオイルとしては、10%留出温度が、好ましくは300℃以上438℃以下、より好ましくは310℃以上437℃以下、更に好ましくは320℃以上436℃以下、特に好ましくは330℃以上435℃以下である。このような10%留出温度が前記下限未満では低沸分が多く加工時に煙が発生しやすくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると粘度が高くなりすぎて加工性が低下する傾向にある。なお、ここにいう初留点(IBP)及び10%留出温度は、それぞれ、ASTM D7213−05(2005年発行)に規定されるガスクロマトグラフィーによる蒸留試験方法に準拠して測定された初留点及び10(容量)%留出温度を意味する。
また、このようなプロセスオイルの粘度比重恒数(VGCとも呼ばれる)は、0.700以上0.900以下であり、耐候性及び耐ブリード性に更に優れる観点から、好ましくは0.720以上、より好ましくは0.740以上、更に好ましくは0.760以上、特に好ましくは0.780以上であり、また、好ましくは0.898以下、より好ましくは0.896以下、更に好ましくは0.894以下、特に好ましくは0.892以下である。本明細書における粘度比重恒数は、ASTM D2140(2003年発行)に準拠して測定された粘度比重恒数を意味する。
また、このようなプロセスオイルのアニリン点は、100℃以上200℃以下であり、耐候性及び耐ブリード性に更に優れる観点から、好ましくは110℃以上、より好ましくは115℃以上、更に好ましくは118℃以上、特に好ましくは120℃以上であり、また、好ましくは190℃以下、より好ましくは180℃以下、更に好ましくは175℃以下、特に好ましくは170℃以下である。本明細書におけるアニリン点は、JIS K2256(2013年発行)に準拠して測定されたアニリン点を意味する。
前記プロセスオイルの屈折率切片(r、Refractive Intercept)は、好ましくは1.040以上1.050以下、より好ましくは1.041以上1.049以下、更に好ましくは1.043以上1.048以下である。本明細書における屈折率切片rは、ASTM D2140(2017年発行)に準拠して測定された屈折率切片r(20℃における屈折率n 20及び20℃における密度dから算出される)を意味する。
前記プロセスオイルの引火点は、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、更に好ましくは220℃以上、特に好ましくは230℃以上であり、また、好ましくは350℃以下、より好ましくは340℃以下、更に好ましくは330℃以下、特に好ましくは320℃以下である。本明細書における引火点は、JIS K2265−4(2007年発行:クリーブランド開放(COC)法)に準拠して測定された引火点を意味する。
前記プロセスオイルの流動点は、好ましくは−30℃以上、より好ましくは−25℃以上、更に好ましくは−20℃以上、特に好ましくは−15℃以上であり、また、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下、更に好ましくは5℃以下、特に好ましくは0℃以下である。本明細書における流動点は、JIS K2269(1987年発行)に準拠して測定された流動点を意味する。
前記プロセスオイルの酸価は、好ましくは0.10mgKOH/g以下、より好ましくは0.08mgKOH/g以下、更に好ましくは0.04mgKOH/g以下、特に好ましくは0.02mgKOH/g以下である。本明細書における酸価は、JIS K2501(2003年発行)に準拠して測定された酸価を意味する。
前記プロセスオイルのヨウ素価は、好ましくは1.0gI/100g以下、より好ましくは0.80gI/100g以下、更に好ましくは0.50gI/100g以下、特に好ましくは0.20gI/100g以下である。本明細書におけるヨウ素価は、JIS K0070(1992年発行)に準拠して測定された粘度指数を意味する。
本発明にかかるプロセスオイルは、前述のように、粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるという条件を満たすプロセスオイルであればよい。このような条件を満たすプロセスオイルとしては、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて施すことにより精製して得られる鉱油であってよい。このようなプロセスオイルは、これらの鉱油の1種を単独で用いてもよく、或いは、2種以上を組合わせて利用してもよい。
なお、本発明にかかるプロセスオイル(粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるプロセスオイル)を調製するための方法としては、前記潤滑油留分の種類によって異なるものであり、一概に言えるものではなく、上記条件を満たすオイルを調製するために、前記潤滑油留分の種類に応じて上述した精製処理のうちのいずれかの処理を、上記条件を満たすオイルを得るように適宜選択して施す方法を採用すればよい。このように、上記条件を満たすように、公知の精製方法を適宜選択して利用することにより本発明にかかるプロセスオイルを得ることができる。
[ゴム基材]
このようなゴム基材としては、プロセスオイルを配合したゴム組成物に利用することが可能な公知のゴム基材を適宜利用できる。このようなゴム基材としては、非極性のジエン系ゴム、オレフィン系ゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
このような非極性のジエン系ゴムとしては、公知の非極性のジエン系ゴム(例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)等)を適宜利用することができ、また、このようなオレフィン系ゴムとしては、公知のオレフィン系ゴム(例えば、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンブテンゴム(EBM)、エチレンオクテンゴム(EOM)等)を適宜利用することができ、中でも、相溶性に優れるといった観点からは、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が好ましく、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)がより好ましい。
また、前記熱可塑性エラストマーとしては、特に制限されるものではなく、公知の熱可塑性のエラストマー(例えば、特許第5918878号公報に記載のようなエラストマー成分;オレフィン系熱可塑性エラストマー;スチレン系エラストマー;オレフィン系のゴム成分(好ましくはEPM及び/又はEPDM)と熱可塑性樹脂(好ましくはポリエチレン、ポリプロピレ、より好ましくはポリプロピレン)とからなる動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV);等であってもよい)を適宜利用することができる。
また、このような熱可塑性エラストマーとしては、中でも、オイルの保持の観点から、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分が好ましい。また、本発明においては、前記ゴム基材が前記エラストマー成分(上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種)であることが好ましい。なお、本発明においては、前記ゴム組成物が前記エラストマー成分を含む場合には、前記エラストマー成分のみをゴム基材と判断し、それ以外の成分(エラストマー性を有する他の成分や他のゴム成分を含む)は、ゴム基材以外の成分と判断する。このようなエラストマー成分として好適なものを以下に説明する。
<エラストマー成分>
このようなエラストマー成分は、上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種のものである。このようなエラストマー性ポリマー(A)〜(B)において、「側鎖」とは、エラストマー性ポリマーの側鎖および末端をいう。また、「カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)」とは、エラストマー性ポリマーの主鎖を形成する原子(通常、炭素原子)に、水素結合性架橋部位としてのカルボニル含有基および/または含窒素複素環(より好ましくはカルボニル含有基および含窒素複素環)が化学的に安定な結合(共有結合)をしていることを意味する。また、「側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有され」とは、水素結合性架橋部位を有する側鎖(以下、便宜上、場合により「側鎖(a’)」と称する。)と、共有結合性架橋部位を有する側鎖(以下、便宜上、場合により「側鎖(b)」と称する。)の双方の側鎖を含むことによってポリマーの側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方が含有されている場合の他、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を有する側鎖(1つの側鎖中に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を含む側鎖:以下、このような側鎖を便宜上、場合により「側鎖(c)」と称する。)を含むことで、ポリマーの側鎖に、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方が含有されている場合を含む概念である。なお、このようなエラストマー成分は、特許第5918878号公報に記載のエラストマー成分と同義であり、同公報の段落[0032]〜段落[0145]に記載のものを好適に利用できる。
このようなエラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖(主鎖部分を形成するポリマー)は、一般的に公知の天然高分子または合成高分子であって、そのガラス転移点が室温(25℃)以下のポリマーからなるものであればよく(いわゆるエラストマーからなるものであればよく)、特に限定されるものではない。このようなエラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖(主鎖部分を形成するポリマー)としては、ガラス転移点が室温(25℃)以下の公知のポリマー(例えば、特許第5918878号公報の段落[0033]〜[0036]に記載のもの)を適宜利用でき、中でも、ジエン系ゴム、ジエン系ゴムの水素添加物、オレフィン系ゴム、水添されていてもよいポリスチレン系エラストマー性ポリマー、ポリオレフィン系エラストマー性ポリマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー性ポリマー、ポリウレタン系エラストマー性ポリマー、ポリエステル系エラストマー性ポリマー、及び、ポリアミド系エラストマー性ポリマーの中から選択される少なくとも1種が好ましい。また、このような前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖としては、老化しやすい二重結合がないという観点からは、ジエン系ゴムの水添物、オレフィン系ゴムが好ましく、コストの低さ、反応性の高さ(無水マレイン酸等の化合物のエン反応が可能な二重結合を多数有する)の観点からは、ジエン系ゴムが好ましい。また、前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖に、それぞれオレフィン系ゴムを用いると、二重結合が存在しないため劣化がより十分に抑制される傾向にある。
また、このようなエラストマー成分としては、前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)は1種を単独で利用するものであってもあるいは2種以上の混合物であってもよい。また、前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)のガラス転移点は、前述のように25℃以下である。エラストマー性ポリマーのガラス転移点がこの範囲であれば、室温でゴム状弾性を示すためである。また、本発明において「ガラス転移点」は、示差走査熱量測定(DSC−Differential Scanning Calorimetry)により測定したガラス転移点である。測定に際しては、昇温速度は10℃/minにするのが好ましい。
また、上記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)は、上述のように、側鎖として、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a);水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a’)及び共有結合性架橋部位を含有する側鎖(b);並びに、水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位を含有する側鎖(c);のうちの少なくとも1種を有するものとなる。なお、本発明において、側鎖(c)は、側鎖(a’)としても機能しつつ側鎖(b)としても機能するような側鎖であるとも言える。以下において、各側鎖を説明する。
〈側鎖(a’):水素結合性架橋部位を含有する側鎖〉
水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a’)は、水素結合による架橋を形成し得る基(例えば、水酸基、後述の側鎖(a)に含まれる水素結合性架橋部位等)を有し、その基に基づいて水素結合を形成する側鎖であればよく、その構造は特に制限されるものではない。ここにおいて、水素結合性架橋部位は、水素結合によりポリマー同士(エラストマー同士)を架橋する部位である。なお、水素結合による架橋は、水素のアクセプター(孤立電子対を含む原子を含有する基等)と、水素のドナー(電気陰性度が大きな原子に共有結合した水素原子を備える基等)とがあって初めて形成されることから、エラストマー同士の側鎖間において水素のアクセプターと水素のドナーの双方が存在しない場合には、水素結合による架橋が形成されない。そのため、エラストマー同士の側鎖間において、水素のアクセプターと水素のドナーの双方が存在することによって初めて、水素結合性架橋部位が系中に存在することとなる。なお、本発明においては、エラストマー同士の側鎖間において、水素のアクセプターとして機能し得る部分(例えばカルボニル基等)と、水素のドナーとして機能し得る部分(例えば水酸基等)の双方が存在することをもって、その側鎖の水素のアクセプターとして機能し得る部分とドナーとして機能し得る部分とを、水素結合性架橋部位と判断することができる。
このような側鎖(a’)中の水素結合性架橋部位としては、より強固な水素結合を形成するといった観点から、後述の側鎖(a)がより好ましい。また、同様の観点で、前記側鎖(a’)中の水素結合性架橋部位としては、カルボニル含有基および含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位であることがより好ましい。
〈側鎖(a):カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖〉
カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)は、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有するものであればよく、他の構成は特に限定されない。このような水素結合性架橋部位としては、カルボニル含有基および含窒素複素環を有するものがより好ましい。
このようなカルボニル含有基としては、カルボニル基を含むものであればよく、特に限定されず、その具体例としては、アミド、エステル、イミド、カルボキシ基、カルボニル基等が挙げられる。このようなカルボニル含有基は、カルボニル含有基を前記主鎖に導入し得る化合物を用いて、前記主鎖(主鎖部分のポリマー)に導入した基であってもよい。このようなカルボニル含有基を前記主鎖に導入し得る化合物は特に限定されず、その具体例としては、ケトン、カルボン酸およびその誘導体等が挙げられる。なお、このようなカルボニル含有基を前記主鎖に導入し得る化合物としては、公知のもの(例えば特許第5918878号公報の段落[0051]〜[0053]に記載のもの等)を適宜利用できる。また、このようなカルボニル基(カルボニル含有基)を導入し得る化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、前記側鎖(a)が含窒素複素環を有する場合、前記含窒素複素環は、直接又は有機基を介して前記主鎖に導入されていればよく、その構成等は特に制限されるものではない。このような含窒素複素環は、複素環内に窒素原子を含むものであれば複素環内に窒素原子以外のヘテロ原子、例えば、イオウ原子、酸素原子、リン原子等を有するものでも用いることができる。ここで、前記側鎖(a)中に含窒素複素環を用いた場合には、複素環構造を有すると架橋を形成する水素結合がより強くなり、得られる熱可塑性エラスマー組成物の引張強度がより向上するため好ましい。なお、このような含窒素複素環としては、公知のもの(例えば特許第5918878号公報の段落[0054]〜[0067]に記載のもの等)を適宜利用できる。なお、このような含窒素複素環は置換基を有するものであってもよい。
このような含窒素複素環としては、リサイクル性、圧縮永久歪、硬度および機械的強度、特に引張強度に優れるため、それぞれ置換基を有していてもよい、トリアゾール環、イソシアヌレート環、チアジアゾール環、ピリジン環、イミダゾール環、トリアジン環及びヒダントイン環の中から選択される少なくとも1種であることが好ましく、それぞれ置換基を有していてもよい、トリアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、イミダゾール環およびヒダントイン環の中から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このような含窒素複素環が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、チオール基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、エポキシ基、アルコキシシリル基等が挙げられる。
また、前記側鎖(a)において、上記カルボニル含有基および上記含窒素複素環の双方が含まれる場合、上記カルボニル含有基および上記含窒素複素環は、互いに独立の側鎖として主鎖に導入されていてもよいが、上記カルボニル含有基と上記含窒素複素環とが互いに異なる基を介して結合した1つの側鎖として主鎖に導入されていることが好ましい。このような側鎖(a)の構造としては、例えば、特許第5918878号公報の段落[0068]〜[0081]に記載されているような構造としてもよい。
また、側鎖(a)としては、反応後に前記主鎖を形成するポリマー(エラストマー性ポリマー形成用の材料)に、官能基として環状酸無水物基(より好ましくは無水マレイン酸基)を有するポリマー(環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー)を用いて、前記官能基(環状酸無水物基)と、該環状酸無水物基と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物(含窒素複素環を導入し得る化合物)とを反応させて、水素結合性架橋部位を形成して、ポリマーの側鎖を側鎖(a)としたものが好ましい。このような水素結合性架橋部位を形成する化合物(含窒素複素環を導入し得る化合物)は、上記含窒素複素環そのものであってもよく、無水マレイン酸等の環状酸無水物基と反応する置換基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)を有する含窒素複素環であってもよい。
〈側鎖(b):共有結合性架橋部位を含有する側鎖〉
本明細書において「共有結合性架橋部位を含有する側鎖(b)」は、エラストマー性ポリマーの主鎖を形成する原子(通常、炭素原子)に、共有結合性架橋部位が化学的に安定な結合(共有結合)をしていることを意味する。なお、ここにいう「共有結合性架橋部位」は、共有結合によりポリマー同士(エラストマー同士)を架橋する部位である。なお、側鎖(b)は共有結合性架橋部位を含有する側鎖であるが、共有結合性部位を有しつつ、更に、水素結合が可能な基を有して、側鎖間において水素結合による架橋を形成するような場合には、後述の側鎖(c)として利用されることとなる(なお、エラストマー同士の側鎖間に水素結合を形成することが可能な、水素のドナーと、水素のアクセプターの双方が含まれていない場合、例えば、系中に単にエステル基(−COO−)が含まれている側鎖のみが存在するような場合には、エステル基(−COO−)同士では特に水素結合は形成されないため、かかる基は水素結合性架橋部位としては機能しない。他方、例えば、カルボキシ基やトリアゾール環のような、水素結合の水素のドナーとなる部位と、水素のアクセプターとなる部位の双方を有する構造をエラストマー同士の側鎖にそれぞれ含む場合には、エラストマー同士の側鎖間で水素結合が形成されるため、水素結合性架橋部位が含有されることとなる。また、例えば、エラストマー同士の側鎖間に、エステル基と水酸基とが共存して、それらの基により側鎖間で水素結合が形成される場合、その水素結合を形成する部位が水素結合性架橋部位となる。そのため、側鎖(b)が有する構造自体や、側鎖(b)が有する構造と他の側鎖が有する置換基の種類等に応じて、側鎖(c)として利用される場合がある。)。
このような共有結合性架橋部位を含有する側鎖(b)は特に制限されないが、例えば、官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー(前記主鎖部分を形成させるためのポリマー)と、前記官能基と反応して共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)とを反応させることで、形成される共有結合性架橋部位を含有するものであることが好ましい。このような側鎖(b)の前記共有結合性架橋部位における架橋は、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により形成されてなることが好ましい。そのため、前記主鎖部分を形成させるためのポリマー(以下、場合により「主鎖を構成するポリマー」と称する)が有する前記官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起しうる官能基であることが好ましい。
このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」としては、例えば、1分子中にアミノ基および/またはイミノ基を2個以上(アミノ基およびイミノ基をともに有する場合はこれらの基を合計して2個以上)有するポリアミン化合物;1分子中に水酸基を2個以上有するポリオール化合物;1分子中にイソシアネート(NCO)基を2個以上有するポリイソシアネート化合物;1分子中にチオール基(メルカプト基)を2個以上有するポリチオール化合物;等が挙げられる。ここにおいて「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」は、かかる化合物が有する置換基の種類や、かかる化合物を利用して反応せしめた場合に反応の進行の程度、等によっては、前記水素結合性架橋部位及び前記共有結合性架橋部位の双方を導入し得る化合物となる(例えば、水酸基を3個以上有する化合物を利用して、共有結合による架橋部位を形成する場合において、反応の進行の程度によっては、官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーの該官能基に2個の水酸基が反応して、残りの1個の水酸基が水酸基として残るような場合も生じ、その場合には、水素結合性の架橋を形成する部位も併せて導入され得ることとなる。)。そのため、ここに例示する「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」には、「水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物」も含まれ得る。このような観点から、側鎖(b)を形成する場合には、「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」の中から目的の設計に応じて化合物を適宜選択したり、反応の進行の程度を適宜制御する等して、側鎖(b)を形成すればよい。なお、共有結合性架橋部位を形成する化合物が複素環を有している場合には、より効率よく水素結合性架橋部位も同時に製造することが可能になり、後述の側鎖(c)として、前記共有結合性架橋部位を有する側鎖を効率よく形成することが可能となる。そのため、かかる複素環を有しているような化合物の具体例については、側鎖(c)を製造するための好適な化合物として、特に側鎖(c)と併せて説明する。なお、側鎖(c)は、その構造から、側鎖(a)や側鎖(b)等の側鎖の好適な一形態であるとも言える。
このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」として利用可能な前記ポリアミン化合物、前記ポリオール化合物、前記ポリイソシアネート化合物、前記ポリチオール化合物としては、公知のもの(例えば特許第5918878号公報の段落[0094]〜[0106]に記載のもの等)を適宜利用することができる。
また、このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」としては、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)であることが好ましい。
このような「共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)」と反応する、前記主鎖を構成するポリマーが有する官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起(生成:形成)し得る官能基が好ましく、かかる官能基としては、環状酸無水物基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が好適に例示される。
〈側鎖(c):水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を含む側鎖〉
このような側鎖(c)は、1つの側鎖中に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を含む側鎖である。このような側鎖(c)に含まれる水素結合性架橋部位は、側鎖(a’)において説明した水素結合性架橋部位と同様のものであり、側鎖(a)中の水素結合性架橋部位と同様のものが好ましい。また、側鎖(c)に含まれる共有結合性架橋部位としては、側鎖(b)中の共有結合性架橋部位と同様のものを利用できる(その好適な架橋も同様のものを利用できる。)。
このような側鎖(c)は、官能基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー(前記主鎖部分を形成させるためのポリマー)と、前記官能基と反応して水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を導入する化合物)とを反応させることで、形成される側鎖であることが好ましい。
このような水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を導入する化合物)としては、複素環(特に好ましくは含窒素複素環)を有しかつ共有結合性架橋部位を形成することが可能な化合物(共有結合を生成する化合物)が好ましく、中でも、複素環含有ポリオール、複素環含有ポリアミン、複素環含有ポリチオール等がより好ましい。なお、このような複素環を含有する、ポリオール、ポリアミンおよびポリチオールは、複素環(特に好ましくは含窒素複素環)を有するものである以外は、前述の「共有結合性架橋部位を形成することが可能な化合物(共有結合を生成する化合物)」において説明した前記ポリオール化合物、前記ポリアミン化合物および前記ポリチオール化合物と同様のものを適宜利用することができる。また、複素環を含有する、ポリオール、ポリアミンおよびポリチオールとしては公知のもの(例えば、特許5918878号公報の段落[0113]に記載のもの)を適宜利用できる。なお、「水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成する化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を導入する化合物)」と反応する、前記主鎖を構成するポリマーが有する官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起(生成:形成)し得る官能基が好ましく、かかる官能基としては、環状酸無水物基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が好適に例示される。
(側鎖(b)〜(c)中の共有結合性架橋部位として好適な構造について)
側鎖(b)及び/又は(c)に関して、共有結合性架橋部位における架橋が、第三級アミノ結合(−N=)、エステル結合(−COO−)を含有している場合であって、これらの結合部位が水素結合性架橋部位としても機能する場合、得られる熱可塑性エラストマー(組成物)の圧縮永久歪および機械的強度(破断伸び、破断強度)がより高度に改善されるとの理由から好ましい。このように、共有結合性架橋部位を有する側鎖中の第三級アミノ結合(−N=)やエステル結合(−COO−)が、他の側鎖との間において、水素結合を形成するような場合、かかる第三級アミノ結合(−N=)、エステル結合(−COO−)を含有している共有結合性架橋部位は、水素結合性架橋部位も備えることとなり、側鎖(c)として機能し得る。
前記主鎖を構成するポリマーが有する官能基と反応して前記第三級アミノ結合及び/又は前記エステル結合を含有している共有結合性架橋部位を形成させることが可能な化合物(水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位の双方を形成することが可能な化合物)としては、ポリエチレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリプロピレングリコールラウリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ラウリルアミン)、ポリエチレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリプロピレングリコールオクチルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)オクチルアミン)、ポリエチレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)、ポリプロピレングリコールステアリルアミン(例えば、N,N−ビス(2−メチル−2−ヒドロキシエチル)ステアリルアミン)を好適なものとして挙げることができる。
前記側鎖(b)及び/又は側鎖(c)の上記共有結合性架橋部位における架橋としては、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される構造を少なくとも1つ含有しているものが好ましく、式中のGが第三級アミノ結合、エステル結合を含有しているものがより好ましい(なお、以下の構造において、水素結合性架橋部位を含む場合、その構造を有する側鎖は、側鎖(c)として利用されるものである。)。
上記一般式(1)〜(3)中、E、J、KおよびLはそれぞれ独立に単結合;酸素原子、アミノ基NR’(R’は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基である。)またはイオウ原子;あるいはこれらの原子または基を含んでもよい有機基であり、Gは酸素原子、イオウ原子または窒素原子を含んでいてもよく、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭素数1〜20の炭化水素基である。
このような置換基Gとしては、下記一般式(111)〜(114)で表される基が好ましく、耐熱性が高く、水素結合により、高強度になるという観点から、下記一般式(111)で表される基及び下記一般式(112)で表される基であることがより好ましい。
また、前記側鎖(b)及び(c)において、上記共有結合性架橋部位における架橋は、環状酸無水物基と、水酸基あるいはアミノ基及び/又はイミノ基との反応により形成されることが好ましい。例えば、反応後に主鎖部分を形成するポリマーが官能基として環状酸無水物基(例えば無水マレイン酸基)を有している場合に、該ポリマーの環状酸無水物基と、水酸基あるいはアミノ基および/またはイミノ基を有する前記共有結合性架橋部位を形成する化合物(共有結合を生成する化合物)とを反応させて、共有結合により架橋する部位を形成してポリマー間を架橋させることで、形成される架橋としてもよい。
また、このような側鎖(b)及び(c)において、前記共有結合性架橋部位における架橋は、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により形成されてなることがより好ましい。
以上、側鎖(a’)、側鎖(a)、側鎖(b)、側鎖(c)について説明したが、このようなポリマー中の側鎖の各基(構造)等は、NMR、IRスペクトル等の通常用いられる分析手段により確認することができる。
また、前記エラストマー性ポリマー(A)は、前記側鎖(a)を有するガラス転移点が25℃以下のエラストマー性ポリマーであり、前記エラストマー性ポリマー(B)は、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位を含有しているガラス転移点が25℃以下のエラストマー性ポリマー(側鎖として、側鎖(a’)及び側鎖(b)の双方を有するポリマーや、側鎖に側鎖(c)を少なくとも一つ含むポリマー等)である。このようなエラストマー成分としては、前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)のうちの1種を単独で利用してもよく、あるいは、それらのうちの2種以上を混合して利用してもよい。
なお、エラストマー性ポリマー(B)は、側鎖(a’)及び側鎖(b)の双方を有するポリマーであっても、側鎖(c)を有するポリマーであってもよいが、このようなエラストマー性ポリマー(B)の側鎖に含有される水素結合性架橋部位としては、より強固な水素結合が形成されるといった観点から、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位(より好ましくはカルボニル含有基および含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位)であることが好ましい。また、前記エラストマー性ポリマー(B)の側鎖に含有される前記共有結合性架橋部位における架橋は、その架橋部位を含む側鎖間において水素結合等の分子間相互作用を引き起こさせることも可能となるといった観点から、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合により形成されてなることが好ましい。
このようなエラストマー性ポリマー(A)〜(B)を製造する方法としては特に制限されず、公知の方法(例えば、特許5918878号公報に記載の方法(段落[0139]〜[0140]に記載の方法等))を適宜採用できる。また、このようなエラストマー性ポリマー(A)〜(B)を製造する方法としては、例えば、官能基(例えば環状酸無水物基等)を側鎖に有するエラストマー性ポリマーを用いて、該エラストマー性ポリマーを、前記官能基と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物、並びに、前記官能基と反応して水素結合性架橋部位を形成する化合物及び前記官能基と反応して共有結合性架橋部位を形成する化合物の混合原料のうちの少なくとも1種の原料化合物と反応させて、前記側鎖(a)を有するエラストマー性ポリマー;側鎖(a’)及び側鎖(b)を有するエラストマー性ポリマー;及び/又は前記側鎖(c)を有するエラストマー性ポリマー(前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B))を製造する方法を採用してもよい。なお、このような反応の際に採用する条件(温度条件や雰囲気条件等)は特に制限されず、官能基や該官能基と反応させる化合物(水素結合性架橋部位を形成する化合物及び/又は共有結合性架橋部位を形成する化合物)の種類に応じて適宜設定すればよい。なお、前記エラストマー性ポリマー(A)の場合は、水素結合部位を持つモノマーを重合して製造しても良い。
このような官能基(例えば環状酸無水物基)を側鎖に有するエラストマー性ポリマーとしては、前述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖を形成することが可能なポリマーであって、官能基を側鎖に有するものが好ましい。ここで、「官能基を側鎖に含有するエラストマー性ポリマー」とは、主鎖を形成する原子に官能基(上述の官能基等、例えば、環状酸無水物基等)が化学的に安定な結合(共有結合)をしているエラストマー性ポリマーをいい、エラストマー性ポリマー(例えば公知の天然高分子または合成高分子)と官能基を導入し得る化合物とを反応させることにより得られるものを好適に利用できる。
また、このような官能基としては、アミド、エステル、ラクトン、ウレタン、エーテル、チオウレタンおよびチオエーテルからなる群より選択される少なくとも1つの結合を生起し得る官能基であることが好ましく、中でも、環状酸無水物基、水酸基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基、チオール基等が好ましく、組成物中にクレイをより効率よく分散させることが可能であるといった観点からは、環状酸無水物基が特に好ましい。また、このような環状酸無水物基としては、無水コハク酸基、無水マレイン酸基、無水グルタル酸基、無水フタル酸基が好ましく、中でも、容易にポリマー側鎖に導入可能で、工業上入手が容易である観点からは、無水マレイン酸基がより好ましい。また、前記官能基が環状酸無水物基である場合には、例えば、前記官能基を導入しうる化合物として、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸およびこれらの誘導体等の環状酸無水物を用いて、エラストマー性ポリマー(例えば公知の天然高分子または合成高分子)に官能基を導入してもよい。
また、このようなエラストマー性ポリマー(A)及び(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分としては、工業的に入手しやすく、しかも機械的強度及び圧縮永久歪に対する耐性を高度にバランスよく有するものとすることが可能であるといった観点から、
環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー(より好ましくは無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマー)と;
水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいピリジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいチアジアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイミダゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイソシアヌレート、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいヒダントイン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール(pentaerythritol)、スルファミド、並びに、ポリエーテルポリオールのうちの少なくとも1種の化合物(以下、場合により単に「化合物(X)」と称する。)と;
の反応物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。このように、エラストマー性ポリマー(A)及び(B)としては、環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー(より好ましくは無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマー)と前記化合物(X)との反応物がより好ましい。なお、このような化合物(X)としては、共有結合性の架橋部位の生成と同時に水素結合性の架橋部位の生成も可能であるといった観点から、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいピリジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいチアジアゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイミダゾール、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいイソシアヌレート、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいトリアジン、水酸基、チオール基及びアミノ基のうちの少なくとも1種の置換基を有していてもよいヒダントイン、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトール(pentaerythritol)、スルファミド、並びに、ポリエーテルポリオールがより好ましい。
また、「環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマー」とは、ポリマーの主鎖を形成する原子に環状酸無水物基が化学的に安定な結合(共有結合)をしているエラストマー性ポリマーのことをいい、例えば、前記エラストマー性ポリマー(A)〜(B)の主鎖部分を形成することが可能なポリマーと、環状酸無水物基を導入し得る化合物とを反応させることにより得られるものを好適に利用することができる。このような環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーとしては、公知のもの(例えば、特許第5918878号公報の段落[0183]〜段落[0193]に記載のもの)を適宜利用することができる。また、このような環状酸無水物基を側鎖に有するエラストマー性ポリマーとしては、高分子量で高強度であるといった観点から、無水マレイン酸変性エラストマー性ポリマーがより好ましく、無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム、無水マレイン酸変性エチレン−ブテンゴムが更に好ましい。
また、前記エラストマー成分として、エラストマー性ポリマー(A)及び(B)を含有する場合には、エラストマー性ポリマー(A)とエラストマー性ポリマー(B)の含有比率は質量比([ポリマー(A)]:[ポリマー(B)])で1:9〜9:1とすることが好ましく、2:8〜8:2とすることがより好ましい。このようなポリマー(A)の含有比率が前記下限未満では流動性(成形性)、機械的強度が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると圧縮永久歪に対する耐性が低下する傾向にある。
以上、本発明にかかるゴム基材として好適に利用することが可能な成分(エラストマー成分)の好適な実施形態について説明したが、以下、本発明のゴム組成物の組成について説明する。
[本発明のゴム組成物の組成について]
本発明のゴム組成物は、前記ゴム基材と、前記プロセスオイルとを含有するものであればよく、他の構成は特に制限されるものではない。このような本発明のゴム組成物において、プロセスオイルの含有量は、ゴム基材の種類によっても異なるものであり、一概に言えるものではないが、前記ゴム基材100質量部に対して0.1〜3000質量部であることが好ましい。このようなゴム組成物中のプロセスオイルの含有量が前記下限未満ではプロセスオイルを添加しても流動性等のオイルにより得られる効果を十分に高度なものとすることが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えるとブリードを十分に抑制することが困難となる傾向にある。
なお、このようなゴム組成物の組成の好適な条件(例えば、前記ゴム基材及び前記プロセスオイル以外に添加することが可能な成分の好適なものの条件等)は、上述のプロセスオイルの含有量の範囲も含めて、ゴム基材の種類によっても異なるものであり、必ずしも一概に言えるものではないことから、以下、ゴム組成物の組成の好適な条件を、ゴム基材がオレフィン系ゴムである場合と、ゴム基材が熱可塑性エラストマーである場合とについて分けて説明する。
<ゴム基材が非極性ジエン系ゴム及び/又はオレフィン系ゴムである場合>
ゴム基材が非極性ジエン系ゴム及び/又はオレフィン系ゴム(好ましくはEPM及び/又はEPDM)である場合、プロセスオイルの含有量は、ゴム基材100質量部に対して0.1〜300質量部(より好ましくは0.5〜250質量部、更に好ましくは1〜200質量部、特に好ましくは3〜150質量部)であることが好ましい。このようなゴム組成物中のプロセスオイルの含有量が前記下限未満では軟化させて硬度を低下させることが困難となるとともに流動性を上げることも困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると軟化しすぎて硬度が低下してしまったり、ブリードしやすくなる傾向にある。
また、ゴム基材が非極性ジエン系ゴム及び/又はオレフィン系ゴム(好ましくはEPM及び/又はEPDM)である場合、本発明の効果を損なわない範囲において、ゴム組成物に利用することが可能な他の成分を含有させてもよい。このような他の成分としては、特に制限されるものでではないが、例えば、有機酸コバルト等の有機酸金属塩、フェノール樹脂等の樹脂、硫黄等の加硫剤、レゾルシノール等の接着剤、スルフェンアミド化合物、チウラム化合物等の加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、ワックス類、酸化防止剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、分散剤、相容化剤、均質化剤等の各種成分を挙げることができる。前記各成分の含有量は、それぞれ、前記ゴム基材(非極性ジエン系ゴム及び/又はオレフィン系ゴムの総量)100質量部に対して10質量部以下(より好ましくは7質量部以下、更に好ましくは5質量部以下)であることが好ましい。また、このような他の成分として、カーボン、シリカ等のフィラーを含有させてもよい。このようなフィラーを用いる場合、そのフィラーの含有量はゴム基材(非極性ジエン系ゴム及び/又はオレフィン系ゴムの総量)100質量部に対して0.1質量部〜300質量部(より好ましくは0.5〜250質量部、更に好ましくは1〜200質量部、特に好ましくは3〜150質量部)であることが好ましい。
<ゴム基材が熱可塑性エラストマーである場合>
ゴム基材が熱可塑性エラストマー(好ましくは前記エラストマー成分)である場合には、プロセスオイルの含有量は、ゴム基材100質量部に対して1〜3000質量部(より好ましくは3〜2800質量部、更に好ましくは5〜2500質量部、特に好ましくは10〜2000質量部)であることが好ましい。このようなゴム組成物中のプロセスオイルの含有量が前記下限未満では軟化させて硬度を低下させることが困難となるとともに流動性を上げることも困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると軟化しすぎて硬度が低下してしまったり、ブリードしてしやすくなる傾向にある。
また、ゴム基材が、前記熱可塑性エラストマーとして好適な前記エラストマー成分(上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種)である場合のゴム組成物、すなわち、ゴム組成物が前記エラストマー成分を含む場合について、その好適な実施形態を、以下において、更に説明する(なお、本発明においては、前述のように、前記ゴム組成物が前記エラストマー成分を含む場合には、前記エラストマー成分のみをゴム基材と判断する)。
ゴム基材が前記エラストマー成分(上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種)である場合には、クレイを更に含有していることが好ましい。このようなクレイとしては特に制限されず、公知のクレイ(例えば、特許第5918878号公報の段落[0146]〜段落[0156]に記載のもの等)を適宜利用することができる。このようなクレイの中でも、高分散性の観点から、ケイ素及びマグネシウムを主成分とするクレイ、並びに、有機化クレイからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。このようなクレイとしては、より高度な引張応力(モジュラス)が得られることから、有機化クレイであることが特に好ましい。また、前記有機化クレイとしては特に制限されないが、クレイが有機化剤により有機化されてなるものであることが好ましい。また、前記有機化剤としては特に制限されず、クレイを有機化することが可能な公知の有機化剤(例えば、特許第5918878号公報の段落[0152]に記載のもの)を適宜利用することができる。また、このような有機化クレイとしては、単層分散性の観点から、クレイの4級アンモニウム塩を好適に利用することができる。このような有機化クレイの4級アンモニウム塩としては、特に制限されないが、例えば、トリメチルステアリルアンモニウム塩、オレイルビス(2−ヒドロキシルエチル)の塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム塩、ジメチルオクタデシルアンモニウム塩、及び、これらのうちの2種以上の混合物を好適に用いることができる。なお、このような有機化クレイの4級アンモニウム塩としては、引張強度、耐熱性向上の観点から、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム塩、ジメチルオクタデシルアンモニウム塩、及び、これらの混合物をより好適に利用でき、ジメチルステアリルベンジルアンモニウム塩とジメチルオクタデシルアンモニウム塩との混合物を更に好適に利用できる。
また、本発明にかかるゴム基材が前記エラストマー成分(上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種)である場合であって、クレイを更に含有する場合、前記クレイの含有量(含有比率)は、前記エラストマー成分100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、0.01〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが更に好ましく、0.08〜3質量部であることが特に好ましい。このようなクレイの含有量が前記下限未満では、クレイの含有量が少なすぎて十分な効果が得られなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると架橋が強くなり過ぎて、却って伸びや強度が低下してしまい、各種用途に利用することが困難となる(実用性が低下する)傾向にある。
なお、本発明のゴム組成物が、前記エラストマー成分と前記クレイとを含有する形態のものである場合、かかるゴム組成物中において、前記エラストマー成分と前記クレイは以下のような状態となっているものと本発明者らは推察する。すなわち、先ず、前記エラストマー成分は、前述のように、少なくとも水素結合性架橋部位を有する側鎖を含むエラストマー性ポリマー(側鎖に、側鎖(a);側鎖(a’)及び側鎖(b);並びに、側鎖(c)のうちの少なくとも1種を含むポリマー)を含有してなる。そのため、かかるエラストマー性ポリマーとクレイとを組み合わせると、先ず、クレイと水素結合性架橋部位との間で相互作用(新たな水素結合が形成される等)して、クレイの表面を利用してエラストマー成分が面架橋されるものと推察される。そして、このような面架橋が形成されると、共有結合と水素結合による架橋点が均一化されるものと推察される。このように、前記エラストマー成分と前記クレイとは、該クレイの表面を利用して前記エラストマー成分が面架橋された状態なって、組成物中の成分として存在するものと本発明者らは推察する。
また、前記ゴム基材が前記エラストマー成分(上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種)である場合には、ゴム基材以外の成分として、成形性(流動性)の観点から、化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂を更に含有するものが好ましい。ここにいう「α−オレフィン系樹脂」とは、α−オレフィンの単独重合体、α−オレフィンの共重合体をいい、「α−オレフィン」とは、α位に炭素−炭素二重結合を有するアルケンをいい、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等が挙げられる。また、本明細書において「化学結合性の架橋部位」とは、水素結合、共有結合、金属イオン−極性官能基間のキレーション、金属−不飽和結合(二重結合、三重結合)間のσ−π相互作用により形成される結合等といった化学結合により架橋が形成されている部位をいう。そのため、本明細書において「化学結合性の架橋部位を有さない」とは、水素結合、共有結合、金属イオン−極性官能基間のキレーション、金属−不飽和結合(二重結合、三重結合)間のσ−π相互作用により形成される結合等の化学結合による架橋が形成されている部位を含まない状態であることをいう。このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂としては、例えば、特開2017−57322号公報の段落[0204]〜[0214]に記載のものを好適に利用できる。
また、このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂としては、前記エラストマー成分に対する相溶性の観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体が好ましい。また、このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂としては、中でも、結晶化度が10%以上となるα−オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリエチレン、ポリブテン等)を好適に利用できる。このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂の製造するための方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。また、このようなα−オレフィン系樹脂としては、市販品を用いてもよい。なお、このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、このような化学結合性の架橋部位を有さないα−オレフィン系樹脂の含有量としては、前記エラストマー成分100質量部に対して300質量部以下(より好ましくは5〜250質量部、更に好ましくは10〜225質量部、特に好ましくは25〜200質量部、最も好ましくは35〜175質量部)となるようにして利用することがより好ましい。このような含有量が前記下限未満では流動性が十分得られない傾向にあり、他方、前記上限を超えるとゴム弾性が低下して樹脂性が高くなってしまう(硬度が必要以上に高くなってしまう)傾向にある。
また、前記ゴム基材が前記エラストマー成分(上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種)である場合には、ゴム基材以外の成分として、化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体を更に含有することが好ましい。このような化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体としては、特開2017−57393号公報の段落[0156]〜段落[0163]に記載のものを好適に利用できる。なお、「スチレンブロック共重合体」とは、いずれかの部位にスチレンブロック構造を有するポリマーであればよい。
このような化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体としては、機械的強度、オイル吸収性の観点から、スチレン含有量が10〜50質量%(より好ましくは20〜40質量%)のスチレンブロック共重合体であることが好ましい。また、このようなスチレンブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布の分散度(Mw/Mn)は、それぞれ、機械的強度、オイル吸収性の観点から、Mwは20万以上70万以下であることが好ましく、30万以上60万以下であることがより好ましく、35万以上55万以下であることが更に好ましく、他方、Mnは、10万以上60万以下であることが好ましく、15万以上55万以下であることがより好ましく、20万以上50万以下であることが更に好ましく、更に、Mw/Mnは、5以下であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。このようなスチレンブロック共重合体のガラス転移点は、エラストマー性の観点から、−80〜−30℃であることが好ましく、−70〜−40℃であることがより好ましい。このような各種特性の測定方法(Mw、Mnなど)は、特開2017−57393号公報の段落[0156]〜段落[0163]に記載の方法を採用する。
このような化学結合性の架橋部位を有さないスチレンブロック共重合体としてはゴム弾性と熱可塑性の両立の観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン‐エチレン‐プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン‐エチレン‐エチレン‐プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、これらの水素添加物(いわゆる水添物)が好ましく、SEBS、SEEPSがより好ましい。このようなスチレンブロック共重合体は1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせて利用してもよい。このようなスチレンブロック共重合体としては、適宜市販のものを利用することができる。
このようなスチレンブロック共重合体の含有量としては、前記エラストマー成分100質量部に対して1〜1000質量部であることが好ましく、5〜800質量部であることがより好ましい。このような含有比率が前記下限未満ではオイルを添加した場合にオイルがブリードし易くなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると成形性が低下する傾向にある。
また、前記ゴム基材が前記エラストマー成分(上述のエラストマー性ポリマー(A)〜(B)からなる群から選択される少なくとも1種)である場合には、本発明の効果を損なわない範囲において、ゴム組成物に利用することが可能な他の成分を含有させてもよい。このような他の成分としては、特に制限されるものではないが、例えば、有機酸コバルト等の有機酸金属塩、フェノール樹脂等の樹脂、硫黄等の加硫剤、レゾルシノール等の接着剤、スルフェンアミド化合物、チウラム化合物等の加硫促進剤、老化防止剤、可塑剤、ワックス類、酸化防止剤、充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、分散剤、相容化剤、均質化剤等の各種成分を挙げることができる。前記各成分の含有量は、それぞれ、前記エラストマー成分100質量部に対して5質量部以下(より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは1質量部以下)であることが好ましい。また、このような他の成分として、カーボン、シリカ等のフィラーを含有させてもよい。このようなフィラーを用いる場合、そのフィラーの含有量は前記エラストマー成分100質量部に対して0.1質量部〜300質量部(より好ましくは0.5〜250質量部、更に好ましくは1〜200質量部、特に好ましくは3〜150質量部)であることが好ましい。
なお、本発明のゴム組成物を製造するための好適な方法としては、特に制限されず、ゴム基材(又は場合によりゴム基材と他の成分との混合物)と、プロセスオイルとを準備し(必要に応じて各種他の成分も併せて準備し)、これらの成分(別途、他の成分を利用する場合には、他の成分等も含む)が均一に混合されるように混合(混練)することにより、ゴム組成物を得る方法を採用してもよい。このような混合(混練)に際しては特に制限されず、公知の混練機(例えば、ニーダー、加圧式ニーダー、バンバリーミキサ、一軸、二軸押出機等)等を適宜利用できる。また、このような混合に際しては、各成分を添加する順序や混合方法(混合時の条件等)は特に制限されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、各実施例等で利用した成分(プロセスオイル、エラストマー成分)の特性等について説明する。
<プロセスオイルについて>
各実施例及び各比較例においては、表1に示す特性を有するパラフィンオイルを、プロセスオイル(プロセスオイル(A)〜(C))として用いた。なお、各プロセスオイルの特性の測定方法は、以下の通りである。
動粘度、粘度指数 :JIS K2283(2000年発行)
吸光度 :JIS K0115(2004年発行:なお、吸光度の測定に際しては、プロセスオイル2.0gをヘキサン50mLで希釈した試料、及び、厚さ10mmのセルを用いた。)
10%留出温度 :ASTM D7213−05(2005年発行)
<エラストマー成分について>
実施例及び比較例において利用したエラストマー成分(I)〜(III)及びそれを含む熱可塑性エラストマー組成物(E1)〜(E4)の合成は以下のようにして行った。
(合成例1)
スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(クレイトン社製の商品名「G1633U」、分子量:40万〜50万、スチレン含有量30質量%:以下、場合により「SEBS」と称する)14g、無水マレイン酸変性エチレン−ブテン共重合体(マレイン化EBM:三井化学社製の商品名「タフマーMH5040」、結晶化度4%)7g、エチレン−ブテン共重合体(三井化学社製の商品名「タフマーDF7350」:以下において場合により「EBM」と称する)5.25gおよび老化防止剤(アデカ社製の商品名「AO−50」)0.0532gを加圧ニーダー中に添加し、180℃で2分間混練して可塑化させて混合物(a)を得た。その後、前記加圧ニーダー中の前記混合物(a)に有機化クレイ(ホージュン社製の商品名「エスベンWX」)0.007gを添加して180℃で4分間混練した後、ペンタエリスリトール(三菱ケミカル社製の商品名「ノイライザーP」)0.0714gを添加して180℃で8分間混練し、熱可塑性エラストマー組成物(E1)を得た。なお、かかる熱可塑性エラストマー組成物(E1)は、総量が26.3816gであり、マレイン化EBMとペンタエリスリトールとの反応物からなるエラストマー成分(I)を26.8質量%(かかる割合はマレイン化EBMとペンタエリスリトールの全てが反応した場合の理論値)含有するものとなった。
(合成例2)
EBMを用いる代わりにポリエチレン(日本ポリエチレン製の商品名「HJ590N」:以下において場合により「PE」と称する)を3.5g用い、かつ、ペンタエリスリトールを用いる代わりに2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(日本触媒社製の商品名「ベンゾグアナミン」)を0.1974g用いた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物(E2)を得た。なお、かかる熱可塑性エラストマー組成物(E2)は、総量が24.758gであり、マレイン化EBMとベンゾグアナミンとの反応物からなるエラストマー成分(II)を29.1質量%(かかる割合はマレイン化EBMとベンゾグアナミンの全てが反応した場合の理論値)含有するものとなった。
(合成例3)
EBMを用いる代わりにPEを10.5g用い、かつ、ペンタエリスリトールを用いる代わりに2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン(日本触媒社製の商品名「ベンゾグアナミン」)を0.1974g用いた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物(E3)を得た。なお、かかる熱可塑性エラストマー組成物(E3)は、総量が31.758gであり、前記エラストマー成分(II)を22.7質量%(かかる割合はマレイン化EBMとベンゾグアナミンの全てが反応した場合の理論値)含有するものとなった。
(合成例4)
EBMを用いる代わりにPEを14g用い、かつ、ペンタエリスリトールを用いる代わりにトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート(日星産業社製の商品名「タナックP」)を0.1834g用いた以外は実施例1と同様にして、熱可塑性エラストマー組成物(E4)を得た。なお、かかる熱可塑性エラストマー組成物(E4)は、総量が35.244gであり、マレイン化EBMとトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートとの反応物からなるエラストマー成分(III)を20.4質量%(かかる割合はマレイン化EBMとトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートの全てが反応した場合の理論値)含有するものとなった。
合成例1〜4で得られた熱可塑性エラストマー組成物(E1)〜(E4)の製造に用いた各成分の質量比を表2に示す。なお、表2に示す質量比は、マレイン化EBM100質量部とした場合の各成分の質量比(質量部)である。また、表2に、合成例1〜4で得られた熱可塑性エラストマー組成物の硬度(JIS−A硬度)を示す。なお、かかる硬度の測定方法としては、以下に記載の方法を採用した。
<JIS−A硬度の測定>
合成例1〜4で得られた熱可塑性エラストマー組成物(E1)〜(E4)をそれぞれ用いて、以下のようにして、硬度を測定した。すなわち、先ず、該熱可塑性エラストマー組成物を200℃で10分間熱プレスし、厚みが約2mmとなるようにシートを調製した。次に、このようにして得られたシートを直径29mmの円盤状に打ち抜いて、7枚重ね合わせ、高さ(厚み)が12.5±0.5mmになるようにして、サンプルを調製した。このようにして得られたサンプルを用い、JIS K6253(2012年発行)に準拠して、JIS−A硬度を測定した。
(実施例1)
合成例1で採用している方法と同様の方法を採用して、加圧ニーダー中において熱可塑性エラストマー組成物(E1)を26.38g得た後、その加圧ニーダー中にプロセスオイル(A)を28g滴下して、180℃で5分間混合することにより、前記エラストマー成分(I)からなるゴム基材とプロセスオイル(A)とを含有するゴム組成物を得た。
(比較例1)
プロセスオイル(A)の代わりにプロセスオイル(B)を28g用いた以外は実施例1と同様にして、前記エラストマー成分(I)からなるゴム基材とプロセスオイル(B)とを含有するゴム組成物を得た。
(実施例2)
合成例2で採用している方法と同様の方法を採用して、加圧ニーダー中において熱可塑性エラストマー組成物(E2)を24.76g得た後、その加圧ニーダー中にプロセスオイル(A)を28g滴下して、180℃で5分間混合することにより、前記エラストマー成分(II)からなるゴム基材とプロセスオイル(A)とを含有するゴム組成物を得た。
(比較例2)
プロセスオイル(A)の代わりにプロセスオイル(B)を28g用いた以外は実施例2と同様にして、前記エラストマー成分(II)からなるゴム基材とプロセスオイル(B)とを含有するゴム組成物を得た。
(実施例3)
合成例3で採用している方法と同様の方法を採用して、加圧ニーダー中において熱可塑性エラストマー組成物(E3)を31.76g得た後、その加圧ニーダー中にプロセスオイル(A)を28g滴下して、180℃で5分間混合することにより、前記エラストマー成分(II)からなるゴム基材とプロセスオイル(A)とを含有するゴム組成物を得た。
(比較例3)
プロセスオイル(A)の代わりにプロセスオイル(C)を28g用いた以外は実施例3と同様にして、前記エラストマー成分(II)からなるゴム基材とプロセスオイル(C)とを含有するゴム組成物を得た。
(実施例4)
合成例4で採用している方法と同様の方法を採用して、加圧ニーダー中において熱可塑性エラストマー組成物(E4)を35.24g得た後、その加圧ニーダー中にプロセスオイル(A)を21g滴下して、180℃で5分間混合することにより、前記エラストマー成分(III)からなるゴム基材とプロセスオイル(A)とを含有するゴム組成物を得た。
(比較例4)
プロセスオイル(A)の代わりにプロセスオイル(C)を21g用いた以外は実施例4と同様にして、前記エラストマー成分(III)からなるゴム基材とプロセスオイル(C)とを含有するゴム組成物を得た。
[実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたゴム組成物の特性の評価]
<硬度の測定>
合成例1〜4で得られた熱可塑性エラストマー組成物の代わりに、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたゴム組成物をそれぞれ用いた以外は、上述のJIS−A硬度の測定方法と同様の方法を採用して硬度(JIS−A硬度)を測定した。結果を表3に示す。
<試験片の調製>
後述の耐ブリード性及び耐候性の試験に用いるために、実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたゴム組成物をそれぞれ用いて、以下のようにして、シート状の試験片をそれぞれ作成した。すなわち、先ず、ゴム組成物45gを温度:200℃、予熱3分の条件で加熱した厚さ2mm、縦150mm、横150mmの金型に入れた後、温度:200℃、圧力:18MPa、加圧時間:5分の条件の加熱プレスにより加圧を加えた後、水冷冷却プレスで圧力:18MPa、加圧時間:2分の条件で加圧を加え、金型から取り出すことにより、2mm厚のシート(厚さ2mm、縦150mm、横150mm)からなる試験片(各実施例及び各比較例のゴム組成物の試験片)をそれぞれ形成した。
<耐ブリード性の評価試験>
上述のようにして得られた各実施例及び各比較例のゴム組成物の試験片(シート状の試験片)をそれぞれ用い、各実施例及び各比較例で得られたゴム組成物の耐ブリード性を以下のようにして評価した。すなわち、先ず、各試験片をそれぞれ90℃、99%RH雰囲気下で一週間放置した後、各試験片の表面における析出物(ブリード)の有無を目視で観察し、以下の評価基準A〜Cに基いて評価した。結果を表3に示す。
〔耐ブリード性の評価基準A〜C〕
A:試験片の表面の状態に変化がなく、試験片の表面のいずれの箇所にも析出物(ブリード)が観測されなかった(ブリード無)。
B:試験片の表面の一部に、オイルの析出に由来するてかりが観測された(ブリードやや有)。
C:試験片の表面の全面に亘って、オイルの析出に由来するてかりが観測された(ブリード有)。
<耐候性の測定>
上述のようにして得られた各実施例及び各比較例のゴム組成物の試験片(シート状の試験片)をそれぞれ用い、各実施例及び各比較例で得られたゴム組成物の耐候性を以下のようにして評価した。すなわち、各試験片を50日間屋外に静置して直射日光に晒した後、各試験片の色相変化の有無を目視で確認した。結果を表3に示す。
〔耐候性の評価基準A〜B〕
A:試験片の色相に変化がなかった(変化なし)。
B:試験片の色相に変化があり、黄色に着色した(黄変あり)。
なお、表3には、参考のために、各実施例及び各比較例で得られたゴム組成物の製造に利用した熱可塑性エラストマー組成物の種類、該熱可塑性エラストマー組成物中に含まれているエラストマー成分の種類、ゴム組成物の製造に利用したプロセスオイルの種類、並びに、ゴム組成物の製造に利用した熱可塑性エラストマー組成物とプロセスオイルの質量比(単位:質量部)を併せて記載する。
表3に示す結果からも明らかなように、粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるという条件を満たすプロセスオイル(A)を利用した本発明のゴム組成物(実施例1〜4)はいずれも、耐候性及び耐ブリード性の評価結果がいずれもAとなっており、十分に優れた耐ブリード性と十分に高度な耐候性とを両立できることが確認された。一方、粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるという条件をいずれも満たしていないプロセスオイル(B)〜(C)を利用した場合(比較例1〜4)においては、耐候性及び耐ブリード性の評価結果がいずれもB又はCとなっており、耐候性及び耐ブリード性の両者を十分に高度なものとすることができなかった。
以上説明したように、本発明によれば、十分に高度な耐候性と十分に優れた耐ブリード性とを有することを可能とするゴム組成物を提供することが可能となる。
したがって、本発明のゴム組成物は、長期に亘って利用した場合の劣化を十分に抑制することができるため、自動車部品、ホース、ベルト、シート、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋、防舷材、医療用ゴム(シリンジガスケット、チューブ、カテーテル)、ガスケット(家電用、建築用)、アスファルト改質剤、ホットメルト接着剤、ブーツ類、グリップ類、玩具、靴、サンダル、キーパッド、ギア、ペットボトルキャプライナーなどを形成するための材料の他、ゴム履物、ベルト、ホース、防振ゴム、ゴムロール、印刷用ブランケット、ゴム・樹脂ライニング、ゴム板(ゴムシート)、導電性ゴム製品、シーリング材、シート防水、ウレタン塗膜防水、土木用遮水シート、密封装置、押出ゴム製品、スポンジゴム製品、防舷材、建築用ガスケット、免震ゴム、舗装用ゴムブロック、非金属チェーン、医療・衛生用ゴム製品、ゴム引布製品、ゴム・ビニール手袋等の用途に利用するゴム組成物として特に有用である。

Claims (7)

  1. ゴム基材と、
    粘度指数が110以上であり、波長198nmの光の吸光度が1以上3.3以下であり、かつ、波長228nmの光の吸光度が0.1以上1.7以下であるプロセスオイルと、
    を含有することを特徴とするゴム組成物。
  2. 前記プロセスオイルが、40℃における動粘度が1mm/s以上80mm/s以下のものであることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記プロセスオイルが、10%留出温度が300℃以上438℃以下のものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記ゴム基材が、非極性ジエン系ゴム、オレフィン系ゴム及び熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 前記ゴム基材が、カルボニル含有基および/または含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖(a)を有しかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(A)、並びに、側鎖に水素結合性架橋部位及び共有結合性架橋部位が含有されておりかつガラス転移点が25℃以下であるエラストマー性ポリマー(B)からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー成分であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のゴム組成物。
  6. クレイを更に含有することを特徴とする請求項5に記載のゴム組成物。
  7. 前記クレイが有機化クレイであることを特徴とする請求項6に記載のゴム組成物。
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